(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0110】
【
図1】
図1は、週に1回、3週間にわたり、それぞれ1日目、8日目、及び15日目に投与したビヒクル、各15.6mg/kg、5.2mg/kg、1.6mg/kg、及び0.5mg/kgのPBRM−薬物−高分子コンジュゲートPHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-M-(PEG)
12)(実施例8、HPV:トラスツズマブが約16:1〜18:1)、及び薬物−高分子コンジュゲートPHF-GA-(HPV-アラニン)-SH(実施例6)(15.6mg/kgで実施例8に存在したものと同等であるビンカ用量で投与)のIV投与後に、NCI-N87細胞(各群n=10)を皮下接種したマウスにおける腫瘍反応を示すグラフである。
【0111】
【
図2】
図2は、週に1回、3週間にわたり、各々1日目、8日目、及び15日目に投与したビヒクル;15mg/kgのPBRM(トラスツズマブ);7.5mg/kgのPBRM−薬物−高分子コンジュゲートPHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-MCC)(実施例7、HPV:トラスツズマブが約19:1〜22:1)及び20mg/kgのPHF-GA-(HPV-アラニン)-(リツキシマブ-MCC)(実施例54、HPV:リツキシマブが約12:1〜15:1);トラスツズマブと組合わせた15mg/kgの薬物−高分子コンジュゲートPHF-GA-(HPV-アラニン)-SH(実施例6)(15mg/kgで実施例7に存在したものと同等であるビンカ用量で投与)のIV投与後にBT474腫瘍(各群n=12)を皮下接種したマウスにおける腫瘍反応を示すグラフである。
【0112】
【
図3】
図3は、週に1回、3週間にわたり、各々1日目、8日目、及び15日目に投与したビヒクル;15mg/kgのPBRM(トラスツズマブ);7.5mg/kgのPBRM−薬物−高分子コンジュゲートPHF-GA-(アウリスタチンF-ヒドロキシプロピルアミド-L-アラニン)-(トラスツズマブ-MCC)(実施例52、アウリスタチンF:トラスツズマブが約20:1〜22:1);トラスツズマブと組合わせた、15mg/kgの薬物−高分子コンジュゲートPHF-GA-SH-(アウリスタチンF-プロピルアミド-L-アラニン)(実施例51)(15mg/kgで実施例52に存在したものと同等であるアウリスタチン用量で投与)のIV投与後に、BT474腫瘍(各群n=12)を皮下接種したマウスにおける腫瘍反応を示すグラフである。
【0113】
【
図4】
図4は、週に1回、3週間にわたり、各々1日目、8日目、及び15日目に投与したビヒクル;3.5mg/kgのPBRM−薬物−高分子コンジュゲートPHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-MCC)(実施例7、HPV:トラスツズマブが約19:1〜22:1);1日目に単回投与として投与した10mg/kgのPBRM−薬物−高分子コンジュゲートPHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-MCC)(実施例7、HPV:トラスツズマブが約19:1〜22:1);週に1回、3週間にわたり、各々17日目、24日目、及び31日目に投与した10mg/kgのPBRM−薬物−高分子コンジュゲートPHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-MCC)(実施例7、HPV:トラスツズマブが約19:1〜22:1)のIV投与後にBT474腫瘍(各群n=10)を皮下接種したマウスにおける腫瘍反応を示すグラフである。
【0114】
【
図5】
図5は、週に1回、3週間にわたり、各々1日目、8日目、及び15日目に投与したビヒクル又は7mg/kgの30kDa PHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-Fab)(実施例60、HPV:トラスツズマブ-Fabが約10:1〜14:1)のIV投与後にBT474腫瘍(各群n=10)を皮下接種したマウスにおける腫瘍反応を示すグラフである。
【0115】
【
図6】
図6は、実施例8のように(HPV:トラスツズマブが約16:1〜18:1)、(トラスツズマブに基づいて)15mg/kgのPBRM−薬物コンジュゲートPHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-M-(PEG)
12)のIVボーラス投与後に結合させたHPVとトラスツズマブに関する血漿PKを示すグラフである。
【0116】
【
図7】
図7は、実施例8のように(HPV:トラスツズマブが約16:1〜18:1)、(トラスツズマブに基づいて)15mg/kgのPBRM−薬物コンジュゲートPHF-GA -(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-M-(PEG)
12)のIVボーラス投与後の、マウスの様々な臓器内へのHPV蓄積を示すグラフである。
【0117】
【
図8】
図8は、週に1回、3週間にわたり、各々1日目、8日目、及び15日目に投与した2mg/kg及び4mg/kgのビヒクル; PBRM−薬物−高分子コンジュゲートPHF-GA-(アウリスタチンF-ヒドロキシプロピルアミド-L-アラニン)-(トラスツズマブ-MCC)(実施例52、アウリスタチンF:トラスツズマブが約24:1〜28:1)及び薬物−高分子コンジュゲートPHF-GA-SS-ジメチル-NO
2-(アウリスタチンF-ヒドロキシプロピルアミド-L-アラニン)-(S-S-トラスツズマブ)(実施例70、アウリスタチンF:トラスツズマブが約9:1〜13:1)のIV投与後にBT474腫瘍(各群n=10)を皮下接種したマウスにおける腫瘍反応を示すグラフである。
【0118】
本発明の特定の好ましい実施形態についての詳細な説明
本発明は、新規なタンパク質−高分子−薬物コンジュゲート、そのコンジュゲートを作製するための高分子足場、そのコンジュゲート又は高分子足場を作製するための合成方法、それらを含んでなる医薬組成物、及びそのコンジュゲートの様々な用途を供する。
【0119】
本発明はまた、新規な高分子−薬物コンジュゲート、そのコンジュゲートを作製するための合成方法、、それらを含んでなる医薬組成物、及びそのコンジュゲートの様々な用途を供する。
【0120】
本発明は、新規な薬物誘導体、その誘導体を作製するための合成方法、それらを含んでなる医薬組成物、及びその薬物誘導体の様々な用途を更に供する。
【0121】
定義/専門用語
本発明のある種の化合物、及び特定の官能基の定義はまた、本明細書中で更に詳細に記述されている。本発明の目的のために、その化学元素は、the Periodic Table of the Elements, CAS version, Handbook of Chemistry and Physics,75th Ed.(内表紙)で同定されており、また、特定の官能基は、一般に、本明細書中で記述のように、定義されている。更に、有機化学の一般的な原理だけでなく、特定の官能部分及び反応性は、“Organic Chemistry”, Thomas Sorrell, University Science Books, Sausalito: 1999で記述されており、その全内容は、本明細書中で参考として援用されている。更に、本明細書中で記述した合成方法は、種々の保護基を利用することが当業者に理解できる。
【0122】
下記の明細及び請求項の両方における冠詞「a」、「an」及び「the」の使用は、本明細書中で別段に示されていない限り、又は内容によって明確に否定されていない限り、単数及び複数の両方に及ぶと解釈されるべきである。「含む」、「有する」、「包含する」及び「含有する」という用語は、別段に示されていない限り、オープンタームとして(即ち、「これらに限られないが〜を包含する」を意味すると)解釈されるべきである。加えて、「含む」又は他のオープンエンドの用語が実施形態で使用される場合には常に、同じ実施形態を、中間的な用語「主に〜からなる」又はクローズドターム「〜からなる」を使用してより狭く請求することができることを理解されたい。
【0123】
値の範囲についての言及は、本明細書中で別段に示されていない限り、範囲内に該当するそれぞれ別々の値を個々に言及することの簡便な方法として役立てることが単に意図されており、本明細書中に個々に言及されているかのように、それぞれ別々の値が、明細書中に組み込まれる。本明細書で使用される範囲には、別段に定義されていない限り、その範囲の2つの限界値が包含される。例えば「xは、1から6の間の整数である」及び「xは、1から6の整数である」という表現は両方とも、「xは、1、2、3、4、5又は6である」ことを意味している。
【0124】
「保護基」:本明細書で使用される語句「保護基」は、多官能性化合物において、特定の官能基部分、たとえばO、S又はNが一時的にブロックされ、反応が他の反応性部位で選択的に行われることを意味する。好ましい実施態様では、保護基は、高収率で選択的に反応して、予定された反応に対して安定な保護置換基を得;簡単に入手しうる、好ましくは他の官能基を攻撃しない無毒の試薬によって、高収率で選択的に脱離しなければならず;簡単に分離しうる誘導体を形成し(更に好ましくは、新しい立体形成中心を生成することなく);そして、機能の追加が最小限で反応部位が更に増えることを避ける。本明細書で詳しく説明するように、酸素、イオウ、窒素及び炭素の保護基が利用されてもよい。たとえば、ある実施形態では、ある例示的な酸素保護基が利用されてもよい。これらの酸素保護基として、メチルエーテル類、置換されたメチルエーテル(たとえば、MOM(メトキシメチルエーテル)、MTM(メチルチオメチルエーテル)、BOM(ベンジルオキシメチルエーテル)、及びPMBM(p-メトキシベンジルオキシメチルエーテル))、置換されたエチルエーテル類、置換されたベンジルエーテル類、シリルエーテル類(たとえば、TMS(トリメチルシリルエーテル)、TES(トリエチルシリルエーテル)、TIPS(トリイソプロピルシリルエーテル)、TBDMS(t-ブチルジメチルシリルエーテル)、トリベンジルシリルエーテル、及びTBDPS(t-ブチルジフェニルシリルエーテル))、エステル類(たとえば、蟻酸エステル、酢酸エステル、ベンジル酸エステル(Bz)、トリフルオロ酢酸エステル、及びジクロロ酢酸エステル)、炭酸エステル、環状アセタール類及びケタール類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ある他の例示的な実施形態では、窒素保護基が利用される。窒素保護基及び保護及び脱保護方法は、業界で知られている。窒素保護基として、カーバメイト類(メチル、エチル及び置換されたエチルカーバメイト類(たとえばTroc)が含まれる)、アミド類、環状イミド誘導体、N-アルキル及びN-アリールアミン類、イミン誘導体、及びエナミン誘導体が挙げられるが、しかしこれらに限定されない。更に他の実施形態において、特定の例示的な硫黄保護基が利用されてもよい。硫黄保護基として、先に記載した酸素保護基、並びに脂肪族カルボン酸類(例えば、アクリル酸)、マレイミド、ビニルスルホニル、及び任意に置換されたマレイン酸が挙げられるが、しかしこれらに限定されない。他の例示的な保護基が、本明細書に詳細に記載されるが、本発明は、これらの保護基に限定することを意図するものではなく、むしろ本発明においては、種々の他の等価の保護基が、上記基準を使用して容易に同一視され、利用できることは、理解されるであろう。加えて、種々の保護基が“Protective Groups in Organic Synthesis” Third Ed. Greene, T.W. and Wuts, P.G., Eds., John Wiley & Sons, New York: 1999の中に記載され、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0125】
「脱離基」は、異方性結合の開裂の際に電子対と共に外れる分子断片を指す。脱離基は、陰イオン又は中性分子であり得る。脱離基としては、ハロゲン化物、例えばCl
-、Br
-、及びI
-など、スルホン酸エステル類、例えばパラ−トルエンスルホナート(「トシラート」、TsO
-)など、及びRC(O)O-(式中、Rは水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、炭素環、又はヘテロシクロアルキル部分である)が挙げられるが、しかしこれらに限定されない。
【0126】
本明細書に記載されている方法は全て、本明細書中で別段に示されていない限り、又は内容によって別段に明確に否定されていない限り、任意の適切な順序で行うことができる。本明細書で示されている任意及び全ての例又は例示的な言葉(例えば「など」)の使用は、本発明をより良く説明することを単に意図しており、別段に明示して請求されていない限り、特許請求の範囲に対する制限として解釈されるべきではない。明細書中のどんな言葉も、何らかの請求されていない要素が、請求されていることの必須要素であることを示していると解釈されるべきではない。
【0127】
「抗体」とは、これだけに限定されるものではないが、IgGサブクラス(IgG1、2、3、及び4)を含めたクラスIgG、及び抗原上の特定のエピトープに特異的に結合することが可能であるクラスIgMの免疫グロブリン分子を指す。抗体は、天然起源又は遺伝子組み換え起源から誘導された完全な免疫グロブリンであっても、完全な免疫グロブリンの免疫反応性部分であってもよい。抗体は、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ラクダ化単一ドメイン抗体、細胞内抗体(「intrabodies」)、組み換え抗体、抗イディオタイプ抗体、ドメイン抗体、リニア抗体、多特異的抗体、抗体フラグメント、例えば、Fv、Fab、Fab'、Fab'-SH、F(ab')
2、一本鎖可変フラグメント抗体(scFv)、Fc、pFc'、scFvFc、ジスルフィドFv(dsfv)、二重特異性抗体(bc-scFv)、例えばBiTE抗体など;ラクダ科動物抗体、表面再構成抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、単一ドメイン抗体(sdAb、別名NANOBODY(登録商標))、キメラ抗体、少なくとも1つのヒト定常領域を含んでなるキメラ抗体、二重親和性抗体、例えば二重親和性再ターゲッティングタンパク質(DART(商標))、これだけに限定されるものではないが、低分子抗体、二重特異性抗体、三重特異性抗体又は三価抗体、四価抗体など、及び多価抗体を含めた二価(divalent又はbivalent)一本鎖可変フラグメント(di-scFvs、bi-scFvs)を含めた様々な形態で存在し得る。「抗体フラグメント」とは、その標的、すなわち、抗原結合性領域に結合する免疫グロブリン分子の可変領域の少なくとも一部を指す。本明細書中に使用される場合、「抗体」という用語は、別段の定めがない限り、完全長の抗体と抗体フラグメントの両方を指す。
【0128】
「タンパク質ベースの認識分子」又は「PBRM」とは、それが細胞表面マーカー又は受容体、例えば、膜貫通タンパク質、表面不溶化タンパク質、又はプロテオグリカン(protoglycan)などを認識し、そして、それに結合する分子を指す。PBRMの例としては、これだけに限定されるものではないが、抗体(例えば、トラスツズマブ、セツキシマブ、リツキシマブ、ベバシズマブ、エプラツズマブ、ベルツズマブ、ラベツズマブ)又はペプチド(LHRH受容体ターゲッティングペプチド、EC-1ペプチド)、リポカリン、例えば、anticalinsなど、タンパク質、例えば、インターフェロン、リンフォカイン、増殖因子、コロニー刺激因子など、ペプチド又はペプチド模倣薬などが挙げられる。修飾高分子コンジュゲートが特定の細胞、組織又は位置を標的化するのに加えて、タンパク質ベースの認識分子はまた、標的細胞又は経路に対して抗増殖(細胞増殖抑制性、及び/又は細胞傷害性)活性などの特定の治療効果も有し得る。タンパク質ベースの認識分子は、化学反応性基、例えば-COOHなど、第一級アミン、第二級アミン-NHR、-SH、又は化学反応性アミノ酸部分又は側鎖、例えば、チロシン、ヒスチジン、システイン、又はリジンなどのうちの少なくとも1つのを含むか、又は含むように設計され得る。
【0129】
「生体適合」は、本明細書中で使用される場合、体液又は生きている細胞若しくは組織と接触している間に最小の破壊的な又はホストの応答作用を発揮する化合物を記述することが意図されている。したがって、生体適合性基は、本明細書で使用される場合、上記及び本明細書で定義した生体適合性という用語の定義内に該当する脂肪族、シクロアルキル、ヘテロ脂肪族、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリール部分を指す。「生体適合性」という用語もまた本明細書で使用される場合、そのような相互作用が特に望まれない限り、認識タンパク質、例えば天然に生じる抗体、細胞タンパク質、細胞及び生物系の他の成分との最小の相互作用を発揮する化合物を意味することとする。したがって、上記の最小の相互作用をもたらすことが特に意図されている物質及び官能基、例えば薬物及びプロドラッグは、生体適合性であると解釈される。好ましくは(例えば抗新生物薬などの細胞毒性であることが意図されている化合物を除いて)、意図されている全身インビボ濃度と同様の濃度でのインビトロでの正常細胞へのその添加が、インビボでの化合物の半減期(例えばインビボ投与された化合物のうちの50%が除去/クリアランスされるために必要な期間)と同等の時間の間に1%以下の細胞死をもたらし、そのインビボ投与が、最小限かつ医学的に許容される炎症、異物反応、免疫毒性、化学的毒性、及び/又は他のそのような有害作用を誘発するならば、化合物は「生体適合性」である。上記の文章において、「正常細胞」という用語は、試験されている化合物によって破壊されるか、又は別段に有意な影響を受けることが意図されていない細胞を指す。
【0130】
「生分解性」:本明細書中に使用される場合、「生分解性」高分子は、インビボで生物学的なプロセッシングを受け易い高分子である。本明細書で使用される場合、「生分解性」化合物又は部分は、細胞によって取り込まれると、リソソーム若しくは他の化学的機序によって、又は加水分解によって、細胞が再利用するか、細胞に対する有意な毒性作用なしに片付けることができる成分へと壊され得る化合物である。本明細書中で使用される場合、「生体切断性(biocleavable)」という用語は、「生分解性」と同じ意味を有する。分解断片は好ましくは、臓器又は細胞過負荷又はそのような過負荷若しくは他の有害作用が原因である病的プロセスをインビボで誘発しないか、又はほとんど誘発しない。生分解性プロセスの例には、酵素及び非酵素加水分解、酸化ならびに還元が包含される。本明細書中に記載した生分解性タンパク質−高分子−薬物コンジュゲート(又はそれらの成分、例えば、生分解性高分子担体、及び担体と抗体又は薬物分子の間のリンカー)を非酵素加水分解するための適切な条件には、例えば、リソソームの細胞内区画の温度及びpHで生分解性コンジュゲートを水に曝露することが包含される。一部のタンパク質−高分子−薬物コンジュゲート(又はそれらの成分、例えば、生分解性高分子担体、及び担体と抗体又は薬物分子の間のリンカー)の生分解をまた、細胞外で、例えば動物の身体の低いpH領域、例えば炎症部分で、分解を促進する因子を放出している活性化マクロファージ又は他の細胞の近接で、増大させることができる。特定の好ましい実施形態では、pH約7.5での高分子担体の有効サイズは、1から7日間にわたって検出可能なほどには変化せず、元の高分子サイズの50%以内を少なくとも数週間は維持する。他方でpH約5では、高分子担体は、1から5日間にわたって好ましくは検出可能に分解され、2週間から数ヶ月の時間の枠内で、低分子量の断片へと完全に変換される。そのような試験での高分子の完全性は、例えばサイズ排除HPLCによって測定することができる。より早急な分解が一部の場合には好ましいこともあるが、一般に、高分子は細胞内で、細胞による高分子断片の代謝又は排出の速度を超えない速度で分解されることがより望まれ得る。好ましい実施形態では、高分子及び高分子生分解副産物は、生体適合性である。
【0131】
「生物学的利用能」:「生物学的利用能」という用語は、対象に投与された所定の量の薬物又は化合物の全身的利用能(すなわち、血液/血漿レベル)を指す。生物学的利用能は、投与された剤形から大循環に達する薬物又は化合物の時間(速度)と総量(程度)の両方の尺度を示す絶対項である。
【0132】
「親水性」:高分子モノマー単位上の置換基に関する場合の「親水性」という用語は、当分野においてこの用語に共通する意味と本質的に変わらず、イオン性、極性若しくは極性原子を含有するか、又は別段に水分子によって溶媒和され得る化学的部分を示している。したがって、親水性基は、本明細書で使用される場合、上記で定義した親水性という用語の定義に該当する脂肪族、シクロアルキル、ヘテロ脂肪族、、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリール部分を指す。適切な特定の親水性有機部分の例には、限定ではないが、約1から12個の間の原子範囲の原子からなる鎖を含む脂肪族又はヘテロ脂肪族基、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アミン、カルボキシル、アミド、カルボン酸エステル、チオエステル、アルデヒド、ニトリル、イソニトリル、ニトロソ、ヒドロキシルアミン、メルカプトアルキル、複素環、カルバメート、カルボン酸及びその塩、スルホン酸及びその塩、スルホン酸エステル、リン酸及びその塩、リン酸エステル、ポリグリコールエーテル、ポリアミン、ポリカルボキシレート、ポリエステルならびにポリチオエステルが包含される。好ましい本発明の実施形態では、高分子モノマー単位のうちの少なくとも1個は、カルボキシル基(COOH)、アルデヒド基(CHO)、メチロール(CH
2OH)又はグリコール(例えばCHOH-CH
2OH又はCH-(CH
2OH)
2を包含する。
【0133】
高分子に関する場合の「親水性」という用語は一般に、当分野におけるこの用語の使用と変わらず、上記で定義した親水性官能基を含む高分子を示す。好ましい実施形態では、親水性高分子は、水溶性高分子である。高分子の親水性は、水和エネルギーの決定を介して直接的に測定することができるか、又は2つの液相の間の検査を介して、又は例えばC4若しくはC18などの既知の疎水性を有する固相上でのクロマトグラフィーによって決定することができる。
【0134】
「高分子担体」:高分子担体という用語は、本明細書中に使用される場合、高分子又は修飾高分子を指し、そしてそれは、1又は2以上の薬物分子を示されたリンカーと、及び/又は1又は2以上のPBRMを示されたリンカーと共有結合させるのに好適であるか、又は共有結合させることができる。
【0135】
「生理的条件」:「生理学的条件」という語句は、本明細書で使用される場合、生体組織の細胞外液体中で遭遇するであろう化学的(例えばpH、イオン強度)及び生化学(例えば酵素濃度)条件の範囲に関する。大抵の正常な組織では、生理学的pHは、約7.0から7.4である。循環血漿及び正常な間隙液が、正常な生理学的条件の典型的な例を代表する。
【0136】
「多糖類」、「炭水化物」又は「オリゴ糖類」:「多糖類」、「炭水化物」又は「オリゴ糖類」との用語は、当該技術分野で公知であり、一般に、化学式(CH
2O)nを有する物質及びそれらの誘導体を意味し、ここで、一般に、n>2である。炭水化物とは、ポリヒドロキシアルデヒド又はポリヒドロキシケトン、又は簡単な化学変換(例えば、加水分解、酸化又は還元)におけるこのような物質への変化である。典型的には、炭水化物は、環状アセタール又はケタール(例えば、グルコース又はフルクトース)の形状で、存在している。該環状単位(単糖類)は、互いに結合され得、少数(オリゴ糖類)又は数個(多糖類)の単糖単位を備えた分子を形成する。しばしば、はっきりと定義した数、種類及び配置の単糖単位を備えた炭水化物はオリゴ糖と呼ばれ、一方、可変の数及び/又は配置の単糖単位の分子の混合物からなる炭水化物は、多糖類と呼ばれている。「多糖類」、「炭水化物」又は「オリゴ糖類」との用語は、本明細書中では、交換可能に使用される。多糖類には、天然の糖(例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、アラビノース、リボース及びキシロース)及び/又は天然の糖の誘導体(例えば、2’-フルオロリボース、2’-デオキシリボース及びヘキソース)が挙げられ得る。
【0137】
「小分子」:本明細書中で使用する「小分子」との用語は、天然に存在しようと(例えば、化学合成により)人工的に作り出されようと、比較的に低い分子量を有する分子を意味する。好ましい小分子は、動物(好ましくは、哺乳動物、更に好ましくは、ヒト)において局所効果又は全身効果を生じる点で、生体活性である。ある好ましい実施態様では、この小分子は、薬剤であり、そして、小分子は「薬物分子」若しくは「薬物」又は「治療薬」と呼ばれる。ある実施形態において、薬物分子は、約5kDa以下のMWを有する。他の実施形態において、薬物分子は、約1.5kDa以下のMWを有する。実施形態において、薬物分子は、ビンカアルカロイド、アウリスタチン、チューブリシン、デュオカルマイシン、キナーゼ阻害剤、MEK阻害剤、KSP阻害剤、及びその類似体から選択される。好ましくは、必須ではないものの、この薬剤は、適当な政府機関又は行政体、例えばFDA、により既に使用に安全かつ有効であると見なされたものである。例えば、21 C.F.R.330.5,331〜361、及び440〜460にてFDAが挙げたヒトに使用する薬剤;21 C.F.R.500〜589にてFDAが挙げた動物に使用する薬剤(それらの内容は、本明細書中で参考として援用されている)は、全て、本発明の親水性高分子と併用するのに適当であると考えられる。
【0138】
本発明を実施する際に使用できる種類の薬剤分子には、抗癌物質、放射性核種、ビタミン、抗エイズ物質、抗生物質、免疫抑制薬、抗ウイルス物質、酵素阻害剤、神経トキシン、オピオイド、催眠薬、抗ヒスタミン剤、潤滑剤、精神安定薬、抗痙攣薬、筋肉弛緩薬及び抗パーキンソン物質、抗痙攣薬及び筋肉収縮薬(チャネル遮断薬、縮瞳薬及び抗コリン薬を含めて)、抗緑内障化合物、抗寄生虫及び/又は抗原生動物化合物、細胞−細胞外マトリックス相互作用のモジュレーター(細胞成長阻害剤及び抗接着分子を含めて)、血管拡張薬、DNA、RNA又はタンパク質合成の阻害剤、降圧薬、鎮痛薬、解熱薬、ステロイド性及び非ステロイド性抗炎症薬、抗血管原性因子、抗分泌因子、抗凝血薬及び/又は抗血栓薬、局所麻酔薬、眼薬、プロスタグランジン、抗うつ薬、抗精神病物質、制吐薬、造影剤が挙げられるが、これらに限定されない。多くの大分子もまた、薬剤である。
【0139】
本発明で使用するのに適当な更に完全な(全てを網羅するものではない)特定の薬剤のリストは、“Pharmaceutical Substances: Syntheses, Patents, Applications” by Axel Kleemann and Jurgen Engel, Thieme Medical Publishing, 1999及びthe “Merck Index: An Encyclopedia of Chemicals, Drugs, and Biologicals”, Edited by Susan Budavari et al., CRC Press, 1996で見られ、両方の内容は、本明細書中で参考として援用されている。好ましい実施形態において、本願発明で使用される薬物は、標的細胞又は経路に対して抗増殖(細胞増殖抑制性、及び/又は細胞傷害性)の活性を有する治療薬である。前記薬物は、化学的反応基、例えば、-COOH、第一級アミン、第二級アミン-NHR、-OH、-SH、-C(O)H-、-C(O)R、-C(O)NHR
2b、C(S)OH、-S(O)
2OR
2b、-P(O)
2OR
2b、-CN、-NC又は-ONO(式中、Rは脂肪族、ヘテロ脂肪族、炭素環、又はヘテロシクロアルキル部分であり、R
2bは水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、炭素環、又は複素環部分である)を持ち得る。
【0140】
「薬物誘導体」又は「改変薬物」、或いは本明細書中に使用される同様のものは、本発明のコンジュゲートによって送達されることを意図する薬物分子、及び薬物分子を高分子担体に結合させることができる官能基を含んでなる化合物を指す。
【0141】
「活性型」とは、本明細書中で使用される場合、インビボ又はインビトロにおいて意図した医薬的な有効性を示す化合物の形態を指す。特に、本発明のコンジュゲートによって供されることを意図する薬物分子がコンジュゲートから放出されるとき、活性型は、薬物自体又はその誘導体であり得、そしてそれが意図した治療学的な特性を発揮する。コンジュゲートからの薬物の放出は、薬物を高分子担体に結合させているリンカーの生分解性結合の開裂によって達成できる。従って、活性薬物誘導体は、リンカーの一部を含んでなる。
【0142】
「診断ラベル」:本明細書で使用される語句診断ラベルは、原子、原子、部分又は官能基の基、ナノ結晶、又は他の個別の物質組成物の要素であって、生体内又は生体外で、当業界で公知の分析方法を使用して検出できるものを言う。本発明のコンジュゲートと結び付けられる時、そのような診断ラベルは、生体内でのコンジュゲートのモニタリングを可能にする。或いは又は加えて、診断ラベルを含む構造及び組成は、生物学的機能又は構造をモニターするために使用することができる。診断ラベルの例として、限定されないが、放射、反射、吸収、散乱できる、又は他の電磁界又は電磁波(たとえば、γ線、X線、電波、マイクロ波、光)、粒子(たとえば、α粒子、エレクトロン、陽電子、ニュートロン、プロトン)又はたとえば超音波のような他の形での放射線に影響をあたえることのできる一般的な部分における、医療診断的処置で使用できるラベル、たとえば、γ−シンチグラフィー及びポジトロン放射断層撮影(PET)用放射性アイソトープ(放射性核物質)、磁気共鳴画像法(MRI)(たとえば、常磁性原子及び超常磁性ナノ結晶)用造影剤、CT検査法及び他のX線系画像検査法用の造影剤、超音波系診断的方法(断層撮影法)用剤、中性子活性化(たとえば、ホウ素、ガドリニウム)剤、種々の光学処置用蛍光体が挙げられる。
【0143】
「脂肪族」:一般的に、本明細書で使用される語句脂肪族は、飽和及び不飽和の直鎖(すなわち分岐状でない)又は分岐状の脂肪族炭化水素を含み、これらは1以上の官能基で必要に応じて置換される。当業者によって認識されるように、本明細書において「脂肪族」としては、アルキル、アルケニル、アルキニル部分が挙げられるが、これらに限定されない。したがって、本明細書で使用される語句「アルキル」には、直鎖及び分岐状アルキル基が含まれる。同じような約束事が他の一般用語「アルケニル」、「アルキニル」などにも適用される。さらに、本明細書で使用される語句「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」などは、置換された及び置換されていない基も包含する。ある実施形態では、本明細書で意図される「低級アルキル」とは、炭素数が約1〜6のアルキル基(置換された、置換されていない、分岐状又は分岐していない)を言う。
【0144】
「アルケニル」:語句アルケニルは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する炭化水素部分から1個の水素原子の離脱によって誘導された1価の基を表わす。「置換されたアルケニル」基は、1以上の官能基で、1又は2以上の官能基によって置換される。置換基としては、下記するどのような置換基、すなわち、安定な化合物の形成につながる以下に記載した置換基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。アルケニル基として、たとえば、エテニル、プロペニル、ブテニル、1-メチル-2-ブテン-1-イルなどが挙げられる。
【0145】
「アルキニル」:本明細書で使用される語句アルキニルは、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する炭化水素部分から1個の水素原子の離脱によって誘導された1価の基を言う。置換されたアルケニル基は、1又は2以上の官能基によって置換される。置換基としては、下記するどのような置換基、すなわち、安定な化合物の形成につながる以下に記載した置換基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。例示的なアルキニル基として、エチニル、2−プロピニル(プロパルギル)、1−プロピニルなどが挙げられる。
【0146】
ある実施形態では、本発明で使用されるアルキル、アルケニル及びアルキニル基は、約1〜20個の脂肪族炭素原子を含む。また別の実施形態では、本発明で使用されるアルキル、アルケニル及びアルキニル基は、約1〜10個の脂肪族炭素原子を含む。さらに他の実施形態では、本発明で使用されるアルキル、アルケニル及びアルキニル基は、約1〜8個の脂肪族炭素原子を含む。さらに他の実施形態では、本発明で使用されるアルキル、アルケニル及びアルキニル基は、約1〜6個の脂肪族炭素原子を含む。さらに他の実施形態では、本発明で使用されるアルキル、アルケニル及びアルキニル基は、約1〜4個の炭素原子を含む。具体的な脂肪族基として、たとえば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、アリル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、sec-ペンチル、イソペンチル、tert-ペンチル、n-ヘキシル、sec-ヘキシル部分などが挙げられるが、これらに限定されない。これらは、また、1以上の置換基を有してもよい。アルケニル基として、たとえば、エテニル、プロペニル、ブテニル、1-メチル-2-ブテン-1-イルなどが挙げられるが、これらに限定されない。例示的なアルキニル基として、エチニル、2-プロピニル(プロパルギル)、1-プロピニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0147】
本明細書中に使用される「アルキレン」、アルキレンという用語は、それ自体又は別の用語の一部で、親アルカンの同じか又は2つの異なった炭素原子からの2つの水素原子の除去によって誘導された2つの1価のラジカル中心を有する飽和、分岐又は線状鎖を指す。
アルキレンラジカルとしては、これだけに限定されるものではないが、メチレン、1,2-エチレン、1,3-プロピルなどが挙げられる。適するアルキレンとしては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デカレンなどが挙げられる。「シクロアルキレン」という用語は同様に、二価のシクロアルキルを指す。シクロアルキレンラジカルは、これだけに限定されるものではないが、1,1-シクロペンチレン、1,2-シクロペンチレン、1,1-シクロブチレン、1,3-シクロブチレンなどが挙げられる。
【0148】
「ヘテロ脂肪族」:本明細書で使用される語句ヘテロ脂肪族は、主鎖中の1個以上の炭素原子がヘテロ原子で置換されている脂肪族部分を言う。したがって、ヘテロ脂肪族基とは、炭素原子の代わりに、1個以上の、たとえば、酸素、イオウ、窒素、リン又はケイ素原子を含む脂肪族鎖を言う。ヘテロ脂肪族部部分は、分岐状でも或いは直線状で分岐していないものでもよい。ある実施形態では、ヘテロ脂肪族部分は、1以上の、脂肪族;ヘテロ脂肪族;脂環式;ヘテロ脂環式;芳香族;ヘテロ芳香族;アリール;ヘテロアリール;アルキルアリール;アルキルヘテロアリール;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;-NO
2;-CN;-CF
3;-CH
2CF
3;-CHCl
2;-CH
2OH;-CH
2CH
2OH;-CH
2NH
2;-CH
2SO
2CH
3;又は-GR
G1(ここで、Gは、-O-、-S-、-NR
G2-、-C(=O)-、-S(=O)-、-SO
2-、-C(=O)O-、-C(=O)NR
G2-、-OC(=O)-、-NR
G2C(=O)-、-OC(=O)O-、-OC(=O)NR
G2-、-NR
G2C(=O)O-、-NR
G2C(=O)NR
G2-、-C(=S)-、-C(=S)S-、-SC(=S)-、-SC(=S)S-、-C(=NR
G2)-、-C(=NR
G2)O-、-C(=NR
G2)NR
G3-、-OC(=NR
G2)-、-NR
G2C(=NR
G3)-、-NR
G2SO
2-、-NR
G2SO
2NR
G3又は-SO
2NR
G2-(ここで、各R
G1、R
G2及びR
G3の各存在は独立して、水素、ハロゲン又は必要に応じて置換される脂肪族、ヘテロ脂肪族、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、又はアルキルヘテロアリール部分を含む(しかしこれらに限定されない)(「置換されたヘテロ脂肪族」)。一般的に適用される置換基の付加的な例示は、本明細書に記載される実施例において示されるある実施形態に挙げられている。
【0149】
「シクロアルキル」:本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」という用語は、3から30個の炭素原子(例えばC
3〜C
10)を有する飽和又は不飽和の非芳香族炭化水素単環又は多環系を指す。シクロアルキルの例には、これらに限られないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル及びアダマンチルが包含される。
【0150】
「ヘテロシクロアルキル」は、本明細書中で使用される場合、別段に定義されていない限り、1又は2以上のヘテロ原子(O、N、S又はSeなど)を有する飽和又は不飽和の非芳香族3員〜8員単環式、8員〜12員二環式又は11〜19員三環式環系を指す。ある実施形態では、語句「ヘテロシクロアルキル」は、非芳香族5-、6-、7-又は8-員環又はポリ環状基を言い、1個と3個の間の酸素、イオウ及び窒素から独立して選択されるヘテロ原子を有する6員縮合環であって、(i)各5-員環は、0〜2個の二重結合を有し、各6-員環は0〜2個の二重結合を有し、(ii)前記窒素及びイオウヘテロ原子は酸化されていてもよく、(iii)前記窒素ヘテロ原子は四級化されていてもよく、(iv)前記ヘテロシクロアルキルのどれも縮合してアリール又はヘテロアリール環を形成してもよいポリ環状環を含む、ビ−又はトリ−環状基が挙げられるが、これに限定されるものではない。ヘテロシクロアルキル基の例には、これらに限られないが、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、イソインドリニル、インドリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、トリアゾリジニル、テトラヒドロフラニル(tetrahyrofuranyl)、オキシラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロ-2H-ピラニル、3,6-ジヒドロ-2H-ピラニル、ピラニル、モルホリニルなどが包含される。
【0151】
「アリール」:本明細書中に使用される場合、「アリール」には、少なくとも1個の芳香環を有し、環構造中にヘテロ原子を何ら含有しない「コンジュゲートされている」か、又は多環の系を包含する芳香族性を有する基を指す。例には、フェニル、ベンジル、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレニルなどが包含される。
【0152】
「ヘテロアリール」:本明細書中に使用される場合、「ヘテロアリール」は、上記で定義したとおりであるが、但し、環構造中に1から4個のヘテロ原子を有するアリール基を指し、「アリール複素環」又は「ヘテロ芳香族」とも称され得る。本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」という用語は、炭素原子と、窒素、酸素及び硫黄から独立に選択される1個又は複数のヘテロ原子、例えば1個又は1〜2個又は1〜3個又は1〜4個又は1〜5個又は1〜6個のヘテロ原子、又は例えば1、2、3、4、5、又は6つのヘテロ原子とからなる安定な5員、6員若しくは7員の単環式又は7員、8員、9員、10員、11員若しくは12員の二環式芳香族複素環式環を包含することが意図されている。窒素原子は、置換又は非置換であってよい(即ち、N又はNRであり、ここで、RはH又は定義した他の置換基である)。窒素及び硫黄ヘテロ原子は場合によって、酸化されていてよい(即ち、N→O及びS(O)
p、ここで、pは、1又は2の整数である)。芳香族複素環中のS及びO原子の総数は、1以下であることに留意されたい。ヘテロアリールの例には、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラゾリル、ピリダジニル、キナゾリニル、ジヒドロキナゾリニル、及びテトラヒドロキナゾリニルなどが包含される。
【0153】
さらに、「アリール」及び「ヘテロアリール」という用語には、多環式アリール及びヘテロアリール基、例えば三環式、二環式、例えばナフタレン、ベンゾオキサゾール、ベンゾジオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチオフェン、メチレンジオキシフェニル、キノリン、イソキノリン、ナフチリジン、インドール、ベンゾフラン、プリン、ベンゾフラン、デアザプリン、インドリジンが包含される。
【0154】
多環式芳香環の場合、環のうちの1個だけは芳香族である必要があるが(例えば2,3-ジヒドロインドール)、環の全部が芳香族であってもよい(例えばキノリン)。第2の環はまた、縮合又は架橋していてよい。
【0155】
「炭素環」又は「炭素環式環」は、本明細書中で用いる場合、特定の炭素数の任意の安定な単環式、二環式又は三環式の環を意味することを示し、これらはいずれも飽和、不飽和又は芳香族であり得る。例えば、C
3-C
14炭素環は、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は14個の炭素原子を有する単環式、二環式又は三環式の環を意味することを意図する。炭素環の例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロブテニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘプテニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、アダマンチル、シクロオクチル、シクロオクテニル、シクロオクタジエニル、フルオレニル、フェニル、ナフチル、インダニル、アダマンチル及びテトラヒドロナフチルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。架橋環もまた、炭素環の定義に含まれる(たとえば、[3.3.0]ビシクロオクタン、[4.3.0]ビシクロノナン、[4.4.0]ビシクロデカン及び[2.2.2]ビシクロオクタンが挙げられる)。1つ以上の炭素原子が2つの非隣接炭素原子を連結するときに、架橋環が生じる。好ましい架橋は、1つ又は2つの炭素原子である。架橋は常に単環式環を三環式環に変換することが知られている。環が架橋する場合、環について列挙した置換基が架橋上に存在してもよい。縮合(たとえば、ナフチル及びテトラヒドロナフチル)環及びスピロ環も含まれる。
【0156】
「複素環化合物」又は「複素環部分」は、本明細書中に使用される場合、少なくとも1つの環ヘテロ原子(例えば、N、O又はS)を含んでなるいずれかの環状構造(飽和、不飽和、又は芳香族)を含む。複素環化合物としては、ヘテロシクロアルキル及びヘテロアリールが挙げられる。複素環化合物の例としては、これだけに限定されるものではないが、モルホリン、ピロリジン、テトラヒドロチオフェン、ピペリジン、ピペラジン、及びテトラヒドロフランが挙げられる。
【0157】
複素環基の例としては、これだけに限定されるものではないが、アクリジニル、アゾシニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾキサゾリニル、ベンズチアゾリル、ベンズトリアゾリル、ベンズテトラゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイミダゾリニル、カルバゾリル、4aH-カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H-1,5,2-ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3-b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H-インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H-インドリル、イサチノイル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、メチレンジオキシフェニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル-5(4H)-オン、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキシンドリル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリドニル、4-ピペリドニル、ピペロニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H-ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H-キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾリル、6H-1,2,5-チアジアジニル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、トリアジニル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,5-トリアゾリル、1,3,4-トリアゾリル及びキサンテニルが挙げられる。多環式複素環化合物としては、融合、架橋化又はスピロ環を挙げることができる。
【0158】
シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリール環(又は炭素環又は複素環部分)は、例えば、先に記載したような置換基、例えば、脂肪族;ヘテロ脂肪族;脂環式;ヘテロ脂環式;芳香族;ヘテロ芳香族;アリール;ヘテロアリール;アルキルアリール;アルキルヘテロアリール;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;-NO
2;-CN;-CF
3;-CH
2CF
3;-CHCl
2;-CH
2OH;-CH
2CH
2OH;-CH
2NH
2;-CH
2SO
2CH
3;又は-GR
G1(ここで、Gは、-O-、-S-、-NR
G2-、-C(=O)-、-S(=O)-、-SO
2-、-C(=O)O-、-C(=O)NR
G2-、-OC(=O)-、-NR
G2C(=O)-、-OC(=O)O-、-OC(=O)NR
G2-、-NR
G2C(=O)O-、-NR
G2C(=O)NR
G2-、-C(=S)-、-C(=S)S-、-SC(=S)-、-SC(=S)S-、-C(=NR
G2)-、-C(=NR
G2)O-、-C(=NR
G2)NR
G3-、-OC(=NR
G2)-、-NR
G2C(=NR
G3)-、-NR
G2SO
2-、-NR
G2SO
2NR
G3又は-SO
2NR
G2-(ここで、各R
G1、R
G2及びR
G3の各存在は独立して、水素、ハロゲン又は必要に応じて置換される脂肪族、ヘテロ脂肪族、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、又はアルキルヘテロアリール部分を含む(しかしこれらに限定されない)。アリール及びヘテロアリール基はまた、シクロアルキル又はヘテロ環と融合又は架橋され得、そしてそれは、「多環式」系(例えば、テトラリン、メチレンジオキシフェニル)を形成するために芳香族ではない。
【0159】
「アルコキシ」(又は「アルキルオキシ」):本明細書で使用される語句アルコキシ(又はアルキルオキシ)は、先に提示したアルキル基であって、親分子の部分に酸素原子を介して(「アルコキシ」)結合するものを言う。ある実施形態では、アルキル基は、約1〜20個の脂肪族炭素原子を含む。ある他の実施形態では、アルキル基は、約1〜10個の脂肪族炭素原子を含む。さらに他の実施形態では、アルキル基は1〜8個の脂肪族炭素原子を含む。さらに他の実施形態では、アルキル基は1〜6個の脂肪族炭素原子を含む。さらに他の実施形態では、アルキル基は1〜4個の脂肪族炭素原子を含む。アルコキシ基の例示として、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert-ブトキシ、ネオペントキシ及びn-ヘキソキシが挙げられるが、これらに限定されない。
【0160】
「アリールオキシ」:本明細書中に使用される場合、アリールオキシという用語は、本明細書中に定義されるとおり、酸素原子を通して親分子部分に結合させたアリール基を指す。アリールオキシ基の例としては、フェノキシ及びナフチルオキシが挙げられるが、これに限定されない。
【0161】
「ヘテロアリールオキシ」:本明細書中に使用される場合、ヘテロアリールオキシという用語は、本明細書中に定義されるとおり、酸素原子を通して親分子部分に結合されるヘテロアリール基を指す。ヘテロアリールオキシ基の例としては、キノリルオキシ、及びイソキノリジニルオキシが挙げられるが、これらに限定されない。
【0162】
「アミン」:語句アミンは、構造:-N(R)
2(ここで、各Rは、独立して水素、又は脂肪族又はヘテロ脂肪族部分であり、またR基はいっしょになってヘテロ環部分を形成してもよい)を有する基を言う。ある例示では、アミン基は、たとえば、-HN
+(R)
2又は-N
+(R)
3のように帯電(プロトン化)、又は四級化してもよい。
【0163】
「アルキルアミノ」:本明細書で使用される語句アルキルアミノは、-NHR’(ここで、R’は、本明細書で定義するアルキルである)の構造を持つ基を言う。語句「アミノアルキル」は、NH
2R’-(ここでR’は本明細書で定義するアルキルである)の構造を持つ基を言う。ある実施形態では、アルキル基は、約1〜20個の脂肪族炭素原子を含む。ある他の実施形態では、アルキル基は約1〜10個の脂肪族炭素原子を含む。さらに他の実施形態では、本発明で使用されるアルキル、アルケニル及びアルキニル基は、約1〜8個の脂肪族炭素原子を含む。他の実施形態では、アルキル基は約1〜6個の脂肪族炭素原子を含む。さらに他の実施形態では、アルキル基は約1〜4個の脂肪族炭素原子を含む。アルキルアミノの例として、メチルアミノ、エチルアミノ、イソプロピルアミノなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0164】
「アルキルチオ」(又は、「チオアルキル」)は、硫黄原子を介して結合している指定の数の炭素原子を有する、本明細書で定義したアルキル基を意味する。C
1-6アルキルチオは、C
1、C
2、C
3、C
4、C
5及びC
6アルキルチオ基を包含することが意図されている。C
1-8アルキルチオは、C
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6、C
7及びC
8アルキルチオ基を包含することが意図されている。チオアルキル基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、カルボキシ酸、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ及びアルキルアリールアミノを包含)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを包含)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール又はアリール若しくはヘテロアリール部分などの基で置換されていてよい。
【0165】
「チオカルボニル」又は「チオカルボキシ」には、硫黄原子に二重結合で連結している炭素を含有する化合物及び部分が包含される。
【0166】
「チオエーテル」には、2個の炭素原子又はヘテロ原子に結合している硫黄原子を含有する部分が包含される。チオエーテルの例には、これらに限られないが、アルクチオアルキル、アルクチオアルケニル及びアルクチオアルキニルが包含される。「アルクチオアルキル」という用語には、アルキル基に結合している硫黄原子に結合しているアルキル、アルケニル又はアルキニル基を有する部分が包含される。同様に、「アルクチオアルケニル」という用語は、アルキル、アルケニル又はアルキニル基が、アルケニル基に共有結合している硫黄原子に結合している部分を指し;アルクチオアルキニル」は、アルキル、アルケニル又はアルキニル基が、アルキニル基に共有結合している硫黄原子に結合している部分を指す。
【0167】
「アリールチオ」(又は「チオアリール」)は、は、硫黄原子を介して結合している指定の数の炭素原子を有する、本明細書で定義したアリール基を意味する。
【0168】
「カルボン酸」は、本明細書中で使用される場合、1個の式-CO
2Hの基を含む化合物を指す。
【0169】
「ジカルボン酸」は、2個の式-CO
2Hの基を含む化合物を指す。
【0170】
「ハロ、ハライド及びハロゲン」:本明細書中で使用する「ハロ、ハライド及びハロゲン」との用語は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素から選択される原子を意味する。
【0171】
「メチロール」:本明細書中で使用する「メチロール」との用語は、構造-CH
2OHのアルコール基を意味する。
【0172】
「ヒドロキシアルキル」:本明細書中で使用する「ヒドロキシアルキル」との用語は、少なくとも1個のOH基を有する、先に定義したアルキル基を意味する。
【0173】
「メルカプトアルキル」:本明細書中で使用する「メルカプトアルキル」との用語は、少なくとも1個のSH基を有する、先に定義したアルキル基を意味する。
【0174】
「アシル」には、アシルラジカル(-C(O)-)又はカルボニル基を含有する部分が包含される。「置換アシル」には、1個又は複数の水素原子が、例えばアルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ及びアルキルアリールアミノを包含)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを包含)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール又はアリール若しくはヘテロアリール部分によって置き換えられているアシル基が包含される。
【0175】
「炭化水素」:本明細書中で使用する「炭化水素」との用語は、水素及び炭素を含有する任意の化学基を意味する。この炭化水素は、置換又は非置換であり得る。この炭化水素は、不飽和、飽和、分枝、非分枝、環式、多環式又は複素環であり得る。具体的な炭化水素には、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、シクロプロピル、アリル、ビニル、n-ブチル、tert-ブチル、エチニル、シクロヘキシル、メトキシ、ジエチルアミノ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、チオアルキルなどが挙げられる。当業者が知っているように、全ての原子価は、任意の置換基を構成する際に、満たされなければならない。
【0176】
「アルキルアリール」は、本明細書中で使用される場合、1又は2以上のアルキル基で置換されたアリール基を指す(例えば、メチルフェニル)。
【0177】
「アルキルアリールアミノ」は、本明細書中で使用される場合、-NR
G4R
G5(式中、R
G4は本明細書中に定義したアルキルであり、R
G5は本明細書中に定義したアリールである、又はR
G4及びR
G5の少なくとも1つが本明細書中に定義したアルキルアリールである)を指す。
【0178】
「置換した」:本明細書中で使用する「置換した」(その前に「必要に応じて」との用語があろうとなかろうと)及び「置換基」との用語は、所定構造内の水素ラジカルを特定の置換基のラジカルで置き換えることを意味する。任意の所定構造内の1つより多い位置を特定の基から選択された1個より多い置換基で置換し得るとき、その置換基は、各位置にて、同一又は異なり得る。本明細書中で使用する「置換した」との用語は、有機化合物の全ての許容できる置換基を含むと考えられる。広義には、これらの許容できる置換基には、有機化合物の非環式及び環式、分枝及び非分枝、炭素環式及び複素環式、芳香族及び非芳香族の置換基が挙げられる。ヘテロ原子(例えば、窒素原子)は、本明細書中で記述した有機化合物の水素置換基及び/又は任意の許容できる置換基(それらのヘテロ原子の原子価を満たす)を有し得る。置換基の例としては、脂肪族;ヘテロ脂肪族;脂環式;ヘテロ脂環式;芳香族;ヘテロ芳香族;アリール;ヘテロアリール;アルキルアリール;アルキルヘテロアリール;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;-NO
2;-CN;-CF
3;-CH
2CF
3;-CHCl
2;-CH
2OH;-CH
2CH
2OH;-CH
2NH
2;-CH
2SO
2CH
3;又は-GR
G1(ここで、Gは、-O-、-S-、-NR
G2-、-C(=O)-、-S(=O)-、-SO
2-、-C(=O)O-、-C(=O)NR
G2-、-OC(=O)-、-NR
G2C(=O)-、-OC(=O)O-、-OC(=O)NR
G2-、-NR
G2C(=O)O-、-NR
G2C(=O)NR
G2-、-C(=S)-、-C(=S)S-、-SC(=S)-、-SC(=S)S-、-C(=NR
G2)-、-C(=NR
G2)O-、-C(=NR
G2)NR
G3-、-OC(=NR
G2)-、-NR
G2C(=NR
G3)-、-NR
G2SO
2-、-NR
G2SO
2NR
G3又は-SO
2NR
G2-(ここで、各R
G1、R
G2及びR
G3の各存在は独立して、水素、ハロゲン又は必要に応じて置換される脂肪族、ヘテロ脂肪族、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、又はアルキルヘテロアリール部分を含むが、しかしこれらに限定されない。一般的に適用できる置換基の更なる例は、本明細書中に記載した実施例に示した具体的な実施形態によって例示されている。
【0179】
以下に本願で使用されるより一般的な語句を挙げる:
【0180】
「動物」:本明細書で使用される語句動物は、たとえば、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、虫類及び単細胞など、どのような発展段階のものも含む、ヒト及び非ヒト動物を言う。細胞培養及び生体内組織サンプルは、複数の動物であると考えられる。非ヒト動物は、哺乳類(たとえば、げっ歯類、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、霊長類、又はブタ)であることが好ましい。動物は、遺伝子組換え動物であってもヒトクローンであってもよい。語句「対象」は動物を包含する。
【0181】
「有効量」:一般的に活性な剤又は薬物送達装置に関して言う場合、語句「有効量」は、所望の生物学的反応を発現させるのに必要な量を言う。当業者には認められているように、剤又は装置の有効量は、所望の生物学的終点、送達すべき剤、封入しているマトリックスの組成、標的体内組織などの因子に依って様々である。たとえば、各個を免疫化するために、送達すべき抗原を含む微粒子の有効量は、投与された抗原を持つ生物体の感染を阻止するのに充分な免疫応答を得る結果となる量である。
【0182】
「天然アミノ酸」は、本明細書で使用される場合、一般的などのようなもの、天然起源のタンパク質、すなわちグリシン(Gly)、アラニン(Ala)、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、リジン(Lys)、アルギニン(Arg)、ヒスチジン(His)、プロリン(Pro)、セリン(Ser)、スレオニン(Thr)、フェニルアラニン(Phe)、チロシン(Tyr)、トリプトファン(Trp)、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、アスパラギン(Asn)、グルタミン(Gln)、システイン(Cys)及びメチオニン(Met)で見出される天然起源のL-アミノ酸を言う。
【0183】
「非天然アミノ酸」は、本明細書中で使用される場合、天然アミノ酸ではないあらゆるアミノ酸を指す。これには、例えばα−、β−、ω−、D−、L−アミノアシル残基を含んでなるアミノ酸が含まれる。より一般に、非天然アミノ酸は、一般式:
【化41】
[この文献は図面を表示できません]
の残基を含んでなり、その側鎖Rは天然に存在するアミノ酸側鎖以外の鎖である。代表的な非天然アミノ酸としては、サルコシン(N-メチルグリシン)、シトルリン(cit)、ホモシトルリン、β-ウレイドアラニン、チオシトルリン、ヒドロキシプロリン、アロスレオニン、ピペコリン酸(ホモプロリン)、α-アミノイソ酪酸、tert-ブチルグリシン、tert-ブチルアラニン、アロ-イソロイシン、ノルロイシン、α-メチルロイシン、シクロヘキシルグリシン、β-シクロヘキシルアラニン、β-シクロペンチルアラニン、α-メチルプロリン、フェニルグリシン、α-メチルフェニルアラニン、及びホモフェニルアラニンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0184】
「アミノアシル」:さらに一般的に、本明細書で使用される語句アミノアシルは、天然アミノ酸及び非天然アミノ酸を包含する。
【0185】
「ポリアミド」:天然アミノ酸及び非天然アミノ酸のホモ又はヘテロ高分子を指す。例示的なホモ高分子としては、ポリリシン、ポリアルギニン、ポリ-γ-グルタル酸などが挙げられるが、これらに限定されない。例示的なヘテロ高分子としては、ペプチダーゼ、リゾチーム、メタロプロテイナーゼなどから選択されるペプチド断片を含んでなるが、これらに限定されない。
【0186】
「PHF」は、ポリ(1-ヒドロキシメチルエチレンヒドロキシメチルホルムアルデヒド)を指す。
【0187】
本明細書で使用される場合、「高分子単位」、「モノマー単位」、「モノマー」、「モノマー単位」、「単位」という用語は全て、高分子中の繰り返し構造単位を指す。
【0188】
本発明は、本化合物において生じる原子の全ての同位体を包含することが意図されている。同位体には、同じ原子番号を有するが、異なる質量数を有する原子が包含される。一般的な例であって限定ではないが、水素の同位体には、トリチウム及びジュウテリウムが包含される。炭素の同位体には、C-13及びC-14が包含される。
【0189】
本発明は、化合物のあらゆる異性体を含むことを意図する。この異性体とは、光学異性体及び互変異性異性体を指し、そして、それを含むが、ここで、光学異性体としては、鏡像異性体とジアステレオマー、キラル異性体、及び非キラル異性体をが挙げられ、且つその光学異性体には、単離された光学異性体、並びにラセミ及び非ラセミ混合物を含めた光学異性体の混合物が含まれる;ここで、異性体は、単離された形態か、又は1又は2以上の他の異性体との混合物の状態で存在し得る。
高分子担体
【0190】
ある例示的な実施形態では、本発明のコンジュゲートは、生物医学的適用、たとえば、薬物送達及び体内組織エンジニアリングにおける用途を見出し、担体は生体適合性であり生分解性である。ある実施形態では、担体は、可溶性高分子、ナノ粒子、ゲル、リポソーム、ミセル、縫合糸、移植片などである。ある実施形態では、語句「可溶性高分子」は、ポリアルポリアル(たとえば、親水性ポリアセタール又はポリケタール)のような生分解性、生体適合性高分子を包含する。ある他の実施形態では、担体は完全な合成、半合成又は天然起源の高分子である。ある他の実施形態では、担体は親水性である。
【0191】
ある例示的な実施形態では、本発明で使用される担体は、主鎖内に位置する各モノマー単位中に加水分解性結合を少なくとも1つ含む生分解性、生体適合性ポリアルである。これは、分解過程(モノマー単位の加水分解/開裂を介して)が、高分子コンジュゲートのモノマー成分への断片化(すなわち分解)に帰結し、本発明の高分子コンジュゲートに生分解性特性を与えることを保障する。生分解性、生体適合性高分子コンジュゲートの特性(たとえば、溶解性、バイオ接着性及び親水性)は、引き続き、付加的な親水性又は疎水性基の置換によって変性することができる。本発明を実施するために適切な生分解性生体適合性高分子の例示としては、特に、米国特許第5,811,510号;同第5,863,990号;同第5,958,398号;同第7,838,619号及び同第7,790,150号;並びに米国特許出願公開第2006/0058512号に見出すことができる。上記で挙げられた文献の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。このタイプの高分子優位性、製造及び用途に関する指針は、前記文献に見出される。ある実施形態では、本発明は、前記特許文献、及び米国特許第5,582,172号及び同第6,822,086号との併用が特に有用であることが見込まれる。前に挙げられた特許文献はそれぞれその全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0192】
本願発明のコンジュゲートは、親水性であり、加水分解性であり、且つ、1又は2以上の生分解性結合を含んでなる連結を介してその高分子担体と共有結合している薬物分子、(例えば、ビンカアルカロイド若しくは誘導体、非天然カンプトテシン化合物若しくは誘導体、アウリスタチン、チューブリシン、デュオカルマイシン、PI3キナーゼ、MEK阻害剤、KSP阻害剤、或いはその類似体)及び抗体(例えば、トラスツズマブ、セツキシマブ、リツキシマブ、ベバシズマブ、エプラツズマブ、ベルツズマブ、ラベツズマブ)又はペプチド(LHRH受容体ターゲッティングペプチド、EC-1ペプチド)を含んでなる。したがって、ある例示的な実施形態では、本発明の実施に適切な担体は、主鎖内に位置する各モノマー単位に少なくとも1つのアセタール/ケタール酸素原子を有するポリアルである。先に検討したように、これは、分解過程(高分子アセタール/ケタール基の加水分解/開裂を介して)は、ポリアルコンジュゲートの断片化による低分子量成分化(すなわち分解)に帰結することを保障する。
【0193】
ある実施形態では、本発明の高分子コンジュゲートの製造に使用される、生分解性、生体適合性高分子担体は、天然起源の多糖類、グリコ多糖類、ポリグリコシド、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエーテル及びポリエステルの合成高分子、これらの酸化、脚色、修飾、架橋及びコンジュゲート形成製品である。
【0194】
ある他の実施形態では、担体は、炭水化物、グリコ多糖類、糖脂質、糖コンジュゲート、ポリアセタール類、ポリケタール類及びこれらの誘導体からなる群より選択される親水性、生分解性高分子である。
【0195】
ある例示的な実施形態では、担体は、セルロース、アミロース、デキストラン、レバン、フコイダン、カラギナン、イヌリン、ペクチン、アミロペクチン、グリコーゲン及びリセナン(lixenan)からなる群より選択される、天然起源の直鎖及び/又は分岐状の生分解性、生体適合性ホモ多糖類である。
【0196】
ある他の例示的な実施形態では、担体は、アガロース、ハイルロナン(hyluronan)、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、アルギニンサン及びヘパリンからなる群より選択される、天然起源の直鎖及び分岐状の生分解性、生体適合性ヘテロ多糖類である。
【0197】
さらに他の例示的な実施形態では、高分子担体は、ポリアセタール/ポリケタルのコポリマー、及びポリアクリレート、ポリビニル高分子、ポリエステル類、ポリオルソエステル類、ポリアミド類、ポリペプチド及びこれらの誘導体からなる群より選択される、親水性高分子である。
【0198】
さらに別の実施形態において、高分子担体は、様々な天然物、例えばコムギ、コメ、トウモロコシやタピオカなどから得られたデンプンの加水分解で生じるデキストリンである。デンプン出発物質の構造によって、各デキストリンは、α-1,4連結及びα-1,6連結の独特な分解を含んでいる。α-1,6連結の生分解性の割合が典型的にα-1,4連結より低いので、好ましくはα-1,6連結のパーセンテージは、10%未満より低く、より好ましくは5%未満である。一実施形態において、デキストリンの分子量は、約1kDa〜約200kDa、より好ましくは約2kDa〜約55kDaの範囲内にある。
【0199】
ある実施形態では、担体は、1,2-、1,4-、1,6-及び2,6-ピラノシド又は1,2-、1,5-、1,6-フラノシドの環状ビシナルジオールの選択的酸化によって、又は1以上の薬物分子又はPBRMとの結合の前に、多糖類を含むラテラル6-ヒドロキシ及び5,6-ジオールの酸化によって、活性化された多糖類を含む。
【0200】
さらに他の例示的な実施形態では、高分子担体は、生分解性、生体適合性ポリアセタールであって、ポリアセタール繰返し構造単位の少なくとも一部が下記の化学的構造を有するポリアセタールを含む:
【化42】
[この文献は図面を表示できません]
(ここで、nのついたかっこで囲まれた各構造に関して、R
1及びR
2の1つは水素で、もう一方は生体適合性基であり、該基はC
1に共有結合する炭素原子を含み;R
xは、C
2に共有結合する炭素原子を含み;nは整数であり;各R
3、R
4、R
5及びR
6は、生体適合性基であり、該基は、独立して、水素又は有機部分であり;各かっこで囲まれた構造nに関し、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6の少なくとも1つはエステル結合によってスクシンアミドとカップリングするのに適切な官能基を有する。)ある実施形態では、官能基は、ヒドロキシルである。
【0201】
一実施形態では、高分子担体は、次の化学構造:
(-O-CH
2-CHR
7-O-CHR
8-)
o
(式中、
R
7及びR
8は独立に、水素、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル(例えば-CH
2OH)、-CH(OH)-CH
2OH)、-CHO、-CH(OH)-CHO、又は−カルボニルであり;
oは、20〜2000の整数である)
によって表されるポリアセタール部分0.1%から100%を含む活性化された親水性の生分解性で生体適合性の高分子を含む。
【0202】
さらに他の実施形態では、高分子担体は、生分解性、生体適合性ポリケタールであって、ポリケタール繰返し構造単位の少なくとも一部が下記の化学的構造を有するポリケタールを含む:
【化43】
[この文献は図面を表示できません]
(ここで、R1及びR2の各存在は、生体適合性基であり、且つRx、R3、R4、R5、及びR6は、本明細書中に定義したとおりのものである)。
【0203】
ある実施形態において、ケタールユニットは、式(IIa)又は(IIb):
【化44】
[この文献は図面を表示できません]
のモノマーである。
【0204】
生分解性、生体適合性ポリケタル高分子とそれらの作製方法は、米国特許第5,811,510号、同第7,790,150号及び同第7,838,619号に記載されており、前記文献の全体を参照により本明細書中に援用する。
【0205】
一実施形態では、高分子担体は、還元後に部分的に酸化されたデキストラン(β1→6)-D-グルコース)から得ることができる。この実施形態では、高分子は、下式の構造の未修飾のデキストラン(A)、部分的に酸化されたデキストランアセタール単位(B)及び網羅的にデキストランアセタール単位(C)のランダムな混合物を含む:
【化45】
[この文献は図面を表示できません]
【0206】
他の実施形態では、高分子担体は、未修飾のアセタール単位、即ち、ポリアセタールセグメントを含む。一部の実施形態では、ポリアセタールは、還元後に網羅的に酸化されたデキストランに由来してよい。これらの高分子は、米国特許第5,811,510号に記載されており、これは、2欄の65行から8欄の55行のポリアセタールについてのその記載及び10欄の45行から11欄の14行でのその合成に関して、参照によって本明細書に組み込まれる。一実施形態では、未修飾のポリアセタールポリマーは、ポリ(ヒドロキシメチルエチレンヒドロキシメチルホルマール)ポリマー(PHF)である。
【0207】
ポリ(ヒドロキシメチルエチレンヒドロキシメチルホルマール)ポリマーに加えて、高分子担体の主鎖はまた、ポリ(ヒドロキシメチルエチレンヒドロキシメチルホルマール)ブロックと、他のアセタール又は非アセタールモノマー若しくは高分子とのコポリマーを含んでもよい。例えばポリエチレングリコールポリマーは、高分子主鎖中のステルス剤として有用である。それというのも、これらは、付加官能基の高分子側鎖間の相互作用を減少させ得るためである。そのような基はまた、血清因子と修飾高分子との間などの相互作用を制限するのに有用であり得る。高分子主鎖に包含させるための他のステルス剤モノマーには、例えばエチレンイミン、メタクリル酸、アクリルアミド、グルタミン酸及びそれらの組合せが包含される。
【0208】
アセタール又はケタール単位は、生体適合性を促進するのに有効な量で、修飾高分子中に存在する。未修飾のアセタール又はケタール単位は、生体適合性及び溶解性を修飾高分子に与える「ステルス剤」として記載され得る。加えて、ポリアセタール又はポリケタールポリマーへのコンジュゲーションは、それに結合している部分の代謝及び分解に対する感受性を変更し、かつ生体内分布、クリアランス及び分解に影響を及ぼし得る。
【0209】
未修飾のアセタール単位は、式(II)のモノマーである:
【化46】
[この文献は図面を表示できません]
【0210】
未修飾のポリアセタール単位のモル分率nは、修飾高分子中の高分子単位の総数に対して、生体適合性、溶解性を促進し、半減期を長くするために利用可能なモル分率である。モル分率nは、生体適合性、溶解性、安定性又は特定の半減期を得るのに必要な未修飾のモノマーアセタール単位の最小限の分率であってよいか、又は多少より大きな分率であってよい。細胞毒性の最も望ましい程度は、実質的にゼロである、即ち、修飾高分子は、対象に対して実質的に不活性である。しかしながら、当業者であれば理解するとおり、治療されている疾患又は症状の重症度、治療の効力、免疫応答の種類及び程度ならびに同様の検討に応じて、多少の程度の細胞毒性は許容され得る。
【0211】
一実施形態において、修飾高分子主鎖は、式(IV)の単位を含んでなる:
【化47】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、X'は、高分子主鎖のヒドロキシル基の置換基を示す)。本明細書に記載されている式(IV)及び他の式に示されているとおり、ポリアセタール単位はそれぞれ、その単位のグリセロール部分に結合している単一のヒドロキシル基及びその単位のグリコールアルデヒド部分に結合しているX'群(又は、-L
D-Dなどの別の置換基)を有する。これは単に簡便さのためであって、本明細書に記載されている式(IV)及び他の式の単位を有する高分子は、その単位のグリコールアルデヒド部分に結合しているX'群(又は、-L
D-Dなどの別の置換基)を有する単位及びその単位のグリセロール部分に結合している単一のX'群(又は、-L
D-Dなどの別の置換基)を有する単位、さらに一方はその単位のグリコールアルデヒド部分に結合していて、他方はその単位のグリセロール部分に結合している2個のX'群(又は、-L
D-Dなどの別の置換基)を有する単位のランダムな分布を含有してよいと解釈すべきである。
【0212】
一実施形態において、本発明を実施するのに適した生分解性の生物適合性ポリアルは、約0.5〜約300kDaの分子量を有する。本発明の好ましい実施形態において、生分解性、生体適合性ポリアルは、約1〜約300kDa(例えば、約1〜約200kDa、約2〜約300kDa、約2〜約200kDa、約5〜約100kDa、約10〜約70kDa、約20〜約50kDa、約20〜約300kDa、約40〜約150kDa、約50〜約100kDa、約2〜約40kDa、約6〜約20kDa、又は約8〜約15kDa)の分子量を有する。
【0213】
一実施形態において、本発明を実施するのに適した生分解性の生体適合性ポリアルは、薬物又はPBRMと結合する前に修飾される。例えば、前記ポリアルは、リンカーL
D又はL
Pのサブユニット、例えば-C(=O)-X-(CH
2)
v-C(=O)-(式中、XはCH
2、O、又はNHであり、そして、vは1〜6の整数である)を含んでいてもよい。以下の表Aは、薬物、PBRM又はその誘導体を結合するのに適した修飾ポリアルのいくつかの例を提供する。別段の定めがない限り、以下の表AからEの参照番号は、本明細書中に記載した実施例番号に相当する。;「ND」という用語は不検出を意味し;そしてXはCH
2、O、又はNHを意味する。
表A
【0214】
【表1-1】
[この文献は図面を表示できません]
【表1-2】
[この文献は図面を表示できません]
【表1-3】
[この文献は図面を表示できません]
【表1-4】
[この文献は図面を表示できません]
【表1-5】
[この文献は図面を表示できません]
【表1-6】
[この文献は図面を表示できません]
【0215】
治療薬
ある実施形態において、治療薬は、好ましくは≦約5kDa、より好ましくは≦約4kDa、より好ましくは≦約3kDa、最も好ましくは≦約1.5kDa又は≦約1kDaの分子量を有する小分子である。
【0216】
ある実施形態において、約0.1〜約25%のモノマーは、治療薬を、より好ましくは約0.5〜約20%、より好ましくは約1〜約15%、そして、よりいっそう好ましくは約2〜約10%含んでなる。
【0217】
本願発明で使用される小分子治療薬(例えば、高分子担体に連結することが可能である抗増殖(細胞傷害性及び細胞増殖抑制性)作用物質)としては、細胞毒性化合物(例えば、広域)、血管新生阻害剤、細胞周期進行阻害剤、PI3K/m-TOR/AKT経路阻害剤、MAPKシグナル経路阻害剤、キナーゼ阻害剤、タンパク質シャペロン阻害剤、HDAC阻害剤、PARP阻害剤、Wnt/ヘッジホッグシグナル伝達経路阻害剤、及びRNAポリメラーゼ阻害剤が挙げられる。
【0218】
広域細胞毒としては、DNA結合又はアルキル化剤、微小管安定化又は不安定化剤、白金化合物、及びトポイソメラーゼI阻害剤が挙げられるが、これらに制限されない。
【0219】
代表的なDNA結合又はアルキル化薬としては、CC-1065とその類似体、アントラサイクリン(ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン)とその類似体、アルキル化、例えば、カリケアマイシン、ダクチノマイシン、ミトロマイシン、ピロロベンゾジアゼピンなどが挙げられる。
【0220】
代表的なCC-1065類似体としては、デュオカルマイシンSA、デュオカルマイシンC1、デュオカルマイシンC2、デュオカルマイシンB2、DU-86、KW-2189、ビゼレシン、セコ-アドゼレシン、及び米国特許第5,475,092号;同第5,595,499号;同第5,846,545号;同第6,534,660号;同第6,586,618号;同第6,756,397号;及び同第7,049,316号に記載されているものが挙げられる。ドキソルビシンとしては、米国特許第6,630,579号に記載されているものとその類似体が挙げられる。カリケアマイシンとしては、米国特許第5,714,586号に記載されているものが挙げられる。デュオカルマイシンとしては、米国特許第5,070,092号;同第5,101,038号;同第5,187,186号;同第6,548,530号;同第6,660,742号;同第7,553,816B2;及びLi et al., Tet Letts., 50:2932-2935 (2009) に記載されているものが挙げられる。ピロロベンゾジアゼピンとしては、Denny, Exp. Opin. Ther. Patents., 10(4):459-474 (2000)に記載されているものが挙げられる。
【0221】
代表的な微小管安定化及び不安定化薬としては、パクリタキセル、ドセタクセルなどのタキサン化合物;マイタンシノイド、アウリスタチン及びその類似体;ツブリシン(tubulysin)A、B誘導体、ビンカアルカロイド誘導体、エポチロン、及びクリプトフィシンが挙げられる。
【0222】
代表的なマイタンシノイド又はマイタンシノイド類似体としては、マイタンシノール及びマイタンシノール類似体、マイタンシンDM-1及びDM-4、並びに米国特許第5,208,020号;同第5,416,064号;同第6,333.410号;同第6,441,163号;同第6,716,821号;同第RE39,151号;及び同第7,276,497号に記載されているものが挙げられる。ある実施形態において、細胞毒性薬はマイタンシノイド、抗チューブリン作用物質の別の群(ImmunoGen, Inc.;Chari et al., 1992, Cancer Res. 52:127-131も参照のこと)、マイタンシノイド又はマイタンシノイド類似体である。適したマイタンシノイドの例としては、マイタンシノール及びマイタンシノール類似体が挙げられる。適したマイタンシノイドは、米国特許第4,424,219号;同第4,256,746号;同第4,294,757号;同第4,307,016号;同第4,313,946号;同第4,315,929号;同第4,331,598号;同第4,361,650号;同第4,362,663号;同第4,364,866号;同第4,450,254号;同第4,322,348号;同第4,371,533号;同第6,333,410号;同第5,475,092号;同第5,585,499号;及び同第5,846,545号に開示される。
【0223】
代表的なアウリスタチンとしては、アウリスタチンE(ドラスタチン-10の誘導体としても知られている)、アウリスタチンEB(AEB)、アウリスタチンEFP(AEFP)、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)、アウリスタチンF及びドラスタチンが挙げられる。適したアウリスタチンはまた、米国特許公開第2003/0083263号;同第、2011/0020343号;同第、及び2011/0070248号;PCT出願公開WO09/117531、WO2005/081711、WO04/010957;WO02/088172及びWO01/24763、並びに米国特許第7,498,298号;同第6,884,869号;同第6,323,315号;同第6,239,104号;同第6,124,431号;同第6,034,065号;同第5,780,588号;同第5,767,237号;同第5,665,860号;同第5,663,149号;同第5,635,483号;同第5,599,902号;同第5,554,725号;同第5,530,097号;同第5,521,284号;同第5,504,191号;同第5,410,024号;同第5,138,036号;同第5,076,973号;同第4,986,988号;同第4,978,744号;同第4,879,278号;同第4,816,444号;同第4,486,414号にも記載されている、それらの開示の全体を参照により本明細書中に援用する。
【0224】
代表的なツブリシン化合物としては、米国特許第7,816,377号;同第7,776,814号;同第7,754,885号;米国特許公開第2011/0021568号;同第2010/004784号;同第2010/0048490号;同第2010/00240701号;同第2008/0176958号;同第PCT出願WO98/13375;WO2004/005269;WO2008/138561;WO2009/002993;WO2009/055562;WO2009/012958;WO2009/026177;WO2009/134279;WO2010/033733;WO2010/034724;WO2011/017249;WO2011/057805に記載の化合物が挙げられる、それらの開示の全体を参照により本明細書中に援用する。
【0225】
代表的なビンカアルカロイドとしては、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、及びナベルビン(ビノレルビン)が挙げられる。本発明に使用できる適したビンカアルカロイドはまた、米国特許公開第2002/0103136号及び同第2010/0305149号、並びに米国特許第7,303,749B1号で開示されている、それらの開示の全体を参照により本明細書中に援用する。
【0226】
代表的なエポチロン化合物としては、エポチロンA、B、C、D、E、F、及びその誘導体が挙げられる。例えば、適したエポチロン化合物及びその誘導体は、米国特許第6,956,036号;同第6,989,450号;同第6,121,029号;同第6,117,659号;同第6,096,757号;同第6,043,372号;同第5,969,145号;同第5,886,026号;WO97/19086;WO98/08849;WO98/22461;WO98/25929;WO98/38192;WO99/01124;WO99/02514;WO99/03848;WO99/07692;WO99/27890;及びWO99/28324に記載されている、それらの開示の全体を参照により本明細書中に援用する。
【0227】
代表的なクリプトフィシン化合物は、米国特許第6,680,311号及び同第6,680,311号に記載されている。
【0228】
代表的な白金化合物としては、シスプラチン(PLATINOL(登録商標))、カルボプラチン(PARAPLATIN(登録商標))、オキサリプラチン(ELOXATINE(登録商標))、イプロプラチン、オルマプラチン、及びテトラプラチンが挙げられる。
【0229】
代表的なトポイソメラーゼI阻害剤としては、カンプトテシン、カンプトテシン誘導体、カンプトテシン類似体、及び非天然型カンプトテシン、例えば、CPT-11(イリノテカン)、SN-38、トポテカン、9-アミノカンプトテシン、ルビテカン、ギマテカン、カレニテシン、シラテカン、ルルトテカン、エキサテカン、ジフロモテカン、ベロテカン、ルルトテカン、及びS39625が挙げられる。本発明に使用できる他のカンプトテシン化合物としては、例えば、J. Med. Chem., 29:2358-2363 (1986); J. Med. Chem., 23:554 (1980); J. Med. Chem., 30:1774 (1987).に記載されているものが挙げられる。
【0230】
血管新生阻害剤としては、MetAP2阻害剤が挙げられるが、これだけに限定されるない。代表的なMetAP-2阻害剤としては、フマギルアミンを含めたフマギリンコア構造を含むあらゆる化合物を意味するフマギロール類似体が挙げられ、そしてそれは、Rodeschini et al., J. Org. Chem., 69, 357-373, 2004 and Liu, et al., Science 282, 1324-1327, 1998に記載のとおり、タンパク質からNH
2末端メチオニンを除去するMetAP2の能力を阻害する。「フマギロール類似体」の限定されることの無い例は、J. Org. Chem., 69, 357, 2004; J.Org. Chem., 70, 6870, 2005; European Patent Application 0 354 787; J. Med. Chem., 49, 5645, 2006; Bioorg. Med. Chem., 11, 5051, 2003; Bioorg. Med. Chem., 14, 91, 2004; Tet. Lett. 40, 4797, 1999;WO99/61432;米国特許第6,603,812号;同第5,789,405号;同第5,767,293号;同第6,566,541号;同第6,207,704号に開示されている。
【0231】
代表的な細胞周期進行阻害剤としては、CDK阻害剤、例えば、BMS-387032やPD0332991など;Rhoキナーゼ阻害剤、例えばGSK429286など;チェックポイントキナーゼ阻害剤、例えばAZD7762など;オーロラキナーゼ阻害剤、例えばAZD1152、MLN8054及びMLN8237など;PLK阻害剤、例えばBI2536、BI6727(Volasertib)、GSK461364、ON-01910(Estybon)など;KSP阻害剤、例えばSB743921、SB715992(ispinesib)、MK-0731、AZD8477、AZ3146及びARRY-520などが挙げられる。
【0232】
代表的なPI3K/m-TOR/AKTシグナル伝達経路阻害剤としては、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害剤、GSK-3阻害剤、ATM阻害剤、DNA-PK阻害剤、及びPDK-1阻害剤が挙げられる。
【0233】
代表的なPI3キナーゼは、米国特許第6,608,053号で開示されており、そして、BEZ235、BGT226、BKM120、CAL101、CAL263、デメトキシビリジン、GDC-0941、GSK615、IC87114、LY294002、Palomid529、ペリホシン、PF-04691502、PX-866、SAR245408、SAR245409、SF1126、Wortmannin、XL147、及びXL765が挙げられる。
【0234】
代表的なAKT阻害剤としては、AT7867が挙げられるが、これだけに限定されない。
【0235】
代表的なMAPKシグナル経路阻害剤としては、MEK、Ras、JNK、B-Raf、及びp38 MAPK阻害剤が挙げられる。
【0236】
代表的なMEK阻害剤は、米国特許第7,517,994号で開示されており、そして、GDC-0973、GSK1120212、MSC1936369B、AS703026、RO5126766、RO4987655、PD0325901、AZD6244、AZD8330、及びGDC-0973が挙げられる。
【0237】
代表的なB-raf阻害剤としては、CDC-0879、PLX-4032、及びSB590885が挙げられる。
【0238】
代表的なB p38 MAPK阻害剤としては、BIRB796、LY2228820、及びSB202190が挙げられる。
【0239】
受容体チロシンキナーゼ(RTK)は、癌細胞の無制限増殖及び血管新生を刺激するシグナル伝達経路に関連している細胞表面受容体であることが多い。(受容体を過剰発現するか、又は受容体の活性化を導く変異を含んでなる)多くのRTKが同定されてきたが、VEGFR、EGFR、FGFR、PDGFR、EphR、及びRET受容体ファミリー受容体が挙げられるが、これらだけに限定されない。代表的なRTK特異的標的としては、ErbB2、FLT-3、c-Kit、c-Met、HIFが挙げられる。
【0240】
代表的なErbB2受容体(EGFRファミリー)の阻害剤としては、AEE788(NVP-AEE788)、BIBW2992、(Afatinib)、Lapatinib、Erlotinib(Tarceva)、及びゲフィチニブ(イレッサ)が挙げられるが、これらだけに限定されない。
【0241】
2以上のシグナル伝達経路を標的とする代表的なRTK阻害剤(多標的キナーゼ阻害剤)としては、FGFR、FLT-3、VEGFR-PDGFR、及びBcr-Abl受容体を標的とするAP24534(ポナチニブ);FLT-3及びVEGFR-PDGFR受容体を標的とするABT-869(リニファニブ);VEGFR-PDGFR、Flt-1及びVEGF受容体を標的とするAZD2171;VEGFR-PDGFR、FGFR、Flt-3、及びc-Kit受容体を標的とするCHR-258(ドビチニブ)が挙げられる。
【0242】
代表的なタンパク質シャペロン阻害剤としては、HSP90阻害剤が挙げられる。代表的なHSP90阻害剤としては、17AAG誘導体、BIIB021、BIIB028、SNX-5422、NVP-AUY-922、及びKW-2478が挙げられる。
【0243】
代表的なHDAC阻害剤としては、MS-275のBelinostat(PXD101)、CUDC-101、ドロキシノスタット、ITF2357(ギビノスタット、ガビノスタット)、JNJ-26481585、LAQ824(NVP-LAQ824、ダシノスタット)、LBH-589(パノビノスタット)、MC1568、MGCD0103(モセチノスタット)、(エンチノスタット)、PCI-24781、ピロキシアミド(NSC696085)、SB939、トリコスタチンA、及びボリノスタット(SAHA)が挙げられる。
【0244】
代表的なPARP阻害剤としては、イニパリブ(BSI201)、オラパリブ(AZD-2281)、ABT-888(ベリパリブ)、AG014699、CEP9722、MK4827、KU-0059436(AZD2281)、LT-673、3-アミノベンズアミド、A-966492、及びAZD2461が挙げられる。
【0245】
代表的なWnt/ヘッジホッグシグナル伝達経路阻害剤としては、ビスモデギブ(RG3616/GDC-0449)、シクロパミン(11-デオキソジェルビン)(ヘッジホッグ経路阻害剤)、及びXAV-939(Wnt経路阻害剤)が挙げられる。
【0246】
代表的なRNAポリメラーゼ阻害剤としては、アマトキシンが挙げられる。代表的なアマトキシンとしては、α-アマニチン、β-アマニチン、γ-アマニチン、ε-アマニチン、アマヌリン、アマヌリン酸、アマニンアミド、アマニン、及びプロアマヌリンが挙げられる。
【0247】
一実施形態において、本発明の薬物は、非天然カンプトテシン化合物、ビンカアルカロイド、キナーゼ阻害剤(例えば、PI3キナーゼ阻害剤(GDC-0941やPI-103))、MEK阻害剤、KSP阻害剤、RNAポリメラーゼ阻害剤、PARP阻害剤、ドセタクセル、パクリタキセル、ドキソルビシン、デュオカルマイシン、ツブリシン、アウリスタチン又は白金化合物である。具体的な実施形態において、薬物は、SN-38、ビンデシン、ビンブラスチン、PI-103、AZD8330、アウリスタチンE、アウリスタチンF、デュオカルマイシン化合物、ツブリシン化合物、又はARRY-520の誘導体である。
【0248】
もう1つの実施形態において、本発明に使用される薬物は、2以上の薬物の組合わせ、例えば、PI3キナーゼとMEK阻害剤;広域細胞毒性化合物と白金化合物;PARP阻害剤と白金化合物;広域細胞毒性化合物とPARP阻害剤などである。
【0249】
一実施形態において、ビンカアルカロイドは、式(V)の化合物である:
【化48】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
R
14は、水素、-C(O)-C
1-3アルキル又は-C(O)-クロロ置換されたC
1-3アルキルであり;
R
15は、水素、-CH
3又は-CHOであり;
R
17及びR
18は、独立してあるとき、R
18は水素であり、且つR
16又はR
17のどちらかがエチルであり、そして、もう片方がヒドロキシルであり;
R
17及びR
18は、それらが結合されている炭素と一緒にあるとき、オキシラン環を形成し、R
16はエチルであり;
R
19は、水素、OH、アミノ基、アルキルアミノ又は-[C(R
20R
21)]-R
22であり;
各R
20及びR
21は独立して、水素、C
1-6アルキル、C
6-10アリール、ヒドロキシル化C
6-10アリール、ポリヒドロキシル化C
6-10アリール、5〜12員複素環化合物、C
3-8シクロアルキル、ヒドロキシル化C
3-8シクロアルキル、ポリヒドロキシル化C
3-8シクロアルキル又は天然若しくは非天然のアミノ酸側鎖であり;
R
22は、-OH、-NH
2、-COOH、-R
82-C(O)(CH
2)
c-C(H)(R
23)-N(H)(R
23)、-R
82-C(O)(CH
2)
d-(OCH
2-CH
2)
f-N(H)(R
23)又は-R
82-(C(O)-CH(X
2)-NH)
d-R
77であり;
各R
23は独立して、水素、C
1-6アルキル、C
6-10アリール、C
3-8シクロアルキル、-COOH、又は-COO-C
1-6アルキルであり;
X
2は、天然又は非天然のアミノ酸側鎖であり;
R
77は、水素であるか、又はX
2とNR
77は、窒素含有複素環部分を形成し;
R
82は、-NH又は酸素であり;
aは、1〜6の整数であり;
cは、0〜3の整数であり;
dは、1〜3の整数であり;そして
fは、1〜12の整数である)。
【0250】
ビンカアルカロイドに関する更なる例は、US2010/0305149及びUS2002/0103136に記載されている。
【0251】
一実施形態において、式(V)のビンカアルカロイドは、式(VI):
【化49】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
R
40は、水素、-OH、-NH
2、又は次の構造:
【化50】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
aは、1〜6の整数であり;そして
cは、0〜3の整数である)
のいずれである)
の化合物である。
【0252】
一実施形態において、R
40は、
【化51】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0253】
もう1つの実施形態において、非天然カンプトテシンは、式(VII)の化合物である:
【化52】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
R
24は、-H、-Cl、-F、-OH又はアルキルであるか;又はR
24及びR
25は一緒に、5又は6員環を形成してもよく;
R
25は、-H、-F、-OH、-CH
3CH=N-O-t-ブチル、-CH
2CH
2Si(CH
3)
3、Si((CH
3)
2)-t-ブチル、-O-C(O)-R
29であり;
R
29は、-NH
2、-R
28-C
1-6アルキル-R
22、5〜12員ヘテロシクロアルキル、R
28-C
5-12ヘテロシクロアルキル-C
1-6アルキル-R
22又は-R
28-C
1-6アルキル-C
6-12アリール-C
1-6アルキル-R
22であり;
R
26は、-H、-CH
2-N(CH
3)
2、NH
2、又はNO
2であり;
R
27は、エチル、N-メチルピペリジン、シクロアルキル、-CH
2CH
2NHCH(CH
3)
2、又は-N-4-メチルシクロヘキシルアミンであり;
R
79は、-H又は-C(O)-R
28-[C(R
20R
21]
a-R
22であり;
各R
20及びR
21は独立して、水素、C
1-6アルキル、C
6-10アリール、ヒドロキシル化C
6-10アリール、ポリヒドロキシル化C
6-10アリール、5〜12員複素環化合物、C
3-8シクロアルキル、ヒドロキシル化C
3-8シクロアルキル、ポリヒドロキシル化C
3-8シクロアルキル又は天然若しくは非天然のアミノ酸側鎖であり;
R
22は、-OH、-NH
2、-COOH、-R
82-C(O)(CH
2)
c-C(H)(R
23)-N(H)(R
23)、-R
82-C(O)(CH
2)
d-(OCH
2-CH
2)
f-N(H)(R
23)、又は-R
82-(C(O)-CH(X
2)-NH)
d-R
77であり;
各R
23は独立して、水素、C
1-6アルキル、C
6-10アリール、C
3-8シクロアルキル、-COOH、又は-COO-C
1-6アルキルであり;
X
2は、天然又は非天然のアミノ酸側鎖であり;
R
77は、水素であるか、又はX
2とNR
77は、窒素含有環化合物を形成し;
R
82は、-NH又は酸素であり;或いは
R
26及びR
27は、それらが結合された2つの炭素原子と一緒にあり、且つ3番目の炭素原子がその2つの炭素原子と結合しているとき、任意に置換される6員環を形成し;
R
28は、存在しない、NH又は酸素であり;
aは、1〜6の整数であり;
cは、0〜3の整数であり;
dは、1〜3の整数であり;
fは、1〜12の整数であり;
uは、0又は1の整数であり;
wは、0又は1の整数であり;そして
但し、式(VII)の化合物は、R
29及びR
79のうちの少なくとも1つを含まなければならない)。
【0254】
一実施形態において、式(VII)の非天然カンプトテシン化合物は、次の式(VIII)又は式(XXV)の化合物である:
【化53】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
R
30は、-NH
2、-R
28-C
1-6アルキル-R
22、5〜12員ヘテロシクロアルキル、R
28-C
5-12ヘテロシクロアルキル-C
1-6アルキル-R
22又は-R
28-C
1-6アルキル-C
6-12アリール-C
1-6アルキル-R
22であり;
R
28は、存在しない、NH又は酸素であり;
R
22は、-OH、-NH
2、-COOH、-R
82-C(O)(CH
2)
c-C(H)(R
23)-N(H)(R
23)、-R
82-C(O)(CH
2)
d-(OCH
2-CH
2)
f-N(H)(R
23)又は-R
82-(C(O)-CH(X
2)-NH)
d-R
77であり;
各R
23は独立して、水素、C
1-6アルキル、C
6-10アリール、C
3-8シクロアルキル、-COOH、又は-COO-C
1-6アルキルであり;
X
2は、天然又は非天然のアミノ酸側鎖であり;
R
77は、水素であるか、又はX
2とNR
77は、窒素含有環化合物を形成し;
R
82は、-NH又は酸素であり;
cは、0〜3の整数であり;
dは、1〜3の整数であり;そして
fは、1〜12の整数である)。
【0255】
いくつかの実施形態において、R
30は、次の構造:
【化54】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
aは、1〜6の整数であり;
cは、0〜3の整数であり;そして
gは、2〜6の整数である)
のうちのいずれかである。
【0256】
もう1つの実施形態において、PI3キナーゼは、式(IX)の化合物である:
【化55】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
R
47は、アミノ基、-R
9-[C(R
20R
21)]
a-R
10、-R
9-C
5-12ヘテロシクロアルキル-C
1-6アルキル-R
10、又は5〜12員ヘテロシクロアルキルであり;
各R
20及びR
21は独立して、水素、C
1-6アルキル、C
6-10アリール、ヒドロキシル化C
6-10アリール、ポリヒドロキシル化C
6-10アリール、5〜12員複素環化合物、C
3-8シクロアルキル、ヒドロキシル化C
3-8シクロアルキル、ポリヒドロキシル化C
3-8シクロアルキル又は天然若しくは非天然のアミノ酸側鎖であり;
R
10は、-OH、-NHR
83、-N-(R
83)R
11、-COOH、-R
82-C(O)(CH
2)
c-C(H)(R
23)-N(H)(R
23)、-R
82-C(O)(CH
2)
d-(OCH
2-CH
2)
f-N(H)(R
23)、-R
82-(C(O)-CH(X
2)-NH)
d-R
77又は-R
82-C(O)-[C(R
20R
21]-R
82-R
83であり;
各R
23は独立して、水素、C
1-6アルキル、C
6-10アリール、C
3-8シクロアルキル、-COOH、又は-COO-C
1-6アルキルであり;
X
2は、天然若しくは非天然のアミノ酸側鎖であり;
R
77は、水素であるか、又はX
2とNR
77は、窒素含有環化合物を形成し;
R
82は、-NH又は酸素であり;
R
9は、存在しない、N-(R
83)又は酸素であり;
R
83は、水素又はCH
3であり;
R
11は、
【化56】
[この文献は図面を表示できません]
であり、
各R
12は、独立して、水素、クロリド、-CH
3又は-OCH
3であり;
R
13は、水素又は-C(O)-(CH
2)
d-(O-CH
2-CH
2)
f-NH
2であり;
X
4は、リジン、アルギニン、シトルリン、アラニン又はグリシンの側鎖であり;
X
5は、フェニルアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン又はトリプトファンの側鎖であり;
各X
6及びX
7は独立して、グリシン、アラニン、セリン、バリン又はプロリンの側鎖であり;
aは、1〜6の整数であり;
cは、0〜3の整数であり;
dは、1〜3の整数であり;
fは、1〜12の整数であり;
各uは独立して、0又は1の整数である)。
【0257】
いくつかの態様において、
【化57】
[この文献は図面を表示できません]
は、シトルリンバリン;リジンフェニルアラニン;シトルリンフェニルアラニン;シトルリンロイシン;シトルリンバリングリシングリシン;グリシンフェニルアラニングリシングリシン;バリン;プロリン;ロイシン又はイソロイシンである。
【0258】
もう1つの実施形態において、R
11は、次の構造のうちのいずれかである:
【化58-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化58-2】
[この文献は図面を表示できません]
【0259】
いくつかの実施形態において、R
47は、次の構造のうちのいずれかである:
【化59-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化59-2】
[この文献は図面を表示できません]
(構造中、
aは、1〜6の整数であり;
cは、0〜3の整数であり;そして
g、2〜6のは整数である)。
【0260】
もう1つの実施形態において、アウリスタチンは、式(X)の化合物である:
【化60】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
各R
31及びR
32は独立して、水素又はC
1-8アルキルであり、且つ最大でR
31及びR
32の1つが水素であり;
R
33は、水素、C
1-8アルキル、C
3-8炭素環、C
6-10アリール、C
1-8ル-C
6-10アリール、X
1-(C
3-8炭素環)、C
3-8複素環化合物又はX
1-(C
3-8複素環化合物)であり;
R
34は、水素、C
1-8アルキル、C
3-8炭素環、C
6-10アリール、X
1-C
6-10アリール、X
1-(C
3-8炭素環)、C
3-8複素環化合物又はX
1-(C
3-8複素環化合物)であり;
R
35は、水素又はメチルであり;又は
R
34及びR
35は、それらが結合されている炭素原子と一緒に、式-(CR
55R
41)
b-(式中、各R
55及びR
41は独立して、水素又はC
1-8アルキルであり、且つbは、3〜7の整数である)を有する炭素環式環を形成し;
R
36は、水素又はC
1-8アルキルであり;
R
37は、水素、C
1-8アルキル、C
3-8炭素環、C
6-10アリール、-X
1-C
6-10アリール、-X
1-(C
3-8炭素環)、C
3-8複素環化合物又は-X
1-(C
3-8複素環化合物)であり;
各R
38は独立して、水素、OH、C
1-8アルキル、C
3-8炭素環又はO-(C
1-8アルキル)であり;
R
53は、
【化61】
[この文献は図面を表示できません]
であるか、又はR
54であり;
R
39は、H、C
1-8アルキル、C
6-10アリール、-X
1-C
6-10-アリール、C
3-8炭素環、C
3-8複素環化合物、-X
1-C
3-8複素環化合物、-C
1-8アルキレン-NH
2、又は(CH
2)
2SCH
3であり;
各X
1は独立して、C
1-10アルキレン又はC
3-10シクロアルキレンであり;
R
44は、水素又はC
1-8アルキルであり;
R
45は、X
3-R
42又はNH-R
19であり;
X
3は、O又はSであり;
R
19は、水素、OH、アミノ基、アルキルアミノ又は-[C(R
20R
21)]
a-R
22であり;
R
42は、アミノ基、C
1-6アルキルアミノ又は-[C(R
20R
21)]
a-R
22であり;
各R
20及びR
21は独立して、水素、C
1-6アルキル、C
6-10アリール、ヒドロキシル化C
6-10アリール、ポリヒドロキシル化C
6-10アリール、5〜12員複素環化合物、C
3-8シクロアルキル、ヒドロキシル化C
3-8シクロアルキル、ポリヒドロキシル化C
3-8シクロアルキル又は天然若しくは非天然のアミノ酸側鎖であり;
R
22は、-OH、-NHR
23、-COOH、-R
82-C(O)(CH
2)
c-C(H)(R
23)-N(H)(R
23)、-R
82-C(O)(CH
2)
d-(OCH
2-CH
2)
f-N(H)(R
23)又は-R
82-(C(O)-CH(X
2)-NH)
d-R
77であり;
各R
23は独立して、水素、C
1-6アルキル、C
6-10アリール、C
3-8シクロアルキル、-COOH、又は-COO-C
1-6アルキルであり;
X
2は、天然若しくは非天然のアミノ酸側鎖であり;
R
77は、水素であるか、又はX
2とNR
77は、窒素含有環化合物を形成し;
R
82は、-NH又は酸素であり;
R
54は、-C(R
56)
2-C(R
56)
2-C
6-10アリール、-C(R
56)
2-C(R
56)
2-C
3-8複素環化合物又は-C(R
56)
2-C(R
56)
2-C
3-8炭素環であり;
R
56は、H、OH、C
1-8アルキル、C
3-8炭素環、-O-C
1-8アルキル、-O-C(O)-R
29、及び-O-R
23-O-C
1-6アルキル-NH
2から独立して選択され;
R
29は、アミノ基、5〜12員ヘテロシクロアルキル、-R
28-C
1-6アルキル-R
22、R
28-C
5-12ヘテロシクロル-C
1-6アルキル-R
22、-[C(R
20R
21)]
a-R
22、又は-R
28-C
1-6アルキル-C
6-12アリール-C
1-6アルキル-R
22であり;
R
28は、存在しない、NH又は酸素であり;
aは、1〜6の整数であり;
cは、0〜3の整数であり;
dは、1〜3の整数であり;そして
fは、1〜12の整数である)。
【0261】
いくつかの実施形態において、式(X)のアウリスタチン化合物内で、
R
39は、ベンジル又は
【化62】
[この文献は図面を表示できません]
であり;そして
R
44は、水素である。
【0262】
一実施形態において、式(X)のアウリスタチンは、式(XI)、式(XII)又は式(XIII)の化合物であって:
ここで、式(XI)の化合物は:
【化63】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R
42は、-CH
3又は次の構造のうちのいずれかである:
【化64】
[この文献は図面を表示できません]
(構造中、
aは、1〜6の整数であり;そして
cは、0〜3の整数である))
であり;
ここで、式(XII)の化合物は:
【化65】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R
40は、水素、-OH、-NH
2、又は次の構造のうちのいずれかである:
【化66】
[この文献は図面を表示できません]
(構造中、
aは、1〜6の整数であり;そして
cは、0〜3の整数である))
であり;
ここで、式(XIII)の化合物は:
【化67】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
R
29は、アミノ基、5〜12員ヘテロシクロアルキル、-R
28-C
1-6アルキル-R
22、R
28-C
5-12ヘテロシクロル-C
1-6アルキル-R
22、-R
28[C(R
20R
21)]
a-R
22、又は-R
28-C
1-6アルキル-C
6-12アリール-C
1-6アルキル-R
22であり;
各R
20及びR
21は独立して、水素、C
1-6アルキル、C
6-10アリール、ヒドロキシル化C
6-10アリール、ポリヒドロキシル化C
6-10アリール、5〜12員複素環化合物、C
3-8シクロアルキル、ヒドロキシル化C
3-8シクロアルキル、ポリヒドロキシル化C
3-8シクロアルキル又は天然若しくは非天然のアミノ酸側鎖であり;
R
22は、-OH、-NHR
23、-COOH、-R
82-C(O)(CH
2)
c-C(H)(R
23)-N(H)(R
23)、-R
82-C(O)(CH
2)
d-(OCH
2-CH
2)
f-N(H)(R
23)又は-R
82-(C(O)-CH(X
2)-NH)
d-R
77であり;
各R
23は独立して、水素、C
1-6アルキル、C
6-10アリール、C
3-8シクロアルキル、-COOH、又は-COO-C
1-6アルキルであり;
X
2は、天然若しくは非天然のアミノ酸側鎖であり;
R
77は、水素であるか又はX
2とNR
77は、窒素含有環化合物を形成し;
R
82は、-NH又は酸素であり;
R
28は、存在しない、NH又は酸素であり;
aは、1〜6の整数であり;
cは、0〜3の整数であり;
dは、1〜3の整数であり;そして
fは、1〜12の整数である)
である。
【0263】
一実施形態において、式(XII)では、R
40は:
【化68】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0264】
一実施形態において、式(XIII)の化合物では、
R
29は、-NH
2、5員ヘテロシクロアルキル、-R
28-C
1-6アルキル-R
22、R
28-C
5-12ヘテロシクロル-C
1-6アルキル-R
22又は-R
28-C
1-6アルキル-C
6-12アリールC
1-6アルキル-R
22であり;
R
28は、存在しない、NH又は酸素であり;
R
22は、-OH、-NHR
23、-COOH、-R
82-C(O)(CH
2)
c-C(H)(R
23)-N(H)(R
23)、-R
82-C(O)(CH
2)
d-(OCH
2-CH
2)
f-N(H)(R
23)又は-R
82-(C(O)-CH(X
2)-NH)
d-R
77であり;
各R
23は独立して、水素、C
1-6アルキル、C
6-10アリール、C
3-8シクロアルキル、-COOH、又は-COO-C
1-6アルキルであり;
X
2は、天然若しくは非天然のアミノ酸側鎖であり;
R
77は、水素であるか、又はX
2とNR
77は、窒素含有環化合物を形成し;
R
82は、-NH又は酸素であり;
cは、0〜3の整数であり;
dは、1〜3の整数であり;そして
fは、1〜12の整数である。
【0265】
更にもう1つの実施形態において、R
29は、次の構造のうちのいずれかである:
【化69】
[この文献は図面を表示できません]
(構造中、
aは、1〜6の整数であり;
cは、0〜3の整数であり;そして
gは、2〜6の整数である)。
【0266】
一実施形態において、MEK阻害剤は、式(XIV)の化合物である:
【化70】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
R
43は、H又は-R
46-R
47であり;
各R
20及びR
21は独立して、水素、C
1-6アルキル、C
6-10アリール、ヒドロキシル化C
6-10アリール、ポリヒドロキシル化C
6-10アリール、5〜12員複素環化合物、C
3-8シクロアルキル、ヒドロキシル化C
3-8シクロアルキル、ポリヒドロキシル化C
3-8シクロアルキル又は天然若しくは非天然のアミノ酸側鎖であり;
R
22は、-OH、-NH
2、-COOH、-R
82-C(O)(CH
2)
c-C(H)(R
23)-N(H)(R
23)、-R
82-C(O)(CH
2)
d-(OCH
2-CH
2)
f-N(H)(R
23)又は-R
82-(C(O)-CH(X
2)-NH)
d-R
77であり;
各R
23は独立して、水素、C
1-6アルキル、C
6-10アリール、C
3-8シクロアルキル、-COOH、又は-COO-C
1-6アルキルであり;
X
2は、天然若しくは非天然のアミノ酸側鎖であり;
R
77は、水素であるか、又はX
2とNR
77は、窒素含有環化合物を形成し;
R
82は、-NH又は酸素であり;
R
46は、-C(O)-、C(O)-O-、-C(O)-NH又は存在せず;
R
47は、本明細書中に定義されるものであり;
aは、1〜6の整数であり;
cは、0〜3の整数であり;
dは、1〜3の整数であり;そして
fは、1〜12の整数である)。
【0267】
MEK阻害剤に関する更なる例は、US7,517,994B2で開示されている。
【0268】
いくつかの実施形態において、
R
43は、-C(O)-(CH
2)
a-NH
2、又は-C(O)C(H)(CH
3)-(CH
2)
c-NH
2であり;式中、aは、1〜6の整数であり;且つcは、0〜3の整数である。
【0269】
もう1つの実施形態において、デュオカルマイシン化合物は、式(XV)の化合物である:
【化71】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
R
47は、本明細書中に定義されるものであり;
R
48は、水素、-COO-C
1-6アルキル、-COOH、-NH
2又は-CH
3であり;
R
49は、Cl、Br又は-OHであり;
R
50は、水素、-OCH
3、
【化72】
[この文献は図面を表示できません]
各R
51及びR
52は独立して、水素又は-OCH
3であり;そして
環AAは、フェニル又はピロリル環のうちのいずれかである。
【0270】
デュオカルマイシン化合物に関する更なる例は、US7,553,816で開示されている。
【0271】
一実施形態において、式(XV)のデュオカルマイシン化合物は、次の式(XVI)、(XVII)、(XVIII)又は(XIX)の化合物である:
【化73-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化73-2】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
R
49は、Cl、Br又は-OHであり;そして
R
47は、本明細書中に定義されるとおりのものである。)
【0272】
もう1つの実施形態において、デュオカルマイシン化合物は、式(XX)のデュオカルマイシンSA化合物:US5101038;又は(XXI)である:
【化74】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
R
42は、C
1-6アルキルアミノ又は-[C(R
20R
21)]
a-R
22であり;
各R
20及びR
21は独立して、水素、C
1-6アルキル、C
6-10アリール、ヒドロキシル化C
6-10アリール、ポリヒドロキシル化C
6-10アリール、5〜12員複素環化合物、C
3-8シクロアルキル、ヒドロキシル化C
3-8シクロアルキル、ポリヒドロキシル化C
3-8シクロアルキル又は天然若しくは非天然のアミノ酸側鎖であり;
R
22は、-OH、-NH
2、-COOH、-R
82-C(O)(CH
2)
c-C(H)(R
23)-N(H)(R
23)、-R
82-C(O)(CH
2)
d-(OCH
2-CH
2)
f-N(H)(R
23)、又は-R
82-(C(O)-CH(X
2)-NH)
d-R
77であり;
各R
23は独立して、水素、C
1-6アルキル、C
6-10アリール、C
3-8シクロアルキル、-COOH、又は-COO-C
1-6アルキルであり;
X
2は、天然若しくは非天然のアミノ酸側鎖であり;
R
77は、水素であるか、又はX
2とNR
77は、窒素含有環化合物を形成し;
R
82は、-NH又は酸素であり;
aは、1〜6の整数であり;
cは、0〜3の整数であり;
dは、1〜3の整数であり;そして
fは、1〜12の整数である)。
【0273】
いくつかの実施形態において、R
42は、次の構造のいずれかである:
【化75】
[この文献は図面を表示できません]
(構造中、
aは、1〜6の整数であり;そして
cは、0〜3の整数である)。
【0274】
もう1つの実施形態において、ツブリシンは、次の式(XXII)の化合物である:
【化76】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
R
57は、C
1-4アルキル又は-C(O)R
58であり;
R
58は、C
1-6アルキル、CF3又はC
6-10アリールであり;
R
59は、C
1-6アルキルであり;
R
60は、水素、C
1-6アルキル、C
2-7アルケニル、-CH
2-フェニル、CH
2OR
65又はCH
2OCOR
66であり;
R
65は、水素、C
1-6アルキル、C
2-7アルケニル、C
6-10アリール又はC(O)R
67であり;
R
67は、のC
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
6-10アリール又はヘテロアリールであり;
R
66は、C
1-6アルキル、-C
6H
5又は-CH
2-フェニルであり;
R
61は、C
1-6アルキルであり;
R
62は、水素、OH、O-C
1-4アルキル又はO-C(O)-C
1-4アルキルであり;
R
63は、水素、OH、O-C
1-4アルキル、O-C(O)-C
1-4アルキル、ハロゲン又はC
1-6アルキルであり;
eは、1及び3を含めた1〜3の整数であり;
R
64は、以下の:
【化77】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
R
68は、水素又はC1-C6アルキルであり;
R
69は、CO
2R
70、C(O)-R
78、CONHNH
2、OH、NH
2、SH又は任意に置換されたアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル又はヘテロシクロアルキル基であり;
R
70は、任意に置換されるアルキル(すなわち、C
1-6アルキルアミン)、ヘテロアルキル又はヘテロシクロアルキル基であり;
各R
71及びR
73は独立して、水素、ハロ、-NO
2、-CN、-NHR
74、C
1-6アルキルと、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシであり;
R
72は、水素、OR
43、アルコキシ、ハロゲン、-NHR
74、-OC(O)-R
47、NO
2、-CN、C
6-10アリール、C
1-6アルキル、アミノ又はジアルキルアミノであり;
R
74は、水素、-CHO、-C(O)C
1-4アルキル、OH、アミノ基、アルキルアミノ又は-[C(R
20R
21)]
a-R
22であり;
R
43は、H又は-R
46-R
47であり;
R
46は、-C(O)-、-C(O)-O-、-C(O)-NH、又は存在せず;
R
47は、本明細書中に定義されるとおりのものであり;
R
78は、X
3-R
75又はNH-R
19であり;
X
3は、O又はSであり;
R
19は、水素、OH、アミノ基、アルキルアミノ又は-[C(R
20R
21)]
a-R
22であり;
R
75は、水素、アミノ基、C
1-6アルキルアミノ又は-[C(R
20R
21)]
a-R
22であり;
各R
20及びR
21は独立して、水素、C
1-6アルキル、C
6-10アリール、ヒドロキシル化C
6-10アリール、ポリヒドロキシル化C
6-10アリール、5〜12員複素環化合物、C
3-8シクロアルキル、ヒドロキシル化C
3-8シクロアルキル、ポリヒドロキシル化C
3-8シクロアルキル又は天然若しくは非天然のアミノ酸側鎖であり;
R
22は、-OH、-NH
2、-COOH、-R
82-C(O)(CH
2)
c-C(H)(R
23)-N(H)(R
23)、-R
82-C(O)(CH
2)
d-(OCH
2-CH
2)
f-N(H)(R
23)、又は-R
82-(C(O)-CH(X
2)-NH)
d-R
77であり;
各R
23は独立して、水素、C
1-6アルキル、C
6-10アリール、C
3-8シクロアルキル、-COOH、又は-COO-C
1-6アルキルであり;
X
2は、天然若しくは非天然のアミノ酸側鎖であり;
R
77は、水素であるか、又はX
2とNR
77は、窒素含有環化合物を形成し;
R
82は、-NH又は酸素であり;
R
47は、本明細書中に定義されるとおりのものであり;
aは、1〜6の整数であり;
cは、0〜3の整数であり;
dは、1〜3の整数であり;
fは、1〜12の整数であり;そして
但し、R
69が、C(O)-X
3-R
75又はC(O)-NH-R
19であるとき、R
71及びR
73の一方又は両方が、-NHR
74であり、且つR
72が、OR
43、-NHR
74又は-OC(O)-R
47であり、R
19、R
43、R
74、及びR
75のうちの少なくとも1つが、水素であってはならないものとする)
である。
【0275】
いくつかの実施形態において、式(XXII)の化合物では:
R
57は、-CH
3であり;
R
59は、sec-ブチルであり;
R
60は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル又はイソブチルであり;
R
61は、イソプロピルであり;
R
62は、水素であり;
R
63は、水素、OH、-O-C
3H
7、O-C(O)-CH
3であり;
R
68は、水素又は-CH
3であり;
R
69は、CO
2H、CO
2R
70又はC(O)-R
78であり;
R
70は、C
1-6アルキルアミンであり;
各R
71及びR
73は独立して、水素であり;
R
72は、水素、-OR
43、OH、F、-CH
3又は-OCH
3であり;
R
78は、OH、-OR
75又は-NHR
40であり;
eは、整数2であり;
R
40は、水素、-OH、-NH
2、又は次の構造:
【化78】
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(構造中、
aは、1〜6の整数であり;そして
cは、0〜3の整数である)
のうちのいずれかであり;
R
75は、次の構造:
【化79】
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(構造中、
aは、1〜6の整数であり;そして
cは、0〜3の整数である)
のうちのいずれかであり;
R
43は、水素、-C(O)-(CH
2)-NH
2、又は-C(O)C(H)(CH
3)-(CH
2)
c-NH
2であり;そして
(式中、
aは、1〜6の整数であり;そして
cは、0〜3の整数である)
R
47は、次の構造:
【化80-1】
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【化80-2】
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(式中、
aは、1〜6の整数であり;
cは、0〜3の整数であり;そして
gは、2〜6の整数である)
のうちのいずれかであり;
但し、R
72が、-OHであれば、R
75は、水素であってはならず;R
69がCOOHであれば、R
72は、-OR
43又は-O-C(O)-R
47でなければならない。
【0276】
いくつかの実施形態において、式(XXII)のツブリシンは、次の式(XXIII)又は(XXIV)の化合物である:
【化81】
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(式中、
R
76は、水素、OH、OCH
3、F、-OR
43又は-O-C(O)-R
47であり;
(式中、R
78、R
75、R
19、R
47、及びR
43は、本明細書中に定義されたとおりのものである)
但し、R
76が-OH、OCH
3又はFであれば、R
75及びR
19は、水素であってはならない)。
【0277】
一実施形態において、R
47は:
【化82】
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である。
【0278】
もう1つの実施形態において、KSP阻害剤化合物は、式(XXVI)の化合物である:
【化83】
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(式中、
R
30は、本明細書中に定義されるとおりのものである)。
【0279】
いくつかの実施形態において、R
30は:
【化84】
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(構造中、
aは、1〜6の整数であり;
cは、0〜3の整数であり;そして
gは、2〜6の整数である)
である。
【0280】
もう1つの実施形態において、KSP阻害剤化合物は、式(XXVII)、(XXVIII)又は(XXIX)の化合物である:
【化85】
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(式中、
R
11は、本明細書中に定義されるとおりのものである)。
【0281】
治療薬分野の当業者は、本明細書中に記載した治療薬の各々を、得られた化合物が本来の化合物の特異性及び/又は活性を保有し続けるような様式で修飾できることを容易に理解するであろう。当業者はまた、これらの化合物の多くが本明細書中に記載した治療薬に代わって使用できることも理解するであろう。これにより、本発明の治療薬には、本明細書中に記載した化合物の類似体や誘導体が含まれる。
【0282】
次の表Bは、本発明の高分子−薬物−タンパク質コンジュゲート又は高分子−薬物足場を形成するための結合に適した治療薬と誘導体のより多くの例を提供する。特定の化合物に関するスペクトルデータもまた提供する(表中のNDは「不検出」を意味する)。これらの例もまた、薬物がインビトロ又はインインビボにおいてコンジュゲートから放出される際の、薬物の活性型であり得る。
表B
【化86】
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【0283】
【表2】
[この文献は図面を表示できません]
【0284】
【化87】
[この文献は図面を表示できません]
【0285】
【表3】
[この文献は図面を表示できません]
【0286】
【化88】
[この文献は図面を表示できません]
【0287】
【表4】
[この文献は図面を表示できません]
【0288】
【化89】
[この文献は図面を表示できません]
【0289】
【表5】
[この文献は図面を表示できません]
【0290】
【化90】
[この文献は図面を表示できません]
【0291】
【表6】
[この文献は図面を表示できません]
【0292】
【化91】
[この文献は図面を表示できません]
【0293】
【表7】
[この文献は図面を表示できません]
【0294】
【化92】
[この文献は図面を表示できません]
【0295】
【表8-1】
[この文献は図面を表示できません]
【表8-2】
[この文献は図面を表示できません]
【0296】
【化93】
[この文献は図面を表示できません]
【0297】
【表9】
[この文献は図面を表示できません]
【0298】
【化94】
[この文献は図面を表示できません]
【0299】
【表10】
[この文献は図面を表示できません]
【0300】
タンパク質ベースの認識分子(PBRM)
タンパク質ベースの認識分子は、細胞内の特定の組織、細胞、又は位置に薬物−高分子−担体コンジュゲートを向かわせる。タンパク質ベースの認識分子は、標的である培養物に、又は生体全体に、又はそれら両方に修飾した高分子を向かわせることができる。いずれの場合も、タンパク質ベースの認識分子は、標的とされた細胞(複数可)の細胞表面に存在するリガンドを有し、それに、有効な特異性、親和性及び結合活性で結合する。一部の実施形態では、タンパク質ベースの認識分子は、標的である肝臓以外の組織に修飾した高分子を向かわせる。他の実施形態では、タンパク質ベースの認識分子は、標的である肝臓、腎臓、肺又は膵臓などの特異的な組織に修飾した高分子を向かわせる。タンパク質ベースの認識分子は、標的である癌細胞など標的細胞、癌細胞などの細胞で発現される受容体、マトリックス組織又は腫瘍抗原などの癌に関連するタンパク質などに修飾した高分子を差し向けることができる。別法では、腫瘍血管系を含む細胞を標的とすることができる。クッパー細胞とは対照的に肝臓中の肝細胞への特異的ターゲティングなど、タンパク質ベースの認識分子は特異的な種類の細胞に高分子を向かわせることができる。他の場合には、タンパク質ベースの認識分子は高分子を、網様内皮若しくはリンパ系の細胞に、又はマクロファージ若しくは好酸球などの専門の食細胞に向かわせることができる。(そのような場合、高分子自体もまた、特異的ターゲティングを必要としない有効な送達系であることがある)。
【0301】
さらに他の実施形態では、タンパク質ベースの認識分子は、標的である、例えば核、細胞質又はエンドソームなどの細胞内のある位置に修飾高分子を差し向ける。具体的な実施形態では、タンパク質ベースの認識分子は、受容体への細胞結合又は核への細胞質輸送及び核進入又はエンドソーム若しくは他の細胞内ベシクルからの放出を増大させ得る。
【0302】
具体的な実施形態において、タンパク質ベースの認識分子としては、抗体、タンパク質及びペプチド又はペプチド模倣薬が挙げられる。
【0303】
代表的な抗体、或いはFab、Fab2、scFv又は細胞表面マーカーに対して特異的なラクダ抗体重鎖フラグメントから得られた抗体としては、5T4、AOC3、C242、CA-125、CCL11、CCR5、CD2、CD3、CD4、CD5、CD15、CD18、CD19、CD20、CD22、CD23、CD25、CD28、CD30、CD31、CD33、CD37、CD38、CD40、CD41、CD44、CD51、CD52、CD54、CD56、CD62E、CD62P、CD62L、CD70、CD74、CD80、CD125、CD138、CD141、CD147、CD152、CD154、CD326、CEA、クランピング因子、CTLA-4、EGFR、ErbB2、ErbB3、EpCAM、葉酸受容体、FAP、GD2、GD3、GPNMB、HGF、HER2、ICAM、IGF-1受容体、VEGFR1、EphA2、TRPV1、CFTR、gpNMB、CA9、Cripto、ACE、APP、アドレナリン受容体-β2、クローディン3、メソテリン、IL-2受容体、IL-4受容体、IL-13受容体、インテグリン(α
4、α
vβ
3、α
vβ
5、α
vβ
6、α
1β
4、α
4β
1、α
4β
7、α
5β
1、α
6β
4、α
IIbβ
3インテグリンを含む)、IFN-α、IFN-γ、IgE、IgE、IGF-1受容体、IL-1、IL-12、IL-23、IL-13、IL-22、IL-4、IL-5、IL-6、インターフェロン受容体、ITGB2(CD18)、LFA-1、(CD11a)、L-セレクチン(CD62L)、ムチン、MUC1、ミオスタチン、NCA-90、NGF、PDGFRα、ホスファチジルセリン、前立腺癌腫細胞、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、狂犬病、RANKL、呼吸系発疹ウイルス、リーサス因子、SLAMF7、スフィンゴシン-1-ホスファート、TAG-72、T細胞受容体、テネイシンC、TGF-1、TGF-β2、TGF-β、TNF-α、TRAIL-R1、TRAIL-R2、腫瘍抗原CTAA16.88、VEGF-A、VEGFR2、ビメンチンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0304】
一実施形態において、抗体、或いはFab、Fab2、scFv又は細胞表面マーカーに対して特異的なラクダ抗体重鎖フラグメントから得られた抗体としては、CA-125、C242、CD3、CD19、CD22、CD25、CD30、CD31、CD33、CD37、CD40、CD44、CD51、CD54、CD56、CD62E、CD62P、CD62L、CD70、CD138、CD141、CD326、CEA、CTLA-4、EGFR、ErbB2、ErbB3、FAP、葉酸受容体、IGF-1受容体、GD3、GPNMB、HGF、HER2、VEGF-A、VEGFR
2、VEGFR1、EphA2、EpCAM、5T4、TAG-72、テネイシンC、TRPV1、CFTR、gpNMB、CA9、Cripto、ACE、APP、PDGFRα、ホスファチジルセリン、前立腺癌細胞、アドレナリン受容体-β2、クローディン3、ムチン、MUC1、メソテリン、IL-2受容体、IL-4受容体、IL-13受容体、インテグリン(α
vβ
3、α
vβ
5、α
vβ
6、α
1β
4、α
4β
1、α
5β
1、α
6β
4インテグリンを含む)、テネイシンC、TRAIL-R2、及びビメンチンが挙げられる。
【0305】
代表的な抗体としては、3F8、アバゴボマブ、アブシキシマブ(REOPRO)、アダリムマブ(HUMIRA)、アデカツムマブ、アフェリモマブ、アフツズマブ、アラシズマブ、ALD518、アレムツズマブ(CAMPATH)、アルツモマブ、アマツキシマブ、アナツモマブ、アンルキンズマブ、アポリズマブ、アルシツモマブ(CEA-SCAN)、アセリズマブ、アトリズマブ(トシリズマブ、アクテムラ、ロアクテムラ)、アトロリムマブ、バピノイズマブ、バシリキシマブ(シムレクト)、バビツキシマブ、ベクツモマブ(LYMPHOSCAN)、ベリムマブ(BENLYSTA)、ベンラリズマブ、ベルチリムマブ、ベシレソマブ(SCINITIMUN)、ベバシズマブ(AVASTIN)、ビシロマブ(FIBRISCINT)、ビバツズマブ、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブ、ブリアキヌマブ、カナキヌマブ(ILARIS)、カンツズマブ、カプロマブ、カツマキソマブ(REMOVAB)、CC49、セデリズマブ、セルトリズマブ、セツキシマブ((ERBITUX)、シタツズマブ、シキスツムマブ、クレノリキシマブ、クリバツズマブ、コナツムマブ、CR6261、ドアセツズマブ、ダクリズマブ(ZENAPAX)、ダラツムマブ、デノスマブ(PROLIA)、デツモマブ、ドルリモマブ、ドルリキシズマブ、エクロメキシマブ、エクリズマブ(SOLIRIS)、エドバコマブ、エドレコロマブ(PANOREX)、エファリズマブ(RAPTIVA)、エフングマブ(MYCOGRAB)、エロツズマブ、エルシリモマブ、エンリモマブ、エピツモマブ、エプラツズマブ、エルリズマブ、エルツマキソマブ(REXOMUN)、エタラシズマブ(ABEGRIN)、エキスビビルマブ、ファノレソマブ(NEUTROSPEC)、ファラリモマブ、ファルレツズマブ、フェルビズマブ、フェザキヌマブ、フィギツムマブ、ホントリズマブ(HuZAF)、ホラビルマブ、フレソリムマブ、ガリキシマブ、ガンテネルマブ、ガビリモマブ、ゲムツズマブギレンツキシマブ、グレンバツムマブ、ゴリムマブ(SIMPONI)、ゴミリキシマブ、イバリズマブ、イブリツモマブ、イゴボマブ(INDIMACIS-125)、イムシロマブ(MYOSCINT)、インフリキシマブ(REMICADE)、インテツムマブ、イノリモマブ、イノツズマブ、イピリムマブ、イラツムマブ、ケリキシマブ、ラベツズマブ(CEA-CIDE)、レブリキズマブ、レマレソマブ、レルデリムマブ、レキサツムマブ、リビビルマブ、リンツズマブ、ルカツムマブ、ルミリキシマブ、マパツムマブ、マスリモマブ、マツズマブ、メポリズマブ(BOSATRIA)、メテリムマブ、ミラツズマブ、ミンレツモマブ、ミツモマブ、モロリムマブ、モタビズマブ(NUMAX)、ムロモナブ-CD3(ORTHOCLONE OKT3)、ナコロマブ、ナプツモマブ、ナタリズマブ(TYSABRI)、ネバクマブ、ネシツムマブ、ネレリモマブ、ニモツズマブ(THERACIM)、ノフェツモマブ、オクレリズマブ、オズリモマブ、オファツムマブ(ARZERRA)、オララツマブ、オマリズマブ(XOLAIR)、オンテシズマブ、オポルツズマブ、オレゴボマブ(OVAREX)、オテリキシズマブ、パギバキシマブ、パリビズマブ(SYNAGIS)、パニツムマブ(VECTIBIX)、パノバクマブ、パスコリズマブ、ペムツモマブ(THERAGYN)、ペルツズマブ(OMNITARG)、ペキセリズマブ、ピンツモマブ、プリリキシマブ、プリツムマブ、PRO140、ラフィビルマブ、ラムシルマブ、ラニビズマブ(LUCENTIS)、ラキシバクマブ、レガビルマブ、レスリズマブ、リロツムマブ、リツキシマブ(RITUXAN)、ロバツムマブ、ロンタリズマブ、ロベリズマブ(LEUKARREST)、ルプリズマブ(ANTOVA)、サツモマブペンデチド、セビルマブ、シブロツズマブ、シファリムマブ、シルツキシマブ、シプリズマブ、ソラネズマブ、ソネプシズマブ、ソンツズマブ、スタムルマブ、スレソマブ(LEUKOSCAN)、タカツズマブ(AFP-CIDE)、テトラキセタン、タドシズマブ、タリズマブ、タネズマブ、タプリツモマブパプトキス、テフィバズマブ(AUREXIS)、テリモマブ、テナツモマブ、テネリキシマブ、テプリズマブ、TGN1412、チシリムマブ(トレメリムマブ)、チガツズマブ、TNX-650、トシリズマブ(アトリズマブ、ACTEMRA)、トラリズマブ、トシツモマブ(BEXXAR)、トラスツズマブ(HERCEPTIN)、トレメリムマブ、ツコツズマブ、ツビルマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ(STELERA)、バパリキシマブ、ベドリズマブ、ベルツズマブ、ベパリモマブ、ビシリズマブ(NUVION)、ボロシキシマブ(HUMASPECT)、ボツムマブ、ザルツムマブ(HuMEX-EGFr)、ザノリムマブ(HuMAX-CD4)、ジラリムマブ及びゾリモマブが挙げられる。
【0306】
いくつかの実施形態において、抗体は、5T4、CA-125、CEA、CD3、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD40、CD44、CD51、CTLA-4、EpCAM、HER2、EGFR、FAP、葉酸受容体、HGF、インテグリンα
vβ
3、インテグリンα
5β
1、IGF-1受容体、GD3、GPNMB、ムチン、MUC1、ホスファチジルセリン、前立腺癌細胞、PDGFRα、TAG-72、テネイシンC、TRAIL-R2、VEGF-A、及びVEGFR2の細胞表面マーカーに向けられる。この実施形態において、抗体は、アバゴボマブ、アデカツムマブ、アラシズマブ、アルツモマブ、アナツモマブ、アルシツモマブ、バビツキシマブ、ベバシズマブ(AVASTIN)、ビバツズマブ、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブ、カンツズマブ、カツマキソマブ、カプロマブ、セツキシマブ、シタツズマブ、クリバツズマブ、コナツムマブ、ドアセツズマブ、エドレコロマブ、エプラツズマブ、エルツマキソマブ、エタラシズマブ、ファルレツズマブ、フィギツムマブ、ゲムツズマブ、グレンバツムマブ、イブリツモマブ、イゴボマブ、インテツムマブ、イノツズマブ、ラベツズマブ、レキサツムマブ、リンツズマブ、ルカツムマブ、マツズマブ、ミツモマブ、ナプツモマブ、エスタフェナトキス、ネシツムマブ、オポルツズマブ、オレゴボマブ、パニツムマブ、ペムツモマブ、ペルツズマブ、プリツムマブ、リツキシマブ(RITUXAN)、リロツムマブ、ロバツムマブ、サツモマブ、シブロツズマブ、タプリツモマブ、テナツモマブ、テナツモマブ、チシリムマブ(トレメリムマブ)、チガツズマブ、トラスツズマブ(HERCEPTIN)、トシツモマブ、トレメリムマブ、ツコツズマブ、セルモロイキン、ボロシキシマブ及びザルツムマブである。
【0307】
具体的な実施形態において、HER2の細胞表面マーカーに向けられる抗体は、パーツズマブ又はトラスツズマブであり、そして、EGFRに関して、抗体はセツキシマブであり、そして、CD20に関して、抗体はリツキシマブであり、VEGF-Aに関して、抗体はベバシズマブであり、そして、CD-22に関して、抗体はエプラツズマブ又はベルツズマブであり、そして、CEAに関して、抗体はラベツズマブである。
【0308】
代表的なペプチド又はペプチド模倣薬としては、インテグリンターゲッティングペプチド(RGDペプチド)、LHRH受容体ターゲッティングペプチド、ErbB2(HER2)受容体ターゲッティングペプチド、前立腺特異的膜結合抗原(PSMA)ターゲッティングペプチド、リポタンパク質受容体LRP1ターゲッティング、ApoEタンパク質由来ペプチド、ApoAタンパク質ペプチド、ソマトスタチン受容体ターゲッティングペプチド、クロロトキシン由来ペプチド、及びボンベシンが挙げられる。
【0309】
具体的な実施形態において、ペプチド又はペプチド模倣薬は、LHRH受容体ターゲッティングペプチド及びErbB2(HER2)受容体ターゲッティングペプチドである。
【0310】
代表的なタンパク質には、インスリン、トランスフェリン、フィブリノーゲンγ断片、トロンボスポンジン、クローディン、アポタンパク質E、Affibody分子、例えばABY-025、アンキリン反復タンパク質、アンキリン様反復タンパク質、及び合成ペプチドが含まれる。
【0311】
本発明のいくつかの実施形態において、タンパク質−薬物−高分子コンジュゲートには、HER2の細胞表面マーカーと組合わせて広域細胞毒、例えばパーツズマブ又はトラスツズマブなど;EGFRに関して、セツキシマブなど;CEAに関して、ラベツズマブなど;CD20に関して、リツキシマブなど;VEGF-Aに関して、ベバシズマブなど;CD-22に関して、エプラツズマブ又はベルツズマブなどを含んでなる。
【0312】
本発明の他の実施形態において、本発明で使用されるタンパク質−薬物−高分子コンジュゲート又はタンパク質−高分子コンジュゲートには、2以上のタンパク質ベースの認識分子の組合わせ、例えば、腫瘍細胞上のEGF受容体(EGFR)と、T細胞上のCD3及びCD28に対する二重特異性抗体の組合わせ;抗体、或いはFab、Fab2、scFv又はラクダ抗体重鎖フラグメント由来の抗体と、ペプチド又はペプチド模倣体の組合わせ;抗体、或いはFab、Fab2、scFv又はラクダ抗体重鎖フラグメント由来の抗体と、タンパク質の組合わせ;2つの二重特異性抗体、例えばCD3xCD19やCD28xCD22二重特異性抗体などの組合わせが含まれる。
【0313】
次の表Cは、本明細書中に記載した(本発明の高分子−薬物−タンパク質コンジュゲート又は高分子−PBRM足場を形成するための結合に好適である)PBRMのより多くの例を提供する。
表C
【0314】
【表11-1】
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【表11-2】
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【0315】
リンカー(L
D及びL
P)
先に記載したように、薬物又はPBRMは、リンカーL
D又はL
Pを介して高分子担体に結合される。いくつかの実施形態において、リンカーは、リンカーの開裂によって高分子ユニットから細胞内環境に薬物又はPBRMを放出するように、細胞内環境下で生体切断性又は生分解性である。
【0316】
リンカーは、薬物又はPBRMと高分子が互いに化学的に結合される(例えば、共有結合)ように、化学結合を通して、高分子主鎖に薬物又はPBRMを連結することが可能であるあらゆる化学部分である。いくつかの実施形態において、リンカーは、生分解性リンカー部分(例えば、エステル又はアミド結合などの生分解性結合)を含んでなる。
【0317】
他の実施形態において、リンカーL
D又はL
Pは、温和条件、すなわち、薬物の活性が影響を受けない細胞内の条件下で生分解性である。適した生分解性リンカー部分の例としては、ジスルフィドリンカー、酸性不安定リンカー、光解離性リンカー、ペプチダーゼ不安定リンカー、及びエステラーゼ不安定リンカーが挙げられる。
【0318】
いくつかの実施形態において、リンカーL
D又はL
Pは、還元条件下で生体切断性である(例えば、ジスルフィドリンカー)。この実施形態において、薬物又はPBRM部分は、ジスルフィド結合を通して高分子に連結される。リンカー分子は薬物と反応し得る反応性化学基を含んでなる。薬物又はPBRM部分との反応のための好ましい反応性化学基は、N-スクシンイミジルエステルやN-スルホスクシンイミジルエステルである。さらに、リンカー分子は、反応性化学基、好ましくは薬物と反応して、ジスルフィド結合を形成できるジチオピリジル群を含んでなる。いくつかの実施形態において、リンカー分子としては、例えば、N-スクシンイミジル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ブタナート(SPDB)、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ペンタノアート(SPP)、N-スクシンイミジル-S-アセチルチオアセタート(SATA)、及びN-スクシンイミジル-オキシカルボニル-α-メチル-α-(2-ピリジルジチオ)トルエン又は2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-(4-(1-(ピリジン-2-イルジスルファニル)エチル)ベンゾアート(SMPT)が挙げられる。
【0319】
他の実施形態において、生体切断性リンカーL
D又はL
Pは、pH感受性である、すなわち、特定のpH値において加水分解に対して感応性である。典型的には、pH感受性リンカーは、酸性条件下で加水分解性である。例えば、リソソーム又はエンドソーム(例えば、ヒドラゾン、セミカルバゾン、チオセミカルバゾン化合物、cis-アコニットアミド、オルトエステル、アセタール、ケタールなど)中で加水分解性である酸性不安定リンカーが使用できる。こうしたリンカーは、血中条件などの中性pH条件下で比較的安定しているが、pH5.5又は5.0を下回る、ほぼリソソームのpHにおいて不安定である。ある実施形態において、加水分解性リンカーは、チオエーテルリンカー(例えば、アシルヒドラゾン結合を介して治療薬に結合されたチオエーテル)である。
【0320】
他の実施形態において、リンカーL
D又はL
Pは、光解離性であり、光が届く体表や多くの体腔において有用である。さらに、L
D又はL
Pは、組織を貫通できる赤外光で生体切断性である。従って、L
D又はL
Pは、体表と組織の両方における適用に有用である。
【0321】
いくつかの実施形態において、リンカーL
D又はL
Pは、(例えば、リソソーム、エンドソーム又はカベオラ内の)細胞内環境で存在している切断作用物質によって生体切断性である。リンカーは、例えば、これだけに限定されるものではないが、リソソーム又はエンドソームプロテアーゼを含めた細胞内ペプチダーゼ又はプロテアーゼ酵素によって切断されるペプチジルリンカーであり得る。
【0322】
いくつかの実施形態において、リンカーL
D又はL
Pは、エステラーゼによって切断される。特定のエステルだけが、細胞内又は細胞外に存在しているエステラーゼによって切断され得る。エステルは、カルボン酸とアルコールの縮合によって形成される。単純エステルは、例えば、脂肪族アルコールなどの単純アルコール、及び小員環や低分子芳香族アルコールなどから生じるエステルである。
【0323】
更に他の実施形態において、リンカーL
D又はL
Pは、生体切断性でなく、薬物は抗体分解によって放出される。例えば、米国特許第7,498,298号を参照のこと(この文献の全体をあらゆる目的のために、参照により本明細書中に援用する)。
【0324】
典型的に、リンカーL
D又はL
Pは、実質的に細胞外環境に対して感受性でない。本明細書中に使用される場合、「細胞外環境に対して実質的に感受性でない」とは、リンカーとの関連において、高分子−薬物コンジュゲートが細胞外環境(例えば、血漿中)に24時間存在したときに、高分子−薬物コンジュゲートのサンプル中のリンカーの約20%未満、典型的に約15%未満、より典型的に約10%未満、よりいっそう典型的に約5%未満、約3%未満、又はの約1%未満しか切断されないことを意味する。リンカーが実質的に細胞外環境に感受性であるかどうかは、例えば、所定の期間(例えば、2、4、8、16又は24時間)高分子−薬物コンジュゲートを血漿と一緒にインキュベートし、次いで、血漿中に存在する遊離した薬物の量を定量することによって判定できる。
【0325】
実施形態において、リンカーL
Dは、次の構造:
-R
L1-C(=O)-X
D-M
D1-Y
D-M
D2-Z
D-M
D3-Q
D-M
D4-
(構造中、R
L1は、高分子担体の酸素原子に結合され、そして、M
D4は、送達すべき薬物分子に結合される)
を有する。
【0326】
実施形態において、L
Pは、次の構造:
-R
L2-C(=O)-X
P-M
P1-Y
P-M
P2- Z
P-M
P3-Q
P-M
P4-
(式中、R
L2は、高分子担体の酸素原子に結合され、そして、M
P4は、PBRMに結合される)
を有するリンカーである。
【0327】
例えば、各R
L1及びR
L2は独立して、存在しない、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールである。
【0328】
例えば、各R
L1及びR
L2は独立して、存在しない、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、又はヘテロシクロアルキルである。
【0329】
例えば、R
L1は、存在しない。
【0330】
例えば、R
L2は、存在しない。
【0331】
例えば、各X
D及びX
Pは独立して、-O-、-S-、-N(R
1)-、又は存在しない(式中、R
1は、水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、炭素環、又はヘテロシクロアルキル部分、-C(=O)R
1B、-C(=O)OR
1B、又は-SO
2R
1Bであるか又は-N(R
1)-は、複素環部分である(式中、R
1Bは、水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、炭素環、又はヘテロシクロアルキルである))。
【0332】
例えば、各Y
D、Y
P、Z
D、Z
P、Q
D、及びQ
Pは独立して、存在しないか、又は次の:-S-S-、-C(=O)O-、-C(=O)NR
2-、-OC(=O)-、-NR
2C(=O)-、-OC(=O)O-、-OC(=O)NR
2-、-NR
2C(=O)O-、-NR
2C(=O)NR
3-、-C(OR
2)O-、-C(OR
2)S-、-C(OR
2)NR
3-、-C(SR
2)O-、-C(SR
2)S-、-C(SR
2)NR
3-、-C(NR
2R
3)O-、-C(NR
2R
3)S-、-C(NR
2R
3)NR
4-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-SC(=O)S-、-OC(=O)S-、-SC(=O)O-、-C(=S)S-、-SC(=S)-、-OC(=S)-、-C(=S)O-、-SC(=S)O-、-OC(=S)S-、-OC(=S)O-、-SC(=S)S-、-C(=NR
2)O-、-C(=NR
2)S-、-C(=NR
2)NR
3-、-OC(=NR
2)-、-SC(=NR
2)-、-NR
3C(=NR
2)-、-NR
2SO
2-、-NR
2NR
3-、-C(=O)NR
2NR
3-、-NR
2NR
3C(=O)-、-OC(=O)NR
2NR
3-、-NR
2NR
3C(=O)O-、-C(=S)NR
2NR
3-、-NR
2NR
3C(=S)-、-C(=NR
4)NR
2NR
3-、-NR
2NR
3C(=NR
4)-、-O(N=CR
3)-、-(CR
3=N)O-、-C(=O)NR
2-(N=CR
3)-、-(CR
3=N)-NR
2C(=O)-、-SO
3-、-NR
2SO
2NR
3-、-SO
2NR
2-、及びポリアミド(式中、R
2、R
3、及びR
4の各存在は独立して、水素若しくは脂肪族、ヘテロ脂肪族、炭素環、又は複素環部分であるか、或いは-NR
2-又は-NR
2NR
3-の各存在は、ヘテロシクロアルキル部分である)から成る群から選択される生分解性リンカー部分である。
【0333】
例えば、各M
D1、M
D2、M
D3、M
D4、M
P1、M
P2、M
P3、及びM
P4は独立して、存在しないか、又はアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びその組合わせから成る群から選択される非生分解性リンカー部分であり、且つ各M
D1、M
D2、M
D3、M
P1、M
P2、及びM
P3は、任意には1又は2以上の-(C=O)-を含むが、しかし、先に触れた生分解性リンカー残基のいずれも含んでいない。
【0334】
例えば、各M
D1、M
D2、M
D3、M
D4、M
P1、M
P2、M
P3、及びM
P4は独立して、C
1-6アルキル、C
1-6アルキル-C(O)-C
0-6アルキル、C
1-6アルキル-NH-C
0-6アルキル、C
1-6アルキル-O-C
0-6アルキル、C
1-6アルキル-S-C
0-6アルキル、C
1-6アルキル-C(O)-C
1-6アルキル-NH、C
1-6アルキル-C(O)-C
1-6アルキル-O、C
1-6アルキル-C(O)-C
1-6アルキル-S、C
3-10シクロル-C(O)-C
0-6アルキル、3-19員ヘテロシクロアルキル-C(O)-C
0-6アルキル、アリール-C(O)-C
0-6アルキル、(CH
2CH
2O)
1-12などである。
【0335】
例えば、各L
Dにおいて、X
Dが存在しないとき、M
D1は存在する。
【0336】
例えば、各L
Pにおいて、X
Pが存在しないとき、M
P1は存在する。
【0337】
例えば、各L
Dにおいて、X
D、Y
D、Z
D、及びQ
Dの少なくとも1つは存在する。
【0338】
例えば、各L
Pにおいて、X
P、Y
P、Z
P、及びQ
Pの少なくとも1つは存在する。
【0339】
例えば、各M
D1及びM
P1は独立して、C
1-6アルキル又はC
1-6ヘテロアルキルである。
【0340】
例えば、各M
D2、M
D3、M
D4、M
P2、M
P3、及びM
P4は独立して、存在しないか、C
1-6アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、又はその組合わせである。
【0341】
例えば、L
Dにおいて、各M
D2、M
D3、及びM
D4の多くとも2つが存在しない。
【0342】
例えば、各L
Pにおいて、M
P2、M
P3、及びM
P4の多くとも2つが存在しない。
【0343】
例えば、各L
Dにおいて、M
D2とM
D3の一方が、次の構造の1つを有する:
【化95】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、qは、0〜12の整数であり、各p及びtは独立して、0〜3のの整数であり、そして、M
D2又はM
D3のもう片方は、存在しないか、又は先のものとは異なる部分、例えばC
1-6アルキルなどである)。
【0344】
例えば、各L
Pにおいて、M
P2とM
P3の一方は、次の構造の1つを有する:
【化96】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、qは、0〜12の整数であり、各p及びtは独立して、0〜3のの整数であり、そして、M
P2又はM
P3のもう片方は、存在しないか、又は先のものとは異なる部分、例えばC
1-6アルキルなどである)。
【0345】
例えば、pは2である。
【0346】
例えば、qは、0又は12である。
【0347】
例えば、tは、0又は1である。
【0348】
例えば、各-M
D2-Z
D-、-Z
D-M
D3、-Z
D-M
D2、又は-M
D3-Z
D-は独立して、次の構造の1つを有する:
【化97】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、環A又はBは独立して、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルであり;R
Wは、脂肪族、ヘテロ脂肪族、炭素環、又はヘテロシクロアルキル部分であり;R
1Jは、水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、炭素環、又はヘテロシクロアルキル部分であり;そして環Dは、ヘテロシクロアルキルである)。
【0349】
例えば、各-M
P2-Z
P-、-Z
P-M
P3-、-Z
P-M
P2-、及び-M
P3-Z
P-は独立して、次の構造の1つを有する:
【化98】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、環Aは、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルであり、そして、R
1Jは、水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、炭素環、又はヘテロシクロアルキル部分である)。
【0350】
例えば、環Aは、5-19員ヘテロシクロアルキル、例えば
【化99】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0351】
例えば、環AはC
3-8シクロアルキルである。
【0352】
例えば、環Dは、ピペラジニル又はピペリジニルである。
【0353】
例えば、R
Wは、C
1-6アルキルである。
【0354】
例えば、R
1Jは、水素又はC
1-6アルキルである。
【0355】
例えば、Z
Dは、
【化100】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0356】
例えば、Z
Pは、
【化101】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0357】
例えば、X
Dは、存在しないか、O又はNHである。
【0358】
例えば、X
Pは、存在しないか、O又はNHである。
【0359】
例えば、各X
D及びX
Pは独立して、
【化102】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0360】
例えば、各Y
D及びY
Pは独立して、-S-S-、-OCO-、-COO-、-CONH-又は-NHCO-である。
【0361】
例えば、各Q
D及びQ
Pは独立して、存在しないか、-S-S-、-OCO-、-COO-、-CONH-、-NHCO-、-OCONHNH-、又は-NHNHCOO-である。
【0362】
例えば、-L
D-Dは、次の構造のうちの1つを有するが、ここで、波形の結合は、D(すなわち、薬物)が直接又は別の部分を介して官能性リンカーに接続されることを示している。
【化103-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化103-2】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R
80は、CH
2、-NH、又は酸素であり;そして、R
82は、-NH又は酸素である)。
【0363】
例えば、高分子担体L
P-PBRMは、次の構造のうちの1つを有し得る:
【化104-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化104-2】
[この文献は図面を表示できません]
【化104-3】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
R
80は、CH
2、NH又は酸素であり;
R
81は、
【化105】
[この文献は図面を表示できません]
である)。
【0364】
生体切断性リンカーが本発明に好ましくは使用されている一方で、非生体切断性リンカーもまた、先に記載したコンジュゲートを作り出すのに使用できる。非生体切断性リンカーは、薬物又はPBRMを安定な状態で、共有結合様式で高分子に連結することが可能であるあらゆる化学部分である。これにより、非生体切断性リンカーは、薬物又は高分子が活性を維持する条件下で酸誘発切断、光誘発切断、ペプチダーゼ誘発切断、エステラーゼ誘発切断、及び/又はジスルフィド結合切断に対して実質的に耐性である。
【0365】
一実施形態において、タンパク質−高分子−薬物コンジュゲートがタンパク質−高分子−薬物コンジュゲートのPBRMに特異的な細胞表面受容体と共に細胞に入り、そして、タンパク質−高分子−薬物コンジュゲートが細胞に入った際に、薬物部分がタンパク質−高分子−薬物コンジュゲートから切断されるまで、薬物部分の相当量はコンジュゲートから切断されない。
【0366】
もう1つの実施形態において、タンパク質−高分子−薬物コンジュゲート又は対象におけるタンパク質−高分子−薬物コンジュゲートの細胞内代謝産物の生物学的利用能は、薬物化合物又はタンパク質−高分子−薬物コンジュゲートの薬物部分を含んでいるコンジュゲートと比較して、或いは薬物部分を持っていないの類似体と比較して、改善される。
【0367】
もう1つの実施形態において、薬物部分は、タンパク質−高分子−薬物コンジュゲートからの対象において細胞内で切断されるか、又はタンパク質−高分子−薬物コンジュゲートの細胞内代謝産物である。
【0368】
コンジュゲート又は高分子足場
本発明のコンジュゲートは、1又は2以上のDの存在を含んでなり、ここで、Dは、治療薬、例えば、薬物であり、式中、1又は2以上のDの存在は、同じであっても、異なっていてもよい。
【0369】
他のある実施形態において、1又は2以上のPBRMの存在は、高分子担体に結合され、式中、1又は2以上のPBRMの存在は、同じであっても、異なっていてもよい。他のある実施形態において、1又は2以上のDの存在を含む1又は2以上の高分子担体は、PBRM(例えば、抗体)に結合される。
【0370】
先により一般に議論されたとおり、ある実施形態において、各高分子担体は独立して、約0.1〜約25%、より好ましくは約0.5〜約20%、より好ましくは約1〜約15%、そして、よりいっそう好ましくは約2〜約10%のDを含めたモノマーを含む。
【0371】
ある実施形態において、本願発明のコンジュゲートは、式(I)のものである:
【化106】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
各n、n
1、n
2、n
3、及びn
4は、0〜1の範囲の対応する高分子ユニットのモル分率であり;n+n
1+n
2+n
3+n
4=1である;但し、n、n
2、及びn
4のどれも0ではない)。
【0372】
例えば、n
2とn
4の間の比は、1:1より大きく、且つ≦200:1である。
【0373】
例えば、n
2とn
4の間の比は、10:1〜50:1である。
【0374】
例えば、n
2とn
4の間の比は、30:1〜50:1である。
【0375】
例えば、n
2とn
4の間の比は、約50:1、25:1、10:1、5:1又は2:1である。
【0376】
ある実施形態において、コンジュゲートは、数工程で形成される。これらの工程には、(1)薬物又はその誘導体の官能基と反応し得る官能基を含むように高分子を修飾する工程;(2)修飾高分子を薬物又はその誘導体を、薬物が高分子に連結されるように反応させる工程;(3)PBRM又はその誘導体の官能基と反応し得る官能基を高分子が含むように高分子−薬物コンジュゲートを修飾する工程;そして(4)修飾した高分子−薬物コンジュゲートをPBRM又はその誘導体と反応させて、本願発明のコンジュゲートを形成する工程を含んでいる。工程(1)で生じた修飾した高分子が、PBRM又はその誘導体の官能基と反応し得る官能基を含んでいれば、工程(3)が除かれてもよい。
【0377】
もう1つの実施形態において、コンジュゲートは、次の数工程:(1)高分子が第一の薬物又はその誘導体の官能基と反応し得る官能基を含むように、高分子を修飾する工程;(2)第一の薬物が高分子に連結されるように、修飾高分子を第一の薬物又はその誘導体と反応させる工程;(3)それが第二の薬物又はその誘導体の官能基と反応し得る異なった官能基を含むように、高分子−薬物コンジュゲートを修飾する工程;(4)第二の薬物が高分子−薬物コンジュゲートに連結されるように、修飾した高分子−薬物コンジュゲートを第二の薬物又はその誘導体と反応させる工程;(5)高分子がPBRM又はその誘導体の官能基と反応し得る官能基を含むように、2つの異なった薬物を有する高分子−薬物コンジュゲートを修飾する工程;そして(6)工程(5)の修飾した高分子−薬物コンジュゲートをPBRM又はその誘導体と反応させて、本願発明のコンジュゲートを形成する工程において形成される。2つの異なった薬物及び2つの異なったPBRMを含んでなる高分子−薬物コンジュゲートを形成するために、2つの異なるPBRM又はその誘導体が結合されるのであれば、工程(5)及び(6)が繰り返されてもよい。
【0378】
更にもう1つの実施形態において、コンジュゲートは、次の数工程:(1)高分子が薬物又はその誘導体の官能基と反応し得る官能基を含むように、高分子を修飾する工程;(2)高分子がPBRM又はその誘導体の官能基と反応し得る官能基を含むように、高分子を更に修飾する工程;(3)薬物が高分子に連結されるように、修飾した高分子を薬物又はその誘導体と反応させる工程;(4)修飾した高分子−薬物コンジュゲートをPBRM又はその誘導体と反応させて、本願発明のコンジュゲートを形成する工程において形成される。工程(3)と(4)又は工程(1)と(2)の順序は、逆にもできる。さらに、修飾した高分子が薬物又はその誘導体の官能基とPBRM又はその誘導体の官能基の両方と反応し得る官能基を含んでいるのであれば、工程(1)又は(2)のいずれかが除かれてもよい。
【0379】
もう1つの実施形態において、コンジュゲートは、次の数工程:(1)第一の薬物又はその誘導体の官能基と反応し得る官能基を含むように、高分子を修飾する工程;(2)高分子がPBRM又はその誘導体の官能基と反応し得る官能基を含むように、高分子を更に修飾する工程;(3)第一の薬物が高分子に連結されるように、修飾高分子を第一の薬物又はその誘導体と反応させる工程;(4)それが第二の薬物又はその誘導体の官能基と反応し得る異なった官能基を含むように、高分子−薬物コンジュゲートを修飾する工程;(5)第二の薬物が高分子−薬物コンジュゲートに連結されるように、修飾した高分子−薬物コンジュゲートを第二の薬物又はその誘導体と反応させる工程;(6)PBRM又はその誘導体を伴った高分子が本願発明のコンジュゲートを形成するように、2つの異なる薬物を含んでなる修飾した高分子−薬物コンジュゲートを反応させる工程において形成される。2つの異なったPBRM又はその誘導体が2つの異なった薬物及び2つの異なったPBRMを含んでなる高分子−薬物コンジュゲートを形成するために結合されるのであれば、工程(6)が繰り返されてもよい。修飾した高分子が2つの異なった薬物又はその誘導体と反応し得る2つの異なった官能基を含むように、工程(4)が工程(1)の後に実施されてもよい。この実施形態において、2つの異なった薬物又はその誘導体と反応し得る2つの異なった官能基を含んでなる修飾した高分子は、修飾した高分子と2つの異なった薬物(工程(3)及び工程(5))又はPBRM(工程(6))のいずれかとの反応前に;その高分子がPBRM又はその誘導体の官能基と反応し得る官能基を含むように、更に修飾され得る。
【0380】
本発明の生分解性、生体適合性コンジュゲートは、生体分解性及び親水性の所望の要求基準に合うように製造することができる。たとえば、生理学的条件下で、生体分解性と安定性との間のバランスに達することができる。たとえば、ある閾値を超える分子量(分子の物理的形状に依るが、一般的に40〜100kDaを超える)を持つ分子は、腎臓を介して排泄せず、一方、低分子は、細胞による摂取及び細胞内区画、最も著しくはリソソームにおける分解を通してのみ体から除去することは知られている。この観察は、一般的な生理学的条件(pH=7.5±0.5)及びリソソームpH(pH約5)下で、それらの安定性を調整することによって、いかに機能的に安定な生分解性材料を設計できるかを実証する。たとえば、アセタール及びケタール基の加水分解には酸の触媒作用が働くため、ポリアルは、一般的に、酸性リソソーム環境では、たとえば、血漿中より不安定なことが知られている。当業者は、水性媒体中、たとえば、pH=5及びpH=7.5、37℃で、高分子分解プロファイルを比較し、したがって、正常な生理学的環境、細胞による摂取後の「消化性」リソソーム区画における、高分子安定性の期待バランスを測定する検査を設計できる。そのような検査における高分子完全性は、サイズ排除HPLCによって測定することができる。当業者は、本発明の分解したコンジュゲートの種々の断片を研究する、他の適切な方法を選択することができる。
【0381】
多くの場合、pH=7.5での高分子の有効サイズは、1〜7日では検出できるほど変化せず、少なくとも数週間は元のサイズから50%以内のサイズを保つことが好ましいであろう。一方、pH=5での高分子は、1〜5日で検出できるほど分解し、2週間から数ヶ月の時間枠で、低分子量完全に断片に移行するのが好ましい。より速い分解が好ましい場合もあるが、一般的には、高分子は細胞による高分子片の代謝又は排泄速度を超えない速度で、細胞内で分解するのがより望ましい。したがって、ある実施形態では、本発明のコンジュゲートは、特に細胞による摂取の際、生分解性であり、生体系に関して比較的「非活性」であることが期待される。キャリア分解性生物は、変化せず、環境のpHを大きくシフトしないことが好ましい。アルコール基が大量であると、細胞レセプター、特に食細胞による高分子の認識速度が低下するかもしれないと考えられている。本発明の高分子骨格は、一般的に、抗原決定因子(特性たとえば、ある多糖類及びポリペプチド用)を、たとえあっても殆ど含まず、一般的に、後で望まれない限り、生体内で「キーインロック」型の相互作用に従事しうる硬い構造は含まない。したがって、本発明の可溶性、架橋された個体コンジュゲートは、数種の生物医学的応用に適切なコンジュゲートを造る、低毒性及びバイオ接着性を持つことが推定できる。
【0382】
本発明のある実施形態では、生分解性、生体適合性コンジュゲートは、直鎖又は分岐状の構造を形成することができる。たとえば、本発明の該生分解性、生体適合性ポリアルコンジュゲートは、キラル(光学的に活性)でありうる。場合によっては、本発明の生分解性、生体適合性ポリアルコンジュゲートは、ラセミ形でもありうる。
【0383】
ある実施形態では、本発明のコンジュゲートは、水溶性である。ある実施形態では、本発明のコンジュゲートは水不溶性である。ある実施形態では、コンジュゲートは、個体形状である。ある実施形態では、本発明のコンジュゲートはコロイドである。ある実施形態では、本発明のコンジュゲートは、粒状の形態である。ある実施形態では、本発明のコンジュゲートは、ゲル状である。ある実施形態では、本発明のコンジュゲートは、繊維状である。ある実施形態では、本発明のコンジュゲートはフィルム状である。
【0384】
本願発明はまた、本明細書中に記載した高分子−薬物−PBRMコンジュゲートを形成するためにPBRMと結合することに有効である高分子足場を特徴とする。足場は、高分子担体、高分子担体に結合された1又は2以上の-L
D-D、及び高分子担体に結合され、PBRMを高分子担体へ結合することに適した1又は2以上のL
Pを含んでなり、
Dの各存在は独立して、分子量 ≦5kDaを有する治療薬であり;
上記高分子担体は、ポリアセタール又はポリケタルであり;
L
Dは、構造:
【化107】
[この文献は図面を表示できません]
(構造中、
R
L1は、高分子担体の酸素原子に結合され、且つL
D1は、Dに結合され、
【化108】
[この文献は図面を表示できません]
は、DからL
D1への直接又は間接的な結合であり、L
Dは、生分解性結合を含有し、該結合が切断される場合、Dがその目的の治療効果のための活性型で高分子担体から放出され;
L
D1は、カルボニル含有部分である)
を有するリンカーであり;
L
Pは、L
Dと異なり、構造:-R
L2-C(=O)-L
P1(構造中、R
L2は、高分子担体の酸素原子に結合され、L
P1は、直接的又は間接的にPBRMに結合することに適する)
を有するリンカーであり;
各R
L1及びR
L2は独立して、存在しない、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、又はヘテロシクロアルキルであり;そして
L
P1は、PBRMの官能基との共有結合を形成することが可能である官能基を含む部分である。
【0385】
例えば、L
Pは、構造:
【化109】
[この文献は図面を表示できません]
(構造中、
L
P2は、PBRMの官能基との共有結合を形成することが可能である官能基を含む部分であり、
【化110】
[この文献は図面を表示できません]
は、L
P2からのL
D1への直接又は間接的な結合である)
を有するリンカーである。
【0386】
例えば、L
P1又はL
P2の官能基は、-SR
p、-S-S-LG、マレイミド、及びハロゲンから選択され、式中、LGは脱離基であり、R
pはH又は硫黄保護基である。
【0387】
例えば、L
D1は、-X-(CH
2)
v-C(=O)-を含んでなり、XはR
L1-C(=O)のカルボニル基に直接結合され、Xは、CH
2、O、又はNHであり、vは1〜6の整数である。
【0388】
例えば、L
P1又はL
P2は、生分解性結合を含有する。
【0389】
例えば、R
L1及びR
L2は、各々存在しない。
【0390】
例えば、本発明の足場の高分子担体は、ポリアセタール、例えば、約2kDa〜約300kDaの範囲の分子量(すなわち、修飾されていないPHFのMW)を有するPHFである。特定のMW範囲を有する高分子担体の選択は、結合されるPBRMのサイズに依存し得る。
【0391】
例えば、本発明の足場の高分子担体は、40kDa又はそれ以上の例えば、80kDa又はそれ以上の)の分子量を有するPBRMを結合するための、ポリアセタール、例えば、約2kDa〜約40kDaの範囲の分子量(すなわち、修飾されていないPHFのMW)(例えば、約6-20kDa又は約8-15kDa)を有するPHFである。
【0392】
例えば、本発明の足場の高分子担体は、200kDa又はそれ以下(例えば、80kDa又はそれ以下)の分子量を有するPBRMを結合するための、ポリアセタール、例えば、約20kDa〜約300kDaの範囲の分子量(すなわち、修飾されていないPHFのMW)(例えば、約40-150kDa又は約50-100kDa)を有するPHFである。
【0393】
例えば、前記足場は、式(Ia):
【化111】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
mは、1〜約2200の整数であり、
m
1は、1〜約660の整数であり、
m
2は、1〜約300の整数であり、
m
3は、1〜約110の整数であり、
m、m
1、m
2及びm
3の合計が、約15〜約2200の範囲である)
の足場である。
【0394】
例えば、式(Ia)におけるPHFが約2kDa〜約40kDaの範囲の分子量を有する(すなわち、m、m
1、m
2、及びm
3の合計が15〜300の範囲である)とき、m
2は1〜40の整数であり、m
3は1〜18の整数であり、及び/又はm
1は1〜140の整数である(例えば、m
1は1-90である)。
【0395】
例えば、式(Ia)におけるPHFが約6kDa〜約20kDaの範囲の分子量を有する(すなわち、m、m
1、m
2、及びm
3の合計が約45〜約150の範囲である)とき、m
2は2〜約20の整数であり、m
3は1〜約9の整数であり、及び/又はm
1は1〜約75の整数である(例えば、m
1は約4-45である)。
【0396】
例えば、式(Ia)におけるPHFが約8kDa〜約15kDaの範囲の分子量を有する(すなわち、m、m
1、m
2及びm
3の合計が60〜110の範囲である)とき、m
2は2〜約15の整数であり、m
3は1〜約7の整数であり、及び/又はm
1は1〜約55の整数である(例えば、m
1は約4-30である)。
【0397】
例えば、式(Ia)におけるPHFが20kDa〜300kDaの範囲の分子量を有する(すなわち、m、m
1、m
2、及びm
3の合計が約150〜2200の範囲である)とき、m
2は3〜約300の整数であり、m
3は1〜約110の整数であり、及び/又はm
1は1〜約660の整数である(例えば、m
1は約10-250である)。
【0398】
例えば、式(Ia)におけるPHFが40kDa〜150kDaの範囲の分子量を有する(すなわち、m、m
1、m
2、及びm
3の合計が約300〜1100の範囲である)とき、m
2は4〜約150の整数であり、m
3は1〜約75の整数であり、及び/又はm
1は1〜約330の整数である(例えば、m
1は約15-100である)。
【0399】
例えば、式(Ia)におけるPHFが約50kDa〜約100kDaの範囲の分子量を有する(すなわち、m、m
1、m
2、及びm
3の合計が約370〜約740の範囲である)とき、m
2は5〜約100の整数であり、m
3は1〜約40の整数であり、及び/又はm
1は1〜約220の整数である(例えば、m
1は約15-80である)。
【0400】
例えば、前記足場は、L
Pを介して高分子担体に結合されたPBRMをさらに含んでなる。
【0401】
例えば、1又は2以上のPBRMが、1つの薬物を運搬する高分子担体に結合される。
【0402】
例えば、前記足場(例えば、PBRM−高分子−薬物コンジュゲート)は、式(Ib):
【化112】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
L
P2とPBRMとの間の
【化113】
[この文献は図面を表示できません]
が、PBRMのL
P2への直接又は間接的な結合であり、
PBRMの各存在が独立して、200kDa未満の分子量を有し、
mは1〜約2200までの整数であり、
m
1は1〜約660の整数であり、
m
2は3〜約300の整数であり、
m
3は0〜約110の整数であり、
m
4は1〜約60の整数であり、
m、m
1、m
2、m
3及びm
4の合計が、約150〜約2200の範囲である)
の足場である。
【0403】
例えば、式(Ib)では、m
1は約10〜約660の整数(例えば、10-250)である。
【0404】
例えば、式(Ib)におけるPHFが40kDa〜150kDaの範囲の分子量を有する(すなわち、m、m
1、m
2、m
3、及びm
4の合計が約300〜1100の範囲である)とき、m
2は4〜約150の整数であり、m
3は1〜約75の整数であり、m
4は1〜約30の整数であり、及び/又はm
1は1〜約330の整数である(例えば、m
1は約10-330又は15-100である)。
【0405】
例えば、式(Ib)におけるPHFが約50kDa〜約100kDaの範囲の分子量を有する(すなわち、m、m
1、m
2、m
3、及びm
4の合計が約370〜約740の範囲である)とき、m
2は5〜約100の整数であり、m
3は1〜約40の整数であり、m
4は1〜約20の整数であり、及び/又はm
1は1〜約220の整数である(例えば、m
1は約15-80である)。
【0406】
或いは又はさらに、1又は2以上の薬物を運搬する高分子担体は、1つのPBRMに結合される。例えば、前記足場(例えば、PBRM−高分子−薬物コンジュゲート)は、40kDa以上の分子量を有するPBRM、及びPBRMに結合された1又は2以上のD運搬高分子担体を含んでなり、D運搬高分子担体の各々が独立して、式(Ic):
【化114】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
L
P2に結合された末端
【化115】
[この文献は図面を表示できません]
が、L
P2のPBRMへの直接又は間接的な結合であり、これによりD運搬高分子担体がPBRMに結合され、
mは1〜300の整数であり、
m
1は1〜140の整数であり、
m
2は1〜40の整数であり、
m
3は0〜18の整数であり、
m
4は1〜10の整数であり、
m、m
1、m
2、m
3、及びm
4の合計が、15〜300の範囲であり、
但し、PBRMに結合されたL
P2の総数が10又はそれ以下である)
の担体である足場である。
【0407】
例えば、式(Ic)において、m
1は1〜約120の整数(例えば、1-90)であり、及び/又はm
3は1〜約10の整数(例えば、1-8)である。
【0408】
例えば、式(Ic)におけるPHFが約6kDa〜約20kDaの範囲の分子量を有する(すなわち、m、m
1、m
2、m
3、及びm
4の合計が約45〜約150の範囲である)とき、m
2は2〜約20の整数であり、m
3は1〜約9の整数であり、及び/又はm
1は1〜約75の整数である(例えば、m
1は約4-45である)。
【0409】
例えば、式(Ic)におけるPHFが約8kDa〜約15kDaの範囲の分子量を有する(すなわち、m、m
1、m
2、m
3、及びm
4の合計が約60〜約110の範囲である)とき、m
2は2〜約15の整数であり、m
3は1〜約7の整数であり、及び/又はm
1は1〜約55の整数である(例えば、m
1は約4-30である)。
【0410】
もう一つの態様において、本発明は、タンパク質ベースの認識分子(PBRM)と治療薬(D)の両方と結合することに有効である高分子足場を特徴とする。D未結合足場は、高分子担体、PBRMを高分子担体に結合することに適した、高分子担体に結合された1又は2以上のL
P、及びR
L1を介して高分子担体に結合された1又は2以上の-R
L1-C(=O)-L
D1を含んでなり、
高分子担体は、ポリアセタール又はポリケタルであり、
R
L1は、高分子担体の酸素原子に結合され、
L
D1は、D分子を高分子担体に結合することに適したリンカーであり、Dの各存在が独立して分子量 ≦5kDaを有する治療薬であり、
L
Pは、-R
L1-C(=O)-L
D1と異なり、且つ構造:-R
L2-C(=O)-L
P1
(構造中、
R
L2は、高分子担体の酸素原子に結合され、L
P1は、PBRMに結合することに適する)
を有するリンカーであり、
R
L1及びR
L2は各々独立して、存在しない、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、又はヘテロシクロアルキルであり、
L
D1は、Dの官能基との共有結合を形成することが可能である官能基を含む部分であり、L
P1は、PBRMの官能基との共有結合を形成することが可能である官能基を含む部分である。
【0411】
例えば、PBRMとD結合することに有効であるD未結合足場は、以下の特徴のうちの1又は2以上を有し得る。
【0412】
例えば、L
Pは、構造:
【化116】
[この文献は図面を表示できません]
(構造中、
L
P2は、PBRMの官能基との共有結合を形成することが可能である官能基を含む部分であり、
【化117】
[この文献は図面を表示できません]
は、L
P2からのL
D1への直接又は間接的な結合である)
を有するリンカーである。
【0413】
例えば、L
P1又はL
P2の官能基は、-SR
p、-S-S-LG、マレイミド、及びハロゲンから選択され、式中、LGは脱離基であり、R
pはH又は硫黄保護基である。
【0414】
例えば、L
D1は、-X-(CH
2)
v-C(=O)-を含んでなり、XはR
L1-C(=O)のカルボニル基に直接結合され、Xは、CH
2、O、又はNHであり、vは1〜6の整数である。
【0415】
例えば、L
P1又はL
P2は、生分解性結合を含有する。
【0416】
例えば、R
L1及びR
L2は、各々存在しない。
【0417】
例えば、本発明のD未結合足場の高分子担体は、ポリアセタール、例えば、約2kDa〜約300kDaの範囲の分子量(すなわち、修飾されていないPHFのMW)を有するPHFである。
【0418】
前記D未結合足場は、式(Id):
【化118】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
mは、1〜約2200の整数であり、
m
1は、1〜約660の整数であり、
m
2は、1〜約300の整数であり、
m
3は、1〜約110の整数であり、
m、m
1、m
2及びm
3の合計が、約15〜約2200の範囲である)
の足場である。
【0419】
例えば、式(Id)におけるPHFが約2kDa〜約40kDaの範囲の分子量を有する(すなわち、m、m
1、m
2、及びm
3の合計が15〜300の範囲である)とき、m
3は1〜18の整数であり、及び/又はm
1は1〜140の整数である(例えば、m
1は2-120である)。
【0420】
例えば、式(Id)におけるPHFが約6kDa〜約20kDaの範囲の分子量を有する(すなわち、m、m
1、m
2、及びm
3の合計が約45〜約150の範囲である)とき、m
3は1〜約9の整数であり、及び/又はm
1は1〜約75の整数である(例えば、m
1は約6-60である)。
【0421】
例えば、式(Id)におけるPHFが約8kDa〜約15kDaの範囲の分子量を有する(すなわち、m、m
1、m
2及びm
3の合計が60〜110の範囲である)とき、m
3は1〜約7の整数であり、及び/又はm
1は1〜約55の整数である(例えば、m
1は約6-45である)。
【0422】
例えば、式(Id)におけるPHFが20kDa〜300kDaの範囲の分子量を有する(すなわち、m、m
1、m
2、及びm
3の合計が約150〜2200の範囲である)とき、m
3は1〜約110の整数であり、及び/又はm
1は1〜約660の整数である(例えば、m
1は約13-550である)。
【0423】
例えば、式(Id)におけるPHFが40kDa〜150kDaの範囲の分子量を有する(すなわち、m、m
1、m
2、及びm
3の合計が約300〜1100の範囲である)とき、m
3は1〜約75の整数であり、及び/又はm
1は1〜約330の整数である(例えば、m
1は約20-250である)。
【0424】
例えば、式(Id)におけるPHFが約50kDa〜約100kDaの範囲の分子量を有する(すなわち、m、m
1、m
2、及びm
3の合計が約370〜約740の範囲である)とき、m
3は1〜約40の整数であり、及び/又はm
1は1〜約220の整数である(例えば、m
1は約20-180である)。
【0425】
例えば、前記D未結合足場は、L
Pを介して高分子担体に結合されたPBRMをさらに含んでなる。
【0426】
例えば、1又は2以上のPBRMが、D未結合高分子担体に結合される。
【0427】
例えば、前記D未結合足場は、式(Ie):
【化119】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
L
P2とPBRMとの間の
【化120】
[この文献は図面を表示できません]
が、PBRMのL
P2への直接又は間接的な結合であり、
PBRMは、200kDa未満の分子量を有し、
mは1〜2200までの整数であり、
m
1は1〜660の整数であり、
m
3は0〜110の整数であり、
m
4は1〜60の整数であり、
m、m
1、m
3及びm
4の合計が、約150〜約2200の範囲である)
の足場である。
【0428】
例えば、式(Ie)では、m
1は約10〜約660の整数(例えば、14-550)である。
【0429】
例えば、式(Ie)におけるPHFが40kDa〜150kDaの範囲の分子量を有する(すなわち、m、m
1、m
2、m
3、及びm
4の合計が約300〜1100の範囲である)とき、m
3は1〜約75の整数であり、m
4は1〜約30の整数であり、及び/又はm
1は1〜約330の整数である(例えば、m
1は約20-250である)。
【0430】
例えば、式(Ie)におけるPHFが約50kDa〜約100kDaの範囲の分子量を有する(すなわち、m、m
1、m
2、m
3、及びm
4の合計が約370〜約740の範囲である)とき、m
3は1〜約40の整数であり、m
4は1〜約20の整数であり、及び/又はm
1は1〜約220の整数である(例えば、m
1は約20-180である)。
【0431】
或いは又はさらに、1又は2以上のD未結合高分子担体は、1つのPBRMに結合される。例えば、前記足場は、40kDa以上の分子量を有するPBRM、及びPBRMに結合された1又は2以上の高分子担体を含んでなり、高分子担体の各々が独立して、式(Ih):
【化121】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
L
P2に結合された末端
【化122】
[この文献は図面を表示できません]
が、L
P2のPBRMへの直接又は間接的な結合であり、これによりD運搬高分子担体がPBRMに結合され、
mは1〜300の整数であり、
m
1は1〜140の整数であり、
m
3は0〜18の整数であり、
m
4は1〜10の整数であり、
m、m
1、m
3、及びm
4の合計が、15〜300の範囲であり、
但し、PBRMに結合されたL
P2の総数が10又はそれ以下である)
の担体である足場である。
【0432】
例えば、式(Ih)において、m
1は2〜約130の整数(例えば、3-120)であり、及び/又はm
3は1〜約10の整数(例えば、1-8)である。
【0433】
例えば、式(Ih)におけるPHFが約6kDa〜約20kDaの範囲の分子量を有する(すなわち、m、m
1、m
2、m
3、及びm
4の合計が約45〜約150の範囲である)とき、m
3は1〜約9の整数であり、及び/又はm
1は6〜約75の整数である(例えば、m
1は約7-60である)。
【0434】
例えば、式(Ih)におけるPHFが約8kDa〜約15kDaの範囲の分子量を有する(すなわち、m、m
1、m
2、m
3、及びm
4の合計が約60〜約110の範囲である)とき、m
3は1〜約7の整数であり、及び/又はm
1は6〜約55の整数である(例えば、m
1は約7-45である)。
【0435】
PBRM−薬物−高分子コンジュゲート、薬物運搬高分子足場、又はPBRM運搬高分子足場は、広範囲にわたる透析濾過によって精製(すなわち、残留未反応薬物、PBRM、又は高分子出発物質を除去)される。必要であれば、サイズ排除クロマトグラフィーによる追加の精製が、あらゆる凝集PBRM−薬物高分子コンジュゲートを除去するために実施され得る。一般に、精製された場合に高分子コンジュゲートは、典型的にSEC又はSDS-PAGEによって測定される < 5%の凝集PBRM−薬物;SECによって測定される < 1%の高分子−薬物コンジュゲート、そしてRP HPLCによって測定される < 2%の非結合PBRMを含む。
【0436】
次の表D及びEは、それぞれ本発明の薬物運搬高分子足場及び高分子−薬物−タンパク質コンジュゲートの例を供する。
表D
【0437】
【表12-1】
[この文献は図面を表示できません]
【表12-2】
[この文献は図面を表示できません]
【表12-3】
[この文献は図面を表示できません]
【表12-4】
[この文献は図面を表示できません]
【表12-5】
[この文献は図面を表示できません]
【表12-6】
[この文献は図面を表示できません]
【表12-7】
[この文献は図面を表示できません]
【表12-8】
[この文献は図面を表示できません]
【表12-9】
[この文献は図面を表示できません]
【表12-10】
[この文献は図面を表示できません]
【表12-11】
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【表12-12】
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【表12-13】
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【表12-14】
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【表12-15】
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【表12-16】
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【表12-17】
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【表12-18】
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【表12-19】
[この文献は図面を表示できません]
【表12-20】
[この文献は図面を表示できません]
【0438】
表E
【0439】
【表13-1】
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【表13-2】
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【表13-3】
[この文献は図面を表示できません]
【表13-4】
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【表13-5】
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【表13-6】
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【表13-7】
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【表13-8】
[この文献は図面を表示できません]
【表13-9】
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【表13-10】
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【表13-11】
[この文献は図面を表示できません]
【表13-12】
[この文献は図面を表示できません]
【表13-13】
[この文献は図面を表示できません]
【表13-14】
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【表13-15】
[この文献は図面を表示できません]
【表13-16】
[この文献は図面を表示できません]
【0440】
合成方法
本発明によると、本発明のコンジュゲート又はそれらを含有する組成物、並びにそれらを製造するのに有用な中間体及び成分(例えば、担体やモディファイヤー)を製造するのに、任意の利用可能な技術が使用できる。例えば、半合成方法及び完全合成方法(例えば、以下で詳細に議論される方法など)が使用され得る。
【0441】
担体
モディファイヤーと結合するのに適当な高分子担体(例えば、生体適合性で生分解性の高分子担体)を調製する方法は、当該技術分野で公知である。例えば、合成指針は、米国特許第5,811,510号;同第5,863,990号;同第5,958,398号;同第7,838,619号;及び同第7,790,150号;並びに米国特許出願公開第2006/0058512号で見られる。当業者は、いかにして、本発明を実施する際に使用する高分子担体を製造するようにこれらの方法を改造するかを知っている。
【0442】
例えば、半合成ポリアルは、水溶液中の過ヨウ素酸塩で炭水化物環を完全に側方開裂することにより、引き続いて、ジカルボン酸リンカー(例えば、グルタル酸リンカー)を介した1又は2以上の薬物分子又はPBRMとヒドロキシル基との結合のために、(例えば、ホウ素還元を介した)親水性部分に変換して、ポリアルドース及びポリケトースから調製され得る。代表的な実施態様では、適当な多糖類の炭水化物環は、グリコール特異的な試薬で酸化でき、その結果、水酸基にそれぞれ連結された炭素原子間の炭素−炭素結合が開裂する。この方法をデキストランB-512に適用する一例は、以下で図示する:
【化123】
[この文献は図面を表示できません]
【化124】
[この文献は図面を表示できません]
【0443】
同様のアプローチは、レバン:
【化125】
[この文献は図面を表示できません]
及びイヌリン:
【化126】
[この文献は図面を表示できません]
で使用され得る。
【0444】
前記スキームにおいて、波形の結合は、W
D又はW
Pが示されているとおり直接結合されるか、或いは各々M
D2又はM
P2などの別の部分を介して結合されることを示している。
【0445】
前記スキームにおいて、q'は、0〜4の整数であり;そして、R
2'の各存在は独立して、水素、ハロゲン、-CN、NO
2、脂肪族、ヘテロ脂肪族、炭素環、若しくはヘテロシクロアルキル部分、又は-GR
G1(式中、Gは、-O-、-s-、-NR
G2-、-C(=O)-、-(=O)-、-SO
2-、-C(=O)O-、-C(=O)NR
G2-、-OC(=O)-、-NR
G2C(=O)-、-OC(=O)O-、-OC(=O)NR
G2-、-NR
G2C(=O)O-、-NR
G2C(=O)NR
G2-、-C(=S)-、-C(=S)S-、-SC(=S)-、-SC(=S)S-、-C(=NR
G2)-、-C(=NR
G2)O-、-C(=NR
G2)NR
G3-、-OC(=NR
G2)-、-NR
G2C(=NR
G3)-、-NR
G2SO
2-、-NR
G2SO
2NR
G3-、又は-SO
2NR
G2-である(式中、R
G1、R
G2、及びR
G3の各存在は独立して、水素、ハロゲン、任意に置換される脂肪族、ヘテロ脂肪族、炭素環、又はヘテロシクロアルキル部分である))。
【0446】
ある実施形態において、R
2'の各存在は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-C(=O)R
2A又は-ZR
2Aであり、式中、Zは、O、S、NR
2Bであり、R
2A及びR
2Aの各存在が独立して、水素、又はアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリール部分である。ある実施形態において、R
2の各存在は水素である。ある実施形態において、R
2'の1又は2以上の存在はC
1-10アルキル部分である。ある実施形態において、R
2'の1又は2以上の存在は低級アルキルである。ある実施形態において、R
2'の1又は2以上の存在は疎水基である。ある実施形態において、R
2'の1又は2以上の存在は親水基である。ある実施形態において、R
2'の1又は2以上の存在はアニオン基である。ある実施形態において、R
2の1又は2以上の存在はカチオン基である。ある実施形態において、R
2'の1又は2以上の存在は受容体リガンドである。
【0447】
一実施形態において、本発明の生分解性の生体適合性ポリアルコンジュゲートを形成する方法は、適した多糖類をグリコール特異的酸化剤の有効量と組合わせて、アルデヒド中間体を形成するプロセスを含んでなる。次に、アルデヒド中間体(ポリアル自体である)は、対応するポリオールに還元され、コハク酸化され、そして、1又は2以上の適したモディファイヤーと合わせられて、スクシンアミド含有リンカーを含んでなる生分解性の生体適合性ポリアルコンジュゲートを形成する。
【0448】
別の好ましい実施形態において、本発明で使用するための完全合成の生分解性、生物適合性ポリアルは、適当な開始剤を適当な前駆体化合物と反応させることによって調製できる。
【0449】
例えば、完全合成ポリアルは、ビニルエーテルを保護し置換したジオールで縮合することにより調製され得る。他の方法、例えば開環重合などは、使用され得、ここで、この方法の有効性は、置換の程度及び保護基のかさばりに依存し得る。
【化127】
[この文献は図面を表示できません]
【0450】
当業者は、溶媒系、触媒及び他の要素が高分子量生成物を得るために最適化され得ることを理解する。
【0451】
ある実施形態において、担体はPHFである。
【0452】
薬物と薬物誘導体
ある実施形態において、薬物は、高分子担体への結合前に修飾されてもよい。スキーム1及び2は、ビンカアルカロイドを修飾する方法の実例である。スキーム3は、非天然カンプトテシン誘導体を修飾する方法を示している。スキーム4は、アウリスタチンFを修飾する方法を示している。より多くの修飾方法が、US2010/0305149に記載されており、この文献を参照により本明細書中に援用する。
【化128】
[この文献は図面を表示できません]
【0453】
ビンカアルカロイドのC
23エステルをヒドラジンと反応させ、続いて、得られる生成物をNaNO
2で処理すると、活性なアジドエステルが得られる。アジドエステルをプロパノールアミン又は1-アミノプロパン-2-オールなどのアミノ化合物と反応させると、官能化されたヒドロキシルを有するビンカアルカロイド誘導体が得られ、高分子との結合のための、例えばアラニン又はメチルアラニン誘導体などのアミノ含有化合物でさらに誘導体化することができる(スキーム1を参照のこと)。
スキーム2
【化129】
[この文献は図面を表示できません]
【0454】
ビンカアルカロイドのヒドロキシル誘導体を、t-ブトキシエステル化されたアミノ酸などの保護されたアミノ含有テザーで処理し、続いて、エステルのTFA加水分解すると、ビンカアルカロイドのトリフラート塩が得られる。(スキーム2)ビンカアルカロイドの官能化された高分子へのコンジュゲーションは、PBRM又はその誘導体とさらに結合されて、タンパク質−薬物−高分子コンジュゲートをもたらすことができる薬物−高分子コンジュゲートをもたらす。
スキーム3
【0455】
【化130】
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【0456】
非天然カンプトテシン誘導体、例えば、SN38の10-ヒドロキシ基を、トリエチルアミンの存在下で誘導体をtert-ブチルジフェニルシリルクロリド(TBDPSiCl)と反応させることによって選択的に保護する。アラニン誘導体を形成するために、Sapra, P. et al., Clin. Cancer Res., 14: 1888-1896 (2008)に記載の手順を用いて、t-ブチルカルボニル-アラニンと反応させることによる20-ヒドロキシ基を形成できる。或いは、他のアミノ酸、例えばグリシンを用いることができる。第一級アミンを、トリフルオロ酢酸での処理によりBoc保護基を除去することにより脱マスクし、続いて、フッ化テトラブチルアンモニウムでTBDPS保護基を除去する(スキーム3を参照のこと)。得られたアミノ誘導体化SN38化合物は、官能化高分子と結合されて、薬物−高分子コンジュゲートを形成する。
スキーム4
【化131】
[この文献は図面を表示できません]
【0457】
t-ブトキシエステル化2-ヒドロキシプロピルアミンなどの保護されたアミノ含有テザーによるアウリスタチンFの処理と、それに続く、エステルのHCl加水分解は、アウリスタチンFの2-ヒドロキシルプロピルアミノ誘導体をもたらす(スキーム4を参照のこと)。アウリスタチンF誘導体の官能化高分子への結合は、PBRM又はその誘導体とさらに結合されて、タンパク質−高分子−薬物コンジュゲートをもたらす薬物−高分子コンジュゲートをもたらす。
【0458】
コンジュゲート又は高分子足場
本願発明のコンジュゲート又は高分子足場を製造する一般的方法を先に記載した。次のスキーム5〜10は、コンジュゲート又は高分子足場がどのように合成されるかを例示している。これらのスキーム内の変数(例えば、X
D、X
P、L
D1、及びL
P2など)は、別段の定めがない限り、本明細書中に記載したのと同じ定義を有する。各W
D1は、W
Dと反応して、Z
D-M
D3を形成することができる官能基であり、そして、各W
P1は、W
Pと反応して、Z
P-M
P3を形成することができる官能基である。-X
D-M
D1-Y
D-M
D2-W
D及び-X
P-M
P1-Y
P-M
P2-W
Pは、異なっていても(スキーム5及び5Aなど)、同じであってもよい(スキーム6など)。いくつかの実施形態において、-X
P-M
P1-Y
P-M
P2-W
Pは、-X
D-M
D1-Y
D-M
D2-W
Dの更なる修飾によって形成される。
スキーム5
【化132】
[この文献は図面を表示できません]
スキーム5A
【化133】
[この文献は図面を表示できません]
スキーム6
【化134】
[この文献は図面を表示できません]
【0459】
PBRMは、これらに限定されないが、還元的アミノ化ベースの反応、シュタウディンガー連結反応、オキシム生成、チアゾリジン形成、及び本明細書中に記載した方法や反応を含めたタンパク質結合にとって標準的な合成方法を使用することで薬物−高分子コンジュゲートに連結されて、タンパク質−薬物−高分子コンジュゲートを形成する。
【0460】
次のスキーム7は、クリック化学反応を使用することでPBRMが薬物−高分子コンジュゲートに連結されるPBRM−薬物−高分子コンジュゲートの合成を示している。
スキーム7
【化135】
[この文献は図面を表示できません]
【0461】
次のスキーム8は、Mannich反応によって薬物−高分子コンジュゲートにPBRMが連結されるPBRM−薬物−高分子コンジュゲートの合成を示している。
スキーム8
【化136】
[この文献は図面を表示できません]
【0462】
次のスキーム9は、パラジウム触媒クロスカップリングによって薬物−高分子コンジュゲートにPBRMが連結されるPBRM−薬物−高分子コンジュゲートの合成を示している。
スキーム9
【化137】
[この文献は図面を表示できません]
【0463】
先のスキーム7〜9では、波形の結合は、PBRMが機能的モディファイヤーに直接結合結合されるか、又はアルキル、シクロアルキル、アリールなどの別の部分を介して結合されることを示している。
【0464】
以下のスキーム10は、本発明の高分子足場を作製するための一般的な合成スキームを示している。波形の結合は、L
D1とD又はL
P2との直接又は間接的な結合を示している。
【化138】
[この文献は図面を表示できません]
【0465】
PBRMは、これらに限定されないが、還元的アミノ化ベースの反応、シュタウディンガー連結反応、オキシム生成、チアゾリジン形成、及び本明細書中に記載した方法や反応を含めたタンパク質結合にとって標準的な合成方法を使用することで薬物−高分子コンジュゲートに連結されて、タンパク質−薬物−高分子コンジュゲートを形成する。
【0466】
医薬組成物
安定剤、緩衝剤などの許容される担体中に本明細書に開示されているとおりの1又は2以上のタンパク質−高分子−薬物コンジュゲートを含む医薬組成物もまた包含される。コンジュゲートは、標準的な手段によって、医薬組成物を形成するための安定剤、緩衝剤などを用いて、又は用いずに、対象に投与及び導入することができる。投与は、局所投与(眼ならびに膣及び直腸送達を包含する粘膜への投与を包含する)、例えばネブライザーによる投与を包含する散剤又はエアロゾルの吸入又は注入による肺投与;気管内、鼻腔内、表皮及び経皮、経口投与、又は静脈内、動脈内、皮下、腹腔内若しくは筋肉内注射若しくは点滴若しくは頭蓋内、例えばクモ膜下若しくは脳室内投与を包含する非経口投与であってよい。コンジュゲートは、注射投与のための無菌液剤及び/又は懸濁剤;注射/点滴の前に再構成するための凍結乾燥散剤;局所組成物として;経口投与のための錠剤、カプセル剤又はエリキシル剤;又は直腸投与のための坐剤ならびに当分野で公知の他の組成物として製剤化し、使用することができる。
【0467】
薬理学的組成物又は製剤は、投与、例えば細胞又は例えばヒトを包含する対象に全身投与するために適した形態の組成物又は製剤を指す。適切な形態は一部では、使用又は進入経路、例えば経口、吸入、経皮、又は注射/点滴に左右される。そのような形態は、組成物又は製剤が標的細胞(即ち、薬物が送達されることが望ましい細胞)に達するのを妨げるべきではない。例えば血流に注入された薬理学的組成物は、可溶性であるべきである。他の因子は当分野で公知であり、組成物又は製剤がその作用を発揮することを妨げる毒性及び形態などの検討を包含する。
【0468】
「全身投与」とは、血流への修飾高分子のインビボでの全身吸収又は蓄積、それに続く身体全体への分布を意味する。全身吸収をもたらす投与経路には、限定ではないが:静脈内、皮下、腹腔内、吸入、経口、肺内及び筋肉内が包含される。これらの投与経路はそれぞれ、修飾高分子をアクセス可能な疾患組織に曝露する。循環への活性薬剤の進入速度は、分子量又はサイズと相関していることが判明している。本願発明のコンジュゲートを使用することによって、薬物送達をPBRMの特異性を介して、癌細胞などの特定の細胞へと局在化することができる。
【0469】
「薬学的に許容される製剤」は、その所望の活性に最も適した身体的位置にコンジュゲートを有効に分布させることを可能にする組成物又は製剤を意味する。一実施形態では、有効な送達は、細網内皮系によるクリアランスの前か、又は効力の低下又は毒性をもたらし得る標的外結合の生じる前に生じる。コンジュゲートを有する製剤に適した薬剤の非限定的例には:CNSへの活性薬剤の進入を増大させ得るP-糖タンパク質阻害因子(Pluronic P85など);脳内インプラント後に持続放出送達するためのポリ(DL-ラクチド−コグリコリド)マイクロスフェアなどの生分解性高分子;及び血液脳関門を通過させて活性薬物を送達することができ、神経取り込み機構を変えることができるポリブチルシアノアクリレートから製造されるものなどの負荷ナノ粒子が包含される。
【0470】
薬学的有効量の所望のコンジュゲートを薬学的に許容される担体又は希釈剤中に包含する貯蔵又は投与のために調製された医薬組成物もまた、本明細書には包含される。治療のための使用に許容される担体、希釈剤、及び/又は賦形剤は医薬分野で周知である。例えば緩衝剤、保存剤、増量剤、分散剤、安定剤、染料を加えることができる。加えて、抗酸化剤及び懸濁化剤を使用することができる。好適な担体、希釈剤、及び/又は賦形剤の例としては、(1)ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水、pH約6.5(約1mg/ml〜25mg/mlヒト血清アルブミンを含む)、(2)0.9%の生理食塩水(0.9% w/vのNaCl)及び(3) 5%(w/v)のデキストロースが挙げられるが、これらに限定されない。
【0471】
「薬学的有効量」という用語は、本明細書で使用される場合、同定された疾患若しくは状態を治療、改善若しくは予防するか、又は検出可能な治療若しくは阻害効果を示す薬剤の量を指す。当分野で公知の任意のアッセイ方法によって、効果を検出することができる。対象についての厳密な有効量は、対象の体重、体格及び健康;状態の性質及び規模;ならびに投与のために選択される治療物質又は治療物質の組合せに左右される。臨床家の技能及び判断の範囲内である常套的な実験によって、所定の状況での薬学的有効量を決定することができる。好ましい態様では、遺伝子サイレンシングを介して、疾患又は状態を治療することができる。
【0472】
任意のコンジュゲートについて、初めに例えば腫瘍細胞の細胞培養アッセイで、又は動物モデル、通常はラット、マウス、ウサギ、イヌ又はブタで、薬学的有効量を推定することができる。また、動物モデルを使用して、適切な濃度範囲及び投与経路を決定することもできる。次いで、そのような情報を使用して、ヒトにおける有用な用量及び投与経路を決定することができる。細胞培養又は実験動物における標準的な医薬手順によって、治療的/予防的効力及び毒性、例えばED
50(個体群の50%において治療的に有効な用量)及びLD
50(個体群の50%に対して致命的な用量)を決定することができる。毒性と治療効果との用量比は、治療指数であり、比、LD
50/ED
50として表され得る。大きな治療指数を示す医薬組成物が好ましい。使用される剤形、患者の感度及び投与経路に応じて、投薬はこの範囲内で変動し得る。
【0473】
一実施形態では、従来のカテーテル技術又は点滴の使用を包含する注射による非経口投与のために、コンジュゲートを製剤化する。注射用の製剤は、単位剤形で、例えばアンプルで、又は複数回投与用の容器で、保存剤を添加して提供することができる。コンジュゲートは、無菌媒体中で非経口投与することができる。コンジュゲートは、使用されるビヒクル及び濃度に応じて、ビヒクル中に懸濁又は溶解させることができる。有利には、局所麻酔薬、保存剤及び緩衝剤などのアジュバントをビヒクルに溶かすことができる。「非経口」という用語には、本明細書で使用される場合、経皮、皮下、血管内(例えば静脈内)、筋肉内又はクモ膜下注射又は点滴技術などが包含される。加えて、コンジュゲート及び薬学的に許容される担体を含む医薬製剤を提供する。コンジュゲートのうちの1又は2以上は、1又は2以上の非毒性で薬学的に許容される担体及び/又は希釈剤及び/又はアジュバント及び所望の場合には他の活性成分と一緒に存在してよい。
【0474】
無菌の注射用調剤はまた、非毒性で非経口で許容される希釈剤又は溶媒中の、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液としての無菌の注射用液剤又は懸濁剤であってよい。特に使用することができる許容されるビヒクル及び溶媒は、水、リンゲル液及び等張性塩化ナトリウム溶液である。加えて、無菌、不揮発性油が、溶媒又は懸濁媒として従来使用されている。この目的で、合成モノ−又はジグリセリドを包含する無刺激の不揮発性油を使用することができる。加えて、オレイン酸などの脂肪酸が、注射用の製剤で使用される。
【0475】
本明細書中に記載したコンジュゲート及び組成物は、適当な形態で、好ましくは非経口的に、より好ましくは静脈内に投与され得る。非経口投与において、コンジュゲート又は組成物は、水溶性若しくは非水性の無菌液、懸濁液又は乳濁液であり得る。プロピレングリコール、植物油及び、例えばオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルが、溶媒又はビヒクルとして使用できる。組成物はまた、アジュバント、乳化剤又は分散剤を含むこともできる。
【0476】
1日当たり体重1キログラム当たり約0.01mgから約140mgの間のオーダーの投薬レベルが、上記で示された条件を治療する際には有用である(1日当たり1対象当たり約0.05mgから約7gの間)。いくつかの実施形態において、患者に投与される投薬量は、対象の体重に対して約0.01mg/kgから約100mg/kgの間にある。いくつかの実施形態において、患者に投与される投薬量は、対象の体重に対して約0.01mg/kgから約15mg/kgの間にある。いくつかの実施形態において、患者に投与される投薬量は、対象の体重に対して約0.1mg/kgから約15mg/kgの間にある。いくつかの実施形態において、患者に投与される投薬量は、対象の体重に対して約0.1mg/kgから約20mg/kgの間にある。いくつかの実施形態において、投与される投薬量は、対象の体重に対して約0.1mg/kgから約5mg/kg又は約0.1mg/kgから約10mg/kgの間にある。いくつかの実施形態において、投与される投薬量は、対象の体重に対して約1mg/kgから約15mg/kgの間にある。いくつかの実施形態において、投与される投薬量は、対象の体重に対して約1mg/kgから約10mg/kgの間にある。単一剤形を製造するために担体物質と合わせることができるコンジュゲートの量は、治療される受容者及び特定の投与方法に応じて変動する。投薬単位形態は一般に、約0.01mgから約100mgの間;約0.01mgから約75mgの間;又は約0.01mgから約50mgの間;或いは約0.01mgから約25mgの間のコンジュゲートを含有してよい。
【0477】
静脈内投与も関して、投与量レベルは、動物の体重1kgあたり約0.01〜約200mgのコンジュゲートを含んでなる。一態様において、組成物は、動物の体重の1kgあたり約1〜約100mgのコンジュゲートを含んでいる。もう一つの態様において、投与される量は、約0.1〜約25mg/kg体重の化合物の範囲にある。
【0478】
いくつかの実施形態において、コンジュゲートは、次のとおり投与できる。コンジュゲートは、約5日間、毎日のi.v.、ボーラスとして又は約5日間の連続点滴として、約5日間、毎日与えられ得る。
【0479】
或いは、コンジュゲートは、6週間以上にわたり1週間に一度投与され得る。別の代替手段として、コンジュゲートは、2週間又は3週間に一度投与され得る。ボーラス投与量は、約5〜約10mlのヒト血清アルブミンが加えられ得る約50〜約400mlの通常の生理的食塩水中に与えられる。連続点滴は、約250〜約500mlの通常の生理的食塩水中に与えられ、それには、24時間あたり約25〜約50mlのヒト血清アルブミンが加えられ得る。
【0480】
いくつかの実施形態において、処置の約1〜約4週間後に、患者は、第二の治療単位を受けることがある。投与経路、賦形剤、希釈剤、投薬量、及び回数に関する特定の臨床試験計画書が、臨床的症状が保証するように当業者によって決定される。
【0481】
特定の対象のための具体的な用量レベルは、具体的なコンジュゲート活性、年齢、体重、全身健康、性別、食事、投与時間、投与経路及び排泄速度、他の活性薬剤との組合せ及び治療を受ける特定の疾患の重症度を包含する様々な因子に左右されることは理解される。
【0482】
ヒト以外の動物への投与では、コンジュゲートを動物用の食餌又は飲料水に加えることもできる。動物が治療的に適切な量のコンジュゲートをその食事と共に摂取できるように、動物用の食餌及び飲料水を配合するのが簡便であり得る。また、コンジュゲートを食餌又は飲料水に加えるためのプレミックスとして提供することも簡便であり得る。
【0483】
コンジュゲートをまた、対象に他の治療用化合物と組合わせて投与して、治療効果全体を上げることができる。適応症を治療するために複数の化合物を使用することで、有益効果を上げることができる一方で、副作用の存在を減らすことができる。いくつかの実施形態において、コンジュゲートは、例えば米国特許第7,303,749号で開示されているものなどの化学療法薬と組合わせて使用できる。他の実施形態において、化学療法薬としては、レトロゾール、オキサリプラチン、ドセタクセル、5-FU、ラパチニブ、カペシタビン、ロイコボリン、エルロチニブ、パーツズマブ、ベバシズマブ、及びゲムシタビンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0484】
本発明はまた、1又は2以上の化学療法薬を含んでいる、1又は2以上の本発明のコンジュゲート及び/又は組成物の入った1又は2以上のコンテナを含んでなる医薬キットも提供する。そのようなキットはまた、例えば、他の化合物及び/又は組成物、その化合物及び/又は組成物を投与するための(単数若しくは複数の)デバイス、並びに医薬又は生物学的製剤の製造、使用又は販売を管轄する政府機関によって定められた様式の書面による取扱説明書を含む。
【0485】
使用方法
処置方法
本発明のある好ましい実施形態では、本発明のタンパク質−高分子−薬物コンジュゲートコンジュゲートは、動物(好ましくは哺乳類、最も好ましくは男性、女性、幼児、子供、及び成人を含めたヒト)を処置する方法において使用される。一実施形態では、本発明のコンジュゲートは、本発明の生分解性、生体適合性コンジュゲートを動物に投与することを含む、動物を処置する方法において使用されてもよい。たとえば、本発明によるコンジュゲートは、可溶性直鎖重合体、共重合体、コンジュゲート、コロイド、粒子、ゲル、固形状物、繊維、フィルムなどの形で投与することができる。本発明の生分解性、生体適合性コンジュゲートは、薬物キャリア、薬物キャリア成分、管理された薬物放出、低侵入式外科用処置用の製剤などとして、使用することができる。医薬品製剤は、注射可能であり、移植可能である。
【0486】
さらに他の態様では、本発明は、被験体に、本発明のコンジュゲートを少なくとも1つ有効量で投与することを含む、それを必要とする被験体の疾患又は障害を処置する方法を提供し、前記コンジュゲートは生分解により1以上の治療剤を放出する。
【0487】
もう1つの実施形態において、コンジュゲートは、患者を処置するため、及び/又は、例えば癌を含めた、選択された細胞集団の成長を調節するために、インビトロ、インビボ、及び/又はエクスビボにおいて投与できる。いくつかの実施形態において、コンジュゲートで処置できる癌の具体的なタイプとしては、これらに限定されないが、次のものが挙げられる:(1)これらに限定されないが、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、結腸直腸癌、腎臓癌、膵臓癌、骨癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、食道癌、胃癌、口腔癌、鼻腔癌、咽喉癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝癌胆汁腺管癌、絨毛癌、セミノーマ、胚性癌腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、子宮癌、精巣癌、小細胞肺癌、膀胱癌、肺癌、上皮性癌腫、神経膠腫、神経膠芽腫、多形性星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、希突起神経膠腫、髄膜腫、皮膚癌、黒色腫、神経芽細胞腫、及び網膜芽細胞腫を含めた固形腫瘍;(2)これらに限定されないが、急性リンパ芽球性白血病「ALL」、急性リンパ芽球性B細胞白血病、急性リンパ芽球性T細胞性白血病、急性骨髄芽球性白血病「AML」、急性前骨髄球性白血病「APL」、急性単芽球性白血病、急性赤白血病白血病、急性巨核芽球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性非リンパ性白血病、急性未分化白血病、慢性骨髄性白血病「CML」、慢性リンパ球性白血病「CLL」、ヘアリー細胞白血病、多発性骨髄腫、急性及び慢性白血病、例えば、リンパ芽球性、骨髄性、及びリンパ球性、骨髄性白血病を含めた血液−骨由来の癌;並びに(3)リンパ腫、例えばホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、H鎖病、及び真性多血症など。
【0488】
もう1つの実施形態において、コンジュゲートは、自己免疫疾患、例えば全身性ループス、関節リウマチ、乾癬、及び多発性硬化症など;移植片拒絶反応、例えば腎臓移植拒絶反応、肝移植拒絶反応、肺移植拒絶反応、心臓移植拒絶反応、及び骨髄移植拒絶反応など;移植片対宿主拒絶反応;ウイルス感染症、例えばCMV感染症、HIV感染症、及びAIDSなど;並びに寄生虫感染症、例えばランブル鞭毛虫症、アメーバ症、住血吸虫病などを処置するためにインビトロ、インビボ、そして/又はエクスビボで投与し得る。
【0489】
ある実施形態において、コンジュゲートはまた、例えば異常な細胞増殖(例えば、癌)を特徴とする疾患を処置するか、又はその重症度を軽減するのに有効である薬剤の製造に使用されることもできる。
【0490】
ある実施形態において、治療薬は、特定の標的細胞、組織、又は臓器に局所的に提供される。
【0491】
ある実施形態では、本発明の方法を実施において、コンジュゲートは、診断ラベルを更に含む、或いは結びつく。ある例示的な実施形態では、診断ラベルは、γシンチグラフィー及びPET用放射性医薬品又は放射性アイソトープ、磁気共鳴画像法(MRI)用造影剤、CT検査法用造影剤、X線画像検査法用造影剤、超音波診断的法用剤、中性子活性化用剤、X線、超音波、電波及びマイクロ波を反射、散乱又はこれらに作用しうる部分及び蛍光体からなる群より選択される。ある例示的な実施形態では、コンジュゲートはさらにインビボでモニターされる。
【0492】
診断ラベルの例示として、γシンチグラフィー及びPET用の診断的放射性医薬品又は放射性アイソトープ、磁気共鳴画像法(MRI)用造影剤(たとえば、常磁性原始及び超常磁性ナノ結晶)、CT検査法用造影剤、X線画像検査法用造影剤、超音波診断的方法用剤中性子活性化剤、及びX線を超音波、電波及びマイクロ波を反射、散乱又はこれらに作用することのできる部分、種々の光学処置における蛍光体が挙げられるが、これらに限定されない。診断的放射性医薬品としては、γ−放出放射性核物質、たとえば、インジウム111、テクネチウム99m及びヨウ素131などが挙げられる。MRI(磁気共鳴画像法)用造影剤としては、磁性化合物、たとえば、常磁性イオン、鉄、マンガン、ガドリニウム、ランタン系、有機常磁性部分、及び超常磁性、強常磁性及び反強常磁性化合物、たとえば酸化鉄コロイド、フェライトコロイドなどが挙げられる。CT検査法及び他のX線系画像検査法用の造影剤としては、X線を吸収する化合物、たとえば、ヨウ素、バリウムなどが挙げられる。超音波系方法用の造影剤としては、超音波を吸収、反射、及び散乱する化合物、たとえば、乳剤、結晶、気泡などが挙げられる。さらに他の例示として、中性子活性化に有用な物質、たとえばホウ素及びガドリニウムが挙げられる。反射、屈折、散乱、その他、X線、超音波、電波、マイクロ波及び診断的処置に有用なほかの放射線に作用することのできるラベルも使用することができる。蛍光性ラベルは、写真撮影のために使用することもできる。ある実施形態では、修飾物質は、常磁性イオン又は基を含む。
【0493】
他の態様では、本発明は、対象の疾患又は障害を処置する方法であって、少なくとも1つの本発明のコンジュゲートの水性製剤を準備し、該製剤を前記対象に非経口的に注射することを含む方法を提供する。
【0494】
他の態様では、本発明は、対象の疾患又は障害を処置する方法であって、本発明のコンジュゲートを少なくとも1つ含む移植片を準備し、該移植片を前記対象に移植することを含む方法を提供する。ある例示的な実施形態では、移植片は、生分解性ゲルマトリックスである。
【0495】
他の態様では、本発明は、それを必要とする動物を処置する方法であって、前記方法によってコンジュゲートを投与することを含む方法を提供する。
【0496】
他の態様では、本発明は、動物において免疫応答を発現させる方法であって、先に記載した方法に従ってコンジュゲートを投与することを含む方法を提供する。
【0497】
他の態様では、本発明は、動物において疾患を診断する方法であって、前記方法によりコンジュゲートを投与する工程であって、該コンジュゲートは検出可能な分子を含む工程と、検出可能な分子を検出する工程とを含む方法を提供する。
【0498】
ある例示的な実施形態では、前記検出可能な分子を検出する工程は、非侵襲的に行われる。ある例示的な実施形態では、前記検出可能な分子を検出する工程は、適切な画像機器を使用して行われる。
【0499】
ある一実施形態では、動物を処置する方法は、動物に本発明の生分解性、生体適合性コンジュゲートを、腫瘍又は増殖が取り除かれた外科創傷の包装体として、投与することを含む。生分解性、生体適合性コンジュゲート包装体は、回復中に腫瘍部位と取り替えられ、創傷が癒えた時、分解し消える。
【0500】
ある実施形態では、コンジュゲートは、インビボでモニタリングするために診断ラベルと結びつく。
【0501】
前記コンジュゲートは、動物の処置、予防、及び分析(診断的)処置のために使用することができる。コンジュゲートは、一般的に、経口的投与されるものであるが、他の経路で投与されてもよい場合がある。
【0502】
一実施形態では、可溶性又はコロイド状コンジュゲートは、静脈内投与される。他の実施形態では、可溶性又はコロイド状コンジュゲートは、局所(たとえば、皮下、筋肉)注射によって投与される。他の実施形態では、個体コンジュゲート(たとえば、粒子、移植片、薬物送達システム)は、移植又は注射によって投与される。
【0503】
他の実施形態では、検出可能なラベルを含むコンジュゲートは、動物体内のラベル分布のパターンと動特性を研究するために投与される。
【0504】
ある実施形態では、本明細書に開示するいずれか1以上のコンジュゲートは、前記方法のいずれかの実施において使用してもよい。ある例示的な実施形態において、コンジュゲートは、トラスツズマブ-PHF-、リツキシマブ-PHF-又はLHRH PHF薬物コンジュゲートである。
【0505】
明細書を通じて、組成物が具体的な成分を含む(having、including、又はcomprising)と記載されている場合、その組成物が記載した成分から実質的に成るか、又はそれから成ることを企図している。同様に、方法又はプロセスが具体的な工程を含む(having、including、又はcomprising)と記載されている場合、そのプロセスが記載した工程から実質的に成るか、又はそれから成ることを企図している。さらに、工程の指示又は操作を行うための指示は、本発明を実施し続けられる程度に理解されなければならない。そのうえ、2以上の工程又は操作が同時に行われることもある。
【0506】
本発明の合成過程は、幅広い官能基を許容し得る;そのため、様々な置換された出発物質が使用できる。前記プロセスは、一般に、全プロセスの最後又はその付近に所望の最終化合物を供するか、或いは、場合によっては、化合物を医薬的に許容され得るその塩、エステル又はプロドラッグへとさらに変換することが望まれることもある。
【0507】
本発明のコンジュゲートに使用される薬物は、市販の出発物質、文献で知られている化合物を使用して、又は、容易に調製された中間体から、当業者に知られているか、又は本明細書中の教示を踏まえて当業者に明らかになった標準的な合成方法又は手順を用いることによって、様々な方法で調製できる。有機分子の調製及び官能基の形質転換や操作のための標準的な合成方法及び手順は、関連科学文献又はその分野の標準教本から得られる。或いは、これらに限定されないが、いくつかの起源、古典原本、例えばSmith, M. B., March, J., March’s Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure, 5th edition, John Wiley & Sons: New York, 2001; and Greene, T.W., Wuts, P.G. M., Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd edition, John Wiley & Sons: New York, 1999(本明細書中に援用)などが、当業者に知られている有機合成の有用、且つ認識された参考教本である。合成方法に関する次の説明は、例示することを目的としており、本発明の化合物の調製のための一般手法を限定するためのものではない。
【0508】
本発明のコンジュゲート及びそこに含まれる薬物化合物は、当業者にとって身近な様々な方法によって都合よく調製できる。本明細書中に記載した各式を有する本願発明のコンジュゲート又は化合物は、以下の手順に従って、市販の出発物質からでも、文献手順を用いることで調製できる出発物質からでも調製できる。これらの手順では、本願発明の代表的なコンジュゲートの調製方法を示している。
【0509】
製造時に、先に記載した方法によって設計され、選択され、及び/又は最適化されたコンジュゲートは、そのコンジュゲートに生物学的活性があるか否かを判定するために、当業者に知られている様々なアッセイを使用することで特徴づけできる。例えば、コンジュゲートは、それらが予測された活性、結合活性が及び/又は結合特異性を有するか判定するために、これらに限定されないが、次に記載したアッセイを含めた従来のアッセイによって特徴づけできる。
【0510】
さらに、ハイスループットスクリーニングが、そのようなアッセイを使用した分析のスピード化のために使用できる。その結果、当該技術分野で知られている技術を使用して、活性に関して本明細書中に記載したコンジュゲートを迅速にスクリーニングすることを可能にできた。ハイスループット・スクリーニングを行うための一般的な方法論は、例えば、Devlin (1998) High Throughput Screening, Marcel Dekker;及び米国特許第5,763,263号に記載されている。ハイスループットアッセイは、これらに限定されないが、以下で記載したものを含めた1又は2以上の異なったアッセイ技術を使用できる。
【0511】
本明細書に引用される全ての刊行物及び特許文献は、該刊行物又は文書の各々が明確に及び個別に、参照することにより本明細書に組み込まれと示されているかのように、参照することにより本明細書に組み込まれる。刊行物及び特許文書の引用は、該文書がいずれも妥当な先行技術であることを承認することを意図せず、それは該在中物又はその日付についての承認を構成もしない。本発明を書面としてここに記載したことで、当業者は、本発明が様々な実施形態で実施されることができること、そして、上記の説明と以下の実施例が以下の請求項を限定するためではなく、例示のためのものであることを認識するであろう。
【実施例】
【0512】
本明細書中に記載したコンジュゲートは、一般に、先に概説したスキーム及び次の実施例に記載した方法によって調製できる。「含有量」という用語は、次の特定の実施例で使用される場合、別段の定めがない限り、目的の部分、例えば、リンカー、薬物分子、又はPBRMなどで置換される高分子ユニットのモル分率を意味する。
【0513】
略語
下記の略語を、下記の反応スキーム及び合成例において使用する。このリストは、本出願で使用される略語の包括的なリストであることを意図したものではなく、したがって有機合成の分野の当業者には容易に理解される追加の標準的な略語もまた、合成スキーム及び実施例において使用され得る。
Adoa 8-アミノ-3,6-ジオキサ-オクタン酸
AZD83302 [(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]-1,6-ジヒドロ-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-1,5-ジメチル-6-オキソ-3-ピリジンカルボアミド
BOC tert-ブチロキシカルボニル
DIC N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド
DIEA N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DCM ジクロロメタン
DMA ジメチルアセトアミド
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
DTT (2S,3S)-1,4-ジメルカプトブタン-2,3-ジオール
EDC 1-エチル-3-[3-ジメチルアミノプロピル]カルボジイミドヒドロクロリド
GA グルタル酸
HATU 2-(1H-7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート
HOBt ヒドロキシベンゾトリアゾール
HPLC 高圧液体クロマトグラフィー
HPSEC 高性能サイズ排除クロマトグラフィー
HPV ヒドロキシプロピルビンデシン
2HPV 2-ヒドロキシプロピルビンデシン
MCC (N-マレイミドメチル)1.4-シクロヘキシルカルバマート
M-(PEG)
12 N-マレイミド-PEG
12-プロピオンアミド
MWCO 分子量排除
NHS 1-ヒドロキシピロリジン-2,5-ジオン
NMP N-メチルー2-ピロリドン
PBS リン酸緩衝生理食塩水、0.9%のNaCl
PHF ポリ(1-ヒドロキシメチルエチレンヒドロキシルメチルホルマル)又はFLEXIMER(登録商標)
PI-103 3-[4-(4-モルホリニル)ピリド[3',2':4,5]フロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル]-フェノール
RP-HPLC 逆相高速液体クロマトグラフィー
SATA N-スクシンイミジル-S-アセチルチオアセタート
SEC サイズ排除クロマトグラフィー
SMCC スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート
SM(PEG)
12 スクシンイミジル-([N-マレイミドプロピオンアミド]-PEG
12)-エステル
-SS- 共有結合ジスルフィド基を示す
SSPy 2-(ピリジン-2-イルジスルファニル)
TCEP Tris[2-カルボキシエチル]ホスフィン
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
【0514】
一般情報
ペプチドEC-1-Adoa-NH
2及びLTVSPNY-Adoa-NH
2をCreoSalus, Louisville, Kentuckyから購入した。
【0515】
リンカーM-(PEG)
12-NHS及びS-アセチル-(PEG)
12-NHSエステルをQuanta Biodesign, Powell, Ohioから購入した。
【0516】
HPLC精製を、以下の溶媒系:溶媒A:水(0.1%のTFA);溶媒B:CH
3CN(0.1%のT FA)を使用した分取用カラムPhenomenex Gemini 5μm 110Å、250x10mm、5ミクロンにより実施した。
【0517】
コンジュゲートのHPV含有量を、LC/MS/MS又はHPLCで測定した。
【0518】
コンジュゲートのタンパク質量を、分光光度測定により280nmで測定した。
【0519】
-SSPyコンジュゲート中のジスルフィド含有量を、ピリジンチオン放出後に分光光度測定により340nmで測定した(10mMのDTT、10分、周囲温度)。
【0520】
コンジュゲートのSN38含有量を、分光光度測定により370nmで測定した。
【0521】
コンジュゲートの分子量を、分子量基準として多糖類又はタンパク質のうちのいずれかを用いたSECによって測定した。
【0522】
PBRM−薬物高分子コンジュゲートを、大規模な透析濾過によって残留未反応薬物−高分子コンジュゲートから単離した。必要であれば、サイズ排除クロマトグラフィーによる追加精製をおこなって、あらゆる凝集PBRM−薬物高分子コンジュゲートを除去した。一般に、PBRM−薬物高分子コンジュゲートは典型的に、SEC又はSDS-PAGEによって測定されるとき、< 5%の凝集PBRM−薬物高分子コンジュゲートを;SECによって測定されるとき、< 1%の高分子−薬物コンジュゲートを、そして、RP HPLCによって測定されるとき、< 2%の非結合PBRMを含む。
【0523】
還元した又は部分的に還元した抗体を、文献に記載の手順を用いることで調製した。例えば、Francisco et al., Blood 102 (4): 1458-1465 (2003)を参照のこと。
【0524】
実施例1.30kDa PHF-アラニンの合成:
【化139】
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【0525】
PHF(30kDa、4.54g、33.6mmol PHFモノマー)を、150mLの無水DMF中に溶解し、続いて、ビス(ニトロフェノール)カルボナート(3.07g、10.1mmol)を添加した。その溶液を、40℃にて4時間撹拌した。水(10mL)中に溶解したβ-アラニン(1.50g、16.8mmol)をPHF混合物に加えた。TEAでpHを7.5-8に調整し、そして、反応混合物を、23℃にて18時間撹拌し、水で400mLに希釈し、そして、5N NaOHでpHを11に調整した。得られた混合物を周囲温度にて1時間撹拌し、そして、pHを6.5に調整し、次に、その混合物を水で10%の有機物に希釈した。生成物(30kDa PHF-β-アラニン)を、5K Biomax膜フィルターを備えた限外濾過カートリッジを使用して精製した。精製した生成物を凍結乾燥して、白色固体として表題化合物を得た(2.07g、収率36%)。
1H NMRによって測定されるとき、β-アラニンで置換されたPHF単量体単位のモル分率は13%であった。
【0526】
実施例2.30kDa PHF-GAの合成
【化140】
[この文献は図面を表示できません]
【0527】
N,N-ジメチルピリジン-4-アミン(0.268g、2.91mmol)とグルタル酸無水物(1.375g、12.06mmol)を、DMA(300mL)と無水ピリジン(33.3mL)中のPHF(30kDa、1.48g、10.96mmol PHFモノマー)の溶液に加えた。反応混合物を60℃にて18時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、そして、得られた濃厚な油状物質を水(100mL)中に溶かした。5N NaOHでpHをpH6.0-6.5に調整した。得られた透明の溶液を、水で200mLに希釈し、0.2ミクロンのフィルターを通して濾過し、そして、5000分子量排除の膜フィルターを使用した透析濾過によって精製した。水を凍結乾燥で除去して、白色固体として30kDa PHF-GAを得た(1.28g、収率48%)。グルタル酸で置換されたPHF単量体単位全部の画分は、
1H NMRで測定したとき、96%であった。
【0528】
実施例3.トラスツズマブ-MCC誘導体の合成
【化141】
[この文献は図面を表示できません]
【0529】
トラスツズマブ(10mg)をPBSバッファー(1ml、pH7.0)中に溶解し、次に、DMSO(5μL、30mg/ml)中のSMCCの溶液を加えた。得られた溶液を室温にて2時間撹拌した。トラスツズマブ-MCCを、PBS平衡化PD-10カラムを使用したゲル濾過で精製した(収率90%)。分析は、平均5〜6個のMCC基が1つのトラスツズマブに連結していることを示した。
【0530】
先に記載した手順を、他のPBRM誘導体を合成するのに使用できる。
【0531】
実施例4.トラスツズマブ-M-(PEG)
12誘導体の合成
【化142】
[この文献は図面を表示できません]
【0532】
トラスツズマブ(10mg)をPBSバッファー(1ml、pH7.0)中に溶解し、次に、DMSO(4μL、100mg/ml)中のSM-(PEG)
12の溶液を加えた。得られた溶液を室温にて2時間撹拌した。トラスツズマブ-M-(PEG)
12を、PBS平衡化PD-10カラムを使用したゲル濾過で精製した(収率〜90%)。分析は、平均5〜6個のポリエチレン基が1つのトラスツズマブに連結していることを示した。
【0533】
記載した手順を、他のPBRM誘導体を合成するのに使用できる。
【0534】
実施例5.10kDa PHF-GA-SSpyの合成
【化143】
[この文献は図面を表示できません]
【0535】
10kDa PHF-GA(1.63g、11.12mmol、PHF 10,000Da、25%のGAを用いて実施例2に記載の手順を用いることで調製した)を水(10mL)中に溶解し、そして、NHS(0.154g、1.33mmol)を加えた。混合物を0℃に冷やし、次に、EDC(0.256g、1.33mmol)の水溶液を加え、続いて、2-(ピリジン-2-イルジスルファニル)エタンアミンヒドロクロリド(0.297g、1.33mmol)を加えた。得られた混合物のpHを5.5-6.0に調整し、次に、23℃にて18時間撹拌し、続いて、再生セルロース膜を通した透析により精製し、そして、凍結乾燥して、白色固体として表題化合物(1.66g、86%)を得た。SSPy含有量は3%であった。
【0536】
実施例6.10kDa PHF-GA-(HPV-アラニン)-SHの合成
【化144】
[この文献は図面を表示できません]
【0537】
実施例5に記載のとおり調製した10kDa PHF GA SSpy(289.0mg、0.023mmol)を、水(8mL)とアセトニトリル(4mL)の混合物中に溶かし、そして、0℃に冷やした。NHS(26.4mg、0.230mmol)を加え、続いて、EDC(44.0mg、0.230mmol)及びHPV-アラニン(131.45mg、0.138mmol、米国特許公開第2010/0305149号、実施例1に記載のとおり調製した)の水溶液を加えた。得られた混合物のpHを6に調整し、次に、その混合物を室温にて一晩撹拌した。1M NaHCO
3でpHを7.5に調整し、そして、DTT(37.8mg、0.245mmol)を加えた。反応混合物を、23℃にて30分間撹拌し、水で15mLに希釈し、そして、再生セルロース膜(3K MW排除)を使用した透析によって精製した。収率57%(HPVベース);HPLCで測定されるとき、7.3% wtのHPV。
【0538】
先に記載した手順により、HPV-アラニンを他の薬物部分又は薬物誘導体で置換することによって、他の薬物−高分子コンジュゲートを合成することが可能である。
【0539】
実施例7.10kDa PHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-MCC)の合成
【化145】
[この文献は図面を表示できません]
【0540】
PBS(2mL、pH7.0)中のトラスツズマブ-MCC(20mg、実施例3に記載のとおり調製した)に、水(0.5mL)中の10kDa PHF-GA-(HPV-アラニン)-SH(11.2mg、実施例6に記載のとおり調製した)を加えた。その溶液をpH7.0で室温にて4時間撹拌した。得られたコンジュゲートを、溶出液としてPBS用いたSuperpose-6カラムを使用したゲル濾過で精製した(収率75%)。PHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-MCC)の分子量は、SECによって測定したとき、約170kDaであった。HPLCで測定したとき、HPV含有量は、約14:1〜17:1の平均HPV:トラスツズマブモル比を示した。
図2及び4で使用した10kDa PHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-MCC)のHPV:トラスツズマブの比は、約19:1〜22:1であった。
【0541】
先に記載した手順によりトラスツズマブ-MCCを他のPBRM誘導体で置換することによって、他のタンパク質−薬物コンジュゲートを合成することが可能である。同様に、薬物対PBRMの異なった比を有するPBRM−薬物高分子コンジュゲートを、先の実施例で使用するPBRMと薬物高分子の量を変えることによって得られる。
【0542】
実施例8.10kDa PHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-M-(PEG)
12)の合成
【化146】
[この文献は図面を表示できません]
トラスツズマブ-MCCをトラスツズマブ-M-(PEG)
12(実施例4に記載のとおり調製した)に置換したことを除いて、10kDa PHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-M-(PEG)
12)を実施例7に記載のとおり調製した。PHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-M-(PEG)
12)コンジュゲートの分子量は、SECによって測定したとき、約200kDaであった。HPLCで測定したとき、HPV含有量は、約16:1〜18:1の平均HPV対トラスツズマブモル比を示した。
【0543】
実施例9.70kDa PHF-GA-SN38-アラニン-SSpyの合成
【化147】
[この文献は図面を表示できません]
【0544】
70kDa PHF-GA-アラニン-SN38(37.4mg、0.254mmol、PHF 700,000Da、GAが20%を使用して、US2010/0305149に記載のとおり調製した)をバイアルに入れ、そして、2-(ピリジン-2-イルジスルファニル)エタンアミンヒドロクロリド(2.83mg、0.013mmol)及びNHS(2.93mg、0.025mmol)に続いて、EDC(7.32mg、0.038mmol)を加えた。EDC(7.32mg、0.038mmol)の追加のアリコートを、30分、2時間、4時間及び6時間に加え、そして、反応混合物を更に12時間撹拌した。生成物を10kDa再生セルロース膜フィルターを通した透析によって精製した(SSPy2%;SN38 4.8%(wt))。
【0545】
実施例10.LHRH-PEG
12-SHの合成
【化148】
[この文献は図面を表示できません]
【0546】
LHRH(10mg)をアセトニトリル:水(1:1、500μL)の混合物中に溶解し、それに、PEG
12-SATA原液(9.2μL、0.0025mmol、1.9mg)を加えた。得られた混合物を周囲温度にて3時間撹拌した。生成物をRP-HPLCによって精製し、続いて、凍結乾燥した(収率60%)。
【0547】
精製したLHRH-PEG
12-SH(2mg)を水(400μL)中に溶解し、TEAでpHを11.8に調整し、そして、その混合物をアルゴン下で40分間撹拌し、そして、次の工程に使用した。
【0548】
実施例11.70kDa PHF-GA-SN38-アラニン-(SS-PEG
12-LHRH)の合成
【化149】
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【0549】
70kDa PHF-GA-SN38-アラニン-SSpy(2mg、実施例9に記載のとおり調製した)をPBS(0.5mL、50mM、pH=7.5)中に溶解した。そして、LHRH-PEG
12-SH(0.8mg、実施例10に記載のとおり調製した)を加えた。その混合物をpH7.0で室温にて4時間撹拌した。コンジュゲートを、10kDa排除再生セルロース膜フィルターを使用したPBS(pH7.0)に対する透析によって精製した。HPSECによって推定されたLHRH含有量は、SN38の定量的な保有を伴う65%であった。
【0550】
実施例12.30kDa PHF-GA-マレイミドの合成
【化150】
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【0551】
30kDa PHF-GA(7.98g、50.2mmol、実施例2に記載のとおり調製した、GAが15%)を、水(502mL)中に溶かし、そして、0℃に冷やした。NHS(0.087g、0.752mmol)に続いて、EDC(0.144g、0.752mmol)の水溶液を加えた。1N NaOHでpHをpH7〜8に調整し、そして、反応混合物を室温にて1時間撹拌した。N-アミノエチルマレイミド(0.080g、0.451mmol)を0℃にて加え、そして、反応混合物を室温まで温め、次に、一晩撹拌したままにした。混合物を2ミクロンのフイルターを通して濾過し、200mLまで濃縮し、1リットルの水で洗浄することによってBiomax(ポリエーテルスルホン)カートリッジ(5K)を通した透析によって精製し、続いて、凍結乾燥して、白色固体として表題化合物を得た(2.19g、収率28%)。CHN元素分析で測定したとき、マレイミド含有量は、2.6%であり:(CHN平均):C:44.81、H:6.91、N:0.49であった。
【0552】
実施例13.30kDa PHF-GA-(HPV-アラニン)-マレイミドの合成
【化151】
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【0553】
30kDa PHF-GA-マレイミド(271mg、7.86μmol、実施例12に記載のとおり調製した)を、水(8mL)及びCH
3CN(4mL)の混合物中に溶かし、そして、0℃に冷やした。NHS(9.04mg、0.079mmol)に続いて、水(2mL)中のEDC(15.1mg、0.079mmol)及びHPV-アラニン(104mg、0.109mmol、米国特許第2010/0305149号、実施例1に記載のとおり調製した)の水溶液を加えた。得られた混合物のpHを6.0に調整し、次に、室温にて一晩撹拌した。反応の経過を、HPLC分析法、245nmでの検出によって観察し、そして、水中のEDC(15.1mg、0.079mmol)の追加のアリコートを19時間及び22時間に加えた。反応混合物を水で15mLに希釈し、そして、得られた混合物を、5% NaCl/10% CH
3CN(3x10mL)及び水(2x10mL)で溶出する再生セルロース膜(5K)を通す透析によって精製した。サンプルを、10mLに希釈し、そして、冷凍して、245mgの表題化合物を得た、収率93%。HPV対高分子のモル比は、平均約24:1〜28:1であった。
【0554】
実施例14.EC-1-Adoa-M-(PEG)
12の合成
【化152】
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【0555】
CH
3CN/H
2O/DMSO(750μL、7:7:1)中のEC-1-Adoa-NH
2(10mg、415μmol)の混合物に、CH
3CN中のM-(PEG)
12-NHS(63μL、4.1mg、4.7μmol)原液(0.064mg/mL)を加えた。pHを7.4に調整し、次に、DMSO(50μL)及びNMP(50μL)を加えて、混合物をより均一にした。混合物をアルゴン下で一晩撹拌し、遮光した。新たに調製したM-(PEG)
12-NHS原液(0.077mg/mL)の追加のアリコート(13μL、1mg)を加え、そして、得られた混合物を30分間撹拌した。未精製の生成物をHPLC(グラジエント:25分間かけて10%の溶媒Bから90%の溶媒Bへ)によって精製した。表題化合物は、16分に溶出し、そして、濃縮して、2mgの無色の固形を得た。C
146H
209N
27O
50S
2のESI-MS理論値801.1(M+4H
+)、実測値802.1。
【0556】
実施例15.10kDa PHF-GA-(HPV-アラニン)-(EC-1-Adoa-M-(PEG)
12)の合成
【化153】
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【0557】
400μLの水中の10kDa PHF-GA-(HPV-アラニン)-SH(2mg、0.12μmol、実施例6に記載のとおり調製した、10kDa PHF、GAが26%、HPVが7.4%、SHが3%)の溶液に、NMP(50μL)中のペプチドEC-1-Adoa-M-(PEG)
12(1mg、0.31μmol、実施例14に記載のとおり調製した)の溶液を加えた。pHを7.4に調整し、そして、ペプチドの更なる取り込みがHPSECによって観察されなくなるまで、反応混合物をアルゴン下で撹拌した(2時間、ペプチドが37%)。反応混合物を、NaCl(1%、10mL)で希釈し、次に、遠心濾過によって2mLまで濃縮した(3000Da排除膜)。その溶液を、PBS(25mMと、8mL)で希釈し、そして、1.5mLまで濃縮して、0.373mMのHPVを含有する表題化合物を得た。
【0558】
実施例16.LTVSPNY-Adoa-PEG
12-チオエステルの合成
【化154】
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【0559】
CH
3CN/H
2O(500μL、1:1)の混合物中のLTVSPNY-Adoa-NH
2(10mg、10.7μmol)の溶液に、DMSO中のS-アセチル-PEG
12-NHS(350mg/mL)の新たに調製した原液(46μL、20.8μmol、16.1mg)を加えた。pHを6.5〜7.0に調整し、そして、反応混合物を一晩撹拌した。次に、pHを7.5〜8.0に調整し、そして、反応混合物を〜2時間撹拌した。未精製の生成物を、HPLC(グラジエント:25分間かけて10%の溶媒Bから70%の溶媒Bへ)によって精製して、濃縮後に無色の固体として9mgの表題化合物を得た(収率51%)。C
78H
126N
9NaO
28SのESI-MS理論値845.9、実測値845.9(M+H
++Na
+)。
【0560】
実施例17.30kDa PHF-GA-(HPV-アラニン)-(LTVSPNY-Adoa-PEG
12)の合成
【化155】
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【0561】
LTVSPNY-Adoa-PEG
12-チオエステル(0.57mg、0.34μmol、実施例16に記載のとおり調製した)を、水(500μL)中に溶解し、そして、pHを11.8に調整した。溶液を、アルゴン下で30分間撹拌し、そして、pHを5〜5.5に下げた。それに、水(62.5μL)中の30kDa PHF-GA-(HPV-アラニン)-マレイミド(2.5mg、0.057mmol、実施例13に記載のとおり調製した、GAが15%、マレイミドが2.6%、HPVが5%)の溶液を加えた。pHを7.6に調整し、次に、ペプチドの更なる取り込みがHPSECによって観察されなくなるまで、反応混合物をアルゴン下で撹拌した(3時間、15%のペプチドの取り込み)。次に、反応混合物を、1%のNaClで希釈し、そして、0.2μmのシリンジフイルターを通して濾過した。未精製の物質を5kDa MW排除膜を通過させるstir cell濾過によって精製して、表題化合物の溶液を得た。
【0562】
実施例18.30kDa PHF-GA-(HPV-アラニン)-SHの合成
【化156】
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【0563】
30kDa PHF-GA-SSpy(26.2mg、0.72μmol、30kDa PHF、10%のGA、4.8%のSSPyを使用して実施例5に記載のとおり調製した)を、水(3mL)及びアセトニトリル(3mL)の混合物中に溶かし、そして、0℃に冷やした。NHS(0.83mg、7.16μmol)に続いて、EDC(1.37mg、7.16μmol)及びHPV-アラニン(10.2mg、10.7μmol、米国特許出願公開第2010/0305149号、実施例1に記載のとおり調製した)の水溶液を加えた。得られた混合物のpHを6.0に調整し、次に、その混合物を室温にて一晩撹拌した。1M NaHCO
3でpHを7.5に調整し、そして、DTT(11.7mg、0.076mmol)を加えた。反応混合物を、23℃にて30分間撹拌し、水で15mLに希釈し、そして、再生セルロース膜(30kDa MW排除)を使用した透析によって精製した。収率82%(HPVベース);HPLCによって測定したとき、HPVが20.6% wt。
【0564】
実施例19.30kDa PHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-MCC)の合成
【化157】
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【0565】
PBS(2mL、pH7.0)中のトラスツズマブ-MCC(20mg、実施例3に記載のとおり調製した)に、水(0.5mL)中の30kDa PHF-GA-(HPV-アラニン)-SH(11.2mg、実施例18に記載のとおり調製した)を加えた。その溶液を、pH7.0で室温にて4時間撹拌した。得られたコンジュゲートを、溶出液としてPBSを用いるSuperpose-6カラムを使用したゲル濾過によって精製した。HPLCによって測定したとき、HPV含有量は、約10:1〜12:1の平均HPV対抗体モル比であった。
【0566】
実施例20.70kDa PHF-GA-(HPV-アラニン)-SHの合成
【化158】
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【0567】
70kDa PHF-GA-SSpy(GAが10%、SSPyが4.8%、58.2mg、0.727μmol、実施例5に記載のとおり調製した)、NHS(0.843mg、7.27μmol)、EDC(1.39mg、7.27μmol)、及びHPV-アラニン(10.4mg、10.9μmol)を使用したことを除いて、70kDa PHF-GA-(HPV-アラニン)-SHを実施例18に記載のとおり調製した。収率82%(高分子ベース); HPVが10.9% wt。
【0568】
実施例21.70kDa PHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-MCC)の合成
【化159】
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【0569】
トラスツズマブ-MCC(20mg、実施例3に記載のとおり調製した)及び70kDa PHF-GA-(HPV-アラニン)-SH(11.2mg、実施例20に記載のとおり調製した)は使用したことを除いて、表題化合物を実施例19に記載のとおり調製した。HPLCで測定したとき、HPV含有量は、約47:1〜50:1の平均HPV対抗体モル比を示した。
【0570】
実施例22.(S)-2HPVの合成
【化160】
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【0571】
MeOH(5mL)中のビンブラスチンデスアセチルヒドラジド(400mg、0.520mmol、J. Med. Chem., 21, 88-96, 1978に記載のとおり調製した)を、0℃にて1N HCl(15mL)に組合わせ、次に、亜硝酸ナトリウム(93mg、1.353mmol)を一度に加えた。反応混合物を、12分間撹拌し、続いて、0℃にて飽和NaHCO
3で7.6にpH調節した。反応混合物をDCMで抽出した(3x50ml)。合わせたDCM画分を、塩水で洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、そして、MgSO
4のパッドを通して濾過した。体積を10mlまで低減し、そして、5mlを(S)-1-アミノプロパン-2-オールと結合させるのに使用した。
【0572】
無水DCM(2mL)中の(S)-1-アミノプロパン-2-オール(205μl、2.6mmol)を、アルゴン下でビンブラスチンデスアセチルジアジド(先に記載したように調製した)の冷たい撹拌溶液に滴下して加えた。反応混合物は、0℃にて数時間撹拌し、次に、室温にした。LC/MSでは、表題化合物への変換が示された。未精製の反応混合物を、精製のためのCombiFlashカラム(40gのカラム)にそのまま適用した。
【0573】
CombiFlashカラムを、酢酸エチル(1%のTEA)で調整した。サンプル注入後に、初期条件を2分間続け、続いて、10%のMeOH(1%のTEA)から酢酸エチル(1%のTEA)へのグラジエントを10分間かけて調整し、そして、それを保持した。表題化合物は、12分間〜に溶出された。溶出液を濃縮して、96mgを得た(収率46%)。m/z(+)812.4。
【0574】
実施例23.(R)-2HPVの合成
【化161】
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【0575】
(S)-1-アミノプロパン-2-オールの代わりに(R)-1-アミノプロパン-2-オール(205μl、2.6mmol)を使用したことを除いて、表題化合物を実施例21に記載のとおり調製して、97mgを得た(収率46%)。
【0576】
実施例24.(PI-103)-4-(2-アミノエチル)ピペラジン-1-カルボキシレートジヒドロクロリドの合成
【化162】
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【0577】
無水DMF(2.5mL)中のPI-103(50mg、0.144mmol)及びTEA(60μL、0.431mmol)の混合物に、4-ニトロフェニルクロロホルマート(35mg、0.172mmol)を加え、そして、得られた混合物を室温にて撹拌した。45分後に2-ピペラジン-1-イル-エチルカルバミン酸t-ブチルエステル(56mg、0.244mmol)を加え、次に、反応混合物を、室温にて一晩撹拌し、続いて、高真空下で溶媒を除去した。残渣を、DCM(50mL)中に溶解し、次に、水(15mL)と塩水(15mL)で連続して洗浄した。有機相を、Na
2SO
4上で乾燥させ、そして、減圧の下で濃縮した。未精製の生成物を、シリカゲル(4gのCombiFlashカラム、MeOH:DCM(0%のMeOH 1〜2分間に続いて、15分間かけて7%のMeOHへのグラジエント)によって精製して、無色のフィルムとしてBOC保護カルバマートを得た。C
31H
38N
7O
6のESI-MS理論値604.3(M+H
+)、実測値604.3。
【0578】
精製したBOC保護カルバマートに、ジオキサン(5mL)中のDCM(5mL)及び4MのHClを加えた。その混合物を、室温にて1時間撹拌し、次に、減圧下で濃縮した。脱保護PI-103生成物を、水中に溶解し、次に、凍結乾燥して、淡黄色の固体として表題化合物を得た(69mg、全収率83%)。C
26H
30N
7O
4のESI-MS理論値504.2(M+H
+)、実測値504.2。
【0579】
実施例25.(PI-103)-4-アミノブチルカルバマートヒドロクロリドの合成
【化163】
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【0580】
合成をPI-103(25mg)を用いて小規模でおこない、且つBOC-1,4-ジアミノブタン(23mg、0.122mmol)を2-ピペラジン-1-イル-エチル-カルバミン酸t-ブチルエステルの代わりに使用したことを除いて、表題化合物を実施例24に記載のとおり調製して、表題化合物を得た(13mg、全収率36%)。C
24H
27N
6O
4のESI-MS理論値463.2(M+H
+)、実測値463.2。
【0581】
実施例26.10kDa PHF-GA-(PI-103)-4-アミノブチルカルバマート-SHの合成
【化164】
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【0582】
1:1のCH
3CN/H
2O(400μL)中の10kDa PHF-GA-SSpy(GAが25%、SSPyが3.8%、30mg、2.38μmol、実施例5に記載のとおり調製した)の溶液に、NHS(CH
3CN中の96mg/mLの原液18μL、1.7mg)、EDC(水中の新たに調製した原液78μL、37.3mg/mL、2.9mg)に続いて、1:1のCH
3CN/H
2O(200μL)中の(PI-103)-4-アミノブチルカルバマートヒドロクロリド(5.35mg、10.7μmol、実施例25に記載のとおり調製した)の溶液を加えた。追加のCH
3CN(100μL)を加えて、溶解性を改善した。pHを5.7〜5.8に調整し、そして、その混合物を室温にて1時間撹拌した。追加のCH
3CN(100μL)を加え、そして、撹拌を一晩続けた。未精製の反応混合物のHPLC分析法では、(PI-103)-4-アミノブチルカルバマートの92%の取り込みが示された。pHを6.0に調整し、次に、未精製の混合物を1%のNaCl水溶液(10mL)で希釈し、そして、0.2μmのシリンジフイルターを通して濾過した。未精製の生成物を、3kDa MWCO再生セルロース膜によるstir cell濾過によって精製し、続いて、凍結乾燥して、無色の固体を得た(26mg、1.82μmol、収率76%)。生成物(26mg、1.82μmol)を、PBS(25mM、pH7、1mL)中に溶解し、次に、DTT(10.4mg、0.067mmol)で処理した。その混合物を、室温にて約1時間撹拌し、次に、3kDa MWCO再生セルロース膜を通すstir cell濾過によって精製して、表題化合物の水溶液を得た。
【0583】
実施例27.10kDa PHF-GA-(PI-103)-4-アミノブチルカルバマート-(トラスツズマブ-MCC)の合成
【化165】
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【0584】
トラスツズマブ-MCC(10mg、実施例3に記載のとおり調製した)及び10kDa PHF-GA-(PI-103)-4-アミノブチルカルバマート-SH(11.2mg、実施例26に記載のとおり調製した)を使用したことを除いて、表題コンジュゲートを実施例7に記載の方法と類似した方法で調製した。
【0585】
実施例28.10kDa PHF-GA-(PI-103)-4-(2-アミノエチル)ピペラジン-1-カルバマート-SHの合成
【化166】
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【0586】
10kDa PHF-GA-SSpy(GAが25%、SSPyが3.8%、30mg、3.38μmol、実施例5に記載のとおり調製した)、NHS(1.7mg、15、μmol)、EDC(2.88mg、15μmol)、及び(PI-103)-4-(2-アミノエチル)ピペラジン-1-カルボキシレートジヒドロクロリド(5.49mg、9.52μmol、実施例24に記載のとおり調製した)を使用したことを除いて、表題化合物を実施例26に記載の方法と類似した方法で調製した。収率80%。
【0587】
実施例29.10kDa PHF-GA-(PI-103)-4-(2-アミノエチル)ピペラジン-1-カルバマート-(トラスツズマブ-MCC)の合成
【化167】
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【0588】
トラスツズマブ-MCC(10mg、実施例3に記載のとおり調製した)及び10kDa PHF-GA-(PI-103)-4-(2-アミノエチル)ピペラジン-1-カルバマート-SH(11.2mg、実施例28に記載のとおり調製した)を使用したことを除いて、表題コンジュゲートを実施例7に記載の方法と類似した方法で調製した。
【0589】
実施例30.(PI-103)-4-アミノブチルカルボナートヒドロクロリドの合成
【化168】
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【0590】
無水THF(0.5mL)中のトリホスゲン(13.6mg、0.046mmol)の氷冷溶液に、アルゴン下で無水THF(1mL)中のt-ブチル4-ヒドロキシブチルカルバマート(24.2mg、0.128mmol)及びTEA(18.1μL、0.13mmol)の溶液を加えた。0℃にて1時間撹拌した後に、未精製のクロロホルマートに、NMP(0.5mL)中のPI-103(25mg、0.072mmol)及びTEA(15.1μL、0.108mmol)の溶液をゆっくりと加えた。数分後に、THFを減圧下で除去し、そして、NMP(0.5mL)を加えて、混合物をより均一にした。得られた混合物を室温にて一晩撹拌した。追加のクロロホルマート(先に記載したように45mgのBOC-アルコールから調製した)及びTEA(15μL)を加え、そして、その反応混合物を40分間撹拌し、その時点で、LC/MSでは所望の生成物への95%の変換が示された。反応混合物をDCM(150mL)で希釈し、次に、水(2x50mL)と塩水(50mL)で洗浄した。有機相を、Na
2SO
4上で乾燥させ、そして、減圧下で濃縮した。未精製の生成物をシリカゲル(4gのCombiFlashカラム、EtOAc:Hex、0%のEtOAc 1分間、次に、16分間かけて80%のEtOAcへのグラジエント)により精製して、26mgの無色のフィルムを得た。収率64%。C
29H
34N
5O
7のESI-MS理論値564.3(M+H
+)、実測値564.1。
【0591】
BOC保護カルボナートをDCM(2mL)中に溶解し、次に、ジオキサン(4mL)中の4M HClで処理した。得られた混合物を、3.5時間撹拌し、次に、減圧下で濃縮した。脱保護カルボナートを水:CH
3CNから凍結乾燥して、淡黄色の固体として表題化合物を得た(21.9mg、収率96%)。C
24H
26N
5O
5のESI-MS理論値464.2(M+H+)、実測値464.1。
【0592】
実施例31.10kDa PHF-GA-(PI-103)-4-アミノブチルカルボナート-SHの合成
【化169】
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【0593】
10kDa PHF-GA-SSpy(GAが25%、SSPyが3.8%、30mg、3.38μmol、実施例5に記載のとおり調製した)、NHS(1.7mg、15μmol)、EDC(2.88mg、15μmol)、及び(PI-103)-4-アミノブチルカルボナートヒドロクロリド(5.35mg、10.7μmol、実施例30に記載のとおり調製した)を使用したことを除いて、表題化合物を実施例26に記載の方法と類似した方法で調製した。収率76%。
【0594】
実施例32.10kDa PHF-GA-(PI-103)-4-アミノブチルカルボナート-(トラスツズマブ-MCC)の合成
【化170】
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【0595】
トラスツズマブ-MCC(10mg、実施例3に記載のとおり調製した)及び10kDa PHF-GA-(PI-103)-(4-アミノブチルカルボナート)-SH(11.2mg、実施例31に記載のとおり調製した)を使用したことを除いて、表題コンジュゲートを実施例7に記載の方法と類似した方法で調製した。収率30%。
【0596】
実施例33.(PI-103)-(S)-2-アミノ-3-メチルブタノエートヒドロクロリドの合成
【化171】
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【0597】
NMP(〜750μL)中のPI-103(25mg、0.072mmol)の溶液に、NMP中のHATU(32.7mg、0.086mmol)、DIEA(30.2μL、0.173mmol)、及びBOC-Val-OH(0.086mmol、18.7mmol)の混合物を加えた。得られた混合物を、遮光し、室温にて3日間撹拌した。そして、NMP(200μL)中のBOC-Val-OH(15.6mg、0.072mmol)、HATU(27.4mg、0.072mmol)、及びDIEA(25.1μL、0.144mmol)の溶液を加えた。反応混合物を、50℃にて〜18時間撹拌し、次に、DMAP(0.072mmol、8.8mg)を加えた。その混合物を50℃にて1.5時間撹拌し、続いて、希酸との反応によりクエンチした。反応混合物を、DCMで希釈し、次に、水(2x50mL)と塩水(50mL)で洗浄した。BOC保護バリンエステルをシリカゲル(4gのCombiflashカラム、EtOAc:Hex 0%のEtOAcを1分間維持し、次に、16分間かけて50%のEtOAcへのグラジエント)により精製した。
【0598】
BOC保護バリンエステルを、DCM(5mL)中に溶解し、次に、ジオキサン(5mL)中で4M HClで処理した。その混合物を、室温にて6時間撹拌し、次に、減圧下で濃縮乾固した。脱保護バリンエステルを水:CH
3CNから凍結乾燥して、淡黄色の固体として表題化合物を得た(13.6mg、全収率39%)C
24H
26N
5O
4のESI-MS理論値448.2(M+H
+)、実測値448.2。
【0599】
実施例34.10kDa PHF-GA-(PI-103)-(S)-2-アミノ-3-メチルブタノエート-SHの合成
【化172】
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【0600】
10kDa PHF-GA-SSpy(GAが25%、SSPyが3.8%、41.4mg、3.38μmol、実施例5に記載のとおり調製した)、NHS(2.81mg、25μmol)、EDC(4.85mg、25μmol)、及び(PI-103)-(S)-2-アミノ-3-メチルブタノエートヒドロクロリド(6.38mg、13μmol、実施例33に記載のとおり調製した)を使用したことを除いて、表題化合物を実施例26に記載の方法と類似した方法で調製した。
【0601】
実施例35.10kDa PHF-GA-((PI-103)-(S)-2-アミノ-3-メチルブタノエート-(トラスツズマブ-MCC)の合成
【化173】
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【0602】
トラスツズマブ-MCC(10mg、実施例3に記載のとおり調製した)及び10kDa PHF-GA-(PI-103)-(S)-2-アミノ-3-メチルブタノエート-SH(11.2mg、実施例34に記載のとおり調製した)を使用したことを除いて、表題コンジュゲートを実施例7に記載の方法と類似した方法で調製した。
【0603】
実施例36.(AZD8330)-(S)-2-アミノプロパノアートヒドロクロリドの合成
【化174】
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【0604】
無水THF(1.5mL)中のBOC-Ala-OH(61.5mg、0.325mmol)の溶液に、DIC(20.5mg、0.163mmol)を加えた。得られた混合物を、アルゴン下で0℃に冷やし、そして、10〜15分間撹拌した。無水THF(1.5mL)中のAZD8330(50mg、0.108mmol)及びDMAP(1.3mg、0.0108mmol)の混合物を加え、そして、反応混合物を遮光して室温にて1.5時間撹拌した。反応混合物を、EtOAcで希釈し、次に、飽和NH
4Cl、続いて、塩水で洗浄した。有機相をNa
2SO
4上で乾燥させ、次に、減圧下で濃縮した。未精製の物質をシリカゲル(Combiflashカラム、アセトン:DCM、0%のアセトンを1〜2分間保持し、次に、20%のアセトンへのグラジエント)により精製して、37mgの無色の固体を得た。その固体を、DCM(5mL)中に溶解し、次に、ジオキサン(10mL)中の4M HClで処理した。その混合物を遮光して室温にて約5時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、そして、残渣を凍結乾燥して、ペールオレンジ色の固体として表題化合物を得た(22.4mg、全収率39%)。
【0605】
実施例37.10kDa PHF-GA-(AZD8330)-(S)-2-アミノプロパノアート-SHの合成
【化175】
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【0606】
10kDa PHF-GA-SSpy(GAが25%、SSPyが3.8%、30mg、3.38μmol、実施例5に記載のとおり調製した)、NHS(1.7mg、15μmol)、EDC(2.88mg、15μmol)、及び(AZD8330)-(S)-2-アミノプロパノアートヒドロクロリド(6.44mg、9.9μmol、実施例36に記載のとおり調製した)を使用したことを除いて、表題化合物を実施例26に記載の方法と類似した方法で調製した。
【0607】
実施例38.10kDa PHF-GA-(AZD8330)-(S)-2-アミノプロパノアート-(トラスツズマブ-MCC)の合成
【化176】
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【0608】
トラスツズマブ-MCC(10mg、実施例3に記載のとおり調製した)及び10kDa PHF-GA-(AZD8330)-(S)-2-アミノプロパノアートヒドロクロリド-SH(15.2mg、実施例37に記載のとおり調製した)を使用したことを除いて、表題化合物を実施例7に記載の方法と類似した方法で調製した。AZD8330対抗体のモル比は、平均で約2:1〜6:1であった。
【0609】
実施例39.1-アミノプロパン-2-イル-アウリスタチンFトリフルオロアセタートの合成
【化177】
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【0610】
5mLのジクロロメタン中のアウリスタチンF(150.0mg、0.201mmol)及びHOBt(32.6mg、0.241mmol)に、ジイソプロピルカルボジイミド(68.5μL、0.442mmol)を加えた。その混合物を0℃にて10分間撹拌し、その時点で、沈殿が観察された。2mLのジクロロメタン中のtert-ブチル-2-ヒドロキシプロピルカルバマート(881.0mg、5.03mmol)を加えた。反応混合物を、密閉したバイアル内で45℃にて撹拌し、そして、反応の経過をLCMSを介して観察した。追加のHOBt(30.0mg、0.222mmol)を2.5及び6時間の時点で加え、そして、その混合物を18時間撹拌した。追加のHOBt(54.3mg、0.402mmol)及びジイソプロピルカルボジイミド(43.1mg、0.342mmol)を加え、そして、その混合物を45℃にて更に9時間撹拌し、その時点で、LCMS分析では出発物質の完全な消失が示された。溶媒を減圧下で除去し、そして、残渣を3mLのDMF中に溶解した。サンプルを調製用HPLCにより精製した;(10分間かけて10-90の溶媒Bのグラジエント、0.1%のTFA/水、0.1%のTFA/CH
3CNで溶出する)。水を凍結乾燥により除去して、白色の固体として表題化合物を得た。
【0611】
1-(Tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパン-2-イル-アウリスタチンF(150mg、0.166mmol)をジクロロメタン(5mL)中に溶かし、そして、2,2,2-トリフルオロ酢酸(0.256mL、3.32mmol)を加えた。その混合物を23℃にて30分間撹拌し、その時点で、LC/MSでは、完全な変換が示された。溶媒を減圧下で1mLまで削減した。撹拌したジエチルエーテルへのその溶液の滴下での添加で、濾過により回収した白色固体として表題化合物を得た(27.5mg、0.027mmol、16%)。
【0612】
実施例40.10kDa PHF-GA-(1-アミノプロパン-2-イル-アウリスタチンF)-SHの合成
【化178】
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【0613】
実施例5に記載のとおり調製した10KDa PHF-GA(28%)-SSPyr(10%)(76.0mg、5.93μmol)を、水(5mL)及びアセトニトリル(3mL)中に溶かし、そして、0℃に冷やした。NHS(6.82mg、500μLの水中に0.059mmol)、続いて、1-アミノプロパン-2-イル-アウリスタチンFトリフルオロアセタート(27.5mg、0.027mmol、実施例39に記載のとおり調製した)及びEDC(11.4mmol、500μLの水中に0.059mmol)を加えた。0.1N NaOHでpHを6に調整し、そして、反応混合物を、室温まで温め、一晩撹拌した。1M NaHCO
3でpHを7.5に調整し、そして、(2S,3S)-1,4-ジメルカプトブタン-2,3-ジオール(100mg、0.648mmol)を加えた。その混合物を、23℃にて30分間撹拌し、水で15mLに希釈し、そして、1%のNaCl/水(3x10mL)及びと水(3x10mL)で溶出する3K再生セルロース膜を通した透析により精製した。サンプル(76mg)を、5mLに希釈し、そして、2〜8℃にて保存した。
【0614】
実施例41.10kDa PHF-GA-(1-アミノプロパン-2-イル-アウリスタチンF)-(トラスツズマブ-MCC)の合成
【化179】
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【0615】
トラスツズマブ-MCC(5mg、実施例3に記載のとおり調製した)及び10kDa PHF-GA-(1-アミノプロパン-2-イル-アウリスタチンF)-SH(4.44mg、実施例40に記載のとおり調製した、GAが19%、SHが4.8%)を使用したことを除いて、表題コンジュゲートを実施例7に記載の方法と類似した方法で調製した。
【0616】
実施例42.RD-S1-BOC-アミンの合成
【化180】
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【0617】
RD-S1(48.5mg、0.055mmol、WO2008/138561に記載の手順に従って調製した)をCH
2Cl
2(1mL)中に溶かし、そして、その溶液を0℃に冷やした。EDC(0.127mL、0.82mmol)及びN,N-ジメチルピリジン-4-アミン(33.4mg、0.273mmol)を加えた。反応混合物を0℃にて20分間撹拌し、次に、t-ブチル2-ヒドロキシプロピルカルバマート(0.094mL、0.546mmol)を加えた。反応混合物を、室温まで温め、そして、24時間撹拌した。サンプルを、0.1%のTFA/CH
3CN及び0.1%のTFA/水で溶出する調製用HPLCにより精製し、続いて、凍結乾燥して、ベージュ色の固形として表題化合物を得た(20.3mg、収率40%)。
【0618】
実施例43.RD-S1-アミンの合成
【化181】
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【0619】
RD-S1-BOC-アミン(20.3mg、0.022mmol、実施例42に記載のとおり調製した)をCH
2Cl
2(0.500mL)中に溶かし、そして、0℃に冷やした。2,2,2-トリフルオロ酢酸(200μL、2.61mmol)を滴下して加え、次に、室温にて30分間撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。得られた油状物質をCH
2Cl
2中に溶かし、続いて、エーテルを添加して、ベージュ色の固形として表題化合物を得た(18.1mg、収率100%)。
【0620】
実施例44.PHF-GA-RD-S1アミン-SHの合成
【化182】
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【0621】
PHF-GA-SSpy(40.2mg、3.19μmol、PHF-GA-SSpyを実施例5に記載のとおり調製した)を、水(2mL)及びCH
3CN(2mL)の混合物中に溶かし、そして、0℃に冷やした。NHS(3.67mg、0.032mmol)、続いて、水(1mL)中のEDC(6.12mg、0.032mmol)及びRD-S1-アミン(18.1mg、0.019mmol、実施例43に記載のとおり調製した)の水溶液を加えた。得られた混合物のpHを6.0〜6.5に調整し、次に、室温にて一晩撹拌した。1M NaHCO
3でpHを7.5に調整し、そして、DTT(10mg、0.065mmol)を加えた。反応混合物を、室温にて30分間撹拌し、水で15mLに希釈し、2ミクロンのフイルターを通して濾過し、そして、1%のNaCl/水(3x10mL)、続いて、水(2x10mL)で洗浄することによって再生セルロース膜(3K MW排除)を使用した透析によって精製した。表題生成物を収率61%(ツブリシンベース)、3.8%のSH含有量で得た。
【0622】
先に記載した手順において、RD-S1-アミンを他の薬物部分又は薬物誘導体で置換することによって、他の薬物−高分子コンジュゲートを合成することが可能である。
【0623】
実施例45.XMT-A2の合成
【化183】
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【0624】
アルゴン下で0℃にて、DMF(33μL)中のXMT-A1(5.03mg、6.74μmol)の溶液に、TEA(1.88μL、0.013mmol)を加えた。その混合物を、5分間撹拌し、次に、DMF(20μL)及びHATU(3.85mg、10.1μmol)中の(2-(ピリジン-2-イルジスルファニル)エチルヒドラジンカルボキシラート(2.48mg、10.1μmol)を加えた。反応混合物を、室温まで温め、2.5時間撹拌し、水(750μL)及びCH
3CN(1mL)の混合物で希釈し、次に、0.1%のTFA/CH
3CN及び0.1%のTFA/水で溶出する調製用HPLCによって精製し、続いて、凍結乾燥して、白色固体として表題化合物を得た(8.64mg、収率65.2%)。
【0625】
実施例46.XMT-A3の合成
【化184】
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【0626】
XMT-A2(11.9mg、0.012mmol、実施例45に記載のとおり調製した)を、DMF(0.3mL)中に溶解し、そして、DMF(0.3mL)中の11-アミノウンデカン-1-チオールヒドロクロリド(29.5mg、0.123mmol)を0℃にて加えた。反応混合物を、室温まで温め、2日間撹拌し、水(2mL)で希釈し、そして、調製用HPLCによって精製し、続いて、凍結乾燥して、白色固体として表題化合物を得た(6.02mg、収率46%)。
【0627】
実施例47.70kDa PHF-GA-(XMT-A3)の合成
【化185】
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【0628】
70KDa PHF-GA(57.4mg、0.217mmol、70KDa PHFを用いて実施例2に記載の手順を使用して調製した、GAが9%)を水(2.17mL)及びDMF(0.05mL)の混合物中に溶解した。DMF(0.05mL)中のXMT-A3(12.8mg、10.9μmol、実施例46に記載のとおり調製した)を加え、そして、pHを5〜6に調整した。得られた溶液を、0℃に冷やし、そして、EDC(4.16mg、0.022mmol)を4時間かけて分割して加えた。反応混合物をpH5.0〜6.0で6時間撹拌した。水で溶出するサイズ排除クロマトグラフィーによる精製により、表題化合物を得た(40mg、5%(wt)のツブリシン)。
【0629】
実施例48.アウリスタチンF-ヒドロキシプロピルアミドの合成
【化186】
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【0630】
アウリスタチンF(150mg、0.201mmol)、HATU(153.0mg、0.402mmol)、及びジイソプロピルエチルアミン(108μL、0.603mmol)をDMF(5mL)中に溶かし、そして、3-アミノプロパン-1-オール(45.9μL、0.603mmol)を加えた。その混合物を23℃にて45分間撹拌し、その時点で、LCMS分析では出発物質の完全な消失が示された。高真空下での1.4mLへの体積の減少、続いて、調製用HPLC(20分かけた10-90の溶媒Bのグラジエント、0.1%のTFA/水、0.1%のTFA/CH
3CNで溶出する)での精製により、白色の固体として表題化合物を得た(109mg、収率68%)。
【0631】
実施例49.アウリスタチンF-ヒドロキシプロピルアミド Boc-L-アラニンの合成
【化187】
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【0632】
BOC-L-アラニン(117.0mg、0.618mmol)及びDMAP(94.0mg、0.772mmol)をジクロロメタン中に溶かし、次に、ジイソプロピルカルボジイミド(52.6μL、0.340mmol)を加えた。反応混合物を、0℃に冷やし、そして、10分間撹拌し、その後、アウリスタチンF-ヒドロキシプロピルアミド(124mg、0.154mmol、実施例48に記載のとおり調製した)を加えた。反応混合物を、23℃に温め、そして、18時間撹拌した。調製用HPLCによる精製、続いて、凍結乾燥による水の除去により、ベージュ色の固体として表題化合物を得た(112mg、収率75%)。
【0633】
実施例50.アウリスタチンF-ヒドロキシプロピルアミド-L-アラニンの合成
【化188】
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【0634】
アウリスタチンF-ヒドロキシプロピルアミド Boc-L-アラニン(112mg、0.115mmol、実施例49に記載のとおり調製した)をジクロロメタン(3mL)中に溶かし、そして、過剰なトリフルオロ酢酸を加えた。反応混合物を23℃にて1時間撹拌し、そして、溶媒を高真空下で除去した。得られた油状物質をジエチルエーテル(1.5mL)中に溶かし、そして、ジクロロメタン(30mL)から沈殿させて、白色の固体として表題化合物を得た(96.2mg、85%)。
【0635】
実施例51.10KDa PHF-GA-SH-(アウリスタチンF-ヒドロキシプロピルアミド-L-アラニン)の合成
【化189】
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【0636】
10KDa PHF-GA(28%)-SSPyr(10%)(135.0mg、10.49μL、実施例5に記載のとおり調製した)を、水(8mL)及びアセトニトリル(4mL)中に溶かし、そして、0℃に冷やした。1-NHS(12.07mg、0.105mmol)、続いて、EDC(20.11mg、0.105mmol)及びアウリスタチンF-ヒドロキシプロピルアミド-L-アラニン(52.02mg、0.047mmol、実施例50に記載のとおり調製した)を加えた。0.1N NaOHでpHを6に調整し、そして、その混合物を23℃にて18時間撹拌した。1M NaHCO
3でpHを7.5に調整し、そして、(2S,3S)-1,4-ジメルカプトブタン-2,3-ジオール(90mg、0.583mmol)を加えた。反応混合物を、23℃にて30分間撹拌し、そして、水で15mLまで希釈した。その物質を、1%のNaCl/水(3x10mL)及び水(3x10mL)で溶出する3K再生セルロース膜を通す透析により精製した。サンプルを、5mLに希釈し、そして、2〜8℃にて保存した。(145.0mg、アウリスタチンF 14.06mg/mL)。
【0637】
実施例52.10kDa PHF-GA-(アウリスタチンF-ヒドロキシプロピルアミド-L-アラニン)-(トラスツズマブ-MCC)の合成
【化190】
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【0638】
PBS(20mL、pH7.0)中のトラスツズマブ-MCC(400mg、実施例3に記載のとおり調製した)に、水(10mL)中の10kDa PHF-GA-SH(アウリスタチンF-ヒドロキシプロピルアミド-L-アラニン)(106mg、実施例51に記載のとおり調製した)を加えた。その溶液をpH7.0で室温にて4時間撹拌した。得られた生成物を、溶出液としてPBSを用いたSuperpose-6カラムを使用したゲル濾過によって精製した(収率50%)。PHF-GA-(アウリスタチンF-ヒドロキシプロピルアミド-L-アラニン)-(トラスツズマブ-MCC)の分子量は、SECによって測定したとき、約170kDaであった。LC-MSによって測定したとき、アウリスタチンF含有量は、約20:1〜22:1の平均アウリスタチンF対抗体モル比を示した。
図3で使用した10kDa PHF-GA-(アウリスタチンF-ヒドロキシプロピルアミド-L-アラニン)-(トラスツズマブ-MCC)に関して、アウリスタチンF対トラスツズマブ比は約20:1〜22:1であり、そして、
図8で使用されるそれに関して、アウリスタチンF対トラスツズマブ比は約24:1〜28:1であった。
【0639】
実施例53.リツキシマブ-MCC誘導体の合成
【化191】
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【0640】
表題化合物を、トラスツズマブの代わりにリツキシマブを使用して、実施例3に記載のとおり調製した。分析では、平均5〜6個のMCC基が1個のリツキシマブに連結したことが示された。
【0641】
実施例54.10kDa PHF-GA-(HPV-アラニン)-(リツキシマブ-MCC)の合成
【化192】
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【0642】
リツキシマブ-MCC(実施例53に記載のとおり調製した)をトラスツズマブ-MCCの代わりに使用したことを除いて、表題化合物を実施例7に記載の手順を用いて調製した。HPLCで測定したとき、HPV含有量は、約12:1〜15:1の平均HPV対リツキシマブモル比が示された。
【0643】
実施例55.10kDa PHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-MCC)(5:1)の合成
【化193】
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【0644】
HPLCで測定したとき、HPV含有量が約5:1の平均HPV対抗体モル比を示したことを除いて、表題化合物を実施例7に記載の手順を用いて調製した。
【0645】
実施例56.10kDa PHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-MCC)(10:1)の合成
【化194】
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【0646】
HPLCで測定したとき、HPV含有量が約10:1の平均HPV対抗体モル比を示したことを除いて、表題化合物を実施例7に記載の手順を用いて調製した。
【0647】
実施例57.10kDa PHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-MCC)(20:1)の合成
【化195】
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【0648】
HPLCで測定したとき、HPV含有量が約20:1の平均HPV対抗体モル比を示したことを除いて、表題化合物を実施例7に記載の手順を用いて調製した。
【0649】
実施例58.トラスツズマブ-F(ab)
2の合成
トラスツズマブ-F(ab)
2を、製造業者(Pierce)の取扱説明書に従って、固定したペプシン(15mLの沈殿ゲル)及びトラスツズマブ(440mg、2.4μmol)から調製して、表題化合物を得た(265.2mg、収率100%)。
【0650】
実施例59.30kDa PHF-GA-SSPyr-(HPV-アラニン)の合成
【化196】
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【0651】
2mLのCH
3CN:H
2O(1:1)中の30kDa PHF-GA(54mg、1.49μmol、実施例2に記載のとおり調製した)の溶液に、69μL(37μmol)の新たに調製したNHS原液(CH
3CN中に62.4mg/mL)、続いて、EDC原液(150μL(37μmol)水中に47.3mg/mL)を加えた。500μLのCH
3CN:水(1:1)中のHPV-アラニンヒドロクロリド(21.3mg、22μmol、米国特許出願公開第2010/0305149号、実施例1に記載のとおり調製した)の溶液を加え、次に、反応混合物のpHを5.8に調整した。反応をSEC HPLC(270nm検出)で観察し、そして、追加のEDCを18時間(7mg、0.037mmol)及び19時間(4.5mg、0.023mmol)に加えた。反応混合物を、30mLの1% NaClで希釈して、CH
3CNを総反応体積の最小4%にした。未精製の反応混合物を、シリンジによって0.2μmの膜を通して濾過し、次に、小分子がSEC HPLCによって観察されなくなるまで1%のNaClで洗浄する5000MWCO膜(再生セルロース)でのstir cell濾過によって精製した。精製した物質を、最終的に2.5mLまで濃縮し、そして、1%のNaCl溶液として−20℃にて保存した。収率86%(HPVベース)。HPV対高分子モル比は、平均約11:1〜15:1であった。
【0652】
実施例60.30kDa PHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-Fab)の合成
【化197】
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【0653】
PBS、pH7.4中のトラスツズマブ-F(ab)
2(10.4mg/mLの原液の3.44mL、0.325μmol、実施例58に記載のとおり調製した)に、新たに調製したTCEP原液(Et
3NHOAcバッファー中に3.38mg/mL)のアリコート(138μL、0.467mg)を加えた。反応混合物を37℃にて1時間インキュベートした。反応混合物を、室温まで冷まし、次に、Et
3NHOAcバッファーで前もって平衡化したPD10カラムによって精製した。1%のNaCl中の30kDa PHF-GA-(HPV-アラニン)-SSPyr(6.2mg HPV当量/mLの原液600μL、3.72mg HPV当量)の溶液を加え、そして、その溶液を室温にて数時間混合した。得られたコンジュゲートを、最初に、10kDa MWCO膜による遠心分離によって精製し、そして、ゲル濾過によって任意に精製した。SECによって測定したとき、PHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-Fab)コンジュゲートの分子量は、分子量基準として多糖類を用いて、約108kDaであった。HPLCで測定したとき、HPV含有量は、約5:1〜8:1の平均HPV対トラスツズマブ-Fabモル比を示した。
図5で使用される30kDa PHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-Fab)に関して、HPV対トラスツズマブ-Fabの比は、約10:1〜14:1であった。
【0654】
実施例61.(S)2-ヒドロキシプロピルアミド-アウリスタチンFの合成
【化198】
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【0655】
DMF(4ml)中のアウリスタチンF(50mg、0.067mmol)の氷冷溶液に、HATU(51.0mg、0.134mmol)を加え、そして、得られた反応混合物を20分間、冷やしながら撹拌した。これに(S)-1-アミノプロパン-2-オール(10.07mg、0.134mmol)、続いて、DIEA(0.035ml、0.201mmol)を加え、そして、その混合物を1時間、冷やしながら撹拌し、次に、室温にて一晩撹拌した。調製用HPLCによる精製、続いて、凍結乾燥により、TFA塩として白色の非結晶質の固形として表題化合物を得た(47mg、収率76%)M/z=803.4。
【0656】
実施例62.(R)2-ヒドロキシプロピルアミド-アウリスタチンFの合成
【化199】
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【0657】
(R)-1-アミノプロパン-2-オール(10.07mg、0.134mmol)を(S)-1-アミノプロパン-2-オールの代わりに使用したことを除いて、表題化合物を実施例61に記載のとおり調製した(49mg、収率80%)M/z=803.4。
【0658】
実施例63.XMT-A4プロリンエステルの合成
【化200】
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【0659】
DMF(250μL)中の(S)-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジン-2-カルボン酸(2.79mg、0.013mmol)の氷冷溶液に、DIC(2.018μL、0.013mmol)を加え、そして、得られた反応混合物を、15分間撹拌し、次に、DMF(250μL)中のXMT-A4(5mg、6.48μmol)及びDMAP(2.374mg、0.019mmol)の溶液に加えた。反応混合物を、冷やしながら撹拌し、次に、室温にて撹拌した。4時間後に、100μLのDMF中の(S)-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジン-2-カルボン酸(2.79mg、0.013mmol)、DIC(2.018μL、0.013mmol)の別のアリコートを加え、そして、撹拌を室温にて一晩続けた。未精製の生成物を、HPLCによって精製し、続いて、凍結乾燥して、白色の無定形の固体としてBoc保護XMT-A4を得た(4.4mg、収率63%)M/z=969.4。
【0660】
DCM(300μL)中の2,2,2-トリフルオロ酢酸(1:1)(4.4mg、4.06μmol)を伴ったBoc保護XMT-A4化合物の氷冷溶液に、TFA(31.3μL、0.406mmol)を加え、そして、得られた反応混合物を、冷やしながら1時間撹拌し、続いて、室温にて1時間撹拌した。反応混合物を、濃縮し、アセトニトリル中に溶解し、そして、凍結乾燥して、白色の固体として表題化合物を得た(2.3mg、収率58%)M/z=869.4。
【0661】
実施例64.アウリスタチンFヒドロキシプロピルアミドの合成
【化201】
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【0662】
氷/塩浴中で冷やしたDCM(5ml)中のアウリスタチンF(100mg、0.134mmol)の溶液に、DIC(0.052ml、0.335mmol)、tert-ブチル3-ヒドロキシプロピルカルバマート(117mg、0.670mmol)及びDMAP(82mg、0.670mmol)を加え、そして、得られた反応混合物を、冷やしながら2時間撹拌し、次に、室温にて一晩撹拌した。反応混合物を、HPLCによって精製し、続いて、凍結乾燥して、白色の無定形の固体としてtert-ブチルカルバマート保護表題化合物を得た(121mg、収率89%)M/z=903.5。
【0663】
DCM(4ml)中のtert-ブチルカルバマート保護表題化合物2,2,2-トリフルオロアセタート(121mg、0.119mmol)の氷冷溶液に、TFA(500μl、6.49mmol)を加え、そして、得られた反応混合物を、冷やしながら1時間撹拌し、次に、室温にて1時間撹拌した。余分なTFAの除去後に、表題化合物を、白色の無定形の固体として、エチルエーテル中への沈殿によって単離した(109mg、収率93%)MZ=803.4。
【0664】
実施例65.10KDa PHF-GA-SH-(アウリスタチンFヒドロキシプロピルアミド)の合成
【化202】
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【0665】
アウリスタチンFヒドロキシプロピルアミド(実施例64)をアウリスタチンF-ヒドロキシプロピルアミド-L-アラニン(実施例50)の代わりに使用したことを除いて、表題化合物を実施例51に記載のとおり調製した。
【0666】
実施例66.10KDa PHF-GA-SH-(アウリスタチンFヒドロキシプロピルアミド)-(トラスツズマブ-MCC)の合成
【化203】
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【0667】
10KDa PHF-GA-SH-(アウリスタチンFヒドロキシプロピルアミド)(実施例66)を使用したことを除いて、表題化合物を実施例52に記載のとおり調製した。LC-MSによって測定したとき、アウリスタチンF含有量は、約21:1〜25:1の平均アウリスタチンF対抗体モル比を示した。
【0668】
実施例67.N-3(アミノプロピル)4-メチル-4-((5-ニトロピリジン-2-イル)ジスルファニル)ペンタンアミドの合成
【化204】
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【0669】
DMF(1mL)中のtert-ブチル3-アミノプロピルカルバマート(0.437mL、2.50mmol)に、N-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(0.437mL、2.50mmol)及び1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-1-オール(846mg、6.26mmol)を加えた。反応混合物を25℃にて10分間撹拌し、そして、DMF(1mL)中の2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-4-メチル-4-((5-ニトロピリジン-2-イル)ジスルファニル)ペンタノアート(500mg、1.25mmol)を加えた。反応混合物を25℃にて18時間撹拌した。HPLCによる精製により、ベージュ色の固体として、tert-ブチルカルバマートとしての表題化合物を得た(476.7mg、1.04mmol、83%):m/z 459[M+H]
+。
【0670】
DMF(5.00mL)中のtert-ブチルカルバマートとしての表題化合物(699.7mg、1.53mmol)に、2,2,2-トリフルオロ酢酸(2.35mL、30.5mmol)を加えた。反応混合物を25℃にて1時間撹拌した。溶媒の除去後に、得られた表題化合物を更なる精製なしで使用した:m/z 359[M+H]
+。
【0671】
実施例68.10KDa PHF-GA(25%)-SS-ジメチル-NO
2(5%):
【化205】
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【0672】
10kDa PHF-GA(2.37g、14.5mmol、PHF 10,000Daを用いて実施例2に記載の手順を用いることで調製した、GAが25%)を、水で100mLに希釈し、そして、NHS(0.133g、1.16mmol)を加えた。その混合物を、0℃に冷やし、pHを5.5〜6.0に調整し、次に、CH
3CN(4mL)及びDMF(0.5mL)中のN-3(アミノプロピル)-4-メチル-4-((5-ニトロピリジン-2-イル)ジスルファニル)ペンタンアミド(547.0mg、1.16mmol、実施例67)を加え、続いて、EDC(0.222g、1.16mmol)を加えた。反応混合物のpHを、再び5.5〜6.0に調整し、そして、室温にて18時間撹拌した。追加のEDC(0.150mg、0.782mmol)を加え、そして、その混合物を更に1.5時間撹拌した。サンプルを再生セルロース膜を通す透析により精製して、表題化合物を得た(2.05g)。
【0673】
実施例69.10KDa PHF-GA-SS-ジメチル-NO
2-(アウリスタチンF-ヒドロキシプロピルアミド-L-アラニン)
【化206】
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【0674】
10KDa PHF-GA(25%)-SS-ジメチル-NO
2(5%)(実施例68)を10KDa のPHF-GA-SS-Pyr(実施例5)の代わりに使用したこと、及び(2S,3S)-1,4-ジメルカプトブタン-2,3-ジオール(90mg、0.583mmol)を加えなかったことを除いて、表題化合物を実施例51に記載のとおり調製した。
【0675】
実施例70.10KDa PHF-GA-SS-ジメチル-NO
2-(アウリスタチンF-ヒドロキシプロピルアミド-L-アラニン)-(S-Sトラスツズマブ)
【化207】
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【0676】
還元トラスツズマブをトラスツズマブ-Fabの代わりに使用したことを除いて、表題化合物を、10KDa PHF-GA-SS-ジメチル-NO
2-(アウリスタチンF-ヒドロキシプロピルアミド-L-アラニン)(実施例69)から、実施例60に記載の手順を用いて調製した。LC-MSによって測定したとき、アウリスタチンF含有量は、約9:1〜13:1の平均アウリスタチンF対抗体モル比を示した。
【0677】
実施例71.10KDa PHF-GA-SS-ジメチル-NO
2-(アウリスタチンF-ヒドロキシプロピルアミド)
【化208】
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【0678】
10KDa PHF-GA-SS-ジメチル-NO
2(実施例68)及びアウリスタチンF-ヒドロキシプロピルアミドは使用したことを除いて、表題化合物を実施例69に記載のとおり調製した。
【0679】
実施例72.10KDa PHF-GA-SS-ジメチル-NO
2-(アウリスタチンF-ヒドロキシプロピルアミド)-(S-Sトラスツズマブ)
【化209】
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【0680】
10KDa PHF-GA-SS-ジメチル-NO
2-(アウリスタチンF-ヒドロキシプロピルアミド)(実施例71)を使用したことを除いて、表題化合物を実施例70に記載の手順を用いて調製した。LC-MSによって測定したとき、アウリスタチンF含有量は、約11:1〜15:1の平均アウリスタチンF対抗体モル比を示した。
【0681】
実施例73.PBRM−薬物高分子コンジュゲートに関する細胞生存率アッセイ
PBRM−薬物高分子コンジュゲートを、その腫瘍生存率について、Cell Titer-Glo(Promega Corp)を使用して評価した。細胞を、黒色の壁面で囲まれた96ウェルプレート内で平板培養し、5%のCO
2の湿気のある環境内で37℃にて一晩定着させた。HER2発現細胞であるSKBR3、BT474、NCI-N87及び低レベルのHER2-MCF7を発現する細胞を、1ウェルあたり5,000細胞の密度で平板培養した。次の日に、培地を50μLの新鮮な培地に交換し、そして、50μLの2x PBRM−薬物高分子コンジュゲートの原液、薬物−高分子コンジュゲート又は薬物を、適当なウェルに加え、混合し、そして、72時間インキュベートした。Cell Titer-Glo試薬を、室温にてウェルに加え、そして、発光シグナルをSpectraMax M5プレートリーダー(Molecular Devices)を使用して10分後に評価した。用量反応曲線を、SoftMax Proソフトウェアを使用して作成した。IC
50値を4つのパラメーター曲線の当てはめから決定した。
【0682】
CD20発現細胞株であるRaji及びRamosを平板培養し、そして、HER2発現細胞について先に記載したのと同じ手順を用いて分析した。
【0683】
表I〜VIIは、HER2発現細胞(表I〜IV、VI及びVII)又はCD20発現細胞(表V)のうちのいずれかにおけるPBRM−薬物高分子コンジュゲートの抗細胞増殖特性の事例的結果である。
【0684】
表Iは、PBRM−薬物−高分子コンジュゲート(PHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-MCC)、つまり実施例7、(HPV:トラスツズマブ 約14:1〜17:1)、及びPHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-M-(PEG)
12)、つまり実施例8、(HPV:トラスツズマブ 約16:1〜18:1)、薬物−高分子コンジュゲート(PHF-GA-(HPV-アラニン)-SH、つまり実施例6、及び薬物(HPV)のみの結果を一覧にしている。
表I
【0685】
【表14】
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【0686】
表Iの結果は、HER2発現細胞株であるSKBR3及びBT474に関して、PBRM−薬物高分子コンジュゲート(実施例7及び8)が、薬物高分子コンジュゲート(実施例6)及び薬物(HPV)単独に対して高い増殖抑制作用を発揮したことを示している。これらの細胞株において、薬物−高分子コンジュゲート(実施例6)は薬物(HPV)単独ほど強力でない。
【0687】
表IIは、(S)-2HPV(実施例22)及び(R)-2HPV(実施例23)の結果を一覧にしている。
表II
【0688】
【表15】
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【0689】
表IIの結果は、HER2発現細胞株であるSKBR3及びBT474に関して、ビンカ誘導体(実施例22及び23)が同様の増殖抑制作用を発揮したことを示している。
【0690】
表IIIは、PBRM−薬物高分子コンジュゲート(PHF-GA-SSPyr-(HPV-アラニン))、つまり実施例59)、及び薬物−高分子コンジュゲート(PHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-Fab))、つまり実施例60、HPV:トラスツズマブ-Fab 約6:1〜8:1の結果を一覧にしている。
表III
【0691】
【表16】
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【0692】
表IIIの結果は、HER2発現細胞株であるSKBR3、BT474、及びN87に関して、PBRM−薬物高分子コンジュゲート(実施例60)が、薬品高分子コンジュゲート(実施例59)と比較して、より高い増殖抑制作用を発揮することを示している。
【0693】
表IVは、PBRM−薬物−高分子コンジュゲート(PHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-MCC))、つまり実施例7(HPV:トラスツズマブ 約19:1〜22:1)及びPHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-M-(PEG)
12)、つまり実施例8、HPV:トラスツズマブ 約16:1〜18:1)、並びに薬物−高分子コンジュゲート(PHF-GA-(HPV-アラニン)-SH、実施例6)の結果を一覧にしている。
表IV
【0694】
【表17】
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【0695】
表IVの結果は、HER2発現細胞株であるSKBR3、BT474、及びN87に関して、PBRM−薬物高分子コンジュゲート(実施例7及び実施例8)の両方が、薬品高分子コンジュゲート(実施例6)と比較して、より高い増殖抑制作用を発揮したことを示している。
【0696】
表Vは、CD20発現細胞株であるRaji及びRamosに関するPBRM−薬物高分子コンジュゲート(PHF-GA-(HPV-アラニン)-(リツキシマブ-MCC))、(実施例54、HPV:リツキシマブ 約12〜15:1)及び薬物高分子コンジュゲート(PHF-GA-(HPV-アラニン)-SH、実施例6)の結果を一覧にしている。
表V
【0697】
【表18】
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【0698】
表Vの結果は、CD20発現細胞株であるRaji及びRamosに関して、PBRM−薬物高分子コンジュゲート(実施例54)が、薬品高分子コンジュゲート(実施例6)と比較して、より高い増殖抑制作用を発揮したことを示している。
【0699】
表VIは、PBRM−薬物高分子コンジュゲートであるPHF-GA -(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-MCC)(約5:1)(実施例55);PHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-MCC)(約10:1)(実施例56);及びPHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-MCC)(約20:1)(実施例57)の結果を一覧にしている。
表VI
【0700】
【表19】
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【0701】
表VIの結果は、HER2発現細胞株であるSKBR3及びBT474に関して、抗細胞増殖効果が薬物負荷に依存していることを示している。より高い薬物負荷がかかっているPBRM−薬物高分子(実施例57)が、低い薬物負荷(実施例56及び実施例55)しかかかっていないコンジュゲートと比較して、より高い増殖抑制作用を発揮した。
【0702】
表VIIは、PBRM−薬物高分子コンジュゲートであるPHF-GA-(アウリスタチンF-ヒドロキシプロピルアミド-L-アラニン)-(トラスツズマブ-MCC)(実施例52、アウリスタチンF:トラスツズマブ 約20:1〜22:1);PBRM−薬物高分子コンジュゲートであるPHF-GA-SH-(アウリスタチンF-プロピルアミド-L-アラニン)(実施例51)及びアウリスタチンF-ヒドロキシプロピルアミド(実施例48)の結果を一覧にしている。
表VII
【0703】
【表20】
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【0704】
表VIIの結果は、HER2発現細胞株である、SKBR3、BT474、及びN87に関して、PBRM−薬物高分子コンジュゲート(実施例52)及び薬物単独(実施例48)が、薬物高分子コンジュゲート(実施例51)と比較して、より高い増殖抑制作用を発揮したことを示している。PBRM−薬物高分子コンジュゲートは、薬物単独の効力を維持している。
【0705】
実施例74.薬物に関する細胞生存率アッセイ
薬物化合物を、その腫瘍生存率について、実施例73に記載のCell Titer-Glo(Promega Corp)を使用して評価した。表VIIIは、HER2発現細胞における薬物化合物の抗細胞増殖特性に関する事例的結果である(「ND」=不検出)。
表VIII
【化210】
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【0706】
【表21】
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【0707】
【化211】
[この文献は図面を表示できません]
【0708】
【表22】
[この文献は図面を表示できません]
【0709】
【化212】
[この文献は図面を表示できません]
【0710】
【表23】
[この文献は図面を表示できません]
【0711】
【化213】
[この文献は図面を表示できません]
【0712】
【表24】
[この文献は図面を表示できません]
【0713】
【化214】
[この文献は図面を表示できません]
【0714】
【表25】
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【0715】
実施例75.インビボにおける有効性、薬物動力学、及び生体内分布の検討
タンパク質薬物コンジュゲートの有効性及び薬物動力学を評価するために、マウス及びラット皮下及び同所性異種移植モデルを使用する。
【0716】
試験品を、適当な対照と共に、尾静脈注射を介して静脈内(IV)に、又は腹腔内に投与する。試験品の循環レベルを評価するために、血液サンプルを、所定の時間における終末の心穿刺によって採取する。サンプルを、室温にて30分間維持して、凝固させ、次に、4℃、1,000x gにて10分間遠心分離し、そして、すぐに−80℃にて冷凍した。血清サンプル中の総PBRM濃度は、ELISAを使用して評価する。循環薬物濃度(結合及び遊離)を、LC/MS/MS法によって測定した。
【0717】
PBRM−薬物高分子コンジュゲートの有効性を評価するために、腫瘍サイズを、デジタルカリパスを使用して計測する。腫瘍体積を計算し、そして、腫瘍増殖の遅延を測定するのに使用する。
【0718】
薬物の生体内分布の測定のために、腫瘍及び主要組織、例えば、肝臓、腎臓、脾臓、肺、心臓、筋肉、及び脳を採取し、そして、液体窒素中ですぐに冷凍し、−80℃にて保存した。PBRM及び/又は薬物濃度を、標準的な方法、例えば、それぞれELISA又はLC/MS/MS法などによって組織ホモジネート中で測定する。
【0719】
実施例76.PBRM−薬物高分子コンジュゲートの投与に対する腫瘍増殖応答
雌CB-17SCIDマウスに、NCI-N87細胞(各群n=10)又はBT474腫瘍(各群n=12又はn=10)を皮下接種した。試験化合物又はビヒクルを、1日目の単回投与として;3週間にわたり週1回それぞれ1日目、8日目、及び15日目に;又は3週間にわたり週1回それぞれ17日目、24日目にIV投与した。薬物高分子コンジュゲートの投与量は、デジタルカリパスを使用して
図1、2、3、4、及び5で示された時点で計測した腫瘍サイズに投与した対応するPBRM−薬物−高分子コンジュゲートの最高用量中に存在するのと同じ量の薬物を送達するように決定した。腫瘍体積を計算し、そして、それを腫瘍増殖の遅延を測定するのに使用した。腫瘍が1000mm
3、800mm
3、又は700mm
3のサイズに達したとき、マウスを屠殺した。腫瘍体積は、各群に関して平均±SEMとして報告されている。
【0720】
図1は、週に1回、3週間にわたり、それぞれ1日目、8日目、及び15日目に投与したビヒクル、各15.6mg/kg、5.2mg/kg、1.6mg/kg、及び0.5mg/kgのPBRM−薬物−高分子コンジュゲートPHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-M-(PEG)
12)(実施例8、HPV:トラスツズマブが約16:1〜18:1)、及び薬物−高分子コンジュゲートPHF-GA-(HPV-アラニン)-SH(実施例6)(15.6mg/kgで実施例8に存在したものと同等であるビンカ用量で投与)のIV投与後に、NCI-N87細胞(各群n=10)を皮下接種したマウスにおける腫瘍反応に関する結果を提供する。前記結果は、80%の部分奏功(8/10);20%の完全な奏功(2/10)及び0%の腫瘍の存在しない生存(0/10)の腫瘍体積の低減を示す、15.6mg/kgの最高用量のPBRM−薬物高分子コンジュゲート(実施例8)に関する用量応答を示している。5.2mg/kg、1.6mg/kg及び0.5mg/kgの用量におけるビヒクル、薬物−高分子コンジュゲート(実施例6)及びPBRM−薬物高分子コンジュゲート(実施例8)はすべて、腫瘍体積の増大を示した。
【0721】
図2は、週に1回、3週間にわたり、各々1日目、8日目、及び15日目に投与したビヒクル;15mg/kgのPBRM(トラスツズマブ);7.5mg/kgのPBRM−薬物−高分子コンジュゲートPHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-MCC)(実施例7、HPV:トラスツズマブが約19:1〜22:1)及び20mg/kgのPHF-GA-(HPV-アラニン)-(リツキシマブ-MCC)(実施例54、HPV:リツキシマブが約12:1〜15:1);トラスツズマブと組合わせた15mg/kgの薬物−高分子コンジュゲートPHF-GA-(HPV-アラニン)-SH(実施例6)(15mg/kgで実施例7に存在したものと同等であるビンカ用量で投与)のIV投与後にBT474腫瘍(各群n=12)を皮下接種したマウスにおける腫瘍反応に関する結果を提供する。前記結果は、100%の完全奏功及び100%の腫瘍の存在しない生存の、実施例7に関する腫瘍体積の低減を示している。ビヒクル、トラスツズマブ単独、実施例6の組合わせ、及びトラスツズマブ;並びに実施例54はすべて、腫瘍体積の増大を示した。PBRMと組合わせた薬物−高分子コンジュゲートも(トラスツズマブと組合わせた実施例6)、HER2細胞非特異的PBRMの結合(リツキシマブ、実施例54)もいずれも腫瘍体積の低減を示さなかったので、HER2細胞に特異的なPBRM(トラスツズマブ)の薬物−高分子コンジュゲートへの結合が腫瘍体積の低減に必要であった。
【0722】
図3は、週に1回、3週間にわたり、各々1日目、8日目、及び15日目に投与したビヒクル;15mg/kgのPBRM(トラスツズマブ);7.5mg/kgのPBRM−薬物−高分子コンジュゲートPHF-GA-(アウリスタチンF-ヒドロキシプロピルアミド-L-アラニン)-(トラスツズマブ-MCC)(実施例52、アウリスタチンF:トラスツズマブが約20:1〜22:1);トラスツズマブと組合わせた、15mg/kgの薬物−高分子コンジュゲートPHF-GA-SH-(アウリスタチンF-プロピルアミド-L-アラニン)(実施例51)(15mg/kgで実施例52に存在したものと同等であるアウリスタチン用量で投与)のIV投与後に、BT474腫瘍(各群n=12)を皮下接種したマウスにおける腫瘍反応に関する結果を提供する。前記結果は、実施例52に関して、100%の完全奏功(11/11)及び100%の腫瘍の存在しない生存(11/11)の腫瘍体積の低減を示している。ビヒクル、トラスツズマブ単独、実施例51の組合わせ及びトラスツズマブはすべて、腫瘍体積の増大を示した。PBRMと組合わせた薬物−高分子コンジュゲート(トラスツズマブと組合わせた実施例51)も、PBRM(トラスツズマブ)単独もいずれも腫瘍体積の低減を示さなかったので、薬物−高分子コンジュゲートへのPBRMの結合が腫瘍体積の低減に必要であった。
【0723】
図4は、週に1回、3週間にわたり、各々1日目、8日目、及び15日目に投与したビヒクル;3.5mg/kgのPBRM−薬物−高分子コンジュゲートPHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-MCC)(実施例7、HPV:トラスツズマブが約19:1〜22:1);1日目に単回投与として投与した10mg/kgのPBRM−薬物−高分子コンジュゲートPHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-MCC)(実施例7、HPV:トラスツズマブが約19:1〜22:1);週に1回、3週間にわたり、各々17日目、24日目、及び31日目に投与した10mg/kgのPBRM−薬物−高分子コンジュゲートPHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-MCC)(実施例7、HPV:トラスツズマブが約19:1〜22:1)のIV投与後にBT474腫瘍(各群n=10)を皮下接種したマウスにおける腫瘍反応に関する結果を提供する。前記結果は、3週間にわたり週1回3.5mg/kgで投与して100%の完全奏功(10/10)及び100%の腫瘍の存在しない生存(10/10);巨大腫瘍を有するマウスにおいて3週間にわたり週1回10mg/kgで投与して90%の部分奏功(9/10);10%の完全な奏功(1/10)及び10%の腫瘍の存在しない生存(1/10);及び単回投与として10mg/kgで投与して100%の完全奏功(10/10)及び100%の腫瘍の存在しない生存(10/10)の、すべての投薬処方及びすべての投薬濃度について実施例7に関して腫瘍体積の低減を示している。ビヒクルは、腫瘍体積の増大を示した。
【0724】
図5は、週に1回、3週間にわたり、各々1日目、8日目、及び15日目に投与したビヒクル又は7mg/kgの30kDa PHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-Fab)(実施例60、HPV:トラスツズマブ-Fabが約10:1〜14:1)のIV投与後にBT474腫瘍(各群n=10)を皮下接種したマウスにおける腫瘍反応に関する結果を提供する。前記結果は、ビヒクルの腫瘍体積の増大と比較して、100%の完全奏功(10/10)及び100%の腫瘍の存在しない生存(10/10)の実施例60に関する腫瘍体積の低減を示している。
【0725】
図8は、週に1回、3週間にわたり、各々1日目、8日目、及び15日目に投与した2mg/kg及び4mg/kgのビヒクル; PBRM−薬物−高分子コンジュゲートPHF-GA-(アウリスタチンF-ヒドロキシプロピルアミド-L-アラニン)-(トラスツズマブ-MCC)(実施例52、アウリスタチンF:トラスツズマブが約24:1〜28:1)及び薬物−高分子コンジュゲートPHF-GA-SS-ジメチル-NO
2-(アウリスタチンF-ヒドロキシプロピルアミド-L-アラニン)-(S-S-トラスツズマブ)(実施例70、アウリスタチンF:トラスツズマブが約9:1〜13:1)のIV投与後にBT474腫瘍(各群n=10)を皮下接種したマウスにおける腫瘍反応に関する結果を提供する。前記結果は、2mg/kg及び4mg/kgの用量での実施例70に関して、並びに4mg/kgでの実施例52に関して腫瘍体積の完全な低減を示している。
【0726】
本明細書中に記載したすべてのインビトロ又はインビボにおける実験において、別段の定めがない限り、使用される用量はすべて、PBRM−薬物高分子コンジュゲートのPBRM(例えば、抗体フラグメントの抗体)に基づいた。
【0727】
実施例77.PBRM−薬物高分子コンジュゲートのインビトロにおける安定性
PBRM−薬物高分子コンジュゲートのインビトロにおける安定性は、37℃、pH7.4における生理的食塩水又は動物血漿中でのPBRM−薬物高分子コンジュゲートのインキュベーションによって評価した。PBRM−薬物高分子コンジュゲートの分解速度を、液液抽出によってPBRM−薬物高分子コンジュゲートから放出された薬物の分離後に、LC/MS/MS分析法によってマトリックス中に放出された薬物量を観察することによって測定した。
【0728】
表IXは、マウス血漿、ラット血漿、及びイヌ血漿中のPBRM−薬物コンジュゲート、実施例8のPHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-M-(PEG)
12)(HPV:トラスツズマブ 約16:1〜18:1)の半減期(T1/2)を一覧にしている。
表IX
【0729】
【表26】
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【0730】
結果は、実施例8のPBRM−薬物高分子コンジュゲートは動物血漿中で安定しており、且つ意図したとおり薬物を放出したことを示している。
【0731】
実施例78.BIAcore Surface Plasmon Resonance(SPR)によるリガンド結合試験
固定した受容体へのPBRM−薬物高分子コンジュゲートの動的結合を、BIAcore SPRによって測定した。PBRM−薬物コンジュゲートPHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-M-(PEG)
12)実施例8(HPV:トラスツズマブ 約16:1〜18:1)及びPBRM(すなわち、トラスツズマブ)単独内のPBRMの結合定数を、標準的なBIAcore手順を用いて測定した。
【0732】
標準的なアミンカップリング化学反応を使用して、hErbB2を、3つの類似密度で表面プラズモン共鳴センサチップ表面に3つのフローチャネルで固定した。その結果、固定されたhErbB2にすぐに結合されたトラスツズマブは、両結合パートナーが活性であったことを実証している。表Xは、GLCセンサーチップを備え、且つ泳動バッファーで平衡化したBioRad ProteOn XPR36光学バイオセンサを使用して実施例8のコンジュゲート及びトラスツズマブについて25℃にて計測した結合パラメータka(結合又は親和定数)及びK
D(解離定数)を提供している。
表X
【0733】
【表27】
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【0734】
結果は、PBRM−薬物コンジュゲート中のPBRMがPBRM受容体によって認識されたことを示している。
【0735】
実施例79.PBRM−薬物高分子コンジュゲート投与後のマウス血漿PK及び組織分布
PBRM−薬物コンジュゲートの血漿PKの安定性及び組織分布を、NCI-N87腫瘍を有する雌CB-17SCIDマウス(n=3)においてPBRM−薬物コンジュゲート投与後に測定した。結合HPV濃度を、LC/MS/MS分析法によって測定した。HPV-トラスツズマブ-コンジュゲートの濃度を、結合HPVデータから推定した。総トラスツズマブ濃度を、ELISAによって測定した。
【0736】
マウスに、PBRM−薬物コンジュゲートPHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-M-(PEG)
12)のIVボーラスを15mg/kg(トラスツズマブベース)にて実施例8(HPV:トラスツズマブ 約16:1〜18:1)のように与えた。
【0737】
図6は、実施例8のように(HPV:トラスツズマブが約16:1〜18:1)、(トラスツズマブに基づいて)15mg/kgのPBRM−薬物コンジュゲートPHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-M-(PEG)
12)のIVボーラス投与後に結合させたHPVとトラスツズマブに関する血漿PKを示している。
【0738】
図7は、実施例8のように(HPV:トラスツズマブが約16:1〜18:1)、(トラスツズマブに基づいて)15mg/kgのPBRM−薬物コンジュゲートPHF-GA -(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-M-(PEG)
12)のIVボーラス投与後の、マウスの様々な臓器内に蓄積したHPVの量を示している。
【0739】
結果は、PBRM−薬物コンジュゲートが血漿中で安定しており、且つ薬物が腫瘍に達したことを示している。HPVの腫瘍蓄積ピークを24〜72時間に観察した。
【0740】
実施例80.PBRM−薬物高分子コンジュゲート投与後のマウス血漿PK
PBRM−薬物コンジュゲートの血漿PKの安定性を、N87腫瘍(n=3)又はBT474腫瘍(n=3)を有する雌CB-17SCIDマウスにおいてPBRM−薬物コンジュゲート投与後に測定した。結合HPV濃度を、LC/MS/MS分析法によって測定した。総トラスツズマブ濃度を、ELISAによって測定した。
【0741】
表XIは、N87異種移植モデルにおいてトラスツズマブベースで15.6mg/kgのPBRM−薬物−コンジュゲート、PHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-M-(PEG)
12)実施例8(HPV:トラスツズマブ 約16:1〜18:1)、並びにBT474異種移植モデルにおいてトラスツズマブベースで15.0mg/kgのPBRM−薬物−高分子コンジュゲート、PHF-GA-(HPV-アラニン)-(トラスツズマブ-MCC)(実施例7、HPV:トラスツズマブ 約19:1〜22:1)の半減期(T1/2)及び曲線下面積(AUC)を提供する。
表XI
【0742】
【表28】
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【0743】
結果は、実施例7及び8のPBRM−薬物高分子コンジュゲートが血漿中で安定していたことを示している。
【0744】
援用
本明細書中で言及した各々の特許文献及び科学論文の開示全体を、あらゆる目的のために言及によって援用する。
【0745】
同等物
本発明は、その主旨又は本質的な特徴から逸脱することなく、他の具体的な形態で実施することができる。したがって、前述の実施形態はあらゆる点で、本明細書中に記載されている本発明を限定するものではなく、例示するものであると見なされるべきである。したがって、本発明の範囲は、前述の明細書ではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び同等性の範囲内にある変形形態はすべて、本明細書に包含されるものとする。