特許第6788049号(P6788049)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6788049
(24)【登録日】2020年11月2日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】成分混合噴射体
(51)【国際特許分類】
   B05B 7/04 20060101AFI20201109BHJP
   F16C 19/04 20060101ALI20201109BHJP
   B05B 7/12 20060101ALI20201109BHJP
【FI】
   B05B7/04
   F16C19/04
   B05B7/12
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-25003(P2019-25003)
(22)【出願日】2019年2月15日
(65)【公開番号】特開2019-141837(P2019-141837A)
(43)【公開日】2019年8月29日
【審査請求日】2019年2月15日
(31)【優先権主張番号】10 2018 104 209.4
(32)【優先日】2018年2月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513302215
【氏名又は名称】ヘンネッケ ゲー エム ベー ハー
【氏名又は名称原語表記】Hennecke GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ウェント、マーク
(72)【発明者】
【氏名】ゴイアー、イエンス
(72)【発明者】
【氏名】エトシェンベルク、ラース
【審査官】 清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−171446(JP,A)
【文献】 特開平11−197555(JP,A)
【文献】 特開昭52−145809(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2018/0043381(US,A1)
【文献】 中国実用新案第202460935(CN,U)
【文献】 実開昭49−111486(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00−3/18
7/00−9/08
B05C 7/00−21/00
F16C 19/00−19/56
33/30−33/66
B05D 1/00−7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの成分入口(3、4)および1つの成分出口(5)を有する噴射ノズル収容部(2)を備えている成分混合噴射体(1)であって、軸方向(a)に動く噴射針(7)が前記噴射ノズル収容部(2)内の受容部(6)に配置され、前記噴射針(7)は、軸方向端部(8)が前記成分出口(5)の領域で密閉状態で前記噴射ノズル収容部(2)に当接でき、前記噴射針(7)は、前記噴射ノズル収容部(2)内に固定されている膜(9)と結合し、前記噴射ノズル収容部(2)内の前記膜(9)の面には圧力室(10)が構成され、前記圧力室(10)は前記噴射針(7)の前記軸方向端部(8)から離れている、成分混合噴射体(1)において、
前記膜(9)は、前記噴射針(7)に対する保持部材として設計され、前記噴射針(7)を前記受容部(6)内で軸方向(a)に案内し、前記噴射針(7)を前記受容部内で径方向(r)に保持し、前記膜(9)と前記噴射針(7)の前記軸方向端部(8)との間の軸方向領域には、前記成分出口(5)の領域にある前記噴射針(7)に対する支持部材が一切なく、
前記膜(9)は、径方向外側領域(12)に軸方向(a)の肉厚部分(13)を有し、径方向内側領域(14)における前記噴射針(7)との接触領域には、軸方向(a)の肉厚部分(15)を有し、前記膜(9)の厚み(D)は、前記径方向外側領域と前記径方向内側領域(12、14)との間に構成される中間領域(16)では、少なくとも断面が軸方向(a)に薄くなっていることを特徴とする、成分混合噴射体(1)。
【請求項2】
前記噴射ノズル収容部(2)は、2つの成分入口(3、4)を有し、前記成分入口は、前記噴射ノズル収容部(2)内の直径上に対向して配置され、前記噴射針(7)の中央軸は、前記2つの成分入口(3、4)の間の接続線によって切断されることを特徴とする、請求項1に記載の成分混合噴射体(1)。
【請求項3】
前記膜(9)の少なくとも一方の面(17、18)は、前記中間領域(16)の前記径方向断面が前記膜(9)の両面で凹状に設計されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の成分混合噴射体(1)。
【請求項4】
前記膜(9)の前記中間領域(16)に対する前記噴射ノズル収容部(2)内の少なくとも一方の接触面(19、20)は、前記径方向断面が凸状に設計されることを特徴とする、請求項3に記載の成分混合噴射体(1)。
【請求項5】
前記膜(9)は、前記噴射針(7)が前記成分出口(5)の領域で密閉状態で前記噴射ノズル収容部(2)と接触する位置で、前記噴射ノズル収容部(2)内の前記接触面(19)と応力なしで接触することを特徴とする、請求項4に記載の成分混合噴射体(1)。
【請求項6】
前記噴射針(7)は、前記噴射針(7)の一方の軸方向端部領域で前記膜(9)と結合していることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の成分混合噴射体(1)。
【請求項7】
前記噴射針(7)は、前記膜(9)を貫通し、径方向に支持されているが前記噴射ノズル収容部(2)内で軸方向(a)に動くことが可能で、その断面では、前記成分出口(5)から離れている側で前記膜(9)を超えて延びていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の成分混合噴射体(1)。
【請求項8】
前記噴射ノズル収容部(2)内での前記噴射針(7)の支持は、ローラベアリング(21)を用いて行われることを特徴とする、請求項7に記載の成分混合噴射体(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの成分入口および1つの成分出口を有する噴射ノズル収容部を備えている成分混合噴射体であって、軸方向に動く噴射針が噴射ノズル収容部内の受容部に配置され、噴射針は、軸方向端部が成分出口領域で密閉状態で噴射ノズル収容部に当接でき、噴射針は、噴射ノズル収容部内に固定されている膜と結合し、噴射ノズル収容部内の膜の面には圧力室が構成され、圧力室は噴射針の軸方向端部から離れている、成分混合噴射体に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の成分混合噴射体は、ポリウレタンなどの反応性プラスチック材料を製造するための高圧混合ヘッド部に使用される。ポリウレタンを高圧混合する際のノズルの本質的な役割は、圧力エネルギーを流動エネルギーに変換することである。これは、成分をそれに見合った寸法のノズルの孔から押し出すことによって行われ、それによって高速で流出する成分噴射が起こり、それが混合室に案内され、そこで反応相手と合流する。
【0003】
その際、様々な処理率に対応できなければならないという要件が出されることが多く、それによって様々なノズル直径が必要になってくる。しかしながら、実際には一定のノズル直径が使用されており、軸方向に動く噴射針(ノズル針)をノズル孔の手前にある程度近い所(すなわち成分出口)に位置決めすることで、この調整を行うためにノズルの幅が変更される。
【0004】
処理率ごとに、ノズルの横断面に所望の圧力(よってそれに対応する速度も)を起こすためにそれ独自の噴射針の位置が要求される。反応性プラスチック材料を製造する際は、液状反応成分の所定の混合率を維持して、仕上がるプラスチック材料の必要な特性を達成することが特に重要である。高圧ポンプは、圧力を発生させるために使用され、圧力に応じた計量作業に使用される。そのため、それぞれの所望の処理率に対して正確に圧力と間隙をそれぞれ調整するための要件が存在する。
【0005】
成分混合噴射体は様々な実施形態で知られている。そのような解決策が、独国特許第10020157A1号(特許文献1)、独国特許第102007037780A1号(特許文献2)および独国特許第102012106230A1号(特許文献3)に見られる。このような解決策はいずれも、軸方向に動く噴射針を有する混合ノズルに基づくもので、噴射針は、動的密閉材を用いて(特許文献2)、またはベローズ(特許文献1)および膜(特許文献3)をそれぞれ用いて成分を制御媒体から密閉するか、外部環境から密閉している。さらに、このような解決策はいずれも、噴射針が成分の側部で径方向および軸方向に噴射ノズル収容部内に案内されて、噴射針がノズルの孔に同軸に配置されるようになっていることを示している。
【0006】
また、記載した公知の解決策は、噴射針の所望の位置を常に正確に一切のヒステリシスなしに調整できるように、噴射針をできる限り摩擦なしで案内する必要があると教示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許第10020157A1号
【特許文献2】独国特許第102007037780A1号
【特許文献3】独国特許第102012106230A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、実際には、噴射針を成分室(すなわち成分が到達できる領域)に案内するにも成分室で支持するにもどちらも摩擦を生じ、これが針の位置決めに対して相当な影響を及ぼしていることがわかった。特に油の少ない成分の場合、案内中の摩擦を制御することはできない。そのため、公知のノズル設計ではいずれも、一切のヒステリシスなしで動作することはない。
【0009】
動作中、噴射針は常に圧力室の制御圧力と成分室の成分圧力との間で均衡が保たれ、成分圧力は、成分の処理量および開口しているノズルの間隙に影響を受ける。噴射針と噴射ノズル収容部との間に既にある最小摩擦力は、この力の均衡をかなり強く変えるため圧力変化が起こり、これは計量の精度に重大な影響を及ぼす。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのため、本発明の目的は、摩擦がなくヒステリシスもない噴射針の作動を達成する一般的な種類の成分混合噴射体を提供することである。このようにこの目的は、軸方向に動く噴射針を有し、噴射針が噴射ノズル収容部内を軸方向に摩擦なしで動ける混合噴射体を提供するためのものである。
【0011】
本発明によるこの課題の解決策は、膜が噴射針に対する保持部材として設計され、噴射針を受容部内で軸方向に案内し、噴射針を受容部内で径方向に保持し、膜と噴射針の軸方向端部との間の軸方向領域には、成分出口領域にある噴射針に対する支持部材が一切ないことを特徴とする。
【0012】
好ましくは、膜と、噴射ノズル収容部内の受容部と噴射針との間にある少なくとも成分入口との間の軸方向領域には、遮るもののない環状間隙が設けられる。
【0013】
噴射ノズル収容部は、主に2つの成分入口を有し、この成分入口は、噴射ノズル収容部の直径上に対向して配置され、噴射針の中央軸は、2つの成分入口の間の接続線によって切断される。すなわちこれは、2つの成分入口が噴射針の直径上に対向して配置されているために噴射針には流動媒体が対称に注入されることになり、噴射針の径方向への偏りがないかわずかしかないと理解すべきことである。
【0014】
膜は、好ましくは、径方向外側領域(膜が噴射ノズル収容部と結合している領域)に軸方向の肉厚部分を有し、径方向内側領域、特に噴射針との接触領域には、別の軸方向の肉厚部分を有し、膜の厚みは、径方向外側領域と径方向内側領域との間に構成される中間領域では、少なくとも断面が軸方向に薄くなっている。そのため、上記の目的を達成するために、膜が比較的厚くなるように設けられ、それによって噴射ノズル収容部でも噴射針との接触領域でも固定が安定し、その結果、上記の保持機能を最適に実現できる。ただし、膜のこの径方向外側領域と径方向内側領域との間では、膜の厚みは薄く、好ましくは(径方向断面が)くびれた設計になっている。
【0015】
好ましくは、膜の少なくとも一方の面は、中間領域の径方向断面が、好ましくは膜の両面で凹状に設計される。この設計に対応して、膜の中間領域に対する噴射ノズル収容部内の少なくとも一方の接触面は、径方向断面が凸状に設計されることが好ましい。このようにすると、膜は噴射ノズル収容部内で接触面と平らに接触でき、極めて最適に支持される。
【0016】
好ましくは、膜は、噴射針が成分出口領域で密閉状態で噴射ノズル収容部と接触する位置で、噴射ノズル収容部内の接触面と応力なしで接触する。
【0017】
噴射針は、本発明の一実施形態によれば、噴射針の一方の軸方向端部領域で膜と結合している。
【0018】
代替実施形態では、噴射針は、膜を貫通し、径方向に支持されているが噴射ノズル収容部内で軸方向に動くことが可能で、その断面では、成分出口から離れている側で膜を超えて延びている。この解決策の本質的な利点は、軸受を成分と接触させることなく噴射針の極めて良好な支持が得られる点である。噴射ノズル収容部内での噴射針の支持は、この場合、好ましくはローラベアリング、特にリニアベアリング(ボールベアリングとも呼ぶ)を用いて行われる。
【0019】
提供する設計により、噴射針は、膜と成分出口の軸方向の領域との間で、噴射ノズル収容部内に摩擦なしで支持され、成分出口領域で軸方向に移動できる。記載した設計により、膜が噴射針をノズル体の中で径方向と軸方向に正確に支持すると同時に案内することになり、それによって膜と成分出口領域(よって成分側)の軸方向の針端部との間で、軸方向領域で支持または案内を要求する必要がない。
【0020】
噴射針は、開位置では常に、成分圧力(すなわち反応成分の圧力)と圧力室の制御圧力との間で均衡が保たれ、噴射針に対して余分な機械力が作用しない。開口時の噴射針のストロークは、反応成分の容量の流速によって決まる。
【0021】
さらに、提供する設計により、成分が流入するとき、噴射ノズル収容部内の受容部で外側側部に流出するとき、および成分が流れるときに、噴射針が径方向中央に来ることを実現する。
【0022】
噴射針の閉位置では、膜は、膜が機械的にひずまないように、すなわち張力を受けないように、好ましくは噴射ノズル収容部内の(下方)領域に留まる。好ましくは噴射針が軸方向のストロークを行って成分出口を開口するときのみに、膜の機械的変形(伸張)が起こる。また、この場合は膜の両面(上下)で圧力の均衡も起こる。
【0023】
噴射針の受容部と噴射針との間の環状間隙の規模はかなり大きく設定されるため、噴射針は、膜と成分出口との間の軸方向領域で収容部に接触し得ない。ただし、この規模は、片側のみから膜の上面に圧力がかかる際に環状間隙内の力が膜によって保持され得るように十分に小さく設定される。
【0024】
したがって、提供する構想では、噴射針は、軸方向の片側で自由に動けるように膜に懸架され、膜は、噴射針が径方向中央に来るように設計され、さらに成分が流れているときに噴射針が中心に来るように設計されることを実現する。
【0025】
成分の粘性が極めて低く、加えて成分の流速が極めて遅い場合、成分の流れによって中央に位置付けることが不十分となり、噴射針が径方向に偏って揺れ始めるということが起こり得る。このような場合に対し、本発明は、上記の代替の設計に従い、制御室(圧力室)で噴射針に摩擦のない案内(例えばボールライニング)を提供する。圧力室内で有効な制御媒体であるガスまたは油圧液を任意に選択することができる。そのようにすることで、そのような案内の摩擦を明らかにして、成分の特性とは無関係に体系的に最小にできる。
【0026】
成分混合噴射体を意図通りに使用するとき、膜の上には常に制御圧力が発生する。それによって2つの動作形態を区別できる。成分の流れが発生しないとき、噴射針はノズル孔を閉じ、膜は収容部の成分側で留まるため伸張しない(ゼロ位置)。この位置では、全制御圧力が膜の片面にかかる。成分が流入すると、噴射針は、制御圧力と開口したノズル断面による圧力損失との均衡により生じる位置になる。この位置では、膜は、成分圧力と制御圧力との均衡が保たれた圧力で浮き、開口ストロークによってわずかに伸張する。
【0027】
一般に、膜は、圧力差を伴うことは不可能である。片面に圧力があれば、膜はそれよりも低い圧力の面が機械的に支持されなければならない。成分入口領域では、これはこの事例では、ノズル収容部と噴射針との間の環状間隙であり、膜は、(材料および寸法をそれぞれ選択することで)損傷なしに圧力差が起こり得るように設計されなければならない。すなわち、この領域では、膜は極めて大きく設計されなければならない。その一方で、噴射針がその開口ストロークをできれば強い力なしで行わなければならないことが要求される。開口ストロークには、少ない力でよく伸張する薄膜が必要である。しかしながら、収容部のことを考慮すれば、膜は、収容部で機械的に締め付ける際に安定性が十分得られるように、同じく大きく設計されなければならない。好ましくは、ここでは円環体の肉厚部分を有する。それによって、以下に詳細に説明するように、膜の断面が特徴的な形状になる。
【0028】
噴射針の所で成形される本発明による膜の実際の実施形態では、噴射針は、膜によって極めて正確に径方向と軸方向の中央に来るが、それでも軸方向に容易に偏る可能性があることが実証されている。噴射ノズル収容部に取り付ければ、噴射針を中心に位置付けたり案内したりする必要もなくなる。成分の流れが噴射針の周囲を流れ、成分の流入が噴射針の環状の周囲で起こっている限り、膜に装着されている噴射針は、常に収容部の中央で中心に位置している。そのため、開口の動作形態では、制御圧力および成分圧力から生じる圧力のみが噴射針および成形膜に作用する。膜の最も薄い箇所が伸張することで生じる限界引っ張り力は、優勢な圧力を考慮すれば微々たるものである。したがって、ヒステリシスがほぼなく、成分の流れに応じて再現可能な開口ストロークを調整する、軸方向に動く成分混合噴射体を実現できる。
【0029】
図面には本発明の実施形態を描いている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の第1の実施形態による成分混合噴射体の断面図であり、ノズルが閉じている図である。
図2図1のノズルが今度は開いている様子を示す図である。
図3】本発明の第2の実施形態による成分混合噴射体の断面図であり、ノズルが閉じている図である。
図4】成分混合噴射体の噴射針および膜の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1には、ポリウレタン製造用の高圧混合ヘッド部に使用される成分混合噴射体1を示している。噴射ノズル収容部2には、第1の成分入口3および第2の成分入口4が設けられ、成分は、成分混合噴射体1の軸方向端部領域から成分出口5を通って吐出される。
【0032】
噴射ノズル収容部2には噴射針7を受け入れる筒状の受容部6が設けられ、噴射針は、軸方向aに動き、それによって端部位置で成分出口5を噴射針の軸方向端部8で閉鎖したり、引っ込み位置で成分出口を開口したりできる。
【0033】
噴射針7は、成分領域(すなわち膜9と成分出口5との間の空間)を密閉する膜9にしっかりと結合している(例えば加硫処理で)。膜9の反対側(すなわち膜の「上」)には圧力室10が構成され、この圧力室によって制御圧力を介して膜7に力をかけることができ、よって噴射針7に力をかけることができる。
【0034】
噴射針7には、環状間隙11ができるように受容部6内に径方向の明らかな隙間が設けられる。
【0035】
本質は、膜9が噴射針7に対する(機械的)保持部材として設計され、受容部6内で噴射針7を軸方向aに案内し、受容部内で噴射針を径方向rに保持することである。したがって、膜9と成分出口5の領域にある噴射針7の軸方向端部8との間の軸方向領域には、噴射針7に対する支持部材が一切ない。
【0036】
膜9によって噴射針7を機械的に案内すると同時に保持することは、以下に図4を参照して説明するように、膜9の幾何学設計によって容易になる。
【0037】
図1には、成分混合噴射体1は閉位置で示され、よってこのときは成分の流出が起こらない。そのため膜9は、成分側で膜の面17が収容部面と接触し、よって噴射ノズル収容部2内で接触面19と接触するため、それほど伸張しない(ゼロ位置)。これによって膜9の機械応力が最大になる。なぜなら、この幾何学設計により、噴射ノズル収容部2内の針7と受容部6との間の間隙のみで膜の材料に強い張力が発生するからである。
【0038】
図2は、成分混合噴射体1が開口した動作位置にあることを示し、この状態では成分の流れは、(圧力室10の)制御圧力と(膜9と噴射針7の軸方向端部8との間の成分室の)成分圧力との均衡を予め操作することによって噴射針のストロークを調整する。そのため、膜9は、開口ストロークによって図示したようなくびれた領域が伸張する。
【0039】
図3には、成分混合噴射体1の別の設計が示され、噴射針7は膜9を軸方向に貫通し−図1および図2の解決策とは異なる−、制御室および圧力室10のそれぞれに到達している。圧力室10の中に延びている部分では、噴射針7はここでは、噴射ノズル収容部2内のボールライニング形態の軸受21で支持され、この軸受けが噴射針7をさらに一層正確に案内する。
【0040】
この実施形態は、成分の流れが極めて小さく、噴射ノズル収容部2内の噴射針7と受容部6との間の環状部11を流れる速度が極めて小さいときに特に実証された。このような動作形態では、成分の流れが噴射針7に集中する影響は極めて小さいか作用しない。このような状況で噴射針7が揺れるのを避けるため、軸受21を用いた前述の案内を圧力室10(制御室)で実現できる。実際にはどのような案内でも摩擦も生じるためこれは妥協案だが、既知の解決策と比較すると、成分の摺動特性とは無関係に摩擦を明らかにできるという利点がある。そのため、案内を相応の技術で設計し、適切な潤滑剤を加えることにより、摩擦およびスティックスリップ効果の発生も最小にできる。よってこの解決策により、成分混合噴射体にはヒステリシスも一切なくなる。
【0041】
図4は、膜9の好適な幾何学設計を示している。制御圧力が片面のみに作用しているときに膜の材料、好ましくはエラストマーが噴射針7と噴射ノズル収容部2との間の環状間隙11の中に引き込まれることがないように、膜9は噴射針7に向かってかなりの厚みがある。膜9のこの径方向内側領域14は、図4に表記され、好ましくは軸方向の厚みDを有し、この厚みは膜9の最大厚みDの少なくとも50%である。肉厚部分は15と表記されている。
【0042】
膜9の外縁もかなりの厚みがあり、成分混合噴射体の内部と周囲との圧力差を安全に起こせるように噴射ノズル収容部2の締め付けが可能な寸法である隆起部を有する。膜9のこの径方向外側領域12も図4に表記されており、(領域12の肉厚部分13の角の円弧部から)軸方向aに測定した膜9の実質的な最大厚みDを有する。
【0043】
図4に中間領域16として表記されている膜9の中央領域では、膜9は、大きくくびれているため、最大に開口したときの噴射針7のストロークにより求められる伸張を小さい力で起こすことができ、膜の材料に機械的な負荷をかけて耐え得る程度の疲労を起こさない。よって、膜のくびれた領域は、くびれた領域の膜の径方向の長さおよび厚みが噴射針の最大ストロークの約3〜5倍になるように選定される。この実施形態では、噴射針7は、軸方向に容易に動くことができ、十分に中央に来る。中央領域16の膜9の最小厚みDは、膜9の最大厚み(すなわち肉厚部分13および肉厚部分15それぞれの領域)のわずかな一部でしかないことが図4からわかる。好ましくは中間領域16の前述の最小厚みDは、膜9の最大厚み(すなわち肉厚部分13および15の領域)の最大30%、好ましくは最大25%である。
【0044】
図4では、両面17および18が(少なくとも部分的に)凹状の設計になっていることもわかり、この両面は、それぞれが噴射ノズル収容部2内の(凹状の)接触面19および20と接触するように設けられる。
【符号の説明】
【0045】
1 成分混合噴射体
2 噴射ノズル収容部
3 成分入口
4 成分入口
5 成分出口
6 噴射針に対する噴射ノズル収容部内の受容部
7 噴射針
8 噴射針の軸方向端部
9 膜
10 圧力室
11 環状間隙
12 膜の径方向外側領域
13 肉厚部分
14 膜の径方向内側領域
15 肉厚部分
16 中間領域
17 膜の面
18 膜の面
19 噴射ノズル収容部内の接触面
20 噴射ノズル収容部内の接触面
21 軸受(ボールライニング)

a 軸方向
r 径方向
D 膜の厚み
図1
図2
図3
図4