特許第6788055号(P6788055)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6788055
(24)【登録日】2020年11月2日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】洗浄用パウチ
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/46 20060101AFI20201109BHJP
   C11D 17/04 20060101ALI20201109BHJP
   C11D 3/33 20060101ALI20201109BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20201109BHJP
【FI】
   B65D65/46
   C11D17/04
   C11D3/33
   C11D3/37
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2019-40673(P2019-40673)
(22)【出願日】2019年3月6日
(62)【分割の表示】特願2017-526886(P2017-526886)の分割
【原出願日】2015年11月13日
(65)【公開番号】特開2019-116320(P2019-116320A)
(43)【公開日】2019年7月18日
【審査請求日】2019年4月3日
(31)【優先権主張番号】14194872.9
(32)【優先日】2014年11月26日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナタリー ソフィー レッツェルター
(72)【発明者】
【氏名】フランク フルスコッター
(72)【発明者】
【氏名】ロハン ゴーヴィンド マーカンディ
(72)【発明者】
【氏名】ケビン ジョージ グッダル
(72)【発明者】
【氏名】マルタ レイノーソ−ガルシア
(72)【発明者】
【氏名】ディーター ハンヌ ベーク
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ビール
【審査官】 武内 大志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0179586(US,A1)
【文献】 特開2009−132934(JP,A)
【文献】 米国特許第3650962(US,A)
【文献】 特開2012−1664(JP,A)
【文献】 特表2011−522086(JP,A)
【文献】 特開平11−349989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/46
C11D 1/00−19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄組成物と封入材料とを含む単一区画型又は多区画型水溶性洗浄用パウチであって、該パウチが、液体組成物を含む少なくとも1つの区画を含み、前記液体組成物が、前記組成物の10〜60重%のアミノカルボン酸錯化剤を含み、前記組成物が22℃で1%水溶液として測定される際に10〜11のpHを有し、前記錯化剤は、メチルグリシン二酢酸、その塩、グルタミン酸二酢酸、またはその塩の混合物であり、前記液体組成物は、
(i) 前記組成物の10〜50質量%のメチルグリシン二酢酸、その塩およびそれらの混合物と、
(ii) 前記組成物の10〜50質量%のグルタミン酸二酢酸、その塩およびそれらの混合物と、
(iii) 前記組成物の5〜30重量%の、ギ酸、酢酸およびそれらの混合物からなる群から選択される有機酸の塩と、
(iv) 前記組成物の0〜5重量%のポリアミンであって、アミンの水素原子が−CH2COOH基によって部分的又は完全に置換されており、前記−CH2COOH基はアルカリ金属カチオンにより部分的又は完全に中和されている、ポリアミンと、
を含むパウチ。
【請求項2】
前記有機酸の前記塩が、カチオンとしてカリウムを含む、請求項1に記載のパウチ。
【請求項3】
前記液体組成物が、23℃でDIN 53018−1:2008−09にしたがって測定される、300〜600mPa・sの動的粘度を有する、請求項1または2に記載のパウチ。
【請求項4】
前記封入材料がポリビニルアルコール及び可塑剤を含み、前記液体組成物可塑剤を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のパウチ。
【請求項5】
水分感受性成分を含む第2の組成物を収容する第2の区画を更に含み、前記水分感受性成分が、漂白剤、酵素、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のパウチ。
【請求項6】
前記液体組成物が、20℃で65%以下のeRHを有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のパウチ。
【請求項7】
前記液体組成物が、前記組成物の10重量%以上の水を含む水性組成物である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のパウチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄の分野に属する。本発明は、洗浄用製品、詳細には、水溶性パウチの形態の洗浄用製品に関し、より詳細には、パウチは、錯化剤を含み、かつ約10〜約11のpHを有する液体組成物を含む。
【背景技術】
【0002】
昨今では、単位用量洗剤が広く普及している。その名前が示すように、単位用量洗剤とは、1回分の洗剤を収容するパウチである。今日の単位用量洗剤の一般的な形態の1つに、水溶性封入材料に封入された洗剤組成物がある。このような洗剤組成物は包装を剥がす必要がない。水溶性材料に封入される洗剤の配合は依然として課題である。これは、リン酸塩を置き換える必要がある場合に最も問題となる。リン酸塩は、優れた洗浄活性成分であるだけでなく、周囲環境及び/又は製品自体から水分を吸収することによって加工処理性及び製品安定性にも寄与するものである。
【0003】
アミノカルボン酸塩錯化剤は、リン酸塩をその洗浄能力の点で置き換えるために使用することができる。特にメチルグリシン二酢酸(MGDA)は、非常に優れた錯化剤であるが、その吸湿性のために配合することは容易ではない。アミノカルボン酸塩錯化剤は、通常、液体の形で合成される。これを更に固体粒子又は顆粒に加工処理することができる。
【0004】
場合によっては、アミノカルボン酸塩錯化剤は合成されたままの液体の形で使用することが望ましい。アミノカルボン酸塩錯化剤が液体の形で合成される場合、錯化剤は、高濃度の溶媒、通常は水をともなう。これは、輸送の点でアミノカルボン酸塩錯化剤の使用を不便なものとする(それほど高くない濃度の有効成分を得るために大量の液体を要する)。この高濃度の溶媒は、錯化剤を単位用量の形態の洗剤の一部として配合する必要がある場合にも、スペースが限定されていることから問題となる。スペースの制約に加えて、単位用量洗剤の場合では、溶媒は、洗剤組成物の残りの有効成分との不相溶性の問題も生じ、また水溶性封入材料との負の相互作用も示しうる。
【0005】
水溶性封入材料は、通常、ポリビニルアルコール製の水溶性フィルムであり、これらのフィルムは完全に不透性ではなく、一部の分子の移動を可能とする。水溶性材料によって封入された組成物の一部の成分の材料を通じた透過性は、温度、湿度などの周囲環境の条件によって一部決まる。
【0006】
アミノカルボン酸錯化剤を含む液体組成物を収容するパウチの場合では、パウチが乾燥条件に曝されると、封入材料の外側に残渣が形成される場合があることが観察されているが、この残渣は、液体が封入材料を透過した後で水分が蒸発した結果、形成されると考えられる。封入材料が透明である場合には、材料は透明性を失って不透明となりうる。一方、パウチが湿度の高い条件に曝されると、液体組成物が封入材料から滲出してパウチがべたつく可能性がある。これは、パウチが箱詰めされるときに、パウチ同士がくっつき、それにより箱の中に存在する周りのパウチの機械的一体性を損ねうるために好ましくない場合がある。
【0007】
洗剤組成物中に高濃度のMGDAを有することが望ましいが、高濃度のMGDA溶液、特に水溶液は、結晶化及び/又は析出を生じやすく、パウチの安定性の問題を生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、幅広い環境下で安定な、MGDAを含む液体組成物を収容する水溶性洗浄用パウチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、水溶性洗浄用パウチ、すなわち洗浄組成物を収容するパウチを提供するものである。パウチは、単一の区画又は複数の区画を有することができる。少なくとも1つの区画が液体組成物を含み、その液体組成物はアミノカルボン酸錯化剤を含む。錯化剤は、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、グルタミン酸二酢酸(GLDA)、それらの塩及びそれらの混合物から好ましくは選択される。本明細書での使用には、MGDAとGLDAとの混合物が好ましい。MGDA、その塩、及びそれらの混合物は、本明細書では、「第1の錯化剤」と呼ぶ。GLDA、その塩、及びそれらの混合物は、本明細書では、「第2の錯化剤」と呼ぶ。好ましくは第1の錯化剤は、MGDAの三ナトリウム塩である。好ましくは第2の錯化剤は、GLDAの四ナトリウム塩である。
【0010】
本発明の目的では、「アミノカルボン酸錯化剤」とは、カルシウム、マグネシウム、鉛、銅、亜鉛、カドミウム、水銀、マンガン、鉄、アルミニウム、及び他のカチオン性多価イオンのような多価イオンと結合して水溶性の錯体を形成することが可能なアミノカルボン酸化合物のことである。錯化剤は、Ca2+に対する対数安定性定数([log K])が少なくとも5、好ましくは少なくとも6である。安定性定数、log Kは、温度25℃でイオン強度0.1の溶液中で測定される。
【0011】
第1の錯化剤と第2の錯化剤との混合物を含む液体組成物は、優れた溶解度及び改善された平衡相対湿度(eRH)を示す。
【0012】
22℃で1%水溶液として測定される際に約10〜約11のpHを有する液体組成物が、特に封入材料がポリビニルアルコールフィルムである場合に封入材料との良好な相溶性を有することが見出されている。このpH範囲の外側の組成物では、フィルムの外表面に残渣が形成されてフィルムが不透明となりうるか、又は周囲環境の条件によってはフィルムを通じて組成物が滲出する場合がある。
【0013】
液体組成物は、その組成物の10〜60重量%の錯化剤を含むことが好ましい。好ましくは、液体組成物は、MGDA、GLDA、又はそれらの混合物のナトリウム塩を含む。特に好ましいのは、MGDAとGLDAとの混合物である。
【0014】
混合物は、その混合物の少なくとも約10重量%、好ましくは、10重量%〜70重量%、より好ましくは20重量%〜60重量%、更により好ましくは40重量%〜60重量%の第1の錯化剤を含む。混合物を含む得られる液体組成物は、非常に優れた洗浄効果を与え、非常に優れた安定性を示す。第2の錯化剤は、第1の錯化剤の安定性を高めると同時に洗浄効果に寄与する。
【0015】
液体組成物は、本明細書で下記に詳細に述べられるようにして測定される際に20℃で約65%以下、好ましくは約20%以上かつ約60%以下、より好ましくは約30%以上かつ約55%以下の平衡相対湿度(eRH)を有する。漂白剤、酵素などの水分感受性成分を含む洗剤組成物では低い相対湿度が不可欠であり、そうでない場合には不相溶性の問題が生じうる。不相溶性は、水分感受性成分が液体組成物を収容する区画内に存在するか、又は別の区画内に存在する場合に、封入材料を通過する水分の移動によって引き起こされうる。液体組成物の低いeRHは、封入材料の物理的及び機械的性質を維持する助けともなり、また、封入材料の早期の溶解及び強度低下を防止する。
【0016】
好ましくは、液体組成物は水性であり、液体組成物の約10重量%以上、好ましくは約15重量%以上、より好ましくは約20重量%以上の水を含む。好ましくは、液体組成物は、液体組成物の約70重量%以下、好ましくは約50重量%以下の水を含む。
【0017】
高濃度の第1の錯化剤を含む液体組成物は、第1の錯化剤の優れたキレート特性のため、洗浄性の観点から特に適当である。
【0018】
本発明の目的では、「アミノカルボキシル」なる用語は、アミノカルボン酸及びその塩を指す。アミノカルボン酸は、アルカリ金属によって少なくとも部分的に又は全体的に中和されていることが好ましい。本明細書において「部分的に中和された」とは、アミノカルボン酸の1分子当たりのCOOH基の平均で少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%が、アルカリ金属、好ましくはナトリウム、カリウム、又はそれらの混合物によって中和されていることを意味する。ナトリウムが特に好ましいアルカリ金属である。
【0019】
高濃度の第1の錯化剤を含む液体組成物は、非常に優れたキレート特性を示す一方、高濃度の第1の錯化剤を含む液体組成物は、非常に不安定な傾向を有し、特に液体組成物のeRHが60%以下に低下した場合に、第1の錯化剤が結晶化及び/又は析出する傾向がある。驚くべきことに、第1の錯化剤を含む液体組成物の安定性が、第2の錯化剤を添加することによって改善されうることが見出された。グルタミン酸二酢酸、その塩、及びそれらの混合物は、高濃度の第1の錯化剤を含む液体組成物の安定性を大幅に向上させると同時に洗浄性に寄与することが見出されている。本明細書で使用するのに好ましいものはGLDAのナトリウム塩である。
【0020】
本発明の液体組成物のeRHは、eRH低下剤を添加することによって更に改善することができる。本明細書で使用するのに好ましいeRH低下剤としては有機酸の塩があり、好ましくは、酸は、モノカルボン酸、ジカルボン酸、及びそれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは、酸は、モノカルボン酸から選択され、特に、酸は、ギ酸、酢酸、及びそれらの混合物から選択される。塩は好ましくは金属塩であり、より好ましくはアルカリ金属塩であり、カリウムが特に好ましい。ギ酸カリウムがeRHの低下の点で最も効率的な塩であることが見出されている。
【0021】
錯化剤と有機酸の塩とは、好ましくは少なくとも2:1、より好ましくは3:1〜10:1の重量比で存在する。
【0022】
液体組成物の安定性は、安定化剤を添加することによって更に向上させることができる。アミンの水素原子が−CH2COOH基によって部分的又は完全に置換され、−CH2COOH基がアルカリ金属カチオンで部分的又は完全に中和されているポリアミンが。
【0023】
場合によっては、低粘度の液体組成物を有することが望ましい。低粘度の液体組成物は、粘度のより高い液体組成物よりも早い速度でパウチ内に供給することができる。本発明の組成物の好ましい粘度は、23℃でDIN 53018−1:2008−09に従って測定される、約200〜約800、より好ましくは約350〜約550mPa・sの範囲である。
【0024】
本明細書において好ましいパウチは、液体組成物を収容する区画を含み、前記液体組成物が、
前記組成物の約10〜約50重量%の第1の錯化剤と、
前記組成物の約10〜約50重量%の第2の錯化剤と、
前記組成物の約5〜約30重量%の、ギ酸、酢酸、又はそれらの混合物の塩と、
前記組成物の0〜約5重量%のポリアミンであって、アミンの水素原子が、−CH2COOH基によって部分的又は完全に置換され、−CH2COOH基が、アルカリ金属カチオンにより部分的又は完全に中和されている、ポリアミンと、を含むものである。
【0025】
本明細書における別の好ましいパウチは、液体組成物を収容する区画を含み、前記液体組成物が、
前記組成物の約10〜約40重量%の前記第1の錯化剤と、
前記組成物の約10〜約40重量%の前記第2の錯化剤と、
前記組成物の約5〜約20重量%のギ酸、酢酸、又はそれらの混合物の塩と、
前記組成物の0〜約5重量%のポリアミンであって、アミンの水素原子が、−CH2COOH基によって部分的又は完全に置換され、−CH2COOH基が、アルカリ金属カチオンにより部分的又は完全に中和されている、ポリアミンと、を含むものである。
【0026】
本明細書における別の好ましいパウチは、液体組成物を収容する区画を含み、前記液体組成物が、
前記組成物の約10〜約40重量%の第1の錯化剤であって、MGDAの塩、好ましくはナトリウム塩である、第1の錯化剤と、
前記組成物の約10〜約40重量%の第2の錯化剤であって、GLDAの塩、好ましくはナトリウム塩である、第2の錯化剤と、
前記組成物の約5〜約20重量%の、ギ酸、酢酸、又はそれらの混合物の塩、好ましくはギ酸カリウムと、
前記組成物の0〜約5重量%のポリアミンであって、アミンの水素原子が、−CH2COOH基によって部分的又は完全に置換され、−CH2COOH基が、アルカリ金属カチオンにより部分的又は完全に中和されている、ポリアミンと、を含むものである。
【0027】
封入材料がポリビニルアルコール及び可塑剤を含み、液体組成物が好ましくは同じ可塑剤をフィルムとして含む場合に、パウチの安定性が改善されることが見出されている。
【0028】
本明細書における好ましいパウチとしては、水分感受性成分を含む第2の組成物を収容する第2の区画を含み、水分感受性成分が、好ましくは、漂白剤、酵素、及びそれらの混合物からなる群から選択される多区画型パウチがある。本発明の液体組成物の安定性特性は、パウチの全体的安定性に寄与するものである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、洗浄組成物と封入材料とを含む単一区画型又は多区画型水溶性洗浄用パウチであって、該パウチが、液体組成物を含む少なくとも1つの区画を含み、液体組成物がアミノカルボン酸錯化剤を含み、組成物が22℃で1%水溶液としてされる際に約10〜約11、好ましくは10.5〜11のpHを有する、パウチを構想するものである。
【0030】
水溶性パウチ
水溶性洗浄用パウチは、洗浄組成物、好ましくは自動食器洗い用又は洗濯洗剤組成物及び封入材料を収容するパウチである。封入材料は水溶性であり、好ましくは水溶性フィルムである。洗浄組成物及び封入材料はいずれも水溶性である。これらは、自動食器洗い又は洗濯プロセスにおいて、好ましくは主洗い中に水に曝されると容易に溶ける。パウチは、単一の区画又は複数の区画を有することができる(多区画型パウチ)。パウチの区画の1つは液体組成物を含み、この液体組成物は、洗浄組成物の一部又は全体であってよい。多区画型パウチの場合では、液体組成物は全洗浄組成物の一部となるであろう。
【0031】
本明細書において「多区画型パウチ」とは、封入材料によって包囲された組成物をそれぞれが収容する少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個の区画を有するパウチを意味する。各区画は、任意の幾何的配置とすることができる。異なる区画同士を互いに隣接させて、好ましくは互いに接触させることができる。本明細書で使用するのに特に好ましい形態としては、重ね合わされた区画(すなわち上下に)、横並びの区画などが挙げられる。自動食器洗い機のディスペンサーへの適合性、パウチのエイジングの最適化、及び封入材料の削減の観点からは、一部の区画が重ね合わされ、一部の区画が横並びであるような多区画型パウチが特に好ましい。
【0032】
封入材料
封入材料は水溶性のものである。本明細書における「水溶性」とは、材料が、最大孔径20ミクロンのガラスフィルタの使用後、本明細書に記載される方法により測定される際に、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、又は更には少なくとも95%の水溶性を有することを意味する。
【0033】
予め秤量した400mLビーカーに、50グラム±0.1グラムの封入材料を加え、245mL±1mLの蒸留水を加える。これを、600rpmに設定したマグネチックスターラー上で、20℃で30分間激しく攪拌する。次いで、混合物を、上記に定義した孔径(最大20ミクロン)を有する折り畳まれた定性焼結ガラスフィルタに通して濾過する。回収した濾液から任意の従来の方法によって水を乾燥により除去し、残った材料の重量を測定する(これが溶解又は分散画分である)。次いで、溶解度(%)を計算することができる。
【0034】
封入材料は、本発明の製品の洗浄組成物を封入することが可能な任意の水溶性材料である。封入材料は、外皮を与えるように射出成形されたポリマーであってもよく、又はフィルムであってもよい。好ましくは、封入材料はポリビニルアルコールで形成される。好ましくは、封入材料は水溶性ポリビニルアルコールフィルムである。
【0035】
パウチは例えば射出成形によって、又はフィルムを用いて区画を形成することによって得ることができる。封入材料は、通常は透湿性である。本発明のパウチは、封入材料が透湿性である場合であっても安定である。液体組成物は、異なる組成物間の相互作用及び周囲環境との相互作用の両方の点でパウチに安定性を付与する。
【0036】
封入材料を製造するための好ましい物質としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、アクリルアミド、アクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリカルボン酸及び塩、ポリアミノ酸又はペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、デンプン及びゼラチンを含む多糖類、キサンタン及びカラゴム(carragum)などの天然ゴムから選択されるポリマー、コポリマー又はそれらの誘導体が挙げられる。より好ましいポリマーは、ポリアクリレート及び水溶性アクリレートコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレートから選択され、最も好ましくは、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、並びにこれらの組み合わせから選択される。本明細書で使用するのに特に好ましいものは、ポリビニルアルコールであり、ポリビニルアルコ−ルフィルムがより一層好ましい。
【0037】
最も好ましい封入材料は、株式会社クラレより販売されるMonosol M8630の商品名で知られるPVAフィルム、並びにこれに相当する溶解度及び変形特性を有するPVAフィルムである。本明細書で使用するのに適した他のフィルムとしては、株式会社アイセロにより供給されるPTフィルム若しくはK−シリーズフィルムの商品名で知られるフィルム、又は株式会社クラレにより供給されるVF−HPフィルムが挙げられる。
【0038】
本明細書の封入材料は、ポリマー又はポリマー材料以外の他の添加成分及び水を含んでもよい。例えば、グリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ソルビトール、及びそれらの混合物などの可塑剤を添加することが有益な場合がある。好ましくは、封入材料はグリセロールを可塑剤として含む。他の有用な添加剤としては崩壊助剤が挙げられる。
【0039】
液体組成物
液体組成物は水性であり、液体組成物の約10重量%以上、好ましくは約15重量%以上、より好ましくは約20重量%以上の水を含む。好ましくは、液体組成物は、液体組成物の約70重量%以下、好ましくは約50重量%以下の水を含む。
【0040】
液体組成物は、20℃で測定される際に約65%以下、好ましくは約60%以下、より好ましくは約55%以下かつ約30%超のeRHを有する。パウチは、良好な安定性プロファイル(洗浄組成物の化学的安定性並びに封入材料の物理的及び機械的安定性を含む)を示すと同時に優れた洗浄性を与える。
【0041】
平衡相対湿度(eRH)は、組成物中に存在する水分によって発生する蒸気圧を測定するものである。これは下式により表すことができる。すなわち、
eRH=100×Aw
式中、Awは水分活性であり、
Aw=p/ps、ただし、
p=組成物の表面における水蒸気分圧、
ps=飽和圧、すなわち組成物の温度における純水よりも高い水蒸気分圧。
【0042】
水分活性は、含水量の活性部分、すなわち、確立された条件下(20℃)で、組成物とその環境との間で交換されうる部分を反映したものである。本発明の目的では、特に断らないかぎり、すべての測定値は大気圧で測定される。
【0043】
液体組成物のeRHは、水活性計(Rotronic A2101)などの任意の市販の装置を使用して測定することができる。
【0044】
洗浄組成物は、好ましくは、自動食器洗い用組成物である。組成物はリン酸塩を含まないことが好ましい。
【0045】
好ましくは、液体組成物は、液体組成物の少なくとも約10重量%、好ましくは少なくとも約20重量%、より好ましくは少なくとも30重量%、特に少なくとも約40重量%の錯化剤を含む。このように高い濃度の錯化剤を含む組成物は、洗浄性の点で非常に優れている。
【0046】
第1の錯化剤
第1の錯化剤は、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、その塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される。詳細には、第1の錯化剤は、メチルグリシン二酢酸のリチウム塩、カリウム塩、及び好ましくはナトリウム塩から選択される。第1の錯化剤は、それぞれのアルカリ金属により部分的又は好ましくは完全に中和されてよい。好ましくは、MGDAの1分子当たり平均2.7〜3個のCOOH基が、アルカリ金属、好ましくはナトリウムで中和される。好ましくは、第1の錯化剤は、MGDAの三ナトリウム塩である。メチルグリシン二酢酸のナトリウム塩は、自動食器洗いにおいて被膜形成及び染み形成の低減に寄与し、カルシウムによって架橋された汚れを分解することにより洗浄に寄与し、耐水あか効果をもたらす高いCa及びMg結合能を有する。第1の錯化剤は、良好な環境特性を有する。
【0047】
第1の錯化剤は、MGDAのアルカリ金属塩のラセミ混合物、並びにL−MGDAのアルカリ金属塩、D−MGDAのアルカリ金属塩などの純粋なエナンチオマーのラセミ混合物、及びエナンチオ濃縮された異性体の混合物のラセミ混合物から選択することができる。
【0048】
微量の第1の錯化剤が、アルカリ金属以外のカチオンを有してもよい。すなわち、0.01〜5mol%のような微量の第1の錯化剤が、Mg2+又はCa2+、又はFe+2若しくはFe+3カチオンのようなアルカリ土類金属カチオンを有することが可能である。
【0049】
洗浄組成物中の第1の錯化剤の濃度は、洗浄組成物の好ましくは約5〜約30重量%、より好ましくは約10重量%〜約20重量%である。
【0050】
液体組成物中の第1の錯化剤の濃度は、液体組成物の好ましくは約10〜約40重量%、より好ましくは約10重量%〜約30重量%未満である。組成物の30重量%超の第1の錯化剤を含む液体組成物は、安定化させることが困難である。
【0051】
第2の錯化剤
第1の錯化剤と第2の錯化剤との混合物は、良好な水溶性及びeRHを有する。理論によって束縛されずに言えば、第2の錯化剤は、液体組成物中の第1の錯化剤の結晶化を防止する助けとなるだけでなく、液体組成物のeRHの低下に寄与しうるものと考えられる。
【0052】
第2の錯化剤は、第1の錯化剤の溶解度を高め、eRHを低減させ、同時に洗浄性に寄与する。
【0053】
第2の錯化剤は、グルタミン酸二酢酸(GLDA)、その塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される。詳細には、第2の錯化剤は、グルタミン酸二酢酸のリチウム塩、カリウム塩、及び好ましくはナトリウム塩から選択される。第2の錯化剤は、それぞれのアルカリによって完全に、又は好ましくは部分的に中和されてよい。好ましくは、GLDAの1分子当たり平均3.5〜4個のCOOH基がアルカリ金属、好ましくはナトリウムで中和される。より好ましくは、GLDAの1分子当たり平均3.5〜3.8個のCOOH基がナトリウムで中和される。
【0054】
微量の第2の錯化剤が、アルカリ金属以外のカチオンを有してもよい。すなわち、0.01〜5mol%のような微量の第2の錯化剤が、Mg2+又はCa2+、又はFe+2若しくはFe+3カチオンのようなアルカリ土類金属カチオンを有することが可能である。
【0055】
第2の錯化剤は、GLDAのアルカリ金属塩のラセミ混合物、並びにL−GLDAのアルカリ金属塩、D−GLDAのアルカリ金属塩などの純粋なエナンチオマーのラセミ混合物、及びエナンチオ濃縮された異性体の混合物のラセミ混合物から選択することができる。好ましくは、第2の錯化剤は、基本的には、アルカリ金属で少なくとも部分的に中和されたL−グルタミン酸(L−GLDA)である。「基本的にLーグルタミン酸である」とは、第2の錯化剤が、それぞれがアルカリ金属で少なくとも部分的に中和された95重量%超のL−GLDA及び5重量%未満のD−GLDAを含んでいることを意味する。
【0056】
第2の錯化剤は、検出可能な量のD−GLDAを含まないことが好ましい。各エナンチオマーの分析は、偏光を測定することによって(偏光分析法)、又は好ましくはクロマトグラフィーによって、例えばキラルカラムを使用したHPLCによって行うことができる。
【0057】
存在する場合、洗浄組成物中の第2の錯化剤の濃度は、洗浄組成物の好ましくは約5〜約40重量%、より好ましくは約10重量%〜約30重量%である。
【0058】
存在する場合、液体組成物中の第2の錯化剤の濃度は、液体組成物の好ましくは約10〜約40重量%、より好ましくは約15重量%〜約30重量%である。
【0059】
第1の錯化剤と第2の錯化剤との混合物
第1の錯化剤と第2の錯化剤との混合物を含む液体組成物は、非常に優れた洗浄特性及び非常に優れた安定性の両方を示す。好ましくは、第1及び第2の錯化剤は、それぞれMGDA及びGLDAのナトリウム塩である。好ましくは、混合物は、混合物の約10重量%超、好ましくは約20重量%超、更により好ましくは40重量%超の第1の錯化剤を含む。好ましくは、第1の錯化剤と第2の錯化剤とは、5:1〜1:10、より好ましくは2:1〜1:4の重量比で存在する。
【0060】
洗浄組成物中の第1の錯化剤と第2の錯化剤との混合物の濃度は、洗浄組成物の好ましくは約10〜約50重量%、より好ましくは約15重量%〜約45重量%である。
【0061】
液体組成物は、その組成物の好ましくは少なくとも約10重量%、好ましくは少なくとも約20重量%、より好ましくは少なくとも約30重量%、特に少なくとも約40重量%の混合物を含む。
【0062】
第1の錯化剤と第2の錯化剤との混合物は、広範囲の粘度を有することができる。第1の錯化剤の水溶液は低い粘度を有する。多くの操作において、例えば、処理加工中のこれらの溶液の飛び跳ねを防止するためには、より高い粘度が望ましい。これに対して、周囲温度の第2の錯化剤の高度に濃縮された水溶液は、高い粘度を有することができる。第1の錯化剤と第2の錯化剤との混合物は、所定の粘度を有するように設計することができる。
【0063】
有機酸の塩
有機酸の塩は、液体組成物のeRHの低下に寄与する。
【0064】
錯化剤及び有機酸の塩を含む液体組成物は、非常に優れたレオロジー特性を示しうる。かかる組成物は、23℃でDIN 53018−1:2008−09に従って測定される、好ましくは約100〜約800、より好ましくは約200〜約500mPa・sの範囲の粘度を有する。これらの組成物は、処理加工性の観点から、また、溶解性の観点から極めて好都合である。
【0065】
本明細書で使用するのに好ましいものは、有機酸の金属塩、特に、モノ及びジカルボン酸及びそれらの混合物のアルカリ金属塩、より好ましくは、モノカルボン酸の塩であり、更により好ましくは、ギ酸、酢酸及びそれらの混合物の塩から選択され、更により好ましくは、ナトリウム又はカリウム塩であることが見出されている。ギ酸カリウムがeRHの低下の点で好ましいものであることが見出されている。
【0066】
液体組成物中の有機酸の塩の濃度は、液体組成物の好ましくは約0.2〜約20重量%、より好ましくは約5重量%〜約15重量%である。
【0067】
好ましくは、錯化剤と有機酸の塩との重量比は、少なくとも約2:1、より好ましくは少なくとも約3:1である。
【0068】
ポリアミン
本発明に基づく液体組成物は、錯化剤の安定化剤として作用するポリアミンを更に含むことができる。液体組成物は、液体組成物の好ましくは約0〜約5重量%、より好ましくは約0.1〜約4重量%、特に約0.1〜約3重量%の錯化剤の安定化剤を含む。好ましくは、錯化剤と安定化剤とは、少なくとも約10:1、より好ましくは少なくとも約15:1、特に少なくとも約20:1の重量比で存在する。
【0069】
適当なポリアミンとしては、アミンの水素原子が−CH2COOH基によって部分的又は完全に置換され、−CH2COOH基がアルカリ金属カチオンで部分的又は完全に中和されているポリアミンが挙げられる。
【0070】
本明細書における「ポリアミン」なる用語は、繰り返し単位当たり少なくとも1個のアミンを有するポリマー及びコポリマーのことを指す。アミンとは、アンモニアの水素原子の1個、2個、又は3個をヒドロカルビル基によって置換することによってアンモニアから正式に誘導される、一般構造式R−NH2(第一級アミン)、R2NH(第二級アミン)、R3N(第三級アミン)を有する化合物である。本発明の組成物のポリアミンでは、元のアミンの水素原子は−CH2COOH基によって完全に又は部分的に置換されている。
【0071】
三級アミノ基が好ましい場合がある。塩基性ポリアミンはカルボキシメチル誘導体に変換され、水素原子は完全に置換されるか又は好ましくは部分的に、例えば50〜95mol%、好ましくは70〜90mol%がCH2COOH基により置換され、CH2COOH基はアルカリ金属カチオンで部分的又は完全に中和される。本発明との関連では、水素原子の95mol%〜100mol%超がCH2COOH基により置換されたかかるポリマーは、CH2COOH基によって完全に置換されているものとみなされる。例えばポリビニルアミン又はポリアルキレンイミンなどからのNH2基は、窒素原子当たり1個又は2個のCH2COOH基により、好ましくはN原子当たり2個のCH2COOH基により置換されてよい。
【0072】
ポリアミン中のCH2COOH基の数をCH2COOH基の潜在的総数で割った数は、NH基当たり1個のCH2COOH基及びNH2基当たり2個のCH2COOH基と仮定して、本発明との関連において「置換度」とも呼ばれる。
【0073】
置換度は、例えば好ましくはASTM D2074−07に従い、CH2COOH置換ポリマーに変換される前のポリマー及びその対応するポリアミンのアミン数(アミン価)を測定することによって測定することができる。
【0074】
ポリアミンの例としては、ポリビニルアミン、ポリアルキレンポリアミン、並びに特にポリプロピレンイミン及びポリエチレンイミンなどのポリアルキレンイミンがある。
【0075】
本発明との関連の範囲内では、ポリアルキレンポリアミンとは、1分子当たり少なくとも6個の窒素原子と、少なくとも5個のC2〜C10アルキレン単位、好ましくはC2〜C3アルキレン単位とを有するポリマー、例えば、ペンタエチレン−ヘキサミン、及び詳細には1分子当たり6〜30個のエチレン単位を有するポリエチレンイミンを意味するものとして好ましくは理解される。本発明との関連の範囲内では、ポリアルキレンポリアミンとは、1つ以上の環状イミンの単独重合若しくは共重合により、又は(コ)ポリマーを少なくとも1つの環状イミンでグラフト化することによって得られるポリマー材料を意味するものとして理解される。例としては、エチレンイミンでグラフト化されたポリビニルアミン、及びエチレンイミンでグラフト化されたポリイミドアミンがある。
【0076】
好ましいポリアミンとしては、ポリエチレンイミン及びポリプロピレンイミンなどのポリアルキレンイミンがあり、ポリエチレンイミンが好ましい。ポリエチレンイミン及びポリプロピレンイミンなどのポリアルキレンイミンは、直鎖状、基本的に直鎖状又は分枝鎖状であってよい。
【0077】
特に好ましいポリエチレンイミンは、高度に分枝したポリエチレンイミンから選択される。高度に分枝したポリエチレンイミンは、その高い分枝度(DB)により特徴付けられる。分枝度は、例えば好ましくはD2O中で13C−NMR分光法により測定することができ、下記のように定義される。
DB=D+T/D+T+L
ただし、D(樹状)は三級アミノ基の割合に相当し、L(直鎖状)は二級アミノ基の割合に相当し、T(末端)は一級アミノ基の割合に相当する。
【0078】
本発明との関連の範囲内では、高度に分枝したポリエチレンイミンとは、0.25〜0.90の範囲のDBを有するポリエチレンイミンである。
【0079】
好ましいポリエチレンイミンとしては、平均分子量Mwが600〜75000g/molの範囲、好ましくは800〜25000g/molの範囲である高度に分枝したポリエチレンイミン(ホモポリマー)から選択されるものがある。
【0080】
他の好ましいポリエチレンイミンとしては、エチレンイミンと、例えばプロピレンイミンのような、エチレンイミン以外の1分子当たり2個のNH2基を有する少なくとも1つのジアミンとのコポリマー、又は、エチレンイミンと、例えばメラミンのような1分子当たり3個のNH2基を有する少なくとも1つの化合物とのコポリマーなどのエチレンイミンのコポリマーから選択されるものがある。
【0081】
あるいは、安定化剤は、Na+で部分的又は完全に中和された、CH2COOH基で部分的又は完全に置換された分枝鎖状ポリエチレンイミンから選択される。
【0082】
本発明との関連の範囲内では、安定化剤は共有結合を介して修飾された形態で用いられることが好ましく、詳細には、ポリマーの一級及び二級アミノ基の窒素原子の全体で最大100mol%、好ましくは全体で50〜98mol%(パーセンテージは、ポリマー中の一級及び二級アミノ基の全N原子に対するもの)が、例えばCl−CH2COOHのような少なくとも1つのカルボン酸と、又は少なくとも1当量のシアン化水素酸(又はその塩)及び1当量のホルムアルデヒドと反応したようなものである。本出願との関連の範囲内では、前記反応(修飾)は、したがってアルキル化であってよい。最も好ましくは、ポリマーの一級及び二級アミノ基の窒素原子の最大で100mol%、好ましくは全体で50〜99mol%が、ホルムアルデヒド及びシアン化水素酸(又はその塩)と、例えばストレッカー合成反応によって反応させられている。安定化剤のベースを構成しうるポリアルキレンイミンの三級窒素原子は、一般的にCH2COOH基を有していない。
【0083】
ポリアミンは、例えば少なくとも500g/molの平均分子量(Mn)を有してよい。好ましくはポリアミンの平均分子量は、例えばASTM D2074−07に従い、アルキル化の前後のそれぞれのポリアミンのアミン数(アミン価)を測定し、CH2COOH基のそれぞれの数を計算することによって求められる、500〜1,000,000g/mol、特に好ましくは800〜50,000g/molの範囲である。分子量とは、対応する過ナトリウム塩のことを指す。
【0084】
本発明に基づく水溶液では、ポリアミンのCH2COOH基は、アルカリ金属カチオンで部分的又は完全に中和されている。中和されていないCOOH基は、例えば遊離酸でありうる。ポリアミンのCH2COOH基の90〜100mol%が、中和された形態であることが好ましい。
【0085】
ポリアミンの中和されたCH2COOH基は、錯化剤と同じアルカリ金属で中和されていることが好ましい。
【0086】
ポリアミンのCH2COOH基は、任意の種類のアルカリ金属カチオンにより、好ましくはK+により、特に好ましくはNa+によって部分的又は完全に中和することができる。
【0087】
本明細書で使用するのに適したポリアミンとしては、ビーエーエスエフ社(BASF)により供給されるTrilon Pが挙げられる。
【0088】
洗浄組成物
本明細書において上記に述べたように、洗浄組成物は、部分的な組成物によって形成してもよく、又はパウチの組成物のそれぞれを、完全に配合された洗浄組成物としてもよい。錯化剤の混合物を含む液体組成物以外に、パウチは、漂白剤及び酵素を含む、好ましくは固形である、第2の組成物を含むことが好ましい。
【0089】
本発明の液体組成物は、リン酸塩を含まないものであることが好ましい。本明細書において「リン酸塩を含まない」とは、組成物に含まれるリン酸塩がその組成物の1重量%未満であることを意味する。
【0090】
以下の活性成分は、本発明のパウチで、いずれの組成物中にも使用することができる。
【0091】
漂白剤系
無機及び有機漂白剤は、本明細書で使用するのに適している。無機漂白剤としては、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過硫酸塩及び過ケイ酸塩などの過水和物塩が挙げられる。無機過水和物塩は、通常、アルカリ金属塩である。無機過水和物塩は、更なる保護を行うことなく結晶質固体として含有させることができる。あるいは、塩はコーティングされてもよい。
【0092】
アルカリ金属過炭酸塩、特に過炭酸ナトリウムは、本明細書で使用するのに好ましい漂白剤である。過炭酸塩は、最も好ましくは、コーティングされた形態で製品中に混和されることで製品安定性に寄与する。
【0093】
ペルオキシ一過硫酸カリウムは、本明細書で有用な別の無機過水和物塩である。
【0094】
一般的な有機漂白剤は、有機ペルオキシ酸、特にジペルオキシドデカン二酸、ジペルオキシテトラデカン二酸、及びジペルオキシヘキサデカン二酸である。モノ−及びジペルアゼライン酸、モノ−及びジペルブラシル酸も、本明細書での使用に適している。ジアシル及びテトラアシル過酸化物、例えば過酸化ジベンゾイル及び過酸化ジラウロイルは、本発明との関連で使用することができる他の有機過酸化物である。
【0095】
更なる一般的な有機漂白剤としてはペルオキシ酸が挙げられ、具体例としてアルキルペルオキシ酸及びアリールペルオキシ酸がある。好ましい代表例としては、(a)ペルオキシ安息香酸及びその環置換誘導体、例えば、アルキルペルオキシ安息香酸、並びにペルオキシ−α−ナフトエ酸及びモノ過フタル酸マグネシウム、(b)脂肪族又は置換脂肪族ペルオキシ酸、例えば、ペルオキシラウリン酸、ペルオキシステアリン酸、ε−フタルイミドペルオキシカプロン酸[フタロイミノパーオキシヘキサン酸(PAP)]、o−カルボキシベンズアミドペルオキシカプロン酸、N−ノネニルアミドペルアジピン酸、及びN−ノネニルアミドペルコハク酸、並びに(c)脂肪族及び芳香脂肪族(araliphatic)ペルオキシジカルボン酸、例えば1,12−ジペルオキシカルボン酸、1,9−ジペルオキシアゼライン酸、ジペルオキシセバシン酸、ジペルオキシブラシル酸、ジペルオキシフタル酸、2−デシルジペルオキシブタン−1,4−二酸、N,N−テレフタロイルジ(6−アミノペルカプロン酸)がある。
【0096】
本発明の組成物中の漂白剤の濃度は、好ましくは組成物の約1〜約20重量%、より好ましくは約2〜約15重量%、更により好ましくは約3〜約12重量%、特に約4〜約10重量%の量である。好ましくは第2の組成物は、漂白剤を含む。
【0097】
漂白活性化剤
漂白活性化剤は、一般的に、60℃以下の温度での洗浄中の漂白作用を増強する有機過酸前駆体である。本明細書で使用するのに好適な漂白活性化剤としては、過加水分解条件下で、好ましくは1〜12個の炭素原子、特に2〜10個の炭素原子を有する脂肪族ペルオキシカルボン酸、及び/又は任意に置換された過安息香酸を生成する化合物が挙げられる。好適な物質は、指定された炭素原子数のO−アシル及び/若しくはN−アシル基並びに/又は任意に置換されたベンゾイル基を有する。好ましいものとしては、ポリアシル化アルキレンジアミン、特にテトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、アシル化トリアジン誘導体、特に1,5−ジアセチル−2,4−ジオキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン(DADHT)、アシル化グリコールウリル、特にテトラアセチルグリコールウリル(TAGU)、N−アシルイミド、特にN−ノナノイルスクシンイミド(NOSI)、アシル化フェノールスルホネート、特にn−ノナノイル−又はイソノナノイルオキシベンゼンスルホネート(n−又はイソ−NOBS)、デカノイルオキシ安息香酸(DOBA)、無水カルボン酸、特に無水フタル酸、アシル化多価アルコール、特にトリアセチン、二酢酸エチレングリコール及び2,5−ジアセトキシ−2,5−ジヒドロフラン、更にはトリエチルアセチルクエン酸塩(TEAC)がある。漂白活性化剤は、本発明の組成物に含まれる場合、全組成物の約0.01〜約10重量%、好ましくは約0.1〜約5重量%、より好ましくは約1〜約4重量%の濃度で存在する。組成物が漂白活性化剤を含む場合、漂白活性化剤は第2の組成物中に選択的に入れられる。
【0098】
漂白触媒
本明細書の組成物は、好ましくは漂白触媒、好ましくは金属含有漂白触媒を含有する。より好ましくは、金属含有漂白触媒は、遷移金属含有漂白触媒、特にマンガン又はコバルト含有漂白触媒である。本明細書で使用するのに好ましい漂白触媒としては、マンガントリアザシクロノナン及び関連する錯体(米国特許第4246612(A)号、同第5227084(A)号);Co、Cu、Mn及びFeビスピリジルアミン及び関連する錯体(米国特許第5114611(A)号);並びに、ペンタミン酢酸コバルト(III)及び関連する錯体(米国特許第4810410(A)号)が挙げられる。本明細書で使用するのに適した漂白触媒の完全な説明は、国際公開第99/06521号の34ページ26行目〜40ページ16行目に見ることができる。
【0099】
マンガン漂白触媒が、本発明の組成物中に使用するうえで好ましい。本明細書で使用するうえで特に好ましい触媒として、下記一般式を有する二核マンガン錯体がある。
【0100】
【化1】
式中、Mnは、個々に酸化状態がIII又はIVでありうるマンガンであり、各xは、Rを、H、アルキル、又はアリール(任意に置換される)として、H2O、O22−、O2−、OH−、HO2−、SH−、S2−、>SO、Cl−、N3−、SCN−、RCOO−、NH2−及びNR3からなる群から選択される配位又は架橋化学種を表し、Lは、そのすべて又は一部の窒素原子を介してマンガン中心に配位する多数の窒素原子を有する有機分子である配位子であり、zは、錯体の電荷であり、正又は負でありうる整数であり、Yは、錯体の電荷zに応じて決まる電気的中性を与える一価又は多価の対イオンであり、q=z/[電荷Y]である。
【0101】
好ましいマンガン錯体としては、xが、CH3COO-又はO2又はそれらの混合物であるもの、最も好ましくは、マンガンの酸化状態がIVであり、xがO2-であるものである。好ましい配位子は、3個の窒素原子を介してマンガン中心の1つに配位するもの、好ましくはマクロ環式の性質のものである。特に好ましい配位子としては、
(1)1,4,7−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン(Me−TACN);及び
(2)1,2,4,7−テトラメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン(Me−Me TACN)がある。
【0102】
電気的中性を得るための対イオンYの種類は、錯体の活性にはさほど重要ではなく、例えば、以下の対イオンのいずれかから選択することができる。すなわち、塩化イオン;硫酸イオン;硝酸イオン;硫酸メチルイオン;長鎖アルキル硫酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、トシル酸イオン、トリフルオロメチルスルホン酸イオン、過塩素酸イオン(ClO4-)、BPh4-、及びPF6-、ただし、製品特性及び安全性の理由から一部の対イオンは他のものよりも好ましい。
【0103】
その結果、本明細書で使用可能な好ましいマンガン錯体は、
【0104】
【化2】
これらは、以下において、下記のように略記する場合もある。
【0105】
【化3】
【0106】
Iの構造を以下に示す。
【0107】
【化4】
【0108】
IIの構造を以下に示す。
【0109】
【化5】
【0110】
これらのマンガン錯体は、欧州特許出願公開第0458397(A)号、及び同第0458398(A)号においても、極めて効果的な漂白及び酸化触媒として開示されている点を特記しておく。本発明の更なる説明では、これらは単に「触媒」とも呼ばれる。
【0111】
漂白触媒は、本発明の組成物中に、全組成物の約0.001〜約10重量%、好ましくは約0.05〜約2重量%の好ましい濃度で含まれる。
【0112】
界面活性剤
本明細書で使用するのに適した界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤が挙げられ、組成物は他のいずれの界面活性剤も含まないことが好ましい。従来、非イオン性界面活性剤は、自動食器洗いにおいて表面改質の目的、特に被膜及び染み形成防止並びに光沢改善のためのシーティングを目的として使用されてきた。非イオン性界面活性剤はまた、汚れの再付着の防止にも寄与することが見出されている。
【0113】
好ましくは、本発明の組成物は、非イオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤系を含み、より好ましくは、非イオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤系は、蒸留水中で1%濃度で測定される際に、40〜70℃、好ましくは45〜65℃の転相温度を有する。本明細書において「非イオン性界面活性剤系」とは、2種類以上の非イオン性界面活性剤の混合物を意味する。本明細書で使用するのに好ましいのは、非イオン性界面活性系である。これらは、単一の非イオン性界面活性剤よりも、製品中で洗浄及び仕上がり特性の改善並びに良好な安定性を有すると考えられる。
【0114】
転相温度とは、それよりも低い温度では界面活性剤又はその混合物が水相中に油膨潤ミセルとして選択的に分配され、それよりも高い温度では界面活性剤又はその混合物が油相中に水膨潤逆ミセルとして選択的に分配されるような温度である。転相温度は、曇りが生じる温度を特定することにより目視にて測定することができる。
【0115】
非イオン性界面活性剤又は界面活性系の転相温度は、次のようにして測定することができる:対応する界面活性剤又は混合物1重量%を含む、蒸留水中水溶液を調製する。転相温度分析の前に、この溶液を静かに撹拌し、このプロセスが確実に化学的平衡状態で起こるようにする。75mmのシールしたガラス試験管の中で溶液を浸漬することにより、恒温槽中で転相温度を測る。漏れがないことを確認するため、試験管は、転相温度測定の前後で計量を行う。温度があらかじめ予測した転相温度の数度下に達するまで、毎分1℃未満の速度で温度を徐々に上げる。目視により濁りが最初に見られたときの、転相温度を測定する。
【0116】
好適な非イオン性界面活性剤には、i)アルコール又はアルキルフェノール1モル当たり好ましくは少なくとも12モル、特に好ましくは少なくとも16モル、更により好ましくは少なくとも20モルのエチレンオキシドとの、6〜12個の炭素原子を有するモノヒドロキシアルカノール又はアルキルフェノールの反応により調製されるエトキシル化非イオン性界面活性剤;ii)6〜20個の炭素原子と、少なくとも1個のエトキシ基及びプロポキシ基と、を有するアルコールアルコキシル化界面活性剤、が挙げられる。本明細書で使用するのに好ましいのは、界面活性剤i)及びii)の混合物である。
【0117】
別の好適な非イオン性界面活性剤は、下式により表されるエポキシ末端保護されたポリ(オキシアルキル化)アルコールである。
R1O[CH2CH(CH3)O]x[CH2CH2O]y[CH2CH(OH)R2] (I)
式中、R1は、4〜18個の炭素原子を有する直鎖若しくは分枝鎖状の脂肪族炭化水素ラジカルであり、R2は、2〜26個の炭素原子を有する直鎖若しくは分枝鎖状の脂肪族炭化水素ラジカルであり、xは、0.5〜1.5、より好ましくは約1の平均値を有する整数であり、yは、少なくとも15、より好ましくは少なくとも20の値を有する整数である。
【0118】
好ましくは、式Iの界面活性剤は、末端エポキシド単位[CH2CH(OH)R2]中に少なくとも約10個の炭素原子を有する。本発明による好適な式Iの界面活性剤は、例えば、国際公開第94/22800号(1994年10月13日発行、Olin Corporation)に記載されるOlin CorporationのPOLY−TERGENT(登録商標)SLF−18B非イオン性界面活性剤である。
【0119】
アミン酸化物界面活性剤が、本発明の組成物中に使用するうえで有用である。C10〜C18アルキルジメチルアミンオキシド及びC10〜18アシルアミドアルキルジメチルアミンオキシドが好ましい。
【0120】
界面活性剤は、全組成物の0〜15重量%、好ましくは0.1重量%〜10重量%、最も好ましくは0.25重量%〜8重量%の量で存在してよい。
【0121】
酵素
本明細書における酵素変異体について説明するうえで、参照を助けるため、以下の命名法を用いる。すなわち、元のアミノ酸:位置:置換後のアミノ酸。アミノ酸についての標準的な酵素のIUPACの一文字略号を使用する。
【0122】
プロテアーゼ
好適なプロテアーゼとしては、例えばサブチリシン(EC 3.4.21.62)のような中性又はアルカリ性微生物セリンプロテアーゼを含むメタロプロテアーゼ及びセリンプロテアーゼ、並びにそれらの化学的又は遺伝子的に改変された突然変異体が挙げられる。好適なプロテアーゼとしては、Bacillus lentus、B.alkalophilus、B.subtilis、B.amyloliquefaciens、Bacillus pumilus及びBacillus gibsoniiなどのバシラス属由来のものを含むサブチリシン(EC 3.4.21.62)が挙げられる。
【0123】
本発明の洗剤に特に好ましいプロテアーゼは、バシラス・レンタス由来の野生型酵素と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、更により好ましくは少なくとも99%、特に100%の同一性を示すポリペプチドであって、本明細書に参照により援用する国際公開第00/37627号に示されるようなBPN’番号付与システム及びアミノ酸略号を用いた場合に、以下に示す位置の1以上、好ましくは2以上、より好ましくは3以上に突然変異を有するポリペプチドである。すなわち、V68A、N87S、S99D、S99SD、S99A、S101G、S101M、S103A、V104N/I、G118V、G118R、S128L、P129Q、S130A、Y167A、R170S、A194P、V205I及び/又はM222S。
【0124】
最も好ましくは、プロテアーゼは、PB92野生型(国際公開第08/010925号の配列番号2)又はサブチリシン309野生型(N87Sの自然変異を含むことを除きPB92主鎖と同じ配列)のいずれかに対して以下の突然変異(BPN’番号付与システム)を有する群から選択される。すなわち、
(i)G118V+S128L+P129Q+S130A
(ii)S101M+G118V+S128L+P129Q+S130A
(iii)N76D+N87R+G118R+S128L+P129Q+S130A+S188D+N248R
(iv)N76D+N87R+G118R+S128L+P129Q+S130A+S188D+V244R
(v)N76D+N87R+G118R+S128L+P129Q+S130A
(vi)V68A+N87S+S101G+V104N
【0125】
好適な市販のプロテアーゼ酵素としては、商品名Savinase(登録商標)、Polarzyme(登録商標)、Kannase(登録商標)、Ovozyme(登録商標)、Everlase(登録商標)、及びEsperase(登録商標)でNovozymes A/S社(デンマーク)により販売されるもの、商品名Properase(登録商標)、Purafect(登録商標)、PurafectPrime(登録商標)、Purafect Ox(登録商標)、FN3(登録商標)、FN4(登録商標)、Excellase(登録商標)、Ultimase(登録商標)及びPurafect OXP(登録商標)でGenencor International社により販売されるもの、並びに商品名Opticlean(登録商標)及びOptimase(登録商標)でSolvay Enzymes社により販売されるものが挙げられる。
【0126】
本発明の製品中のプロテアーゼの好ましい濃度は、製品1グラム当たり、約0.1〜約10mg、より好ましくは約0.5〜約5mg、特に約1〜約4mgの活性プロテアーゼを含む。
【0127】
アミラーゼ
本明細書で使用するのに好ましい酵素としては、細菌又は真菌由来のものを含むα−アミラーゼが挙げられる。化学的又は遺伝子的に改変された突然変異体(変異体)が含まれる。好ましいアルカリ性α−アミラーゼは、Bacillusの菌種から、例えば、Bacillus licheniformis、Bacillus amyloliquefaciens、Bacillus stearothermophilus、Bacillus subtilis、又は他のBacillus sp、例えばBacillus sp.NCIB 12289、NCIB 12512、NCIB 12513、DSM 9375(米国特許第7,153,818号)、DSM 12368、DSMZ no.12649、KSM AP1378(国際公開第97/00324号)、KSM K36又はKSM K38(欧州特許第1,022,334号)に由来する。好ましいアミラーゼとしては以下のものが挙げられる。すなわち、
(a)米国特許第5,856,164号及び国際公開第99/23211号、同第96/23873号、同第00/60060号、及び同第06/002643号に記載の変異体、特に国際公開第06/002643号に配列番号12として記載のAA560酵素に対して以下の位置に1つ以上の置換を有する変異体、すなわち、
9、26、30、33、82、37、106、118、128、133、149、150、160、178、182、186、193、195、202、203、214、231、256、257、258、269、270、272、283、295、296、298、299、303、304、305、311、314、315、318、319、320、323、339、345、361、378、383、419、421、437、441、444、445、446、447、450、458、461、471、482、484、(好ましくはD183*及びG184*の欠失も有するもの)。
(b)バチルス属菌種707(米国特許第6,093,562号の配列番号7)由来の野生型酵素と少なくとも95%の同一性を示す変異体、特に突然変異M202、M208、S255、R172、及び/又はM261のうちの1つ以上を有するもの。好ましくは前記アミラーゼは、M202L又はM202T突然変異の一方を含む。
【0128】
好適な市販のα−アミラーゼとしては、DURAMYL(登録商標)、LIQUEZYME(登録商標)、TERMAMYL(登録商標)、TERMAMYL ULTRA(登録商標)、NATALASE(登録商標)、SUPRAMYL(登録商標)、STAINZYME(登録商標)、STAINZYME PLUS(登録商標)、POWERASE(登録商標)、FUNGAMYL(登録商標)及びBAN(登録商標)(Novozymes A/S社(バウスベア、デンマーク))、KEMZYM(登録商標)AT 9000(Biozym Biotech Trading GmbH社(Wehlistrasse 27b A−1200ウイーン、オーストリア))、RAPIDASE(登録商標)、PURASTAR(登録商標)、ENZYSIZE(登録商標)、OPTISIZE HT PLUS(登録商標)及びPURASTAR OXAM(登録商標)(Genencor International Inc.社(カリフォルニア州パロアルト))、並びに、KAM(登録商標)(花王株式会社(日本、103−8210、東京都中央区日本橋茅場町1丁目14−10))が挙げられる。本発明で使用するのに特に好ましいアミラーゼは、NATALASE(登録商標)、STAINZYME(登録商標)、STAINZYME PLUS(登録商標)、POWERASE(登録商標)及びそれらの混合物が挙げられる。
【0129】
追加酵素
本発明の製品で用いるのに好適な追加酵素は、ヘミセルラーゼ、セルラーゼ、セロビオースデヒドロゲナーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、アミラーゼ及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の酵素を含むことができる。
【0130】
セルラーゼ
本発明の製品は、好ましくは、プロテアーゼ及び/又はアミラーゼ以外に他の酵素を含む。セルラーゼ酵素は好ましい追加酵素であり、特に、エンド−β−1,4−グルカナーゼ活性を示す微生物由来エンドグルカナーゼが好ましい(E.C.3.2.1.4)。本明細書で使用するのに好ましい市販のセルラーゼは、Celluzyme(登録商標)、Celluclean(登録商標)、Whitezyme(登録商標)(Novozymes A/S社)並びにPuradax HA(登録商標)及びPuradax(登録商標)(Genencor International)である。
【0131】
好ましくは、本発明の製品は、組成物1グラム当たり少なくとも0.01mgの活性アミラーゼを含み、好ましくは組成物1グラム当たり約0.05〜約10mg、より好ましくは約0.1〜約6mg、特に約0.2〜4mgの活性アミラーゼを含む。
【0132】
好ましくは、本発明の製品のプロテアーゼ及び/又はアミラーゼは、粒子の形態であり、この粒子は粒子の29重量%未満の風化性物質を含むか、又は風化性物質と活性酵素(プロテアーゼ及び/又はアミラーゼ)は、4:1未満の重量比である。
【0133】
ポリマー
ポリマーは、存在する場合、組成物の約0.1重量%〜約50重量%、好ましくは0.5重量%〜約20重量%、より好ましくは1重量%〜10重量%の任意の好適な量で使用される。スルホン化/カルボキシル化ポリマーは、本発明の組成物に特に好適である。
【0134】
本明細書に記載される好適なスルホン化/カルボキシル化ポリマーは、約100,000Da以下、又は約75,000Da以下、又は約50,000Da以下、又は約3,000Da〜約50,000Da、好ましくは約5,000Da〜約45,000Daの重量平均分子量を有し得る。
【0135】
本明細書に記載されるように、スルホン化/カルボキシル化ポリマーは、(a)下記一般式(I)を有する少なくとも1つのカルボン酸モノマーから誘導される少なくとも1つの構造単位:
【0136】
【化6】
(式中、R1〜R4は、独立して、水素、メチル、カルボン酸基、又はCH2COOHであり、カルボン酸基は中和されていてよい);(b)場合により、下記一般式(II)を有する少なくとも1つの非イオン性モノマーから誘導される1つ以上の構造単位:
【0137】
【化7】
[式中、R5は、水素、C1〜C6アルキル、又はC1〜C6ヒドロキシアルキルであり、Xは、芳香族であるか(Xが芳香族である場合、R5は、水素若しくはメチルである)、又はXは、下記一般式(III)のものであり、
【0138】
【化8】
式中、R6は(R5とは独立して)、水素、C1〜C6アルキル、又はC1〜C6ヒドロキシアルキルであり、Yは、O又はNである]、及び下記一般式(IV)を有する少なくとも1つのスルホン酸モノマーから誘導される少なくとも1つの構造単位:
【0139】
【化9】
(式中、R7は、少なくとも1つのsp2結合を含む基であり、Aは、O、N、P、S又はアミド若しくはエステル結合であり、Bは、単環式又は多環式芳香族基若しくは脂肪族基であり、各tは、独立して0又は1であり、M+は、カチオンである)を含みうる。一態様では、R7は、C2〜C6アルケンである。別の態様では、R7は、エテン、ブテン、又はプロペンである。
【0140】
好ましいカルボン酸モノマーとしては、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、メタクリル酸、又はアクリル酸のエトキシレートエステルのうちの1つ以上が挙げられ、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。好ましいスルホン化モノマーとしては、(メタ)アリルスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸、フェニル(メタ)アリルエーテルスルホン酸ナトリウム、又は2−アクリルアミド−メチルプロパンスルホン酸のうちの1つ以上が挙げられる。好ましい非イオン性モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド、t−ブチル(メタ)アクリルアミド、スチレン、又はα−メチルスチレンのうちの1つ以上が挙げられる。
【0141】
ポリマーは、以下の濃度のモノマーを含むことが好ましい。すなわちポリマーの約40〜約90重量%、好ましくは約60〜約90重量%の1つ以上のカルボン酸モノマー;ポリマーの約5〜約50重量%、好ましくは約10〜約40重量%の1つ以上のスルホン酸モノマー;及び場合により、ポリマーの約1重量%〜約30重量%、好ましくは約2〜約20重量%の1つ以上の非イオン性モノマー。特に好ましいポリマーは、ポリマーの約70重量%〜約80重量%の少なくとも1つのカルボン酸モノマー、及びポリマーの約20重量%〜約30重量%の少なくとも1つのスルホン酸モノマーを含む。
【0142】
カルボン酸は、好ましくは(メタ)アクリル酸である。スルホン酸モノマーは、好ましくは以下のうちの1つである。すなわち、2−アクリルアミドメチル−1−プロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、3−メタクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸(allysulfonic acid)、メタリルスルホン酸(methallysulfonic acid)、アリルオキシベンゼンスルホン酸、メタリルオキシベンゼンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−(2−プロペニルオキシ)プロパンスルホン酸、2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、3−スルホプロピルアクリレート、3−スルホプロピルメタクリレート、スルホメチルアクリルアミド、スルホメチルメタクリルアミド、及びこれらの水溶性塩。不飽和スルホン酸モノマーは、最も好ましくは2−アクリルアミド−2−プロパンスルホン酸(AMPS)である。
【0143】
好ましい市販のポリマーとしては、Alco Chemical社により供給されるAlcosperse 240、Aquatreat AR 540及びAquatreat MPS;Dow社により供給されるAcumer 3100、Acumer 2000、Acusol 587G及びAcusol 588G;BF Goodrich社により供給されるGoodrichK−798、K−775及びK−797;並びにISP technologies Inc.社により供給されるACP 1042が挙げられる。
【0144】
ポリマーにおいて、すべての又は一部のカルボン酸基又はスルホン酸基は、中和された形態で存在することができ、すなわち、一部の又はすべての酸性基中のカルボン酸基及び/又はスルホン酸基の酸性水素原子は、金属イオンで、好ましくはアルカリ金属イオンで、特にナトリウムイオンで、置換することができる。
【0145】
本明細書で使用するのに好適な他のポリマーとしては、アクリル酸主鎖及びアルコキシル化側鎖を含むポリマーが挙げられ、前記ポリマーは、約2,000〜約20,000の分子量を有し、前記ポリマーは、約20重量%〜約50重量%のアルキレンオキシドを有する。ポリマーは、約2,000〜約20,000、又は約3,000〜約15,000、又は約5,000〜約13,000の分子量を有しなければならない。ポリマーのアルキレンオキシド(AO)成分は、通常、プロピレンオキシド(PO)又はエチレンオキシド(EO)であり、通常、ポリマーの約20重量%〜約50重量%、又は約30重量%〜約45重量%、又は約30重量%〜約40重量%を構成する。水溶性ポリマーのアルコキシル化側鎖は、約10〜約55個のAO単位、又は約20〜約50個のAO単位、又は約25〜50個のAO単位を含み得る。ポリマーは、好ましくは水溶性であり、ランダム、ブロック、グラフト又は他の既知の形態で構成されてよい。アルコキシル化されたアクリル酸ポリマーの形成方法は、米国特許第3,880,765号に開示されている。
【0146】
本明細書で使用するのに好適な他のポリマーとしては、ポリカルボン酸及びこれらの部分又は完全中和塩、モノマー状ポリカルボン酸及びヒドロキシカルボン酸並びにこれらの塩のホモポリマー並びにコポリマーが挙げられる。上述の化合物の好ましい塩は、アンモニウム塩及び/又はアルカリ金属塩、すなわち、リチウム塩、ナトリウム塩、及びカリウム塩であり、特に好ましい塩は、ナトリウム塩である。
【0147】
好適なポリカルボン酸は、非環式、脂環式、複素環式、及び芳香族カルボン酸であり、この場合、それらは少なくとも2つのカルボキシル基を含有し、これらのカルボキシル基は、それぞれの場合に、好ましくは2個以下の炭素原子によって互いに隔てられる。2個のカルボキシル基を含むポリカルボン酸としては、例えば、マロン酸、(エチレンジオキシ)二酢酸、マレイン酸、ジグリコール酸、酒石酸、タルトロン酸、及びフマル酸の水溶性塩が挙げられる。3個のカルボキシル基を含むポリカルボン酸としては、例えば水溶性クエン酸塩が挙げられる。これに応じて、好適なヒドロキシカルボン酸は、例えばクエン酸である。別の好適なポリカルボン酸は、アクリル酸のホモポリマーである。他の好適なビルダーは、国際公開第95/01416号に開示されており、その内容は、本明細書において参照される。
【0148】
本明細書で使用するのに好適な他のポリマーには、国際公開第2009/095645(A1)号に記載されるようなポリアスパラギン酸(PAS)誘導体が挙げられる。
【0149】
金属ケア剤
金属ケア剤は、アルミニウム、ステンレス鋼及び非第一鉄金属(銀及び銅など)といった、金属の変色、腐食又は酸化を防止又は低減することができる。好ましくは、本発明の組成物は、組成物の0.1〜5重量%、より好ましくは0.2〜4重量%、特に0.3〜3重量%の金属ケア剤を含み、好ましくは金属ケア剤はベンゾトリアゾール(BTA)である。
【0150】
ガラスケア剤
ガラスケア剤は、食器洗いプロセス中にガラス物品の外観を保護するものである。好ましくは、本発明の組成物は、組成物の0.1〜5重量%、より好ましくは0.2〜4重量%、特に0.3〜3重量%のガラスケア剤を含み、好ましくはガラスケア剤は亜鉛塩である。
【0151】
多区画型パウチ
多区画型パウチは、複数の区画を形成する複数の水溶性封入材料によって形成される。封入材料は、異なる成分の制御放出を可能とする同じ又は異なる溶解度特性を有することができる。好ましくは、封入材料は水溶性ポリビニルアルコールフィルムである。
【0152】
好ましいパウチは、重ね合わされた区画を有するものである。この配置は、パウチの小型化、丈夫さ及び強度に寄与し、更にこの配置は、必要とされる水溶性材料の量を最小とする。パウチの丈夫さはまた、パウチの物理的一体性を損なうことなく、非常に薄いフィルムの使用を可能にする。また、パウチは、固定形状の機械的ディスペンサー内で使用されるために各区画が折り畳まれる必要がないために、非常に使いやすくなっている。異なる区画内に液体及び固体組成物を含む多区画型パウチの場合では、液体組成物が低い平衡相対湿度を有することが重要である。本発明のパウチの液体組成物は、固体組成物を含む多区画型パウチに非常に適している。
【0153】
第2の区画が好ましくは固体組成物を、より好ましくは粉末の形態で収容する。固体組成物及び液体組成物は、好ましくは約5:1〜約1:5、より好ましくは約3:1〜約1:2、更により好ましくは約2:1〜約1:1の重量比で存在する。この種のパウチは、広範囲の固体:液体比の値を有する組成物を収容できることから非常に多目的である。
【0154】
特に自動食器洗い機においてディスペンサーに収められる理由から、本明細書におけるパウチは、正方形又は長方形の底面、及び約1〜約5cm、より好ましくは約1〜約4cmの高さを有する。固体組成物の重量は、好ましくは約5〜約20g、より好ましくは約10〜約18gであり、液体組成物の重量は、約0.5〜約10g、より好ましくは約1〜約8gである。
【0155】
異なる区画を形成する封入材料は、同一条件下で異なる溶解度を有してよく、それらが部分的又は全体的に封入した組成物の内容物を異なる時間に放出する。
【0156】
多区画型パウチの各成分の制御放出は、封入材料の厚さ及び/又は溶解度を改変することによって実現することができる。封入材料の溶解度は、例えば国際公開第02/102,955号の17及び18ページに記載されているようにフィルムの架橋により、遅らせることができる。すすぎ剤を放出するように設計された他の封入材料、特に水溶性フィルムは、米国特許第4,765,916号及び同第4,972,017号に記載されている。フィルムのワックス性被覆層(国際公開第95/29982号を参照のこと)は、すすぎ剤放出を補助し得る。pHにより制御される放出手段、とりわけ選択されたアセチル化度を有するアミノ−アセチル化多糖類は、国際公開第04/111178号に記載されている。
【0157】
異なる溶解度を有するフィルムで形成された異なる区画を備える多区画型パウチによって遅延放出を実現する他の手段が、国際公開第02/08380号に教示されている。
【実施例】
【0158】
下記表に示す成分及び濃度の組成物Aを調製した。組成物Aは、22℃で1%蒸留水中でpH11.5を示した。組成物Bは、組成物Aにギ酸を加えることによって調製した。組成物Bは、22℃で1%蒸留水中でpH11を示した。
【0159】
【表1】
Trilon P:BASF社により供給されるポリアミン
【0160】
各組成物をポリビニルアルコール(PVA)製のパウチ内に入れた。
【0161】
28cm×7cmの大きさのPVAフィルム(株式会社クラレより販売されるMonosol 8630)の長方形のシートを長さ方向に切断して、フィルムの光沢面が外側に、艶消し面が内側となるようにして折り畳んだ。それぞれの折り畳まれたシートの2つの長辺を熱シールし、中央に残された空間が少なくとも2.54cmとなるようにした。その結果、折り畳まれたシートの一辺は、開いたままとされた。折り畳まれたシートを22℃、相対湿度(RH)35%のオーブン中で24時間保管することによってコンディショニングした。
【0162】
折り畳まれたシートのコンディショニング後、注射器を使用してシートをできるだけ空気が入り込まないようにして、10mLの組成物A又はBで充填した。
【0163】
これらの折り畳まれたシートを、シールされた領域の長さが少なくとも10cmとなるように熱シールすることによって閉じた。パウチの最終的な寸法(シール領域)は、2.54cm×10cmをわずかに上回った。
【0164】
保管試験
組成物A及びBを収容するパウチを、25℃、60%RH、及び35℃、40%RHの2つの異なる条件でオープントレー内で保管した。各試料の外観を24時間後に観察した。以下が観察された。
a.35℃、40%RH
i.組成物A(pH11.5)を収容するパウチは、外側面に表面全体にわたって白色の残渣を示した。フィルムはまた、不透明ともなった。
ii.組成物B(pH11)を収容するパウチは、外面に残渣を示さなかった。
b.25℃、60%RH
i.組成物A(pH11.5)を収容するパウチ:組成物はパウチの内部から外面に移動した。パウチは滲出が見られ、濡れており、触れるとべたついた。
ii.組成物B(pH11)を収容するパウチ:パウチの外側に液体はいっさい見られなかった。パウチに変化は生じなかった。
【0165】
特許請求される範囲の外側のpHを有する組成物を収容するパウチは、異なる保管条件で不安定であり、乾燥条件(35℃、40% RH)ではPVAの外側に白色の残渣が形成され、PVAが不透明となる。湿度条件では、パウチは漏出を生じ、濡れ、及びべたつきがある。パウチは、組成物のpHが11である場合に保管時に安定である。