特許第6788072号(P6788072)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 芝浦メカトロニクス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6788072-基板処理装置、および基板処理方法 図000002
  • 特許6788072-基板処理装置、および基板処理方法 図000003
  • 特許6788072-基板処理装置、および基板処理方法 図000004
  • 特許6788072-基板処理装置、および基板処理方法 図000005
  • 特許6788072-基板処理装置、および基板処理方法 図000006
  • 特許6788072-基板処理装置、および基板処理方法 図000007
  • 特許6788072-基板処理装置、および基板処理方法 図000008
  • 特許6788072-基板処理装置、および基板処理方法 図000009
  • 特許6788072-基板処理装置、および基板処理方法 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6788072
(24)【登録日】2020年11月2日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】基板処理装置、および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20201109BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20201109BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20201109BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20201109BHJP
【FI】
   H01L21/302 101G
   H01L21/31 C
   H01L21/68 A
   C23C16/44 F
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-101529(P2019-101529)
(22)【出願日】2019年5月30日
(62)【分割の表示】特願2015-161760(P2015-161760)の分割
【原出願日】2015年8月19日
(65)【公開番号】特開2019-149577(P2019-149577A)
(43)【公開日】2019年9月5日
【審査請求日】2019年6月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中澤 和輝
(72)【発明者】
【氏名】白濱 裕規
(72)【発明者】
【氏名】岡本 芳枝
【審査官】 宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−275511(JP,A)
【文献】 特開2009−260241(JP,A)
【文献】 特開2005−183458(JP,A)
【文献】 特表2005−538913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
C23C 16/44
H01L 21/31
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気圧よりも減圧された雰囲気において、平面形状が四角形の基板にプラズマ処理を施す処理部と、
前記処理を施す際の圧力よりも高い圧力の環境において、前記基板を搬送する搬送部と、
前記処理部と、前記搬送部と、の間に設けられたロードロック部と、
前記ロードロック部と、前記処理部と、の間に設けられた受け渡し部と、
を備え、
前記ロードロック部は、
前記基板を支持する支持部と、
前記支持部の回転方向における位置を移動させる駆動部と、
を有し、
前記処理部は、
内部にプラズマ発生領域を有する処理容器と、前記プラズマ発生領域にプロセスガスを供給するガス供給部と、前記プラズマ発生領域に電磁エネルギーを供給するプラズマ発生部と、処理容器内に配置された載置部を有し、前記載置部に載置され、前記プラズマ発生領域に一方の面が対向した基板に対して前記プラズマ発生領域で生成されたプラズマ生成物によってプラズマ処理を行い、
前記受け渡し部は、前記処理部におけるプラズマ処理の途中において、前記処理部から前記支持部に前記基板を受け渡し、
前記駆動部は、前記受け渡された基板の回転方向における位置を移動させ、かつ、前記基板の辺が延びる方向が、前記受け渡し部の中心と、前記支持部が設けられる領域の中心と、を結ぶ線と平行または垂直となるように、前記受け渡された基板の回転方向における位置を移動させ、
前記受け渡し部は、回転方向における位置を移動させた前記基板を前記ロードロック部から取り出して前記処理部に受け渡し、
前記処理部は、回転方向における位置を移動させた前記基板に残りのプラズマ処理を施す基板処理装置。
【請求項2】
前記駆動部は、前記受け渡された基板の回転方向における位置を90°×n(nは自然数)移動させる請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記nは3以下であることを特徴とする請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記駆動部は、前記搬送部と、前記支持部と、の間で前記基板を受け渡す際には、前記支持部に受け渡された前記基板の辺が延びる方向が、前記搬送部による搬送方向と平行または垂直となるように、前記受け渡された基板の回転方向における位置を移動させる請求項1〜3のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記受け渡し部は旋回軸を有する移載部を有し、
前記ロードロック部は、ロードロック室と、前記ロードロック室の対向する壁にそれぞれ設けられた開口部を有し、
一方の壁に設けられた前記開口部を介して前記搬送部が前記ロードロック室に侵入し、他方の壁に設けられた前記開口を介して前記受け渡し部の前記移載部が前記ロードロック室に侵入し、
前記ロードロック室を平面視したとき、前記搬送部が侵入する開口部の中心よりも、前記移載部が侵入する開口部の中心の方が前記旋回軸側に寄るように、それぞれの開口部がロードロック室に設けられている請求項1〜4のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項6】
大気圧よりも減圧された第1の環境において、プラズマ発生領域にプロセスガスと電磁エネルギーを供給することで生成されたプラズマ生成物によって、前記プラズマ発生領域に一方の面が対向し、平面形状が四角形である基板にプラズマ処理を施す工程と、
前記基板にプラズマ処理を施す工程における処理の途中において、前記基板を、前記第1の環境から、前記第1の環境から離隔した第2の環境に移動させる工程と、
前記第2の環境において、前記基板の回転方向における位置を移動させ、かつ、前記基板の辺が延びる方向が、受け渡し部の中心と、支持部が設けられる領域の中心と、を結ぶ線と平行または垂直となるように、前記第2の環境に受け渡された前記基板の回転方向における位置を移動させる工程と、
回転方向における位置を移動させた前記基板を前記第2の環境から前記第1の環境に移動させて残りのプラズマ処理を施す工程と、
を備える基板処理方法。
【請求項7】
前記基板の回転方向における位置を移動させる工程において、前記基板の回転方向における位置を90°×n(nは自然数)移動させる請求項6記載の基板処理方法。
【請求項8】
前記nは3以下である請求項7記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、基板処理装置、および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハ、フラットパネルディスプレイ用基板、露光マスク用基板、ナノインプリント用基板などの基板や、その基板上に形成された膜などに対して、プラズマ処理や処理ガスを用いた処理によって、エッチング、アッシング、蒸着、成膜などの処理が行われている。
ここで、基板の面内における処理量の偏りを小さくするために、基板を載置する載置部の載置面の形状を、基板の裏面の形状に合わせる技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
ところが、基板に処理を施す際には、処理容器の内部において、プラズマ密度の水平分布に偏りがあったり、処理ガス濃度の水平分布に偏りがあったりする。
そのため、載置面の形状などの静的な条件では、基板の面内における処理量の偏りを小さくすることが難しくなる場合がある。
そこで、基板の面内における処理量の偏りを小さくすることができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−206971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、基板の面内における処理量の偏りを小さくすることができる基板処理装置、および基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る基板処理装置は、
大気圧よりも減圧された雰囲気において、平面形状が四角形の基板にプラズマ処理を施す処理部と、
前記処理を施す際の圧力よりも高い圧力の環境において、前記基板を搬送する搬送部と、
前記処理部と、前記搬送部と、の間に設けられたロードロック部と、
前記ロードロック部と、前記処理部と、の間に設けられた受け渡し部と、
を備え、
前記ロードロック部は、
前記基板を支持する支持部と、
前記支持部の回転方向における位置を移動させる駆動部と、
を有し、
前記処理部は、
内部にプラズマ発生領域を有する処理容器と、前記プラズマ発生領域にプロセスガスを供給するガス供給部と、前記プラズマ発生領域に電磁エネルギーを供給するプラズマ発生部と、処理容器内に配置された載置部を有し、前記載置部に載置され、前記プラズマ発生領域に一方の面が対向した基板に対して前記プラズマ発生領域で生成されたプラズマ生成物によってプラズマ処理を行い、
前記受け渡し部は、前記処理部におけるプラズマ処理の途中において、前記処理部から前記支持部に前記基板を受け渡し、
前記駆動部は、前記受け渡された基板の回転方向における位置を移動させ、かつ、前記基板の辺が延びる方向が、前記受け渡し部の中心と、前記支持部が設けられる領域の中心と、を結ぶ線と平行または垂直となるように、前記受け渡された基板の回転方向における位置を移動させ、
前記受け渡し部は、回転方向における位置を移動させた前記基板を前記ロードロック部から取り出して前記処理部に受け渡し、
前記処理部は、回転方向における位置を移動させた前記基板に残りのプラズマ処理を施すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施形態によれば、基板の面内における処理量の偏りを小さくすることができる基板処理装置、および基板処理方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施の形態に係る基板処理装置1を例示するためのレイアウト図である。
図2】処理部50の一例を例示するための模式断面図である。
図3】(a)、(b)は、ロードロック部30を例示するための模式断面図である。
図4図3(a)、(b)におけるB−B線矢視断面図である。
図5】収納部11から処理部50への基板Wの搬送手順を例示するためのフローチャートである。
図6】処理部50とロードロック部30との間における基板Wの搬送手順を例示するためのフローチャートである。
図7】処理部50から収納部11への基板Wの搬送手順を例示するためのフローチャートである。
図8】基板Wの回転方向における位置を移動しなかった場合のエッチング量の分布を例示するための図である。
図9】基板Wの回転方向における位置を移動した場合のエッチング量の分布を例示するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。
なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
また、本発明の実施形態に係る基板処理装置1は、プラズマを利用したプラズマ処理装置、処理ガスや処理液などを用いる処理装置などとすることができる。
ただし、プラズマ処理装置の場合には、プラズマ密度の水平分布に偏りが生じ易いので、基板の面内における処理量の偏りが生じ易くなる。
そのため、以下においては、本発明の実施形態に係る基板処理装置1がプラズマを利用した装置である場合を説明する。
【0009】
図1は、本実施の形態に係る基板処理装置1を例示するためのレイアウト図である。
図1に示すように、基板処理装置1には、集積部10、搬送部20、ロードロック部30、受け渡し部40、処理部50、および制御部60が設けられている。
基板処理装置1により処理が施される基板Wの平面形状は、四角形である。基板Wの材料には特に限定はないが、基板Wの材料は、例えば、石英やガラスなどとすることができる。また、基板Wの用途にも特に限定はないが、基板Wは、例えば、フラットパネルディスプレイ用基板、露光マスク用基板、ナノインプリント用基板などとすることができる。
【0010】
集積部10には、収納部11、スタンド12、および開閉扉13が設けられている。
収納部11は、基板Wを収納する。
収納部11の数には、特に限定はないが、複数の収納部11を設ける様にすれば、生産性を向上させることができる。また、複数の収納部11を設ける場合には、同様の構成を有するものを設けることもできるし、異なる構成を有するものを設けることもできる。収納部11は、例えば、基板Wを積層状(多段状)に収納可能なキャリアなどとすることができる。例えば、収納部11は、ミニエンバイロメント方式の半導体工場で使われている基板の搬送と保管を目的とした正面開口式キャリアであるFOUP(Front-Opening Unified Pod)などとすることができる。
ただし、収納部11は、FOUPなどに限定されるわけではなく、基板Wを収納することができるものであればよい。
【0011】
スタンド12は、床面または筐体21の側面に設けられている。スタンド12の上面には、収納部11が載置される。スタンド12は、載置された収納部11を保持する。
【0012】
開閉扉13は、収納部11の開口部11a1と、搬送部20の筐体21の開口部21aとの間に設けられている。開閉扉13は、収納部11の開口部11a1を開閉する。例えば、図示しない駆動部により開閉扉13を上昇させることで、収納部11の開口部11a1を閉鎖する。また、図示しない駆動部により開閉扉13を下降させることで、収納部11の開口部11a1を開放する。
【0013】
搬送部20は、集積部10と、ロードロック部30との間に設けられている。
搬送部20は、処理を施す際の圧力よりも高い圧力(例えば、大気圧)の環境において、基板Wを搬送する。
搬送部20には、筐体21、および移載部22が設けられている。
筐体21は、箱状を呈し、その内部には移載部22が設けられている。筐体21は、例えば、外部からパーティクルなどが侵入できない程度の気密構造を有するものとすることができる。筐体21の内部の雰囲気は、例えば、大気圧となっている。
【0014】
移載部22は、集積部10とロードロック部30との間における基板Wの搬送と受け渡しを行う。
移載部22は、旋回軸を中心として回転するアーム22aを有する搬送ロボットとすることができる。
移載部22は、例えば、タイミングベルトとリンクなどを組み合わせた機構を有する。
アーム22aは、関節を有する。アーム22aの先端には、基板Wを保持する保持部22bが設けられている。
【0015】
また、アーム22aの下方には移動部22cが設けられている。移動部22cは、搬送方向A(矢印Aの方向)に移動可能となっている。また、基板Wの回転方向の位置や昇降方向の位置を移動させる図示しない位置調整部や、アーム22aの方向を変える図示しない方向変換部などが設けられている。
そのため、保持部22bに基板Wを保持し、基板Wを保持したまま矢印Aの方向に移動し、アーム22aの方向を変え、アーム22aを屈曲させるようにして伸縮させることで、収納部11またはロードロック室31における基板Wの受け渡しを行うことができる。
【0016】
ロードロック部30は、搬送部20と処理部50との間に設けられている。
ロードロック部30は、雰囲気が例えば大気圧の搬送部20側と、雰囲気が例えば処理を施す際の圧力の受け渡し部40側との間で、基板Wの受け渡しができるようにする。
後述するように、ロードロック部30は、基板Wの回転方向における位置を移動させる機構を有している。
そのため、ロードロック部30は、基板Wの回転方向における位置を移動させることができる。
なお、基板Wの回転方向における位置を移動させるとは、例えば、基板Wを所定の角度回転させることである。
【0017】
さらに、ロードロック部30は、パーティクルが基板Wに付着するのを抑制することができる構成を有している。
なお、ロードロック部30に関する詳細は後述する。
【0018】
受け渡し部40は、処理部50とロードロック部30との間に設けられている。受け渡し部40は、処理部50とロードロック部30との間における基板Wの受け渡しを行う。
受け渡し部40には、筐体41、移載部42、および減圧部43が設けられている。
筐体41は、箱状を呈し、その内部が開閉扉32を介してロードロック室31の内部と繋がっている。筐体41は、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持できるようになっている。
【0019】
移載部42は、筐体41の内部に設けられている。
移載部42には、関節を有するアーム42aが設けられている。アーム42aの先端には、基板Wを保持する保持部42bが設けられている。
移載部42は、保持部42bに基板Wを保持し、アーム42aの方向を変え、アーム42aを屈曲させるようにして伸縮させることで、ロードロック室31と処理容器51との間における基板Wの受け渡しを行う。
【0020】
減圧部43は、筐体41の内部の雰囲気を大気圧よりも低い所定の圧力まで減圧する。例えば、減圧部43は、筐体41の内部の雰囲気の圧力が、処理容器51において処理を施す際の圧力とほぼ同等となるようにする。
【0021】
処理部50は、処理容器51の内部に載置された基板Wに対して所望の処理を施す。
処理部50は、例えば、大気圧よりも減圧された雰囲気中において、基板Wに対してプラズマ処理を施す。
処理部50は、例えば、プラズマエッチング装置、プラズマアッシング装置、スパッタリング装置、プラズマCVD装置などのプラズマ処理装置とすることができる。
この場合、プラズマの発生方法には特に限定はなく、例えば、高周波やマイクロ波などを用いてプラズマを発生させるものとすることができる。
ただし、プラズマ処理装置の種類やプラズマ発生方法は例示をしたものに限定されるわけではない。
処理部50は、大気圧よりも減圧された雰囲気中において、基板Wに対して処理を施すものであればよい。
また、処理部50の数にも特に限定はない。処理部50を複数設ける場合には、同じ種類の基板処理装置を設けることもできるし、異なる種類の基板処理装置を設けることもできる。また、同じ種類の基板処理装置を複数設ける場合には、処理条件がそれぞれ異なるようにすることもできるし、処理条件がそれぞれ同じになるようにすることもできる。
【0022】
図2は、処理部50の一例を例示するための模式断面図である。
図2に例示をする処理部50は、誘導結合プラズマ処理装置である。すなわち、高周波エネルギーにより励起、発生させたプラズマを用いてプロセスガスからプラズマ生成物を生成し、基板Wの処理を行うプラズマ処理装置の一例である。
【0023】
図2に示すように、処理部50は、処理容器51、載置部52、プラズマ発生アンテナ53、高周波発生部54a、54b、ガス供給部55、減圧部56などを備えている。また、高周波発生部54a、54b、ガス供給部55、減圧部56などの処理部50が備える各要素を制御する図示しない制御部、各要素を動作させる図示しない動作部などが設けられている。
プラズマ発生アンテナ53は、プラズマPを発生させる領域に高周波エネルギー(電磁エネルギー)を供給することでプラズマPを発生させる。
プラズマ発生アンテナ53は、透過窓51aを介してプラズマPを発生させる領域に高周波エネルギーを供給する。透過窓51aは平板状を呈し、高周波エネルギーに対する透過率が高くエッチングされにくい材料からなる。透過窓51aは、処理容器51の上端に気密となるようにして設けられている。
この場合、プラズマ発生アンテナ53、高周波発生部54a、54bなどが、プラズマを発生させる領域に電磁エネルギーを供給するプラズマ発生部となる。
【0024】
処理容器51の側壁上部には、流量制御部材(Mass Flow Controller:MFC)55aを介してガス供給部55が接続されている。そして、ガス供給部55から流量制御部材55aを介して処理容器51内のプラズマPを発生させる領域にプロセスガスGを供給することができるようになっている。
【0025】
処理容器51は、有底の略円筒形状を呈し、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能とされている。処理容器51の内部には、載置部52が設けられている。
そして、載置部52の上面には、基板Wが載置される。
この場合、基板Wは、載置部52の上面に直接載置されるようにしてもよいし、図示しない支持部材などを介して載置部52の上面に載置されるようにしてもよい。
【0026】
処理容器51の底面には、圧力制御部材(Auto Pressure Controller:APC)56aを介してターボ分子ポンプ(TMP)などの減圧部56が接続されている。減圧部56は、処理容器51の内部を所定の圧力まで減圧する。圧力制御部材56aは、処理容器51の内圧を検出する図示しない圧力計の出力に基づいて、処理容器51の内圧が所定の圧力となるように制御する。
【0027】
基板Wにプラズマ処理を施す際には、減圧部56により処理容器51の内部が所定の圧力にまで減圧され、ガス供給部55から所定量のプロセスガスG(例えば、CF4など)が処理容器51内のプラズマPを発生させる領域に供給される。一方、高周波発生部54aから所定のパワーの高周波電力がプラズマ発生アンテナ53に印加され、透過窓51aを介して電磁エネルギーが処理容器51の内部に放射される。また、基板Wを戴置する戴置部52には高周波発生部54bから所定のパワーの高周波電力が印加され、プラズマPから基板Wに向かうイオンを加速させる電界が形成される。
このようにして処理容器51の内部に放射された電磁エネルギーと戴置部52からの電磁エネルギーによりプラズマPが発生し、発生したプラズマP中において、プロセスガスGが励起、活性化されて中性活性種、イオンなどのプラズマ生成物が生成される。そして、この生成されたプラズマ生成物により基板Wの表面が処理される。
【0028】
制御部60は、基板処理装置1に設けられた各要素の動作を制御する。
制御部60は、例えば、開閉扉13の開閉、移載部22による基板Wの搬送と受け渡し、開閉扉32の開閉、圧力制御部34(図3(a)、(b)参照)による圧力制御、移載部42による基板Wの受け渡し、減圧部43による減圧、および、処理部50による各種の処理などにおいて、各要素の動作を制御する。
【0029】
次に、ロードロック部30についてさらに説明する。
図3(a)、(b)は、ロードロック部30を例示するための模式断面図である。
図4は、図3(a)、(b)におけるB−B線矢視断面図である。
図3(a)、(b)、図4に示すように、ロードロック部30には、ロードロック室31、開閉扉32、載置部33、および圧力制御部34が設けられている。
【0030】
ロードロック室31は、箱状を呈し、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持できるようになっている。
開閉扉32は、ロードロック室31の筐体21側(搬送部20側)、および筐体41側(受け渡し部40側)にそれぞれ設けられている。また、図示しない駆動部により開閉扉32を移動させることで、ロードロック室31の開口部31aを開閉できるようになっている。
【0031】
また、図3(b)に示すように、ロードロック室31を平面視したとき、移載部42側の開口部31aは、移載部22側の開口部31aと位置がずれていてもよい。
この場合、移載部42側の開口部31aの中心は、移載部22側の開口部31aの中心よりも、移載部42の中心側に寄っているようにすることができる。この様にすれば、移載部42とロードロック室31の間において基板Wを受け渡しする際に、移載部42が開口部31aに容易に侵入することができる。
【0032】
載置部33は、ロードロック室31の内部に設けられている。載置部33には、水平状態とされた基板Wが載置される。載置部33は、載置された基板Wを支持する。
また、載置部33は、載置された基板Wの回転方向における位置を移動させる。
載置部33には、支持部33a、回転軸33c、および駆動部33dが設けられている。
支持部33aは、支持板33a1と支持体33a2を有する。
【0033】
支持板33a1は、ロードロック室31の内部に設けられている。支持板33a1は、平板状を呈している。支持板33a1の主面の大きさは、基板Wの大きさよりも大きくなっている。図4に示すように、支持板33a1の基板W側の主面は、支持体33a2に支持された基板Wと対峙している。
支持体33a2は、柱状を呈し、一方の端部に基板Wを支持するための斜面33a2aが設けられている。支持体33a2の他方の端部側は、支持板33a1に設けられている。
また、支持体33a2は4つ設けられ、それぞれの斜面33a2aが四角形の基板Wの角部を支持している。
支持体33a2の斜面33a2aにより基板Wの角を支持すれば、接触面積を小さくすることができる。そのため、パーティクルの発生を抑制することができる。
また、支持体33a2の斜面33a2aにより基板Wを支えるようにすれば、支持位置の位置合わせを行うこともできる。
【0034】
回転軸33cは、柱状を呈し、一方の端部が支持板33a1に設けられている。回転軸33cの他方の端部は、ロードロック室31の外部に露出している。回転軸33cとロードロック室31との間には、O(オー)リングなどのシール部材33c1が設けられている。
駆動部33dは、支持板33a1の回転方向における位置を移動させる。そのため、駆動部33dは、回転軸33c、支持板33a1、および支持体33a2を介して基板Wの回転方向における位置を移動させることができる。駆動部33dは、例えば、サーボモータなどの制御モータなどとすることができる。
【0035】
圧力制御部34は、減圧部34aとガス供給部34bを有する。
減圧部34aは、ロードロック室31の内部にある気体を排気して、ロードロック室31の内部の雰囲気を大気圧よりも低い所定の圧力まで減圧する。例えば、圧力制御部34は、ロードロック室31の内部の雰囲気の圧力が、筐体41の内部の雰囲気の圧力(処理を施す際の圧力)とほぼ同等となるようにする。
また、ガス供給部34bは、ロードロック室31の内部に気体を供給して、ロードロック室31の内部の雰囲気の圧力が、筐体21の内部の雰囲気の圧力とほぼ同等となるようにする。例えば、ガス供給部34bは、ロードロック室31の内部に気体を供給して、ロードロック室31の内部の雰囲気を大気圧よりも低い圧力から、例えば大気圧に戻す。
【0036】
そのため、ロードロック室31の内部に設けられた載置部33の上面に基板Wを載置し、ロードロック室31の内部の雰囲気の圧力を変化させることで、搬送部20と受け渡し部40との間における基板Wの受け渡しを行うことができる。
つまり、雰囲気が例えば大気圧となっている搬送部20側と、雰囲気が大気圧よりも低い圧力となっている受け渡し部40側との間で、基板Wの受け渡しができるようになっている。
【0037】
減圧部34aには、排気部34a1、コンダクタンス制御部34a2、検出部34a3(図3(a)、(b)を参照)、制御部34a4、および接続部34a5が設けられている。
排気部34a1、コンダクタンス制御部34a2、接続部34a5は、配管で接続されている。排気部34a1は、コンダクタンス制御部34a2、および接続部34a5を介して、ロードロック室31の内部とつながっている。
排気部34a1は、ロードロック室31の内部にある気体を排気する。
排気部34a1は、例えば、真空ポンプなどとすることができる。
【0038】
コンダクタンス制御部34a2は、気体の排気に係るコンダクタンスC(以下、排気系のコンダクタンスCと称する)を制御する。
コンダクタンス制御部34a2は、例えば、バルブ弁の回転角を変化させてコンダクタンスを制御するバタフライバルブなどとすることができる。
検出部34a3は、ロードロック室31の側壁に設けられ、ロードロック室31の内部における圧力を検出する。
検出部34a3は、検出した圧力に応じた電気信号を出力するものとすることができる。
検出部34a3は、例えば、真空計などとすることができる。
【0039】
制御部34a4は、コンダクタンス制御部34a2、検出部34a3とそれぞれ電気的に接続されている。
制御部34a4は、検出部34a3から送られてきた電気信号に基づいて、コンダクタンス制御部34a2を制御する。
すなわち、制御部34a4は、検出部34a3から送られてきた電気信号に基づいて、排気系のコンダクタンスCを制御する。
なお、制御部34a4は必ずしも必要ではなく、制御部60により排気系のコンダクタンスCを制御するようにしてもよい。
接続部34a5は、ロードロック室31の側壁に設けられた開口部に気密となるように設けられている。
【0040】
ガス供給部34bには、供給部34b1、コンダクタンス制御部34b2、接続部34b3、および制御部34b4が設けられている。
供給部34b1、コンダクタンス制御部34b2、および接続部34b3は、配管で接続されている。
供給部34b1は、接続部34b3、コンダクタンス制御部34b2を介して、ロードロック室31の内部とつながっている。
供給部34b1は、ロードロック室31の内部に気体を供給する。
供給部34b1は、例えば、加圧された窒素ガスや不活性ガスなどが収納されたボンベなどとすることができる。
【0041】
コンダクタンス制御部34b2は、供給部34b1と、接続部34b3との間に設けられ、気体の供給に係るコンダクタンスC1を制御する。
コンダクタンス制御部34b2は、例えば、流量制御バルブなどとすることができる。
【0042】
接続部34b3は、ロードロック室31の側壁に設けられた開口部に気密となるように設けられている。
【0043】
接続部34b3と接続部34a5とは平面視において対峙して設けられている(図3(a)、(b)を参照)。そして、接続部34b3の中心軸34b3aと、接続部34a5の中心軸34a5aとは平面視において同一直線上にあるようになっている。
また、接続部34b3の流路断面積(流路における流れ方向に直交する方向の断面積)は、供給部34b1と接続部34b3をつなぐ配管の流路断面積よりも大きくなっている。そのため、ロードロック室31の内部に供給される気体の流速を遅くすることができる。
【0044】
制御部34b4は、コンダクタンス制御部34b2、および検出部34a3と電気的に接続されている。
制御部34b4は、検出部34a3から送られてきた電気信号に基づいて、コンダクタンス制御部34b2を制御する。
すなわち、制御部34b4は、検出部34a3から送られてきた電気信号に基づいて、給気系のコンダクタンスC1を制御する。
なお、制御部34b4は必ずしも必要ではなく、制御部60により給気系のコンダクタンスC1を制御するようにしてもよい。
【0045】
ここで、駆動部33dが、基板Wの回転方向における位置を移動させた際にパーティクルが発生する場合がある。
そのため、ロードロック部30は、発生したパーティクルが基板Wに付着し難くなるような構成を有している。
【0046】
例えば、図4に示すように、支持板33a1の主面は、減圧部34aやガス供給部34bによりロードロック室31の内部に形成される気流の流れ方向と平行になるように設けられている。
また、接続部34b3と接続部34a5とは平面視において対峙して設けられている。そして、接続部34b3の中心軸34b3aと、接続部34a5の中心軸34a5aとは平面視において同一直線上にあるようになっている。
そのため、気流の流れが乱れることを抑制することができるので、パーティクルが舞い上げられることを抑制することができる。
また、支持板33a1の主面の大きさは、基板Wの大きさよりも大きくなっている。
そのため、仮に、ロードロック室31の底面側にあるパーティクルが舞い上げられたとしても、舞い上げられたパーティクルが基板Wの側に侵入することを抑制することができる。
【0047】
また、ロードロック室31の内部に設けられた支持板33a1や支持体33a2に気流があたると渦が発生する。そして、渦が発生すると、発生した渦にパーティクルが捕獲されロードロック室31の外に排出されにくくなる。
そのため、支持板33a1や支持体33a2は、渦が発生しにくくなるような構成を有している。
例えば、支持板33a1の主面は平坦面であるので、空気抵抗が少なく渦の発生を抑制することができる。
【0048】
また、例えば、支持体33a2は柱状を呈しているので、空気抵抗が少なく渦の発生を抑制することができる。この場合、支持体33a2の断面形状を円形や楕円形などとすれば、渦の発生をより少なくすることができる。
また、前述したように、支持板33a1の主面は気流の流れ方向と平行になるように設けられているので、空気抵抗が少なく渦の発生を抑制することができる。
【0049】
そして、基板Wと、支持板33a1との位置関係が以下のようになっている。
例えば、図4に示すように、基板Wと支持板33a1との間の寸法Hと、基板Wの厚み寸法Tとが以下の(1)式を満たすようになっている。
H≧T ・・・(1)
この様にすれば、基板Wの支持板33a1側を流れる気流の流速の上昇を抑えることができるので、パーティクルが舞い上げられ難くすることができる。また、基板Wの支持板33a1側を流れる気流の流速と、基板Wの支持板33a1側とは反対側(天井板側)を流れる気流の流速との差を小さくすることができる。そのため、基板Wの支持板33a1側と天井板側との間における圧力の差を小さくすることができるので、基板Wの位置がずれることを抑制することができる。
【0050】
また、基板Wと支持板33a1との間の寸法Hと、基板Wにおける排気の下流側の端部Waと、支持板33a1における排気の下流側の端部33a1aとの間の寸法Lと、が以下の(2)式を満たすようになっている。
L≧H ・・・(2)
この様にすれば、基板Wの下流側の端部Wa近傍に発生した渦と、支持板33a1の下流側の端部33a1a近傍に発生した渦との間の距離をとることができるので、発生した渦同士が干渉することを抑制することができる。そのため、渦同士が干渉することで渦が成長することを抑制することができる。
この様にすれば、ロードロック室31の底側にあるパーティクルが舞い上げられ難くなる。
そのため、駆動部33dが、基板Wの回転方向における位置を移動させた際にパーティクルが発生したとしても、パーティクルが基板Wに付着するのを抑制することができる。
【0051】
なお、基板Wの回転方向における位置の移動と、減圧を行う工程は、同時に行うことができる。そのようにすれば、基板Wを回転させたときに駆動部33dから発生するパーティクルが、減圧を行う際に排気されるので、パーティクルが基板Wに付着するのを抑制することができる。
【0052】
また、真空中においては、対流が起こらない。そのため、パーティクルが舞い上がらないので、パーティクルが基板Wに付着しない。そこで、処理の途中において、既に真空状態にあるロードロック部30の内部で基板Wの回転を行う場合には、減圧を行わないようにすることができる。
【0053】
次に、基板処理装置1の作用とともに、本実施の形態に係る基板処理方法について例示をする。
図5は、収納部11から処理部50への基板Wの搬送手順を例示するためのフローチャートである。
図6は、処理部50とロードロック部30との間における基板Wの搬送手順を例示するためのフローチャートである。
図7は、処理部50から収納部11への基板Wの搬送手順を例示するためのフローチャートである。
まず、収納部11からロードロック室31に基板Wを搬送する(図5のS001)。
例えば、移載部22は、収納部11から基板Wを取り出し、ロードロック室31の内部の載置部33に基板Wを載置する。
次に、ロードロック室31の開閉扉32が閉じられ、減圧部34aがロードロック室31の内部を所定の圧力まで減圧する(図5のS002、S003)。
次に、駆動部33dは、回転軸33c、支持板33a1、および支持体33a2を介して基板Wの回転方向における位置を移動させる(図5のS004)。
図1中のC部に示すように、移載部22と載置部33との間で受け渡される基板Wの辺が延びる方向は、搬送方向Aと平行または垂直である。
一方、図1中のD部に示すように、移載部42と載置部33との間で受け渡される基板Wの辺が延びる方向は、移載部42の中心と載置部33の中心とを結ぶ線100と平行または垂直である。
なお、移載部42の中心とは、移載部42の旋回軸の中心であり、載置部33の中心とは、回転軸33cの中心である。
【0054】
そのため、移載部22と載置部33との間で基板Wを受け渡す際には、駆動部33dは、支持体33a2に保持された基板Wの辺が延びる方向が、搬送部20による搬送方向Aと平行または垂直となるように、保持された基板Wの回転方向における位置を移動させる。
また、移載部42と載置部33との間で基板Wを受け渡す際には、駆動部33dは、支持体33a2に保持された基板Wの辺が延びる方向が、受け渡し部40(移載部42)の中心と、載置部33の中心と、を結ぶ線と平行または垂直となるように、保持された基板Wの回転方向における位置を移動させる。
なお、受け渡し部40(移載部42)の中心とは、移載部42となる搬送アームの旋回中心(軸)、支持体33bが設けられる領域の中心とは、基板Wの中心である。
この様にすれば、円滑な基板Wの受け渡しを行うことができる。
また、ロードロック部30において基板Wの回転方向における位置を変化させることができるので、ロードロック部30に隣接する搬送部20や受け渡し部40の、ロードロック部30に対する配置角度を所望のものとすることができる。
そのため、搬送部20、ロードロック部30、および受け渡し部40の配置に関する自由度が高くなるので、基板処理装置1の小型化、ひいては設置面積を小さくすることができる。
【0055】
次に、ロードロック室31内の圧力が所定の圧力に到達すると、ロードロック室31の受け渡し部40側の開閉扉32が開かれ、移載部42が、載置部33(支持体33a2)に載置されていた基板Wを受け取る(図5のS005、S006)。
【0056】
次に、移載部42は、アーム42aの方向を変え、アーム42aを屈曲させるようにして伸縮させることで、基板Wを処理容器51の内部に搬入する。処理容器51の内部に搬入された基板Wは、処理部50の載置部52に受け渡される(図5のS007)。
次に、処理部50は、基板Wに所定の処理を施す(図6のS008)。
【0057】
ここで、基板Wにプラズマ処理を施す際には、処理容器51の内部において、プラズマ密度の水平分布に偏りがある場合がある。
特に、基板Wの中心領域と、プラズマ密度の水平分布において最も密度が高い領域とが一致していない場合には、プラズマ密度の分布を変えることは困難である。
プラズマ密度の水平分布に偏りがある状態で基板Wに処理を施すと、基板Wの面内における処理量が偏る。そのため、プラズマ密度の水平分布に偏りがある状態で処理を完了させると、基板Wの面内における処理量の偏りが大きくなるおそれがある。
例えば、プラズマエッチング処理の場合には、基板W上の領域によって溝の深さ寸法や穴の深さ寸法が大きく異なるものとなる場合がある。
【0058】
そこで、受け渡し部40(移載部42)は、処理部50(処理容器51)における処理の途中において、処理部50(処理容器51)からロードロック部30(支持体33a2)に基板Wを受け渡す(図6のS009〜S011)。
処理の途中とは、基板Wの処理の開始から一定時間経過した時点であって、処理が完了したと判断される時点よりも前とすることができる。処理が完了したという判断は、例えば、予め設定された処理時間の経過により間接的に行ったり、光学センサなどによってエッチング深さを測ることで終点を検出したりすることで直接的に行ったりする。
ロードロック部30に基板Wが受け渡されると、駆動部33dは、受け渡された基板Wの回転方向における位置を移動させる(図6のS012)。
この際、駆動部33dは、受け渡された基板Wの回転方向における位置を90°×n(nは自然数)移動させる。
続いて、受け渡し部40(移載部42)は、回転方向における位置を移動させた基板Wをロードロック室31から取り出し、処理部50(処理容器51)の内部に設けられた載置部52に載置する(図6のS013、S014)。
続いて、処理部50は、基板Wに残りの処理を施す。
すなわち、再度処理を開始させる(図6のS008に戻る)。
なお、処理が完了したと判断するまで前述した手順を繰り返すことができる。処理が完了したと判断した場合、移載部42が処理部50(処理容器51)から基板Wを搬出する(図6のS015)。
すなわち、基板Wに処理を施す工程における処理の途中(所定の処理が完了する前)において、基板Wの回転方向における位置を移動して、所定の処理が完了したときに均一な処理が施されるようにする。
なお、処理工程の途中において、基板Wの回転方向における位置を移動させることの効果は後述する。
【0059】
次に、移載部42は、処理済みの基板Wを処理容器51の内部から取り出しロードロック室31の内部に設けられた載置部33(支持体33a2)に載置する(図7のS016)。
また、移載部42は、次に処理される基板Wを載置部33(支持体33a2)から受け取り、処理容器51の内部に搬入する。
載置部33(支持体33a2)に載置された処理済みの基板Wは、前述した手順と逆の手順により収納部11に収納される。
具体的に説明すると、移載部42により基板Wがロードロック室31に搬入された後、ロードロック室31の開閉扉32が閉じられる(図7のS017)。
次に、基板Wの回転方向における位置を移動させる(図7のS018)。
次に、ガス供給部34bがロードロック室31の内部に気体を供給して、ロードロック室31の内部の雰囲気を大気圧よりも低い圧力から例えば大気圧に戻す(図7のS019)。
この際、ロードロック室31の内部にあるパーティクルが供給された気体により舞上げられないようにしている。
なお、ロードロック室31の内部への気体の供給に関する詳細は後述する。
次に、ロードロック室31が大気圧に戻った後、搬送部20の開閉扉32が開かれる(図7のS020、S021)。
次に、移載部22がロードロック室31から基板Wを搬出し、収納部11に基板Wを収納する(図7のS022、S023)。
【0060】
一方、処理容器51の内部に搬入された次の基板Wは、処理容器51内部の載置部52(図2を参照)に受け渡される。その後、前述した手順により基板Wに所定の処理が施される。
必要に応じて、前述した手順を繰り返すことで、基板Wを連続的に処理することができる。
【0061】
以上に説明したように、本実施の形態に係る基板処理方法は以下の工程を有するものとすることができる。
大気圧よりも減圧された第1の環境において、基板Wに処理を施す工程。
基板Wに処理を施す工程における処理の途中において、基板Wを、第1の環境から第2の環境に移動させる工程。
なお、第2の環境は、第1の環境から離隔し、かつ、第1の環境の圧力以下の圧力となっている。
第2の環境において、基板Wの回転方向における位置を移動させる工程。
基板Wの回転方向における位置を移動させた後に、当該基板Wにおける中断させた残りの処理を続行させる工程。
【0062】
また、基板Wの回転方向における位置を移動させる工程において、基板Wの回転方向における位置を90°×n(nは自然数)移動させることができる。
【0063】
次に、基板Wの回転方向における位置を移動させることの効果について説明する。
図8は、基板Wの回転方向における位置を移動しなかった場合のエッチング量の分布を例示するための図である。
図9は、基板Wの回転方向における位置を移動した場合のエッチング量の分布を例示するための図である。
なお、図9は、基板Wの回転方向における位置を90°ずつ3回移動させた場合である。
また、図8および図9においては、エッチング量の分布をモノトーン色の濃淡で表し、エッチング量が多いほど淡く、エッチング量が少ないほど濃くなるように表示した。
【0064】
図8から分かるように、基板Wの回転方向における位置を移動しなかった場合には、基板Wの面内におけるエッチング量の偏りが大きくなる。
この場合、モノトーン色の濃い領域では、溝の深さ寸法や穴の深さ寸法が短くなる。モノトーン色の淡い領域では、溝の深さ寸法や穴の深さ寸法が長くなる。
【0065】
これに対して、基板Wの回転方向における位置を90°ずつ3回移動させた場合には、図9から分かるように、基板Wの面内におけるエッチング量の偏りを小さくすることができる。
本発明者らの得た知見によれば、基板Wの回転方向における位置を移動させれば、処理量のばらつきを、基板Wの回転方向における位置を移動しなかった場合の処理量のばらつきに比べて1/3以下に抑えることができる。
【0066】
なお、基板Wの回転方向における位置を90°ずつ3回移動させる場合を例示したが、これに限定されるわけではない。
例えば、予め実験やシミュレーションなどにより求めた処理量の分布に基づいて、処理量の偏りが小さくなるような、回転角度、回転方向、移動回数などを決定することができる。
例えば、0°→180°としたり、0°→90°→270°としたり、0°→90°→−180°(逆回転)としたりすることができる。
なお、回転角度、回転方向、移動回数は、例示をしたものに限定されるわけではない。
また、基板Wの回転方向における位置の移動は、処理量の分布に基づいて行ってもよいし、処理量の分布に基づかずに行ってもよい。この場合、基板Wの回転方向における位置の移動は、予め決められたタイミングで行ってもよいし、レシピなどに登録されている所定の条件で行ってもよい。なお、レシピには、回転角度、回転方向、移動回数などの条件を予め登録させておくことができる。
【0067】
また、図4に示すように、処理量の分布を検出する検出部70を設けることもできる。
検出部70は、例えば、ロードロック室31の天井に設けられ、基板Wの表面の高さレベルを検出するものとすることができる。なお、ロードロック室31の天井、側面、支持板33a1の底面に検出窓を設け、検出窓の外側に検出部70を設けてもよい。また、ロードロック室31外の環境(例えば処理容器51や移載部42)に検出部70を設けるようにしてもよい。検出部70は、例えば、干渉計などとすることができる。
この場合、基板Wを回転方向に移動させながら基板Wの表面の位置を検出することで処理量の分布を検出することができる。この際、基板Wの表面に平行な方向に検出部70を移動させるようにしてもよい。この様にすれば、基板Wの全域における処理量の分布を検出することができる。
【0068】
または、基板Wを固定し、基板Wの一点または複数の点に光を照射して干渉光の強度を検知することで、処理量を測定することができる。
または、基板Wの表面に針を接触させたまま走査させて処理量の分布を測定することができる。
この様にすれば、基板Wの全域における処理量の分布を検出することができる。
【0069】
また、回転方向における位置を移動させた後の基板Wは、回転移動前に処理されていた処理容器51と同じ処理容器51に搬入することができる。この様にすれば、回転移動前に処理されていた処理容器51と同じ環境下において、回転移動後の処理を行うことができる。
【0070】
また、基板Wの温度に応じて処理量は変化する。例えば、基板Wが高温であれば、処理量は大きくなり、基板Wが低温であれば、処理量は小さくなる。そのため基板Wの温度は、回転移動前の処理開始時と、回転移動後の処理開始時とで同程度であることが好ましい。回転移動後の基板Wは、処理容器51の外へ搬出した際に温度が下がっている。そのため、回転移動後の基板Wが処理容器51に戻ってきた際には、処理容器51内の図示しない温調手段により基板Wの温度を上昇させた後、プラズマを着火(発生)させるようにすることが好ましい。
【0071】
また、一枚の基板Wの処理の途中において、プラズマの着火と消火(停止)を複数回行うので、処理容器51内において、プラズマの着火と消火に起因するパーティクルが発生する可能性がある。
ここで、処理部50が誘導結合プラズマ処理装置である場合には、ソース電圧(高周波発生部54aの電圧)を段階的に下げてからソース電圧とバイアス電圧(高周波発生部54bの電圧)を同時にOFFすることでプラズマを消火したり(ランプダウン)、ソース電圧を段階的にあげてからバイアス電圧をONすることでプラズマを着火したり(ランプアップ)することで、パーティクルの発生を抑制することができる。
すなわち、処理部50が誘導結合プラズマ処理装置である場合には、ランプダウン、ランプアップを処理の中断後に行うことができる。そのため、プラズマの着火と消火に起因するパーティクルの発生を抑制することができる。
【0072】
次に、ロードロック室31の内部への気体の供給についてさらに説明する。
一般的に、ロードロック室31の内部における圧力P1と、減圧部34aにおける圧力P2との差圧ΔPが時間Tの経過とともに変化すると、排気系のコンダクタンスCも差圧ΔPの変化に応じて変化する。しかしながら、ロードロック部30にはコンダクタンス制御部34a2が設けられている。そのため、コンダクタンス制御部34a2により排気系のコンダクタンスCを任意に変化させることができる。
【0073】
そこで、排気量Qが一定となるように、排気系のコンダクタンスCをコンダクタンス制御部34a2により制御するようにする。
排気量Qが一定となるようにするためには、時間Tの経過とともに排気系のコンダクタンスCを大きくすればよい。
【0074】
排気量Qが一定となるようにすれば、ロードロック室31の内部における圧力P1は急激に変化することがなく、圧力P1を徐々に変化させることができる。
ロードロック室31の内部における圧力P1を徐々に変化させることができれば、ロードロック室31の内部にあるパーティクルが舞い上がり難くなるのでパーティクルが基板Wに付着し難くなる。
また、ロードロック室31の内部における圧力P1を徐々に変化させることができれば、排気に要する時間を短縮することができる。
この場合、制御部34a4は、検出部34a3から送られてきた電気信号に基づいて、ロードロック室31の内部における圧力P1が減少するようにコンダクタンス制御部34a2を制御すればよい。その様にすれば、コンダクタンス制御部34a2は、ロードロック室31の内部にある気体を排気する際に、排気量Qが一定となるように排気系のコンダクタンスCを制御することになる。
なお、図示しない検出装置を用いて排気量Qを検出する場合には、制御部34a4は、図示しない検出装置の出力に基づいて。排気量Qが一定となるようにコンダクタンス制御部34a2を制御するようにすればよい。
【0075】
また、以下の様な排気を行うことで、パーティクルが舞い上がることを抑制することもできる。
コンダクタンスの低い排気系と、コンダクタンスの高い排気系を設けて、圧力P11から圧力P12までの間はコンダクタンスの低い排気系を用いたスロー排気を行う。そして、圧力がP12となった際に、コンダクタンスの高い排気系に切り換えて全開排気を行うようにする。
なお、圧力P11は、排気開始の際の圧力(例えば、大気圧)である。圧力P12は、スロー排気から全開排気に切り換えを行う際の圧力である。
【0076】
この様にすれば、圧力変化を緩やかにすることができるのでロードロック室31の内部にあるパーティクルが舞い上がることを抑制することができる。
【0077】
ところが、スロー排気を行えば所定の圧力に到達するまでの時間が長くなる。また、スロー排気を行えば排気のために必要となる電力量が増加する。
これに対して、前述した排気を行えば、所定の圧力に到達するまでの時間を短縮したり、排気のために必要となる電力量を少なくしたりすることができる。
【0078】
以上、実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
例えば、基板処理装置1で処理される基板Wの平面形状は、四角形としたが、これに限定されるものではない。基板Wの平面形状は、円形や多角形などの他の形状であってもよい。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0079】
1 基板処理装置、10 集積部、20 搬送部、22 移載部、30 ロードロック部、31 ロードロック室、33 載置部、33a 支持部、33a1 支持板、33a2 支持体、33c 回転軸、33d 駆動部、34 圧力制御部、34a 減圧部、34a1 排気部、34a2 コンダクタンス制御部、34a3 検出部、34b ガス供給部、34b1 供給部、34b2 コンダクタンス制御部、40 受け渡し部、42 移載部、50 処理部、51 処理容器、60 制御部、70 検出部、W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9