(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記切替部より前記検出部側で、前記検出部と前記一対の端子のうち一方の端子とを接続する第1経路と、前記検出部と前記一対の端子のうち他方の端子とを接続する第2経路との少なくとも一方の経路上に第1抵抗が設けられ、
前記切替部より前記信号供給部側で、前記信号供給部と前記一対の端子のうち一方の端子とを接続する第3経路と、前記信号供給部と前記一対の端子のうち他方の端子とを接続する第4経路と、を接続する第2抵抗が設けられ、
前記第1抵抗の第1抵抗値は、前記第2抵抗の第2抵抗値以下である、請求項1に記載の制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用、結果、および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や、派生的な効果のうち、少なくとも一つを得ることが可能である。
【0010】
図1は、実施形態にかかる制御装置を適用可能な、制御信号の供給および受電を許容する電子機器の一例としての超指向性スピーカ10を含む、超指向性スピーカシステム100の構成を示す例示的かつ模式的な説明図である。超指向性スピーカシステム100は、超指向性スピーカ10および当該超指向性スピーカ10の姿勢を調整する駆動部12で構成されるスピーカモジュール14が、コントロールボックス16を介して接続されたホスト装置18によりコントロールされる。超指向性スピーカ10および駆動部12からなるスピーカモジュール14のそれぞれは、店舗のバックヤードBYに設置されたコントロールボックス16にLANケーブル20を介して接続される。
【0011】
図1の場合、超指向性スピーカシステム100を、例えば、店舗等における防犯等に利用する例を示す。超指向性スピーカシステム100は、例えば、店舗内STにおいて、不審な挙動を示す人物(以下、対象者PTという)を監視カメラ等で発見した場合、超指向性スピーカ10を用いて、対象者PTが存在する領域Rのみに向けて可聴音を流す。すなわち、他の来店者(以下、非対象者NPT)に気づかれることなく、いわゆる、「声かけ」等を行い、事前に万引き等の不正行為を防止するシステムである。なお、防犯等を目的とした「声かけ」としては、対象者PTに直接的に警告するような音声メッセージでもよいし、対象者PTに人目を気にさせるようなメッセージ、例えば、「いらっしゃいませ、何かお探しですか」等でもよい。
【0012】
超指向性スピーカ10は、例えば、駆動部12によって支持されて、店舗内STの例えば天井面に設置されている。駆動部12は、例えば、モータ、減速機等で構成され、超指向性スピーカ10の超音波放射面(
図1の場合、超指向性スピーカ10の下面)の向きを水平方向(パン)と垂直方向(チルト)の少なくとも一方に変化させる。パンとチルトを複合させることにより、超指向性スピーカ10の超音波放射面を、ほぼ360°(全方位)に向けることができる。例えば、店舗内STに、商品陳列棚で仕切られた複数の通路が存在す場合、通路ごとに超指向性スピーカ10と駆動部12とで構成されるスピーカモジュール14配置する。そして、駆動部12の駆動により、通路の一方の端から他方の端まで、および通路を構成する左側棚の方向から右側棚の方向まで、超指向性スピーカ10の超音波放射面を向けることができる。なお、
図1の例では、スピーカモジュール14を4セット示しているが、スピーカモジュール14の数は、適宜選択可能である。
【0013】
コントロールボックス16は、変調部、搬送波生成部、増幅部等を備える。変調部、搬送波生成部、増幅部等は、例えば、アンプ基板上に実装される。増幅部は、超指向性スピーカ10の超音波発生部を構成する複数の超音波スピーカセルごとに設けられている。増幅部は、例えば超音波帯域の増幅特性が良好なオペアンプ等を用いて構成されている。搬送波生成部は、所定の周波数の超音波から成る搬送波を生成し、変調部に出力する。搬送波生成部は、例えば水晶振動子等を用いた高周波発振器を含んで構成されている。変調部は、ホスト装置18から入力された可聴音の信号波によって、搬送波生成部から入力された搬送波を拡幅変調し、変調波を生成する。そして、この変調波は、増幅部によって増幅された状態で、超音波スピーカセルから放射される。超音波スピーカセルから放射された変調波は、空気中を伝播する過程で空気の非線形性により歪を生じるため、この歪によって可聴音である信号波が自己復調し、指向性の高い音場が形成されるようになっている。
【0014】
図2は、ホスト装置18の構成を示す例示的かつ模式的なブロック図である。ホスト装置18は、例えば、マザーボード(M/B)及びドーターボードのような種々の回路基板18aが設けられ、この回路基板18aに中央演算処理装置(CPU)18b、リードオンリーメモリ(ROM)18c、ランダムアクセスメモリ(RAM)18d、ネットワークインターフェース18e等を備えている。この他、ホスト装置18は、ハードディスクドライブ(HDD)またはソリッドステートドライブ(SSD)のような記録装置18f、電源ユニット18g等を備える。ホスト装置18は、一般的なPC(personal computer)であってもよい。ホスト装置18は、超指向性スピーカシステム100の全体制御を司る。ホスト装置18は、超指向性スピーカ10から出力する可聴音の音声データをコントロールボックス16に提供する。音声データは、予め録音されたものでもよいし、合成音声データでもよい。また、マイク等を用いて入力した、超指向性スピーカシステム100の利用者(監視員等)の入力音声データでもよい。
【0015】
また、ホスト装置18は、駆動部12の駆動状態、すなわち超指向性スピーカ10の姿勢を制御するための姿勢制御信号を生成して、コントロールボックス16に供給する。例えば、ホスト装置18に接続されたマウスやジョイスティック等の入力デバイスを用いて利用者(監視員等)が姿勢制御信号を生成してもよい。また、別の実施形態では、ホスト装置18は、監視カメラの監視結果に基づき、所定の条件を満たす不審な行動を伴う対象者PTを検知した場合に、自動的に、その対象者PTに超指向性スピーカ10を向けるような姿勢制御信号を生成してもよい。なお、コントロールボックス16とホスト装置18は一体的に構成されてもよい。この場合、制御部と称してもよい。また、コントロールボックス16やホスト装置18は、機能別にさらに複数の装置に分割されてもよい。
【0016】
本実施形態における制御装置は、例えばコントロールボックス16に収納される。前述したように、制御装置は、例えば、超指向性スピーカ10から可聴音を放射するための超音波制御信号の伝達や、超指向性スピーカ10の超音波放射面の向き(姿勢)を調整する駆動部12の駆動制御信号等の伝達を、LANケーブル20を介して行う。また、制御装置は、超指向性スピーカ10や駆動部12に電力を供給する場合、超音波制御信号や駆動制御信号等を伝達するLANケーブル20の一部のケーブル(信号線)を用いて実行する。
【0017】
したがって、受電を許容しない電子機器がLANケーブル20の終端に接続されている場合に、電力供給を行ってしまうと、その電子機器を破損してしまう虞がある。そこで、本実施形態の制御装置は、LANケーブル20の他端側(終端側)に接続されている電子機器が、受電を許容する電子機器であるか否かの確認を電力供給前に行う。そして、LANケーブル20に接続された電子機器が、受電を許容する電子機器であると見なすことができる場合、例えば、駆動部12である場合に、LANケーブル20を介して駆動部12を制御するための制御信号および電力供給を開始する。
【0018】
コントロールボックス16には、本実施形態の制御装置として、スピーカモジュール14(超指向性スピーカ10や駆動部12)に所定の電力を供給したり、所定の制御信号(シリアル信号)を提供したりするためのコントロール基板16Aが収納されている。
【0019】
コントロール基板16Aには、
図3に示されるように、外部インターファースとして、コネクタ24、USB(Universal Serial Bus)ポート26、DCINコネクタ28等が実装されている。
【0020】
コネクタ24は、スピーカモジュール14とコントロールボックス16とを接続するLANケーブル20の一端側のプラグが接続される。
図3の場合、
図1のスピーカモジュール14の数に対応して4個配置されている。
図3の場合、コネクタ24は、コントロール基板16Aの長手方向に一辺に配列されている。なお、本実施形態は、一例として4個のコネクタ24を設けた場合について説明するが、4個に制限するものではなく、5個以上、または3個以下であっても良い。
【0021】
前述したように、本実施形態の制御装置(コントロール基板16A)とスピーカモジュール14(超指向性スピーカ10、駆動部12)との接続には、LANケーブル20を利用する。つまり、コネクタ24は、GbE(ギガビットイーサネット)と共通のコネクタ(例えば、RJ−45)を利用する。ただし、コントロール基板16Aは、LANケーブル20に接続された電子機器(例えばスピーカモジュール14)に対する制御信号の送受や電力供給を実現する必要がある。そのため、コネクタ24が備える複数の端子(例えば、8本)の用途が、GbE用の機器(受電を許容しない電子機器)が接続される場合と異なる。
【0022】
例えば、
図4は、本実施形態のコネクタ24の端子番号と接続されるケーブルの対応を示す例示的かつ模式的な図である。
図4は、コネクタ24としてRJ−45規格のコネクタ形状を用いた例とする。そして、コネクタ24の端子番号「1」、「2」は、超指向性スピーカ10に提供するアナログオーディオ(+、−)信号(指向性アンプ出力)用として割り当てられる。また、端子番号「3」、「6」は、シリアル(RS485)信号用として割り当てられる。端子番号「4」、「5」は、LANケーブル20の他端側に何らかの電子機器が接続された場合の検出信号用(DETECT、GND)として割り当てられる。また、端子番号「7」、「8」は、LANケーブル20の他端側に受電を許容する電子機器、例えば駆動部12)が接続されている場合に、電力を供給するために用いる電力線用(24V、GND)が割り当てられている。なお、コネクタ24において、端子番号「9」、「超指向性スピーカ10」は、シールド用の端子である。
【0023】
USBポート26(例えば、TYPE−C)は、USBケーブルを介して例えば、ホスト装置18と接続され、コントロール基板16AをUSBデバイスとして動作させる。なお、コントロール基板16Aは、VBUSの受電をトリガーに内部電源が入るように構成されている。
【0024】
DCINコネクタ28には、外部電源に接続される電源コード22(
図1参照)のプラグが挿入され、外部電源が供給される。
【0025】
また、コントロール基板16Aには、昇圧用の電源IC30、降圧用の電源IC32等が実装されている。電源IC30は、DCINコネクタ28を介して供給された19Vを昇圧して例えば24Vを生成して、コネクタ24を介してLANケーブル20の他端側に接続された、受電を許容する電子機器(例えば駆動部12)に駆動電力として供給する。また、電源IC30によって昇圧された24Vは、アンプ基板にも供給され、超指向性スピーカ10に対する制御信号の生成に利用する。また、電源IC32は、DCINコネクタ28を介して供給される19Vを降圧して、例えば、3.3Vや5Vを生成して、内部デバイスや制御回路に供給する。
【0026】
図5は、実施形態にかかるコントロール基板16A(制御装置)の構成を示す例示的かつ模式的なブロック図である。なお、
図5は、LANケーブル20の他端側に、コネクタ24B(電子機器側のコネクタ24)を備えた、受電を許容する電子機器M1(例えば、駆動部12)が接続されている例である。
【0027】
コントロール基板16Aには、検出部40、信号供給部42、切替部44、コネクタ24A(コントロール基板16A側のコネクタ24)、USBポート26、電源IC30、GPIO(General-purpose input/output)48等が実装されている。
【0028】
検出部40は、コネクタ24Aの複数の端子のうち一対の端子を介してLANケーブル20の他端側に接続されている電子機器に対して所定の電圧の電流を流して、当該電流が流れる場合の電流値に基づいて出力される信号を検出し出力する。この場合、検出部40は、
図4における、例えば端子番号「3」と端子番号「6」に対して、所定電圧、例えば5Vの電圧(電子機器の検出用電圧)の電流を流し、電流が流れた場合に、LANケーブル20の他端側に接続されている電子機器の構成に応じて流れる電流値に基づいて出力される信号を検出し出力する。検出部40の詳細に関しては、後述する。
【0029】
信号供給部42は、検出部40が検出用電圧を供給した一対の端子と同じ端子(例えば、端子番号「3」と端子番号「6」)を用いて、LANケーブル20の他端側に接続されている電子機器(例えば、駆動部12)に対して制御信号を供給する。
【0030】
切替部44は、例えばマルチプレクサであり、後述するGPIO48を介してホスト装置18から入力される判定信号に基づいて、一対の端子(端子番号「3」と端子番号「6」)の接続先を、検出部40及び信号供給部42のうちいずれか一つに切り替える。例えば、切替部44は、検出部40で検出された信号が、LANケーブル20の他端側に所定の電子機器(例えば駆動部12)が接続されているものとして定められた所定の値であることを示した判定信号が入力された場合に、一対の端子(端子番号「3」と端子番号「6」)の接続先を検出部40から信号供給部42に切り替える。なお、本実施形態では、ホスト装置18が、LANケーブル20の他端側に所定の電子機器(例えば駆動部12)が接続されているか否かを判定する例とするが、当該判定をホスト装置18が行う手法に制限するものではない。
【0031】
電子機器(例えば駆動部12)に対する電力供給部として機能する電源IC30は、検出部40で検出された信号が、所定の値である場合に、コネクタ24の他の一対の端子(例えば、端子番号「7」と端子番号「8」)を介してLANケーブル20の他端側に接続されている電子機器に電力(例えば、24V)の供給を開始する。
【0032】
GPIO48は、例えば、検出部40から入力される信号値をUSBポート26に接続されたUSBケーブル26aを介してホスト装置18に供給する。ホスト装置18では、供給された信号値が、LANケーブル20の他端側に所定の電子機器(例えば駆動部12)が接続されているものとして定められた所定の値であるか否かの判定を行う。ホスト装置18は、所定の値であると判定した場合、USBケーブル26a、USBポート26を介して判定結果を示す判定信号をGPIO48に提供する。GPIO48は、判定信号、すなわち、LANケーブル20の他端側に所定の電子機器(例えば駆動部12)が接続されていることを示す判定信号を切替部44に提供する。その結果、切替部44は、一対の端子(端子番号「3」と端子番号「6」)の接続先を検出部40から信号供給部42に切り替える。また、GPIO48は、電源IC30にも判定信号を提供する。この場合、判定信号は、コネクタ24Aの一対の端子(端子番号「7」と端子番号「8」)に対して電力供給を介しする電源ON制御信号となる。
【0033】
図6は、コントロール基板16Aに接続されたLANケーブル20の他端側に所定の電子機器として、受電を許容する電子機器M1(例えば、駆動部12)が接続されている場合の検出部40による信号の検出および出力例を説明する説明図である。一方、
図7は、コントロール基板16Aに接続されたLANケーブル20の他端側に所定の電子機器として、受電を許容しない電子機器M2(例えば、LAN通信機器)が接続されている場合の検出部40による信号の検出および出力例を説明する説明図である。
【0034】
図6(
図7)に示されるように、検出部40には、電源IC32から電子機器検出用の電圧VCC(例えば、5V)が供給される。この場合、切替部44より検出部40側で、検出部40とコネクタ24Aの一対の端子(例えば端子番号「3」と端子番号「6」)のうち一方の端子(例えば、端子番号「3」)とを接続する第1経路40aと、他方の端子(例えば、端子番号「6」)とを接続する第2経路40bと、の少なくとも一方の経路上に第1抵抗50が設けられている。
図6(
図7)の場合、第1経路40aおよび第2経路40bの両方に第1抵抗50が配置されているが、いずれか一方でもよい。第1抵抗50は、例えば、検出部40に流れる電流の制限を行う制限抵抗である。また、
図6(
図7)の場合、検出部40は、第2経路40b上に電流センスアンプ52とシャント抵抗54とが並列に配置され、電子機器検出用の電圧VCCが印加された場合にシャント抵抗54に流れる電流値を電流センスアンプ52で検出(監視)している。電流センスアンプ52は、シャント抵抗54を流れる電流値に基づく信号を電圧信号ENとして出力する。検出された電圧信号ENは、
図5に示すように、GPIO48、USBポート26、USBケーブル26aを介してホスト装置18に提供される。
【0035】
また、信号供給部42は、シリアル送受信を行うためのトランシーバ58、例えば、RS485トランシーバを備える。そして、切替部44より信号供給部42側で、信号供給部42とコネクタ24Aの一対の端子(例えば端子番号「3」と端子番号「6」)のうち一方の端子(例えば、端子番号「3」)とを接続する第3経路42aと、他方の端子(例えば、端子番号「6」)とを接続する第4経路42bと、を接続する第2抵抗60が設けられている。なお、第2抵抗60は終端抵抗である。本実施形態において、第1抵抗50および第2抵抗60は、それぞれ、例えば100Ωである。
【0036】
このように構成されるコントロール基板16Aに接続されたLANケーブル20の他端側に、
図6に示されるように、所定の電子機器として、受電を許容する電子機器M1(例えば、駆動部12)が接続されている場合を考える。この場合、電子機器M1は、一般的に、シリアル送受信を行うためのトランシーバ62および終端抵抗64を備える。
【0037】
従って、切替部44によりコネクタ24Aの一対の端子(端子番号「3」と端子番号「6」)に検出部40が接続されている場合、LANケーブル20を介して形成される回路における負荷は、検出部40側の第1抵抗50による200Ω(2つの第1抵抗50による100Ω+100Ω)と、電子機器M1側の終端抵抗64による100Ωとなる。つまり、検出部40に検出用電圧として電圧VCCが印加された場合、シャント抵抗54には、回路全体の負荷300Ωで定まる電流が流れる。電流センスアンプ52は、シャント抵抗54の両端電圧を検出し、その電位差から電流を計測している。そして、電流センスアンプ52は、シャント抵抗54を流れる電流値が所定値以上の値である場合に、例えば、「H」を示す信号を電圧信号ENとして出力する。一方、電流センスアンプ52は、シャント抵抗54を流れる電流値が所定値未満の値である場合に、例えば、Hより低い「L」を示す信号を電圧信号ENとして出力する。
【0038】
次に、コントロール基板16Aに接続されたLANケーブル20の他端側に、
図7に示されるように、電子機器として、受電を許容しない電子機器M2(例えば、LAN通信機器)が接続されている場合を考える。この場合、電子機器M2は、一般的にはトランス66が設けられているため、コネクタ24Bの端子番号「3」と端子番号「6」との間は、トランス66のコイルを通してショート状態となる。
【0039】
従って、切替部44によりコネクタ24Aの一対の端子(端子番号「3」と端子番号「6」)に検出部40が接続されている場合、LANケーブル20を介して形成される回路における負荷は、検出部40側の第1抵抗50による200Ω(2つの第1抵抗50による100Ω+100Ω)のみとなる。つまり、検出部40に検出用電圧として電圧VCCが印加された場合、シャント抵抗54には、回路全体の負荷200Ωで定まる電流が流れる。電流センスアンプ52は、シャント抵抗54を流れる電流値に基づく信号を電圧信号ENとして出力する。
【0040】
なお、この場合、検出部40側の第1抵抗50の第1抵抗値は、信号供給部42側の第2抵抗60の第2抵抗値、つまり、終端抵抗の抵抗値以下になるように設定されている。第1抵抗50の第1抵抗値を第2抵抗60の第2抵抗値以下にしておくことにより、電流センスアンプ52は、LANケーブル20の他端側に終端抵抗64が存在するか否かを明確に示す電流値をシャント抵抗54を介して検出することができる。なお、上述の例では、第1抵抗50、第2抵抗60の抵抗値を100Ωとする例を示したが、第1抵抗50の第1抵抗値が第2抵抗60の第2抵抗値以下であれば、適宜変更可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0041】
このように、本実施形態の制御装置(コントロール基板16A)の検出部40は、コントロール基板16Aに接続されたLANケーブル20の他端側に接続された電子機器が、受電を許容する電子機器M1か受電を許容しない電子機器M2かで、異なる電圧信号ENを出力する。ホスト装置18は、電流センスアンプ52から取得した電圧信号ENに基づいて、LANケーブル20の他端側に接続された電子機器が、受電を許容する電子機器M1であることを確認した場合、切替部44を切り替える。つまり、ホスト装置18は、コネクタ24Aの一対の端子(端子番号「3」と端子番号「6」)の接続先を検出部40から信号供給部42に切り替えて、電子機器M1の制御すためのシリアル信号(超指向性スピーカ10や駆動部12の制御信号)の送受信を端子番号「3」と端子番号「6」を介して行うように制御する。また、ホスト装置18は、電子機器M1に対する電力供給部として機能する電源IC30に対して、コネクタ24の他の一対の端子(端子番号「7」と端子番号「8」)を介して電力供給を開始するように制御する。その結果、コントロール基板16Aは、LANケーブル20の他端側に、受電を許容する電子機器M1が接続されている場合のみに、給電を行うことができる。換言すれば、コントロール基板16Aは、LANケーブル20の他端側に、受電を許容しない電子機器M2が接続されている場合、給電を行わないようにすることができる。
【0042】
このように構成される制御装置(コントロール基板16A)における電力供給処理の手順を
図8に示す例示的なフローチャートを用いて説明する。
【0043】
ホスト装置18は、コネクタ24(コネクタ24A)の端子番号「4」、「5」を介して得られるDETECT信号(DET信号)が検出されるか否か監視している(S100)。つまり、ホスト装置18は、LANケーブル20の他端側に何らかの電子機器が接続されたか否か監視している。DET信号が検出されない場合(S100のNo)、LANケーブル20の他端側に電子機器は接続されていないと判定して、このフローを一旦終了する。
【0044】
S100において、ホスト装置18がDET信号を検出した場合(S100のYes)、ホスト装置18は、USBケーブル26a、USBポート26、GPIO48を介して切替部44に切替信号を送信し、コネクタ24Aの一対の端子(端子番号「3」と端子番号「6」)の接続先を検出部40に切り替える(S102)。そして、ホスト装置18は、電源IC32で降圧した例えば5Vの検出用電圧を検出部40に印加する(S104)。検出部40は、検出用電圧が印加されると、電流センスアンプ52によりシャント抵抗54を流れる電流値の測定を行い(S106)、測定した電流値に基づく信号である電圧信号ENをGPIO48を介してホスト装置18に提供する。
【0045】
ホスト装置18は、検出部40(電流センスアンプ52)から提供された電圧信号ENが、LANケーブル20に受電を許容する電子機器M1(例えば、駆動部12)が接続されている場合を示す所定の値であるか否か判定する(S108)。例えば、電子機器M1側に終端抵抗64が存在する回路の場合に、シャント抵抗54に流れる電流値が所定の電流値以上か否かを監視し、所定値以上の値である場合、例えば、「H」を示す信号を電圧信号ENとして出力する。一方、シャント抵抗54を流れる電流値が所定値未満の値である場合、「L」を示す信号を電圧信号ENとして出力する。ホスト装置18は、電圧信号ENが電子機器M1が接続されていることを示す所定の値であると判定した場合(S108のYes)、USBケーブル26a、USBポート26、GPIO48を介して、コネクタ24Aの一対の端子(端子番号「3」と端子番号「6」)の接続先を検出部40から信号供給部42に切り替える切替信号を出力する(S110)。また、ホスト装置18は、コネクタ24の他の一対の端子(端子番号「7」と端子番号「8」)を介してLANケーブル20の他端側に接続されている電子機器M1に電力供給を開始する電力制御信号を出力し(S112)、このフローを一旦終了する。
【0046】
なお、S108において、電圧信号ENが電子機器M1が接続されていることを示す所定の値ではない場合(S108のNo)、LANケーブル20の他端側には、受電を許容しない電子機器M2(例えば、LAN通信機器)が接続されていると判定し、S110、S112の処理をスキップして、このフローを一旦終了する。つまり、LANケーブル20の他端側に接続された電子機器M2には、電力を供給しない。その結果、LANケーブル20の他端側に受電を許容しない電子機器M2が間違えて接続されてしまった場合でも、電力を供給することなく、破損等の発生を確実に回避することができる。
【0047】
なお、店舗等にLANケーブル20を介して電子機器が一度設置されてしまえば、その後、LANケーブル20対して電子機器がつなぎ替えられることは、電子機器の交換時やメンテナンス時等の他は発生することは少ない。従って、検出用電圧を用いた検出部40によるシャント抵抗54の電流測定は、電子機器の設置時、交換時、メンテナンス時等の設定時に実施すればよい。
【0048】
このよいに、実施形態の制御装置(コントロール基板16A)は、コネクタ24(コネクタ24A)と、検出部40と、信号供給部42と、切替部44と、電力供給部としての電源IC30とを備える。コネクタ24は、LANケーブル20の一端側が接続可能で、複数の端子を備える。検出部40は、複数の端子のうち一対の端子を介してLANケーブル20の他端側に接続されている電子機器に対して所定の電圧の電流を流して、当該電流が流れる場合の電流値に基づいて出力される電圧信号ENを検出可能である。信号供給部42は、一対の端子を介してLANケーブル20の他端側に接続されている電子機器に対して制御信号を供給可能である。切替部44は、検出部40で検出された電圧信号ENが、LANケーブル20の他端側に所定の電子機器が接続されているものとして定められた所定の値である場合に、コネクタ24の一対の端子の接続先を検出部40から信号供給部42に切り替える。そして、電力供給部としての電源IC30は、検出部40で検出された電圧信号ENが、所定の値である場合に、コネクタ24の他の一対の端子を介してLANケーブル20の他端側に接続されている電子機器に電力供給を開始する。この構成によれば、電子機器側の構成を変更することなく、電力を供給してよい電子機器であることが検出可能となり、コントロール基板16Aや接続される電子機器の構成の煩雑化やコスト増加を回避しつつ、LANケーブル20を介して安全に電子機器に電力を供給することができる。
【0049】
また、実施形態の制御装置(コントロール基板16A)は、切替部44より検出部40側で、検出部40とコネクタ24の一対の端子のうち一方の端子とを接続する第1経路40aと、検出部40と一対の端子のうち他方の端子とを接続する第2経路40bとの少なくとも一方の経路上に第1抵抗50を設けている。また、切替部44より信号供給部42側で、信号供給部42と一対の端子のうち一方の端子とを接続する第3経路42aと、信号供給部42と一対の端子のうち他方の端子とを接続する第4経路42bと、を接続する第2抵抗60が設けている。そして、第1抵抗50の第1抵抗値は、第2抵抗60の第2抵抗値以下になるように設定されている。この構成によれば、検出部40の電流センスアンプ52は、LANケーブル20の他端側に第2抵抗60に対応する終端抵抗64が存在するか否かを明確に示す電流値をシャント抵抗54を介して検出し、電圧信号ENを高精度に出力することができる。その結果、受電を許容する電子機器M1がLANケーブル20に接続されているか否かの判定精度を向上することができる。
【0050】
なお、上述した実施形態では、LANケーブル20に接続される受電を許容する電子機器M1としてスピーカモジュール14(超指向性スピーカ10や駆動部12)である例を示したが、受電を許容する電子機器M1は、これに限定されず、LANケーブル20を介して受電が可能な電子機器であれば同様の効果を得ることができる。
【0051】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【課題】構成の煩雑化やコスト増加を回避しつつ、LANケーブルに接続された電子機器が受電を許容する電子機器であることを確認できて、LANケーブルを介した安全に電力を供給ができる制御装置を提供する。
【解決手段】制御装置は、LANケーブルの一端側が接続可能で、複数の端子を備えるコネクタと、複数の端子のうち一対の端子を介してLANケーブルの他端側に接続されている電子機器に対して所定の電圧の電流を流して、当該電流が流れる場合の電流値に基づいて出力される信号を検出可能な検出部と、一対の端子を介して接続されている電子機器に対して制御信号を供給可能な信号供給部と、検出部で検出された信号が、所定の値である場合に、一対の端子の接続先を検出部から信号供給部に切り替える切替部と、検出部で検出された信号が、所定の値である場合に、コネクタの他の一対の端子を介して電子機器に電力供給を開始する電力供給部と、を備える。