(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の特許文献1に記載の軌道走行車は、前後左右に車輪が設けられると共に、エンジン等の内燃機関も搭載された走行車本体に、乗員用の座椅子(シート)や、手すり、風防等が固定されているので、二、三人で運搬してレール上に設置する必要があり、運搬に手間がかかると共に、広い保管スペースが必要になるという問題があった。
【0005】
特に、上述の特許文献1に記載の軌道走行車は、エンジン等の内燃機関を搭載し、作業者が座椅子(シート)に座ってレール上を走行するバイク形式の軌道走行車で、重量が重く、また大きいため、一人で運搬することは到底不可能であった。
【0006】
そこで、本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、一人でも容易に運搬してレール上に設置して使用したり、レールから取外して容易に運搬できると共に、省スペースで保管することができる小型で軽量な軌道走行車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係る軌道走行車は、レール上を走行する軌道走行車であって、モーター等の駆動源の回転によってレール上を自走すると共に、運転者や作業者の手や腕、肩等が入る程度の大きさの開口部が設けられた軌道走行車本体と、前記開口部を塞ぐように前記軌道走行車本体に着脱可能に取り付けられ、運転者が乗る運転者乗車板と、前記軌道走行車本体または前記運転者乗車板に着脱可能に装着され、運転者が掴まる手すりとを有することを特徴とする。
また、本発明に係る軌道走行車は、運転者の好みに応じて前記手すりを当該軌道走行車の走行方向に対し前後または左右に設置できるよう、前記軌道走行車本体の前後左右に前記手すりを着脱可能に装着する手すり装着部が設けられていることも特徴とする。
また、本発明に係る軌道走行車は、前記運転者乗車板には、前記軌道走行車本体の手すり装着部に前記手すりが着脱可能に装着できるよう各手すり装着部に対応する箇所に手すり装着部露出孔が形成されていることも特徴とする。
また、本発明に係る軌道走行車は、前記軌道走行車本体の前側には、当該軌道走行車を前方に走行させるための前方走行用足踏み式スイッチが設けられている一方、前記軌道走行車本体の後側には、当該軌道走行車を後方に走行させるための後方走行用足踏み式スイッチが設けられており、レール上の当該軌道走行車は反転させず、当該軌道走行車上で運転者のみが体を前後に反転して前記前方走行用足踏み式スイッチまたは後方走行用足踏み式スイッチを操作することによって前方または後方に走行できることも特徴とする。
また、本発明に係る軌道走行車は、前記前方走行用足踏み式スイッチと前記後方走行用足踏み式スイッチとは、前記軌道走行車本体の対角線上に設けられていることも特徴とする。
また、本発明に係る軌道走行車は、前記駆動源は、ブレーキ付きのモーターであることも特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る軌道走行車では、モーター等の駆動源の回転によってレール上を自走すると共に、運転者や作業者の手や腕、肩等が入る程度の大きさの開口部が設けられた軌道走行車本体と、その開口部に着脱可能に取り付けられ、運転者が立った状態や座った状態等で乗る運転者乗車板と、軌道走行車本体または運転者乗車板に着脱可能に装着され、運転者が掴まる手すりとを有する。
そのため、本発明に係る軌道走行車によれば、軌道走行車をレールまで運搬する時や、レールから取外してトラックや保管場所等まで運搬する場合には、軌道走行車本体と、運転者乗車板と、手すりとに分解することが可能であるので、一人でも容易に運搬してレール上に設置して使用したり、レールから取外して容易に運搬できると共に、省スペースで保管することができる。
特に、軌道走行車本体、運転者乗車板、手すりの内で、最も重量が重い軌道走行車本体には、運転者の手や腕、肩等が入る大きさの開口部が設けられているため、搬送時に軌道走行車本体から運転者乗車板や手すりを取外し、例えば、開口部に腕や肩等を入れて軌道走行車本体を担ぐと共に、手で運転者乗車板や手すりを持つ等して一人で運搬することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態の軌道走行車について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。尚、下記に説明する実施形態は、あくまで本発明の一例であり、本発明は下記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で適宜変更可能である。
【0011】
<実施形態の軌道走行車1の構成>
実施形態の軌道走行車1は、
図1〜
図3に示すように、モーター等の駆動源の回転によってレール上を走行可能なもので、運転者が乗る中央部分には運転者の手や腕、肩等が入る程度の大きさの開口部11αが設けられた軌道走行車本体11と、本体フレーム11aの開口部11αに着脱可能に取り付けられ、運転者が乗る運転者乗車板12と、軌道走行車本体11または運転者乗車板12に着脱可能に装着され、運転者が掴まる2個の手すり13,13等を備える。
【0012】
つまり、実施形態の軌道走行車1は、軌道走行車本体11と、運転者乗車板12と、2個の手すり13,13とがそれぞれ着脱可能であり、レール上を走行していない場合は、軌道走行車本体11と、運転者乗車板12と、2個の手すり13,13とに分解して搬送できると共に、保管できるように構成されている。
【0013】
<軌道走行車本体11>
軌道走行車本体11は、
図4に示すように開口部11αが形成された本体フレーム11aと、本体フレーム11aの例えば前側(
図4上、下側)に設けられた駆動部11bと、本体フレーム11aの例えば後側(
図4上、上側)に設けられた従動部11cとを有する。なお、駆動部11bが本体フレーム11aの後側に設けられる一方、従動部11cが本体フレーム11aの前側に設けられていても勿論良い。
【0014】
(本体フレーム11a)
本体フレーム11aは、アルミやステンレス、鉄等の金属製の丸パイプまたは角パイプ、アングル材、中実材等からなり、
図4等に示すように、レールの長手方向の左右両側に設けられる縦フレーム11a1,11a1と、その縦フレーム11a1,11a1の前端部に溶接等して設けられ、駆動部11bを支持するU字形状の駆動部支持フレーム11a2と、その縦フレーム11a1,11a1の後端部に溶接等して設けられ、従動部11cを支持するU字形状の従動部支持フレーム11a3とを有して構成されている。
【0015】
そして、本体フレーム11aの開口部11αは、縦フレーム11a1,11a1と、駆動部支持フレーム11a2および従動部支持フレーム11a3の直線部分とで囲まれて長方形状で、かつ、運転者の手や腕、肩等が入る程度、例えば、80cm×100cm程度の大きさに形成されている。
【0016】
そして、本体フレーム11aの開口部11α側であって、
図4上、開口部11αの左下角部には軌道走行車1を前方(
図4上、下方)へ走行させるための前方走行用足踏み式スイッチ11a4が設けられている一方、前方走行用足踏み式スイッチ11a4とは開口部11αの対角線上となる
図4上、開口部11αの右上角部には、軌道走行車1を後方(
図4上、上方)へ走行させるための後方走行用足踏み式スイッチ11a5が設けられている。
【0017】
前方走行用足踏み式スイッチ11a4および後方走行用足踏み式スイッチ11a5は、周知のもので、運転者が足等で踏むとオンしてバッテリ11b7からモーター11b6に駆動電流が流れてモーター11b6を正回転または逆回転させ、軌道走行車1を前方または後方へ走行させる一方、運転者が足等を離すとオフしてバッテリ11b7からモーター11b6への電流供給が遮断するように構成されている。
【0018】
また、
図4に示すように、本体フレーム11aの前後両側である駆動部支持フレーム11a2および従動部支持フレーム11a3の外側には、それぞれ手すり13の縦棒部13b,13bの基部が挿入される底有りで円筒形状の前後方向手すり装着部11a6,11a6が設けられている一方、本体フレーム11aの左右両側の縦フレーム11a1,11a1の外側には、それぞれ手すり13の縦棒部13b,13bの基部が挿入される底有りで円筒形状の左右方向手すり装着部11a7,11a7が設けられている。
【0019】
そのため、開口部11α外側の前後両側の前後方向手すり装着部11a6,11a6および左右両側の左右方向手すり装着部11a7,11a7は、同じ手すり13の縦棒部13b,13bの基部が挿入されるため、縦棒部13b,13b間の間隔と同じ、例えば、およそ80cm程度にする。
【0020】
(駆動部11b)
駆動部11bは、本体フレーム11aの例えば前側(
図4上、下側)に設けられもので、左右両側に前輪11b2,11b2が設けられている共に、左右両側の前輪11b2,11b2の内、例えば、
図4上、右側の前輪11b2近傍にはスプロケット11b3が設けられ、駆動部支持フレーム11a2にベアリング付き軸受部11b4等を介して回転可能に支持された前輪シャフト11b1と、前輪シャフト11b1に設けられたスプロケット11b3をチェーン11b5等によって回転させるモーター11b6と、そのモーター11b6へ駆動電流を供給するバッテリ11b7等を備えて構成される。
【0021】
モーター11b6は、前方走行用足踏み式スイッチ11a4が足等で踏まれてオンするとバッテリ11b7から駆動電流が供給されて正回転して、前輪11b2,11b2を正回転させ、軌道走行車1を前方へ走行させる一方、後方走行用足踏み式スイッチ11a5が足等で踏まれてオンするとバッテリ11b7から逆方向の駆動電流が供給されて逆回転し、前輪11b2,11b2を逆回転させ、軌道走行車1を後方へ走行させるように構成されている。
【0022】
また、モーター11b6は、いわゆる電磁ブレーキ等の周知のブレーキ付きのモーターである。
【0023】
そのため、前方走行用足踏み式スイッチ11a4および後方走行用足踏み式スイッチ11a5から足を離してオフにすれば、モーター11b6は、バッテリ11b7から駆動電流が供給されず、ブレーキが作用して、軌道走行車1を停止、つまり軌道走行車1の逸走を防止するので、軌道走行車1の運転を簡単にできると共に、ブレーキシュー等を使用した機械的なブレーキ装備が不要になるので、構造も簡単になり、軽量化および製造コストの低減化を図ることができる。
【0024】
バッテリ11b7は、いわゆるアシスト付き自転車や電動工具等にも使用されている着脱式のリチウムイオンバッテリ等であり、取外して図示しない充電器で充電できるように構成されている。また、軌道走行車本体11には、スペアのバッテリ11b7を搭載できるように構成されていると良い。
【0025】
(従動部11c)
従動部11cは、本体フレーム11cの例えば後側(
図4上、上側)に設けられるもので、左右両側に後輪11c2,11c2が設けられ、駆動部支持フレーム11a2にベアリング付き軸受部11c4等を介して回転可能に支持された後輪シャフト11c1等で構成される。
【0026】
<運転者乗車板12>
運転者乗車板12は、
図5(a),(b)に示すように、本体フレーム11aの開口部11αを塞ぐように本体フレーム11aの上に着脱可能に取り付けられて運転者が乗る厚さ3mm程度の鋼板で構成されており、
図2等に示すように開口部11αを覆うものの、駆動部11bや従動部11cの上方まで覆わない程度の大きさの8角形に形成されている。
【0027】
そして、運転者乗車板12が開口部11αを塞ぐように本体フレーム11aの上に装着された際、前方走行用足踏み式スイッチ11a4および後方走行用足踏み式スイッチ11a5が露出するよう、運転者乗車板12における前方走行用足踏み式スイッチ11a4および後方走行用足踏み式スイッチ11a5の対応する箇所には、それぞれ、足踏み式スイッチ露出孔12b,12aが設けられている。
【0028】
そのため、この軌道走行車1の運転者は、本体フレーム11aの開口部11αを塞ぐように運転者乗車板12を本体フレーム11aの上に載せた後でも、足踏み式スイッチ露出孔12b,12aから露出した前方走行用足踏み式スイッチ11a4および後方走行用足踏み式スイッチ11a5を足で踏んで、前方に走行したり、後方に走行することができる。
【0029】
また、運転者乗車板12には、
図5(a),(b)に示すように、開口部11αを塞ぐように運転者乗車板12が本体フレーム11aの上に装着された際、駆動部支持フレーム11a2および従動部支持フレーム11a3の外側に設けられた前後方向手すり装着部11a6,11a6が露出するよう、本体フレーム11a前後両側の前後方向手すり装着部11a6,11a6の対応する箇所に、それぞれ、前後方向手すり装着部露出孔12c,12cが形成されている一方、本体フレーム11aの左右両側の縦フレーム11a1,11a1の外側に設けられた左右方向手すり装着部11a7,11a7が露出するよう、本体フレーム11a左右両側の左右方向手すり装着部11a7,11a7の対応する箇所に、それぞれ、左右方向手すり装着部露出孔12d,12dが形成されている。
【0030】
そのため、この軌道走行車1の運転者は、本体フレーム11aの開口部11αを塞ぐように運転者乗車板12を本体フレーム11aの上に載せた後でも、自分の好みに応じて2本の手すり13を、当該軌道走行車1の走行方向に対し前後両側の前後方向手すり装着部11a6,11a6に装着したり、あるいは当該軌道走行車1の走行方向に対し左右両側の前後方向手すり装着部11a6,11a6に装着することができる。
【0031】
また、2本の手すり13を、運転者乗車板12の前後方向手すり装着部露出孔12c,12cまたは左右方向手すり装着部露出孔12d,12dを介して前後方向手すり装着部11a6,11a6または左右方向手すり装着部11a7,11a7に装着することにより、運転者が運転者乗車板12の上に乗って軌道走行車1を走行させた場合でも、運転者乗車板12が軌道走行車本体11の本体フレーム11aからズレ難くなるので、運転者は軌道走行車1で安全かつ確実に走行できることになる。
【0032】
特に、前後方向手すり装着部露出孔12c,12cおよび左右方向手すり装着部露出孔12d,12dの内径を、前後方向手すり装着部11a6,11a6および左右方向手すり装着部11a7,11a7の内径と同じにし、かつ、後述する手すり13の縦棒部13b,13bの基部の外径と同じにすると、本体フレーム11aに運転者乗車板12を載せて手すり13を装着した際、手すり13がガタつき難くなるとと共に、運転者乗車板12が本体フレーム11aからズレ難くすることができ、軌道走行車1でより安全かつ確実に走行することができる。
【0033】
尚、手すり13を1本のみ使用して、運転者乗車板12の前側、後側、左側、または右側のいすれか一方側にのみ手すり13を設けることも可能であるし、手すり13を3本や4本使用して運転者の好みの方向に手すり13を設けることも可能である。
【0034】
<手すり13>
2本の手すり13は、
図6(a)〜(c)に示すように、水平方向に延びる横棒部13aの両側に鉛直方向に延びる縦棒部13b,13bが設けられたコ字形状に形成されており、本体フレーム11aの前後左右に縦棒部13b,13b間の間隔である約80cm程度の間隔で設けられた前後方向手すり装着部11a6,11a6および左右方向手すり装着部11a7,11a7に着脱自在に装着されるように構成されている。尚、縦棒部13b,13bの基部(下部)側面および前後方向手すり装着部11a6,11a6および左右方向手すり装着部11a7,11a7側面には、ピン孔(図示せず。)等が設けられていて、ピン(図示せず。)等によって抜け止めできるように構成されていても良い。
【0035】
<実施形態1の軌道走行車1の特徴や動作>
次に、以上のように構成された実施形態1の軌道走行車1の特徴や動作について説明する。
【0036】
(実施形態1の軌道走行車1を担いで運搬する場合)
まず、トラック等で搬送してきた軌道走行車1をレールRまで搬送する場合、実施形態1の軌道走行車1は、
図3に示すような軌道走行車本体11と、
図4に示す運転者乗車板12と、
図5に示す2本の手すり13,13とに分解して搬送することができるので、一人でも容易に運搬してレールRまで搬送することができる。
【0037】
特に、実施形態の軌道走行車本体11、運転者乗車板12、手すり13の内で、最も重量が重い軌道走行車本体11には、
図4等に示すように、本体フレーム11aには、運転者や作業者の手や、腕、肩等が入る程度の開口部11αが設けられているため、軌道走行車本体11から運転者乗車板12および2本の手すり13を取外し、例えば、開口部11αに腕や肩等を入れて軌道走行車本体11を担ぐと共に、手で運転者乗車板12や2本の手すり13,13を持つ等して一人で運搬することができる。
【0038】
尚、トラック等へ積み込む前の保管時や、トラック等での搬送時にも、実施形態1の軌道走行車1は、
図3に示すような軌道走行車本体11と、
図4に示す運転者乗車板12と、
図5に示す2本の手すり13,13とに分解した状態で保管や搬送できるので、省スペースで保管および搬送することができる。
【0039】
(実施形態1の軌道走行車1を組み立てる場合)
(1)実施形態1の軌道走行車1を組み立て
分解状態の軌道走行車1を組み立てる場合、まず軌道走行車本体11の本体フレーム11aの上に運転者乗車板12を載せる。尚、必要ある場合は、予め軌道走行車本体11の前輪11b2,11b2および後輪11c2,11c2をレールR,Rの上に載せてから運転者乗車板12を載せる。
【0040】
その際、運転者乗車板12には、前方走行用足踏み式スイッチ11a4および後方走行用足踏み式スイッチ11a5の対応する箇所に、それぞれ、足踏み式スイッチ露出孔12b,12aが形成されていると共に、本体フレーム11a前後両側の前後方向手すり装着部11a6,11a6と本体フレーム11a左右両側の左右方向手すり装着部11a7,11a7の対応する箇所に、それぞれ、前後方向手すり装着部露出孔12c,12c、12d,12dが形成されている。
【0041】
そのため、本体フレーム11aと運転者乗車板12のこれらの孔の位置を合わせながら運転者乗車板12を本体フレーム11aの上に確実に載せて装着することができる。
【0042】
(2)2本の手すり13を軌道走行車本体11の前後両側に設けて走行する場合
次に、運転者の好みに応じて2本の手すり13の縦棒部13b,13bを本体フレーム11a前後両側の前後方向手すり装着部11a6,11a6、または本体フレーム11a左右両側の左右方向手すり装着部11a7,11a7に装着するが、この場合、ここでは、
図1〜
図3や、
図7(a),(b)に示すように、2本の手すり13,13それぞれの縦棒部13b,13bを本体フレーム11a前後両側の前後方向手すり装着部11a6,11a6に装着する。
【0043】
そして、
図7(a)に示すように、運転者が本体フレーム11a上に載せた運転者乗車板12の上に乗り、本体フレーム11aの前後両側に装着した2本の手すり13,13間に挟まれた状態で、必要あれば、前方(
図7(a)上、左側。)の手すり13に掴まって、足踏み式スイッチ露出孔12bから露出している前方走行用足踏み式スイッチ11a4を右足でオンまたはオフ操作しながら前方に走行する。
【0044】
これに対し、後方に走行する場合は、軌道走行車1はレールR上にそのままで、軌道走行車1上で運転者のみが体を前後に反転して、後方の踏み式スイッチ露出孔12aから露出している後方走行用足踏み式スイッチ11a5を右足でオンまたはオフ操作しながら後方に走行する。尚、後方走行の際、必要あれば、後方(
図7(b)上、右側。)の手すり13に掴まる。
【0045】
(3)2本の手すり13を軌道走行車本体11の左右両側に設けて走行する場合
これに対し、運転者が2本の手すり13,13を本体フレーム11a前後両側の前後方向手すり装着部11a6,11a6よりも、本体フレーム11a左右両側の左右方向手すり装着部11a7,11a7に装着する方を望む場合、
図8に示すように、2本の手すり13,13それぞれの縦棒部13b,13bを本体フレーム11a左右両側の左右方向手すり装着部11a7,11a7に装着して、運転者は必要あれば両手または片手で左右両側の手すり13,13に掴まって、右足で前方走行用足踏み式スイッチ11a4や後方走行用足踏み式スイッチ11a5をオンまたはオフ操作しながら前方や後方に走行することも可能である。
【0046】
<実施形態の軌道走行車1の効果>
以上説明したように、実施形態の軌道走行車1によれば、モーター11b6等の駆動源の回転によってレールR上を自走すると共に、運転者の手や腕、肩等が入る大きさの開口部11αが設けられた本体フレーム11aを有する軌道走行車本体11と、開口部11αを塞ぐように軌道走行車本体11の本体フレーム11aに着脱可能に取り付けられ、運転者が乗る運転者乗車板12と、軌道走行車本体11または運転者乗車板12に着脱可能に装着され、運転者が掴まる2本の手すり12,13とを有する。
【0047】
そのため、実施形態の軌道走行車1によれば、軌道走行車1をレールRまで運搬する時や、レールRから取外してトラックや保管場所等まで運搬する場合には、軌道走行車本体11と、運転者乗車板12と、手すり13,13とに分解して搬送することができるので、軌道走行車1を一人でも容易に運搬してレール上に設置して使用したり、レールから取外して容易に運搬できると共に、省スペースで保管することができる。
【0048】
特に、実施形態の軌道走行車1では、軌道走行車本体11、運転者乗車板12、手すり13,13の内で、モーター11b6やバッテリ11b7が搭載されていて最も重量が重くなる軌道走行車本体11の本体フレーム11aには、運転者の手や腕、肩等が入る大きさの開口部11αが設けられているため、軌道走行車本体11から運転者乗車板12および2本の手すり13を取外し、例えば、開口部11αに腕や肩等を入れて軌道走行車本体11を担ぐと共に、手で運転者乗車板12や2本の手すり13,13を持つ等して一人で運搬することができる。
【0049】
また、トラック等へ積み込む前の保管時や、トラック等での搬送時にも、実施形態1の軌道走行車1は、軌道走行車本体11と、運転者乗車板12と、2本の手すり13,13とに分解した状態で保管や搬送できるので、省スペースで保管および搬送することができる。
【0050】
また、実施形態の軌道走行車1では、軌道走行車本体11の前後左右に手すり13,13を着脱可能に装着できるよう、軌道走行車本体11の本体フレーム11aの前後左右には、それぞれ前後方向手すり装着部11a6,11a6および左右方向手すり装着部11a7,11a7が設けられているため、運転者の好みに応じて2本の手すり13,13を当該軌道走行車1の走行方向に対し前後または左右に設置することが可能となり、軌道走行車1の使用勝手を向上させることができる。
【0051】
また、実施形態の軌道走行車1では、運転者乗車板12には、
図5に示すように、本体フレーム11aの前後方向手すり装着部11a6,11a6、1a7,11a7が露出するよう前後方向手すり装着部11a6,11a6、1a7,11a7に対応する箇所に、それぞれ、手すり装着部露出孔12c,12c、12d,12dが形成されているので、自分の好みに応じて2本の手すり13を、当該軌道走行車1の走行方向に対し前後両側の前後方向手すり装着部11a6,11a6に装着したり、あるいは当該軌道走行車1の走行方向に対し左右両側の前後方向手すり装着部11a6,11a6に装着することができる。
【0052】
また、2本の手すり13を、運転者乗車板12の前後方向手すり装着部露出孔12c,12cまたは左右方向手すり装着部露出孔12d,12dを介して前後方向手すり装着部11a6,11a6または左右方向手すり装着部11a7,11a7に装着することにより、運転者が運転者乗車板12の上に乗ってレールR上を軌道走行車1で走行する場合でも、運転者乗車板12が軌道走行車本体11の本体フレーム11aからずれ難くなるので、運転者は軌道走行車1で安全かつ確実に走行できることになる。
【0053】
また、実施形態の軌道走行車1では、軌道走行車本体11の前側には、軌道走行車1を前方に走行させるための前方走行用足踏み式スイッチ11a4が設けられている一方、軌道走行車本体11の後側には、軌道走行車1を後方に走行させるための後方走行用足踏み式スイッチ11a5が設けられているため、前方走行から後方走行に切り替える場合や、その反対に切り替える場合、軌道走行車1はレールR上にそのままで、軌道走行車1上で運転者のみが体を前後に反転して、後方走行用足踏み式スイッチ11a5をオンまたはオフ操作しながら後方走行することができる。
【0054】
そのため、実施形態の軌道走行車1によれば、レールR上で軌道走行車本体11の走行方向を前方走行から後方走行、またはその反対に切り替える場合でも、軌道走行車1を180度反転させる必要がなくなるので、軌道走行車1の使用勝手を向上させることができる。
【0055】
特に、実施形態の軌道走行車1では、前方走行用足踏み式スイッチ11a4と後方走行用足踏み式スイッチ11a5とは、軌道走行車本体11の本体フレーム11aの対角線上に設けられており、前方走行する場合も、後方走行する場合も、常に利き足等の一方の足で前方走行用足踏み式スイッチ11a4および後方走行用足踏み式スイッチ11a5を操作できるので、この点でも軌道走行車1の使用勝手を向上させることができる。
【0056】
また、実施形態の軌道走行車1では、駆動源であるモーター11b6は、いわゆる電磁ブレーキ等の周知のブレーキ付きのモーターで構成したため、バッテリ11b7から駆動電流が供給されていない場合は、ブレーキが作用していて軌道走行車1が勝手に動くことを確実に防止することができる。
【0057】
また、実施形態の軌道走行車1では、モーター11b6をいわゆる電磁ブレーキ等のブレーキ付きのモーターで構成したため、前方走行用足踏み式スイッチ11a4および後方走行用足踏み式スイッチ11a5から足を離してオフにすれば、モーター11b6はバッテリ11b7から駆動電流が供給されず、ブレーキが作用して軌道走行車1を停止させるので、軌道走行車1の運転を簡単にできると共に、ブレーキシュー等を使用した機械的なブレーキ装備が不要になるので、構造も簡単になり、軽量化および製造コストの低減化を図ることができる。
【0058】
尚、上記実施形態の軌道走行車1の説明では、
図1〜
図4等に示すようにレールR,R間隔が広い例えば新幹線用の軌道走行車1を一例に説明したが、レールR,R間隔が狭い在来線用の軌道走行車1の場合は、
図9(a),(b)に示すように、駆動部11bの前輪シャフト11bや従動部11cの後輪シャフト11c1を短くして、前輪11b2,11b2間や後輪11c2,11c2間の間隔を小さくすれば良い。その際、駆動部11bの前輪シャフト11bおよび従動部11cの後輪シャフト11c1を短くしたことに合わせて、
図9(a),(b)に示すように、駆動部支持フレーム11a2および従動部支持フレーム11a3の左右方向の長さも短くしても良い。