(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6788269
(24)【登録日】2020年11月4日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】採便棒及びそれを備えた採便キット
(51)【国際特許分類】
G01N 1/04 20060101AFI20201116BHJP
G01N 33/48 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
G01N1/04 G
G01N33/48 G
G01N1/04 V
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-236417(P2016-236417)
(22)【出願日】2016年12月6日
(65)【公開番号】特開2018-91772(P2018-91772A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2019年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】515316517
【氏名又は名称】株式会社ビケンバイオミクス
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(72)【発明者】
【氏名】辻野 泰充
(72)【発明者】
【氏名】中村 昇太
(72)【発明者】
【氏名】奥▲崎▼ 大介
(72)【発明者】
【氏名】東山 真二
(72)【発明者】
【氏名】深草 俊輔
【審査官】
西浦 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】
実開平06−002227(JP,U)
【文献】
国際公開第2015/148427(WO,A1)
【文献】
特開2006−029825(JP,A)
【文献】
特開2003−294595(JP,A)
【文献】
特開平08−160040(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0018861(US,A1)
【文献】
特開2008−101971(JP,A)
【文献】
特開2005−156187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00− 1/44
G01N 33/48−33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部と、該軸部の一端側に配置された先端部と、該軸部の他端側に配置された基端部とを含み、前記先端部に便を採取するための採便部を有する採便棒であって、
前記採便部は、前記軸部の軸方向に対して垂直な方向に突出し、互いに該軸方向に離間した複数の凸部を含み、
前記複数の凸部のうち中央に配置された凸部の突出長さが最も長く、該中央に配置された凸部から前記採便棒の先端側及び基端側に向かって前記複数の凸部の突出長さは順次短くなるように配置されていることを特徴とする採便棒。
【請求項2】
前記先端部は、板状に構成されており、
前記複数の凸部は、前記板状の先端部の両面から該面に垂直な方向に突出するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の採便棒。
【請求項3】
前記板状の先端部は、前記軸部の軸方向に沿った長軸を有する平面楕円形状に構成されており、
前記複数の凸部は、平面半円形状であることを特徴とする請求項2に記載の採便棒。
【請求項4】
前記複数の凸部は、前記板状の先端部を基準に対称となるように配置されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の採便棒。
【請求項5】
前記軸部は、前記先端部と隣接する位置に、前記軸部における他の部分よりも細い細部を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の採便棒。
【請求項6】
前記基端部は、長尺状の部材の一端に着脱可能に接続できる接続部を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の採便棒。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の採便棒と、
前記採便棒の基端部に着脱可能に接続される長尺状の延長部材と、
前記採便棒を収容可能な容器とを備えていることを特徴とする採便キット。
【請求項8】
前記採便棒の軸部には、該軸部の軸方向に対して垂直方向に拡大された液止め部が設けられており、
前記液止め部の径は、前記採便棒が前記容器に収容された際に、前記液止め部の外周縁が前記容器の内周面と接触して前記容器内の空間を分離できる大きさであることを特徴とする請求項7に記載の採便キット。
【請求項9】
前記容器の側壁は、可撓性を有することを特徴とする請求項7又は8に記載の採便キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便を採取するための採便棒、及びその採便棒を備えた採便キットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、採便用の器具としては、採便の際に手が便に触れないようにするために棒状の器具(採便棒)が用いられている。通常、採便はそのような採便棒の先端を便に突き刺して、それを便から抜くことによって行われるため、当該器具の先端には採便しやすくなる種々の加工が施されている。
【0003】
特許文献1には、採便棒の一端に綿球が設けられ、他端にスプーンが設けられた構成が開示されている。このような構成により、固形の便のみならず液状の便も採取できるようにしている。また、特許文献2には、採便棒の先端の外周に4つの溝が設けられた構成が開示されている。このような構成により、採便器具を便に突き刺すことによって便が溝内に入り込み、容易に所定量の便を採取できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−133704号公報
【特許文献2】実開平6−2227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1及び2に記載の採便棒のように、便を容易に採取できるような加工が施されているものが知られているが、一度に十分な量の便が採取できない場合もある。従って、容易且つ安定的に所定量以上の便を採取できるような採便棒が未だ求められている。
【0006】
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、容易且つ安定的に十分な量の便を採取できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明では、採便棒の先端部に互いに軸方向に離間した複数の凸部を設け、それらの凸部のうち中央に配置された凸部の突出長さを最も長く形成し、その凸部から先端側及び基端側に向かって複数の凸部の突出長さを順次短くなるように形成した。
【0008】
具体的に、本発明に係る採便棒は、軸部と、該軸部の一端側に配置された先端部と、該軸部の他端側に配置された基端部とを含み、先端部に便を採取するための採便部を有する採便棒であって、採便部は、軸部の軸方向に対して垂直な方向に突出し、互いに該軸方向に離間した複数の凸部を含み、複数の凸部のうち中央に配置された凸部の突出長さが最も長く、該中央に配置された凸部から採便棒の先端側及び基端側に向かって複数の凸部の突出長さは順次短くなるように配置されていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る採便棒によると、その先端部に互いに該軸方向に離間した複数の凸部を含むため、採便棒の先端部を便に突き刺して抜き取ると、凸部同士の間の空間(溝部)に便が収容されることとなるため、容易且つ安定的に便を採取できる。また、本発明に係る採便棒では、複数の凸部のうち中央に配置された凸部の突出長さが最も長く、該中央に配置された凸部から採便棒の先端側及び基端側に向かって複数の凸部の突出長さは順次短くなるように配置されているため、採便棒の便への突き刺し時と、抜き取り時との両方において便を効率的に採取できるので、十分な採便量を確保できる。より具体的に説明すると、採便棒の便への突き刺し時においては、複数の凸部のうち最も先端に配置された凸部から中央に配置された凸部までが順次便と接触しながら便をそれらの間の溝部内に引き込む。また、採便棒の便からの抜き取り時においては、複数の凸部のうち最も基端側に配置された凸部から中央に配置された凸部までが順次便と接触しながら便をそれらの間の溝部内に引き込む。従って、本発明に係る採便棒の構成によると、上述の通り、採便棒の便への突き刺し時と、抜き取り時との両方において便を効率的に採取できる。
【0010】
本発明に係る採便棒において、先端部は、板状に構成されており、複数の凸部は、板状の先端部の両面から該面に垂直な方向に突出するように形成されていることが好ましい。
【0011】
このようにすると、先端部が板状であって薄いため、複数の凸部同士の間の溝部の容積を大きくすることができる。従って、凸部を大きくすることなく便の採取量を増大できる。
【0012】
この場合、板状の先端部は、軸部の軸方向に沿った長軸を有する平面楕円形状に構成されており、複数の凸部は、平面半円形状であることが好ましい。
【0013】
このようにすると、採便部が板状の先端部と凸部とにより略楕円体の形状となり、多面体のように角部を持たないため局所的に採取ムラが生じることなく、全体的に均一に便を採取することが可能となる。
【0014】
本発明に係る採便棒において、複数の凸部は、板状の先端部を基準に対称となるように配置されていることが好ましい。
【0015】
このようにすると、板状の先端部の両側において便の採取ムラが生じず、均一に便を採取することが可能となる。
【0016】
本発明に係る採便棒において、軸部は、先端部と隣接する位置に、軸部における他の部分よりも細い細部を含むことが好ましい。
【0017】
このようにすると、軸部全体の強度を低減することなく、採便部における基端側の凸部を際立たせることができるため、凸部をより大きくする必要が無く、採便量を十分に確保することができる。
【0018】
本発明に係る採便棒において、基端部は、長尺状の部材の一端に着脱可能に接続できる接続部を含むことが好ましい。
【0019】
このようにすると、採便棒の接続部を長尺状の部材(延長部材)の一端と接続することにより、実質的に採便棒を延長することができるため、採便棒自体をより短くすることができる。また、採便棒自体をより短くしても、採便棒の使用時に延長部材を利用することにより採便時に便が手に触れることを防止できる。
【0020】
また、本発明に係る採便キットは、上記の本発明に係る採便棒と、採便棒の基端部に着脱可能に接続される長尺状の延長部材と、採便棒を収容可能な容器とを備えていることを特徴とする。
【0021】
本発明に係る採便キットによると、上記本発明に係る採便棒を備えているため、容易且つ安定的に所定量以上の便を容器に採取することができる。また、採便棒と接続可能な延長部材を備えているため、上述の通り、採便棒自体を短くすることができ、また、採便棒自体を短くしても、採便棒の使用時に延長部材を利用することにより採便時に便が手に触れることを防止できる。
【0022】
本発明に係る採便キットにおいて、採便棒の軸部には、該軸部の軸方向に対して垂直方向に拡大された液止め部が設けられており、液止め部の径は、採便棒が容器に収容された際に、液止め部の外周縁が容器の内周面と接触して容器内の空間を分離できる大きさであることが好ましい。
【0023】
このようにすると、採便棒を容器内に入れた際に、液止め部を、予め容器内に入れられた便の溶解用溶液が漏れることを防止する内蓋として機能させることができる。
【0024】
本発明に係る採便キットにおいて、容器の側壁は、可撓性を有することが好ましい。
【0025】
このようにすると、採便棒を容器内に入れた後、採便棒から延長部材を取り外す時に容器の外側から液止め部を指で挟んで押圧することにより、採便棒を保持することができるため、このように保持することで延長部材を容易に採便棒から取り外すことが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る採便棒及びそれを備えた採便キットによると、容易且つ安定的に十分な量の便を採取できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態に係る採便棒を示す正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る採便棒を示す側面図である。
【
図3】(a)は本発明の一実施形態に係る採便棒の先端部を先端側から見た図であり、(b)はその一変形例を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る採便棒の基端部に延長部材を装着した状態を示す正面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る採便キットにおいて、延長部材が装着された採便棒を容器内に入れた状態を示す断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る採便キットにおいて、採便棒を容器に収容した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用方法或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0029】
まず、本発明の一実施形態に係る採便棒について図面を参照しながら説明する。
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る採便棒10は棒状であり、軸部11と、該軸部11の一端側に位置し、採便時に便に突き刺される先端部12と、軸部11の他端側に配置された基端部13とを含む。
【0030】
図1、
図2及び
図3(a)に示すように、先端部12は、軸部11と連続するように延びる平面略楕円状の板状部14と、該板状部14の両面から軸部11の軸方向に対して垂直な方向に突設された略半円状の凸部15とを含む。具体的には、板状部14はその長軸が軸部11の軸方向と同一方向に延びる平面略楕円状であり、凸部15は板状部14の両面から該面に対して垂直な方向に突設されている。凸部15は軸部11の軸方向に互いに離間するように複数設けられており、これにより凸部15同士の間には空間としての溝部16が構成されている。具体的に、本実施形態では、板状部14を挟んで対称となるように5組の凸部15が設けられており、このため4組の溝部16が存在することとなる。
【0031】
5組の凸部15を先端側から第1の凸部15a、第2の凸部15b、第3の凸部15c、第4の凸部15d及び第5の凸部15eとすると、中央に位置する第3の凸部15cの突出長さLが最も長くなるように形成されている。本実施形態において、凸部15の突出長さLとは、
図2及び
図3に示すように、板状部14との接続部分における中央から、凸部15の先端までの長さをいう。複数の凸部15のそれぞれの突出長さは、第3の凸部15cから先端側及び基端側に向かって、順次短くなるように形成されている。すなわち、第2の凸部15b及び第4の凸部15dの突出長さは第3の凸部15cの突出長さよりも短く、第1の凸部15a及び第5の凸部15eの突出長さは第2の凸部15b及び第4の凸部15dの突出長さよりも短い。また、
図1に示すように、凸部15は板状部14を横断するように形成されており、
図3に示すように、板状部14を挟んで対称に配置された各組の凸部15によって、それらが平面略円状となるように形成されている。
【0032】
なお、本実施形態において、複数の凸部15は板状部14の両面に5つずつ形成されているが、これに限らず、例えば3つずつ、4つずつ、6つずつ又は7つずつでも構わない。また、凸部15は、板状部14に別体として接着されていてもよいが、板状部14と一体に成形されていてもよい。また、本実施形態では板状部14を平面略楕円状としたが、これに限らず、例えば平面略円状、又は平面略四角形状若しくは平面略六角形状等の平面略多角形状であってもよい。また、本実施形態では、板状部14の両面に形成される複数の凸部15を平面略半円状としたが、これに限らず、例えば平面略多角形状であってもよい。
【0033】
また、本実施形態では、板状部14に複数の凸部15を設けることにより、複数の溝部16を形成したが、これに限らず、例えば楕円体や直方体等の形状に成形された先端部12の外周に、例えば切削加工等によって複数の溝部16を形成することによって、結果的に複数の凸部15が形成されてもよい。
【0034】
また、本実施形態では、
図3(a)に示すように1つの板状部14の両面に複数の凸部15を設けたが、
図3(b)に示すように、2つの板状部14を断面十字状に交差させて、それらの間の4箇所の空間に複数の凸部15を設けてもよい。このとき、複数の凸部15はそれぞれ、例えば扇形状に形成され、2つの板状部14同士の間の4箇所に形成された凸部15が組み合わさって略円形状に形成されることが好ましい。なお、2つの板状部14を断面十字状に交差させる代わりに、同様の形状を一体的に形成しても構わない。
【0035】
上述のように、本実施形態では、先端部12に設けられた板状部14と複数の凸部15と複数の溝部16とにより採便棒10の採便部が構成されている。採便棒10を用いる場合、当該採便部を便に突き刺して抜き取ることにより便が採取される。本実施形態の採便棒10では、採便部が上記構成であるため、採便棒10の便への突き刺し時と、便からの抜き取り時との両方において便を効率的に採取できるので、十分な採便量を確保できる。具体的に説明すると、採便棒10の便への突き刺し時においては、複数の凸部15のうち先端側の第1の凸部15a、第2の凸部15b及び中央に配置された第3の凸部15cまでが順次便と接触しながら便をそれらの間の溝部16内に引き込む。また、採便棒10の便からの抜き取り時においては、複数の凸部15のうち基端側の第5の凸部15e、第4の凸部15d及び中央に配置された第3の凸部15cまでが順次便と接触しながら便をそれらの間の溝部16内に引き込む。従って、本実施形態に係る採便棒10の構成によると、上述の通り、採便棒10の便への突き刺し時と、便からの抜き取り時との両方において便を効率的に採取できる。
【0036】
図1及び
図2に示すように、軸部11には、先端部12(採便部)に隣接する位置に、軸部11の他の部分よりも細い細部11aが設けられている。採便時に採便棒10を便に突き刺すが、通常、その際に先端部12のみならず軸部11の先端部側まで突き刺すこととなる。このため、軸部11の径が先端部12の凸部15の径よりも大きいと、採便棒10の抜き取り時に第5の凸部15e、第4の凸部15d及び第3の凸部15cと便とが接触し難くなるおそれがある。従って、軸部11の径は、凸部15のそれぞれの径よりも小さいほうが好ましいが、軸部11全体を細くすると強度が小さくなって折れ等の破損のおそれがあるため、採便時に便と接触する軸部11の先端側の一部のみに細部11aが設けられることが好ましい。
【0037】
また、軸部11には、細部11aよりも基端側に軸部11の軸方向に対して垂直な方向に突設された液止め部11bが設けられている。液止め部11bは後に詳説するが、採便棒10を収容する容器の内径と同等の径を有する。
【0038】
基端部13には、
図1、
図2及び
図4に示すように、長尺状の延長部材20を着脱可能に接続できる接続部13aが設けられている。延長部材20は、例えば両端が開口した円筒状の部材であり、延長部材20の内径は基端部13の径と同等の大きさに構成されている。また、接続部13aは凹凸形状によって構成され、基端部13が延長部材20の中に挿入されたときに、延長部材20が基端部13から容易に外れないように滑り止めの役割を果たす。
【0039】
延長部材20を基端部13に装着することにより、採便棒10の長さを実質的に長くすることができるため、採便時に便が手に触れることを防止することができる。
【0040】
本実施形態では、延長部材20として円筒状の部材を用いたが、これに限らず、採便棒10の基端部13と着脱可能に接続できる部材であればよい。
【0041】
次に、本実施形態に係る採便棒を含む採便キットについて
図5及び
図6を参照しながら説明する。
【0042】
図5に示すように、本実施形態に係る採便キット100は、上記採便棒10及び延長部材20と、採便棒10を収容可能な容器30とを含む。容器30は、例えば透明な樹脂製であり、蓋31を有し、便を溶かすための液体32を含む。従って、
図6に示すように、採便した後に、用いた採便棒10を容器30内に入れて蓋31をすることにより、採取した便を、安全且つ清潔に運搬可能となる。
【0043】
また、本実施形態に係る採便棒10は、上述の通り、軸部11に、容器30の内径と同等の径を有する液止め部11bが設けられているため、採便棒10が容器30内に収容されると、液止め部11bは液体32が外部に漏れることを防ぐ内蓋として機能する。
【0044】
また、本実施形態において、容器30の側壁は可撓性を有する。このため、
図5に示すように、延長部材20が装着された採便棒10を容器30に入れた後、延長部材20を採便棒10から外す際に、容器30の側壁のうち液止め部11bが位置する部分を外側から挟むように押圧することで、容器30の側壁を介して採便棒10を保持できる。従って、この保持した状態で、延長部材20を採便棒10から引き抜くことによって、延長部材20を採便棒10から容易に取り外すことができる。
【0045】
以上に説明したとおり、本実施形態に係る採便棒10及びそれを備えた採便キット100によると、採便棒10の便への突き刺し時と、便からの抜き取り時との両方において便を効率的に採取できるため、容易且つ安定的に十分な量の便を採取できる。
【符号の説明】
【0046】
10 採便棒
11 軸部
12 先端部
13 基端部
14 板状部
15 凸部
16 溝部
20 延長部材
30 容器
100 採便キット