特許第6788310号(P6788310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6788310
(24)【登録日】2020年11月4日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】パンチ用ウレタンクッション
(51)【国際特許分類】
   B21D 28/00 20060101AFI20201116BHJP
   B21D 28/34 20060101ALI20201116BHJP
   B26F 1/02 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   B21D28/00 D
   B21D28/34 E
   B26F1/02 B
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2020-100410(P2020-100410)
(22)【出願日】2020年6月9日
【審査請求日】2020年6月9日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 試験を行った日:令和1年9月1日 場 所 :極東開発工業株式会社三木工場(兵庫県三木市)
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520041507
【氏名又は名称】市村 惇
(74)【代理人】
【識別番号】100188776
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 吉男
(72)【発明者】
【氏名】市村 惇
【審査官】 石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−085734(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0279910(US,A1)
【文献】 実開平04−101040(JP,U)
【文献】 特開2001−271864(JP,A)
【文献】 特公平03−014533(JP,B2)
【文献】 特開平05−212456(JP,A)
【文献】 特開2000−218324(JP,A)
【文献】 特開2001−191127(JP,A)
【文献】 特開2015−183832(JP,A)
【文献】 実開昭62−097802(JP,U)
【文献】 特公昭47−044106(JP,B1)
【文献】 実開昭55−134024(JP,U)
【文献】 特開平08−323432(JP,A)
【文献】 実開昭49−150981(JP,U)
【文献】 特許第3850663(JP,B2)
【文献】 実開昭59−1430(JP,U)
【文献】 実公昭48−13833(JP,Y1)
【文献】 特開平8−300059(JP,A)
【文献】 特公平8−4853(JP,B2)
【文献】 特許第5086651(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 28/00
B21D 28/34
B26F 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パンチプレス用金型に用いられるパンチに装着されるパンチ用ウレタンクッションであって、
筒状のウレタンクッション部と
前記ウレタンクッション部の上端に冠着された金属製の破損防止リングを備え、
前記破損防止リングはリング状の第一底板とその周囲に垂下された第一壁部とを有する
ことを特徴とするパンチ用ウレタンクッション。
【請求項2】
パンチプレス用金型に用いられるパンチに装着されるパンチ用ウレタンクッションであって、
筒状のウレタンクッション部と、
前記ウレタンクッション部の上端に冠着された金属製の破損防止リングと、
前記ウレタンクッション部の下端に冠着された金属製のシートリングと
を備え、
前記破損防止リングはリング状の第一底板とその周囲に垂下された第一壁部とを有し、
前記シートリングはリング状の第二底板とその周囲に起立した第二壁部とを有する
ことを特徴とする
パンチ用ウレタンクッション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穴抜きパンチに使用されるパンチ用ウレタンクッションに関する。
【背景技術】
【0002】
パンチを上方から打ち付けて、被加工材の穴抜きを行う穴抜きパンチには、被加工材の穴抜きを行うときの被加工材とパンチとの接触時の衝撃緩和や、穴抜後の被加工材からパンチの抜き取りに円筒状のウレタンクッションが用いられている。
【0003】
そして、後掲の特許文献1には、外周部に突出部を有するヘッド金具をパンチの上端部に取り付け、ヘッド金具とパンチガイド上端部間にウレタンゴムスプリングを介挿し、さらにパンチ引出しの際、ヘッド金具の突出部に係止されかつヘッド金具を強制的に引き上げる突出部をヘッド金具の突出部よりも下の位置に有するストリップ金具をプレス側の上下動に応動するラムに取り付けてなるパンチ装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】公開実用昭和54―134985号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の考案では、使用回数が増加すると、ウレタンゴムスプリングが上端から割れてくるという問題があった。そこで本発明は上記の問題点を解決することを課題としており、使用による割れが発生し難いパンチ用ウレタンクッションを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明のパンチ用ウレタンクッションは、端部にハチマキ状の壁部を有する金属リングを備えたことを主な特徴とする。
【0007】
すなわち、第1の本発明のパンチ用ウレタンクッションは、パンチプレス用金型に用いられるパンチに装着されるパンチ用ウレタンクッションであって、筒状のウレタンクッション部とウレタンクッション部の上端に冠着された金属製の破損防止リングを備え、破損防止リングはリング状の第一底板とその周囲に垂下された第一壁部とを有することを特徴とする。
【0008】
金属製の破損防止リングが、第一底板の周囲にハチマキ状に垂下された第一壁部を有することで、ウレタンクッション部が圧縮されたときにウレタンクッション部の上部に亀裂が入ることを防止できる。破損防止リングには、炭素工具鋼を用いることが好ましい。十分な弾性と靭性を有するからである。
【0009】
さらに第2の本発明のパンチ用ウレタンクッションは、パンチプレス用金型に用いられるパンチに装着されるパンチ用ウレタンクッションであって、筒状のウレタンクッション部と、ウレタンクッション部の上端に冠着された金属製の破損防止リングと、ウレタンクッション部の下端に冠着された金属製のシートリングとを備え、破損防止リングはリング状の第一底板とその周囲に垂下された第一壁部とを有し、シートリングはリング状の第二底板とその周囲に起立した第二壁部とを有することを特徴とする
【0010】
ウレタンクッション部の下端にも、第二底板の周囲に起立した第二壁部が有ることで、ウレタンクッション部が圧縮されたときにウレタンクッション部の下部に亀裂が入ることを防止できる。なお、シートリングも炭素工具鋼を用いることが好ましい。十分な弾性と靭性を有するからである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のパンチ用ウレタンクッションは使用による亀裂の発生が起こりにくい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第一実施形態に係るパンチ用ウレタンクッションとパンチの組立図である。
図2】本発明の第一実施形態に係るパンチ用ウレタンクッションとパンチの断面図である。
図3】本発明の第一実施形態に係るパンチ用ウレタンクッションを用いたパンチの定常位置の一部断面図である。
図4】本発明の第一実施形態に係るパンチ用ウレタンクッションを用いたパンチの降下位置の一部断面図である。
図5】本発明の第一実施形態に係るパンチ用ウレタンクッションを用いたパンチの打抜位置の一部断面図である。
図6】本発明の第二実施形態に係るパンチ用ウレタンクッションを用いたパンチの定常位置の一部断面図である。
図7】本発明の第二実施形態に係るパンチ用ウレタンクッションを用いたパンチの降下位置の一部断面図である。
図8】本発明の第二実施形態に係るパンチ用ウレタンクッションを用いたパンチの打抜位置の一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の好ましい実施形態について図を用いて説明する。
【実施例】
【0014】
(実施例1)
【0015】
図1は、本発明の第一実施形態に係るパンチ用ウレタンクッションとパンチの組立図である。ウレタンクッション部20の上端には第一底板32とその周囲に垂下された第一壁部34から構成される破損防止リング30が嵌着される。そしてウレタンクッション部20の下端には第二底板42とその周囲に立設された第二壁部から構成されるシートリング40が嵌着される。最後にそれらの中空部にパンチ10が挿入される。
【0016】
図2は、本発明の第一実施形態に係るパンチ用ウレタンクッションを用いたパンチの定常位置の一部断面図である。構成は図1と同様であるから、説明は省略する。
【0017】
図3は、本発明の第一実施形態に係るパンチ用ウレタンクッションを用いたパンチの定常位置の一部断面図である。図2と同じパンチ用ウレタンクッション1の内部にパンチ10が挿入され、パンチ10の下部は筒状のストリッパー70内にガイドブッシュ60を介して挿入されている。パンチ用ウレタンクッション1の下部のシートリング40がストリッパー70の上端と接したときにパンチ10の下端がストリッパー70の下端位置にくるように各部の長さが設定される。そしてストリッパー70は、リフタースプリング50の伸縮作用によりフレーム90内を上下に移動可能となっている。リフタースプリング50の上端はストリッパー70の上端部に設けられたスナップリング52に固定されている。
【0018】
フレーム90はC型をしており、パンチ10に対向する面にダイ80が設けられ、被加工材100をダイ80上に載置して、プレスにより破損防止リング30とともにパンチ10を押し下げるとパンチ10により被加工材100は打ち抜かれることになる。図3の状態ではプレスによる力は加えられておらず、ウレタンクッション部20とリフタースプリング50はともに定常の長さと形状を保っている。
【0019】
次に図4を用いて、プレスにより加圧されたパンチ10が被加工材100の表面まで降下した状態を説明する。この状態では、リフタ―スプリング50が縮んでいるだけでウレタンクッション部20は縮んでいない。パンチ10の下端とストリッパー70の下端がともに被加工材100の表面に接している。そしてストリッパー70が被加工材100に接することで、それ以上リフタ―スプリング50が縮むことはなく、第二底板42はこれ以上降下しない。すなわち、以後プレスによる圧力が加えられるとウレタンクッション部20が縮んで、その分だけパンチ10が降下することになる。
【0020】
次に図5を用いて、パンチ10がさらに降下して被加工材100を打ち抜く状態を説明する。図4の状態からさらにパンチ10と破損防止リング30に圧力が加えられると、ウレタンクッション部20が縮み、その分だけパンチ10が降下して最後にはダイ80との相互作用で被加工材100を打ち抜く。このときウレタンクッション部20は外側に膨張するようにして縮むことになるが、ウレタンクッション部20の上端部と下端部は、各々第一壁部34と第二壁部44の効果で外側に膨張することがない。これにより、繰り返し使用してもウレタンクッション部20の端部に亀裂が入ることがない。
【0021】
(実施例2)
【0022】
図6は、パンチ用ウレタンクッション2をストリッパーとして用いたパンチの実施例である。パンチホルダー14とパンチプレート16とによってパンチ12が保持され、パンチ12の下半分はパンチプレート16に保持されたパンチ用ウレタンクッション2内に挿入されている。この状態からシャンク18にプレスにより圧力が加えられると、パンチホルダー14とパンチプレート16とがガイドポスト64に誘導されて降下してダイ82上に載置された被加工材102を打ち抜く。
【0023】
図7は、プレスによりさらにシャンク18に圧力が加えられてパンチ12の下端とパンチ用ウレタンクッション2の下端が被加工材102の表面に接した状態を示している。この状態ではウレタンクッション部22は縮んでいない。
【0024】
図8は、プレスによりさらにシャンク18に圧力が加えられてパンチ12が降下してダイ82との相互作用により、被加工材102を打ち抜いた状態を示している。ウレタンクッション部22は外側に膨張するようにして縮んでいる。しかし、破損防止リング36の壁部(符号省略)の効果で上端部は外側に膨張していない。これにより、繰り返し使用してもウレタンクッション部20の端部に亀裂が入ることがない。
【0025】
パンチ12は被加工材102を打ち抜いた後は、上昇するが、このときウレタンクッション部22が伸びて元の状態に戻るときにパンチ12から被加工材102を引き外すストリッパーの役割を果たす。
【符号の説明】
【0026】
1、2 パンチ用ウレタンクッション
10、12 パンチ
14 パンチホルダー
16 パンチプレート
18 シャンク
20、22 ウレタンクッション部
30、36 破損防止リング
32 第一底板
34 第一壁部
40 シートリング
42 第二底板
44 第二壁部
50 リフタースプリング
52 スナップリング
60、62 ガイドブッシュ
64 ガイドポスト
70 ストリッパー
80、82 ダイ
84 ダイホルダー
90 フレーム
92 キーストッパー
100、102 被加工材
【要約】
【課題】繰り返しの使用による端部の亀裂が生じないパンチ用ウレタンクッションを提供する。
【解決手段】パンチ用ウレタンクッション1を、筒状のウレタンクッション部20と、ウレタンクッション部20の上端に冠着された金属製の破損防止リング30と、ウレタンクッション部20の下端に冠着された金属製のシートリング40とを備え、破損防止リング30はリング状の第一底板32とその周囲に垂下された第一壁部34とを有し、シートリング40はリング状の第二底板42とその周囲に起立した第二壁部44とを有する構成にする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8