(A)感光性プレポリマー、(B)感光性(メタ)アクリレート化合物、(C)光重合開始剤、(D)表面処理された硫酸バリウム、(E)表面処理されたタルク、および、(F)熱硬化性樹脂を含有する樹脂組成物であって、
前記(C)光重合開始剤として、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドのいずれかを含み、
前記(D)表面処理された硫酸バリウムの表面処理剤が、Al、SiおよびZrから選択される1つ以上の金属元素の水酸化物を含み、
前記(E)表面処理されたタルクの表面処理剤が、ビニルシラン系カップリング剤を含むことを特徴とするアルカリ現像可能な樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のアルカリ現像型の樹脂組成物は、(A)感光性プレポリマー、(B)感光性(メタ)アクリレート化合物、(C)光重合開始剤、(D)表面処理された硫酸バリウム、(E)表面処理されたタルク、および、(F)熱硬化性樹脂を含有することを特徴とするものである。本発明においては、硫酸バリウムおよびタルクが表面処理されていることが肝要であり、このような2種の無機フィラーを配合することによって、耐水性と密着性を両立することができる。
【0017】
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレートおよびそれらの混合物を総称する用語であり、以下他の類似の表現についても同様である。
【0018】
[(A)感光性プレポリマー]
(A)感光性プレポリマーとしては、分子中にエチレン性不飽和二重結合を有する感光性プレポリマーを好適に用いることができる。さらに、(A)感光性プレポリマーはカルボキシル基含有感光性プレポリマーであることがより好ましい。エチレン性不飽和二重結合としては、アクリル酸もしくはメタアクリル酸またはそれらの誘導体由来のものが好ましい。
【0019】
カルボキシル基含有感光性プレポリマーの具体例としては、以下に列挙するような化合物(オリゴマーおよびポリマーのいずれでもよい)が挙げられる。
(1)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α−メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物、および、下記のような感光性モノマーとの共重合により得られる、エチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有樹脂。なお、低級アルキルとは、炭素原子数1〜5のアルキル基を指す。
(2)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物およびポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子中に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化した、エチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂。
(3)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネート化合物と、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるウレタン樹脂の末端に酸無水物を反応させてなる末端カルボキシル基含有ウレタン樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子中に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化した、エチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂。
(4)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物およびジオール化合物の重付加反応による、エチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂。
(5)上記(4)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子中に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化した、エチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂。
(6)上記(2)または(4)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物など、分子中に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化した、エチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂。
(7)上記のような多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させた、エチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有樹脂。ここで、多官能エポキシ樹脂は固形であることが好ましい。
(8)2官能エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させた、エチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有樹脂。ここで、2官能エポキシ樹脂は固形であることが好ましい。
(9)上記のような2官能オキセタン樹脂にジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に2塩基酸無水物を付加させた、エチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有樹脂。
(10)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られる、エチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有樹脂。
(11)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られる、エチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有樹脂。
(12)1分子中に複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、p−ヒドロキシフェネチルアルコール等の1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸等の不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られる、エチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有樹脂。
(13)上記(1)〜(12)のいずれかの樹脂にさらにグリシジル(メタ)アクリレート、α−メチルグリシジル(メタ)アクリレート等の分子中に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなる、エチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有樹脂。
【0020】
上記のようなエチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有感光性プレポリマーは、バックボーン・ポリマーの側鎖に多数のカルボキシル基を有するため、アルカリ水溶液による現像が可能である。
【0021】
上記のカルボキシル基含有樹脂の具体例のうち、(12)のエチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有樹脂として、下記の(A1)の樹脂を用いることができる。
(a)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、(b)アルコール性水酸基含有置換基を有するフェノール化合物と、(c)不飽和基含有モノカルボン酸とを、上記(a)エポキシ化合物のエポキシ基1当量に対して、上記(b)アルコール性水酸基含有置換基を有するフェノール化合物のフェノール性水酸基が0.2〜0.6当量となり、かつ(b)アルコール性水酸基含有置換基を有するフェノール化合物のフェノール性水酸基と(c)不飽和基含有モノカルボン酸のカルボキシル基が合計で0.8〜1.3当量となる割合で反応させ、得られた反応生成物(X)のアルコール性水酸基に対して(d)多塩基酸無水物の無水物基を99:1〜1:99の割合で反応させて得られる(A1)エチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有樹脂。
【0022】
前記アルコール性水酸基含有置換基を有するフェノール化合物(b)は特に限定されないが、下記式(1)で示される化合物が好ましい。特に好ましいのはp−ヒドロキシフェネチルアルコールである。これらアルコール性水酸基含有置換基を有するフェノール化合物(b)は1種を単独で、または、2種以上を混合して用いることができる。
(式中、xは0〜5までの整数で、ベンゼン環の水素と置換する置換基R
1の数を表わし、R
1はxが1のとき、炭素数1〜4の飽和又は不飽和アルキル基、フェニル基又はシクロヘキシル基の中から選ばれる一つの置換基を表わし、xが2以上のとき、前記置換基の中からx個選ばれる同一又は異なる複数の置換基を表わす。yは1〜5の整数で、ベンゼン環の水素と置換する置換基R
2−OHの数を表わし、R
2は、yが1のとき、炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基または
(ここで、R
3はエチレン基、プロピレン基、ヒドロキシプロピレン基または
(n=2または3、Z=1または2)である。)の中から選ばれる一つの置換基を表わし、yが2以上のとき、前記置換基の中からy個選ばれる同一又は異なる複数基の置換基を表わす。)
【0023】
また、(A)感光性プレポリマーの酸価は、30〜200mgKOH/gの範囲が適当であり、より好ましくは30〜150mgKOH/g、特に好ましくは45〜120mgKOH/gの範囲である。(A)感光性プレポリマーの酸価が30mgKOH/g以上であるとアルカリ現像が良好となり、一方、200mgKOH/g以下であると、現像液による露光部の溶解を抑制できるために、必要以上にラインが痩せたり、場合によっては、露光部と未露光部の区別なく現像液で溶解剥離したりすることを抑制して、良好にパターン状のレジストを描画することができる。
【0024】
また、(A)感光性プレポリマーの、例えば、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定した場合の重量平均分子量Mw(ポリスチレン換算の重量平均分子量)は、樹脂骨格により異なるが、4,000よりも大きく150,000以下、さらには5,000〜100,000の範囲にあるものが好ましい。重量平均分子量が4,000より大きいと、タックフリー性能が良好であり、露光後の塗膜の耐湿性が良好で、現像時に膜減りを抑制し、解像度の低下を抑制できる。一方、重量平均分子量が150,000以下であると、現像性が良好となる。
【0025】
(A)感光性プレポリマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。(A)感光性プレポリマーの配合量は、アルカリ現像型の樹脂組成物あたり、固形分換算で、10〜70質量%であることが好ましく、30〜50質量%がより好ましい。
【0026】
[(B)感光性(メタ)アクリレート化合物]
(B)感光性(メタ)アクリレート化合物としては、光感光性モノマーとして用いることができる公知慣用の(メタ)アクリレート系オリゴマーや(メタ)アクリレート系モノマーを用いることができる。(B)感光性(メタ)アクリレート化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、フェノールノボラックエポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラックエポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート等のエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0028】
(メタ)アクリレート系モノマーとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類;トリアリルイソシアヌレート、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリルなどのアリル化合物;2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のエステル類;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート類、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどのアルキレンポリオールポリ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどのポリオキシアルキレングリコールポリ(メタ)アクリレート類;ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレートなどのポリ(メタ)アクリレート類;トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレートなどのイソシアヌルレート型ポリ(メタ)アクリレート類などが挙げられる。
【0029】
(B)感光性(メタ)アクリレート化合物の配合量は、(A)感光性プレポリマー100質量部に対して、10〜30質量部が好ましい。
【0030】
[(C)光重合開始剤]
(C)光重合開始剤としては、光重合開始剤や光ラジカル発生剤として公知の光重合開始剤であれば、いずれのものを用いることもできる。
【0031】
(C)光重合開始剤としては、例えば、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(BASFジャパン社製IRGACURE819)等のビスアシルフォスフィンオキサイド類;2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィン酸メチルエステル、2−メチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルフォスフィン酸イソプロピルエステル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASFジャパン社製IRGACURE TPO)等のモノアシルフォスフィンオキサイド類;1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のヒドロキシアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾインアルキルエーテル類;ベンゾフェノン、p−メチルベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、メチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アントラキノン、クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−アミノアントラキノン等のアントラキノン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、p−ジメチル安息香酸エチルエステル等の安息香酸エステル類;1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(2−(1−ピル−1−イル)エチル)フェニル]チタニウム等のチタノセン類;フェニルジスルフィド2−ニトロフルオレン、ブチロイン、アニソインエチルエーテル、アゾビスイソブチロニトリル、テトラメチルチウラムジスルフィド等を挙げることができる。(C)光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
光重合開始剤の中でも、より耐水性に優れた硬化物を得ることができるため、表面硬化性に優れる光重合開始剤を用いることが好ましい。また、表面硬化性に優れる光重合開始剤は、吸収波長が250〜450nmであることが好ましく、250〜400nmであることがより好ましい。表面硬化性に優れる光重合開始剤としては、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0033】
(C)光重合開始剤の配合量は、(A)感光性プレポリマー100質量部に対して、1〜25質量部が好ましく、5〜15質量部であることがより好ましい。
【0034】
[(D)表面処理された硫酸バリウム]
(D)表面処理された硫酸バリウムの調整方法は特に限定されないが、表面処理剤としてAl、SiおよびZrから選択される1つ以上の金属元素の水酸化物および酸化物から選ばれる少なくとも何れかを1種を硫酸バリウムに被着することによって調整することができる。表面処理剤の具体例としては、含水ケイ酸、含水非結晶二酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等が挙げられる。このような表面処理剤で処理した硫酸バリウムの市販品としては、堺化学社製B−30、B−31、B−32、B−33、B−34、B−35、B−35T等が挙げられる。
【0035】
また、表面処理剤として有機シラン系化合物を用いてもよい。
【0036】
(D)表面処理された硫酸バリウムの平均一次粒径は、0.1〜1μmが好ましく、0.1〜0.5μmであることがより好ましい。
【0037】
(D)表面処理された硫酸バリウムの配合量は、(A)感光性プレポリマー100質量部に対して、55〜150質量部が好ましく、より好ましくは60〜100質量部である。
【0038】
[(E)表面処理されたタルク]
(E)表面処理されたタルクの調整方法は特に限定されないが、表面処理剤として、ビニルシラン系カップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤等のシラン系カップリング剤、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等を用いて調整することができる。ビニルシラン系カップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランが好ましい。アミノシラン系カップリング剤としては、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。エポキシシラン系カップリング剤としては、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、グリシジルブチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが好ましい。メルカプトシラン系カップリング剤としては、メルカトプロピルトリメトキシシラン、メルカトプロピルトリエトキシシランが好ましい。また、メチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、イミダゾールシラン、トリアジンシラン等のシラン系カップリング剤も好適に用いることができる。オルガノシラザン化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、トリシラザン、シクロトリシラザン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルシクロトリシラザンが好ましい。チタネート系カップリング剤としては、ブチルチタネートダイマー、チタンオクチレングリコレート、ジイソプロポキシチタンビス(トリエタノールアミネート)、ジヒドロキシチタンビスラクテート、ジヒドロキシビス(アンモニウムラクテート)チタニウム、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テト(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネートが好ましい。
【0039】
表面処理剤の中でも、シラン系カップリング剤が好ましく、ビニルシラン系カップリング剤がより好ましく、メタクリロキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリロキシシラン系カップリング剤がさらに好ましい。
【0040】
(E)表面処理されたタルクは、市販品のタルクを表面処理したものであってもよく、例えば、日本タルク社製ミクロエースK1をビニルシラン系カップリング剤で表面処理したタルク等を用いてもよい。
【0041】
(E)表面処理されたタルクの平均一次粒径は、0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜15μmであることがより好ましい。
【0042】
(E)表面処理されたタルクの配合量は、(A)感光性プレポリマー100質量部に対して、5〜45質量部が好ましい。
【0043】
(D)表面処理された硫酸バリウムと(E)表面処理されたタルクの含有量の割合は、例えば、40〜90:10〜60であり、吸水率を低下させる観点から55〜90:10〜45であることが好ましい。
【0044】
また、本発明のアルカリ現像可能な樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、(D)表面処理された硫酸バリウムおよび(E)表面処理されたタルク以外のその他の無機フィラーを含有してもよい。その他の無機フィラーとしては、例えば、シリカ、結晶性シリカ、ノイブルグ珪土、水酸化アルミニウム、ガラス粉末、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、天然マイカ、合成マイカ、水酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、酸化鉄、非繊維状ガラス、ハイドロタルサイト、ミネラルウール、アルミニウムシリケート、カルシウムシリケート、亜鉛華等が挙げられる。これらは、表面処理されていても、されていなくてもよい。また、表面処理されていない硫酸バリウムおよびタルクを含有してもよい。
【0045】
前記(D)表面処理された硫酸バリウムと(E)表面処理されたタルクの含有量の合計が、無機フィラー成分全体の25〜100質量%であることが好ましく、30〜100質量%であることがより好ましく、50〜100質量%であることがさらに好ましい。
【0046】
(D)表面処理された硫酸バリウムおよび(E)表面処理されたタルクは、表面処理された状態で本発明のアルカリ現像可能な樹脂組成物に配合されていればよい。表面未処理の硫酸バリウムまたはタルクと表面処理剤とを別々に配合して組成物中で表面処理を行ってもよいが、予め表面処理することが好ましい。予め表面処理することによって、別々に配合した場合に残存しうる表面処理で消費されなかった表面処理剤によるクラック耐性等の低下を防ぐことができる。
【0047】
[(F)熱硬化性樹脂]
(F)熱硬化性樹脂としては、加熱により硬化して電気絶縁性を示す樹脂であればよく、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物、メラミン樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらは併用してもよい。
【0048】
上記エポキシ化合物としては、1個以上のエポキシ基を有する公知慣用の化合物を使用することができ、中でも、2個以上のエポキシ基を有する化合物が好ましい。例えば、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレートなどのモノエポキシ化合物などのモノエポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、フェニル−1,3−ジグリシジルエーテル、ビフェニル−4,4’−ジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールまたはプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等の1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物が挙げられる。これらは、要求特性に合わせて、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0049】
2個以上のエポキシ基を有する化合物としては、具体的には、三菱化学社製のjER828、jER834、jER1001、jER1004、DIC社製のエピクロン840、エピクロン850、エピクロン1050、エピクロン2055、新日鉄住金化学社製のエポトートYD−011、YD−013、YD−127、YD−128、ダウケミカル日本社製のD.E.R.317、D.E.R.331、D.E.R.661、D.E.R.664、住友化学社製のスミ−エポキシESA−011、ESA−014、ELA−115、ELA−128、旭化成イーマテリアルズ社製のA.E.R.330、A.E.R.331、A.E.R.661、A.E.R.664等のビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱化学社製のjERYL903、DIC社製のエピクロン152、エピクロン165、新日鉄住金化学社製のエポトートYDB−400、YDB−500、ダウケミカル日本社製のD.E.R.542、住友化学社製のスミ−エポキシESB−400、ESB−700、旭化成イーマテリアルズ社製のA.E.R.711、A.E.R.714等のブロム化エポキシ樹脂;三菱化学社製のjER152、jER154、ダウケミカル日本社製のD.E.N.431、D.E.N.438、DIC社製のエピクロンN−730、エピクロンN−770、エピクロンN−865、新日鉄住金化学社製のエポトートYDCN−701、YDCN−704、日本化薬社製のEPPN−201、EOCN−1025、EOCN−1020、EOCN−104S、RE−306、NC−3000、住友化学社製のスミ−エポキシESCN−195X、ESCN−220、旭化成イーマテリアルズ社製のA.E.R.ECN−235、ECN−299、新日鉄住金化学社製のYDCN−700−2、YDCN−700−3、YDCN−700−5,YDCN−700−7、YDCN−700−10、YDCN−704 YDCN−704A、DIC社製のエピクロンN−680、N−690、N−695(いずれも商品名)等のノボラック型エポキシ樹脂;DIC社製のエピクロン830、三菱化学社製jER807、新日鉄住金化学社製のエポトートYDF−170、YDF−175、YDF−2004等のビスフェノールF型エポキシ樹脂;新日鉄住金化学社製のエポトートST−2004、ST−2007、ST−3000等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱化学社製のjER604、新日鉄住金化学社製のエポトートYH−434;住友化学社製のスミ−エポキシELM−120等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ヒダントイン型エポキシ樹脂;ダイセル社製のセロキサイド2021等の脂環式エポキシ樹脂;三菱化学社製のYL−933、ダウケミカル日本社製のT.E.N.、EPPN−501、EPPN−502等のトリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂;三菱化学社製のYL−6056、YX−4000、YL−6121等のビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂またはそれらの混合物;日本化薬社製EBPS−200、ADEKA社製EPX−30、DIC社製のEXA−1514等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;三菱化学社製のjER157S等のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;三菱化学社製のjERYL−931等のテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;日産化学工業社製のTEPIC等の複素環式エポキシ樹脂;日油社製ブレンマーDGT等のジグリシジルフタレート樹脂;新日鉄住金化学社製ZX−1063等のテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂;新日鉄住金化学社製ESN−190、ESN−360、DIC社製HP−4032、EXA−4750、EXA−4700等のナフタレン基含有エポキシ樹脂;DIC社製HP−7200、HP−7200H等のジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂;日油社製CP−50S、CP−50M等のグリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂;さらにシクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂;CTBN変性エポキシ樹脂(例えば新日鉄住金化学社製のYR−102、YR−450等)等が挙げられるが、これらに限られるものではない。これらの中でも、特に変色耐性に優れることよりビスフェノールA型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂またはそれらの混合物が好ましい。
これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0050】
次に、オキセタン化合物について説明する。下記一般式(II)、
(式中、R
1は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す)により表されるオキセタン環を含有するオキセタン化合物の具体例としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(東亞合成社製OXT−101)、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン(東亞合成社製OXT−211)、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン(東亞合成社製OXT−212)、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン(東亞合成社製OXT−121)、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル(東亞合成社製OXT−221)などが挙げられる。さらに、フェノールノボラックタイプのオキセタン化合物なども挙げられる。これらオキセタン化合物は、上記エポキシ化合物と併用してもよく、また、単独で使用してもよい。
【0051】
(F)熱硬化性樹脂の配合量は、感光性プレポリマー100質量部に対し、20〜80質量部が好ましく、30〜60質量部がより好ましい。
【0052】
(硬化触媒)
本発明のアルカリ現像型の樹脂組成物には、硬化触媒を含有させることができる。硬化触媒としては、具体的には例えば、三級アミン、三級アミン塩、四級オニウム塩、三級ホスフィン、クラウンエーテル錯体、および、ホスホニウムイリドなどが挙げられ、これらの中から任意に、単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0053】
中でも特に、商品名2E4MZ、C11Z、C17Z、2PZ等のイミダゾール類や、商品名2MZ−A、2E4MZ−A等のイミダゾールのAZINE化合物、商品名2MZ−OK、2PZ−OK等のイミダゾールのイソシアヌル酸塩、商品名2PHZ、2P4MHZ等のイミダゾールヒドロキシメチル体(商品名はいずれも四国化成工業社製)、ジシアンジアミドおよびその誘導体、メラミンおよびその誘導体、ジアミノマレオニトリルおよびその誘導体、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエタノールアミン、ジアミノジフェニルメタン、有機酸ジヒドラジド等のアミン類、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(商品名DBU、サンアプロ社製)、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(商品名ATU、味の素社製)、または、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン等の有機ホスフィン化合物などが好適に挙げられる。
【0054】
硬化触媒の配合量は、感光性プレポリマー100質量部に対し、0.5〜5質量部が好ましく、1〜3質量部がより好ましい。
【0055】
(有機溶剤)
本発明のアルカリ現像型の樹脂組成物には、組成物の調製や、基板やキャリアフィルムに塗布する際の粘度調整等の目的で、有機溶剤を含有させることができる。有機溶剤としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、炭酸プロピレン等のエステル類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤など、公知慣用の有機溶剤が使用できる。これらの有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0056】
(その他の任意成分)
さらに、本発明のアルカリ現像型の樹脂組成物には、電子材料の分野において公知慣用の他の添加剤を配合してもよい。他の添加剤としては、熱重合禁止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、老化防止剤、抗菌・防黴剤、消泡剤、レベリング剤、増粘剤、密着性付与剤、チキソ性付与剤、着色剤、光開始助剤、増感剤、熱可塑性樹脂、有機フィラー、離型剤、表面処理剤、分散剤、分散助剤、表面改質剤、安定剤、蛍光体等が挙げられる。
【0057】
本発明のアルカリ現像型の樹脂組成物は、ドライフィルム化して用いても液状として用いても良い。液状として用いる場合は、1液性でも2液性以上でもよい。
【0058】
次に、本発明のドライフィルムは、キャリアフィルム上に、本発明のアルカリ現像型の樹脂組成物を塗布、乾燥させることにより得られる樹脂層を有する。ドライフィルムを形成する際には、まず、本発明のアルカリ現像型の樹脂組成物を上記有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整した上で、コンマコーター、ブレードコーター、リップコーター、ロッドコーター、スクイズコーター、リバースコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター等により、キャリアフィルム上に均一な厚さに塗布する。その後、塗布された組成物を、通常、50〜130℃の温度で1〜30分間乾燥することで、樹脂層を形成することができる。塗布膜厚については特に制限はないが、一般に、乾燥後の膜厚で、10〜150μm、好ましくは15〜60μmの範囲で適宜選択される。
【0059】
キャリアフィルムとしては、プラスチックフィルムが用いられ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等を用いることができる。キャリアフィルムの厚さについては特に制限はないが、一般に、10〜150μmの範囲で適宜選択される。
【0060】
キャリアフィルム上に本発明のアルカリ現像型の樹脂組成物からなる樹脂層を形成した後、膜の表面に塵が付着することを防ぐ等の目的で、さらに、膜の表面に、剥離可能なカバーフィルムを積層することが好ましい。剥離可能なカバーフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルムやポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、表面処理した紙等を用いることができる。カバーフィルムとしては、カバーフィルムを剥離するときに、樹脂層とキャリアフィルムとの接着力よりも小さいものであればよい。
【0061】
なお、本発明においては、上記カバーフィルム上に本発明のアルカリ現像型の樹脂組成物を塗布、乾燥させることにより樹脂層を形成して、その表面にキャリアフィルムを積層するものであってもよい。すなわち、本発明においてドライフィルムを製造する際に本発明のアルカリ現像型の樹脂組成物を塗布するフィルムとしては、キャリアフィルムおよびカバーフィルムのいずれを用いてもよい。
【0062】
また、本発明のアルカリ現像型の樹脂組成物を、例えば、上記有機溶剤を用いて塗布方法に適した粘度に調整して、基材上に、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法等の方法により塗布した後、約60〜100℃の温度で組成物中に含まれる有機溶剤を揮発乾燥(仮乾燥)させることで、タックフリーの樹脂層を形成することができる。また、上記組成物をキャリアフィルムまたはカバーフィルム上に塗布し、乾燥させてフィルムとして巻き取ったドライフィルムの場合、ラミネーター等により本発明の組成物の層が基材と接触するように基材上に貼り合わせた後、キャリアフィルムを剥がすことにより、樹脂層を形成できる。
【0063】
上記基材としては、あらかじめ銅等により回路形成されたプリント配線板やフレキシブルプリント配線板の他、紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不繊布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素樹脂・ポリエチレン・ポリフェニレンエーテル,ポリフェニレンオキシド・シアネート等を用いた高周波回路用銅張積層板等の材質を用いたもので、全てのグレード(FR−4等)の銅張積層板、その他、金属基板、ポリイミドフィルム、PETフィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を挙げることができる。
【0064】
本発明のアルカリ現像型の樹脂組成物を塗布した後に行う揮発乾燥は、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブン等(蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用いて乾燥機内の熱風を向流接触せしめる方法およびノズルより支持体に吹き付ける方式)を用いて行うことができる。
【0065】
本発明のアルカリ現像型の樹脂組成物を塗布し、溶剤を揮発乾燥した後に得られた樹脂層に対し、露光(光照射)を行うことにより、露光部(光照射された部分)が硬化する。具体的には、接触式または非接触方式により、パターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性エネルギー線により露光、もしくは、レーザーダイレクト露光機により直接パターン露光する。未露光部を希アルカリ水溶液(例えば、0.3〜3質量%炭酸ソーダ水溶液)により現像することにより、レジストパターンを形成できる。
【0066】
上記活性エネルギー線照射に用いられる露光機としては、高圧水銀灯ランプ、超高圧水銀灯ランプ、メタルハライドランプ、水銀ショートアークランプ等を搭載し、350〜450nmの範囲で紫外線を照射する装置であればよく、さらに、直接描画装置(例えば、コンピューターからのCADデータにより直接レーザーで画像を描くレーザーダイレクトイメージング装置)も用いることができる。直描機のランプ光源またはレーザー光源としては、最大波長が350〜410nmの範囲にあるものでよい。画像形成のための露光量は膜厚等によって異なるが、一般には20〜1000mJ/cm
2、好ましくは20〜800mJ/cm
2の範囲内とすることができる。
【0067】
上記現像方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等によることができ、現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類等のアルカリ水溶液が使用できる。
【0068】
本発明のアルカリ現像可能な樹脂組成物は、プリント配線板の永久保護膜の形成に好ましく用いることができ、中でもソルダーレジスト層、層間絶縁層、フレキシブルプリント配線板のカバーレイの形成に好ましく用いることができる。
【実施例】
【0069】
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、以下において「部」および「%」とあるのは、特に断りのない限り全て質量基準である。
【0070】
(感光性プレポリマーの合成)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂EOCN−104S(日本化薬社製、エポキシ当量=220)220部(1当量)を攪拌機および還流冷却器の付いた四つ口フラスコに入れ、カルビトールアセテート218部を加え、加熱溶解した。次に重合禁止剤としてメチルハイドロキノン0.46部と反応触媒としてトリフェニルホスフィン1.38部を加えた。この混合物を95〜105℃に加熱し、アクリル酸50.4部(0.7当量)、p−ヒドロキシフェネチルアルコール41.5(0.3当量)を徐々に滴下し、16時間反応させた。この反応生成物(水酸基:1.3当量)を、80〜90℃まで冷却し、テトラヒドロフタル酸無水物91.2部(0.6当量)を加え、8時間反応させ、冷却後、取り出した。このようにして得られたカルボキシル基含有感光性樹脂は、不揮発分65%、固形分の酸価83mgKOH/gであった。以下、この反応液を感光性プレポリマー溶液A−1と称す。
【0071】
(実施例1〜4、比較例1〜3)
下記の表中に示す配合に従い、各成分を配合し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルで分散させ、混練して、主剤および硬化剤を調整した。表中の配合量は、質量部を示す。
【0072】
【表1】
A−1:上記で得た感光性プレポリマー溶液A−1(上記(A1)エチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有樹脂)
B−1:感光性(メタ)アクリレート化合物(DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬社製))
C−1:光重合開始剤(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、BASFジャパン社製)
D−1:堺化学社製B−30
E−1:日本タルク社製ミクロエースK1をビニルシラン系カップリング剤で表面処理したタルク
F−1:熱硬化性樹脂(日本化薬社製RE−306(フェノールノボラックエポキシ樹脂)
F−2:熱硬化性樹脂(ダイセル社製エポリードPB3600、エポキシ化ポリブタジエン)
F−3:熱硬化性樹脂(三菱化学社製YX−4000(ビフェニル型エポキシ樹脂)
*1:ジシアンジアミド
*2:ファーストゲンブルー5380
*3:クロモフタルエローAGR
*4:消泡剤、信越化学工業社製
*5:ポリヒドロキシカルボン酸エステル系添加剤、ビックケミー・ジャパン社製
*6:メラミン
*7:有機溶剤(ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダウケミカル社製)
*8:出光興産社製「イプゾール」#150
*9:日本タルク社製ミクロエースK−1
*10:堺化学工業社製硫酸バリウム110
*11:シリカ、東ソー・シリカ社製
*12:大日精化工業社製ダイミックビーズ UCN−5050Dクリヤー
【0073】
得られた主剤、および、主剤と硬化剤を混合して得た実施例1〜4および比較例1〜3の樹脂組成物について、以下に従い、評価を行った。その結果を、下記の表中に示す。
【0074】
(粘度/TI)
上記で得た主剤ならびに各実施例および比較例の樹脂組成物を0.2ml採取し、コーンプレート型粘度計(東機産業社製TV−33H)を用いて、25℃、回転数5rpm(せん断速度10
−1s)の30秒値の粘度および回転数50rpm(せん断速度100
−1s)の30秒値の粘度を測定した。表2中の粘度は、せん断速度10
−1sでの粘度値である。
TI=[せん断速度10
−1sでの粘度値]/[せん断速度100
−1sでの粘度値]
【0075】
(感度)
各実施例および比較例の樹脂組成物を、洗浄した銅べた基板上にスクリーン印刷で乾燥後10μmとなるよう全面塗布し、熱風循環式乾燥炉において80℃で10分間乾燥させた。この塗膜上にステップタブレット(Kodak No.2)を当て、オーク製作所社製メタルハライドランプを搭載した露光機にて500〜700mJ/cm
2の露光量で露光し、1wt%Na
2CO
3水溶液によりスプレー圧0.2MPaで30℃、1分間現像した後における残存段数を調べた。残存段数が多いほど、感度が良好であり好ましい。
【0076】
(乾燥管理幅)
各実施例および比較例の樹脂組成物を、パターン形成された銅箔基板上に、乾燥後20μmになるようにスクリーン印刷でインキを全面塗布した。このようにして樹脂組成物が塗布された基板を各実施例、比較例ごとに4枚ずつ用意し、80℃で乾燥を行った。乾燥開始から60〜90分まで10分おきに各実施例、比較例ごとに1枚ずつ基板を取り出し、それぞれ室温まで冷却した。
乾燥時間の異なる各基板に対して、1wt%Na
2CO
3水溶液によりスプレー圧0.2MPaで30℃、1分間現像を行い、それぞれの乾燥条件において現像後に銅上を目視し、現像性の評価として、樹脂組成物の成分が残渣として残っているかどうかを試験した。現像可能な乾燥温度および乾燥時間の幅を乾燥管理幅と言い、現像可能な乾燥時間が長時間であるほど乾燥によるマージンが広く、基材作製工程による製造管理がしやすいということになる。
○:基板上に残渣物なし。
△:基板の一部に残渣物あり。
×:基板の全面に残渣物あり。
【0077】
(硬化物特性評価用の評価基板の作製)
各実施例および比較例の樹脂組成物を、パターン形成された銅箔基板上に、乾燥膜厚が20μmになるように全面塗布し、80℃で30分間乾燥し、室温まで放冷した。この基板に高圧水銀灯を搭載した露光装置を用いて、下記のように求めた最適露光量でパターン露光した後、1wt%Na
2CO
3水溶液によりスプレー圧0.2MPaで30℃、1分間現像を行い、パターンを得た。この基板を150℃で60分間加熱硬化させた後、室温まで放冷した。この基板を、UVコンベアー炉にて積算光量1000mJ/cm
2の条件で紫外線照射し、硬化物パターンの形成された硬化物特性評価用の評価基板を得た。
【0078】
(最適露光量)
各実施例および比較例の樹脂組成物を、バフロール研磨後、水洗し、乾燥させた銅厚35μmの回路パターン基板に、それぞれスクリーン印刷法により全面に塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で30分間乾燥させた。
乾燥後、オーク製作所社製メタルハライドランプ搭載の露光装置を用いてステップタブレット(Kodak No.2)を介して露光し、1wt%Na
2CO
3水溶液によりスプレー圧0.2MPaで30℃、1分間現像を行った際残存するステップタブレットのパターンが6段の時を最適露光量とした。
【0079】
(鉛筆硬度)
上記硬化物特性評価用の評価基板の硬化塗膜をJIS C 5400の試験方法に従って試験し、塗膜に傷のつかない最も高い硬度を観測した。
【0080】
(密着性)
上記硬化物特性評価用の評価基板をJIS D 0202の試験方法に従い、碁盤目状にクロスカットを入れ、ピールテストを行い、レジスト層の剥がれについて評価した。
【0081】
(はんだ耐熱性)
上記硬化物特性評価用の評価基板にロジン系フラックスを塗布した後、予め260℃に設定したはんだ槽に浸漬した。そして変性アルコールでフラックスを洗浄した後、目視によるレジスト層の膨れ・剥がれについて評価した。評価基準は以下のとおりである。
○:10秒間浸漬を3回繰り返しても剥がれが認められない。
△:10秒間浸漬を3回繰り返すと少し剥がれる。
×:10秒間浸漬を3回以内にレジスト層に膨れ、剥がれがある。
【0082】
(耐溶剤性)
上記硬化物特性評価用の評価基板をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに室温で30分間浸漬し、染み込みや塗膜の溶け出しを目視で確認し、更にテープピーリングによる剥がれを確認した。判定基準は以下のとおりである。
○:塗膜に変化が認められないもの。
△:塗膜が僅かに変化しているもの。
×:塗膜に膨れあるいは膨潤脱落があるもの。
【0083】
(吸水率)
予め重量を測定したガラス基板に上記硬化物特性評価用の評価基板の作製と同様にして樹脂組成物の硬化物パターンを形成し、総重量を測定した。そして25℃のイオン交換水に24時間浸漬した後、重量を測定し、重量の増加率を吸水率とし、以下の判定基準に従って評価した。
○:吸水率1.0%以上1.5%未満。
△:吸水率1.5%以上2.0%未満。
×:吸水率2.0%以上。
【0084】
(絶縁抵抗)
IPC−SM−840−Dに記載のIPC−B−25A くし型電極が形成されたFR−4基板上に、上記硬化物特性評価用の評価基板の作製と同様にして樹脂組成物の硬化物パターンを形成し、絶縁抵抗測定用の評価基板を作製した。得られた評価基板の絶縁抵抗値を下記条件で測定し、初期値とした。その後、IPC−SM−840−D Class H(25〜65℃±2℃のサイクル、湿度90%+3%,−5%、VDC=50V、測定時100V、T=160h、Dクーポン、500メガΩ以上)に準拠して処理した絶縁抵抗値を下記条件で測定した。
絶縁抵抗の測定条件:
評価基板にDC100Vを印加し、絶縁抵抗値を測定した。前記処理後の絶縁抵抗値を、以下の判定基準に従って評価した。
○:絶縁抵抗が1.0×10
12Ω以上。
×:絶縁抵抗が1.0×10
12Ω未満。
【0085】
(加湿後の誘電率・誘電正接)
上記硬化物特性評価用の評価基板の硬化塗膜を、25℃〜65℃(サイクル)、90%RH、7日間処理の加湿条件で処理した後、日本ヒューレット・パッカード社製のMULTI−FREQUENCY LCR METER 4275Aを用いて共振法により、誘電率、誘電正接を測定した。誘電率、誘電正接の測定はJIS K 6911に従った。誘電率、誘電正接を、以下の判定基準に従って評価した。
[加湿後の誘電率(Df)]
○:5.0未満。
×:5.0以上。
[加湿後の誘電正接(Dk)]
○:0.4未満。
×:0.4以上。
【0086】
(吸湿後のはんだ耐熱性)
上記硬化物特性評価用の評価基板について、PCT(121℃、100%R.H.、24時間)の条件で加湿処理後、基板に水溶性フラックス(W−2704、メック社製)を塗布し、288℃のはんだ槽へ15秒間基板を浸漬した。次に、約60℃の水中へ基板を投入し10分間放置した(フラックス除去工程)後、基板を水中から取り出し、基板表面の水分をよく拭き取った。その後、この基板において、レジスト層の膨れや剥がれの有無を評価した。判定基準は以下のとおりである。
○:膨れ、剥がれ無し。
△:軽微な膨れまたは軽微な剥がれ有り。
×:膨れ又は剥がれ有り。
【0087】
【表2】
【0088】
実施例1〜4のアルカリ現像型の樹脂組成物は、密着性に優れ、また、吸水率が低く、IPCサイクル処理後の絶縁抵抗が高いことから、耐水性に優れることがわかる。(D)表面処理されたバリウムにかえて、表面未処理のバリウムを配合した比較例1、(E)表面処理されたタルクにかえて、表面未処理のタルクを配合した比較例2、および、硫酸バリウムとタルクが共に表面未処理である比較例3のアルカリ現像型の樹脂組成物は、吸水率が高く、IPCサイクル処理後の絶縁抵抗が低いことから、耐水性に劣ることがわかる。
【0089】
また、実施例1〜4のアルカリ現像型の樹脂組成物は、加湿後の誘電率および誘電正接ならびに吸湿後のはんだ耐熱性にも優れていた。