(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
<画像形成装置>
以下、まず本発明の第1実施形態に係る定着装置を備える画像形成装置70の全体構成を画像形成時の動作とともに図面を参照しながら説明する。なお、記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0013】
図1に示す様に、画像形成装置70はシートS(記録材)にトナー像を転写する画像形成部と、画像形成部へシートSを供給するシート給送部と、シートSにトナー像を定着する定着部を備える。
【0014】
画像形成部は、感光体ドラム51、帯電ローラ52、レーザスキャナユニット53、現像装置54、転写ローラ55などを備える。
【0015】
画像形成に際しては、制御部303(
図8参照)がプリント信号を発すると、給送ローラ59及び搬送ローラ58によってシート積載部60に積載収納されたシートSが画像形成部に送り出される。
【0016】
一方、画像形成部においては、帯電ローラ52に帯電バイアスが印加されることにより、感光体ドラム51の表面が帯電させられる。そして、レーザスキャナユニット53が不図示の光源からレーザ光を出射し、画像情報に応じてレーザ光を感光体ドラム51に照射する。これにより感光体ドラム51の電位が部分的に低下して画像情報に応じた静電潜像が感光体ドラム51の表面上に形成される。
【0017】
その後、現像装置54が備える現像スリーブ56に現像バイアスが印加されることにより、現像スリーブ56から感光体ドラム51表面に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像が形成される。感光体ドラム51表面に形成されたトナー像は、感光体ドラム51と転写ローラ55との間に形成された転写ニップ部に送り込まれる。トナー像が転写ニップ部に到着すると、転写ローラ55にトナーと逆極性の転写バイアスが印加されてトナー像がシートSに転写される。これにより、シートS上(記録材上)に画像が形成される。
【0018】
その後、トナー像が転写されたシートSは定着装置8に送られ、定着装置8によりトナー像が加熱・加圧され、トナー像がシートSに定着される。その後、シートSは排出ローラ62によって搬送されて排出部63に排出される。
【0019】
<定着装置>
次に、定着装置8について説明する。
図2は定着装置8の斜視概略図である。また
図3は定着装置8の短手方向の断面概略図である。また
図4はフィルムユニット1の長手方向の断面概略図である。
【0020】
図2、
図3、
図4に示す様に、定着装置8は、フィルムユニット1と加圧ローラ2を備える。また、フィルムユニット1は筒状のフィルム101を備え、フィルム101の内部にはヒータ102、ヒータホルダ103(保持部材)、ステー104(補強部材)、サーミスタ105(温度検知手段)、温度ヒューズ106(保護部材)等が配置される。
【0021】
加圧ローラ2は、鉄やアルミニウム等からなる芯金202の周囲にゴム層203を設けた弾性ローラである。芯金202の端部にはギア201が取り付けられており、ギアに動力を与える事で加圧ローラ2が回転する。
【0022】
フィルムユニット1は、加圧ローラ2方向に荷重が掛けられており、フィルム101と加圧ローラ2との間に定着ニップ部が形成される。そして、加圧ローラ2のギア201に不図示のモータの駆動力が伝わると加圧ローラ2が回転し、フィルム101が加圧ローラ2の回転に従動して回転する。この定着ニップ部において、シートSを搬送しながらシートS上の未定着画像がヒータ102の熱によりシートSに加熱定着される。
【0023】
フィルム101は、ポリイミドなどの樹脂材料などで形成された基層と、フッ素樹脂等の表面層を有し、ヒータホルダ103及びステー104の周囲に嵌められて保持されている。
【0024】
またヒータホルダ103は、熱可塑性樹脂で形成されており、ヒータ102を長手方向に亘って保持する。またステー104は、ヒータホルダ103に長手方向に亘って接触してヒータホルダ103を補強する。なお、本実施形態では、ステー104は鉄を材料とした導電性の部材であり、断面はU字の形状をしており、加圧ローラ2より加圧された場合にフィルムユニット1の剛性を保つ。
【0025】
サーミスタ105は、ヒータホルダ103とステー104の間の空間に設置されており、ヒータホルダ103に設けられた貫通孔からヒータ102の熱を受ける。サーミスタ105は、ヒータホルダ103に設けられた貫通孔に挿入されており、板バネ107によりヒータ102に向かって付勢されている。なお、サーミスタ105は、画像形成装置70で使用可能な最小の定型サイズのシートSが通過する領域に配置される。
【0026】
温度ヒューズ106は、ヒータホルダ103に設けられた貫通孔に挿入されており、板バネ108によって付勢されている。板バネ108は、バネ保持部材109にて保持されている。そしてヒータホルダ103に設けられた貫通孔からヒータ102の熱を受ける。なお、温度ヒューズ106はサーミスタ105同様に、画像形成装置70で使用可能な最小の定型サイズのシートSが通過する領域に配置される。
【0027】
図5は、ヒータ102の断面概略図である。
図5に示す様に、ヒータ102は、セラミック基板102a上に抵抗体102bが配置されたセラミックヒータである。抵抗体102bはガラス等の絶縁層102cで覆われており、セラミック基板102a上の導通部からフィルム101に対して絶縁されている。抵抗体102bへの電気的な接続は2ヶ所に設けられた接点102dに接触することで行われる。
【0028】
図6は、サーミスタ105の断面概略図である。サーミスタ105は、ヒータ102の温度を検知する。
図6に示す様に、サーミスタ105は、台座部105aと、台座部105aに保持された弾性部105bと、弾性部に保持されたサーミスタ素子105cと、これらに巻きつける絶縁シート105dを有する。また、サーミスタ素子105cからは、導線と台座部105a内部の板金を介して2つの外部接続用の端子105e、105fに電気的に接続されている。
【0029】
図7は温度ヒューズ106の断面概略図である。温度ヒューズ106は、ヒータ102の温度が所定以上となったときに通電を遮断して温度保護を行う。
図7に示す様に、温度ヒューズ106の内部には、接点106aと接点106bが設けられている。接点106bは、バネ部106dで圧縮される形でペレット106cにより抑えられることで導通する。
【0030】
ペレット106cは有機化合物であり、温度ヒューズ106が所定の温度以上になると融解する。このため、ヒータ102が所定の温度以上になってペレット106cが融解すると、バネ部106dを保持出来なくなり、接点106bが離れるために通電が遮断される。
【0031】
<電力供給回路>
次に、定着装置8への電力供給に関して説明する。
図8は定着装置8への電力供給に関する回路図である。
【0032】
図8に示す様に、定着装置8が備えるフィルムユニット1への電力供給は、交流電源301(商用電源)から駆動回路及びコネクタ309を介して行われる。このように電力が供給されることでヒータ102の抵抗体102bが発熱し、フィルム101を介してシートSに熱を加える。
【0033】
交流電源301から分岐して電源生成部302にて生成されるVcc1及びVcc2は、制御部303の電源、画像形成装置70本体の駆動、画像形成部に使用される直流電圧である。
【0034】
駆動回路は、リレー304及びトライアック305により電力の供給を制御する。また電力供給量は、検知されたヒータ102の温度と目標温度とを比較することで、制御部303において制御される。
【0035】
ヒータ102の温度は、交流電源301から作られる直流電圧Vcc1とサーミスタ105とプルアップ抵抗310による分圧を検知し、制御部303にてA/D変換を行っている。サーミスタ105は、温度の変化により抵抗値が変化する素子であり、ヒータ102の温度が上がると、サーミスタ105の抵抗値が下がり、分圧電圧が下がる。逆に、ヒータ102の温度が上がると、サーミスタ105の抵抗値が上がり、分圧電圧が上がる。このようにしてヒータ102の温度を検知することが可能となる。
【0036】
リレー304は、画像形成時にONされ、ヒータ102への電力供給を可能とする。トライアック305の駆動は、フォトトライアックカプラ306にて制御される。フォトトライアックカプラ306へのON/OFF信号は、ヒータ102の温度と目標温度の差分をもとに、制御部303内に設けられる温度テーブルから出力が決められ、制御部303から制御信号がフォトトライアックカプラ306へ伝達される。本実施形態では、出力は商用電源電圧の1半波毎に制御する波数制御を行っている。
【0037】
またフィルムユニット1内において、ヒータ102と温度ヒューズ106とが直列に接続されている。前述した通り、温度ヒューズ106はフィルムユニット1内にてヒータ102と接触しており、ヒータ102の熱を受けている。そしてヒータ102の温度が何らかの原因で高温になった場合に、温度ヒューズ106が動作してヒータ102への通電を遮断する。
【0038】
駆動回路からは、コネクタ309を用いてAC束線311で伝送される。AC束線311は、絶縁被覆を有する撚り線である。AC束線311は導電部材M11を介して温度ヒューズ106の端子(トライアック305側)に電気的に接続されている。温度ヒューズ106の逆側の端子(リレー304側)は、導電部材M12に接続されており、導電部材M12は導電部材M13に電気的に接続されている。
【0039】
導電部材M13からヒータ102の接点102dへは、電気的に接続された導電部材M14を介して接続される。同様にヒータ102のもう一方の接点102dからも導電部材M14、M15を介してAC束線311に接続されている。
【0040】
サーミスタ105には、2つの外部接続用の端子105e、105fを介して導電部材M16、M17が接続されている。導電部材M16、M17からはそれぞれDC束線312に接続され、制御部303が搭載される基板に接続されている。なお、DC束線312は絶縁被覆を有する撚り線である。
【0041】
<絶縁要求>
次に、前述した絶縁要求を満足させるための構成について説明する。
【0042】
図9は、ヒータ102に接続される1次側回路部分の導電部材の構成を示す斜視図である。導電部材M11、M12、M13はプレス加工により得られた板金(金属製の板状部材)であり、その材料は錫メッキの施された銅合金である。なお、絶縁被覆は施されていない。
【0043】
図9に示す様に、温度ヒューズ106は、ヒータ102の長手方向とヒューズ管が平行になるように配置されている。導電部材M11、M12は、温度ヒューズ106と接続部C1及び接続部C2において接続される。接続部C1、C2は、ヒータ102の厚み方向(矢印Z方向)と垂直な平面(X−Y平面)に平行の方向に配置される。
【0044】
また導電部材M11は、フィルムユニット1の外に出る形状になっており、接続部C6においてAC束線311に接続される。導電部材M12及びM13は接続部C3にて接続される。C3も、C1及びC2同様の方向に配置される。
【0045】
また、区間Aにおいて、導電部材M11、M12は、接続部C1及びC2からヒータ102の厚み方向(矢印Z方向)と平行な方向に90度曲げられている。なお、導電部材M11とM12で曲げる方向は、2つの部材間でショートを防ぐため逆方向になっている。これにより導電部材M11、M12を温度ヒューズ106の横を通すことが可能になり、ヒータ幅方向(矢印X方向)に対して省スペースな配置が可能になる。
【0046】
図10はフィルムユニット1の1次回路部分を示す斜視図である。
図11はフィルムユニット1の1次回路接続部周辺を示す斜視図である。
図10、
図11に示す様に、導電部材M11、M12は、ヒータホルダ103上に配置される。
【0047】
ここで前述した通り、導電部材M11、M12は絶縁被覆を有しない。このため、これらが接触した場合には接触した部分で通電が行われる。この場合、温度ヒューズ106を介さない電流経路となるため、温度ヒューズ106の動作による電力供給の遮断が無効になってしまう。そこで導電部材M11、M12の間に絶縁性の壁K3(絶縁部材)を配置し、導電部材M11、M12の接触を防いでいる。
【0048】
また導電部材M11と導電部材M12が最も近くなる部分は、導電部材M11、M12の厚み方向が矢印Z方向となる区間D(
図10)である。従って、矢印Y方向において、壁K3を区間Dを含む範囲である区間Eに設けることで導電部材M11と導電部材M12との接触を防いでいる。
【0049】
またヒータホルダ103上には、導電部材M11とステー104の間に、これらの部材間で所定の絶縁距離を確保するための絶縁性の壁K1(絶縁物、壁部)が配置されている。また導電部材M12とステー104の間に、これらの部材間で所定の絶縁距離を確保するための絶縁性の壁K2(絶縁物、壁部)が配置されている。なお、壁K1、K2はヒータホルダ103と一体成型されている。
【0050】
絶縁のための距離は安全規格IEC60950で定められており、200V系で使用する場合、基礎絶縁の要求として沿面距離2.5mmが要求される。このため、壁K1、K2の矢印Z方向の長さ(高さ)は、導電部材M11、M12が最も矢印Z方向に長くなる部分からステー104までの沿面距離が2.5mm以上となるように設定する。また、壁K1、K2の矢印X方向の長さ(厚み)は、上記安全規格の要求を満足させるために0.4mm以上に設定する。
【0051】
また、AC束線311等に外力が加わる場合、導電部材M11が矢印Z方向に浮いてしまって位置がずれてしまうおそれがある。導電部材M11が浮いてしまった場合、ステー104のステー脚部104bに接触し、前述した絶縁距離を満足できなくなるおそれがある。そこでステー脚部104bと導電部材M11との間に絶縁性のスペーサM18(絶縁物)を配置することで、接触を防いで絶縁距離を満足させる。
【0052】
図12は、ヒータ102の接点102d周辺の構成を示す斜視図である。
図12に示す様に、ヒータ102はヒータホルダ103と2つの導電部材M14(コンタクト)に挟まれる形で配置される。この時、ヒータ102に形成される2つの接点102dに対して、導電部材M14のバネ接点を接触させることで電気的な導通を確保する。2つの導電部材M14は、ヒータ102とヒータホルダ103を挟み込む形で、それぞれ導電部材M13及びM15に接続される。接続部C4、C5は、2つの導電部材M14と導電部材M13、M15の接続点である。
【0053】
図13は、サーミスタ105と導電部材M16、M17の構成を示す斜視図である。
図13に示す様に、サーミスタ105は、ヒータ102の長手方向(矢印Y方向)の端部に端子105eと端子105fの2つの端子を有する。端子105eに対しては、導電部材M17が接続されている。また端子105fに対しては、導電部材M16が接続されている。
【0054】
導電部材M16は、一端は端子105fに接続され、他端は接続部C12にてDC束線312に設続されている。導電部材M17も同様に、一端は端子105eに接続され、他端は接続部C11にてDC束線312に接続されている。本実施形態では、導電部材M16と導電部材M17は、金属製の線状部材として、絶縁被覆を持たないΦ0.6mmの錫めっき軟銅線(ジャンパ線)を用いる。錫めっき軟銅線は電気基板で使用される安価な材料である。
【0055】
図14は、サーミスタ105に接続される2次回路部分を示す斜視図である。
図14に示す様に、導電部材M16、M17やサーミスタ105はヒータホルダ103上に配置される。
【0056】
ここで前述した通り、導電部材M16、M17は絶縁被覆を有しない。このため、これらが接触した場合には接触した部分で通電が行われる。この場合、サーミスタ105による温度情報の検知ができなくなる。そこで導電部材M16と導電部材M17の間に絶縁性の壁K6(絶縁部材)を配置することで、導電部材M16、M17の接触を防いで絶縁を確保している。なお、壁K6はヒータホルダ103と一体成型されている。
【0057】
またヒータホルダ103上には、導電部材M16とステー104の間に、これらの部材間で所定の絶縁距離を確保するための絶縁性の壁K4(絶縁物、壁部)が配置されている。また導電部材M17とステー104の間に、これらの部材間で所定の絶縁距離を確保するための絶縁性の壁K5(絶縁物、壁部)が配置されている。なお、壁K4、K5はヒータホルダ103と一体成型されている。また壁K2(
図10参照)と壁K5、壁K1(
図10参照)と壁K4は矢印Y方向でそれぞれ繋がっている。
【0058】
安全規格IEC60950では、商用電源に繋がる1次回路と、1次回路と絶縁された2次回路には、沿面距離5.0mmが要求されている。前述した通り、ステー104は1次回路と基礎絶縁が確保されている。このため、ステー104と2次回路に当たるサーミスタ105には付加絶縁相当(沿面距離2.5mm)が必要となる。
【0059】
従って、壁K5は、導電部材M17とステー104がヒータ102の長手方向(矢印Y方向)においてオーバーラップする区間Gの範囲に設けられる。また壁K4は、導電部材M16とステー104がヒータ102の長手方向(矢印Y方向)においてオーバーラップする区間Hの範囲に設けられる。また壁K4、K5の矢印Z方向の長さ(高さ)は、導電部材M16とM17とが矢印Z方向に最も長くなる区間Fにおいて、ステー104までの沿面距離が2.5mm以上になるように設定する。また壁K4、K5の矢印X方向の長さ(厚み)は安全規格の要求により0.4mm以上に設定されている。これにより、上記安全規格の絶縁要求を満足させることができる。
【0060】
なお、壁K4、壁K5の形状は、導電部材M16、M17の形状に追従するように設定すればよい。本実施形態では、導電部材M16、M17がステー104から離間する部分において壁K5、壁K4の高さを低くしている。これにより、壁K4、K5として使用する材料を減らすことが可能であり、コストダウンに繋がる。
【0061】
図15は、サーミスタ105に接続される2次回路部分の構成を示す断面図である。
図15に示す様に、サーミスタ105は、ヒータホルダ103上にて板バネ107によって付勢されている。
【0062】
ここで導電部材M16とステー104との間では、矢印Z軸方向の距離に関しても、上記絶縁要求のために所定の沿面距離を確保する必要がある。また導電部材M17とステー104も同様である。本実施形態の構成では、ステー104と板バネ107間、板バネ107と導電部材M16、M17間の2つの沿面距離が発生する。
【0063】
ここでステー104と板バネ107は、ヒータホルダ103に固定されているため、位置変化しない。一方、導電部材M16、M17の片側はサーミスタ105に接続されており、他方の端部は束線312に接続されている。つまり、導電部材M16、M17はヒータホルダ103に固定されていないため、矢印Z方向にずれて位置変化する可能性がある。
【0064】
そこで板バネ107と導電部材M16、M17との間にモールドで形成された絶縁性のスペーサM19(絶縁物)を配置する。これにより、板バネ107と導電部材M16、M17との接触を防ぎ、且つ、沿面距離の変化を防いで、必要な沿面距離を最短にすることができる。
【0065】
以上の構成により、高価な絶縁被覆線を用いることなく、所定の絶縁距離、すなわち所定の沿面距離及び空間距離を確保することができ、安価な構成で安全規格の絶縁要求を満足させることができる。また絶縁被覆による厚みもなくなるため、装置を小型化することができる。
【0066】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る定着装置を備える画像形成装置70の第2実施形態について図を用いて説明する。上記第1実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0067】
本実施形態の画像形成装置70の構成は第1実施形態に記載のものとほぼ同様である。但し、定着装置8には3つのサーミスタ417、418、419が設けられ、また定着装置8に関する制御回路が異なる。
【0068】
図16は、サーミスタ417の斜視概略図である。
図16に示す様に、サーミスタ417の外部接続用の2つの端子417a、417bには、導電部材M21とM22がそれぞれ接続されている。本実施形態では、導電部材M21、M22として、プレス加工により得られた板金を用いる。板金を用いることで、材料及び表面処理の選択の幅が広がり、より高温にさらされる環境化でも使用可能なものを選ぶことが可能である。さらに、導電部材M21、M22の断面積を減らすことが可能になり、複数のサーミスタを備え、より高温で使用する場合でも、ユニットサイズを大きくすることなく配置することが可能となる。
【0069】
なお、サーミスタ418、419も、サーミスタ417と同様の構成である。またサーミスタ418、419に接続される導電部材M23〜M26も、同様にプレス加工により得られた板金を用いる。また、導電部材M21〜M26は、絶縁被膜(絶縁層)を有しない板金(金属製の板状部材)である。
【0070】
図17は定着装置8への電力供給に関する回路図である。フィルムユニットへの電力供給に関する制御は第1実施形態とほぼ同様である。このため、以下では第1実施形態と異なる部分について説明する。
【0071】
図17に示す様に、交流電源301からフィルムユニット4への電力供給は、駆動回路及びコネクタ309を介して、AC束線409に接続されるコネクタ410にてヒータ102との接続を行っている。AC束線409は絶縁被覆を有する撚り線である。
【0072】
ヒータ416に接続される交流電源301の両ラインにリレー404、405が接続されている。これらのリレー404、405は、フィルムユニット4内に設けられた3つのサーミスタ417、418、419が検知した温度情報によりヒータ102の過昇温保護として機能する。
【0073】
3つのサーミスタ417、418、419は、それぞれ交流電源301から電源生成部302で生成されるVcc1と、プルアップ抵抗411、412、413に接続されている。そして、それぞれのサーミスタとプルアップ抵抗の分圧値を制御部303にてモニタしている。分圧値は制御部303にてA/D変換され、温度制御に用いられる。
【0074】
サーミスタ417は、導電部材M21、M22と接続されている。またサーミスタ418も同様に導電部材M23、M24と接続され、サーミスタ419も同様に導電部材M25、M26と接続されている。また導電部材M21〜M26は、DC束線415に接続されている。DC束線415は絶縁被覆を有する撚り線である。
【0075】
図18はフィルムユニット4の長手方向の断面図であり、
図19は短手方向の断面図である。また
図20はフィルムユニット4の平面図である。
【0076】
図18〜
図20に示す様に、3つのサーミスタ417、418、419は、ヒータホルダ103上に配置される。つまりヒータホルダ103上にはサーミスタが複数設けられる。またそれぞれのサーミスタは、サーミスタ抑え423とコイルバネ424によってヒータホルダ103に対して付勢されている。
【0077】
ここで前述した通り、導電部材M21〜M26は絶縁被膜を有しない。このため、導電部材同士が接触した場合に温度情報を検知することができなくなる。そこで下記に説明するように、それぞれの導電部材同士の間に絶縁物を配置して接触を防いでいる。
【0078】
まずヒータ102の幅方向(矢印X方向)に関しては、それぞれの導電部材の間にサーミスタ抑え423に形成されたリブ423a、423b、ヒータホルダ103に形成されたリブ103a、103bを絶縁部材として配置して導電部材同士の接触を防いでいる。
【0079】
なお、導電部材M25、M26は、区間Kcにおいてリブのヒータ厚み方向(矢印Z方向)で最も長く(高く)なる。従って、区間Kcにおいて、これらのリブのヒータ厚み方向の高さは導電部材M25、M26より高くなるように形成されている。また本実施形態では、導電部材のY方向への折り曲げ部が最も接触する範囲が広くなるため、リブ103a、103bを設けている。
【0080】
またヒータ厚み方向(矢印Z方向)において導電部材同士が接触する可能性がある区間は、導電部材M23及び導電部材M25、導電部材M24及び導電部材M26が重なる区間Kbである。そこで区間Kbにおいて導電部材同士の間に絶縁体のスペーサ421(絶縁部材)を挟み込む。これにより導電部材同士の接触を防止することができる。なお、本実施形態においては、導電部材M21〜M26として使用した板金の形状安定性が高いため、区間Kbの範囲全てにスペーサ421を設けなくとも接触防止の機能を満たすことができる。
【0081】
また、導電部材M21〜M26とステー104との間には、第1実施形態と同様に、安全規格IEC60950による絶縁距離が要求される。
【0082】
そこで導電部材M21〜M26、サーミスタ417〜419が配置される区間Kaにおいて、ステー104と導電部材M21〜M26との間に絶縁性の壁(絶縁物、壁部)を形成する。具体的には、ステー104と導電部材M22、M24、M26の間には壁K22を、導電部材M21、M23、M25の間には壁K21を配置する。また上記安全規格を満足させるため、壁K21、K22の矢印X方向の長さ(厚み)は、0.4mm以上に設定されている。なお、壁K21、K22はヒータホルダ103と一体成型されている。
【0083】
また壁K21、K22は、導電部材M25、M26が矢印Z方向で最も長い(高い)位置となる区間Kcにおいても、所定の絶縁距離である沿面距離が2.5mm確保できるように高さが設定される
【0084】
一方、区間Kc以外の範囲に関しては、導電部材M25、M26の矢印Z方向の高さが低くなる。壁K21、K22の高さは導電部材M25、M26の高さ以上になればいいため、区間Kc以外の範囲については、区間Kcの範囲よりも高さが低くなるように設定される。これにより所定の絶縁距離を確保しつつ、ヒータホルダ103の材料等を削減することができ、コストの削減に繋がる。
【0085】
また矢印Z方向に関して、ステー104と導電部材M25、M26は区間Kcにおいて最も近くなる。そこで区間Kcにおいてステー104と導電部材M25、M26との間に絶縁性のスペーサ422(絶縁物)を配置することで、上記安全規格が要求する所定の絶縁距離を確保する。
【0086】
以上の構成により、高価な絶縁被覆線を用いることなく、所定の絶縁距離、すなわち所定の沿面距離及び空間距離を確保することができ、安価な構成で安全規格の絶縁要求を満足させることができる。また絶縁被覆による厚みもなくなるため、装置を小型化することができる。