(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
スチレン系樹脂粒子を密閉容器中で水性媒体中に分散させ、発泡剤を含浸させる発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法であって、水性媒体中に2種類以上の金属塩と乳化させたアミド化合物を含み、スチレン系樹脂粒子が、スチレン系樹脂発泡体を加熱収縮および/または熱溶融により減容化して得られるリサイクルスチレン系樹脂を含み、
密閉容器を95℃以上130℃以下に加温した状態で発泡剤を添加し、
その後、密閉容器を110℃以上130℃以下にすることでリサイクルスチレン系樹脂粒子を球形化させることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
スチレン系樹脂粒子が、リサイクルスチレン系樹脂を50重量%以上含み、押出機を通してストランドカットした円柱状であることを特徴とする請求項1に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
第三リン酸カルシウムの添加量が、リサイクルスチレン系樹脂粒子100重量部に対して、0.25重量部以上0.8重量部以下であることを特徴とする請求項4に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
塩化ナトリウムの添加量が、リサイクルスチレン系樹脂粒子100重量部に対して、0.7重量部以上1.5重量部以下であることを特徴とする請求項4または5に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
【背景技術】
【0002】
発泡性スチレン系樹脂粒子からなるポリスチレン系発泡体は、形状が整った多数のセルが集合した構造体であることから緩衝性、断熱性に優れ、電化製品等の緩衝材、食品の保冷箱、住宅用の断熱材等、多くの分野で利用されている。一方、近年の環境保全に対する関心の高まりの中、広範囲に使用されているポリスチレン系発泡体を回収し再利用しようという試みが広がっている。再利用の方法としては、焼却による熱回収、熱収縮後にポリスチレンとして再利用する方法等があるが、特に循環型リサイクルシステムを目指して、再度、発泡性スチレン系樹脂粒子に再生することは非常に有意義であり関心が高まってきている。
【0003】
ところが、スチレン系樹脂を溶融、押出し、引き取り、急冷、切断等と加工していく為に、樹脂粒子には延伸力が内部歪として残留し、発泡性スチレン系樹脂粒子の製造に際して扁平した粒子になるという問題があった。また、再生品を原料とする場合は不特定な不純物が混在し、更に内部水分量が変動することから、得られる発泡スチレン系樹脂のセル状態は大きく不均一であったり、または過度に微細になったりするという欠点があった。
【0004】
かかる問題に対し、特許文献1では、反応器に水、スチレン系樹脂粒子、食塩、アミド化合物を入れ、90℃で発泡剤を加え120℃で含浸する回収ペレット化造粒方法が提案されている。しかしながら、アミド化合物を乳化せずに添加することからアミド化合物が二次凝集しセル状態を初期から長期にわたって均一にすることが困難であった。
【0005】
また、特許文献2では、反応器に水、円柱状スチレン系樹脂粒子、第三リン酸カルシウム、食塩を入れ、95℃で発泡剤を加え120℃で含浸する回収された再利用スチレン系樹脂の製造方法が提案されてる。しかしながら、球形化するために発泡剤を添加する前に高温にしなければならず、生産性が悪化する課題があった。また、アミド化合物を乳化させて添加していないので、セルを均一化することが困難であった。
【0006】
また、特許文献3では、スチレン系重合体粒子を含む反応器内に、エチレンビスステアロアマイドを水に分散させた液を加えた後、発泡剤を添加し100℃まで昇温する発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法が提案されているが、再生ポリスチレンを利用したものではなかった。
【0007】
また、特許文献4では、スチレン系樹脂とアミドを溶融押出し粉砕、水性媒体中にスチレン系樹脂粒子と金属塩を分散し、難燃剤の分散液を添加し、110℃で発泡剤を添加し含浸する発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法が提案されている。しかしながら、アミドを押出機中で粉砕混練するため、アミドが二次凝集してしまい、セルの均一化が困難であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、リサイクルスチレン系樹脂粒子を用いて、球状で、かつ、製造直後から均一微細なセル構造が得られ、成形性に優れたスチレン系発泡体を得ることができる発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者らは上記従来技術の問題点を改善するため鋭意検討した結果、分散剤条件及び造核剤添加条件を精査に検討することで、球状で製造直後から均一微細なセル構造が得られる発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法を見出すに至った。
【0011】
即ち、本発明の第1は、スチレン系樹脂粒子を密閉容器中で水性媒体中に分散させ、発泡剤を含浸させる発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法であって、水性媒体中に2種類以上の金属塩と乳化させたアミド化合物を含み、スチレン系樹脂粒子が、スチレン系樹脂発泡体を加熱収縮および/または熱溶融により減容化して得られるリサイクルスチレン系樹脂を含むことを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法に関する。
【0012】
本発明の第2は、スチレン系樹脂粒子が、リサイクルスチレン系樹脂を50重量%以上含み、押出機を通してストランドカットした円柱状であることを特徴とする第1の発明に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法に関する。
【0013】
本発明の第3は、スチレン系樹脂発泡体が、発泡性スチレン系樹脂粒子より得られた発泡成形体であることを特徴とする第1または第2の発明に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法に関する。
【0014】
本発明の第4は、水性媒体中に存在する金属塩が第三リン酸カルシウムと塩化ナトリウムであることを特徴とする第1〜3の発明のいずれかに記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法に関する。
【0015】
本発明の第5は、第三リン酸カルシウムの添加量が、リサイクルスチレン系樹脂粒子100重量部に対して、0.25重量部以上0.8重量部以下であることを特徴とする第4の発明に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法に関する。
【0016】
本発明の第6は、塩化ナトリウムの添加量が、リサイクルスチレン系樹脂粒子100重量部に対して、0.7重量部以上1.5重量部以下であることを特徴とする第4または5の発明に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法に関する。
【0017】
本発明の第7は、密閉容器を95℃以上130℃以下に加温した状態で発泡剤を添加し、その後、密閉容器を100℃以上130℃以下にすることでリサイクルスチレン系樹脂粒子を球形化させることを特徴とする第1〜6の発明のいずれかに記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法に関する。
【0018】
本発明の第8は、水性媒体中に添加する乳化させたアミド化合物が、下記一般式(I)または(II)で示されるアミド化合物であることを特徴とする第1〜7の発明のいずれかに記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法に関する。
【0019】
【化1】
【発明の効果】
【0020】
本発明により、リサイクルスチレン系樹脂粒子を用いて、球状で、かつ、製造直後から均一微細なセル構造が得られ、成形性に優れたスチレン系発泡体を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法としては、従来から大別して下記の方法等が知られている。
【0022】
(1)スチレン系単量体を各種添加剤と共に懸濁重合することで樹脂粒子を得て、更に発泡剤を含浸することで発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る重合反応を伴う製造方法。
【0023】
(2)ポリスチレン系重合体を各種添加剤と共に押出し機等により所望の大きさに造粒し、更に発泡剤を含浸することで発泡性スチレン系樹脂粒子を得る重合反応を伴わない製造方法。
【0024】
ポリスチレン系発泡体への再生においては、重合体を出発原料として造粒する必要があることから上記(2)の製造方法を利用することが多い。また、上記(2)の製造方法は(1)と比べて生産効率が低い反面、多様な成分の混合が可能であることから利用価値の高い製造方法といえる。しかしながら、背景に記載の通り、(2)の手法においては、樹脂粒子内部の残留歪と不純物により、粒子の球形化とセルの均一微細化が問題となる。本発明の本質は、セルの均一微細化のために内部水分量の調整のために金属塩を加えること、及び乳化した造核剤を加えることである。また、球形化のために発泡剤含浸の温度と時間を精査した結果、良好な成形性を有した発泡性スチレン系樹脂粒子を得ることができる製造方法を見出すに至った。
【0025】
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法は、スチレン系樹脂粒子を密閉容器中で水性媒体中に分散させ、発泡剤を含浸させる発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法であって、水性媒体中に2種類以上の金属塩と乳化させたアミド化合物を含み、スチレン系樹脂粒子が、スチレン系樹脂発泡体を加熱収縮および/または熱溶融により減容化して得られるリサイクルスチレン系樹脂を含むことを特徴とする。
【0026】
本発明のリサイクルスチレン系樹脂とは、スチレン系樹脂発泡体を加熱収縮および/または熱溶融により減容化して得られるものである。スチレン系樹脂発泡体としては、特に制限はないが、不純物が少なく安定した生産が可能であるという理由から発泡性スチレン系樹脂粒子より得られた発泡成形体であることが好ましい。回収された発泡成形体としては特に制限は無いが、例えば、魚函、野菜函のような食品輸送函や鋳物の型として使用される場合に端材として発生する発泡成形体が挙げられる。
【0027】
本発明に使用されるスチレン系樹脂粒子は、リサイクルスチレン系樹脂を50重量%以上含み、押出機を通してストランドカットした円柱状であることが好ましい。リサイクルスチレン系樹脂を使用することにより、環境低負荷、循環型マテリアルリサイクルの実現といった理由からスチレン系樹脂粒子は、リサイクルスチレン系樹脂を80重量%含むことがさらに好ましく、100重量%を使用することが特に好ましい。ここで用いる円柱状とは、円柱であれば特に制限はないが、長さ/直径の比率が0.8以上3.0以下が好ましく、さらに好ましくは0.9以上/2.5以下である。
【0028】
本発明は、密閉容器を95℃以上130℃以下に加温した状態で発泡剤を添加し、その後、密閉容器を100℃以上130℃以下にすることでリサイクルスチレン系樹脂粒子を球形化させることを特徴とする。
【0029】
本発明における発泡剤の添加温度としては、95℃以上130℃以下であり、好ましくは100℃以上110℃以下である。添加温度が95℃未満であると凝集物が増え収率が悪化する傾向がある。
【0030】
本発明におけるリサイクルスチレン系樹脂粒子を球形化させ発泡剤を含浸させる温度としては100℃以上130℃以下である。好ましくは、110℃以上120℃以下である。含浸温度が100℃未満であると、発泡性スチレン系樹脂粒子が球形化しにくく、円柱状に近づく傾向にある。
【0031】
本発明におけるスチレン系樹脂粒子とは、スチレン系単量体を主成分とする樹脂であり、以下に記載するいずれかの方法で造粒された樹脂粒子である。
【0032】
水性媒体中に分散させるスチレン系樹脂粒子を構成する単量体組成としては、スチレン及びα−メチルスチレン、クロルスチレン、パラメチルスチレン、t−ブチルスチレン等の各種置換スチレンがあげられ、これら各種単量体成分を1種または2種以上から構成される。また、これら構成する単量体組成と共重合が可能な成分として、例えば、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のアクリル酸およびメタクリル酸のエステル、あるいはアクリロニトリル、ジメチルフマレート、エチルフマレート等が挙げられ、これら各種単量体を1種または2種以上を部分的に含んだ組成、更に、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレート等の多官能性単量体を含んだ組成を用いることができる。
【0033】
本発明のスチレン系樹脂粒子を製造する方法としては、懸濁重合、塊状重合、乳化重合等により直接、重合体粒子を得る方法や、本来の目的に使用された後に回収された再利用発泡成形体を押出し機等により減溶することにより得ることができる。
【0034】
スチレン系樹脂を溶融・混練後に造粒する方法としては、押出し機の先端に付した、小孔を有するダイスからストランド状に押出し冷却した後にペレタイザーでカットすることでペレットを得るストランドカット方式、また、ダイスより押出すと共に強制冷却前にカットするホットカット方式、ダイスから水中へ押出すと共にカットするアンダーウォーターカット方式等の一般的に知られているペレット化造粒方法や、塊状に押出した後に粉砕機等で粉砕する方法により得ることができる。
【0035】
本発明では、水性媒体中に2種類以上の金属塩を含むことを特徴とする。水性媒体中に添加する金属塩は、スチレン系樹脂粒子を水性媒体中に分散させる分散剤及び、セルを均一安定化させるために発泡性スチレン系樹脂粒子中の内部水分を調整する水分調整剤としての2つの役割を持つ。これらそれぞれの役割を持つ金属塩を1種類ずつ添加することが必須である。
【0036】
ここでいう分散剤とは、例えば、リン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、ピロリン酸マグネシウム、カオリン等の難水溶性無機塩を用いることができる。中でも、第三リン酸カルシウムが経済性、分散安定性の観点から好ましい。第三リン酸カルシウムの使用量としては、スチレン系樹脂粒子100重量部に対して0.25重量部以上0.8重量部以下が好ましく、より好ましくは0.30重量部以上0.7重量部以下である。第三リン酸カルシウムの量が0.25重量部未満であると分散不安定となり粒子同士が凝集し収率が悪化する傾向がある。また、0.8重量部を超えると、経済性の観点から好ましくない。
【0037】
そして、難水溶性無機塩を用いる場合には、α−オレフィンスルフォン酸ソーダ、ドデシルベンゼンスルフォン酸ソーダ等のアニオン性界面活性剤、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等の高分子分散剤を併用すると分散安定性が増すので効果的である。
【0038】
また、発泡性スチレン系樹脂粒子中の内部水分を調整し、セルを均一安定化させるために水分調整剤としての金属塩を加えることが必要である。例えば、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等の金属塩を用いることが出来る。特に、塩化ナトリウムを加えることが好ましい。塩化ナトリウムの使用量は、スチレン系樹脂粒子100重量部に対して0.7重量部以上1.5重量部以下が好ましい。塩化ナトリウムの量が0.7重量部未満であると、内部水分が多くなりセルが微細化し表面性が悪化する。塩化ナトリウムの量が1.5重量部を超えると、経済性の観点から好ましくない。
【0039】
本発明において、製造直後から均一微細なセル構造を得る為に乳化させたアミド化合物を発泡剤と共にスチレン系樹脂粒子に含浸させる。ここでいうアミド化合物は、好ましくは、脂肪酸ビスアミド、脂肪族ジカルボン酸ジアミド、または脂肪族モノアミドである。特に、安定したセルを形成する点から下記一般式(I)または(II)で表されるアミド化合物が好ましい。
【0041】
上記R
1〜R
4で示されるアルキル基としては、炭素数が8〜24、好ましくは炭素数が10〜22のアルキル基が好ましい。またこのアルキル基には不飽和炭素結合が含まれていてもかまわない。また、nは1あるいは2が、さらには2であることが好ましい。
【0042】
このようなアミド化合物としては、例えば、メチレンビスラウリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスパルミチン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド等の脂肪族ビスアミド、N―ラウリルステアリン酸アミド、N−パルミチルステアリン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ベヘニルステアリン酸アミド、N−エルカイルステアリン酸アミド、N−ラウリルオレイン酸アミド、N−パルミチルオレイン酸アミド、N−パルミチルオレイン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸モノアミド等があげられる。これらのアミド化合物は単独もしくは2種以上併せて用いることができる。また、上記化合物の中でも特にエチレンビスステアリン酸アミドあるいはステアリン酸アミドは安定したセルを形成させるのに顕著な効果を有する。
【0043】
アミド化合物の使用量は、好ましくはスチレン系樹脂粒子100重量部に対して0.03重量部以上0.10重量部以下である。アミド化合物の使用量が少な過ぎると安定したセルを形成する効果が小さくなり、また、使用量が多過ぎると得られるセルのサイズが小さくなり過ぎて成形時に熱に敏感になり成形体表面が溶けた様な外観を呈し易い。
【0044】
アミド化合物の形状は特に限定されるものではないが、1次粒子のサイズは大き過ぎない方が含浸効率は良い。好ましくはアミド化合物の1次粒子のサイズは1mm以下、更に好ましくは0.5mm以下であることが好ましい。
【0045】
アミド化合物を乳化させる方法としては特に指定はないが、アミド化合物と界面活性剤、水をホモミキサーにより分散させる方法が好ましい。例えば、界面活性剤としてはα−オレフィンスルホン酸ソーダのようなアニオン系界面活性剤をスチレン系樹脂粒子に100重量部に対して0.002重量部使用することが好ましく、ホモミキサーで回転数2600rpmを30分撹拌することが好ましい。
【0046】
本発明において用いる発泡剤は、沸点が重合体の軟化点以下である易揮発性有機化合物である。このような発泡剤としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素があげられる。
【0047】
これらの発泡剤は、単独もしくは2種以上を併せて用いることができる。また、これら易揮発性有機化合物の中でもブタンあるいはペンタンが好ましく、更に好ましくはペンタンであり、特に均一微細なセル構造が得られ易い。
【0048】
その使用量は、好ましくは2重量部以上12重量部以下、より好ましくは3重量部以上8重量部以下である。2重量部以下では発泡性スチレン系樹脂粒子とした後の発泡力が得られ難く、また、12重量部以上では発泡力が過剰となる上に含浸工程での懸濁安定性が低下する。
【0049】
このようにして得られた発泡性スチレン系樹脂粒子は、製造直後から均一微細なセル構造が得られ、発泡性、成形性に優れた発泡スチレン系成形体を得ることができる。
【0050】
本発明の製造方法で得られた発泡性スチレン系樹脂粒子は、製造直後から安定したセルを形成することで良好な成形性、表面性を有する発泡成形体が得られる。また、バッチ生産プロセスであることから、予め造粒時に核剤を練り込む必要のある連続生産プロセスと違い、樹脂変動を確認しながら次バッチのアミド化合物条件を調整することができることから、本発明は安定した品質を発現する発泡性スチレン系樹脂粒子を製造することができる。
【実施例】
【0051】
以下実施例及び比較例をあげるが、本発明はこれによって制限されるものではない。尚、操作、測定、評価方法のうち、上記に記載した以外の項目については以下の通り実施した。
【0052】
<押出し機によるリサイクルスチレン系樹脂粒子の製造>
50mmφ単軸押出し機に、株式会社カネカ製の発泡性スチレン系樹脂(商品名:カネパールMK)より得られた発泡成形体を減溶、粉砕することで得られたスチレン系樹脂を投入し、加熱溶融した後に小孔を有するダイよりストランド状に押出し、水中で急冷した後にペレタイザーで約0.7mg/粒、長さ約1.1mm、直径約0.9mmのサイズに切断することでリサイクルスチレン系樹脂粒子を得た。
尚、押出条件は以下の通りである。
【0053】
[押出し機条件]
・ シリンダー温度[W/160/160/140/140/160/160/210/215/220/210/210/215(F)/220(S/C)/225(D)]
・ 吐出量:300kg/Hr
・ スクリュー回転数:450rpm
[ペレタイザー条件]
・ 引取り速度:52.5m/min
・ カッター回転数:1280rpm。
【0054】
<収率の計算方法>
目開き1.7mmメッシュと1.0mmメッシュの篩を準備し、得られた発泡性スチレン系樹脂粒子を篩に通し、1.7mmを通過し、1.0mmの篩上に残ったものを製品とした。製品収率は次式により計算した。
【0055】
(収率[%] = 1.7mmを通過しかつ1.0mm上に残った樹脂の重量/得られた全樹脂の重量*100)。
【0056】
<樹脂粒子の長さと直径の比率測定>
サイズは各サンプルから無作為に20粒を選択し、100分の1ミリメートルまで測定可能なノギスを用いて測定し、数平均値として算出した。また、測定したサイズを次式で計算し、球形化の指標とした。
【0057】
長さと直径の比率 = 長さ(L)/直径(D)。
【0058】
<水分量の測定>
セルに新しい脱水溶剤を50ml入れ、セル内の水分を除去する。測定する樹脂を0.5g計量し、ロートを使用しセルの上部共栓部から樹脂をすばやく投入する。樹脂が溶けた事を確認し、カールフィシャー試薬による滴定を実施し、樹脂の水分量を測定する。
機種(メーカー):AQV−2100片 (平沼産業株式会社)
試薬:脱水溶剤:三菱化学 アクアミクロン脱水溶剤CM
カールフィシャー試薬:三菱化学 アクアミクロン滴定剤 SS3mg
標準水メタノール:三菱化学 標準水メタノール 2mg。
【0059】
<表面性評価>
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡機(大開工業社製:CH−100)で0.1MPaの水蒸気により加熱し、嵩倍率が50ml/gの予備発泡粒を得る。次に、この予備発泡粒を室温で1日養生させた後、ダイセン工業社製のKR−57成形機にて平板状発泡体を成形した。
【0060】
得られた熱可塑性樹脂発泡体の表面状態を目視観察し、以下の基準にて表面性を評価した。
◎:表面の溶融、粒間が無く、非常に美麗。
○:表面の溶融、粒間が少なく、美麗。
△:表面の溶融、粒間があり、外観やや不良。
×:表面の溶融、粒間が多く、外観不良。
【0061】
<融着性評価>
得られた熱可塑性樹脂発泡体を破断し、破断面を観察して、粒子界面ではなく、粒子が破断している割合を求めて、以下の基準にて、融着性を判定した。
◎:粒子破断の割合が90%以上。
○:粒子破断の割合が80%以上、90%未満。
△:粒子破断の割合が70%以上、80%未満。
×:粒子破断の割合が70%未満。
【0062】
(実施例1)
撹拌機を具備した反応器に、純水200重量部、第三リン酸カルシウム0.3重量部、α−オレフィンスルフォン酸ソーダ0.008重量部、食塩1重量部、リサイクルスチレン系樹脂粒子100重量部を撹拌下加えた。 そこに、アミド化合物としてエチレンビスステアリン酸アミド(平均粒径0.24mm、日油製、アルフローH50−S)0.05重量部を、予めホモジナイザーで0.002重量部のα−オレフィンスルフォン酸ソーダと水とで2600rpm、30分間撹拌し乳化液としたものを、攪拌下投入した。
【0063】
その後、100℃まで昇温した後、ペンタン(ノルマル80重量%、イソ20重量%混合品)6重量部を加え、更に昇温することにより118℃で5時間の含浸を行った。常温まで冷却した後に反応器より取り出し、洗浄、脱水、乾燥することで発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。
【0064】
得られた発泡性スチレン系樹脂粒子を加圧式予備発泡機(大開工業製、CH−100)にて嵩倍率50倍に予備発泡し、常温下で1日放置することで養生乾燥を行った。次いで、得られたスチレン系樹脂予備発泡粒子を成形機(ダイセン工業製、KR−57)にて300×450×20(t)mmサイズの金型にて発泡成形品を得た。得られた予備発泡粒子及び発泡成形体を用いて評価を行い表1に示す結果を得た。
【0065】
(実施例
2〜8、10、12、参考例9、11、比較例1〜4)
表1に記載のとおり、分散剤の量、アミド化合物の種類と量、発泡剤の添加温度、含浸温度を変更した以外は、実施例1と同様の方法で発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得て、同様の評価を実施した。
【0066】
【表1】