特許第6788443号(P6788443)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6788443車両用クーリングファン制御装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6788443
(24)【登録日】2020年11月4日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】車両用クーリングファン制御装置および方法
(51)【国際特許分類】
   F01P 7/02 20060101AFI20201116BHJP
   B60K 11/04 20060101ALI20201116BHJP
   F01P 5/02 20060101ALI20201116BHJP
   F01P 3/22 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   F01P7/02 Z
   B60K11/04 G
   F01P5/02 G
   F01P3/22 M
   F01P3/22 T
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-174487(P2016-174487)
(22)【出願日】2016年9月7日
(65)【公開番号】特開2017-96250(P2017-96250A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2019年5月29日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0167950
(32)【優先日】2015年11月27日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 永 準
(72)【発明者】
【氏名】朴 萬 熙
(72)【発明者】
【氏名】金 泰 完
(72)【発明者】
【氏名】呉 東 錫
【審査官】 篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−231807(JP,A)
【文献】 特開2011−047372(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/029521(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0146091(US,A1)
【文献】 特開2004−353554(JP,A)
【文献】 特開平05−263641(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2014−0073311(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01P 7/02
B60K 11/04
F01P 3/22
F01P 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のエンジンルームに設けられるクーリングファンと、
前記クーリングファンを駆動させるファンモータと、
前記クーリングファンを制御するための作動信号を生成して、前記ファンモータに提供する制御器とを含み、
前記制御器は、始動がオン(on)されると、始動のオフ(off)されていた始動オフ時間が判断可能時間を超え、かつ、吸気温が設定温度以内に存在すると、測定時間の間エアコン冷媒圧力の変化率を確認し、前記エアコン冷媒圧力の変化率に応じて前記ファンモータの作動中止させ
前記制御器は、前記測定時間の間のうちの第1測定時間の間エアコン冷媒圧力の第1変化率を確認し、前記測定時間の間のうちの第2測定時間の間前記作動信号を前記ファンモータに提供して、前記ファンモータを介して前記クーリングファンを作動させ、前記第2測定時間の間エアコン冷媒圧力の第2変化率を確認し、前記第1変化率および前記第2変化率に応じて前記クーリングファンの作動を中止させることを特徴とする車両用クーリングファン制御装置。
【請求項2】
前記制御器は、
前記第1変化率と前記第2変化率に基づいて対比値を演算し、前記対比値が判定基準以下であるかを判断し、前記対比値が判定基準以下の状態で前記対比値が持続時間の間維持されない場合に、前記クーリングファンの作動を中止させることを特徴とする請求項に記載の車両用クーリングファン制御装置。
【請求項3】
吸気温を測定する吸気温測定部と、
冷却水温度を測定する水温測定部と、
車速を測定する速度測定部と、
エアコンの冷媒圧力を測定する圧力測定部と、のうちの少なくとも1つを含む状態検出器をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の車両用クーリングファン制御装置。
【請求項4】
前記制御器は、
コンプレッサが作動中で、かつ、車速が0であれば、前記作動信号を前記ファンモータに提供し、前記測定時間の間エアコン冷媒圧力の変化率に応じてファンモータの作動中止させることを特徴とする請求項1に記載の車両用クーリングファン制御装置。
【請求項5】
前記制御器は、
前記吸気温が設定温度以内に存在しなければ、コンプレッサをオフさせ、エアコンスイッチをオフさせた状態で冷却水温度が基準温度以上であれば、クーリングファンを作動させることを特徴とする請求項1に記載の車両用クーリングファン制御装置。
【請求項6】
車両用クーリングファン制御装置がクーリングファンを制御する方法であって、
始動がオンされると、始動のオフされていた始動オフ時間を確認する段階と、
前記始動オフ時間が判断可能時間を超えるかを判断する段階と、
前記始動オフ時間が判断可能時間を超えると、吸気温が設定温度以内に存在するかを判断する段階と、
前記吸気温が設定温度以内に存在すると、測定時間の間エアコン冷媒圧力の変化率に応じてファンモータの作動中止させる段階とを含み、
前記測定時間の間エアコン冷媒圧力の変化率に応じてファンモータの作動を中止させる段階は、
第1測定時間の間エアコン冷媒圧力の第1変化率を確認する段階と、
第2測定時間の間前記クーリングファンを作動させる段階と、
前記第2測定時間の間エアコン冷媒圧力の第2変化率を確認する段階と、
前記第1変化率および前記第2変化率に応じて前記クーリングファンの作動を中止させる段階とを含むことを特徴とする車両用クーリングファン制御方法。
【請求項7】
前記第1変化率および前記第2変化率に応じて前記クーリングファンの作動を中止させる段階は、
前記第1変化率と前記第2変化率に基づいて対比値を演算する段階と、
前記対比値が判定基準以下であるかを判断する段階と、
前記対比値が判定基準以下の状態で前記対比値が持続時間の間維持されるかを判断する段階と、
前記対比値が持続時間の間維持されない場合に、前記クーリングファンの作動を中止させる段階とを含むことを特徴とする請求項に記載の車両用クーリングファン制御方法。
【請求項8】
前記対比値は、数式1により演算されることを特徴とする請求項に記載の車両用クーリングファン制御方法。
〔数式1〕
C=B/A
ここで、Cは対比値であり、Aは第1変化率であり、Bは第2変化率である。
【請求項9】
前記吸気温が設定温度以内に存在すると、測定時間の間エアコン冷媒圧力の変化率に応じてファンモータの作動中止させる段階は、
前記吸気温が設定温度以内に存在すると、コンプレッサが作動するかを判断する段階と、
前記コンプレッサが作動中であれば、車速が0であるかを判断する段階と、
前記車速が0であれば、前記測定時間の間エアコン冷媒圧力の変化率に応じてファンモータの作動中止させる段階とを含むことを特徴とする請求項に記載の車両用クーリングファン制御方法。
【請求項10】
前記吸気温が設定温度以内に存在するかを判断する段階は、
前記吸気温が最高温度未満であるかを判断する段階と、
前記吸気温が最高温度未満であれば、前記吸気温が最低温度以上であるかを判断する段階とを含むことを特徴とする請求項に記載の車両用クーリングファン制御方法。
【請求項11】
前記吸気温が設定温度以内に存在するかを判断する段階の後に、
前記吸気温が設定温度以内に存在しなければ、コンプレッサをオフさせる段階と、
エアコンスイッチをオフさせた状態で冷却水温度を測定する段階と、
前記冷却水温度が基準温度以上であれば、クーリングファンを作動させる段階とをさらに含むことを特徴とする請求項に記載の車両用クーリングファン制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用クーリングファン制御装置および方法に係り、より詳しくは、冬期にファンモータを拘束してモータの焼損を防止することができる車両用クーリングファン制御装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両は、エンジン冷却のためにエンジンの周辺に冷却水を循環させることによって温度を下げる。加熱された冷却水はラジエータから放熱される。ラジエータの放熱効果を高めるために、車両のエンジンルームにクーリングファンが設けられる。
このようなクーリングファンは、冷却水温度を適正な条件に維持されてエンジンの過熱を防止し、エンジンの性能が最適に発揮できるようにする。クーリングファンは、主にモータによって駆動される(例えば、特許文献1を参照)。
厳寒地域では、クーリングファン内に水分または雪が流入してクーリングファン氷結が時々発生する。このため、クーリングファン氷結の際には、クーリングファンオン(ON)の条件でも作動しない。
【0003】
厳寒地域では、一般にクーリングファンが作動しないが、霧または霜の除去などによって運転者がデフロスト(Defrost)ボタンを押すとエアコンが作動し、これにより、エアコン冷媒圧力が少しずつ上昇する。エアコン冷媒圧力が一定以上になると、クーリングファンが作動すべき領域に到達するが、クーリングファン氷結によるモータの拘束でクーリングファンが作動しない。また、拘束時間が長くなると、モータが焼損したり、最悪の場合、エンジンルームに火災が発生する問題があった。
外気温センサがある場合には、零下の温度でクーリングファンを非作動にすることが可能であった。しかし、外気温センサが装着されていない車両では外部温度をチェックできないため、零下の温度でクーリングファンを非作動に制御することができなかった。また、従来は、一定条件になると、クーリングファンが作動して、クーリングファンの氷結によりモータの焼損が発生した。このようなモータの焼損は、エンジンの過熱によるオーバーヒートまで発生させることになり修理費が多く発生した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−234717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであってその目的とするところは、冬期にモータの焼損を防止するために、吸気温およびエアコン冷媒圧力に基づいてファンモータを拘束させることができる車両用クーリングファン制御装置および方法を提供することにある。
また他の目的とするところは、冷却水温が基準温度以上の場合にクーリングファンを作動させる車両用クーリングファン制御装置および方法を提供することのある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本発明の車両用クーリングファン制御装置は、車両のエンジンルームに設けられるクーリングファンと、クーリングファンを駆動させるファンモータと、クーリングファンを制御するための作動信号を生成して、ファンモータに提供する制御器とを含み、制御器は、始動がオン(on)されると、始動のオフ(off)されていた始動オフ時間が判断可能時間を超え、かつ、吸気温が設定温度以内に存在すると、測定時間の間エアコン冷媒圧力の変化率を確認し、エアコン冷媒圧力の変化率に応じてファンモータを拘束させることを特徴とする。
【0007】
制御器は、第1測定時間の間エアコン冷媒圧力の第1変化率を確認し、第2測定時間の間作動信号をファンモータに提供して、ファンモータを介してクーリングファンを作動させ、第2測定時間の間エアコン冷媒圧力の第2変化率を確認し、第1変化率および第2変化率に応じてクーリングファンの作動を中止させることができる。
また、制御器は、第1変化率と第2変化率に基づいて対比値を演算し、対比値が判定基準以下であるかを判断し、対比値が判定基準以下の状態で対比値が持続時間の間維持されない場合に、クーリングファンの作動を中止させることが好ましい。
【0008】
車両用クーリングファン制御装置は、吸気温を測定する吸気温測定部と、冷却水温度を測定する水温測定部と、車速を測定する速度測定部と、エアコンの冷媒圧力を測定する圧力測定部と、のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。
また、制御器は、コンプレッサが作動中で、かつ、車速が0であれば、作動信号をファンモータに提供し、測定時間の間エアコン冷媒圧力の変化率に応じてファンモータを拘束させることがよい。
また、制御器は、吸気温が設定温度以内に存在しなければ、コンプレッサをオフさせ、エアコンスイッチをオフさせた状態で冷却水温度が基準温度以上であれば、クーリングファンを作動させることができる。
【0009】
本発明の車両用クーリングファン制御装置がクーリングファンを制御する方法において、始動がオンされると、始動のオフされていた始動オフ時間を確認する段階と、始動オフ時間が判断可能時間を超えるかを判断する段階と、始動オフ時間が判断可能時間を超えると、吸気温が設定温度以内に存在するかを判断する段階と、吸気温が設定温度以内に存在すると、測定時間の間エアコン冷媒圧力の変化率に応じてファンモータを拘束させる段階とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、車両用クーリングファン制御装置は、冬期の氷結によるファンモータの拘束でモータの焼損を防止することができる。
また、冷却水温が気温温度以上の場合にクーリングファンを作動させるため、エンジンの過熱によるエンジンオーバーヒートを防止することができる。
その他、本発明の実施形態によって得られるか予測される効果については、本発明の実施形態に関する詳細な説明において直接的または暗示的に開示する。つまり、本発明の実施形態により予測される多様な効果については、後述する詳細な説明において開示される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用クーリングファン制御装置を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係る車両用クーリングファン制御方法を示すフローチャートである。
図3】本発明の一実施形態に係る車両用クーリングファン制御方法のうち、エアコンスイッチがオフの時に制御する方法を示す例示図である。
図4】本発明の一実施形態に係る車両用クーリングファン制御方法のうち、拘束検出方法を示すフローチャートである。
図5】本発明の一実施形態に係る車両用クーリングファン制御方法のうち、拘束検出方法を説明するための例示図である。
図6】本発明の一実施形態に係る車両用クーリングファン制御方法のうち、第1変化率および第2変化率を説明するための例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付した図面に基づいて、本発明に係る車両用クーリングファン制御装置および方法の実施形態に対する動作原理を詳細に説明する。
【0013】
以下、本発明の一実施形態を、添付した図面を基にして具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用クーリングファン制御装置を示すブロック図である。
車両用クーリングファン制御装置50は、状態検出器100と、制御器110と、エアコンスイッチ120と、コンプレッサ(Compressor)125と、リレー(Relay)130と、コネクタ(Connector)140と、ブロワアセンブリ(Blower Assembly)150と、クーリングファン(Cooling−Fan)160とを含む。
【0014】
状態検出器100は、クーリングファン160を制御するために必要な情報を検出する。このような状態検出器100は、吸気温測定部102と、速度測定部104と、圧力測定部106と、水温測定部108とを含む。
吸気温測定部102は、車両の内部に流入する空気の温度である吸気温を測定して、制御器110に提供する。
速度測定部104は、車両の速度である車速を測定し、測定した車速を制御器110に提供する。
圧力測定部106は、エアコンの冷媒に対する圧力を測定して、制御器110に提供する。
水温測定部108は、エンジンの冷却水温度を測定し、測定した冷却水温度を制御器110に提供する。
【0015】
制御器110は、クーリングファン160を作動させたり中止させるために、車両用クーリングファン制御装置50の構成要素である、状態検出器100、エアコンスイッチ120、コンプレッサ125、リレー130、コネクタ140、ブロワアセンブリ150、およびクーリングファン160のうちの少なくとも1つを制御する。
制御器110は、始動がオンされると、始動のオフされていた始動オフ時間を確認する。制御器110は、始動オフ時間が判断可能時間を超え、かつ、吸気温が設定温度以内に存在すると、測定時間の間エアコン冷媒圧力の変化率を確認する。制御器110は、エアコン冷媒圧力の変化率に応じてファンモータ157を拘束させたり、正常に作動するように制御する。このように制御器110でクーリングファン160を制御する方法は、図2図5を基にしてより具体的に説明する。
上記目的を達成するために、制御器110は、設定されたプログラムによって動作する1つ以上のプロセッサで実現され、設定されたプログラムは、本発明の実施形態に係る車両用クーリングファン制御方法の各段階を行うようにプログラミングされたものであるとよい。
【0016】
エアコンスイッチ120は、エアコンをオン(ON)またはオフ(OFF)させる。つまり、エアコンスイッチ120は、運転者または制御器110によってエアコンをオンさせたりオフさせることができる。
コンプレッサ125は、エアコンスイッチ120によってエアコンがオンされると、冷媒を高温高圧に圧縮してエアコンを作動させる。
リレー130は、制御器110の制御に応じて作動信号をコネクタ140に提供する。
コネクタ140は、リレー130から作動信号を受信してファンモータ157を駆動させる。このために、コネクタ140は、高速連結部143と、低速連結部146と、グラウンド連結部149とを含む。高速連結部143は、ファンモータ157に直接連結され、低速連結部146は、レジスタ153を介してファンモータ157に連結される。グラウンド連結部149は、ファンモータ157およびグラウンドに連結される。ここで、高速連結部143、低速連結部146、およびグラウンド連結部149は、スイッチで構成されてもよい。
【0017】
コネクタ140は、リレー130から低速作動信号が受信されると、低速連結部146を介してレジスタ153を通過してファンモータ157を駆動させる。そして、コネクタ140は、リレー130から高速作動信号が受信されると、高速連結部143を介してファンモータ157を駆動させる。
ブロワアセンブリ150は、ファンモータ157と、レジスタ153とを含む。
ファンモータ157は、クーリングファン160に含まれているブレードを回転させてクーリングファン160を作動させる。
レジスタ153は、ファンモータ157の速度を調節する。つまり、レジスタ153の抵抗値が大きくなるほど、ファンモータ157の速度は低速で駆動される。
クーリングファン160は、ブロワアセンブリ150に含まれているファンモータ157によって駆動される。このようなクーリングファン160は、冷却水温度を適正な条件に維持させてエンジンの過熱を防止し、エンジンの性能が最適に発揮できるようにする。
【0018】
以下、図2図6に基づいて、本発明の実施形態に係る車両においてクーリングファン160を制御する方法を説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る車両用クーリングファン制御方法を示すフローチャートである。
図2に示したとおり、制御器110は、始動がオン(on)されるかを確認する(S210)。この時、制御器110は、イグニッション(ignition)検出部(図示せず)から始動オン(on)の信号を受信して、始動がオン(on)されるかを確認することができる。
制御器110は、始動のオフされていた始動オフ時間を確認する(S215)。つまり、制御器110は、始動がオンされる前に始動のオフされていた時間をカウントして始動オフ時間を確認することができる。
【0019】
制御器110は、始動オフ時間が判断可能時間を超えるかを判断する(S220)。この時、判断可能時間は、車両が低温状態で駐車されたことを判断するために基準となる時間を示すことができ、作業者によって設定されたり、予め指定されたアルゴリズム(例えば、プログラムおよび確率モデル)により設定される。例えば、駐車状態は夜間であるとよいし、判断可能時間は6時間であるとよい。
このように始動オフ時間が判断可能時間を超えるかを判断する理由は、車両が夜間に駐車されたことを確認するためである。このように車両が夜間に駐車される場合には、吸気温が外気温と同一であると仮定できるので、外気温センサがなくても、吸気温を利用してファンモータ157の焼損を防止することができる。
制御器110は、始動オフ時間が判断可能時間を超えると、吸気温を確認する(S225)。この時、吸気温は、車両の始動がオフされた時、吸気温測定部102により測定された温度であるとよい。
【0020】
制御器110は、吸気温が設定温度以内に存在するかを判断する(S230)。つまり、制御器110は、吸気温が最高温度以下で、かつ、最低温度以上であるかを判断することができる。ここで、最高温度と最低温度は、クーリングファン160が氷結し得る温度を判断するために基準となる温度を示し、作業者によって設定されたり、予め指定されたアルゴリズム(例えば、プログラムおよび確率モデル)により設定される。例えば、最高温度は7℃であるとよいし、最低温度は−10℃であるとよい。
制御器110は、吸気温が設定温度以内に存在すると、コンプレッサ125が作動するかを判断する(S235)。つまり、制御器110は、吸気温が最低温度以上で、かつ、最高温度以下であれば、コンプレッサ125がオンであるかオフであるかを判断することができる。
制御器110は、コンプレッサ125が作動中であれば、車速が0であるかを判断する(S240)。つまり、制御器110は、コンプレッサ125が作動中であれば、速度測定部104から提供された車速を確認する。制御器110は、車速が0であるかを判断して、車両がアイドル(idle)状態であるかを判断する。そして、制御器110は、車速が0であれば、クーリングファン160を作動させるための作動信号を生成する。この時、作動信号は、クーリングファン160を低速で作動させるための低速作動信号であるとよい。
【0021】
制御器110は、ファンモータ157を拘束するか、正常に作動させるかに対する拘束検出を行う(S245)。このようなクーリングファンの拘束検出方法は、図4を参照して具体的に説明する。
制御器110は、拘束検出結果が正常であるかを判断する(S250)。
制御器110は、拘束検出結果が正常でなければ、クーリングファン160の作動を中止させる(S255)。つまり、制御器110は、拘束検出結果が拘束であれば、クーリングファン160の作動を中止させ、コンプレッサ125の作動を中止させる。
一方、制御器110は、拘束検出結果が正常であれば、段階S275に行って、クーリングファン160を作動させる。この時、正常なクーリングファン160を制御する方法は、一般に使用するクーリングファン160の制御方法と同一または類似しているので、これに関する詳細な説明は省略する。
制御器110は、始動がオフされるかを確認する(S260)。つまり、制御器110は、始動がオフされると、クーリングファンの制御を完了することができる。
【0022】
一方、制御器110は、始動オフ時間が判断可能時間以下であれば、直前のクーリングファンの状態を確認する(S265)。つまり、制御器110は、始動オフ時間が判断可能時間以下であれば、夜間に駐車しなかったと判断できるので、前に始動オンして判断していたクーリングファン160の状態を確認する。
制御器110は、直前のクーリングファンの状態が正常であるかを判断する(S270)。
制御器110は、直前のクーリングファンの状態が正常であれば、クーリングファン160を作動させる(S275)。そして、制御器110は、吸気温が最高温度を超えると、厳寒の天気ではないので、クーリングファン160を正常に駆動させることができる。以降、制御器110は、始動がオフされることを確認することができる。
一方、制御器110は、吸気温が最低温度未満であれば、コンプレッサ125をオフさせる(S280)。
制御器110は、段階S235で確認した結果、コンプレッサ125が作動中でなかったり、段階S240で判断した結果、車速が0でなかったり、段階S280で制御器110がコンプレッサ125をオフさせたならば、エアコンスイッチ120をオフさせる(S285)。
制御器110は、冷却水温度を確認する(S290)。つまり、制御器110は、エアコンスイッチ120がオフの時、クーリングファン160を制御するために、水温測定部108から冷却水温度を受信し、受信した冷却水温度を確認する。制御器110は、冷却水温度が基準温度以上であるかを判断する。
【0023】
制御器110は、冷却水温度が基準温度以上であれば、クーリングファン160を作動させる(S295)。つまり、制御器110は、エンジンのオーバーヒートを防止するために、冷却水温度が基準温度以上であれば、クーリングファン160を作動させてエンジンの温度を下げることができる。ここで、基準温度は、エンジンにオーバーヒートが発生することを判断するために基準となる温度を示し、予め設定された値であるとよい。例えば、図3に示されているように、基準温度310は105℃であるとよい。
制御器110は、作動信号を、リレー130、コネクタ140を介してファンモータ157に提供し、ファンモータ157を介してクーリングファン160を作動させる。ここで、作動信号は高速作動信号320であるとよい。これにより、クーリングファン160は、高速で作動してエンジンの温度を下げることができる。
【0024】
図4は、本発明の一実施形態に係る車両用クーリングファン制御方法のうち、拘束検出方法を示すフローチャートであり、図5は、本発明の一実施形態に係る車両用クーリングファン制御方法のうち、拘束検出方法を説明するための例示図であり、図6は、本発明の一実施形態に係る車両用クーリングファン制御方法のうち、第1変化率および第2変化率を説明するための例示図である。
図4図6に基づくと、制御器110は、第1測定時間の間エアコン冷媒圧力の第1変化率を確認する(S410)。ここで、第1測定時間は、制御器110から、リレー130、コネクタ140を介してファンモータ157に作動信号を送信する時に遅延する時間を示す。このように制御器110で作動信号を遅延させた後に送信する理由は、リレー130およびコネクタ140などにバグが生じるのを防止するためである。この時、図5に示したとおり、第1測定時間510は0秒から第1時刻までである。例えば、第1時刻は0.5秒であるとよい。
言い換えれば、制御器110は、0秒の時、圧力測定部106から第1エアコン冷媒圧力を受信し、第1時刻の時、圧力測定部106から第2エアコン冷媒圧力を受信する。制御器110は、第1エアコン冷媒圧力と第2エアコン冷媒圧力に基づいて第1変化率を演算する。ここで、第1変化率は、図6に示したとおり、傾き610で表現してもよい。
【0025】
制御器110は、第2測定時間の間クーリングファン160を作動させる(S420)。言い換えれば、制御器110は、第1時刻の時、作動信号をリレー130に提供し、リレー130は、作動信号をコネクタ140に提供する。この時、作動信号は低速作動信号であるとよい。コネクタ140の低速連結部146は、低速作動信号が受信されると、レジスタ153を通過してファンモータ157を駆動させる。これにより、クーリングファン160は、ファンモータ157によって作動できる。
ここで、図5に示したとおり、第2測定時間530は、クーリングファン160が作動する時間を示し、予め設定された値であるとよい。第2測定時間530は、第1時刻から第2時刻までである。例えば、第2時刻は3.5秒であるとよい。
【0026】
制御器110は、第2時刻になると、クーリングファン160の作動を中止させる(S430)。
制御器110は、第2測定時間の間エアコン冷媒圧力の第2変化率を確認する(S440)。言い換えれば、制御器110は、第1時刻の時、圧力測定部106から第3エアコン冷媒圧力を受信し、第2時刻の時、圧力測定部106から第4エアコン冷媒圧力を受信する。制御器110は、第3エアコン冷媒圧力と第4エアコン冷媒圧力に基づいて第2変化率を演算する。ここで、第2変化率は、図6に示したとおり、傾き630で表現してもよい。
制御器110は、総測定時間が基準時間を超えるかを判断する(S450)。つまり、制御器110は、第1測定時間と第2測定時間とを加算演算して総測定時間を生成し、総測定時間が基準時間を超えるかを判断する。
【0027】
制御器110は、対比値が判定基準以下であるかを判断する(S460)。具体的には、制御器110は、第1変化率および第2変化率に基づいて対比値を演算する。つまり、制御器110は、数式1により対比値を演算することができる。
[数式1]
C=B/A
ここで、Cは対比値、Aは第1変化率、Bは第2変化率を示す。
制御器110は、対比値が判定基準以下であるかを判断する(S460)。ここで、判定基準は、ファンモータ157を正常に作動させるか、拘束させるかを判断するために基準となる値である。例えば、判定基準は0.7であるとよい。
【0028】
制御器110は、対比値が判定基準以下の状態で持続時間を維持するかを判断する(S470)。例えば、持続時間は2秒であるとよい。
制御器110は、対比値が判定基準以下の状態で持続時間を維持すると、クーリングファン160を正常と判定する(S480)。
制御器110は、対比値が判定基準を超えたり、対比値が判定基準以下の状態で持続時間を維持できない場合に、ファンモータ157を拘束と判定する(S490)。
【0029】
上記で説明したように、本発明の実施形態に係る車両用クーリングファン制御装置50は、始動オフ時間が判断可能時間を超えると、外部から流入する吸気温に基づいて冬期であるかを判断し、冬期であれば、エアコン冷媒圧力の変化率を確認してファンモータ157を拘束させることができるため、モータの焼損を防止することができる。
【0030】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域を逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正および変更させることができることを理解するであろう。
【符号の説明】
【0031】
50:車両用クーリングファン制御装置
100:状態検出器
102:吸気温測定部
104:速度測定部
106:圧力測定部
108:水温測定部
110:制御器
120:エアコンスイッチ
125:コンプレッサ
130:リレー
140:コネクタ
143:高速連結部
146:低速連結部
149:グラウンド連結部
150:ブロワアセンブリ
153:レジスタ
157:ファンモータ
160:クーリングファン
310:基準温度
320:高速作動信号
510:第1測定時間
530:第2測定時間
610,630:傾き
図1
図2
図3
図4
図5
図6