特許第6788446号(P6788446)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6788446
(24)【登録日】2020年11月4日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】紙葉類収納装置および紙葉類収納方法
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/12 20190101AFI20201116BHJP
   B65B 25/14 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   G07D11/12
   B65B25/14 A
【請求項の数】11
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2016-176213(P2016-176213)
(22)【出願日】2016年9月9日
(65)【公開番号】特開2018-41360(P2018-41360A)
(43)【公開日】2018年3月15日
【審査請求日】2019年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131842
【弁理士】
【氏名又は名称】加島 広基
(74)【代理人】
【識別番号】100113365
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 雅晴
(72)【発明者】
【氏名】横尾 友洋
(72)【発明者】
【氏名】竹村 揚一
【審査官】 木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/136517(WO,A1)
【文献】 特開昭63−117874(JP,A)
【文献】 特開2012−174130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00−13/00
G07F 19/00
B65B 25/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を投入するための開口が設けられた収納袋の内部に紙葉類を収納させるための紙葉類収納装置であって、
前記収納袋における前記開口の近傍の箇所を支持するための支持部と、
前記支持部により支持される前記収納袋の内部に進入する進入部と、
前記進入部の駆動を行う駆動部と、
前記駆動部の制御を行う制御部であって、前記支持部により支持される前記収納袋の内部に前記進入部を進入させて当該収納袋の内部に収納されている紙葉類に前記進入部を接触させることによって前記支持部により支持される前記収納袋の内部に収納されている紙葉類の上端位置を所定の高さに維持するよう制御を行う制御部と、
を備えた、紙葉類収納装置。
【請求項2】
紙葉類を投入するための開口が設けられた収納袋の内部に紙葉類を収納させるための紙葉類収納装置であって、
前記収納袋における前記開口の近傍の箇所を支持するための支持部と、
前記支持部により支持される前記収納袋の内部に進入する進入部であって、前記支持部により支持される前記収納袋よりも上方の位置である待機位置と、前記支持部により支持される前記収納袋の内部に進入するような下端位置との間で移動する進入部と、
前記進入部の駆動を行う駆動部と、
前記駆動部の制御を行う制御部と、
前記進入部が前記下端位置に位置しているか否かを検知する第1検知部と、
を備えた、紙葉類収納装置。
【請求項3】
略鉛直方向に移動可能となっており、前記支持部により支持される前記収納袋の少なくとも一部が載置される載置部を更に備え、
前記制御部は、前記支持部により支持される前記収納袋の内部に前記進入部を進入させて当該収納袋の内部に収納されている紙葉類に前記進入部を接触させることにより前記収納袋の内部に収納されている紙葉類の上端位置を検知するようになっており、
前記制御部は、前記収納袋の内部に前記進入部を進入させて当該収納袋の内部に収納されている紙葉類に前記進入部を接触させた場合に、前記進入部が前記下端位置に位置していることが前記第1検知部により検知されないときに前記載置部を下降させるよう当該載置部の制御を行う、請求項2記載の紙葉類収納装置。
【請求項4】
前記支持部により支持される前記収納袋の底部の位置を略鉛直方向に移動させる収納袋位置調整部を更に備え、
前記制御部は、前記支持部により支持される前記収納袋の内部に前記進入部を進入させて当該収納袋の内部に収納されている紙葉類に前記進入部を接触させることにより前記収納袋の内部に収納されている紙葉類の上端位置を検知するようになっており、
前記制御部は、前記収納袋の内部に前記進入部を進入させて当該収納袋の内部に収納されている紙葉類に前記進入部を接触させた場合に、前記進入部が前記下端位置に位置していることが前記第1検知部により検知されないときに前記収納袋の底部の位置を下降させるよう前記収納袋位置調整部の制御を行う、請求項2記載の紙葉類収納装置。
【請求項5】
前記進入部が前記下端位置に到達する前に前記収納袋の内部に収納されている紙葉類に接触した場合に前記進入部が前記下端位置に向けて移動することを停止させるための停止機構を更に備えた、請求項2乃至4のいずれか一項に記載の紙葉類収納装置。
【請求項6】
前記進入部は、前記支持部により支持される前記収納袋の内部に進入して当該収納袋に収納されている紙葉類を下向きに押圧するようになっている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の紙葉類収納装置。
【請求項7】
紙葉類を投入するための開口が設けられた収納袋の内部に紙葉類を収納させるための紙葉類収納装置であって、
前記収納袋における前記開口の近傍の箇所を支持するための支持部と、
前記支持部により支持される前記収納袋の内部に進入する進入部と、
前記進入部の駆動を行う駆動部と、
前記駆動部の制御を行う制御部であって、前記支持部により支持される前記収納袋の内部に前記進入部を進入させて当該収納袋の内部に収納されている紙葉類に前記進入部を接触させることによって前記支持部により支持される前記収納袋の内部に収納されている紙葉類の高さ検知する制御部と、
を備えた、紙葉類収納装置。
【請求項8】
略鉛直方向に移動可能となっており、前記支持部により支持される前記収納袋の少なくとも一部が載置される載置部と、
前記載置部の位置を検知する第2検知部と、
を更に備え、
前記制御部は、前記支持部により支持される前記収納袋の内部に前記進入部を進入させて当該収納袋の内部に収納されている紙葉類に前記進入部を接触させることにより前記収納袋の内部に収納されている紙葉類の上端位置を検知するようになっており、当該制御部により検知される前記収納袋の内部に収納されている紙葉類の上端位置と、前記第2検知部により検知される前記載置部の位置とに基づいて、前記収納袋の内部に収納されている紙葉類の高さを検知する、請求項7記載の紙葉類収納装置。
【請求項9】
紙葉類を投入するための開口が設けられた収納袋の内部に紙葉類を収納させる紙葉類収納方法であって、
前記収納袋における前記開口の近傍の箇所を支持部により支持させる工程と、
前記支持部により支持される前記収納袋の内部に紙葉類を収納する工程と、
前記支持部により支持される前記収納袋の内部に進入部を進入させて当該収納袋の内部に収納されている紙葉類に前記進入部を接触させることによって前記支持部により支持される前記収納袋の内部に収納されている紙葉類の上端位置を所定の高さに維持する工程と、
を備えた、紙葉類収納方法。
【請求項10】
紙葉類を投入するための開口が設けられた収納袋を支持するための支持部と、前記支持部により支持される前記収納袋よりも上方の位置である待機位置と、前記支持部により支持される前記収納袋の内部に進入するような下端位置との間で移動する進入部とを備えた紙葉類収納装置による、収納袋の内部に紙葉類を収納させる紙葉類収納方法であって、
前記収納袋における前記開口の近傍の箇所を前記支持部により支持させる工程と、
前記支持部により支持される前記収納袋の内部に紙葉類を収納する工程と、
前記支持部により支持される前記収納袋の内部に前記進入部を進入させる工程と、
前記進入部が前記下端位置に位置しているか否かを検知する工程と、
を備えた、紙葉類収納方法。
【請求項11】
紙葉類を投入するための開口が設けられた収納袋の内部に紙葉類を収納させる紙葉類収納方法であって、
前記収納袋における前記開口の近傍の箇所を支持部により支持させる工程と、
前記支持部により支持される前記収納袋の内部に紙葉類を収納する工程と、
前記支持部により支持される前記収納袋の内部に進入部を進入させて当該収納袋の内部に収納されている紙葉類に前記進入部を接触させることによって前記支持部により支持される前記収納袋の内部に収納されている紙葉類の高さを検知する工程と、
を備えた、紙葉類収納方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類を投入するための開口が設けられたパウチ袋等の収納袋の内部に紙幣等の紙葉類を収納させるための紙葉類収納装置および紙葉類収納方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙幣等の紙葉類の入金処理を行う紙葉類処理機において、機体内に取り込まれた紙葉類をパウチ袋等の収納袋に収納させるようなタイプのものが従来から用いられている。このような紙葉類処理機として、例えば特許文献1等に開示されるものが従来から知られている。また、パウチ袋等の収納袋を用いるような紙葉類処理機において、各保持部材により保持される収納袋に紙葉類を収納する際に、一時保留部に残留する紙葉類を押し込み板により収納袋の内部に押し込む方法が考えられる。
【0003】
また、パウチ袋等の収納袋を用いるような紙葉類処理機において、各保持部材により保持される収納袋に紙葉類を収納する際に、撮像部により収納袋の内壁部分に設けられた目印を撮像する方法が考えられる。このような紙葉類処理機では、収納袋に所定量の紙葉類が収納され、撮像部により撮像される画像において収納袋に収納された紙葉類によって目印が遮られてこの目印が撮像部により撮像されなくなると、収納袋がフル状態またはニアフル状態となったと判断される。このようにして、撮像部により撮像される画像に基づいて収納袋に収納された紙葉類の上端位置を検知することができるようになる。
【0004】
また、従来の他の紙葉類処理機において、各保持部材により保持される収納袋に送られた紙葉類の枚数をカウントし、このカウントされた結果に基づいて収納袋がフル状態またはニアフル状態となっているか否かを判断する方法が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−174130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の紙葉類処理機において、撮像部により撮像される画像に基づいて収納袋に収納された紙葉類の上端位置を検知する方法を用いた場合には、撮像部を設ける必要がありコストアップとなっていた。また、各保持部材により保持される収納袋に送られた紙葉類の枚数をカウントし、このカウントされた結果に基づいて収納袋がフル状態またはニアフル状態となっているか否かを判断する方法でも、収納袋に収納された紙葉類の上端位置を精度良く検知することができないおそれがあった。具体的には、収納袋に収納された紙葉類の種類や使用状態が一定でないため、収納された紙葉類の実質的な厚みを把握することが難しく、紙葉類の上端位置を正確に検知することができないおそれがあった。このため、従来の紙葉類処理機では、収納袋の開口を一対の加熱部材によりヒートシールする際に、収納袋に収納されている紙葉類のうち上部に位置する紙葉類が一対の加熱部材の間に挟まれてしまい当該収納袋の開口において未シール箇所が発生してしまう場合があった。
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、収納袋の内部に収納されている紙葉類の上端位置を確実に検知することができ、よって収納袋の開口を一対の加熱部材によりヒートシールする際に当該収納袋の開口において未シール箇所が発生してしまうことを防止することができる紙葉類収納装置および紙葉類収納方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の紙葉類収納装置は、紙葉類を投入するための開口が設けられた収納袋の内部に紙葉類を収納させるための紙葉類収納装置であって、前記収納袋における前記開口の近傍の箇所を支持するための支持部と、前記支持部により支持される前記収納袋の内部に進入する進入部と、前記進入部の駆動を行う駆動部と、前記駆動部の制御を行う制御部であって、前記支持部により支持される前記収納袋の内部に前記進入部を進入させて当該収納袋の内部に収納されている紙葉類に前記進入部を接触させることによって前記支持部により支持される前記収納袋の内部に収納されている紙葉類の上端位置を所定の高さに維持するよう制御を行う制御部と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明の紙葉類収納装置は、紙葉類を投入するための開口が設けられた収納袋の内部に紙葉類を収納させるための紙葉類収納装置であって、前記収納袋における前記開口の近傍の箇所を支持するための支持部と、前記支持部により支持される前記収納袋の内部に進入する進入部であって、前記支持部により支持される前記収納袋よりも上方の位置である待機位置と、前記支持部により支持される前記収納袋の内部に進入するような下端位置との間で移動する進入部と、前記進入部の駆動を行う駆動部と、前記駆動部の制御を行う制御部と、前記進入部が前記下端位置に位置しているか否かを検知する第1検知部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
このような紙葉類収納装置によれば、支持部により支持される収納袋の内部に進入部を進入させて当該収納袋の内部に収納されている紙葉類に進入部を接触させることにより収納袋の内部に収納されている紙葉類の上端位置を検知するため、収納袋の内部に収納されている紙葉類の上端位置を確実に検知することができ、よって収納袋の開口を一対の加熱部材によりヒートシールする際に当該収納袋の開口において未シール箇所が発生してしまうことを防止することができる。
【0012】
この場合、本発明の紙葉類収納装置は、略鉛直方向に移動可能となっており、前記支持部により支持される前記収納袋の少なくとも一部が載置される載置部を更に備え、前記制御部は、前記支持部により支持される前記収納袋の内部に前記進入部を進入させて当該収納袋の内部に収納されている紙葉類に前記進入部を接触させることにより前記収納袋の内部に収納されている紙葉類の上端位置を検知するようになっており、前記制御部は、前記収納袋の内部に前記進入部を進入させて当該収納袋の内部に収納されている紙葉類に前記進入部を接触させた場合に、前記進入部が前記下端位置に位置していることが前記第1検知部により検知されないときに前記載置部を下降させるよう当該載置部の制御を行うようになっていてもよい。
【0013】
あるいは、本発明の紙葉類収納装置は、前記支持部により支持される前記収納袋の底部の位置を略鉛直方向に移動させる収納袋位置調整部を更に備え、前記制御部は、前記支持部により支持される前記収納袋の内部に前記進入部を進入させて当該収納袋の内部に収納されている紙葉類に前記進入部を接触させることにより前記収納袋の内部に収納されている紙葉類の上端位置を検知するようになっており、前記制御部は、前記収納袋の内部に前記進入部を進入させて当該収納袋の内部に収納されている紙葉類に前記進入部を接触させた場合に、前記進入部が前記下端位置に位置していることが前記第1検知部により検知されないときに前記収納袋の底部の位置を下降させるよう前記収納袋位置調整部の制御を行うようになっていてもよい。
【0014】
本発明の紙葉類収納装置は、前記進入部が前記下端位置に到達する前に前記収納袋の内部に収納されている紙葉類に接触した場合に前記進入部が前記下端位置に向けて移動することを停止させるための停止機構を更に備えていてもよい。
【0015】
本発明の紙葉類収納装置においては、前記進入部は、前記支持部により支持される前記収納袋の内部に進入して当該収納袋に収納されている紙葉類を下向きに押圧するようになっていてもよい。
【0016】
本発明の紙葉類収納装置は紙葉類を投入するための開口が設けられた収納袋の内部に紙葉類を収納させるための紙葉類収納装置であって、前記収納袋における前記開口の近傍の箇所を支持するための支持部と、前記支持部により支持される前記収納袋の内部に進入する進入部と、前記進入部の駆動を行う駆動部と、前記駆動部の制御を行う制御部であって、前記支持部により支持される前記収納袋の内部に前記進入部を進入させて当該収納袋の内部に収納されている紙葉類に前記進入部を接触させることによって前記支持部により支持される前記収納袋の内部に収納されている紙葉類の高さ検知する制御部と、を備えたことを特徴とする
【0017】
この場合、本発明の紙葉類収納装置は、略鉛直方向に移動可能となっており、前記支持部により支持される前記収納袋の少なくとも一部が載置される載置部と、前記載置部の位置を検知する第2検知部と、を更に備え、前記制御部は、前記支持部により支持される前記収納袋の内部に前記進入部を進入させて当該収納袋の内部に収納されている紙葉類に前記進入部を接触させることにより前記収納袋の内部に収納されている紙葉類の上端位置を検知するようになっており、当該制御部により検知される前記収納袋の内部に収納されている紙葉類の上端位置と、前記第2検知部により検知される前記載置部の位置とに基づいて、前記収納袋の内部に収納されている紙葉類の高さを検知するようになっていてもよい。
【0018】
本発明の紙葉類収納方法は、紙葉類を投入するための開口が設けられた収納袋の内部に紙葉類を収納させる紙葉類収納方法であって、前記収納袋における前記開口の近傍の箇所を支持部により支持させる工程と、前記支持部により支持される前記収納袋の内部に紙葉類を収納する工程と、前記支持部により支持される前記収納袋の内部に進入部を進入させて当該収納袋の内部に収納されている紙葉類に前記進入部を接触させることによって前記支持部により支持される前記収納袋の内部に収納されている紙葉類の上端位置を所定の高さに維持する工程と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明の紙葉類収納方法は、紙葉類を投入するための開口が設けられた収納袋を支持するための支持部と、前記支持部により支持される前記収納袋よりも上方の位置である待機位置と、前記支持部により支持される前記収納袋の内部に進入するような下端位置との間で移動する進入部とを備えた紙葉類収納装置による、収納袋の内部に紙葉類を収納させる紙葉類収納方法であって、前記収納袋における前記開口の近傍の箇所を前記支持部により支持させる工程と、前記支持部により支持される前記収納袋の内部に紙葉類を収納する工程と、前記支持部により支持される前記収納袋の内部に前記進入部を進入させる工程と、前記進入部が前記下端位置に位置しているか否かを検知する工程と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明の紙葉類収納方法は、紙葉類を投入するための開口が設けられた収納袋の内部に紙葉類を収納させる紙葉類収納方法であって、前記収納袋における前記開口の近傍の箇所を支持部により支持させる工程と、前記支持部により支持される前記収納袋の内部に紙葉類を収納する工程と、前記支持部により支持される前記収納袋の内部に進入部を進入させて当該収納袋の内部に収納されている紙葉類に前記進入部を接触させることによって前記支持部により支持される前記収納袋の内部に収納されている紙葉類の高さを検知する工程と、を備えたことを特徴とする。
【0019】
このような紙葉類収納方法によれば、支持部により支持される収納袋の内部に進入部を進入させて当該収納袋の内部に収納されている紙葉類に進入部を接触させることにより収納袋の内部に収納されている紙葉類の上端位置を検知するため、収納袋の内部に収納されている紙葉類の上端位置を確実に検知することができ、よって収納袋の開口を一対の加熱部材によりヒートシールする際に当該収納袋の開口において未シール箇所が発生してしまうことを防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の紙葉類収納装置および紙葉類収納方法によれば、収納袋の内部に収納されている紙葉類の上端位置を精度よく検知することができ、よって収納袋の開口を一対の加熱部材によりヒートシールする際に当該収納袋の開口において未シール箇所が発生してしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施の形態による紙幣処理機の内部構成を概略的に示す概略構成図である。
図2図1に示す紙幣処理機における紙幣収納機構の構成の詳細を示す側面図である。
図3図2に示す紙幣収納機構における一対の保持部材等の構成を示す斜視図である。
図4図2等に示す紙幣収納機構において各保持部材により保持されるべき紙幣収納袋の構成を示す側面図である。
図5図2に示す紙幣収納機構における押し込み部および一時保留部等の構成を示す側面図であって、一時保留部に紙幣が保留されていないときの状態を示す図である。
図6図2に示す紙幣収納機構における押し込み部および一時保留部等の構成を示す側面図であって、一時保留部に紙幣がフル状態またはニアフル状態で保留されているときの状態を示す図である。
図7図2に示す紙幣収納機構における押し込み部を移動させるパンタグラフ等の構成を示す斜視図である。
図8図2に示す紙幣収納機構におけるパンタグラフを動作させるモータや歯車、ピニオンラック等の構成を示す斜視図である。
図9図2に示す紙幣収納機構におけるパンタグラフを動作させるモータや歯車、ピニオンラック等を別の方向から見たときの斜視図である。
図10図2に示す紙幣収納機構におけるパンタグラフの位置を検知するための上端検知センサおよび下端検知センサの構成を示す側面図である。
図11図1等に示す紙幣処理機における制御系の構成を示す機能ブロック図である。
図12】変形例に係る紙幣収納機構の構成を示す側面図である。
図13】(a)〜(l)は、別の変形例に係る紙幣収納機構により紙幣を紙幣収納袋に収納させる動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図11は、本実施の形態に係る紙幣処理機を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態による紙幣処理機の内部構成を概略的に示す概略構成図であり、図2は、図1に示す紙幣処理機における紙幣収納機構の構成の詳細を示す側面図であり、図3は、図2に示す紙幣収納機構における一対の保持部材等の構成を示す斜視図である。また、図4は、図2等に示す紙幣収納機構において各保持部材により保持されるべき紙幣収納袋の構成を示す側面図である。また、図5および図6は、それぞれ、図2に示す紙幣収納機構における押し込み部および一時保留部等の構成を示す側面図である。また、図7は、図2に示す紙幣収納機構における押し込み部を移動させるパンタグラフ等の構成を示す斜視図であり、図8および図9は、それぞれ、図2に示す紙幣収納機構におけるパンタグラフを動作させるモータや歯車、ピニオンラック等の構成を示す斜視図である。また、図10は、図2に示す紙幣収納機構におけるパンタグラフの位置を検知するための上端検知センサおよび下端検知センサの構成を示す側面図である。また、図11は、図1等に示す紙幣処理機における制御系の構成を示す機能ブロック図である。なお、図2図6等において積層状態の複数の紙幣を参照符合Pで示している。
【0023】
本実施の形態による紙幣処理機10は、概してスーパーマーケット等の店舗のフロント領域やバックヤード領域、あるいは銀行ロビーや銀行の内部に配置されるものであり、当該紙幣処理機10は、紙幣の入金処理等の様々な処理を行うことができるようになっている。図1に示すように、本実施の形態による紙幣処理機10は略直方体形状の筐体12を有している。なお、図1における筐体12の左側の面が当該筐体12の前面(すなわち、操作者が対向する面)となっている。また、筐体12の内部には、上部ユニット14および下部ユニット16がそれぞれ当該筐体12の前面から前方(具体的には、図1における左方向)に引き出し可能となるよう収容されている。上部ユニット14において、筐体12の前面上部(図1における左側の面の上部)には、筐体12の外部から内部に紙幣を投入するための受入ホッパ等の投入部20が設けられている。また、上部ユニット14において、筐体12の前面(図1における左側の面)における投入部20の下方には、筐体12の内部から外部に紙幣を投出するための投出部22が設けられている。
【0024】
投入部20には、操作者により当該投入部20に積層状態で載置された紙幣を1枚ずつ筐体12の内部に繰り出すための紙幣繰出機構20aが設けられている。また、上部ユニット14において、紙幣処理機10の筐体12の内部には、当該筐体12内で紙幣を1枚ずつ搬送する搬送部24が設けられており、紙幣繰出機構20aにより投入部20から繰り出された紙幣は当該搬送部24により1枚ずつ搬送されるようになっている。また、搬送部24には識別部26が設けられており、紙幣繰出機構20aにより搬送部24に繰り出された紙幣は識別部26によりその金種、真偽、表裏、正損、新旧、搬送状態等が識別されるようになっている。
【0025】
図1に示すように、搬送部24には投出部22が接続されており、搬送部24から投出部22に送られた紙幣は当該投出部22に集積されるようになっている。また、投出部22は筐体12の外部からアクセス可能となっており、操作者は投出部22に集積された紙幣を筐体12の前面から取り出すことができるようになっている。また、搬送部24における投出部22との接続箇所には羽根車22aが設けられており、当該羽根車22aは図1における反時計回りの方向に回転するようになっている。そして、搬送部24から投出部22に紙幣が送られる際に、羽根車22aにおける2つの羽根の間に紙幣が挟まれた状態で当該羽根車22aが図1における反時計回りの方向に回転することにより、羽根車22aの2つの羽根の間に挟まれた紙幣は投出部22に整列された状態で集積されるようになる。
【0026】
また、上部ユニット14において、搬送部24にはテープ式の収納繰出部30が設けられており、搬送部24から収納繰出部30に送られた紙幣が当該収納繰出部30に収納されるとともにこの収納繰出部30に収納されている紙幣を1枚ずつ搬送部24に繰り出すことができるようになっている。より詳細には、収納繰出部30は正逆両方向に回転可能なドラム30aが設けられており、当該ドラム30aの外周面には一対の帯状のテープ31の一端が接続されている。そして、搬送部24から収納繰出部30に紙幣が送られると、これらの帯状のテープ31により当該紙幣は1枚ずつテープ31ごとドラム30aに巻き取られるようになっている。一方、ドラム30aを逆方向に回転させることにより各テープ31をドラム30aから巻き戻すとドラム30aに巻き取られている紙幣も各テープ31から放出されて搬送部24に繰り出されるようになる。
【0027】
図1に示すように、本実施の形態では、下部ユニット16には、一方に、紙幣を投入するための開口が設けられた紙幣収納袋34の内部に紙幣を収納させるための紙幣収納機構32が複数(例えば、2つ)設けられている。各紙幣収納機構32には、それぞれ、一対の保持部材36が互いに対向するよう離間して設けられており、紙幣収納袋34の開口部の近傍における互いに対向する2つの箇所が各保持部材36によりそれぞれ保持されるようになっている。ここで、ある保持部材36(具体的には、例えば図1図2における右側の保持部材36)はその位置が固定されているのに対し、別の保持部材36(具体的には、例えば図1図2における左側の保持部材36)は位置固定の保持部材36に向かって移動することができるようになっている。また、図2に示すように、各保持部材36にはそれぞれ加熱部材38が設けられている。そして、紙幣収納機構32において各保持部材36により保持された紙幣収納袋34に所定量の紙幣が収納された後、当該紙幣収納袋34が紙幣収納機構32から取り出される前に、一方の保持部材36が他方の保持部材36に向かって移動してこれらの保持部材36が互いに接合した状態で、加熱部材38によって紙幣収納袋34の開口部の近傍の箇所に熱が与えられることにより当該紙幣収納袋34の開口部はヒートシール(熱封止)されるようになっている。なお、紙幣収納機構32において、一対の保持部材36のうちある1つの保持部材36が他の保持部材36に向かって移動する代わりに、両方の保持部材36がそれぞれ他の保持部材36に向かって中央位置まで移動してこれらの保持部材36が中央位置で互いに接合するようになっていてもよい。
【0028】
また、上部ユニット14において、搬送部24からは各紙幣収納機構32に対応して複数(図1に示す例では2つ)の分岐搬送部25が分岐しており、搬送部24から分岐搬送部25に分岐させられた紙幣が当該分岐搬送部25から各紙幣収納機構32に装着された紙幣収納袋34に送られて当該紙幣収納袋34に収納されるようになっている。
【0029】
次に、本実施の形態における紙幣収納機構32の構成の詳細について図2乃至図4を用いて説明する。図2は、紙幣収納機構32の構成の詳細を示す側面図であり、図3は、図2に示す紙幣収納機構32における一対の保持部材36等の構成を示す斜視図であり、図4は、図2等に示す紙幣収納機構32において各保持部材36により保持される紙幣収納袋34の構成を示す斜視図である。
【0030】
図2に示すように、紙幣収納機構32には、上部ユニット14の分岐搬送部25から下部ユニット16に送られた紙幣を一対の保持部材36により保持される紙幣収納袋34に送るための紙幣送り出し部48と、紙幣送り出し部48から送られた紙幣が一時的に保留される一時保留部44と、一対の保持部材36により保持される紙幣収納袋34の底部が載置されるステージ40とがそれぞれ設けられている。
【0031】
図2に示すように、紙幣送り出し部48は、ローラやベルトを組み合わせたものからなり、上部ユニット14の分岐搬送部25から下部ユニット16に送られた紙幣を1枚ずつ一時保留部44上に送って当該一時保留部44上に集積させるようになっている。また、一時保留部44は左右一対のものからなり、各一時保留部44の基端部分に設けられた軸44aを中心として各一時保留部44は下方(すなわち、図2における矢印方向)にそれぞれ回転することができるようになっている。また、ステージ40は左右一対のものからなり、各ステージ40は図2における上下方向および左右方向にそれぞれ移動可能となっている。また、一対のステージ40の間には隙間が形成されており、保持部材36により保持される紙幣収納袋34の一部はこの隙間を通って各ステージ40から下方に延びるようになっている。なお、各ステージ40は電動アクチュエータ等のステージ駆動部41(図11参照)により駆動されるようになっている。
【0032】
また、図2に示すように、各ステージ40にはそれぞれ加熱部材42が設けられている。そして、当該紙幣収納袋34が紙幣収納機構32から取り出される前に、一方のステージ40(例えば、図2における左側のステージ40)が他方のステージ40(例えば、図2における右側のステージ40)に向かって移動してこれらのステージ40が互いに接合した状態で、加熱部材42によって紙幣収納袋34の底部近傍の箇所に熱が与えられることにより当該紙幣収納袋34の底部がヒートシール(熱封止)されるようになっている。なお、紙幣収納機構32において、一対のステージ40のうちある1つのステージ40が他のステージ40に向かって移動する代わりに、両方のステージ40がそれぞれ他のステージ40に向かって中央位置まで移動してこれらのステージ40が中央位置で互いに接合するようになっていてもよい。
【0033】
また、図3に示すように、左右一対の保持部材36のうち左側の保持部材36にはパンタグラフ37が設けられており、当該パンタグラフ37により左側の保持部材36は右側の保持部材36に向かって移動させられてこれらの保持部材36が互いに接合させられるようになっている。より詳細には、左側の保持部材36の端部にはガイドピン36bが設けられているとともに、各保持部材36を支持する枠体36kには当該ガイドピン36bが案内される直線状の長穴36cが設けられている。ここで、この長穴36cは枠体36kにおいて水平方向に延びるよう設けられている。そして、パンタグラフ37が伸びると、左側の保持部材36に設けられたガイドピン36bが長穴36cに沿って案内されることにより、当該左側の保持部材36は右側の保持部材36に向かって移動させられるようになる。
【0034】
また、図3に示すように、左右一対の保持部材36の上面には2つのピン36aが設けられている。また、図4に示すように、各保持部材36により保持されるべき紙幣収納袋34の開口部の近傍の箇所(すなわち、紙幣収納袋34の上端部)には、それぞれ2つの開口34bが形成された一対の突出部34aが設けられており、紙幣収納袋34が各保持部材36により保持される際に、紙幣収納袋34の各突出部34aに形成されている各開口34bに各保持部材36の各ピン36aが通されることにより、これらの突出部34aが各保持部材36により保持されるようになっている。
【0035】
また、図2に示すように、一対の一時保留部44の上方には押し込み部46が設けられている。当該押し込み部46にはパンタグラフ50(図7乃至図10参照、図2では図示せず)が設けられており、このパンタグラフ50が図2における上下方向に伸縮することによって押し込み部46は図2において矢印で示す範囲を上下方向に移動することができるようになっている。このような押し込み部46が下方に移動することによって、各一時保留部44に一時的に保留されている紙幣が紙幣収納袋34に収納される際に、各一時保留部44上にある紙幣を集積状態のまま紙幣収納袋34に向かって押し込むことができるようになる。
【0036】
このような押し込み部46の構成の詳細について図5および図6を用いて説明する。図5および図6は、図2に示す紙幣収納機構32における押し込み部46および一対の一時保留部44等の構成を示す側面図である。なお、図5では、一時保留部44に紙幣が保留されていないときの状態が示されており、図6では、一時保留部44に紙幣がフル状態またはニアフル状態で保留されているときの状態が示されている。
【0037】
図5および図6に示すように、押し込み部46は、押し込み部材46aおよびベース部材46bを有しており、押し込み部材46aは軸46cを中心としてベース部材46bに対して揺動自在となっている。より詳細には、押し込み部材46aには円弧状のガイド穴46fが設けられており、ベース部材46bにはこの押し込み部材46aのガイド穴46fに挿入されるピン部材46gが設けられている。そして、押し込み部材46aは、ピン部材46gが相対的にガイド穴46fを移動する範囲内で、軸46cを中心としてベース部材46bに対して揺動するようになっている。ここで、押し込み部材46aに何ら力が加えられていない場合には、図5に示すように、押し込み部材46aは自重によりベース部材46bに対して下方に突出する位置に維持されるようになる。一方、各一時保留部44に保留される紙幣により押し込み部材46aが上方に押されると、図5に示すような状態から押し込み部材46aは軸46cを中心として図5における反時計回りの方向に回転し、図6に示すように押し込み部材46aはベース部材46bに対して上方に退避するようになる。
【0038】
また、図5および図6に示すように、押し込み部材46aの上部には被検知部材46dが取り付けられているとともに、この被検知部材46dを検知する検知センサ47が設けられている。検知センサ47は位置固定で設けられており、図5図6に示すような位置に押し込み部46が位置している場合に、各一時保留部44に保留される紙幣により押し込み部材46aが上方に押されてこの押し込み部材46aが軸46cを中心として図5図6における反時計回りの方向に回転したときに、押し込み部材46aに取り付けられている被検知部材46dが検知センサ47により検知されるようになっている。このように、検知センサ47は、ベース部材46bに対して押し込み部材46aが軸46cを中心として上方に回転したときにこのことを検知するようになっている。なお、検知センサ47は位置固定で設けられることに限定されることはない。他の例として、検知センサ47は押し込み部46と一体的に図2における上下方向に移動するようになっていてもよい。この場合には、図2に示すように押し込み部46が紙幣収納袋34の内部に進入し、各一時保留部44上にある紙幣を紙幣収納袋34に向かって押し込む際にも、紙幣収納袋34に収納されている紙幣により押し込み部材46aが上方に押されてこの押し込み部材46aが軸46cを中心として上方に回転したときにこのことを検知することができるようになる。
【0039】
本実施の形態では、このような押し込み部46は、一対の保持部材36により保持される紙幣収納袋34の内部に進入することができる進入部として機能するようになる。
【0040】
本実施の形態の紙幣収納機構32では、このような押し込み部46は、紙幣送り出し部48から送られた紙幣を各一時保留部44に保留させる際に紙幣を案内するガイドとしても機能するようになっている。また、各一時保留部44に保留される紙幣がフル状態またはニアフル状態となったときに、押し込み部46の押し込み部材46aが上方に押されて被検知部材46dが検知センサ47により検知されるようになっている。すなわち、検知センサ47は、各一時保留部44に保留される紙幣がフル状態またはニアフル状態となったときにこのことを検知するようになっている。
【0041】
次に、本実施の形態の紙幣収納機構32における、押し込み部46を下方に移動させる機構および一対の一時保留部44を下方に回転させる機構について図7乃至図10を用いて説明する。本実施の形態の紙幣収納機構32では、一つのモータ54(図8および図9参照)により、押し込み部46を下方に移動させる動作および一対の一時保留部44を下方に回転させる動作が同時に行われるようになっている。
【0042】
図7に示すように、押し込み部46のベース部材46bの上面には取付部材46eが取り付けられており、この取付部材46eにはパンタグラフ50の2つの下端部がそれぞれ取り付けられている。ここで、パンタグラフ50の2つの下端部のうち一方の下端部は取付部材46eに対して回転自在に取り付けられるのに対し、他方の下端部にはピン部材が設けられており、このピン部材は取付部材46eに設けられた長穴の内部で水平方向に移動するようになっている。また、パンタグラフ50の2つの上端部のうち一方の上端部には軸51が取り付けられており、この上端部は軸51を中心として回転するようになっている。また、パンタグラフ50の2つの上端部のうち他方の上端部は、後述するピニオン68(図9参照)によって水平方向に移動させられるラック52に回転自在に取り付けられている。ここで、ピニオン68によってラック52が軸51に近づく方向に移動させられると、パンタグラフ50は下方に伸びることによりこのパンタグラフ50の下端部に取り付けられている押し込み部46も下方に移動するようになる。一方、ピニオン68によってラック52が軸51から遠ざかる方向に移動させられると、パンタグラフ50は上方に縮むことによりこのパンタグラフ50の下端部に取り付けられている押し込み部46も上方に移動するようになる。
【0043】
次に、押し込み部46を下方に移動させる動作および一対の一時保留部44を下方に回転させる動作を同時に行うモータ54等の構成について図8乃至図10を用いて説明する。図8に示すように、モータ54には歯車55が取り付けられており、当該モータ54により歯車55が正逆両方向に回転させられるようになっている。また、モータ54に設けられた歯車55には別の歯車56が噛み合っており、この歯車56には、更に別の歯車57が噛み合っている。また、この歯車57の回転軸には、循環ベルト60が掛け渡されているプーリ58が設けられており、歯車57およびプーリ58は同期して回転するようになっている。また、歯車57の回転軸にはトルクリミッタ59が設けられており、この回転軸とプーリ58との間に所定のトルクを超えた過度のトルクがかかると回転軸とプーリ58との接続が切断され、プーリ58に対して回転軸が空回りするようになる。また、循環ベルト60は別のプーリ62にも掛け渡されている。さらに、図9に示すように、このプーリ62の回転軸には別の歯車63が取り付けられており、プーリ62および歯車63は同期して回転するようになっている。また、この歯車63には別の歯車64が噛み合っており、この歯車64は回転軸66を中心として回転するようになっている。このような構成により、モータ54により歯車55が正逆両方向に回転させられると、回転軸66が正逆両方向に回転するようになる。
【0044】
また、図9に示すように、回転軸66にはピニオン68、カム70、被検知板75がそれぞれ取り付けられており、回転軸66が回転するとこれらのピニオン68、カム70、被検知板75も回転軸66を中心として回転するようになっている。上述したように、ピニオン68が回転軸66を中心として回転すると、ラック52が軸51に近づく方向または軸51から遠ざかる方向に移動させられ、このことによりパンタグラフ50が伸縮するようになる。また、図9に示すように、カム70の近傍には、各一時保留部44を動作させるための動力伝達部材72が設けられている。図9に示すように、動力伝達部材72は、略長方形形状の板状のものとなっており、この動力伝達部材72は鉛直方向に延びる状態で配置されている。また、動力伝達部材72の両側縁における下端部分の近傍には、直線状に延びる歯部分72aがそれぞれ形成されている。また、一対の一時保留部44の各軸44aには歯車45が取り付けられており、この歯車45は動力伝達部材72の歯部分72aと噛み合うようになっている。このため、図9に示す状態から動力伝達部材72が下方に移動すると、歯部分72aによって各歯車45が回転し、このことにより各一時保留部44は軸44aを中心して下方に開くようになる。ここで、動力伝達部材72に何ら力が加えられていない場合には、図示しない引っ張りバネ等により動力伝達部材72は上方向に引っ張られるようになっている。また、動力伝達部材72にはローラ73が回転自在に取り付けられており、このローラ73の外周面はカム70の外周面に接するようになっている。そして、カム70が回転軸66を中心として図8における時計回りの方向に回転すると、ローラ73がカム70の外周面によって下方に押し下げられ、このことにより動力伝達部材72は上述した引っ張りバネ等による引っ張り力に抗して下方に移動するようになる。このようにして、動力伝達部材72が下方に移動すると、上述したように、歯部分72aによって各歯車45が回転し、このことにより各一時保留部44は軸44aを中心して下方に開くようになる。
【0045】
また、図9および図10に示すように、回転軸66の近傍には、当該回転軸66に取り付けられている被検知板75を検知するための2つのセンサ(具体的には、上端検知センサ76および下端検知センサ78)が設けられている。より詳細には、パンタグラフ50が完全に収縮した状態にあり、押し込み部46が上端位置(待機位置)に位置しているときに、被検知板75が上端検知センサ76により検知されるようになっている。また、パンタグラフ50が完全に伸びた状態にあり、押し込み部46が下端位置に位置しているときに、被検知板75が下端検知センサ78により検知されるようになっている。このように、上端検知センサ76および下端検知センサ78は、それぞれ、押し込み部46が上端位置(待機位置)および下端位置に位置しているときにこのことを検知するようになっている。
【0046】
また、本実施の形態の紙幣収納機構32において、鉛直方向における各ステージ40の位置を検知するステージ位置検知部79が設けられている。具体的には、各ステージ40には被検知板(図示せず)が取り付けられるとともに、ステージ位置検知部79は被検知板を検知するための鉛直方向に延びるラインセンサを有している。そして、各ステージ40に取り付けられた被検知板がラインセンサによって検知されることにより、鉛直方向における各ステージ40の位置がステージ位置検知部79により検知されるようになる。
【0047】
また、本実施の形態の紙幣処理機10には、当該紙幣処理機10の各構成部材の制御を行う制御部80が設けられている。より詳細には、図11に示すように、制御部80には、投入部20に設けられた紙幣繰出機構20a、投出部22に設けられた羽根車22aを駆動するための羽根車駆動部22b、搬送部24、分岐搬送部25、識別部26、収納繰出部30、紙幣収納機構32(具体的には、パンタグラフ37、加熱部材38、ステージ駆動部41、加熱部材42、検知センサ47、モータ54、上端検知センサ76、下端検知センサ78、ステージ位置検知部79および紙幣送り出し部48)等がそれぞれ接続されている。そして、識別部26による紙幣の識別結果に係る信号が制御部80に送られるとともに、制御部80は紙幣処理機10の各構成部材に指令信号を送ることによりこれらの構成部材の動作を制御するようになっている。また、検知センサ47、上端検知センサ76、下端検知センサ78、ステージ位置検知部79による検知情報も制御部80に送られるようになっている。
【0048】
また、図11に示すように、制御部80には操作表示部82、記憶部84、印字部86および通信インターフェース部88がそれぞれ接続されている。図1に示すように、操作表示部82は例えば筐体12の上面に設けられたタッチパネル等からなり、紙幣処理機10における紙幣の入金処理等の処理状況や、各紙幣収納袋34に収納されている紙幣の在高等に関する情報が操作表示部82に表示されるようになっている。また、操作者は操作表示部82を操作することにより制御部80に対して様々な指令を与えることができるようになっている。記憶部84には、紙幣処理機10における紙幣の入金処理等の処理履歴や、各紙幣収納袋34に収納されている紙幣の在高等に関する情報が記憶されるようになっている。また、印字部86は、紙幣処理機10における紙幣の入金処理等の処理履歴や、各紙幣収納袋34に収納されている紙幣の在高等に関する情報をレシート等に印字するようになっている。また、制御部80は通信インターフェース部88を介して本実施の形態による紙幣処理機10とは別に設けられた外部装置(具体的には、例えば上位端末)に対して信号の送受信を行うことができるようになっている。具体的には、制御部80は通信インターフェース部88を介して記憶部84に記憶されている情報を紙幣処理機10とは別に設けられた外部装置に送信することができるようになっている。例えば、警送会社の警備員等が紙幣収納袋34ごと紙幣を回収する際に、回収された紙幣に関する情報が通信インターフェース部88により警送会社のコンピュータ等に送信されるようになっている。
【0049】
次に、このような構成からなる紙幣処理機10の動作について説明する。なお、以下に示すような紙幣処理機10の動作は、制御部80が紙幣処理機10の各構成部材を制御することにより行われるようになっている。
【0050】
まず、紙幣処理機10において紙幣の入金処理を行う際の動作について説明する。操作者が投入部20に紙幣を投入した後、操作表示部82により入金処理開始の指令を制御部80に与えると、投入部20に投入された紙幣は紙幣繰出機構20aにより1枚ずつ筐体12内に繰り出され、搬送部24により1枚ずつ搬送されるようになる。そして、搬送部24により搬送される紙幣は識別部26によりその金種、真偽、表裏、正損、新旧、搬送状態等が識別される。識別部26により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は搬送部24により投出部22に送られ、当該投出部22に集積される。このことにより、操作者は投出部22に集積されたリジェクト紙幣を筐体12の前面から手動で取り出し、投入部20に再投入等することができるようになる。一方、識別部26により正常な紙幣であると識別された紙幣は収納繰出部30に送られ、当該収納繰出部30に一時的に収納されるようになる。また、収納繰出部30に一時的に収納された紙幣の金種毎の枚数や総額が操作表示部82に表示される。操作者がその表示内容を確認し、入金処理の承認操作を行うと、収納繰出部30から紙幣が1枚ずつ搬送部24に繰り出され、 搬送部24から分岐搬送部25に分岐させられ、当該分岐搬送部25から紙幣収納袋34に送られ、この紙幣収納袋34に収納されるようになる。
【0051】
また、識別部26により識別された紙幣が送られるべき紙幣収納袋34がフル状態またはニアフル状態となっており、紙幣収納袋34に紙幣を収納させることができない場合には、収納繰出部30を、フル状態またはニアフル状態が解消されるまでの紙幣の収納部として用いてもよい。具体的には、識別部26により識別された紙幣は収納繰出部30に送られ、当該収納繰出部30に収納されるようになっている。そして、フル状態またはニアフル状態となっている紙幣収納袋34が警送会社の警備員等や店舗の店員等によって下部ユニット16の紙幣収納機構32から取り出され、空の紙幣収納袋34が紙幣収納機構32に装着されると、収納繰出部30から紙幣が1枚ずつ搬送部24に繰り出されて当該搬送部24により紙幣収納袋34に送られるようになる。
【0052】
次に、紙幣収納機構32において、上部ユニット14の分岐搬送部25から下部ユニット16に送られた紙幣を一対の保持部材36により保持されている紙幣収納袋34に収納させる際の動作について説明する。
【0053】
上部ユニット14の分岐搬送部25から下部ユニット16に送られた紙幣は紙幣送り出し部48により左右一対の一時保留部44上に送られ、これらの一時保留部44上に集積される。そして、所定の枚数の紙幣が各一時保留部44上に集積されると、各一時保留部44はその基端部分に設けられた軸44aを中心としてそれぞれ下方(すなわち、図2における矢印方向)に回転し、各一時保留部44上に集積されている紙幣は自重によりこれらの一時保留部44から落下して紙幣収納袋34に収納されるようになる。具体的には、モータ54が歯車55を回転させることにより回転軸66が回転し、この回転軸66に取り付けられたカム70が回転することにより動力伝達部材72が下方に移動する。そして、動力伝達部材72が下方に移動すると、この動力伝達部材72に設けられた歯部分72aによって各歯車45が回転し、このことにより各一時保留部44は軸44aを中心して下方に開くようになる。また、モータ54が歯車55を回転させることにより回転軸66が回転するとピニオン68が回転し、このピニオン68によってラック52が軸51に近づく方向に移動させられる。このことにより、パンタグラフ50は下方に伸びるようになり、このパンタグラフ50の下端部に取り付けられている押し込み部46も下方に移動する。このようにして、各一時保留部44に一時的に保留されている紙幣が紙幣収納袋34に収納される際に、各一時保留部44に残留してしまった紙幣を押し込み部46によって紙幣収納袋34に向かって押し込むことができるようになる。
【0054】
また、各一時保留部44から紙幣が落下して紙幣収納袋34に収納されると、各ステージ40がステージ駆動部41により下方に移動させられ、次に各一時保留部44から紙幣収納袋34に送られる紙幣の収納空間が当該紙幣収納袋34の内部に形成されるようになる。また、本実施の形態では、各保持部材36により保持される紙幣収納袋34の内部に紙幣が収納され、各ステージ40が下方に移動させられた後に、当該紙幣収納袋34の内部に押し込み部46を進入させてこの紙幣収納袋34内に集積されている紙幣を介して当該紙幣収納袋34の底部を各ステージ40に向かって押圧させてもよい。この場合には、押し込み部46によって紙幣収納袋34の内部に紙幣を押し込むことにより、紙幣収納袋34の内部に積層状態で集積されている紙幣が集積方向に圧縮されるため、紙幣収納袋34の内部に積層状態で収納されている紙幣が崩れてしまうことをより一層抑制することができる。
【0055】
また、本実施の形態では、制御部80は、各保持部材36により保持される紙幣収納袋34の内部に押し込み部46を進入させて当該紙幣収納袋34の内部に収納されている紙幣に押し込み部46を接触させることにより紙幣収納袋34の内部に収納されている紙幣の上端位置を検知するようになっている。また、制御部80は、各保持部材36により保持される紙幣収納袋34の内部に収納されている紙幣の上端位置を所定の高さに維持するよう各構成部材の制御を行うようになっている。より詳細には、制御部80は、各保持部材36により保持される紙幣収納袋34の内部に押し込み部46を進入させて当該紙幣収納袋34の内部に収納されている紙幣に押し込み部46を接触させた場合に、押し込み部46が下端位置に位置していることが下端検知センサ78により検知されないときに各ステージ40を下降させるようステージ駆動部41を制御するようになっている。このような動作の詳細について以下に説明する。
【0056】
上述したように、各一時保留部44に一時的に保留されている紙幣が紙幣収納袋34に収納される際に、各一時保留部44に集積された紙幣が押し込み部46によって集積状態のまま紙幣収納袋34に向かって押し込まれるが、紙幣収納袋34に収納されている紙幣に厚みがあるため、押し込み部46は下端位置まで移動することができず、歯車57の回転軸とプーリ58との間に所定のトルクを超えた過度のトルクがかかるようになる。この場合には、トルクリミッタ59により回転軸とプーリ58との接続が切断され、プーリ58に対して回転軸が空回りするようになる。また、押し込み部46が下端位置まで移動することができないため、下端検知センサ78により被検知板75が検知されない。このことにより、制御部80は、押し込み部46が下端位置に位置していないことを検知する。
【0057】
制御部80は、モータ54を回転させて押し込み部46を下方に移動させた後、一定時間が経過しても押し込み部46が下端位置に位置していることが下端検知センサ78により検知されない場合には、ステージ駆動部41を制御して各ステージ40を下降させる。このことにより、一対の保持部材36により保持される紙幣収納袋34の底部も下降するため、この紙幣収納袋34に収納されている紙幣も下降し、よって押し込み部46も下降する。このようにして押し込み部46が下降し、当該押し込み部46が下端位置に到達すると、下端検知センサ78により被検知板75が検知される。このことにより、押し込み部46が下端位置に位置していることが下端検知センサ78により検知されるようになる。制御部80は、押し込み部46が下端位置に位置していることが下端検知センサ78により検知されると、ステージ駆動部41を制御して各ステージ40の下降を停止させる。このようにして、各保持部材36により保持される紙幣収納袋34の内部に収納されている紙幣の上端位置を所定の高さ(すなわち、押し込み部46が下端位置に位置するときの当該押し込み部46の押し込み部材46aの下面の位置)に維持することができるようになる。
【0058】
また、本実施の形態では、制御部80は、各保持部材36により保持される紙幣収納袋34の内部に収納されている紙幣の上端位置を検知するのみならず、紙幣収納袋34の内部に収納されている紙幣の高さを検知することができるようになっている。ここで、紙幣の高さは、紙幣収納袋34の内部に集積されて収納されている複数の紙幣の全体の高さである。より詳細には、上述したように、鉛直方向におけるステージ40の位置がステージ位置検知部79により検知されるようになっている。そして、制御部80は、当該制御部80により検知される紙幣収納袋34の内部に収納されている紙幣の上端位置と、ステージ位置検知部79により検知されるステージ40の位置(すなわち、鉛直方向における紙幣収納袋34の底部の位置)とに基づいて、紙幣収納袋34の内部に収納されている紙幣の高さを検知するようになっている。このように、紙幣収納袋34の内部に収納されている紙幣の高さが検知されると、紙幣収納袋34の開口を一対の加熱部材38によりヒートシールする際に、紙幣収納袋34に収納されている紙幣のうち上部に位置する紙幣が一対の加熱部材38の間に挟まれてしまうことを防止することができるようになる。
【0059】
以上のように、本実施の形態の紙幣収納機構32(紙幣収納装置)やこのような紙幣収納機構32による紙幣収納方法によれば、一対の保持部材36により保持される紙幣収納袋34の内部に進入することができる進入部として 押し込み部46が設けられており、当該押し込み部46の駆動を行う駆動部としてモータ54が設けられている。また、モータ54の制御を行う制御部80は、一対の保持部材36により保持される紙幣収納袋34の内部に押し込み部46を進入させて当該紙幣収納袋34の内部に収納されている紙幣に押し込み部46を物理的に接触させることにより紙幣収納袋34の内部に収納されている紙幣の上端位置を検知するようになっている。このような場合には、紙幣収納袋34の内部に収納されている紙幣に押し込み部46を物理的に接触させることにより当該紙幣の上端位置を確実に検知することができ、よって紙幣収納袋34の開口を一対の加熱部材38によりヒートシールする際に当該紙幣収納袋34の開口において未シール箇所が発生してしまうことを防止することができる。
【0060】
なお、本実施の形態による紙幣収納機構(紙幣収納装置)や紙幣収納方法は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
【0061】
例えば、上記の説明では、進入部としての押し込み部46が下端位置(すなわち、各保持部材36により保持される紙幣収納袋34の内部に進入するような下端位置)に位置しているか否かを検知する第1検知部として下端検知センサ78を用いるような態様について述べたが、押し込み部46が下端位置に位置しているか否かを検知する際に下端検知センサ78により被検知板75を検知する方法以外の方法が用いられてもよい。押し込み部46が下端位置に位置しているか否かを検知する他の方法として、紙幣収納袋34の内部に収納されている紙幣に押し込み部46の押し込み部材46aを接触させたときの、押し込み部材46aの動作を利用する方法がある。具体的には、押し込み部材46aの上部に取り付けられた被検知部材46dを検知する検知センサ47が押し込み部46と一体的に図2における上下方向に移動するように構成される。そして、紙幣収納袋34の内部に収納されている紙幣に押し込み部46の押し込み部材46aを接触させたときに、押し込み部46がさらに下方に移動する余地がある場合は、押し込み部材46aが紙幣に押されて回転し、検知センサ47により被検知部材46dが検知される。このときに、制御部80は、押し込み部46がまだ下端位置に到達していないと判断する。一方、紙幣収納袋34の内部に収納されている紙幣に押し込み部46の押し込み部材46aを接触させたときに、押し込み部46がほぼ下端位置に到達していた場合は、押し込み部材46aはほとんど回転することがなく、検知センサ47により被検知部材46dが検知されない。このときに、制御部80は、押し込み部46が下端位置に位置していると判断する。制御部80は、紙幣収納袋34の内部に収納されている紙幣に押し込み部46の押し込み部材46aを接触させたときに、検知センサ47により被検知部材46dが検知された場合には、検知センサ47により被検知部材46dが検知されなくなるまで各ステージ40を下降させるようステージ駆動部41を制御する。このことにより、押し込み部46を下端位置に位置させることができるようになる。
【0062】
また、ピニオン68の回転軸66に取り付けられている被検知板75を検知するための2つのセンサ(具体的には、上端検知センサ76および下端検知センサ78)を用いることにより押し込み部46の上端位置(待機位置)および下端位置を検知する代わりに、パンタグラフ50の上端部に設けられた軸51に被検知板を設けるとともにこの被検知板を検知するための2つのセンサを設置してもよい。より詳細には、パンタグラフ50が完全に収縮した状態にあり、押し込み部46が上端位置(待機位置)に位置しているときに、軸51に設けられた被検知板が一方の検知センサにより検知されるようになっている。また、パンタグラフ50が完全に伸びた状態にあり、押し込み部46が下端位置に位置しているときに、軸51に設けられた被検知板が他方の検知センサにより検知されるようになっている。このように、軸51に設けられた被検知板を検知するための2つの検知センサは、それぞれ、押し込み部46が上端位置(待機位置)および下端位置に位置しているときにこのことを検知するようになる。このような構成でも、押し込み部46の下端位置を検知することにより、紙幣収納袋34の内部に収納されている紙幣に接触する押し込み部46の鉛直方向における位置を下端位置とすることができるため、紙幣収納袋34の内部に収納されている紙幣の上端位置を常に同じ高さとすることができる。
【0063】
また、変形例に係る紙幣収納機構として、図12に示すような構成のものが用いられてもよい。図12に示す紙幣収納機構32aでは、図2等に示す紙幣収納機構32と異なり、各保持部材36には紙幣収納袋34を保持するためのピン36aが設けられておらず、紙幣収納袋34は各保持部材36で下方に折り返されて後述する収納袋位置調整部33によりその開口の近傍の箇所が保持されるようになっている。また、図12に示す紙幣収納機構32aでは、図2等に示す紙幣収納機構32と異なり、収納袋位置調整部33により保持される紙幣収納袋34の底部が載置されるステージ40が設けられていない。図12に示す紙幣収納機構32aでは、収納袋位置調整部33は、当該収納袋位置調整部33により保持される紙幣収納袋34を鉛直方向(すなわち、図12における矢印で示す方向)に移動させることができるようになっている。このことにより、収納袋位置調整部33は、紙幣収納袋34の底部の位置を略鉛直方向に移動させることができるようになる。
【0064】
図12に示すような紙幣収納機構32aにおいて、制御部80は、紙幣収納袋34の内部に進入部としての押し込み部46を進入させて当該紙幣収納袋34の内部に収納されている紙幣に押し込み部46を接触させた場合に、押し込み部46が下端位置に位置していることが第1検知部としての下端検知センサ78により検知されないときに、紙幣収納袋34の底部の位置を下降させるよう、収納袋位置調整部33の制御を行うようになっている。このことにより、図12に示すような紙幣収納機構32aでも、紙幣収納袋34の内部に収納されている紙幣に接触する押し込み部46の鉛直方向における位置を下端位置とすることができるため、紙幣収納袋34の内部に収納されている紙幣の上端位置を常に同じ高さとすることができる。
【0065】
また、別の変形例に係る紙幣収納機構において、1つの紙幣収納袋34の内部を複数の紙幣収納空間に分割し、各紙幣収納空間にそれぞれ紙幣を積層状態で収納させることができるようになっていてもよい。このような別の変形例に係る紙幣収納機構により紙幣収納袋34に紙幣を収納させる動作について図13(a)〜(l)を用いて説明する。
【0066】
図13に示すような別の変形例に係る紙幣収納機構では、各々に加熱部材38が設けられている一対の保持部材36の代わりに、紙幣収納袋34の開口部の近傍における互いに対向する2つの箇所をそれぞれ保持する一対の第1保持部材36mおよび各第1保持部材36mの下方に設けられ図13(a)の矢印方向に移動自在となっている第2保持部材36nがそれぞれ設けられている。ここで、各第1保持部材36mは位置固定で配置されており、これらの第1保持部材36mには加熱部材は設けられていない。一方、各第2保持部材36nに、上述した加熱部材38と同様の構成の加熱部材が設けられている。また、各第2保持部材36nは、それぞれ互いに接近する方向および互いから遠ざかる方向に移動可能となっているとともに、鉛直方向に移動可能となっている。
【0067】
図13に示すような変形例に係る紙幣収納機構により紙幣収納袋34に紙幣を収納させるにあたり、まず、図13(a)に示すように、位置固定で設けられた各第1保持部材36mにより紙幣収納袋34の開口部の近傍における互いに対向する2つの箇所をそれぞれ保持させる。次に、図13(b)に示すように、紙幣収納袋34の内部に紙幣を積層状態で収納させる。この際に、紙幣収納袋34の内部に紙幣が収納される度に、各ステージ40を徐々に下降させるようにする。そして、所定の枚数の紙幣が紙幣収納袋34の内部に収納されると、図13(c)に示すように、各ステージ40を下端位置に移動させる。また、各第2保持部材36nを紙幣収納袋34の高さ方向における中間位置に移動させる。その後、図13(d)に示すように、各第2保持部材36nを互いに接近する方向に移動させ、紙幣収納袋34を挟んで第2保持部材36n同士を当接させる。このことにより、加熱部材によって紙幣収納袋34の高さ方向における中間位置の箇所に熱が与えられることにより当該紙幣収納袋34の中間位置の箇所はヒートシール(熱封止)されるようになる。図13(d)において、加熱部材により1回目にヒートシールされた箇所を参照符合34pで示す。このように、紙幣収納袋34の中間位置の箇所をヒートシールすることにより、1つの紙幣収納袋34の内部を複数の紙幣収納空間に分割することができるようになる。
【0068】
その後、図13(e)に示すように、各第2保持部材36nを互いに離間する方向にわずかに移動させてこれらの第2保持部材36nの間に隙間を形成するようにし、さらに図13(f)に示すように各第2保持部材36nを上昇させる。この際に、各第1保持部材36mにより保持される紙幣収納袋34の一部は各第2保持部材36nの間の隙間を通ってこれらの第2保持部材36nから下方に延びるようになる。また、各第2保持部材36nの上にそれぞれ紙幣収納袋34が載せられるようになり、この紙幣収納袋34に積層状態で収納される紙幣は各第2保持部材36nの上に載るようになる。
【0069】
そして、図13(g)に示すように、紙幣収納袋34の内部においてヒートシールされた箇所34pの上方に紙幣を積層状態で収納させる。この際に、紙幣収納袋34の内部に紙幣が収納される度に、各第2保持部材36nを徐々に下降させるようにする。そして、所定の枚数の紙幣が紙幣収納袋34の内部に収納されると、図13(h)に示すように、各第2保持部材36nを互いに接近する方向に移動させ、紙幣収納袋34を挟んで第2保持部材36n同士を当接させる。このことにより、加熱部材によって紙幣収納袋34の高さ方向における中間位置の箇所(具体的には、加熱部材により1回目にヒートシールされた箇所34pよりも上方の箇所)に熱が与えられることにより当該紙幣収納袋34の中間位置の箇所はヒートシール(熱封止)されるようになる。図13(h)において、紙幣収納袋34における加熱部材により2回目にヒートシールされた箇所を参照符合34qで示す。このことにより、紙幣収納袋34における1回目にヒートシールされた箇所34pおよび2回目にヒートシールされた箇所34qの間の箇所を切断すると、各々に紙幣が積層状態で収納された2つの紙幣収納袋を作成することができるようになる。なお、図13(h)に示すような、加熱部材により紙幣収納袋34に2回目にヒートシールする作業は省略してもよい。
【0070】
そして、加熱部材により紙幣収納袋34に2回目にヒートシールする作業が完了すると、図13(i)に示すように各第2保持部材36nを互いに離間する方向に移動させ、その後、図13(j)に示すように各第2保持部材36nを更に上昇させる。具体的には、各第2保持部材36nを紙幣収納袋34の開口の近傍の位置まで上昇させる。そして、図13(k)に示すように、紙幣収納袋34の開口の近傍の位置において、各第2保持部材36nを互いに接近する方向に移動させ、紙幣収納袋34を挟んで第2保持部材36n同士を当接させる。このことにより、加熱部材によって紙幣収納袋34の開口の近傍の箇所に熱が与えられることにより当該紙幣収納袋34の開口の近傍の箇所はヒートシール(熱封止)されるようになる。図13(k)において、紙幣収納袋34における加熱部材により3回目にヒートシールされた箇所を参照符合34rで示す。その後、図13(l)示すように各第2保持部材36nを互いに離間する方向に移動させる。このようにして、1つの紙幣収納袋34の内部を複数の紙幣収納空間に分割し、各紙幣収納空間にそれぞれ紙幣を積層状態で収納させることができるようになる。
【0071】
なお、上記の説明では、1つの紙幣収納袋34の内部を2つの紙幣収納空間に分割し、2つの紙幣収納空間の各々にそれぞれ紙幣を積層状態で収納させるような態様について述べたが、1つの紙幣収納袋34の内部を3つ以上の幣収納空間に分割し、3つ以上の紙幣収納空間の各々にそれぞれ紙幣を積層状態で収納させる場合にも、図13(a)〜図13(l)と同様の方法により、紙幣収納袋34の高さ方向における複数の途中箇所をヒートシール(熱封止)することができるようになる。
【0072】
また、各第2保持部材36nに設けられた加熱部材を用いて紙幣収納袋34の高さ方向における途中箇所をヒートシール(熱封止)する代わりに、各ステージ40に設けられた加熱部材42を用いて紙幣収納袋34の高さ方向における途中箇所をヒートシールしてもよい。この場合には、昇降自在となっている各ステージ40に加えて、各保持部材36により保持される紙幣収納袋34の底部の近傍において位置固定で設けられた追加の固定ステージを配置するようにする。また、加熱部材42が設けられた各ステージ40を、昇降自在とするとともに互いに接近する方向および互いから遠ざかる方向に移動可能とする。このことにより、図13(c)〜(l)における各第2保持部材36nの動作を各ステージ40の動作に置き換えることによって、各ステージ40に設けられた加熱部材42を用いて紙幣収納袋34の高さ方向における途中箇所をヒートシールすることができるようになる。
【0073】
また、1つの紙幣収納袋34の内部を複数の紙幣収納空間に分割し、各紙幣収納空間にそれぞれ紙幣を積層状態で収納させる場合に、各紙幣収納空間に紙幣を金種毎に収納してもよく、また、一方の紙幣収納空間に正券を収納させるとともに他方の紙幣収納空間に損券を収納させるようにしてもよい。
【0074】
また、更に別の変形例に係る紙幣収納機構において、加熱部材38により紙幣収納袋34の開口の近傍の箇所をヒートシール(熱封止)する際に、紙幣収納袋34におけるヒートシールされる箇所に、文字やデザイン等の刻印を行うようになっていてもよい。具体的には、各保持部材36にそれぞれ加熱部材38を設けるのではなく、一方の保持部材36に加熱部材38を設けるとともに他方の保持部材36にシリコンゴム等の弾性体を設けておき、紙幣収納袋34に刻印されるべき文字やデザイン等をこの弾性体に形成しておく。なお、他方の保持部材36に設けられる弾性体は、一方の保持部材36に設けられる加熱部材38に対向する位置に設けておく。そして、加熱部材38により紙幣収納袋34の開口の近傍の箇所をヒートシールする際に、加熱部材38に対向する弾性体に形成されている文字やデザイン等を紙幣収納袋34に転写させる。このことにより、紙幣収納機構から紙幣収納袋34を取り出した悪意ある操作者が当該紙幣収納袋34を開封し、収納されている紙幣の一部を盗んだ後に、アイロンや市販のシーリング装置等で紙幣収納袋34の開口の近傍の箇所を再封止するような不正が行われることを防止することができるようになる。
【0075】
このような更に別の変形例に係る紙幣収納機構において、上述した不正を防止するために紙幣収納袋34に刻印される文字やデザイン等は可変となっていてもよい。例えば、他方の保持部材36に設けられるシリコンゴム等の弾性体に、可動式の可変文字部分を設けておく。また、紙幣収納袋34に刻印される文字やデザイン等を特殊文字や特殊デザイン等としてもよい。また、暗号としての数字や文字等を紙幣収納袋34に刻印してもよい。
【0076】
また、紙幣収納袋34に刻印される文字やデザイン等について、ヒートシールされる温度により文字やデザイン等の写り方が変わるようになっていてもよい。例えば、紙幣収納袋34におけるヒートシールされる部分の模様(例えば、斜線)の浮き上がり方が、加熱部材38による加熱の温度により変わるようになっていてもよい。この場合には、正しい温度で紙幣収納袋34における開口の近傍の箇所を加熱しないと、紙幣収納袋34に刻印される文字やデザイン等が正しく表示されないようになる。また、ヒートシールされる温度に係る情報が例えば二次元バーコードとして紙幣収納袋34に予め印刷されていてもよい。この場合には、二次元バーコードをスキャナーで読み取り、紙幣収納機構において予め複数設定されている温度のうち二次元バーコードから得られる温度を選択して加熱部材38により紙幣収納袋34における開口の近傍の箇所をヒートシールするようになる。このようにして、紙幣収納袋34に刻印される文字やデザイン等を正しく表示させることができるようになる。
【0077】
また、本発明に係る紙葉類収納機構は、一方に開口が設けられた収納袋の内部に紙幣を収納させるための紙幣収納機構に限定されることはない。両端に開口が設けられた筒形状の収納袋を用い、一方の開口を紙幣を投入するための開口とし、収納袋に紙幣が収納される前または収納袋に紙幣が投入された後に他方の開口を封止するようにしてもよい。また、本発明に係る紙葉類収納機構として、収納袋の内部に紙幣以外の紙葉類(例えば、小切手や商品券等)を収納させるものが用いられてもよい。
【符号の説明】
【0078】
10 紙幣処理機
12 筐体
14 上部ユニット
16 下部ユニット
20 投入部
20a 紙幣繰出機構
22 投出部
22a 羽根車
22b 羽根車駆動部
24 搬送部
25 分岐搬送部
26 識別部
30 収納繰出部
30a ドラム
31 テープ
32、32a 紙幣収納機構
33 収納袋位置調整部
34 紙幣収納袋
34a 突出部
34b 開口
34p 1回目にヒートシールされた箇所
34q 2回目にヒートシールされた箇所
34r 3回目にヒートシールされた箇所
36 保持部材
36a ピン
36b ガイドピン
36c 長穴
36k 枠体
36m 第1保持部材
36n 第2保持部材
37 パンタグラフ
38 加熱部材
40 ステージ
41 ステージ駆動部
42 加熱部材
44 一時保留部
44a 軸
45 歯車
46 押し込み部
46a 押し込み部材
46b ベース部材
46c 軸
46d 被検知部材
46e 取付部材
46f ガイド穴
46g ピン部材
47 検知センサ
48 紙幣送り出し部
50 パンタグラフ
51 軸
52 ラック
54 モータ
55、56、57 歯車
58 プーリ
59 トルクリミッタ
60 循環ベルト
62 プーリ
63、64 歯車
66 回転軸
68 ピニオン
70 カム
72 動力伝達部材
72a 歯部分
73 ローラ
75 被検知板
76 上端検知センサ
78 下端検知センサ
79 ステージ位置検知部
80 制御部
82 操作表示部
84 記憶部
86 印字部
88 通信インターフェース部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13