(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
乗務員が携帯し緯度経度検出部により現在の緯度経度情報を検出して通信部により送信可能な携帯端末と、タッチパネル式の入力表示部を有し記憶部に予め取り込んだダイヤ情報表示を入力表示部に表示させ、前記携帯端末から取得した前記緯度経度情報に基づく乗務員情報を前記ダイヤ情報表示の上に重ねて表示させる制御部を有する情報処理装置と、を備える乗務員運用支援システムにおいて、
前記制御部は、
現在の時刻を取得して、取得した現在時刻に基づき予め設定された時間幅で前記入力表示部の画面上に入力を無効にする無反応領域を設定し、
前記無反応領域以外の領域に対して、手書き入力された列車の走行実績情報及び走行予測情報を前記ダイヤ情報表示の上に重ねて表示させ、前記無反応領域に対して行なわれた手書き入力は無効とすることを特徴とする乗務員運用支援システム。
乗務員が携帯し緯度経度検出部により現在の緯度経度情報を検出して通信部により送信可能な携帯端末と、タッチパネル式の入力表示部を有し記憶部に予め取り込んだダイヤ情報表示を入力表示部に表示させ、前記携帯端末から取得した前記緯度経度情報に基づく乗務員情報を前記ダイヤ情報表示の上に重ねて表示させる制御部を有する情報処理装置と、を備える乗務員運用支援システムにおいて、
前記制御部は、
現在の時刻を取得して、取得した現在時刻に基づき設定した領域と予め設定された所定の駅の情報に基づき設定した領域とが重複する領域を、前記入力表示部の画面上に入力を無効にする無反応領域として設定し、
前記無反応領域以外の領域に対して、手書き入力された列車の走行実績情報及び走行予測情報を前記ダイヤ情報表示の上に重ねて表示させ、前記無反応領域に対して行なわれた手書き入力は無効とすることを特徴とする乗務員運用支援システム。
前記制御部は、予め設定された所定の駅の情報に基づき予め設定された所定の駅の近傍、若しくは、予め設定された所定の駅の駅間を前記無反応領域に設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の乗務員運用支援システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようなシステムにおいて、タッチパネル式の入力表示部にタッチペン等で列車スジを書き込む手書き入力を行う場合、表示部の2箇所を同時に触れてしまうことがある。しかしながら、タッチパネルには、同時に2箇所を触れると入力ができなくなるものや、1回目のタッチが有効な状態で2回目のタッチをすると、2回目のタッチを無効にするものがある(例えば、特許文献1参照)。そのため、誤ってあるいは無意識に画面の一部に触れたまま手書き入力をした場合に、入力ができないという課題があった。
【0007】
さらに、列車の走行実績情報及び走行予測情報を手書きで入力しダイヤ情報表示の上に重ねて表示させる場合、内部的には、各情報の削除や書き換え等が可能な状態になるため、既に確定している列車の走行実績情報の表示を誤って削除或いは変更してしまうおそれがあるといった課題があった。
本発明は上記のような課題に着目してされたもので、その目的とするところは、タッチパネル式の入力表示部に手書き入力の無反応領域を設定することができ、それによって表示部の2箇所を同時に触れてしまう際にも入力ができなくなる状態が頻繁に生じるのを回避するとともに、手書き入力の際の操作性を向上させることができる乗務員運用支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するため、この発明は、
乗務員が携帯し緯度経度検出部により現在の緯度経度情報を検出して通信部により送信可能な携帯端末と、タッチパネル式の入力表示部を有し記憶部に予め取り込んだダイヤ情報表示を入力表示部に表示させ、前記携帯端末から取得した前記緯度経度情報に基づく乗務員情報を前記ダイヤ情報表示の上に重ねて表示させる制御部を有する情報処理装置と、を備える乗務員運用支援システムにおいて、
前記制御部は、所定の条件に基づき前記入力表示部の画面上に入力を無効にする無反応領域を設定し、前記無反応領域以外の領域に対して、手書き入力された列車の走行実績情報及び走行予測情報を前記ダイヤ情報表示の上に重ねて表示させ、前記無反応領域に対して行われた手書き入力は無効とするようにしたものである。
【0009】
上記した手段によれば、タッチパネル式の入力表示部に入力操作の無反応領域を設定することができ、無反応領域以外の領域には手書き入力ができるものの、無反応領域には手書き入力ができない、つまり入力目的を持たずに触れても良いので、無意識の接触で入力ができなくなる状態が頻繁に生じるのを回避することができるとともに、手書き入力の操作性が向上する。また、既に確定している列車の走行実績情報が表示された領域を無反応領域に設定することにより、当該情報の表示が誤って削除されたり変更されてしまうのを防止することができる。
【0010】
また、望ましくは、前記制御部は、現在の時刻を取得して、取得した現在時刻に基づき予め設定された時間幅で前記無反応領域を設定するようにしたものである。
現在の時刻に基づいて無反応領域が設定されるので、刻々と変化する輸送障害発生等の事象に柔軟に対応できて、現実の状況との乖離を抑えることができると共に、既に確定している情報の表示が誤って削除されたり変更されてしまうのを防止できる。
【0011】
また、望ましくは、前記制御部は、前記現在時刻よりも過去の時刻における情報を示す領域を前記無反応領域とするようにしたものである。
現在の時刻よりも過去の時刻に対応する無反応領域には、手書き入力ができないので、過去に確定している列車の走行実績情報の表示が誤って削除されたり変更されてしまうのを防止できる。
【0012】
また、望ましくは、前記制御部は、予め設定された所定の駅の情報に基づき予め設定された所定の駅の近傍、若しくは、予め設定された所定の駅の駅間を前記無反応領域に設定するようにしたものである。
予め設定された所定の駅の近傍や、予め設定された所定の駅の駅間等に対して、無反応領域を設定できるので、予め設定された所定の駅に対して既に確定している情報の表示が誤って削除されたり変更されてしまうのを防止できる。
【0013】
また、望ましくは、前記制御部は、現在の時刻を取得して、取得した現在時刻に基づき設定した領域と、予め設定された所定の駅の情報に基づき設定した領域とが重複する領域を前記無反応領域とするようにしたものである。
現在の時刻と、予め設定された所定の駅の情報とに基づき無反応領域を設定することができるので、より複雑な条件で無反応領域に設定することができる。
【0014】
また、望ましくは、前記制御部は、外部より走行実績情報を取得し、当該走行実績情報から所定の範囲の領域を、前記無反応領域とするようにしたものである。
既に確定している情報の近傍に、無反応領域を設定できるので、当該情報が誤って削除されたり変更されてしまうのを防止できる。
【0015】
また、望ましくは、前記制御部は、前記入力表示部において前記無反応領域の範囲を視認可能に表示させるようにしたものである。
無反応領域の範囲が視覚的に認識可能になるので、どの領域に手書き入力が可能/不可能であるのかを容易に把握することができる。また、両手を使用して、無反応領域とそれ以外の領域の2箇所に同時に触れた入力操作が可能になるため、手書き入力の際の操作性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の乗務員運用支援システムによれば、タッチパネル式の入力表示部に手書き入力の無反応領域を設定することができ、それによって入力ができなくなる状態が頻繁に生じるのを回避するとともに、手書き入力の際の操作性を向上させることができるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施形態)
[1.構成の説明]
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態である乗務員運用支援システムを詳細に説明する。但し、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0019】
[1−1.システム構成の説明]
本発明の実施形態の乗務員運用支援システムの構成について
図1を参照して説明する。
図1は、乗務員運用支援システム100(以下、単にシステム100と呼ぶ。)の機能をブロック図として表した概略構成図である。
【0020】
図1に示すように、システム100は、予めダイヤ情報を管理するサーバからネットワークNを介して取得したダイヤ情報を表示部の画面上に表示させ、乗務員が保有する携帯端末2から取得した緯度経度情報に基づく乗務員情報をダイヤ情報表示の上に重ねて表示させると共に、表示部の画面上に設定した無反応領域以外の領域に対して、操作入力部により列車の走行実績情報及び走行予測情報を手書きで前記ダイヤ情報表示の上に重ね書きさせる情報処理装置1と、列車の乗務員(車掌や運転士等)が携帯し、現在の緯度経度情報を検出して情報処理装置1に送信する携帯端末2を有する構成である。なお、携帯端末2は、列車の乗務員だけでなく、運転保安係員等が携帯するものであってもよい。
【0021】
システム100において、情報処理装置1及び携帯端末2は通信ネットワークNにより互いに通信可能に接続される。具体的には、通信ネットワークNは、インターネットや電気通信事業者等の電話回線網や携帯電話通信網等であり、情報処理装置1及び携帯端末2は無線通信により当該通信ネットワークNに通信可能に接続される。
【0022】
情報処理装置1は、予めダイヤ情報が記憶されており、携帯端末2から通信ネットワークNを介して通信により取得した緯度経度情報に基づく乗務員情報をダイヤ情報表示の上に重ねて表示させる。また、無反応領域以外の領域に対して、列車の走行実績情報及び走行予測情報を手書きで当該ダイヤ情報表示の上に重ね書きを可能とする装置である。このような情報処理装置1は、PC(Personal Computer)、WS(Work Station)、タブレット端末等の情報機器であってよい。
【0023】
携帯端末2は、タブレット端末やノート型PC等の列車の乗務員が携帯可能な大きさや形状を有し、緯度経度情報を検出して情報処理装置1に送信する装置である。このような携帯端末2は、具体的には、無線LAN(Local Area Network)等を用いて通信ネットワークNに接続して情報処理装置1との間で相互に通信を行う。
【0024】
[1−2.情報処理装置1の構成の説明]
次に、情報処理装置1の詳細について説明する。
情報処理装置1は、制御部11、操作入力部12、表示部13、記憶部14、通信部15を有する。また、情報処理装置1において、制御部11、操作入力部12、表示部13、記憶部14及び通信部15は内部バス等により互いに接続される。
【0025】
制御部11は、情報処理装置1の動作を中央制御する。具体的には、制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有しており、RAMの作業領域に展開されたROMや記憶部14に記憶されたプログラムデータとCPUとの協働により各部を統括制御する。
【0026】
操作入力部12は、ユーザからの操作入力を受け付け、当該操作に応じた操作信号を制御部11へ出力する。例えば、操作入力部12は、文字入力キー、数字入力キー、その他各種機能に対応付けられたキーを備えたキーボード、マウスやタッチペン等のポインティングデバイスなどであってよい。また、スマートフォンやタブレット端末等のように操作入力部12は、表示部13と一体的に形成されたタッチパネルなどの入力表示部であってもよい。
【0027】
表示部13は、制御部11から出力された表示制御信号に基づいた画像を表示画面に表示する。例えば、表示部13は、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)などであってよい。また、スマートフォンやタブレット端末等のように表示部13は、操作入力部12と一体的に形成されたタッチパネルなどの入力表示部であってもよい。
【0028】
記憶部14は、ダイヤ情報、プログラムデータや各種設定データ等のデータを制御部11から読み書き可能に記憶する。例えば、記憶部14は、HDD(Hard Disk Drive)、半導体メモリなどであってよい。
通信部15は、制御部11の制御の下、所定の通信プロトコルを用いて通信ネットワークNを介したデータ通信を行う。具体的には、通信部15は、通信用ICと通信コネクタなどを有する通信インターフェイスである。
【0029】
[1−3.携帯端末2の構成の説明]
次に、携帯端末2の詳細について説明する。
携帯端末2は、制御部21、操作入力部22、表示部23、記憶部24、通信部25、緯度経度検出部26を有する。また、携帯端末2において、制御部21、操作入力部22、表示部23、記憶部24、通信部25及び緯度経度検出部26は内部バス等により互いに接続される。
【0030】
制御部21は、携帯端末2の動作を中央制御する。具体的には、制御部21は、CPU、ROM、RAMなどを有しており、RAMの作業領域に展開されたROMや記憶部24に記憶されたプログラムデータとCPUとの協働により各部を統括制御する。
操作入力部22は、ユーザからの操作入力を受け付け、当該操作入力に応じた操作信号を制御部21へ出力する。例えば、スマートフォンやタブレット端末等のように操作入力部22は、表示部23と一体的に形成されたタッチパネルなどであってもよい。
【0031】
表示部23は、制御部21から出力された表示制御信号に基づいた画像を表示画面に表示する。例えば、表示部23は、LCD、有機EL(Electro Luminescence)素子を用いたFPD(Flat Panel Display)などであってよい。また、スマートフォンやタブレット端末等のように表示部23は、操作入力部22と一体的に形成されたタッチパネルなどであってもよい。
記憶部24は、プログラムデータや各種設定データ等のデータを制御部21から読み書き可能に記憶する。例えば、記憶部24は、半導体メモリなどであってよい。
【0032】
通信部25は、アンテナや通信回路を有し、制御部21による制御の下で外部機器との間の無線通信を行う。具体的には、通信部25は、通信ネットワークNを介してデータ通信を行う無線通信IC(Integrated Circuit)などであってよい。
緯度経度検出部26は、携帯端末2の現在位置の緯度及び経度を検出して制御部21に出力する。例えば、緯度経度検出部26は、GPS機能を実現するGPSチップなどであってよい。
【0033】
[2.動作の説明]
本発明の実施形態におけるシステム100の具体的な動作の説明を
図2〜
図5を用いて詳細に行う。以下、説明の便宜上、情報処理装置1及び携帯端末2の制御部が主体となる処理は、「情報処理装置1」、「携帯端末2」をその処理の主体として説明する。
【0034】
先ず、情報処理装置1における手書き入力処理の手順の一例について、
図2のフローチャートを用いて説明する。なお、
図2の処理は、例えば表示部13に表示される作業メニューの中から、「手書き入力」を選択することで開始されるようにすることができる。
この処理が開始されると、情報処理装置1は、操作入力部12による走行実績情報や走行予測情報の手書き入力ができない無反応領域を設定する(ステップS21)。次に、記憶部14に予め格納されているダイヤ情報(走行計画情報)を読み出して、表示部13に表示させる(ステップS22)。
【0035】
具体的には、例えば
図3(a)に示すように、情報処理装置1は、表示部13の表示画面上に、駅名(縦軸)、時刻(横軸)を表示させると共に、走行計画情報であるダイヤ情報DA31を併せて表示させたダイヤ情報表示画面を表示させる。
なお、ステップS21において、情報処理装置1が、無反応領域を設定すれば、未設定の領域は、必然的に手書き入力が有効となる領域にすることができるので、情報処理装置1は無反応領域のみを設定すればよい。なお、ステップS21の無反応領域の設定では、情報処理装置1があらかじめ初期設定条件を設けておくことも可能であるし、当直担当が初期設定条件を手動で変更する構成とすることも可能である。
【0036】
また、情報処理装置1は、設定した無反応領域に対して、
図3(a)に示すように、当該領域を網掛け表示したり、或いは当該領域の表示色を変更、当該領域の境界線を表示させる等を行い、無反応領域以外の領域とは区別して表示させることにより、無反応領域の範囲が視覚的に認識可能にする。これにより、どの領域に手書き入力が可能/不可能であるのかを容易に把握することができる。
【0037】
ここで、
図3(a)は縦線(時刻)を基準にして無反応領域を設定した例を、また
図3(b)は横線(駅名)を基準にして無反応領域を設定した例を示している。なお、
図3(a)中の「PT」は現在の時刻を、
図3(b)中の「PS」は着目する列車または乗務員の現在駅を示している。
また、
図3において、ダイヤ情報DA31は単なる線の情報だけではなく、列車番号情報や行路情報等の各種情報を含んで構成されている。また、ダイヤ情報DA31は、ある列車に対応する情報であり、ダイヤ情報表示は複数の列車のダイヤ情報を併せて表示させたものである。
【0038】
また、情報処理装置1は、表示レイヤを、背景レイヤ、乗務員位置情報レイヤ、手書きレイヤの3層のレイヤ構造にして、ダイヤ情報DA31を、背景レイヤに表示させるようにする。
そして、情報処理装置1は、通信部15を制御して携帯端末2から緯度経度情報を取得し、取得した緯度経度情報を座標変換して乗務員情報を作成し(ステップS23)、表示部13に表示したダイヤ情報DA31(ダイヤ情報表示)の上に乗務員情報を重ねて表示させる(ステップS24)。
【0039】
例えば、
図3(a)に示すように、情報処理装置1は、表示部13の表示画面上に表示されたダイヤ情報DA31(ダイヤ情報表示)の上に乗務員情報PI31を緯度経度情報が得られた時刻毎に順次プロットして行く。
【0040】
この時、緯度経度情報が得られた時点の時刻情報としては、携帯端末2から緯度経度情報と共に取得してもよいし、当該緯度経度情報を取得した時刻を情報処理装置1側でカウントして使用してもよい。また、情報処理装置1は、乗務員情報PI31を、前述の3層のレイヤ構造のうち乗務員位置情報レイヤに表示させるようにする。
また、
図3(a)に示すように、乗務員情報PI31を離散的にプロットするのではなく、
図3(b)に示すように、プロットされた点を結んで連続的に乗務員情報PL31を表示させてもよい。
【0041】
図3に示すように、ダイヤ情報DA31(ダイヤ情報表示)と乗務員情報PI31(或いは、乗務員情報PL31)とを表示画面上に重ねて表示させることにより、乗務員が、ある特定のダイヤ情報DA31に対応する列車に乗車していることを容易に把握することができる。また、
図3において、網掛け表示されている領域は、無反応領域であって、かつ走行実績表示領域でもある。
図3(b)に破線で示すように、任意の位置(時刻)に縦線Aを表示させることができるようにしても良い。これにより、複数の列車スジが表示されている場合に、縦線Aと列車スジとの交点から、任意の時刻における列車や乗務員の位置を容易に把握することができる。
【0042】
ところで、ダイヤ情報はあくまで走行計画情報であり、実際に走行した走行実績情報ではないので、ある特定のダイヤ情報DA31と乗務員情報PI31とが一致しない可能性がある。このため、以下に示す方法で走行実績情報や走行予測情報を手書きでダイヤ情報DA31(ダイヤ情報表示)の上に書き込んで、現実の状況との乖離を抑える。
【0043】
情報処理装置1は、操作入力部12で走行実績情報や走行予測情報の手書きによる書き込み操作が行われたか否かを判断する(ステップS25)。ここで、走行実績情報や走行予測情報の書き込み操作がなかったと判断した場合(ステップS25:No)、ステップS28に進む。一方、走行実績情報や走行予測情報の書き込み操作が行われたと判断した場合(ステップS25:Yes)、手書きによる書き込み操作が行われた領域が無反応領域であるか否かを判断する(ステップS26)。
【0044】
情報処理装置1は、手書きによる書き込み操作が行われた領域が無反応領域であると判断した場合(ステップS26:Yes)にはステップS28に進み、手書きによる書き込み操作が行われた領域が無反応領域以外の領域であると判断した場合(ステップS26:No)、手書きにより書き込まれた走行実績情報や走行予測情報を表示部13の表示画面上にさらに重ねて表示させる(ステップS27)。
【0045】
例えば、
図4(a)に示すように、当直担当は、既存の運行情報管理システムから列車の在線情報を確認して、操作入力部12であるタッチペンPN41により、走行実績情報をダイヤ情報DA31(ダイヤ情報表示)に重ねて手書きで書き込む。併せて、今後の走行予測情報をダイヤ情報DA31(ダイヤ情報表示)に重ねて書き込む。
当直担当は、表示画面上にプロットされている乗務員情報PI41の位置を考慮しながら走行実績情報を手書きで重ね書きすることにより、現実の状況との乖離を抑えることができる。
【0046】
また、この時、情報処理装置1は、ダイヤ情報DA31(ダイヤ情報表示)から列車番号情報や行路情報等の各種情報を取得して、書き込まれた走行実績情報や走行予測情報に当該情報を付与する。
例えば、
図4(a)に示すように、当直担当が、書き込んだ場合、情報処理装置1は、
図4(b)に示すように、過去から現在時刻までの走行実績情報RS41(実線)と、現在時刻から先の走行予測情報FT41(破線)とを、ダイヤ情報DA31(ダイヤ情報表示)に重ねて表示させる。また、情報処理装置1は、走行実績情報RS41や走行予測情報FT41を、前述の3層のレイヤ構造のうち手書きレイヤに表示させるようにする。
【0047】
図4に示すように、ダイヤ情報DA31(ダイヤ情報表示)の上に、実際の列車の走行実績情報RS41や走行予測情報FT41を手書きで書き込むことにより、刻々と変化する輸送障害発生等の事象に柔軟に対応できて、現実の状況との乖離を抑えることができ、乗務員の位置の把握が容易になる。
【0048】
最後に、情報処理装置1は、乗務員運用手配を終了するか否かを判断し(ステップS28)、終了しないと判断した場合(ステップS28:No)、ステップS22に戻り、終了すると判断した場合(ステップS28:Yes)、処理を終了する。
一方、携帯端末2は、例えばタイマ割込み処理により所定の周期で、緯度経度検出部26から緯度経度情報を取得し、通信部25を制御して緯度経度情報を情報処理装置1へ送信する。
【0049】
以上のように、情報処理装置1は、無反応領域以外の領域に対して、操作入力部において手書き入力された列車の走行実績情報及び走行予測情報をダイヤ情報表示の上に重ねて表示させ、無反応領域に対して行なわれた手書き入力は無効とすることにより、無意識に画面の一部(無反応領域)に触れたまま手書き入力をしたとしても入力が行える。また、既に確定している列車の走行実績情報が表示された領域を無反応領域に設定すれば、当該情報の表示が誤って削除されたり変更されてしまうのを防止できる。
【0050】
(変形例)
実施形態の説明に際しては、
図2中のステップS21における無反応領域の設定に関しては特段明示していないが、情報処理装置1が、現在の時刻、所定の駅の情報、或いは、列車の走行位置情報やこれらの組み合わせに基づき無反応領域を設定してもよい。
【0051】
図5は、
図2中のステップS21における情報処理装置1の無反応領域の設定の動作の一例を示すフローチャートである。
情報処理装置1は、現在の時刻による無反応領域の設定であるか否かを判断し(ステップS61)、現在の時刻による無反応領域の設定であると判断した場合(ステップS61:Yes)、現在の時刻を取得し(ステップS62)、取得した時刻に基づき無反応領域を設定する(ステップS63)。
【0052】
情報処理装置1は、例えば、現在の時刻から2時間後(予め設定された時間幅)までの領域以外を無反応領域とすることにより、あまり先(未来)の走行予測情報まで必要以上に書き込ませないようすることができるので、表示画面が視認しづらくなることを防止することができ、且つ、現在の時刻よりも過去の時刻を示す領域に表示されている走行実績情報等が誤って削除或いは変更されてしまうのを防止できる。
【0053】
また、例えば、情報処理装置1は、現在の時刻よりも過去の時刻を示す領域を無反応領域とするように設定する。この場合、現在の時刻よりも未来の時刻を示す領域には手書き入力ができるものの、現在の時刻よりも過去の時刻に対応する無反応領域には、手書き入力ができないので、無意識に画面の一部(無反応領域)に触れたまま手書き入力をしたとしても入力が行える。また、過去に確定している列車の走行実績情報が誤って削除或いは変更されてしまうのを防止できる。
【0054】
一方、情報処理装置1は、現在の時刻による無反応領域の設定ではないと判断した場合(ステップS61:No)、所定の駅の情報による無反応領域の設定であるか否かを判断し(ステップS64)、所定の駅の情報による無反応領域の設定であると判断した場合(ステップS64:Yes)、予め設定された駅の情報に基づき無反応領域を設定する(ステップS65)。
これにより、情報処理装置1は、例えば、予め設定された所定の駅の近傍や予め設定された所定の駅の駅間等に対して、無反応領域を設定できるので、予め設定された所定の駅に対して既に確定している情報が誤って削除されたり変更されてしまうのを防止できる。
【0055】
一方、情報処理装置1は、所定の駅の情報による無反応領域の設定ではないと判断した場合(ステップS64:No)、走行位置情報による無反応領域の設定であるか否かを判断し(ステップS66)、走行位置情報による無反応領域の設定であると判断した場合(ステップS66:Yes)、走行位置情報を取得し(ステップS67)、取得した走行位置情報に基づき無反応領域を設定する(ステップS68)。
情報処理装置1は、例えば、取得した走行実績情報から所定の範囲の領域を、無反応領域に設定することにより、既に確定している情報(走行実績情報)の近傍に、無反応領域を設定できるので、当該情報が誤って削除されたり変更されてしまうのを防止できる。
【0056】
なお、
図5における説明では、現在の時刻、所定の駅の情報、或いは、列車の走行位置情報に基づき無反応領域を設定しているが、現在の時刻、所定の駅の情報、或いは、列車の走行位置情報の組み合わせに基づき無反応領域を設定してもよい。例えば、情報処理装置1は、取得した現在の時刻に基づき設定した領域と、予め設定された所定の駅の情報に基づき設定した領域とが重複する領域を無反応領域に設定することにより、より複雑な条件で無反応領域に設定することができる。
また、手書き入力モードに入る際に、現在の時刻、所定の駅の情報、或いは列車の走行位置情報のいずれに基づいて無反応領域を設定するかを選択でき、さらに無反応領域とする範囲を任意に指定できるようにしても良い。
【0057】
以上のように、変形例によれば、現在の時刻、所定の駅の情報、或いは、列車の走行位置情報やこれらの組み合わせに基づき無反応領域を設定することにより、特に、現在の時刻や列車の走行位置情報に基づき領域を設定することにより、動的に無反応領域が変化することになるので、刻々と変化する輸送障害発生等の事象に柔軟に対応できて、現実の状況との乖離を抑えることができる。また、無意識に画面の一部(無反応領域)に触れたまま手書き入力をしたとしても入力が行えると共に、既に確定している情報の表示が誤って削除されたり変更されてしまうのを防止できる。
【0058】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態の説明では、情報処理装置1が、無反応領域以外の領域において、操作入力部12であるタッチペンPN41により、走行実績情報や走行予測情報をダイヤ情報DA31(ダイヤ情報表示)の上に重ねて書き込む機能について説明したが、書き込み機能のみならず、タッチペンPN41により、既に書き込まれた情報を消去する機能を持たせてもよい。
また、走行実績情報や走行予測情報をダイヤ情報DA31(ダイヤ情報表示)の上に重ねて書き込む手段としては、タッチペンPN41ではなく、マウス等の他のポインティングデバイスであってもよい。
【0059】
また、実施形態の説明に際しては、ダイヤ情報、走行実績情報、走行予測情報及び乗務員情報の保持期間を明示していないが、情報処理装置1の記憶部14は、少なくとも48時間(2日分)の各種情報を保持するだけの記憶容量を有することが好ましい。
また、実施形態においては、ダイヤ情報は、管理するサーバからネットワークNを介して取得して情報処理装置1の記憶部14に記憶させると説明したが、紙面に記載されたダイヤ情報(列車スジ)をイメージスキャナ等で読み込んだものであってもよい。