(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記無線通信部は、前記質問電波を第1の電波強度で発信させ、前記無応答検出手段が無応答を検出したとき、前記質問電波を前記第1の電波強度よりも強い第2の電波強度で発信させる、
請求項1乃至請求項2のいずれか一項に記載の自動改札装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態の自動改札装置10を、図面を参照して説明する。以下の実施形態では、利用券は、鉄道で使用される乗車券Aであるものとして説明するが、利用券は、イベント会場等で使用される入場券、その他の券であってもよい。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、実施形態の乗車券Aの構成図である。乗車券Aは、例えば、二次元コード2が印刷された表示面を有する紙基材1と、紙基材1に漉き込まれたICチップ4およびアンテナ5とで構成されるRFタグ3と、を備える。
【0011】
二次元コード2は、例えば、この乗車券Aの効力を示す効力情報と、乗車券Aを識別するための識別情報である乗車券IDと、がエンコードされている。エンコードとは、情報を、符号化、記号化、その他の手法により、人が内容を直接的に認識できないが機械読取可能な状態に変換することをいう。また、効力情報とは、例えば以下のような情報であり、乗車券Aの利用可能な範囲を規定する情報である。
(1)利用可能な区間および日付
例:A駅〜B駅までの区間を、12月1日に利用可能
(2)運賃上限および利用可能な日付
例:運賃500円までの区間を、12月1日に利用可能
【0012】
また、この乗車券Aは、1回の利用についての効力のみを有する通常券であってもよいし、利用日において何度も利用可能な1日乗車券や、沿線の店で使用できる食事券付き乗車券などの企画券であってもよい。こうした利用回数に関する情報も効力情報に含まれてよい。
【0013】
ICチップ4は、例えば、パッシブタイプのIC(Integrated Circuit)チップであり、RFID(Radio Frequency Identifier)技術によって、後述するRFタグリーダライタ(無線通信部)12との間で情報を送受信する。ICチップ4は、RF回路6、制御回路7、RF記憶部8などを備える。ICチップ4による処理は、例えば、RFタグリーダライタ12からアンテナ5を介して受信したコマンドに対して処理結果をレスポンスの形で応答するコマンドレスポンス方式で行われる。
【0014】
RF回路6は、RFタグリーダライタ12が発信する電波から駆動用電力を取り出す整流回路、RFタグリーダライタ12が発信する電波から信号(コマンド)を取り出すデコーダなどを含む。制御回路7は、例えば論理回路によって構成される。制御回路7は、RF回路6によって取り出されたコマンドの内容に応じて、RFタグリーダライタ12から指示されたデータをRF記憶部8に書き込んだり、RF記憶部8から読み出したデータを、アンテナ5を介してRFタグリーダライタ12に送信したりする処理を行う。
【0015】
RF記憶部8は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などの読書き可能な不揮発性記憶媒体を含む。RF記憶部8には、例えば、二次元コード2にエンコードされた乗車券IDと同じ識別情報であるRFタグ識別情報が発券段階から記憶されている。なお、実施形態において、二次元コード2とRF記憶部8には同じ識別情報が記憶されているものとするが、これに限られず、二次元コード2には、RF記憶部8に記憶されたRFタグ識別情報と照合可能な識別情報が記憶されていればよい。また、RF記憶部8には、乗車券Aの利用記録が、RFタグリーダライタ12によって書き込まれる。乗車券Aの利用記録とは、例えば、入場駅、入場日時などの情報である。
【0016】
図2は、実施形態のRF記憶部8に書き込まれる情報の一例を示す図である。なお、RFタグ識別情報については、ROM(Read Only Memory)等の書き換え不能な不揮発性記憶媒体に書き込まれてもよい。ここで、二次元コード2に書き込まれた乗車券IDがRFタグ識別情報と照合可能な情報であるためには、例えば、(1)両者が完全一致することの他に、(2)両者が部分一致すること、(3)一方または双方を所定のアルゴリズムで演算処理または復号処理すると、他方と完全一致または部分一致すること、(4)一方または双方を鍵として暗号処理すると、他方と完全一致または部分一致することなど、一方に基づいて他方の正当性を検証可能とするための種々の条件を満たせばよい。
【0017】
アンテナ5を用いたRFタグリーダライタ12との通信は、例えば、900[MHz]帯や2.45[GHz]帯などのUHF(Ultra High Frequency)帯を用いて行われる。このUHF帯は、交通系のICカードが通信に使用する13.56[MHz]とは異なるものであるため、自動改札装置10に内蔵されるRFタグリーダライタ12と乗車券Aの通信が、交通系のICカードと自動改札装置10の通信との間で干渉を起こすのを防止することができる。なお、交通系のICカードが通信に使用する通信帯域と異なるものであれば、UHF帯以外の通信帯域が使用されてもよい。
【0018】
図3は、実施形態の二次元コードリーダ(光学読取部)11と、RFタグリーダライタ12と、交通系のICカードに対するICリーダライタ13と、が設けられた自動改札装置10の上面の一部構成図である。自動改札装置10は、図中X方向への利用者の通過を誘導する。自動改札装置10は、各種情報を表示する案内表示部14、を備える。なお、自動改札装置10には、二次元コードリーダ11およびRFタグリーダライタ12よりもX方向の先端に、後述する扉部61が設けられている。
【0019】
図3は、RFタグリーダライタ12がICリーダライタ13よりも進行方向の先に設けられるように示したが、これに限定されるものではない。また、自動改札装置10は、交通系ICカードを処理せず、乗車券Aのみを処理するものであってもよい。この場合、
図3におけるICリーダライタ13は省略される。また、
図3では図示を省略したが、自動改札装置10は、乗車券Aおよび交通系のICカードに加えて、磁気券を処理可能なものであってもよい。
【0020】
二次元コードリーダ11は、利用者によって翳された乗車券Aに印刷された二次元コード2を光学的に読み取るためのものである。二次元コードリーダ11は、二次元コード2に光を照射するライト及び二次元コード2からの反射光を撮像するカメラを含む。ライトは、乗車券Aの読み取り範囲に光を照射し、カメラは、乗車券Aの読み取り範囲における可視光を撮像するカメラであってもよいし、赤外光を撮像するカメラであってもよい。
【0021】
RFタグリーダライタ12は、乗車券AのRFタグ3に給電すると共に、乗車券AのRFタグ3と無線通信を行う。前述したように、この無線通信は、例えば、900[MHz]帯や2.45[GHz]帯などのUHF帯を用いて行われる。なお、UHF帯ではなく、交通系のICカードが通信に使用する通信帯域と異なるものであれば、他の通信帯域が使用されてもよい。
【0022】
RFタグリーダライタ12は、後述するアンテナなどを備え、アンテナが二次元コードリーダ11を囲うように配置される。二次元コードリーダ11およびRFタグリーダライタ12の読み取り範囲は、それらの上方である。なお、二次元コードリーダ11とRFタグリーダライタ12とは一体化されて配置されていてもよく、二次元コードリーダ11とRFタグリーダライタ12とは、別の位置に配置されていてもよい。
【0023】
図4は、実施形態の自動改札装置10の機能構成を示すブロック図である。なお、
図4に示した自動改札装置10は、磁気券投入部および磁気券を処理する機能部の記載を省略している。制御部20は、例えば、主制御部30と、読取制御部40と、案内制御部50と、扉制御部60と、記憶制御部70とを備える。読取ユニット41は、二次元コードリーダ11と、RFタグリーダライタ12と、を備える。読取制御部40は、二次元コードリーダ11と、RFタグリーダライタ12と、電気的に接続している。これらの機能部は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサがプログラムメモリに格納されたプログラムを実行することにより実現される。また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0024】
二次元コードリーダ11は、図示しない画像処理部と、信号処理部と、を備える。画像処理部は、カメラによって得た画像の画像情報を解析して二次元コード2にエンコードされた情報を解読する。信号出力部は、解読した情報を読取制御部40へ出力する。
【0025】
RFタグリーダライタ12は、例えば、アンテナと、通信制御部と、を備える。RFタグリーダライタ12は、読取制御部40からの指示に従って、RFタグ3を探索する質問電波を発信する。RFタグリーダライタ12の通信可能範囲にRFタグ3が存在する場合、RFタグ3が質問電波から信号を取り出して、応答信号を含む電波を返信する。これによって、RFタグリーダライタ12とRFタグ3との通信が開始される。
【0026】
RFタグリーダライタ12のアンテナは、図示しない通信制御部から送信信号が供給されたことに応じて質問電波を第1の電波強度もしくは第1の電波強度よりも強度の強い第2の電波強度で質問電波を発信する。また、アンテナは、RFタグ3から発信された電波を受信したことに応じて受信信号を通信制御部に出力する。
【0027】
通信制御部は、アンテナを制御する通信回路である。通信制御部は、読取制御部40により送信信号が供給されたことに応じてアンテナから電波を発信させる。また、通信制御部は、アンテナから受信信号が供給されたことに応じて読取制御部40に受信信号を出力する。また、通信制御部は、読取制御部40の制御に従って、RFタグリーダライタ12により電波の発信を開始させ、または停止させる。
【0028】
読取制御部40は、二次元コードリーダ11が二次元コード2より、乗車券Aの効力を示す効力情報と、乗車券IDと、を取得した場合に、RFタグリーダライタ12に質問電波の発信を開始させる。すなわち、読取制御部40は、二次元コードリーダ11に翳された物体が乗車券Aである場合に、RFタグリーダライタ12に質問電波の発信を開始させる。また、読取制御部40は、種々の条件に従って、電波の発信を停止させるようにRFタグリーダライタ12を制御する。
【0029】
読取制御部40は、RFタグリーダライタ12が取得した一つ以上のRFタグ識別情報のうち、二次元コードリーダ11が取得した乗車券IDと一致するRFタグ識別情報があるか否かを判定する。読取制御部40は、二次元コードリーダ11が取得した乗車券IDと一致するRFタグ識別情報がある場合は、乗車券IDと効力情報を主制御部30へ送信する。また、読取制御部40は、二次元コードリーダ11が取得した乗車券IDと一致するRFタグ識別情報がない場合は、RFタグリーダライタ12に第2の電波強度で電波を発信させる信号を通信制御部へ送信する。
【0030】
主制御部30は、読取ユニット41から得られる情報である、乗車券Aの二次元コード2の画像を解析して得られる効力情報と、RFタグ3から取得される入場駅や入場日時等の利用記録と、を参照し、乗車券Aが入場条件または出場条件を満たすか否かを判定する。
【0031】
主制御部30は、ICリーダライタ13に翳された交通系のICカードとの通信を制御する。主制御部30は、交通系のICカードや乗車券Aが入場条件または出場条件を満たすか否かの判定結果に応じて、案内制御部50と、扉制御部60と、記憶制御部70と、読取制御部40と、に各種信号を送信する。
【0032】
案内制御部50は、主制御部30により通行可能と判定された場合と、主制御部30により通行不可能と判定された場合と、読取制御部40により後述する無応答が検知された場合と、後述する無応答乗車券(無応答利用券)が再使用された場合と、に応じて案内表示部14と、音声案内部52と、ブザー部53と、照明部54と、報知部55と、をあらかじめ指定された所定のパターンで案内を行うための制御をするものである。所定のパターンとは、例えば、以下のようなパターンであり、自動改札装置10の各種処理結果や処理状況を利用者に案内するためのパターンである。
【0033】
主制御部30により通行可能と判定された場合のパターンは、例えば、通行可能であることや、行き先、料金などを案内するためのパターンである。主制御部30により通行不可能と判定された場合のパターンは、例えば、通行不可能であることや、利用可能区間外であることを案内するためのパターンである。無応答が検知された場合のパターンは、例えば、乗車券Aの正しい翳し方を案内し、RFタグ識別情報を認識しやすくするためのパターンである。後述する無応答乗車券が再使用された場合のパターンは、例えば、RFタグ識別情報が読取りできない乗車券Aが再びかざされたことを係員に報知するためのパターンである。
【0034】
扉制御部60は、乗車券Aが入場条件または出場条件を満たすか否かに応じた主制御部30からの信号により、扉部61の開閉制御を行う。扉制御部60は、乗車券Aが入場条件または出場条件を満たす場合に、扉部61を開放状態に制御して利用者を通過させる。また、扉制御部60は、乗車券Aが入場条件または出場条件を満たさない場合に、扉部61を閉止状態に制御して利用者の通行を禁止する。
【0035】
記憶制御部70は、RFタグ3からRFタグ識別情報が読取れず、無応答が検知された場合に記憶部71に二次元コードリーダ11が読み取った乗車券IDを記憶させる制御をするものである。また、記憶制御部70は、無応答が検知された場合に二次元コードリーダ11が読み取った乗車券IDが記憶部71に既に記憶されているか否かを照合する照合部72を制御するものである。記憶部71は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などの読書き可能な不揮発性記憶媒体を含む。
【0036】
また、通信部31は図示しない監視盤などと通信を行うためのもので、主制御部30に制御されて外部との通信を行う。
【0037】
以下、実施形態の自動改札装置10において乗車券Aの処理の流れを説明する。
図5は、実施形態の自動改札装置10により実行される処理の流れの一例を示す図である。また、
図5に示す自動改札装置は、ICリーダライタ13による処理を省略している。
【0038】
図5のフローチャートの開始時点において、自動改札装置10は、RFタグリーダライタ12による乗車券の探索のための質問電波の発信を行っておらず、二次元コードリーダ11により二次元コード2の読み取りが可能な状態となっている。
【0039】
読取制御部40は、ステップS100において、乗車券IDを認識したか否かを判定する。読取制御部40は、例えば、画像処理部により解読された情報に効力情報、乗車券IDが含まれている場合には二次元コードリーダ11に翳された物体から乗車券IDを認識したと判定し、画像処理部により解読された情報に効力情報、乗車券IDが含まれていない場合には二次元コードリーダ11に翳された物体から乗車券IDを認識できないと判定する。読取制御部40は、二次元コードリーダ11が乗車券IDを認識できない場合(ステップS100、No)に、処理を開始状態に戻す。
【0040】
読取制御部40は、画像処理部により解読された情報から乗車券IDを抽出することにより、二次元コードリーダ11により読み取られた情報に基づいて乗車券Aの乗車券IDを特定する。読取制御部40は、RFタグリーダライタ12を制御して、RFタグ3を探索する質問電波を第1の電波強度で発信を開始する(ステップS101)。ここで、読取制御部40は、RFタグ検索処理のループ回数をカウントするカウンタである整数nに1を代入する。
【0041】
読取制御部40は、質問電波の発信が開始された場合(ステップS101)、乗車券Aから応答信号を含む電波がRFタグリーダライタ12に供給されたか否かを判定する(ステップS102)。RFタグリーダライタ12は、例えば、乗車券AからRFタグ識別情報を含む電波を一つ以上受信した場合は、受信したRFタグ識別情報を読取制御部40へ送信する。読取制御部40は、RFタグリーダライタ12から一つ以上のRFタグ識別情報を受信した場合、RFタグ3を検出したと判定し(ステップS102、Yes)、ステップS112に処理を進める。読取制御部40は、RFタグリーダライタ12からRFタグ識別情報を受信しない場合に、RFタグ3を検出しないと判定するための無応答検出手段を備える。無応答検出手段は、例えば、ステップS101の処理を行ってから所定の時間経過しても読取制御部40がRFタグ識別情報を受信しないことを無応答として検出するためのタイマー機能であってもよい。ここで、所定の時間とは、例えば、電波法等の規制により電波を連続して発信することができる最大時間よりも短い時間であり、1〜2秒に設定される。読取制御部40は、無応答検出手段により無応答を検出した場合に、RFタグ3を検出しないと判定し(ステップS102、No)、無応答を検出したことを含む信号を主制御部30へ送信する。
【0042】
主制御部30は、無応答を検出したことを含む信号を受信した場合(ステップS102、No)、案内制御部50に無応答が検知された場合のパターンの案内を行う信号を送信する。案内制御部50は、主制御部30から受信した信号に従い、乗車券AからRFタグ識別情報を含む応答信号が受信できるように案内する制御を行う。つまり、案内制御部50は、利用者に乗車券Aの適切な翳し方を案内するために案内表示部14と、音声案内部52と、ブザー部53と、照明部54と、を制御する(ステップS103)。すなわち、二次元コード2は読取ることができたが、RFタグ3からRFタグ識別情報が読取ることができなかったことを利用者が判別できるように表示する。また、同時に乗車券Aの翳し方を変えて翳して下さい、と翳し方を変える旨の案内をする。翳し方を変える旨の案内は、案内表示部14に文章やイラストを表示させる方法や、音声案内部が表示する文章を読み上げる方法や、ブザー部を鳴動させる方法や、照明の明暗や色を変化させる方法、などの方法で実現されてもよい。
【0043】
読取制御部40は、無応答が検知された場合のパターンの案内が開始された場合(ステップS103)、乗車券Aから応答信号を含む電波がRFタグリーダライタ12に供給されたか否かを判定する(ステップS104)。読取制御部40は、翳し方の案内をしたにも関わらず、RFタグリーダライタ12からRFタグ識別情報を受信しない場合に、つまり、読取制御部40は、無応答検出手段により無応答を検出した場合に、RFタグ3を検出しないと判定する(ステップS104、No)。
【0044】
読取制御部40は、ステップS104の処理にて無応答を検出した場合(ステップS104、No)、RFタグリーダライタ12にこれまでの電波強度である第1の電波強度よりも電波強度の強い第2の電波強度で質問電波を発信させる信号を通信制御部へ送信する。ここで、読取制御部40は、RFタグ検索処理のループ回数をカウントするカウンタである整数nのカウントを1つ上げる(ステップS105)。
【0045】
読取制御部40は、RFタグリーダライタ12が第2の電波強度で電波を発信した場合(ステップS105)、カウンタnの値が3以上か否か判定する(ステップS106)。読取制御部40は、カウンタnの値が3以上でない場合(ステップS106、No)は、処理をステップS102の処理に戻す。
【0046】
読取制御部40は、電波強度を第2の電波強度に増加して、RFタグ3が検出できるか判定する。電波強度を増加してもRFタグが検出できないとき(ステップS102、No)、再度翳し方を変えて下さいとの案内表示を行う(ステップS103)。それでもRFタグが検出できないとき(ステップS104、No)は整数nのカウントを1つ上げる(ステップS105)。その後カウンタnの値が3以上か否か判定する(ステップS106)。
【0047】
読取制御部40は、カウンタnの値が3以上のとき(ステップS106、Yes)は、主制御部30にRFタグ3を検出しないことを含む信号を送信する。主制御部30は、RFタグ3を検出しないことを含む信号を受信した場合、案内制御部50に主制御部30により通行不可能と判定されたときのパターンの案内を行う信号を送信する。
【0048】
案内制御部50は、主制御部30から主制御部30により通行不可能と判定された場合のパターンの案内を行う信号を受信したとき、通過することができないことを利用者に案内するために案内表示部14と、音声案内部52と、ブザー部53と、照明部54と、を制御する(ステップS107)。
【0049】
扉制御部60は、自動改札装置10を通過することができないことが利用者に案内された場合(ステップS107)、扉部61を制御して、扉部61を閉止状態にして利用者が通過できないようにする(ステップS108)。
【0050】
記憶制御部70は、扉部61が閉止状態になった場合(ステップS108)、照合部72を制御して、二次元コードリーダ11が読み取った乗車券IDが既に記憶部71に記憶されているか否かを照合する(ステップS109)。
【0051】
記憶制御部70は、二次元コードリーダ11が読み取った乗車券IDが既に記憶部71に記憶されていなかった場合(ステップS109、No)、記憶部71を制御して、二次元コードリーダ11が読み取った乗車券IDを記憶部71に記憶する(ステップS110)。次いで、読取制御部40は、電波の発信強度を第1の発信強度に戻す(ステップS111)。
【0052】
案内制御部50は、二次元コードリーダ11が読み取った乗車券IDが既に記憶部71に記憶されていた場合(ステップS109、Yes)、報知部55を制御して、無応答乗車券の再使用を係員に報知する(ステップS115)。すなわち、1度無応答乗車券であると判定され、乗車券IDが記憶部に記憶された乗車券Aが再度翳されたものと判断して、主制御部30は、無応答乗車券の再使用を係員に報知した後に、処理をステップS111に進み、RFタグリーダライタ12の電波強度を第1の電波強度に戻して翳された乗車券Aの処理を終了する。
【0053】
なお、ステップS102で読取制御部40は、RFタグ3から応答信号を含む電波がRFタグリーダライタ12に供給されたと判定した場合(ステップS102、Yes)、受信した一つ以上のRFタグ識別情報のうち乗車券IDと一致するRFタグ識別情報があるか否かを判定する(ステップS112)。読取制御部40は、受信した一つ以上のRFタグ識別情報のうち乗車券IDと一致するRFタグ識別情報がある場合(ステップS112、Yes)、二次元コードリーダ11が読み取った乗車券IDと効力情報、RFタグリーダライタ12が読み取った利用記録を主制御部30へ送信する。
【0054】
主制御部30は、読取制御部40より乗車券IDと効力情報、利用記録を受信した場合(ステップS112、Yes)、効力情報と、利用記録と、を参照し、乗車券Aが入場条件または出場条件を満たすか否かを判定する(ステップS113)。主制御部30は、乗車券Aが入場条件または出場条件を満たす場合に(ステップS113、Yes)、扉制御部60を制御して、扉部61を開放状態にして利用者を通過させる(ステップS114)。また、主制御部30は、入場駅や入場日時などの利用記録をRF記憶部に書き込むことを読取制御部40に指示する。その後、RFタグリーダライタ12が第2の電波強度に変更されているときは、第1の電波強度に変更して(ステップS111)処理を終了する。
【0055】
さらに、主制御部30は、乗車券Aが入場条件または出場条件を満たさない場合に(ステップS113、No)、ステップS107、に処理を進める。また、ステップS104で、乗車券Aのかざし方を変えた結果、RFタグリーダライタ12が乗車券AからRFタグ識別情報を含む電波を一つ以上受信した場合は、一つ以上のRFタグ識別情報を読取制御部40へ送信する。読取制御部40は、RFタグリーダライタ12から一つ以上のRFタグ識別情報を受信した場合、RFタグ3を検出したと判定し(ステップS104、Yes)、ステップS112に処理を進める。
【0056】
以上説明したように、実施形態の自動改札装置によれば、二次元コード2に含まれる乗車券IDを基にRFタグ識別情報を検索する質問電波に対する応答がないとき、RFタグ3が無応答であることを検知する無応答検出手段を備え、無応答が検出された場合にRFタグ3の読み取りができないことを利用者に案内する。この結果、実施形態の自動改札装置10によれば、利用券の処理を円滑に行うことができる。さらに、実施形態の自動改札装置10によれば、RFタグ3の無応答を検出した後に通常の電波強度よりも強い電波強度で質問電波を発信することで、RFタグ3を検出しやすくすることができる。
【0057】
また、実施形態の自動改札装置10によれば、無応答乗車券の再使用を係員に報知することができる。これによって、係員が利用券の異常を確認して利用券を交換する等、利用券の処理を円滑に行うことができる。
【0058】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、二次元コードリーダ11により読み取られた情報に基づいてRFタグリーダライタ12に翳された物体が検出されないと判定した場合に、RFタグ3の読み取りができないことを利用者に表示する案内表示部14を持つことにより、利用券の処理を円滑に行うことができる。
【0059】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照しつつ、監視盤80に係員表示させる実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。
【0060】
図6は、実施形態の駅務システムの構成を示す図である。駅務システムは、例えば、複数の自動改札装置10−1〜10―Nと、監視盤80と、を備える。なお、以下の説明において、自動改札装置を他の自動改札装置と区別しない場合には「自動改札装置10」と記載する。複数の自動改札装置10は、例えばLAN(Local Area Network)などの通信回線を介して監視盤80と接続している。各自動改札装置10の装置構成は
図4に記載したものと同じである。
【0061】
監視盤80と複数の自動改札装置10は、通信回線を介して通信可能である。複数の自動改札装置10は、例えば、無応答乗車券を検出した場合に、無応答乗車券の乗車券IDを監視盤80に送信する送信手段を備える。送信手段は、例えば自動改札装置10が備える通信部31が通信回線を介して無応答乗車券の乗車券IDを送信することにより実施されてもよい。監視盤80は、自動改札装置10から受信した無応答乗車券の乗車券IDを記憶しておき、同じ乗車券IDを再度受信したとき、係員に無応答乗車券の再使用を報知する。
【0062】
図7は、実施形態の監視盤80の機能構成の一例を示すブロック図である。監視盤80は、駅務システムの一例である。監視盤80は、例えば、監視盤制御部90と、操作部91と、表示部92と、監視盤報知部111と、を備える。
【0063】
監視盤制御部90は、例えば、監視盤記憶制御部100と、監視盤報知制御部110とを備える。監視盤記憶制御部100および監視盤報知制御部110は、例えばCPU等のプロセッサがプログラムメモリに格納されたプログラムを実行することにより実現される。また、監視盤記憶制御部100および監視盤報知制御部110は、LSI、ASIC、またはFPGA等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0064】
監視盤記憶制御部100は、監視盤記憶部101と、監視盤照合部102と、を制御するものである。監視盤記憶部101は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM、ROM、またはRAM(Random Access Memory)等により実現される。監視盤記憶部101は、例えば、自動改札装置10から無応答乗車券の乗車券IDが送信されてきたとき、受信した無応答乗車券の乗車券IDを記憶する。監視盤報知制御部110は、監視盤報知部111を制御するものである。監視盤報知部111は、無応答乗車券の再使用を係員に報知するものであり、例えばランプの点灯やブザーの鳴動などの手段により実現される。
【0065】
操作部91は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等の操作デバイスにより実現される。操作部91は、係員の操作を受け付けて、操作内容を示す情報を監視盤制御部90に出力する。
【0066】
表示部92は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electroluminescence)表示装置、プラズマディスプレイなどの表示装置である。表示部92は、監視盤制御部90により出力された画像データに基づいて自動改札装置10を監視するための各種の画面を、係員に視認できるように表示する。
【0067】
監視盤80には各自動改札装置と通信回線を通じて通信を行うための通信部93を有する。
【0068】
図8は実施形態の駅務システムにおいて自動改札装置10が乗車券を処理する流れを示すフローチャートであり、第1の実施形態である
図5の処理とほとんど同じである。第1の実施形態の
図5では無応答乗車券を検出したときに記憶部71に無応答乗車券の乗車券IDを記憶したが、
図8ではさらに無応答乗車券の乗車券IDを通信回線を介して監視盤80に送信している(ステップS120)。
【0069】
図9は、第2の実施形態の駅務システムにおいて監視盤80が無応答乗車券の再使用を報知する処理の流れを示すフローチャートである。監視盤80は、いずれかの自動改札装置10から通信部93を介して無応答乗車券の乗車券IDを受信したか否かを判定する(ステップS201)。監視盤80は、いずれかの自動改札装置10からの乗車券IDを受信した場合(ステップS201、Yes)、監視盤照合部102は、監視盤記憶制御部100の指示に従い、受信した無応答乗車券の乗車券IDと同じ乗車券IDが監視盤記憶部101に記憶されているか否かを照合する(ステップS202)。
監視盤報知制御部110は、受信した無応答乗車券の乗車券IDと同じ乗車券IDが監視盤記憶部101に既に記憶されていた場合(ステップS202、Yes)、監視盤報知部111を駆動して係員に報知する(ステップS203)
【0070】
監視盤報知制御部110は、受信した無応答乗車券の乗車券IDと同じ乗車券IDが監視盤記憶部101に記憶されていなかった場合(ステップS202、No)、受信した無応答乗車券の乗車券IDを監視盤記憶部101に記憶する(ステップS204)。
【0071】
以上説明した第2の実施形態の駅務システムによれば、自動改札装置10が検出した無応答乗車券の乗車券IDを通信回線を介して監視盤80に送信し、監視盤80に記憶するようにしている。従って、一度無応答乗車券と判定された乗車券Aが隣の自動改札装置10で利用されたときにも、無応答乗車券の乗車券IDが既に監視盤記憶部101に記憶されているかを照合することにより、無応答乗車券の再使用を係員に報知することができる。これによって、利用券の処理を円滑に行うことができる。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。