(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記動力切換アッセンブリの前後位置に、前記シャシフレームどうしを車幅方向で連結する、前記横方向連結部材とは別の横方向連結部材を備えた請求項1に記載のコンクリートポンプ車。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係るコンクリートポンプ車について、図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、コンクリートポンプ車は、運転席の後方に車体フレームを備え、車体フレームは、シャシフレームF1、およびサブフレームF2を備える。
【0015】
シャシフレームF1は、車両前後方向に延びる長尺の部材であり、車幅方向に所定の間隔を置いて一対で平行に配置されて、車体を構成している。サブフレームF2は、一対のシャシフレームF1の上面に固定され、車両前後方向に沿って長尺に形成されている。すなわちサブフレームF2は、シャシフレームF1と同様に、車幅方向に所定の間隔を置いて平行に配置されている。
【0016】
図3に示すように、シャシフレームF1およびサブフレームF2は、何れも断面コ字型の鋼材により構成されている。具体的に、シャシフレームF1の上フランジ90に、シム板91を介してサブフレームF2の下フランジ92が固定され、シャシフレームF1およびサブフレームF2の車幅方向外側面どうしは、面一に配置されている。
【0017】
サブフレームF2は、シャシフレームF1に比べて前後方向の長さを短く形成されており、サブフレームF2の前端面は、シャシフレームF1の前端面に対して後方に位置している。
図1および
図2に示すように、サブフレームF2はその前部に、後部側に比べて低く設定された低位置支持部93を備える。低位置支持部93は、後方側の高位置支持部94に対して、車高方向である上下方向に沿う段付面部95を介して一体的に形成されている。
【0018】
コンクリートポンプ車は、
図1に示すように、生コンクリートを打設位置に供給するためのブーム装置Bを備える。ブーム装置Bは、サブフレームF2の前部に配置されている。ブーム装置Bの概略構成を説明すると、ブーム装置Bは、サブフレームF2の前部の低位置支持部93に固定された架台96と、架台96上に設置された旋回支持台97と、旋回支持台97に、鉛直軸線回りに旋回可能に支持された支柱98と、支柱98の上端に設けられたブーム100とを備えている。
【0019】
架台96は、一対のサブフレームF2のうちの低位置支持部93に渡すように固定されている。ブーム100は、互いに屈曲可能に連結された複数本(例えば4本)のビームであって、支柱98側から順に配置された、第一ビーム101、第二ビーム102、第三ビーム103、および第四ビーム104の組合せにより構成されている。第一ビーム101ないし第四ビーム104に、後述するコンクリートポンプ1から圧送される生コンクリートを、第四ビーム104の先端まで導くブーム用配管105が、支柱98およびブーム100に沿って固定されている。
【0020】
コンクリートポンプ車は、生コンクリートを圧送するためのコンクリートポンプ1と、コンクリートポンプ1(後述する、ポンプ駆動シリンダ23,24)に作動油を供給する油圧ポンプユニット49,50と、油圧ポンプユニット49,50の駆動力を、車両の駆動機構であるプロペラシャフトDから取出すよう構成された、トランスファPTOとも称される動力切換装置Tとを備える。コンクリートポンプ1は、シャシフレームF1の後部に支持されている。
【0021】
図4に示すように、コンクリートポンプ1は、コンクリートポンプ本体2と、コンクリートポンプ本体2の後方に配置されるバルブ装置3と、
図5、
図6に示す作動油中継用のブロック44と、ブロック44に一端側が接続される複数本の作動油用のホースとを備える。
【0022】
図4に示すように、コンクリートポンプ本体2は、車幅方向に離間して並列させた左側のポンプシリンダ21、および右側のポンプシリンダ22を備えている。左側のポンプシリンダ21の基端(前端)には、左側のポンプシリンダ21を駆動させる左側のポンプ駆動シリンダ23が、右側のポンプシリンダ22の基端には、右側のポンプシリンダ22を駆動させる右側のポンプ駆動シリンダ24が、センターフレーム25を介して一体的に軸方向に接続されている。ポンプシリンダ21、22どうしは、軸心を平行とした状態で左右方向に僅かな隙間を有するように近接配置されている。ポンプ駆動シリンダ23、24どうしは、軸心を平行とした状態で左右方向に僅かな隙間を有するように近接配置されている。
【0023】
ポンプシリンダ21,22には、ポンプピストン21a,22aが摺動自在に内装され、ポンプ駆動シリンダ23,24には、駆動ピストン23a,24aが摺動自在に内装されている。左側のポンプシリンダ21内のポンプピストン21aと左側のポンプ駆動シリンダ23内の駆動ピストン23aとが、センターフレーム25を摺動自在に貫通する左側のピストンロッド26により一体的に連結されている。右側のポンプシリンダ22内のポンプピストン22aと右側のポンプ駆動シリンダ24内の駆動ピストン24aとが、センターフレーム25を摺動自在に貫通する右側のピストンロッド27により一体的に連結されている。
【0024】
ポンプ駆動シリンダ23,24内は、駆動ピストン23a,24aにより、ピストンロッド26,27側の第2作動油室23b,24bと、駆動ピストン23a,24a側の第1作動油室23c,24cに区画されている。各ポンプシリンダ21,22の先端(後端)は、作動油の吐出端21b,22bとして開口されている。各ポンプシリンダ21,22の吐出端21b,22bは、バルブ装置3の前面に連通接続されている。
【0025】
バルブ装置3は、バルブケーシング31と、底蓋32と、Sバルブ33(揺動バルブ管)と、Sバルブ駆動手段34と、吐出配管35とを備えている。バルブケーシング31は、前壁31aと、後壁31bと、左右側壁31c,31cにより枠状に形成されている。バルブケーシング31の下部は開口して、開口部31dとされている。開口部31dは、底蓋32により閉鎖されており、図示しないシリンダにより底蓋32を動かすことで、開口部31dを開閉することができる。
【0026】
生コンクリートを受け入れるホッパHが、バルブケーシング31の上部に連結されている。バルブケーシング31の下部には、湾曲管状の前記Sバルブ33が収容されている。Sバルブ33は、ポンプシリンダ21,22の軸線と平行で、Sバルブ33と一体的に設けられた回動支軸33aの軸線回りに回動自在に構成されている。この構成によりSバルブ33は、一対のポンプシリンダ21,22の吐出端21b,22bを、Sバルブ33の吸入口33bと交互に連通状態とするよう、切換可能に構成されている。
【0027】
回動支軸33aには、Sバルブ駆動手段34が接続されている。Sバルブ駆動手段34は、回動支軸33aを両ポンプピストン21a,22aの作動と同期して回動させて、Sバルブ33を切換駆動させる。Sバルブ駆動手段34は、互いに協働する左側の単動式のバルブ駆動シリンダ34a、および右側の単動式のバルブ駆動シリンダ34bを備える。バルブ駆動シリンダ34a、およびバルブ駆動シリンダ34bの先端部どうしが、回動支軸33aから一体的に延びる連結アーム34cを介して連結され、両バルブ駆動シリンダ34a,34bの基端部が、コンクリートポンプ本体2に回動可能に連結されている。
【0028】
コンクリートポンプの運転時において、一対のバルブ駆動シリンダ34a,34bは、左右一対のポンプシリンダ21,22のうち、生コンクリートの吸入状態にあるものをバルブケーシング31内に、また生コンクリートの圧送状態にあるものを、Sバルブ33の吸入口33bに交互に接続するように、Sバルブ33を切換駆動制御して、生コンクリートを円滑に圧送する。即ち、Sバルブ33は、吸入口33bを左側のポンプシリンダ21の吐出端21bに接続する第1切換位置と、吸入口33bを右側のポンプシリンダ22の吐出端22bに接続する第2切換位置との間を往復移動(回動)可能であり、その第1切換位置へは左側のバルブ駆動シリンダ34aの伸長作動により、またその第2切換位置へは右側のバルブ駆動シリンダ34bの伸長作動によりそれぞれ切換保持される。
【0029】
吐出配管35は、その前端がバルブケーシング31の後壁31bに接続されてSバルブ33に常時連通されており、その後端は、ブーム用配管105に接続される。ブーム用配管105は、吐出配管35から車体の側方へ向けて延長され、さらに前方へ向けて延長されて旋回支持台97の内部に挿通されて、支柱98およびブーム100に沿って延長されている。
【0030】
図5、
図6に示すように、コンクリートポンプ1のポンプ駆動シリンダ23,24に設けられた8つのポート231a,231b,241a,241b,232a,232b,242a,242bには、8本のホース36,37,38,39,45,46,47,48の一端がそれぞれ接続され、8本のホース36,37,38,39,45,46,47,48の他端が中継用のブロック44に接続されている。このブロック44へ作動油を供給又は排出するための4本のホース40,41,42,43の一端が、ブロック44に接続され、4本のホース40,41,42,43の他端が2つの油圧ポンプユニット49,50に接続されている。
【0031】
ブロック44は、略直方体形状に構成され、
図5に示すように、前記12本のホース36〜43,45〜48を接続するための12個のポート51〜62が形成されている。このブロック44の前端部に設けられた2つのポート51,52には、左右のポンプ駆動シリンダ23,24の前端部の内側の第1ポート231b,241aそれぞれに一端が接続された2本のホース36,37の他端がそれぞれ接続される。
【0032】
ブロック44の左側面に設けられた4つのポート53,54,55,56のうちの前側のポート53、およびブロック44の右側面に設けられた4つのポート57,58,59,60のうちの前側のポート57には、左右のポンプ駆動シリンダ23,24の前端部の外側の第1ポート231a,241bそれぞれに一端が接続された2本のホース38,39の他端がそれぞれ接続される。ブロック44の左側面に設けられた4つのポート53,54,55,56のうちの前側から2番目と3番目のポート54,55、およびブロック44の右側面に設けられ4つのポート57,58,59,60のうちの前側から2番目と3番目のポート58,59には、2つの油圧ポンプユニット49,50に接続された4本のホース40,41,42,43の他端がそれぞれ接続される。
【0033】
ブロック44の左側面に設けられ4つのポート53,54,55,56のうちの後側のポート56、およびブロック44の右側面に形成の4つのポート57,58,59,60のうちの後側のポート60には、左右のポンプ駆動シリンダ23,24の後端部の外側の第2ポート232a,242bそれぞれに一端が接続された2本のホース45,46の他端がそれぞれ接続される。ブロック44の後面に設けられ2つのポート61,62には、左右のポンプ駆動シリンダ23,24の後端部の内側の第2ポート232b,242aそれぞれに一端が接続された2本のホース47,48の他端がそれぞれ接続される。
【0034】
上記構成のコンクリートポンプ車では、動力切換装置Tによって、エンジンの出力がコンクリートポンプ1の駆動力となるよう切換えられると、作動油が図示しないオイルタンクから、油圧ポンプユニット49,50、ホース40,41,42,43、ブロック44、ホース36、37、38,39を介して、ポンプ駆動シリンダ23,24に供給され、あるいは油圧ポンプユニット49,50を介してオイルタンクに戻されて、一対のポンプ駆動シリンダ23,24の駆動により、ポンプシリンダ21の吐出端21b、ポンプシリンダ22の吐出端22bから生コンクリートが交互に吐出され、生コンクリートがブーム用配管105に、必要な揚程で供給される。
【0035】
図1に戻って、動力切換装置Tはエンジンの出力により回転するプロペラシャフトDの駆動力を取出すべく、プロペラシャフトDの途中に連結されている。動力切換装置Tは、内蔵された複数のギヤの接続を切換えることにより、エンジンの出力を車両の走行力とする場合と、コンクリートポンプ1の駆動力とする場合に切換え可能に構成されている。動力切換装置Tと、油圧ポンプユニット49,50とは組付けられて動力切換アッセンブリTAとされている。
【0036】
動力切換装置Tは、プロペラシャフトDの途中部分に直接的に連結され、油圧ポンプユニット49,50は、動力切換装置Tの上部で、且つ後方に連結されている。また動力切換装置Tと、油圧ポンプユニット49,50とは、
図6に示すように、前後方向に軸心を沿わせたギヤ49aを介して連結されている。
【0037】
本実施形態では、油圧ポンプユニット49,50は可逆式ポンプであって、互いに組付けられて前後方向に並べて配置されている。また、
図7に示すように、後方に配置した油圧ポンプユニット50のさらに後方に、コンクリートポンプ1以外の油圧駆動部に作動油を供給するする、別の二つのポンプユニット106が連結されている。このポンプユニット106は、例えば、Sバルブ駆動手段34の駆動に用いられる。
【0038】
動力切換アッセンブリTAは、サブフレームF2の上端(サブフレームF2における上側フランジ部F2aの上端面)よりも下側に配置されている。換言すれば、動力切換アッセンブリTAは、サブフレームF2の上端に対して上方に突出しないよう配置されている。
図3に示すように、動力切換アッセンブリTAの車幅方向である左右幅W1は、車体フレーム(シャシフレームF1、サブフレームF2におけるフランジ部の車幅方向内端)W2の間に入る寸法に設定されている。
【0039】
動力切換アッセンブリTAのうち、動力切換装置TにおいてプロペラシャフトDに連結される動力取出軸107の軸心位置は、シャシフレームF1の下端(シャシフレームF1における下側フランジ部F1aの下端面)に比べて上方に位置している。動力切換装置Tにおいて、油圧ポンプユニット49,50に駆動力を伝達する出力軸108の軸心位置は、シャシフレームF1とサブフレームF2の境界近傍に配置されている。出力軸108の軸心と油圧ポンプユニット49,50の軸心とは、一致しており、同一軸心上に存在している。
【0040】
動力切換アッセンブリTAは、その前後方向の複数箇所に配置した支持手段を介してサブフレームF2に吊持するように固定されている。支持手段は、動力切換装置Tおよび油圧ポンプユニット49,50を一体化させる固縛部材110と、固縛部材110をサブフレームF2に固定する支持部材112とを備える。
【0041】
図3、
図7に示すように、固縛部材110は、動力切換装置Tおよび油圧ポンプユニット49,50の側面にあって、動力切換装置Tおよび油圧ポンプユニット49,50に、前後方向で亘って動力切換装置Tおよび油圧ポンプユニット49,50を一体化させる部材である。
図7に示すように、固縛部材110は、動力切換装置Tの側面に対向して上下方向を長手方向とする前板状部113と、油圧ポンプユニット49,50の側面に対向して前後方向を長手方向とする後板状部114と、前板状部113および後板状部114どうしをその上端で連結する上板状部115とを一体に備える。前板状部113および後板状部114は上下方向に沿って形成され、上板状部115は左右方向に沿って形成されている。左右の固縛部材110どうしは、その上端において連結材110Aにより一体化されている。
【0042】
支持部材112は、固縛部材110を、緩衝用ブッシュ116を介してサブフレームF2に固定する部材である。
図7に示すように、支持部材112は、固縛部材110の前後方向に対して離間して配置されている。
図3に示すように、支持部材112は、固縛部材110の上板状部115にその下方で対向する対向板状部117と、サブフレームF2にボルト118aによって取付けられる固定板状部118とから一体的に形成されている。固縛部材110の上板状部115と、支持部材112の対向板状部117とが、前記緩衝用ブッシュ116を介して取付けられている。
【0043】
上記の位置に動力切換アッセンブリTAを配置した領域では、サブフレームF2どうしを連結するクロスメンバーは設けられない。そこで、本実施形態のコンクリートポンプ車では、動力切換アッセンブリTAを避けた位置において、サブフレームF2どうしを車幅方向で連結する、剛性確保用の横方向連結部材120が設けられている。
【0044】
横方向連結部材120は、
図1、
図7に示すように、動力切換アッセンブリTAに対して上側寄り、且つ後方側にあって、
図8に示すように、車幅方向に沿うよう配置されている。この場合、横方向連結部材120には、断面コ字型の鋼材が用いられている。なお、サブフレームF2は、横方向連結部材120とは別に、従来から設けられているクロスメンバーによって、動力切換アッセンブリTAに対して前方および後方位置においても補強されている。
【0045】
また、
図1に示すように、シャシフレームF1においては、動力切換アッセンブリTAの前側でシャシフレームF1どうしを横方向で連結する前側横方向連結部材120Aが設けられ、動力切換アッセンブリTAの後側でシャシフレームF1どうしを横方向で連結する後側横方向連結部材120Bが設けられている。これら前側横方向連結部材120A、および後側横方向連結部材120Bにより、シャシフレームF1の剛性が確保されている。なお、後側横方向連結部材120Bの前後方向での配置位置は、横方向連結部材120と同位置である。前側横方向連結部材120Aは、架台96の下側に配置されて、ブーム装置Bの重量の一部を負荷として支持する。前側横方向連結部材120A、および後側横方向連結部材120Bは、横方向連結部材120と同様の構成を備えている。
【0046】
コンクリートポンプ車は、
図2に示すように、剛性確保用の縦方向連結部材121をさらに備える。縦方向連結部材121は、動力切換アッセンブリTAの側方の近傍位置で、シャシフレームF1とサブフレームF2を上下方向で連結するよう設けられている。この場合、縦方向連結部材121は、上記した位置に動力切換アッセンブリTAを配置したことにより省略したクロスメンバーの位置に対応する位置を選択して、配置されている。すなわち縦方向連結部材121は、動力切換アッセンブリTAの側方に対応する位置に配置されている。
【0047】
縦方向連結部材121は、シャシフレームF1とサブフレームF2を、その車幅方向外側位置で連結して固縛する部材である。縦方向連結部材121は、シャシフレームF1側にボルト121aによって固定される矩形板状の下板部分122と、サブフレームF2に熔接によって固定される矩形板状の上板部分123とを一体的に備える。縦方向連結部材121は、縦方向に沿うリブ124によって補強されている。このような縦方向連結部材121は、省略したクロスメンバーの位置に対応する位置だけでなく、車体フレームの補強に必要な位置にも配置されている。
【0048】
このコンクリートポンプ車では、動力切換装置Tおよび油圧ポンプユニット49,50は組付けられて、動力切換アッセンブリTAとされている。そして、動力切換アッセンブリTAは、サブフレームF2で支持される構成である。よって、サブフレームF2は動力切換アッセンブリTAに相応する重量を支持する必要がある。しかもサブフレームF2では、動力切換アッセンブリTAを配置した位置において、クロスメンバーを省略している。
【0049】
しかしながら、このコンクリートポンプ車では、動力切換アッセンブリTAを配置する位置においてサブフレームF2を連結するクロスメンバーを省略した代わりに、横方向連結部材120を準備し、これを動力切換アッセンブリTAの上側寄りに相当する位置に配置して、サブフレームF2どうしを連結させる構成としたことで、サブフレームF2の剛性が確保されている。しかも、縦方向連結部材121は、少なくとも、省略したクロスメンバーの位置に対応する位置に配置されている。この構成により、サブフレームF2は、動力切換アッセンブリTAの重量を支持し得、しかも剛性を確保される。
【0050】
また、このコンクリートポンプ車では、動力切換アッセンブリTAを配置する位置において、サブフレームF2を連結するクロスメンバーを省略したことで、動力切換アッセンブリTAをサブフレームF2の上端よりも下側に配置することを実現した。このように構成することで、コンクリートポンプ車の重心位置が低い位置になって、その分だけ車体を安定させられる。
【0051】
また、サブフレームF2の前部に低位置支持部93を設けて、この低位置支持部93に架台96を配置することで、架台96がサブフレームF2の低位置にあることによっても、その分だけ車体を安定させられる。この架台96は、前述したように、一対のサブフレームF2のうちの低位置支持部93に渡すように固定されている。このため架台96は、サブフレームF2どうしを横方向(車幅方向)で連結する横方向連結部材としての機能を有している。
【0052】
ところで一般に、この種のコンクリートポンプ車において、生コンクリートの吐出流量や吐出圧力を高めさせるには、相応の大型の動力切換装置Tや油圧ポンプユニット49,50が必要である。このことについて、本実施形態では、動力切換アッセンブリTAにおいて、動力切換装置Tおよび油圧ポンプユニット49,50は、前後方向に並べた配置としている。すなわち、動力切換アッセンブリTAでは、一個の油圧ポンプユニットを大型化させるのではなく、複数の油圧ポンプユニット49,50として連結することで、実質的な大型容量の油圧ポンプユニットとさせて、生コンクリートの吐出流量や吐出圧力を高めさせることを可能としている。
【0053】
本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。その他、各部の具体的構成についても同様である。
【0054】
上記実施形態では、動力切換アッセンブリTAを配置した領域において省略したクロスメンバーの代わりに、剛性確保用の横方向連結部材120、および縦方向連結部材121を設けた。しかしながら、横方向連結部材120、および縦方向連結部材121のうちの少なくとも一方を設けることで、省略したクロスメンバーの代替とすることも可能である。
【0055】
上記実施形態では、Sバルブを用いて生コンクリートを圧送する構成のコンクリートポンプ車を例示した。しかしながら、生コンクリートを圧送する構成として、円筒ドラムの内周にセットしたポンピングチューブを、ローラで絞りながらしごいてゆくことにより生コンクリートを圧送する、スクイーズ方式のコンクリートポンプ車にも適用できる。また、上記実施形態では、油圧回路を、作動油をタンクから吸込みタンクに対して戻す開回路の場合を例示した。しかしながら、本発明は、油圧回路として閉回路を用いる構成でも適用できる。
【0056】
上記実施形態では、動力切換装置は、車両のプロペラシャフトの途中部分に設けて、プロペラシャフトから動力を取出すよう構成したがこれに限定されず、エンジンの動力を別の駆動機構から取出すよう構成することもできる。
【0057】
上記実施形態では、横方向連結部材120は、車幅方向に沿うよう配置した場合、すなわちサブフレームF2に直交させて設けた場合を例示した。しかしながら、横方向連結部材120はその車幅方向の端部をサブフレームF2に連結するよう、サブフレームF2間に渡されていれば、サブフレームF2に直交する方向以外に、サブフレームF2の長手方向に対して傾斜して配置してもよい。すなわち、横方向連結部材120はその両端部が前後方向に位置ずれさせた状態で、サブフレームF2どうしを連結する構成であってもよい。
【0058】
上記実施形態では、縦方向連結部材121は、シャシフレームF1とサブフレームF2を上下方向で連結するよう設けた場合を例示した。しかしながら、縦方向連結部材121は、その上端をシャシフレームF1に、下端をサブフレームF2に連結されていれば、上下方向以外に、上下方向に対して前後方向に傾斜して配置した構成であってもよい。