(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記外気取込路における前記コンプレッサより前記分岐路側には、前記コンプレッサから前記分岐路へ向かう方向のみ気体の流れを許容する逆止弁が設けられる、請求項1に記載の排気浄化装置。
前記制御装置は、前記窒素酸化物吸蔵触媒の温度が第1温度閾値を上回った場合、前記分岐路へ送られる前記排気の流量が増大するように前記調整弁の開度を制御する、請求項3に記載の排気浄化装置。
前記制御装置は、前記窒素酸化物吸蔵触媒の温度が前記第1温度閾値を上回った場合、前記外気取込路における前記逆止弁より前記分岐路側の圧力が前記コンプレッサ側の圧力以上となるように前記調整弁の開度を制御する、請求項4に記載の排気浄化装置。
前記制御装置は、前記窒素酸化物吸蔵触媒の温度が前記第1温度閾値と比較して高い第2温度閾値を上回った場合、前記分岐路へ送られる前記排気の流量がさらに増大するように前記調整弁の開度を制御する、請求項4又は5に記載の排気浄化装置。
前記制御装置は、前記窒素酸化物吸蔵触媒の温度が前記第2温度閾値を上回った場合、前記排気通路における前記分岐路より上流側を通過する前記排気が前記分岐路へ優先的に送られるように前記調整弁の開度を制御する、請求項6に記載の排気浄化装置。
前記制御装置は、前記窒素酸化物吸蔵触媒の温度が前記第2温度閾値を上回った後において、前記外気取込路における前記逆止弁より前記分岐路側の圧力が圧力閾値を下回った場合、前記分岐路へ送られる前記排気の流量が減少するように前記調整弁の開度を制御する、請求項6又は7に記載の排気浄化装置。
前記制御装置は、前記窒素酸化物吸蔵触媒の温度が前記第2温度閾値を上回った後において、前記外気取込路における前記逆止弁より前記分岐路側の圧力が前記圧力閾値を下回った場合、前記外気取込路における前記逆止弁より前記分岐路側の圧力が前記コンプレッサ側の圧力より低くなるように前記調整弁の開度を制御する、請求項8に記載の排気浄化装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
<1.エンジン及び吸排気系の概略構成>
まず、
図1を参照して、本発明の実施形態に係る排気浄化装置100を適用したエンジン10及び吸排気系の概略構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る排気浄化装置100を適用したエンジン10及び吸排気系の概略構成の一例を示す模式図である。なお、
図1では、気体の流れが破線の矢印によって示されている。
【0021】
本実施形態に係る排気浄化装置100は、具体的には、車両のエンジン10の排気系に設けられる。例えば、
図1に示したように、エンジン10には吸気通路21及び排気通路31が接続される。吸気通路21からエンジン10へ吸気が吸入され、エンジン10から排出された排気は排気通路31を通過し、車両の外部へ放出される。排気浄化装置100は、例えば、このような排気通路31に設けられる。
【0022】
エンジン10は、燃料を燃焼させることによって動力を生成する内燃機関である。
【0023】
具体的には、エンジン10は、火花点火式の内燃機関であるガソリンエンジンである。エンジン10には、1又は複数の気筒11が備えられる。
図1では、理解を容易にするために、エンジン10に設けられる気筒11のうちの1つの気筒11が、一例として、示されている。各気筒11の内部には燃焼室13が形成され、各気筒11には燃焼室13に向けて点火プラグ15が設けられている。また、各気筒11には、燃焼室13に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁17が設けられている。燃料噴射弁17は、具体的には、燃料が貯留される燃料タンクから供給される燃料を燃焼室13内に噴射する。なお、燃料噴射弁17は、燃焼室13内に燃料を直接噴射する形式のものに限られない。燃料噴射弁17が吸気通路21に備えられ、あらかじめ燃料を含む吸気が燃焼室13へ吸入されてもよい。
【0024】
燃焼室13には、空気及び燃料からなる混合気が形成され、当該混合気が点火プラグ15の点火により燃焼する。それにより、各気筒11内に設けられたピストンが直線往復運動を行い、各気筒11のピストンと接続されたクランクシャフトへ動力が伝達される。各燃焼室13は、吸気側及び排気側においてそれぞれ吸気通路21及び排気通路31に連通している。
【0025】
吸気通路21は、外気を吸気として取り込み、吸気をエンジン10へ送るために設けられる通路である。
【0026】
具体的には、吸気通路21の上流側の端部は、車両の外気を取り込み可能な吸気口23と接続される。吸気通路21には、例えば、
図1に示したように、過給機40のコンプレッサ41が設けられてもよい。過給機40は、コンプレッサ41と排気通路31に設けられるタービン42とを含んで構成され、コンプレッサ41とタービン42とはシャフトを介して一体的に回転可能に連結される。それにより、コンプレッサ41は、タービン42によって回転駆動される。ゆえに、吸気口23から取り込まれた吸気はコンプレッサ41によって圧縮されて下流側へ送られる。
【0027】
吸気通路21における過給機40のコンプレッサ41より下流側には、エンジン10へ送られる吸気の流量を調整可能なスロットルバルブ25が設けられる。スロットルバルブ25の開度が制御されることにより、吸気通路21の流路面積が制御される。それにより、エンジン10へ送られる吸気の流量が調整される。なお、スロットルバルブ25の動作は、例えば、後述する排気浄化装置100の制御装置90とは異なる他の制御装置によって制御され得る。
【0028】
吸気通路21におけるスロットルバルブ25より下流側は、各気筒11の吸気側に向けて分岐し、各燃焼室13と連通する。より具体的には、吸気通路21において各気筒11に向けて分岐する通路は、各気筒11に設けられる吸気ポートと接続される。それにより、スロットルバルブ25を通過した吸気は、各気筒11に吸入される。
【0029】
排気通路31は、エンジン10から排出される排気を車両の外部へ放出するために設けられる通路である。
【0030】
具体的には、排気通路31の上流側の端部は、各気筒11の排気側に向けて分岐し、各燃焼室13と連通する。より具体的には、排気通路31において各気筒11に向けて分岐する通路は、各気筒11に設けられる排気ポートと接続される。それにより、各気筒11から排気通路31へ排気が送られる。
【0031】
排気通路31には、例えば、
図1に示したように、過給機40のタービン42が設けられてもよい。タービン42は、排気の運動エネルギによって回転駆動される。また、タービン42は、上述したように、過給機40のコンプレッサ41とシャフトを介して一体的に回転可能に連結されており、タービン42の回転動力は当該シャフトを介してコンプレッサ41へ伝達される。それにより、吸気通路21に設けられるコンプレッサ41がタービン42によって回転駆動される。
【0032】
また、排気通路31には、
図1に示したように、タービン42より上流側と下流側とを連通するバイパス路35及び当該バイパス路35へ送られる排気の流量を調整可能なウェイストゲートバルブ37が設けられてもよい。ウェイストゲートバルブ37の開度が制御されることにより、バイパス路35の流路面積が制御される。それにより、バイパス路35へ送られる排気の流量が調整される。ゆえに、タービン42へ送られる排気の流量が調整される。なお、ウェイストゲートバルブ37の動作は、例えば、後述する排気浄化装置100の制御装置90とは異なる他の制御装置によって制御され得る。
【0033】
排気通路31におけるタービン42及びバイパス路35より下流側には、三元触媒50が設けられる。三元触媒50は、排気中の炭化水素(HC)及び一酸化炭素(CO)の酸化、並びにNOxの還元を行い、排気中のこのような有害成分を無害な水蒸気(H
2O)、二酸化炭素(CO
2)、及び窒素(N
2)に浄化する。また、排気通路31における三元触媒50より下流側には、窒素酸化物吸蔵触媒60が配設される。窒素酸化物吸蔵触媒60は、排気中のNOxを吸蔵可能な触媒である。それにより、エンジン10における燃焼後の排気は、三元触媒50及び窒素酸化物吸蔵触媒60を順に通過する。ゆえに、エンジン10の燃焼制御がリーンバーンである場合において、浄化されずに三元触媒50を通過したNOxを窒素酸化物吸蔵触媒60によって吸蔵することができる。
【0034】
本実施形態では、排気通路31における三元触媒50と窒素酸化物吸蔵触媒60との間には、排気温調機構70が設けられる。排気温調機構70は、窒素酸化物吸蔵触媒60へ送られる排気の温度を調整するために設けられる。それにより、窒素酸化物吸蔵触媒60の温度である触媒温度Teを調整することができる。排気温調機構70の動作は、制御装置90によって制御される。
【0035】
本実施形態に係る排気浄化装置100は、例えば、
図1に示したように、三元触媒50と、窒素酸化物吸蔵触媒60と、排気温調機構70と、制御装置90と、を含んで構成される。本実施形態に係る排気浄化装置100によれば、排気温調機構70が設けられることによって、窒素酸化物吸蔵触媒60の温度である触媒温度を適切に調整することができるので、NOx吸蔵効率の低下を抑制することが可能となる。このような排気温調機構70については、次節にて詳細に説明する。
【0036】
排気通路31の下流側の端部は、車両の外部へ排気を放出可能な排気口33と接続される。それにより、排気浄化装置100によって浄化された排気は、排気口33から車両の外部へ排気される。
【0037】
<2.排気温調機構>
続いて、
図2を参照して、本実施形態に係る排気温調機構70の詳細について説明する。
図2は、本実施形態に係る排気温調機構70の概略構成の一例を示す模式図である。
【0038】
排気温調機構70は、例えば、
図2に示したように、分岐路71と、外気取込路72と、タービン82と、コンプレッサ81と、調整弁75と、を含む。なお、当該タービン82は本発明に係るタービンに相当し、当該コンプレッサ81は本発明に係るコンプレッサに相当する。また、当該タービン82及び当該コンプレッサ81を含んで過給機80が構成される。
【0039】
分岐路71は、排気通路31における窒素酸化物吸蔵触媒60より上流側に設けられ、排気通路31から分岐した後に当該排気通路31に合流する。それにより、排気通路31における分岐路71より上流側を通過する排気の一部又は全部を分岐路71へ送ることが可能となる。分岐路71へ送られた排気は、分岐路71を迂回した後、排気通路31における分岐路71より下流側へ送られる。
【0040】
例えば、分岐路71は、
図2に示したように、排気通路31における窒素酸化物吸蔵触媒60より上流側の第1部分P1と排気通路31における当該第1部分P1よりさらに上流側の第2部分P2とを連通する。それにより、排気通路31における第2部分P2より上流側を通過する排気の一部又は全部を第2部分P2から分岐路71へ送ることが可能となる。分岐路71へ送られた排気は、分岐路71を迂回した後、排気通路31の第1部分P1へ送られる。
【0041】
タービン82は、分岐路71に設けられ、排気の運動エネルギによって回転駆動される。また、タービン82は後述する外気取込路72に設けられるコンプレッサ81とシャフトを介して一体的に回転可能に連結されており、タービン82の回転動力は当該シャフトを介してコンプレッサ81へ伝達される。それにより、コンプレッサ81がタービン82によって回転駆動される。ゆえに、分岐路71を迂回する排気のエネルギの一部は過給機80を駆動するための動力源として消費される。それにより、分岐路71を迂回する排気の温度は、タービン82を通過することに伴って低下する。ゆえに、分岐路71へ送られる排気は、温度が低下した後、排気通路31における分岐路71より下流側へ送られる。よって、排気通路31における分岐路71より上流側を通過する排気の一部又は全部について分岐路71を迂回させることによって、窒素酸化物吸蔵触媒60へ送られる排気の温度を低下させることができる。
【0042】
具体的には、タービン82は、分岐路71において、排気の運動エネルギによって回転駆動され得る姿勢で設けられる。例えば、タービン82は、
図2に示したように、タービン82が設けられる部分から上流側へ分岐路71が延在する方向に対して交差する回転軸を有する姿勢で設けられる。それにより、排気通路31の第2部分P2から分岐路71へ送られた排気によって、タービン82が回転駆動される。ゆえに、排気通路31の第2部分P2から分岐路71へ送られた排気は、タービン82を通過することに伴って温度が低下した後、排気通路31における第1部分P1へ送られる。
【0043】
外気取込路72の一端部は外気を取り込み可能な取込口73と接続され、外気取込路72の他端部は分岐路71におけるタービン82より上流側と接続される。それにより、外気を排気通路31へ供給することができる。具体的には、取込口73から取り込まれた外気は、排気通路31へ外気取込路72及び分岐路71を介して供給される。また、取込口73から取り込まれた外気は、排気通路31へタービン82を通過して供給される。後述するように、取込口73から取り込まれた外気は、タービン82によって回転駆動されるコンプレッサ81により圧縮されて分岐路71側へ送られる。それにより、外気の排気通路31への供給が実現される。
【0044】
例えば、外気取込路72の一端部は、
図2に示したように、吸気通路21と接続される吸気口23とは異なる取込口73と接続される。取込口73は、車両の外部と連通し、車両の外気を取り込み可能である。また、外気取込路72の他端部は、分岐路71におけるタービン82より上流側と接続される。換言すると、タービン82は、例えば、
図2に示したように、外気取込路72の他端部と分岐路71との合流部分P3より下流側に位置する。それにより、取込口73から取り込まれた外気を、排気通路31の第1部分P1へ外気取込路72及び分岐路71を介して供給することができる。また、取込口73から取り込まれた外気を、排気通路31の第1部分P1へタービン82を通過させて供給することができる。なお、外気取込路72の外周部は、例えば、
図2に示したように、他端側において、分岐路71の外周部と一体として形成されてもよく、接合されてもよい。
【0045】
上記のように取込口73から取り込まれた外気を排気通路31へ供給することによって、窒素酸化物吸蔵触媒60へ送られる排気を外気によって希釈することができる。それにより、窒素酸化物吸蔵触媒60へ送られる排気の温度及び濃度を低下させることができる。
【0046】
また、上記のように取込口73から取り込まれた外気を排気通路31へタービン82を通過させて供給することによって、外気の運動エネルギによってタービン82を回転駆動させることができる。それにより、外気の運動エネルギを、過給機80を駆動するための動力源として利用することができる。ゆえに、排気通路31から分岐路71へ送られる排気の流量を低減させつつ、過給機80の回転駆動を継続させることが可能となる。
【0047】
このように、本実施形態に係る過給機80は、自らのコンプレッサ81によって圧縮して送出した外気の運動エネルギを利用して自らのタービン82を回転駆動させることができる自立型の過給機である。なお、自らのコンプレッサ81によって圧縮して送出した外気の運動エネルギを利用することにより過給機80の回転動力が維持されつつ当該過給機80の回転駆動が継続している状態を自立運転状態とも称する。
【0048】
コンプレッサ81は、外気取込路72に設けられ、タービン82によって回転駆動される。具体的には、コンプレッサ81は、上述したように、過給機80のタービン82とシャフトを介して一体的に回転可能に連結されている。ゆえに、タービン82の回転動力が当該シャフトを介してコンプレッサ81へ伝達されることによって、コンプレッサ81が回転駆動される。それにより、取込口73から取り込まれた外気はコンプレッサ81によって圧縮されて分岐路71側へ送られる。
【0049】
より具体的には、コンプレッサ81は、外気取込路72において、外気を圧縮して分岐路71側へ送出し得る姿勢で設けられる。例えば、コンプレッサ81は、
図2に示したように、コンプレッサ81が設けられる部分から下流側へ外気取込路72が延在する方向に対して交差する回転軸を有する姿勢で設けられる。それにより、取込口73から取り込まれた外気がコンプレッサ81によって圧縮されて分岐路71側へ送られる。
【0050】
外気取込路72におけるコンプレッサ81より分岐路71側には、コンプレッサ81から分岐路71へ向かう方向のみ気体の流れを許容する逆止弁77が設けられてもよい。それにより、分岐路71から外気取込路72を介して車両の外部へ排気が漏出することを防止することができる。
【0051】
具体的には、外気取込路72における逆止弁77より分岐路71側の圧力Pbがコンプレッサ81側の圧力より低い場合、コンプレッサ81から分岐路71へ向かう方向について気体の流れが生じる。それにより、取込口73から取り込まれた外気が逆止弁77を通って分岐路71側へ送られる。一方、外気取込路72における逆止弁77より分岐路71側の圧力Pbがコンプレッサ81側の圧力以上である場合、コンプレッサ81から分岐路71へ向かう方向及び分岐路71からコンプレッサ81へ向かう方向のいずれの方向についても気体の流れは生じない。
【0052】
調整弁75は、分岐路71へ送られる排気の流量を調整可能である。それにより、排気通路31における分岐路71より上流側を通過する排気のうち分岐路71を迂回しタービン82を通過する排気の流量を調整することができる。ゆえに、過給機80を駆動するための動力源として消費される分岐路71を迂回する排気のエネルギを調整することができる。よって、分岐路71を迂回する排気によって生じる過給機80の回転動力を調整することができる。それにより、例えば、外気が排気通路31へ外気取込路72及び分岐路71を介して供給される状態と供給されない状態とを切り替えることができる。
【0053】
外気が排気通路31へ供給されない状態となる場合、分岐路71を迂回した排気の温度がタービン82を通過することに伴って低下することによって、窒素酸化物吸蔵触媒60へ送られる排気の温度を低下させることができる。また、過給機80の回転動力をさらに上昇させることにより、外気が排気通路31へ供給される状態へ切り替えることによって、窒素酸化物吸蔵触媒60へ送られる排気を外気によって希釈することができる。それにより、窒素酸化物吸蔵触媒60へ送られる排気の温度をより効果的に低下させることができる。
【0054】
例えば、調整弁75は、排気通路31において、分岐路71との上流側の接続部分と下流側の接続部分との間の流路面積を調整可能であってもよい。具体的には、調整弁75は、
図2に示したように、排気通路31において、第2部分P2より下流側かつ第1部分P1より上流側に設けられる。なお、調整弁75は第1部分P1と比較して第2部分P2へ近接して設けられてもよい。調整弁75が設けられる部分における排気通路31の流路面積は、調整弁75の開度に応じて調整され得る。具体的には、調整弁75の開度が大きいほど当該流路面積は大きくなってもよい。例えば、調整弁75が全開である場合に当該流路面積は最大値をとり、調整弁75が全閉である場合に当該流路面積は0となる。その場合、分岐路71へ送られる排気の流量は、調整弁75の開度が大きいほど少なくなる。例えば、調整弁75が全開である場合に当該流量は最小値をとり、調整弁75が全閉である場合に当該流量は最大値をとる。
【0055】
調整弁75の動作は、制御装置90によって制御される。調整弁75は、例えば、電動モータを備え、当該電動モータによって駆動される。その場合、制御装置90からの動作指示に基づいて当該電動モータが駆動されることによって、調整弁75の動作が制御される。
【0056】
以上説明したように、本実施形態に係る排気温調機構70によれば、排気通路31における分岐路71より上流側を通過する排気のうち分岐路71を迂回しタービン82を通過する排気の流量を調整することができる。ゆえに、過給機80を駆動するための動力源として消費される分岐路71を迂回する排気のエネルギを調整することができる。よって、分岐路71を迂回する排気によって生じる過給機80の回転動力を調整することができる。それにより、外気が排気通路31へ外気取込路72及び分岐路71を介して供給される状態への切り替えを行うことができる。ゆえに、触媒温度Teが活性温度域を超えて高くなる高負荷時に当該状態への切り替えを行うことによって、窒素酸化物吸蔵触媒60へ送られる排気を外気によって希釈することにより、当該排気の温度を低下させることができる。よって、高負荷時において、触媒温度Teを窒素酸化物吸蔵触媒60の活性が良好となる温度域である活性温度域内の温度へ調整することができる。したがって、本実施形態に係る排気浄化装置100によれば、排気温調機構70が設けられることによって、NOx吸蔵効率の低下を抑制することができる。
【0057】
さらに、本実施形態に係る排気浄化装置100によれば、NOx吸蔵効率の低下を抑制することができるので、リッチ化処理を実行する頻度が上昇することを抑制することができる。また、NOx吸蔵効率の低下が抑制されることによって、リーンバーンにおける空燃比の目標値が理論空燃比に近づくことを抑制することができる。したがって、燃費を向上させることができる。
【0058】
さらに、本実施形態に係る排気浄化装置100によれば、外気が排気通路31へ外気取込路72及び分岐路71を介して供給される状態への切り替えを高負荷時に行うことによって、窒素酸化物吸蔵触媒60へ送られる排気を外気によって希釈することにより、当該排気の濃度を低下させることができる。ここで、NOx吸蔵効率は、排気の濃度に依存し、濃度が高いほど低下する傾向を有する。ゆえに、高負荷時において、窒素酸化物吸蔵触媒60へ送られる排気の濃度を低下させることによって、NOx吸蔵効率の低下をより効果的に抑制することができる。
【0059】
さらに、本実施形態に係る排気浄化装置100によれば、外気が排気通路31へ外気取込路72及び分岐路71を介して供給される状態において、外気は排気通路31へタービン82を通過して供給される。それにより、外気の運動エネルギによってタービン82を回転駆動させることができるので、外気の運動エネルギを、過給機80を駆動するための動力源として利用することができる。ゆえに、排気通路31から分岐路71へ送られる排気の流量を低減させつつ、過給機80の回転駆動を継続させることができる。よって、排気通路31を流れる排気の流量が調整弁75によって絞られることに起因して生じる掃気効率の低下を抑制しつつ、過給機80の回転駆動を継続させることが可能となる。したがって、燃費をより効果的に向上させることができる。
【0060】
排気浄化装置100は、各種センサを含んでもよい。例えば、排気浄化装置100は、
図2に示したように、温度センサ201と、圧力センサ203と、を含んでもよい。
【0061】
温度センサ201は、窒素酸化物吸蔵触媒60へ送られる排気の温度を検出し、検出結果を出力する。当該検出結果は、窒素酸化物吸蔵触媒60の温度である触媒温度Teを推定するために用いられる。温度センサ201は、例えば、排気通路31における窒素酸化物吸蔵触媒60より上流側かつ排気通路31の第1部分P1より下流側に設けられる。
【0062】
圧力センサ203は、外気取込路72における逆止弁77より分岐路71側の圧力Pbを検出し、検出結果を出力する。圧力センサ203は、例えば、外気取込路72における逆止弁77より分岐路71側に設けられる。
【0063】
制御装置90は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)、CPUが使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する記憶素子であるROM(Read Only Memory)、CPUの実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する記憶素子であるRAM(Random Access Memory)等で構成される。
【0064】
制御装置90は、排気温調機構70を構成する各装置の動作を制御する。例えば、制御装置90は、制御対象である各装置に対して電気信号を用いて動作指示を出力することによって、各装置の動作を制御する。具体的には、制御装置90は、調整弁75の動作を制御する。より具体的には、制御装置90は、調整弁75の開度を制御することによって、分岐路71へ送られる排気の流量を制御する。なお、以下では、制御装置90が行う調整弁75の開度の制御を弁開度制御とも称する。
【0065】
また、制御装置90は、各装置から出力された情報を受信する。制御装置90と各装置との通信は、例えば、CAN(Controller Area Network)通信を用いて実現される。例えば、制御装置90は、温度センサ201及び圧力センサ203から出力される各種検出結果を受信する。なお、本実施形態に係る制御装置90が有する機能は複数の制御装置により分割されてもよく、その場合、当該複数の制御装置は、CAN等の通信バスを介して、互いに接続されてもよい。このような制御装置90については、次節にて詳細に説明する。
【0066】
<3.制御装置>
続いて、
図3〜
図8を参照して、本実施形態に係る制御装置90の詳細について説明する。
【0067】
[3−1.弁開度制御]
まず、
図3〜
図7を参照して、本実施形態に係る制御装置90が行う弁開度制御について説明する。
【0068】
制御装置90は、調整弁75の開度を制御することによって、分岐路71へ送られる排気の流量を制御する。具体的には、制御装置90は、窒素酸化物吸蔵触媒60の温度である触媒温度Teに基づいて、調整弁75の開度を制御する。このように、触媒温度Teに基づく弁開度制御が行われることによって、触媒温度Teを適切に調整することが実現される。制御装置90は、例えば、温度センサ201から出力される検出結果に基づいて触媒温度Teを推定し得る。具体的には、制御装置90は、温度センサ201により検出される窒素酸化物吸蔵触媒60へ送られる排気の温度の検出値が高いほど触媒温度Teとして大きな値を推定する。例えば、触媒温度Teの推定は、窒素酸化物吸蔵触媒60へ送られる排気の温度の検出値と触媒温度Teとの関係性を規定するマップを用いて行われ得る。
【0069】
ここで、
図3を参照して、NOx吸蔵効率と触媒温度Teとの関係性について説明する。
図3は、NOx吸蔵効率と触媒温度Teとの関係性の一例を示す模式図である。上述したように、窒素酸化物吸蔵触媒60の活性が良好となる温度域である活性温度域が存在する。
図3では、NOx吸蔵効率が閾値Eth以上である状態が窒素酸化物吸蔵触媒60の活性が良好である状態と対応する例が示されている。
【0070】
NOx吸蔵効率は、例えば、
図3に示したように、触媒温度Teが第1温度閾値Tth1を超える温度域において触媒温度Teの上昇に伴って低下し、触媒温度Teが第1温度閾値Tth1と比較して高い第2温度閾値Tth2を超える温度域において閾値Ethを下回る。第1温度閾値Tth1は、活性温度域内においてNOx吸蔵効率が触媒温度Teの上昇に伴って低下し始める温度に相当する。また、第2温度閾値Tth2は、活性温度域の上限温度に相当する。なお、活性温度域の下限温度も存在するが、
図3では活性温度域の下限温度の図示を省略している。触媒温度Teが活性温度域を超えて高くなる高負荷時は、触媒温度Teが第2温度閾値Tth2より高い場合に相当する。なお、第1温度閾値Tth1及び第2温度閾値Tth2を示す情報は、制御装置90の記憶素子に予め記憶され得る。
【0071】
制御装置90は、具体的には、触媒温度Teが活性温度域内の温度になるように、触媒温度Teに基づく弁開度制御を行う。以下では、
図4〜
図8を参照して、制御装置90による触媒温度Teに基づく弁開度制御について、より詳細に説明する。なお、
図4〜
図8では、気体の流れが破線の矢印によって示されている。
【0072】
制御装置90は、触媒温度Teが第1温度閾値Tth1以下である場合、排気通路31における分岐路71より上流側を通過する排気が分岐路71を迂回せずに分岐路71より下流側へ送られるように調整弁75の開度を制御してもよい。例えば、制御装置90は、触媒温度Teが第1温度閾値Tth1以下である場合、調整弁75を全開する。
【0073】
図4は、排気温調機構70において調整弁75が全開である状態の一例を示す模式図である。上述したように、調整弁75が全開である場合、分岐路71へ送られる排気の流量は最小値をとり得る。例えば、
図4に示したように、調整弁75が全開である場合、排気通路31における第2部分P2より上流側を通過する排気は、基本的に第2部分P2から分岐路71へは送られない。ゆえに、排気通路31における第2部分P2より上流側を通過する排気は、分岐路71を迂回せずに分岐路71より下流側へ送られる。よって、
図4に示した状態では、後述する
図5〜
図7に示した状態と比較して、排気通路31を流れる排気の流量が調整弁75によって絞られることに起因して生じる掃気効率の低下をより抑制することができる。
【0074】
触媒温度Teが第1温度閾値Tth1以下である場合には、触媒温度Teは活性温度域内の温度であり、NOx吸蔵効率は触媒温度Teが変化した場合であっても比較的高い効率に維持されやすい。ゆえに、触媒温度Teを調整する必要性が低いので、上記のように掃気効率を重視した開弁度制御を行うことによって、燃費を適切に向上させることができる。
【0075】
また、制御装置90は、触媒温度Teが第1温度閾値Tth1を上回った場合、分岐路71へ送られる排気の流量が増大するように調整弁75の開度を制御してもよい。具体的には、制御装置90は、触媒温度Teが第1温度閾値Tth1を上回った場合、外気取込路72における逆止弁77より分岐路71側の圧力Pbがコンプレッサ81側の圧力以上となるように調整弁75の開度を制御してもよい。例えば、制御装置90は、触媒温度Teが第1温度閾値Tth1を上回った場合、調整弁75の開度を第1開度へ制御する。第1開度は、具体的には、外気取込路72における逆止弁77より分岐路71側の圧力Pbをコンプレッサ81側の圧力以上にし得るような開度に設定される。
【0076】
図5は、排気温調機構70において調整弁75の開度が第1開度である状態の一例を示す模式図である。例えば、
図5に示したように、調整弁75の開度が第1開度である場合、排気通路31における第2部分P2より上流側を通過する排気の一部は、第2部分P2から分岐路71へ送られる。そして、排気通路31の第2部分P2から分岐路71へ送られた排気は、タービン82を通過することに伴って温度が低下した後、
図5に示したように、排気通路31における第1部分P1へ送られる。ゆえに、
図5に示した状態では、
図4に示した状態と比較して、窒素酸化物吸蔵触媒60へ送られる排気の温度を低下させることができる。ゆえに、触媒温度Teを低下させることができる。
【0077】
触媒温度Teが第1温度閾値Tth1を上回った場合において、触媒温度Teは活性温度域内においてNOx吸蔵効率が触媒温度Teの上昇に伴って低下する温度域内の温度であり、NOx吸蔵効率が今後においてさらに低下する可能性が高い。ゆえに、窒素酸化物吸蔵触媒60へ送られる排気の温度を低下させることにより、触媒温度Teの上昇を抑制することによって、NOx吸蔵効率の低下をより効果的に抑制することができる。
【0078】
また、制御装置90は、触媒温度Teが第2温度閾値Tth2を上回った場合、分岐路71へ送られる排気の流量がさらに増大するように調整弁75の開度を制御してもよい。具体的には、制御装置90は、触媒温度Teが第2温度閾値Tth2を上回った場合、排気通路31における分岐路71より上流側を通過する排気が分岐路71へ優先的に送られるように調整弁75の開度を制御してもよい。例えば、制御装置90は、触媒温度Teが第2温度閾値Tth2を上回った場合、調整弁75を全閉する。
【0079】
図6は、排気温調機構70において調整弁75が全閉である状態の一例を示す模式図である。上述したように、調整弁75が全閉である場合、分岐路71へ送られる排気の流量は最大値をとり得る。例えば、
図6に示したように、調整弁75が全閉である場合、排気通路31における第2部分P2より上流側を通過する排気は、全て第2部分P2から分岐路71へ送られる。そして、コンプレッサ81が回転駆動されることにより、
図6に示したように、取込口73から取り込まれた外気がコンプレッサ81によって圧縮されて分岐路71側へ送られる。
【0080】
ここで、調整弁75が全閉である場合には、外気取込路72における逆止弁77より分岐路71側の圧力Pbはコンプレッサ81側の圧力より低くなり得る。ゆえに、取込口73から取り込まれた外気は、排気通路31へ外気取込路72及び分岐路71を介して供給される。それにより、窒素酸化物吸蔵触媒60へ送られる排気を外気によって希釈することができる。ゆえに、
図6に示した状態では、
図5に示した状態と比較して、窒素酸化物吸蔵触媒60へ送られる排気の温度をより効果的に低下させることができる。ゆえに、触媒温度Teをより効果的に低下させることができる。
【0081】
触媒温度Teが第2温度閾値Tth2を上回った場合は、触媒温度Teが活性温度域を超えて高くなる高負荷時に相当する。ゆえに、窒素酸化物吸蔵触媒60へ送られる排気の温度をより効果的に低下させることによって、触媒温度Teを活性温度域内の温度へ調整することができる。よって、NOx吸蔵効率の低下を適切に抑制することができる。
【0082】
さらに、NOx吸蔵効率の低下が抑制されることによって、リッチ化処理を実行する頻度が上昇すること又はリーンバーンにおける空燃比の目標値が理論空燃比に近づくことを抑制することができる。ゆえに、燃費を適切に向上させることができる。
【0083】
さらに、
図6に示した状態では、窒素酸化物吸蔵触媒60へ送られる排気を外気によって希釈することにより、当該排気の濃度を低下させることができる。ゆえに、高負荷時において、窒素酸化物吸蔵触媒60へ送られる排気の濃度を低下させることによって、NOx吸蔵効率の低下をより効果的に抑制することができる。
【0084】
また、制御装置90は、触媒温度Teが第2温度閾値Tth2を上回った後において、外気取込路72における逆止弁77より分岐路71側の圧力Pbが圧力閾値Pthを下回った場合、分岐路71へ送られる排気の流量が減少するように調整弁75の開度を制御してもよい。具体的には、制御装置90は、触媒温度Teが第2温度閾値Tth2を上回った後において、外気取込路72における逆止弁77より分岐路71側の圧力Pbが圧力閾値Pthを下回った場合、外気取込路72における逆止弁77より分岐路71側の圧力Pbがコンプレッサ81側の圧力より低くなるように調整弁75の開度を制御してもよい。
【0085】
圧力閾値Pthは、触媒温度Teが第2温度閾値Tth2を上回った後において分岐路71へ送られる排気の流量を減少させた場合であっても、過給機80の回転動力を維持しつつ当該過給機80の回転駆動を継続させることができるような値に設定される。換言すると、圧力閾値Pthは、触媒温度Teが第2温度閾値Tth2を上回った後において分岐路71へ送られる排気の流量を減少させた場合であっても、過給機80の自立運転状態を維持し得るような値に設定される。なお、圧力閾値Pthを示す情報は、制御装置90の記憶素子に予め記憶され得る。
【0086】
例えば、制御装置90は、触媒温度Teが第2温度閾値Tth2を上回った後において、外気取込路72における逆止弁77より分岐路71側の圧力Pbが圧力閾値Pthを下回った場合、調整弁75の開度を第2開度へ制御する。第2開度は、具体的には、外気取込路72における逆止弁77より分岐路71側の圧力Pbをコンプレッサ81側の圧力より低くし得るような開度に設定される。
【0087】
図7は、排気温調機構70において調整弁75の開度が第2開度である状態の一例を示す模式図である。上述したように、調整弁75の開度が第2開度である場合、外気取込路72における逆止弁77より分岐路71側の圧力Pbはコンプレッサ81側の圧力より低くなる。ゆえに、取込口73から取り込まれた外気は、排気通路31へ外気取込路72及び分岐路71を介して供給される。ここで、
図7に示したように、取込口73から取り込まれた外気は、排気通路31へタービン82を通過して供給される。それにより、外気の運動エネルギを、過給機80を駆動するための動力源として利用することができる。ゆえに、排気通路31から分岐路71へ送られる排気の流量を低減させつつ、過給機80の回転駆動を継続させることができる。例えば、
図7に示したように、調整弁75の開度が第2開度である場合、排気通路31における第2部分P2より上流側を通過する排気の一部が分岐路71を迂回せずに分岐路71より下流側へ送られる状態であっても、過給機80の回転駆動を継続させることができる。よって、
図7に示した状態では、
図6に示した状態と比較して、排気通路31を流れる排気の流量が調整弁75によって絞られることに起因して生じる掃気効率の低下をより抑制することができる。
【0088】
このように、本実施形態に係る排気温調機構70によれば、自立型の過給機である過給機80が設けられることによって、排気通路31を流れる排気の流量が調整弁75によって絞られることに起因して生じる掃気効率の低下を抑制しつつ、過給機80の回転駆動を継続させることが可能となる。したがって、燃費をより効果的に向上させることができる。
【0089】
なお、制御装置90は、排気通路31を通過する排気の流量に応じて調整弁75の開度を制御してもよい。具体的には、制御装置90は、上述した第1開度及び第2開度を、排気通路31を通過する排気の流量に応じて適宜算出し得る。排気浄化装置100には、例えば、排気通路31における分岐路71より上流側又は下流側を通過する排気の流量を検出可能なセンサが設けられてもよく、その場合、制御装置90は当該センサから検出結果を受信することによって、排気通路31を通過する排気の流量を示す情報を取得し得る。
【0090】
[3−2.動作]
続いて、
図8に示すフローチャートを参照して、本実施形態に係る制御装置90が行う処理の流れについて説明する。
図8は、本実施形態に係る制御装置90が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8に示した処理は、例えば、適宜設定され得る設定時間おきに繰り返される。
【0091】
図8に示したように、まず、制御装置90は、触媒温度Teが第1温度閾値Tth1以下であるか否かを判定する(ステップS501)。触媒温度Teが第1温度閾値Tth1以下であると判定された場合(ステップS501/YES)、制御装置90は、調整弁75を全開し(ステップS503)、
図8に示した処理は終了する。一方、触媒温度Teが第1温度閾値Tth1を上回ったと判定された場合(ステップS501/NO)、制御装置90は、触媒温度Teが第2温度閾値Tth2以下であるか否かを判定する(ステップS505)。
【0092】
そして、触媒温度Teが第2温度閾値Tth2以下であると判定された場合(ステップS505/YES)、制御装置90は、調整弁75の開度を第1開度へ制御し(ステップS507)、
図8に示した処理は終了する。一方、触媒温度Teが第2温度閾値Tth2を上回ったと判定された場合(ステップS505/NO)、制御装置90は、調整弁75を全閉する(ステップS509)。次に、制御装置90は、触媒温度Teが第2温度閾値Tth2以下であるか否かを判定する(ステップS511)。
【0093】
そして、触媒温度Teが第2温度閾値Tth2以下であると判定された場合(ステップS511/YES)、制御装置90は、調整弁75の開度を第1開度へ制御し(ステップS507)、
図8に示した処理は終了する。一方、触媒温度Teが第2温度閾値Tth2より高いと判定された場合(ステップS511/NO)、制御装置90は、外気取込路72における逆止弁77より分岐路71側の圧力Pbが圧力閾値Pthを下回ったか否かを判定する(ステップS513)。
【0094】
そして、外気取込路72における逆止弁77より分岐路71側の圧力Pbが圧力閾値Pth以上であると判定された場合(ステップS513/NO)、ステップS511の判定処理へ戻る。一方、外気取込路72における逆止弁77より分岐路71側の圧力Pbが圧力閾値Pthを下回ったと判定された場合(ステップS513/YES)、制御装置90は、調整弁75の開度を第2開度へ制御する(ステップS515)。次に、制御装置90は、触媒温度Teが第1温度閾値Tth1以下であるか否かを判定する(ステップS517)。
【0095】
そして、触媒温度Teが第1温度閾値Tth1より高いと判定された場合(ステップS517/NO)、ステップS517の判定処理が繰り返される。一方、触媒温度Teが第1温度閾値Tth1以下であると判定された場合(ステップS517/YES)、
図8に示した処理は終了する。
【0096】
<4.むすび>
以上説明したように、本実施形態によれば、分岐路71は、排気通路31における窒素酸化物吸蔵触媒60より上流側に設けられ、排気通路31から分岐した後に当該排気通路31に合流する。また、タービン82は、分岐路71に設けられ、排気の運動エネルギによって回転駆動される。また、外気取込路72の一端部は外気を取り込み可能な取込口73と接続され、外気取込路72の他端部は分岐路71におけるタービン82より上流側と接続される。また、コンプレッサ81は、外気取込路72に設けられ、タービン82によって回転駆動される。また、調整弁75は、分岐路71へ送られる排気の流量を調整可能である。
【0097】
本実施形態に係る排気浄化装置100は、上記構成を有することによって、分岐路71を迂回しタービン82を通過する排気の流量を調整することができる。ゆえに、分岐路71を迂回する排気によって生じる過給機80の回転動力を調整することができる。それにより、外気が排気通路31へ外気取込路72及び分岐路71を介して供給される状態への切り替えを行うことができる。ゆえに、触媒温度Teが活性温度域を超えて高くなる高負荷時に当該状態への切り替えを行うことによって、窒素酸化物吸蔵触媒60へ送られる排気を外気によって希釈することにより、当該排気の温度を低下させることができる。よって、高負荷時において、触媒温度Teを活性温度域内の温度へ調整することができる。したがって、本実施形態に係る排気浄化装置100によれば、排気温調機構70が設けられることによって、NOx吸蔵効率の低下を抑制することができる。
【0098】
さらに、本実施形態に係る排気浄化装置100によれば、NOx吸蔵効率の低下を抑制することができるので、リッチ化処理を実行する頻度が上昇することを抑制することができる。また、NOx吸蔵効率の低下が抑制されることによって、リーンバーンにおける空燃比の目標値が理論空燃比に近づくことを抑制することができる。したがって、燃費を向上させることができる。
【0099】
さらに、本実施形態に係る排気浄化装置100によれば、外気が排気通路31へ外気取込路72及び分岐路71を介して供給される状態への切り替えを高負荷時に行うことによって、窒素酸化物吸蔵触媒60へ送られる排気を外気によって希釈することにより、当該排気の濃度を低下させることができる。ゆえに、高負荷時において、NOx吸蔵効率の低下をより効果的に抑制することができる。
【0100】
さらに、本実施形態に係る排気浄化装置100によれば、外気が排気通路31へ外気取込路72及び分岐路71を介して供給される状態において、外気は排気通路31へタービン82を通過して供給される。それにより、外気の運動エネルギによってタービン82を回転駆動させることができるので、外気の運動エネルギを、過給機80を駆動するための動力源として利用することができる。ゆえに、排気通路31から分岐路71へ送られる排気の流量を低減させつつ、過給機80の回転駆動を継続させることができる。よって、排気通路31を流れる排気の流量が調整弁75によって絞られることに起因して生じる掃気効率の低下を抑制しつつ、過給機80の回転駆動を継続させることが可能となる。したがって、燃費をより効果的に向上させることができる。
【0101】
なお、上記では、外気取込路72の一端部が吸気通路21と接続される吸気口23とは異なる取込口73と接続される例について説明したが、本発明の技術的範囲は係る例に限定されない。例えば、外気取込路72の一端部は、吸気通路21と接続される吸気口23と接続されてもよい。その場合、吸気口23が、外気を取り込み可能な取込口に相当する。
【0102】
また、上記では、各図面を参照して、排気浄化装置100を適用したエンジン10及び吸排気系の各構成要素について説明したが、各構成要素の形状は各図面に対応する例に限定されず、図面に示した形状は一例に過ぎない。また、各構成要素間の位置関係は、各図面に対応する例に限定されず、図面に示した位置関係は一例に過ぎない。また、各構成要素は、複数の部材によって形成され得る。
【0103】
また、本明細書においてフローチャートを用いて説明した処理は、必ずしもフローチャートに示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。例えば、
図8に示したフローチャートについて、ステップS511,S513の処理は当該フローチャートに示された順序で実行されなくてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【0104】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。