(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1リソグラフィ装置と第2リソグラフィ装置とを含む複数のリソグラフィ装置を用いて、第1原版のパターンと前記第1原版とは異なる第2原版のパターンを基板に形成するパターン形成を行うパターン形成方法であって、
前記第1リソグラフィ装置において、
前記基板の複数のショット領域のうち、前記第1リソグラフィ装置で前記第1原版を用いて前記パターン形成を行うことが予定されている少なくとも1つのショット領域を含む第1ショット領域群における前記第1原版との位置合わせのために設けられた複数の第1基板側マークを検出する工程と、
前記複数のショット領域のうち、前記第2リソグラフィ装置で前記第2原版を用いて前記パターン形成を行うことが予定されている少なくとも1つのショット領域を含む第2ショット領域群における前記第2原版との位置合わせのために設けられた複数の第2基板側マークを検出する工程と、
前記複数の第2基板側マークの検出結果を示すマーク位置情報を前記第2リソグラフィ装置で利用可能になるように出力する工程と、
前記複数の第1基板側マークの検出結果に基づいて、前記第1ショット領域群に含まれるショット領域と前記第1原版との位置合わせを行って前記パターン形成を行う工程と、
を有し、
前記第2リソグラフィ装置において、
前記複数の第2基板側マークを検出する検出工程と、
前記第1リソグラフィ装置から出力された前記マーク位置情報を取得する取得工程と、
前記検出工程において検出された前記複数の第2基板側マークの検出結果に基づいて補正された前記マーク位置情報に基づいて、前記第2ショット領域群に含まれるショット領域と前記第2原版との位置合わせを行って前記パターン形成を行う工程と、
を有することを特徴とするパターン形成方法。
前記パターン形成のレシピに、前記複数のリソグラフィ装置のうち、どのリソグラフィ装置が前記第1リソグラフィ装置として機能し、どのリソグラフィ装置が前記第2リソグラフィ装置として機能するのかが指定されていることを特徴とする請求項5に記載のパターン形成方法。
前記リソグラフィ装置は、型を用いて基板の上のインプリント材に前記パターン形成を行うインプリント装置であることを特徴とする請求項7又は8に記載のリソグラフィ装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の実施形態は本発明の実施の具体例を示すにすぎないものであり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、以下の実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の課題解決のために必須のものであるとは限らない。
【0013】
本発明は、基板にパターンを形成するリソグラフィ装置に関するものである。リソグラフィ装置としては、原版のパターンを投影光学系を介して基板に転写する露光装置や、型を用いて基板の上のインプリント材にパターン形成を行うインプリント装置等がある。以下の実施形態では、リソグラフィ装置の一例として、露光装置について説明するが、露光装置やインプリント装置に適用可能である。
図1は、本実施形態に係るリソグラフィ装置の一例である露光装置の概略構成図である。
【0014】
図1において、露光装置100は、原版3のパターンを、投影光学系5を介して基板6上における複数のショット領域の各々に転写するステップ・アンド・スキャン方式の露光装置である。露光装置100は、例えば、照明光学系1と、アライメント検出部2と、原版ステージ4と、投影光学系5と、オフアクシス検出部8と、基板ステージ7と、制御部9とを含みうる。制御部9は、例えばCPUやメモリを有し、露光装置100の各部を制御する。
【0015】
光源(不図示)から射出された光は、照明光学系1に入射し、例えば円弧状の露光領域を原版3(例えば、マスク)上に形成する。原版3および基板6(例えばガラスプレート)はそれぞれ、原版ステージ4および基板ステージ7によって保持されており、投影光学系5を介して光学系にほぼ共役な位置(投影光学系5の物体面および像面)に配置される。投影光学系5は、例えば、複数のミラーによって構成されたミラープロジェクション方式の投影光学系であり、所定の投影倍率(例えば1倍や1/2倍)を有し、原版3に形成されたパターンを基板6に投影する。原版ステージ4および基板ステージ7は、投影光学系5の光軸方向(Z方向)に直交する方向に、互いに同期しながら、投影光学系5の投影倍率に応じた速度比で走査する。これにより、原版3に形成されたパターンを、基板6上におけるショット領域に転写することができる。そして、このような走査露光を、基板ステージ7をステップ移動させながら、基板6上における複数のショット領域の各々について順次繰り返すことにより、1枚の基板6における露光処理を完了することができる。
【0016】
基板6上の各ショット領域に原版3のパターンを転写する際には、パターンが形成された原版3の領域と当該ショット領域とのアライメント(位置合わせ)が行われる。本実施形態の露光装置100は、アライメント検出部2とオフアクシス検出部8とを併用することによって各ショット領域に設けられた複数の計測マークの検出を行う。アライメント検出部2は、原版3の計測マークと基板6の計測マークとを原版3および投影光学系5を介して同時に観察する。オフアクシス検出部8は、原版3を介さずに基板6の計測マークを直接観察する。そして、制御部9は、アライメント検出部2とオフアクシス検出部8で検出された結果を用いて、ショット毎の補正量を算出する。更に、制御部9は、算出されたショット毎の補正量から走査露光時の基板ステージ7の駆動量および投影光学系5内の光学素子の駆動量を算出し、走査露光時に基板ステージ7および投影光学系5を制御しながら露光を行う。
【0017】
次に、本実施形態における製造ライン(リソグラフィシステム)について説明する。本製造ラインは、複数の露光装置(複数のリソグラフィ装置)を用いて、異なる複数の原版のパターンを1枚の基板6上の異なる位置に順次転写するものである。
図2は、本実施形態における製造ラインの構成概略図である。
図2において、製造ラインは、例えば、それぞれが
図1に示した露光装置100と同じ構成を備える隣接した2台の第1露光装置100a(第1リソグラフィ装置)および第2露光装置100b(第2リソグラフィ装置)を含みうる。また、製造ラインは、基板を搬送する第1搬送部11aおよび第2搬送部11bと、1枚または2枚以上の基板を保管しうる基板ストッカ12を含みうる。第1搬送部11aは基板ストッカ12と第1露光装置100aとの間での基板の搬送を行い、第2搬送部11bは基板ストッカ12と第2露光装置100bとの間での基板の搬送を行う。製造ラインは更に、バッファ装置10を含みうる。バッファ装置10は、例えばHDDやSSDを有し、第1露光装置100aおよび第2露光装置100bの制御部9と接続されており、第1露光装置100aおよび第2露光装置100bの各種データを記憶する。
図2ではバッファ装置10は、第1露光装置100aと第2露光装置100bとの間で独立した装置として示されているが、バッファ装置10の機能は、第1露光装置100aまたは第2露光装置100bの制御部9における記憶装置によって実現されてもよい。あるいは、バッファ装置10の機能は、製造ラインの動作を統括的に制御する不図示の統括制御部や、第1露光装置100aおよび第2露光装置100bにネットワークを介して接続された外部のサーバ装置等によって実現されてもよい。
【0018】
第1搬送部11aは、第1露光装置100aのインターフェイス開口部の前に位置し、基板6を第1露光装置100aの基板ステージ7に搬入する。また、第1搬送部11aは、第1露光装置100aで処理された基板6を第1露光装置100aの基板ステージ7から搬出し、基板ストッカ12に収める。第2搬送部11bは、基板6を基板ストッカ12から取り出し、第2露光装置100bの基板ステージ7に搬入し、第2露光装置100bで処理された後に基板6を第2露光装置100bの基板ステージ7から搬出する。
【0019】
図3は、本実施形態における製造プロセスにおける原版3と基板6のレイアウト概略図である。第1露光装置100aは、(a)に示される第1原版3aのパターンAを、(c)に示される基板6上の特定の複数のショット領域61,62の各々に順次転写する。次に、第2露光装置100bは、(b)に示される、第2原版3bのパターンBを、(c)に示される基板6上の第1露光装置100aで露光されたショット領域とは異なる特定の複数のショット領域63,64,65,66の各々に順次転写する。
【0020】
<第1露光装置による露光処理>
以下、
図4および
図5を参照して、第1露光装置100aによる露光処理を説明する。
図4は、第1露光装置100aによる露光方法のフローチャートである。また、
図5は、第1露光装置100aのアライメント検出部2およびオフアクシス検出部8の構成と、第1原版3aおよび基板6に配置される計測マークの例を示す図である。
図5(b)に示されるように、第1原版3aには、X方向においてパターン部を挟むように、一対の計測マーク32a,35a(以下「原版側マーク」という。)が配置されている。これに対応して、アライメント検出部2は、
図5(a)に示されるように、一対の原版側マーク32a,35aを検出する2系統のアライメント検出部21,22を含んでいる。また、
図5(c)に示されるように、基板6の複数のショット領域は、第1露光装置100aで第1原版3aを用いてパターン形成を行うことが予定されている一部のショット領域61,62を含む。この一部のショット領域61,62に関しては、611〜626で示される複数の計測マーク(第1基板側マーク)が配置されている。また、基板6の複数のショット領域は、第2露光装置100bで第2原版3bを用いてパターン形成を行うことが予定されている一部のショット領域63,64,65,66を含む。このショット領域63〜66に関しては、631〜656で示される複数の計測マーク(第2基板側マーク)が配置されている。これに対応して、オフアクシス検出部8は、
図5(c)に示されるように、基板側マーク611〜656を検出する6系統のオフアクシス検出部81,82,83,84,85,86を含んでいる。
【0021】
S101で、第1露光装置100aの制御部9は、第1搬送部11aを制御して基板6を基板ステージ7上に搭載する。
S102で、制御部9は、原版側マーク32a,35aとショット領域61の基板側マーク612,615とがアライメント検出部21,22によって検出されるように、基板ステージ7および原版ステージ4を制御する。
S103では、制御部9は、アライメント検出部21,22にマークを検出させ、第1原版3aに対する第1基板側マーク612,615(基準マーク)の位置を求める。その結果を(Ax
612, Ay
612),(Ax
615, Ay
615)とする。
【0022】
S104では、制御部9は、計測を行う基板側マーク(例えば第1基板側マーク611,614)を、
図5(c)に示されたオフアクシス検出部81,82によって検出されるように、基板ステージ7を制御する。
S105では、制御部9は、オフアクシス検出部81,82に基板側マークをそれぞれ計測させ、基板側マークの位置を求める。その結果を、(Ox
6ij, Oy
6ij)(i=1〜2, j=1〜6)と表す。
S106では、制御部9は、第1露光装置100aで処理するショット領域61,62の全てのマークを計測したかどうかを判定し、計測が終了していない場合には、未計測のマークについてS104およびS105での計測を繰り返す。全てのマークの計測を終えたら、処理はS107に進む。このように、S104〜S106では、第1露光装置100aで第1原版3aを用いてパターン形成を行うことが予定されている一部のショット領域に関して配置されている複数の第1基板側マークを検出する第1工程が実施される。
【0023】
S107では、制御部9は、計測を行う基板側マーク(例えば基板側マーク631,634、641,644)を、オフアクシス検出部83,84、85,86によって検出されるように、基板ステージ7を制御する。
S108では、制御部9は、オフアクシス検出部83,84、85,86に基板側マークをそれぞれ計測させ、基板側マークの位置を求める。その結果を、(Ox
6ij, Oy
6ij)(i=3〜6, j=1〜6)とする。
S109では、第1露光装置100aでは露光処理を行わないショット領域63,64,65,66の全てのマークを計測したかどうかを判定し、計測が終了していない場合には、未計測のマークについてS107およびS108での計測を繰り返す。全てのマークの計測を終えたら、処理はS110に進む。このように、S107〜S109では、第2露光装置100bで第2原版3bを用いてパターン形成を行うことが予定されているショット領域とは異なる他のショット領域に関して配置されている複数の第2基板側マークを検出する第2工程が実施される。
【0024】
S110では、S108で取得された第2基板側マークの検出結果の情報を他のリソグラフィ装置である第2露光装置100bで利用可能になるように出力する第3工程が実施される。例えば、制御部9は、S108で計測した結果をバッファ装置10に保存する。
S111では、制御部9は、露光時の補正量を算出する。補正量を算出は以下のように行われる。例えば、制御部9は、S103でのアライメント検出部による計測結果と、S105でのオフアクシス検出部による計測結果とに基づいて、第1原版3aに対する基板側マークの位置を求める。第1原版3aに対する基板側マークの位置を(x
6ij, y
6ij)とすると、第1原版3aに対する基板側マークの位置は、式(1),(2)により求められる。
【0025】
j≦3のとき、
(x
6ij, y
6ij)= (Ox
6ij + Ax
612 - Ox
612, Oy
6ij + Ay
612 - Oy
612) (1)
j>3のとき、
(x
6ij, y
6ij)= (Ox
6ij + Ax
615 - Ox
615, Oy
6ij + Ay
615 - Oy
615) (2)
【0026】
式(1),(2)で求められた値に基づいて、
図6(a)〜(d)で示されるショットの補正成分は、式(3)〜(14)で求められる。
【0027】
DR1 = (x
6i1 - x
6i4) ÷ 2 (3)
DR2 = (x
6i2 - x
6i5) ÷ 2 (4)
DR3 = (x
6i3 - x
6i6) ÷ 2 (5)
MX1 = (x
6i1 - x
6i4) (6)
MX2 = (x
6i2 - x
6i5) (7)
MX3 = (x
6i3 - x
6i6) (8)
MY1 = (y
6i1 - y
6i4) ÷ 2 (9)
MY2 = (y
6i2 - y
6i5) ÷ 2 (10)
MY3 = (y
6i3 - y
6i6) ÷ 2 (11)
Yaw1 = (y
6i1 - y
6i4) (12)
Yaw2 = (y
6i2 - y
6i5) (13)
Yaw3 = (y
6i3 - y
6i6) (14)
【0028】
式(3)〜(14)で求めた値に基づいて、露光時の基板ステージ7の駆動量が算出される。基板ステージ7がY方向に走査露光する際の位置をY
sとすると、基板ステージ7の駆動量(X
comp, Y
comp, θ
comp)は、式(15)〜(20)に求められる。
【0029】
Ys≧Y
6i2のとき、
X
comp = (DR1 - DR2)÷(Y
6i1 - Y
6i2) × (Y
s - Y6i2) + DR2 (15)
Y
comp = (MY1 - MY2)÷(Y
6i1 - Y
6i2) × (Y
s - Y
6i2) + MY2 (16)
θ
comp = (Yaw1 - Yaw2)÷(Y
6i1 - Y
6i2) × (Y
s - Y
6i2) + Yaw2 (17)
Ys<Y6i2のとき、
X
comp = (DR3 - DR2)÷(Y
6i3 - Y
6i2) × (Y
s - Y
6i2) + DR2 (18)
Y
comp = (MY3 - MY2)÷(Y
6i3 - Y
6i2) × (Y
s - Y
6i2) + MY2 (19)
θ
comp = (Yaw3 - Yaw2)÷(Y
6i3 - Y
6i2) × (Y
s - Y
6i2) + Yaw2 (20)
【0030】
式(3)〜(14)で求められた値に基づいて、投影光学系内にある光学素子の駆動量が算出される。基板ステージ7がY方向に走査する際の位置をY
sとすると、光学素子の駆動量O
compは、式(21),(22)で求められる。
【0031】
Y
s≧Y
6i2のとき、
O
comp = (MX1 - MX2)÷(Y
6i1 - Y
6i2) × (Y
s - Y
6i2) + MX2 (21)
Y
s<Y
6i2のとき、
O
comp = (MX3 - MX2)÷(Y
6i3 - Y
6i2) × (Y
s - Y
6i2) + MX2 (22)
【0032】
S112で、制御部9は、S111で求められた基板ステージ7の駆動量(X
comp, Y
comp, θ
comp)と光学素子の駆動量O
compに基づいて原版ステージ4と基板ステージ7を同期させて走査露光を行う。
S113では、制御部9は、第1露光装置100aで処理すべき全てのショット領域61,62が露光されたかを確認する。未露光ショットがある場合は、制御部9は、その未露光ショットについてS111,S112を繰り返し行う。このように、S111〜S113では、第1基板側マークの検出結果に基づいて、ショット領域61,62について第1原版3aとの位置合わせを行いながら露光処理(パターン形成)を行う第4工程が実施される。こうして基板6に対し露光処理を終えると、制御部9は、第1搬送部11aを制御して、処理済みの基板6を基板ステージ7から搬出し、基板ストッカ12に収める。
【0033】
以上のように、本実施形態によれば、第1露光装置100aは、第1露光装置100aで処理するショット領域のマークを計測すると共に、第1露光装置100aで処理しないショット領域のマークを事前に計測する。第1露光装置100aで処理しないショット領域とは、例えば第2露光装置100bで処理されるべきショット領域であり、第1露光装置100aが第2露光装置100bのショット領域のマーク計測を肩代わりする。これにより、複数の露光装置を用いて製造するプロセスにおいて、後に処理する露光装置処理の一部を前倒しすることができ、後に処理する露光装置のスループットを向上することができる。
【0034】
上記の実施形態では、第1露光装置100aで処理するショット領域61,62の基板側マークを計測する第1工程(S104〜S106)を実施した。そしてその後で、第1露光装置100aで処理しないショット領域63〜66の基板側マークを計測する第2工程(S107〜S109)を実施した。しかし、第1工程と第2工程の実施順序は入れ替えてもよい。例えば、第2工程を先に実施し、その後に第1工程を実施してもよい。また、例えば、基板ステージ7の駆動量が最小となるよう順序で第1工程および第2工程を実施してもよい。また、第1露光装置100aで処理するショット領域61,62の基板側マークと第1露光装置100aで処理しないショット領域63〜66の基板側マークがオフアクシス検出部8で同時に検出可能であれば、同時に検出するようにしてもよい。
【0035】
また、本実施形態では、S107〜S109にて第1露光装置100aで処理しないショット領域63〜66の基板側マークの全てを計測したが、必ずしも全てを計測する必要はなく、一部の基板側マークだけを計測するようにしてもよい。
【0036】
<第2露光装置による露光処理>
次に、
図7および
図8を参照して、第2露光装置100bにおける露光処理を説明する。
図7は、第2露光装置100bによる露光方法のフローチャートである。また、
図8は、第2露光装置100bのアライメント検出部2の構成と第2原版3bおよび基板6に配置される計測マークの例を示す図である。
図8(b)に示されるように、第2原版3bには、X方向においてパターン部を挟むように、一対の計測マーク32b,35b(原版側マーク)が配置されている。これに対応して、アライメント検出部2は、
図8(a)に示されるように、原版側マーク32b,35bを検出する2系統のアライメント検出部21,22を含む。基板6は、
図5(c)で示したのと同様の複数の基板側マークが配置されうるが、ここでは、とりわけ
図8(c)に示されるような、ショット領域63の基板側マーク632,635が使用される。
【0037】
S201で、第2露光装置100bの制御部9は、第2搬送部11bを制御して、第1露光装置100aで処理された基板6を基板ストッカ12から取り出し、第2露光装置100bの基板ステージ7に搬入し、その基板6を基板ステージ7上に搭載する。
S202で、制御部9は、計測対象のショット領域63の基板側マーク632,635と原版側マーク32b,35bがアライメント検出部21,22によって検出されるように、基板ステージ7および原版ステージ4を制御する。
S203では、制御部9は、アライメント検出部21,22にマークを計測させ、第2原版3bに対する基板側マーク632,635の位置を求める。その結果を(Ax
632, Ay
632),(Ax
635, Ay
635)とする。
【0038】
S204では、制御部9は、第1露光装置100aで計測された結果(S110で保存された計測結果)を、バッファ装置10から読み出す。その読み出した結果を(Ox
6ij, Oy
6ij)(i=3〜6, j=1〜6)とする。
【0039】
S205では、制御部9は、露光時の補正量を算出する。補正量の算出は以下のように行われる。例えば、制御部9は、
図8(c)に示されている基板側マーク632,635のS203での計測結果と、S204で読み出した計測結果とに基づいて、第2原版3bに対する基板側マークの位置を求める。第2原版3bに対する基板側マークの位置を(x
6ij, y
6ij)とすると、第2原版3bに対する基板側マークの位置は、式(23)、(24)で求められる。
【0040】
j≦3のとき、
(x
6ij, y
6ij)= (Ox
6ij + Ax
632 - Ox
632, Oy
6ij + Ay
632 - Oy
632) (23)
j>3のとき、
(x
6ij, y
6ij)= (Ox
6ij + Ax
635 - Ox
635, Oy
6ij + Ay
635 - Oy
635) (24)
【0041】
制御部9は、式(23),(24)で求められた値に基づいて、
図6(a)〜(d)で示されるショットの補正成分を求める。以降の計算はS111での式(3)〜(22)と同様に実施し、基板ステージ7の駆動量(X
comp, Y
comp, θ
comp)と光学素子の駆動量O
compを求める。
【0042】
S206では、制御部9は、S205で求めた基板ステージ7の駆動量(X
comp, Y
comp, θ
comp)と光学素子の駆動量O
compに基づいて原版ステージ4と基板ステージ7を同期させて走査露光を行う。
S207では、制御部9は、第2露光装置100bで処理すべき全てのショット領域63,64,65,66が露光されたかを確認する。未露光ショットがある場合は、制御部9は、その未露光ショットについてS205,S206を繰り返し行う。
【0043】
以上のように、本実施形態によれば、第2露光装置100bは、第1露光装置100aにおいて第2露光装置100bで処理するショット領域のマークを事前に計測した結果を用いて、第2露光装置100bで処理するショット領域の位置合わせを行う。第2露光装置100bは、例えば、アライメント検出部2を用いて基準マークとして基板側マーク632,635だけを計測し、他の基板側マークについては基準マークの計測結果を基準として補正することでそれらの位置を求める。このように、マークの計測の一部を省略することにより、複数の露光装置を用いて製造するプロセスにおいて第2露光装置100bのスループットを向上することができる。また、専用の計測ステーションを設ける必要もない。したがって、小フットプリント化と高スループット化の両立を図ることができる。
【0044】
なお、本実施形態において、第1露光装置100aと第2露光装置100bは同じ構成の露光装置であるから、両者の機能を相互に入れ替え可能である。複数の露光装置のうち、どの露光装置が第1露光装置100aとして機能し、どの露光装置が第2露光装置100bとして機能するのかは、例えば制御部9が管理する露光のレシピに指定されている。
【0045】
<第2露光装置による露光処理の変形例>
図9および
図10を参照して、第2露光装置100bによる露光処理の変形例を説明する。
図9は、第2露光装置100bによる露光処理のフローチャートである。また、
図10は、第2露光装置100bのアライメント検出部2の構成と第2原版3bおよび基板6に配置される計測マークの例を示す図である。
図9と
図7のフローを比較すると、
図9のS308、S309、S310は、
図7にはない処理である。
【0046】
S301で、第2露光装置100bの制御部9は、第2搬送部11bを制御して、第1露光装置100aで処理された基板6を基板ストッカ12から取り出し、第2露光装置100bの基板ステージ7に搬入し、その基板6を基板ステージ7上に搭載する。
S302で、制御部9は、計測対象のショット領域63の基板側マーク632,635と原版側マーク32b,35bがアライメント検出部21,22によって検出されるように、基板ステージ7および原版ステージ4を制御する。
S303では、制御部9は、アライメント検出部21,22にマークを計測させ、第2原版3bに対する基板側マーク632,635の位置を求める。その結果を(Ax
632, Ay
632),(Ax
635, Ay
635)とする。
【0047】
S304では、制御部9は、第1露光装置100aで計測された結果(S110で保存された計測結果)を、バッファ装置10から読み出す。その読み出した結果を(Ox
6ij, Oy
6ij)(i=3〜6, j=1〜6)とする。
【0048】
S308では、制御部9は、計測対象のショット領域65の基板側マーク652,655と原版側マーク32b,35bが、
図10(a)に示されているアライメント検出部21,22によって検出されるように基板ステージ7と原版ステージ4を制御する。
【0049】
S309では、制御部9は、アライメント検出部21,22にマークを計測させ、第2原版3bに対する基板側マークの位置を求める。その結果を(Ax
652, Ay
652)、(Ax
655, Ay
655)とする。
【0050】
S310では、制御部9は、露光時の補正量を算出する。補正量の算出は以下のように行われる。例えば、制御部9は、
図10(c)に示されている基板側マーク632,635、652,655の計測結果(S303,S309)と、S304で読み出し計測結果とに基づいて、第2原版3bに対する基板側マークの位置を求める。ここで、例えば基板6の温度変化により現在の基板6の倍率と事前計測したときの基板6の倍率が変化している可能性がある。そこで、制御部9は、
図10(c)に示す基板側マークを計測した結果(S303,S309とS304)に基づいて、基板倍率変化を求める。基板倍率変化を(MagX
6ij, MagY
6ij)とすると、基板倍率変化は、式(25)、(26)で求められる。なお、(Dx
6ik, Dy
6ik)(i=3〜6, k=1〜3)は、S303の計測ショット(63)の計測マーク2点の中心位置から各ショットの計測マーク2点の中心位置までの符号付き距離とする。
【0051】
MagX
6ik = (Ax
652+Ax
655)÷((Ox
652 + Ax
632 - Ox
632)+(Ox
655 + Ax
635 - Ox
635))×Dx
6ik÷Dx
652 (25)
MagY
6ik = (Ay
652+Ay
655)÷((Oy
652 + Ay
632 - Oy
632)+(Oy
655 + Ay
635 - Oy
635))×Dy
6ik÷Dy
652 (26)
【0052】
制御部9は、式(25)、(26)に基づいて、第2原版3bに対する基板側マークの位置を算出する。第2原版3bに対する基板側マーク位置を(x
6ij, y
6ij)とすると、基板倍率変化を補正した第2原版3bに対する基板側マークの位置は、式(27)、(28)で求められる。
【0053】
j≦3のとき、
(x
6ij, y
6ij)=((Ox
6ij + Ax
632 - Ox
632) × MagX
6ij, (Oy
6ij + Ay
632 - Oy
632) × MagY
6ij) (27)
j>3のとき、
(x
6ij, y
6ij)=((Ox
6ij + Ax
635 - Ox
635) × MagX
6i(j-3), (Oy
6ij + Ay
635 - Oy
635)× MagY
6i(j-3)) (28)
【0054】
制御部9は、式(27),(28)で求められた値に基づいて、
図6(a)〜(d)で示されるショットの補正成分を求める。以降の計算はS110での式(3)〜(22)と同様に実施し、基板ステージ7の駆動量(X
comp, Y
comp, θ
comp)と光学素子の駆動量O
compを求める。
【0055】
S306では、制御部9は、S310で求めた基板ステージ7の駆動量(X
comp, Y
comp, θ
comp)と光学素子の駆動量O
compに基づいて原版ステージ4と基板ステージ7を同期させて走査露光を行う。
S307では、制御部9は、第2露光装置100bで処理すべき全てのショット領域63,64,65,66が露光されたかを確認する。未露光ショットがある場合は、制御部9は、その未露光ショットについてS310,S306を繰り返し行う。
【0056】
以上のように、この変形例によれば、第2露光装置110bは、この第2露光装置110bで処理するショット領域のマークの計測を最低2点で実施する。したがって、基板6の現在の倍率を算出することが可能になり、事前に計測した基板側マークの位置結果からの基板6の倍率変化を補正することができる。これにより、第2露光装置110bで処理するショット領域のマークの計測の一部を省略による重ね合わせ精度の低下を防ぐことができる。
【0057】
<物品製造方法の実施形態>
本発明の実施形態に係る物品製造方法は、例えば、半導体デバイス等のマイクロデバイスや微細構造を有する素子等の物品を製造するのに好適である。本実施形態の物品製造方法は、基板に塗布された感光剤に上記のパターン形成方法あるいはリソグラフィ装置を用いて潜像パターンを形成する工程(基板を露光する工程)と、かかる工程で潜像パターンが形成された基板を加工(現像)する工程とを含む。更に、かかる製造方法は、他の周知の工程(酸化、成膜、蒸着、ドーピング、平坦化、エッチング、レジスト剥離、ダイシング、ボンディング、パッケージング等)を含む。本実施形態の物品製造方法は、従来の方法に比べて、物品の性能・品質・生産性・生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。
【0058】
(他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。