特許第6788573号(P6788573)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6788573メトトレキサートによる選択と組み合わせたSleeping Beautyトランスポゾンによる遺伝子改変T細胞の製造
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6788573
(24)【登録日】2020年11月4日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】メトトレキサートによる選択と組み合わせたSleeping Beautyトランスポゾンによる遺伝子改変T細胞の製造
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20201116BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20201116BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   C12N15/09 ZZNA
   C12N5/0783
   C12N5/10
【請求項の数】14
【全頁数】86
(21)【出願番号】特願2017-504604(P2017-504604)
(86)(22)【出願日】2015年4月8日
(65)【公表番号】特表2017-513520(P2017-513520A)
(43)【公表日】2017年6月1日
(86)【国際出願番号】US2015024868
(87)【国際公開番号】WO2015157386
(87)【国際公開日】20151015
【審査請求日】2018年4月6日
(31)【優先権主張番号】62/089,730
(32)【優先日】2014年12月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/058,973
(32)【優先日】2014年10月2日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/090,845
(32)【優先日】2014年12月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/977,751
(32)【優先日】2014年4月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/986,479
(32)【優先日】2014年4月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/088,363
(32)【優先日】2014年12月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515045617
【氏名又は名称】シアトル チルドレンズ ホスピタル, ディービーエー シアトル チルドレンズ リサーチ インスティテュート
(73)【特許権者】
【識別番号】514104933
【氏名又は名称】ユニヴァーシティ オブ ワシントン
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】ジェンセン,マイケル,シー.
(72)【発明者】
【氏名】プン,スージー
(72)【発明者】
【氏名】カチェロフスキー,ナタリー
【審査官】 宮岡 真衣
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/123061(WO,A1)
【文献】 JONNALAGADDA M. et al.,Gene Ther.,20(8) (2013),p.853-860
【文献】 KACHEROVSKY N. et al.,Nucleic Acids Research,Vol.40 No.11 (2012),e85
【文献】 金森 利至 他,ヒト細胞を宿主としたヒトtissue-type plasminogen activatorの発現,組織培養研究,8(2)(1990),p.31-39
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/09
C12N 5/0783
C12N 5/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/ WPIDS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
養子T細胞免疫療法のための遺伝子改変マルチプレックス(multiplexed)T細胞を製造する方法であって、
i)ゲノムに挿入される核酸を含み、選択可能な遺伝子送達ポリヌクレオチドを提供すること、
ii)前記遺伝子送達ポリヌクレオチドをT細胞に導入すること、
iii)Sleeping Beautyトランスポゼースをコードするベクターを提供すること、
iv)Sleeping Beautyトランスポゼースをコードする前記ベクターを前記T細胞に導入すること、
v)第1の濃度域のメトトレキサートを加えることを含む1回目の選択と、第1の濃度域よりも高くかつ第1の濃度域の少なくとも1.5倍以上である第2の濃度域の該メトトレキサートを加えることを含む2回目の選択とを含む操作によって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを含む前記細胞を選択すること、および
vi)選択した前記T細胞を単離すること
を含み、
前記遺伝子送達ポリヌクレオチドが、第1〜第7の配列をさらに含み、
第1の配列が、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第2の配列が、第2の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
ゲノムに挿入される前記核酸が、第1の逆方向末端反復遺伝子配列と第2の逆方向末端反復遺伝子配列挟まれており、
第3の配列が、プロモーター領域配列を含み、
第4の配列が、タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子またはmRNAにより転写される配列をコードする少なくとも1つの遺伝子を含み、
第5の配列が、メトトレキサートに対する親和性が低減されたジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする少なくとも1つの選択マーカーカセットを含み、該ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体が、配列番号2に示すDNA配列によってコードされ、メトトレキサートを用いて、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドによって形質導入された細胞の選択を行うことによって、前記少なくとも1つの遺伝子を発現する細胞の割合を増加させることができ、
第6の配列が、attP付着部位を含み、
第7の配列が、attB付着部位を含むこと、ならびに
第1の配列、第2の配列、第3の配列、第4の配列、第5の配列、第6の配列および第7の配列がそれぞれ5’末端および3’末端を有し、第7の配列の3’末端が、第1の配列の5’末端に隣接し、第1の配列の3’末端が、第3の配列の5’末端に隣接し、第3の配列の3’末端が、第4の配列の5’末端に隣接し、第4の配列の3’末端が、第5の配列の5’末端に隣接し、第5の配列の3’末端が、第2の配列の5’末端に隣接し、第2の配列の3’末端が、第6の配列の5’末端に隣接していること
を特徴とする方法。
【請求項2】
T細胞におけるタンパク質の産生を増加させる方法であって、
i)ゲノムに挿入される核酸を含み、選択可能な遺伝子送達ポリヌクレオチドを提供すること、
ii)前記遺伝子送達ポリヌクレオチドをT細胞に導入すること、
iii)Sleeping Beautyトランスポゼースをコードするベクターを提供すること、
iv)Sleeping Beautyトランスポゼースをコードする前記ベクターを前記T細胞に導入すること、
v)第1の濃度域のメトトレキサートを加えることを含む1回目の選択と、第1の濃度域よりも高くかつ第1の濃度域の少なくとも1.5倍以上である第2の濃度域の該メトトレキサートを加えることを含む2回目の選択とを含む操作によって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを含む前記細胞を選択すること、および
vi)選択圧下において表現型を発現する前記細胞を単離すること
を含み、
前記遺伝子送達ポリヌクレオチドが、第1〜第7の配列をさらに含み、
第1の配列が、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第2の配列が、第2の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
ゲノムに挿入される前記核酸が、第1の逆方向末端反復遺伝子配列と第2の逆方向末端反復遺伝子配列挟まれており、
第3の配列が、プロモーター領域配列を含み、
第4の配列が、タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子またはmRNAにより転写される配列をコードする少なくとも1つの遺伝子を含み、
第5の配列が、メトトレキサートに対する親和性が低減されたジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする少なくとも1つの選択マーカーカセットを含み、該ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体が、配列番号2に示すDNA配列によってコードされ、メトトレキサートを用いて、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドによって形質導入された細胞の選択を行うことによって、前記少なくとも1つの遺伝子を発現する細胞の割合を増加させることができ、
第6の配列が、attP付着部位を含み、
第7の配列が、attB付着部位を含むこと、ならびに
第1の配列、第2の配列、第3の配列、第4の配列、第5の配列、第6の配列および第7の配列がそれぞれ5’末端および3’末端を有し、第7の配列の3’末端が、第1の配列の5’末端に隣接し、第1の配列の3’末端が、第3の配列の5’末端に隣接し、第3の配列の3’末端が、第4の配列の5’末端に隣接し、第4の配列の3’末端が、第5の配列の5’末端に隣接し、第5の配列の3’末端が、第2の配列の5’末端に隣接し、第2の配列の3’末端が、第6の配列の5’末端に隣接していること
を特徴とする方法。
【請求項3】
前記第1の濃度域が少なくとも50nM〜100nMであり、かつ前記第2の濃度域が少なくとも75nM〜150nMであるか;前記第1の濃度域が少なくとも75nM〜150nMであり、かつ前記第2の濃度域が少なくとも112.5nM〜225nMであるか;または前記第1の濃度域が少なくとも300nM〜675nMであり、かつ前記第2の濃度域が少なくとも450nM〜1012nMである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の濃度域が少なくとも200nM以上であり、かつ前記第2の濃度域が少なくとも500nM以上である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記1回目の選択が、前記2回目の選択を行う前に、2日、3日、4日、5日、6日または7日にわたって前記T細胞をメトトレキサートに暴露することを含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記2回目の選択が、前記T細胞を単離する前に、少なくとも2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日もしくは14日にわたって、またはこれらの時間点のいずれか2つによって定義される範囲にある任意の時間にわたって、前記T細胞をメトトレキサートに暴露することを含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記遺伝子送達ポリヌクレオチドが、少なくとも1kb〜5kbである、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記プロモーター領域配列が、EF1プロモーター配列を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第4の配列が、タンパク質をコードする1つ、2つ、3つ、4つまたは5つの遺伝子を含むこと、前記第4の配列が、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列であること、および前記関連する複数のタンパク質が、同じエピトープに特異的な抗体結合ドメインを含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第4の配列および/または前記第5の配列の総GC/AT比が低下するように該配列のコドンが最適化されていること、ならびに/またはヒトにおける発現を目的として前記第4の配列および/または前記第5の配列のコドンが最適化されていること、ならびに前記最適化されたコドンおよび/またはコンセンサス配列が、複数の関連配列において使用されている配列および/または核酸塩基の差異を比較することによって作製されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記タンパク質が治療用タンパク質である、請求項2〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記タンパク質が、抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項2〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体が、L22FおよびF31Sのアミノ酸変異を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記遺伝子送達ポリヌクレオチドがミニサークル(minicircle)である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2014年10月2日に出願された米国仮特許出願62/058,973号、2014年4月10日に出願された米国仮特許出願61/977,751号、2014年4月30日に出願された米国仮特許出願61/986,479号、2014年12月9日に出願された米国仮特許出願62/089,730号、2014年12月11日に出願された米国仮特許出願62/090845号、および2014年12月5日に出願された米国仮特許出願62/088,363号に係る優先権を主張するものである。前記出願の開示は、参照によりその全体が明示的に本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列、配列表またはコンピュータープログラムにより作成した配列に関する情報
本願は電子形式の配列表とともに出願されたものである。この配列表は、SCRI.077PR.TXTのファイル名で2015年3月20日に作成された4kbのファイルとして提供されたものである。この電子形式の配列表に記載された情報は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
本明細書に記載の本発明の態様は、対象におけるウイルス感染細胞またはがん細胞を治療、抑制、緩和および/または排除する方法であって、ウイルス感染細胞またはがん細胞により提示された分子に結合する受容体を有する遺伝子改変ヒトT細胞を使用することによる方法を包含する。
【背景技術】
【0004】
遺伝子改変ヒトT細胞は、がん免疫療法およびウイルス療法に対する有望な治療経路である。キメラ抗原受容体を発現するT細胞を別の遺伝子と組み合わせることによってT細胞の増殖、生存または腫瘍へのホーミングが増強されたT細胞は、改善された有効性を発揮しうるが、これには、複数の遺伝子を安定して移入することが必要とされる。したがって、マルチプレックス遺伝子改変細胞の生産効率を上昇することができる方法が必要とされている。T細胞の効率的で安定な形質導入は、ヌクレオフェクションにより導入されたミニサークル(minicircle)内のSleeping Beautyトランスポゾンシステムを使用して達成可能である。代謝抑制に抵抗性のあるジヒドロ葉酸還元酵素の変異体(DHFRdm)を発現する形質導入細胞をメトトレキサート(MTX)により迅速に選択することも可能である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書において、複数の導入遺伝子を発現するT細胞の選択的増幅するアプローチを開示する。このT細胞は、ウイルス感染細胞またはがん細胞により提示される分子に特異的な複数の受容体またはキメラ受容体をコードする複数の導入遺伝子を発現することが好ましい。いくつかの実施形態において、形質転換T細胞は、MTXの濃度を高めた選択圧下における二段階でのMTX選択によって選択される。
【0006】
一実施形態において、
オリゴヌクレオチドに核酸を安定に挿入するための遺伝子送達ポリヌクレオチドであって、
該遺伝子送達ポリヌクレオチド内において、挿入される該核酸が逆方向末端反復遺伝子配列に挟まれていること、
該遺伝子送達ポリヌクレオチドが選択可能であること、
該遺伝子送達ポリヌクレオチドが、第1〜第7の配列を含み、
第1の配列が、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第2の配列が、第2の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第3の配列が、プロモーター領域配列を含み、
第4の配列が、タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子またはmRNAにより転写される配列をコードする少なくとも1つの遺伝子を含む最適化された配列であり、
第5の配列が、ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする少なくとも1つの選択マーカーカセットを含む最適化された配列であり、該ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体のメトトレキサートに対する親和性が15,000分の1または約15,000分の1に低減されており、メトトレキサートを用いて、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドによって形質導入された細胞の選択を行うことによって、前記少なくとも1つの遺伝子を発現する細胞の割合を増加させることができ、
第6の配列が、第1の付着部位(attP)を含み、
第7の配列が、第2の付着部位(attB)を含むこと、ならびに
第1の配列、第2の配列、第3の配列、第4の配列、第5の配列、第6の配列および第7の配列がそれぞれ5’末端および3’末端を有し、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含む第1の配列の3’末端が、第3の配列の5’末端に隣接し、第3の配列の3’末端が、第4の配列の5’末端に隣接し、第4の配列の3’末端が、第5の配列の5’末端に隣接し、第5の配列の3’末端が、第2の逆方向末端反復を含む第2の配列の5’末端に隣接していること
を特徴とする遺伝子送達ポリヌクレオチドが提供される。
いくつかの実施形態において、ヒトの前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする遺伝子は、
ATGGTTGGTTCGCTAAACTGCATCGTCGCTGTGTCCCAGAACATGGGCATCGGCAAGAACGGGGACTTCCCCTGGCCACCGCTCAGGAATGAATCCAGATATTTCCAGAGAATGACCACAACCTCTTCAGTAGAAGGTAAACAGAATCTGGTGATTATGGGTAAGAAGACCTGGTTCTCCATTCCTGAGAAGAATCGACCTTTAAAGGGTAGAATTAATTTAGTTCTCAGCAGAGAACTCAAGGAACCTCCACAAGGAGCTCATTTTCTTTCCAGAAGTCTAGATGATGCCTTAAAACTTACTGAACAACCAGAATTAGCAAATAAAGTAGACATGGTCTGGATAGTTGGTGGCAGTTCTGTTTATAAGGAAGCCATGAATCACCCAGGCCATCTTAAACTATTTGTGACAAGGATCATGCAAGACTTTGAAAGTGACACGTTTTTTCCAGAAATTGATTTGGAGAAATATAAACTTCTGCCAGAATACCCAGGTGTTCTCTCTGATGTCCAGGAGGAGAAAGGCATTAAGTACAAATTTGAAGTATATGAGAAGAATGATTAA(配列番号2)で表されるDNA配列を含む。
いくつかの実施形態においては、ヒトの前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、
MVGSLNCIVA VSQNMGIGKN GDFPWPPLRN ESRYFQRMTT TSSVEGKQNL VIMGKKTWFS IPEKNRPLKG RINLVLSREL KEPPQGAHFL SRSLDDALKL TEQPELANKV DMVWIVGGSS VYKEAMNHPG HLKLFVTRIM QDFESDTFFP EIDLEKYKLL PEYPGVLSDV QEEKGIKYKF EVYEKND(配列番号3)で表されるタンパク質配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは環状である。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは少なくとも1kb〜5kbである。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドはミニサークル(minicircle)である。いくつかの実施形態においては、前記プロモーター領域は、EF1プロモーター配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、タンパク質をコードする遺伝子を1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、該配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、ヒトにおける発現を目的としたコドン最適化によって最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインなどの、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記関連する複数のタンパク質は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインを含む。いくつかの実施形態においては、前記第5の配列は、ヒトにおける発現および/または該配列中の総GC/AT比の低下を目的としてコドン最適化されている。いくつかの好ましい実施形態においては、前記第5の配列は、ヒトにおける発現を目的としたコドン最適化によって最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は治療用タンパク質である。いくつかの実施形態においては、前記最適化されたコドンおよび/またはコンセンサス配列は、複数の関連配列において利用されている配列および/または核酸塩基の可変性を比較することによって作製される。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は、抗体またはその一部を含み、該抗体またはその一部はヒト化されていてもよい。いくつかの実施形態においては、前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、L22FおよびF31Sのアミノ酸変異を含む。いくつかの実施形態においては、前記T細胞はT細胞前駆細胞である。いくつかの実施形態においては、前記T細胞前駆細胞は造血幹細胞である。
【0007】
いくつかの実施形態においては、
養子T細胞免疫療法のための遺伝子改変マルチプレックスT細胞を製造する方法であって、
遺伝子送達ポリヌクレオチドを提供すること、
T細胞に前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを導入すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードするベクターを提供すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードする前記ベクターを前記T細胞に導入すること、
第1の濃度域の選択試薬を加えることを含む1回目の選択と、第1の濃度域よりも高くかつ第1の濃度域の少なくとも1.5倍以上である第2の濃度域の該選択試薬を加えることを含む2回目の選択とを含む操作によって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを含む前記細胞を選択すること、ならびに
選択圧下において表現型を発現する前記T細胞を単離すること
を含む方法が提供される。
いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは、第1〜第7の配列を含み、
第1の配列が、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第2の配列が、第2の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第3の配列が、プロモーター領域配列を含み、
第4の配列が、タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子を含む最適化された配列であり、
第5の配列が、ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする少なくとも1つの選択マーカーカセットを含む最適化された配列であり、該ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体のメトトレキサートに対する親和性が15,000分の1または約15,000分の1に低減されており、メトトレキサートを選択メカニズムとして用いることによって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドによって形質導入された細胞を選択的に増殖させることができ、
第6の配列が、第1の付着部位(attP)を含み、
第7の配列が、第2の付着部位(attB)を含むこと、ならびに
第1の配列、第2の配列、第3の配列、第4の配列、第5の配列、第6の配列および第7の配列がそれぞれ5’末端および3’末端を有し、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含む第1の配列の3’末端が、第3の配列の5’末端に隣接し、第3の配列の3’末端が、第4の配列の5’末端に隣接し、第4の配列の3’末端が、第5の配列の5’末端に隣接し、第5の配列の3’末端が、第2の逆方向末端反復を含む第2の配列の5’末端に隣接していることを特徴とする。
いくつかの実施形態において、ヒトの前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする遺伝子は、
ATGGTTGGTTCGCTAAACTGCATCGTCGCTGTGTCCCAGAACATGGGCATCGGCAAGAACGGGGACTTCCCCTGGCCACCGCTCAGGAATGAATCCAGATATTTCCAGAGAATGACCACAACCTCTTCAGTAGAAGGTAAACAGAATCTGGTGATTATGGGTAAGAAGACCTGGTTCTCCATTCCTGAGAAGAATCGACCTTTAAAGGGTAGAATTAATTTAGTTCTCAGCAGAGAACTCAAGGAACCTCCACAAGGAGCTCATTTTCTTTCCAGAAGTCTAGATGATGCCTTAAAACTTACTGAACAACCAGAATTAGCAAATAAAGTAGACATGGTCTGGATAGTTGGTGGCAGTTCTGTTTATAAGGAAGCCATGAATCACCCAGGCCATCTTAAACTATTTGTGACAAGGATCATGCAAGACTTTGAAAGTGACACGTTTTTTCCAGAAATTGATTTGGAGAAATATAAACTTCTGCCAGAATACCCAGGTGTTCTCTCTGATGTCCAGGAGGAGAAAGGCATTAAGTACAAATTTGAAGTATATGAGAAGAATGATTAA(配列番号2)で表されるDNA配列を含む。
いくつかの実施形態においては、ヒトの前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、
MVGSLNCIVA VSQNMGIGKN GDFPWPPLRN ESRYFQRMTT TSSVEGKQNL VIMGKKTWFS IPEKNRPLKG RINLVLSREL KEPPQGAHFL SRSLDDALKL TEQPELANKV DMVWIVGGSS VYKEAMNHPG HLKLFVTRIM QDFESDTFFP EIDLEKYKLL PEYPGVLSDV QEEKGIKYKF EVYEKND(配列番号3)で表されるタンパク質配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは環状である。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは少なくとも1kb〜5kbである。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドはミニサークル(minicircle)である。いくつかの実施形態においては、前記プロモーター領域は、EF1プロモーター配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、タンパク質をコードする遺伝子を1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、該配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、ヒトにおける発現を目的としたコドン最適化によって最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインなどの、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記関連する複数のタンパク質は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインを含む。いくつかの実施形態においては、前記第5の配列は、該配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第5の配列は、ヒトにおける発現を目的としたコドン最適化によって最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は治療用タンパク質である。いくつかの実施形態においては、前記最適化されたコドンおよび/またはコンセンサス配列は、複数の関連配列において利用されている配列および/または核酸塩基の可変性を比較することによって作製される。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は、抗体またはその一部を含み、該抗体またはその一部はヒト化されていてもよい。いくつかの実施形態においては、前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、L22FおよびF31Sのアミノ酸変異を含む。いくつかの実施形態においては、前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、L22FおよびF31Sのアミノ酸変異を含む。いくつかの実施形態においては、前記導入をエレクトロポレーションによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択を、選択マーカーカセットを使用して選択圧を高めることによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択試薬は選択剤を含む。いくつかの実施形態においては、前記選択剤はメトトレキサートである。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域が少なくとも50nM〜100nMであり、前記第2の濃度域が少なくとも75nM〜150nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、50nM、60nM、70nM、80nM、90nMもしくは100nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、75nM、80nM、90nM、100nM、110nM、120nM、130nM、140nMもしくは150nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも75nM〜150nMであり、前記第2の濃度域は少なくとも112.5nM〜225nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、75nM、85nM、95nM、105nM、115nM、125nM、135nM、145nMもしくは150nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、112nM、122nM、132nM、142nM、152nM、162nM、172nM、182nM、192nM、202nM、212nMもしくは225nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも300nM〜675nMであり、前記第1の濃度域は少なくとも450nM〜1012nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、300nM、350nM、400nM、450nM、500nM、550nM、600nM、650nMもしくは675nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、450nM、500nM、550nM、600nM、650nM、700nM、750nM、800nM、850nM、900nM、1000nMもしくは1012nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記1回目の選択は、前記2回目の選択を行う前に、2日、3日、4日、5日、6日または7日にわたって前記T細胞を前記選択剤に暴露することを含む。いくつかの実施形態においては、前記2回目の選択は、前記T細胞を単離する前に、少なくとも2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日もしくは14日にわたって、またはこれらの時間点のいずれか2つによって定義される範囲にある任意の時間にわたって、前記T細胞を前記選択剤に暴露することを含む。いくつかの実施形態においては、前記T細胞はT細胞前駆細胞である。いくつかの実施形態においては、前記T細胞前駆細胞は造血幹細胞である。
【0008】
いくつかの実施形態においては、T細胞におけるタンパク質の産生を増加させる方法であって、
ポリヌクレオチドを提供すること、
細胞に前記ポリヌクレオチドを導入すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードするベクターを提供すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードする前記ベクターを前記T細胞に導入すること、
第1の濃度域の選択試薬を加えることを含む1回目の選択と、第1の濃度域よりも高くかつ第1の濃度域の少なくとも1.5倍以上である第2の濃度域の該選択試薬を加えることを含む2回目の選択とを含む操作によって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを含む前記細胞を選択すること、ならびに
選択圧下において表現型を発現する前記細胞を単離すること
を含む方法が提供される。
いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは、第1〜第7の配列を含み、
第1の配列が、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第2の配列が、第2の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第3の配列が、プロモーター領域配列を含み、
第4の配列が、タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子を含む最適化された配列であり、
第5の配列が、ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする少なくとも1つの選択マーカーカセットを含む最適化された配列であり、該ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体のメトトレキサートに対する親和性が15,000分の1または約15,000分の1に低減されており、メトトレキサートを選択メカニズムとして用いることによって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドによって形質導入された細胞を選択的に増殖させることができ、
第6の配列が、第1の付着部位(attP)を含み、
第7の配列が、第2の付着部位(attB)を含むこと、ならびに
第1の配列、第2の配列、第3の配列、第4の配列、第5の配列、第6の配列および第7の配列がそれぞれ5’末端および3’末端を有し、
第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含む第1の配列の3’末端が、第3の配列の5’末端に隣接し、第3の配列の3’末端が、第4の配列の5’末端に隣接し、第4の配列の3’末端が、第5の配列の5’末端に隣接し、第5の配列の3’末端が、第2の逆方向末端反復を含む第2の配列の5’末端に隣接していることを特徴とする。
いくつかの実施形態において、ヒトの前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする遺伝子は、
ATGGTTGGTTCGCTAAACTGCATCGTCGCTGTGTCCCAGAACATGGGCATCGGCAAGAACGGGGACTTCCCCTGGCCACCGCTCAGGAATGAATCCAGATATTTCCAGAGAATGACCACAACCTCTTCAGTAGAAGGTAAACAGAATCTGGTGATTATGGGTAAGAAGACCTGGTTCTCCATTCCTGAGAAGAATCGACCTTTAAAGGGTAGAATTAATTTAGTTCTCAGCAGAGAACTCAAGGAACCTCCACAAGGAGCTCATTTTCTTTCCAGAAGTCTAGATGATGCCTTAAAACTTACTGAACAACCAGAATTAGCAAATAAAGTAGACATGGTCTGGATAGTTGGTGGCAGTTCTGTTTATAAGGAAGCCATGAATCACCCAGGCCATCTTAAACTATTTGTGACAAGGATCATGCAAGACTTTGAAAGTGACACGTTTTTTCCAGAAATTGATTTGGAGAAATATAAACTTCTGCCAGAATACCCAGGTGTTCTCTCTGATGTCCAGGAGGAGAAAGGCATTAAGTACAAATTTGAAGTATATGAGAAGAATGATTAA(配列番号2)で表されるDNA配列を含む。
いくつかの実施形態においては、ヒトの前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、
MVGSLNCIVA VSQNMGIGKN GDFPWPPLRN ESRYFQRMTT TSSVEGKQNL VIMGKKTWFS IPEKNRPLKG RINLVLSREL KEPPQGAHFL SRSLDDALKL TEQPELANKV DMVWIVGGSS VYKEAMNHPG HLKLFVTRIM QDFESDTFFP EIDLEKYKLL PEYPGVLSDV QEEKGIKYKF EVYEKND(配列番号3)で表されるタンパク質配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは環状である。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは少なくとも1kb〜5kbである。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドはミニサークル(minicircle)である。いくつかの実施形態においては、前記プロモーター領域は、EF1プロモーター配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、タンパク質をコードする遺伝子を1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、該配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、ヒトにおける発現を目的としたコドン最適化によって最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインなどの、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記関連する複数のタンパク質は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインを含む。いくつかの実施形態においては、前記第5の配列は、該配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第5の配列は、ヒトにおける発現を目的としたコドン最適化によって最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は治療用タンパク質である。いくつかの実施形態においては、前記最適化されたコドンおよび/またはコンセンサス配列は、複数の関連配列において利用されている配列および/または核酸塩基の可変性を比較することによって作製される。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は、抗体またはその一部を含み、該抗体またはその一部はヒト化されていてもよい。いくつかの実施形態においては、前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、L22FおよびF31Sのアミノ酸変異を含む。いくつかの実施形態においては、前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、L22FおよびF31Sのアミノ酸変異を含む。いくつかの実施形態においては、前記導入をエレクトロポレーションによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択を、選択マーカーカセットを使用して選択圧を高めることによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択試薬は選択剤を含む。いくつかの実施形態においては、前記選択剤はメトトレキサートである。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域が少なくとも50nM〜100nMであり、前記第2の濃度域が少なくとも75nM〜150nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、50nM、60nM、70nM、80nM、90nMもしくは100nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、75nM、80nM、90nM、100nM、110nM、120nM、130nM、140nMもしくは150nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも75nM〜150nMであり、前記第2の濃度域は少なくとも112.5nM〜225nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、75nM、85nM、95nM、105nM、115nM、125nM、135nM、145nMもしくは150nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、112nM、122nM、132nM、142nM、152nM、162nM、172nM、182nM、192nM、202nM、212nMもしくは225nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも300nM〜675nMであり、前記第1の濃度域は少なくとも450nM〜1012nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、300nM、350nM、400nM、450nM、500nM、550nM、600nM、650nMもしくは675nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、450nM、500nM、550nM、600nM、650nM、700nM、750nM、800nM、850nM、900nM、1000nMもしくは1012nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記1回目の選択は、前記2回目の選択を行う前に、2日、3日、4日、5日、6日または7日にわたって前記T細胞を前記選択剤に暴露することを含む。いくつかの実施形態においては、前記2回目の選択は、前記T細胞を単離する前に、少なくとも2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日もしくは14日にわたって、またはこれらの時間点のいずれか2つによって定義される範囲にある任意の時間にわたって、前記T細胞を前記選択剤に暴露することを含む。いくつかの実施形態においては、前記T細胞はT細胞前駆細胞である。いくつかの実施形態においては、前記T細胞前駆細胞は造血幹細胞である。
【0009】
いくつかの実施形態においては、前記方法のいずれかによって製造された、養子T細胞免疫療法のための遺伝子改変マルチプレックスT細胞が提供される。
いくつかの実施形態においては、養子T細胞免疫療法のための前記遺伝子改変マルチプレックスT細胞の製造方法は、
遺伝子送達ポリヌクレオチドを提供すること、
T細胞に前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを導入すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードするベクターを提供すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードする前記ベクターを前記T細胞に導入すること、
第1の濃度域の選択試薬を加えることを含む1回目の選択と、第1の濃度域よりも高くかつ第1の濃度域の少なくとも1.5倍以上である第2の濃度域の該選択試薬を加えることを含む2回目の選択とを含む操作によって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを含む前記細胞を選択すること、ならびに
選択圧下において表現型を発現する前記T細胞を単離することを含む。
いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは、第1〜第7の配列を含み、
第1の配列が、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第2の配列が、第2の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第3の配列が、プロモーター領域配列を含み、
第4の配列が、タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子を含む最適化された配列であり、
第5の配列が、ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする少なくとも1つの選択マーカーカセットを含む最適化された配列であり、該ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体のメトトレキサートに対する親和性が15,000分の1または約15,000分の1に低減されており、メトトレキサートを選択メカニズムとして用いることによって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドによって形質導入された細胞を選択的に増殖させることができ、
第6の配列が、第1の付着部位(attP)を含み、
第7の配列が、第2の付着部位(attB)を含むこと、ならびに
第1の配列、第2の配列、第3の配列、第4の配列、第5の配列、第6の配列および第7の配列がそれぞれ5’末端および3’末端を有し、
第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含む第1の配列の3’末端が、第3の配列の5’末端に隣接し、第3の配列の3’末端が、第4の配列の5’末端に隣接し、第4の配列の3’末端が、第5の配列の5’末端に隣接し、第5の配列の3’末端が、第2の逆方向末端反復を含む第2の配列の5’末端に隣接していることを特徴とする。
いくつかの実施形態において、ヒトの前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする遺伝子は、
ATGGTTGGTTCGCTAAACTGCATCGTCGCTGTGTCCCAGAACATGGGCATCGGCAAGAACGGGGACTTCCCCTGGCCACCGCTCAGGAATGAATCCAGATATTTCCAGAGAATGACCACAACCTCTTCAGTAGAAGGTAAACAGAATCTGGTGATTATGGGTAAGAAGACCTGGTTCTCCATTCCTGAGAAGAATCGACCTTTAAAGGGTAGAATTAATTTAGTTCTCAGCAGAGAACTCAAGGAACCTCCACAAGGAGCTCATTTTCTTTCCAGAAGTCTAGATGATGCCTTAAAACTTACTGAACAACCAGAATTAGCAAATAAAGTAGACATGGTCTGGATAGTTGGTGGCAGTTCTGTTTATAAGGAAGCCATGAATCACCCAGGCCATCTTAAACTATTTGTGACAAGGATCATGCAAGACTTTGAAAGTGACACGTTTTTTCCAGAAATTGATTTGGAGAAATATAAACTTCTGCCAGAATACCCAGGTGTTCTCTCTGATGTCCAGGAGGAGAAAGGCATTAAGTACAAATTTGAAGTATATGAGAAGAATGATTAA(配列番号2)で表されるDNA配列を含む。
いくつかの実施形態においては、ヒトの前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、
MVGSLNCIVA VSQNMGIGKN GDFPWPPLRN ESRYFQRMTT TSSVEGKQNL VIMGKKTWFS IPEKNRPLKG RINLVLSREL KEPPQGAHFL SRSLDDALKL TEQPELANKV DMVWIVGGSS VYKEAMNHPG HLKLFVTRIM QDFESDTFFP EIDLEKYKLL PEYPGVLSDV QEEKGIKYKF EVYEKND(配列番号3)で表されるタンパク質配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは環状である。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは少なくとも1kb〜5kbである。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドはミニサークル(minicircle)である。いくつかの実施形態においては、前記プロモーター領域は、EF1プロモーター配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、タンパク質をコードする遺伝子を1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、該配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、ヒトにおける発現を目的としたコドン最適化によって最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインなどの、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記関連する複数のタンパク質は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインを含む。いくつかの実施形態においては、前記第5の配列は、該配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第5の配列は、ヒトにおける発現を目的としたコドン最適化によって最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は治療用タンパク質である。いくつかの実施形態においては、前記最適化されたコドンおよび/またはコンセンサス配列は、複数の関連配列において利用されている配列および/または核酸塩基の可変性を比較することによって作製される。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は、抗体またはその一部を含み、該抗体またはその一部はヒト化されていてもよい。いくつかの実施形態においては、前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、L22FおよびF31Sのアミノ酸変異を含む。いくつかの実施形態においては、前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、L22FおよびF31Sのアミノ酸変異を含む。いくつかの実施形態においては、前記導入をエレクトロポレーションによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択を、選択マーカーカセットを使用して選択圧を高めることによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択試薬は選択剤を含む。いくつかの実施形態においては、前記選択剤はメトトレキサートである。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域が少なくとも50nM〜100nMであり、前記第2の濃度域が少なくとも75nM〜150nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、50nM、60nM、70nM、80nM、90nMもしくは100nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、75nM、80nM、90nM、100nM、110nM、120nM、130nM、140nMもしくは150nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも75nM〜150nMであり、前記第2の濃度域は少なくとも112.5nM〜225nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、75nM、85nM、95nM、105nM、115nM、125nM、135nM、145nMもしくは150nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、112nM、122nM、132nM、142nM、152nM、162nM、172nM、182nM、192nM、202nM、212nMもしくは225nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも300nM〜675nMであり、前記第1の濃度域は少なくとも450nM〜1012nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、300nM、350nM、400nM、450nM、500nM、550nM、600nM、650nMもしくは675nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、450nM、500nM、550nM、600nM、650nM、700nM、750nM、800nM、850nM、900nM、1000nMもしくは1012nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記1回目の選択は、前記2回目の選択を行う前に、2日、3日、4日、5日、6日または7日にわたって前記T細胞を前記選択剤に暴露することを含む。いくつかの実施形態においては、前記2回目の選択は、前記T細胞を単離する前に、少なくとも2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日もしくは14日にわたって、またはこれらの時間点のいずれか2つによって定義される範囲にある任意の時間にわたって、前記T細胞を前記選択剤に暴露することを含む。
いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは、第1〜第7の配列を含み、
第1の配列が、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第2の配列が、第2の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第3の配列が、プロモーター領域配列を含み、
第4の配列が、タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子を含む最適化された配列であり、
第5の配列が、ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする少なくとも1つの選択マーカーカセットを含む最適化された配列であり、該ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体のメトトレキサートに対する親和性が15,000分の1または約15,000分の1に低減されており、メトトレキサートを選択メカニズムとして用いることによって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドによって形質導入された細胞を選択的に増殖させることができ、
第6の配列が、第1の付着部位(attP)を含み、
第7の配列が、第2の付着部位(attB)を含むこと、ならびに
第1の配列、第2の配列、第3の配列、第4の配列、第5の配列、第6の配列および第7の配列がそれぞれ5’末端および3’末端を有し、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含む第1の配列の3’末端が、第3の配列の5’末端に隣接し、第3の配列の3’末端が、第4の配列の5’末端に隣接し、第4の配列の3’末端が、第5の配列の5’末端に隣接し、第5の配列の3’末端が、第2の逆方向末端反復を含む第2の配列の5’末端に隣接していることを特徴とする。
いくつかの実施形態において、ヒトの前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする遺伝子は、
ATGGTTGGTTCGCTAAACTGCATCGTCGCTGTGTCCCAGAACATGGGCATCGGCAAGAACGGGGACTTCCCCTGGCCACCGCTCAGGAATGAATCCAGATATTTCCAGAGAATGACCACAACCTCTTCAGTAGAAGGTAAACAGAATCTGGTGATTATGGGTAAGAAGACCTGGTTCTCCATTCCTGAGAAGAATCGACCTTTAAAGGGTAGAATTAATTTAGTTCTCAGCAGAGAACTCAAGGAACCTCCACAAGGAGCTCATTTTCTTTCCAGAAGTCTAGATGATGCCTTAAAACTTACTGAACAACCAGAATTAGCAAATAAAGTAGACATGGTCTGGATAGTTGGTGGCAGTTCTGTTTATAAGGAAGCCATGAATCACCCAGGCCATCTTAAACTATTTGTGACAAGGATCATGCAAGACTTTGAAAGTGACACGTTTTTTCCAGAAATTGATTTGGAGAAATATAAACTTCTGCCAGAATACCCAGGTGTTCTCTCTGATGTCCAGGAGGAGAAAGGCATTAAGTACAAATTTGAAGTATATGAGAAGAATGATTAA(配列番号2)で表されるDNA配列を含む。
いくつかの実施形態においては、ヒトの前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、
MVGSLNCIVA VSQNMGIGKN GDFPWPPLRN ESRYFQRMTT TSSVEGKQNL VIMGKKTWFS IPEKNRPLKG RINLVLSREL KEPPQGAHFL SRSLDDALKL TEQPELANKV DMVWIVGGSS VYKEAMNHPG HLKLFVTRIM QDFESDTFFP EIDLEKYKLL PEYPGVLSDV QEEKGIKYKF EVYEKND(配列番号3)で表されるタンパク質配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは環状である。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは少なくとも1kb〜5kbである。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドはミニサークル(minicircle)である。いくつかの実施形態においては、前記プロモーター領域は、EF1プロモーター配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、タンパク質をコードする遺伝子を1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、該配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、ヒトにおける発現を目的としたコドン最適化によって最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインなどの、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記関連する複数のタンパク質は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインを含む。いくつかの実施形態においては、前記第5の配列は、該配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第5の配列は、ヒトにおける発現を目的としたコドン最適化によって最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は治療用タンパク質である。いくつかの実施形態においては、前記最適化されたコドンおよび/またはコンセンサス配列は、複数の関連配列において利用されている配列および/または核酸塩基の可変性を比較することによって作製される。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は、抗体またはその一部を含み、該抗体またはその一部はヒト化されていてもよい。いくつかの実施形態においては、前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、L22FおよびF31Sのアミノ酸変異を含む。いくつかの実施形態においては、前記導入をエレクトロポレーションによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択を、選択マーカーカセットを使用して選択圧を高めることによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択試薬は選択剤を含む。いくつかの実施形態においては、前記選択剤はメトトレキサートである。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域が少なくとも50nM〜100nMであり、前記第2の濃度域が少なくとも75nM〜150nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、50nM、60nM、70nM、80nM、90nMもしくは100nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、75nM、80nM、90nM、100nM、110nM、120nM、130nM、140nMもしくは150nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも75nM〜150nMであり、前記第2の濃度域は少なくとも112.5nM〜225nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、75nM、85nM、95nM、105nM、115nM、125nM、135nM、145nMもしくは150nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、112nM、122nM、132nM、142nM、152nM、162nM、172nM、182nM、192nM、202nM、212nMもしくは225nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも300nM〜675nMであり、前記第1の濃度域は少なくとも450nM〜1012nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、300nM、350nM、400nM、450nM、500nM、550nM、600nM、650nMもしくは675nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、450nM、500nM、550nM、600nM、650nM、700nM、750nM、800nM、850nM、900nM、1000nMもしくは1012nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記1回目の選択は、前記2回目の選択を行う前に、2日、3日、4日、5日、6日または7日にわたって前記T細胞を前記選択剤に暴露することを含む。いくつかの実施形態においては、前記2回目の選択は、前記T細胞を単離する前に、少なくとも2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日もしくは14日にわたって、またはこれらの時間点のいずれか2つによって定義される範囲にある任意の時間にわたって、前記T細胞を前記選択剤に暴露することを含む。いくつかの実施形態においては、前記T細胞はT細胞前駆細胞である。いくつかの実施形態においては、前記T細胞前駆細胞は造血幹細胞である。
【0010】
いくつかの実施形態においては、対象におけるがんまたは疾患を治療、抑制または緩和する方法であって、以下の方法によって製造された遺伝子組換えまたは遺伝子改変マルチプレックスT細胞を対象に投与することを含む方法が提供される。
いくつかの実施形態においては、養子T細胞免疫療法のための前記遺伝子改変マルチプレックスT細胞の製造方法は、
遺伝子送達ポリヌクレオチドを提供すること、
T細胞に前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを導入すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードするベクターを提供すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードする前記ベクターを前記T細胞に導入すること、
第1の濃度域の選択試薬を加えることを含む1回目の選択と、第1の濃度域よりも高くかつ第1の濃度域の少なくとも1.5倍以上である第2の濃度域の該選択試薬を加えることを含む2回目の選択とを含む操作によって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを含む前記細胞を選択すること、ならびに
選択圧下において表現型を発現する前記T細胞を単離することを含む。
いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは、第1〜第7の配列を含み、
第1の配列が、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第2の配列が、第2の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第3の配列が、プロモーター領域配列を含み、
第4の配列が、タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子を含む最適化された配列であり、
第5の配列が、ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする少なくとも1つの選択マーカーカセットを含む最適化された配列であり、該ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体のメトトレキサートに対する親和性が15,000分の1または約15,000分の1に低減されており、メトトレキサートを選択メカニズムとして用いることによって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドによって形質導入された細胞を選択的に増殖させることができ、
第6の配列が、第1の付着部位(attP)を含み、
第7の配列が、第2の付着部位(attB)を含むこと、ならびに
第1の配列、第2の配列、第3の配列、第4の配列、第5の配列、第6の配列および第7の配列がそれぞれ5’末端および3’末端を有し、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含む第1の配列の3’末端が、第3の配列の5’末端に隣接し、第3の配列の3’末端が、第4の配列の5’末端に隣接し、第4の配列の3’末端が、第5の配列の5’末端に隣接し、第5の配列の3’末端が、第2の逆方向末端反復を含む第2の配列の5’末端に隣接していることを特徴とする。
いくつかの実施形態において、ヒトの前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする遺伝子は、
ATGGTTGGTTCGCTAAACTGCATCGTCGCTGTGTCCCAGAACATGGGCATCGGCAAGAACGGGGACTTCCCCTGGCCACCGCTCAGGAATGAATCCAGATATTTCCAGAGAATGACCACAACCTCTTCAGTAGAAGGTAAACAGAATCTGGTGATTATGGGTAAGAAGACCTGGTTCTCCATTCCTGAGAAGAATCGACCTTTAAAGGGTAGAATTAATTTAGTTCTCAGCAGAGAACTCAAGGAACCTCCACAAGGAGCTCATTTTCTTTCCAGAAGTCTAGATGATGCCTTAAAACTTACTGAACAACCAGAATTAGCAAATAAAGTAGACATGGTCTGGATAGTTGGTGGCAGTTCTGTTTATAAGGAAGCCATGAATCACCCAGGCCATCTTAAACTATTTGTGACAAGGATCATGCAAGACTTTGAAAGTGACACGTTTTTTCCAGAAATTGATTTGGAGAAATATAAACTTCTGCCAGAATACCCAGGTGTTCTCTCTGATGTCCAGGAGGAGAAAGGCATTAAGTACAAATTTGAAGTATATGAGAAGAATGATTAA(配列番号2)で表されるDNA配列を含む。
いくつかの実施形態においては、ヒトの前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、
MVGSLNCIVA VSQNMGIGKN GDFPWPPLRN ESRYFQRMTT TSSVEGKQNL VIMGKKTWFS IPEKNRPLKG RINLVLSREL KEPPQGAHFL SRSLDDALKL TEQPELANKV DMVWIVGGSS VYKEAMNHPG HLKLFVTRIM QDFESDTFFP EIDLEKYKLL PEYPGVLSDV QEEKGIKYKF EVYEKND(配列番号3)で表されるタンパク質配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは環状である。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドはミニサークル(minicircle)である。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは少なくとも1kb〜5kbである。いくつかの実施形態においては、前記プロモーター領域は、EF1プロモーター配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、タンパク質をコードする遺伝子を1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、該配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、ヒトにおける発現を目的としたコドン最適化によって最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインなどの、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記関連する複数のタンパク質は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインを含む。いくつかの実施形態においては、前記第5の配列は、該配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第5の配列は、ヒトにおける発現を目的としたコドン最適化によって最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は治療用タンパク質である。いくつかの実施形態においては、前記最適化されたコドンおよび/またはコンセンサス配列は、複数の関連配列において利用されている配列および/または核酸塩基の可変性を比較することによって作製される。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は、抗体またはその一部を含み、該抗体またはその一部はヒト化されていてもよい。いくつかの実施形態においては、前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、L22FおよびF31Sのアミノ酸変異を含む。いくつかの実施形態においては、前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、L22FおよびF31Sのアミノ酸変異を含む。いくつかの実施形態においては、前記T細胞はT細胞前駆細胞である。いくつかの実施形態においては、前記T細胞前駆細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態においては、前記導入をエレクトロポレーションによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択を、選択マーカーカセットを使用して選択圧を高めることによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択試薬は選択剤を含む。いくつかの実施形態においては、前記選択剤はメトトレキサートである。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域が少なくとも50nM〜100nMであり、前記第2の濃度域が少なくとも75nM〜150nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、50nM、60nM、70nM、80nM、90nMもしくは100nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、75nM、80nM、90nM、100nM、110nM、120nM、130nM、140nMもしくは150nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも75nM〜150nMであり、前記第2の濃度域は少なくとも112.5nM〜225nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、75nM、85nM、95nM、105nM、115nM、125nM、135nM、145nMもしくは150nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、112nM、122nM、132nM、142nM、152nM、162nM、172nM、182nM、192nM、202nM、212nMもしくは225nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも300nM〜675nMであり、前記第1の濃度域は少なくとも450nM〜1012nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、300nM、350nM、400nM、450nM、500nM、550nM、600nM、650nMもしくは675nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、450nM、500nM、550nM、600nM、650nM、700nM、750nM、800nM、850nM、900nM、1000nMもしくは1012nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記1回目の選択は、前記2回目の選択を行う前に、2日、3日、4日、5日、6日または7日にわたって前記T細胞を前記選択剤に暴露することを含む。いくつかの実施形態においては、前記2回目の選択は、前記T細胞を単離する前に、少なくとも2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日もしくは14日にわたって、またはこれらの時間点のいずれか2つによって定義される範囲にある任意の時間にわたって、前記T細胞を前記選択剤に暴露することを含む。いくつかの実施形態においては、前記対象はヒトである。
【0011】
いくつかの実施形態においては、養子T細胞免疫療法のための遺伝子改変マルチプレックスT細胞を製造する方法であって、
遺伝子送達ポリヌクレオチドを提供すること、
T細胞に前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを導入すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードするベクターを提供すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードする前記ベクターを前記T細胞に導入すること、
第1の濃度域の選択試薬を加えることを含む1回目の選択と、第1の濃度域よりも高くかつ第1の濃度域の少なくとも1.5倍以上である第2の濃度域の該選択試薬を加えることを含む2回目の選択とを含む操作によって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを含む前記細胞を選択すること、ならびに
選択圧下において表現型を発現する前記T細胞を単離することを含む方法が提供される。
いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは、第1〜第7の配列を含み、
第1の配列が、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第2の配列が、第2の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第3の配列が、プロモーター領域配列を含み、
第4の配列が、タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子を含む最適化された配列であり、
第5の配列が、ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする少なくとも1つの選択マーカーカセットを含む最適化された配列であり、該ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体のメトトレキサートに対する親和性が15,000分の1または約15,000分の1に低減されており、メトトレキサートを選択メカニズムとして用いることによって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドによって形質導入された細胞を選択的に増殖させることができ、
第6の配列が、第1の付着部位(attP)を含み、
第7の配列が、第2の付着部位(attB)を含むこと、ならびに
第1の配列、第2の配列、第3の配列、第4の配列、第5の配列、第6の配列および第7の配列がそれぞれ5’末端および3’末端を有し、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含む第1の配列の3’末端が、第3の配列の5’末端に隣接し、第3の配列の3’末端が、第4の配列の5’末端に隣接し、第4の配列の3’末端が、第5の配列の5’末端に隣接し、第5の配列の3’末端が、第2の逆方向末端反復を含む第2の配列の5’末端に隣接していることを特徴とする。
いくつかの実施形態において、ヒトの前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする遺伝子は、
ATGGTTGGTTCGCTAAACTGCATCGTCGCTGTGTCCCAGAACATGGGCATCGGCAAGAACGGGGACTTCCCCTGGCCACCGCTCAGGAATGAATCCAGATATTTCCAGAGAATGACCACAACCTCTTCAGTAGAAGGTAAACAGAATCTGGTGATTATGGGTAAGAAGACCTGGTTCTCCATTCCTGAGAAGAATCGACCTTTAAAGGGTAGAATTAATTTAGTTCTCAGCAGAGAACTCAAGGAACCTCCACAAGGAGCTCATTTTCTTTCCAGAAGTCTAGATGATGCCTTAAAACTTACTGAACAACCAGAATTAGCAAATAAAGTAGACATGGTCTGGATAGTTGGTGGCAGTTCTGTTTATAAGGAAGCCATGAATCACCCAGGCCATCTTAAACTATTTGTGACAAGGATCATGCAAGACTTTGAAAGTGACACGTTTTTTCCAGAAATTGATTTGGAGAAATATAAACTTCTGCCAGAATACCCAGGTGTTCTCTCTGATGTCCAGGAGGAGAAAGGCATTAAGTACAAATTTGAAGTATATGAGAAGAATGATTAA(配列番号2)で表されるDNA配列を含む。
いくつかの実施形態においては、ヒトの前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、
MVGSLNCIVA VSQNMGIGKN GDFPWPPLRN ESRYFQRMTT TSSVEGKQNL VIMGKKTWFS IPEKNRPLKG RINLVLSREL KEPPQGAHFL SRSLDDALKL TEQPELANKV DMVWIVGGSS VYKEAMNHPG HLKLFVTRIM QDFESDTFFP EIDLEKYKLL PEYPGVLSDV QEEKGIKYKF EVYEKND(配列番号3)で表されるタンパク質配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは環状である。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは少なくとも1kb〜5kbである。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドはミニサークル(minicircle)である。いくつかの実施形態においては、前記プロモーター領域は、EF1プロモーター配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、タンパク質をコードする遺伝子を1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、該配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、ヒトにおける発現を目的としたコドン最適化によって最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインなどの、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記関連する複数のタンパク質は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインを含む。いくつかの実施形態においては、前記第5の配列は、該配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第5の配列は、ヒトにおける発現を目的としたコドン最適化によって最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は治療用タンパク質である。いくつかの実施形態においては、前記最適化されたコドンおよび/またはコンセンサス配列は、複数の関連配列において利用されている配列および/または核酸塩基の可変性を比較することによって作製される。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は、抗体またはその一部を含み、該抗体またはその一部はヒト化されていてもよい。いくつかの実施形態においては、前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、L22FおよびF31Sのアミノ酸変異を含む。いくつかの実施形態においては、前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、L22FおよびF31Sのアミノ酸変異を含む。いくつかの実施形態においては、前記導入をエレクトロポレーションによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択を、選択マーカーカセットを使用して選択圧を高めることによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択試薬は選択剤を含む。いくつかの実施形態においては、前記選択剤はメトトレキサートである。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域が少なくとも50nM〜100nMであり、前記第2の濃度域が少なくとも75nM〜150nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、50nM、60nM、70nM、80nM、90nMもしくは100nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、75nM、80nM、90nM、100nM、110nM、120nM、130nM、140nMもしくは150nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも75nM〜150nMであり、前記第2の濃度域は少なくとも112.5nM〜225nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、75nM、85nM、95nM、105nM、115nM、125nM、135nM、145nMもしくは150nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、112nM、122nM、132nM、142nM、152nM、162nM、172nM、182nM、192nM、202nM、212nMもしくは225nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも300nM〜675nMであり、前記第1の濃度域は少なくとも450nM〜1012nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、300nM、350nM、400nM、450nM、500nM、550nM、600nM、650nMもしくは675nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、450nM、500nM、550nM、600nM、650nM、700nM、750nM、800nM、850nM、900nM、1000nMもしくは1012nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記1回目の選択は、前記2回目の選択を行う前に、2日、3日、4日、5日、6日または7日にわたって前記T細胞を前記選択剤に暴露することを含む。いくつかの実施形態においては、前記2回目の選択は、前記T細胞を単離する前に、少なくとも2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日もしくは14日にわたって、またはこれらの時間点のいずれか2つによって定義される範囲にある任意の時間にわたって、前記T細胞を前記選択剤に暴露することを含む。いくつかの実施形態においては、前記T細胞はT細胞前駆細胞を含む。いくつかの実施形態においては、前記T細胞前駆細胞は造血幹細胞である。
【0012】
いくつかの実施形態においては、養子T細胞免疫療法のための遺伝子改変細胞を製造する方法であって、
遺伝子送達ポリヌクレオチドを提供すること、
T細胞前駆細胞に前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを導入すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードするベクターを提供すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードする前記ベクターを前記T細胞前駆細胞に導入すること、
第1の濃度域の選択試薬を加えることを含む1回目の選択と、第1の濃度域よりも高くかつ第1の濃度域の少なくとも1.5倍以上である第2の濃度域の該選択試薬を加えることを含む2回目の選択とを含む操作によって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを含む前記T細胞前駆細胞を選択すること、ならびに
選択圧下において表現型を発現する前記T細胞前駆細胞を単離することを含む方法が提供される。
いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドに核酸を安定に挿入するための前記遺伝子送達ポリヌクレオチドであって、
該遺伝子送達ポリヌクレオチド内において、挿入される該核酸が逆方向末端反復遺伝子配列に挟まれていること、
該遺伝子送達ポリヌクレオチドが選択可能であること、
該遺伝子送達ポリヌクレオチドが、第1〜第7の配列を含み、
第1の配列が、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第2の配列が、第2の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第3の配列が、プロモーター領域配列を含み、
第4の配列が、タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子またはmRNAにより転写される配列をコードする少なくとも1つの遺伝子を含む最適化された配列であり、
第5の配列が、ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする少なくとも1つの選択マーカーカセットを含む最適化された配列であり、該ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体のメトトレキサートに対する親和性が15,000分の1または約15,000分の1に低減されており、メトトレキサートを用いて、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドによって形質導入された細胞の選択を行うことによって、前記少なくとも1つの遺伝子を発現する細胞の割合を増加させることができ、
第6の配列が、第1の付着部位(attP)を含み、
第7の配列が、第2の付着部位(attB)を含むこと、ならびに
第1の配列、第2の配列、第3の配列、第4の配列、第5の配列、第6の配列および第7の配列がそれぞれ5’末端および3’末端を有し、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含む第1の配列の3’末端が、第3の配列の5’末端に隣接し、第3の配列の3’末端が、第4の配列の5’末端に隣接し、第4の配列の3’末端が、第5の配列の5’末端に隣接し、第5の配列の3’末端が、第2の逆方向末端反復を含む第2の配列の5’末端に隣接していることを特徴とする。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは環状である。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは少なくとも1kb〜5kbである。いくつかの実施形態においては、前記プロモーター領域は、EF1プロモーター配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、タンパク質をコードする遺伝子を1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、該配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、ヒトにおける発現を目的としたコドン最適化によって最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインなどの、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記関連する複数のタンパク質は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインを含む。いくつかの実施形態においては、前記第5の配列は、該配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第5の配列は、ヒトにおける発現を目的としたコドン最適化によって最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記最適化されたコドンおよび/またはコンセンサス配列は、複数の関連配列において利用されている配列および/または核酸塩基の可変性を比較することによって作製される。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は治療用タンパク質である。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は、抗体またはその一部を含み、該抗体またはその一部はヒト化されていてもよい。いくつかの実施形態においては、前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、L22FおよびF31Sのアミノ酸変異を含む。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドはミニサークル(minicircle)である。いくつかの実施形態においては、前記導入をエレクトロポレーションによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択を、選択マーカーカセットを使用して選択圧を高めることによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択試薬は選択剤を含む。いくつかの実施形態においては、前記選択剤はメトトレキサートである。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域が少なくとも50nM〜100nMであり、前記第2の濃度域が少なくとも75nM〜150nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも75nM〜150nMであり、前記第2の濃度域は少なくとも112.5nM〜225nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも300nM〜675nMであり、前記第1の濃度域は少なくとも450nM〜1012nMである。いくつかの実施形態においては、前記1回目の選択は、前記2回目の選択を行う前に、2日、3日、4日、5日、6日または7日にわたって前記T細胞を前記選択剤に暴露することを含む。いくつかの実施形態においては、前記2回目の選択は、前記T細胞を単離する前に、少なくとも2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日もしくは14日にわたって、またはこれらの時間点のいずれか2つによって定義される範囲にある任意の時間にわたって、前記T細胞を前記選択剤に暴露することを含む。いくつかの実施形態においては、前記T細胞前駆細胞は造血幹細胞である。
【0013】
いくつかの実施形態においては、T細胞前駆細胞におけるタンパク質の産生を増加させる方法であって、
ポリヌクレオチドを提供すること、
細胞に前記ポリヌクレオチドを導入すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードするベクターを提供すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードする前記ベクターを前記T細胞前駆細胞に導入すること、
第1の濃度域の選択試薬を加えることを含む1回目の選択と、第1の濃度域よりも高くかつ第1の濃度域の少なくとも1.5倍以上である第2の濃度域の該選択試薬を加えることを含む2回目の選択とを含む操作によって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを含む前記T細胞前駆細胞を選択すること、ならびに
選択圧下において表現型を発現する前記T細胞前駆細胞を単離すること
を含む方法が提供される。
いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドに核酸を安定に挿入するための前記遺伝子送達ポリヌクレオチドであって、
該遺伝子送達ポリヌクレオチド内において、挿入される該核酸が逆方向末端反復遺伝子配列に挟まれていること、
該遺伝子送達ポリヌクレオチドが選択可能であること、
該遺伝子送達ポリヌクレオチドが、第1〜第7の配列を含み、
第1の配列が、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第2の配列が、第2の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第3の配列が、プロモーター領域配列を含み、
第4の配列が、タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子またはmRNAにより転写される配列をコードする少なくとも1つの遺伝子を含む最適化された配列であり、
第5の配列が、ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする少なくとも1つの選択マーカーカセットを含む最適化された配列であり、該ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体のメトトレキサートに対する親和性が15,000分の1または約15,000分の1に低減されており、メトトレキサートを用いて、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドによって形質導入された細胞の選択を行うことによって、前記少なくとも1つの遺伝子を発現する細胞の割合を増加させることができ、
第6の配列が、第1の付着部位(attP)を含み、
第7の配列が、第2の付着部位(attB)を含むこと、ならびに
第1の配列、第2の配列、第3の配列、第4の配列、第5の配列、第6の配列および第7の配列がそれぞれ5’末端および3’末端を有し、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含む第1の配列の3’末端が、第3の配列の5’末端に隣接し、第3の配列の3’末端が、第4の配列の5’末端に隣接し、第4の配列の3’末端が、第5の配列の5’末端に隣接し、第5の配列の3’末端が、第2の逆方向末端反復を含む第2の配列の5’末端に隣接していることを特徴とする。
いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは環状である。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは少なくとも1kb〜5kbである。いくつかの実施形態においては、前記プロモーター領域は、EF1プロモーター配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、タンパク質をコードする遺伝子を1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、該配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、ヒトにおける発現を目的としたコドン最適化によって最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインなどの、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記関連する複数のタンパク質は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインを含む。いくつかの実施形態においては、前記第5の配列は、該配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第5の配列は、ヒトにおける発現を目的としたコドン最適化によって最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記最適化されたコドンおよび/またはコンセンサス配列は、複数の関連配列において利用されている配列および/または核酸塩基の可変性を比較することによって作製される。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は治療用タンパク質である。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は、抗体またはその一部を含み、該抗体またはその一部はヒト化されていてもよい。いくつかの実施形態においては、前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、L22FおよびF31Sのアミノ酸変異を含む。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドはミニサークル(minicircle)である。いくつかの実施形態においては、前記導入をエレクトロポレーションによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択を、選択マーカーカセットを使用して選択圧を高めることによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択試薬は選択剤を含む。いくつかの実施形態においては、前記選択剤はメトトレキサートである。
【0014】
いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも50nM〜100nMであり、前記第2の濃度域は少なくとも75nM〜150nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも75nM〜150nMであり、前記第2の濃度域は少なくとも112.5nM〜225nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも300nM〜675nMであり、前記第2の濃度域は少なくとも450nM〜1012nMである。いくつかの実施形態においては、前記1回目の選択は、前記2回目の選択を行う前に、2日、3日、4日、5日、6日または7日にわたって前記細胞を前記選択剤に暴露することを含む。いくつかの実施形態においては、前記2回目の選択は、前記細胞を単離する前に、少なくとも2日、3日、4日、5日、6日または7日にわたって前記細胞を前記選択剤に暴露することを含む。いくつかの実施形態においては、前記T細胞前駆細胞は造血幹細胞である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】遺伝子送達ミニサークルを産生するプラスミドであるMC_T3/FP-DHFRdmの全体の概略図を示す。Sleeping BeautyトランスポゾンのT3世代を含むミニサークルは、EF1aプロモーターと、蛍光タンパク質(FP;maxGFP、mCherryまたは青色蛍光タンパク質(BFP))およびThosea asignaウイルス2Aペプチド(T2A)およびメトトレキサート(MTX)非感受性のジヒドロ葉酸還元酵素(DHFRdm)の二重変異体からなる融合体とを、逆方向末端反復配列(ITR、矢印で示す)の間に含む。attB部位とattP部位との間の組換え体はミニサークルを製造し、残りの細菌性骨格は酵素的に分解される。
【0016】
図2】トランスポゾン:トランスポゼースのDNA比の最適化を示す一連の棒グラフを示す。2μgのMC_T3/eGFP-T2A-DHFRdm DNA(トランスポゾン)と、段階的に濃度を上げたMC_SB100X(トランスポゼース)DNA(0.5μg、1μg、2μg、4μg、8μg)とを使用して、H9細胞をヌクレオフェクトした。ヌクレオフェクションの24時間後(縞模様の棒)および7日後(黒色の棒)にフローサイトメトリーを実施し、一過性トランスフェクション効率および安定なトランスフェクション効率を評価した。棒の上に示した数字は、一過性のGFP発現に対する安定なGFP発現のパーセンテージとして算出された組み込み効率を示す。
【0017】
図3】選択工程におけるMTX濃度の影響を示す一連の棒グラフを示す。T3/GFP-T2A-DHFRdmトランスポゾンDNAで安定にトランスフェクトされたH9細胞集団を、濃度を段階的に上げたMTX(0nM、50nM、100nMおよび200nM)の存在下において、3日間(白色の棒)、5日間(横縞)、7日間(縦縞)および10日間(黒色の棒)培養した後、フローサイトメトリーで分析した。図3のパネルAは、GFP/PIのパーセンテージを示し、図3のパネルBは平均GFP相対蛍光単位(RFU)を示す。
【0018】
図4】MTX除去後の導入遺伝子の持続性を示す一連の棒グラフを示す。T3/GFP-T2A-DHFRdmトランスポゾンで安定にトランスフェクトされたH9細胞集団をフローサイトメトリーで分析した結果を示す。まず、このH9細胞集団を様々な濃度のMTX(50nM、100nMおよび200nM)を添加した培地中で2週間培養し(黒色の棒)、その後MTXによる選択を中止し、様々な時点(1週間後(横縞)、2週後(縦縞)、3週後(格子模様の棒)および4週後(白色の棒))においてデータを収集した。図4のパネルAはGFP/PIのパーセンテージを示し、図4のパネルBは平均GFP相対蛍光単位(RFU)を示す。
【0019】
図5A】ヒト半数体ゲノム当たりのトランスポゾンのコピー数を示す。様々な濃度のMTX(50nM、100nMおよび200nM)による選択を行う前および行った後に、T3/GFP-T2A-DHFRdmトランスポゾンDNAが安定にトランスフェクトされたH9細胞集団からゲノムDNAを単離した。トランスポゾンの平均コピー数を定量的PCRにより決定した。「ゴールドスタンダード」クローンは限界希釈法により作製した。「ソーティング」した集団は、元のH9集団(トランスポゾンの組み込み率:8%)をソーティングすることによって、GFP陽性細胞が100%を占める集団として作製した。枠で囲まれた棒グラフ上のアスタリスク()は、スチューデントのt検定によって、200nMのMTXにより選択された集団とソーティングされた集団との間に有意差が見られたことを示す(P=0.04)。
【0020】
図5B】トランスポゾンの組み込み数の分布を示す。200nMのMTXを用いた選択によって、T3/GFP-T2A-DHFRdmトランスポゾンが組み込まれた細胞が100%を占めるH9集団を調製し、このH9集団から60個のクローンを限界希釈法により単離した。ゲノムDNAを単離し、相対的RT−qPCRによりトランスポゾンのコピー数を測定した。測定値は最も近い整数値に丸めた(たとえば、0.5〜1.5は1で示した)。N=60で行い、平均±標準偏差=1.78±0.69であった。得られたデータから、組み込みが起こった確率および標準誤差を算出した(挿入図)。
【0021】
図6】トランスポゾンの多重化の分析結果を表す一連の円グラフを示す。パネルA〜Cは、異なる蛍光タンパク質(FP)を含むトランスポゾンを含む3種のミニサークル(MC_T3/GFP-T2A-DHFRdm、 MC_T3/BFP-T2A-DHFRdm、MC_T3/mCherry-T2A-DHFRdm)それぞれ2μgと、MC_SB100X DNA 6μgとでヌクレオフェクトしたH9細胞集団を、様々な時点においてフローサイトメトリーで分析した結果を示す。(パネルA)トランスフェクションの24時間後(一過性発現)、(パネルB)1週間後(安定な組み込み)および(パネルC)200nMのMTXによる選択の1週間後をそれぞれ示す。
【0022】
図7】1種のFPの発現、2種のFPの発現および3種のFPの発現を選択することによって、その分布を分析した結果を示す棒グラフを示す。3種のトランスポゾンが安定にトランスフェクトされたH9細胞集団を200nMのMTXにより1週間かけて選択し、次いで、500nMおよび1000nMに濃度を高めたMTXに暴露させた。
【0023】
図8】MTXによる選択後、Sleeping Beautyを用いたトランスポゾンDNAのリンパ球における安定な発現についてフロー分析した結果の一例を示す。新たに解凍したPBMCに、ミニサークルGFP(mcGFP)DNA(MC_T3/GFP-T2A-DHFRdm)および Sleeping BeautyトランスポゼースDNA(MC_SB100X)をエレクトロポレーションによって導入した。次いで、CD3およびCD28に結合することによってT細胞を選択的に活性化するMiltenyi Transactビーズを使用して、前記PBMCを刺激した。エレクトロポレーションの1週間後、25nM、50nMおよび100nMのMTXを使用して、PBMC試料を12日間かけて選択した(図では50nMを示す)。パネルA、BおよびCは、リンパ球(A)、単一細胞(B)および生細胞(C)の逐次選択をそれぞれ示す。パネルDにおいては、CD8集団およびCD8集団の両方においてGFPの高レベル発現が示された。このドナーに関しては、刺激後のリンパ球の大部分がCD8T細胞であったことに留意されたい。
【0024】
図9】Sleeping Beautyを用いたトランスポゾンDNAのリンパ球における初期発現のヒストグラムを示す。mcGFP DNA単独(10μg)、mcGFP:MC_SB100X=2:1としてのmcGFP(10μg)およびMC_SB100X DNA(5μg)、mcGFP:MC_SB100X=1:1としてのmcGFP(10μg)およびMC_SB100X DNA(10μg)、pMAXGFP(10μg)対照、またはDNAを含まない対照のいずれかでPBMCをトランスフェクトした。パネルAは、初期エレクトロポレーション効率の一例として、Transactビーズを加えなかった、トランスフェクションの2日後の細胞の結果を示す。パネルBにおいて、Transactビーズに暴露させた5日後の細胞の結果を示す。5日目までにmcGFP DNAレベルは対照レベル付近まで低下したが、トランスポゼースを共トランスフェクトした細胞では、mcGFPは上昇したまま維持された。
【0025】
図10】MTXを添加する一週間前における、トランスフェクトされたリンパ球のGFPトランスポゾンDNAの発現量および細胞増殖レベルを示す。mcGFP DNA単独、mcGFP:MC_SB100X=2:1のmcGFPおよびMC_SB100X DNA、mcGFP:MC_SB100X=1:1のmcGFPおよびMC_SB100X DNA、pMAXGFP対照(10μg)またはDNAを含まない対照のいずれかでPBMCをトランスフェクトした。パネルAは、2日目〜7日目においてGFPの発現レベルが低下したことを示す。パネルBは、0日目にMiltenyi Transactビーズで処理したトランスフェクト細胞試料の0日目〜7日目の生細胞量を示す。パネルCは、Transactビーズ非存在下での、トランスフェクト細胞試料の0日目〜7日目の生細胞量を示す。図に示すように、Miltenyi Transactビーズの存在下での、mcGFP DNAをトランスフェクトした細胞ではゆっくりとした増殖が見られる。
【0026】
図11】MTXによる選択を行った1週間後に、Sleeping Beautyを用いたトランスポゾンDNAがT細胞において安定に発現されていることを示す。トランスポゾンDNAおよびSleeping BeautyトランスポゼースDNAのトランスフェクションによってGFPを発現するように改変されたT細胞のGFPの産生および増殖を調査したフローサイトメトリーの散布図を示す。パネルA、B、EおよびFは、リンパ球を同定するための散布図を示し、パネルC、D、GおよびHはCD8およびGFPの発現を示す。パネルA〜Dは、100nMのMTXで処理した細胞のフローサイトメトリー分析を示す。パネルE〜Hは、MTXで処理しなかった細胞のフローサイトメトリー分析を示す。パネルA、C、EおよびGは、mcGFPを単独でトランスフェクトした試料を示す。パネルB、D、FおよびHは、mcGFPおよびMC_SB100X(Sleeping Beautyトランスポゼース)DNAを2:1でトランスフェクトした細胞のフローサイトメトリーの結果を示す。パネルDに示すように、GFP遺伝子が細胞内ゲノムに安定して挿入されるようにmcGFPおよびSB100Xで共トランスフェクトしたT細胞(CD8およびCD8)においては、100nMのMTXの存在下で約95%の細胞が安定してGFPを発現し、一方、MTXの非存在下では、わずか約23%の細胞死しかGFPを発現しなかった。
【0027】
図12】MTXによる選択を行った14日後における、トランスポゾンをトランスフェクトしたリンパ球の増殖およびGFP/CD8の発現を示す。DNAをトランスフェクトしなかった細胞試料(対照)、mcGFPを単独でトランスフェクトした細胞試料、mcGFP:MC_SB100X=2:1のmcGFPおよびMC_SB100X DNAをトランスフェクトした細胞試料、またはmcGFP:MC_SB100X=1:1のmcGFPおよびMC_SB100X DNAをトランスフェクトした細胞試料を調製した。1週間後、これらの細胞を、0nMのMTX(対照)、25nMのMTX、50nMのMTXまたは100nMのMTXを使用して選択した。第1の欄、第3の欄、第5の欄および第7の欄に示したリンパ球ウィンドウは、高濃度のMTXの存在下では、安定にトランスフェクトされた細胞のみが生存可能であることを示している。第2の欄、第4の欄、第6の欄および第8の欄においては、GFPおよびCD8を検出することによって単一の生リンパ球をゲーティングした。mcGFPを単独でトランスフェクトした細胞試料では、GFPの発現は経時的に消失する(第2欄)。しかし、mcGFPおよびMC_SB100Xの両方がトランスフェクトされた細胞は、MTXによる選択を行った後でも(>90%)、MTXによる選択を行う前であっても(約20%)、GFPを安定に発現する(第4欄および第6欄)。図に示すように、mcGFPおよびMC_SB100X DNAがトランスフェクトされた試料においては、50nMおよび100nMの濃度のMTXによって有効に選択を行うことができ、mcGFPとMC_SB100Xとの比率が2:1であっても1:1であっても有意差は見られなかった。リンパ球の大部分がCD8T細胞であることには留意されたい。
【0028】
図13】MTXによる選択を行った19日後における、トランスポゾンをトランスフェクトした細胞のリンパ球ウィンドウおよびGFP/CD8の発現を示す。DNAをトランスフェクトしなかった細胞試料(対照)、mcGFPを単独でトランスフェクトした細胞試料、mcGFP:MC_SB100X=2:1のmcGFPおよびMC_SB100X DNAをトランスフェクトした細胞試料、またはmcGFP:MC_SB100X=1:1のmcGFPおよびMC_SB100X DNAをトランスフェクトした細胞試料を調製した。これらの細胞を、0nMのMTX(対照)、25nMのMTX、50nMのMTXまたは100nMのMTXを使用して選択した。第1の欄、第3の欄、第5の欄および第7の欄に示したリンパ球ウィンドウは、MTXの存在下では、安定にトランスフェクトされた細胞のみが生存可能であることを示している。第2の欄、第4の欄、第6の欄および第8の欄においては、GFPおよびCD8を検出することによって単一の生リンパ球をゲーティングした。mcGFPを単独でトランスフェクトした細胞試料では、GFPの発現は経時的に消失する(第2欄)。しかし、mcGFPおよびMC_SB100Xの両方がトランスフェクトされた細胞は、MTXによる選択を行った後でも(>90%)、MTXによる選択を行う前であっても(約20%)、GFPを安定に発現する(第4欄および第6欄)。図に示すように、mcGFPおよびMC_SB100X DNAがトランスフェクトされた試料においては、50nMおよび100nMの濃度のMTXによって有効に選択を行うことができたが、25nMでは有効性はわずかに低かった。また、mcGFPとMC_SB100Xとの比率が2:1であっても1:1であっても有効に選択された。
【0029】
図14】トランスポゾンDNAを安定に発現し、MTXにより選択された細胞の生細胞数を示す。トランスフェクションの7日後、14日後および19日後にトリパンブルー染色による細胞カウントを行った。DNAをトランスフェクトしなかったPBMC試料(対照)、mcGFPを単独でトランスフェクトしたPBMC試料、mcGFP:MC_SB100X=2:1のmcGFPおよびMC_SB100X DNAをトランスフェクトしたPBMC試料、またはmcGFP:MC_SB100X=1:1のmcGFPおよびMC_SB100X DNAをトランスフェクトしたPBMC試料を調製した。7日目に、これらの細胞を、0nMのMTX(対照)、25nMのMTX、50nMのMTXまたは100nMのMTXを使用して選択した。パネルAは、MTXの非存在下での生細胞数を示す。パネルBは、100nMのMTXに暴露させた後の生細胞数を示す。パネルCは、50nMのMTXに暴露させた後の生細胞数を示す。パネルDは、25nMのMTXに暴露させた後の生細胞数を示す。MTXは、葉酸の代謝を抑制することによって細胞の増殖を遅延させるため、MTX抵抗性遺伝子(DHFRdm)を共発現するmcGFPトランスポゾンとSleeping BeautyトランスポゼースをコードするMC_SB100Xプラスミドとをトランスフェクトさせた細胞のみが、組み込まれたトランスポゾンDNAを安定に発現したことから、高濃度のMTXの存在下で増殖可能であった。
【0030】
図15】MTXによる選択下において、GFPトランスポゾンDNAおよびSleeping Beautyトランスポゼースを安定して発現するリンパ球によるGFPの発現を分析した結果を示す。mcGFPを単独でトランスフェクトしたPBMC試料、mcGFP:MC_SB100X=2:1のmcGFPおよびMC_SB100XをトランスフェクトしたPBMC試料、mcGFP:MC_SB100X=1:1のmcGFPおよびMC_SB100XをトランスフェクトしたPBMC試料、pMAXGFP(10μg)をトランスフェクトしたPBMC試料、DNAをトランスフェクトしなかったPBMC試料(対照)を調製した。トランスフェクションの7日後に細胞をMTXに暴露させ、単一の生リンパ球におけるGFP発現を測定した。パネルAは、MTXの非存在下における、2日目、5日目、7日目、14日目および19日目のGFPの発現レベルを示す。パネルBは、0nM、25nM、50nMおよび100nMの濃度のMTXによる選択下での、mcGFPが単独でトランスフェクトされたリンパ球の7日目、14日目および19日目におけるGFPの発現レベルを示す。パネルCは、0nM、25nM、50nMおよび100nMのMTXによる選択下での、mcGFP:MC_SB100X=2:1のmcGFPおよびMC_SB100XがトランスフェクトされたT細胞におけるGFPの発現を示す。パネルDは、0nM、25nM、50nMおよび100nMの濃度のMTXによる選択制御下での、mcGFP:MC_SB100X=1:1のmcGFPおよびMC_SB100XがトランスフェクトされたT細胞におけるGFPの発現を示す。図に示すように、mcGFPおよびMC_SB100Xを2:1でトランスフェクトさせても1:1でトランスフェクトさせても同様の結果が得られ、MTXによる選択の1週間後には、25nMにおいてはGFPの発現レベルは約75%に達し、50nMおよび100nMにおいてはGFPの発現レベルは約90%に達した。さらに、50nMのMTXによる処理と100nMのMTXによる処理との間のGFPの発現の差はごくわずかであった。
【0031】
図16】Sleeping Beautyトランスポゾン(ミニサークル構築物)を示す。本明細書に記載の実施形態のいくつかのために設計された、いくつかのsleeping beauty構築物の概略図である。
【0032】
図17】GFPの発現のための遺伝子を含むSleeping Beautyトランスポゾンがトランスフェクトされた細胞のいくつかの散布図を示す。トランスフェクションの14日後の細胞を示す。GFPをコードする遺伝子を含むトランスポゾンまたはSB100Xをエレクトロポレーションにより細胞に導入した。
【0033】
図18】Sleeping BeautyトランスポゾンおよびMTX(GFPトランスポゾン)を示す。図に示すように、mcGFPプラスミドと、GFPの発現のための遺伝子を含むSleeping Beautyトランスポゾンとを様々な比率で細胞にトランスフェクトした(McGFP:SB=1:1および2:1)。図に示すように、MTXを添加しなかった場合、18日後のGFP発現は低値を示した。Sleeping Beautyトランスポゾンを用いた場合、MTXの存在下でGFPの発現が増加することが示されている。
【0034】
図19】Sleeping Beautyトランスポゾン(ミニサークル構築物)を示す。本明細書に記載の実施形態のいくつかのために設計された、いくつかのsleeping beauty構築物の概略図である。
【0035】
図20】Sleeping BeautyトランスポゾンおよびMTX(GFPトランスポゾン−SB100X DNAおよびRNA)を示す。GFP、CARもしくはGFP/mCherry/BFPをコードする遺伝子を含むトランスポゾンまたはSB100X(DNAまたはRNA)エレクトロポレーションにより細胞に導入した。
【0036】
図21】Sleeping BeautyトランスポゾンおよびMTX(GFPトランスポゾン−SB100X DNAおよびRNA)を示す。GFP遺伝子を含むトランスポゾンがトランスフェクトされた細胞の散布図のいくつかを示す。細胞試料のいくつかに、GFPの発現のための遺伝子を含むDNA(2.5μgもしくは5μg)、mcGFP単独、またはRNA(1μgもしくは3μg)をトランスフェクトした。試料を分けて、0μM、50μMおよび100μMの様々な濃度のMTXの影響下で培養した。
【0037】
図22】Sleeping BeautyトランスポゾンおよびMTX(GFPトランスポゾン−SB100X DNAおよびRNA)を示す。左上のパネルに示したように、GFPの発現のための遺伝子を含むSleeping Beautyトランスポゾンを様々な濃度で細胞にトランスフェクトした。その後、トランスフェクションの7日後にMTXを添加した。図に示すように、50μg〜100μgでトランスフェクトされた細胞は、7日目〜14日目にGFPを発現可能である。
【0038】
図23】MTXの存在下でGFPを発現するDNAおよびRNAを示す。図に示すように、mcGFP、GFP:SBおよびGFP:SB RNAがトランスフェクトされた細胞を培養し、トランスフェクションの7日後にMTXに暴露させた。対照として、MTXに暴露させず細胞を14日間培養した(左上のパネル)。
【0039】
図24】GFP:SBがトランスフェクトされた細胞におけるGFPの発現を示す。左のパネルに示すように、様々な濃度のGFP:SB(2.5μg、5μg)を細胞にトランスフェクトし、様々な濃度のMTX(50μMおよび100μM)に暴露させた。図に示すように、5μgのGFP:SBをトランスフェクトした場合、MTXの存在下において細胞はGFPを発現可能であり、MTXの濃度としては50μMが最も適していた。RNAを使用してこの実験をさらに実施したが、前記タンパク質を発現させるにはDNAを使用する方が高効率である。
【0040】
図25】Sleeping Beautyトランスポゾン(ミニサークル構築物)を示す。本明細書に記載の実施形態のいくつかのために設計された、いくつかのsleeping beauty構築物の概略図である。
【0041】
図26】CD19 CARの発現を示す。CD19 CARをコードする遺伝子を含むSleeping Beauty構築物を構築した(SB:CD19 CAR)。DNA(2.5μgまたは5μg)またはRNA(1μgまたは3μg)のいずれかを細胞にトランスフェクトした。図に示すように、いずれの濃度のDNAまたはRNAであっても、DNAまたはRNAがトランスフェクトされた細胞は、50μMのMTXの存在下でCD19 CARを発現可能であった。1μgのRNAがトランスフェクトされた細胞でも、100μMのMTXの存在下でCD19 CARを発現可能であった。
【0042】
図27】CD19 CARの発現を示す。CD19 CARをコードする遺伝子を含むSleeping Beauty構築物を構築した(SB:CD19 CAR)。DNA(2.5μgまたは5μg)またはRNA(1μgまたは3μg)のいずれかを細胞にトランスフェクトした。細胞を培養し、トランスフェクションの7日後にMTXに暴露させた。CD19 CARは、EGFRtタグをさらに含んでいた。図に示すように、タグの検出はCD19 CARの発現と相関する。MTXに暴露させ後、CAR19をコードする遺伝子を含むSleeping Beauty構築物を含むDNAがトランスフェクトされた細胞、およびCAR19をコードする遺伝子を含むSleeping Beauty構築物を含むRNAがトランスフェクトされた細胞において、タグが検出された。
【0043】
図28】Sleeping BeautyトランスポゾンおよびMTX(CD19 CAR)、CD8細胞の増殖ならびにCD19 CARの発現を示す。CD19 CARをコードする遺伝子を含むSleeping Beauty構築物を構築した(SB:CD19 CAR)。DNA(2.5μgまたは5μg)またはRNA(1μgまたは3μg)のいずれかを細胞にトランスフェクトした。細胞を培養し、トランスフェクションの7日後にMTXに暴露させた。図に示すように、CD8細胞は低濃度のDNAがトランスフェクトされた場合において増殖可能であった。これに対して、RNAを使用した場合、濃度が高いほど発現量は多くなったが、濃度が低いほど細胞の初期増殖が多いことが分かった。
【0044】
図29】Sleeping Beautyトランスポゾン(ミニサークル構築物)を示す。本明細書に記載の実施形態のいくつかのために設計された、いくつかのsleeping beauty構築物の概略図である。
【0045】
図30】Sleeping BeautyトランスポゾンおよびMTX(マルチプレックス3FP)を示す。DNAまたはmcFPをエレクトロポレーションによって細胞に導入し、MTXの存在下で細胞を培養した。その後、散布図に示したように、mCherry、BFPおよび/またはGFPの発現について細胞を分析した。
【0046】
図31】Sleeping BeautyトランスポゾンおよびMTX(マルチプレックス3FP)を示す。
【0047】
図32】Sleeping Beautyトランスポゾン(ミニサークル構築物)を示す。本明細書に記載の実施形態のいくつかのために設計された、いくつかのsleeping beauty構築物の概略図である。
【0048】
図33】図に示すように、Sleeping Beautyトランスポゾンを含むDNAをエレクトロポレーションにより細胞に導入し、2回目の選択において様々な濃度のMTXに暴露させた。
【0049】
図34】Sleeping Beautyトランスポゾンを含むDNAをエレクトロポレーションにより導入した細胞における、様々な濃度のMTX(2nM、100nM、250nMおよび500nM)の存在下でのマーカータンパク質の発現を示す。
【0050】
図35】Sleeping Beautyトランスポゾン(ミニサークル構築物)を示す。本明細書に記載の実施形態のいくつかのために設計された、いくつかのsleeping beauty構築物の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
下記の用語の定義は、本発明の態様または実施形態の理解を容易にするために提供される。
【0052】
本明細書に記載の「1つの(aまたはan)」は、1または1以上を意味しうる。
【0053】
本明細書において「約」は、特定の値が、値を決定するために用いられる方法に本質的に付随する誤差の変動または複数の実験間の変動を含むことを示す。
【0054】
本明細書に記載の「核酸」または「核酸分子」は、ポリヌクレオチドを指し、たとえば、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)、オリゴヌクレオチド、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により作製されたフラグメント、ならびにライゲーション、切断、エンドヌクレアーゼ作用およびエキソヌクレアーゼ作用のいずれかにより作製されたフラグメントなどが挙げられる。核酸分子は、天然のヌクレオチドモノマー(DNAおよびRNAなど)、または天然に存在するヌクレオチドの類似体(たとえば、天然に存在するヌクレオチドのエナンチオマー)からなるモノマー、またはこれらの組み合わせから構成されうる。改変ヌクレオチドは、糖部分および/またはピリミジン塩基部分もしくはプリン塩基部分に改変を有していてもよい。糖部分の改変としては、たとえば、ハロゲン、アルキル基、アミンおよびアジド基による1つ以上のヒドロキシル基の置換が挙げられ、あるいは、糖部分はエーテル化またはエステル化されてもよい。さらに、糖部分全体が、立体構造的に類似の構造や電子的に類似の構造と置換されていてもよく、このような構造として、たとえば、アザ糖および炭素環式糖類似体が挙げられる。改変された塩基部分としては、アルキル化プリンおよびアルキル化ピリミジン、アシル化プリンおよびアシル化ピリミジン、ならびにその他の公知の複素環置換が挙げられる。核酸モノマーは、ホスホジエステル結合またはこれと似た結合により連結することができる。ホスホジエステル結合と似た結合としては、ホスホロチオエート結合、ホスホロジチオエート結合、ホスホロセレノエート結合、ホスホロジセレノエート結合、ホスホロアニロチオエート(phosphoroanilothioate)結合、ホスホロアニリデート(phosphoranilidate)結合、ホスホロアミデート結合などが挙げられる。「核酸分子」は、いわゆる「ペプチド核酸」も包含し、これは、天然の核酸塩基または改変された核酸塩基が付加されたポリアミド骨格を含む。核酸は、一本鎖であっても二本鎖であってもよい。本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、遺伝子に核酸を安定に挿入するための遺伝子送達ポリヌクレオチドが提供される。「オリゴヌクレオチド」という用語は核酸と同じ意味で使用可能であり、DNAもしくはRNAと呼ぶことができる。オリゴヌクレオチドは、二本鎖であっても一本鎖であってもよい。
【0055】
「遺伝子」は、生物の遺伝の分子単位であり、生物において特定の機能を有するポリペプチドまたはRNA鎖をコードする、ある程度の長さのデオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA)である。また、遺伝子は、生物のゲノムにおいてその位置が特定可能な領域でありうる。本明細書のいくつかの実施形態においては、遺伝子に核酸を安定に挿入するための遺伝子送達ポリヌクレオチドであって、該遺伝子送達ポリヌクレオチド内において、挿入される該核酸が逆方向末端反復遺伝子配列に挟まれていること、該遺伝子送達ポリヌクレオチドが選択可能であることを特徴とする遺伝子送達ポリヌクレオチドが提供される。
【0056】
「染色体」は、DNA、タンパク質およびRNAからなるひとまとまりの組織化されたクロマチン、すなわち細胞内に見られる巨大分子の複合体である。いくつかの実施形態においては、遺伝子に核酸を安定に挿入するための遺伝子送達ポリヌクレオチドであって、該遺伝子送達ポリヌクレオチド内において、挿入される該核酸が逆方向末端反復遺伝子配列に挟まれていること、該遺伝子送達ポリヌクレオチドが選択可能であることを特徴とする遺伝子送達ポリヌクレオチドが提供される。いくつかの実施形態においては、前記核酸は染色体の遺伝子に挿入される。
【0057】
「プロモーター」は、構造遺伝子の転写を誘導するヌクレオチド配列である。いくつかの実施形態において、プロモーターは遺伝子の5’末端の非コード領域に位置し、構造遺伝子の転写開始点の近傍にある。転写開始において機能するプロモーター配列の要素は、コンセンサスヌクレオチド配列により特徴付けられることが多い。プロモーター配列の要素としては、RNAポリメラーゼ結合部位、TATA配列、CAAT配列、分化特異的要素(DSE;McGehee et al., Mol. Endocrinol. 7:551 (1993);参照によりその全体が組み込まれる)、環状AMP応答要素(CRE)、血清応答要素(SRE;Treisman, Seminars in Cancer Biol. 1:47 (1990);参照によりその全体が組み込まれる)、グルココルチコイド応答要素(GRE)、および転写因子に対する結合部位が挙げられ、該転写因子としては、たとえば、CRE/ATF(O'Reilly et al., J. Biol. Chem. 267:19938 (1992);参照によりその全体が組み込まれる)、AP2(Ye et al., J. Biol. Chem. 269:25728 (1994);参照によりその全体が組み込まれる)、SP1、cAMP応答要素結合タンパク質(CREB;Loeken, Gene Expr. 3:253 (1993); 参照によりその全体が組み込まれる)および8量体因子(概要は、Watson et al., eds., Molecular Biology of the Gene, 4th ed.(The Benjamin/Cummings Publishing Company, Inc. 1987;参照によりその全体が組み込まれる)およびLemaigre and Rousseau, Biochem. J. 303:1 (1994)(参照によりその全体が組み込まれる)を参照されたい)が挙げられる。本明細書において、プロモーターは、構成的に活性プロモーター、抑制可能なプロモーター、および誘導可能なプロモーターのいずれであってもよい。プロモーターが誘導可能なプロモーターである場合、転写率は誘導剤に応答して上昇する。対照的に、プロモーターが構成的プロモーターである場合、転写率は誘導剤による調節を受けない。抑制可能なプロモーターも公知である。いくつかの実施形態において、遺伝子送達ポリヌクレオチドが提供される。いくつかの実施形態において、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドはプロモーター配列を含む。
【0058】
「選択マーカーカセット」は、人為的な選択のための特性を付与するために、ベクターまたは細胞に導入される遺伝子である。選択マーカーカセットは、スクリーニング可能なマーカーであってもよく、このような選択マーカーカセットを使用することによって、研究者が望ましい細胞と望ましくない細胞とを識別すること、または特定の種類の細胞を濃縮することが可能となる。いくつかの実施形態においては、遺伝子送達ポリヌクレオチドが提供される。いくつかの実施形態において、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは選択マーカーカセットを含む。
【0059】
本明細書に記載の「ジヒドロ葉酸還元酵素」すなわちDHFRは、NADPHを電子ドナーとして使用して、ジヒドロ葉酸をテトラヒドロ葉酸に還元する酵素であり、このテトラヒドロ葉酸は、C転移反応に使用されるテトラヒドロ葉酸由来の補因子に変換されうる。本明細書の実施形態のいくつかにおいては、遺伝子送達ポリヌクレオチドが提供される。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは、ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする少なくとも1つの選択マーカーカセットを含む。
【0060】
本明細書に記載の「メトトレキサート」(MTX)は、代謝拮抗薬および葉酸代謝拮抗薬であり、葉酸の代謝を抑制することによって作用する。いくつかの実施形態においては、養子T細胞免疫療法のための遺伝子改変マルチプレックスT細胞を製造する方法が提供される。最も広い解釈では、該方法は、
本明細書に記載の実施形態のいずれかに記載の遺伝子送達ポリヌクレオチドを提供すること、
T細胞に前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを導入すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードするベクターを提供すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードする前記ベクターを前記T細胞に導入すること、
第1の濃度域の選択試薬を加えることを含む1回目の選択と、第1の濃度域よりも高くかつ第1の濃度域の少なくとも1.5倍以上である第2の濃度域の同じ選択試薬を加えることを含む2回目の選択とを含む操作によって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを含む前記細胞を選択すること、ならびに
該試薬による選択圧下において表現型を発現する前記T細胞を単離することを含むことができる。
本明細書に記載の実施形態のいくつかにおいては、前記選択試薬は選択剤を含む。いくつかの実施形態においては、前記選択試薬はMTXである。
【0061】
「逆方向反復配列」すなわちIRは、その下流に逆向きの相補配列を持つヌクレオチド配列である。逆方向反復配列は、種々の重要な生物学的機能を有しうる。この逆方向反復配列によってトランスポゾンの境界が決まり、自己相補塩基対の形成が可能な領域(単一の配列内において塩基対を形成しうる複数の領域)を示す。これらの特性は、ゲノムの不安定化において重要な役割を果たし、細胞の進化、遺伝的多様性ならびに突然変異や疾患にも寄与する。いくつかの実施形態においては、遺伝子送達ポリヌクレオチドが提供される。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは、第1の逆方向末端反復遺伝子配列および第2の逆方向末端反復遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは、2つの逆方向反復配列の間に配置されたSleeping Beautyトランスポゾンを含む。
【0062】
Sleeping beautyトランスポゼースは、Sleeping BeautyトランスポゾンのIRに存在する特異的結合部位に結合する。IR(逆方向反復配列)の配列は、cagttgaagtcggaagtttacatacacttaagttggagtcattaaaactcgtttttcaactacTccacaaatttcttgttaacaaacaatagttttggcaagtcagttaggacatctactttgtgcatgacacaagtcatttttccaacaattgtttacagacagattatttcacttataattcactgtatcacaattccagtgggtcagaagtttacatacactaagttgactgtgcctttaaacagcttggaaaattccagaaaatgatgtcatggctttagaagcttctgatagactaattgacatcatttgagtcaattggaggtgtacctgtggatgtatttcaagg(配列番号1)で表される。
【0063】
「ポリペプチド」は、ペプチド結合により連結されたアミノ酸残基のポリマーであり、天然に産生されたものでも合成されたものであってもよい。アミノ酸残基の数が約10個未満のポリペプチドは一般に「ペプチド」と称される。
【0064】
「タンパク質」は、1つ以上のポリペプチド鎖を含む巨大分子である。タンパク質は、糖鎖などの非ペプチド成分をさらに含んでいてもよい。タンパク質への糖鎖やその他の非ペプチド性置換基の付加は、該タンパク質を産生する細胞によってなされてもよく、細胞種によっても左右される。本明細書においてタンパク質は、そのアミノ酸配列骨格で定義され、糖鎖などの置換基については規定されないが、このような置換基はタンパク質中に存在していてもよい。いくつかの実施形態においては、遺伝子に核酸を安定に挿入するための遺伝子送達ポリヌクレオチドであって、該遺伝子送達ポリヌクレオチド内において、挿入される該核酸が逆方向末端反復遺伝子配列に挟まれていること、該遺伝子送達ポリヌクレオチドが選択可能であることを特徴とする遺伝子送達ポリヌクレオチドが提供される。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは、少なくとも1つのタンパク質をコードする配列をさらに含む。
【0065】
本明細書に記載の「抗体」は、免疫系で機能する形質細胞により産生され、細菌やウイルスなどの外来物を特定しそれを中和する役割を果たす大きなY字型タンパク質を指す。抗体タンパク質は4つのポリペプチド鎖、すなわち、ジスルフィド結合により連結された同一の重鎖2本と同一の軽鎖2本とを含むことができる。それぞれの重鎖および軽鎖は、免疫グロブリンドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含むことができ、そのサイズおよび機能に従って様々なカテゴリーに分類される。いくつかの実施形態においては、遺伝子に核酸を安定に挿入するための遺伝子送達ポリヌクレオチドであって、該遺伝子送達ポリヌクレオチド内において、挿入される該核酸が逆方向末端反復遺伝子配列に挟まれていること、該遺伝子送達ポリヌクレオチドが選択可能であることを特徴とする遺伝子送達ポリヌクレオチドが提供される。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは、少なくとも1つのタンパク質をコードする配列をさらに含む。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは、抗体またはその一部をコードする配列を含むことができ、該抗体またはその一部はヒト化されていてもよい。
【0066】
「キメラ抗原受容体」(CAR)は、キメラT細胞受容体としても知られており、人工のT細胞受容体である遺伝子改変受容体を指し、エフェクター免疫細胞に任意の特異性を付与することができる。このような受容体を使用することによって、モノクローナル抗体の特異性をT細胞に移植することができ、たとえば、レトロウイルスベクターを利用して、この受容体のコード配列をT細胞に移入することよって前記移植を達成することができる。CARの構造は、CD3ζ膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインに融合された、モノクローナル抗体由来の一本鎖可変フラグメント(scFv)を含んでいてもよい。このような分子は、scFvによる標的の認識に応答してζシグナルの伝達を誘導する。いくつかの実施形態においては、遺伝子に核酸を安定に挿入するための遺伝子送達ポリヌクレオチドであって、該遺伝子送達ポリヌクレオチド内において、挿入される該核酸が逆方向末端反復遺伝子配列に挟まれていること、該遺伝子送達ポリヌクレオチドが選択可能であることを特徴とする遺伝子送達ポリヌクレオチドを使用する。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは、少なくとも1つのタンパク質をコードする配列をさらに含む。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質はキメラ抗原受容体である。キメラ受容体は、人工T細胞受容体、キメラT細胞受容体、キメラ免疫受容体、およびキメラ抗原受容体(CAR)とも呼ぶことができる。CARは、任意の特異性を免疫受容体細胞に付与することが可能な遺伝子改変受容体である。研究者によっては、キメラ抗原受容体(CAR)は、抗体または抗体フラグメント、スペーサー、シグナル伝達ドメインおよび膜貫通領域を含む場合があると考えられている。しかしながら、CARの様々な成分すなわちドメイン(たとえばエピトープ結合領域(たとえば、抗体フラグメント、scFvまたはそれらの一部)、スペーサー、膜貫通ドメインおよび/またはシグナル伝達ドメインなど)は改変されており、この改変によって驚くべき効果が得られたことから、本明細書のいくつかの実施形態においてCARの成分はそれぞれ独立した特徴を有する。CARが様々な特徴を有することから、たとえば、特定のエピトープに対しての結合親和性がさらに強くなることがある。
【0067】
人工のT細胞受容体すなわちCARは、養子細胞移入と呼ばれる技術を使用して、がんまたはウイルス感染症の治療法として使用できる。T細胞を患者から採取し、がん細胞、ウイルスまたはウイルス感染細胞に提示される分子に特異的な受容体を発現するように該T細胞を改変する。この遺伝子改変T細胞は、がん細胞もしくはウイルス感染細胞を認識してこれらを殺傷する能力またはウイルスの排除を促進できる能力を有し、このようにして作製された遺伝子改変T細胞を前記患者に再度導入する。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは、キメラ抗原受容体をコードする配列を含むことができる。いくつかの実施形態においては、養子T細胞免疫療法のための遺伝子改変マルチプレックスT細胞を製造する方法が提供される。最も広い解釈では、該方法は、
本明細書に記載の実施形態のいずれかに記載の遺伝子送達ポリヌクレオチドを提供すること、T細胞に前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを導入すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードするベクターを提供すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードする前記ベクターを前記T細胞に導入すること、
第1の濃度域の選択試薬を加えることを含む1回目の選択と、第1の濃度域の少なくとも1.5倍以上である第2の濃度域の該選択試薬を加えることを含む2回目の選択とを含む操作によって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを含む前記細胞を選択すること、ならびに
選択圧下において表現型を発現する前記T細胞を単離することを含むことができる。いくつかの実施形態においては、前記選択試薬はMTXである。
【0068】
効果的な免疫応答を惹起するには、T細胞を共刺激することが望ましく、このような免疫応答はリンパ球が活性化されたときに起こる。共刺激シグナルは抗原非特異的であり、抗原を有する細胞の膜に発現された共刺激分子とT細胞とが相互作用することによって発生する。共刺激分子としては、CD28、CD80およびCD86が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態においては、養子T細胞免疫療法のための遺伝子改変マルチプレックスT細胞を製造する方法が提供される。いくつかの実施形態においては、前記T細胞は、キメラ抗原受容体を有するT細胞である。いくつかの実施形態においては、キメラ抗原受容体を有する前記T細胞は、共刺激リガンドを発現するように遺伝子改変されている。いくつかの実施形態においては、対象においてがんまたはウイルス感染症を治療、抑制または緩和する方法が提供される。最も広義では、前記方法は、本明細書に記載の実施形態のいずれかに記載のT細胞を対象に投与することを含むことができる。遺伝子改変T細胞を使用して、がんまたはウイルス疾患を治療、抑制または緩和することが好ましく、該遺伝子改変T細胞は、ウイルスまたはがん細胞により提示される分子に特異的な受容体またはキメラ受容体をコードする複数の導入遺伝子を発現するように形質転換されたT細胞を選択的増幅させること、およびMTXの濃度を高めた選択圧下における二段階でのMTX選択によって、前記形質転換T細胞を選択することによって得られる。
前記実施形態のいくつかにおいて、前記対象は家畜や愛玩動物などの動物であり、別の実施形態において前記対象はヒトである。前記実施形態のいくつかにおいては、キメラ抗原を有する前記T細胞は、共刺激分子を発現するように遺伝子改変されている。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは、少なくとも1つの共刺激分子をコードする配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは環状である。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは少なくとも1kb〜6kbである。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドはミニサークル(minicircle)である。
【0069】
本明細書に記載の「T細胞前駆細胞」は、胸腺へと遊走して、T細胞前駆細胞となり得るリンパ球前駆細胞を指し、T細胞前駆細胞はT細胞受容体を発現しない。すべてのT細胞は、骨髄中の造血幹細胞に由来する。造血幹細胞由来の造血前駆細胞(リンパ球系前駆細胞)は胸腺に移行し、細胞分裂により増殖し、未熟な胸腺細胞の大集団を作り出す。最も初期の胸腺細胞はCD4もCD8も発現せず、したがって、ダブルネガティブ(CD4CD8)細胞に分類される。これらは成長により発達し、ダブルポジティブ胸腺細胞(CD4CD8)となり、最終的にシングルポジティブ(CD4CD8またはCD4CD8)胸腺細胞に成熟して、その後、胸腺から末梢組織に放出される。
【0070】
胸腺細胞の約98%は、胸腺での発達過程においてポジティブ選択およびネガティブ選択により選抜されずに死滅し、残りの2%が生存して胸腺を去り、成熟した免疫担当T細胞になる。
【0071】
T細胞前駆細胞は、ダブルネガティブ(DN)段階においては主に機能的β鎖を産生し、ダブルポジティブ(DP)段階では主に機能的α鎖を産生し、その結果、最終的に機能性αβ T細胞受容体を産生する。4つのDN段階(DN1、DN2、DN3およびDN4)を経て胸腺細胞が発達するに従って、T細胞はインバリアントα鎖を発現するが、β鎖の遺伝子は再編成される。再編成されたβ鎖がインバリアントα鎖と対を為すことに成功した場合、β鎖の再編成を止めるシグナルが産生され(さらに、もう一方のアレルが抑制され)、細胞の増殖が起こる。これらのシグナルが産生されるには、この前駆TCRが細胞表面上に発現されていなければならないが、これらのシグナル自体は前駆TCRに結合するリガンドに依存する。このように発達した胸腺細胞はその後、CD4およびCD8の両方を発現し、α鎖が選択されるダブルポジティブ(DP)段階を経る。再編成β鎖がシグナル伝達を全くもたらさない場合(たとえば、インバリアントα鎖との対合ができなかった結果)、この細胞は無視され(シグナル伝達を受けることなく)、死滅すると考えられている。
【0072】
本明細書に記載の「造血幹細胞」または「HSC」は、骨髄系細胞に分化しうる前駆細胞であり、該骨髄系細胞としては、たとえば、マクロファージ、単球、マクロファージ、好中球、好塩基球、好酸球、赤血球、巨核球/血小板、樹状細胞およびリンパ系細胞(たとえば、T細胞、B細胞、NK細胞など)が挙げられる。HSCは3種の幹細胞が存在する異種細胞集団であり、これらの幹細胞は血液中のリンパ系子孫細胞と骨髄系子孫細胞との比(L/M)により識別される。
【0073】
いくつかの実施形態においては、養子T細胞免疫療法のための遺伝子改変マルチプレックスT細胞を製造する方法であって、
遺伝子送達ポリヌクレオチドを提供すること、
T細胞に前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを導入すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードするベクターを提供すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードする前記ベクターを前記T細胞に導入すること、
第1の濃度域の選択試薬を加えることを含む1回目の選択と、第1の濃度域よりも高くかつ第1の濃度域の少なくとも1.5倍以上である第2の濃度域の該選択試薬を加えることを含む2回目の選択とを含む操作によって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを含む前記細胞を選択すること、ならびに
選択圧下において表現型を発現する前記T細胞を単離することを含む方法が提供される。
いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは、第1〜第7の配列を含み、
第1の配列が、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第2の配列が、第2の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第3の配列が、プロモーター領域配列を含み、
第4の配列が、タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子を含む最適化された配列であり、
第5の配列が、ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする少なくとも1つの選択マーカーカセットを含む最適化された配列であり、該ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体のメトトレキサートに対する親和性が15,000分の1または約15,000分の1に低減されており、メトトレキサートを選択メカニズムとして用いることによって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドによって形質導入された細胞を選択的に増殖させることができ、
第6の配列が、第1の付着部位(attP)を含み、
第7の配列が、第2の付着部位(attB)を含むこと、ならびに
第1の配列、第2の配列、第3の配列、第4の配列、第5の配列、第6の配列および第7の配列がそれぞれ5’末端および3’末端を有し、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含む第1の配列の3’末端が、第3の配列の5’末端に隣接し、第3の配列の3’末端が、第4の配列の5’末端に隣接し、第4の配列の3’末端が、第5の配列の5’末端に隣接し、第5の配列の3’末端が、第2の逆方向末端反復を含む第2の配列の5’末端に隣接していることを特徴とする。
いくつかの実施形態において、ヒトの前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする遺伝子は、
ATGGTTGGTTCGCTAAACTGCATCGTCGCTGTGTCCCAGAACATGGGCATCGGCAAGAACGGGGACTTCCCCTGGCCACCGCTCAGGAATGAATCCAGATATTTCCAGAGAATGACCACAACCTCTTCAGTAGAAGGTAAACAGAATCTGGTGATTATGGGTAAGAAGACCTGGTTCTCCATTCCTGAGAAGAATCGACCTTTAAAGGGTAGAATTAATTTAGTTCTCAGCAGAGAACTCAAGGAACCTCCACAAGGAGCTCATTTTCTTTCCAGAAGTCTAGATGATGCCTTAAAACTTACTGAACAACCAGAATTAGCAAATAAAGTAGACATGGTCTGGATAGTTGGTGGCAGTTCTGTTTATAAGGAAGCCATGAATCACCCAGGCCATCTTAAACTATTTGTGACAAGGATCATGCAAGACTTTGAAAGTGACACGTTTTTTCCAGAAATTGATTTGGAGAAATATAAACTTCTGCCAGAATACCCAGGTGTTCTCTCTGATGTCCAGGAGGAGAAAGGCATTAAGTACAAATTTGAAGTATATGAGAAGAATGATTAA(配列番号2)で表されるDNA配列を含む。
いくつかの実施形態においては、ヒトの前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、
MVGSLNCIVA VSQNMGIGKN GDFPWPPLRN ESRYFQRMTT TSSVEGKQNL VIMGKKTWFS IPEKNRPLKG RINLVLSREL KEPPQGAHFL SRSLDDALKL TEQPELANKV DMVWIVGGSS VYKEAMNHPG HLKLFVTRIM QDFESDTFFP EIDLEKYKLL PEYPGVLSDV QEEKGIKYKF EVYEKND(配列番号3)で表されるタンパク質配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは環状である。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは少なくとも1kb〜5kbである。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドはミニサークル(minicircle)である。いくつかの実施形態においては、前記プロモーター領域は、EF1プロモーター配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、タンパク質をコードする遺伝子を1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、該配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、ヒトにおける発現を目的としたコドン最適化によって最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインなどの、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記関連する複数のタンパク質は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインを含む。いくつかの実施形態においては、前記第5の配列は、該配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第5の配列は、ヒトにおける発現を目的としたコドン最適化によって最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は治療用タンパク質である。いくつかの実施形態においては、前記最適化されたコドンおよび/またはコンセンサス配列は、複数の関連配列において利用されている配列および/または核酸塩基の可変性を比較することによって作製される。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は、抗体またはその一部を含み、該抗体またはその一部はヒト化されていてもよい。いくつかの実施形態においては、前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、L22FおよびF31Sのアミノ酸変異を含む。いくつかの実施形態においては、前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、L22FおよびF31Sのアミノ酸変異を含む。いくつかの実施形態においては、前記導入をエレクトロポレーションによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択を、選択マーカーカセットを使用して選択圧を高めることによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択試薬は選択剤を含む。いくつかの実施形態においては、前記選択剤はメトトレキサートである。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域が少なくとも50nM〜100nMであり、前記第2の濃度域が少なくとも75nM〜150nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、50nM、60nM、70nM、80nM、90nMもしくは100nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、75nM、80nM、90nM、100nM、110nM、120nM、130nM、140nMもしくは150nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも75nM〜150nMであり、前記第2の濃度域は少なくとも112.5nM〜225nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、75nM、85nM、95nM、105nM、115nM、125nM、135nM、145nMもしくは150nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、112nM、122nM、132nM、142nM、152nM、162nM、172nM、182nM、192nM、202nM、212nMもしくは225nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも300nM〜675nMであり、前記第1の濃度域は少なくとも450nM〜1012nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、300nM、350nM、400nM、450nM、500nM、550nM、600nM、650nMもしくは675nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、450nM、500nM、550nM、600nM、650nM、700nM、750nM、800nM、850nM、900nM、1000nMもしくは1012nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記1回目の選択は、前記2回目の選択を行う前に、2日、3日、4日、5日、6日または7日にわたって前記T細胞を前記選択剤に暴露することを含む。いくつかの実施形態においては、前記2回目の選択は、前記T細胞を単離する前に、少なくとも2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日もしくは14日にわたって、またはこれらの時間点のいずれか2つによって定義される範囲にある任意の時間にわたって、前記T細胞を前記選択剤に暴露することを含む。いくつかの実施形態においては、前記T細胞はT細胞前駆細胞を含む。いくつかの実施形態においては、前記T細胞前駆細胞は造血幹細胞である。
【0074】
いくつかの実施形態においては、養子T細胞免疫療法のための遺伝子改変細胞を製造する方法であって、
遺伝子送達ポリヌクレオチドを提供すること、
T細胞前駆細胞に前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを導入すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードするベクターを提供すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードする前記ベクターを前記T細胞前駆細胞に導入すること、
第1の濃度域の選択試薬を加えることを含む1回目の選択と、第1の濃度域よりも高くかつ第1の濃度域の少なくとも1.5倍以上である第2の濃度域の該選択試薬を加えることを含む2回目の選択とを含む操作によって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを含む前記T細胞前駆細胞を選択すること、ならびに
選択圧下において表現型を発現する前記T細胞前駆細胞を単離することを含む方法が提供される。
いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドに核酸を安定に挿入するための前記遺伝子送達ポリヌクレオチドであって、
該遺伝子送達ポリヌクレオチド内において、挿入される該核酸が逆方向末端反復遺伝子配列に挟まれていること、
該遺伝子送達ポリヌクレオチドが選択可能であること、
該遺伝子送達ポリヌクレオチドが、第1〜第7の配列を含み、
第1の配列が、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第2の配列が、第2の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第3の配列が、プロモーター領域配列を含み、
第4の配列が、タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子またはmRNAにより転写される配列をコードする少なくとも1つの遺伝子を含む最適化された配列であり、
第5の配列が、ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする少なくとも1つの選択マーカーカセットを含む最適化された配列であり、該ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体のメトトレキサートに対する親和性が15,000分の1または約15,000分の1に低減されており、メトトレキサートを用いて、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドによって形質導入された細胞の選択を行うことによって、前記少なくとも1つの遺伝子を発現する細胞の割合を増加させることができ、
第6の配列が、第1の付着部位(attP)を含み、
第7の配列が、第2の付着部位(attB)を含むこと、ならびに
第1の配列、第2の配列、第3の配列、第4の配列、第5の配列、第6の配列および第7の配列がそれぞれ5’末端および3’末端を有し、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含む第1の配列の3’末端が、第3の配列の5’末端に隣接し、第3の配列の3’末端が、第4の配列の5’末端に隣接し、第4の配列の3’末端が、第5の配列の5’末端に隣接し、第5の配列の3’末端が、第2の逆方向末端反復を含む第2の配列の5’末端に隣接していることを特徴とする。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは環状である。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは少なくとも1kb〜5kbである。いくつかの実施形態においては、前記プロモーター領域は、EF1プロモーター配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、タンパク質をコードする遺伝子を1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、該配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、ヒトにおける発現を目的としたコドン最適化によって最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインなどの、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記関連する複数のタンパク質は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインを含む。いくつかの実施形態においては、前記第5の配列は、該配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第5の配列は、ヒトにおける発現を目的としたコドン最適化によって最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記最適化されたコドンおよび/またはコンセンサス配列は、複数の関連配列において利用されている配列および/または核酸塩基の可変性を比較することによって作製される。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は治療用タンパク質である。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は、抗体またはその一部を含み、該抗体またはその一部はヒト化されていてもよい。いくつかの実施形態においては、前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、L22FおよびF31Sのアミノ酸変異を含む。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドはミニサークル(minicircle)である。いくつかの実施形態においては、前記導入をエレクトロポレーションによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択を、選択マーカーカセットを使用して選択圧を高めることによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択試薬は選択剤を含む。いくつかの実施形態においては、前記選択剤はメトトレキサートである。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域が少なくとも50nM〜100nMであり、前記第2の濃度域が少なくとも75nM〜150nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも75nM〜150nMであり、前記第2の濃度域は少なくとも112.5nM〜225nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも300nM〜675nMであり、前記第1の濃度域は少なくとも450nM〜1012nMである。いくつかの実施形態においては、前記1回目の選択は、前記2回目の選択を行う前に、2日、3日、4日、5日、6日または7日にわたって前記T細胞を前記選択剤に暴露することを含む。いくつかの実施形態においては、前記2回目の選択は、前記T細胞を単離する前に、少なくとも2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日もしくは14日にわたって、またはこれらの時間点のいずれか2つによって定義される範囲にある任意の時間にわたって、前記T細胞を前記選択剤に暴露することを含む。いくつかの実施形態においては、前記T細胞前駆細胞は造血幹細胞である。
【0075】
いくつかの実施形態においては、T細胞前駆細胞におけるタンパク質の産生を増加させる方法であって、
ポリヌクレオチドを提供すること、
細胞に前記ポリヌクレオチドを導入すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードするベクターを提供すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードする前記ベクターを前記T細胞前駆細胞に導入すること、
第1の濃度域の選択試薬を加えることを含む1回目の選択と、第1の濃度域よりも高くかつ第1の濃度域の少なくとも1.5倍以上である第2の濃度域の該選択試薬を加えることを含む2回目の選択とを含む操作によって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを含む前記T細胞前駆細胞を選択すること、ならびに
選択圧下において表現型を発現する前記T細胞前駆細胞を単離することを含む方法が提供される。
いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドに核酸を安定に挿入するための前記遺伝子送達ポリヌクレオチドであって、
該遺伝子送達ポリヌクレオチド内において、挿入される該核酸が逆方向末端反復遺伝子配列に挟まれていること、
該遺伝子送達ポリヌクレオチドが選択可能であること、
該遺伝子送達ポリヌクレオチドが、第1〜第7の配列を含み、
第1の配列が、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第2の配列が、第2の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第3の配列が、プロモーター領域配列を含み、
第4の配列が、タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子またはmRNAにより転写される配列をコードする少なくとも1つの遺伝子を含む最適化された配列であり、
第5の配列が、ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする少なくとも1つの選択マーカーカセットを含む最適化された配列であり、該ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体のメトトレキサートに対する親和性が15,000分の1または約15,000分の1に低減されており、メトトレキサートを用いて、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドによって形質導入された細胞の選択を行うことによって、前記少なくとも1つの遺伝子を発現する細胞の割合を増加させることができ、
第6の配列が、第1の付着部位(attP)を含み、
第7の配列が、第2の付着部位(attB)を含むこと、ならびに
第1の配列、第2の配列、第3の配列、第4の配列、第5の配列、第6の配列および第7の配列がそれぞれ5’末端および3’末端を有し、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含む第1の配列の3’末端が、第3の配列の5’末端に隣接し、第3の配列の3’末端が、第4の配列の5’末端に隣接し、第4の配列の3’末端が、第5の配列の5’末端に隣接し、第5の配列の3’末端が、第2の逆方向末端反復を含む第2の配列の5’末端に隣接していることを特徴とする。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは環状である。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは少なくとも1kb〜5kbである。いくつかの実施形態においては、前記プロモーター領域は、EF1プロモーター配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、タンパク質をコードする遺伝子を1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、該配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、ヒトにおける発現を目的としたコドン最適化によって最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインなどの、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記関連する複数のタンパク質は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインを含む。いくつかの実施形態においては、前記第5の配列は、該配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第5の配列は、ヒトにおける発現を目的としたコドン最適化によって最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記最適化されたコドンおよび/またはコンセンサス配列は、複数の関連配列において利用されている配列および/または核酸塩基の可変性を比較することによって作製される。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は治療用タンパク質である。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は、抗体またはその一部を含み、該抗体またはその一部はヒト化されていてもよい。いくつかの実施形態においては、前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、L22FおよびF31Sのアミノ酸変異を含む。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドはミニサークル(minicircle)である。いくつかの実施形態においては、前記導入をエレクトロポレーションによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択を、選択マーカーカセットを使用して選択圧を高めることによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択試薬は選択剤を含む。いくつかの実施形態においては、前記選択剤はメトトレキサートである。
【0076】
いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも50nM〜100nMであり、前記第2の濃度域は少なくとも75nM〜150nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも75nM〜150nMであり、前記第2の濃度域は少なくとも112.5nM〜225nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも300nM〜675nMであり、前記第2の濃度域は少なくとも450nM〜1012nMである。いくつかの実施形態においては、前記1回目の選択は、前記2回目の選択を行う前に、2日、3日、4日、5日、6日または7日にわたって前記細胞を前記選択剤に暴露することを含む。いくつかの実施形態においては、前記2回目の選択は、前記細胞を単離する前に、少なくとも2日、3日、4日、5日、6日または7日にわたって前記細胞を前記選択剤に暴露することを含む。いくつかの実施形態においては、前記T細胞前駆細胞は造血幹細胞である。
【0077】
宿主に由来しないDNA分子によりコードされるペプチドまたはポリペプチドは、「異種」のペプチドまたはポリペプチドである。
【0078】
「組み込まれた遺伝子要素」は、人為的操作により宿主細胞に導入されることによって、該宿主細胞の染色体に組み込まれたDNAのセグメントである。本発明のいくつかの実施形態において、組み込まれた遺伝子要素は、エレクトロポレーションやその他の技術により宿主細胞内に導入されたミニサークル(minicircle)に由来する。組み込まれた遺伝子要素は、導入された宿主細胞からその子孫に継代される。いくつかの実施形態において、組み込まれた遺伝子要素は、環状の遺伝子送達ポリヌクレオチドにより宿主細胞の染色体に組み込まれる。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは少なくとも1kb〜6kbである。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドはミニサークル(minicircle)である。
【0079】
「クローニングベクター」すなわちベクターは、ミニサークル、プラスミド、コスミド、プラストームなどの核酸分子、または宿主細胞において自己複製する能力を有するバクテリオファージである。クローニングベクターは、通常、ベクターの本質的な生物学的機能を喪失することなく制御された方法で核酸分子の挿入を可能にする1個または数個の制限エンドヌクレアーゼ認識部位と、該クローニングベクターによって形質導入された細胞の同定および選択における使用に適したマーカー遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含有する。マーカー遺伝子は、通常、テトラサイクリン抵抗性またはアンピシリン抵抗性を提供する遺伝子を含むが、いくつかの実施形態においては、メトトレキサート抵抗性遺伝子を含むこともできる。
【0080】
「発現ベクター」は、宿主細胞において発現される遺伝子をコードする核酸分子である。通常、発現ベクターは、転写プロモーター、遺伝子および転写ターミネーターを含む。遺伝子発現は、通常、プロモーターの制御下に置かれ、プロモーターの制御下に置かれた遺伝子はプロモーターに「作動可能に連結されている」と言われる。同様に、調節因子がコアプロモーターの活性を調節する場合、調節因子とコアプロモーターは作動可能に連結されている。いくつかの実施形態において、発現ベクターが提供される。いくつかの実施形態においては、該発現ベクターはトランスポゼースをコードする。いくつかの実施形態においては、前記トランスポゼースはSleeping Beautyトランスポゼースである。いくつかの実施形態においては、発現ベクターは環状である。いくつかの実施形態においては、前記発現ベクターは少なくとも1kb〜6kbである。いくつかの実施形態において、前記発現ベクターはミニサークル(minicircle)である。
【0081】
本明細書に記載の「ミニサークル」は、原核生物ベクターの構成要素を全く含まない小型の環状プラスミド誘導体である。ミニサークルは、発現ベクターとして機能することができ、哺乳動物細胞の遺伝子を改変するための導入遺伝子担体として用いられ、細菌性DNA配列を含有しないことから、異物として認識されることが少なく、破壊されにくいという利点を有する。したがって、典型的な導入遺伝子送達方法では、外来DNAを含有するプラスミドを使用する。ミニサークルのサイズが小さいほど、クローニング能力が向上し、細胞への送達がさらに容易になる。本発明をなんら限定するものではないが、ミニサークルの調製は、親プラスミド(真核生物由来のインサートを含む細菌性プラスミド)を大腸菌において製造する工程と、この工程の終了後、該細菌において部位特異的リコンビナーゼを誘導する工程とを含む、2工程の方法で行うことができる。これら工程の後、前記インサートの両端にある2つのリコンビナーゼ標的配列を介して、原核生物ベクター由来の構成要素を切り出し、得られたミニサークル(レシピエント細胞を非常に有効に改変できる媒体)およびミニプラスミドをキャピラリーゲル電気泳動(CGE)により回収する。
【0082】
精製されたミニサークルは、トランスフェクション、エレクトロポレーションまたは当業者に知られているその他の方法により、レシピエント細胞に移入可能である。従来のミニサークルは複製起点を欠いているため、標的細胞内で自己複製できず、コードされた遺伝子は細胞が分裂すると消失する(このことは、持続性発現を必要とする用途であるか、あるいは一過性発現を必要とする用途であるかによって、有利とも不利ともなりうる)。いくつかの実施形態においては、遺伝子に核酸を安定に挿入するための遺伝子送達ポリヌクレオチドであって、該遺伝子送達ポリヌクレオチド内において、挿入される該核酸が逆方向末端反復遺伝子配列に挟まれていること、該遺伝子送達ポリヌクレオチドが選択可能であることを特徴とする遺伝子送達ポリヌクレオチドを使用する。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドはミニサークル(minicircle)である。
【0083】
本明細書に記載の「ヌクレオフェクション(nucleofection)」は、単一または複数の外因性核酸を宿主細胞に導入する方法を指し、これはエレクトロポレーションによって行われる。いくつかの実施形態においては、養子T細胞免疫療法のための遺伝子改変マルチプレックスT細胞を製造する方法が提供される。最も広い解釈では、該方法は、
本明細書に記載の実施形態のいずれかに記載の遺伝子送達ポリヌクレオチドを提供すること、
T細胞に前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを導入すること、
第1の濃度域の選択試薬を加えることを含む1回目の選択と、第1の濃度域よりも高くかつ第1の濃度域の少なくとも1.5倍以上である第2の濃度域の該選択試薬を加えることを含む2回目の選択とを含む操作によって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを含む前記細胞を選択すること、ならびに
選択圧下において表現型を発現する前記T細胞を単離することを含むことができる。いくつかの実施形態においては、前記選択試薬はMTXである。いくつかの実施形態においては、T細胞への前記遺伝子送達ポリヌクレオチドの導入は、エレクトロポレーションによって行うことができる。
【0084】
本明細書に記載の「宿主細胞」は、1つ以上のヌクレアーゼ(たとえばエンドヌクレアーゼ、末端プロセシング酵素);ならびに/または本発明の実施形態に包含される、エンドヌクレアーゼ/末端プロセシング酵素との融合タンパク質、もしくは1以上のヌクレアーゼ(たとえば、エンドヌクレアーゼ、末端プロセシング酵素)および/もしくはエンドヌクレアーゼ/末端プロセシング酵素との融合タンパク質の複製および/または転写のみもしくは転写と翻訳の両方(発現)を補助する前記融合タンパク質をコードするベクターを含有する細胞である。
いくつかの実施形態においては、養子T細胞免疫療法のための遺伝子改変マルチプレックスT細胞を製造する方法が提供される。いくつかの実施形態においては、該方法は、
本明細書に記載の実施形態のいずれかに記載の遺伝子送達ポリヌクレオチドを提供すること、
T細胞に前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを導入すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードするベクターを提供すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードする前記ベクターを前記T細胞に導入すること、
第1の濃度域の選択試薬を加えることを含む1回目の選択と、第1の濃度域よりも高くかつ第1の濃度域の少なくとも1.5倍以上である第2の濃度域の該選択試薬を加えることを含む2回目の選択とを含む操作によって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを含む前記細胞を選択すること、ならびに
選択圧下において表現型を発現する前記T細胞を単離することを含むことができる。いくつかの実施形態においては、前記選択試薬はMTXである。
【0085】
本明細書に記載の「転移因子」(TE)、すなわちトランスポゾンまたはレトロトランスポゾンは、ゲノム内で自体を移動できるDNA配列を指し、場合によっては、突然変異を作製または復帰でき、細胞のゲノムサイズを変化させることができる。転移は多くの場合、TEの重複をもたらす。TEは、真核生物細胞においてC値の大部分を占めることがある。本明細書に記載の「C値」は、真核生物の二倍体の体細胞中におけるDNA量の半量を含む半数体核に含有されるDNA量(ピコグラム)を指す。場合によっては、「C値」および「ゲノムサイズ」という用語は同じ意味で使用されるが、倍数体において、C値は同じ核内に含有される2つ以上のゲノムに相当する。固有の遺伝子システムを有するオキシトリカ属(Oxytricha)においては、TEは発達に重要な役割を果たす。さらに、TEは生物内でDNAを改変する手段として、研究者にとって非常に有用である。いくつかの実施形態においては、遺伝子に核酸を安定に挿入するための遺伝子送達ポリヌクレオチドであって、該遺伝子送達ポリヌクレオチド内において、挿入される該核酸が逆方向末端反復遺伝子配列に挟まれていること、該遺伝子送達ポリヌクレオチドが選択可能であることを特徴とする遺伝子送達ポリヌクレオチドが提供される。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドはトランスポゾンを含む。
【0086】
本明細書に記載の「Sleeping Beautyトランスポゾンシステム」は、Sleeping Beauty(SB)トランスポゼースおよびトランスポゾンにより構成され、特定のDNA配列を脊椎動物のゲノムに挿入するために1997年に設計された。DNAトランスポゾンは、カット&ペーストによって特定のDNA配列を1つのDNA部位から別のDNA部位へと簡便に転移させることができる。転移は正確に行うことができ、定義されたDNAセグメントを1つのDNA分子から切り取り、同じまたは別のDNA分子もしくはゲノムの別の部位へと移動させることができる。
【0087】
SBトランスポゼースは、レシピエントのDNA配列中のTAジヌクレオチド塩基対にトランスポゾンを挿入することができる。挿入部位は、同じDNA分子の他の部位であってもよく、別のDNA分子(または染色体)であってもよい。ヒトを含む哺乳動物のゲノムにおいては、およそ2億個のTA部位が存在する。これらのTA挿入部位は、トランスポゾンを組み込む過程において複製される。TA配列のこのような複製は、転移されたことを証明するものであり、いくつかの実験においては転移機序を確認するために使用される。トランスポゼースはトランスポゾン内にコードされていてもよく、あるいは別の供給源から提供されてもよく、この場合、トランスポゾンは非自律型要素である。
【0088】
いくつかの実施形態においては、遺伝子に核酸を安定に挿入するための遺伝子送達ポリヌクレオチドであって、該遺伝子送達ポリヌクレオチド内において、挿入される該核酸が逆方向末端反復遺伝子配列に挟まれていること、該遺伝子送達ポリヌクレオチドが選択可能であることを特徴とする遺伝子送達ポリヌクレオチドが提供される。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドはトランスポゾンを含む。いくつかの実施形態においては、前記トランスポゾンはSleeping Beautyトランスポゾンである。いくつかの実施形態においては、前記挿入される核酸は、逆方向末端反復遺伝子配列に挟まれたSleeping Beautyトランスポゾンである。
【0089】
いくつかの実施形態においては、核酸を安定に挿入するための前記遺伝子送達ポリヌクレオチドはミニサークル(minicircle)である。いくつかの実施形態においては、核酸を安定に挿入するための前記遺伝子送達ポリヌクレオチドはSleeping Beautyトランスポゾンを含む。いくつかの実施形態においては、遺伝子改変マルチプレックスT細胞の製造方法が提供される。いくつかの実施形態においては、前記方法は、細胞にSleeping Beautyトランスポゼースを送達することを含む。いくつかの実施形態においては、T細胞におけるタンパク質の産生を増加させる方法が提供される。いくつかの実施形態においては、前記方法は、Sleeping Beautyトランスポゼースをコードするベクターを提供することを含む。いくつかの実施形態においては、前記方法は、Sleeping Beautyトランスポゼースをコードするベクターを細胞に送達することを含む。
【0090】
本明細書に記載の「コドン最適化」は、所望の細胞においてタンパク質の発現効率を最大化できることが知られているコドンへと、特定のコドンを変更する設計工程を指す。いくつかの実施形態においては、コドンの最適化が述べられており、コドンの最適化は、タンパク質の収率の増加に最適化された合成遺伝子転写産物を作製するための、当業者に公知のアルゴリズムを使用することによって実施できる。コドン最適化のためのアルゴリズムを含むプログラムは当業者に公知である。このようなプログラムとしては、たとえば、OptimumGeneTMアルゴリズム、GeneGPS(登録商標)アルゴリズムなどが挙げられる。さらに、コドンが最適化された合成配列は、たとえば、Integrated DNA Technologies社および他のDNAシークエンシングサービスから市販品として入手できる。いくつかの実施形態においては、遺伝子に核酸を安定に挿入するための遺伝子送達ポリヌクレオチドであって、該遺伝子送達ポリヌクレオチド内において、挿入される該核酸が逆方向末端反復遺伝子配列に挟まれていること、該遺伝子送達ポリヌクレオチドが選択可能であることを特徴とする遺伝子送達ポリヌクレオチドが提供される。いくつかの実施形態においては、遺伝子転写産物全長をコードする遺伝子がヒトにおける発現を目的としてコドン最適化されている遺伝子送達ポリヌクレオチドが提供される。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子は、特にヒト細胞におけるタンパク質の発現が最大となる選択されたコドンを有するように最適化されており、このように選択されたコドンによって、T細胞におけるタンパク質またはCARの濃度を増加させることができる。
【0091】
コドンを最適化することによって、ポリヌクレオチドの二次構造の形成を低下させることもできる。いくつかの実施形態において、コドンを最適化することによって、総GC/AT比を低下させることもできる。コドンの最適化を厳密に行うと、望ましくない二次構造が形成されたり、二次構造が形成されうる望ましくないGC含量となる場合がある。二次構造はそれ自体が転写効率に影響を与える。コドン使用の最適化を行った後にGeneOptimizerなどのプログラムを使用することによって、二次構造の形成を回避したり、GC含量を最適化したりすることができる。このようなさらなるプログラムは、最初のコドン最適化を行った後にさらに最適化を実施したり、トラブルシューティングを行うために使用することができ、それによって、1回目の最適化の後で起こりうる二次構造の形成を制限することができる。最適化のためのその他のプログラムは当業者に公知である。いくつかの実施形態においては、遺伝子に核酸を安定に挿入するための遺伝子送達ポリヌクレオチドであって、該遺伝子送達ポリヌクレオチド内において、挿入される該核酸が逆方向末端反復遺伝子配列に挟まれていること、該遺伝子送達ポリヌクレオチドが選択可能であることを特徴とする遺伝子送達ポリヌクレオチドが提供される。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは、ヒトにおける発現および/または二次構造の除去および/または総GC/AT比の低下を目的としてコドン最適化された配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記配列は二次構造の除去を目的として最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記配列は、総GC/AT比が低下するように最適化されている。
【0092】
いくつかの実施形態においては、養子T細胞免疫療法のための遺伝子改変マルチプレックスT細胞を製造する方法が提供される。最も広い解釈では、該方法は、本明細書に記載の実施形態のいずれかに記載の遺伝子送達ポリヌクレオチドを提供すること、T細胞に前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを導入すること、Sleeping Beautyトランスポゼースをコードするベクターを提供すること、Sleeping Beautyトランスポゼースをコードする前記ベクターを前記T細胞に導入すること、第1の濃度域の選択試薬を加えることを含む1回目の選択と、第1の濃度域よりも高くかつ第1の濃度域の少なくとも1.5倍以上である第2の濃度域の該選択試薬を加えることを含む2回目の選択とを含む操作によって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを含む前記細胞を選択すること、ならびに選択圧下において表現型を発現する前記T細胞を単離することを含むことができる。いくつかの実施形態においては、前記選択試薬はMTXである。
【0093】
がんまたはウイルス疾患のための養子免疫療法
がんに対する養子免疫療法は、患者自身の腫瘍特異的T細胞を患者に移入し、悪性細胞の破壊を容易にすることを前提とする。T細胞は、腫瘍特異的抗原を認識して、がん細胞に対して細胞傷害活性を発揮するように遺伝子改変することができる。がんに対する養子免疫療法は、患者のT細胞を単離し、次いでキメラ抗原受容体(CAR)を発現させることによって、腫瘍認識能力を導入する方法であり、キメラ抗原受容体(CAR)とは、膜貫通セグメントを介して細胞内シグナル伝達ドメインに連結された細胞外腫瘍結合ドメインを含む膜タンパク質である。「養子免疫療法」すなわち「T細胞養子移入」は、T細胞に基づく細胞傷害性応答を利用して、がん細胞または特定の細胞標的を攻撃することを指す。患者のがんに対する天然の反応性または遺伝子改変された反応性を有するT細胞はインビトロで作製可能であり、その後、このようなT細胞による治療を必要とする対象に移入することによって戻される。本発明をなんら限定するものではないが、養子移入の一例においては、がんまたはウイルス疾患を有する対象からT細胞を取り出し、がん細胞またはウイルスに存在するバイオマーカーに特異的な受容体を発現するようにT細胞を遺伝子改変し、該遺伝子改変T細胞を移入により対象に戻し、前記遺伝子改変T細胞にがん細胞またはウイルスもしくはウイルス感染細胞を攻撃させることによって達成することができる。いくつかの実施形態においては、養子T細胞免疫療法のための遺伝子改変マルチプレックスT細胞を製造する方法が提供される。いくつかの実施形態においては、悪性細胞を標的としてこれを破壊する方法が提供される。いくつかの実施形態においては、対象においてがんまたはウイルス疾患を治療、抑制または緩和する方法が提供される。いくつかの実施形態においては、対象においてがんまたはウイルス疾患を治療、抑制または緩和する前記方法は、養子T細胞免疫療法のための遺伝子改変マルチプレックスT細胞を該対象に投与することを含む。いくつかの実施形態においては、前記対象はヒトである。
【0094】
さらなる遺伝子の同時に組み込むことによって、CAR発現T細胞の抗腫瘍活性または抗ウイルス活性をさらに高めることができる。広範囲なT細胞の活性化には、最初にCARにより腫瘍またはウイルスを認識し、シグナル伝達を開始することに加えて、共刺激分子とサイトカイン受容体とが結合することが必要とされ、このような共刺激分子とサイトカイン受容体との結合は、腫瘍またはウイルス感染症を有する対象の免疫抑制環境では存在しないと考えられる。腫瘍における免疫抑制性環境に対処することを目的として、たとえば、遺伝子改変されたCAR発現T細胞において共刺激リガンド(CD80および4−1BBLなど)を発現させると、腫瘍細胞における共刺激リガンドの発現と比較して、自己共刺激作用によりT細胞の増殖が増強されうる。T細胞免疫療法における別の課題は、患者への移入後の細胞の生存である。抗アポトーシスタンパク質を発現誘導すると、インビボにおいてT細胞の生存を改善するためことが報告されている。腫瘍へのホーミングおよび浸潤は、遺伝子改変T細胞にケモカイン受容体を導入することによって増強することができ、このアプローチは、通常はT細胞により認識されないケモカインを発現する腫瘍に対して特に有用であると考えられる。さらに、免疫抑制性の腫瘍微小環境または免疫低下状態のウイルス感染対象において良好な耐性を示すように、サイトカイン発現を誘導することなどによってT細胞を遺伝子改変することができる。したがって、複数の導入遺伝子を発現する遺伝子改変T細胞を迅速に製造する方法は、T細胞免疫療法の臨床適用にとって重要であり、かつ利点である。いくつかの実施形態においては、養子T細胞免疫療法のための遺伝子改変マルチプレックスT細胞を製造する方法が提供される。いくつかの実施形態においては、前記T細胞はキメラ抗原受容体を発現する。いくつかの実施形態においては、キメラ抗原受容体を発現するT細胞は、共刺激リガンドを発現するように遺伝子改変される。いくつかの実施形態においては、前記キメラ抗原受容体を発現するT細胞は、共刺激リガンドを発現する。いくつかの実施形態においては、前記共刺激リガンドはCD80である。いくつかの実施形態においては、前記共刺激リガンドは4−1BBLである。
【0095】
養子細胞移入は、免疫由来細胞である細胞が同じ患者に戻される移入、または別のレシピエント宿主への移入を指す。養子移入のための免疫細胞を単離するには、抗凝血剤を含有するチューブに血液を採取し、典型的には密度勾配遠心分離によりPBM(バフィーコート)細胞を単離することによって行うことができる。T細胞に基づく療法においては、インターロイキン−2の免疫調節作用に大きく依存した細胞培養法を使用してT細胞をインビトロで増殖させることができ、多数のT細胞を活性化した状態で静脈内投与することによって患者に戻すことができる。抗CD3抗体を使用して、培養におけるT細胞の増殖を促進することができる。インターロイキン−21の研究では、インビトロで調製されたT細胞に基づく治療法の有効性の増強において、インターロイキン−21が重要な役目を果たしうることが示されている。養子細胞移入に使用される細胞を使用し、組換えDNA技術を利用して遺伝子改変リンパ球を送達することによって、様々な目的を達成することができる。本明細書に記載の実施形態のいくつかにおいて、養子細胞移入を使用して、CAR発現リンパ球を対象に移入することができる。
いくつかの実施形態においては、CAR発現リンパ球は、養子T細胞免疫療法のための遺伝子改変マルチプレックスT細胞の製造方法において宿主細胞として使用される。いくつかの実施形態においては、該方法は、
本明細書に記載の実施形態に記載の遺伝子送達ポリヌクレオチドを提供すること、
T細胞に前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを導入すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードするベクターを提供すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードする前記ベクターを前記T細胞に導入すること、
第1の濃度域の選択試薬を加えることを含む1回目の選択と、第1の濃度域よりも高くかつ第1の濃度域の少なくとも1.5倍以上である第2の濃度域の該選択試薬を加えることを含む2回目の選択とを含む操作によって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを含む前記細胞を選択すること、ならびに
選択圧下において表現型を発現する前記T細胞を単離することを含む。
いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは、共刺激リガンドをコードする配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは、キメラ抗原受容体をコードする配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記T細胞はCARを発現する。本明細書に記載の実施形態において、前記CAR発現リンパ球は、Sleeping Beautyトランスポゾンを含むミニサークルによって遺伝子改変されている。いくつかの実施形態においては、前記選択試薬はMTXである。
【0096】
一例として、遺伝子改変T細胞は、たとえば腫瘍やウイルス抗原などを認識するような特異性が付与されたT細胞受容体(TCR)遺伝子の複製物を含む移入ウイルスを患者の細胞に感染させることによって作製することができるが、遺伝子改変T細胞の作製方法はこれに限定されない。この移入ウイルスは導入された細胞内で自己複製できないものの、ヒトゲノムには組み込まれることが重要である。これは、新しく導入されたTCR遺伝子はT細胞において安定した状態を保つことができるという点で利点がある。患者自身のT細胞をこれらの移入ウイルスに暴露させた後、非特異的に増殖させるか、あるいは前記遺伝子改変TCRを使用して刺激する。次いで、該T細胞を移入することにより患者に戻すと、腫瘍、ウイルスまたはウイルス感染細胞に対する免疫応答が即座に惹起される。遺伝子改変T細胞による養子細胞移入の使用は、様々ながんやウイルス感染症を治療するためのアプローチとして新規かつ有望である。いくつかの実施形態においては、がんのための養子免疫療法を実施する方法が提供される。いくつかの実施形態においては、ウイルス感染症のための養子免疫療法を実施する方法が提供される。
【0097】
ウイルスベクターを使用することによって遺伝子改変T細胞を作製する方法には、いくつかの欠点がある。T細胞の遺伝子改変は、通常、γ−レトロウイルスまたはレンチウイルスを使用して行われる。この方法は効果的である反面、製造コストがかかること、遺伝子をパッケージングする能力に限界があること、および潜在的な安全性が懸念されることなどの欠点がある。Sleeping Beauty(SB)やPiggyBacなどのトランスポゾンシステムを含むプラスミドは、ウイルスを使用せずに遺伝子をT細胞に安定に導入するためアプローチを提供する。近年、PiggyBacシステムを使用して複数のトランスポゾンを送達することによって、複数の目的の導入遺伝子を発現する安定にトランスフェクトされた哺乳動物細胞が作製された。まずは哺乳動物細胞における使用のためにIvicsおよび共同研究者によって再び使われ始めたSBシステムは、T細胞免疫療法の臨床試験における遺伝子送達法として使用されてきた。SBによる遺伝子組み込みによる転写単位およびそれらの調節配列に対する選択性は、γ−レトロウイルスやレンチウイルスベクターよりも弱く、したがって、これらのウイルスよりも安全であると考えられる。本明細書に記載の実施形態のいくつかにおいては、Sleeping Beautyシステムを含むミニサークルによる遺伝子改変が実施される。本明細書に記載の実施形態のいくつかにおいては、PiggyBacシステムを含むミニサークルによる遺伝子改変が実施される。本明細書に記載の実施形態のいくつかにおいては、Sleeping Beautyシステムを含むミニサークルによる遺伝子改変が実施される。
【0098】
ミニサークルは、トランスフェクションプラットフォームとして特に魅力的であり、それには3つの理由がある。第1の理由としては、エレクトロポレーションを使用したミニサークルによるトランスフェクション効率は、プラスミド類似体のトランスフェクション効率よりも高いことが挙げられる。第2の理由としては、2つのトランスポゾン末端の間の距離はトランスポゼース効率に影響を与えることが示されているが、ミニサークルは、この2つのトランスポゾン末端の間の距離がプラスミド類似体よりも近いことから、トランスフェクション効率が高いことが挙げられる。第3の理由としては、ヌクレオフェクション後の細胞生存率は構築物のサイズが大きくなるに従って低下するため、ミニサークルのサイズはプラスミド類似体よりも小さいことから、プラスミド類似体よりも有利であることが挙げられる。トランスポゾンの効率をさらに向上させるためには、Izsvakらにより開発された最適化SB100X高活性トランスポゼース(Nature Genet. 2009, 41, 753-761;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)と、Yantらにより開発されたT3世代のSB(Mol. Cell. Biol. 2004, 24, 9239-9247;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)とを組み合わせて使用することができる。本明細書に記載の実施形態のいくつかにおいては、養子細胞移入のための遺伝子改変T細胞の製造方法が実施される。いくつかの実施形態においては、前記方法は、T細胞にミニサークルを導入することを含む。いくつかの実施形態においては、前記導入は、エレクトロポレーションによる送達を含む。
【0099】
T細胞免疫療法における別の課題は、患者への移入後の細胞の生存である。抗アポトーシスタンパク質を発現誘導すると、インビボにおいてT細胞の生存を改善するためことが報告されている。腫瘍へのホーミングおよび浸潤は、遺伝子改変T細胞にケモカイン受容体を導入することによって増強され、このアプローチは、通常はT細胞により認識されないケモカインを発現する腫瘍に対して特に有用であると考えられる。さらに、免疫抑制性の腫瘍微小環境において良好な耐性を示すように、サイトカイン発現を誘導することなどによってT細胞を遺伝子改変することができる。したがって、複数の導入遺伝子を発現する遺伝子改変T細胞を迅速に製造する方法は、T細胞免疫療法の臨床適用にとって重要であり、かつ利点である。本明細書に記載の実施形態のいくつかにおいては、同時に組み込むためのさらなる遺伝子を同時に組み込むことによって、CAR発現T細胞の抗腫瘍活性をさらに増強する方法が実施される。いくつかの実施形態においては、前記さらなる遺伝子は共刺激リガンドをコードする。いくつかの実施形態においては、前記共刺激リガンドはCD80である。いくつかの実施形態においては、前記共刺激リガンドは4−1BBLである。いくつかの実施形態においては、前記さらなる遺伝子は抗アポトーシスタンパク質をコードする。いくつかの実施形態においては、前記さらなる遺伝子はケモカイン受容体をコードする。
【0100】
いくつかの実施形態においては、養子T細胞免疫療法のための遺伝子改変マルチプレックスT細胞を製造する方法が提供される。最も広い解釈では、該方法は、
本明細書に記載の実施形態のいずれかに記載の遺伝子送達ポリヌクレオチドを提供すること、
T細胞に前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを導入すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードするベクターを提供すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードする前記ベクターを前記T細胞に導入すること、
第1の濃度域の選択試薬を加えることを含む1回目の選択と、第1の濃度域よりも高くかつ第1の濃度域の少なくとも1.5倍以上である第2の濃度域の該選択試薬を加えることを含む2回目の選択とを含む操作によって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを含む前記細胞を選択すること、ならびに
選択圧下において表現型を発現する前記T細胞を単離することを含むことができる。いくつかの実施形態においては、前記T細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)発現T細胞である。いくつかの実施形態においては、前記選択試薬はMTXである。
【0101】
いくつかの実施形態においては、T細胞におけるタンパク質の産生を増加させる方法が提供される。最も広い解釈では、該方法は、
本明細書に記載の実施形態のいずれかに記載の遺伝子送達ポリヌクレオチドを提供すること、
T細胞に前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを導入すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードするベクターを提供すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードする前記ベクターを前記T細胞に導入すること、
第1の濃度域の選択試薬を加えることを含む1回目の選択と、第1の濃度域よりも高くかつ第1の濃度域の少なくとも1.5倍以上である第2の濃度域の該選択試薬を加えることを含む2回目の選択とを含む操作によって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを含む前記細胞を選択すること、ならびに
選択圧下において表現型を発現する前記T細胞を単離することを含むことができる。いくつかの実施形態においては、前記選択試薬はMTXである。いくつかの実施形態においては、前記T細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)発現T細胞である。
【0102】
本明細書に記載のように、前記システムの一実施形態は、遺伝子改変された非ウイルス性遺伝子送達システムを含み、このシステムの3つの重要として、
(1)安定な遺伝子発現のためのSleeping Beautyトランスポゾンシステム、
(2)トランスフェクションを増強するためのミニサークル、および
(3)選択機序としてのヒトジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体(DHFRdm)
が挙げられる(図1)。
【0103】
ミニサークルは、トランスフェクションプラットフォームとして特に魅力的であり、それには3つの理由がある。第1の理由としては、エレクトロポレーションを使用したミニサークルによるトランスフェクション効率は、プラスミド類似体のトランスフェクション効率よりも高いことが挙げられる。第2の理由としては、2つのトランスポゾン末端の間の距離はトランスポゼース効率に影響を与えることが示されているが、ミニサークルは、この2つのトランスポゾン末端の間の距離がプラスミド類似体よりも近いことから、トランスフェクション効率が高いことが挙げられる。第3の理由としては、ヌクレオフェクション後の細胞生存率は構築物のサイズが大きくなるに従って低下するため、ミニサークルのサイズはプラスミド類似体よりも小さいことから、プラスミド類似体よりも望ましいことが挙げられる。トランスポゾンの効率をさらに向上させるために、Izsvakらにより開発された最適化SB100X高活性トランスポゼース(Nature Genet. 2009, 41, 753-761;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)と、Yantらにより開発されたT3世代のSBトランスポゾン(Mol. Cell. Biol. 2004, 24, 9239-9247;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)とを組み合わせて使用した。本明細書に記載の実施形態のいくつかにおいては、T細胞の遺伝子改変は、ミニサークルを使用して行われる。いくつかの実施形態においては、前記ミニサークルはトランスポゾンを含む。いくつかの実施形態においては、前記トランスポゾンはSleeping Beautyトランスポゾンを含む。いくつかの実施形態においては、最適化SB100X高活性トランスポゼースを、T3世代のSBトランスポゾンと組み合わせて使用する。
【0104】
さらに、遺伝子改変T細胞の迅速な選択のための選択機序を使用することもできる。ヒトジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体(DHFRdm、アミノ酸変異L22FおよびF31Sを有する)は、メトトレキサートに対する親和性が15,000分の1に低減されている。メトトレキサートは、DHFRの強力な阻害剤であり、チミジル酸合成およびプリン合成を阻害する。T細胞においてDHFRdmを発現させると、増殖能力、T細胞マーカーの発現または細胞溶解能力を損なうことなく、MTXに対する耐性を付与することができる。この選択システムのさらなる利点としては、臨床グレードのMTXを利用可能であること、遺伝毒性薬剤を使用する必要がないこと、およびDHFRdmの遺伝子サイズが小さいこと(561bp)が挙げられる。したがって、MTXは、SBによって形質導入された細胞を選択的に増幅する選択機序として使用することができる。いくつかの実施形態において、前記ミニサークルは、ヒトのジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態においては、遺伝子改変されたT細胞を迅速に選択するための選択方法が提供される。いくつかの実施形態においては、前記選択方法は、遺伝子改変T細胞と臨床用メトトレキサートとを接触させることを含む。いくつかの実施形態においては、前記T細胞は、ヒトのジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする配列を含むミニサークルを含む。いくつかの実施形態においては、前記ヒトのジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、メトトレキサートに対する特異性が15,000分の1または約15,000分の1に低減されている。いくつかの実施形態においては、メトトレキサートと前記T細胞とを接触させることによって、前記ヒトのジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする配列を含むミニサークルで形質導入された細胞を選択的に増殖させることができる。いくつかの実施形態において、ヒトの前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする遺伝子は、
ATGGTTGGTTCGCTAAACTGCATCGTCGCTGTGTCCCAGAACATGGGCATCGGCAAGAACGGGGACTTCCCCTGGCCACCGCTCAGGAATGAATCCAGATATTTCCAGAGAATGACCACAACCTCTTCAGTAGAAGGTAAACAGAATCTGGTGATTATGGGTAAGAAGACCTGGTTCTCCATTCCTGAGAAGAATCGACCTTTAAAGGGTAGAATTAATTTAGTTCTCAGCAGAGAACTCAAGGAACCTCCACAAGGAGCTCATTTTCTTTCCAGAAGTCTAGATGATGCCTTAAAACTTACTGAACAACCAGAATTAGCAAATAAAGTAGACATGGTCTGGATAGTTGGTGGCAGTTCTGTTTATAAGGAAGCCATGAATCACCCAGGCCATCTTAAACTATTTGTGACAAGGATCATGCAAGACTTTGAAAGTGACACGTTTTTTCCAGAAATTGATTTGGAGAAATATAAACTTCTGCCAGAATACCCAGGTGTTCTCTCTGATGTCCAGGAGGAGAAAGGCATTAAGTACAAATTTGAAGTATATGAGAAGAATGATTAA(配列番号2)で表されるDNA配列を含む。
いくつかの実施形態においては、ヒトの前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、
MVGSLNCIVA VSQNMGIGKN GDFPWPPLRN ESRYFQRMTT TSSVEGKQNL VIMGKKTWFS IPEKNRPLKG RINLVLSREL KEPPQGAHFL SRSLDDALKL TEQPELANKV DMVWIVGGSS VYKEAMNHPG HLKLFVTRIM QDFESDTFFP EIDLEKYKLL PEYPGVLSDV QEEKGIKYKF EVYEKND(配列番号3)で表されるタンパク質配列を含む。
【0105】
SBトランスポゾンを含有するミニサークルを用いたマルチプレックス送達を利用して、最大で3つの導入遺伝子をH9 T細胞株に安定に移入させ、次いでメトトレキサート(MTX)による選択を行うことができる。MTXによる選択圧を高めることによって、より多くの遺伝子が組み込まれた細胞を選択的に得ることができる。2回連続してMTXによる選択を行う2段階選択方法を使用することによって、50%の細胞が3種の導入遺伝子産物を発現している細胞集団を得ることができる。いくつかの実施形態においては、細胞株に導入遺伝子を安定に移入する方法が提供される。いくつかの実施形態においては、細胞株にミニサークルを導入する方法が提供される。いくつかの実施形態においては、前記ミニサークルはSleeping Beautyトランスポゾンを含む。いくつかの実施形態においては、前記方法は、メトトレキサートによる選択圧を高めることをさらに含み、メトトレキサートによる選択圧を高める該工程は、該細胞株と濃度を高めたメトトレキサートとを接触させることを含む。いくつかの実施形態においては、2回目のメトトレキサートによる選択が行われる。
【0106】
さらなる実施形態
いくつかの実施形態においては、遺伝子に核酸を安定に挿入するための遺伝子送達ポリヌクレオチドであって、該遺伝子送達ポリヌクレオチド内において、挿入される該核酸が逆方向末端反復遺伝子配列に挟まれていること、該遺伝子送達ポリヌクレオチドが選択可能であることを特徴とする遺伝子送達ポリヌクレオチドが提供される。
最も広い解釈では、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは、第1〜第7の配列を含み、
第1の配列が、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第2の配列が、第2の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第3の配列が、プロモーター領域配列を含み、
第4の配列が、タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子を含む最適化された配列であり、
第5の配列が、ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする少なくとも1つの選択マーカーカセットを含む最適化された配列であり、該ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体のメトトレキサートに対する親和性が15,000分の1または約15,000分の1に低減されており、メトトレキサートを選択メカニズムとして用いることによって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドによって形質導入された細胞を選択的に増殖させることができ、
第6の配列が、第1の付着部位(attP)を含み、
第7の配列が、第2の付着部位(attB)を含むこと、ならびに
第1の配列、第2の配列、第3の配列、第4の配列、第5の配列、第6の配列および第7の配列がそれぞれ5’末端および3’末端を有し、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含む第1の配列の3’末端が、第3の配列の5’末端に隣接し、第3の配列の3’末端が、第4の配列の5’末端に隣接し、第4の配列の3’末端が、第5の配列の5’末端に隣接し、第5の配列の3’末端が、第2の逆方向末端反復を含む第2の配列の5’末端に隣接していることを特徴とする。
いくつかの実施形態において、ヒトの前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする遺伝子は、
ATGGTTGGTTCGCTAAACTGCATCGTCGCTGTGTCCCAGAACATGGGCATCGGCAAGAACGGGGACTTCCCCTGGCCACCGCTCAGGAATGAATCCAGATATTTCCAGAGAATGACCACAACCTCTTCAGTAGAAGGTAAACAGAATCTGGTGATTATGGGTAAGAAGACCTGGTTCTCCATTCCTGAGAAGAATCGACCTTTAAAGGGTAGAATTAATTTAGTTCTCAGCAGAGAACTCAAGGAACCTCCACAAGGAGCTCATTTTCTTTCCAGAAGTCTAGATGATGCCTTAAAACTTACTGAACAACCAGAATTAGCAAATAAAGTAGACATGGTCTGGATAGTTGGTGGCAGTTCTGTTTATAAGGAAGCCATGAATCACCCAGGCCATCTTAAACTATTTGTGACAAGGATCATGCAAGACTTTGAAAGTGACACGTTTTTTCCAGAAATTGATTTGGAGAAATATAAACTTCTGCCAGAATACCCAGGTGTTCTCTCTGATGTCCAGGAGGAGAAAGGCATTAAGTACAAATTTGAAGTATATGAGAAGAATGATTAA(配列番号2)で表されるDNA配列を含む。
いくつかの実施形態においては、ヒトの前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、
MVGSLNCIVA VSQNMGIGKN GDFPWPPLRN ESRYFQRMTT TSSVEGKQNL VIMGKKTWFS IPEKNRPLKG RINLVLSREL KEPPQGAHFL SRSLDDALKL TEQPELANKV DMVWIVGGSS VYKEAMNHPG HLKLFVTRIM QDFESDTFFP EIDLEKYKLL PEYPGVLSDV QEEKGIKYKF EVYEKND(配列番号3)で表されるタンパク質配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは環状である。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは少なくとも1kb〜6kbである。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドはミニサークル(minicircle)である。いくつかの実施形態においては、前記プロモーター領域は、EF1プロモーター配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、タンパク質をコードする遺伝子を1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、該配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインなどの、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記第5の配列は、前記第4の配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記最適化されたコドンおよび/またはコンセンサス配列は、複数の関連配列において利用されている配列および/または核酸塩基の可変性を比較することによって作製される。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は治療用タンパク質である。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は、抗体またはその一部を含む。いくつかの実施形態においては、前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、L22FおよびF31Sのアミノ酸変異を含む。いくつかの実施形態においては、前記ミニサークルは、前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする配列を含み、該配列は、
ATGGTTGGTTCGCTAAACTGCATCGTCGCTGTGTCCCAGAACATGGGCATCGGCAAGAACGGGGACTTCCCCTGGCCACCGCTCAGGAATGAATCCAGATATTTCCAGAGAATGACCACAACCTCTTCAGTAGAAGGTAAACAGAATCTGGTGATTATGGGTAAGAAGACCTGGTTCTCCATTCCTGAGAAGAATCGACCTTTAAAGGGTAGAATTAATTTAGTTCTCAGCAGAGAACTCAAGGAACCTCCACAAGGAGCTCATTTTCTTTCCAGAAGTCTAGATGATGCCTTAAAACTTACTGAACAACCAGAATTAGCAAATAAAGTAGACATGGTCTGGATAGTTGGTGGCAGTTCTGTTTATAAGGAAGCCATGAATCACCCAGGCCATCTTAAACTATTTGTGACAAGGATCATGCAAGACTTTGAAAGTGACACGTTTTTTCCAGAAATTGATTTGGAGAAATATAAACTTCTGCCAGAATACCCAGGTGTTCTCTCTGATGTCCAGGAGGAGAAAGGCATTAAGTACAAATTTGAAGTATATGAGAAGAATGATTAA(配列番号2)で表されるDNA配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、
MVGSLNCIVA VSQNMGIGKN GDFPWPPLRN ESRYFQRMTT TSSVEGKQNL VIMGKKTWFS IPEKNRPLKG RINLVLSREL KEPPQGAHFL SRSLDDALKL TEQPELANKV DMVWIVGGSS VYKEAMNHPG HLKLFVTRIM QDFESDTFFP EIDLEKYKLL PEYPGVLSDV QEEKGIKYKF EVYEKND(配列番号3)で表されるタンパク質配列を含む。
【0107】
いくつかの実施形態においては、養子T細胞免疫療法のための遺伝子改変マルチプレックスT細胞を製造する方法が提供される。最も広い解釈では、該方法は、
本明細書に記載の実施形態のいずれかに記載の遺伝子送達ポリヌクレオチドを提供すること、
T細胞に前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを導入すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードするベクターを提供すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードする前記ベクターを前記T細胞に導入すること、
第1の濃度域の選択試薬を加えることを含む1回目の選択と、第1の濃度域よりも高くかつ第1の濃度域の少なくとも1.5倍以上である第2の濃度域の該選択試薬を加えることを含む2回目の選択とを含む操作によって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを含む前記細胞を選択すること、ならびに
選択圧下において表現型を発現する前記T細胞を単離することを含むことができる。
いくつかの実施形態においては、前記導入をエレクトロポレーションによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択を、選択マーカーカセットを使用して選択圧を高めることによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択試薬は選択剤を含む。
いくつかの実施形態においては、前記選択剤はメトトレキサートである。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域が少なくとも50nM〜100nMであり、前記第2の濃度域が少なくとも75nM〜150nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、50nM、60nM、70nM、80nM、90nMもしくは100nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、75nM、80nM、90nM、100nM、110nM、120nM、130nM、140nMもしくは150nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも75nM〜150nMであり、前記第2の濃度域は少なくとも112.5nM〜225nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、75nM、85nM、95nM、105nM、115nM、125nM、135nM、145nMもしくは150nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、112nM、122nM、132nM、142nM、152nM、162nM、172nM、182nM、192nM、202nM、212nMもしくは225nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも300nM〜675nMであり、前記第1の濃度域は少なくとも450nM〜1012nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、300nM、350nM、400nM、450nM、500nM、550nM、600nM、650nMもしくは675nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、450nM、500nM、550nM、600nM、650nM、700nM、750nM、800nM、850nM、900nM、1000nMもしくは1012nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記1回目の選択は、前記2回目の選択を行う前に、2日、3日、4日、5日、6日または7日にわたって前記T細胞を前記選択剤に暴露することを含む。いくつかの実施形態においては、前記2回目の選択は、前記T細胞を単離する前に、少なくとも2日、3日、4日、5日、6日または7日にわたって前記T細胞を前記選択剤に暴露することを含む。
【0108】
いくつかの実施形態においては、細胞におけるタンパク質の産生を増加させる方法が提供される。最も広い解釈では、該方法は、
本明細書に記載の実施形態のいずれかに記載の遺伝子送達ポリヌクレオチドを提供すること、
T細胞に前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを導入すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードするベクターを提供すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードする前記ベクターを前記T細胞に導入すること、
第1の濃度域の選択試薬を加えることを含む1回目の選択と、第1の濃度域よりも高くかつ第1の濃度域の少なくとも1.5倍以上である第2の濃度域の該選択試薬を加えることを含む2回目の選択とを含む操作によって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを含む前記細胞を選択すること、ならびに
選択圧下において表現型を発現する前記T細胞を単離することを含むことができる。
いくつかの実施形態においては、前記導入をエレクトロポレーションによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択を、選択マーカーカセットを使用して選択圧を高めることによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択試薬は選択剤を含む。いくつかの実施形態においては、前記選択剤はメトトレキサートである。いくつかの実施形態においては、前記低濃度域すなわち第1の濃度域は少なくとも50nM〜100nMであり、前記高濃度域すなわち第2の濃度域は少なくとも75nM〜150nMである。いくつかの実施形態においては、前記低濃度域すなわち第1の濃度域は少なくとも75nM〜150nMであり、前記高濃度域すなわち第2の濃度域は少なくとも112.5nM〜225nMである。いくつかの実施形態においては、前記低濃度域すなわち第1の濃度域は少なくとも300nM〜675nMであり、前記高濃度域すなわち第2の濃度域は少なくとも450nM〜1012nMである。いくつかの実施形態においては、前記1回目の選択は、前記2回目の選択を行う前に、2日、3日、4日、5日、6日または7日にわたって前記T細胞を前記選択剤に暴露することを含む。いくつかの実施形態においては、前記2回目の選択は、前記T細胞を単離する前に、少なくとも2日、3日、4日、5日、6日または7日にわたって前記T細胞を前記選択剤に暴露することを含む。
【0109】
いくつかの実施形態においては、前記方法のいずれかによって製造された、養子T細胞免疫療法のための遺伝子改変マルチプレックスT細胞が提供される。
いくつかの実施形態においては、養子T細胞免疫療法のための前記遺伝子改変マルチプレックスT細胞の製造方法は、
遺伝子送達ポリヌクレオチドを提供すること、
T細胞に前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを導入すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードするベクターを提供すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードする前記ベクターを前記T細胞に導入すること、
第1の濃度域の選択試薬を加えることを含む1回目の選択と、第1の濃度域よりも高くかつ第1の濃度域の少なくとも1.5倍以上である第2の濃度域の該選択試薬を加えることを含む2回目の選択とを含む操作によって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを含む前記細胞を選択すること、ならびに
選択圧下において表現型を発現する前記T細胞を単離することを含む。
いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは、第1〜第7の配列を含み、
第1の配列が、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第2の配列が、第2の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第3の配列が、プロモーター領域配列を含み、
第4の配列が、タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子を含む最適化された配列であり、
第5の配列が、ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする少なくとも1つの選択マーカーカセットを含む最適化された配列であり、該ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体のメトトレキサートに対する親和性が15,000分の1または約15,000分の1に低減されており、メトトレキサートを選択メカニズムとして用いることによって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドによって形質導入された細胞を選択的に増殖させることができ、
第6の配列が、第1の付着部位(attP)を含み、
第7の配列が、第2の付着部位(attB)を含むこと、ならびに
第1の配列、第2の配列、第3の配列、第4の配列、第5の配列、第6の配列および第7の配列がそれぞれ5’末端および3’末端を有し、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含む第1の配列の3’末端が、第3の配列の5’末端に隣接し、第3の配列の3’末端が、第4の配列の5’末端に隣接し、第4の配列の3’末端が、第5の配列の5’末端に隣接し、第5の配列の3’末端が、第2の逆方向末端反復を含む第2の配列の5’末端に隣接していることを特徴とする。
いくつかの実施形態において、ヒトの前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする遺伝子は、
ATGGTTGGTTCGCTAAACTGCATCGTCGCTGTGTCCCAGAACATGGGCATCGGCAAGAACGGGGACTTCCCCTGGCCACCGCTCAGGAATGAATCCAGATATTTCCAGAGAATGACCACAACCTCTTCAGTAGAAGGTAAACAGAATCTGGTGATTATGGGTAAGAAGACCTGGTTCTCCATTCCTGAGAAGAATCGACCTTTAAAGGGTAGAATTAATTTAGTTCTCAGCAGAGAACTCAAGGAACCTCCACAAGGAGCTCATTTTCTTTCCAGAAGTCTAGATGATGCCTTAAAACTTACTGAACAACCAGAATTAGCAAATAAAGTAGACATGGTCTGGATAGTTGGTGGCAGTTCTGTTTATAAGGAAGCCATGAATCACCCAGGCCATCTTAAACTATTTGTGACAAGGATCATGCAAGACTTTGAAAGTGACACGTTTTTTCCAGAAATTGATTTGGAGAAATATAAACTTCTGCCAGAATACCCAGGTGTTCTCTCTGATGTCCAGGAGGAGAAAGGCATTAAGTACAAATTTGAAGTATATGAGAAGAATGATTAA(配列番号2)で表されるDNA配列を含む。
いくつかの実施形態においては、ヒトの前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、
MVGSLNCIVA VSQNMGIGKN GDFPWPPLRN ESRYFQRMTT TSSVEGKQNL VIMGKKTWFS IPEKNRPLKG RINLVLSREL KEPPQGAHFL SRSLDDALKL TEQPELANKV DMVWIVGGSS VYKEAMNHPG HLKLFVTRIM QDFESDTFFP EIDLEKYKLL PEYPGVLSDV QEEKGIKYKF EVYEKND(配列番号3)で表されるタンパク質配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは環状である。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは少なくとも1kb〜5kbである。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドはミニサークル(minicircle)である。いくつかの実施形態においては、前記プロモーター領域は、EF1プロモーター配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、タンパク質をコードする遺伝子を1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、該配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、ヒトにおける発現を目的としたコドン最適化によって最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインなどの、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記関連する複数のタンパク質は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインを含む。いくつかの実施形態においては、前記第5の配列は、該配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第5の配列は、ヒトにおける発現を目的としたコドン最適化によって最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は治療用タンパク質である。いくつかの実施形態においては、前記最適化されたコドンおよび/またはコンセンサス配列は、複数の関連配列において利用されている配列および/または核酸塩基の可変性を比較することによって作製される。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は、抗体またはその一部を含み、該抗体またはその一部はヒト化されていてもよい。いくつかの実施形態においては、前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、L22FおよびF31Sのアミノ酸変異を含む。いくつかの実施形態においては、前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、L22FおよびF31Sのアミノ酸変異を含む。いくつかの実施形態においては、前記導入をエレクトロポレーションによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択を、選択マーカーカセットを使用して選択圧を高めることによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択試薬は選択剤を含む。いくつかの実施形態においては、前記選択剤はメトトレキサートである。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域が少なくとも50nM〜100nMであり、前記第2の濃度域が少なくとも75nM〜150nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、50nM、60nM、70nM、80nM、90nMもしくは100nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、75nM、80nM、90nM、100nM、110nM、120nM、130nM、140nMもしくは150nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも75nM〜150nMであり、前記第2の濃度域は少なくとも112.5nM〜225nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、75nM、85nM、95nM、105nM、115nM、125nM、135nM、145nMもしくは150nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、112nM、122nM、132nM、142nM、152nM、162nM、172nM、182nM、192nM、202nM、212nMもしくは225nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも300nM〜675nMであり、前記第1の濃度域は少なくとも450nM〜1012nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、300nM、350nM、400nM、450nM、500nM、550nM、600nM、650nMもしくは675nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、450nM、500nM、550nM、600nM、650nM、700nM、750nM、800nM、850nM、900nM、1000nMもしくは1012nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記1回目の選択は、前記2回目の選択を行う前に、2日、3日、4日、5日、6日または7日にわたって前記T細胞を前記選択剤に暴露することを含む。いくつかの実施形態においては、前記2回目の選択は、前記T細胞を単離する前に、少なくとも2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日もしくは14日にわたって、またはこれらの時間点のいずれか2つによって定義される範囲にある任意の時間にわたって、前記T細胞を前記選択剤に暴露することを含む。
いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは、第1〜第7の配列を含み、
第1の配列が、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第2の配列が、第2の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第3の配列が、プロモーター領域配列を含み、
第4の配列が、タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子を含む最適化された配列であり、
第5の配列が、ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする少なくとも1つの選択マーカーカセットを含む最適化された配列であり、該ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体のメトトレキサートに対する親和性が15,000分の1または約15,000分の1に低減されており、メトトレキサートを選択メカニズムとして用いることによって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドによって形質導入された細胞を選択的に増殖させることができ、
第6の配列が、第1の付着部位(attP)を含み、
第7の配列が、第2の付着部位(attB)を含むこと、ならびに
第1の配列、第2の配列、第3の配列、第4の配列、第5の配列、第6の配列および第7の配列がそれぞれ5’末端および3’末端を有し、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含む第1の配列の3’末端が、第3の配列の5’末端に隣接し、第3の配列の3’末端が、第4の配列の5’末端に隣接し、第4の配列の3’末端が、第5の配列の5’末端に隣接し、第5の配列の3’末端が、第2の逆方向末端反復を含む第2の配列の5’末端に隣接していることを特徴とする。
いくつかの実施形態において、ヒトの前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする遺伝子は、
ATGGTTGGTTCGCTAAACTGCATCGTCGCTGTGTCCCAGAACATGGGCATCGGCAAGAACGGGGACTTCCCCTGGCCACCGCTCAGGAATGAATCCAGATATTTCCAGAGAATGACCACAACCTCTTCAGTAGAAGGTAAACAGAATCTGGTGATTATGGGTAAGAAGACCTGGTTCTCCATTCCTGAGAAGAATCGACCTTTAAAGGGTAGAATTAATTTAGTTCTCAGCAGAGAACTCAAGGAACCTCCACAAGGAGCTCATTTTCTTTCCAGAAGTCTAGATGATGCCTTAAAACTTACTGAACAACCAGAATTAGCAAATAAAGTAGACATGGTCTGGATAGTTGGTGGCAGTTCTGTTTATAAGGAAGCCATGAATCACCCAGGCCATCTTAAACTATTTGTGACAAGGATCATGCAAGACTTTGAAAGTGACACGTTTTTTCCAGAAATTGATTTGGAGAAATATAAACTTCTGCCAGAATACCCAGGTGTTCTCTCTGATGTCCAGGAGGAGAAAGGCATTAAGTACAAATTTGAAGTATATGAGAAGAATGATTAA(配列番号2)で表されるDNA配列を含む。
いくつかの実施形態においては、ヒトの前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、
MVGSLNCIVA VSQNMGIGKN GDFPWPPLRN ESRYFQRMTT TSSVEGKQNL VIMGKKTWFS IPEKNRPLKG RINLVLSREL KEPPQGAHFL SRSLDDALKL TEQPELANKV DMVWIVGGSS VYKEAMNHPG HLKLFVTRIM QDFESDTFFP EIDLEKYKLL PEYPGVLSDV QEEKGIKYKF EVYEKND(配列番号3)で表されるタンパク質配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは環状である。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは少なくとも1kb〜5kbである。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドはミニサークル(minicircle)である。いくつかの実施形態においては、前記プロモーター領域は、EF1プロモーター配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、タンパク質をコードする遺伝子を1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、該配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、ヒトにおける発現を目的としたコドン最適化によって最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインなどの、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記関連する複数のタンパク質は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインを含む。いくつかの実施形態においては、前記第5の配列は、該配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第5の配列は、ヒトにおける発現を目的としたコドン最適化によって最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は治療用タンパク質である。いくつかの実施形態においては、前記最適化されたコドンおよび/またはコンセンサス配列は、複数の関連配列において利用されている配列および/または核酸塩基の可変性を比較することによって作製される。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は、抗体またはその一部を含み、該抗体またはその一部はヒト化されていてもよい。いくつかの実施形態においては、前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、L22FおよびF31Sのアミノ酸変異を含む。いくつかの実施形態においては、前記導入をエレクトロポレーションによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択を、選択マーカーカセットを使用して選択圧を高めることによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択試薬は選択剤を含む。いくつかの実施形態においては、前記選択剤はメトトレキサートである。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域が少なくとも50nM〜100nMであり、前記第2の濃度域が少なくとも75nM〜150nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、50nM、60nM、70nM、80nM、90nMもしくは100nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、75nM、80nM、90nM、100nM、110nM、120nM、130nM、140nMもしくは150nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも75nM〜150nMであり、前記第2の濃度域は少なくとも112.5nM〜225nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、75nM、85nM、95nM、105nM、115nM、125nM、135nM、145nMもしくは150nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、112nM、122nM、132nM、142nM、152nM、162nM、172nM、182nM、192nM、202nM、212nMもしくは225nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも300nM〜675nMであり、前記第1の濃度域は少なくとも450nM〜1012nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、300nM、350nM、400nM、450nM、500nM、550nM、600nM、650nMもしくは675nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、450nM、500nM、550nM、600nM、650nM、700nM、750nM、800nM、850nM、900nM、1000nMもしくは1012nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記1回目の選択は、前記2回目の選択を行う前に、2日、3日、4日、5日、6日または7日にわたって前記T細胞を前記選択剤に暴露することを含む。いくつかの実施形態においては、前記2回目の選択は、前記T細胞を単離する前に、少なくとも2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日もしくは14日にわたって、またはこれらの時間点のいずれか2つによって定義される範囲にある任意の時間にわたって、前記T細胞を前記選択剤に暴露することを含む。
【0110】
いくつかの実施形態においては、対象におけるがんまたは疾患を治療、抑制または緩和する方法であって、以下に記載の遺伝子組換えまたは遺伝子改変マルチプレックスT細胞を対象に投与することを含む方法が提供される。
いくつかの実施形態においては、養子T細胞免疫療法のための前記遺伝子改変マルチプレックスT細胞の製造方法は、
遺伝子送達ポリヌクレオチドを提供すること、
T細胞に前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを導入すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードするベクターを提供すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードする前記ベクターを前記T細胞に導入すること、
第1の濃度域の選択試薬を加えることを含む1回目の選択と、第1の濃度域よりも高くかつ第1の濃度域の少なくとも1.5倍以上である第2の濃度域の該選択試薬を加えることを含む2回目の選択とを含む操作によって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを含む前記細胞を選択すること、ならびに
選択圧下において表現型を発現する前記T細胞を単離することを含む。
いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは、第1〜第7の配列を含み、
第1の配列が、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第2の配列が、第2の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第3の配列が、プロモーター領域配列を含み、
第4の配列が、タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子を含む、ヒトにおける発現を目的としてコドン最適化された配列であり、
第5の配列が、ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする少なくとも1つの選択マーカーカセットを含む、ヒトにおける発現を目的としてコドン最適化された配列であり、該ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体のメトトレキサートに対する親和性が15,000分の1または約15,000分の1に低減されており、メトトレキサートを選択メカニズムとして用いることによって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドによって形質導入された細胞を選択的に増殖させることができ、
第6の配列が、第1の付着部位(attP)を含み、
第7の配列が、第2の付着部位(attB)を含むこと、ならびに
第1の配列、第2の配列、第3の配列、第4の配列、第5の配列、第6の配列および第7の配列がそれぞれ5’末端および3’末端を有し、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含む第1の配列の3’末端が、第3の配列の5’末端に隣接し、第3の配列の3’末端が、第4の配列の5’末端に隣接し、第4の配列の3’末端が、第5の配列の5’末端に隣接し、第5の配列の3’末端が、第2の逆方向末端反復を含む第2の配列の5’末端に隣接していることを特徴とする。
いくつかの実施形態において、ヒトの前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする遺伝子は、
ATGGTTGGTTCGCTAAACTGCATCGTCGCTGTGTCCCAGAACATGGGCATCGGCAAGAACGGGGACTTCCCCTGGCCACCGCTCAGGAATGAATCCAGATATTTCCAGAGAATGACCACAACCTCTTCAGTAGAAGGTAAACAGAATCTGGTGATTATGGGTAAGAAGACCTGGTTCTCCATTCCTGAGAAGAATCGACCTTTAAAGGGTAGAATTAATTTAGTTCTCAGCAGAGAACTCAAGGAACCTCCACAAGGAGCTCATTTTCTTTCCAGAAGTCTAGATGATGCCTTAAAACTTACTGAACAACCAGAATTAGCAAATAAAGTAGACATGGTCTGGATAGTTGGTGGCAGTTCTGTTTATAAGGAAGCCATGAATCACCCAGGCCATCTTAAACTATTTGTGACAAGGATCATGCAAGACTTTGAAAGTGACACGTTTTTTCCAGAAATTGATTTGGAGAAATATAAACTTCTGCCAGAATACCCAGGTGTTCTCTCTGATGTCCAGGAGGAGAAAGGCATTAAGTACAAATTTGAAGTATATGAGAAGAATGATTAA(配列番号2)で表されるDNA配列を含む。
いくつかの実施形態においては、ヒトの前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、
MVGSLNCIVA VSQNMGIGKN GDFPWPPLRN ESRYFQRMTT TSSVEGKQNL VIMGKKTWFS IPEKNRPLKG RINLVLSREL KEPPQGAHFL SRSLDDALKL TEQPELANKV DMVWIVGGSS VYKEAMNHPG HLKLFVTRIM QDFESDTFFP EIDLEKYKLL PEYPGVLSDV QEEKGIKYKF EVYEKND(配列番号3)で表されるタンパク質配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは環状である。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドはミニサークル(minicircle)である。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは少なくとも1kb〜5kbである。いくつかの実施形態においては、前記プロモーター領域は、EF1プロモーター配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、タンパク質をコードする遺伝子を1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、該配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、ヒトにおける発現を目的としたコドン最適化によって最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインなどの、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記関連する複数のタンパク質は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインを含む。いくつかの実施形態においては、前記第5の配列は、該配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第5の配列は、ヒトにおける発現を目的としたコドン最適化によって最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は治療用タンパク質である。いくつかの実施形態においては、前記最適化されたコドンおよび/またはコンセンサス配列は、複数の関連配列において利用されている配列および/または核酸塩基の可変性を比較することによって作製される。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は、抗体またはその一部を含み、該抗体またはその一部はヒト化されていてもよい。いくつかの実施形態においては、前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、L22FおよびF31Sのアミノ酸変異を含む。いくつかの実施形態においては、前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、L22FおよびF31Sのアミノ酸変異を含む。いくつかの実施形態においては、前記導入をエレクトロポレーションによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択を、選択マーカーカセットを使用して選択圧を高めることによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択試薬は選択剤を含む。いくつかの実施形態においては、前記選択剤はメトトレキサートである。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域が少なくとも50nM〜100nMであり、前記第2の濃度域が少なくとも75nM〜150nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、50nM、60nM、70nM、80nM、90nMもしくは100nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、75nM、80nM、90nM、100nM、110nM、120nM、130nM、140nMもしくは150nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも75nM〜150nMであり、前記第2の濃度域は少なくとも112.5nM〜225nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、75nM、85nM、95nM、105nM、115nM、125nM、135nM、145nMもしくは150nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、112nM、122nM、132nM、142nM、152nM、162nM、172nM、182nM、192nM、202nM、212nMもしくは225nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも300nM〜675nMであり、前記第1の濃度域は少なくとも450nM〜1012nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、300nM、350nM、400nM、450nM、500nM、550nM、600nM、650nMもしくは675nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、450nM、500nM、550nM、600nM、650nM、700nM、750nM、800nM、850nM、900nM、1000nMもしくは1012nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記1回目の選択は、前記2回目の選択を行う前に、2日、3日、4日、5日、6日または7日にわたって前記T細胞を前記選択剤に暴露することを含む。いくつかの実施形態においては、前記2回目の選択は、前記T細胞を単離する前に、少なくとも2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日もしくは14日にわたって、またはこれらの時間点のいずれか2つによって定義される範囲にある任意の時間にわたって、前記T細胞を前記選択剤に暴露することを含む。いくつかの実施形態においては、前記対象はヒトである。
【実施例】
【0111】
材料および方法のいくつかを、以下により詳細に記載する。
【0112】
プラスミド
pMC_T3/eGFP_IRES_FGFR(Nucleic Acids Research, 2012, 1-10 doi:10.1093/nar/gks213、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を骨格として使用し、GFP-T2A-DHFRdmカセットを作製するための過去に報告されているクローニング戦略(Cold Spring Harbor Protoc; 2012; doi:10.1101/pdb.ip067876)を実行して、EF1aプロモーター、maxGFP遺伝子、Thosea asignaウイルス2Aペプチド(T2A)およびメトトレキサート(MTX)に非感受性のジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体(DHFRdm)を含有するT3 SBトランスポゾンカセットを含むpMC_T3/GFP-T2A-DHFRdmミニサークル(MC)プラスミドを構築した。MaxGFP(Lonza)およびpEGFRt-T2A-IMPDHdm-T2A-DHFRdm(Michael Jensenのご厚意により提供された)プラスミドを、PCRの鋳型として使用した。蛍光タンパク質をコードする遺伝子を交換するために、BmtI部位およびBamHI部位を導入した。プラスミドMC_SB100Xは過去に報告されている(Nucleic Acids Research, 2012, 1-10 doi:10.1093/nar/gks213、本明細書にその全体が組み込まれる)。ミニサークルDNAベクター技術に関するSystem Biosciences社のユーザーマニュアルに従って、ミニサークルを作製し、次いで精製した。得られたプラスミドはいずれも、エンドトキシン非存在下においてEndofree Plasmid Kit(Qiagen)を使用することによって増幅させた。
【0113】
H9の培養およびトランスフェクション
H9細胞を、10%FBSを含むDMEMにおいて培養した。H9細胞に対して最適化されたヌクレオフェクションプロトコル(Lonza)に従った(プログラムX-001、Nucleofector Kit V)。1回のヌクレオフェクション当たり、1×10個の細胞と様々な量のMC DNAとを使用した。ヌクレオフェクションの後、細胞を1週間培養することによって安定にトランスフェクションさせた。MTX選択を行うため、様々な濃度のMTXを添加した10%FBS含有DMEMにおいて細胞を培養した。
【0114】
フローサイトメトリー分析
生細胞は、ヨウ化プロピジウムをフローサイトメトリーバッファーに2μg/mlの濃度で加え、ヨウ化プロピジウムの排除に基づいて選択した。フローサイトメトリー分析は、MACSQuant Analyzer(Miltenyi Biotec)およびLSRII(BD Biosciences)を使用して実施した。収集したデータはFlowJoソフトウェアを用いて分析した。適切な陰性対照(ヨウ化プロピジウムで染色した非トランスフェクションH9細胞およびヨウ化プロピジウムで染色をした非トランスフェクションH9細胞、ならびにGFP、BFPおよびmCherryをそれぞれコードする単一の遺伝子でトランスフェクトされた細胞)を、コンペンセーションおよびゲーティングのために使用した。Becton Dickinson FACSAria IIを細胞のソーティングに使用した。フローサイトメトリー作業の一部は、UW Immunology Flow Cytometry Facilityにおいて実施した。
【0115】
トランスポゾンコピー数の決定
製造業者の取り扱い説明書(Qiagen)に従ってPuregene Kit Aを使用することによってゲノムDNAを抽出し、Universal SYBR Green Supermix(BioRad)を使用した7300 Real-Time PCR System(Applied Biosystems)においてqPCRを行った。Primer3ソフトウェアを使用してqPCRのためのプライマーを設計し、maxGFPフォワードプライマー:5’-ACAAGATCATCCGCAGCAAC-3’(配列番号4);リバースプライマー:5’-TTGAAGTGCATGTGGCTGTC-3’(配列番号5);GAPDHフォワードプライマー:5’-ACAACTTTGGTATCGTGGAAGG-3’(配列番号6);GAPDHリバースプライマー:5’-GCCATCACGCCACAGTTTC-3(配列番号7)を得た。MaxGFPプライマーはトランスポゾン中のmaxGFPに特異的である。標準曲線は、単一のトランスポゾンが挿入されたH9クローンを限界希釈法により得た後(「ゴールドスタンダード(最も有用であると広く認められている方法)」)、該H9クローンのゲノムDNAを使用して作製した。コピー数は、ΔΔCT法(Schmittgen,T.D. and Livak,K.J. (2008)、その全体が本明細書に組み込まれる)を使用して算出した。
【0116】
Sleeping Beautyトランスポゾンシステム(SBTS)の組み込み数の分布の評価
10%FBS添加DMEMを含む96ウェルプレートに、放射線を照射した(5000R)H9フィーダー細胞を5,000個/ウェルで播種するとともに、200nMのMTXにより選択したT3/GFP-T2A-DHFRdmトランスフェクトH9細胞集団を0.5個/ウェルの濃度で播種した。プレートを2〜3週間インキュベートし、その後、クローン集団をより大きなウェルのプレートに移動し、増殖させた。GFPの発現をフローサイトメトリーにより確認した。60個のクローンから個別に得たDNAを使用して相対的RT-qPCR分析を行い、トランスポゾンのコピー数を測定した。
【0117】
H9細胞への安定な遺伝子移入の最適化
遺伝子移入研究では、いずれにおいても、細菌性プラスミド配列が除去されたミニサークル構築物を使用した。ミニサークルは、Kayらおよび共同研究者による過去の報告に従って作製することができる(Chen, Z. Y.; He, C. Y.; Ehrhardt, A.; Kay, M. A. Molecular Therapy 2003, 8, 495-500およびKay, M. A.; He, C. Y.; Chen, Z. Y. Nat. Biotechnol. 2010, 28, 1287-U96;参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)。EF1αプロモーターの制御下において異なる蛍光タンパク質(maxGFP、mCherryまたはBFP)を発現するトランスポゾンを含有する3種のリポーターミニサークルを構築した。MTXに対する代謝抵抗性を付与するジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体(DHFRdm)を選択遺伝子としてT2A配列の下流のフレームにクローニングした。また、SB100Xトランスポゼース遺伝子を別のミニサークル構築物として調製し、トランスポゾンミサークルとともに共送達した。
【0118】
トランスポゾンには4つのトランスポゼース結合部位が存在する(逆方向末端反復配列1つ当たり2つのトランスポゼース結合部位が存在する)。結合したトランスポゼースは互いに相互作用し、2つのトランスポゾン末端を近接させることが提案された。トランスポゼースが過剰発現すると、遊離のトランスポゼースと結合したトランスポゼースとの相互作用によって、トランスポゾン末端同士の近接が妨げられ、転移が抑制されると仮定されてきた。したがって、トランスポゾン遺伝子とトランスポゼース遺伝子を別々の構築物として送達するための、トランスポゾンとトランスポゼースの最適な比率を決定することが必要であった。抑制現象の報告にはばらつきが見られている。
【0119】
maxGFPを発現する前記リポーターミニサークルを使用して様々なトランスポゾン/トランスポゼース比でヌクレオフェクションを行った24時間後および安定な転移がなされた後(ヌクレオフェクションの7日後)に、一過性トランスフェクションの効率をフローサイトメトリーにより評価した。トランスポゾン:トランスポゼース比の最適化を示した図2を参照されたい。H9 T細胞をトランスフェクションのテストベッドとして使用した。初期のトランスフェクション効率は、47.5%±2.2%〜66.9%±4.5%であり、トランスポゼースミニサークルの量が増えるに従って上昇した。トランスポゼースの非存在下では、ヌクレオフェクション7日後に安定なトランスフェクションは最小となった(<1%)。GFP細胞のパーセンテージは、トランスポゾン/トランスポゼース比の増加に伴って上昇し、1:4の比率において39.2%±3.0%に達し、これは、一過性に組み込まれた初期の集団の組換え効率が58.6%であったことを反映している。これより高い比率については、細胞生存率が低下するため、試験しなかった。過剰発現による抑制効果は、この試験で使用したトランスポゾン/トランスポゼース比の範囲においては観察されなかった。したがって、これら結果を元に、この最適化されたトランスポゾン/トランスポゼース比である1:4を使用して形質導入実験を実施した。
【0120】
遺伝子改変細胞のメトトレキサートによる選択
MTXの濃度を上げるとDHFRdmの発現に対する選択圧を高めることができることから、段階的に濃度を上げたMTXを使用することによって、多重組み込みが生じた細胞を選択することができると仮定した。したがって、T3/maxGFP-T2A-DHRFdmトランスポゾンによって安定に形質導入された細胞を、段階的に濃度を上げたMTX(50〜200nM)の存在下で培養し、10日間にわたってフローサイトメトリーを行うことによりGFPの発現を評価した。選択におけるメトトレキサート(MTX)濃度の効果を示した図3を参照されたい。3日間にわたってMTXによる選択を行うことよって評価した初期の選択効率は、MTXの濃度の上昇に従って低下した(図3、パネルA)。しかし、7日間にわたる選択では、すべての条件下において、GFP細胞が全体の94%を上回る集団が得られた。GFP細胞の平均GFP蛍光強度は選択圧の上昇に伴って増加し(図3、パネルB)、200nMのMTXにより選択された細胞の平均蛍光強度は、選択を行わなかった細胞の6.4倍であり、50nMのMTXにより選択された細胞の3.3倍であった。図に示すように、GFP細胞における平均GFP発現量とMTX濃度との間に正の相関が見られたことから、MTX濃度を高めることによってDHFRdmの発現が多い細胞が選択できることが示唆され、すなわち多重組み込みが生じた細胞を選択できることが示唆された。
【0121】
2週間のMTX処理により選択された遺伝子増幅細胞集団は、MTXの除去後、最長4週間にわたって導入遺伝子の発現の大部分を維持した。メトトレキサート(MTX)を除去した後の導入遺伝子の持続性を示した図4を参照されたい。MTXを除去後、4週間にわたって、すべての集団においてGFP集団が全体の90%を上回って維持されたが(図4、パネルA)、200nMのMTXにより選択された細胞では、GFP集団が全体を占める割合が最も高かった(97%)。これは、多重組み込みが生じた細胞が選択されたためだと考えられる。MTXを除去した4週後における各集団の平均GFP発現量は、200nM、100nMまたは50nMのMTXによる選択を行った集団において、それぞれ21%、27%または28%低下した(図4、パネルB)。このような平均GFP発現量の低下は、選択圧の非存在下において、プロモーターが抑制されたか、あるいはGFPの発現が低い細胞が選択的に増殖したためだと考えられる。
【0122】
組み込み数の分布の分析
MTXによる選択圧を高めることによって、多重組み込みを生じた細胞を選択することができるという仮説を評価するため、GFPプライマーを用いたRT-qPCRを使用して、MTXにより選択された細胞集団中のトランスポゾンのコピー数の平均値を測定した。まず、単一コピーのトランスポゾンが組み込まれた「ゴールドスタンダード」クローンを限界希釈法により作製した。MTXによる選択を行う前の安定に形質導入された元の集団における平均組み込み数を、細胞ソーティングにより得られたGFP細胞のRT-qPCR分析により決定した。選択圧の上昇に伴ってトランスポゾンの平均コピー数が増加する傾向が観察された。ヒト半数体ゲノム当たりのトランスポゾンのコピー数を示した図5Aを参照されたい。MTXによる選択を行う前のGFP細胞における平均組み込み数は1.1±0.02であったのに対して、200nMのMTXにより選択された細胞における平均組み込み数は2.1±0.45であった。RT-qPCRを3回行い、ソーティングされた集団から得た単一の生物学的複製のデータ、およびMTXにより選択された集団から得た3つの生物学的複製のデータを示した。統計的差異はスチューデントのt検定により評価した。
【0123】
次いで、200nMのMTXにより選択された細胞における組み込み数の分布を分析した。限界希釈法により60個のクローンを作製し、フローサイトメトリーによりGFPの発現を確認し、ゲノムDNAを単離し、半数体ゲノム当たりのGFP遺伝子数をRT-PCRにより分析した。組み込み数の分布を図5Bに示す。大部分のクローン(約65%)はGFPを複数コピー含んでいた。平均組み込み数は1.8であり、これは、200nMのMTXにより選択された細胞集団におけるトランスポゾンの平均コピー数とよく相関している(図5A)。
【0124】
マルチプレックス遺伝子の組み込みの評価
200nMのMTXの選択圧下で増殖させた形質導入細胞集団の大部分は複数コピーのトランスポゾンを含んでいたことが示されたことから、マルチプレックス遺伝子の組み込みをこれらの条件下で評価した。トランスポゾンカセット中に3種のリポーター遺伝子(maxGFP、mCherryおよびBFP)を別々に含有する3種のミニサークルおよびSB100XトランスポゼースミニサークルをH9細胞にヌクレオフェクトした。次いで、安定に形質導入された細胞を200nMの濃度において7日間かけて選択し、細胞集団をフローサイトメトリー分析で評価した。図6を参照されたい。図6は、異なる蛍光タンパク質を含むトランスポゾンを有する3種のミニサークル(MC_T3/GFP-T2A-DHFRdm、MC_T3/BFP-T2A-DHFRdm、MC_T3/mCherry-T2A-DHFRdm)それぞれ2μgと、MC_SB100X DNA 6μgとでヌクレオフェクトしたH9細胞集団を、トランスフェクション後の様々な時点においてフローサイトメトリーで分析した結果を示す。ヌクレオフェクションの24時間後に評価した初期のトランスフェクション効率は68%であった(図6パネルA)。安定に形質導入された集団は37±1.4%であり、組み込み効率が54%であったことを示している。この集団のうち、19±0.6%は、2種または3種の蛍光タンパク質を発現した。安定に形質導入された細胞を200nMのMTXの存在下で1週間培養し、その後分析した。この選択された集団のうち、23±1.0%は3種すべてのリポータータンパク質を発現した(図6、パネルA)。3種の導入遺伝子を発現する細胞集団をさらに増加させるため、200nMのMTXにより選択された細胞を、MTXの濃度を高めた第2の選択工程に供した。図7を参照されたい。図7は、3種のトランスポゾンが安定にトランスフェクトされたH9細胞集団を200nMのMTXにより1週間かけて選択し、次いで、500nMおよび1000nMに濃度を高めたMTXに暴露させた結果を示す棒グラフを示している。図に示すように、500nMまたは1000nMのMTXとともに細胞をさらに1週間培養すると、3種の導入遺伝子を発現する細胞集団が増加した(それぞれ、38.5±1.0%および53.1±0.3%となった)。2回目の選択によって、細胞生存率は約70%に回復し、これはDHFRdm遺伝子を過剰発現する細胞がさらに選択されたことによる。
【0125】
メトトレキサートによる選択下での、Sleeping Beautyを用いたトランスポゾンDNAのT細胞における安定な発現
AmaxaTM NucleofectorTMテクノロジーを使用して、新しく解凍した末梢血単核細胞(PBMC)へエレクトロポレーションを行った。この細胞に、10μgのミニサークルGFP(MC_T3/GFP-T2A-DHFRdm)と、様々な量のSB100X高活性トランスポゼース(0μg、5μgまたは10μg)とをトランスフェクトした。対照細胞は、ミニサークルではないpMAXGFPベクター(10μg)をトランスフェクトするか、あるいはDNAによるトランスフェクトを行わなかった。トランスフェクションの4〜6時間後、IL−2およびIL−15の存在下において、前記細胞をMiltenyi Transactビーズにより刺激した。次いで、前記細胞を400,000個/ウェルとなるように96ウェルU底プレートに分注した。トランスフェクションの7日後に、前記細胞を0nM、25nM、50nMまたは100nMのメトトレキサートで処理した。2日目、5日目、7日目、14日目および19日目に前記細胞を採取し、トリパンブルー染色でカウントし、染色し、分析した。
【0126】
ミニサークルをトランスフェクトさせたGFP発現リンパ球のフローサイトメトリー分析の一例を示す図8を参照されたい。リンパ球ウィンドウ(パネルA)由来の単一細胞(パネルB)の生存率をInvitrogen社のLIVE/DEAD red stainを用いて分析した(パネルC)。次いで、生リンパ球のCD8の発現およびGFPの発現を分析した(パネルD)。図8パネルDに示すように、50nMのメトトレキサートによる選択後、リンパ球の大部分はCD8であり、GFPを発現した。
【0127】
1週間経過後の、Sleeping Beautyを用いたトランスポゾンDNAのT細胞における安定な発現
MTXによる選択を行う一週間前のミニサークルDNAの発現を評価するため、pMAXGFPでトランスフェクトした細胞、GFPトランスポゾン:SB100X=1:1でトランスフェクトした細胞、GFPトランスポゾン:SB100X=1:2でトランスフェクトした細胞、mcGFP単独でトランスフェクトした細胞、またはDNAをトランスフェクトしなかった対照細胞をフローサイトメトリーで分析し比較した。エレクトロポレーションの2日後(Transactビーズなし)および5日後(Transactビーズあり)における細胞に対して行ったFACSアッセイの結果を示す図9を参照されたい。図に示すように、MTXの非存在下ではGFPの発現が経時的に消失する。しかし、SB100Xトランスポゼースが共トランスフェクトされた場合においてのみ、GFPトランスポゾンDNAをトランスフェクトした細胞においてGFPの発現が維持されている。
【0128】
2日目〜7日目のGFPの発現レベルおよび細胞増殖を示したグラフを示す図10を参照されたい。図10のパネルAに示すように、GFPの発現量(%)は経時的に低下している(pMAXGFP(10μg)、mcGFP:MC_SB100X=1:1およびmcGFP:MC_SB100X=2:1)。Transactビーズの存在下では生細胞は徐々に増加しているが(パネルB)、Transactビーズの非存在下では増加せず(パネルC)、細胞の増殖にとってTransactビーズが重要であることを示している。
【0129】
7日間および12日間にわたるMTXによる細胞選択
1週間後、トランスフェクトされた細胞試料を、様々な濃度のMTX(25nM、50nMまたは100nM)に暴露させ、ミニサークルトランスポゾンを発現する細胞を濃縮した。トランスポゼースが組み込まれたことによって、DHFRdm MTX抵抗性遺伝子およびGFPを安定に発現する細胞は、濃度を高めたMTXの存在下でも生存するはずだと考えられる。100nMのメトトレキサートで7日間処理した後のトランスフェクト細胞のFACSアッセイの結果を示す図11を参照されたい。100nMのMTXで処理した細胞においては、トランスポゾンおよびトランスポゼースDNAの両方をトランスフェクトした細胞のみがGFPを発現した。図に示すように、mcGFP:MC_SB100X=2:1でトランスフェクトした細胞、およびmcGFP:MC_SB100X=1:1でトランスフェクトした細胞のいずれにおいても、100nMのMTXで7日間処理することによってGFPの発現を有効に選択できた。
【0130】
7日間および12日間にわたってメトトレキサートで処理したトランスフェクト細胞のFACSアッセイの結果を示す図12および図13を参照されたい。生リンパ球の散布図および生リンパ球におけるCD8/GFPの発現について条件ごとに示している。リンパ球におけるGFPの発現量(%)を図12の各枠に示す。
【0131】
図12においてに示すように、0nMのMTXで7日間処理した細胞においては、約25%の細胞がGFPの発現を示し、25nMのMTXで7日間処理した細胞では、75%の細胞がGFPの発現を示している。対照的に、50nMまたは100nMのMTXで処理した細胞では、少なくとも90%の細胞がGFPを発現している。図に示すように、mcGFP:MC_SB100X=2:1およびmcGFP:MC_SB100X=1:1のいずれにおいても、50nMおよび100nMの濃度のMTXで選択することによって、GFP発現細胞を有効に濃縮できた。予想されたように、SBトランスポゼースの非存在下およびDNAをトランスフェクトしなかった対照において、GFPの発現は確認できなかった。CD8リンパ球およびCD8リンパ球において、GFPの発現には差がないことには留意されたい。
【0132】
メトトレキサートによる選択下での、Sleeping Beautyを用いたトランスポゾンDNAのT細胞における安定な発現−細胞数のカウント
次いで、MTXによる選択下でトランスポゾンDNAを安定に発現するPBMCの細胞増殖を評価した。Transactビーズによる刺激およびIL−2およびIL−15の存在下において増殖させているため、1週目までに見られる生存細胞の大部分はT細胞であることに留意されたい。図14に示すように、0nM、25nM、50nMおよび100nMのメトトレキサートで処理した後の生細胞数を、7日後、14日後および19日後(MTXによる処理を行った後0日目、7日目および12日目)にトリパンブルー染色によりカウントした。対照(0nMのMTX)においては、すべてのDNA条件下において生細胞数は経時的に増加した。しかし、MTXの存在下では、GFPおよびDHFRdm抵抗性遺伝子を共発現するミニサークルトランスポゾンとSBトランスポゼースとをトランスフェクトされた細胞だけが細胞分裂を行うことができ、これは、SBがこのトランスポゾンの安定な発現に必要であることを示している。
【0133】
メトトレキサートによる選択下での、Sleeping Beautyを用いたトランスポゾンDNAのT細胞における安定な発現−GFPの発現
MTXによる選択を行う際の、Sleeping Beautyを用いたトランスポゾンDNAのT細胞における安定な発現を評価するため、このトランスフェクト細胞におけるGFPの発現を19日間にわたって測定した。図14を参照されたい。図14は、トランスポゾンDNAおよびSleeping BeautyがトランスフェクトされたT細胞において、7日目に開始したメトトレキサートによる選択(0nM、25nM、50nMおよび100nM)を行った後にGFPの発現が経時的に増加することを示している。メトトレキサートによる選択を行わなかった対照においては、mcGFPおよびSBがトランスフェクトされた細胞におけるGFPの発現は、2日目から5日目、7日目、14日目および19日目にわたって、約20%に維持されており、そのうち、mcGFPが単独でトランスフェクトされた対照およびpMAXGFPがトランスフェクトされた対照においては、GFPの発現は徐々に低下している。MTXによる選択の存在下では、GFPの発現は経時的に増加し、50nMおよび100nMのMTXによる選択においてGFPの発現は最も高くなった。図に示すように、mcGFPとMC_SB100Xとの比率が1:1であっても2:1であっても差は見られなかった。さらに、50nMのMTXに暴露させた細胞と100nMのMTXに暴露された細胞においても、平均蛍光強度の差はごくわずかであった。mcGFPを単独でトランスフェクトさせた場合における、MTXの存在下でのGFPの低レベル発現(約20%)は、独立したトランスポゾンが安定に組み込まれたためと考えられ、この条件下における細胞の絶対数は、図14に示したように非常に少ないものとなっている。
【0134】
一実施形態において、遺伝子に核酸を安定に挿入するための遺伝子送達ポリヌクレオチドであって、
該遺伝子送達ポリヌクレオチド内において、挿入される該核酸が逆方向末端反復遺伝子配列に挟まれていること、
該遺伝子送達ポリヌクレオチドが選択可能であること、
該遺伝子送達ポリヌクレオチドが、第1〜第7の配列を含み、
第1の配列が、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第2の配列が、第2の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第3の配列が、プロモーター領域配列を含み、
第4の配列が、タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子を含む最適化された配列であり、
第5の配列が、ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする少なくとも1つの選択マーカーカセットを含む最適化された配列であり、該ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体のメトトレキサートに対する親和性が15,000分の1または約15,000分の1に低減されており、メトトレキサートを選択メカニズムとして用いることによって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドによって形質導入された細胞を選択的に増殖させることができ、
第6の配列が、第1の付着部位(attP)を含み、
第7の配列が、第2の付着部位(attB)を含むこと、ならびに
第1の配列、第2の配列、第3の配列、第4の配列、第5の配列、第6の配列および第7の配列がそれぞれ5’末端および3’末端を有し、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含む第1の配列の3’末端が、第3の配列の5’末端に隣接し、第3の配列の3’末端が、第4の配列の5’末端に隣接し、第4の配列の3’末端が、第5の配列の5’末端に隣接し、第5の配列の3’末端が、第2の逆方向末端反復を含む第2の配列の5’末端に隣接していることを特徴とする遺伝子送達ポリヌクレオチドが提供される。
いくつかの実施形態において、ヒトの前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする遺伝子は、
ATGGTTGGTTCGCTAAACTGCATCGTCGCTGTGTCCCAGAACATGGGCATCGGCAAGAACGGGGACTTCCCCTGGCCACCGCTCAGGAATGAATCCAGATATTTCCAGAGAATGACCACAACCTCTTCAGTAGAAGGTAAACAGAATCTGGTGATTATGGGTAAGAAGACCTGGTTCTCCATTCCTGAGAAGAATCGACCTTTAAAGGGTAGAATTAATTTAGTTCTCAGCAGAGAACTCAAGGAACCTCCACAAGGAGCTCATTTTCTTTCCAGAAGTCTAGATGATGCCTTAAAACTTACTGAACAACCAGAATTAGCAAATAAAGTAGACATGGTCTGGATAGTTGGTGGCAGTTCTGTTTATAAGGAAGCCATGAATCACCCAGGCCATCTTAAACTATTTGTGACAAGGATCATGCAAGACTTTGAAAGTGACACGTTTTTTCCAGAAATTGATTTGGAGAAATATAAACTTCTGCCAGAATACCCAGGTGTTCTCTCTGATGTCCAGGAGGAGAAAGGCATTAAGTACAAATTTGAAGTATATGAGAAGAATGATTAA(配列番号2)で表されるDNA配列を含む。
いくつかの実施形態においては、ヒトの前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、
MVGSLNCIVA VSQNMGIGKN GDFPWPPLRN ESRYFQRMTT TSSVEGKQNL VIMGKKTWFS IPEKNRPLKG RINLVLSREL KEPPQGAHFL SRSLDDALKL TEQPELANKV DMVWIVGGSS VYKEAMNHPG HLKLFVTRIM QDFESDTFFP EIDLEKYKLL PEYPGVLSDV QEEKGIKYKF EVYEKND(配列番号3)で表されるタンパク質配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは環状である。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは少なくとも1kb〜5kbである。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドはミニサークル(minicircle)である。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドはミニサークル(minicircle)である。いくつかの実施形態においては、前記プロモーター領域は、EF1プロモーター配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、タンパク質をコードする遺伝子を1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、該配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、ヒトにおける発現を目的としたコドン最適化によって最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインなどの、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記関連する複数のタンパク質は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインを含む。いくつかの実施形態においては、前記第5の配列は、該配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第5の配列は、ヒトにおける発現を目的としたコドン最適化によって最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は治療用タンパク質である。いくつかの実施形態においては、前記最適化されたコドンおよび/またはコンセンサス配列は、複数の関連配列において利用されている配列および/または核酸塩基の可変性を比較することによって作製される。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は、抗体またはその一部を含み、該抗体またはその一部はヒト化されていてもよい。いくつかの実施形態においては、前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、L22FおよびF31Sのアミノ酸変異を含む。
【0135】
いくつかの実施形態においては、養子T細胞免疫療法のための遺伝子改変マルチプレックスT細胞を製造する方法であって、
本明細書に記載の遺伝子送達ポリヌクレオチドを提供すること、
T細胞に前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを導入すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードするベクターを提供すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードする前記ベクターを前記T細胞に導入すること、
第1の濃度域の選択試薬を加えることを含む1回目の選択と、第1の濃度域よりも高くかつ第1の濃度域の少なくとも1.5倍以上である第2の濃度域の該選択試薬を加えることを含む2回目の選択とを含む操作によって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを含む前記細胞を選択すること、ならびに
選択圧下において表現型を発現する前記T細胞を単離することを含む方法が提供される。
いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは、第1〜第7の配列を含み、
第1の配列が、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第2の配列が、第2の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第3の配列が、プロモーター領域配列を含み、
第4の配列が、タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子を含む最適化された配列であり、
第5の配列が、ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする少なくとも1つの選択マーカーカセットを含む最適化された配列であり、該ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体のメトトレキサートに対する親和性が15,000分の1または約15,000分の1に低減されており、メトトレキサートを選択メカニズムとして用いることによって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドによって形質導入された細胞を選択的に増殖させることができ、
第6の配列が、第1の付着部位(attP)を含み、
第7の配列が、第2の付着部位(attB)を含むこと、ならびに
第1の配列、第2の配列、第3の配列、第4の配列、第5の配列、第6の配列および第7の配列がそれぞれ5’末端および3’末端を有し、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含む第1の配列の3’末端が、第3の配列の5’末端に隣接し、第3の配列の3’末端が、第4の配列の5’末端に隣接し、第4の配列の3’末端が、第5の配列の5’末端に隣接し、第5の配列の3’末端が、第2の逆方向末端反復を含む第2の配列の5’末端に隣接していることを特徴とする。
いくつかの実施形態において、ヒトの前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする遺伝子は、
ATGGTTGGTTCGCTAAACTGCATCGTCGCTGTGTCCCAGAACATGGGCATCGGCAAGAACGGGGACTTCCCCTGGCCACCGCTCAGGAATGAATCCAGATATTTCCAGAGAATGACCACAACCTCTTCAGTAGAAGGTAAACAGAATCTGGTGATTATGGGTAAGAAGACCTGGTTCTCCATTCCTGAGAAGAATCGACCTTTAAAGGGTAGAATTAATTTAGTTCTCAGCAGAGAACTCAAGGAACCTCCACAAGGAGCTCATTTTCTTTCCAGAAGTCTAGATGATGCCTTAAAACTTACTGAACAACCAGAATTAGCAAATAAAGTAGACATGGTCTGGATAGTTGGTGGCAGTTCTGTTTATAAGGAAGCCATGAATCACCCAGGCCATCTTAAACTATTTGTGACAAGGATCATGCAAGACTTTGAAAGTGACACGTTTTTTCCAGAAATTGATTTGGAGAAATATAAACTTCTGCCAGAATACCCAGGTGTTCTCTCTGATGTCCAGGAGGAGAAAGGCATTAAGTACAAATTTGAAGTATATGAGAAGAATGATTAA(配列番号2)で表されるDNA配列を含む。
いくつかの実施形態においては、ヒトの前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、
MVGSLNCIVA VSQNMGIGKN GDFPWPPLRN ESRYFQRMTT TSSVEGKQNL VIMGKKTWFS IPEKNRPLKG RINLVLSREL KEPPQGAHFL SRSLDDALKL TEQPELANKV DMVWIVGGSS VYKEAMNHPG HLKLFVTRIM QDFESDTFFP EIDLEKYKLL PEYPGVLSDV QEEKGIKYKF EVYEKND(配列番号3)で表されるタンパク質配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは環状である。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは少なくとも1kb〜5kbである。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドはミニサークル(minicircle)である。いくつかの実施形態においては、前記プロモーター領域は、EF1プロモーター配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、タンパク質をコードする遺伝子を1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、該配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、ヒトにおける発現を目的としたコドン最適化によって最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインなどの、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記関連する複数のタンパク質は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインを含む。いくつかの実施形態においては、前記第5の配列は、該配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第5の配列は、ヒトにおける発現を目的としたコドン最適化によって最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は治療用タンパク質である。いくつかの実施形態においては、前記最適化されたコドンおよび/またはコンセンサス配列は、複数の関連配列において利用されている配列および/または核酸塩基の可変性を比較することによって作製される。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は、抗体またはその一部を含み、該抗体またはその一部はヒト化されていてもよい。いくつかの実施形態においては、前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、L22FおよびF31Sのアミノ酸変異を含む。いくつかの実施形態においては、前記導入をエレクトロポレーションによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択を、選択マーカーカセットを使用して選択圧を高めることによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択試薬は選択剤を含む。いくつかの実施形態においては、前記選択剤はメトトレキサートである。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域が少なくとも50nM〜100nMであり、前記第2の濃度域が少なくとも75nM〜150nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、50nM、60nM、70nM、80nM、90nMもしくは100nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、75nM、80nM、90nM、100nM、110nM、120nM、130nM、140nMもしくは150nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも75nM〜150nMであり、前記第2の濃度域は少なくとも112.5nM〜225nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、75nM、85nM、95nM、105nM、115nM、125nM、135nM、145nMもしくは150nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、112nM、122nM、132nM、142nM、152nM、162nM、172nM、182nM、192nM、202nM、212nMもしくは225nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも300nM〜675nMであり、前記第1の濃度域は少なくとも450nM〜1012nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、300nM、350nM、400nM、450nM、500nM、550nM、600nM、650nMもしくは675nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、450nM、500nM、550nM、600nM、650nM、700nM、750nM、800nM、850nM、900nM、1000nMもしくは1012nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記1回目の選択は、前記2回目の選択を行う前に、2日、3日、4日、5日、6日または7日にわたって前記T細胞を前記選択剤に暴露することを含む。いくつかの実施形態においては、前記2回目の選択は、前記T細胞を単離する前に、少なくとも2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日もしくは14日にわたって、またはこれらの時間点のいずれか2つによって定義される範囲にある任意の時間にわたって、前記T細胞を前記選択剤に暴露することを含む。
【0136】
いくつかの実施形態においては、T細胞におけるタンパク質の産生を増加させる方法であって、
本明細書に記載のポリヌクレオチドを提供すること、
細胞に前記ポリヌクレオチドを導入すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードするベクターを提供すること、
Sleeping Beautyトランスポゼースをコードする前記ベクターを前記T細胞に導入すること、
第1の濃度域の選択試薬を加えることを含む1回目の選択と、第1の濃度域よりも高くかつ第1の濃度域の少なくとも1.5倍以上である第2の濃度域の該選択試薬を加えることを含む2回目の選択とを含む操作によって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドを含む前記細胞を選択すること、ならびに
選択圧下において表現型を発現する前記細胞を単離すること
を含む方法が提供される。
いくつかの実施形態においては、前記導入をエレクトロポレーションによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択を、選択マーカーカセットを使用して選択圧を高めることによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択試薬は選択剤を含む。いくつかの実施形態においては、前記選択剤はメトトレキサートである。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域が少なくとも50nM〜100nMであり、前記第2の濃度域が少なくとも75nM〜150nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、50nM、60nM、70nM、80nM、90nMもしくは100nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、75nM、80nM、90nM、100nM、110nM、120nM、130nM、140nMもしくは150nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも75nM〜150nMであり、前記第2の濃度域は少なくとも112.5nM〜225nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、75nM、85nM、95nM、105nM、115nM、125nM、135nM、145nMもしくは150nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、112nM、122nM、132nM、142nM、152nM、162nM、172nM、182nM、192nM、202nM、212nMもしくは225nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも300nM〜675nMであり、前記第1の濃度域は少なくとも450nM〜1012nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、300nM、350nM、400nM、450nM、500nM、550nM、600nM、650nMもしくは675nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、450nM、500nM、550nM、600nM、650nM、700nM、750nM、800nM、850nM、900nM、1000nMもしくは1012nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記1回目の選択は、前記2回目の選択を行う前に、2日、3日、4日、5日、6日または7日にわたって前記T細胞を前記選択剤に暴露することを含む。いくつかの実施形態においては、前記2回目の選択は、前記T細胞を単離する前に、少なくとも2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日もしくは14日にわたって、またはこれらの時間点のいずれか2つによって定義される範囲にある任意の時間にわたって、前記T細胞を前記選択剤に暴露することを含む。
【0137】
いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは、第1〜第7の配列を含み、
第1の配列が、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第2の配列が、第2の逆方向末端反復遺伝子配列を含み、
第3の配列が、プロモーター領域配列を含み、
第4の配列が、タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子を含む最適化された配列であり、
第5の配列が、ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする少なくとも1つの選択マーカーカセットを含む最適化された配列であり、該ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体のメトトレキサートに対する親和性が15,000分の1または約15,000分の1に低減されており、メトトレキサートを選択メカニズムとして用いることによって、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドによって形質導入された細胞を選択的に増殖させることができ、
第6の配列が、第1の付着部位(attP)を含み、
第7の配列が、第2の付着部位(attB)を含むこと、ならびに
第1の配列、第2の配列、第3の配列、第4の配列、第5の配列、第6の配列および第7の配列がそれぞれ5’末端および3’末端を有し、第1の逆方向末端反復遺伝子配列を含む第1の配列の3’末端が、第3の配列の5’末端に隣接し、第3の配列の3’末端が、第4の配列の5’末端に隣接し、第4の配列の3’末端が、第5の配列の5’末端に隣接し、第5の配列の3’末端が、第2の逆方向末端反復を含む第2の配列の5’末端に隣接していることを特徴とする。
いくつかの実施形態において、ヒトの前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体をコードする遺伝子は、
ATGGTTGGTTCGCTAAACTGCATCGTCGCTGTGTCCCAGAACATGGGCATCGGCAAGAACGGGGACTTCCCCTGGCCACCGCTCAGGAATGAATCCAGATATTTCCAGAGAATGACCACAACCTCTTCAGTAGAAGGTAAACAGAATCTGGTGATTATGGGTAAGAAGACCTGGTTCTCCATTCCTGAGAAGAATCGACCTTTAAAGGGTAGAATTAATTTAGTTCTCAGCAGAGAACTCAAGGAACCTCCACAAGGAGCTCATTTTCTTTCCAGAAGTCTAGATGATGCCTTAAAACTTACTGAACAACCAGAATTAGCAAATAAAGTAGACATGGTCTGGATAGTTGGTGGCAGTTCTGTTTATAAGGAAGCCATGAATCACCCAGGCCATCTTAAACTATTTGTGACAAGGATCATGCAAGACTTTGAAAGTGACACGTTTTTTCCAGAAATTGATTTGGAGAAATATAAACTTCTGCCAGAATACCCAGGTGTTCTCTCTGATGTCCAGGAGGAGAAAGGCATTAAGTACAAATTTGAAGTATATGAGAAGAATGATTAA(配列番号2)で表されるDNA配列を含む。
いくつかの実施形態においては、ヒトの前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、
MVGSLNCIVA VSQNMGIGKN GDFPWPPLRN ESRYFQRMTT TSSVEGKQNL VIMGKKTWFS IPEKNRPLKG RINLVLSREL KEPPQGAHFL SRSLDDALKL TEQPELANKV DMVWIVGGSS VYKEAMNHPG HLKLFVTRIM QDFESDTFFP EIDLEKYKLL PEYPGVLSDV QEEKGIKYKF EVYEKND(配列番号3)で表されるタンパク質配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは環状である。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドは少なくとも1kb〜5kbである。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドはミニサークル(minicircle)である。いくつかの実施形態においては、前記遺伝子送達ポリヌクレオチドはミニサークル(minicircle)である。いくつかの実施形態においては、前記プロモーター領域は、EF1プロモーター配列を含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、タンパク質をコードする遺伝子を1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ含む。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、該配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、ヒトにおける発現を目的としたコドン最適化によって最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記第4の配列は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインなどの、関連する複数のタンパク質をコードする複数の核酸から作製されたコンセンサス配列である。いくつかの実施形態においては、前記関連する複数のタンパク質は、同じエピトープに特異的な複数の抗体結合ドメインを含む。いくつかの実施形態においては、前記第5の配列は、該配列中の総GC/AT比が低下するようにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記第5の配列は、ヒトにおける発現を目的としたコドン最適化によって最適化されている。いくつかの実施形態においては、前記最適化されたコドンおよび/またはコンセンサス配列は、複数の関連配列において利用されている配列および/または核酸塩基の可変性を比較することによって作製される。いくつかの実施形態においては、前記タンパク質は、抗体またはその一部を含み、該抗体またはその一部はヒト化されていてもよい。いくつかの実施形態においては、前記ジヒドロ葉酸還元酵素の二重変異体は、L22FおよびF31Sのアミノ酸変異を含む。いくつかの実施形態においては、前記導入をエレクトロポレーションによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択を、選択マーカーカセットを使用して選択圧を高めることによって行う。いくつかの実施形態においては、前記選択試薬は選択剤を含む。いくつかの実施形態においては、前記選択剤はメトトレキサートである。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域が少なくとも50nM〜100nMであり、前記第2の濃度域が少なくとも75nM〜150nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、50nM、60nM、70nM、80nM、90nMもしくは100nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、75nM、80nM、90nM、100nM、110nM、120nM、130nM、140nMもしくは150nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも75nM〜150nMであり、前記第2の濃度域は少なくとも112.5nM〜225nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、75nM、85nM、95nM、105nM、115nM、125nM、135nM、145nMもしくは150nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、112nM、122nM、132nM、142nM、152nM、162nM、172nM、182nM、192nM、202nM、212nMもしくは225nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記第1の濃度域は少なくとも300nM〜675nMであり、前記第1の濃度域は少なくとも450nM〜1012nMである。いくつかの実施形態においては、前記第1濃度は、300nM、350nM、400nM、450nM、500nM、550nM、600nM、650nMもしくは675nM、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度であり、前記第2の濃度域は、450nM、500nM、550nM、600nM、650nM、700nM、750nM、800nM、850nM、900nM、1000nMもしくは1012nMであり、またはこれらの濃度のいずれか2つによって定義される濃度範囲にある任意の濃度である。いくつかの実施形態においては、前記1回目の選択は、前記2回目の選択を行う前に、2日、3日、4日、5日、6日または7日にわたって前記T細胞を前記選択剤に暴露することを含む。いくつかの実施形態においては、前記2回目の選択は、前記T細胞を単離する前に、少なくとも2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日もしくは14日にわたって、またはこれらの時間点のいずれか2つによって定義される範囲にある任意の時間にわたって、前記T細胞を前記選択剤に暴露することを含む。
【0138】
いくつかの実施形態においては、対象におけるがんまたは疾患を治療、抑制または緩和する方法であって、本明細書に記載の改変T細胞を対象に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態においては、前記対象はヒトである。
【0139】
本明細書における実質的に複数形および/または単数形の用語の使用に関して、当業者であれば、本明細書の文脈および/または本明細書に記載の用途を踏まえて、複数個のものを単数のものであると解釈することができ、かつ/または単数のものを複数個のものであると解釈することができる。本発明を明確なものとするため、単数から複数または複数から単数へのさまざまな置き換えが本明細書において記載されている。
【0140】
当業者であれば、通常、本明細書に記載の用語、特に、添付の請求項(たとえば、添付の請求項の本体部)において使用されている用語は「オープンエンドな」用語であることを理解するであろう(たとえば、「含んでいる(including)」という用語は、「含んでいるが、これらに限定されない」と解釈されるべきであり、「有する(having)」という用語は、「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は「含むが、これらに限定されない」と解釈されるべきである)。さらに、当業者であれば、特定の数について請求項に記載する場合、その記載の意図も請求項に明確に記載すべきであり、特定数が記載されない場合はその意図を記載する必要はないことを理解するであろう。分かりやすく説明をすれば、たとえば、後述の特許請求の範囲では、請求項を記載するために、「少なくとも1つ」や「1つ以上」といった前置きが記載されている場合がある。しかしながら、このような前置きが使用されているからといって、不定冠詞「1つ(aまたはan)」で記載された特定の請求項を、1つのみの要素を含む実施形態に限定すべきではなく、たとえ同じ請求項内に「1つ以上」または「少なくとも1つ」といった前置きと「1つ(aまたはan)」といった不定冠詞とが含まれていたとしても、1つのみの要素を含む実施形態に限定すべきではない(たとえば、「1つ(aおよび/またはan)」は、通常、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである)。これは、請求項の記載において定冠詞が使用された場合でも同じである。さらに、請求項に特定の数が明確に記載されていたとしても、当業者であれば、通常、「少なくとも」記載されたその数であるということを理解するであろう(たとえば、修飾語を伴わない「2つ」という記載は、「少なくとも」2つまたは「2つ以上」を意味する)。さらに、たとえば「A、BおよびCのうち少なくとも1つ」などの頻用される語句が使用される場合、通常、そのような文構造は、当業者がその語句を通常理解する意味で記載されている(たとえば、「A、BおよびCのうち少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみを有するシステム、Bのみを有するシステム、Cのみを有するシステム、AとBの両方を有するシステム、AとCの両方を有するシステム、BとCの両方を有するシステム、ならびに/またはA、BおよびCのすべてを有するシステムなどを包含するが、これらに限定されない)。「A、BまたはCのうち少なくとも1つ」などの頻用される語句が使用される場合、通常、そのような文構造は、当業者がその語句を通常理解する意味で記載されている(たとえば、「A、BまたはCのうち少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみを有するシステム、Bのみを有するシステム、Cのみを有するシステム、AとBの両方を有するシステム、AとCの両方を有するシステム、BとCの両方を有するシステム、ならびに/またはA、BおよびCのすべてを有するシステムなどを包含するが、これらに限定されない)。さらに、当業者であれば、2つ以上の選択肢を表すための選言的用語および/または選言的語句は、明細書、特許請求の範囲または図面のいずれにおいても、列記された用語のうちの1つ、列記された用語のいずれか、または列記された用語の両方を含む場合があると理解すべきであると理解するであろう。たとえば、「AまたはB」という表現は、「AまたはB」または「AおよびB」を示す場合を包含する。
【0141】
さらに、本開示の構成要素または態様がマーカッシュ形式で記載されている場合、当業者であれば、マーカッシュ形式で記載された個々のメンバーまたはメンバーのサブグループについても記載されていると理解するであろう。
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【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]