特許第6788650号(P6788650)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6788650
(24)【登録日】2020年11月4日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】ヒドロカルビルオキシジシラン
(51)【国際特許分類】
   C07F 7/02 20060101AFI20201116BHJP
【FI】
   C07F7/02 Z
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-215290(P2018-215290)
(22)【出願日】2018年11月16日
(65)【公開番号】特開2019-104723(P2019-104723A)
(43)【公開日】2019年6月27日
【審査請求日】2018年11月22日
(31)【優先権主張番号】62/596,202
(32)【優先日】2017年12月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・ディー・レッケン
(72)【発明者】
【氏名】シャオビン・チョウ
【審査官】 神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−164917(JP,A)
【文献】 特開昭60−100675(JP,A)
【文献】 特公昭43−012573(JP,B1)
【文献】 西独国特許出願公告第01219012(DE,B)
【文献】 特開平08−337654(JP,A)
【文献】 米国特許第07825040(US,B1)
【文献】 特開2012−104616(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/078784(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0241748(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0148800(US,A1)
【文献】 特開昭59−013789(JP,A)
【文献】 特開昭63−188686(JP,A)
【文献】 Organometallics,2001年,Vol.20,pp.927-931
【文献】 Organometallics,1993年,Vol.12,pp.580-582
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロカルビルオキシジシランの製造方法であって、
i)ヒドロカルビルアミノジシラン、及び
ii)式(II)
(II)ROH
[式中、Rは、炭素原子が1〜10個のヒドロカルビルである]によるアルコール、
を反応させることで、
前記ヒドロカルビルオキシジシランを含む生成物混合物を調製すること、
を含み、
前記ヒドロカルビルアミノジシランが、ジイソプロピルアミノジシラン又はo−トルイジノジシランであり、
前記ヒドロカルビルオキシジシランが、式(I)
(I)Si(O6−x
[式中、xは2〜4であり、は、炭素原子が1〜10個のヒドロカルビルである]によるものであり、
前記アルコールの前記ヒドロカルビルアミノジシランに対するモル比が1.5〜4である、方法。
【請求項2】
前記アルコールが、式(II)
(II)ROH
[式中、Rは、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、又はブチル基である]によるものであり、
前記ヒドロカルビルオキシジシランが、式(I)
(I)Si(O6−x
[式中、xは、2〜4であり、は、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、又はブチル基である]によるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ヒドロカルビルオキシジシランが、1,1,1−トリメトキシジシラン、1,1,1,2−テトラメトキシジシラン、1,1,1−トリエトキシシラン、1,1,1,2−テトラメトキシジシラン、1,2−ジ−t−ブトキシジシラン、1,1−ジ−t−ブトキシジシラン、及び1,1−ビス(イソプロポキシ)ジシランからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
i)及びii)を、溶媒と、25℃より低い温度で組み合わせる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ヒドロカルビルオキシジシランを回収すること、を更に含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ヒドロカルビルオキシジシランを、蒸留によって回収する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ヒドロカルビルオキシジシランを加熱することで、前記ヒドロカルビルオキシジシランのアルコキシ基を転位させ、転位したヒドロカルビルオキシジシランを調製すること、を更に含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ヒドロカルビルオキシジシランが、1,2−ジ−t−ブトキシジシランであり、前記転位したヒドロカルビルオキシジシランが、1,1−ジ−t−ブトキシジシランである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
(i)請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法に従ってヒドロカルビルオキシジシランを調製すること、及び(ii)前記ヒドロカルビルオキシジシランを加水分解すること及び縮合させること、を含む、シロキサンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
なし。
本発明は、全般に、式
Si(OR)6−x[式中、xは1〜5であり、Rは、炭素原子が1〜10個のヒドロカルビルである。]による新規なヒドロカルビルオキシジシラン、及び新規なヒドロカルビルオキシジシランの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルコキシシランには多くの用途がある。これを、タイヤの生産から、種々のシラン及びシロキサンの生産における中間体とする用途まで、多くの用途に用いることができる。種々のシランにより、様々な用途において種々の利点が提示されている。これらの性能の差異は、種々のケイ素結合基、シランの分子量、及び重合度などの、このようなシランの特性に関連している場合がある。
【0003】
いくつかのアルコキシジシランが製造されている。例えば、モノメトキシジシラン及び1,1,2−トリメトキシジシランが報告されている。
【0004】
現在、入手可能なヒドロカルビルオキシジシランには、いくつかの用途及び使用においていくつかの欠点があり得ることから、現在の用途又は新規な用途において利用することができ、かつ用いることで新規なシランから新規なケイ素含有材料を製造することができる、改良された特性又は種々の特性による、新規なシランが必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、式(I)
(I)Si(OR)6−x
[式中、xは1〜5であり、Rは、炭素原子が1〜10個のヒドロカルビルであり、但し、xが1である場合、Rはメチルではなく、xが3である場合、(I)は1,1,2−トリメトキシジシランを表さない。]によるヒドロカルビルオキシジシランに関する。
【0006】
本発明は更に、ヒドロカルビルオキシジシランの製造方法であって、i)ヒドロカルビルアミノジシラン、及びii)式(II)
(II)ROH
[式中、Rは、炭素原子が1〜10個のヒドロカルビルである。]によるアルコール、を反応させることで、ヒドロカルビルオキシジシラン及び副生成物を調製すること、を含む、方法に関する。
【0007】
ヒドロカルビルオキシジシラン及びヒドロカルビルオキシジシランの製造方法は、入手可能なシラン及びジシラン並びに製造方法と異なるものであり、このようなシランについての用途(タイヤ添加剤並びにシロキサン及びポリシロキサンなどの材料を製造するための前駆体など)において、潜在的により良好な性能を提示するものである。しかし、ヒドロカルビルオキシジシランには、更なる用途もまた可能であり、このような使用に限定されない。
【発明を実施するための形態】
【0008】
「発明の概要」及び「要約書」は、参照により本明細書に組み込まれる。上記で要約した、本発明の実施形態、使用及び利点を、以下で更に説明する。
【0009】
本発明の態様は、様々な一般的な表現方法を使用して本明細書に記載される。例えば、別途の指定がない限り、物質の全ての状態は、25℃及び101.3kPaで測定される。別途の注記又は指定がない限り、全ての%は重量による。全ての%値は、特に注記しない限り、組成物を合成又は製造するために使用される全成分の総量に基づいており、合計すると100%になる。
【0010】
本発明の態様は、様々な特許用語を使用して本明細書に記載される。例えば、「あるいは(alternatively)」は、異なる及び別個の実施形態を指す。「比較例」とは、非発明的な実験を意味する。「含む/備える(comprises)」及びその変形(comprising、comprised of)は、オープンエンドである。「からなる(consists of)」及びその変形(consisting of)は、クローズドエンドである。「接触させる」は、物理的に接触させることを意味する。「であってもよい、し得る、ことができる、場合がある(may)」は、選択枝を与えるものであり、必須ではない。「所望により/適宜/任意選択的に(optionally)」とは、存在しないか、あるいは存在することである。
【0011】
化学用語における用語「ジシラン」の意図する意味は、互いに結合した2個のケイ素原子を含む化合物である。
【0012】
本発明の態様は、様々な化学用語を使用して本明細書に記載されている。本明細書において特に定義のない限り、前述の用語の意味は、IUPACによって公表されているそれらの定義に対応する。便宜上、特定の化学用語を定義する。
【0013】
ヒドロカルビルオキシジシランは、式(I)
(I)Si(OR)6−x
[式中、xは1〜5、あるいは2〜4、あるいは3〜4、あるいは3、あるいは4であり、Rは、炭素原子が1〜10個のヒドロカルビルであり、但し、xが1である場合、Rはメチルではなく、xが3である場合、(I)は1,1,2−トリメトキシジシランを表さない。]によるものである。
【0014】
Rによって表されるヒドロカルビル基の炭素原子は、1〜10個、あるいは1〜5個、あるいは1〜4個である。非環式のヒドロカルビル基は少なくとも3個の炭素原子を含有し、分枝状構造であっても非分枝状構造であってもよい。Rによって表される基の例としては、アルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、及びこれらの異性体など、シクロアルキル基として、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基など、アリール基として、フェニル基及びナフチル基など、アルカリール基として、メチルフェニル基(メチル基は、オルト位、メタ位、又はパラ位にあってもよく、あるいはオルト位にあってもよい)、トリル基、キシリル基など、アラルキル基として、ベンジル基及びフェネチル基など、アルケニル基として、ビニル基、アリル基、及びプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、及びアクテニル(actenyl)基など、アリールアルケニル基として、スチリル基及びシンナミル基など、並びにアルキニル基として、エチニル基及びプロピニル(proynyl)基などが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、又はブチル基であり、あるいはメチル基、エチル基、プロピル基、又はt−ブチル基であり、あるいはメチル基、エチル基、イソプロピル基、又はt−ブチル基である。
【0015】
ヒドロカルビルオキシジシランの例としては、1,1,1−トリメトキシジシラン、1,1,1,2−テトラメトキシジシラン、ヘキサメトキシジシラン、1,1,1−トリエトキシシラン、1,1,1,2−テトラメトキシジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシジシラン、t−ブトキシジシラン、1,2−ジ−t−ブトキシジシラン、及び1,1−ジ−t−ブトキシジシランが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、ヒドロカルビルオキシジシランは、1,1,1−トリメトキシジシラン、1,1,1,2−テトラメトキシジシラン、ヘキサメトキシジシラン、1,1,1−トリエトキシシラン、1,1,1,2−テトラメトキシジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシジシラン、t−ブトキシジシラン、1,2−ジ−t−ブトキシジシラン、又は1,1−ジ−t−ブトキシジシランを含む。一実施形態において、ヒドロカルビルオキシジシランは、1,1,1−トリメトキシジシラン、1,1,1,2−テトラメトキシジシラン、ヘキサメトキシジシラン、1,1,1−トリエトキシシラン、1,1,1,2−テトラメトキシジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシジシラン、t−ブトキシジシラン、1,2−ジ−t−ブトキシジシラン、及び1,1−ジ−t−ブトキシジシランからなる群から選択される。
【0016】
ヒドロカルビルオキシジシランの製造方法では、方法は、i)ヒドロカルビルアミノジシラン、及びii)式(II)
(II)ROH
[式中、Rは、炭素原子が1〜10個のヒドロカルビルである。]によるアルコール、を反応させることで、ヒドロカルビルオキシジシランを含む生成物混合物を調製すること、を含む。
【0017】
ヒドロカルビルアミノジシランi)は、式(III)
(III)(R(H)2−aN)Si(H)3−bSi(H)3−c(N(H)2−a
[式中、aは、各々独立して1又は2、あるいは2であり、bは、1〜3、あるいは1又は2、あるいは1、あるいは2であり、cは、0〜3、あるいは0〜2、あるいは0又は1であり、Rは、各々独立して(C−C10)ヒドロカルビルである。]によるものである。
【0018】
によって表される基の炭素原子は、1〜10個、あるいは1〜7個、あるいは3〜7個、あるいは3個、あるいは7個である。Rによって表される基の例としては、Rに関して上記記載されたものが挙げられる。一実施形態において、Rは、プロピル基、あるいはイソプロピル基、あるいはo−メチルフェニル基である。
【0019】
ヒドロカルビルアミノジシランの例としては、ジメチルアミノジシラン、ジエチルアミノジシラン、ジイソプロピルアミノジシラン、ジプロピルアミノジシラン、ジブチルアミノジシラン、ジイソブチルアミノジシラン、イソブチルアミノジシラン、t−ブチルアミノジシラン、ペンチルアミノジシラン、シクロヘキシルアミノジシラン、オクチルアミノジシラン、及びo−メチルフェニルアミノジシランが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、ヒドロカルビルアミノジシランは、ジプロピルアミノジシラン、ジイソプロピルアミノジシラン、又はo−メチルフェニルアミノジシランであり、あるいはジイソプロピルアミノジシラン又はo−メチルフェニルアミノジシランであり、あるいはジイソプロピルアミノジシランであり、あるいはo−メチルフェニルアミノジシランである。
【0020】
ヒドロカルビルアミノジシランは、ヒドロカルビルアミノジシランの当該技術分野において公知の製造方法によって製造される。例えば、ジイソプロピルアミノジシランは、金属ジアルキルアミドをヘキサクロロジシランと反応させた後、金属アルミニウムハイドライドによる還元によって製造することができる。更に、ヒドロカルビルアミノジシランは、別のヒドロカルビルアミノジシランとのアミン交換によって製造することができる。また、ヒドロカルビルアミノジシランは、市販品として入手することもできる。例えば、1,2−ビス(ジイソプロピルアミノ)ジシランは、Nova−Kem,LLC.から入手可能である。
【0021】
アルコールii)は、式(II)
(II)ROH
[式中、Rは、炭素原子が1〜10個、あるいは1〜6個、あるいは2〜4個、あるいは3個の、ヒドロカルビルである。]によるものである。
【0022】
によって表される基としては、R及びRからの上記記載の基が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、Rは、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、又はブチル基であり、あるいはエチル基、イソプロピル基、又はt−ブチル基である。
【0023】
アルコールの例としては、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、又はt−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、及びデカノールが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、アルコールは、エタノール、イソプロパノール、及びt−ブタノールからなる群から選択される。
【0024】
本発明の方法には、溶媒を更に含むことができる。溶媒は、アルコール及びヒドロカルビルアミノジシランを可溶化するがいずれとも反応しない任意の溶媒であっても、あるいはアルコール及びヒドロカルビルアミノジシランを可溶化するがいずれとも反応しない、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、又は非脂肪族炭化水素であっても、あるいはアルコール及びヒドロカルビルアミノジシランを可溶化するがいずれとも反応しない、炭素原子が5〜20個、あるいは5〜17個の、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、又は非脂肪族炭化水素であっても、あるいはアルコール及びヒドロカルビルアミノジシランを可溶化するがいずれとも反応しない、炭素原子が5〜20個、あるいは5〜17個の、芳香族炭化水素又は脂肪族炭化水素であってもよい。溶媒は、1種以上の溶媒の混合物であってもよい。
【0025】
溶媒の例としては、ベンゼン、ジイソプロピルベンゼン、イソペンタン、n−ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ヘプタデカン、及びヘプタデカンとn−ペンタンとの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
本発明の方法は、アルコール及びヒドロカルビルアミノジシランの反応に好適な反応器内で実施する。例えば、方法は、サーモウェル、ガスアダプター、滴下漏斗、及び磁気撹拌子又はオーバーヘッドミキサなどのミキサを固定した、3ツ口のジャケット付容器又はフラスコ内で実施することができる。得られたあらゆる発生水素ガスの放出のための手段が、反応器の設計に含まれていてもよい。一実施形態において、反応器の設計には、本発明の方法の際に水素ガスを安全に除去するため、ガスアダプター及びガスマニホールド又は他の手段を含めてもよい。当業者であれば、本発明の方法を完了するために必要な反応器の型についてご存知であろう。
【0027】
アルコール及びヒドロカルビルアミノジシランを、反応させる。一実施形態において、アルコール及びヒドロカルビルアミノジシランを反応させるには、アルコール及びヒドロカルビルアミノジシランをアルコキシル化に十分な条件で組み合わせることによる。アルコキシル化に十分な条件は、アルコール及びヒドロカルビルアミノジシランを反応させるのに十分な温度及び圧力、あるいは30℃より低い温度、あるいは20℃より低い温度、あるいは−10℃より低い温度、あるいは−30℃〜−15℃の温度、及び大気圧より低い圧力〜大気圧より高い圧力、あるいは大気圧より低い圧力〜大気圧、あるいは大気圧より低い圧力、あるいは−4〜0kPa、あるいは−3〜−2kPaである。当業者であれば、生成物のヒドロカルビルオキシジシランを最適化するため、開示に基づいて温度及び圧力の条件を調節する方法についてご存知であろう。
【0028】
一実施形態において、アルコキシル化に十分な条件で、アルコールをヒドロカルビルアミノジシランに、撹拌しながら添加する。別の実施形態において、20℃より低い温度、あるいは−10℃より低い温度、あるいは−30℃〜−15℃の温度で、アルコールをヒドロカルビルアミノジシランに添加し、アルコール及びヒドロカルビルアミノジシランを含む反応混合物を調製した後、15℃より高い温度、あるいは約25℃、あるいは20〜35℃の温度に、反応混合物を、撹拌しながら加温する。
【0029】
本発明の方法を実施するのは、ヒドロカルビルオキシジシランが生成するまで、あるいはヒドロカルビルオキシジシランの生成が止むまで、あるいは少なくとも10日間、あるいは5日間以下、あるいは8時間以下とする。当業者であれば、アルコキシジシランの生成を監視する方法についてご存知であろう。例えば、ヒドロカルビルオキシジシランの生成は、反応混合物中及び/又はヒドロカルビルオキシジシランを含む生成物混合物中の、アルコール、ヒドロカルビルアミノジシラン、及び/又はヒドロカルビルオキシジシランの量の監視によって、監視することができる。アルコール、ヒドロカルビルアミノジシラン、及びアルコキシジシランの量は、当該技術分野において公知の分析技法を用いて監視することができる。(例えば、ガスクロマトグラフィ(GC)などのクロマトグラフィ、GC/質量分析、又はGC−FID(水素炎イオン化検出器))。また、反応は、例えば、加アルコール分解の際、流量計を用いる発生水素ガスの測定によっても、監視することができる。
【0030】
アルコール及びヒドロカルビルアミノジシランを組み合わせるには、アルコールをヒドロカルビルアミノジシランに添加するか、又はヒドロカルビルアミノジシランをアルコールに添加することによる。アルコールをヒドロカルビルアミノジシランに添加する場合、添加速度を変更することができ、あるいは制御不可能な発熱の回避のため反応温度を監視しつつ、アルコールをヒドロカルビルアミノジシランにゆっくり添加し、あるいは、アルコールをヒドロカルビルアミノジシランに、≧30分、あるいは≧60分、あるいは≧120分、あるいは2〜8時間かけて添加する。一実施形態において、アルコールをヒドロカルビルアミノジシランに添加するには、アルコールのヒドロカルビルアミノジシランへの添加を開始した際、アルコール及びヒドロカルビルアミノジシランの温度が、ヒドロカルビルアミノジシランの温度の10℃以内に保たれるのに十分な速度とする。一実施形態において、Rは、メチル、エチル、又はプロピルであり、アルコール及びヒドロカルビルアミノジシランを組み合わせるには、アルコールをヒドロカルビルアミノジシランに添加することによる。
【0031】
溶媒を含む、方法の実施形態において、アルコールを溶媒と組み合わせ、アルコール−溶媒混合物を調製するか、あるいはヒドロカルビルアミノジシランを溶媒と組み合わせ、ヒドロカルビルアミノジシラン−溶媒混合物を調製するか、あるいはアルコール及び溶媒を組み合わせ、アルコール−溶媒混合物を調製し、並びにヒドロカルビルアミノジシラン及び溶媒を組み合わせ、ヒドロカルビルアミノジシラン−溶媒混合物を調製した後、アルコール−溶媒混合物を、ヒドロカルビルアミノジシラン−溶媒混合物に添加する。
【0032】
アルコールのヒドロカルビルアミノジシランに対するモル比を変更し、アルコールのヒドロカルビルアミノジシランへの添加を調整する。一実施形態において、アルコールを、ヒドロカルビルアミノジシランと比較して化学量論的過剰量で添加し、あるいはアルコールのヒドロカルビルアミノジシランに対するモル比を、1.5〜4、あるいは1.5〜3.5、あるいは1.5〜3.3とする。一実施形態において、アルコールはメタノールであり、ヒドロカルビルアミノジシランはジイソプロピルアミノジシランであり、メタノールのジイソプロピルアミノジシランに対するモル比を、2.5〜3、あるいは約2.6とする。別の実施形態において、アルコールはエタノールであり、ヒドロカルビルアミノジシランはジイソプロピルアミノジシランであり、エタノールのジイソプロピルアミノジシランに対するモル比を、2.75〜3.25、あるいは3〜3.1、あるいは約3.03とする。別の実施形態において、アルコールはイソプロパノールであり、ヒドロカルビルアミノジシランはジイソプロピルアミノジシランであり、イソプロパノールのジイソプロピルアミノジシランに対するモル比を、1〜2、あるいは1.4〜1.8、あるいは約1.6とする。別の実施形態において、アルコールはtert(t)−ブタノールであり、ヒドロカルビルアミノジシランはジイソプロピルアミノジシランであり、(t)−ブタノールのジイソプロピルアミノジシランに対するモル比を、0.75〜1.25、あるいは2.9〜1.1、あるいは約1とする。別の実施形態において、アルコールはtert(t)−ブタノールであり、ヒドロカルビルアミノジシランは1,2−ビス(ジイソプロピルアミノ)ジシランであり、tert(t)−ブタノールの1,2−ビス(ジイソプロピルアミノ)ジシランに対するモル比を、1.75〜2.25、あるいは1.9〜2.1、あるいは約2とする。
【0033】
アルコール−溶媒混合物を含む実施形態において、アルコール及び溶媒を組み合わせるには、アルコール/溶媒の重量比を、0.1〜10、あるいは0.1〜5、あるいは0.25〜1とする。
【0034】
ヒドロカルビルアミノジシラン−溶媒混合物を含む実施形態において、ヒドロカルビルアミノジシラン及び溶媒を組み合わせるには、ヒドロカルビルアミノジシラン/溶媒の重量比を、0.1〜10、あるいは0.1〜5、あるいは0.2〜0.7とする。
【0035】
本発明の方法は、反応混合物を加熱すること、を更に含むことができる。加熱は、反応器及び反応物を周囲条件にさらすことによって時間をかけて達成することができ、あるいは従来の方法、及びスチームジャケット又は加熱マントルなどの当該技術分野において公知の装置によって、反応物を加熱することができる。
【0036】
一実施形態において、本発明の方法は、アルコール及びヒドロカルビルアミノジシランの反応によって調製したヒドロカルビルオキシジシランを加熱することで、ヒドロカルビルオキシジシランのアルコキシ基を転位させ、転位したヒドロカルビルオキシジシランを調製すること、を更に含む。一実施形態において、1,2−ジ−t−ブトキシジシランを加熱し、1,1−ジ−t−ブトキシジシランを生成させる。
【0037】
アルコキシ基を転位させる、ヒドロカルビルオキシジシランの加熱は、転位に十分な温度までとする。本明細書で用いる場合、「転位に十分な温度」は、ヒドロカルビルオキシジシランのアルコキシ基を転位させ、転位したヒドロカルビルオキシジシランを調製するのに十分な温度、あるいは周囲温度〜130℃、あるいは周囲温度〜105℃、あるいは130℃以下、あるいは40〜100℃の温度である。転位は、典型的には温度が高くなるにつれ、より短時間で進行し、周囲温度前後では進行に数日かかり、100℃前後の温度ではおよそ数時間である。加熱が周囲温度までの場合、反応物の始まりの温度は、周囲温度より低い温度である。上記記載と同じ反応器内で同じ圧力にて、転位を実施することができる。
【0038】
本発明の方法は、ヒドロカルビルオキシジシランを回収すること、を更に含むことができる。ヒドロカルビルオキシジシランを、蒸留又はクロマトグラフィなどの当該技術分野において公知の方法によって回収することができる。当業者であれば、ヒドロカルビルオキシジシランを回収する方法についてご存知であろう。
【0039】
本発明の方法によって調製したヒドロカルビルオキシジシランは、式(IV)
(IV)Si(OR6−y
[式中、yは、1〜5、あるいは2〜4、あるいは3であり、Rは、炭素原子が1〜10個のヒドロカルビルである。]によるヒドロカルビルオキシジシランである。
【0040】
によって表されるヒドロカルビル基は、Rに関して上記記載のとおりである。
【0041】
(IV)によるヒドロカルビルオキシジシランの例としては、上記記載されたもの、あるいは1,1,1−トリメトキシジシラン、1,1,1,2−テトラメトキシジシラン、ヘキサメトキシジシラン、1,1,1−トリエトキシシラン、1,1,1,2−テトラメトキシジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシジシラン、t−ブトキシジシラン、1,2−ジ−t−ブトキシジシラン、及び1,1−ジ−t−ブトキシジシランが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
一実施形態において、ヒドロカルビルオキシジシランを加水分解し縮合させて、ポリシロキサンを調製する。例えば、加水分解に十分な量の水を、加水分解条件下でヒドロカルビルオキシジシランに添加し、ポリシロキサンを調製する。当業者であれば、本発明によるヒドロカルビルオキシジシランを加水分解するのに十分な水の量及び条件を最適化する方法についてご存知であろう。
【0043】
また、本発明の方法により、ガス、あるいは水素が、副生成物として生成する場合もある。一実施形態において、方法は、方法の中で水素ガスが生成した際、水素ガスを除去すること、を更に含む。当業者であれば、方法の中で、水素ガスを除去する方法についてご存知であろう。例えば、水素ガスを、生成した際にガスアダプターを通して除去又は放出することができ、そして更なる処理のため移送することができる。
【0044】
また、本発明の方法により、アルキルアミンあるいはジアルキルアミンという副生成物が、生成する場合もある。アルキルアミンは、式R(H)3−cN[式中、Rは、上記定義のとおりであり、cは、1又は2、あるいは2である。]によるものである。一実施形態において、本発明の方法は、アルキルアミンを回収すること、を更に含む。ヒドロカルビルオキシジシランを回収するために用いた同じプロセスで、アルキルアミンを回収することができる。一実施形態において、アルキルアミンを、蒸留によって回収することができる。
【0045】
本発明のヒドロカルビルオキシジシランを、製品の製造における添加剤として用いることができる。例えば、ヒドロカルビルオキシジシランを、タイヤ配合物中の添加剤として、単独で、又はシリカ充填剤の変性剤として用いることができる。本発明の方法は、ヒドロカルビルオキシジシランの製造に有用である。
【実施例】
【0046】
下記の実施例は、本発明の方法をよりよく説明するために示されるものであり、添付の「特許請求の範囲」内において示される発明を制限するものと考えられるべきではない。別途記載がない限り、実施例において記載される全ての部及び百分率(パーセント)(%)は重量に基づくものである。以下の表1に、実施例で使用される略語を記載する。
【0047】
【表1】
【0048】
[試験方法/条件]
分析サンプルの調製は、グローブボックス内でアルゴン雰囲気下にて行った。
【0049】
NMR:NMR測定は、Agilent400MHz NMR分光計にて行った。サンプルを、金属ナトリウムにて乾燥したd−ベンゼン中に溶解した。H NMR測定では、NMRスペクトル中の残留ベンゼンによるシグナルを基準とした。29SiNMR測定では、装置に付随している内部標準を基準とした。全てのNMRチューブのキャップをパラフィルムMでくるみ、空気がサンプル中に徐々に拡散することを阻止した。
【0050】
GC−TCD及びGC−MS用サンプルを、Teflonセプタムでシーリングした1.5mLのGC用バイアル(vile)内で作製した。1μLのシリンジを用いて、0.5μLを吸い取り、HP5973質量選択検出器に接続したHP6890シリーズGCシステム内に注入した。
【0051】
DSC:ヒドロカルビルオキシジシランのサンプルを、空の20μLのSWISSI高圧用DSC容器内に入れた。サンプルをアルゴン不活性のグローブボックス内に入れ、直後のグローブボックス内でシーリングした。プレスを用いて、容器をシーリングした。分析後、サンプルの重量を比較し、昇温中にサンプルが減少したか否かを判断した。サンプルをMettler Toledo TGA/DSC 1内に入れ、試行した。加熱/冷却/加熱法を用いたことから、DSCの炉を20分かけて35℃で熱平衡化した後、35℃から400℃まで10℃/分で昇温し、20分かけて熱平衡化し、次いで、400℃から35℃まで10℃/分で降温し、20分かけて熱平衡化し、次いで、35℃から400℃まで10℃/分で昇温し、20分かけて熱平衡化した。同じ条件下で試行したブランクのパンを用い差し引いて得られた熱流のシグナルを、バックグラウンドとした。
【0052】
実施例1:1,1,1−トリメトキシジシランの合成
MeOH(5.86g、7.4mL)をDiPB(10.14g、11.8mL)中に溶解し、DiPB(34.28g、40.0mL)中に希釈したDPDS(10.00g、62.0mmol)の激しく撹拌している溶液に、5.7℃で2時間かけて滴下した。添加中、7.0℃の温度で発熱が極大となり、ガス(H)の発生があった。溶液を15分間攪拌した後、2時間かけてゆっくり周囲温度に加温した。
【0053】
[TMODSの精製]粗1,1,1−トリメトキシジシランを、30cmのビグリュー管を通して蒸留し、6.39gの粗TMODSを得、30cmのビグリュー管を通して蒸留(2回目)し、1.20g(7.9mmol、12.7%の収率)のTMODSを得た。また、更なる微量の他のヒドロカルビルオキシジシラン及びアルコキシシラン(トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、メトキシジシラン、1,1−ジメトキシジシラン、テトラメトキシジシラン、及びヘキサメトキシジシラン)も回収した。
【0054】
実施例2:1,1,1−トリエトキシジシラン(TEODS)の合成
不活性にした1Lの3ツ口の、全てジャケット付のフラスコ(サーモウェル、ガスアダプター、滴下漏斗、及び磁気撹拌子を固定)内に、100.7gのペンタン及び101.08gのDPDSを添加した後、−18.0℃に冷却した。滴下漏斗(閉じた活栓)に、86.66gの無水EtOH(86.21gのペンタン中に希釈)を、添加した。EtOH/ペンタン溶液を、DPDS溶液に、3時間の時間をかけて滴下した。添加中に発熱がある。ポットの温度を、添加プロセス中、−11±1℃に維持した。最初の1/4の添加中にはガスが少ししか観察されなかった。これは、アミンによる1つ目の置換が起きていることを示している。最後の3/4の添加により、大量のガス発生(H)が見られた。EtOH溶液の添加後、反応混合物を周囲温度に加温し、次いで更に少なくとも3時間攪拌し、残留しているEtOHを反応させた。あらゆる沈殿を濾別し、315.22gの粗TEODSを得た。
【0055】
[1,1,1−トリエトキシジシランの蒸留]粗1,1,1−トリエトキシジシランを他の2バッチの粗TEODSと混合(960.02gの総粗分)した後、5受容器のOldershaw蒸留塔(−14℃に冷却した蒸留ヘッド及び枝部で受容フラスコと接続)と接続した2Lの3ツ口フラスコ(サーモウェル、ガスアダプター、及び磁気撹拌子を固定)内に入れた。低沸点前留分を、−20〜−28インチ水銀柱(78.7〜110.2mm水銀柱)の圧力で24.6〜82℃に加熱することによって除去した。残留している生成物を、−18〜−28インチ水銀柱(70.9〜110.2mm水銀柱)の圧力で86〜107℃に加熱した。330.35gの、純度97%+のTEODSを得た。また、微量の他のエトキシ(ジ)シラン(テトラエトキシジシラン及びペンタエトキシジシラン、並びにトリメトキシシラン及びテトラメトキシシラン)も回収した。純度>97%のTEODSを、DSCで分析した。
【0056】
実施例3:BODSの合成
t−BuOH(4.65g)を、n−ペンタン(7.10g、11.3mL)中に溶解し、n−ペンタン(20.7g、33.1mL)中に希釈したDPDS(10.12g、62.7mmol)の激しく撹拌している周囲温度より低い温度の溶液に、周囲温度で20分かけて添加した。溶液を20分間攪拌した後、2時間かけてゆっくり周囲温度に加温した。
【0057】
[BODSの蒸留]反応生成物を、30cmのビグリュー管を通して2回蒸留し、1.68g(12.5mmol、19.9%の収率)のBODSを得た。生成物の多くが、蒸留の前留分及び後留分の両方に紛れ込んだ。
【0058】
実施例4:1,1−BBODSの合成
t−BuOH(5.87g)を、ペンタン(12.10g)中に溶解し、ヘプタデカン(8.16g)及びn−ペンタン(10.00g)中に希釈した1,2−ビス−ジイソプロピルアミノジシラン(10.32g、39.6mmol)の激しく撹拌している溶液に、約25℃で添加し、5日間撹拌した。これにより、1,1−BBODS及び1,2−BBODSの粗混合物を得た。混合物を、30cmのビグリュー管を用いて130℃以下で2回分別蒸留し、1.03g(5.0mmol、12.6%の収率)の1,1−BBODSを得た。
【0059】
実施例5.iPODS及び(BiPODS)の合成
15mLのシンチレーションバイアルに、0.30gのDPDS及び0.90gのCを加え、激しく撹拌した。iPrOH(0.11g)を1分かけて滴下し、その際、激しい発泡が起きた。添加が完了し、発泡が止まった後、混合物を1.5時間攪拌した。粗混合物は、iPODS及び未反応のDPDSを含み、18.4%のiPODS及び26.7%のBiPODSからなっていた。
【0060】
実施例6.BODSの合成
2Lの丸底フラスコに、269.3g(2.51モル)のo−トルイジンを入れた。フラスコを70℃に加熱した。次いで、445.91g(2.76モル)のジイソプロピルアミノジシラン(DPDS)を、この温度で90分のうちに滴下した。最初の1mLのDPDSを添加した際、発泡が観察された。DPDSの添加中、暗褐色の反応混合物は、ほぼ無色になった。添加後、反応混合物を、70℃で60分間加熱した。ジイソプロピルアミン(DiPA)を、24インチ水銀柱までの減圧下、70℃のポット温度で蒸留した。DPDSの変換率は、GC−FID分析によると90%(w/w)(重量/重量%)に達した。反応混合物を、26インチ水銀柱までの更に大幅な減圧下で、70℃のポット温度で蒸留し、96.8重量/重量%のo−トルイジノジシラン(TDDS)を含有する、408gの粗TDDSを得た。粗TDDSを、5受容器のジャケット付管を通し十分な減圧下、92℃のポット温度で分別蒸留すると、53.8gの前留分、323.3gの生成物留分(純度99.2重量/重量%、76.9重量/重量%の合計収率)、及び25.0gのポット残渣となった。生成物留分を、GC−FIDで純度について、及びDSCで熱的特性について分析した。
【0061】
無水t−ブタノール(3.98g、53.8mmol)の、3.98gのテトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)中の溶液を、10.0g(59.7mmol)のTDDSに、室温で添加した。発熱は観察されなかった。反応混合物を、60℃で2時間加熱した。GC−FID分析により、ほぼ定量的なt−ブトキシジシランへの変換率が示された。反応混合物を、6”のビグリュー管を通して分別蒸留し、t−ブトキシジシラン生成物(GC−FIDによる純度99.4重量/重量%)を得た。生成物を、H NMR、GC−FID、GC−MS、及びDSCで分析した。