【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
請求項1の特徴によって表されている。別の従属請求項は、本発明の有利な形態及び発展形成に関するものである。
【0011】
本発明は、管長手軸線を有している伝熱管を含んでおり、管外側及び/又は管内側には、管壁部から連続的に延びる、軸平行に、又はらせん状に周設されたリブが形成されており、それぞれ隣り合うリブ間に連続的に延在するプライマリ溝が形成されており、前記リブが、前記管外側及び/又は前記管内側において少なくとも1つの構造化された範囲を備えており、該構造化された範囲が、表面から突出する、突起部高さを有する複数の突起部を備えており、これにより、前記突起部が切り込み部によって分離されている。本発明によれば、複数の突起部は、隣り合う突起部間にキャビティが形成されるように対状に互いに対して変形されている。
【0012】
さらに、本発明は、管長手軸線を有している伝熱管を含んでおり、管外側及び/又は管内側には、管壁部から連続的に延びる、軸平行に、又はらせん状に周設されたリブが形成されており、それぞれ隣り合うリブ間に連続的に延在するプライマリ溝が形成されており、前記リブが、前記管外側及び/又は前記管内側において少なくとも1つの構造化された範囲を備えており、該構造化された範囲が、表面から突出する、突起部高さを有する複数の突起部を備えており、これにより、前記突起部が切り込み部によって分離されている。本発明によれば、複数の突起部が管壁部の方向へ変形されているため、それぞれの突起部と管壁部の間にキャビティが形成される。
【0013】
本発明による両解決手段においては、構造化された範囲が、原則的に管外側あるいは管内側に形成されることが可能である。ただし、本発明による、リブ部分は、管内側に配置されるのが好ましい。上述の構造は、蒸発管にも、また凝縮管にも用いられることが可能である。同様に、この構造は、例えば水のような単相の液体流に適している。
【0014】
そして、管壁部を起点として管壁部から最も離れた突起部の箇所までの隣り合う突起部間のそれぞれ最短の間隔が低減されるときに、隣り合う突起部におけるキャビティが存在する。換言すると、キャビティを形成する隣り合った突起部は、互いに向かって傾く。
【0015】
換言すれば、キャビティは、それぞれ対向する隣り合う突起部の凹状の面によって形成される。したがって、キャビティを形成する隣り合う突起部の面は、キャビティを越えてアーチ状に延在している。
【0016】
突起部高さは、合目的的には、径方向における突起部の寸法として規定される。そして、突起部高さは、径方向において、壁部を起点として、壁部から最も離れた突起部における位置までの距離である。
【0017】
切り込み部の切り込み深さは、元々のリブ先端部から切り込みの最深箇所までの、径方向に測定した距離である。換言すると、切り込み深さは、元々のリブ高さと切り込みの最深箇所において残った残留リブ高さの差である。
【0018】
このとき、本発明は、管壁部と周囲に設置された突起部の間、あるいは隣り合う突起部間に形成される中空空間が本発明によるキャビティを形成するという考察に基づくものである。キャビティを形成するために、突起部は、当該突起部がキャビティを形成するように切削され、配置され、あるいは周囲に設置される。このとき、突起部が管壁部に接触するか、又は直接的な接触なしにキャビティが形成される異なる実施形態が存在する。製造は、適合する切削幾何形状又はセカンダリ変形プロセスによって直接的に行われることができ、用いられるセカンダリ工具は、平滑であるか、又は追加的な構造を有することができる。
【0019】
原則的には、例えば管内側における蒸発時には、管は、水平又は垂直に配置されることができる。また、管がわずかに水平又は垂直に対して傾斜している場合も存在する。冷却技術においては、通常、水平な管を有する蒸発器が用いられる。これに対して、蒸留塔を加熱するための化学技術においては、しばしば循環式垂直蒸発器が用いられる。この場合、物質の蒸発は、垂直な管の内側において行われる。
【0020】
熱を放出する媒体と蒸発する物質の間の熱輸送を可能とするために、熱を放出する媒体の温度は、物質の飽和温度より高い必要がある。この温度差を動作温度差という。動作温度差が大きくなればなるほど、より大量の熱を伝達することが可能である。他方で、たいてい、動作温度差を小さく維持する努力が必要である。なぜなら、これがプロセス効率にとって有利であるためである。
【0021】
本発明によるキャビティにより、蒸発時の熱伝達率を高めるために、バルク沸騰の過程が徹底される。気泡の形成は、核形成部において開始される。核形成部は、多くの場合、小さなガストラップ又は蒸気トラップである。成長する泡が所定の大きさに達すると、この泡は、表面から剥離する。気泡剥離の一環として核形成部が液体によってあふれると、核形成部が非活性化される。したがって、表面は、泡の剥離時に、泡形成の新たなサイクルのための核形成部として用いられる小さな泡が存在したままであるようにキャビティとして形成される必要がある。このことは、泡の剥離後に小さな泡が残ったままであり得るキャビティを表面に配置することで達成される。
【0022】
本発明の好ましい形態では、先端部が、少なくとも2つの突起部によって、リブ延長に沿って相互に接触又は交差され得る。このことは、特に、相転移におけるリバーシブルな動作において有利である。なぜなら、突起部が液化のために更に凝縮物から突出し、蒸発のために一種のキャビティを形成するためである。
【0023】
有利には、先端部が、少なくとも2つの突起部によって、プライマリ溝を越えて相互に接触又は交差され得る。このことは、相転移におけるリバーシブルな動作において有利である。なぜなら、突起部が液化のためにここで更に凝縮物から突出し、蒸発のために一種のキャビティを形成するためである。
【0024】
これに対して、管壁部に対する突起部の先端部の間隔が、残留リブ高さよりもわずかであることも可能である。これにより、突起部は、管壁部の直上でフック状あるいはループ状の形状が得られる。このように丸められた形状は、蒸発プロセスにおいて気泡核形成にとって特に有利である。
【0025】
本発明の好ましい実施形態においては、突起部のうち少なくとも1つが、その先端部が管内側に接触するように変形されることができる。これにより、ここでも突起部のフック状あるいはループ状の形状により、流体状の熱伝達媒体の相転移時に気泡核が管壁部の近傍に形成される。そこでは、管壁部を介して、流体への特に強い熱交換が行われる。
【0026】
本発明の有利な形態では、切り込み部が、リブ層を形成するために、リブ延長に対して横方向へある切削深さで内側リブを切削することによって、及びプライマリ溝間のリブ延長に沿って主方向を有するリブ層を持ち上げることによって形成されることができる。
【0027】
本発明による伝熱管の走行側の構造化は、特許文献18に既に記載されている工具を用いて形成されることができる。この特許文献18の開示内容は、本出願書類に包括的に取り入れられる。これにより、突起部高さ及び間隔を可変に形成することができるとともに、個別に要求、例えば液体の粘度又は流速に適合させることが可能である。
【0028】
用いられる工具は、リブ層を生み出すために、管の内面におけるリブを通して切削するための切れ刃と、突起部の形成のためにリブ層を持ち上げるための持上げエッジ部とを備えている。このようにして、突起部は、管の内面から金属を除去することなく形成される。管の内面における突起部は、リブの形成と同一又はこれとは異なる加工において形成されることが可能である。
【0029】
これにより、突起部高さ及び間隔を、可変に構成することができるとともに、考慮される流体の要求、例えば液体の粘度、流速に関して個別に適合することが可能である。
【0030】
有利には、突起部は、突起部高さ、形状及び向きにおいて互いに異なっていてよい。これにより、特に層流の場合に、異なるリブ高さによって流れの異なる境界層へ埋没させるように、及び熱を管壁部へ導くために、個々の突起部の高さは、目的に合わせて互いに適合されることができるとともに、互いに異なることが可能である。これにより、突起部高さ及び間隔は、要求、例えば流体の粘度又は流速へ個別に適合されることも可能である。
【0031】
本発明の好ましい実施形態では、突起部は、管壁部とは反対側において、鋭くとがった先端部を備えることができる。これにより、凝縮管の場合に、二相流体を用いることで、突起部先端における最適な凝縮に至る。
【0032】
特に好ましい実施形態では、1つの突起部が、管壁部とは反対側において湾曲された先端部を備えることができ、この先端部の局所的な湾曲半径が、突起延長に沿って管壁部から離れるにしたがって小さくなっている。このことは、特に凝縮時に、先端部において生じる凝縮物が凸状の湾曲によってより迅速にリブ基部へ搬送され、したがって液化時における熱伝達が最適化されるという利点を有している。相転移時、ここでは特に液化時には、蒸気の液化と、先端部からリブ基部への凝縮物の排出に主な着眼点がある。このために、凸状に湾曲された突起部は、効率的な熱伝達のための理想的な基礎を形成する。このとき、突起部の基礎は、本質的に管壁部から径方向へ突出している。したがって、同一又は類似の構造要素が、蒸発管にも、また凝縮管にも同様に適することが可能である。
【0033】
本発明の実施例を概略的な図面に基づいて詳細に説明する。