特許第6788688号(P6788688)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴィーラント ウェルケ アクチーエン ゲゼルシャフトの特許一覧

<>
  • 特許6788688-伝熱管 図000002
  • 特許6788688-伝熱管 図000003
  • 特許6788688-伝熱管 図000004
  • 特許6788688-伝熱管 図000005
  • 特許6788688-伝熱管 図000006
  • 特許6788688-伝熱管 図000007
  • 特許6788688-伝熱管 図000008
  • 特許6788688-伝熱管 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6788688
(24)【登録日】2020年11月4日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】伝熱管
(51)【国際特許分類】
   F28F 1/40 20060101AFI20201116BHJP
【FI】
   F28F1/40 Z
   F28F1/40 D
   F28F1/40 B
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-558390(P2018-558390)
(86)(22)【出願日】2017年5月17日
(65)【公表番号】特表2019-517651(P2019-517651A)
(43)【公表日】2019年6月24日
(86)【国際出願番号】EP2017000595
(87)【国際公開番号】WO2017207089
(87)【国際公開日】20171207
【審査請求日】2019年3月12日
(31)【優先権主張番号】102016006914.7
(32)【優先日】2016年6月1日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】592179160
【氏名又は名称】ヴィーラント ウェルケ アクチーエン ゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】WIELAND−WERKE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100081570
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰芳
(72)【発明者】
【氏名】ガターバーム アチーム
(72)【発明者】
【氏名】ルイス ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】エル アジャル ジーン
(72)【発明者】
【氏名】ナブ マンフレッド
【審査官】 久島 弘太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−121984(JP,A)
【文献】 特開平04−339530(JP,A)
【文献】 特開昭49−058448(JP,A)
【文献】 特表2008−534296(JP,A)
【文献】 特開昭51−091050(JP,A)
【文献】 実開平04−129675(JP,U)
【文献】 実開昭59−175888(JP,U)
【文献】 米国特許第05597039(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管長手軸線(A)を有している伝熱管(1)であって、
−管外側(21)及び/又は管内側(22)には、管壁部(2)から連続的に延びる、軸平行に、又はらせん状に周設されたリブ(3)が形成されており、
−それぞれ隣り合う前記リブ(3)間に連続的に延在するプライマリ溝(4)が形成されており、
−前記リブ(3)が、前記管外側(21)及び/又は前記管内側(22)において少なくとも1つの構造化された範囲を備えており、
−該構造化された範囲が、表面から突出する、突起部高さ(h)を有する複数の突起部(6)を備えており、これにより、前記突起部(6)が切り込み部(7)によって分離されている、前記伝熱管であって
前記切込み部(7)によって分離された複数の突起部(6)が隣り合う突起部間にキャビティ(10)が形成されているように対状に向き合って変形されている伝熱管において、少なくとも2つの突起部(6)の先端部(61)が、リブ延長に沿って、あるいは、前記プライマリ溝(4)を越えて相互に接触又は交差していることを特徴とする伝熱管(1)。
【請求項2】
前記切り込み部(7)が、リブ層を形成するために、リブ延長に対して横方向へある切削深さ(t,t,t)で内側リブ(3)を切削することによって、及びプライマリ溝(4)間の前記リブ延長に沿って主方向を有するリブ層を持ち上げることによって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の伝熱管(1)。
【請求項3】
前記突起部(6)が、突起部高さ(h)、形状及び向きにおいて互いに異なることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載の伝熱管(1)。
【請求項4】
1つの突起部(6)が、前記管壁部(2)とは反対側に、鋭くとがった先端部(61)を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の伝熱管(1)。
【請求項5】
1つの突起部(6)が、前記管壁部(2)とは反対側において湾曲された先端部(61)を備えており、該先端部の局所的な湾曲半径が、突起延長に沿って前記管壁部(2)から離れるにしたがって小さくなっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の伝熱管(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文による金属製の伝熱管に関するものである。
【0002】
このような金属製の伝熱管は、特に、管外側において純物質又は混合物から成る液体を蒸発させるのに寄与するものである。
【背景技術】
【0003】
蒸発は、冷却技術及び空調技術の多くの分野並びにプロセス技術及びエネルギー技術において生じる。純物質又は混合物の液体が管外側において蒸発し、このとき塩水又は水が管内側において冷却される管束熱交換器がしばしば用いられる。このような装置は、満液式蒸発器と呼ばれる。
【0004】
管外側及び管内側における熱伝達を強めることで、蒸発器の寸法が大きく低減され得る。これにより、このような装置の製造コストが低減される。そのほか、今日では主に用いられる塩素を有さない安全冷却媒体において設備コスト全体における無視できないコスト割合を決定し得る、必要な冷却媒体の充填量が低減される。有毒な、又は可燃性の冷却媒体の場合には、充填量の低減により潜在危険性を更に低下させることが可能である。今日において一般的な高性能管は、同一の直径の平滑管に比べて既に約ファクタ4だけ高性能である。
【0005】
このような高性能な管を統合して圧延されたリブ管を基礎として製造することは従来技術である。統合して圧延されたリブ管とは、リブが平滑管の壁部材料から形成されたリブ付きの管と理解される。このとき、隣り合ったリブ間に存在する通路を通路と周囲の間の結合が細孔又はスリットの形態のままであるように閉鎖する様々な方法が知られている。特に、このような本質的に閉鎖された通路は、リブを曲げるか、又は折り曲げることで(特許文献1、特許文献2、特許文献3)、リブを分割し、圧潰することで(特許文献4、特許文献5)、及びリブに刻み付けし、リブを圧潰することで(特許文献6、特許文献7、特許文献8)得られる。
【0006】
満液式蒸発器のための最高性能な市販のリブ管は、管外側において、1インチ当たり55〜60リブのリブ密度を有するリブ構造を有している(特許文献9、特許文献10、特許文献11)。このことは、約0.45〜0.40mmのリブピッチに相当する。原則的には、この種の管の性能は、更に大きなリブ密度あるいは更に小さなリブピッチによって改善されることが可能である。なぜなら、これにより気泡核箇所密度が増大するためである。より小さなリブピッチには、必然的に均等でより精確な工具が必要となる。しかしながら、より精確な工具は、より大きな破壊のおそれとより早い摩耗を被ってしまう。現時点で利用可能な工具により、1インチ当たり最大で60リブのリブ密度を有するリブ管の確実な製造が可能である。また、リブピッチが減少するにつれて管の生産速度が落ち、したがって製造コストがより高くなる。
【0007】
さらに、追加的な構造要素をリブ間の溝底部の範囲に設けることで、管外側における一定のリブ密度で高性能な蒸発構造を得ることができることが知られている。溝底部の範囲ではリブの温度がリブ先端部の範囲における温度よりも高いため、気泡形成を促進するための構造要素は、この範囲では特に効果的である。これについての例は、特許文献12、特許文献13、特許文献14及び特許文献15において見られる。これらの発明においては、構造要素が溝底部においてアンダーカットされた形状を有していないため、気泡形成を十分に促進しないことが共通している。特許文献16及び特許文献17では、リブ間の溝底部に、プライマリ溝に沿って連続的に延在するアンダーカットされたセカンダリ溝を形成することが提案されている。当該セカンダリ溝の断面は、一定のままであるか、又は規則的な間隔で変化し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第3,696,861号明細書
【特許文献2】米国特許第5,054,548号明細書
【特許文献3】米国特許第7,178,361号明細書
【特許文献4】独国特許発明第2 758 526号明細書
【特許文献5】米国特許第4,577,381号明細書
【特許文献6】米国特許第4,660,630号明細書
【特許文献7】欧州特許第0 713 072号明細書
【特許文献8】米国特許第4,216,826号明細書
【特許文献9】米国特許第5,669,441号明細書
【特許文献10】米国特許第5,697,430号明細書
【特許文献11】独国特許発明第197 57 526号明細書
【特許文献12】欧州特許第0 222 100号明細書
【特許文献13】米国特許第5,186,252号明細書
【特許文献14】特開平04−039596号公報
【特許文献15】米国特許出願公開第2007/0151715号明細書
【特許文献16】欧州特許第1 223 400号明細書
【特許文献17】欧州特許第2 101 136号明細書
【特許文献18】独国特許発明第603 17 506号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の基礎となる課題は、液体を蒸発させるための高性能な熱交換器管を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、請求項1の特徴によって表されている。別の従属請求項は、本発明の有利な形態及び発展形成に関するものである。
【0011】
本発明は、管長手軸線を有している伝熱管を含んでおり、管外側及び/又は管内側には、管壁部から連続的に延びる、軸平行に、又はらせん状に周設されたリブが形成されており、それぞれ隣り合うリブ間に連続的に延在するプライマリ溝が形成されており、前記リブが、前記管外側及び/又は前記管内側において少なくとも1つの構造化された範囲を備えており、該構造化された範囲が、表面から突出する、突起部高さを有する複数の突起部を備えており、これにより、前記突起部が切り込み部によって分離されている。本発明によれば、複数の突起部は、隣り合う突起部間にキャビティが形成されるように対状に互いに対して変形されている。
【0012】
さらに、本発明は、管長手軸線を有している伝熱管を含んでおり、管外側及び/又は管内側には、管壁部から連続的に延びる、軸平行に、又はらせん状に周設されたリブが形成されており、それぞれ隣り合うリブ間に連続的に延在するプライマリ溝が形成されており、前記リブが、前記管外側及び/又は前記管内側において少なくとも1つの構造化された範囲を備えており、該構造化された範囲が、表面から突出する、突起部高さを有する複数の突起部を備えており、これにより、前記突起部が切り込み部によって分離されている。本発明によれば、複数の突起部が管壁部の方向へ変形されているため、それぞれの突起部と管壁部の間にキャビティが形成される。
【0013】
本発明による両解決手段においては、構造化された範囲が、原則的に管外側あるいは管内側に形成されることが可能である。ただし、本発明による、リブ部分は、管内側に配置されるのが好ましい。上述の構造は、蒸発管にも、また凝縮管にも用いられることが可能である。同様に、この構造は、例えば水のような単相の液体流に適している。
【0014】
そして、管壁部を起点として管壁部から最も離れた突起部の箇所までの隣り合う突起部間のそれぞれ最短の間隔が低減されるときに、隣り合う突起部におけるキャビティが存在する。換言すると、キャビティを形成する隣り合った突起部は、互いに向かって傾く。
【0015】
換言すれば、キャビティは、それぞれ対向する隣り合う突起部の凹状の面によって形成される。したがって、キャビティを形成する隣り合う突起部の面は、キャビティを越えてアーチ状に延在している。
【0016】
突起部高さは、合目的的には、径方向における突起部の寸法として規定される。そして、突起部高さは、径方向において、壁部を起点として、壁部から最も離れた突起部における位置までの距離である。
【0017】
切り込み部の切り込み深さは、元々のリブ先端部から切り込みの最深箇所までの、径方向に測定した距離である。換言すると、切り込み深さは、元々のリブ高さと切り込みの最深箇所において残った残留リブ高さの差である。
【0018】
このとき、本発明は、管壁部と周囲に設置された突起部の間、あるいは隣り合う突起部間に形成される中空空間が本発明によるキャビティを形成するという考察に基づくものである。キャビティを形成するために、突起部は、当該突起部がキャビティを形成するように切削され、配置され、あるいは周囲に設置される。このとき、突起部が管壁部に接触するか、又は直接的な接触なしにキャビティが形成される異なる実施形態が存在する。製造は、適合する切削幾何形状又はセカンダリ変形プロセスによって直接的に行われることができ、用いられるセカンダリ工具は、平滑であるか、又は追加的な構造を有することができる。
【0019】
原則的には、例えば管内側における蒸発時には、管は、水平又は垂直に配置されることができる。また、管がわずかに水平又は垂直に対して傾斜している場合も存在する。冷却技術においては、通常、水平な管を有する蒸発器が用いられる。これに対して、蒸留塔を加熱するための化学技術においては、しばしば循環式垂直蒸発器が用いられる。この場合、物質の蒸発は、垂直な管の内側において行われる。
【0020】
熱を放出する媒体と蒸発する物質の間の熱輸送を可能とするために、熱を放出する媒体の温度は、物質の飽和温度より高い必要がある。この温度差を動作温度差という。動作温度差が大きくなればなるほど、より大量の熱を伝達することが可能である。他方で、たいてい、動作温度差を小さく維持する努力が必要である。なぜなら、これがプロセス効率にとって有利であるためである。
【0021】
本発明によるキャビティにより、蒸発時の熱伝達率を高めるために、バルク沸騰の過程が徹底される。気泡の形成は、核形成部において開始される。核形成部は、多くの場合、小さなガストラップ又は蒸気トラップである。成長する泡が所定の大きさに達すると、この泡は、表面から剥離する。気泡剥離の一環として核形成部が液体によってあふれると、核形成部が非活性化される。したがって、表面は、泡の剥離時に、泡形成の新たなサイクルのための核形成部として用いられる小さな泡が存在したままであるようにキャビティとして形成される必要がある。このことは、泡の剥離後に小さな泡が残ったままであり得るキャビティを表面に配置することで達成される。
【0022】
本発明の好ましい形態では、先端部が、少なくとも2つの突起部によって、リブ延長に沿って相互に接触又は交差され得る。このことは、特に、相転移におけるリバーシブルな動作において有利である。なぜなら、突起部が液化のために更に凝縮物から突出し、蒸発のために一種のキャビティを形成するためである。
【0023】
有利には、先端部が、少なくとも2つの突起部によって、プライマリ溝を越えて相互に接触又は交差され得る。このことは、相転移におけるリバーシブルな動作において有利である。なぜなら、突起部が液化のためにここで更に凝縮物から突出し、蒸発のために一種のキャビティを形成するためである。
【0024】
これに対して、管壁部に対する突起部の先端部の間隔が、残留リブ高さよりもわずかであることも可能である。これにより、突起部は、管壁部の直上でフック状あるいはループ状の形状が得られる。このように丸められた形状は、蒸発プロセスにおいて気泡核形成にとって特に有利である。
【0025】
本発明の好ましい実施形態においては、突起部のうち少なくとも1つが、その先端部が管内側に接触するように変形されることができる。これにより、ここでも突起部のフック状あるいはループ状の形状により、流体状の熱伝達媒体の相転移時に気泡核が管壁部の近傍に形成される。そこでは、管壁部を介して、流体への特に強い熱交換が行われる。
【0026】
本発明の有利な形態では、切り込み部が、リブ層を形成するために、リブ延長に対して横方向へある切削深さで内側リブを切削することによって、及びプライマリ溝間のリブ延長に沿って主方向を有するリブ層を持ち上げることによって形成されることができる。
【0027】
本発明による伝熱管の走行側の構造化は、特許文献18に既に記載されている工具を用いて形成されることができる。この特許文献18の開示内容は、本出願書類に包括的に取り入れられる。これにより、突起部高さ及び間隔を可変に形成することができるとともに、個別に要求、例えば液体の粘度又は流速に適合させることが可能である。
【0028】
用いられる工具は、リブ層を生み出すために、管の内面におけるリブを通して切削するための切れ刃と、突起部の形成のためにリブ層を持ち上げるための持上げエッジ部とを備えている。このようにして、突起部は、管の内面から金属を除去することなく形成される。管の内面における突起部は、リブの形成と同一又はこれとは異なる加工において形成されることが可能である。
【0029】
これにより、突起部高さ及び間隔を、可変に構成することができるとともに、考慮される流体の要求、例えば液体の粘度、流速に関して個別に適合することが可能である。
【0030】
有利には、突起部は、突起部高さ、形状及び向きにおいて互いに異なっていてよい。これにより、特に層流の場合に、異なるリブ高さによって流れの異なる境界層へ埋没させるように、及び熱を管壁部へ導くために、個々の突起部の高さは、目的に合わせて互いに適合されることができるとともに、互いに異なることが可能である。これにより、突起部高さ及び間隔は、要求、例えば流体の粘度又は流速へ個別に適合されることも可能である。
【0031】
本発明の好ましい実施形態では、突起部は、管壁部とは反対側において、鋭くとがった先端部を備えることができる。これにより、凝縮管の場合に、二相流体を用いることで、突起部先端における最適な凝縮に至る。
【0032】
特に好ましい実施形態では、1つの突起部が、管壁部とは反対側において湾曲された先端部を備えることができ、この先端部の局所的な湾曲半径が、突起延長に沿って管壁部から離れるにしたがって小さくなっている。このことは、特に凝縮時に、先端部において生じる凝縮物が凸状の湾曲によってより迅速にリブ基部へ搬送され、したがって液化時における熱伝達が最適化されるという利点を有している。相転移時、ここでは特に液化時には、蒸気の液化と、先端部からリブ基部への凝縮物の排出に主な着眼点がある。このために、凸状に湾曲された突起部は、効率的な熱伝達のための理想的な基礎を形成する。このとき、突起部の基礎は、本質的に管壁部から径方向へ突出している。したがって、同一又は類似の構造要素が、蒸発管にも、また凝縮管にも同様に適することが可能である。
【0033】
本発明の実施例を概略的な図面に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】管内側における本発明による構造を有する伝熱管の管部分を概略的に示す斜視図である。
図2】本発明による別の構造を有する伝熱管の管部分を概略的に示す斜視図である。
図3】管内側における本発明による別の構造を有する伝熱管の管部分を概略的に示す斜視図である。
図4】異なる切り込み深さを有するリブ部分を概略的に示す図である。
図5】リブ延長に沿って互いに接触する2つの突起部を有するリブ部分を概略的に示す図である。
図6】リブ延長に沿って互いに交差する2つの突起部を有するリブ部分を概略的に示す図である。
図7】プライマリ溝を越えて互いに接触する2つの突起部を有するリブ部分を概略的に示す図である。
図8】プライマリ溝を越えて互いに交差する2つの突起部を有するリブ部分を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
全ての図において、互いに対応する部材には同一の符号が付されている。
【0036】
図1には、管内側22における本発明による構造を有する伝熱管1の管部分の斜視図が概略的に示されている。伝熱管1は、管壁部2、管外側21及び管内側22を有している。管内側22には、管壁部2から連続的に延びる、らせん状に周設されたリブ3が形成されている。管長手軸線Aは、リブ3に対してある角度をもって延びている。それぞれ隣り合うリブ3の間には、連続的に延びるプライマリ溝4が形成されている。
【0037】
複数の突起部6は、隣り合う突起部6間にキャビティ10が形成されるように対状に向き合って変形されている。このとき、少なくとも2つの突起部6の先端部61は、リブ延長に沿って相互に接触する。
【0038】
突起部6は、リブ層を形成するために、リブ延長に対して横方向へある切削深さでリブ3を切削することによって、及びプライマリ溝4間のリブ延長に沿って主方向を有するリブ層を持ち上げることによって形成されている。突起部6間の切り込み部7は、リブ3における交互の切り込み深さをもって形成されていてもよい。
【0039】
図2には、本発明による別の構造を有する伝熱管1の管部分の斜視図が概略的に示されている。複数の突起部6は、隣り合う突起部6間にキャビティ10が形成されるように対状に向き合って変形されている。このとき、少なくとも2つの突起部6の先端部61は、プライマリ溝4を越えて到達するとともに、相互に接触する。しかし、対状に向き合って変形された突起部6の先端部61は、互いに対してある間隔を有していてもよい。しかし、この間隔は、それにもかかわらず有効なキャビティ10が形成されるほどわずかである。
【0040】
突起部6は、ここでも、リブ層を形成するために、リブ延長に対して横方向へある切削深さでリブ3を切削することによって、及びプライマリ溝4間のリブ延長に沿って主方向を有するリブ層を持ち上げることによって形成されている。突起部6間の切り込み部7は、リブ3における交互の切り込み深さをもって形成されていてもよい。
【0041】
図3には、管内側22における本発明による別の構造を有する伝熱管1の管部分の斜視図が概略的に示されている。複数の突起部6は管壁部2の方向へ変形されているため、それぞれの突起部と管壁部2の間にキャビティ10が形成される。
【0042】
このとき、管壁部に対する突起部の先端部61の間隔は、残留リブ高さよりもわずかである。したがって、フック状の形状が生じる。しかし、突起部6は、その先端部61が管内側22に接触するように変形されることが可能である。図3には図示されていないこの場合には、好ましくはループ状の形状が生じる。突起部6は、図1及び図2と同様に、ここでもリブ3の切削により形成されている。
【0043】
図4には、異なる切り込み深さt,t,tを有するリブ部分31が概略的に示されている。切削深さあるいは切り込み深さという用語は、本発明の範囲では同一の概念を示すものである。突起部6は、リブ3を通した交代で交互の切り込み深さt,t,tを備えている。図4では、元々形成されたらせん状に周設されたリブ3が破線で示唆されている。これに基づき、突起部6は、リブ層を形成するために、リブ延長に対して横方向へある切り込み深さ/切削深さt,t,tでリブ3を切削することによって、及びリブ延長に沿って主方向を有するリブ層を持ち上げることによって形成されている。したがって、径方向における元々のリブの切り込み深さについて異なる切り込み深さ/切削深さt,t,tが量定される。
【0044】
突起部高さhは、図2において径方向における突起部の寸法として記入されている。そして、突起部高さhは、径方向において、壁部を起点として、壁部から最も離れた突起部における位置までの距離である。
【0045】
切り込み深さt,t,tは、元々のリブ先端部から切り込みの最深箇所までの、径方向に測定した距離である。換言すると、切り込み深さは、元々のリブ高さと切り込みの最深箇所において残った残留リブ高さの差である。
【0046】
図5には、リブ延長に沿って互いに接触する2つの突起部6を有するリブ部分31が概略的に示されている。さらに、図6には、リブ延長に沿って互いに交差する2つの突起部6を有するリブ部分31が概略的に示されている。図7にも、プライマリ溝を越えて互いに接触する2つの突起部6を有するリブ部分31が概略的に示されている。図8には、プライマリ溝を越えて互いに交差する2つの突起部6を有するリブ部分31が概略的に示されている。
【0047】
図5図8に図示された構造要素には、二相流体における特にリバーシブルな動作において、蒸発のために一種のキャビティ10が形成されるという利点がある。この特別な態様のキャビティ10は、蒸発する流体の気泡核についての初期位置を形成する。
【符号の説明】
【0048】
1 伝熱管
2 管壁部
21 管外側
22 管内側
3 リブ
31 リブ部分
4 プライマリ溝
6 突起部
61 先端部
7 切り込み部
10 キャビティ
A 管長手軸線
第1の切削深さ
第2の切削深さ
第3の切削深さ
h 突起部高さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8