(54)【発明の名称】和周波数生成器のための回路およびそれを形成する方法、第1のキュービットおよび第2のキュービットの遠隔エンタングルメントのための方法、ならびにマイクロ波中継装置を構成するための方法
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の共振器が、コンデンサから形成され、前記コンデンサは各々が、誘電体基板または媒質によって分離される、前記JRMに接続された上板および一緒に接続された下板を有する、請求項1に記載の回路。
前記第1の出力読み出し信号が、前記第1のキュービットの状態情報を含み、前記第2の出力読み出し信号が、前記第2のキュービットの状態情報を含む、請求項12に記載の方法。
前記第1の自発的パラメトリック下方変換デバイスによって生成される第1の光子が、前記第1の和周波数生成器から前記最後の和周波数生成器までのいずれによっても受信されず、
前記最後の自発的パラメトリック下方変換デバイスによって生成される最後の光子が、前記第1の和周波数生成器から前記最後の和周波数生成器までのいずれによっても受信されず、
前記第1の和周波数生成器から前記最後の和周波数生成器までが、前記第1の光子および前記第2の光子の遠隔エンタングルメントを引き起こすように構成され、
前記第1の自発的パラメトリック下方変換デバイスから第3の自発的パラメトリック下方変換デバイスが、非縮退性の三波混合増幅器である、請求項15に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
様々な実施形態は、関連した図面を参照して本明細書内に説明される。代替的な実施形態が、本発明の範囲から逸脱することなく考案され得る。素子同士の様々な接続および位置関係(例えば、上、下、隣接してなど)が、以下の説明および図面において明記されることに留意されたい。これらの接続または位置関係あるいはその両方は、別途記載のない限り、直接的または間接的であり得、この点で制限することは意図されない。したがって、エンティティの結合は、直接的または間接的な結合を指すことができ、エンティティ間の位置関係は、直接的または間接的な位置関係であり得る。間接的な位置関係の例として、層「A」を層「B」の上に形成することへの言及は、層「A」および層「B」の重要な特徴および機能性が中間層によって著しく変更されない限りは、1つまたは複数の中間層(例えば、層「C」)が層「A」と層「B」の間にある状況を含む。
【0010】
光子は、素粒子であり、これは、電磁放射のすべての他の形態と共に光の量子である。光子は、放射周波数に比例してエネルギーを運び、ゼロ静止質量を有する。
【0011】
ベル状態は、量子情報科学における概念であり、エンタングルメントの本質を表す。それらは、ベル不等式の対象となる。EPR対は、共にベル状態にある、言い換えると、互いとエンタングルされる、一対のキュービット(量子ビット)、粒子、または光子である。電磁場および重力場などの旧知の現象とは異なり、エンタングルメントは、分離の距離の下で不変であり、光の速度などの相対論的な制約の対象とならない。ベル測定は、量子情報科学において重要な概念である。2つのキュービットが4つのベル状態のうちのどれにあるかを決定するのは、2つのキュービットのジョイント量子力学的測定(joint quantum-mechanical measurement)である。キュービットが以前にベル状態ではなかった場合、それらは投影されてベル状態にされ(量子測定の投影規則に従って)、また、ベル状態がエンタングルされるため、ベル測定はエンタングル操作である。
【0012】
エンタングルメントの1つの有用な特徴は、それがスワップされ得ることである。例えば、エンタングルされた光子、例えば、A、B、およびC、Dの2つの対を前提とし、各対が別個の自発的光子下方変換器(SPDC: spontaneous photon down-converter)によって生成されるとすると、光子BおよびCのジョイント測定をベルに基づいて実施し、その結果をAおよびDに通信することによって、光子AおよびDをエンタングルする(それらを互いと相互作用させずに)ことが可能である。この量子操作(すなわち、エンタングルメント・スワッピング)が有用であり得る1つの応用は、量子通信である。特に、それは、量子中継装置の実装を可能にする。しかしながら、エンタングル・スワッピング・スキームにおいて部分的なベル測定を実施するために線形光学素子を使用すること(ベル測定の成功は、エンタングルされた対の作成の予告事象として機能する)は、いくつかの問題を抱えている。例えば、1つの問題は、自発的パラメトリック下方変換(SPDC)源が、本質的に、エンタングルされた光子の多重対を発光し、そのことが、ベル測定の成功の条件となるエンタングルされた状態の忠実性を低減させ、両方の端AおよびDにおいて1つの検出に対応する事象を後選択することなくエンタングルメント・スワッピング・プロトコルを無用にする。さらには、忠実性の低減に加えて、それ自体による後選択動作は、デバイス非依存量子鍵配送(DIQKD)スキームの要件(安全な量子通信を実施するために必要とされる)と相いれない。別の問題は、ベルの不等式のすべての光学検査が、エンタングルされた光子が、量子チャネルにおける不可避の損失、光子対源と光ファイバーとの結合における損失、および有限検出器効率に起因して、すべては検出されないという検出の抜け穴に悩まされていることである。この抜け穴を塞ぐことは、DIQKDを実証するための要件である。これらの問題および文献において提示されている他の問題に対する1つの実行可能な解決策は、エンタングルメント・スワッピング操作/プロトコルにおいてベル測定を実施するために使用される線形光学素子の代わりに、和周波数生成器(ある意味では非線形フィルタとして機能する)を使用することである。
【0013】
1つまたは複数の実施形態は、マイクロ波領域(例えば、1〜30ギガヘルツ(GHz))内で動作する量子デバイスを提供する。量子デバイスは、チップ上で非線形光学動作、特に、和周波数生成を実施すること、すなわち、周波数f
S、f
Iおよび運動量k
S、k
Iで量子デバイスのポートに入ってくる一対のマイクロ波光子を、エネルギーがエネルギーの和f
UPC=f
I+f
Sに等しく、かつ運動量が入力光子の運動量の和k
UPC=k
I+k
Sに等しい出射光子へと上方変換することができる。1つまたは複数の実施形態は、単一光子レベルで動作する、また量子情報処理応用、特に、量子計算および量子通信において様々な役割で利用され得る、マイクロ波領域内の和周波数生成器(回路)を含む。
【0014】
ここで図に移ると、
図1は、1つまたは複数の実施形態に従う、量子通信における和周波生成器の応用の概念図である。
図1は、未修正のスペクトルを有する2つの独立した光子対源であるSPDC1およびSPDC2を描写する。SFGは、各SPDC1および2に接続される。単一マイクロ波光子検出器11、12、および13は、SPDC1、SPDC2、およびSFGにそれぞれ接続される。
【0015】
動作中、別個のポンプ信号がSPDC1および2に入力される。この例では、ポンプ信号1(周波数ω
P1=ω
2+ω
4にある)が、SPDC1に入力され、ポンプ信号2(周波数ω
P2=ω
1+ω
3にある)が、SPDC2に入力される。SPDC1は、例えばフォック状態に従って、一対のエンタングルされた光子を作成するように構成される。同様に、SPDC2は、一対のエンタングルされた光子を作成するように構成される。
【0016】
SPDC1によって生成されるエンタングルされた光子対は、光子検出器11に伝送される光子|1>ω
4およびSFGに伝送される光子|1>ω
2に指定される。SPDC2によって生成されるエンタングルされた光子対は、光子検出器12に伝送される光子|1>ω
3およびSFGに伝送される光子|1>ω
1に指定される。
【0017】
SFGは、光子|1>ω
1および光子|1>ω
2を受信し、この2つの光子(|1>ω
1および|1>ω
2)を変換光子|1>ω
1+ω
2へと上方変換するように構成される。変換光子|1>ω
1+ω
2は、上方変換光子と称され得る。SPDC1によって生成された光子の周波数は、ω
2およびω
4であり、SPDC2によって生成された光子の周波数は、ω
1およびω
3であることに留意されたい。したがって、変換光子|1>ω
1+ω
2は、ω
1+ω
2の和周波数である。単一マイクロ波光子検出器を用いて、変換(すなわち、上方変換)光子|1>ω
1+ω
2を測定することによって、変換光子が、距離の離れた他の2つの光子状態のエンタングルメントを予告する。言い換えると、変換(すなわち、上方変換)光子|1>ω
1+ω
2を測定することが、互いから離れている光子|1>ω
3および|1>ω
4のエンタングルメントを確実に保証する。さらに、このスキームは、3つの光子がエンタングルされている光子三重項状態を結果としてもたらす。3つのエンタングルされた光子の光子三重項状態は、変換光子|1>ω
1+ω
2、光子|1>ω
3、および光子|1>ω
4のエンタングルメントである。
【0018】
図2は、1つまたは複数の実施形態に従う、SFG回路100の概略図である。SFG回路100は、マイクロ波デバイスまたは量子デバイスである。SFG回路100は、ポート150Aおよびポート150Bを含む。ポート150Aは、ブロードバンド180度ハイブリッド結合器120Aに接続され得、ポート150Bは、ブロードバンド180度ハイブリッド結合器120Bに接続され得る。180度ハイブリッド結合器120Aおよび120Bは各々、差(Δ)ポートおよび和(Σ)ポートを有する。180度ハイブリッド結合器120Aでは、信号(S)が、Δポートに接続され、上方変換(UPC)信号が、Σポートに接続される。180度ハイブリッド結合器120Bでは、アイドラ(I)が、Δポートに接続され、終端インピーダンス点(例えば、50オーム(Ω)終端環境)が、Σポートに接続される。
【0019】
180°ハイブリッド結合器は、相反、一致、および理想的には無損失の4ポートマイクロ波デバイスである。180°ハイブリッドは、入力信号を2つの等しい増幅出力に分割する。その和ポート(Σ)から供給されるとき、180°ハイブリッドは、2つの等しい増幅同相出力信号を提供する。その差ポート(Δ)から供給されるとき、それは、2つの等しい増幅180°異相出力信号を提供する。
【0020】
SFG回路100は、ジョセフソン接合リング変調器(JRM)110を含む。JRM110は、ホイートストン・ブリッジに類似するループ/リングをJRM110内に形成するように一緒に接続される複数のジョセフソン接合(JJ)130を含む。1つの実装形態において、JRM110はまた、各JJ131の一方の端がJRM110のループのノードに接続すると同時に、各JJ131の他方の端が他のJJ131に接続するように、ループの内側にJJ131を含み得る。当業者によって理解されるように、印加された磁束ΦがMJRM110のループを通り抜け、磁場が、磁気コイルなどの磁気源180によって生成され得る。この例では、JRMの低減された内側ループの1つ1つを通り抜ける磁束Φは、Φ
ext/4である。
【0021】
信号共振器162は、2つの四分の一波長伝送線12Aおよび12Bを含む。一方の四分の一波長伝送線12Aは、ノードAに接続され、もう一方の四分の一波長伝送線12Bは、JRM110のノードBに接続される。これら2つの四分の一波長伝送線およびJRM110が、波長がλ
Sである基本モードのための半波長(λ
S/2)伝送線マイクロ波共振器を形成し、それは入力マイクロ波信号152の波長に一致する。信号共振器162の四分の一波長伝送線12Aおよび12Bは、JRM110の両端に接続する。
【0022】
アイドラ共振器161は、2つの集中素子コンデンサ11Aおよび11Bを含み、これら各々が値2C
Bを有し、Cは、キャパシタンスを表す。一方の集中素子コンデンサ11Aは、ノードCに結合され、もう一方の集中素子コンデンサ11Bは、JRM110のノードDに結合される。アイドラ共振器161の集中素子コンデンサ11Aおよび11Bは、JRM110の両端に接続する。
【0023】
アイドラ共振器161および信号共振器162は共に、JRM110を共有または利用する。1つの実装形態において、アイドラ共振器161および信号共振器162は共に、
図3の周波数スペクトルに描写されるものと同じ共振周波数を有する。別の実装形態において、アイドラ共振器161および信号共振器162は、異なる共振周波数を有し、それは、アイドラ共振器161が、
図4における周波数スペクトルに描写されるように信号共振器162よりも高い共振周波数を有するということである。
【0024】
マイクロ波部品/素子は、その寸法が最小動作周波数の波長と比較して非常に小さい(例えば、デバイスの最小動作周波数に対応する波長の10分の1より小さい)場合には集中(分散に対して)と説明される。例えば、ジョセフソン接合は、かなり正確な概算で、範囲1〜20GHz内のマイクロ波信号のための集中非線形インダクタと考えられる。
【0025】
SFG回路100は、ポート150Aを信号共振器162に接続する結合コンデンサ20Aおよび20Bを含む。また、SFG回路100は、ポート150Bをアイドラ共振器161に接続する結合コンデンサ20Cおよび20Dを含む。結合コンデンサ対20A、20B(ならびに対20Cおよび20D)は各々が同じ値を有し、この値は、結合コンデンサ20A、20BではCc
A、および結合コンデンサ20C、20DではCc
Bと指定される。結合コンデンサ20A、20B、20C、および20Dの値は、アイドラ共振器161および信号共振器162について望ましい帯域幅を設定するように(当業者によって理解されるように、デバイス安定性を犠牲にすることなく)主に決定される。
【0026】
アイドラ・マイクロ波信号/トーン151は、周波数f
Iであり、信号マイクロ波信号/トーン152は周波数f
Sである。上方変換マイクロ波信号/トーン153は、周波数f
UPCである。アイドラ・マイクロ波信号151(アイドラ光子)および信号マイクロ波信号152(信号光子)が、SFG回路100に入力され、上方変換されて、上方変換マイクロ波信号153(上方変換信号)を生成する。
【0027】
SFG回路100の特徴が以下に論じられる。信号共振器162は、共振器aとも称され得、信号共振器162は共振周波数f
aを有する。アイドラ共振器161は、共振器bとも称され得、アイドラ共振器161は共振周波数f
bを有する。信号共振器162およびアイドラ共振器161は、それらの共振周波数(f
aおよびf
b)を等しく、またはf
a〜f
bなどほぼ等しくするように設計される。アイドラ共振器161は、集中素子共振器であり、第2の高調波を有さない。信号共振器162は、集中素子共振器ではなく、共振周波数f
cにある第2の高調波を有する。共振周波数f
cにある共振器の第2の高調波は、関係f
c=2f
aを満足する。共振周波数f
cにある共振器の第2の高調波は、簡略化のために共振器cの共振周波数と指定される。
【0028】
周波数f
S(信号マイクロ波信号152)および周波数f
I(アイドラ・マイクロ波信号151)は、SFG100のデバイス帯域幅内にあり、それらが等しい、またはf
S〜f
Iなどほぼ等しいという特徴を有する。例として、周波数はf
S=f
I=7GHzであり得る。上方変換信号153(すなわち、上方変換光子)の周波数f
UPCは、出力される上方変換周波数f
UPCが関係f
UPC=f
S+f
Iを満足するように、周波数f
Sおよびf
Iの和である(例えば、14GHz)。上方変換光子の和周波数f
UPCは、2f
a共振モードの帯域幅内に入る。
【0029】
信号共振器162(共振器a)は、γ
aと指定される帯域幅を有し、アイドラ共振器161(共振器b)は、γ
bと指定される帯域幅を有する。信号共振器162の第2の高調波は、γ
cと指定される帯域幅を有する。言い換えると、共振器cは、γ
cと指定される帯域幅を有する。帯域幅は、関係γ
a〜γ
b<γ
cを満足する。
【0030】
また、帯域幅は関係γ
a,γ
b<g
3,γ
2ph<γ
cを満足し、式中、g
3は、3つのモードa、b、およびc間の結合定数であり、一対の信号およびアイドラ光子がSFG回路100内で上方変換される比率を特徴付け、γ
2phは、信号およびアイドラ光子が(信号およびアイドラ・マイクロ波信号152および151を介して)それらのそれぞれのポート150Aおよび150Bを出ていく比率(すなわち、反射において出力される)であり、
【0031】
【数1】
である。SFG回路100において、帯域幅γ
cは、上方変換光子(すなわち、上方変換信号153内の上方変換光子)が後にSFG回路100を出ていくように、帯域幅γ
aおよび帯域幅γ
bより大きくなければならず、より大きい帯域幅γ
cを有することにより、上方変換光子が下方変換される機会を有することを防ぐ。SFG内で起こる3波混合プロセス(非線形混合)が、信号光子およびアイドラ光子から上方変換光子を生成するということに留意されたい。
【0032】
コンデンサ11A〜Bおよび20A〜D(コンデンサ内の誘電材料を除く)、伝送線30、ジョセフソン接合130、131(薄い絶縁材料を除く)、ならびにポート150Aおよび150Bを含むSFG100は、超伝導材料製である。加えて、ハイブリッド結合器120Aおよび120Bは、低損失常伝導金属製であるか、超伝導材料製であり得る。(約10〜100ミリケルビン(mK)、または約4Kなど、低温度での)超伝導材料の例としては、ニオブ、アルミニウム、タンタルなどが挙げられる。
【0033】
図3は、1つまたは複数の実施形態に従う、例示的な周波数スペクトル300を描写する。この例では、信号共振器162(すなわち、共振器a)の共振周波数f
aおよびアイドラ共振器161(共振器b)の共振周波数f
bは、曲線305によって示されるように互いと一致する(すなわち、等しいか、またはほぼ等しい)。周波数スペクトル300において、信号共振器162およびアイドラ共振器161の帯域幅(γ
a〜γ
b)は、等しいか、またはほぼ等しい。
【0034】
信号光子(信号マイクロ波信号152と同義で利用され得る)は、周波数f
Sで入力され、周波数f
Sは、信号共振器162(共振器a)の帯域幅γ
a内にある。アイドラ光子(アイドラ・マイクロ波信号151と同義に利用され得る)は、周波数f
Iで入力され、周波数f
Iは、アイドラ共振器161(共振器b)の帯域幅γ
b内にある。1つの実装形態において、周波数f
Sは、共振周波数f
aにほぼ等しくてもよく、周波数f
Iは、共振周波数f
bにほぼ等しくてもよい。
【0035】
信号共振器162が第2の高調波共振モード(共振器cの共振モードと指定される)を有することから、およびJRM110内の相互作用が理由で、信号およびアイドラ光子が組み合わさり、エネルギーが信号およびアイドラ光子のエネルギーの和である光子(上方変換信号153の上方変換光子と指定される)に上方変換される。上方変換光子は、周波数f
UPC=f
c=2・f
aを有する。言い換えると、周波数f
UPCは、信号共振器162(共振器a)の第2の高調波であり、それは、信号共振器162の信号共振周波数f
aの約2倍である。第2の高調波(すなわち、共振器c)の帯域幅γ
cは、信号共振器162(共振器a)の帯域幅γ
aの約8倍であり、その結果γ
c〜8・γ
aである。別の実装形態において、帯域幅γ
cは、帯域幅γ
aよりも約7、8、9、および10倍高くてもよい。
図3内の周波数スペクトルは、関係γ
a,γ
b<g
3,γ
2ph<γ
cを満足する。
【0036】
図4は、1つまたは複数の実施形態に従う、例示的な周波数スペクトル400を描写する。この例では、信号共振器162(すなわち、共振器a)の共振周波数f
aおよびアイドラ共振器161(共振器b)の共振周波数f
bは、曲線405および410によって示されるように互いと一致しない。周波数スペクトル400において、信号共振器162およびアイドラ共振器161の帯域幅(γ
a〜γ
b)は、別個であり、互いと一致しない。
【0037】
(信号マイクロ波信号152の)信号光子は、周波数f
Sで入力され、周波数f
Sは、信号共振器162(共振器a)の帯域幅γ
a内にある。(アイドラ・マイクロ波信号151の)アイドラ光子は、周波数f
Iで入力され、周波数f
Iは、アイドラ共振器161(共振器b)の帯域幅γ
b内にある。
【0038】
信号共振器162が第2の高調波共振モード(共振器cの共振モードと指定される)を有することから、およびJRM110内の相互作用が理由で、信号およびアイドラ・プロトンが組み合わさり、エネルギーが信号およびアイドラ光子のエネルギーの和である光子(上方変換信号153の上方変換光子と指定される)に上方変換される。
図3とは異なり、
図4内の周波数スペクトル400は、上方変換光子が周波数f
UPC=f
c=f
a+f
bを有することを示す。f
cは、均一な伝送線共振器のために2f
aでなければならないが、インダクタ(すなわち、JJ130)は、信号共振器162の第2の高調波共振モード周波数をスキュー(skew)することができる。そのような場合、共振周波数f
aおよびf
bが共振器aおよびbについて異なり、それらの和がf
cであるという実施形態は、改変され得る。信号共振器162(共振器a)は、例えば、特定の基本共振周波数f
aおよび第2の高調波共振周波数f
cを得るために共振器162(およびJRM110の誘電性装荷)を形成する既定の長さの伝送線に従って設定される。続いて、アイドラ共振器161の共振周波数f
bの値は、それが共振周波数f
cとf
aとの差に等しいように指定され得る。
【0039】
アイドラ共振器161は、条件f
c=f
a+f
bに達するために、その共振周波数f
bが信号共振器162の共振周波数f
aよりもわずかに高くなるように構造化される。例えば、共振周波数f
aは、7GHzであり得、第2の高調波f
cの共振周波数は、15GHzであり得る。このシナリオでは、第2の高調波の共振周波数f
cは、2・f
aよりも高く、この場合、f
b=8GHzは、周波数スペクトル400において描写されるようにf
aよりも高くなるように改変される。
【0040】
図3に論じられるように、第2の高調波(すなわち、共振器c)の帯域幅γ
cは、信号共振器162(共振器a)の帯域幅γ
aの約8倍であり、その結果γ
c〜8・γ
aである。別の実装形態において、帯域幅γ
cは、帯域幅γ
aよりも約7、8、9、および10倍大きくてもよい。
図4内の周波数スペクトルは、関係γ
a,γ
b<g
3,γ
2ph<γ
cを満足する。
【0041】
説明の目的のため、実現可能な実験的パラメータを有する設計例が、SFG回路100について提供される。パラメータは、I
0=2・10
−7アンペア(A)を含み、式中、I
0は、JRM110の外側JJ130(通常、同一である)の臨界電流であり、L
J0=1.6ナノヘンリー(nH)であり、式中、L
J0は、JRM内のゼロ印加磁束の場合の外側JJ130のインダクタンスであり、L
J=2.3nHであり、式中、L
Jは、印加磁束Φ
ext〜Φ
0/2に対応するデバイスの特定の作用点についての各JJ130のインダクタンスであり、Φ
0は、磁束量子である。内側JJ131は、当業者によって認識されるように、デバイスに周波数同調性を追加するために含まれる。一般に、これらのJJ131の臨界電流は、外側JJ130のI
0より約2.5倍大きくなるように設計される。追加のパラメータは、γ
a,b/2π=20メガヘルツ(MHz)、γ
c/2π=160MHz、f
a=6GHz、f
b=7.3GHz、f
c=13.3GHz、C
B=171フェムトファラド(fF)、g
3/2π=65MHz、およびκ
2ph/2π=105MHzを含む。これらのパラメータは、不等式要件γ
a,γ
b<g
3,γ
2ph<γ
cを満足する。
【0042】
図5は、1つまたは複数の実施形態に従う、SFG回路100の例示的な実装形態である。
図5では、信号共振器162の半波長伝送線共振器(すなわち、JRM110と一緒に12Aおよび12B)は、マイクロストリップ、ストリップライン、共平面導波路などとして実装される。
【0043】
アイドラ共振器161の集中素子コンデンサ11Aおよび11Bは、共通の下板を有するか、または図示されない下板への共通の接続を有するコンデンサであり、この共通の下板は、別の階層にある(すなわち、11Aおよび11Bの上板と共平面ではない)。例えば、誘電材料が、集中素子コンデンサ11Aおよび11Bの各上板の下にあり、集中素子コンデンサ11Aおよび11Bは、グラウンドに接続された共通の下板を共有する。集中素子コンデンサ11Aおよび11Bは、JRM110に接続される。
【0044】
信号共振器162の半波長伝送線共振器(すなわち、12A、12B、およびJRM110)は、
図5ではギャップ・コンデンサの形態(陽極キャパシタンスおよび交互嵌合キャパシタンスなどの他の形態のキャパシタンスが可能である)で示される結合コンデンサ20Aおよび20Bを介して信号および上方変換信号供給線に結合される。同様に、アイドラ共振器161の集中素子コンデンサ11Aおよび11Bは、結合コンデンサ20Cおよび20Dを介してアイドラ供給線に結合される。信号/上方変換信号およびアイドラ供給線は、それぞれの180ハイブリッド結合器120Aおよび120Bに接続するそれぞれのポート150Aおよび150Bとしての役割を果たす。信号/上方変換信号およびアイドラ供給線は、伝送線であってもよい。
【0045】
図6は、1つまたは複数の実施形態に従う、距離の離れたキュービット611と612との間の遠隔エンタングルメントのためにSFG回路100を利用する応用のシステム600を描写する。システム600は、キュービット−空洞システム601およびキュービット−空洞システム(qubit-cavity system)602に結合されたSFG回路100を含む。キュービット−空洞システム601は、キュービット611に結合された空洞を含む。キュービット−空洞システム602は、キュービット612に結合された空洞を含む。キュービット−空洞システム601および602は、互いから距離Lだけ離れている。1つの実装形態において、距離Lは、3cmなど、同じチップ上にあり得る。別の実装形態において、距離Lは、別個のチップ上で1m(メートル)であり得る。
【0046】
システム600の例示的な動作がこれより論じられる。周波数ω
r+ωにある入力読み出し信号605が、キュービット−空洞システム601に入力される。キュービット−空洞システム601は、周波数ω
r+ωにある出力読み出し信号605’を出力し、SFG回路100が、周波数ω
r+ωにある出力読み出し信号605’(すなわち、信号マイクロ波信号152)を受信する。周波数ω
r+ωにある出力読み出し信号605’は、SFG回路100のポート150Aのハイブリッド結合器120AのΔ入力に入力され得る。出力読み出し信号605’は、キュービット611の状態情報を含む。当業者は、キュービット−空洞システム601が、空洞または読み出し共振器が入力読み出し信号605に応答して出力読み出し信号605’を伝送するように、キュービット611に結合された空洞または読み出し共振器を含むことを理解する。
【0047】
周波数ω
r−ωにある入力読み出し信号610が、キュービット−空洞システム602に入力される。キュービット−空洞システム602は、周波数ω
r−ωにある出力読み出し信号610’を出力し、SFG回路100が、周波数ω
r−ωにある出力読み出し信号610’(すなわち、アイドラ・マイクロ波信号151)を受信する。周波数ω
r−ωにある出力読み出し信号610’は、SFG回路100のポート150Bのハイブリッド結合器120BのΔ入力に入力され得る。出力読み出し信号610’は、キュービット612の状態情報を含む。当業者は、キュービット−空洞システム602が、空洞または読み出し共振器が入力読み出し信号610に応答して出力読み出し信号610’を伝送するように、キュービット612に結合された空洞または読み出し共振器を含むことを理解する。
【0048】
出力読み出し信号605’は、出力読み出し光子605’と互換的であり、出力読み出し信号610’は、出力読み出し光子610’と互換的である。出力読み出し光子605’は、例えば、キュービットの通電状態|e
1>および接地状態|g
1>の累積を示すことができ、それにより、キュービット611のキュービット状態情報を含む。出力読み出し光子610’は、例えば、キュービットの通電状態|e
2>および接地状態|g
2>の累積を示すことができ、それにより、キュービット612のキュービット状態情報を含む。
【0049】
周波数ω
r+ωにある出力読み出し光子605’および周波数ω
r−ωにある出力読み出し光子610’を受信することに応答して、SFG回路100は、光子605’および610’を上方変換するように構成され、周波数2・ω
rにある変換(上方変換)光子(converted photon)615(出力読み出し信号)を結果としてもたらす。上方変換光子615周波数は、周波数の和(ω
r+ω)+(ω
r−ω)であり、2ω
rを結果としてもたらす。
【0050】
変換光子610(出力読み出し信号)は、以下の状態|e
1e
2>、|e
1g
2>,|g
1g
2>,|g
1e
2>の累積である。変換光子615(または変換光子615の測定値)は、互いから距離の離れた、遠隔エンタングルメント距離の離れたキュービット611および612を予告する。変換光子610(すなわち、上方変換光子153)は、SFG回路100のポート150Aのハイブリッド結合器120AのΣ出力を介して出力され得る。
【0051】
図7は、1つまたは複数の実施形態に従う、量子マイクロ波中継装置としての応用のためにSFG回路100を利用するシステム700である。量子マイクロ波中継装置(または量子中継装置)は、長距離安全光量子ネットワークを構築するための不可欠の技術である。2つの遠隔受信器間にエンタングルメントを分配するために、その間の量子中継装置ノードにおけるエンタングルメント・スワッピング操作が必要とされる。したがって、システム700は、通信システム内の予め定められた場所において量子中継装置ノードとして機能することができる。
【0052】
例示的なシステム700は、SPDC1、SPDC2、およびSPDC3を含む。SPDC1、2、3は、互いから距離Lにあり得る。1つの実装形態において、SPDC1、2、3は、ジョセフソン・パラメトリック変換器(JPC)など、非縮退性パラメトリック増幅器であり得る。各SPDC1、2、3は、説明の目的のためにSFG100_1および100_2と指定されたSFG回路100に結合される。各SPDC1、2、3は、無相関のスペクトルを有する独立した光子対源である。各SPDC1、2、3は、その独自のポンプ信号(図示されない)を受信し、次いで一対のエンタングルされた光子を生成する。
【0053】
図700では、SPDC1は、エンタングルされた光子701および702を生成するように構成される。光子701は周波数ω
1であるが、光子702は周波数ω
2である。光子702は、SPDC1からSFG100_1へ伝送される。
【0054】
SPDC2は、エンタングルされた光子703および704を生成するように構成される。光子703は周波数ω
3であるが、光子704は周波数ω
4である。光子703は、SPDC2からSFG100_1へ伝送される。光子704は、SPDC2からSFG100_2へ伝送される。
【0055】
SPDC3は、エンタングルされた光子705および706を生成するように構成される。光子705は周波数ω
5であるが、光子706は周波数ω
6である。光子705は、SPDC3からSFG100_2へ伝送される。
【0056】
それぞれ周波数ω
2およびω
3にある光子702および703を受信することに応答して、SFG100_1は、周波数ω
2+ω
3にある光子723を生成するように構成される。SFG100_1は、光子723を光子マイクロ波検出器11へ伝送し、光子マイクロ波検出器11が光子723を検出する。SFG100_1の場合、光子702および703は、ポート150Aおよび150Bを介してそれぞれ信号およびアイドラ光子152、151として受信され得る。
【0057】
それぞれ周波数ω
4およびω
5にある光子704および705を受信することに応答して、SFG100_2は、周波数ω
4+ω
5にある光子745を生成するように構成される。SFG100_2は、光子745を光子マイクロ波検出器12へ伝送し、光子マイクロ波検出器12が光子745を検出する。SFG100_2の場合、光子704および705は、ポート150Aおよび150Bを介してそれぞれ信号およびアイドラ光子152、151として受信され得る。
【0058】
光子検出器11による光子723(|1>ω
2+ω
3)の検出および光子検出器12による光子745(|1>ω
4+ω
5)の検出は、光子701(|1>ω
1)および706(|1>ω
6)の遠隔エンタングルメントを予告する。エンタングルされた光子対701および706は、エンタングルメント・スワッピングに基づいて作成される。
【0059】
図7は、3つのSPDCおよび2つのSFGのアレイを含む量子中継装置設定の一例を示すが、この設定は、必要に応じて、間に距離Lを有するN個のSPDCおよびN−1個のSFG(2つの連続したSPDCの間に1つのSFG)に一般化/拡張され得るということに留意されたい。
【0060】
図8は、1つまたは複数の実施形態に従う、和周波数生成器100のための回路を形成する方法のフローチャート800である。ブロック805において、ジョセフソン・リング変調器(JRM)110に接続される第1の共振器162(例えば、信号共振器)が提供される。第1の共振器162は、f
aでの基礎共振モードの帯域幅内にある第1の周波数f
sにある第1の光子152(例えば、信号マイクロ波信号)を受信するように構成される。
【0061】
ブロック810において、第2の共振器161(例えば、アイドラ共振器)はJRM110に接続され、第2の共振器161は、第1の高調波を有し、かつ第2の高調波を有さないように構成される。第2の共振器161は、f
bで基本共振モードの帯域幅内にある第2の周波数f
Iにある第2の光子151(例えば、アイドラ・マイクロ波信号)を受信するように構成され、第1の共振器162は、上方変換光子153(例えば、上方変換信号)を出力するように構成される。上方変換光子153は、第1の周波数f
Sおよび第2の周波数f
Iの組み合わせである上方変換周波数f
UPCを有する。
【0062】
基本共振周波数は、第1の共振器(f
a)および第2の共振器(f
b)についてほぼ同じである。第1の光子152の第1の周波数(f
S)および第2の光子151の第2の周波数(f
I)は、ほぼ同じである。
図3について言及がなされ得る。
【0063】
第2の共振器(f
b)の基本共振周波数は、第1の共振器(f
a)よりも高い。第2の光子151の第2の周波数(f
I)は、第1の光子152の第1の周波数(f
S)よりも高い。
図4について言及がなされ得る。
【0064】
第1の共振器162は、上方変換周波数(f
UPC)にある上方変換光子153を出力するように構成された第2の高調波を有する。上方変換光子153は、第1の光子152および第2の光子151からのエネルギーの和である。
【0065】
第1の共振器162は、半波長伝送線共振器(すなわち、12A、12B、およびJRM110)であり、第2の共振器161は、集中素子共振器(すなわち、11A、11B、およびJRM110)である。第1の共振器162は、JRM110において中心で交差する2つのマイクロストリップ区域から形成される。第2の共振器161は、各々がJRM110に接続された上板および一緒に接続された下板(例えば、グラウンドを介して)を有するコンデンサ11Aおよび11Bから形成される。上板および下板は、誘電体基板または媒質によって分離される。
【0066】
図9は、1つまたは複数の実施形態に従う、第1のキュービット611および第2のキュービット612の遠隔エンタングルメントのための方法のフローチャート900である。ブロック905において、第1の量子システム601および第2の量子システム602に別個に接続された和周波数生成器回路100が提供される。第1の量子システム601は、第1のキュービット611を含み、第2の量子システム602は、第2のキュービット612を含む。
【0067】
ブロック910において、和周波数生成器回路100は、第1のキュービット611および第2のキュービット612を遠隔でエンタングルするように構成される。ブロック915において、入力読み出し信号605を受信することによって、第1の量子システム601は、第1の周波数ω
r+ωにある第1の出力読み出し信号605’を和周波数生成器回路100に伝送するように構成され、入力読み出し信号610を受信することによって、第2の量子システム602は、第2の周波数ω
r−ωにある第2の出力読み出し信号610’を和周波数生成器回路100に伝送するように構成される。
【0068】
ブロック920において、和周波数生成器回路100は、第1の周波数ω
r+ωおよび第2の周波数ω
r−ωの組み合わせ/加算である上方変換周波数2ω
rを有する上方変換出力読み出し信号165を出力し、それにより、第1のキュービット611および第2のキュービット612を遠隔でエンタングルするように構成される。
【0069】
第1の出力読み出し信号605’は、第1のキュービット611の状態情報>|e
1>、|g
1>を含み、第2の出力読み出し信号610’は、第2のキュービット612の状態情報|e
2>、|g
2>を含む。
【0070】
上方変換出力読み出し信号615は、第1および第2のキュービット611、612の状態情報|e
1e
2>、|e
1g
2>、|g
1g
2>、|g
1e
2>の累積である。
【0071】
図10は、1つまたは複数の実施形態に従う、マイクロ波中継装置700を構成するための方法のフローチャート1000である。ブロック1005において、第1の和周波数生成器から最後の和周波数生成器(例えば、SFG100_1および100_2)までが提供される。ブロック1010において、第1の自発的パラメトリック下方変換デバイスから最後の自発的パラメトリック下方変換デバイス(例えば、SPDC1、2、および3)まで。
【0072】
ブロック1015において、第1の和周波数生成器から最後の和周波数生成器までの1つ1つが、第1の自発的パラメトリック下方変換デバイスから最後の自発的パラメトリック下方変換デバイスのうちの2つによって共有されるように、第1の和周波数生成器から最後の和周波数生成器まで(例えば、SFG100_1および100_2)が、第1の自発的パラメトリック下方変換デバイスから最後の自発的パラメトリック下方変換デバイスまで(例えば、SPDC1、2、および3)のうちの2つに接続される(すなわち、それらから光子を受信する)。
【0073】
ブロック1020において、第1の和周波数生成器から最後の和周波数生成器までの合計(例えば、N−1個)は、第1の自発的パラメトリック下方変換デバイスから最後の自発的パラメトリック下方変換デバイスまでの合計より1つ少ない(例えば、N個)。限定ではなく説明の目的のために
図7では3つのSPDCデバイス(すなわち、N)のみおよび2つのSFG回路(すなわち、N−1)のみが例証されるが、Nは、類推により4つ以上に拡張され得ることが諒解されよう。
【0074】
第1の自発的パラメトリック下方変換デバイス(例えば、SPDC1)によって生成される第1の光子701は、第1の和周波数生成器から最後の和周波数生成器(SFG100_1および100_2)までのいずれによっても受信されない。最後の自発的パラメトリック下方変換デバイス(SPDC 3)によって生成される最後の光子706は、第1の和周波数生成器から最後の和周波数生成器まで(SFG100_1および100_2)のいずれによっても受信されない。第1の和周波数生成器から最後の和周波数生成器まで(SFG100_1および100_2)は、第1および第2の光子701および706の遠隔エンタングルメントを引き起こすように構成される。第1の自発的パラメトリック下方変換デバイスから最後の自発的パラメトリック下方変換デバイスまで(SPDC1、2、および3)は、例えば、非縮退性の三波混合増幅器である。
【0075】
技術的利益は、マイクロ波領域(例えば、1〜30GHz)で動作する量子デバイスを含む。量子デバイスは、和周波数生成を実施する、すなわち、周波数f
S、f
Iおよび運動量k
S、k
Iで量子デバイスのポートに入ってくる一対のマイクロ波光子を、エネルギーおよび運動量がエネルギーの和f
UPC=f
I+f
Sおよび入力光子の運動量の和k
UPC=k
I+k
Sに等しい、出射光子へと上方変換するように構成される。技術的利益および利点は、予告されるエンタングルメント生成が分散量子コンピューティングに十分である、2つのキュービットの遠隔エンタングルメントを含む。和周波数生成器としての量子デバイスは、量子通信のためなど、デバイス非依存量子鍵配送スキームにおいて重要な要素である。和周波数生成器としての量子デバイスは、量子通信に利用される量子マイクロ波中継装置において重要な要素である。さらに、技術的利益は、マイクロストリップ共振器および集中素子共振器を組み合わせるハイブリッド型JPCを作成することによって、信号およびアイドラに加えてデバイスの上方変換信号を共振モードにすることを含む。加えて、技術的利益は、デバイスが和周波数生成器として機能することができるようにJRMおよびJRMの電磁環境を設計し、f
UPC=f
S+f
Iおよびγ
a,γ
b<g
3,γ
2ph<γ
cを満足することを含み、式中、
【0077】
「約」という用語およびその変形形態は、本出願の提出時に利用可能な設備に基づいた特定の量の測定と関連付けられた誤差の度合いを含むことが意図される。例えば、「約」は、与えられた値の±8%、または5%、または2%の範囲を含み得る。
【0078】
本発明の態様は、本発明の実施形態に従う方法、装置(システム)、およびコンピュータ・プログラム製品のフローチャート例示図またはブロック図あるいはその両方に関連して本明細書内で説明される。フローチャート例示図またはブロック図あるいはその両方の各ブロック、ならびにフローチャート例示図またはブロック図あるいはその両方におけるブロックの組み合わせは、コンピュータ可読プログラム命令によって実施され得ることが理解されよう。
【0079】
図面内のフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態に従うシステム、方法、およびコンピュータ・プログラム製品の可能性のある実装形態のアーキテクチャ、機能性、および動作を例証する。この点に関して、フローチャートおよびブロック図内の各ブロックは、指定の論理機能を実施するための1つまたは複数の実行可能な命令を含む、命令のモジュール、セグメント、または部分を表し得る。いくつかの代替的な実装形態において、ブロック内に記述される機能は、図中に記述された順序から外れて発生し得る。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行され得るか、または、ブロックは、関連する機能性に応じて、時には、逆の順序で実行され得る。ブロック図またはフローチャート例示図あるいはその両方の各ブロック、ならびにブロック図またはフローチャート例示図あるいはその両方内のブロックの組み合わせが、指定の機能もしくは作用を実施する、または特殊用途ハードウェアおよびコンピュータ命令の組み合わせを実行する特殊用途ハードウェア・ベースのシステムによって実施され得ることにも留意されたい。
【0080】
本発明の様々な実施形態の説明は、例証の目的のために提示されているが、徹底的であること、または本明細書内で論じられる実施形態に限定されることを意図されない。多くの修正形態および変形形態は、説明された実施形態の範囲および思想から逸脱することなく当業者には明らかであるものとする。本明細書で使用される専門用語は、実施形態の原理、実際的応用、もしくは市場で見られる技術に対する技術的改善を最もよく説明するため、または、本明細書内で論じられる実施形態を当業者か理解することができるように選択された。