(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0009】
(A)部品実装機の構成
図1に、部品実装機10を示す。部品実装機10は、回路基材12に対する部品の実装作業を実行するための装置である。部品実装機10は、装置本体20、基材搬送保持装置22、部品装着装置24、撮像装置26,28、部品供給装置30、ばら部品供給装置32を備えている。なお、回路基材12として、回路基板、三次元構造の基材等が挙げられ、回路基板として、プリント配線板、プリント回路板等が挙げられる。
【0010】
装置本体20は、フレーム部40と、そのフレーム部40に上架されたビーム部42とによって構成されている。基材搬送保持装置22は、フレーム部40の前後方向の中央に配設されており、搬送装置50とクランプ装置52とを有している。搬送装置50は、回路基材12を搬送する装置であり、クランプ装置52は、回路基材12を保持する装置である。これにより、基材搬送保持装置22は、回路基材12を搬送するとともに、所定の位置において、回路基材12を固定的に保持する。なお、以下の説明において、回路基材12の搬送方向をX方向と称し、その方向に直角な水平の方向をY方向と称し、鉛直方向をZ方向と称する。つまり、部品実装機10の幅方向は、X方向であり、前後方向は、Y方向である。
【0011】
部品装着装置24は、ビーム部42に配設されており、2台の作業ヘッド60,62と作業ヘッド移動装置64とを有している。各作業ヘッド60,62の下端面には、
図2に示すように、部品把持具66が着脱可能に設けられている。部品把持具66は、1対の爪67を有しており、それら1対の爪67を接近させることで、部品を把持し、1対の爪67を離間させることで、把持した部品を離脱する。また、作業ヘッド移動装置64は、X方向移動装置68とY方向移動装置70とZ方向移動装置72とを有している。そして、X方向移動装置68とY方向移動装置70とによって、2台の作業ヘッド60,62は、一体的にフレーム部40上の任意の位置に移動させられる。また、各作業ヘッド60,62は、スライダ74,76に着脱可能に装着されており、Z方向移動装置72は、スライダ74,76を個別に上下方向に移動させる。つまり、作業ヘッド60,62は、Z方向移動装置72によって、個別に上下方向に移動させられる。
【0012】
撮像装置26は、下方を向いた状態でスライダ74に取り付けられており、作業ヘッド60とともに、X方向,Y方向およびZ方向に移動させられる。これにより、撮像装置26は、フレーム部40上の任意の位置を撮像する。撮像装置28は、
図1に示すように、フレーム部40上の基材搬送保持装置22と部品供給装置30との間に、上を向いた状態で配設されている。これにより、撮像装置28は、作業ヘッド60,62の部品把持具66に把持された部品を撮像する。
【0013】
部品供給装置30は、フレーム部40の前後方向での一方側の端部に配設されている。部品供給装置30は、トレイ型部品供給装置78とフィーダ型部品供給装置(図示省略)とを有している。トレイ型部品供給装置78は、トレイ上に載置された状態の部品を供給する装置である。フィーダ型部品供給装置は、テープフィーダ、スティックフィーダ(図示省略)によって部品を供給する装置である。
【0014】
ばら部品供給装置32は、フレーム部40の前後方向での他方側の端部に配設されている。ばら部品供給装置32は、ばらばらに散在された状態の複数の部品を整列させて、整列させた状態で部品を供給する装置である。つまり、任意の姿勢の複数の部品を、所定の姿勢に整列させて、所定の姿勢の部品を供給する装置である。なお、部品供給装置30および、ばら部品供給装置32によって供給される部品として、電子回路部品,太陽電池の構成部品,パワーモジュールの構成部品等の電子部品が挙げられる。また、電子回路部品には、リードを有する部品,リードを有さない部品等が有る。
【0015】
(B)部品実装機の作動
部品実装機10では、上述した構成によって、基材搬送保持装置22に保持された回路基材12に対して部品の装着作業が行われる。具体的には、回路基材12が、作業位置まで搬送され、その位置において、クランプ装置52によって固定的に保持される。次に、撮像装置26が、回路基材12の上方に移動し、回路基材12を撮像する。これにより、回路基材12の保持位置の誤差に関する情報が得られる。また、部品供給装置30若しくは、ばら部品供給装置32は、所定の供給位置において、部品を供給する。そして、作業ヘッド60,62の何れかが、部品の供給位置の上方に移動し、部品把持具66によって部品を保持する。続いて、部品を保持した作業ヘッド60,62が、撮像装置28の上方に移動し、撮像装置28によって、部品把持具66に保持された部品が撮像される。これにより、部品の保持位置の誤差に関する情報が得られる。続いて、部品を保持した作業ヘッド60,62が、回路基材12の上方に移動し、保持している部品を、回路基材12の保持位置の誤差,部品の保持位置の誤差等を補正する。そして、部品把持具66が部品を離脱することで、回路基材12に部品が装着される。
【0016】
(C)部品把持具の構造
上述したように、部品実装機10では、部品把持具66が、1対の爪67の接近により部品を把持し、1対の爪67の離間により部品を離脱することで、装着作業が行われている。また、電子部品には、上方に延び出す複数のピンと、下方に延び出す複数のピンとを有する電子部品、所謂、ピンヘッダがある。このような電子部品では、上方に延び出す複数のピンが、部品把持具66により把持され、下方に延び出す複数のピンが、回路基材12に形成された複数の貫通穴に挿入される。
【0017】
具体的には、例えば、電子部品80は、
図3に示すように、概してブロック状の部品本体部82と、部品本体部82の下面から下方に向かって延び出す3本の下方ピン84と、部品本体部82の上面から上方に向かって延び出す3本の上方ピン86とにより構成されている。そして、電子部品80の3本の上方ピン86が、1対の爪67によって、把持される。
【0018】
なお、1対の爪67の間には、
図4に示すように、当接ブロック88が配設されており、1対の爪67により3本の上方ピン86が把持される際に、3本の上方ピン86の上端が、当接ブロック88の下面(以下、「当接面」と記載する)90に接触する。つまり、部品把持具66により電子部品80が把持される際に、上方ピン86の上端に当接ブロック88の当接面90が接触するまで、部品把持具66が下降され、上方ピン86の上端が当接面90に接触したときに、1対の爪67が接近し、上方ピン86を把持する。
【0019】
次に、上方ピン86が1対の爪67により把持されると、部品把持具66、つまり、部品把持具66が取り付けられた作業ヘッド60が、作業ヘッド移動装置64の作動により、回路基材12の上方に移動する。この際、回路基材12に形成された貫通穴(図示省略)と、電子部品80の下方ピン84とがXY座標において一致するように、つまり、上下方向に一直線上に並ぶように、作業ヘッド移動装置64の作動が制御される。そして、作業ヘッド60が下降することで、回路基材12に形成された貫通穴に、電子部品80の下方ピン84が挿入される。
【0020】
なお、下方ピン84の外径は貫通穴の内径と同じ、若しくは、貫通穴の内径より僅かに大きくされている。また、電子部品80が部品把持具66に把持されている状態において、上方ピン86の上端が当接ブロック88の当接面90に接触している。そして、上方ピン86の上端が当接ブロック88の当接面90に接触した状態で、作業ヘッド60が下降し、電子部品80の下方ピン84が貫通穴に挿入される。これにより、上方ピン86が当接ブロック88により押し込まれることで、下方ピン84が回路基材12の貫通穴に圧入されて、電子部品80が回路基材12に装着される。
【0021】
しかしながら、電子部品80は、テープ化部品として供給されるため、傾斜した状態で供給される場合があり、そのような場合に、従来の部品把持具では、電子部品80を適切に把持することができない虞がある。具体的には、
図5に示すように、テープ化部品100は、多数の収容凹部102が形成されたキャリアテープ106と、収容凹部102に収容される電子部品80とから構成されている。収容凹部102は、電子部品80の長さ寸法より僅かに長くされており、その収容凹部102の内部に、電子部品80が上下方向に延びる姿勢で収容されている。
【0022】
そして、収容凹部102の内壁面と、その収容凹部102に収容された電子部品80の上方ピン86との隙間に、部品把持具66の爪67が挿入され、上方ピン86が1対の爪67により把持される。また、部品把持具66による電子部品80の把持位置は、所定の供給位置とされているため、電子部品80が部品把持具66により把持される毎に、キャリアテープ106は、キャリアテープ106の延びる方向に、順次、送り出される。これにより、電子部品80の収容された収容凹部102が、供給位置に送り出され、新たな電子部品80が供給される。しかしながら、収容凹部102に収容された電子部品80は、キャリアテープ106の送り出しに伴って、
図5中の点線で示す電子部品80のように、収容凹部102の内部において傾斜する虞がある。
【0023】
一方で、従来の部品把持具110は、上記部品把持具66と同様に、
図6及び
図7に示すように、1対の爪112と、それら1対の爪112の間に配設された当接ブロック114とを有している。1対の爪112の各々は、把持部116とアーム部118とスライド部119とにより構成されている。把持部116は、電子部品80の3本の上方ピン86を把持する部分である。このため、把持部116の幅方向の寸法は、3本の上方ピン86の並ぶ方向の長さ寸法より長くされている。これにより、1対の爪112によって、3本の上方ピン86が纏めて把持される。なお、3本の上方ピン86の並ぶ方向の長さ寸法とは、上方ピン86の延びる方向と直行して3本の上方ピン86が並ぶ方向において、3本の上方ピン86の両端であり、大外に位置する2本の上方ピン86の大外間の距離である。
【0024】
また、アーム部118は、把持部116を保持する部分であり、主アーム部120と屈曲部122とにより構成されている。主アーム部120は、上下方向に延びるように配設されており、上端部において、スライド部119に連結されている。また、屈曲部122は、主アーム部120の下端から下方に向かって連続している。そして、屈曲部122は、下端部に向かうほど、当接ブロック114に接近するように屈曲している。その屈曲部122の下端に、把持部116が固定されている。つまり、アーム部118は、下端部において、当接ブロック114に接近する方向に屈曲しており、アーム部118の下端に把持部116が固定されている。
【0025】
また、スライド部119は、部品把持具110の本体部125により、左右方向にスライド可能に保持されており、1対の爪112は接近・離間するようにスライドする。このため、スライド部119のスライドに伴って、1対の爪112が最接近することで、1対の爪112の把持部116が接触する。この際、1対のアーム部118は、屈曲部122の屈曲により接触せず、1対のアーム部118は離間している。
【0026】
なお、アーム部118の幅寸法は、把持部116の幅寸法と同じとされている。このため、爪112の幅寸法は、上下方向に渡って、つまり、主アーム部120から把持部116に至るまで、均一とされている。ちなみに、幅寸法は、爪112のスライド方向と直行する左右の方向の寸法である。
【0027】
当接ブロック114は、1対の爪112のアーム部118の間に配設されており、当接ブロック114の幅寸法は、3本の上方ピン86の並ぶ方向の長さ寸法より長く、かつ、爪112の幅寸法より僅かに長くされている。また、当接ブロック114の厚さ寸法は、1対の爪112が最接近した際の1対のアーム部118の主アーム部120の間の距離より僅かに短くされている。なお、厚さ寸法は、爪112のスライド方向における寸法である。ただし、当接ブロック114のアーム部118の屈曲部122と対向する側面は、幅方向の全域に亘って、テーパ面126とされており、当接ブロック114の下面(以下、「当接面」と記載する)128に向かうほど、当接ブロック88の内部に向かうように傾斜している。このテーパ面126のテーパ角度は、アーム部118の屈曲部122の屈曲角度と略同じとされている。このため、1対の爪112が最接近した際に、アーム部118の屈曲部122と当接ブロック114のテーパ面126とが対向し、アーム部118と当接ブロック114とが干渉することなく、1対の爪112のアーム部118の間に、当接ブロック114が位置する。
【0028】
このような構造において、1対の爪112が離間した状態で、部品把持具110の装着された作業ヘッド60が下降することで、1対の爪112の下端部が、テープ化部品100の収容凹部102の内部に挿入される。この際、1対の爪112の把持部116の間に、収容凹部102に収容されている電子部品80の上方ピン86が位置するように、1対の爪112の下端部が収容凹部102の内部に挿入される。そして、1対の爪112の間に位置する当接ブロック114の当接面128に、電子部品80の上方ピン86の上端が当接し、1対の爪112が接近することで、上方ピン86が、1対の爪112の把持部116により把持される。
【0029】
しかしながら、
図7に示すように、電子部品80が収容凹部102の内部において傾斜していると、1対の爪112の下端部の間に挿入された電子部品80の上方ピン86の上端が、当接ブロック114の当接面128に接触せず、当接ブロック114と爪112との間に入り込む場合がある。このような場合には、上方ピン86の上端が当接ブロック114のテーパ面126と爪112との間に引っ掛かり、1対の爪112を接近させることができず、1対の爪112により、上方ピン86を把持することができない。
【0030】
このようなことに鑑みて、部品把持具66では、
図3に示すように、爪67のアーム部150の幅寸法が、把持部152の幅寸法より狭くされており、当接ブロック88のアーム部150と対向する側面のうちの幅方向における一部にのみ、テーパ面(
図4参照)156が形成されている。そして、1対の爪67が接近した際に、アーム部150とテーパ面156とが対向し、アーム部150と当接ブロック88との干渉が防止される。これにより、アーム部150と当接ブロック88とを干渉させることなく、把持部152により電子部品80の上方ピン86を把持することができる。また、当接ブロック88の側面の幅方向における一部にのみ、テーパ面156が形成されることで、当接ブロック88の当接面90の厚さ寸法は、テーパ面156の形成箇所を除いて、1対の把持部152の間の距離より長くされている。そして、当接面90の最も厚い厚さ方向の寸法は、電子部品80が傾いた状態で供給されたとしても、その状態の電子部品80の少なくとも2以上の上方ピン86が当接面90に当接するように設定されている。これにより、テープ化部品100の収容凹部102の内部で傾斜している電子部品80の上方ピン86が、1対の爪67により把持される際に、当接ブロック88の当接面90に、少なくとも2以上の上方ピン86の上端を当接させ、1対の爪67により適切に上方ピン86を把持することが可能となる。
【0031】
具体的に、1対の爪67の各々は、
図8に示すように、把持部152とアーム部150とスライド部158とにより構成されている。把持部152は、電子部品80の3本の上方ピン86を把持する部分であり、把持部152の幅寸法は、従来の部品把持具110の把持部116と同様に、3本の上方ピン86の並ぶ方向の長さ寸法より長くされている。
【0032】
また、アーム部150は、把持部152を保持する部分であり、アーム部150の幅寸法は、把持部152の幅寸法の1/3程度とされている。アーム部150は、主アーム部160と屈曲部162とにより構成されている。主アーム部160は、上下方向に延びるように配設されており、上端部において、スライド部158に連結されている。また、屈曲部162は、主アーム部160の下端から下方に向かって連続している。そして、屈曲部162は、
図4に示すように、下端部に向かうほど、当接ブロック88に接近するように屈曲している。その屈曲部162の下端は、把持部152の幅方向における中央部に固定されている。つまり、アーム部150は、下端部において、当接ブロック88に接近する方向に屈曲しており、アーム部150の下端に、アーム部150の幅寸法の約3倍の幅寸法を有する把持部152が固定されている。
【0033】
また、スライド部158は、
図4に示すように、部品把持具66の本体部166により、左右方向にスライド可能に保持されており、1対の爪67は接近・離間するようにスライドする。このため、スライド部158のスライドに伴って、1対の爪67が最接近することで、1対の爪67の把持部152が接触する。この際、1対のアーム部150は、屈曲部162の屈曲により接触せず、1対のアーム部150は離間している。
【0034】
また、当接ブロック88は、
図3及び
図4に示すように、1対の爪67のアーム部150の間に配設されている。そして、当接ブロック88の幅寸法は、把持部152の幅寸法より僅かに長くされている(
図3参照)。また、当接ブロック88の厚さ寸法は、1対の爪67が動作した際に干渉しないように、1対の爪67が最接近した際の1対のアーム部150の主アーム部160の間の距離より僅かに短くされている(
図4参照)。ただし、当接ブロック88の1対のアーム部150と対向する側面170は、幅方向の一部において、テーパ面156とされており、そのテーパ面156は、当接ブロック88の当接面90に向かうほど、当接ブロック88の内部に向かうように傾斜している。
【0035】
詳しくは、
図9に示すように、当接ブロック88の当接面90と側面170とが交差する角部172の中央に、凹部174が形成されている。凹部174は、角部172の中央が当接面90から側面170に至るまで切り欠かれた形状をなし、アーム部150の屈曲部162と対向する位置に形成されている。そして、その凹部174の底面が、テーパ面156とされている。なお、凹部174は、当接ブロック88の1対のアーム部150と対向する1対の側面170及び当接面90に形成されており、1対の側面170に形成された1対の凹部174は、対称的な形状とされている。
【0036】
このように、当接ブロック88に当接面90から側面170に至る凹部174が形成されることで、当接面90は、概してH型形状をなす。このため、当接面90の凹部174が形成されている箇所、つまり、当接面90の幅方向における中央部
は、凹んでおり、厚さ寸法は短い。一方、当接面90の凹部174が形成されていない箇所、つまり、当接面90の幅方向における両端部は、厚さ寸法が長い。つまり、当接面90は、幅方向における中央部において、厚さ寸法の短い第1面176とされており、幅方向における両端部において、厚さ寸法の長い第2面178とされている。ちなみに、第2面178の厚さ寸法は、1対の爪67が最も離間した状態での1対の把持部152の間の距離より長くされている。また、第1面176と第2面178とは1面で連続している。
【0037】
また、凹部174の底面、つまり、テーパ面156のテーパ角度は、アーム部150の屈曲部162の屈曲角度と略同じとされている。そして、凹部174の幅寸法は、屈曲部162の幅寸法より僅かに大きくされている。このため、1対の爪67が接近した際に、
図3に示すように、アーム部150の屈曲部162が、当接ブロック88の凹部174に入り込む。このように、アーム部150と当接ブロック88とが干渉することなく、1対の爪67のアーム部150の間に、当接ブロック88が配置されている。
【0038】
このような構造において、1対の爪67が離間した状態で、部品把持具66の装着された作業ヘッド60が下降することで、
図10に示すように、1対の爪67の下端部が、テープ化部品100の収容凹部102の内部に挿入される。この際、1対の爪67の把持部152の間に、収容凹部102に収容されている電子部品80の上方ピン86が位置するように、1対の爪67の下端部が収容凹部102の内部に挿入される。そして、部品把持具66の下降に伴って、1対の爪67の間に位置する当接ブロック88の当接面90に、電子部品80の3本の上方ピン86の上端が当接する。この際、3本の上方ピン86のうちの中央の上方ピン86は、当接面90の第1面176に当接し、3本の上方ピン86のうちの両端の上方ピン86は、当接面90の第2面178に当接する。そして、1対の爪67が接近することで、3本の上方ピン86が、1対の爪67の把持部116により把持される。
【0039】
また、電子部品80が収容凹部102の内部において傾斜している場合であっても、その電子部品80の上方ピン86を、部品把持具66により適切に把持することが可能である。詳しくは、
図11及び
図12に示すように、電子部品80が収容凹部102の内部において傾斜していると、1対の爪67の下端部の間に挿入された電子部品80の3本の上方ピン86のうちの中央の上方ピン86は、当接ブロック88の当接面90の第1面176に当接しない。なお、
図12では、テープ化部品100,爪67等が省略されている。
【0040】
一方、1対の爪67の下端部の間に挿入された電子部品80の3本の上方ピン86のうちの両端の上方ピン86は、当接ブロック88の当接面90の第2面178に当接する。特に、第2面178の厚さ寸法は、1対の爪67が最も離間した状態での1対の把持部152の間の距離より長くされているため、電子部品80が大きく傾斜している場合であっても、両端の上方ピン86は第2面178に当接する。このため、3本の上方ピン86のうちの当接面90に当接しない中央の上方ピン86の上端は、凹部174の内部に入り込まない。
【0041】
そして、上方ピン86の並ぶ方向の長さ寸法を決定する3本の上方ピン86のうちの両端の上方ピン86が、当接ブロック88の当接面90に当接している状態で、1対の爪67が接近することで、3本の上方ピン86が爪67の把持部152に押されて搖動する。この際、電子部品80の傾斜が是正され、3本の上方ピン86が当接ブロック88の当接面90に当接する。つまり、3本の上方ピン86のうちの中央の上方ピン86は、当接面90の第1面176に当接し、3本の上方ピン86のうちの両端の上方ピン86は、当接面90の第2面178に当接する。そして、1対の爪67の接近により、3本の上方ピン86が爪67の把持部152により把持される。このように、部品把持具66では、電子部品80が収容凹部102の内部において傾斜している場合であっても、その電子部品80の上方ピン86を、当接面90に当接させた状態で、把持部152により把持することができる。
【0042】
なお、部品把持具66は、部品把持具の一例である。爪67は、爪の一例である。電子部品80は、電子部品の一例である。上方ピン86は、ピン又はリードの一例である。当接面90は、当接面の一例である。凹部174は、逃げ部及び、凹部の一例である。
【0043】
また、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施例では、当接ブロック88の当接面90において、第1面176と第2面178とが1面で連続しているが、当接面を1面で連続しない面、つまり、非連続面とすることが可能である。詳しくは、
図13に示すように、当接ブロック200の底面、つまり、当接面202には、凹部204が形成されている。凹部204は、当接面202から1対の側面206に至るまで切り欠かれた形状とされている。つまり、当接ブロック200の当接面202は、幅方向の中央部において、凹部により分断され、2つの第3面208とされている。そして、このような構造の当接ブロック200が採用された場合において、
図14に示すように、電子部品80が傾斜していると、3本の上方ピン86のうちの両端の上方ピン86が、当接面202、つまり、第3面208に当接する。これにより、当接ブロック200を採用した部品把持具においても、上述した部品把持具66と同様の効果を奏することができる。なお、当接ブロック200を採用した部品把持具では、3本の上方ピン86のうちの両端の上方ピン86、つまり、2本の上方ピン86が当接面202に当接する。
【0044】
また、上記実施例では、下方ピン84と上方ピン86とを有する電子部品80に本発明が適用されているが、上方ピン86を有している電子部品であれば、種々の種類の部品に本発明を適用することが可能である。つまり、部品把持具66の1対の爪67により把持される複数のピンを有する電子部品に、本発明を適用することが可能である。なお、複数本の上方ピンを備えた電子部品のうちの2本以上の上方ピンを当接面に当接させる様々な態様に適用することは容易である。例えば、複数本の上方ピンを備えた電子部品のうちの当接面に当接する2本以上の上方ピンを非対称に選定することもあり、当接面の形状が非対称形であることもある。同様に、全ての上方ピンを把持する必要はなく、把持する上方ピンを非対称に選定することもある。また、上方ピンの並ぶ方向の長さ寸法が当接面や爪の把持部の幅寸法を超えることもある。つまり、把持部で把持する上方ピンと当接面に当接する上方ピンとに相関的な関係が認められない場合もある
【0045】
なお、上記実施例の当接ブロック88は、消耗品であるため、交換可能に構成された部品把持具66の1部品であればよく、部品把持具66の本体をなす本体部166と、当接ブロック88とが一体的に構成されていてもよい。
【0046】
また、多数の収容凹部形状である複数のキャビティを備えたトレイに収容された電子部品,傾いた状態で供給される電子部品等にも、本発明を適用することが可能である。