特許第6788802号(P6788802)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6788802
(24)【登録日】2020年11月5日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/00 20060101AFI20201116BHJP
   H01B 7/04 20060101ALI20201116BHJP
   H01B 7/18 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   H01B7/00 301
   H01B7/04
   H01B7/18 D
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-104461(P2017-104461)
(22)【出願日】2017年5月26日
(65)【公開番号】特開2018-200783(P2018-200783A)
(43)【公開日】2018年12月20日
【審査請求日】2019年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 克俊
【審査官】 北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06160216(US,A)
【文献】 特開2004−178913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/00
H01B 7/04
H01B 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向一領域にて複数の電線を個別に覆ってシールドする可撓性の個別シールド部材を複数有する個別シールド領域と、
長さ方向他領域にて前記複数の電線を一括して覆ってシールドする可撓性の一括シールド部材を有する一括シールド領域と、
前記個別シールド領域と前記一括シールド領域との間にて前記一括シールド部材と前記複数の個別シールド部材とを電気的に接続する接続部材を有する重合領域とを備え、
前記接続部材は、前記複数の個別シールド部材のそれぞれに対応して配置される複数の内側接続部材と、前記内側接続部材の外側に配置され、前記複数の内側接続部材との間に前記複数の個別シールド部材及び前記一括シールド部材を挟持する外側接続部材とを有し、
前記複数の内側接続部材は、組み合わされた状態の外周形状が断面略円形をなし、前記外側接続部材は、内周形状が前記組み合わされた前記複数の内側接続部材と略同芯の断面略円形をなし
前記複数の個別シールド部材が、対応する前記内側接続部材にその内側接続部材の内面側から外面側に折り返された形態で配置され、
前記複数の個別シールド部材の、前記折り返された端部は、前記組み合わされた前記複数の内側接続部材の間に接触した状態で挟まれるワイヤハーネス。
【請求項2】
前記複数の内側接続部材が互いに同一形状をなしている請求項1記載のワイヤハーネス
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シールド機能を備えたワイヤハーネスとして、個別シールドタイプのものと一括シールドタイプのものとが知られている。個別シールドタイプのものは、複数の電線や端子がそれぞれ個別シールド部材で個別に覆われた形態になっており、一括シールドタイプのものは、複数の電線や端子が一括シールド部材で一括して覆われた形態になっている。また、シールド機能を備えたワイヤハーネスとして、長さ方向一端側に個別シールドタイプのコネクタが設置され、長さ方向他端側に一括シールドタイプのコネクタが設置され、個別シールドタイプと一括シールドタイプとが混在したものも知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、上記混在型のワイヤハーネスが開示されている。このものは、長さ方向途中にシールドコネクタが設置され、シールドコネクタのハウジングに設けたシールドシェルの前端部に、複数の導電路(ノンシールド電線の前端とそれに接続された端子金具)を個別に包囲する個別包囲部を有するとともに、シールドシェルの後端部に複数の導電路を一括して包囲する一括包囲部を有する構造になっている。相手コネクタはバスバーを個別に包囲してシールドする個別シールドタイプであるが、シールドコネクタが各導電路を個別に包囲する個別包囲部を有することから、シールドコネクタが相手コネクタに接続可能となり、ひいては、一括シールドタイプのワイヤハーネスが個別シールドタイプの相手側コネクタに接続可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−103044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の場合、ワイヤハーネスの長さ方向途中にシールドコネクタ及び相手側コネクタを介在させねばならず、部品点数の増加を招くという事情がある。これに鑑み、ワイヤハーネスの長さ方向一領域の個別シールド領域と、ワイヤハーネスの長さ方向他領域の一括シールド領域とを、長さ方向途中でラップさせて重合領域となし、重合領域において、個別シールド領域における各電線を個別に覆う複数の個別シールド部材と、一括シールド領域における各電線を一括して覆う一括シールド部材とを、コネクタを介さずに接続させる構造にすることが求められる。
【0006】
しかし、各個別シールド部材及び一括シールド部材は、編組線のように可撓性を有するものであるため、双方の接続を実現するため、所定の剛性を有する接続部材が必要とされる。
【0007】
例えば、接続部材は、図5の参考例に示すように、各個別シールド部材3に個別に対応した複数の内側接続部材4と、内側接続部材4の外側に位置して各個別シールド部材3及び一括シールド部材5を一括して包囲する外側接続部材6とからなり、各内側接続部材4と外側接続部材6とを、間に各個別シールド部材3及び一括シールド部材5が挟持されるようにして、締結することが考えられる。しかし、各個別シールド部材3は各電線7を個別に覆う形態であり、一括シールド部材5は各電線7を一括して覆う形態であり、両シールド部材3、5が互いに対応する形態でないことから、一括シールド部材5の内側で各個別シールド部材3又は一括シールド部材5が位置ずれする可能性があり、さらなる改善が希求される。
【0008】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、個別シールド領域と一括シールド領域とを有するワイヤハーネスにおいて、両領域が重なり合う重合領域における接続信頼性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、長さ方向一領域にて複数の電線を個別に覆ってシールドする可撓性の個別シールド部材を複数有する個別シールド領域と、長さ方向他領域にて前記複数の電線を一括して覆ってシールドする可撓性の一括シールド部材を有する一括シールド領域と、前記個別シールド領域と前記一括シールド領域との間にて前記一括シールド部材と前記複数の個別シールド部材とを電気的に接続する接続部材を有する重合領域とを備え、前記接続部材は、前記複数の個別シールド部材のそれぞれに対応して配置される複数の内側接続部材と、前記内側接続部材の外側に配置され、前記複数の内側接続部材との間に前記複数の個別シールド部材及び前記一括シールド部材を挟持する外側接続部材とを有し、前記複数の内側接続部材は、組み合わされた状態の外周形状が断面略円形をなし、前記外側接続部材は、内周形状が前記組み合わされた前記複数の内側接続部材と略同芯の断面略円形をなしているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0010】
上記構成によれば、個別シールド領域と一括シールド領域とを、重合領域において、コネクタを用いずにシールド接続することができる。この場合に、複数の内側接続部材が個別シールド領域の複数の個別シールド部材に対応して配置され、外側接続部材が各内側接続部材の外側に配置されており、各内側接続部材が断面円形の外周形状に組み合わされ、外側接続部材が組み合わされた各内側接続部材と略同芯の断面円形の内周形状とされるため、外側接続部材の内側で内側接続部材が位置ずれするのが回避される。その結果、外側接続部材と各内側接続部材との間に、各個別シールド部材及び一括シールド部材が安定して挟持され、重合領域における接続信頼性を向上させることができる。なお、上記において「断面略円形」とは、断面形状が真円である場合に限らず、楕円又はそれに類似する形状、長円又はそれに類似する形状を含む概念である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例1に係るワイヤハーネスの長さ方向両端部の構造を示す側面図である。
図2】ワイヤハーネスの重合領域を示す側面視方向の断面図である。
図3】ワイヤハーネスの重合領域を示す正面視方向の断面図である。
図4】本発明の実施例2に係るワイヤハーネスの図3相当図である。
図5】参考例を示す図3相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の好ましい形態を以下に示す。
前記複数の内側接続部材が互いに同一形状をなしているとよい。これによれば、各内側接続部材をそれぞれ識別する必要がなく、組み合わせの作業性を良好にすることができる。また、内側接続部材を成形する金型が1種類で済むから、製造コストを安価にすることができる。
【0013】
前記複数の個別シールド部材が、対応する前記内側接続部材にその内側接続部材の内面側から外面側に折り返された形態で配置されているとよい。これによれば、各個別シールド部材と内側接続部材との接続信頼性をより高めることができる。
【0014】
<実施例1>
本発明の実施例1を図1図3によって説明する。本実施例1に係るワイヤハーネス10は、例えば、図示しないハイブリッド自動車や電気自動車などの車両に搭載され、図しないモータ、インバータ、バッテリなどの機器間に配索される複数(図示する場合は2本)の電線20を有している。
【0015】
ワイヤハーネス10の最外周は、長さ方向両端部の除いて外装部材90で包囲されている。外装部材90は、例えば、蛇腹管状のコルゲートチューブであって、可撓性を有し、配索経路の曲げ位置に応じて屈曲可能とされている。ワイヤハーネス10の内部は、外装部材90によって防水されるとともに外部異物などから保護される。なお、外装部材90は、各電線20の挿通作業を容易にするべく、長さ方向に沿った割り溝を介して開閉可能な構造であってもよい。
【0016】
図3に示すように、各電線20は、それぞれ、複数の導電性の芯線21と、各芯線21を被覆する絶縁樹脂性の被覆22とを有している。各電線20は、それ自身はシールド構造を有しないノンシールド電線とされる。
【0017】
図2に示すように、ワイヤハーネス10の長さ方向一領域は個別シールド領域11とされ、ワイヤハーネス10の長さ方向他領域(長さ方向一領域とは別の領域)は一括シールド領域12とされ、個別シールド領域11と一括シールド領域12との間が重合領域13とされている。
【0018】
個別シールド領域11は、各電線20を個別に覆う複数の個別シールド部材30と、各個別シールド部材30の外側に配置される絶縁性のシース25とを有している。個別シールド部材30は、導電性及び可撓性(柔軟性)を有する筒状の編組部材であって、複数の金属素線が編み込まれて構成される。シース25は、個別シールド部材30の外周を全周にわたって被覆する筒状の形態になっている。
【0019】
図1に示すように、個別シールド領域11の端部には、各電線20に個別に接続される複数の接続端子80が設けられている。各接続端子80には、対応する電線20における芯線21の端部が接続されるとともに、個別シールド部材30の端部が接続される。また、接続端子80は、先端部に接続孔81を有し、接続孔81を通して図示しない機器側の相手接続部にボルト締結して接続される。
【0020】
一括シールド領域12は、各電線20を一括して覆う一括シールド部材40を有している。一括シールド部材40は、導電性及び可撓性を有する筒状の編組部材であって、複数の金属素線が編み込まれてなり、個別シールド部材30よりも一周り大きい径寸法で構成される。
【0021】
図1に示すように、一括シールド領域12の端部には、シールドコネクタ70が設けられている。シールドコネクタ70は、各電線20の端部に接続された端子76を収容可能なハウジング71を備えている。ハウジング71には、シールドシェル75が設けられ、一括シールド部材40の端部はシールドシェル75に加締めリング77を介して接続される。
【0022】
図2に示すように、重合領域13は、個別シールド領域11における各電線20のシース25の端部から各個別シールド部材30の端部が突出(露出)して配置され、この各個別シールド部材30の端部と、一括シールド領域12における一括シールド部材40の端部とが径方向で互いに重なり合って接触しており、その接触状態を維持するための接続部材50、60を有している。
【0023】
接続部材50、60は、各電線20(各個別シールド部材30でもある)に個別に対応した複数の内側接続部材50と、内側接続部材50の外側に配置される外側接続部材60とを有している。
【0024】
各内側接続部材50は、樹脂製でもよいが好ましくは金属製の筒状部材であって、外側接続部材60の後述する加締め力に抗する剛性を有している。図3に示すように、各内側接続部材50は、互いに同一形状(同形同大)であって、組み合わされた状態の外周断面形状が全体として円形(真円形、楕円形、長円形等)を呈するように構成される。
【0025】
具体的には、内側接続部材50は、中心角が360度/電線の本数(N)の扇形に形成されている。本実施例1の場合、電線20の本数(N)が2本であることから、内側接続部材50は、中心角が180度である断面半円弧状に形成されている。より具体的には、図3に示すように、内側接続部材50は、半円弧に沿って湾曲する外周部51と、外周部51の周方向両端を結ぶ直線状の弦部52とからなり、周方向に閉じた内部空間53を有している。
【0026】
各内側接続部材50の内部空間53には、対応する電線20が挿通されるようになっている。図2に示すように、各個別シールド部材30の端部は、各内側接続部材50の内面側から外面側にかけて沿設され、各内側接続部材50の一端部で折り返された形態になっている。これにより、各内側接続部材50の外面は、全体が各個別シールド部材30によって覆われる。
【0027】
外側接続部材60は、樹脂製でもよいが好ましくは金属製の筒状部材であって、長さ寸法を各内側接続部材50よりも小さくして構成される。外側接続部材60としては、例えば、公知の加締めリングが用いられ、各内側接続部材50へ向けて加締め力を付与することが可能とされている。図3に示すように、外側接続部材60は、加締め変形後、内周形状が、組み合わされた各内側接続部材50の外周形状と略同芯の断面円形(断面形状が真円、楕円又は長円等)を呈するようになっている。
【0028】
次に、本実施例1に係るワイヤハーネス10の作用効果を説明する。
組み付けに際し、各内側接続部材50の内部空間53に対応する電線20が挿通されるとともに、各個別シールド部材30の端部が各内側接続部材50の内面側から外面側に向けて折り返される。各個別シールド部材30の折り返し後の端部はシース25の近傍に配置される(図2を参照)。シース25は、内部空間53において、径方向一端が弦部52に当接又は近接して配置されるとともに、径方向他端が外周部51に当接又は近接して配置され、且つ径方向両端を除く部分が内側接続部材50の内面から離間して配置される(図3を参照)。各個別シールド部材30の端部は、折り返し後、弦部52及び外周部51の外面に沿って当接又は近接して配置される。このうち、外周部51の外面に沿って配置される部分は、接続本体部34として構成される。
【0029】
続いて、各内側接続部材50が相互の弦部52を対向させつつ円状に組み合わされる。このとき、各個別シールド部材30のうち、各内側接続部材50の弦部52の外面を覆う部分は、円の直径にほぼ沿って接触する。また、各個別シールド部材30の接続本体部34は、全体として断面円形につながる。
【0030】
次いで、一括シールド領域12から連続する一括シールド部材40の端部が各内側接続部材50の接続本体部34上に重なるように被せられる。一括シールド部材40の端部が各個別シールド部材30の接続本体部34と重なり合う部分の長さは、各内側接続部材50の長さ寸法を超えている(図2を参照)。
【0031】
その後、外側接続部材60が、一括シールド部材40の端部に外挿され、各内側接続部材50の長さ方向途中に外側から対向して配置される。その状態で、外側接続部材60が径方向中心(組み合わされた各内側接続部材50の径方向中心)へ向けて加締められる。これにより、外側接続部材60から各内側接続部材50に対して全周にわたって均一な加締め力が付与される。その結果、外側接続部材60と各内側接続部材50との間に、各個別シールド部材30の接続本体部34及び一括シールド部材40の端部が緊密に挟持される。こうして外側接続部材60と各内側接続部材50とが径方向に密着して電気的に接続されることにより、配索経路の全長にわたってシールド機能が果たされることになる。
【0032】
以上説明したように、本実施例1によれば、個別シールド領域11と一括シールド領域12とを、シールドコネクタなどを用いずにシールド接続することができ、ワイヤハーネス10の構造の簡素化及び部品点数の削減を図ることができる。
【0033】
また、複数の内側接続部材50が断面円形に組み合わされ、それと同芯円状の外側接続部材60が各内側接続部材50に対して全周にわたって均一な加締め力を付与するため、両接続部材間に、各個別シールド部材30の接続本体部34及び一括シールド部材40の端部が位置ずれすることなく安定して保持される。その結果、シールドコネクタなどを用いずとも、重合領域13における接続信頼性を良好に確保することができる。
【0034】
また、各内側接続部材50が互いに同一形状をなしているため、組み合わせに際し、各内側接続部材50をそれぞれ識別する必要がなく、作業性を良好にすることができる。
【0035】
さらに、各個別シールド部材30が対応する内側接続部材50にその内側接続部材50の内面側から外面側に折り返された形態になっているため、各個別シールド部材30と内側接続部材50との接続信頼性をより高めることができる。
【0036】
<実施例2>
図4は、本発明の実施例2を示す。実施例2は、重合領域13における各内側接続部材50Aの形態及び各電線20の本数が実施例1とは異なるが、その他は実施例1と同様である。このため、実施例1と同一又は相当する部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0037】
実施例1に既述のとおり、内側接続部材50Aは、中心角が360度/電線の本数(N)の扇形に形成される。実施例2の場合、各電線20の本数(N)は3本であることから、内側接続部材50Aは、中心角が120度である断面円弧状に形成されている。より具体的には、内側接続部材50Aは、全体としての円(組み合わされた各内側接続部材50Aの断面形状)の全周の1/3の範囲にわたって形成される外周弧状部55と、全体としての円の中心と外周弧状部55の両端とを結ぶ中心角120度の拡がり部56とからなる。各電線20は、対応する内側接続部材50Aの内部空間53に挿通される。個別シールド部材30が内側接続部材50Aの内周側から外周側に折り返されるように沿設される点は実施例1と同様である。
【0038】
実施例2の場合、各内側接続部は、各拡がり部56の辺部分を対向させ、且つ各拡がり部56の中心角部分が円の中心を向くようにして、円状に組み合わされる。各個別シールド部材30の端部のうち、外周弧状部55の外面に沿って配置される部分は、全体として断面円形につながる接続本体部34として構成される。一括シールド部材40が接続本体部34に重ねられ、外側接続部材60が各内側接続部材50Aに加締められる。このとき、実施例1と同様、外側接続部材60の内周が各内側接続部材50Aと同芯円状になるため、各内側接続部材50Aに均一な加締め力が付与され、両接続部材50A、60間に、各個別シールド部材30の接続本体部34及び一括シールド部材40の端部が安定して挟持される。
【0039】
<他の実施例>
本発明の他の実施例を簡単に説明する。
(1)内側接続部材がシースの外側に設置され、個別シールド部材の端部がシールの内面側から内側接続部材の外面側に折り返される形態で配置されるものであってもよい。
(2)個別シールド部材の端部は、折り返される部分を有さずに内側接続部材の外面のみに沿って配置されるものであってもよい。
(3)重合領域では、外側接続部材との干渉を回避するべく、外装部材が径方向に膨出する形態になっていてもよい。この場合、重合領域の外装部材は、個別シールド領域及び一括シールド領域のものとは別部材で構成されてもよい。
(4)ワイヤハーネスには、個別シールド領域、一括シールド領域及び重合領域が複数含まれていてもよく、これら領域以外の領域が含まれていてもよい。
(5)外装部材は、金属管、樹脂管又は金属、樹脂の複合管からなるパイプで構成されるものであってもよい。
(6)個別シールド部材と一括シールド部材のうちの少なくとも1つは、シート状の金属箔で構成されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0040】
10…ワイヤハーネス
11…個別シールド領域
12…一括シールド領域
13…重合領域
20…電線
30…個別シールド部材
40…一括シールド部材
50、50A…内側接続部材
60…外側接続部材
図1
図2
図3
図4
図5