特許第6788832号(P6788832)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6788832
(24)【登録日】2020年11月5日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】ニッパー用カバーおよびニッパー
(51)【国際特許分類】
   B26B 17/00 20060101AFI20201116BHJP
【FI】
   B26B17/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-203812(P2016-203812)
(22)【出願日】2016年10月17日
(65)【公開番号】特開2018-64663(P2018-64663A)
(43)【公開日】2018年4月26日
【審査請求日】2019年9月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】梶村 尚正
(72)【発明者】
【氏名】高橋 大輔
(72)【発明者】
【氏名】藤井 淳司
(72)【発明者】
【氏名】清水 岳史
(72)【発明者】
【氏名】林 秀樹
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−200352(JP,A)
【文献】 特開2012−005663(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3174145(JP,U)
【文献】 米国特許第05678919(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 13/00 − 17/02
B26B 23/00 − 29/06
B25B 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニッパーの刃先を被覆するニッパー用カバーであって、
前記ニッパー用カバーは、
前記ニッパーの対をなす刃部のそれぞれの背面を被覆しながら前記刃部に一体に又は着脱可能に設けられる断面コ字形のカバー本体と、
前記刃部の前記刃先側の前記カバー本体に延設される突起部と
前記突起部の基部でかつ前記カバー本体の厚み方向に形成される段差と、を有し、
前記ニッパー用カバーを備えた状態において、
一対の前記刃部が閉じる直前に、一対の前記刃部と一対の前記突起部とからなる環構造が形成され
一対の前記刃部が閉じた際に、一方の前記カバー本体に設けられる前記突起部の先端が、他方の前記カバー本体に形成される前記段差に配されて、これらが嵌合することを特徴とするニッパー用カバー。
【請求項2】
請求項1に記載のニッパー用カバーを備えていることを特徴とするニッパー。
【請求項3】
前記ニッパーは、前記刃部の基部に光源を備えることを特徴とする請求項記載のニッパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニッパーによる切断作業時に、ニッパーの刃先が触れて切断対象物以外のものが傷つくのを防止することができるニッパー用カバーおよびそれを備えてなるニッパーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ニッパーで結束バンド等を切断する場合、ニッパーの鋭利な刃先が周囲の物体に触れることで切断対象物以外のものを傷つけてしまう恐れがあった。例えば、ニッパーの刃先により電線等の絶縁カバーが傷ついてしまった場合は、そこから漏電が起こる恐れもあり、このような事態を回避するための工夫が必要とされていた。
本発明と同じ目的を有する先行技術文献は現時点では発見されていないが、関連する技術分野の先行技術としては下記のようなものが知られている。
【0003】
特許文献1には「ニッパやペンチ等の刃先に取り付けるカバー」という名称で、ニッパの刃部に装着されるカバーに関する考案が開示されている。
特許文献1に開示される考案によれば、ニッパーによる切断時及び切断後に、そのカバーで切断対象物を挟持しておくことができる。
【0004】
特許文献2には「ニッパ用カバー」という名称でニッパの切離運動を妨げることなく、切り屑を受け止めることができるニッパ用カバーに関する考案が開示されている。
特許文献2に開示される考案であるニッパカバーは、熱収縮性の良好な合成樹脂膜等を主材として、中央部より前端にかけて逆円錐形状に筒形のニッパカバーを一体に成型し、次ぎにニッパカバーの中央部に小孔を表裏対照的に穿ち、上辺中央部の小孔を結ぶ縦切れ目を表裏面相対的に切込み、上辺を接着してふくろ形状となしたことを特徴とするものである。
上記構成の特許文献2に開示される考案によれば、ニッパーの使用時に生じる切除くずを切刃の裏面側の空洞内で、ニッパカバーにより塞がれる領域内に収容しておくことができる。
【0005】
特許文献3には「切断工具の保護装置」という名称で、配電工事等において用いられる電線等の被切断物を、鋏状刃によって切断を行う切断工具に装着される保護装置に関する発明が開示されている。
特許文献3に開示される発明である切断工具の保護装置は、文献中に記載される符号をそのまま用いて説明すると、切断工具CTの鋏状刃の各々の刃部に外装される一対のシャッタ15A,15Bからなる保護手段と、前記保護手段を、前記切断工具CTの鋏状刃の開閉方向と同方向に且つ前記鋏状刃に対して回動可能に軸支する支持軸17a,17b,17c,17dと、前記保護手段を常に閉方向に付勢する付勢手段18a,18b,18c,18dと、からなることを特徴とするものである。
上記構成の特許文献3に開示される発明によれば、切断工具の刃に保護カバーを備えることで切断工具の刃で作業者が怪我をする、あるいは、配線済の電線等が破損するのを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平6-52770号公報
【特許文献2】実願昭57−87126号(実開昭58−188770号)のマイクロフィルム
【特許文献3】特開平11-313992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の特許文献1,2にはニッパー用カバーが開示されているものの、ニッパーの刃先の周辺において、切断対象物である例えばコードとそれ以外の例えばコードを選り分けた状態で保持しておくことはできなかった。
【0008】
また、特許文献3に開示される発明の場合も、ニッパーの刃先の周辺において、切断対象物である例えばコードとそれ以外の例えばコードを選り分けた状態で保持しておくことはできなかった。
【0009】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、その目的は、ニッパーの刃部に一体に又は着脱可能に装着することができ、ニッパーによる切断作業時に、ニッパーの刃先が触れて周囲の物体が損傷するのを好適に防止でき、切断対象物をそれ以外のものから分離(又は隔離)した状態で保持しておくことができるニッパー用カバー、および、このようなカバーを備えてなるニッパーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、第1の発明は、ニッパーの刃先を被覆するニッパー用カバーであって、このニッパー用カバーは、ニッパーの対をなす刃部のそれぞれの背面を被覆しながら刃部に一体に又は着脱可能に設けられる断面コ字形のカバー本体と、刃部の刃先側のカバー本体に延設される突起部とを有し、ニッパー用カバーを備えた状態において、一対の刃部が閉じる直前に、一対の刃部と一対の突起部とからなる環構造が形成されることを特徴とするものである。
上記構成の第1の発明において、カバー本体はニッパーの対をなす刃部の先端を被覆して、この部分が周囲の部材に直接触れるのを妨げるという作用を有する。
また、突起部は、一対の刃部が閉じる直前の状態において、一対の刃部とこの突起部が連なったものからなる環構造を形成させるという作用を有する。また、このような環構造は、その中空部内に切断対象物を収容した際に、この切断対象物と環構造の外に配される切断する必要のない物体とを一時的に分離(又は隔離)するという作用を有する。
【0011】
第2の発明であるニッパー用カバーは、第1の発明であるニッパー用カバーであって、環構造の形成時に、一対の突起部は嵌合する又は重なり合うことを特徴とするものである。
上記構成の第1の発明は、上述の第1の発明による作用と同じ作用に加えて、環構造の形成時に、一対の突起部は嵌合する又は重なり合うことで、ニッパーの把持部の操作時に、挟持力のわずかな変動で突起部からなる環構造が解消されて開いてしまうのを妨げるという作用を有する。
つまり、第2の発明の場合は、環構造が形成された状態から、環構造が解消されてニッパーの刃先が解放された状態になるまでの間に「遊び」がある状態になる。
これにより、ニッパーの把持部の操作ミスにより、意図せず突起部による環構造が解消されてしまい、環構造内に選り分けておいた切断対象物(切断予定物体)が意図せず、ニッパーの刃部の外に出てしまうのを妨げるという作用を有する。
【0012】
第3の発明であるニッパーは、上述の第1又は第2の発明であるニッパー用カバーを備えていることを特徴とするものである。
第3の発明は、上述の第1又は第2の発明を備えたニッパーであり、その作用については、上述の第1又は第2の発明による作用と同じである。
【0013】
第4の発明であるニッパーは、上述の第3の発明であるニッパーであって、刃部の基部に光源を備えることを特徴とするものである。
上記構成の第4の発明は、上述の第3の発明による作用と同じ作用を有する。また第4の発明において、光源はニッパーの刃部の周囲を明るく照らすという作用を有する。
【発明の効果】
【0014】
上述のような第1の発明によれば、ニッパーを用いる作業時に、対をなす刃部の刃先が周囲の物体に触れることによる切断対象物の損傷が起こるのを好適に防止することができる。
また、第1の発明によれば、ニッパーで切断しようとしている切断対象物が、切断する必要のない物体の中に混ざり込んでいる場合に、カバー本体に延設される突起部により、切断する必要のない物体の中から切断対象物を選り分ける又は手繰り寄せることができる。
この時、切断対象物を選り分ける又は手繰り寄せる際に、切断対象物や、切断する必要のない物体に刃部が触れる可能性を大幅に低減できる。
つまり、第1の発明を有しない刃部が切断対象物や、切断する必要のない物体に触れるとこれらが意図せず損傷するリスクが高まる。特に、切断する必要のない物体が電線等である場合は、外皮の損傷により漏電が起こる恐れがある。
したがって、第1の発明によれば、切断対象物が切断する必要のない物体の中に混ざり込んでいて、そこから切断対象物のみを選り分けて又は手繰り寄せて切断しようとする際に、切断する必要のない物体を刃部により損傷又は誤って切断してしまうリスクを大幅に低減することができる。
また、第1の発明によれば、切断対象物を刃部で実際に切断してしまう前に、一対の刃部とニッパー用カバーに設けられる突起部とからなる環構造内に切断対象物を一時的に分離(又は隔離)しておくことができる。
この場合、選り分けた又は手繰り寄せた切断対象物が、間違いなく目的とするものであるか否かの確認を容易にすることができる。さらに、環構造が形成されることで、選り分けた又は手繰り寄せた切断対象物を他の切断の必要がない物体から分離(又は隔離)しておく際に、切断対象物を刃部で軽く挟持しておく必要もなくなる。
つまり、第1の発明を備えない場合に同様の作業を行うと、ニッパーの刃部で選り分けた切断対象物を軽く挟持して保持しておくほかなく、この場合、最終確認が済んでいない切断対象物を誤って切断してしまう懸念があった。また、刃部で挟持される切断対象物が万一、本来切断する必要がない物体であった場合は、切断する必要がない物体を損傷又は誤って切断してしまうリスクが極めて高かった。
このように、第1の発明によれば、ニッパーを用いた切断作業時に、切断の必要がない物体を損傷してしまうのを好適に防止することができる。
【0015】
第2の発明は、第1の発明と同じ効果に加えて、環構造の形成時に、一対の突起部が嵌合する又は重なり合う構造にすることで、環構造が解除される前にいわゆる「遊び」の状態を設けることができる。すなわち、ニッパーの把持部を開く動作を行っているにもかかわらず、所望の間、環構造が解除されないようにすることができる。
他方、環構造内に切断対象物を分離(又は隔離)した状態で、作業者が意図せずニッパーの把持部を開く動作を行った場合に、直ちに環構造が解消されてしまうと、一対の刃部の間に分離(又は隔離)しておいた切断対象物を刃部の間から取り逃がしてしまうリスクが高くなる。
そして、第2の発明によれば、環構造が解除される前に「遊び」を有していることで、把持部のわずかな操作で、刃部の間に一時的に保持した切断対象物を取り逃がしてしまうのを好適に抑制することができる。
したがって、第2の発明によれば、第1の発明の利便性を一層向上することができる。
【0016】
第3の発明は、第1又は第2の発明であるニッパー用カバーを備えたニッパーであり、その効果は、第1又は第2の発明による効果と同じである。
【0017】
第4の発明は、第3の発明による効果と同じ効果に加えて、ニッパーがその刃部の基部に光源を備えていることで、第4の発明の操作時に刃部の周囲を明るく照らし出すことができる。
これにより、暗所において第4の発明を使用する際の作業効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施の形態に係るニッパー用カバーおよびそれを備えたニッパーの部分拡大図である。
図2】本実施の形態に係るニッパー用カバーおよびそれを備えたニッパーの使用状態を示す概念図である。
図3】(a)本実施の形態に係るニッパー用カバーを備えたニッパーの平面図であり、(b)本実施の形態に係るニッパー用カバーにより環構造が形成された状態を示す平面図である。
図4】(a)〜(c)はともに本実施の形態に係るニッパー用カバーを備えたニッパーの刃部の刃先側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態に係るニッパー用カバーおよびそれを備えてなるニッパーについて図1乃至図4を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
はじめに、図1,2を参照しながら本実施の形態に係るニッパー用カバーおよびそれを備えたニッパーの概要について説明する。
図1は本実施の形態に係るニッパー用カバーおよびそれを備えたニッパーの部分拡大図である。また、図2は本実施の形態に係るニッパー用カバーおよびそれを備えたニッパーの使用状態を示す概念図である。
図1に示すように、本実施の形態に係るニッパー用カバー3は、ニッパー1の対をなす刃部2,2のそれぞれの背面2b,2bを被覆しながら刃部2に一体に又は着脱可能に設けられる断面コ字形のカバー本体3a,3aと、刃部2,2の刃先2a側のカバー本体3aに延設される突起部3bと、により構成されるものである。
また、上述のようなニッパー用カバー3を備えてなるものが本実施の形態に係るニッパー1である。
【0021】
このような本実施の形態に係るニッパー用カバー3およびそれを備えたニッパー1によれば、図1,2に示すように、ニッパー1の刃部2の刃先2aがカバー本体3aにより被覆されているので、例えば、結束対象物8を緊縛する結束バンド7を切断する際に、刃部2の刃先2aが切断対象である結束対象物8の周囲の物体に触れるのを防止することができ、これによりその損傷を確実に防止することができる(特に図2を参照)。
加えて、本実施の形態に係るニッパー用カバー3およびそれを備えたニッパー1によれば、その刃先2aが絶縁物(ニッパー用カバー3)により被覆されることで、電力供給設備の補修に本実施の形態に係るニッパー用カバー3およびそれを備えたニッパー1を使用する際に、刃先2aが作業領域の周辺にある充電部に誤って触れた場合でも、作業者が感電するリスクを大幅に軽減することができる。
【0022】
また、図1に示すように、本実施の形態に係るニッパー用カバー3において、カバー本体3aの刃先2a側に突設される突起部3bは、ニッパー用カバー3が刃部2に取設され刃部2,2を閉じた際に、互いに嵌合するよう構成されている。
つまり、ニッパー用カバー3,3のそれぞれの突起部3bは、それぞれの側面に段差3cを備えており、これにより、ニッパー1の刃部2,2の閉合動作に伴い、互いに対向して配される一対の突起部3b,3bが接近していき、最終的には突起部3b,3bは段差3cが形成される位置において噛み合うよう構成されている。この時、突起部3b,3bは互いに当接しつつ重なり合う。
【0023】
この点について図3,4を参照しながらより詳細に説明する。
図3(a)は本実施の形態に係るニッパー用カバーを備えたニッパーの平面図であり、図3(b)は本実施の形態に係るニッパー用カバーにより環構造が形成された状態を示す平面図である。また、図4(a)〜(c)はともに本実施の形態に係るニッパー用カバーを備えたニッパーの刃部の刃先側から見た図である。つまり、図4(a)〜(c)はともに図3中の符号Aで示す方向から見た矢視図である。なお、図1図2に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図3(a),図4(a)に示すように、ニッパー用カバー3を備えたニッパー1では、ニッパー用カバー3の突起部3b,3bが互いに離間した時に、刃部2,2の間に切断対象物9を取り込むことができる。
そして、図3(a)に示す状態から刃部2,2を徐々に閉じていくと、刃部2,2が完全に閉じた(接触した)状態になる前に、ニッパー用カバー3の突起部3b,3bにより刃部2の刃先2a[図1を参照]が閉じた状態になる。つまり、ニッパー1の刃部2とニッパー用カバー3(突起部3b)とにより環構造が形成される[図3(b),図4(b)を参照]。
このとき、ニッパー用カバー3の突起部3b同士は、その一部が互いに噛み合った状態になる[図4(b)を参照]。あるいは、ニッパー用カバー3の突起部3b同士は、その一部が互いに重なり合う[図4(b)を参照]。なお、この環構造が形成されている状態は、ニッパー用カバー3の突起部3b同士が完全に嵌合した状態[図4(c)を参照]、又は、ニッパー用カバー3の突起部3b同士が完全に重なり合った状態[図4(c)を参照]ではない。
【0024】
また、ここでいう「環構造」とは、ニッパー1を構成する一対の刃部2とニッパー用カバー3における突起部3bが連なって切れ目のない閉じた「環」を形成している状態を指し示している。
そして、図3(b)に示すように、本実施の形態に係るニッパー1では、その刃部2,2と、ニッパー用カバー3の突起部3bとからなる環構造内に切断対象物9を収容することで、切断対象物9とそうでないものを一時的にニッパー用カバー3の突起部3bにより分離(又は隔離)しておくことができる。
そして、図4(c)に示すように、本実施の形態に係るニッパー1の一対の刃部2をより近づけて双方を接触させることで、最終的には上述の環構造内に収容された切断対象物9を切断することができる。
【0025】
また、本実施の形態に係るニッパー用カバー3では、突起部3b同士は、互いに噛み合った状態、又は、互いに重なり合った状態を有するため、把持部6,6を開く動作をした際に環構造が直ちに解放状態になるのではなく、把持部6,6開く動作を所望量行った後に、初めて環構造が解消されて突起部3b同士が開いた状態になる。つまり、本実施の形態に係るニッパー用カバー3及びそれを備えてなるニッパー1では、ニッパー用カバー3の突起部3b,3bと対をなす刃部2とからなる環構造が解消されて突起部3b同士が開いた状態になるまでの間に「遊び」を有している。
そして、このような「遊び」を有しない場合は、作業者が意図せず又は無意識のうちにわずかに把持部6,6を開く動作を行った際に、意図せず上述の環構造が解消されて突起部3bの先端が開いた(解放された)状態になり、意図せず切断対象物9の取りこぼしが起きてしまう。
これに対して、本実施の形態に係るニッパー用カバー3及びそれを備えてなるニッパー1によれば、環構造内に分離(又は隔離)しておいた切断対象物9を意図せず環構造の外に逃がしてしまうのを好適に防止できる。
したがって、本実施の形態に係るニッパー用カバー3及びそれを備えてなるニッパー1によれば、目的とする切断対象物9のみを確実にかつ効率よく切断することができる。
【0026】
さらに、本実施の形態に係るニッパー用カバー3及びそれを備えてなるニッパー1では、突起部3b,3bが完全に嵌合した状態、又は、突起部3b,3bの重なり部の長さが最大になった場合に、一対の刃部2が閉じた(接触した)状態になり、この時、一対の刃部2による切断対象物9を切断することができるよう構成されている[図4(c)を参照]。
つまり、ニッパー1の刃先2aをわずかに開いた状態では、突起部3b,3bと対をなす刃部2とにより環構造が形成されて、この環構造内に他の切断の必要のない物体から切断対象物9を分離(又は隔離)しておくことができ、この段階では環構造内に収容される切断対象物9は切断されていない。このように、本実施の形態に係るニッパー用カバー3及びそれを備えてなるニッパー1によれば、切断対象物9を他の切断の必要のない物体から分離(又は隔離)しておくために、一対の刃部2で、切断対象物9を挟持しておく必要がないのである。
したがって、本実施の形態に係るニッパー用カバー3及びそれを備えてなるニッパー1によれば、作業者は環構造内に分離(又は隔離)された切断対象物9を刃部2で傷付けないようにしながら、それが本当に切断すべきものであるか否かを再度確認することができる。
そして、環構造内に分離(又は隔離)したものが切断する必要のない物体であった場合は、切断作業を中断して環構造内の切断対象物9を一対の刃部2の間から解放すればよい。この場合、環構造内に分離(又は隔離)された切断する必要のない物体を無傷にしておくことができる。
他方、環構造内に分離(又は隔離)された切断対象物9に間違いがない場合、作業者は、この状態から対をなす刃部2同士の隙間を狭めていき、最終的に、対をなす刃部2同士を接触させて切断対象物9の切断を完了すればよい。
なお、環構造が形成されてから切断対象物9の切断が完了するまでの間、環構造は閉じたままであり、環構造が解消されることはないので、切断対象物9が固いものであっても、その切断時に一対の刃部2の間から切断対象物9が逃げてしまうことがない。
よって、本実施の形態に係るニッパー用カバー3及びそれを備えてなるニッパー1によれば、切断対象物9の切断のし損ない、又は、切断する必要のない物体を誤って切断する又は損傷させてしまうミスの発生を確実に減らすことができる。
このように、本実施の形態に係るニッパー用カバー3及びそれを備えてなるニッパー1を用いることで、切断対象物9の切断作業を正確かつ効率的に行うことができる。
【0027】
また、本実施の形態に係るニッパー1によれば、例えば、切断対象物9が合成樹脂等の絶縁カバーを備える電線で、この切断対象物9が複数本の同様の電線の中に紛れている場合に、ニッパー用カバー3の突起部3bを用いて、複数の電線の中から目的とする切断対象物9を選り分けることができ、かつ、その際に刃部2の刃先2aが選別対象に触れて選別対象が傷つくのを確実に防止することができる。
このように、本実施の形態に係るニッパー用カバー3及びそれを備えたニッパー1によれば、刃部2による切断作業時に、刃部2の刃先2aによりその周囲の切断対象物9以外の物体が傷付くのを好適に防止することができる。
加えて、ニッパー用カバー3の突起部3bを用いて目的とする切断対象物9を刃部2や刃先2aに触れさせることなく選り分けることができる。しかも、この場合、切断対象物9以外のものに刃部2やその刃先2aが触れないので、その損傷も防止できる。
よって、本実施の形態に係るニッパー用カバー3及びそれを備えたニッパー1によれば、ニッパー1を用いる作業時に周囲の設備や、切断対象物9が含まれる選別対象物を意図せず刃部2の刃先2aで傷つけてしまうのを防止することができる。
【0028】
また、図1に示すように、本実施の形態に係るニッパー1は、刃部2の基部2d近傍に光源4を備えていてもよい。この場合、刃部2による切断対象物9の切断時に、この光源4により刃部2の周囲を明るく照らすことができる。
なお、光源4の配線及び電源を、例えば、刃部2及びそれに延設される回動部5や把持部6に内蔵しておき、把持部6に光源4の点灯と消灯を切り替えるためのスイッチ(図示せず)を設けておいてもよい。
【0029】
なお、本実施の形態に係るニッパー1では、刃部2の背面2bにニッパー用カバー3を一体に備えてもよいし、ニッパー用カバー3を刃部2に着脱可能に備えていてもよい。あるいは、刃部2にニッパー用カバー3を設けることに代えて、突起部3bを刃部2の刃先2aに一体に形成してもよい。
さらに、本実施の形態では、対をなすカバー本体3a,3aを別体により構成しているが、カバー本体3a,3aの基部(突起部3bが形成されない側の端部)を刃部2への着脱に支障がない合成樹脂製の伸縮性を有するひも又はバンド状のパーツで連結して一体化してもよい(図示せず)。この場合、カバー本体3a,3aの取り外し時の散逸を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上説明したように本発明は、ニッパーによる切断作業時に、ニッパーの刃先が触れて切断対象物以外のものが傷つくのを防止でき、かつ、切断対象物のみを選んで効率よく切断することを可能にするニッパー用カバーおよびそれを備えてなるニッパーであり、手工具に関する技術分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0031】
1…ニッパー 2…刃部 2a…刃先 2b…背面 2c…刃面 2d…基部 3…ニッパー用カバー 3a…カバー本体 3b…突起部 3c…段差 4…光源 5…回動部 6…把持部 7…結束バンド 8…結束対象物 9…切断対象物
図1
図2
図3
図4