【実施例】
【0106】
以下に本発明の粘着テープ(実施例1〜3)と,従来の粘着テープ(比較例1)の性能評価試験を行った結果を実施例として記載するが,本発明はこれら実施例によりその範囲を限定されるものではない。
【0107】
試験方法
本発明の粘着テープ(実施例1〜3)と,従来の粘着テープ(比較例1:特許文献1に記載のものに対応)を作成し,各粘着テープの引きはがし粘着力(N/25mm),長手方向の引張強さ(N/50mm幅),及び伸び(%)を測定すると共に,手切れ性を評価した。
【0108】
なお,上記の試験において,粘着テープの引きはがし粘着力(N/25mm),引張強さ(N/50mm幅)及び伸び(%)は,JIS Z 0237-1991に基づき測定した。
【0109】
なお,引きはがし粘着力(N/25mm),引張強さ(N/50mm幅)及び伸び(%)とは概略,下記の通りである。
【0110】
引きはがし粘着力
SUS304鋼板〔表面仕上げBA(bright annealed finish/冷間圧延後,光輝熱処理したもの),表面粗さRa50±2.5nm〕に貼着した粘着テープ(幅25mm)を,SUS304鋼板に対し180°の角度で50mmの長さ引きはがした際に要した力の平均値を引きはがし接着力として測定した。
【0111】
引張強さ及び伸び
粘着テープ(幅50mm)をつかみ間隔100mmで把持したチャックを5±0.2mm/sの速さで離間させて粘着テープを引っ張り,粘着テープが切断するまでの荷重及び伸びを測定し,切断するまでの最大荷重P(N)を引張強さ(N/50mm幅)とした。
【0112】
また,試験片とした粘着テープの,試験開始時の長さに対する伸びた長さ(切断時の長さから試験開始時の長さを引いた値)を百分率で表したものを「伸び」とした。
【0113】
また,手切れ性の評価は,粘着テープを手(指先)のみで幅方向に切断した時の「切断箇所の直線性」と「切断の容易性」を評価したもので,切断が容易で,かつ,切断箇所が直線状であるものを「○」,それ以外を「×」と評価した。
【0114】
実施例及び比較例
〔実施例1〕
基材層
ポリオレフィン樹脂として,密度が0.96g/cm
3,メルトインデックスが7.0g/10分(190℃,2.16kg/cm
2)のポリエチレン樹脂1重量部と,密度が0.92g/cm
3,メルトインデックスが4.0g/10分(190℃,2.16kg/cm
2)のポリエチレン樹脂3重量部との混合物を使用した。
【0115】
上記樹脂を160〜190℃で押出加工して得られる溶融シートを,平滑な表面を有するゴムロールとエンボスロール間を通過させ,一方の面を平坦面,他方の面に深さ0.08mmの凹溝が1.2mm間隔で形成された凹凸面が形成された厚さ0.11mmのフィルムを得た。
【0116】
上記フィルムの凹凸面に対し,濡れ指数が45Dynとなるようコロナ放電処理を行い,基材層フィルムとした。
【0117】
粘着剤層
前記基材層20の凹凸面22に,粘着剤固形分100重量部に対し繊維片を1重量部分散させた粘着剤を塗布し,80〜120℃に設定された乾燥炉を5分間通過させて,
図1(A)に示すように単層の粘着剤層30を,仕上がり厚みで25μmとなるように形成した。
【0118】
使用した粘着剤は,アクリル系粘着剤〔サイデン化学株式会社製「#AT−40D」(溶液状の粘着剤であり,溶媒はトルエンと酢酸エチルを重量比で9対1に混合したもの。濃度は45重量%〕100重量部と,ポリイソシアネート系の架橋剤〔日本ポリウレタン株式会社製「コロネートL75」〕0.5重量部とからなる粘着剤である。
【0119】
上記の粘着剤固形分100重量部比に対して繊維片として1重量部,太さ1.2デニール,長さ5mmのポリエステル系繊維を分散した。
【0120】
〔実施例2〕
基材層
実施例1と同じである。
粘着剤層
前記基材層20の凹凸面22に繊維片が分散された粘着剤を塗布すると共に,前記繊維片が分散された粘着剤層上に,更に繊維片を含まない粘着剤を塗布し,実施例1と同様の方法で乾燥させて,
図2に示すように,繊維片含有粘着剤層301と繊維片非含有粘着剤層302の二層構造を有する仕上がり厚み(総厚み)25μmの粘着剤層30を形成した。
【0121】
繊維片含有粘着剤層301は,実施例1で使用した粘着剤(繊維片を分散したもの)を塗布して形成されたものであり,仕上がり厚み15μmである。
【0122】
また,繊維片非含有粘着剤層302は,繊維片を含まない点を除き実施例1の粘着剤と同じ組成の粘着剤を塗布して形成されたもので,仕上がり厚み10μmである。
【0123】
上記繊維片含有粘着剤層301と繊維片非含有粘着剤層302は,多層ダイス(二層)を使用した共押出によって,基材層20の凹凸面22上に形成した。
【0124】
〔実施例3〕
基材層
実施例1と同じである。
粘着剤層
前記基材層20の凹凸面22に,繊維片を含まない粘着剤を塗布し,この繊維片を含まない粘着剤上に,繊維片32が分散された粘着剤を塗布し,前記繊維片32が分散された粘着剤上にさらに繊維片を含まない粘着剤を塗布し,実施例1と同様の方法で乾燥させて,
図3に示すように基材層20の凹凸面22に積層された第1の繊維片非含有粘着剤層302a,前記第1の繊維片非含有粘着剤層302a上に積層された繊維片含有粘着剤層301,及び前記繊維片含有粘着剤層301上に積層された第2の繊維片非含有粘着剤層302bの三層構造を有する,仕上がり厚み(総厚み)30μmの粘着剤層30を形成した。
【0125】
第1の繊維片非含有粘着剤層302aは,繊維片32を含まない点を除き実施例1の粘着剤と同じ組成の粘着剤を塗布して形成したもので,仕上がり厚み7μmである。
【0126】
繊維片含有粘着剤層301は,粘着剤固形分100重量部に対し,繊維片を1.5重量部分散させた粘着剤を塗布して仕上がり厚み15μmに形成したもので,使用した粘着剤は,繊維片の配合量を0.5重量部増量した点を除き,実施例1で説明したものと同様である。
【0127】
更に,第2の繊維片非含有粘着剤層302bは,繊維片32を含まない点を除き実施例1の粘着剤と同じ組成の粘着剤を塗布して形成されたもので,仕上がり厚み8μmである。
【0128】
上記第1の繊維片非含有粘着剤層302a,繊維片含有粘着剤層301及び第2の繊維片非含有粘着剤層302bは,多層ダイス(三層)を使用した共押出によって,基材層20の凹凸面22上に形成した。
【0129】
〔比較例1〕
基材層
実施例1と同じである。
粘着剤層
基材層の凹凸面に,繊維片を含まない粘着剤を塗布すると共に,実施例1で説明したと同様の方法で乾燥させて,仕上がり厚み25μmの粘着剤層を形成した。
【0130】
粘着剤層の形成に使用した粘着剤は,繊維片を含まない点を除き実施例1で使用した粘着剤と同様である。
【0131】
試験結果
以上で説明した実施例1〜3,及び比較例1の粘着テープを使用して,引きはがし粘着力(N/25mm),引張強さ(N/50mm幅)及び伸び(%)を測定すると共に,手切れ性を評価した結果を下記の表1に示す。
【0132】
【表1】
【0133】
〔実施例4〕
基材層
図1(B)に示すように,ポリオレフィン樹脂として,密度が0.96g/cm
3,メルトインデックスが7.0g/10分(190℃,2.16kg/cm
2)のポリエチレン樹脂1重量部と,密度が0.92g/cm
3,メルトインデックスが4.0g/10分(190℃,2.16kg/cm
2)のポリエチレン樹脂3重量部とこれらのポリオレフィン樹脂100重量部に対してポリエステル系繊維片を1重量,繊維太さ1.2デニール,長さ3mmを混練した。
【0134】
上記からなる樹脂を160〜190℃で押出加工して得られる溶融シートを,平滑な表面を有するゴムロールとエンボスロール間を通過させ,一方の面を平坦面,他方の面に深さ0.08mmの凹溝が1.2mm間隔で形成された凹凸面が形成された厚さ0.11mmのフィルムを得た。
【0135】
上記フィルムの凹凸面に対し,濡れ指数が45Dynとなるようコロナ放電処理を行い,基材層フィルムとした。
【0136】
粘着剤層
実施例1と同じ。
【0137】
〔実施例5〕 粘着剤層に繊維片を含まない例
基材層
実施例4と同じ
粘着剤層
前記基材層20の凹凸面22に,粘着剤を塗布し,80〜120℃に設定された乾燥炉を5分間通過させて,
図1に示すように単層の粘着剤層30を,仕上がり厚みで25μmとなるように形成した。
【0138】
使用した粘着剤は,アクリル系粘着剤〔サイデン化学株式会社製「#AT−40D」(溶液状の粘着剤であり,溶媒はトルエンと酢酸エチルを重量比で9対1に混合したもの。濃度は45重量%〕100重量部と,ポリイソシアネート系の架橋剤〔日本ポリウレタン株式会社製「コロネートL75」〕0.5重量部とからなる粘着剤である。
【0139】
【表2】
【0140】
試験結果の考察
前出表1及び表2に示す以上の試験結果から,本発明の粘着テープは,実施例1〜3のいずれともに,比較例1の粘着テープに比較して引張強さが50N(約63%)向上していると共に,伸びが40%から14〜16%(減少率約60〜65%)に減少し,実施例4及び5では,引張り強さが60〜70N(約75〜87.5%)向上していると共に,伸びが40%から11〜12%以下(減少率約70〜72.5%)と大幅に減少していることが確認された。
【0141】
一方,このような引張り強さの増大又は伸びの減少に拘わらず,実施例1〜5の粘着テープは,いずれも比較例1の粘着テープと同等の手切れ性を発揮している。
【0142】
なお,実施例1〜3の粘着テープは,比較例1の粘着テープに比較して,引きはがし粘着力が0.5〜1N低下しているが,この程度の接着力の低下は,実用上,問題とならない程度の低下である。
【0143】
以上の結果から,本発明の粘着テープで採用した,粘着剤層に繊維片を分散させる構造が,粘着テープの手切れ性を維持しつつ,引張り強さの増大又は伸びを減少させる上で有効であることが確認された。
【0144】
このように,本発明の粘着テープでは,伸びが大幅に低減された結果,ロール状に巻き取った状態から引き出す際又は,手で切断する際に伸びが生じ難く,その結果,被着物に貼着した後に縮むこともなく,このような縮みに伴う貼着位置のずれ又は剥離が防止できるものと考えられる。
【0145】
また,空気の巻き込みにより巻き巣(空洞)が生じることを防止するためにテンションを掛けてロール状に巻き取った場合であっても粘着テープに伸びが生じ難いことから,ロール状に巻き取った後に粘着テープが長手方向に縮むことによって生じるテレスコープ状(竹の子状)の変形も生じ難くなると考えられ,歩留りの向上が期待される。
【0146】
更に,引張り強さが増大したことにより,破断等し難くなっていることから,例えば塗装作業の終了後に被着面よりマスキング等に使用された粘着テープを引き剥がす際の作業性が向上する。
【0147】
しかも,繊維片による補強により,引張強さを130(N/50mm幅)と大幅に向上させることができたことから,本発明は,工程が多く,コストの高い繊維を縦横(経緯)に織る事なく,既存の織物系基材層のテープの代替ともなる粘着テープが得られ,塗装等の際に使用するマスキングテープ又は養生用のテープとしての用途のみならず,例えば資材等の結束又は梱包等に使用する粘着テープとしての使用にも十分に耐え得るものとなっている。