(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態に係る冷蔵庫1を図面に基づき詳細に説明する。以下の説明では、同一の部材には原則的に同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。更に以下の説明では、上下前後左右の各方向を適宜用いるが、左右とは冷蔵庫1を前方から見た場合の左右を示している。
【0027】
図1は、本実施形態に係る冷蔵庫1の概略構造を示す正面外観図である。
図2は、冷蔵庫1の側方断面図である。
【0028】
図1に示すように、冷蔵庫1は、本体としての断熱箱体2を備え、断熱箱体2の内部に食品等を貯蔵する貯蔵室を形成している。この貯蔵室としては、最上段が冷蔵室3、その下段が上段冷凍室5、更にその下段が下段冷凍室6、最下段が野菜室7である。ここで、上段冷凍室5および下段冷凍室6は、何れも冷凍温度域の貯蔵室であるので、これらを単に冷凍室4と総称する場合もある。また、本形態では、上段冷凍室5は、貯蔵された被冷凍物9を、過冷却状態を経て凍結する機能を有しており、かかる機能に関しては後述する。
【0029】
本形態では、冷蔵庫1として複数の貯蔵室を備えたものを例示するが、冷蔵庫1として冷凍室4のみを有するものを採用し、この冷凍室4に過冷却を経て被冷凍物9を凍結する機能を持たせても良い。
【0030】
冷蔵庫1の基本的な機能は、各貯蔵室に収納された食品等の被貯蔵物を所定の温度に冷却することにある。即ち、冷蔵室3の庫内温度は冷蔵温度域であり、冷凍室4の庫内温度は冷凍温度域であり、野菜室7の庫内温度は冷蔵温度域である。
【0031】
断熱箱体2の前面は開口しており、各冷蔵室3等に対応した開口部には、各々扉8等が開閉自在に設けられている。扉8は、右側上下部が断熱箱体2に回転自在に支持されている。また、扉10、11、12は、冷蔵庫1の前方に引出自在に、断熱箱体2に支持されている。
【0032】
ここで、扉8の前面には操作パネル27が備えられており、使用者が操作パネル27を操作することで、冷蔵庫1の各種機能が実行される。例えば、使用者が操作パネル27の操作ボタンを押下することで、上段冷凍室5で、被冷凍物9を過冷却するための過冷却運転が実行される。かかる事項に関しては後述する。
【0033】
図2に示すように、冷蔵庫1の本体である断熱箱体2は、前面に開口部を有する鋼板製の外箱2aと、外箱2aの内側に間隙を持たせて配設され、前面に開口部を有する合成樹脂製の内箱2bと、を有している。また、外箱2aと内箱2bとの間隙には、発泡ポリウレタン製の断熱材2cが充填発泡されている。尚、上記した各扉8等も、断熱箱体2と同様の断熱構造を採用している。
【0034】
冷蔵室3と、その下段に位置する上段冷凍室5との間は、断熱仕切壁36によって仕切られている。断熱仕切壁36は、合成樹脂の成形品であり、その内部には断熱材が充填されている。また、下段冷凍室6と野菜室7との間は、断熱仕切壁37によって区分けされている。上段冷凍室5と、その下段に設けられた下段冷凍室6とは、冷気が流通自在に連通している。
【0035】
内箱2bの内部の冷蔵室3の奥面及び天面には、冷却された空気を冷蔵室3へ流す供給風路15が形成されている。同様に、上段冷凍室5の奥側には、合成樹脂製の仕切壁38で区画された供給風路14が形成されている。
【0036】
上段冷凍室5の上方には、合成樹脂製の仕切部材20で区画され、供給風路14に連通する風路が形成されている。そして、上段冷凍室5の上面には、過冷却運転時に上段冷凍室5へと冷気を送り出す第2送風機23が配置されている。
【0037】
内箱2bの内部の供給風路14の更に奥側には、仕切部材39で区分けされ形成された冷却室13が設けられている。冷却室13上部の仕切部材39には、冷却室13と供給風路14とをつなぐ開口が形成されており、その開口には、空気を循環させるための第1送風機32が配設されている。冷却室13の下方には、貯蔵室からの帰還冷気を冷却室13の内部へと吸入する開口13bが形成されている。
【0038】
上段冷凍室5には、食品等の被冷凍物9を収納するための収納容器29が設けられている。収納容器29は、上方が開口した略箱形状の合成樹脂製の容器である。収納容器29は、扉10に固定された図示しない枠体に組み込まれており、扉10と共に前方に引き出し自在に構成されている。
【0039】
本形態では、収納容器29の内部にトレイ40を配置している。トレイ40の内部空間26は、導入口41を経由して、供給風路14と連通している。これにより、供給風路14および導入口41を経由して、第1送風機32で送風された冷気が被冷凍物9に向かって供給され、食品等の被冷凍物9をより効率的に過冷却を経て凍結することができる。よって、食品である被冷凍物9の氷結晶を小さくし、食品の細胞を破壊し難くしてドリップの発生を抑制することが出来る。この事項は詳述する。
【0040】
冷却室13の内部には、循環する空気を冷却する蒸発器33が配置されている。蒸発器33は、圧縮機31、図示しない凝縮器、図示しない膨張手段としてのキャピラリーチューブに、冷媒配管を介して接続されており、蒸気圧縮式の冷凍サイクル回路を構成するものである。また、蒸発器33の下方には、蒸発器33の表面に付着した霜を溶かすための除霜ヒータ19が配置されている。
【0041】
また、冷蔵庫1は、後述する制御装置30を備えており、各貯蔵室内の室内温度は図示しない温度センサで計測され、この室内温度を示す電気信号は制御装置30に入力される。また、制御装置30は、温度センサ等から入力される電気信号等に基づいて、圧縮機31、第1送風機32、第2送風機23、除霜ヒータ19、風路開閉器18等を制御し、各貯蔵室を所定の温度帯域に保つ。
【0042】
図3を参照して、次に、上記した冷蔵庫1の電気的構成を説明する。
図3は、冷蔵庫1の電気的接続を示すブロック図である。この図を参照して、冷蔵庫1は、冷蔵庫1の各部位の動作を制御するCPUから成る制御装置30を有している。また、上記した上段冷凍室5には、過冷却運転時にて、被冷凍物9に対して冷気を吹き付ける第2送風機23が備えられており、その第2送風機23に内蔵されるモータは、制御装置30の出力側端子に接続されている。上段冷凍室5には、被冷凍物9の温度を計測する温度センサ34が配置されており、この温度センサ34は、制御装置30の入力側端子に接続されている。
【0043】
操作パネル27に備えられた操作ボタン35は、制御装置30の入力側端子に接続されている。後述するように、使用者が操作ボタン35を押下するなどして操作すると、制御装置30は、過冷却状態を経て被冷凍物9を凍結する過冷却運転を始める。
【0044】
更に、制御装置30の出力側端子には、第1送風機32、風路開閉器18、圧縮機31および除霜ヒータ19が接続している。制御装置30が、ここでは図示しない各貯蔵室に設置された各温度センサの出力に基づいて、これらの各機器を制御することで、各貯蔵室を所定の温度帯域としている。ここで、各貯蔵室とは、上記した冷蔵室3、上段冷凍室5、下段冷凍室6、および野菜室7を含む。
【0045】
次に、上記の構成を有する冷蔵庫1の基本的な冷却動作について、
図2を参照して説明する。
【0046】
先ず、制御装置30が、冷凍サイクル回路を構成する圧縮機31を運転することで、蒸発器33によって冷却室13内の空気を冷却する。蒸発器33によって冷却された冷気は、制御装置30が制御する第1送風機32によって、冷却室13の開口から供給風路14へと吐出される。
【0047】
そして、供給風路14に吐出された冷却空気の一部は、モータダンパから成る風路開閉器18によって適切な流量に調整され、供給風路15へと流れ、冷蔵室3へと供給される。これにより、冷蔵室3の内部に貯蔵された食品等を適切な温度で冷却保存することができる。
【0048】
冷蔵室3の内部に供給された冷気は、図示しない連結風路を介して野菜室7へと供給される。そして、野菜室7を循環した冷気は、帰還風路17、冷却室13の開口13bを経て、冷却室13の内部へと戻る。そこで、再び蒸発器33によって冷却される。
【0049】
他方、供給風路14に吐出された冷却空気の一部は、上段冷凍室5へと供給される。そして、上段冷凍室5の内部の空気は、連通する下段冷凍室6へと流れ、下段冷凍室6内部の空気は、下段冷凍室6の下部を流れ、冷却室13の開口13bを介して、冷却室13の内部へと流れる。
【0050】
以上説明の通り、蒸発器33で冷却された空気が貯蔵室内を循環して、食品等の冷凍や冷却保存が行われる。本形態では、使用者の操作に応じて上段冷凍室5に収納された被冷凍物9を凍結する過冷却運転機能を備えているが、この機能は後述する。
【0051】
次に、
図4を参照して、上段冷凍室5付近の構成を詳述する。
【0052】
図4(A)は、上段冷凍室5周辺の構造を示す側方断面図であり、
図1に示すA−A線断面に対応している。
図4(B)は
図4(A)のB−B断面における断面図あり、
図4(C)は
図4(B)のC−C断面における断面図である。
【0053】
図4(A)および
図4(B)を参照して、上段冷凍室5には、略箱型形状を呈する収納容器29が配置されており、収納容器29の底面には、トレイ40が配置されている。トレイ40は、下方に開口を有する略箱形または略皿形の合成樹脂から成る部材であり、その内側に内部空間26が形成されている。トレイ40の内部空間26の後方端部は、導入口41を介して、
図2に示した供給風路14と連通している。トレイ40の上面には、冷気が流通するための複数の貫通孔42が形成されている。トレイ40の構成等は後述する。
【0054】
トレイ40の内部には、温度センサ34が搭載されたセンサモジュール47が内蔵されている。温度センサ34としては、例えば、NTC(Negative Temperature Coefficient)センサが採用される。センサモジュール47に温度センサ34が組み込まれる構成は後述する。本形態では、過冷却運転を行う際に、温度センサ34で被冷凍物9の下面の温度を直接的に計測しつつ冷却能力を調節している。温度センサ34で被冷凍物9の温度を直接的に計測することで、被冷凍物9の温度を正確に計測でき、その計測結果に基づいて好適に過冷却状態を実現できる。係る事項も後述する。
【0055】
仕切部材20は、板状の樹脂から成る部材であり、上段冷凍室5の上端に風路を区切る為の部材である。連通口21は仕切部材20に複数個形成されている。上段冷凍室5の奥側には、第2送風機23が配置される。
【0056】
上段冷凍室5に於ける冷気の流れを説明する。
図4(A)を参照して、過冷却運転を行うために第2送風機23を運転すると、
図2に示す蒸発器33にて冷却された冷気が、第2送風機23の送風効果により上段冷凍室5の内部に送り込まれる。具体的には、下方斜め前方に進行する冷気は、トレイ40の上面に載置された被冷凍物9の表面に吹き付けられる。その後、吹き付けられた冷気は上昇し、仕切部材20に設けられた連通口21を経由して、仕切部材20と断熱仕切壁36との間に進入する。
【0057】
また、導入口41を経由してトレイ40の内部空間26に進入した冷気は、トレイ40の貫通孔42を経由して上段冷凍室5に進入し、被冷凍物9の表面に下方から吹き付けられる。その後、被冷凍物9を冷却した冷気は、例えば、下段冷凍室6に進入する。
【0058】
上記のように、本形態では、第2送風機23で冷気を上方から被冷凍物9に吹き付け、導入口41およびトレイ40の内部空間26を経由した冷気を下方から被冷凍物9に吹き付けている。従って、被冷凍物9を均等に冷却でき、後述する過冷却状態を良好に実現することが出来る。
【0059】
図4(C)を参照して、センサモジュール47の後端付近には、平面視で傾斜する傾斜面である分岐部49、50が形成されている。分岐部49は前方に向かって右方に傾斜する傾斜面であり、分岐部50は前方に向かって左方に傾斜する傾斜面である。導入口41からトレイ40の内部空間26に進入する冷気は、分岐部49、50で分岐された後に、トレイ40の内部空間26に進入する。ここで、トレイ40の内部空間26と、センサモジュール47の内部空間とは、連通していないので、冷気はセンサモジュール47の内部空間には進入しない。これにより、冷気が温度センサ34に与える影響が小さくなり、温度センサ34で被冷凍物9の温度を正確に計測することができる。
【0060】
図5の分解斜視図を参照して、上記した上段冷凍室5の構造を詳述する。ここでは、収納容器29の底面部分を詳細に示すために、収納容器29を部分的に切断した場合を図示している。
【0061】
ダクトユニット63は、樹脂成形品から成る部材であり、内箱後面51に取り付けられている。上記した導入口41は、ダクトユニット63の前方側から前方に向かって突出する開口部に形成されている。
【0062】
センサモジュール47は、ダクトユニット63に前方から接続し、温度センサ34を内蔵する。センサモジュール47は、上記した上段冷凍室5と下段冷凍室6とを仕切る底面部材52の上面に載置される。センサモジュール47は、上記したように、下方に開口を有する蓋形状の樹脂形成部材であり、温度センサ34およびそれを支持する各種部品が備えられる。センサモジュール47の内部空間には、温度センサ34と制御装置30とを接続する図示しない配線も引き回される。センサモジュール47は、収納容器29が上段冷凍室5に収納された場合であっても、収納容器29の内部には配置されず、収納容器29の下方に配置される。センサモジュール47の上面には、温度センサ34を保護する金属保護部材45が配置される。
【0063】
仕切部材20は、上記したように、合成樹脂から成る板状の部材であり、その後方部分に第2送風機23が取り付けられ、その前方部分に複数の連通口21が形成されている。
【0064】
トレイ40は、下方が開口された略蓋状に成形された合繊樹脂から成り、センサモジュール47を上方から塞ぎ、上記した内部空間26をその内部に構成する。トレイ40の上面の中央部付近には、例えばステンレス等から成る金属板材46が嵌め込まれており、その上面の周辺部には複数の貫通孔42が行列状に形成されている。ここでは、貫通孔42の形状として円形を示しているが、貫通孔42の形状は円形以外でも良く、例えば六角形等の多角形形状でも良い。後述するように、金属板材46の上面に被冷凍物9が載置されることで、被冷凍物9の温度を温度センサ34で正確に計測することが出来る。トレイ40は、収納容器29の底面に設置される。従って、収納容器29を前方に引き出す際には、トレイ40は収納容器29と共に移動する。よって、トレイ40を収納容器29から取り外して容易に洗浄することができる。
【0065】
収納容器29は、被冷凍物9が収納される略箱状の容器であり、上段冷凍室5に引出自在に配置されている。収納容器29の右方側の底面を部分的に上方に突出させることで、上記したセンサモジュール47を収納する収納部25が形成されている。センサモジュール47は、収納容器29が上段冷凍室5に収納された際に、収納容器29の収納部25に納められる。また、トレイ40の金属板材46と重なる位置に、収納部25の上面を開口した開口部28が形成されている。センサモジュール47の上面に配置される金属保護部材45は、収納部25の開口部28を経由して、トレイ40の金属板材46の下面に当接する。
【0066】
収納容器29の後方下端部分を部分的に開口することで2つの開口部24が形成されている。開口部24は、収納部25を挟む位置に形成されており、導入口41の位置に対応している。収納容器29が上段冷凍室5に収納された際に、ダクトユニット63の導入口41は、開口部24から収納容器29の内部空間に突出する。これにより、導入口41を経由して、トレイ40の内部空間26に冷気を確実に導入することができる。
【0067】
図6の分解斜視図を参照して、センサモジュール47に温度センサ34等が収納される構成を説明する。
【0068】
センサモジュール47は、その後方部分に温度センサ34に接続する配線59が収納される空洞部64を有し、その前方部分に温度センサ34等が配置されるセンサ取付部53を有する。センサモジュール47の後端には接続口61が形成されており、この接続口61はダクト55の接続口60に挿入される。よって、後述する温度センサ34と接続された配線59は、空洞部64、接続口60、61を引き回され、ここでは図示しない制御装置30と接続する。
【0069】
センサモジュール47のセンサ取付部53には、下方から、バネ54、断熱部材56、センサカバー57、断熱部材58、温度センサ34および金属保護部材45が配置される。
【0070】
バネ54は、縦方向に巻かれた金属線から成り、センサカバー57を上方に向かって付勢している。
【0071】
断熱部材56は、バネ54に対応した開口が形成された発泡PE(Poly Ethylene)等の断熱材料から成り、センサカバー57の下面に下方から接している。
【0072】
センサカバー57は下方に開口を有する蓋形状の樹脂部材であり、その上面に凹状領域65が形成されている。センサカバー57は、センサ取付部53を上方から覆うように、センサモジュール47に取り付けられる。
【0073】
センサカバー57の凹状領域65には、断熱性に優れた発泡PE等から成る断熱部材58が敷かれ、断熱部材58の上面に温度センサ34が載置される。また、温度センサ34は、上方から金属保護部材45で覆われる。金属保護部材45の両端部は、センサカバー57の上面に取り付けられる。
【0074】
図7を参照して、センサモジュール47の温度センサ34が設置された部分を説明する。
図7は、
図4(B)の領域A1を拡大した拡大断面図である。
【0075】
この図を参照して、センサカバー57はバネ54で上方に向かって付勢されている。また、センサカバー57の上面に形成された凹状領域65には、断熱部材58および温度センサ34が配置されている。温度センサ34は上方から金属保護部材45で保護されており、温度センサ34と金属保護部材45とは接触している。また、センサカバー57の下面には断熱部材56が設置されている。
【0076】
温度センサ34を被覆する金属保護部材45の上面は、トレイ40に取り付けられた金属板材46の下面に面的に接触している。よって、金属板材46の上面に上記した被冷凍物9が載置されると、温度センサ34は、金属板材46および金属保護部材45を介して、被冷凍物9に接触する。金属板材46および金属保護部材45は、ステンレス等の良熱伝導体から成るので、温度センサ34で被冷凍物9の温度を正確に計測できる。
【0077】
更に、上記したように、金属保護部材45を支持するセンサカバー57は、バネ54で上方に向かって付勢されている。従って、バネ54の付勢力で、金属保護部材45は金属板材46に押しつけられ、金属保護部材45と金属板材46との熱伝導が良好に成り、温度センサ34で正確に温度計測を行うことができる。
【0078】
更にまた、温度センサ34の下方には、2つの断熱部材58、56が設置されている。従って、センサモジュール47の内部空間の温度が低下しても、この内部空間と温度センサ34とは、断熱部材58、56で断熱されているので、内部空間の温度の低さが温度センサ34の精度を劣化させることが抑止されている。
【0079】
図8を参照して、上記した収納容器29を上段冷凍室5に収納することで、センサカバー57を所定位置に押し下げる事項を説明する。
図8(A)は収納容器29を上段冷凍室5に収納する途中段階に於けるセンサカバー57の形態を示し、
図8(B)は収納容器29を上段冷凍室5に収納した後に於けるセンサカバー57の形態を示している。尚、この図では、センサカバー57に内蔵される温度センサ34等を図示していない。
【0080】
図8(A)を参照して、先ず、収納容器29の下面には、後方に向かって上方に傾斜する傾斜面66が形成されている。ここで、センサモジュール47の上面、およびセンサカバー57の上面も、傾斜面66と略同一の傾斜角度で、後方に向かって上方に傾斜している。
【0081】
収納容器29が上段冷凍室5に収納されていない段階では、収納容器29の底面である傾斜面66は、センサモジュール47のセンサカバー57に接触していない。この段階では、センサカバー57には下方への押圧力が作用していないので、バネ54の付勢力でセンサカバー57は上方に持ち上がっている。また、図示しない温度センサ34を保護する金属保護部材45は、センサカバー57の上面よりも上方に突出している。
【0082】
図8(B)を参照して、収納容器29を後方に押すことで、収納容器29を上段冷凍室5に収納させると、収納容器29の底面である傾斜面66が、センサモジュール47のセンサカバー57を、摺動しつつ下方に押圧する。これにより、センサカバー57の上面は収納容器29の下面に密着するようになる。また、
図7に示したように、センサモジュール47の金属保護部材45の上面が、金属板材46の下面に密着し、金属板材46の上面に載置された被冷凍物9の温度を、温度センサ34で計測できる。
【0083】
ここで、収納容器29の上段冷凍室5への出し入れを行うと、収納容器29の底面に配置されたトレイ40は収納容器29と共に移動する。一方、収納容器29の下方に配置されたセンサモジュール47は、冷蔵庫1本体側に固定されており移動しない。
【0084】
次に、
図9に示すフローチャートに基づいて、上記した各図も参照しつつ、本形態の冷蔵庫1の動作を、過冷却運転時を中心に説明する。
【0085】
先ず、ステップ10では、制御装置30は通常の冷却運転を実行する。即ち、制御装置30は、各貯蔵室に設置された温度センサの出力に基づいて、冷凍サイクルの圧縮機31および第1送風機32を、断続的に運転する。具体的には、
図2を参照して、冷蔵室3、冷凍室4および野菜室7の何れか一つまたは複数には、図示しない温度センサが配置されており、この温度センサの出力に基づいて、制御装置30は圧縮機31および第1送風機32を断続的に運転する。これにより、冷蔵室3、冷凍室4および野菜室7は、所定の温度帯域に保たれる。
【0086】
次に、ステップS11では、
図4(A)を参照して、例えば食材である被冷凍物9を上段冷凍室5に投入する。本形態では、被冷凍物9の温度を正確に計測しつつ冷却運転を行うので、被冷凍物9として重量が数kgの食肉が採用された場合でも、過冷却状態を経て被冷凍物9を好適に凍結することができる。
【0087】
次に、ステップS12がYESの場合、即ち、
図1に示す操作パネル27に備えられている操作ボタン35を使用者が押下すると、制御装置30は過冷却運転を開始する。一方、使用者が操作ボタン35を押下しない場合は、ステップS12がNOであり、制御装置30は過冷却運転を開始しない。
【0088】
ステップS13では、制御装置30は、過冷却のための準備工程としての冷却運転を行い、被冷凍物9を徐々に冷却する。具体的には、制御装置30は、上段冷凍室5に配置された温度センサ34で計測される計測温度に基づいて、冷凍サイクルの圧縮機31および第1送風機32を断続的に運転する。一方、制御装置30は、被冷凍物9を全体的に冷却するために、上段冷凍室5に設置された第2送風機23は運転しない。本形態では、
図4(A)に示したように、導入口41から導入した冷気を、トレイ40の貫通孔42から上段冷凍室5に導入しているので、上段冷凍室5に貯蔵された被冷凍物9を全体的に冷却できる。
【0089】
ステップS14では、
図4(A)に示す温度センサ34で計測した被冷凍物9の計測温度が、第1設定温度まで冷却されたか否かを判断する。第1設定温度は、例えば、7℃である。温度センサ34で計測した計測温度が第1設定温度よりも高かったら、即ちステップS14がNOで有れば、制御装置30は、ステップS13の冷却運転を続行する。一方、温度センサ34で計測した計測温度が第1設定温度以下であれば、即ちステップS14がYESで有れば、制御装置30は、ステップS15に移行する。
【0090】
ステップS15では、制御装置30は冷却能力を増強する。具体的には、制御装置30は、冷凍サイクルの圧縮機31および第1送風機32を連続的に運転する。そのようにすることで、
図4(A)を参照して、導入口41およびトレイ40の貫通孔42を経由して、上段冷凍室5に下方から冷気が連続的に供給され、被冷凍物9を冷却する冷却能力が増強され、過冷却状態が実現される。ここで、制御装置30は、上段冷凍室5に配置された第2送風機23を、冷却能力を増強するために運転しても良いし、冷却能力を調整するために停止しても良い。
【0091】
ステップS16では、温度センサ34で計測した被冷凍物9の計測温度が、第2設定温度まで冷却されたか否かを判断する。第2設定温度は、例えば、−5℃である。温度センサ34で計測した計測温度が第2設定温度よりも高かったら、即ちステップS16がNOで有れば、制御装置30は、ステップS15の冷却運転を続行する。一方、温度センサ34で計測した計測温度が第2設定温度以下であれば、即ちステップS16がYESで有れば、制御装置30は、ステップS17に移行する。
【0092】
ステップS17では、制御装置30は、冷却状態を保存する冷却保存工程としての冷却運転を行う。具体的には、制御装置30は、上段冷凍室5に配置された温度センサ34で計測される計測温度に基づいて、冷凍サイクルの圧縮機31および第1送風機32を断続的に運転する。更に、制御装置30は、被冷凍物9の表面付近の部分を冷却するために、上段冷凍室5に設置された第2送風機23を運転する。
【0093】
ステップS18では、温度センサ34で計測した被冷凍物9の温度が、第3設定温度まで冷却されたか否かを判断する。第3設定温度は、例えば、−15℃である。温度センサ34で計測した計測温度が第3設定温度よりも高かったら、即ちステップS18がNOで有れば、制御装置30は、ステップS17の冷却運転を続行する。一方、温度センサ34で計測した計測温度が第3設定温度以下であれば、即ちステップS18がYESで有れば、制御装置30は、ステップS19に移行する。
【0094】
ステップS19では、温度センサ34で計測した被冷凍物9の温度が、第3設定温度である−15℃まで冷却されていることで、被冷凍物9が過冷却状態を経て凍結していると判断し、過冷却運転を終了し、ステップS20の通常冷却運転に移行する。即ち、冷凍サイクルの圧縮機31および第1送風機32を断続的に運転する。更に、制御装置30は、上段冷凍室5に設置された第2送風機23を停止する。
【0095】
ここで、制御装置30は、ステップS13に移行する際に、ステップS21で過冷却運転を連続して行っている積算時間を計測し、ステップS22で積算時間が24時間を経過したら、被冷凍物9は温度が低下し難いと判断して過冷却運転を終了し、ステップS20の通常冷却運転に移行する。
【0096】
また、過冷却運転を行っている間に、ステップS23にて使用者が
図1に示す扉10、11を開けてしまった場合も、上段冷凍室5の冷気が外部に逃げてしまい、過冷却運転を続行できないので、ステップS20の通常冷却運転に移行する。
【0097】
以上が、本形態の冷蔵庫1の構造および動作に関する説明である。
【0098】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。
【0099】
例えば、
図5を参照して、被冷凍物9が載置される金属板材46はトレイ40に嵌め込まれているが、金属板材46を収納容器29の収納部25の上面に嵌め込んでも良い。この場合は、収納部25に嵌め込まれた金属板材46は、トレイ40に形成された開口部から上方に向かって露出するようになる。