(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6788950
(24)【登録日】2020年11月5日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】ディーゼル燃料を内燃機関に圧送するためのポンピング群のフィルタの目詰まりを防止するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
F02M 37/30 20190101AFI20201116BHJP
F02M 37/34 20190101ALI20201116BHJP
F16K 31/06 20060101ALI20201116BHJP
F16K 51/00 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
F02M37/30
F02M37/34
F16K31/06 305Z
F16K31/06 310A
F16K31/06 320Z
F16K31/06 385A
F16K51/00 B
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-548772(P2019-548772)
(86)(22)【出願日】2017年12月5日
(65)【公表番号】特表2019-535965(P2019-535965A)
(43)【公表日】2019年12月12日
(86)【国際出願番号】EP2017081491
(87)【国際公開番号】WO2018104290
(87)【国際公開日】20180614
【審査請求日】2019年5月29日
(31)【優先権主張番号】102016000123932
(32)【優先日】2016年12月6日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】デ カルロ,ピエトロ
(72)【発明者】
【氏名】メドロ,ネッロ
【審査官】
稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】
独国特許出願公開第102014211942(DE,A1)
【文献】
特開2008−215332(JP,A)
【文献】
特開2000−345818(JP,A)
【文献】
特表2012−532280(JP,A)
【文献】
実開昭57−156068(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 37/00−59/00
F16K 31/06、51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼル燃料を内燃機関に圧送するためのポンピング群のフィルタの目詰まりを防止するための目詰まり防止群(1)であって、
低圧ポンプから出てくるディーゼル燃料が供給され、且つ前記ディーゼル燃料を高圧ポンプに、制御された方法で供給するように構成された計量ユニット(2)であって、コイル(6)が設けられた電磁弁(4)と、前記ディーゼル燃料流を制御するための制御弁(5)とを具備する計量ユニット(2)と、
前記制御弁(5)に関連付けられたフィルタ(30)と、
周囲温度を測定するための温度センサ(34)と、
一方の側にて前記温度センサ(34)に接続され、且つ他方側にて前記コイル(6)に接続された制御ユニット(31)と、を備え、
前記制御ユニット(31)が、前記ポンピング群の始動入力を受信したならば、前記温度センサ(34)により測定された温度を所定の閾値と比較し、前記温度センサ(34)により測定された前記温度が前記閾値よりも低い場合には、前記ポンピング群の始動の、所定期間にわたる遅延を指令し、当該期間にわたり前記制御ユニット(31)が電流を前記コイル(6)に供給することにより発生する熱の一部を前記フィルタに伝達する、目詰まり防止群(1)。
【請求項2】
前記制御弁(5)が弁体(17)を含み、当該弁体(17)が、前記電磁ヘッド(4)の内側に配置され且つ前記コイル(6)が巻き付けられた第1の部分(19)と、前記電磁ヘッド(4)の外側に配置された第2の部分(20)とを含み、当該第2部分(20)に、前記ディーゼル燃料流のための側方開口部(24)が設けられ、前記フィルタ(30)が、前記弁体(17)の前記第2部分(20)に前記側方開口部(24)にて関連付けられている、請求項1に記載の群。
【請求項3】
前記目詰まり防止群(1)が、前記フィルタ(30)の温度を測定するための温度センサ(39)を備え、当該温度センサ(39)が前記制御ユニット(31)に、前記ポンピング群の始動前の前記コイル(6)への電流供給が、前記フィルタ(30)の温度が所定の閾値に達したときにのみ終了するように接続されている、請求項1または2に記載の群。
【請求項4】
前記目詰まり防止群(1)が、前記電磁ヘッド(4)に関連付けられた温度センサ(40)を備え、当該温度センサ(40)が前記制御ユニット(31)に、前記ポンピング群の始動前の前記コイル(6)への電流供給が、前記電磁ヘッド(4)の測定温度が所定の閾値に達したときにのみ終了するように接続されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の群。
【請求項5】
前記目詰まり防止群(1)が、電流を前記制御ユニット(31)から前記コイル(6)に供給するための配線(36)を備え、当該配線が、2アンペアよりも大きいアンペア数を有する電流を供給するように構成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の群。
【請求項6】
ディーゼル燃料を内燃機関に圧送するためのポンピング群のフィルタの目詰まりを防止するための方法であって、
a)低圧ポンプから出てくるディーゼル燃料が供給され、且つ当該ディーゼル燃料を高圧ポンプに、制御された方法で供給するように構成された計量ユニット(2)であって、コイル(6)が設けられた電磁ヘッド(4)と、前記ディーゼル燃料流を制御するための制御弁(5)とを含む計量ユニット(2)と、
前記制御弁(5)に関連付けられたフィルタ(30)と、
周囲温度を測定するための温度センサ(34)と、
一方の側にて前記温度センサ(34)に接続され、且つ他方側にて前記コイル(6)に接続された制御ユニット(31)と、を設けるステップと、
b)前記制御ユニット(31)が前記ポンピング群の始動入力を受信したならば、前記温度センサ(34)により測定された温度を前記制御ユニット(31)に送信するステップと、
c)前記温度センサ(34)により測定された温度を所定の閾値と比較するステップと、d)前記温度センサ(34)により測定された温度が前記閾値よりも低い場合には、前記ポンピング群の始動の、所定期間にわたる遅延を指令し、且つ、電流を前記コイル(6)に、前記期間の少なくとも一部にわたって供給することにより発生する熱の一部を前記フィルタに伝達するステップと、を含む、方法。
【請求項7】
前記温度センサ(34)により測定された温度に従って前記遅延時間を計算するステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
e)前記フィルタ(30)の温度を測定するための温度センサ(39)を設けるステップと、
f)前記温度センサ(39)により測定された温度を前記制御ユニット(31)に、前記コイル(6)への電流の予備供給中に送信するステップと、
g)前記温度センサ(39)により測定された温度を所定の閾値と比較するステップと、
h)前記温度センサ(39)により測定された温度が前記閾値よりも高い場合には、前記コイル(6)への電流の前記予備供給を終了するステップと、を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
ステップc)の前記閾値とステップg)の前記閾値とが対応している、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
e)前記電磁ヘッド(4)の温度を測定するための温度センサ(40)を設けるステップと、
f)前記温度センサ(40)により測定された温度を前記制御ユニット(31)に、前記コイル(6)への電流の予備供給中に送信するステップと、
g)前記温度センサ(40)により測定された温度を所定の閾値と比較するステップと、
h)前記温度センサ(40)により測定された温度が前記閾値よりも高い場合には、前記コイル(6)への電流の前記予備供給を終了するステップと、を含む、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼル燃料を内燃機関に圧送するためのポンピング群のフィルタの目詰まりを防止し、すなわち目詰まりのいずれをも除去するための群及び方法に関する。
【0002】
詳細には、本発明は、ディーゼル燃料を低圧ポンプと高圧ポンプとの間の低圧回路に沿って圧送するためのポンピング群内に配置され、計量ユニット又はスロットルバルブに関連付けられたフィルタの目詰まりを防止するための群及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
周知のように、ディーゼル燃料の温度が「低温フィルタ目詰まり点」(“Cold Filter Plugging Point”)すなわちCFPPとして当分野で知られている特定の閾値を超えて低下すると、液体ディーゼル燃料の流れが減速して、パラフィンと称される固体濃縮物を生成する傾向があり、これが、ポンピング群内での循環時に、回路に沿って設けられたフィルタリング装置を詰まらせる可能性がある。
【0004】
CFPP閾値は、ディーゼル燃料が特定のフィルタ内でパラフィンにより過度に目詰まりしているために、もはや特定の時間内で流れなくなる温度を正確に示す。
【0005】
この現象に関連する最大の問題は、ポンピング群の低圧回路に沿って、すなわち、低圧ポンプ(一般的に、ギヤポンプ)を高圧ポンプ(一般的に、ポンプピストンを有するポンプ)に接続している回路に沿って生じる。なぜなら、この回路セクションにおいて、ディーゼル燃料が外部周囲(環境)温度に関連して低温になり得るからである。
【0006】
冬季に、標準的なディーゼル燃料、すなわち「耐寒」(“Arctic”)でない、又は、不凍液が添加されていないディーゼル燃料を使用した場合、ポンピング群のフィルタにパラフィンが堆積する危険性がある。フィルタ上にこのパラフィン堆積物が現れると、エンジンの冷間始動が危機的になる可能性がある。
【0007】
この危険に特にさらされるフィルタの1つは、ディーゼル燃料を低圧ポンプと高圧ポンプとの間の低圧回路に沿って正確に圧送するためにポンピング群内に配置されたスロットルバルブに関連するフィルタである。このフィルタがパラフィンにより目詰まりすると、障壁が形成されて、ディーゼル燃料を吸気弁に供給することを妨害するため、エンジンの適切な始動ができなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この先行技術から出発して、本発明の目的は、ディーゼル燃料を低圧ポンプと高圧ポンプとの間の低圧回路に沿って圧送するためのポンピング群に配置された、計量ユニット又はスロットルバルブに関連付けられたフィルタの目詰まりを防止するための、すなわちフィルタのパラフィン目詰まりのいずれをも除去するための群及び方法を提供することである。
【0009】
本発明は、
制御弁と、コイルが設けられた電磁ヘッドとを具備する計量ユニット又はスロットルバルブであって、低圧ポンプからディーゼル燃料を受け取るために、且つ当該ディーゼル燃料を高圧ポンプに、制御された方法で供給するために構成された計量ユニット又はスロットルバルブと、
前記制御弁に関連付けられたフィルタと、
周囲温度を測定するための温度センサと、
一方の側にて前記温度センサに接続され、且つ他方側にて前記コイルに接続された制御ユニットと、を備えた群を提供する。
【0010】
詳細には、前記制御ユニットは、前記ポンピング群の始動入力を受信したならば、前記温度センサにより測定された温度を所定の閾値と比較し、前記温度センサにより測定された前記温度が前記閾値よりも低いことが判明した場合には、前記制御ユニットは、前記ポンピング群の始動の、所定期間にわたる遅延を指令し、当該遅延期間にわたり、前記制御ユニットが電流を前記コイルに供給する。
【0011】
従って、上述の群により実行される方法は、
前記制御ユニットが前記ポンピング群の始動入力を受信したならば、前記温度センサにより測定された温度を前記制御ユニットに送信するステップと、
前記温度センサにより測定された前記温度を、閾値(一般的に、パラフィンが発生するCFPP(低温フィルタ目詰まり点)温度)と比較するステップと、
前記温度センサにより測定された前記温度が前記閾値よりも低い場合には、前記ポンピング群の始動の所定期間にわたる遅延を指令し、当該期間の少なくとも一部にわたり、電流を前記コイルに供給するステップと、を含む。
【0012】
このようにして、ジュール効果により、電流を供給された前記コイルが昇温して、前記計量ユニットに関連付けられた前記フィルタもまた昇温し、これにより、周囲温度がCFPP温度よりも低いことにより析出されるパラフィンのいずれをも溶解させることになる。
【0013】
詳細には、弁体が、前記電磁ヘッドの内側に配置され且つ前記コイルが巻き付けられた第1の部分と、前記電磁ヘッドの外側に配置された第2の部分とを含み、当該第2部分に、前記ディーゼル燃料流のための側方開口部が設けられている。前記フィルタが前記弁体の前記第2部分に、これらの側方開口部にて関連付けられている。
【0014】
このようにして、前記コイル及び前記フィルタの両方が相互に近接して、同一の要素、すなわち、前記弁体に関連付けられ、これにより、前記コイルと前記フィルタとの間の熱交換を最大にする。
【0015】
詳細には、前記群は、前記フィルタの温度を測定するための温度センサを備え、当該温度センサは前記制御ユニットに、前記ポンピング群の始動前の前記コイルへの電流供給が、前記フィルタの温度が所定の閾値に達したときにのみ終了するように接続されている。
【0016】
従って、上述の変型例により実行される方法は、
前記コイルへの電流の前記予備供給中に、前記温度センサにより測定された温度を前記制御ユニットに送信するステップと、
前記温度センサにより測定された温度を、所定の閾値(電流供給開始時の閾値、又はそれ以外の値であり得る)と比較するステップと、
前記温度センサにより測定された温度が前記閾値よりも高い場合には、前記コイルへの電流の前記予備供給を終了して、さらなる遅延を行わずにポンピング群を始動させるステップと、を含む。
【0017】
このようにして、前記コイルへの電流の前記予備供給は、所望の結果が達成されたこと、すなわち、前記フィルタが、ディーゼル燃料の濃縮の結果によるパラフィン残留物のいずれをも溶解するように昇温されたことが確実である場合にのみ中断される。
【0018】
或いは、前記ポンピング群の始動の遅延期間、及び、前記コイルへの電流の予備供給の時間も、例えば周囲温度に応じて先験的に評価され得る。
【0019】
このようにして、パラフィンの溶解に関し、及び、エンジンを始動させるための遅延としてユーザにより要求される待ち時間に関して、良好な妥協を得ることが可能である。
【0020】
詳細には、前記群は、前記コイル又は前記電磁ヘッド全体に関連する温度を測定するための温度センサを備えることができ、当該温度センサは前記制御ユニットに、前記ポンピング群の始動前の前記コイルへの電流供給が、前記センサにより測定された温度が所定の閾値に達したときにのみ終了するように接続されている。
【0021】
これは、所望の結果を達成すること、すなわち、前記電磁ヘッドの温度を制御下で保持し、それにより、余剰な局所的過加熱を回避することで、前記フィルタが、ディーゼル燃料の濃縮の結果によるパラフィン残留物のいずれをも溶解するように昇温されることを可能にする。また、この実施形態は、前記電磁ヘッドが、ほぼ前記ポンプ本体の外側にフランジ取付けされているため、容易に実施される。
【0022】
最後に、前記コイルは、前記計量ユニットに既に存在している、前記コイルに接続されるための配線を用いて電流を供給されることができ、或いは、前記制御ユニットから前記コイルに、2アンペアよりも大きいアンペア数を有する電流を供給するための専用の、電流を供給できる配線を設置することも可能である。
【0023】
本発明のさらなる特徴及び利点は、以下に記載する本発明の非限定的で例示的な実施形態の説明を、添付図面参照しつつ読むことにより明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】低圧ポンプと高圧ポンプとの間の低圧回路に沿ってディーゼル燃料を圧送するためにポンピング群内に配置された、それぞれのフィルタを備えた計量ユニット又はスロットルバルブの概略斜視図である。
【
図2】本発明による、フィルタの目詰まりを防止するための群の概略図であり、
図1に示したそれぞれのフィルタを備えた計量ユニットの断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面において、参照番号1は、本発明による内燃機関にディーゼル燃料を圧送するポンピング群のフィルタの目詰まりを防止するための群の実施形態を示し、参照番号2は目詰まりが防止されるべきフィルタに関連付けられた計量ユニットを示し、参照番号30が前記フィルタを示す。
【0026】
計量ユニット2、又はスロットルバルブは、タンクからディーゼル燃料を集めるポンピング群の一部であり、燃料を、ポンピングピストンにより低圧ギヤポンプ及び高圧ポンプに直列に供給し、その後、燃料を、一連のインジェクタに接続された共通のタンクに向けて運ぶ。
【0027】
詳細には、計量ユニット2は、低圧ポンプを高圧ポンプに接続し且つ高圧ポンプの供給を制御するタスクを有する低圧回路に沿って配置される。
【0028】
この目的のために、群1は、計量ユニット2を制御できる制御ユニット31を含み、制御ユニット31は、計量ユニット2を、エンジン動作に関連する様々なパラメータを公知の方法で測定できるセンサから受信した信号の関数として制御する。計量ユニット2は、上述の機能を有することに加えて、以下のタスクを有するオーバーフロー装置としても動作し得る。これらのタスクとは、使用時に低圧ポンプが計量ユニット2に供給する、高圧ポンプに必要な量を超えた余剰の量の燃料を「排出する」(“draining”)タスク、及び、このようにして計量ユニット2の入口における燃料の圧力がほぼ所定の値に維持されることを保証するタスクである。
【0029】
図に概略的に示されているように、計量ユニット2は電子弁により形成され、この電子弁は、少なくとも1つの入口側が低圧ポンプの出口に連通し、且つ、少なくとも1つの出口側が高圧ポンプの入口又は排出ブランチに連通している。
【0030】
計量ユニット2は、支持体3(通常、高圧ポンプの本体の一部)にフランジで取付けられており、電磁ヘッド4と制御弁5とを備えている。電磁ヘッド4は、管状体7(非磁性材料製で、軸8と同軸)に巻き付けられたコイル6と、管状体7の内側に配置された管状ブッシュ9と、磁化可能材料製の可動コア10とを含む。コア10は、管状ブッシュ9に沿って軸方向にスライド可能に取り付けられ、且つ、管状シャンク11及びスプラグ12とを備え、スプラグ12は、管状シャンク11と一体的で、且つ、軸8及び管状ブッシュ9と同軸である。電磁ヘッド4は、さらに閉鎖カップ13を含む。閉鎖カップ13は、その一端にて接続された電気コネクタ14を支持し、また、他端には、計量ユニット2を支持体3に接続するための外側フランジ15を備えている。閉鎖カップ13の内側に、スプラグ12を軸線8に沿って軸方向にガイドする機能を有するベアリング16が設けられている。制御弁5は、中間外側フランジ18を備えた弁体17を含み、中間外側フランジ18(フランジ15から、軸線8と同軸の位置へと半径方向内側に延在する)は、支持体3に接触している閉鎖カップ13によりブロックされている。また、弁体17に、2つの対向部19及び20が配置されている。対向部19及び対向部20は、ほぼ円筒状で軸8と同軸であり、それぞれ、支持体3又は電磁ヘッド4の外側及び内側に配置されている。
【0031】
詳細には、部分19は、フランジ18から電磁ヘッド4の内側の可動コア10に向かって延在し、且つ、管状体7の内側に、Oリング21を介して密封的に係合している。この係合は、可動コア10用のハウジング及びスライド座部を、管状ブッシュ9及び閉鎖カップ13と共に画成するようになされている。
【0032】
磁気ヘッド4の外側の部分20は、支持体3に形成された円筒状の座部(図示せず)の内側に、2つのOリング22を介して係合し、軸8と同軸であり、且つ、低圧ディーゼル燃料用の入口及び出口として機能する一連の下部ドア23及び側方ドア24に連通している。
【0033】
詳細には、弁体17の部分20の内側にキャビティ26が設けられ、このキャビティ内で可動シャッタ27が、低圧ディーゼル燃料の、弁体17の入口ドア23と出口ドア24との間における流れを制御するために、少なくとも1つの上昇位置と少なくとも1つの降下位置との間を軸8に沿って摺動できる。
【0034】
詳細には、キャビティ26がダクト25を形成しており、ダクト25は、下部ドア23の底部にて開口し、且つ、2つの側方チャネル24(下部20のほぼ半分の高さに位置する)に接続されている。
【0035】
弁5は、下部入口又はドア23にてキャビティ26の内側で弁体17に連結されているコネクタ28を含む。コネクタ28は中空であり、燃料の通過を可能にする。弁5はシャッタ27とコネクタ28との間に介在する、弾性システム29(具体的にはコイルばね)を備えている。弾性システム29は、シャッタ27を下部入口23から離れる方向に押圧する軸方向の力を加えて、シャッタ27がスプラグ22に押し付けられることを保持する。
【0036】
コイル6に電流を供給することにより、制御ユニット31により制御される作用である磁場が発生する。この磁場は、可動コア10と相互作用して、スプラグ22の運動の結果としてシャッタ27を移動させ、これにより、低圧ディーゼル燃料の、弁体17の入口と出口との間の流れを所望のように制御する。
【0037】
弁体17の部分20の少なくとも1つのセクションにフィルタ30が設けられ、フィルタ30は、弁5の外側に公知の方法で連結されて配置される。
【0038】
詳細には、フィルタ30は、弁体17の外部に、フランジ18から支持体3の内側に延在する第1のセクションに沿って連結され、且つ、少なくとも側方チャネル24を遮断している。
【0039】
図示されている例において、フィルタ30はスリーブの形態であり、網(ネット)又は格子の形態の濾過壁33を支持する円筒状のケージ32を備えている。
【0040】
図2に見られるように、フィルタ30は、フランジ18に対してコイル6とは反対の側に、コイル6及びフィルタ30の両方がフランジ18に近接した端部を有するように配置されている。
【0041】
上述のように、制御ユニット31は、コイル6への電流供給を、特定のセンサにより測定されたエンジン動作に関連するパラメータの関数としてスプラグ12を移動させることにより、制御及び指令する。
【0042】
本発明によれば、フィルタ30の目詰まりを防止するための装置は、外部周囲温度を測定するためのセンサ34を備え、このセンサは、指定された配線ケーブルを用いて、或いは無線で制御ユニット31に接続されている。
【0043】
この接続は、
図2に参照番号35で示されている。詳細には、このセンサ34は、外部周囲温度の測定値又は計算値を、前記制御ユニット31の要求に応じて制御ユニット31に送信するように構成され、この送信は、操作者が制御ユニット31に、エンジンと、従って、計量ユニット2が設置されているポンピング群とを始動させるためのコマンドを送信すると即時に行われる。
【0044】
制御ユニット31は、周囲温度に関する必要な情報をセンサ34から受信したならば、おそらくは処理を受けて前記温度データを基準温度閾値と比較する。この基準閾値温度は、ディーゼル燃料の、液体状態からパラフィンへのCFPP遷移温度に対応するか又はその関数である。
【0045】
周囲温度データが前記基準温度閾値よりも高い場合、制御ユニット31は、通常始動のためのコマンドをエンジンに送信し、その結果、弁5から通過されなければならないディーゼル燃料の必要な流量に応じて、既知の方法でコイル6へ電流を供給する。
【0046】
周囲温度データが前記基準温度閾値よりも低い場合には、制御ユニット31は、通常の開始信号を前記エンジンに送信するのではなく、コイル6に電流を配線36を介して供給する。配線36は、この目的に固有の配線であっても、或いは、本発明のシステムに既に存在している、コイル6に電力を供給するための配線から構成されてもよい。
【0047】
従って、詳細には、制御ユニット31は、エンジンの始動を遅らせ、また、コイル6に、所定時間、電流(例えば、2アンペアよりも大きいアンペア数を有する電流)を供給する。この電流供給期間は、エンジン及びエンジンに接続されたシステム(タンクからディーゼル燃料を収集してインジェクタに供給する、ディーゼル燃料圧送のためのポンピング群を含む)の始動を命令する前の期間である。上述したように、ポンピング群の始動前に電流をコイル6に予備供給するためのこの手順は、センサ34により測定された温度周囲温度が、液体状態からパラフィンへのディーゼル燃料の遷移の温度よりも低いときに、すなわち「冷間始動」(“cold starting”)と称される期間にわたって行われる。
【0048】
ポンプ及びエンジン全体を始動する前にコイル6に電流を供給することにより、コイル6がジュール効果により加熱され、そして、この熱の少なくとも一部を、フィルタ30(コイル6に対して、弁体17のフランジ18を超えて配置されている)に伝達する。
【0049】
フィルタ30を加熱することにより、フィルタを詰まらせるパラフィン析出物のいずれもが溶解して、フィルタ30及び計量ユニット全体を通るディーゼル燃料の適切な流れを可能にする。
【0050】
コイル6への電流のこの予備供給の期間は、先験的に定められた固定的な時間であっても、或いは、幾つかの因子に依存して可変であってもよい。
【0051】
コイル6への電流の予備供給の継続時間に影響を与え得る因子は、センサ34により測定された温度と閾値との差、又は、エンジンの種類に関連する設計パラメータ、若しくはその他のパラメータであり得る。
【0052】
或いは、コイル6への電流の予備供給の継続時間は、先験的に定められるのではなく、電流の供給中に測定されたパラメータの、プロセスを最適化するための関数であってもよい。実際、フィルタ30及び/又はコイル6は、温度を測定するための対応するセンサ39、40に関連付けることができ、フィルタ及び/又はコイルが所定温度に達したときにのみコイル6への電流の予備供給が中断されるようにしてもよい。
【0053】
前記センサ39、40と制御ユニット31との接続は、
図2において参照番号38、39で示されており、配線又は無線データ伝送を含み得る。
【0054】
ユーザにより出された始動入力に対する始動の遅れは、コイル6をジュール効果により加熱するのに必要な数秒程度である。従って、始動の遅れによりもたらされる主要な利点が得られるならば、この遅れはユーザにとって許容可能と考えられるべきである。
【0055】
本明細書に記載した、本発明による内燃機関にディーゼル燃料を圧送するためのポンピング群のフィルタの目詰まり防止するための群に、添付の特許請求の範囲の保護範囲から逸脱せずに修正及び変更が行われ得ることが明らかである。
【符号の説明】
【0056】
1 フィルタ目詰まり防止群
2 計量ユニット
3 支持体
4 電磁ヘッド
5 制御弁
6 コイル
8 軸
13 閉鎖カップ
14 電気コネクタ
15 外側フランジ
16 ベアリング
17 弁体
18 中間外側フランジ
24 側方ドア、側方チャネル
29 弾性システム
30 フィルタ
31 制御ユニット
34、39、40 センサ