【実施例】
【0062】
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0063】
<実施例1>
温度20℃〜40℃に制御された無水クロム酸水溶液(無水クロム酸の濃度3g/L)に厚さ35μmの銅箔を浸漬し、電流密度15A/dm
2の条件で電解クロメート処理を行うことによって、厚さ35μmの銅箔の一方の面に厚さ1μmのクロメート皮膜(耐食層)を形成した。前記耐食層の有機物含有率は0質量%である。
【0064】
次に、銅箔におけるクロメート皮膜(耐食層)の上に、シランカップリング剤(3−アミノプロピルエトキシシラン)の1vol%水溶液を塗工した後、130℃で加熱乾燥させることによって、クロメート皮膜(耐食層)の上にSiアルコキシド加水分解物を含有してなる厚さ1μmの中間層を形成した。前記中間層の有機物含有率は50質量%である。
【0065】
次いで、前記中間層の表面に(得られた銅箔/耐食層/中間層における中間層側の表面に)、リン酸、ポリアクリル酸(アクリル系樹脂)、クロム(III)塩化合物、水、アルコールからなる化成処理液を塗布した後、180℃で乾燥を行って、Cr及びアクリル系樹脂を含有してなる厚さ1μmの化成皮膜(下地層)を形成した。この下地層のクロム付着量は3mg/m
2であった。前記下地層の有機物含有率は90質量%である。
【0066】
また、前記銅箔の他方の面に、ポリエステル−ウレタン系接着剤を塗布した。この塗布の時に、銅箔の他方の面の中央部をマスキング(マスキングテープ貼付)により接着剤未塗布領域とした。しかる後、このポリエステル−ウレタン系接着剤塗布面に厚さ15μmの二軸延伸ポリアミドフィルム(耐熱性樹脂層;外側層)を貼り合わせた。
【0067】
次に、前記下地層の表面に(得られた銅箔/耐食層/中間層/下地層における下地層側の表面に)、さらに2液硬化型のマレイン酸変性ポリプロピレン接着剤(硬化剤が多官能イソシアネート)を塗布した。この塗布の時に、下地層の表面の中央部をマスキング(マスキングテープ貼付)により接着剤未塗布領域とした。しかる後、このマレイン酸変性ポリプロピレン接着剤塗布面に厚さ30μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(熱可塑性樹脂層;内側層)を重ね合わせて、ゴムニップロールと、100℃に加熱されたラミネートロールとの間に挟み込んで圧着することによりドライラミネートし、しかる後、40℃で5日間エージングする(加熱する)ことによって、積層体を得た。
【0068】
次に、前記積層体における二軸延伸ポリアミドフィルム(耐熱性樹脂層;外側層)の接着剤未塗布領域の周縁にレーザーを照射して二軸延伸ポリアミドフィルムを切断し、接着剤未塗布領域にある二軸延伸ポリアミドフィルムを除去して、正極端子部9を形成した。また、前記積層体における無延伸ポリプロピレンフィルム(熱可塑性樹脂層;内側層)の接着剤未塗布領域の周縁にレーザーを照射して無延伸ポリプロピレンフィルムを切断し、接着剤未塗布領域にある無延伸ポリプロピレンフィルムを除去して、正極導電部56を形成して、
図1に示す構成の厚さ86μmの蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0069】
<実施例2>
無水クロム酸水溶液(無水クロム酸の濃度3g/L)に代えて、該無水クロム酸水溶液(無水クロム酸の濃度3g/L)に分散性向上のためのEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を添加してなる水溶液を用いて化成処理を行うことによって、耐食層が、有機物含有率5質量%である厚さ1μmのクロメート皮膜からなる構成にすると共に、化成処理液として、実施例1で使用した化成処理液にさらにEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を1質量%含有せしめた液を使用した以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す構成の厚さ86μmの蓄電デバイス用外装材1を得た。得られた蓄電デバイス用外装材において下地層の有機物含有率は95質量%である。
【0070】
<実施例3>
厚さ35μmの銅箔に代えて、厚さ35μmの鉄箔(Fe箔)を用いると共に、無水クロム酸水溶液に代えて、濃度5vol%のケイ酸ナトリウム水溶液を用いてシリケート処理を行うことによって、耐食層が、有機物含有率0質量%である厚さ0.1μmのシリケート皮膜からなる構成にした以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す構成の厚さ85μmの蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0071】
<実施例4>
無水クロム酸水溶液に代えて、濃度5vol%のチタニアコロイド分散液を用いて湿式法による成膜処理を行うことによって、耐食層が、有機物含有率0質量%である厚さ2μmのチタネート皮膜からなる構成にした以外は、実施例2と同様にして、
図1に示す構成の厚さ87μmの蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0072】
<実施例5>
無水クロム酸水溶液に代えて、濃度5vol%のジルコニアコロイド分散液を用いて湿式法による成膜処理を行うことによって、耐食層が、有機物含有率0質量%である厚さ2μmのジルコネート皮膜からなる構成にした以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す構成の厚さ87μmの蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0073】
<実施例6>
厚さ35μmの銅箔に代えて、厚さ35μmのSUS箔(ステンレス箔)を用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す構成の厚さ86μmの蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0074】
<実施例7>
厚さ35μmの銅箔に代えて、厚さ35μmの鋼箔(Fe箔)の両面にそれぞれZnメッキ層(各1μm)が形成されたものを用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す構成の厚さ88μmの蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0075】
<実施例8>
リン酸、ポリアクリル酸(アクリル系樹脂)、クロム(III)塩化合物、水、アルコールからなる化成処理液に代えて、リン酸、ポリアクリル酸(アクリル系樹脂)、酸化セリウム、水、アルコールからなる化成処理液を用いることによって、下地層が、有機物含有率90質量%である厚さ1μmの下地層(Ceおよびアクリル系樹脂を含有する下地層)からなる構成とした以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す構成の厚さ86μmの蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0076】
<実施例9>
シランカップリング剤に代えて、チタネートカップリング剤(チタンラクテート)を使用した以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す構成の厚さ86μmの蓄電デバイス用外装材1を得た。得られた蓄電デバイス用外装材において中間層の有機物含有率は65質量%である。
【0077】
<実施例10>
無水クロム酸水溶液(無水クロム酸の濃度3g/L)に代えて、該無水クロム酸水溶液(無水クロム酸の濃度3g/L)に分散性向上のためのEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を添加してなる水溶液を用いて化成処理を行うことによって、耐食層が、有機物含有率5質量%である厚さ1μmのクロメート皮膜からなる構成にすると共に、シランカップリング剤に代えて、ジルコネートカップリング剤(ジルコニウムモノアセチルアセテート)を使用した以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す構成の厚さ86μmの蓄電デバイス用外装材1を得た。得られた蓄電デバイス用外装材において中間層の有機物含有率は70質量%である。
【0078】
<実施例11>
シランカップリング剤に代えて、アルミネートカップリング剤であるアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)を使用した以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す構成の厚さ86μmの蓄電デバイス用外装材1を得た。得られた蓄電デバイス用外装材において中間層の有機物含有率は60質量%である。
【0079】
<実施例12>
リン酸、ポリアクリル酸(アクリル系樹脂)、クロム(III)塩化合物、水、アルコールからなる化成処理液に代えて、リン酸、ポリアクリル酸(アクリル系樹脂)、シリカ、水、アルコールからなる化成処理液を用いることによって、下地層が、有機物含有率90質量%である厚さ1μmの下地層(Siおよびアクリル系樹脂を含有する下地層)からなる構成とした以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す構成の厚さ86μmの蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0080】
<実施例13>
厚さ35μmの銅箔に代えて、厚さ30μmのアルミニウム箔(Al箔)を用いた以外は、実施例3と同様にして、
図1に示す構成の厚さ80μmの蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0081】
<実施例14>
厚さ35μmの銅箔に代えて、厚さ35μmの銀箔(Ag箔)を用いた以外は、実施例3と同様にして、
図1に示す構成の厚さ85μmの蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0082】
<実施例15>
実施例1で得られた銅箔/耐食層における耐食層側の表面に、リン酸、ポリアクリル酸(アクリル系樹脂)、クロム(III)塩化合物、水、アルコールからなる化成処理液を塗布した後、180℃で乾燥を行って、Cr及びアクリル系樹脂を含有してなる化成皮膜(下地層)を形成した。この下地層のクロム付着量は3mg/m
2であった。
【0083】
次に、前記下地層の表面に(得られた銅箔/耐食層/下地層における下地層側の表面に)、2液硬化型のマレイン酸変性ポリプロピレン接着剤(硬化剤が多官能イソシアネート)を介して、厚さ30μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(内側層)を重ね合わせて、ゴムニップロールと、100℃に加熱されたラミネートロールとの間に挟み込んで圧着することによりドライラミネートし、しかる後、40℃で5日間エージングする(加熱する)ことによって、積層体を得た。
【0084】
次に、前記積層体における二軸延伸ポリアミドフィルム(耐熱性樹脂層;外側層)の接着剤未塗布領域の周縁にレーザーを照射して二軸延伸ポリアミドフィルムを切断し、接着剤未塗布領域にある二軸延伸ポリアミドフィルムを除去して、正極端子部9を形成した。また、前記積層体における無延伸ポリプロピレンフィルム(熱可塑性樹脂層;内側層)の接着剤未塗布領域の周縁にレーザーを照射して無延伸ポリプロピレンフィルムを切断し、接着剤未塗布領域にある無延伸ポリプロピレンフィルムを除去して、正極導電部56を形成して、厚さ85μmの蓄電デバイス用外装材を得た。即ち、実施例1と比較して、中間層を設けていない構成の蓄電デバイス用外装材を得た。
【0085】
<実施例16>
無水クロム酸水溶液に代えて、濃度5vol%のケイ酸ナトリウム水溶液を用いてシリケート処理を行うことによって、耐食層が、有機物含有率0質量%である厚さ0.1μmのシリケート皮膜からなる構成にした以外は、実施例15と同様にして、厚さ84μmの蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0086】
<実施例17>
リン酸、ポリアクリル酸(アクリル系樹脂)、クロム(III)塩化合物、水、アルコールからなる化成処理液に代えて、リン酸、ポリアクリル酸(アクリル系樹脂)、シリカ、水、アルコールからなる化成処理液を用いることによって、下地層が、有機物含有率90質量%である厚さ1μmの下地層(Siおよびアクリル系樹脂を含有する下地層)からなる構成とした以外は、実施例15と同様にして、厚さ85μmの蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0087】
<実施例18>
無水クロム酸水溶液に代えて、濃度5vol%のケイ酸ナトリウム水溶液を用いてシリケート処理を行うことによって、耐食層が、有機物含有率0質量%である厚さ0.1μmのシリケート皮膜からなる構成にすると共に、リン酸、ポリアクリル酸(アクリル系樹脂)、クロム(III)塩化合物、水、アルコールからなる化成処理液に代えて、リン酸、ポリアクリル酸(アクリル系樹脂)、シリカ、水、アルコールからなる化成処理液を用いることによって、下地層が、有機物含有率90質量%である厚さ1μmの下地層(Siおよびアクリル系樹脂を含有する下地層)からなる構成とした以外は、実施例15と同様にして、厚さ84μmの蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0088】
<比較例1>
厚さ35μmの銅箔の一方の面に、2液硬化型のマレイン酸変性ポリプロピレン接着剤(硬化剤が多官能イソシアネート)を介して、厚さ30μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(内側層)を重ね合わせて、ゴムニップロールと、100℃に加熱されたラミネートロールとの間に挟み込んで圧着することによりドライラミネートし、しかる後、40℃で5日間エージングする(加熱する)ことによって、積層体を得た。
【0089】
次に、前記積層体における二軸延伸ポリアミドフィルム(耐熱性樹脂層;外側層)の接着剤未塗布領域の周縁にレーザーを照射して二軸延伸ポリアミドフィルムを切断し、接着剤未塗布領域にある二軸延伸ポリアミドフィルムを除去して、正極端子部を形成した。また、前記積層体における無延伸ポリプロピレンフィルム(熱可塑性樹脂層;内側層)の接着剤未塗布領域の周縁にレーザーを照射して無延伸ポリプロピレンフィルムを切断し、接着剤未塗布領域にある無延伸ポリプロピレンフィルムを除去して、正極導電部を形成して、厚さ83μmの蓄電デバイス用外装材を得た。即ち、実施例1と比較して、耐食層、中間層および下地層を設けていない構成の蓄電デバイス用外装材を得た。
【0090】
<比較例2>
厚さ35μmの銅箔の一方の面に、リン酸、ポリアクリル酸(アクリル系樹脂)、クロム(III)塩化合物、水、アルコールからなる化成処理液を塗布した後、180℃で乾燥を行って、Cr及びアクリル系樹脂を含有してなる化成皮膜(下地層)を形成した。この下地層のクロム付着量は3mg/m
2であった。次に、前記下地層の表面に(得られた銅箔/下地層における下地層側の表面に)、2液硬化型のマレイン酸変性ポリプロピレン接着剤(硬化剤が多官能イソシアネート)を介して、厚さ30μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(内側層)を重ね合わせて、ゴムニップロールと、100℃に加熱されたラミネートロールとの間に挟み込んで圧着することによりドライラミネートし、しかる後、40℃で5日間エージングする(加熱する)ことによって、積層体を得た。
【0091】
次に、前記積層体における二軸延伸ポリアミドフィルム(耐熱性樹脂層;外側層)の接着剤未塗布領域の周縁にレーザーを照射して二軸延伸ポリアミドフィルムを切断し、接着剤未塗布領域にある二軸延伸ポリアミドフィルムを除去して、正極端子部を形成した。また、前記積層体における無延伸ポリプロピレンフィルム(熱可塑性樹脂層;内側層)の接着剤未塗布領域の周縁にレーザーを照射して無延伸ポリプロピレンフィルムを切断し、接着剤未塗布領域にある無延伸ポリプロピレンフィルムを除去して、正極導電部を形成して、厚さ84μmの蓄電デバイス用外装材を得た。即ち、実施例1と比較して、耐食層および中間層を設けていない構成の蓄電デバイス用外装材を得た。
【0092】
<比較例3>
温度20℃〜40℃に制御された無水クロム酸水溶液(無水クロム酸の濃度3g/L)に厚さ35μmの銅箔を浸漬し、電流密度15A/dm
2の条件で電解クロメート処理を行うことによって、厚さ35μmの銅箔の一方の面に厚さ1μmのクロメート皮膜(耐食層)を形成した。
【0093】
次に、銅箔におけるクロメート皮膜(耐食層)の上に、2液硬化型のマレイン酸変性ポリプロピレン接着剤(硬化剤が多官能イソシアネート)を介して、厚さ30μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(内側層)を重ね合わせて、ゴムニップロールと、100℃に加熱されたラミネートロールとの間に挟み込んで圧着することによりドライラミネートし、しかる後、40℃で5日間エージングする(加熱する)ことによって、積層体を得た。
【0094】
次に、前記積層体における二軸延伸ポリアミドフィルム(耐熱性樹脂層;外側層)の接着剤未塗布領域の周縁にレーザーを照射して二軸延伸ポリアミドフィルムを切断し、接着剤未塗布領域にある二軸延伸ポリアミドフィルムを除去して、正極端子部を形成した。また、前記積層体における無延伸ポリプロピレンフィルム(熱可塑性樹脂層;内側層)の接着剤未塗布領域の周縁にレーザーを照射して無延伸ポリプロピレンフィルムを切断し、接着剤未塗布領域にある無延伸ポリプロピレンフィルムを除去して、正極導電部を形成して、厚さ84μmの蓄電デバイス用外装材を得た。即ち、実施例1と比較して、中間層および下地層を設けていない構成の蓄電デバイス用外装材を得た。
【0095】
<比較例4>
実施例1で得られた銅箔/耐食層/中間層における中間層側の表面に、2液硬化型のマレイン酸変性ポリプロピレン接着剤(硬化剤が多官能イソシアネート)を介して、厚さ30μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(内側層)を重ね合わせて、ゴムニップロールと、100℃に加熱されたラミネートロールとの間に挟み込んで圧着することによりドライラミネートし、しかる後、40℃で5日間エージングする(加熱する)ことによって、積層体を得た。
【0096】
次に、前記積層体における二軸延伸ポリアミドフィルム(耐熱性樹脂層;外側層)の接着剤未塗布領域の周縁にレーザーを照射して二軸延伸ポリアミドフィルムを切断し、接着剤未塗布領域にある二軸延伸ポリアミドフィルムを除去して、正極端子部を形成した。また、前記積層体における無延伸ポリプロピレンフィルム(熱可塑性樹脂層;内側層)の接着剤未塗布領域の周縁にレーザーを照射して無延伸ポリプロピレンフィルムを切断し、接着剤未塗布領域にある無延伸ポリプロピレンフィルムを除去して、正極導電部を形成して、厚さ85μmの蓄電デバイス用外装材を得た。即ち、実施例1と比較して、下地層を設けていない構成の蓄電デバイス用外装材を得た。
【0097】
<比較例5>
厚さ35μmの銅箔の一方の面に、シランカップリング剤(3−アミノプロピルエトキシシラン)の1vol%水溶液を塗工した後、130℃で加熱乾燥させることによって、銅箔の一方の面に、Siアルコキシド加水分解物を含有してなる厚さ1μmの中間層を形成した。
【0098】
次いで、前記中間層の表面に(得られた銅箔/中間層における中間層側の表面に)、リン酸、ポリアクリル酸(アクリル系樹脂)、クロム(III)塩化合物、水、アルコールからなる化成処理液を塗布した後、180℃で乾燥を行って、Cr及びアクリル系樹脂を含有してなる化成皮膜(下地層)を形成した。この下地層のクロム付着量は3mg/m
2であった。
【0099】
次に、前記下地層の表面に(得られた銅箔/中間層/下地層における下地層側の表面に)、2液硬化型のマレイン酸変性ポリプロピレン接着剤(硬化剤が多官能イソシアネート)を介して、厚さ30μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(内側層)を重ね合わせて、ゴムニップロールと、100℃に加熱されたラミネートロールとの間に挟み込んで圧着することによりドライラミネートし、しかる後、40℃で5日間エージングする(加熱する)ことによって、積層体を得た。
【0100】
次に、前記積層体における二軸延伸ポリアミドフィルム(耐熱性樹脂層;外側層)の接着剤未塗布領域の周縁にレーザーを照射して二軸延伸ポリアミドフィルムを切断し、接着剤未塗布領域にある二軸延伸ポリアミドフィルムを除去して、正極端子部を形成した。また、前記積層体における無延伸ポリプロピレンフィルム(熱可塑性樹脂層;内側層)の接着剤未塗布領域の周縁にレーザーを照射して無延伸ポリプロピレンフィルムを切断し、接着剤未塗布領域にある無延伸ポリプロピレンフィルムを除去して、正極導電部を形成して、厚さ85μmの蓄電デバイス用外装材を得た。即ち、実施例1と比較して、耐食層を設けていない構成の蓄電デバイス用外装材を得た。
【0101】
【表1】
【0102】
【表2】
【0103】
【表3】
【0104】
上記のようにして得られた各蓄電デバイス用外装材に対して下記評価法に基づいて性能評価を行った。その結果を表1〜3に示す。
【0105】
<耐食性評価法>
各実施例、比較例ごとにそれぞれ蓄電デバイス用外装材から長さ100mm×幅15mmの試験片を切り出し、この試験片の長さ方向の一端部を剥離させた状態で試験片を電解液に浸漬してこの電解液暴露状態にて85℃のオーブン内に4時間静置した。なお、電解液としては、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)が等量体積比で配合された混合溶媒に、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF
6)が濃度1モル/Lで溶解された電解液を用いた。
【0106】
4時間経過後にオーブン内から試験片を取り出し、取り出した試験片を水洗してから、試験片の前記一端部の金属箔を肉眼で観察して、変色の有無を調べ、変色があったものを「×」とし、変色がなかったものを「○」(合格)とした。
【0107】
<抵抗値測定法>
日置電機社製(HIOKI製)「ミリオームハイテスター3540」を用いて蓄電デバイス用外装材の正極端子部9と正極導電部56との間で抵抗値(mΩ)を測定した。抵抗値100mΩ以下を合格とし、抵抗値が100mΩを超えるものを不合格とした。
【0108】
<電解液浸漬後の剥離強度測定法>
各実施例、比較例ごとにそれぞれ蓄電デバイス用外装材から長さ100mm×幅15mmの試験片を切り出し、この試験片の長さ方向の一端部に剥離強度測定用の掴みしろを設けた状態で前記試験片を電解液に浸漬してこの電解液暴露状態にて85℃のオーブン内に4時間静置した。なお、電解液としては、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)が等量体積比で配合された混合溶媒に、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF
6)が濃度1モル/Lで溶解された電解液を用いた。
【0109】
4時間経過後にオーブン内から試験片を取り出し、試験片を水洗した後、25℃環境下の恒温室に24時間静置した。しかる後、前記恒温室内にて試験片を金属箔層と内側層(ポリプロピレンフィルム)の界面で剥離させてその剥離強度を測定した。この時、引張速度を150mm/分に設定して、180度剥離で剥離強度(N/15mm幅)を測定した。3(N/15mm幅)以上を合格とし、3(N/15mm幅)未満を不合格とした。
【0110】
<総合判定>
耐食性が「○」(合格)であり、耐電解液性が合格であり、抵抗値が小さくて十分に通電できていたものを総合判定「○」とし、耐食性、耐電解液性、小抵抗値(十分な通電性)のいずれかが不合格であったものを総合判定「×」とした。
【0111】
表1〜3から明らかなように、本発明に係る実施例1〜18の蓄電デバイス用外装材は、端子部と導電部との間は低抵抗でありながら、電解液に晒されても変色がなくて(腐食は認められず)耐食性に優れていると共に、電解液浸漬後の剥離強度(層間の接着力)も保持できているため、端子部と導電部との間にタブリードを用いなくても通電が十分に可能である。
【0112】
これに対し、表3から明らかなように、比較例1〜5では、電解液浸漬後の剥離強度は不十分であった。また、比較例1、2、5では、耐食性も良好でなかった。