(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
[診断用周波数決定システム]
図1は、本実施形態における診断用周波数決定システムの構成例を示している。本実施形態における診断用周波数決定システムは、交流インピーダンス法により蓄電池(二次電池)の劣化(蓄電池の状態の一例)を検出する劣化診断を行うにあたって用いる単一の周波数を決定する(特定する)システムである。
本実施形態の診断用周波数決定システムは、蓄電池100と、インピーダンス測定装置200と、診断用周波数決定装置300とを備える。
【0017】
蓄電池100は、充電のために入力される電力を蓄積し、蓄積された電力を放電により出力することができる。本実施形態における蓄電池100は、例えばリチウムイオン電池である。同図の蓄電池100は、診断用周波数の決定のために交流インピーダンス法によるインピーダンス測定が行われる蓄電池であって、劣化診断対象の蓄電池と同じ型式のものである。
【0018】
インピーダンス測定装置200は、交流インピーダンス法により蓄電池100のインピーダンスを測定する装置である。インピーダンス測定装置200は、例えば、ポテンショ/ガルバノスタット、周波数応答解析装置(FRA:Frequency Response Analyzer)などを備えて構成することができる。
診断用周波数決定システムにおけるインピーダンス測定装置200は、一般の交流インピーダンス法によりインピーダンスを測定する。即ち、インピーダンス測定装置200は、一定の周波数範囲において複数の周波数(測定周波数)による交流電圧または交流電流の印加を蓄電池100に対して行いながら、周波数ごとに対応して蓄電池100のインピーダンスを測定可能なように構成される。
そして、本実施形態のインピーダンス測定装置200は、交流インピーダンス法により、所定の充放電サイクル数ごとに所定の複数の測定周波数ごとに対応する蓄電池のインピーダンスを測定する。
【0019】
診断用周波数決定装置300は、インピーダンス測定装置200により測定されたインピーダンスのうちで、劣化進行指標値に対する値の変化が特徴的なインピーダンスに対応する測定周波数を、蓄電池100の劣化診断のための交流インピーダンス法による測定において用いる診断用周波数として決定する。本実施形態において、インピーダンスの値の劣化進行指標値に対する特徴的な変化は、インピーダンスの値の変化が顕著であることをいう。より具体的には、或る測定周波数に対応するインピーダンスの値の変化の度合いが、他の測定周波数に対応するインピーダンスの値の変化の度合いに対して大きいことをいう。
ここで、劣化進行指標値とは、蓄電池の状態を示す値であり、蓄電池の所定の劣化要因のもとでの劣化の進行に対応する値である。蓄電池は、充電または放電が行われるように稼働されることで劣化し、充放電が行われないまま放置された保存の状態においても劣化する。従って、劣化進行指標値としては、充放電サイクル数、稼働時間(充電時間、放電時間)、保存時間(充放電動作を停止している時間)、積算充電量および積算放電量などを挙げることができる。本実施形態において、診断用周波数の決定にあたって採用する劣化進行指標値としては、例えば上記のうちのいずれであってもよい。以降の本実施形態の説明にあっては、劣化進行指標値が充放電サイクル数である場合を例に挙げる。
同図の診断用周波数決定装置300は、フィッティング部301、要素特定部302、周波数候補決定部303および診断用周波数選択部304を備えている。
【0020】
フィッティング部301は、インピーダンス測定装置200により測定されたインピーダンスを、蓄電池100に対応する等価回路にフィッティングさせる。
図2は、フィッティングに用いられる蓄電池100の等価回路の一例である。同図の等価回路は、入力端子から出力端子にかけて、インダクタンスL1と抵抗R5とによる並列回路、抵抗RS、抵抗R1とキャパシタンスC1の並列回路(CR回路)、抵抗R2とキャパシタンスC2の並列回路、抵抗R3とキャパシタンスC3の並列回路、抵抗R4とキャパシタンスC4の並列回路およびワールブルグインピーダンスWo1が順に接続される。
【0021】
説明を
図1に戻す。要素特定部302は、フィッティング部301によりフィッティングされた
図2の等価回路を形成する要素のうちで、劣化進行指標値(ここでは充放電サイクル数)に対する定数の変化が最も顕著な要素を特定する。本実施形態において、等価回路を形成する要素は、等価回路を形成する抵抗、インダクタンス、キャパシタンスなどの素子である。そのうえで、本実施形態の要素特定部302は、
図2の等価回路を形成する素子のうち抵抗を特定候補とし、充放電サイクル数に対する抵抗値(パラメータの一例)の変化が最も顕著な抵抗を特定する。
周波数候補決定部303は、要素特定部302により特定された要素(抵抗)を含む回路(RC回路)のカットオフ周波数に基づき測定周波数のうちから診断用周波数の候補を決定する。
診断用周波数選択部304は、周波数候補決定部303により決定された診断用周波数の候補ごとに対応して測定されたインピーダンスのうちで、充放電サイクル数に対する値の変化が顕著なインピーダンスに対応する診断用周波数の候補を、診断用周波数として選択(決定)する。
【0022】
続いて、
図3〜
図8を参照して、本実施形態における診断用周波数決定システムが診断用周波数の決定のために行う手順例について説明する。
まず、蓄電池100は、新品の状態から充放電を繰り返すように動作が行われる。例えば、蓄電池100は、充放電サイクル数が「0回」から「3000回」となるまで充放電が繰り返される。
【0023】
そのうえで、インピーダンス測定装置200は、所定の充放電サイクル数ごとにおいて、予め定められた複数の測定周波数ごとに対応する交流印加を行うことで、インピーダンスを測定する。ここで、複数の測定周波数は例えば0.01Hz〜100kHzの範囲において定めるこができる。
このような測定がインピーダンス測定装置200によって行われることで、所定の充放電サイクル数ごとに対応して、測定周波数ごとに測定されたインピーダンスが得られる。
【0024】
次に、フィッティング部301は、上記のようにインピーダンス測定装置200が測定して得られた、充放電サイクル数と測定周波数とに対応するインピーダンスを、
図2の等価回路における各素子の定数に変換するフィッティングを行う。フィッティングの処理については、例えばこれまでに知られている手法が採用されればよい。
【0025】
図3は、フィッティング部301によるフィッティングの結果の一具体例を示している。同図において、「cycle」は充放電サイクル数を示す。
同図に示されるように、フィッティング部301によるフィッティングの結果、
図2の等価回路に含まれる各素子(L1、R5、R1、C1、R2、C2、R3、C3、R4、C4、Wo1(Wo1−R、Wo1−T、Wo1−P)の定数が充放電サイクル数ごとに求められる。
なお、本実施形態におけるフィッティング部301によるフィッティングの手法(手順)については、上記の例に限定されない。例えば、フィッティングに用いられる等価回路は、
図2に示した以外の回路とされてよい。また、フィッティングにおいて等価回路の定数を求めるための演算に用いられる数式なども、
図3の結果が得られる以外のものが採用されてよい。
【0026】
同図においては、充放電サイクル数ごとに対応して測定された蓄電池の容量維持率(Capacity)が示されている。容量維持率は、充放電サイクル数が0回のときの最大放電可能容量に対して、以降の充放電サイクル数においてどの程度の最大放電可能容量が維持されているのかを示す。つまり、容量維持率は蓄電池100の劣化度を示す。容量維持率が低くなるほど劣化の度合いが大きい。容量維持率はSOH(State Of Health)とも呼ばれる。
【0027】
要素特定部302は、
図3のように求められた素子の定数のうち、例えば抵抗R1、R2、R3、R4を特定候補とし、これら特定候補のうちから、充放電サイクル数に対する抵抗値(定数)の変化が最も顕著な抵抗(以下、「反応抵抗」ともいう)を特定する。特定候補としては、キャパシタンスC1、C2、C3、C4なども含まれてよいが、ここでは、キャパシタンスよりは抵抗のほうに定数の変化が現れる度合いが高い場合に対応して、抵抗R1、R2、R3、R4を特定候補とした場合について説明する。
図4は、
図3に示される充放電サイクル数に応じた抵抗R1、R2、R3、R4の各抵抗値と劣化度とをグラフ化して示したものである。同図から理解されるように、充放電が行われていき充放電サイクル数が増加していくことに伴って、容量維持率は低下する傾向を示す。
【0028】
そして、同図によれば、抵抗R1、R2、R3、R4のうちで充放電サイクル数の増加、即ち蓄電池100の劣化に対して、抵抗値の変化が最も顕著なのは抵抗R4である。要素特定部302は、例えば、フィッティング結果を利用して、抵抗R1、R2、R3、R4ごとの充放電サイクル数に対する変化率を算出する。そして、算出された変化率が最も大きい抵抗を反応抵抗として選択する。このようにして、要素特定部302により、反応抵抗が特定される。そして、フィッティング結果が
図3に示したものである場合、要素特定部302は、反応抵抗が抵抗R4であると特定する。
【0029】
上記のように反応抵抗が抵抗R4であることが特定されると、周波数候補決定部303は、等価回路(
図2)において反応抵抗である抵抗R4とキャパシタンスC4との並列回路(CR回路)のカットオフ周波数f4を算出する。この場合のカットオフ周波数f4は、
f4=1/2π・R4・C4
により求められる。
【0030】
比較のために参考として、
図3には、抵抗R4とキャパシタンスC4とによるCR回路のカットオフ周波数f4とともに、抵抗R1とキャパシタンスC1とによるCR回路のカットオフ周波数f1、抵抗R2とキャパシタンスC2とによるCR回路のカットオフ周波数f2および抵抗R3とキャパシタンスC3とによるCR回路のカットオフ周波数f3が示されている。同図のカットオフ周波数f1〜f4を比較すると、充放電サイクル数に対する変化は、カットオフ周波数f4が最も小さい。この場合のカットオフ周波数は、充放電サイクル数の増加に対して、抵抗R4の定数が増加する一方で、キャパシタンスC4の定数が減少していることを示している。
同図に、参考として、抵抗R1とキャパシタンスC1とによるCR回路の時定数τ1、抵抗R2とキャパシタンスC2とによるCR回路の時定数τ2、抵抗R3とキャパシタンスC3とによるCR回路の時定数τ3および抵抗R4とキャパシタンスC4とによるCR回路の時定数τ4を示す。
【0031】
ここで、抵抗R4とキャパシタンスC4とによるCR回路のカットオフ周波数f4は、「0回」から「3000回」の充放電サイクル数に対して、0.6Hzから0.3Hzの範囲で安定しており、さらに1800回以降の充放電サイクル数に対応しては、ほぼ0.3Hzで安定している状態にある。これは、前述の0.01Hz〜100kHzの範囲における測定周波数ごとに測定されるインピーダンスのなかでも、0.3Hz近辺の測定周波数により測定されるインピーダンスが、蓄電池の劣化(容量維持率の低下)に対応して顕著な変化を示すことに対応する。即ち、この場合には、0.3Hz近辺の測定周波数が、診断周波数の候補となる。
【0032】
図5は、
図3のフィッティング結果のもととなったインピーダンスの測定結果のうちから特定の3つの条件ごとに応じた3つのインピーダンスについてのCole−Coleプロットを示している。Cole−Coleプロットにおいて横軸はインピーダンスの実数部Z’を示し、縦軸はインピーダンスの虚数部Z’’を示す。
図6は、
図5のCole−Coleプロットにおいて破線で示す領域Aに対応する部分を拡大したCole−Coleプロットである。この場合において診断周波数の候補となる0.3Hz近辺の測定周波数は、同図の領域Aに対応する部分のインピーダンスの測定結果に対応する。
参考として、
図7に、
図3のフィッティング結果のもととなったインピーダンスの測定結果のうちから
図5、
図6と同じ3つの条件ごとに応じたインピーダンスについてのボード線図を示す。同図における上のボード線図は、測定周波数に応じたインピーダンスの絶対値|Z|を示し、下のボード線図は、測定周波数に応じた位相差(θ)を示す。
【0033】
上記のような検討に基づいて周波数候補決定部303は、一例として以下のように診断用周波数の候補を決定することができる。周波数候補決定部303は、反応抵抗である抵抗R4を含むCR回路のカットオフ周波数f4を充放電サイクル数ごとに算出し、算出されたカットオフ周波数f4について、例えば正規分布の生成あるいは平均値の算出、最頻値の特定などの手法を用いて、1つの基準周波数を導出する。周波数候補決定部303は、導出された基準周波数を基準とする一定範囲に含まれる測定周波数を、診断用周波数の候補として決定する。
【0034】
診断用周波数選択部304は、上記のように診断用周波数の候補として決定された測定周波数ごとに対応するインピーダンスの間で充放電サイクルに応じた変化率を比較する。診断用周波数選択部304は、比較の結果、変化率が最も大きいと判定したインピーダンスに対応する1つの測定周波数を、診断用周波数として決定する。
【0035】
図8は、1Hzから0.1Hzの範囲の測定周波数が診断用周波数の候補として決定された場合のもとで、候補の測定周波数ごとに測定されたインピーダンスの実数部の充放電サイクル数に応じた変化を示している。
図9は、
図8と同じ1Hzから0.1Hzの範囲の測定周波数が診断用周波数の候補として決定された場合のもとで、候補の測定周波数ごとに測定されたインピーダンスの虚数部の充放電サイクル数に応じた変化を示している。
図10は、
図8と同じ1Hzから0.1Hzの範囲の測定周波数が診断用周波数の候補として決定された場合のもとで、候補の測定周波数ごとに測定されたインピーダンスの絶対値の充放電サイクル数に応じた変化を示している。
図8、
図9、
図10によれば、
図8のインピーダンスの実数部の特性と、
図10のインピーダンスの絶対値の特性が近似しており、候補の測定周波数が低くなるにつれて、充放電サイクル数に応じた変化が大きくなっていることが示されている。これに対して、
図9に示されるインピーダンスの虚数部については、
図8、
図10のような特性が表れていない。そこで、この場合には、
図8または
図10の特性に基づいて、候補の測定周波数のうちで充放電サイクル数に対する変化が最も大きいインピーダンスに対応する測定周波数は0.1Hzであることが特定される。従って、この場合には、0.1Hzを診断用周波数として選択できる。
【0036】
このような検討に基づき、診断用周波数選択部304は、一例として、以下のように診断用周波数を選択する処理を行うことができる。
まず、蓄電池100に対応して診断用周波数選択に用いるインピーダンスの成分(有効インピーダンス成分)として実数部、虚数部および絶対値のうちからいずれを採用するのかについて予め定められる。
図8〜
図10の場合であれば、有効インピーダンス成分として、インピーダンスの実数部と絶対値のいずれかが採用されるものとして定められる。有効インピーダンス成分は、複数が採用されてよい。
【0037】
そのうえで、診断用周波数選択部304は、周波数候補決定部303により診断用周波数の候補として決定された周波数の範囲における測定周波数ごとに有効インピーダンス成分の充放電サイクル数に対する変化率を算出する。診断用周波数選択部304は、算出された変化率が最も高い有効インピーダンス成分に対応する測定周波数を診断用周波数として選択することができる。
【0038】
図11のフローチャートは、本実施形態の診断用周波数決定システムが、蓄電池100に対応する診断用周波数の決定のために実行する処理手順例を示している。
まず、インピーダンス測定装置200は、予め定められた所定の充放電サイクル数ごとにおいて、予め定められた周波数範囲(例えば、0.01Hz〜100kHz)において設定される測定周波数を印加してインピーダンスを測定する(ステップS101)。
ステップS101によって、充放電サイクル数と測定周波数との組みあわせごとに応じたインピーダンスが測定される。このように測定されたインピーダンスは、診断用周波数決定装置300に入力される。
【0039】
診断用周波数決定装置300において、フィッティング部301は、充放電サイクル数と測定周波数との組みあわせごとに応じたインピーダンスを、
図2に示した等価回路にフィッティングさせる処理を行う(ステップS102)。この結果、
図3のように、等価回路の素子ごとに、充放電サイクル数ごとに応じた定数が求められる。
【0040】
次に、要素特定部302は、等価回路における抵抗R1、R2、R3、R4のうちで、ステップS102のフィッティングにより求められた抵抗値の充放電サイクル数に対する変化率が最も大きい抵抗を応答抵抗として特定する(ステップS103)。
【0041】
次に、周波数候補決定部303は、診断用周波数の候補を決定する(ステップS104)。このため、周波数候補決定部303は、ステップS103により特定された応答抵抗を含むRC回路のカットオフ周波数を算出し、算出したカットオフ周波数を基準周波数とする。周波数候補決定部303は、基準周波数を基準とする一定範囲に含まれる測定周波数を診断用周波数の候補として決定する。
【0042】
次に、診断用周波数選択部304は、ステップS104により決定された候補の測定周波数のうちから診断用周波数を決定する(ステップS105)。このため、診断用周波数選択部304は、候補の測定周波数ごとに対応して測定されたインピーダンスの充放電サイクル数に応じた変化率を求める。診断用周波数選択部304は、求められた変化率が最も大きい測定周波数を、診断用周波数として選択する。
【0043】
以上のように本実施形態の診断用周波数決定システムは、蓄電池のインピーダンスの測定結果をフィッティングした結果から、等価回路において抵抗値の変化が最も大きい抵抗を特定する。そして、診断用周波数決定システムは、特定された抵抗を含むCR回路のカットオフ周波数から、診断用周波数の候補を決定する。つまり、測定周波数の範囲において、診断用周波数が含まれる周波数の範囲の絞り込みが行われる。そのうえで、候補の測定周波数ごとのインピーダンスについての充放電サイクル数に応じた変化率を比較し、変化率が最も大きいインピーダンスに対応する測定周波数を、診断用周波数として決定する。
このようにして、本実施形態においては、交流インピーダンス法によってインピーダンスを測定して蓄電池の劣化を診断するにあたって、診断に有効とされる診断用周波数を的確に決定することができる。
さらに、本実施形態の診断用周波数決定システムは、診断用周波数の候補を決定することにより、測定周波数の範囲において、診断用周波数が含まれる周波数の範囲の絞り込みを行っている。これにより、診断用周波数の決定にあたっては、候補となる測定周波数のみに対応するインピーダンスの変化率を求めればよく、全ての測定周波数に対応するインピーダンスの変化率を求める必要は無い。これにより、診断用周波数の決定に要する時間の短縮や処理負荷の軽減が図られ、効率的に診断用周波数を決定することも可能になる。
【0044】
[診断機能を備える本実施形態の蓄電装置]
続いて、本実施形態における蓄電装置について説明する。本実施形態の蓄電装置は、例えばHEMS(Home Energy Management System)、TEMS(Town Energy Management System)、CEMS(Community Energy Management System)などの電力管理システムの環境において、家屋や施設などの電力管理対象の設備に備えられる。あるいは、本実施形態の蓄電装置は電気自動車やハイブリッドカーにおいて動力として備えられる。
本実施形態における蓄電装置は、蓄電池と、蓄電池劣化診断装置とを含んで構成される。蓄電装置において、蓄電池劣化診断装置は、所定のタイミングで蓄電池の劣化診断を行う。蓄電池劣化診断装置は、交流インピーダンス法により蓄電池のインピーダンスを測定し、測定されたインピーダンスに基づいて劣化診断を行う。ただし、本実施形態における蓄電池劣化診断装置は、一般の交流インピーダンス法のように測定周波数を変更しながら測定周波数ごとにインピーダンスを測定するのではなく、本実施形態の診断用周波数決定システムにより決定された診断用周波数によりインピーダンスを測定する。
前述の診断用周波数決定システムについての説明から理解されるように、診断用周波数は、一般の交流インピーダンス法において用いられる測定周波数のうち、蓄電池の劣化(充放電サイクル数)に応じて測定されるインピーダンスの変化が最も顕著な測定周波数である。
診断用周波数が測定周波数のうちで測定されるインピーダンスの変化が最も顕著であるということは、測定周波数の全てを用いなくとも、診断用周波数を単独で用いて測定されるインピーダンスを、同じ診断用周波数の条件で充放電サイクル数ごとに測定されたインピーダンスの測定結果と照合することで、十分に高い信頼性で劣化度の判定(即ち劣化診断)を行うことができることになる。
【0045】
図12を参照して、本実施形態の蓄電装置400の構成例について説明する。同図に示されるように、本実施形態の蓄電装置400は、蓄電池100Aと蓄電池劣化診断装置500とを備える。
蓄電池100Aは、商用電源や発電装置などから供給される電力を蓄積し、蓄積された電力を電力管理システムにおける他の負荷に供給するように設けられる。蓄電池100Aは、例えば
図1に示したように診断用周波数決定システムにより診断用周波数を決定するのに用いられた蓄電池100と同じ仕様のものである。
【0046】
蓄電池劣化診断装置500は、蓄電池100Aの劣化診断を行う。蓄電池劣化診断装置500は、インピーダンス測定部511、劣化診断部512、劣化指標情報記憶部513および診断結果出力部514を備える。
【0047】
インピーダンス測定部511は、本実施形態の診断用周波数決定システムにより決定された診断用周波数の信号を蓄電池に印加してインピーダンスを測定する。即ち、本実施形態におけるインピーダンス測定部511は、交流インピーダンス法により蓄電池のインピーダンスを測定するにあたり、一般の交流インピーダンス法のように複数の測定周波数ごとに応じた交流を印加して各測定周波数に応じたインピーダンスを測定するのではない。本実施形態のインピーダンス測定部511は、単一の診断用周波数のみによる交流を蓄電池100Aに対して印加してインピーダンスの測定を行う。
【0048】
劣化診断部512は、劣化指標情報とインピーダンス測定部511により測定されたインピーダンスとを照合することにより、蓄電池100Aについての劣化診断を行う。劣化指標情報は、蓄電池の劣化度に応じて診断用周波数のもとで測定されたインピーダンスを示す情報である。劣化診断部512は、劣化指標情報記憶部513から劣化指標情報を取得する。
【0049】
劣化指標情報記憶部513は、劣化指標情報を記憶する。
図13は、劣化指標情報記憶部513が記憶する劣化指標情報の内容例を示している。
劣化指標情報は、蓄電池100Aと同型の蓄電池(例えば、
図1の蓄電池100)について、所定のSOC(充電率:State Of Charge)ごとに対応して劣化指標情報記憶部513に記憶される。充電率とは、蓄電池の充電状態の1つであり、蓄電池に蓄積された電力についての満充電時の電力に対する比率である。同図では、100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%および0%の各SOCに対応する11個の劣化指標情報が記憶された例が示されている。1つの劣化指標情報は、対応のSOCの条件のもとで測定された容量維持率とインピーダンスとの対応を示す。前述のように、容量維持率が劣化度に対応する。
【0050】
同図の劣化指標情報においては、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%および10%のように10%間隔による10個の容量維持率ごとにインピーダンスが対応付けられた態様が示されている。インピーダンスが対応付けられる容量維持率の個数は10以外であってもよいし、各容量維持率の値としては10%間隔でなくともよい。
同図の劣化指標情報においては、容量維持率ごとに対応付けられたインピーダンスは絶対値(|Z|)とされている。容量維持率ごとに対応付けられるインピーダンスは、実数部であってもよいし虚数部であってもよい。絶対値、実数部および虚数部のうちで、いずれを容量維持率に対応させるのかについては、測定結果から、容量維持率に応じて最も顕著な変化を示すものを選択するようにされればよい。
また、蓄電池の状態を測定して得られた測定値として、上記のインピーダンスに代えて、あるいは、上記のインピーダンスに加えて、インピーダンスの虚数部と実数部との関係を示す値を測定値に含めてもよい。インピーダンスの虚数部と実数部との関係を示す値の具体例として、位相差ψ(tanψ=−(虚数部)/(実数部))を挙げることができる。
【0051】
例えば容量維持率とインピーダンスとの関係は、同じ診断用周波数により測定を行ったとしても、蓄電池のSOCに応じて異なる。そこで、本実施形態のように複数の異なるSOCの条件ごとに劣化指標情報を設けることで、劣化診断を実行するタイミングにおける蓄電池100Aの実際のSOCに対応させて高い精度で容量維持率(即ち、劣化度)を推定することが可能になる。
【0052】
説明を
図12に戻す。診断結果出力部514は、劣化診断部512により得られた診断結果を出力する。診断結果の出力の態様として、診断結果出力部514は、例えば、診断結果を、対応の電力管理装置に送信することができる。この場合、電力管理装置は、診断結果が示す劣化度に基づいて、蓄電池100Aが寿命に至ったか否かについて判定し、寿命に至ったことを判定した場合には、その旨を管理者に報知する。報知を受けた管理者は、例えば蓄電池100Aを新しい蓄電池に交換するなど、メンテナンスを適切に行うことができる。
【0053】
図14のフローチャートを参照して、本実施形態の蓄電装置400において蓄電池劣化診断装置500が実行する処理手順例について説明する。
劣化診断部512は、劣化診断の実行タイミングに至ると、蓄電池100Aが出力するステイタス情報から、現在のSOCの値を取得する(ステップS201)。
ここで、劣化診断の実行タイミングとしては、例えば、劣化診断に対応する一定期間が経過したタイミングとすることができる。劣化診断の実行タイミングは、本実施形態のように劣化進行指標値を充放電サイクル数とした場合には、所定回数の充放電を行ったタイミングとすることができる。
劣化診断の実行タイミングは、劣化進行指標値に応じて異なってよい。一例として、劣化進行指標値が稼働時間である場合には、稼働時間が一定時間を経過するごとに劣化診断が実行されるようにすればよい。また、積算充電量または積算放電量が劣化進行指標値である場合には、積算充電量または積算放電量が一定量増加するごとに劣化診断が実行されるようにすればよい。
【0054】
インピーダンス測定部511は、診断用周波数による交流を蓄電池100Aに印加することによってインピーダンスを測定する(ステップS202)。
【0055】
次に、劣化診断部512は、劣化診断を行う(ステップS203)。ステップS203による劣化診断は、蓄電池100Aの劣化度を示す容量維持率を取得することであり、例えば以下のように行われる。
劣化診断部512は、劣化指標情報記憶部513に記憶されるSOCごとの劣化指標情報のうち、ステップS201により取得されたSOCが対応する劣化指標情報を照合対象とする。ステップS201により取得されたSOCは、例えば
図13に例示したように劣化指標情報ごとに対応付けられた10%間隔のSOCと一致するとは限らない。そこで、劣化診断部512は、ステップS201により取得されたSOCが劣化指標情報のSOCと一致していない場合には、所定の規則(例えば四捨五入などの)に従って、劣化指標情報のSOCのいずれかに対応させる。
【0056】
そして、劣化診断部512は、照合対象とされた劣化指標情報と、ステップS202により測定されたインピーダンスとを照合し、ステップS202により測定されたインピーダンスに対応する容量維持率を取得する。この場合にも、ステップS202により測定されたインピーダンスは、劣化指標情報において示されるインピーダンスと必ずしも一致しない。そこで、劣化診断部512は、ステップS202により測定されたインピーダンスを、例えば劣化指標情報におけるインピーダンスのうちで最も近似するものに該当させる。劣化診断部512は、劣化指標情報において該当させたインピーダンスに対応付けられた容量維持率を取得する。このようにして劣化診断部512による劣化診断が行われる。
【0057】
診断結果出力部514は、ステップS203により得られた診断結果を出力する(ステップS204)。具体的に、診断結果出力部514は、例えばステップS203により取得された容量維持率を示す診断結果を、上位の電力管理装置に送信することができる。
【0058】
このように、本実施形態の蓄電装置400は、蓄電池100Aの劣化診断を行うことができる。ここで、本実施形態における蓄電池の劣化診断は、単一の診断用周波数のみを用いた交流インピーダンス法によって行われる。これにより、本実施形態におけるインピーダンス測定部511としては、広い周波数範囲における多数の周波数による交流の印加に対応させた構成とする必要が無く、単一の診断用周波数による交流を印加するようにされた簡易な構成とすればよい。このようにインピーダンス測定部511の構成が簡易化されることにより、インピーダンス測定部511を備える蓄電池劣化診断装置500について、小型化および低コスト化を図ることが可能になる。これにより、電力管理システムの管理対象となる需要家に対して、劣化診断機能付きの蓄電装置400として小型で安価なものを提供できることになる。
本実施形態の劣化診断にあたっては、単一の診断用周波数によりインピーダンスを測定すればよいことから、一般の交流インピーダンス法のように複数の測定周波数を用いる場合と比較して、インピーダンスの測定に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0059】
本実施形態においては、例えば単一のSOCに対応した劣化指標情報を設けてもよい。この場合には、例えば前述の診断期間または充放電回数などの診断実行の条件を満たしたうえで、さらにサイクル劣化指標情報が対応するSOCを基準とする一定範囲のSOCの状態となったときに行うようにすることができる。
インピーダンスと容量維持率との対応関係のSOCに応じた変化が少ないような場合、あるいは、高い精度が要求されない簡易な劣化診断でもよいような場合もある。このような場合であれば、蓄電池100AのSOCにかかわらず、単一のSOCに対応する劣化指標情報を使用して劣化診断を行うこともできる。
【0060】
<第2実施形態>
続いて、第2実施形態について説明する。先の実施形態における蓄電池劣化診断装置500は、劣化診断機能を有する蓄電装置400に備えられていた。これに対して、本実施形態においては、蓄電池劣化診断装置500は手持ちあるいは車載の状態で移動可能なように構成される。そして、診断作業者は、診断対象の蓄電池が設置された施設に赴いて、蓄電池に蓄電池劣化診断装置を接続して劣化診断を行うようにされる。
前述のように、本実施形態における蓄電池劣化診断装置は、単一の診断用周波数によりインピーダンスを測定するように構成すればよいことから、小型化を図ることができる。このため、本実施形態のように、蓄電池劣化診断装置について手持ちまたは車載により移動可能なように構成することも容易に実現できる。
【0061】
図15は、本実施形態における蓄電池劣化診断装置500Aの構成例を示している。同図において、
図12と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態における蓄電池劣化診断装置500Aは、制御部501、操作部502および出力デバイス部503を備える。
制御部501は、蓄電池劣化診断装置500Aにおける各種制御を実行する。制御部501は、インピーダンス測定部511、劣化診断部512、劣化指標情報記憶部513および診断結果出力部514を備える。即ち、制御部501は、
図12の蓄電池劣化診断装置500と同様の構成を有する。
【0062】
操作部502は、蓄電池劣化診断装置500Aに備えられる操作子や、蓄電池劣化診断装置500Aに接続される操作デバイスを一括して示す。
出力デバイス部503は、蓄電池劣化診断装置500Aに備えられる出力デバイスや蓄電池劣化診断装置500Aに接続される出力デバイスを一括して示す。出力デバイス部503としては、例えば表示部やプリンタなどを挙げることができる。
【0063】
本実施形態における蓄電池劣化診断装置500Aによる蓄電池100Aの劣化診断作業は、以下のように行われる。
診断作業者は、蓄電池劣化診断装置500Aを蓄電池100Aに接続したうえで、操作部502に対して診断開始を指示する操作を行う。診断開始の指示の操作に応じて、制御部501は、
図14のフローチャートに示したのと同様の手順により劣化診断に関する処理を実行する。
本実施形態において、ステップS204の診断結果の出力に際しては、診断結果出力部514は、前述のように上位の電力管理装置に対して診断結果を送信することができる。
ステップS204の診断結果の出力として、診断結果出力部514は、診断結果を出力デバイス部503により出力させることもできる。例えば、本実施形態においては、出力デバイス部503に含まれる表示部に診断結果を表示させたり、プリンタにより診断結果を印刷させたりすることができる。
このように診断結果を出力デバイス部503により出力させることによっては、診断作業者が現場において即座に蓄電池100Aの劣化状態を把握することが可能になる。これにより、例えば蓄電池100Aが劣化して寿命に達していることが判明したような場合には、診断作業者が蓄電池の交換の手配などの対応を迅速に行うことが可能になる。
【0064】
<変形例>
以下、本実施形態の変形例について説明する。
[第1変形例]
まず、第1変形例について説明する。
図16は、本変形例における診断用周波数決定システムの構成例を示している。同図において、
図1と同一部分については同一符号を付して説明を省略し、主として
図1との相違点について説明する。
同図の診断用周波数決定システムは、診断用周波数決定装置300Aと、表示部321と、操作部322とを備える。
診断用周波数決定装置300Aは、診断用周波数の決定に関する機能部として、プロット情報出力部311と受付部312とを含む。プロット情報出力部311は、インピーダンス測定装置200により測定されたインピーダンスを劣化の進行に対応させてプロットした、所定の周波数ごとのプロット情報を出力する。受付部312は、出力されたプロット情報ごとに対応する複数の周波数のうちからの診断用周波数の選択を受け付ける。
表示部321は、診断用周波数決定装置300Aが出力する画像を表示する。
操作部322は、診断用周波数決定装置300Aが備える操作子または入力デバイス、または診断用周波数決定装置300Aに接続される操作子または入力デバイスを一括して示す。
【0065】
一具体例として、プロット情報出力部311は、プロット情報として、測定周波数ごとに、劣化進行指標値である充放電サイクル数を横軸とし、インピーダンスを縦軸とする二次元平面上で、所定の充放電サイクル数の値ごとに測定されたインピーダンスをプロットしたグラフを生成する。プロット情報出力部311は、測定周波数ごとに対応する複数のグラフを所定の態様により表示部321に表示させる。
ユーザは、表示部321に表示された測定周波数ごとのグラフを見て、充放電サイクル数に対するインピーダンスの変化が最も顕著となっているグラフがいずれであるのかを判断する。そして、ユーザは、表示されたグラフごとに応じた複数の測定周波数のうちから、インピーダンスの変化が最も顕著であると判断したグラフに対応する測定周波数を選択する操作を操作部322に対して行う。
受付部312は、上記のように行われた操作による測定周波数の選択を受け付ける。受付部312は、選択された測定周波数を、診断用周波数として決定する。
【0066】
上記構成では、測定周波数の選択をユーザの判断に基づいて行うようにしている。例えば診断用周波数決定装置300Aが、測定周波数ごとに応じたプロット情報のうちから、所定のアルゴリズム(例えば機械学習など)によって、充放電サイクル数に対するインピーダンスの変化が最も顕著なプロット情報を選択し、選択されたプロット情報に対応する測定周波数を診断用周波数として決定するようにしてもよい。
[第2変形例]
続いて、第2変形例について説明する。
図17は、本変形例に対応する診断用周波数決定システムの構成例を示している。同図の診断用周波数決定システムは、記憶部600と演算部700とを備える。
記憶部600は、蓄電池の状態を測定して得られた測定値を記憶する。具体的には、記憶部600は、所定の充放電サイクル数(劣化進行指標値)ごとに対応して、予め定められた複数の測定周波数ごとに測定されたインピーダンスを測定値として記憶する。
演算部700は、記憶部600が記憶する測定値のうちで、蓄電池の劣化の進行に対する変化が特徴的な測定値に対応する周波数を、蓄電池の劣化の診断に用いる診断用周波数として決定する。演算部700の具体的な構成としては、例えば、
図1の診断用周波数決定装置300または
図16の診断用周波数決定装置300Aなどと同様でよい。
本変形例において、記憶部600が記憶する測定値としてのインピーダンスは、インピーダンス測定装置によって実際に測定されたものであってもよいし、あるいは、蓄電池についてのシミュレーションによって得られたものであってもよい。
[第3変形例]
これまでの説明においては、インピーダンス測定部511は、固定的に設定された単一の診断用周波数によりインピーダンスを測定する構成とされていた。これに対して、本実施形態のインピーダンス測定部511としては、例えば複数の型式の蓄電池ごとに対応して決定された複数の診断用周波数を切り替えてインピーダンスを測定するように構成することもできる。
このためには、例えば蓄電池劣化診断装置500、500Aにおいて蓄電池の型式と診断用周波数とを対応付けた診断用周波数テーブルを記憶させる。そして、インピーダンス測定部511は、診断対象の蓄電池100Aとの通信により蓄電池100Aの型式を認識し、認識した型式に対応付けられた診断用周波数によりインピーダンスを測定する。このような構成の場合、劣化指標情報記憶部513は、蓄電池100Aの型式ごとに対応する劣化指標情報を記憶し、劣化診断部512は、認識された型式に対応する劣化指標情報を利用して劣化診断を行う。
【0067】
[第4変形例]
これまでの説明においては、診断用周波数決定システムが1つの型式の蓄電池に対応して単一の診断用周波数を決定し、蓄電池劣化診断装置が決定された単一の診断用周波数を利用して劣化診断を行う場合について説明した。
しかし、本実施形態としては、例えば1つの型式の蓄電池に対応して複数の診断用周波数を決定し、決定された複数の診断用周波数を用いて蓄電池の劣化診断が行われるように構成されてもよい。
【0068】
[第5変形例]
本実施形態において、蓄電池の状態を測定して得られた測定値は、インピーダンス以外で、蓄電池に信号を印加することに応じて得られる蓄電池の特性であってもよい。上記実施形態における蓄電池のインピーダンスは、交流インピーダンス法における交流の信号の印加に対する応答特性として得られるものであるが、本実施形態のもとでの測定値は、信号の印加に応じて得られる何らかの特性であってもよい。例えば、一般的な交流インピーダンス法で用いられる交流正弦波の信号に代えて、矩形波による信号を印加した際に測定されるインピーダンス等が測定値とされてもよい。
【0069】
上述の診断用周波数決定装置300および蓄電池劣化診断装置500、500Aなどとしての機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述の診断用周波数決定装置300および蓄電池劣化診断装置500、500Aなどとしての処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD−ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部または外部に設けられた記録媒体も含まれる。配信サーバの記録媒体に記憶されるプログラムのコードは、端末装置で実行可能な形式のプログラムのコードと異なるものでもよい。すなわち、配信サーバからダウンロードされて端末装置で実行可能な形でインストールができるものであれば、配信サーバで記憶される形式は問わない。プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に端末装置で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。