(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記下面ノズルは、前記第1中間位置に位置している前記上面ノズルの上吐出口に向けて上方に液体を吐出する下吐出口と、前記第1中間位置に位置している前記上面ノズルの水平部に向けて上方に液体を吐出する少なくとも一つの副吐出口とを含み、
前記第1垂下部洗浄工程は、前記上面ノズルを前記第1位置と前記第2位置との間で水平に往復させながら、前記下吐出口と前記少なくとも一つの副吐出口とに洗浄液を吐出させる工程である、請求項1に記載の基板処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の基板処理装置は、薬液処理用ノズルの内部を洗浄するものであり、薬液処理用ノズルの外周面を洗浄するものではない。その証拠に、特許文献1の
図4には、下部ノズルから上方に吐出された純水が、薬液処理用ノズルの下面で開口する吐出口だけに供給されるように描かれている。特許文献1の段落0093には、薬液処理用ノズルを下部ノズルに対して水平方向に揺動させることが開示されているものの、薬液処理用ノズルが揺動しているときに、下部ノズルから吐出された純水が薬液処理用ノズルの外周面に供給されるか否かについは開示されていない。
【0005】
そこで、本発明の目的の一つは、基板の上面に向けて液体を吐出する上面ノズルの内部および外周面の両方を確実に洗浄することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
構成1は、基板保持位置に配置された基板を水平に保持しながら回転させる基板保持手段と、前記基板保持位置に向けて液体を上方に吐出する、第1洗浄ノズルとしての下面ノズルと、洗浄液を前記下面ノズルに供給することにより、前記下面ノズルに洗浄液を吐出させる第1洗浄液供給手段と、水平に延びる水平部と、前記水平部の先端から下方に曲がったコーナー部と、前記コーナー部から下方に延びる垂下部と、前記垂下部の下面で開口する上吐出口とを含み、前記基板保持位置に向けて前記上吐出口から下方に液体を吐出する上面ノズルと、少なくとも水平方向に前記上面ノズルを移動させるノズル移動手段と、前記第1洗浄液供給手段およびノズル移動手段を制御する制御装置とを備える基板処理装置である。
【0007】
前記制御装置は、前記基板保持手段が基板を保持していないときに、前記下面ノズルに洗浄液を吐出させることにより、前記下面ノズルから上方に延び
、前記垂下部の下面よりも高い液柱を形成する液柱形成工程と、前記液柱形成工程と並行して、前記上面ノズルの垂下部が前記液柱に接触しない第1位置と、前記上面ノズルの垂下部が前記液柱に接触しない第2位置と、の間で前記上面ノズルを水平に往復させることにより、
前記上面ノズルの垂下部が前記液柱に接触する第1中間位置を前記上面ノズルに通過させ
、前記上面ノズルが前記第1位置から前記第1中間位置に移動している期間の少なくとも一部において、前記洗浄液が前記上面ノズルの垂下部の一方の側部に供給され、前記上面ノズルが前記第2位置から前記第1中間位置に移動している期間の少なくとも一部において、前記洗浄液が前記上面ノズルの垂下部の他方の側部に供給されることで、前記一方の側部および前記他方の側部の両方を洗浄する第1垂下部洗浄工程とを実行する。
【0008】
この構成によれば、基板保持手段が基板を保持していない状態で、下面ノズルに洗浄液を上方に吐出させながら、上面ノズルを第1位置と第2位置との間で水平に往復させる。第1位置および第2位置の間の第1中間位置では、下面ノズルから吐出された洗浄液が、上面ノズルの上吐出口を介して上面ノズルの中に入る。上面ノズル内の薬液やその結晶は、洗浄液と共に上吐出口から下方に排出される。これにより、上面ノズルの内部が洗浄される。
【0009】
上面ノズルが第1位置から第1中間位置に移動しているときは、下面ノズルから上方に延びる洗浄液の柱に上面ノズルの垂下部の一方の側部が接触し、洗浄液が垂下部の一方の側部に供給される。同様に、上面ノズルが第2位置から第1中間位置に移動しているときは、下面ノズルから上方に延びる洗浄液の柱に上面ノズルの垂下部の他方の側部が接触し、洗浄液が垂下部の他方の側部に供給される。さらに、垂下部に供給された洗浄液は、垂下部に沿って下方に流れながら、垂下部に沿って上面ノズルの移動方向とは反対の方向に流れる。これにより、垂下部において液柱に接触しなかった部分にも洗浄液が供給される。
【0010】
このように、上面ノズルの内部だけでなく垂下部の外周面にも洗浄液が確実に供給されるので、上面ノズルの内部および外周面の両方を確実に洗浄することができる。これにより、上面ノズルに付着している薬液やその結晶の残留量を減らすことができ、基板の汚染を抑制または防止することができる。さらに、基板の下面に向けて液体を吐出する下面ノズルを上面ノズルを洗浄する第1洗浄ノズルとして利用するので、部品点数の増加を防止することができる。
【0011】
構成2は、前記液柱形成工程は、前記液柱の上端が前記上面ノズルの水平部の下縁よりも上方に位置するように、前記液柱を形成する工程である、
構成1に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、他の部材が液柱に接触していない状態で液柱の上端が上面ノズルの水平部の下縁よりも上方に位置するような高い液柱が形成される。液柱が高くなると、垂下部が液柱に接触したときに、垂下部において洗浄液が直接供給される部分の面積が増加する。それに伴って、垂下部において洗浄液が間接的に供給される部分、つまり、垂下部に沿って流れる洗浄液が通過する部分の面積も増加する。これにより、垂下部のより広い範囲を洗浄することができる。
【0012】
上面ノズルのコーナー部は、水平部の先端から垂下部の上端に延びる部分であり、上面ノズルを上から見ると、コーナー部の内側部分は隠れる。コーナー部の内側部分の一部は、水平部の下縁よりも下方に位置しており、液柱の上端よりも下方に位置している。下面ノズルから吐出された洗浄液は、上面ノズルが往復している間に、コーナー部の少なくとも一部に直接または間接的に供給される。これにより、上からでは洗浄液を供給し難いコーナー部の内側部分にも洗浄液を供給することができ、当該部分から薬液やその結晶を除去することができる。
【0013】
構成3は、前記基板処理装置は、水平に延びる水平部と、前記水平部の先端から下方に曲がったコーナー部と、前記コーナー部から下方に延びる垂下部と、前記垂下部の下面で開口する上吐出口とを含み、前記基板保持位置に向けて前記上吐出口から下方に液体を吐出する第2上面ノズルをさらに備え、前記ノズル移動手段は、前記上面ノズルと共に前記第2上面ノズルを少なくとも水平方向に移動させ、前記制御装置は、前記液柱形成工程と並行して、前記第2上面ノズルの垂下部が前記液柱に接触しない前記第2位置と、前記第2上面ノズルの垂下部が前記液柱に接触しない第3位置と、の間で前記第2上面ノズルを水平に往復させることにより、平面視で前記第2上面ノズルの上吐出口が前記液柱に重なる第2中間位置を前記第2上面ノズルに通過させる第2垂下部洗浄工程をさらに実行する、
構成1または2に記載の基板処理装置である。
【0014】
この構成によれば、下面ノズルが洗浄液を上方に吐出しているときに、ノズル移動手段が、上面ノズルと共に第2上面ノズルを移動させる。このとき、第2上面ノズルは、第2位置と第3位置との間を往復する。これにより、上面ノズルの垂下部だけでなく、第2上面ノズルの垂下部も洗浄される。したがって、別のノズル移動手段および下面ノズルを用いずに、両方の上面ノズルを洗浄することができる。
【0015】
構成4は、前記基板処理装置は、前記上面ノズルに供給される液体とは異なる種類の液体を前記第2上面ノズルに供給する第2処理液配管をさらに備え、前記第2垂下部洗浄工程は、前記第1垂下部洗浄工程における前記上面ノズルの往復回数よりも少ない回数で、前記第2上面ノズルを前記第2位置と前記第3位置との間で水平に往復させる工程である、
構成3に記載の基板処理装置である。
【0016】
この構成によれば、基板に向けて吐出される液体の種類に応じて往復回数が変更される。第1位置と第2位置との間での往復回数が、第2位置と第3位置との間での往復回数よりも多いので、上面ノズルの垂下部をより綺麗に洗浄することができる。さらに、第2上面ノズルの垂下部が上面ノズルの垂下部よりも汚れ難い場合は、第2位置と第3位置との間での往復回数が少なくても、第2上面ノズルの垂下部を十分に洗浄することができる。これにより、洗浄時間を短縮しながら、両方の上面ノズルを効果的に洗浄することができる。
【0017】
構成5は、前記基板処理装置は、平面視において前記上面ノズルが前記基板保持手段のまわりに配置される待機位置に位置する前記上面ノズルの水平部に向けて洗浄液を吐出する第2洗浄ノズルをさらに備え、前記制御装置は、前記待機位置に位置する前記上面ノズルの水平部に向けて前記第2洗浄ノズルに洗浄液を吐出させる水平部洗浄工程をさらに実行する、
構成1〜4のいずれか一つに記載の基板処理装置である。第2洗浄ノズルから吐出される洗浄液は、第1洗浄ノズルとしての下面ノズルから吐出される洗浄液と同種の液体であってもよいし、異なる種類の液体であってよい。待機位置は、後述する待機上位置または待機下位置であってもよいし、待機上位置および待機下位置の両方を含んでいてもよい。
【0018】
この構成によれば、待機位置に位置する上面ノズルの水平部に向けて第2洗浄ノズルから洗浄液が吐出される。これにより、洗浄液が水平部に供給され、水平部が洗浄される。したがって、上面ノズルに付着している薬液やその結晶の残留量をさらに減らすことができる。さらに、水平部は、上面ノズルが待機位置に位置しているときに洗浄されるので、薬液やその結晶を含む洗浄液が基板保持手段の上に落下し難い。したがって、基板保持手段の汚染を防止しながら、上面ノズルの水平部を洗浄することができる。
【0019】
構成6は、前記第2洗浄ノズルは、前記待機位置に位置する前記上面ノズルの水平部に向けて、水平面に対して斜めに傾いた方向に洗浄液を吐出する第2洗浄液吐出口を含み、前記水平部洗浄工程は、前記待機位置に位置する前記上面ノズルの水平部に向けて前記第2洗浄ノズルの第2洗浄液吐出口に洗浄液を吐出させながら、前記上面ノズルを水平方向または鉛直方向に移動させる工程である、
構成5に記載の基板処理装置である。
【0020】
この構成によれば、第2洗浄ノズルに洗浄液を斜めに吐出させながら、上面ノズルを水平方向または鉛直方向に移動させる。第2洗浄ノズルから吐出された洗浄液の少なくとも一部は、水平部に直接当たる。水平方向および鉛直方向のいずれであっても上面ノズルが移動すると、洗浄液が上面ノズルに直接当たる位置が変化する。したがって、洗浄液が直接当たる部分の面積を広げることができる。これにより、水平部を効果的に洗浄することができる。
【0021】
構成7は、前記基板処理装置は、前記第1中間位置に位置している前記上面ノズルの垂下部に向けて洗浄液を下方に吐出する第3洗浄ノズルをさらに備え、前記第1垂下部洗浄工程は、前記第1位置と前記第2位置との間で前記上面ノズルを水平に往復させながら、前記下面ノズルおよび第3洗浄ノズルに洗浄液を吐出させる工程である、
構成1〜6のいずれか一つに記載の基板処理装置である。第3洗浄ノズルから吐出される洗浄液は、第1洗浄ノズルとしての下面ノズルから吐出される洗浄液と同種の液体であってもよいし、異なる種類の液体であってよい。
【0022】
この構成によれば、第1洗浄ノズルとしての下面ノズルから上方に延びる洗浄液の柱と、第3洗浄ノズルから下方に延びる洗浄液の柱とが形成される。上面ノズルの垂下部は、上面ノズルが第1位置と第2位置との間を往復する間に、これらの液柱を通過する。これにより、垂下部の外周面に付着している薬液やその結晶の残留量をさらに減らすことができる。さらに、下面ノズルおよび第3洗浄ノズルが互いに異なる方向に洗浄液を吐出するので、上面ノズルのより広い範囲に洗浄液を供給することができる。これにより、上面ノズルの清浄度を高めることができる。
【0023】
請求項
1に記載の発明は、基板保持位置に配置された基板を水平に保持しながら回転させる基板保持手段と、前記基板保持位置に向けて液体を上方に吐出する、第1洗浄ノズルとしての下面ノズルと、洗浄液を前記下面ノズルに供給することにより、前記下面ノズルに洗浄液を吐出させる第1洗浄液供給手段と、水平に延びる水平部と、前記水平部の先端から下方に曲がったコーナー部と、前記コーナー部から下方に延びる垂下部と、前記垂下部の下面で開口する上吐出口とを含み、前記基板保持位置に向けて前記上吐出口から下方に液体を吐出する上面ノズルと、少なくとも水平方向に前記上面ノズルを移動させるノズル移動手段と、前記第1洗浄液供給手段およびノズル移動手段を制御する制御装置と、第1中間位置に位置している前記上面ノズルの垂下部に向けて洗浄液を下方に吐出する第3洗浄ノズルと、前記基板保持手段および上面ノズルよりも上方に配置されており、気体を下方に送るファンユニットと、前記基板保持手段および上面ノズルよりも上方でかつ前記ファンユニットよりも下方の位置に配置されており、前記ファンユニットによって送られた気体を下方に案内する複数の貫通孔が設けられた整流部材とを備える基板処理装置である。
前記制御装置は、前記基板保持手段が基板を保持していないときに、前記下面ノズルに洗浄液を吐出させることにより、前記下面ノズルから上方に延びる液柱を形成する液柱形成工程と、前記液柱形成工程と並行して、前記上面ノズルの垂下部が前記液柱に接触しない第1位置と、前記上面ノズルの垂下部が前記液柱に接触しない第2位置と、の間で前記上面ノズルを水平に往復させることにより、平面視で前記上面ノズルの上吐出口が前記液柱に重なる前記第1中間位置を前記上面ノズルに通過させると共に、前記第1位置と前記第2位置との間で前記上面ノズルを水平に往復させながら、前記下面ノズルおよび第3洗浄ノズルに洗浄液を吐出させる第1垂下部洗浄工程とを実行する。
前記第3洗浄ノズルは、前記整流部材の上方に位置する上方部と、前記整流部材に設けられた差込穴を介して前記上方部から前記整流部材の下方の位置まで延びる先端部と、前記先端部に設けられており前記整流部材の下方に位置する第3洗浄液吐出口とを含み、前記第1中間位置に位置している前記上面ノズルの垂下部に向けて前記第3洗浄液吐出口から洗浄液を下方に吐出する。
【0024】
この構成によれば、
前述の構成1および7が奏する効果に加えて、次の効果を奏する。具体的には、請求項1の構成によれば、ファンユニットによって下方に送られた気体が、ファンユニットと整流部材との間の空間に拡散し、整流部材の複数の貫通孔から下方に流れる。これにより、気体の下降流が形成され、上方へのミストおよび液滴の拡散が軽減される。したがって、ミストおよび液滴の付着による上面ノズルの汚染を軽減できる。さらに、第3洗浄ノズルの全体が、整流部材の下方に配置されているのではなく、第3洗浄ノズルの一部だけが、整流部材の下方に配置されているので、整流部材の下方の空間を効率的に利用できる。
【0025】
請求項
2に記載の発明は、前記下面ノズルは、前記第1中間位置に位置している前記上面ノズルの上吐出口に向けて上方に液体を吐出する下吐出口と、前記第1中間位置に位置している前記上面ノズルの水平部に向けて上方に液体を吐出する少なくとも一つの副吐出口とを含み、前記第1垂下部洗浄工程は、前記上面ノズルを前記第1位置と前記第2位置との間で水平に往復させながら、前記下吐出口と前記少なくとも一つの副吐出口とに洗浄液を吐出させる工程である、請求項
1に記載の基板処理装置である。
【0026】
この構成によれば、下面ノズルの下吐出口から上方に延びる洗浄液の柱と、下面ノズルの副吐出口から上方に延びる洗浄液の柱とが形成される。上面ノズルが第1位置と第2位置との間を往復する間に、上面ノズルの垂下部は、下面ノズルの下吐出口から上方に延びる液柱を水平に通過する。さらに、上面ノズルが第1位置と第2位置との間を往復する間に、上面ノズルの水平部が、下面ノズルの副吐出口から上方に延びる液柱を水平に通過する。これにより、上面ノズルの垂下部以外の部分も洗浄できる。
【0027】
請求項
3に記載の発明は、前記下面ノズルは、前記下吐出口と前記少なくとも一つの副吐出口とを含む複数の吐出口のそれぞれに洗浄液を供給する主流路をさらに含む、請求項
2に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、洗浄液が下面ノズルの主流路に供給されると、主流路内を流れる洗浄液が、下面ノズルの下吐出口および副吐出口に供給される。これにより、下吐出口および副吐出口が洗浄液を上方に吐出する。したがって、洗浄液を主流路に供給するだけで、下吐出口および副吐出口を含む全ての吐出口に洗浄液を吐出させることができる。
【0028】
構成11は、水平に延びる水平部と、前記水平部の先端から下方に曲がったコーナー部と、前記コーナー部から下方に延びる垂下部と、前記垂下部の下面で開口する上吐出口とを含み、基板保持位置に配置された基板を水平に保持しながら回転させる基板保持手段に保持されている基板の上面に向けて前記上吐出口から下方に液体を吐出する上面ノズルを洗浄するノズル洗浄方法である。
【0029】
前記ノズル洗浄方法は、前記基板保持位置に向けて液体を上方に吐出する下面ノズルに洗浄液を吐出させることにより、前記基板保持手段が基板を保持していないときに、前記下面ノズルから上方に延び
、前記垂下部の下面よりも高い液柱を形成する液柱形成工程と、前記液柱形成工程と並行して、前記上面ノズルの垂下部が前記液柱に接触しない第1位置と、前記上面ノズルの垂下部が前記液柱に接触しない第2位置と、の間で前記上面ノズルを水平に往復させることにより、
前記上面ノズルの垂下部が前記液柱に接触する第1中間位置を前記上面ノズルに通過させ
、前記上面ノズルが前記第1位置から前記第1中間位置に移動している期間の少なくとも一部において、前記洗浄液が前記上面ノズルの垂下部の一方の側部に供給され、前記上面ノズルが前記第2位置から前記第1中間位置に移動している期間の少なくとも一部において、前記洗浄液が前記上面ノズルの垂下部の他方の側部に供給されることで、前記一方の側部および前記他方の側部の両方を洗浄する第1垂下部洗浄工程とを含む。この方法によれば、前述の効果と同様な効果を奏することができる。
【0030】
構成12は、前記液柱形成工程は、前記液柱の上端が前記上面ノズルの水平部の下縁よりも上方に位置するように、前記液柱を形成する工程である、
構成11に記載のノズル洗浄方法である。この方法によれば、前述の効果と同様な効果を奏することができる。
構成13は、前記液柱形成工程と並行して、前記上面ノズルを移動させるノズル移動手段に、第2上面ノズルの垂下部が前記液柱に接触しない前記第2位置と、前記第2上面ノズルの垂下部が前記液柱に接触しない第3位置と、の間で前記第2上面ノズルを水平に往復させることにより、平面視で前記第2上面ノズルの上吐出口が前記液柱に重なる第2中間位置を前記第2上面ノズルに通過させる第2垂下部洗浄工程をさらに含む、
構成11または12に記載のノズル洗浄方法である。この方法によれば、前述の効果と同様な効果を奏することができる。
【0031】
構成14は、前記第2垂下部洗浄工程は、前記第1垂下部洗浄工程における前記上面ノズルの往復回数よりも少ない回数で、前記第2上面ノズルを前記第2位置と前記第3位置との間で水平に往復させる工程である、
構成13に記載のノズル洗浄方法である。この方法によれば、前述の効果と同様な効果を奏することができる。
構成15は、前記ノズル洗浄方法は、平面視において前記上面ノズルが前記基板保持手段のまわりに配置される待機位置に位置する前記上面ノズルの水平部に向けて洗浄液を吐出する第2洗浄ノズルに洗浄液を吐出させる水平部洗浄工程をさらに含む、
構成11〜14のいずれか一つに記載のノズル洗浄方法である。この方法によれば、前述の効果と同様な効果を奏することができる。
【0032】
構成16は、前記第2洗浄ノズルは、前記待機位置に位置する前記上面ノズルの水平部に向けて、水平面に対して斜めに傾いた方向に洗浄液を吐出する第2洗浄液吐出口を含み、前記水平部洗浄工程は、前記待機位置に位置する前記上面ノズルの水平部に向けて前記第2洗浄ノズルの第2洗浄液吐出口に洗浄液を吐出させながら、前記上面ノズルを水平方向または鉛直方向に移動させる工程である、
構成15に記載のノズル洗浄方法である。この方法によれば、前述の効果と同様な効果を奏することができる。
【0033】
構成17は、前記第1垂下部洗浄工程は、前記第1位置と前記第2位置との間で前記上面ノズルを水平に往復させながら、前記下面ノズルと、前記第1中間位置に位置している前記上面ノズルの垂下部に向けて洗浄液を下方に吐出する第3洗浄ノズルとに洗浄液を吐出させる工程である、
構成11〜16のいずれか一つに記載のノズル洗浄方法である。この方法によれば、前述の効果と同様な効果を奏することができる。
【0034】
構成18は、前記下面ノズルは、前記第1中間位置に位置している前記上面ノズルの上吐出口に向けて上方に液体を吐出する下吐出口と、前記第1中間位置に位置している前記上面ノズルの水平部に向けて上方に液体を吐出する少なくとも一つの副吐出口とを含み、前記第1垂下部洗浄工程は、前記上面ノズルを前記第1位置と前記第2位置との間で水平に往復させながら、前記下吐出口と前記少なくとも一つの副吐出口とに洗浄液を吐出させる工程である、
構成11〜17のいずれか一つに記載のノズル洗浄方法である。この方法によれば、前述の効果と同様な効果を奏することができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る基板処理装置1に備えられた処理ユニット2の内部を水平に見た模式図である。
図2は、処理ユニット2の内部を示す模式的な平面図である。
図3は、複数の上面ノズル34を側方から見た模式図である。
基板処理装置1は、半導体ウエハなどの円板状の基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1は、処理液や処理ガスなどの処理流体で基板Wを処理する処理ユニット2と、処理ユニット2に基板Wを搬送する搬送ロボット(図示せず)と、基板処理装置1を制御する制御装置3とを含む。制御装置3は、プログラム等の情報を記憶するメモリー3bとメモリー3bに記憶された情報にしたがって基板処理装置1を制御するプロセッサー3aとを含むコンピュータである。
【0037】
処理ユニット2は、内部空間を有する箱形のチャンバー9と、一枚の基板Wをチャンバー9内で水平に保持しながら基板Wの中央部を通る鉛直な回転軸線A1まわりに回転させるスピンチャック4と、スピンチャック4に保持されている基板Wに向けて流体を吐出する複数のノズルと、スピンチャック4から外方に排出された処理液を受け止める筒状の処理カップ14とを含む。
【0038】
スピンチャック4は、基板保持手段の一例である。スピンチャック4は、水平に保持された円板状のスピンベース5と、スピンベース5から上方に離れた基板保持位置(
図1および
図2おいて基板Wが配置された位置)で基板Wを水平に保持する複数のチャックピン6と、複数のチャックピン6を開閉させるチャック開閉機構(図示せず)とを含む。スピンチャック4は、さらに、スピンベース5の中央部から回転軸線A1に沿って下方に延びるスピン軸7と、スピン軸7を回転させることにより複数のチャックピン6に保持された基板Wを回転軸線A1まわりに回転させるスピンモータ8とを含む。
【0039】
チャンバー9は、基板Wが通過する搬入搬出口10aが設けられた箱型の隔壁10と、搬入搬出口10aを開閉するシャッター11とを含む。チャンバー9は、さらに、隔壁10の上方から隔壁10内にクリーンエアー(フィルターによってろ過された空気)を下方に送るFFU12(ファン・フィルタ・ユニット)と、FFU12によって隔壁10内に送られたクリーンエアーを整流する整流板13とを含む。
【0040】
FFU12は、隔壁10の天井面で開口する送風口10bの上方に配置されている。整流板13は、送風口10bの下方に配置されている。FFU12は、送風口10bを通じて隔壁10の内部にクリーンエアーを下方に送る。整流板13は、厚み方向に貫通する複数の貫通孔13aがその全域に形成された多孔プレートである。複数の貫通孔13aは、チャンバー9の天井面に相当する整流板13の下面で開口している。整流板13は、水平な姿勢で隔壁10内に配置されている。
【0041】
整流板13は、隔壁10の内部を整流板13の上方の上方空間と整流板13の下方の下方空間とに仕切っている。隔壁10の天井面と整流板13の上面との間の上方空間は、クリーンエアーが拡散する拡散空間である。整流板13の下面と隔壁10の床面との間の下方空間は、基板Wの処理が行われる処理空間である。スピンチャック4や処理カップ14は、下方空間に配置されている。
【0042】
FFU12は、送風口10bから上方空間にクリーンエアーを供給する。上方空間に供給されたクリーンエアーは、整流板13に当たって上方空間を拡散する。上方空間内のクリーンエアーは、整流板13を厚み方向に貫通する複数の貫通孔13aを通過し、整流板13の全域から下方に流れる。下方空間に供給されたクリーンエアーは、チャンバー9の底部から排出される。これにより、整流板13の全域から下方に流れる均一なクリーンエアーの流れ(ダウンフロー)が、下方空間に形成される。ダウンフローは、基板Wがチャンバー9内に存在するか否かにかかわらず常時形成される。
【0043】
処理カップ14は、基板Wから外方に排出された液体を受け止める複数のスプラッシュガード15(第1スプラッシュガード15A、第2スプラッシュガード15B、第3スプラッシュガード15C、および第4スプラッシュガード15D)と、スプラッシュガード15によって下方に案内された液体を受け止める複数のカップ16とを含む。
スプラッシュガード15は、スピンチャック4を取り囲む円筒状の筒状部15bと、筒状部15bの上端部から回転軸線A1に向かって斜め上方に延びる円環状の天井部15aとを含む。天井部15aは、平面視で基板Wおよびスピンベース5を取り囲む円環状の上端を含む。複数の天井部15aは、上下方向に重なっており、複数の筒状部15bは、同心円状に配置されている。複数のカップ16は、それぞれ、複数の筒状部15bの下方に配置されている。カップ16は、上向きに開いた環状の受液溝を形成している。
【0044】
複数のスプラッシュガード15は、複数のスプラッシュガード15を個別に昇降させるガード昇降ユニット17に接続されている。ガード昇降ユニット17は、上位置と下位置との間でスプラッシュガード15を鉛直に昇降させる。上位置は、スプラッシュガード15の上端に相当する天井部15aの上端が基板保持位置よりも上方に位置する位置であり、下位置は、天井部15aの上端が基板保持位置よりも下方に位置する位置である。
【0045】
複数のノズルは、基板保持位置に向けて液体を上方に吐出する下面ノズル21を含む。下面ノズル21は、リンス液を案内する第2リンス液配管25に接続されている。下面ノズル21に対するリンス液の供給および供給停止を切り替える第2リンス液バルブ26は、第2リンス液配管25に介装されている。下面ノズル21に供給されるリンス液の流量を変更する第2流量調整バルブ27も、第2リンス液配管25に介装されている。
【0046】
下面ノズル21は、スピンベース5の上面と基板保持位置との間の高さに配置されたノズル部23と、回転軸線A1に沿ってノズル部23から下方に延びるベース部24とを含む。ベース部24は、たとえば、回転軸線A1に沿って上下方向に延びる円柱状である。ノズル部23は、たとえば、ベース部24よりも大きい外径を有する円板状である。ノズル部23およびベース部24は、同軸である。下面ノズル21の下吐出口22は、基板Wの下面に平行なノズル部23の上面で開口している。ベース部24は、スピンベース5の上面中央部で開口する中央穴に挿入されている。下面ノズル21は、チャンバー9に対して固定されている。スピンベース5が回転したとしても、下面ノズル21は回転しない。
【0047】
第2リンス液バルブ26が開かれると、第2流量調整バルブ27の開度に対応する流量で、リンス液が、下面ノズル21の下吐出口22から上方に連続的に吐出される。下面ノズル21から吐出されるリンス液は、たとえば、純水(脱イオン水:Deionized water)である。リンス液は、純水に限らず、IPA(イソプロピルアルコール)、電解イオン水、水素水、オゾン水、および希釈濃度(たとえば、10〜100ppm程度)の塩酸水のいずれかであってもよい。
【0048】
図示はしないが、第2リンス液バルブ26は、流路を形成するバルブボディと、流路内に配置された弁体と、弁体を移動させるアクチュエータとを含む。後述するバルブについても同様である。アクチュエータは、空圧アクチュエータまたは電動アクチュエータであってもよいし、これら以外のアクチュエータであってもよい。制御装置3は、アクチュエータを制御することにより、第2リンス液バルブ26を開閉させる。また、制御装置3は、アクチュエータを制御することにより、第2流量調整バルブ27の開度を変更する。
【0049】
複数のノズルは、基板保持位置に向けて液体を下方に吐出する複数の上面ノズル34(第1上面ノズル34A、第2上面ノズル34B、および第3上面ノズル34C)を含む。第1上面ノズル34Aは、第1薬液バルブ29が介装された第1薬液配管28に接続されている。第3上面ノズル34Cは、第2薬液バルブ31が介装された第2薬液配管30に接続されている。第2上面ノズル34Bは、第1リンス液バルブ33が介装された第1リンス液配管32に接続されている。
【0050】
第1上面ノズル34Aおよび第3上面ノズル34Cには、互いに種類の異なる薬液が供給される。第2上面ノズル34Bには、リンス液の一例である純水が供給される。第1上面ノズル34Aに供給される薬液は、たとえば、BHF(フッ化水素とフッ化アンモニウムと水とを含む混合液)、SPM(硫酸と過酸化水素水とを含む混合液)、およびSC1(水酸化アンモニウムと過酸化水素水とを含む混合液)のいずれかである。BHF、SPM、およびSC1以外の薬液が、第1上面ノズル34Aに供給されてもよい。たとえば、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、フッ酸、リン酸、酢酸、アンモニア水、過酸化水素水、有機酸(たとえばクエン酸、蓚酸など)、有機アルカリ(たとえば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドなど)、界面活性剤、および腐食防止剤の少なくとも1つを含む液が、第1上面ノズル34Aに供給されてもよい。
【0051】
図2に示すように、各上面ノズル34は、ホルダ42に保持されている。
図3に示すように、上面ノズル34は、水平な伸長方向X1にホルダ42から延びる円柱状の水平部36と、水平部36の先端から下方に曲がった円柱状のコーナー部37と、コーナー部37から下方に延びる円柱状の垂下部38と、垂下部38の下面で開口する上吐出口35とを含む。上面ノズル34を構成する部材には、液体を案内する樹脂チューブ39と、樹脂チューブ39を取り囲む断面筒状の芯金40と、芯金40を取り囲む断面筒状の樹脂コーティング41とが含まれる。
【0052】
図3に示すように、水平部36は、垂下部38よりも長い。水平部36の中心線は、いずれの位置でも水平である。垂下部38の中心線は、いずれの位置でも鉛直である。コーナー部37の中心線は、水平面に対して傾いている。伸長方向X1に直交する水平な配列方向Y1に見ると、コーナー部37は、斜め上方に凸の円弧状である。コーナー部37は、L字状であってもよいし、2回以上折れ曲がった折れ線状であってもよい。
【0053】
上面ノズル34の垂下部38の外周面は、コーナー部37から鉛直下方に延びる円筒状の大径部38aと、大径部38aの下端から内方に延びる円環状の段差部38bと、段差部38bの内周縁から鉛直下方に延びる円筒状の小径部38cとを含む。大径部38a、段差部38b、および小径部38cは、互いに同軸である。小径部38cの直径は、大径部38aの直径よりも小さい。大径部38aおよび段差部38bは、樹脂コーティング41の外周面の一部であり、小径部38cは、樹脂チューブ39の外周面の一部である。
【0054】
複数の水平部36は、互いに平行であり、複数の垂下部38は、互いに平行である。複数の水平部36は、第1上面ノズル34A〜第3上面ノズル34Cの順番で、配列方向Y1に等間隔で並んでいる。同様に、複数の垂下部38は、第1上面ノズル34A〜第3上面ノズル34Cの順番で、配列方向Y1に等間隔で並んでいる。複数の上吐出口35は、同じ高さに配置されており、平面視で配列方向Y1に直線状に並んでいる。
【0055】
樹脂チューブ39は、上面ノズル34に沿って延びる1つの流路を形成している。樹脂チューブ39の先端部39aは、芯金40および樹脂コーティング41から下方に突出している。上吐出口35は、樹脂チューブ39の先端部39aの下面で開口している。樹脂チューブ39および樹脂コーティング41は、たとえば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素樹脂で形成されている。PTFEは、疎水性材料(水の接触角が30度を超える材料)の一例である。樹脂チューブ39および樹脂コーティング41は、上面ノズル34の表面を形成している。上面ノズル34の表面は、疎水性である。樹脂チューブ39および樹脂コーティング41の少なくとも一方は、親水性材料で形成されていてもよい。
【0056】
図3に示すように、処理ユニット2は、ホルダ42を移動させることにより、複数の上面ノズル34を移動させるノズル移動ユニット43を含む。ノズル移動ユニット43は、ホルダ42を水平に移動させることにより、複数の上面ノズル34を水平に移動させる水平駆動ユニット43aと、ホルダ42を鉛直に移動させることにより、複数の上面ノズル34を鉛直に移動させる鉛直駆動ユニット43bとを含む。
【0057】
図2に示すように、水平駆動ユニット43aは、処理位置(
図2で二点鎖線で示す位置)と待機上位置(
図2で実線で示す位置)との間で複数の上面ノズル34を水平に移動させる。鉛直駆動ユニット43bは、待機上位置と待機下位置との間で複数の上面ノズル34を鉛直に移動させる。処理ユニット2は、待機下位置に位置する複数の上面ノズル34が差し込まれる有底筒状の待機ポット44を含む。待機ポット44は、平面視で処理カップ14のまわりに配置されている。
【0058】
水平駆動ユニット43aは、処理カップ14のまわりで鉛直に延びるノズル回動軸線A2まわりに複数の上面ノズル34を水平に移動させる旋回ユニットである。水平駆動ユニット43aは、複数の上面ノズル34を水平に平行移動させるスライドユニットであってもよい。水平駆動ユニット43aは、鉛直駆動ユニット43bを介してホルダ42を支持している。水平駆動ユニット43aは、ノズル回動軸線A2まわりに鉛直駆動ユニット43bを回動させることにより、ホルダ42を水平に移動させる。これにより、処理位置と待機上位置との間で複数の上面ノズル34が水平に移動する。
【0059】
「処理位置」は、複数の上面ノズル34と基板Wとが平面視で重なり、複数の上面ノズル34から吐出された処理液が基板Wの上面に着液する位置である。「待機上位置」は、複数の上面ノズル34と基板Wとが平面視で重ならないように、複数の上面ノズル34が退避した位置である。「待機下位置」は、待機上位置の真下の位置である。待機上位置では、複数の上面ノズル34の垂下部38が、待機ポット44の上方に位置する。待機下位置では、複数の上面ノズル34の垂下部38が、待機ポット44内に差し込まれる(
図7参照)。
【0060】
次に、基板処理装置1によって実行される基板Wの処理の一例について説明する。
図4は、基板処理装置1によって実行される基板Wの処理の一例について説明するための工程図である。
図5は、
図4に示す各工程が実行されているときの処理ユニット2の状態を示す模式図である。制御装置3は、以下の各工程を実行するようにプログラムされている。
【0061】
基板処理装置1によって基板Wが処理されるときには、チャンバー9内に基板Wを搬入する搬入工程が行われる(
図4のステップS1)。
具体的には、複数の上面ノズル34が基板Wの上方から退避しており、第1スプラッシュガード15A〜第4スプラッシュガード15Dが下位置に位置している状態で、搬送ロボット(図示せず)が、基板Wをハンドで支持しながら、ハンドをチャンバー9内に進入させる。その後、搬送ロボットは、基板Wの表面が上に向けられた状態でハンド上の基板Wをスピンチャック4の上に置く。スピンモータ8は、基板Wがチャックピン6によって把持された後、基板Wの回転を開始させる。搬送ロボットは、基板Wがスピンチャック4の上に置かれた後、ハンドをチャンバー9の内部から退避させる。
【0062】
次に、
図5(a)に示すように、基板Wの上面に薬液を供給する薬液供給工程が行われる(
図4のステップS2)。
具体的には、制御装置3は、待機上位置または待機下位置に位置する第1上面ノズル34Aに待機ポット44に向けて薬液を吐出させるプリディスペンス工程を実行した後、複数の上面ノズル34を処理位置に移動させる。さらに、ガード昇降ユニット17が、第1スプラッシュガード15Aを下位置に位置させたまま、第2スプラッシュガード15B〜第4スプラッシュガード15Dを上位置まで上昇させる。その後、第1薬液バルブ29が開かれる。これにより、第1上面ノズル34Aから回転している基板Wの上面に向けて薬液が吐出される。
【0063】
第1上面ノズル34Aが薬液を吐出しているとき、ノズル移動ユニット43は、第1上面ノズル34Aから吐出された薬液が基板Wの上面中央部に着液する中央処理位置と、第1上面ノズル34Aから吐出された薬液が基板Wの上面外周部に着液する外周処理位置と、の間で複数の上面ノズル34を移動させてもよいし、薬液の着液位置が基板Wの上面中央部に位置するように複数の上面ノズル34を静止させてもよい。第1薬液バルブ29が開かれてから所定時間が経過すると、第1薬液バルブ29が閉じられる。
【0064】
第1上面ノズル34Aから吐出された薬液は、基板Wの上面に着液した後、回転している基板Wの上面に沿って外方に流れる。これにより、基板Wの上面全域を覆う薬液の液膜が形成され、基板Wの上面全域に薬液が供給される。特に、ノズル移動ユニット43が第1上面ノズル34Aを中央処理位置と外周処理位置との間で移動させる場合は、基板Wの上面全域が薬液の着液位置で走査されるので、薬液が基板Wの上面全域に均一に供給される。これにより、基板Wの上面が均一に処理される。
【0065】
次に、
図5(b)に示すように、リンス液の一例である純水を基板Wの上面および下面の両方に供給するリンス液供給工程が行われる(
図4のステップS3)。
具体的には、複数の上面ノズル34が処理位置に位置している状態で、ガード昇降ユニット17が、第2スプラッシュガード15B〜第4スプラッシュガード15Dを上位置に位置させたまま、第1スプラッシュガード15Aを上位置まで上昇させる。その後、第1リンス液バルブ33が開かれる。これにより、第1リンス液ノズルとしての第2上面ノズル34Bが純水の吐出を開始する。第2上面ノズル34Bが純水を吐出しているとき、ノズル移動ユニット43は、中央処理位置と外周処理位置との間で複数の上面ノズル34を移動させてもよいし、リンス液の着液位置が基板Wの上面中央部に位置するように複数の上面ノズル34を静止させてもよい。
【0066】
基板Wの上面に着液した純水は、回転している基板Wの上面に沿って外方に流れる。基板W上の薬液は、第2上面ノズル34Bから吐出された純水によって洗い流される。これにより、基板Wの上面全域を覆う純水の液膜が形成される。基板Wの上面外周部に達した純水は、基板Wからその周囲に飛散し、上位置に位置する第1スプラッシュガード15Aに受け止められる。その後、純水は、第1スプラッシュガード15Aに対応するカップ16に案内される。第1リンス液バルブ33が開かれてから所定時間が経過すると、第1リンス液バルブ33が閉じられ、純水の吐出が停止される。その後、ノズル移動ユニット43が複数の上面ノズル34を待機上位置に移動させる。
【0067】
その一方で、第2リンス液バルブ26が開かれ、第2リンス液ノズルとしての下面ノズル21が純水の吐出を開始する。これにより、純水が、回転している基板Wの下面中央部に向けて下面ノズル21から吐出される。第2リンス液バルブ26は、第1リンス液バルブ33と同時に開かれてもよいし、第1リンス液バルブ33が開かれる前または後に開かれてもよい。基板Wの下面に着液した純水は、回転している基板Wの下面に沿って外方に流れ、基板Wの外周部からその周囲に飛散する。基板Wの下面に付着している薬液のミスト等は、下面ノズル21から吐出された純水によって洗い流される。第2リンス液バルブ26が開かれてから所定時間が経過すると、第2リンス液バルブ26が閉じられ、純水の吐出が停止される。
【0068】
次に、
図5(c)に示すように、基板Wを高速回転させることにより基板Wを乾燥させる乾燥工程が行われる(
図4のステップS4)。
具体的には、ガード昇降ユニット17が、第4スプラッシュガード15Dを上位置に位置させたまま、第1スプラッシュガード15A〜第3スプラッシュガード15Cを下位置まで下降させる。その後、スピンモータ8が基板Wを回転方向に加速させ、薬液供給工程およびリンス液供給工程での基板Wの回転速度よりも大きい高回転速度(たとえば数千rpm)で回転させる。これにより、液体が基板Wから除去され、基板Wが乾燥する。基板Wの高速回転が開始されてから所定時間が経過すると、スピンモータ8が回転を停止する。これにより、基板Wの回転が停止される。
【0069】
次に、基板Wをチャンバー9から搬出する搬出工程が行われる(
図4のステップS5)。
具体的には、ガード昇降ユニット17が、第1スプラッシュガード15A〜第3スプラッシュガード15Cを下位置に位置させたまま、第4スプラッシュガード15Dを下位置まで下降させる。その後、搬送ロボット(図示せず)が、ハンドをチャンバー9内に進入させる。搬送ロボットは、複数のチャックピン6による基板Wの保持が解除された後、スピンチャック4上の基板Wをハンドで支持する。その後、搬送ロボットは、基板Wをハンドで支持しながら、ハンドをチャンバー9の内部から退避させる。これにより、処理済みの基板Wがチャンバー9から搬出される。
【0070】
次に、複数の上面ノズル34を洗浄する第2洗浄ノズル51について説明する。
図6は、複数の上面ノズル34、第2洗浄ノズル51、第1乾燥ノズル56、および第2乾燥ノズル61を示す模式的な平面図である。
図7は、複数の上面ノズル34、第2洗浄ノズル51、第1乾燥ノズル56、および第2乾燥ノズル61を水平に見た模式図である。
図6は、待機上位置に位置している複数の上面ノズル34を示している。
図7は、待機上位置に位置している複数の上面ノズル34を実線で示しており、待機下位置に位置している複数の上面ノズル34を二点鎖線で示している。
【0071】
図7に示すように、処理ユニット2は、洗浄液の一例である純水を複数の上面ノズル34に向けて吐出する第2洗浄ノズル51を含む。第2洗浄ノズル51は、第2洗浄液バルブ55が介装された第2洗浄液配管54に接続されている。第2洗浄ノズル51は、複数の上面ノズル34に向けて純水を吐出する複数の第2洗浄液吐出口52と、複数の第2洗浄液吐出口52に純水を供給する第2洗浄液供給路53とを含む。
【0072】
第2洗浄ノズル51は、待機上位置に位置する複数の上面ノズル34よりも上方に配置されている。複数の上面ノズル34は、第2洗浄ノズル51の下を通る。
図6に示すように、第2洗浄ノズル51は、平面視で、待機上位置に位置する複数の上面ノズル34の側方に配置されている。第2洗浄ノズル51は、待機上位置に位置する複数の上面ノズル34の伸長方向X1と平行な軸方向に延びている。第2洗浄ノズル51は、平面視で、待機上位置に位置する複数の上面ノズル34に対して処理カップ14側に配置されている(
図2参照)。
【0073】
第2洗浄ノズル51は、複数の第2洗浄液吐出口52から純水を斜め下方に吐出するシャワーノズルである。複数の第2洗浄液吐出口52は、第2洗浄ノズル51の軸方向に等間隔で直線状に並んでいる。第2洗浄ノズル51は、純水を吐出することにより、第2洗浄ノズル51から斜め下方に流れるシート状の液流を形成する。第2洗浄ノズル51は、液流の厚みが一定となるように純水を吐出してもよいし、第2洗浄ノズル51から離れるにしたがって液流の厚みが増加するように純水を吐出してもよい。
【0074】
複数の上面ノズル34が待機上位置から待機下位置までのいずれの位置に位置しているときでも、第2洗浄ノズル51から見ると、第1上面ノズル34Aの水平部36、コーナー部37、および垂下部38が見える。その一方で、第2洗浄ノズル51から見ると、第2上面ノズル34Bの水平部36、コーナー部37、および垂下部38と、第3上面ノズル34Cの水平部36、コーナー部37、および垂下部38とは、第1上面ノズル34Aの水平部36、コーナー部37、および垂下部38で隠れる。
【0075】
第2洗浄ノズル51から吐出された純水で複数の上面ノズル34を洗浄するとき、制御装置3は、ノズル移動ユニット43に複数の上面ノズル34を待機上位置と待機下位置との間で昇降させる。待機上位置では、第2洗浄ノズル51から吐出された純水が主として第1上面ノズル34Aの水平部36に当たる(
図13において二点鎖線で示す第1上面ノズル34Aを参照)。待機下位置では、第2洗浄ノズル51から吐出された純水が主として第3上面ノズル34Cの水平部36に当たる(
図13において実線で示す第3上面ノズル34Cを参照)。複数の上面ノズル34が待機上位置と待機下位置との間で移動すると、複数の上面ノズル34がシート状の液流を順次通過する。これにより、第2洗浄ノズル51から吐出された純水が、全ての上面ノズル34の水平部36に供給される。
【0076】
次に、複数の上面ノズル34の垂下部38を乾燥させる第1乾燥ノズル56について説明する。
図6に示すように、第1乾燥ノズル56は、乾燥ガスの一例である窒素ガスを待機ポット44内で吐出する複数の第1ガス吐出口57と、複数の第1ガス吐出口57に窒素ガスを供給する第1ガス供給路58とを含む。第1ガス供給路58は、第1ガスバルブ60が介装された第1ガス配管59に接続されている。
【0077】
図7に示すように、待機ポット44は、待機下位置(
図7において二点鎖線で示す位置)に位置する複数の上面ノズル34の垂下部38を取り囲む筒状の周壁45と、周壁45の下端を閉じる底壁46とを含む。待機ポット44の底面は、待機ポット44の底面で開口する排出口47(
図6参照)に向かって斜め下方に延びている。待機ポット44内の液体は、排出口47から排出される。
【0078】
第1ガス吐出口57は、待機ポット44の内周面で開口している。複数の第1ガス吐出口57は、待機ポット44の周方向に配列されている。複数の第1ガス吐出口57は、平面視で互いに異なる2つ以上の方向に窒素ガスを吐出する。第1ガス供給路58は、待機ポット44の周壁45の内部に設けられている。
図6に示すように、第1ガス供給路58は、複数の第1ガス吐出口57に供給される窒素ガスを案内する第1ガス流路58aと、第1ガス流路58aから分岐した2つの第2ガス流路58bと、2つの第2ガス流路58bから分岐した複数の第3ガス流路58cとを含む。
【0079】
第1ガスバルブ60が開かれると、複数の第1ガス吐出口57から内方に流れる複数の気流が、待機ポット44内に形成される。第1ガス吐出口57は、第1ガス供給路58から供給された窒素ガスを吐出することにより、第1ガス吐出口57から内方に流れる線状の気流を形成する。第1ガス供給路58の第3ガス流路58cは、第1ガス吐出口57に向かって斜め下方に延びている。第1ガス吐出口57は、斜め下方に窒素ガスを吐出する。第1ガス吐出口57は、水平に窒素ガスを吐出してもよいし、斜め上方に窒素ガスを吐出してもよい。
【0080】
次に、複数の上面ノズル34の水平部36を乾燥させる第2乾燥ノズル61について説明する。
図7に示すように、処理ユニット2は、乾燥ガスの一例である窒素ガスを複数の上面ノズル34に向けて吐出する第2乾燥ノズル61を含む。第2乾燥ノズル61は、第2ガスバルブ65が介装された第2ガス配管64に接続されている。第2乾燥ノズル61は、複数の上面ノズル34に向けて窒素ガスを吐出する複数(たとえば、2つ)の第2ガス吐出口62と、複数の第2ガス吐出口62に窒素ガスを供給する第2ガス供給路63とを含む。
【0081】
図6に示すように、第2ガス吐出口62は、待機上位置に位置する第1上面ノズル34Aの垂下部38に水平に対向している。第2ガス吐出口62は、垂下部38に対して水平部36とは反対側に配置されている。
図7に示すように、複数の上面ノズル34が待機上位置に位置しているとき、上側の第2ガス吐出口62は、水平部36と等しい高さに配置され、下側の第2ガス吐出口62は、コーナー部37と等しい高さに配置される。第2ガス吐出口62は、待機ポット44よりも上方に配置されている。第2乾燥ノズル61は、平面視で処理カップ14のまわりに位置している(
図2参照)。
【0082】
第2乾燥ノズル61は、線状の気流を形成するノズルであってもよいし、第2乾燥ノズル61から離れるにしたがって直径が増加する円錐状の気流を形成するノズルであってもよい。複数の上面ノズル34が待機上位置に位置するとき、上側の第2ガス吐出口62から吐出された窒素ガスは、第1上面ノズル34Aのコーナー部37に当たり、第1上面ノズル34Aの水平部36の上縁に沿って水平部36の根元側に流れる。下側の第2ガス吐出口62から吐出された窒素ガスは、第1上面ノズル34Aのコーナー部37に当たり、第1上面ノズル34Aの水平部36の下縁に沿って水平部36の根元側に流れる。
【0083】
第2乾燥ノズル61から吐出された窒素ガスで複数の上面ノズル34を乾燥させるとき、制御装置3は、ノズル移動ユニット43に複数の上面ノズル34を2つの折り返し位置(
図15参照)の間でノズル回動軸線A2まわりに水平に移動させる。2つの折り返し位置は、いずれも、処理位置および待機上位置と高さが等しい位置である。第1折り返し位置(
図15において実線で示す位置)は、たとえば待機上位置であり、第2折り返し位置(
図15において二点鎖線で示す位置)は、たとえば処理位置および待機上位置の間の位置である。
【0084】
第1折り返し位置では、第2乾燥ノズル61から吐出された窒素ガスが主として第1上面ノズル34Aの水平部36およびコーナー部37に当たる。第2折り返し位置では、第2乾燥ノズル61から吐出された窒素ガスが主として第3上面ノズル34Cの水平部36およびコーナー部37に当たる。複数の上面ノズル34が第1折り返し位置および第2折り返し位置の間で移動すると、複数の上面ノズル34に対して窒素ガスが当たる位置が水平に移動する。これにより、第2乾燥ノズル61から吐出された窒素ガスが、全ての上面ノズル34の水平部36およびコーナー部37に供給される。
【0085】
次に、上面ノズル34の洗浄および乾燥について説明する。
以下では、
図8〜
図14を参照する。
図8は、基板処理装置1によって実行される複数の上面ノズル34の洗浄および乾燥の一例について説明するための工程図である。制御装置3は、以下の各工程を実行するようにプログラムされている。上面ノズル34の洗浄および乾燥は、一枚の基板Wの処理が完了する度に実行されてもよいし、複数の基板Wの処理が完了する度に実行されてもよいし、所定時間ごとに実行されてもよい。
【0086】
複数の上面ノズル34を洗浄するときは、第1洗浄ノズルとしての下面ノズル21から吐出された純水で複数の上面ノズル34の垂下部38を洗浄する垂下部洗浄工程が実行される(
図8のステップS11)。
具体的には、基板Wがスピンチャック4に保持されていない状態で、ノズル移動ユニット43が、複数の上面ノズル34を処理位置に位置させ、ガード昇降ユニット17が、第1スプラッシュガード15A〜第4スプラッシュガード15Dを上位置に位置させる。さらに、スピンモータ8が、スピンベース5を回転させる。この状態で、第2リンス液バルブ26が開かれ、純水が下面ノズル21の下吐出口22から上方に吐出される。
【0087】
図9は、下面ノズル21から上方に延びる液柱を示す模式図である。下吐出口22から吐出された純水は、下吐出口22から鉛直方向に上方に飛散し、その後、最上位置から落下する。これにより、下吐出口22から最上位置に延びる液柱が形成される。
図9に示すように、下面ノズル21から吐出される純水の流量は、液柱の上端が、複数の上面ノズル34の水平部36の下縁よりも上方でかつ整流板13の下面よりも下方に位置するように設定されている。純水の流量は、たとえば、1000〜2000ml/minである。液柱の直径は、液柱の上端部を除き下面ノズル21の下吐出口22の直径と概ね等しい。液柱の上端部では、重力およびダウンフローの風圧の影響により液柱の直径が増加する。液柱の上端部での液柱の直径は、上面ノズル34の外径より大きくてもよい。
【0088】
下面ノズル21から上方に吐出された純水は、下面ノズル21の上面に落下した後、スピンベース5の上面に広がる。純水は、回転しているスピンベース5の上面に沿って外方に流れる。これにより、スピンベース5の上面が純水で洗浄される。さらに、スピンベース5の上面に沿って流れる純水の一部は、チャックピン6に接触した後、スピンベース5の外周部から外方に飛散する。残りの純水は、主として、複数のチャックピン6の間を通ってスピンベース5の外周部から外方に飛散する。スピンベース5から排出された純水は、第1スプラッシュガード15Aによって受け止められ、第1スプラッシュガード15Aに対応するカップ16に案内される。これにより、第1スプラッシュガード15Aおよびカップ16が純水で洗浄される。
【0089】
図10は、複数の上面ノズル34の垂下部38を洗浄するときの複数の上面ノズル34の位置を示す模式的な平面図である。
図10(a)、
図10(b)、および
図10(c)は、それぞれ、複数の上面ノズル34が第1位置、第2位置、および第3位置に位置している状態を示している。ノズル移動ユニット43は、下面ノズル21が純水を吐出している状態で、複数の上面ノズル34を第1位置と第2位置との間で水平に往復させる(第1垂下部洗浄工程)。その後、ノズル移動ユニット43は、下面ノズル21が純水を吐出している状態で、複数の上面ノズル34を第2位置と第3位置との間で水平に往復させる(第2垂下部洗浄工程)。
【0090】
第1位置〜第3位置は、いずれも、全ての上面ノズル34の上吐出口35が平面視でスピンチャック4に重なり、全ての上面ノズル34の上吐出口35が平面視で下面ノズル21の下吐出口22に重ならない位置である。「第1位置」は、平面視において全ての上面ノズル34の上吐出口35が下面ノズル21の下吐出口22に対して待機上位置側に配置される位置である。「第2位置」は、平面視において下面ノズル21の下吐出口22が第1上面ノズル34Aの上吐出口35と第2上面ノズル34Bの上吐出口35との間に配置される位置である。「第3位置」は、平面視において全ての上面ノズル34の上吐出口35が下面ノズル21の下吐出口22に対して待機上位置とは反対側に配置される位置である。
【0091】
図11は、第1上面ノズル34Aの垂下部38が下面ノズル21から上方に延びる液柱を通過する前後の状態を示す模式図である。
図11(a)は、第1上面ノズル34Aの垂下部38が液柱を通過する前の状態を示している。
図11(b)は、第1上面ノズル34Aの垂下部38が液柱に接触した直後の状態を示している。
図11(c)は、第1上面ノズル34Aの垂下部38が液柱に接触している状態を示している。
図11(d)は、第1上面ノズル34Aの垂下部38が液柱を通過した後の状態を示している。
【0092】
図11(a)に示すように、第1位置では、複数の上面ノズル34が液柱から離れている。
図11(b)および
図11(c)に示すように、複数の上面ノズル34が第1位置から第2位置に移動すると、第1上面ノズル34Aの垂下部38の一方の側部が液柱に接触する。
図11(d)に示すように、その後、第1上面ノズル34Aの垂下部38が液柱を水平に通過し、液柱から離れる。これとは反対に、複数の上面ノズル34が第2位置から第1位置に移動すると、第1上面ノズル34Aの垂下部38の他方の側部が液柱に接触し、第1上面ノズル34Aの垂下部38が液柱を水平に通過する。
【0093】
複数の上面ノズル34が第1位置と第2位置との間で往復すると、第1上面ノズル34Aの垂下部38の両方の側部が液柱に交互に接触する。これにより、下面ノズル21から吐出された純水が、第1上面ノズル34Aの垂下部38の両方の側部に供給される。さらに、第1上面ノズル34Aの垂下部38に供給された純水は、第1上面ノズル34Aの垂下部38に沿って下方に流れながら、第1上面ノズル34Aの垂下部38に沿って第1上面ノズル34Aの移動方向とは反対の方向に流れる。これにより、第1上面ノズル34Aの垂下部38において液柱に接触しなかった部分にも純水が供給される。
【0094】
また、複数の上面ノズル34が第2位置と第3位置との間で往復すると、第2上面ノズル34Bの垂下部38の一方の側部が液柱に接触し、その後、第3上面ノズル34Cの垂下部38の一方の側部が液柱に接触する。続いて、第3上面ノズル34Cの垂下部38の他方の側部が液柱に接触し、その後、第2上面ノズル34Bの垂下部38の他方の側部が液柱に接触する。これにより、第2上面ノズル34Bの垂下部38の外周面と第3上面ノズル34Cの垂下部38の外周面とが洗浄される。
【0095】
図12は、下面ノズル21から吐出された純水が複数の上面ノズル34のいずれかの内部に供給されている状態を示す模式図である。
図12(a)は、下面ノズル21から吐出された純水が第1上面ノズル34Aの内部に供給される第1中間位置に複数の上面ノズル34が位置している状態を示している。
図12(b)は、下面ノズル21から吐出された純水が第2上面ノズル34Bの内部に供給される第2中間位置に複数の上面ノズル34が位置している状態を示している。
図12(c)は、下面ノズル21から吐出された純水が第3上面ノズル34Cの内部に供給される第3中間位置に複数の上面ノズル34が位置している状態を示している。
【0096】
複数の上面ノズル34が第1位置と第2位置との間で往復すると、複数の上面ノズル34は、第1位置および第2位置の間の第1中間位置を通る。第1中間位置は、第1上面ノズル34Aの上吐出口35が平面視で下面ノズル21の下吐出口22に重なる位置である。また、複数の上面ノズル34が第2位置と第3位置との間で往復すると、複数の上面ノズル34は、第2位置および第3位置の間の第2中間位置と、第2中間位置と第3位置の間の第3中間位置とを通る。第2中間位置は、第2上面ノズル34Bの上吐出口35が平面視で下面ノズル21の下吐出口22に重なる位置であり、第3中間位置は、第3上面ノズル34Cの上吐出口35が平面視で下面ノズル21の下吐出口22に重なる位置である。
【0097】
図12(a)に示すように、第1上面ノズル34Aが第1中間位置に配置されると、下面ノズル21から吐出された純水が、第1上面ノズル34Aの上吐出口35を形成する垂下部38の下面に当たる。さらに、下面ノズル21から吐出された純水が、第1上面ノズル34Aの上吐出口35を介して第1上面ノズル34Aの中に入る。第1上面ノズル34A内の薬液やその結晶は、第1上面ノズル34A内に入った純水と共に上吐出口35から下方に排出される。これにより、第1上面ノズル34Aの垂下部38の下面と第1上面ノズル34Aの内部とが洗浄される。
【0098】
同様に、
図12(b)に示すように、第2上面ノズル34Bが第2中間位置に配置されると、下面ノズル21から吐出された純水が、第2上面ノズル34Bの垂下部38の下面と第2上面ノズル34Bの上吐出口35とに供給される。
図12(c)に示すように、第3上面ノズル34Cが第3中間位置に配置されると、下面ノズル21から吐出された純水が、第3上面ノズル34Cの垂下部38の下面と第3上面ノズル34Cの上吐出口35とに供給される。これにより、第2上面ノズル34Bの垂下部38の下面と第2上面ノズル34Bの内部とが洗浄され、第3上面ノズル34Cの垂下部38の下面と第3上面ノズル34Cの内部とが洗浄される。
【0099】
このように、複数の上面ノズル34の内部だけでなく垂下部38の外周面にも純水が確実に供給されるので、複数の上面ノズル34の内部および外周面の両方を確実に洗浄することができる。さらに、基板Wの下面に向けて液体を吐出する下面ノズル21を用いて複数の上面ノズル34を洗浄するので、複数の上面ノズル34に洗浄液を供給する別のノズルを設けなくてもよい。しかも、複数の上面ノズル34を第2位置と第3位置との間で往復させることで、2本のノズル(第2上面ノズル34Bおよび第3上面ノズル34C)を洗浄できるので、ノズルを1本ずつ洗浄する場合と比較して洗浄時間を短縮できる。
【0100】
第1位置と第2位置との間での複数の上面ノズル34の往復回数(第1回数)は、第2位置と第3位置との間での複数の上面ノズル34の往復回数(第2回数)と等しくてもよいし、多いまたは少なくてもよい。第1上面ノズル34Aが第2上面ノズル34Bおよび第3上面ノズル34Cよりも汚れ易い場合、第1回数を第2回数よりも多くすれば、第1上面ノズル34Aを確実に清浄にすることができる。その一方で、第2上面ノズル34Bおよび第3上面ノズル34Cが第1上面ノズル34Aよりも汚れ難ければ、少ない往復回数でも第2上面ノズル34Bおよび第3上面ノズル34Cを確実に清浄にすることができる。
【0101】
第2リンス液バルブ26が開かれてから所定時間が経過すると、第2リンス液バルブ26が閉じられ、下面ノズル21からの純水の吐出が停止される。さらに、スピンモータ8の回転が停止され、第1スプラッシュガード15A〜第4スプラッシュガード15Dが下位置に配置される。これにより、第1および第2垂下部洗浄工程を含む垂下部洗浄工程が終了する。その後、第2洗浄ノズル51から吐出された純水で複数の上面ノズル34の水平部36を洗浄する水平部洗浄工程が実行される(
図8のステップS12)。
【0102】
具体的には、ノズル移動ユニット43が複数の上面ノズル34を待機上位置に移動させる。その後、第2洗浄液バルブ55が開かれる。
図13は、第2洗浄ノズル51から吐出された純水が複数の上面ノズル34の水平部36に供給されている状態を示す模式図である。
図13に示すように、第2洗浄液バルブ55が開かれると、第2洗浄ノズル51が純水の吐出を開始する。そのため、第2洗浄ノズル51から斜め下方に流れるシート状の液流が形成される。この状態で、ノズル移動ユニット43は、待機上位置と待機下位置との間で複数の上面ノズル34を昇降させる。
【0103】
図13に示すように、第2洗浄ノズル51が純水を吐出しているときに、複数の上面ノズル34が待機上位置(二点鎖線で示す位置)と待機下位置(実線で示す位置)との間で移動すると、複数の上面ノズル34がシート状の液流を鉛直に順次通過する。これにより、第2洗浄ノズル51から吐出された純水が、全ての上面ノズル34の水平部36およびコーナー部37に供給される。さらに、水平部36に供給された純水は、水平部36に沿って下方に流れ、水平部36の下縁から落下する。コーナー部37に供給された純水は、コーナー部37から垂下部38に流れ、垂下部38の下端部から落下する。そのため、水平部36およびコーナー部37においてシート状の液流に直接接触しなかった部分にも純水が供給される。これにより、複数の上面ノズル34のより広い範囲を洗浄することができる。
【0104】
このようにして、第2洗浄ノズル51から吐出された純水で複数の上面ノズル34の水平部36およびコーナー部37が洗浄される。第2洗浄液バルブ55が開かれてから所定時間が経過すると、ノズル移動ユニット43が、複数の上面ノズル34の昇降を停止し、複数の上面ノズル34を待機上位置に位置させる。その後、第2洗浄液バルブ55が閉じられ、第2洗浄ノズル51からの純水の吐出が停止される。これにより、水平部洗浄工程が終了する。
【0105】
次に、第1乾燥ノズル56から吐出された窒素ガスで複数の上面ノズル34の垂下部38を乾燥させる垂下部乾燥工程が実行される(
図8のステップS13)。
具体的には、第1ガスバルブ60が開かれる。
図14は、第1乾燥ノズル56から吐出された窒素ガスが複数の上面ノズル34の垂下部38に供給されている状態を示す模式図である。
図14に示すように、第1ガスバルブ60が開かれると、待機ポット44の内面で開口する複数の第1ガス吐出口57が窒素ガスの吐出を開始する。そのため、第1ガス吐出口57から内方に流れる線状の気流が、待機ポット44内に形成される。この状態で、ノズル移動ユニット43が、待機上位置と待機下位置との間で複数の上面ノズル34を昇降させる。
【0106】
複数の上面ノズル34が待機ポット44に入るとき、および待機ポット44から出るとき、複数の上面ノズル34の垂下部38は、複数の気流を鉛直に通過する。第1ガス吐出口57から吐出された窒素ガスは、待機上位置と待機下位置との間で昇降する複数の上面ノズル34の垂下部38に直接当たる。垂下部38に対して窒素ガスが当たる位置は、複数の上面ノズル34の昇降に伴って鉛直に移動する。これにより、窒素ガスが複数の上面ノズル34の垂下部38に直接吹き付けられる。特に、複数の第1ガス吐出口57が平面視で互いに異なる2つ以上の方向に窒素ガスを吐出するので、複数の上面ノズル34のより広い範囲に窒素ガスを直接当てることができる。
【0107】
このようにして、第1ガス吐出口57から吐出された窒素ガスが複数の上面ノズル34に吹き付けられ、純水などの液体が複数の上面ノズル34から除去される。そして、第1ガスバルブ60が開かれてから所定時間が経過すると、ノズル移動ユニット43が、複数の上面ノズル34の昇降を停止し、待機上位置に複数の上面ノズル34を位置させる。その後、第1ガスバルブ60が閉じられ、第1ガス吐出口57からの窒素ガスの吐出が停止される。これにより、垂下部乾燥工程が終了する。
【0108】
次に、第2乾燥ノズル61から吐出された窒素ガスで複数の上面ノズル34の水平部36およびコーナー部37を乾燥させる水平部乾燥工程が実行される(
図8のステップS14)。
具体的には、第2ガスバルブ65が開かれる。
図15は、第2乾燥ノズル61から吐出された窒素ガスが複数の上面ノズル34の水平部36に供給されている状態を示す模式的な平面図である。
図15に示すように、第2ガスバルブ65が開かれると、第2乾燥ノズル61が窒素ガスの吐出を開始する。そのため、第2ガス吐出口62から複数の上面ノズル34に向かって流れる線状の気流が形成される。
【0109】
図15は、第1折り返し位置に相当する待機上位置に位置している複数の上面ノズル34を実線で示しており、第2折り返し位置に位置している複数の上面ノズル34を二点鎖線で示している。ノズル移動ユニット43は、第2乾燥ノズル61が窒素ガスを吐出している状態で、第1折り返し位置と第2折り返し位置との間で、複数の上面ノズル34をノズル回動軸線A2まわりに水平に往復させる。これにより、第2乾燥ノズル61から吐出された窒素ガスが、全ての上面ノズル34の水平部36およびコーナー部37に供給され、純水などの液体が水平部36およびコーナー部37から除去される。
【0110】
このようにして、第2乾燥ノズル61から吐出された窒素ガスが複数の上面ノズル34に吹き付けられ、純水などの液体が複数の上面ノズル34から除去される。そして、第2ガスバルブ65が開かれてから所定時間が経過すると、ノズル移動ユニット43が、複数の上面ノズル34の回動を停止し、複数の上面ノズル34を待機上位置に位置させる。その後、第2ガスバルブ65が閉じられ、第2乾燥ノズル61からの窒素ガスの吐出が停止される。これにより、水平部乾燥工程が終了する。
【0111】
以上のように第1実施形態では、スピンチャック4が基板Wを保持していない状態で、下面ノズル21に洗浄液を上方に吐出させながら、第1上面ノズル34Aを第1位置と第2位置との間で水平に往復させる。第1位置および第2位置の間の第1中間位置では、下面ノズル21から吐出された洗浄液が、第1上面ノズル34Aの上吐出口35を介して第1上面ノズル34Aの中に入る。第1上面ノズル34A内の薬液やその結晶は、洗浄液と共に上吐出口35から下方に排出される。これにより、第1上面ノズル34Aの内部が洗浄される。
【0112】
第1上面ノズル34Aが第1位置から第1中間位置に移動しているときは、下面ノズル21から上方に延びる洗浄液の柱に第1上面ノズル34Aの垂下部38の一方の側部が接触し、洗浄液が垂下部38の一方の側部に供給される。同様に、第1上面ノズル34Aが第2位置から第1中間位置に移動しているときは、下面ノズル21から上方に延びる洗浄液の柱に第1上面ノズル34Aの垂下部38の他方の側部が接触し、洗浄液が垂下部38の他方の側部に供給される。さらに、垂下部38に供給された洗浄液は、垂下部38に沿って下方に流れながら、垂下部38に沿って第1上面ノズル34Aの移動方向とは反対の方向に流れる。これにより、垂下部38において液柱に接触しなかった部分にも洗浄液が供給される。
【0113】
このように、第1上面ノズル34Aの内部だけでなく垂下部38の外周面にも洗浄液が確実に供給されるので、第1上面ノズル34Aの内部および外周面の両方を確実に洗浄することができる。これにより、第1上面ノズル34Aに付着している薬液やその結晶の残留量を減らすことができ、基板Wの汚染を抑制または防止することができる。さらに、基板Wの下面に向けて液体を吐出する下面ノズル21を第1上面ノズル34Aを洗浄する第1洗浄ノズルとして利用するので、部品点数の増加を防止することができる。
【0114】
第1実施形態では、液柱の上端が第1上面ノズル34Aの水平部36の下縁よりも上方に位置するような高い液柱が形成される。液柱が高くなると、垂下部38が液柱に接触したときに、垂下部38において洗浄液が直接供給される部分の面積が増加する。それに伴って、垂下部38において洗浄液が間接的に供給される部分、つまり、垂下部38に沿って流れる洗浄液が通過する部分の面積も増加する。これにより、垂下部38のより広い範囲を洗浄することができる。
【0115】
第1上面ノズル34Aのコーナー部37は、水平部36の先端から垂下部38の上端に延びる部分であり、第1上面ノズル34Aを上から見ると、コーナー部37の内側部分は隠れる。コーナー部37の内側部分の一部は、水平部36の下縁よりも下方に位置しており、液柱の上端よりも下方に位置している。下面ノズル21から吐出された洗浄液は、第1上面ノズル34Aが往復している間に、コーナー部37の少なくとも一部に直接または間接的に供給される。これにより、上からでは洗浄液を供給し難いコーナー部37の内側部分にも洗浄液を供給することができ、当該部分から薬液やその結晶を除去することができる。
【0116】
第1実施形態では、下面ノズル21が洗浄液を上方に吐出しているときに、ノズル移動ユニット43が、第1上面ノズル34Aと共に、第2上面ノズル34Bおよび第3上面ノズル34Cを移動させる。このとき、第2上面ノズル34Bおよび第3上面ノズル34Cは、第2位置と第3位置との間を往復する。これにより、第1上面ノズル34Aの垂下部38だけでなく、第2上面ノズル34Bおよび第3上面ノズル34Cの垂下部38も洗浄される。したがって、別のノズル移動ユニットおよび第1洗浄ノズルを用いずに、全ての上面ノズル34を洗浄することができる。
【0117】
第1実施形態では、基板Wに向けて吐出される液体の種類に応じて往復回数が変更される。第1位置と第2位置との間での往復回数が、第2位置と第3位置との間での往復回数よりも多い場合には、第1上面ノズル34Aの垂下部38をより綺麗に洗浄することができる。さらに、第2上面ノズル34Bの垂下部38が第1上面ノズル34Aの垂下部38よりも汚れ難い場合は、第2位置と第3位置との間での往復回数が少なくても、第2上面ノズル34Bおよび第3上面ノズル34Cの垂下部38を十分に洗浄することができる。これにより、洗浄時間を短縮しながら、全ての上面ノズル34を効果的に洗浄することができる。
【0118】
第1実施形態では、待機位置に位置する第1上面ノズル34Aの水平部36に向けて第2洗浄ノズル51から洗浄液が吐出される。これにより、洗浄液が水平部36に供給され、水平部36が洗浄される。したがって、第1上面ノズル34Aに付着している薬液やその結晶の残留量をさらに減らすことができる。さらに、水平部36は、第1上面ノズル34Aが待機位置に位置しているときに洗浄されるので、薬液やその結晶を含む洗浄液がスピンチャック4の上に落下し難い。したがって、スピンチャック4の汚染を防止しながら、第1上面ノズル34Aの水平部36を洗浄することができる。
【0119】
第1実施形態では、第2洗浄ノズル51に洗浄液を斜めに吐出させながら、第1上面ノズル34Aを鉛直方向に移動させる。第2洗浄ノズル51から吐出された洗浄液の少なくとも一部は、水平部36に直接当たる。第1上面ノズル34Aが鉛直に移動すると、洗浄液が第1上面ノズル34Aに直接当たる位置が変化する。したがって、洗浄液が直接当たる部分の面積を広げることができる。これにより、水平部36を効果的に洗浄することができる。
【0120】
第1実施形態では、上面ノズル34が下面ノズル21に近接した状態で垂下部洗浄工程が行われる。具体的には、
図9に示すように、下面ノズル21の下吐出口22から上面ノズル34の上吐出口35までの鉛直方向の距離
D1は、上面ノズル34の上端から整流板13の下面までの鉛直方向の距離
D3よりも短い。上面ノズル34の上端から整流板13の下面までの鉛直方向の距離
D3は、上吐出口35から上面ノズル34の上端までの鉛直方向の距離
D2よりも短い。このように、上面ノズル34が下面ノズル21に近接しているので、勢いのある液流を上面ノズル34に接触させることができ、上面ノズル34の垂下部38を効果的に洗浄できる。
【0121】
<他の実施形態>
本発明は、前述の実施形態の内容に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
たとえば、
図16に示すように、前述の垂下部洗浄工程において、下面ノズル21から吐出された純水に加えて、複数の上面ノズル34よりも上方に配置された第3洗浄ノズル71から吐出された純水を、複数の上面ノズル34のコーナー部37および垂下部38に供給してもよい。
【0122】
第3洗浄ノズル71は、整流板13の上面の上に配置された上方部71aと、上方部71aから下方に延びる先端部71bと、先端部71bに設けられた第3洗浄液吐出口72とを含む。先端部71bは、整流板13を上下方向に貫通する整流板13の差込穴13bに挿入されている。第3洗浄液吐出口72は、整流板13よりも下方に位置している。第3洗浄液吐出口72は、平面視で下面ノズル21の上面に重なる位置に配置されている。
【0123】
第3洗浄ノズル71は、第3洗浄液バルブ74が介装された第3洗浄液配管73に接続されている。第3洗浄液バルブ74が開かれると、洗浄液の一例である純水が、第3洗浄ノズル71の第3洗浄液吐出口72から下方に吐出される。これにより、第3洗浄ノズル71から下面ノズル21に向かって下方に延びる純水の柱が形成される。
第3洗浄ノズル71が純水を吐出している状態で、複数の上面ノズル34を第1位置と第2位置との間で移動させると、第1上面ノズル34Aの垂下部38は、第3洗浄ノズル71から下方に延びる液柱を水平に通過する。同様に、第3洗浄ノズル71が純水を吐出している状態で、複数の上面ノズル34を第2位置と第3位置との間で移動させると、第2上面ノズル34Bおよび第3上面ノズル34Cの垂下部38は、第3洗浄ノズル71から下方に延びる液柱を水平に通過する。
【0124】
第1位置と第2位置との間の第1中間位置では、第3洗浄ノズル71から吐出された純水が、第1上面ノズル34Aのコーナー部37の外側部分に当たり、その後、第1上面ノズル34Aのコーナー部37および垂下部38の外側部分に沿って下方に流れる。同様に、第2位置と第3位置との間の第2中間位置では、第3洗浄ノズル71から吐出された純水が、第2上面ノズル34Bのコーナー部37および垂下部38の外側部分に沿って下方に流れる。第2中間位置と第3位置との間の第3中間位置では、第3洗浄ノズル71から吐出された純水が、第3上面ノズル34Cのコーナー部37および垂下部38の外側部分に沿って下方に流れる。
【0125】
このように、前述の垂下部洗浄工程において、第3洗浄ノズル71に純水を吐出させると、第3洗浄ノズル71から吐出された純水が、全ての上面ノズル34のコーナー部37および垂下部38に供給される。これにより、複数の上面ノズル34の外周面に付着している薬液やその結晶の残留量をさらに減らすことができる。
図17に示すように、上面ノズル34の垂下部38の中心線は、水平面に対して斜めに傾いた傾斜部75を有していてもよい。
図17は、上面ノズル34を配列方向Y1に見ると、上面ノズル34の垂下部38が、上面ノズル34の伸長方向X1、つまり、水平部36の根本から水平部36の先端に向かう方向に凸の円弧状である例を示している。
【0126】
下面ノズル21から上方に吐出された純水は、垂下部38に直接供給される。また、下面ノズル21から上方に吐出された純水の一部は、湾曲した垂下部38に沿って下方に流れる。垂下部38の中心線が傾斜部75を有している場合、垂下部38の中心線がいずれの位置でも鉛直である場合と比較して、垂下部38に対して下面ノズル21から吐出された純水が直接当たる部分の面積が増加する。これにより、垂下部38を効率的に洗浄できる。
【0127】
図18に示すように、下面ノズル21は、下吐出口22に加えて、液体を上方に吐出する副吐出口76を備えていてもよい。
副吐出口76は、下面ノズル21の上面で開口している。
図18は、副吐出口76の開口面積が、下吐出口22の開口面積よりも小さく、副吐出口76が、第1中間位置に位置している第1上面ノズル34Aの水平部36の下部に向けて斜め上方に純水を吐出する例を示している。副吐出口76の開口面積は、下吐出口22の開口面積と等しくてもよいし、下吐出口22の開口面積よりも大きくてもよい。副吐出口76は、鉛直上方に純水を吐出してもよい。
【0128】
副吐出口76は、回転軸線Aに沿って延びる主流路77から分岐した分岐流路78を介して主流路77に接続されている。副吐出口76は、分岐流路78を介して主流路77から供給された液体を上方に吐出する。第2リンス液バルブ26が開かれると、下吐出口22および副吐出口76の両方が純水を上方に吐出する。これにより、下吐出口22から上方に延びる液柱と、副吐出口76から上方に延びる液柱とが形成される。垂下部洗浄工程は、下吐出口22および副吐出口76の両方が純水を吐出している状態で行われる。そのため、垂下部38だけでなく、水平部36の下部にも純水が直接供給される。これにより、複数の上面ノズル34の垂下部38以外の部分も洗浄できる。
【0129】
図19に示すように、下面ノズル21は、下吐出口22に加えて、液体を上方に吐出する複数の副吐出口79を備えていてもよい。
下面ノズル21のノズル部23は、スピンベース5の上面と基板保持位置との間の高さに配置されている。ノズル部23は、平面視で基板Wの径方向に延びる帯状である。ノズル部23は、下面ノズル21のベース部24からベース部24の片側だけに突出している。下吐出口22と複数の副吐出口79は、基板Wの下面に平行なノズル部23の上面で開口している。下吐出口22は、回転軸線A1上に配置されており、複数の副吐出口79は、回転軸線A1からの水平方向の距離がそれぞれ異なる複数の位置に配置されている。下吐出口22と複数の副吐出口79は、基板Wの径方向に延びる直線上に配置されている。
【0130】
図19は、副吐出口79の開口面積が、下吐出口22の開口面積よりも小さく、副吐出口79が、第1中間位置に位置している第1上面ノズル34Aの水平部36の下部に向けて鉛直上方に純水を吐出する例を示している。副吐出口79の開口面積は、下吐出口22の開口面積と等しくてもよいし、下吐出口22の開口面積よりも大きくてもよい。副吐出口79は、斜め上方に純水を吐出してもよい。
【0131】
複数の副吐出口79は、主流路77から分岐した分岐流路80を介して主流路77に接続されている。分岐流路80は、ノズル部23に沿って水平に延びている。第2リンス液バルブ26が開かれると、下吐出口22だけでなく、全ての副吐出口79が純水を上方に吐出する。これにより、下吐出口22から上方に延びる液柱と、複数の副吐出口79から上方に延びる液柱とが形成される。垂下部洗浄工程は、下吐出口22および副吐出口79が純水を吐出している状態で行われる。そのため、垂下部38だけでなく、水平部36の下部にも純水が直接供給される。
【0132】
複数の上面ノズル34を洗浄する洗浄液は、純水以外の液体であってもよい。たとえば、洗浄液は、IPA(イソプロピルアルコール)、電解イオン水、水素水、オゾン水、および希釈濃度(たとえば、10〜100ppm程度)の塩酸水のいずれかであってもよい。薬液の結晶が水溶性である場合、洗浄液は、水を主成分とする水含有液(水の含有率がたとえば80%以上の液体)であることが好ましい。純水および炭酸水は、水含有液の一例である。また、薬液の結晶が撥水性である場合、洗浄液は、IPAなどの有機溶剤の液体であることが好ましい。
【0133】
上面ノズル34を乾燥させる乾燥ガスは、窒素ガス以外の不活性ガスであってもよいし、不活性ガス以外のガスであってもよい。
下面ノズル21から上方に吐出された純水が上面ノズル34の垂下部38に供給されるのであれば、垂下部洗浄工程で形成される液柱の上端は、側面視における水平部36の下縁よりも下方に位置していてもよい。
【0134】
複数の上面ノズル34は、形状および構造の少なくとも一つにおいて他の上面ノズル34と異なっていてもよい。
上面ノズル34の数は、3本に限らず、1本または2本であってもよいし、4本以上であってもよい。
複数の上面ノズル34を第1位置と第2位置との間で水平に往復させることにより、2本以上の上面ノズル34の垂下部38を洗浄してもよい。たとえば、第3位置が第2位置であってもよい。この場合、複数の上面ノズル34を第1位置と第2位置との間で水平に往復させることにより、全ての上面ノズル34の垂下部38を洗浄できるので、複数の上面ノズル34を第2位置と第3位置との間で水平に往復させなくてもよい。
【0135】
同種の処理液が全ての上面ノズル34に供給されてもよい。この場合、基板Wに処理液を供給するときに、全ての上面ノズル34に処理液を吐出させてもよい。
水平部洗浄工程を行った後に、垂下部洗浄工程を行ってもよい。同様に、水平部乾燥工程を行った後に、垂下部乾燥工程を行ってもよい。
水平部洗浄工程において、第2洗浄ノズル51に純水を吐出させながら、複数の上面ノズル34を水平に移動させてもよい。たとえば、複数の上面ノズル34を水平に往復させてもよい。この場合、複数の上面ノズル34は、第2洗浄ノズル51から斜め下方に流れるシート状の液流を水平に順次通過する。これにより、第2洗浄ノズル51から吐出された純水が、全ての複数の上面ノズル34に供給される。
【0136】
図18において、副吐出口76は、分岐流路78を介して主流路77に接続されていなくてもよい。同様に、
図19において、副吐出口79は、分岐流路80を介して主流路77に接続されていなくてもよい。すなわち、主流路とは独立した、つまり、主流路に交わらない流路が、下面ノズル21に設けられており、この流路が、少なくとも一つの副吐出口に接続されていてもよい。
【0137】
スピンチャック4は、複数のチャックピン6を基板Wの外周面に接触させる挟持式のチャックに限らず、非デバイス形成面である基板Wの裏面(下面)をスピンベース5の上面に吸着させることにより基板Wを水平に保持するバキューム式のチャックであってもよいし、これら以外の形式のチャックであってもよい。
基板処理装置1は、円板状の基板Wを処理する装置に限らず、多角形の基板Wを処理する装置であってもよい。
【0138】
前述の全ての構成の2つ以上が組み合わされてもよい。前述の全ての工程の2つ以上が組み合わされてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。