(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、集合住宅などの多層建築物では、各階の衛生機器等から排出される排水は、各階の衛生機器等から横枝管を介してパイプシャフト内に設けられた排水立管路に集められ、曲管路や横管路を介して下水路に排水されるようになっている。このように各階の衛生機器等から排出される排水を下水道に排水するための排水システム(以下、単に排水システムという)では、排水立管路を構成する立管と横枝管とを接続するために、上端部および下端部のそれぞれに本管を接続可能な本管と、該本管の側面に連結され、横枝管を接続可能な分岐管とを有する集合継手(継手)が用いられている。
【0003】
排水システムに用いられる集合継手の内部では、上方の立管内を流下する水などの流体と横枝管内を流下する流体が合流するため、排水管継手から出る騒音が大きくなるので、排水管継手には何らかの遮音構造を備えていることが求められる。
【0004】
例えば、特許文献1には、排水管を接続する継手本体と、該継手本体の外面を被覆する防音カバー(遮音カバー)とを備えた排水管継手が開示されている。この排水管継手の防音カバーは、多孔質ゴムからなる防音層を主体とし、継手本体の外形に対応して継手本体に沿う立体形状に形成されており、防音層の弾性により継手本体の外面に密着している。
【0005】
また、特許文献2には、管周壁部に枝管接続口部を備えた集合管に対して管周壁部を被覆する状態で配設される可撓性の集合管用遮音カバーが開示されている。この集合管用遮音カバーにおいて枝管接続口部に対向配置される部分には、枝管接続口部またはこれに接続される枝管が挿通状態又は略挿通状態で配置可能な挿通部を切断操作によって現出するための挿通部形成用の切断位置指示印が設けられている。切断位置指示印は、外形寸法の異なる複数種の挿通部を切断操作によって現出可能な形態に構成されているとともに、外形寸法の異なる複数種の環状又は略環状の切断位置指示線から構成されている(
図2参照)。また、複数の前記切断位置指示線が、外形寸法の最も大きい前記切断位置指示線の同一箇所又は略同一箇所に接続する片寄せ状態で設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されている防音カバーを用いた場合、防音カバーの弾性を活かして継手本体に巻き付けつつ密着させると、防音カバー同士の隙間からの音漏れは防止できるが、防音カバーと継手本体との間に空気層を設けることが難しくなるという問題があった。空気層が設けられていないと、防音カバーの機能(遮音性能)が充分に発揮されなくなってしまう。
【0008】
一方、特許文献2に記載されている集合管用遮音カバーを用いた場合、集合管用遮音カバーに伸び難い素材を用いることによって、集合管用遮音カバーと管周壁部とが密着し難くなるので、これらの間に空気層が形成され易くなる。ところが、枝管接続口部に対向配置される部分が切断されることで切断位置の根本にあたる管周壁部と枝管接続口部との間に隙間が生じ易く、切断位置の隙間からの音漏れが防止しきれないうえに、切断操作が必要になるなど施工の手間がかかるという問題があった。
【0009】
また、集合継手などの継手の分岐管の設置形態が複数ある場合には、遮音カバーの加工パターンを分岐管の設置形態ごとに複数用意する必要があった。そのため、遮音カバーの材料のロスが生じ、材料費と製造の手間がかかるという問題があった。
【0010】
本発明は、上述の事情を鑑みてなされたものであり、本管と、該本管の側面に連結された分岐管とを有する集合継手(継手)に適用することができ、継手を被覆する際に、少なくとも本管との間に空気層を容易に形成するとともに、本管と分岐管の基端部との間の部分で隙間を生じさせずに容易に施工可能であり、材料のロスを抑え、材料費と製造の手間を減らすことができる継手用の遮音カバーおよび該遮音カバーを備えた継手を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る継手用の遮音カバーは、本管と該本管の側面に連結された二本以上の分岐管とを有する継手を覆う継手用の遮音カバーであって、前記本管の周方向に分割され、かつ所定の形状パターンで形成された複数の分割カバー部で構成され、前記複数の分割カバー部の少なくとも二つが同一の形状パターンで形成され、それぞれの分割カバー部は、前記本管を覆う本管カバー部と、前記分岐管の少なくとも基端部を覆うともに前記本管カバー部に一体で設けられた分岐管カバー部と、を備え、前記本管カバー部と前記分岐管カバー部は、前記本管および前記分岐管の外面から所定の間隔をあけ、かつ前記外面に沿った形状で立体的に形成され
、前記分割カバー部は、前記本管の周方向に沿う方向において前記本管カバー部と前記分岐管カバー部との連結部から前記本管カバー部の両側端部までのそれぞれの長さが互いに等しく設けられている第一形状パターン部を有する。
本発明に係る継手用の遮音カバーは、本管と該本管の側面に連結された二本以上の分岐管とを有する継手を覆う継手用の遮音カバーであって、前記本管の周方向に分割され、かつ所定の形状パターンで形成された複数の分割カバー部で構成され、前記複数の分割カバー部の少なくとも二つが同一の形状パターンで形成され、それぞれの分割カバー部は、前記本管を覆う本管カバー部と、前記分岐管の少なくとも基端部を覆うともに前記本管カバー部に一体で設けられた分岐管カバー部と、を備え、前記本管カバー部と前記分岐管カバー部は、前記本管および前記分岐管の外面から所定の間隔をあけ、かつ前記外面に沿った形状で立体的に形成され、前記分割カバー部は、前記本管の周方向に沿う方向において前記本管カバー部と前記分岐管カバー部との連結部から前記本管カバー部の両側端部までのそれぞれの長さのうち一方の長さが他方の長さより長く設定されている第二形状パターン部を有する。
本発明に係る継手用の遮音カバーは、本管と該本管の側面に連結された二本以上の分岐管とを有する継手を覆う継手用の遮音カバーであって、前記本管の周方向に分割され、かつ所定の形状パターンで形成された複数の分割カバー部で構成され、前記複数の分割カバー部の少なくとも二つが同一の形状パターンで形成され、それぞれの分割カバー部は、前記本管を覆う本管カバー部と、前記分岐管の少なくとも基端部を覆うともに前記本管カバー部に一体で設けられた分岐管カバー部と、を備え、前記本管カバー部と前記分岐管カバー部は、前記本管および前記分岐管の外面から所定の間隔をあけ、かつ前記外面に沿った形状で立体的に形成され、前記分割カバー部の接続位置は、前記継手に巻き付けた状態で前記本管の周方向に沿って前記分岐管同士の間に設けられている。
【0012】
上述の構成によれば、本管および分岐管の基端部がそれぞれの外面から所定の間隔をあけて隙間なく本管カバー部および分岐管カバー部で覆われ、事前の準備作業は特に必要ない。したがって、継手を被覆する際に、遮音カバーと少なくとも本管との間に空気層が容易に形成され、遮音性能が充分に発揮されるとともに、本管と分岐管の基端部との間の部分で遮音カバー表面上の隙間を生じることなく、容易に施工可能となる。また、分岐管の設置形態に合わせ、所定の形状パターンのうち適当な分割カバー部が本管の周方向に沿って貼り合されることで遮音カバーが構成されるので、分岐管の複数の設置形態に応じることが可能になり、かつ用意する遮音カバーの形状パターンの数が分岐管の設置形態の数ほど増大せず、抑えられる。
また、第一形状パターン部と第二形状パターン部との組み合わせや第一形状パターン部同士の組み合わせ、第二形状パターン同士の組み合わせを適宜選択的に用いる場合、例えば二種類のパターンの分割カバー部によって、平面視において分岐管同士の軸線が同一直線上に配置されている設置形態や、分岐管同士の軸線が互いに直交する設置形態などの三種類以上の分岐管の設置形態の継手を遮音カバーで覆うことが可能になる。言い換えれば、三種類以上の分岐管の設置形態の継手に対応するために、第一形状パターン部と第二形状パターン部の二種類の形状パターンの分割カバー部を用意すればよく、材料のロスが抑えられ、材料費と製造の手間がかからない。
また、分割カバー部の接続位置が、継手に巻き付けた状態で本管の周方向に沿って分岐管同士の間に設けられている場合、分割カバー部同士の接続部分が平滑になり、分割カバー部同士の貼り合わせ作業や継手を分割カバー部で覆う作業が円滑に進められる。
【0013】
本発明に係る継手用の遮音カバーでは、前記複数の分割カバー部の全てが同一の形状パターンで形成されていてもよい。
【0014】
上述の構成によれば、複数の分割カバー部の形状パターンが統一されることで、遮音カバーの製造の容易性が向上する。
【0019】
上述の継手用の遮音カバーでは、前記複数の分割カバー部を前記継手に巻き付けた状態において前記分割カバー部同士が突き合わせまたは重ね合わせた状態で貼り合わせ手段によって隙間なく貼り合わせ可能に設けられていてもよい。
【0020】
上述の構成によれば、分割カバー部の表面上で隙間なく、分割カバー部同士が確実に接続される。
【0021】
本発明に係る継手は、上述の継手用の遮音カバーを備えていることを特徴とする。
【0022】
このような継手によれば、遮音カバーで被覆される際に、遮音カバーと少なくとも本管との間に空気層が容易に形成され、遮音性能が充分に発揮されるとともに、本管と分岐管の基端部との間の部分で隙間を生じることなく、容易に施工可能となる。また、継手を覆うために用意する分割カバー部の形状パターンの数が分岐管の設置形態の数ほど増大せず、かつ分割カバー部の形状パターンの数より多種類の継手に対応可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る継手用の遮音カバーによれば、集合継手などの継手に適用可能であり、遮音カバーで継手を被覆する際に、少なくとも本管との間に空気層を容易に形成することができ、本管と分岐管の基端部との間の部分で隙間を作らずに容易に施工することができる。また、本発明に係る継手用の遮音カバーによれば、材料のロスを抑え、材料費と製造の手間を減らすことができる。さらに、本発明に係る継手によれば、上述の継手用の遮音カバーを備えることで、上述の継手用の遮音カバーと同様の作用効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を適用した継手用の遮音カバーおよび継手の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる図面は模式的なものであり、長さ、幅、及び厚みの比率等は実際のものと同一とは限らず、適宜変更することができる。
【0026】
図1に示すように、一実施形態の継手用の遮音カバー(以下、単に本実施形態の遮音カバーという場合がある)10は、集合継手(継手)1を覆う遮音カバーである。
【0027】
図2に示すように、集合継手1は、上下方向に沿って延びる本管2と本管2の側面2rに連結された三本の分岐管3とを有している。三本の分岐管3のうち、二本の分岐管3A,3Cのそれぞれの軸線J3A,J3Cは左右方向(すなわち、横方向であって本管2の周方向(D1方向)に沿う方向)に沿って同一線上に配置され、互いに本管2の軸線J2に直交している。また、三本の分岐管3のうち、もう一本の分岐管3Bの軸線J3Bは、軸線J2,J3A,J3Cのそれぞれに直交している。なお、
図2には、上述のように本管2の側面2rに三本の分岐管3が連結された集合継手1を例示しているが、後述するように集合継手1は二本以上の分岐管3を有している。
以下では、分岐管3A,3B,3Cについて、特に区別する必要がない場合は、分岐管3と記載し、関連する構成要素についてもこの記載を援用する。
【0028】
集合継手1の本管2の下部には筒状の短管5が内嵌され、短管5の下部にはテーパー管6が外嵌されている。すなわち、集合継手1と短管5とテーパー管6によって、継手構造8が構成されている。
【0029】
図1に示すように、継手構造8は、マンション等の多層階からなる建築物(図示略)の排水システムに用いられているものである。具体的には、継手構造8は、各階の衛生機器等から排出される排水を流下させるための横枝管7と、パイプシャフト内の排水立管路を構成し、横枝管7を流下した排水を排水システムの最下部へとさらに流下させる立管9とを接続するために、用いられている。
【0030】
集合継手1の本管2の上部には立管9(例えば、立管9A)の下部が嵌合し、テーパー管6の下部には別の立管9(例えば、立管9B)の上部が嵌合している。テーパー管6は、下方向に進むに従って縮径するように形成されている。テーパー管6の上端部の内径および外径は、短管5の外径などを勘案して適当に設定されている。また、テーパー管6の下端部の内径および外径は、立管9の外径などを勘案して適当に設定されている。
集合継手1の分岐管3A,3B,3Cのそれぞれには、横枝管7A,7B,7Cの下流側の端部が嵌合している。
【0031】
継手構造8は、上下方向(すなわち、
図2に示すように本管2の軸線J2に沿うD2方向)で隣り合う各階の間に介在するコンクリート製の床スラブSに形成された貫通孔Hに挿通されている。貫通孔Hの側壁と継手構造8との間は、モルタルMが充填されている。特に、分岐管3の下端より下方の集合継手1及び遮音カバー10と、短管5およびテーパー管6の上部は、モルタルM内に埋設された状態で配置されている。
【0032】
図3から
図5に示すように、本実施形態の遮音カバー10は、本管2の周方向、すなわちD1方向に分割され、かつ所定の形状パターンで形成された複数の分割カバー部11で構成されている。所定の形状パターンとは、D1方向において少なくとも一部の本管2の外面2pや分岐管3の外面3pに沿った形状であり、D1方向に分割される寸法は分岐管3の位置等を勘案して適当に設定されている。
【0033】
分割カバー部11は、本管2および分岐管3の外面2p,3pのそれぞれを、所定の間隔fをあけて覆うように、外面2p,3pのそれぞれに沿って立体的に形成されている(
図4から
図6参照)。すなわち、分割カバー部11は、いわゆる一枚物のシート状の素材が上述のように立体的に成形されたものであり、本管2に対向配置されることで本管2を覆う本管カバー部12と、分岐管3に対向配置されることで分岐管3の少なくとも基端部3jを覆う分岐管カバー部13が一体的に連設されているものである。
【0034】
分割カバー部11は、可撓性を有する素材で構成されている。このような素材としては、例えば軟質の塩化ビニル樹脂(VC)などの合成樹脂や、ブチルゴム、ポリスチレン素材などが好適である。なお、分割カバー部11で集合継手1を覆った遮音カバー付き継手18の遮音性能をさらに高める観点から、軟質のVCなどの合成樹脂を遮音層として、この遮音層の内側又は外側に、ポリエチレンテレフタレート(PET)フェルト、発泡ウレタン、発泡ポリエチレン(PE)、グラスウール、ロックウールなどからなる吸音層を設けてもよい。
【0035】
また、分割カバー部11の可撓性を有効に活用し、所定の強度を達成する観点から、分割カバー部11の厚みは0.5mm以上8mm以下であることが好ましい。上述の可撓性を有する分割カバー部11の素材を立体形状で成形する方法としては、特に限定されないが、例えばプレス成型法、真空成形法、空圧成形法などが挙げられる。
【0036】
本実施形態の遮音カバー10では、分割カバー部11は、第一形状パターン部41または第二形状パターン部42で構成されている。
【0037】
図3(a)に示すように、第一形状パターン部41は、D1方向に沿う方向において本管カバー部12と分岐管カバー部13との連結部14から本管カバー部12の両側の側端部11eまでのそれぞれの長さLが互いに等しく設けられているものであり、連結部14から側端部11eまでのそれぞれの長さLは、本管2および分岐管3の形状および大きさに合わせて所定の長さL12aに設定されている。
【0038】
図3(b)に示すように、第二形状パターン部42は、D1方向に沿う方向において本管カバー部12と分岐管カバー部13との連結部14から本管カバー部12の両側の側端部11eまでのそれぞれの長さLのうち一方の長さが他方の長さより長く設定されているものである。すなわち、連結部14から側端部11eまでのそれぞれの長さLは、本管2および分岐管3の形状および大きさに合わせて所定の長さL12a,L12bに設定され、長さL12bは長さL12aより大きい。
【0039】
分割カバー部11において、D1方向に沿う方向の側端部11eは、接続部15になっており、後述するように、集合継手1に巻き付けた状態において分割カバー部11同士が突き合わせまたは重ね合わせた状態で貼り合わせ手段によって隙間なく貼り合わせ可能に形成されている。
【0040】
図4は、
図2に示すように本管2の側面2rに三本の分岐管3A,3B,3Cが連結された集合継手1Aの上面図である。
図4に示すように、本実施形態の遮音カバー10で集合継手1Aを覆う場合は、二枚の第一形状パターン部41と、一枚の第二形状パターン部42を用いることができる。
【0041】
まず、第二形状パターン部42の連結部14から側端部11eまでの長さLが長い方(長さL12bの方)の本管カバー部12を集合継手1Aの分岐管3A,3Cの間の本管2の側面2rの方に向け、第二形状パターン部42の分岐管カバー部13を集合継手1Aの分岐管3Cに挿通させつつ、第二形状パターン部42を配置する。続いて、二枚の第一形状パターン部41のそれぞれの分岐管カバー部13を集合継手1Aの分岐管3B,3Cのそれぞれに挿通させつつ、第一形状パターン部41を配置する。
【0042】
次に、第一形状パターン部41や第二形状パターン部42の接続部15同士を適当な貼り合わせ手段によって貼り合わせる。この際、
図7に示すように、D1方向に沿って接続させる分割カバー部11の接続部15を所定の長さWで互いに重ね合わせてもよく、
図8に示すように、D1方向に沿って接続させる分割カバー部11の接続部15同士を隙間なく突き合わせてもよい。貼り合わせ手段は特に限定されないが、例えばテープやコーキング、熱融着などが挙げられる。なお、
図7および
図8では、集合継手1に関する構成の図示を省略する。
貼り合わせ作業をし易くする観点から、分割カバー部11の接続位置Aは、集合継手1に巻き付けた状態において本管2のD1方向に沿って分岐管3同士の間に設けられることが好ましい。
【0043】
上述のように、二枚の第一形状パターン部41と、一枚の第二形状パターン部42を集合継手1に合わせて配置し、接続部15同士を貼り合わせることで、本実施形態の遮音カバー10で集合継手1Aを覆い、遮音カバー付き継手18とすることができる。
【0044】
また、
図5は、本管2の側面2rに二本の分岐管3A,3Cが連結された集合継手1Bの上面図である。
図5に示すように、本実施形態の遮音カバー10で集合継手1Bを覆う場合は、二枚の第二形状パターン部42を用いることができる。
【0045】
まず、一枚目の第二形状パターン部42の連結部14から側端部11eまでの長さLが長い方(長さL12bの方)の本管カバー部12を集合継手1Aの分岐管3A,3Cの間の本管2の一方の側面2rの方に向ける。続いて、二枚目の第二形状パターン部42の連結部14から側端部11eまでの長さLが短い方(長さL12aの方)の本管カバー部12の接続部15を一枚目の第二形状パターン部42の連結部14から側端部11eまでの長さLが長い方の本管カバー部12の接続部15の方に向ける。そして、二枚の第二形状パターン部42のそれぞれの分岐管カバー部13を集合継手1Bの分岐管3A,3Cのそれぞれに挿通させつつ、第一形状パターン部41を配置する。
【0046】
次に、第二形状パターン部42の接続部15同士を上述と同様の貼り合わせ手段によって貼り合わせる。これにより、本実施形態の遮音カバー10で集合継手1Bを覆い、遮音カバー付き継手18とすることができる。
【0047】
また、
図6(a)は、本管2の側面2rに二本の分岐管3A,3Bが連結された集合継手1Cの上面図である。
図6(a)に示すように、本実施形態の遮音カバー10で集合継手1Cを覆う場合も、二枚の第二形状パターン部42を用いることができる。
【0048】
ただし、二枚の第二形状パターン部42を用いて集合継手1Cを覆う際には、一枚目の第二形状パターン部42の連結部14から側端部11eまでの長さLが長い方(長さL12bの方)の本管カバー部12を集合継手1Aの分岐管3A,3Cの間の本管2の一方の側面2rの方に向ける。続いて、二枚目の第二形状パターン部42の連結部14から側端部11eまでの長さLが長い方(長さL12bの方)の本管カバー部12の接続部15を一枚目の第二形状パターン部42の連結部14から側端部11eまでの長さLが長い方の本管カバー部12の接続部15の方に向ける。その後は、二枚の第二形状パターン部42を用いて集合継手1Bを覆う場合と同様にして、遮音カバー付き継手18を得ることができる。
【0049】
また、
図6(b)は、本管2の側面2rに二本の分岐管3B,3Cが連結された集合継手1Dの上面図である。
図6(b)に示すように、集合継手1Dおよび集合継手1Dを覆う二枚の第二形状パターン部42は、集合継手1Cおよび集合継手1Cを覆う二枚の第二形状パターン部42と同様の相対的配置をしており、本管2の軸線J2を中心に一方を回転させれば重なるので、本実施形態の遮音カバー10で集合継手1Dを覆う場合も、二枚の第二形状パターン部42を用い、二枚の第二形状パターン部42を用いて集合継手1Cを覆う場合と同様にして、遮音カバー付き継手18を得ることができる。
【0050】
図1および
図2に示すように、遮音カバー付き継手18の遮音性能をより高める観点から、テーパー管6の外面6pは、遮音カバー20で覆われている。遮音カバー20は、遮音カバー10Aと同様の素材で構成され、テーパー管6の外面6pとの間に所定の間隔をあけた状態で配されていることが好ましい。
【0051】
以上説明した本実施形態の遮音カバー10によれば、複数の分割カバー部11がそれぞれ予め集合継手1の外面に沿うように立体形状で形成されているため、複数の分割カバー部11で集合継手1を覆い、接続部15同士を接着するだけで、集合継手1の本管2を本管カバー部12で覆うとともに分岐管3を分岐管カバー部13で覆い、集合継手1の全体を遮音カバー10Aの表面上に隙間なく覆うことができる。また、本管2および分岐管3のそれぞれの外面2p,3pから所定の間隔fをあけて遮音カバー10Aを配置し、
図4から
図6に示すように、外面2p,3pと分割カバー部11との間に空気層Zを形成することができる。空気層Zは吸音層として機能する。したがって、準備作業等をせず、容易に複数の分割カバー部11で集合継手1を覆うとともに、遮音カバー付き継手18の遮音性能を高め、充分に発揮させることができる。さらに、可撓性を有する材質で分割カバー部11を構成することで、集合継手1を覆う際の分割カバー部11の取り扱いを容易にすることができる。
【0052】
また、分岐管3の設置形態に合わせ、所定の形状パターンのうち適当な分割カバー部11を本管2のD1方向に沿って貼り合わせることで遮音カバー10を構成するので、集合継手1の分岐管3の複数の設置形態に対応することができ、かつ用意する分割カバー部11の形状パターンの数を分岐管3の設置形態の数ほど増やすことなく、分割カバー部11の材料のロスや材料費、製造の手間を減らすことができる。
【0053】
また、本実施形態の遮音カバー10によれば、集合継手1の形状、すなわち分岐管3の数や設置形態に合わせ、第一形状パターン部41と第二形状パターン部42との組み合わせや第一形状パターン部41同士の組み合わせ、第二形状パターン部42同士の組み合わせを適宜選択することで、二種類の形状パターンの第一形状パターン部41と第二形状パターン部42を用い、平面視において分岐管3同士の軸線が同一直線上に配置されている設置形態や、分岐管3同士の軸線が互いに直交する設置形態などの三種類以上の分岐管3の設置形態の集合継手1を第一形状パターン部41と第二形状パターン部42で覆うことができる。つまり、三種類以上の分岐管3の設置形態の集合継手1に対応するために、第一形状パターン部41と第二形状パターン部42の二種類の形状パターンの分割カバー部11を用意すればよく、分割カバー部11の材料のロスを抑え、材料費と製造の手間を減らすことができる。
例えば、
図3(a)に示す第一形状パターン部41と
図3(b)に示す第二形状パターン部42のように二種類の形状パターンの分割カバー部11によって、
図4から
図6に示すように合計四種類の集合継手1A,1B,1C,1Dを覆い、遮音カバー付き継手18を得ることができる。
【0054】
また、本実施形態の遮音カバー10によれば、分割カバー部11同士の接続位置Aが集合継手1に巻き付けた状態で本管2のD1方向に沿って分岐管3同士の間に設けられているので、分割カバー部11同士の接続部分を平滑に、かつより短くし、貼り合わせ作業や集合継手1を分割カバー部11で覆う作業を円滑に進めることができる。
【0055】
また、本実施形態の遮音カバー10によれば、複数の分割カバー部11を集合継手1に巻き付けた状態において分割カバー部11同士が突き合わせまたは重ね合わせた状態で貼り合わせ手段によって隙間なく貼り合わせ可能に設けられているので、分割カバー部11同士の隙間を確実になくすことができる。これにより、遮音カバー付き継手18の施工作業の効率の向上も図ることができる。
【0056】
なお、遮音カバー付き継手18の遮音性能をさらに高める観点から、遮音カバー20の上端は遮音カバー10Aにおいて本管カバー部12の下端に連接していることが好ましい。すなわち、遮音カバー20の上下方向の寸法が延長され、遮音カバー20によってテーパー管6に加えて短管5が覆われていることが好ましい。これによって、継手構造8の全体が遮音カバー10によって覆われ、遮音性能が向上する。しかしながら、本実施形態のように短管5がモルタルMの内部に完全に埋設される場合は、建築物の各階などに露出する箇所がないので、
図1に示すように、短管5には遮音カバー10が覆われていなくてもよい。
【0057】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0058】
例えば、複数の分割カバー部11の全てが同一の形状パターンで形成されていてもよい。一例としては、複数の分割カバー部11は、複数の第一形状パターン部41のみで構成されていてもよく、複数の第二形状パターン部42のみで構成されていても構わない。
複数の分割カバー部11が四枚の第一形状パターン部41で構成されている場合は、図示していないが、四本の分岐管3のそれぞれの軸線がD1方向(すなわち、本管2の周方向)に沿う同一面上で隣り合う分岐管3の軸線と直交し、本管2の軸線J2とも直交する集合継手を容易に覆い、遮音カバー付き継手18とすることができる。
また、複数の分割カバー部11が二枚の第二形状パターン部42(
図3(b)参照)で構成されている場合は、共通の形状パターンで形成された第二形状パターン部42によって、既に説明した三種類の集合継手1B,1C,1Dを容易に覆い、遮音カバー付き継手18とすることができる(
図5,
図6(a),(b)参照)。
【0059】
さらに、遮音カバー10で覆う継手は、建築物の排水システムに用いられる集合継手1に限定されず、あらゆる配管に用いられる継手に適用することができる。