(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1,2では、「押圧部」や「連結部分」を介してネック部とハンドル部との「接続部位」を変位させることで、ハンドル部に対してネック部を湾曲させ、ブラッシング圧をコントロールする技術である。そのため、過剰な操作圧力の場合も、上述した接続部位のみでブラシング圧をコントロールすることになり、ハンドル部に対するヘッド部の変位が大きくなってしまう。ヘッド部の変位が必要以上に大きくなると、適度なブラッシング圧が得られず操作性が疎かになる場合があった。
【0005】
本発明の一つの態様は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、歯に対するブラッシング圧をコントロールでき、柔軟な操作性を持つ歯ブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の歯ブラシは、先端側に配置され植毛面に毛束が植設されたヘッド部と、前記ヘッド部の後端側に延設されたネック部と、前記ネック部の前記ヘッド部とは反対側の後端側に延設されたハンドル部と、を備え、前記ハンドル部は、前記ネック部から連続する本体部と、前記本体部に沿って延在し、一端側が前記本体部の幅方向に離間した状態で他端側が前記本体部の末端に連結された分岐部と、前記本体部と前記分岐部とを一体的に保持する弾性保持部材と、を少なくとも有
し、前記ハンドル部の延在方向に交差する幅方向において、前記本体部の側面と、前記側面に対向する前記分岐部の内面とは、互いの傾斜方向が同じで背面側から前記植毛面側へ行くにしたがって幅方向両側へ向かう傾斜面とされ、互いに並行している、ことを特徴とする。
本発明の一態様の歯ブラシは、先端側に配置され植毛面に毛束が植設されたヘッド部と、前記ヘッド部の後端側に延設されたネック部と、前記ネック部の前記ヘッド部とは反対側の後端側に延設されたハンドル部と、を備え、前記ハンドル部は、前記ネック部から連続する本体部と、前記本体部に沿って延在し、一端側が前記本体部の幅方向に離間した状態で他端側が前記本体部の末端に連結された分岐部と、前記本体部と前記分岐部とを一体的に保持する弾性保持部材と、を少なくとも有
し、前記本体部の幅方向両側に前記分岐部をそれぞれ有し、前記弾性保持部材が設けられていない状態において、各分岐部は、前記ネック部側へ行くにしたがって前記本体部から離れる方向へそれぞれ延在している、ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の一態様の歯ブラシにおいて、前記弾性保持部材は、前記本体部と前記分岐部との間の隙間を埋めるようにして設けられている構成としてもよい。
【0008】
また、本発明の一態様の歯ブラシにおいて、前記本体部及び前記分岐部の少なくとも一部が前記弾性保持部材によって覆われている構成としてもよい。
【0009】
また、本発明の一態様の歯ブラシにおいて、前記ハンドル部の延在方向に交差する幅方向において、前記本体部の側面と、前記側面に対向する前記分岐部の内面とは、互いの傾斜方向が同じで背面側から前記植毛面側へ行くにしたがって幅方向両側へ向かう傾斜面とされ、互いに並行している構成としてもよい。
【0010】
また、本発明の一態様の歯ブラシにおいて、前記ハンドル部の延在方向に交差する断面形状が、前記植毛面側を底面とする略三角形状を呈している構成としてもよい。
【0011】
また、本発明の一態様の歯ブラシにおいて、前記本体部の幅方向両側に前記分岐部をそれぞれ有し、前記弾性保持部材が設けられていない状態において、各分岐部は、前記ネック部側へ行くにしたがって前記本体部から離れる方向へそれぞれ延在している構成としてもよい。
【0012】
また、本発明の一態様の歯ブラシにおいて、前記弾性保持部材は、前記本体部及び前記分岐部を形成する樹脂よりも軟質な樹脂により形成されている構成としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、歯に対するブラッシング圧をコントロールでき、柔軟な操作性を持つ歯ブラシを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の各実施形態について図面を用いて説明する。
なお、以下に示す各実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の各図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0016】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態の歯ブラシの構成について説明する。
図1(a)は、歯ブラシ1の平面図である。
図1(b)は、歯ブラシ1の側面図である。
図1(c)は、
図1(a)のA−A線に沿う断面図である。
図2(a)は、歯ブラシ本体10Aの平面図である。
図2(b)は、歯ブラシ本体10Aの側面図である。
図2(c)は、
図2(a)のB−B線に沿う断面図である。
【0017】
図1(a)〜(c)に示すように、本実施形態の歯ブラシ1は、歯ブラシ1の骨組みを構成する歯ブラシ本体10Aと、歯ブラシ本体10Aよりも軟質の弾性保持部材12と、複数の毛束13とを備えて構成されており、3つの主要部位からなる。
【0018】
具体的に歯ブラシ1は、硬質な歯ブラシ本体10Aの先端に配置され、且つ用毛13aの毛束13が複数植毛されたヘッド部14と、ヘッド部14の後端側に延設されたネック部15と、ネック部15の後端(ヘッド部14側の端部とは反対側の端部)側に延設され、且つ歯ブラシ本体10Aよりも軟質の弾性保持部材12を有するハンドル部16と、を備える。
【0019】
歯ブラシ本体10Aは、全体として長尺状に一体形成されたものであり、例えば、樹脂を材料とし射出成形により得られるものである。
歯ブラシ本体10Aの材質としては、例えば、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリスチレン樹脂(PS)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS)、ポレアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリルスチレン樹脂(AS)などが挙げられる。
上記の樹脂は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
歯ブラシ本体10Aの長さは、特に限定されず、例えば、100〜200mmとされる。
【0020】
ヘッド部14は、厚さ方向の一方側(以下、上面側と称する)に植毛面14aを有している。植毛面14aには、植毛穴14bが複数形成され、植毛穴14bに用毛13aの毛束13が植設されている。なお、
図1(a)においては、毛束13の図示が省略されている。
【0021】
本実施形態におけるヘッド部14の後端側の端部は、最も先端側に配置された植毛穴14bの外縁からヘッド部14の先端までの距離をL1とすると、最も後端側に配置された植毛穴14bの外縁から後端側に距離L1の位置で定義される。すなわち、
図1(a)に示すように、ヘッド部14は、長さ方向の両端に位置する植毛穴14bの外縁からそれぞれ距離L1ほど離れた範囲Rを含む。範囲Rの後端側の位置は、ヘッド部14とネック部15との境界となる。
【0022】
ヘッド部14の長さは、特に限定されず、例えば、10〜33mmが好ましく、12〜28mmがより好ましい。上記下限値以上であれば、毛束13を植設する面積を十分に確保でき、上記上限値以下であれば、口腔内での操作性をより高められる。
ヘッド部14の幅、すなわち植毛面14aと平行で、且つハンドル部16の長さ方向と直交する方向の幅(以下、単に幅を称する)は、特に限定されず、例えば、5〜16mmが好ましく、8〜12mmがより好ましい。
【0023】
ネック部15は、ヘッド部14の植毛面14aと平行に延在している。
ネック部15の長さは、特に限定されず、例えば、35〜55mmが好ましく、40〜50mmがより好ましい。ネック部15の幅は、特に限定されず、例えば、3.0〜5.0mmが好ましく、3.5〜4.5mmがより好ましい。
【0024】
ハンドル部16は、ネック部15と同様に、ヘッド部14の植毛面14aと平行に延在している。
本実施形態のハンドル部16は、ネック部15から連続する本体部16Aと、本体部16Aの幅方向両側に設けられた一対の分岐部16B,16Bと、本体部16Aと一対の分岐部16B,16Bとを一体的に保持する弾性保持部材12と、を有している。弾性保持部材12により、各分岐部16B,16Bと本体部16Aとは互いに平行して直線状に延在している。
【0025】
本体部16Aは、
図1(a)及び
図1(b)に示すようにネック部15から直線状に延在し、ネック部15と同様の幅を有している。本体部16Aは、
図1(c)に示すように、ハンドル部16の延在方向に交差する断面形状が、植毛面14a側の表面10aを底面とする略三角形状を呈している。このため、本体部16Aの幅方向両側の側面16a,16aは、歯ブラシ本体10Aの背面10b側から表面10a側にかけて幅方向へ拡がる傾斜面となっている。
【0026】
一対の分岐部16B,16Bは、本体部16Aに沿って延在し、先端16d側が本体部16Aの幅方向に離間した状態で他端側の基部(他端)16cが本体部16Aの末端にそれぞれ連結されている。一対の分岐部16B,16Bは、弾性保持部材12によって本体部16Aと一体化されている。
【0027】
各分岐部16B,16Bは、
図1(c)に示すように、幅方向における断面が略台形状を呈している。各分岐部16B,16Bの側面16bは、本体部16Aの各側面16aに対向するとともにこれら各側面16aと同じ傾斜方向へ傾斜した傾斜面であり、互いに並行している。これら分岐部16B,16Bの内面は、歯ブラシ本体10Aの背面10b側から表面10a側へ行くにしたがって幅方向両側へ向かって傾斜している。
【0028】
弾性保持部材12は、本体部16Aと分岐部16B,16Bとの間の隙間S,Sを埋めるように設けられ、各分岐部16B,16Bを本体部16Aに接着している。各隙間S,Sに配置された弾性保持部材12,12は、幅方向における断面において略V字状を描いている。
【0029】
弾性保持部材12の材料としては、本体部16A及び分岐部16B,16B等を形成する樹脂材料よりも軟質の樹脂材料を用いることが好ましく、例えば、硬度40〜80の樹脂がより好ましい。また、弾性保持部材12の材料としては、上記硬度条件の他、歯ブラシ本体10Aとの接着性を考慮して選択する。例えば、歯ブラシ本体10Aがポリプロピレン樹脂からなる場合には、弾性保持部材12としてスチレン系エラストマー樹脂を用いることが好ましい。
【0030】
本実施形態の歯ブラシ本体10Aは、
図2(a)に示すように弾性保持部材12が配置される前の状態において、各分岐部16B,16Bは、ネック部15側へ行くにしたがって本体部16Aから離れる方向へそれぞれ延在している。すなわち、弾性保持部材12のない初期状態での各分岐部16B,16Bは、本体部16Aの延在方向に対して傾斜しており、先端16d側が本体部16Aから最も離れている。
【0031】
本実施形態の歯ブラシ本体10Aは、金型を用いた射出成形により得られるものであることから、本体部16A及び分岐部16B,16Bのそれぞれに、抜きテーパーとして機能する傾斜面(側面16a及び側面16b)を設けておくことで、一次成形時に金型から外しやすくなる。また、本体部16Aに対して分岐部16B,16Bの先端16d、16d側がそれぞれ開いた形状である点においても、離型に有利である。
【0032】
なお、本実施形態においては、分岐部16B,16Bがその延在方向で略一定の肉厚で形成されているが、本体部16Aと連結される基部16c側の肉厚が部分的に薄肉とされていてもよい。弾性保持部材12を設けるために二次成形する際、二次金型への歯ブラシ本体10Aのセットが容易になる。
【0033】
このようなハンドル部16の長さは、特に限定されず、例えば、80〜130mmが好ましく、90〜120mmがより好ましい。
【0034】
図3(a)は、歯ブラシ1のハンドル部16を握る前の状態を示す断面図である。
図3(b)は、歯ブラシ1のハンドル部16を握ったときの状態を示す断面図である。
図3(c)は、ブラッシング時の状態を示す断面図である。
【0035】
本実施形態の歯ブラシ1は、使用時にハンドル部16を握ると幅方向両側から把持力が加わり、弾性保持部材12の柔軟性によってハンドル部16の形状が変化する構成とされている。
【0036】
図3(a)に示すように、歯ブラシ1の使用前(握る前)の状態は、ハンドル部16の本体部16A及び各分岐部16B,16Bはともに同一の平面を構成し、歯ブラシ本体10Aの表面10a及び背面10bともに平坦な面となっている。
【0037】
図3(b)に示すように、歯ブラシ1の使用中では、把持力によって、ハンドル部16における本体部16Aが、その両側の各分岐部16B,16Bに対して表面10a側へ突出するように変形する。本実施形態では、本体部16Aが、幅方向における断面形状が三角状を呈しているとともに、各分岐部16B,16Bが、本体部16Aの側面16a,16aに並行して傾斜する側面16b,16bを有している。そのため、把持力によって分岐部16B,16Bどうしが近づくと、分岐部16B,16Bの側面16a,16aによって、本体部16Aが表面10a側へと押し出されるように変位する。これにより、歯ブラシ1のネック部15からヘッド部14にかけて植毛面14a側へ傾き、奥歯の奥側を磨きやすい傾きに変化する。
【0038】
また、把持力を弱めることで、本体部16Aの位置、すなわちヘッド部14及びネック部15の位置を元の位置に戻すことができる。
【0039】
歯ブラシ1は、本体部16Aと各分岐部16B,16Bとの隙間Sに充填された柔軟な弾性保持部材12を介して支点を形成するため、これらの連結部分である基部16cを基点として変位する本体部16Aの変位は、支点を介して制御される。
【0040】
以上述べたように、本実施形態の歯ブラシ1によれば、ハンドル部16に付与された柔軟性により、ハンドル部16のうち、ヘッド部14及びネック部15に連設されたハンドル部16の本体部16Aが分岐部16B,16Bに対して変位し、本体部16Aから当該本体部16Aに連設されたネック部15及びヘッド部14にかけて、表面10a側への傾きを与えることができる。つまり、ハンドル部16を握ることによって、ヘッド部14側を本体部16Aごと傾けることが可能であり、ヘッド部14だけを撓ませる構成よりも、撓み加減を調整しやすい。
【0041】
本体部16Aからヘッド部14にかけてのヘッド部14の傾き加減は、ハンドル部16に対する把持力によって調整することが可能である。これは、磨きにくい歯の内側または背面側、奥歯の奥を磨くときに有利となる。これまで磨きにくかった部分に用毛が届くことで、ブラッシングが容易になり、歯の清掃を良好に行える。
【0042】
また、本実施形態の歯ブラシ1は、使用時に、ヘッド部14に対して植毛面14aに垂直な方向の力が加わると、ヘッド部14から本体部16Aにかけての部分が背面10b側へ押し戻される状態となる。このとき、背面10b側へのヘッド部14の変位(分岐部16Bに対する本体部16Aの変位)が大きくなってしまうと、歯に対するブラッシング圧が十分に得られず、歯の清掃性が低下してしまうが、本実施形態の歯ブラシ1であれば、分岐部16B,16B及び本体部16Aが各々の延在方向で弾性保持部材12と一体的に構成されているため、背面10b側へのヘッド部14の変位(分岐部16Bに対する本体部16Aの変位)、すなわち、ヘッド部14側が歯ブラシ1の背面10b側へ向かって過剰に撓むことはなく、歯に対する適度なブラッシング圧を得ることができる。
【0043】
このように、弾性保持部材12によってヘッド部14に弾性力を付与することで、過剰なブラッシング圧を吸収することができるので、歯茎を傷めることもなく、歯の清掃性が向上する。一方で、分岐部16B,16Bは変形しないため、ハンドル部16をしっかりと握ることができ、柔軟な操作性が確保される。本実施形態では、ハンドル部16に対して触感的にも柔軟効果を高めたことで、手にフィットしやすい歯ブラシ1となっている。
【0044】
以上述べたように、本実施形態によれば、ハンドル部16を把持することによって、歯に対するブラッシング角度やブラッシング圧をコントロールすることができ、柔軟な操作性を持つ歯ブラシ1を提供することができる。
【0045】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態の歯ブラシ20の構成について説明する。
以下に示す本実施形態の歯ブラシ20の基本構成は、上記第1実施形態と略同様であるが、ハンドル部26の構成において異なる。よって、以下の説明では、上記実施形態と異なる構成について詳しく説明し、共通な箇所の説明は省略する。また、説明に用いる各図面において、
図1〜
図3と共通の構成要素には同一の符号を付すものとする。
【0046】
図4(a)は、歯ブラシ20の平面図である。
図4(b)は、歯ブラシ20の側面図である。
図4(c)は、
図4(a)のA−A線に沿う断面図である。
【0047】
図4(a)に示すように、第2実施形態における歯ブラシ20は、幅広の指当て部21を有したハンドル部26を備えて構成されており、ハンドル部26の先端側に膨らみを持たせた形状となっている。指当て部21は、植毛面14aの法線方向から見た平面視において、略円形状あるいは楕円形状を呈している。
【0048】
指当て部21は、本体部26Aの両側に位置する分岐部26B,26Bの先端26d側に設けられた幅広部126を含む。幅広部126は、幅方向外側へ突出するように湾曲しており、歯ブラシ20の長さ方向において幅寸法が徐々に変化した形状となっている。
【0049】
本実施形態では、例えば、指当て部21の最大幅寸法が、歯ブラシ20の把持領域における幅寸法の約1.5倍程度に設定されている。
【0050】
分岐部26Bの第1側面26b1は、全体的に、本体部26Aの側面26aに対して略一定の間隔で対向している。一方、指当て部21における分岐部26Bの第2側面26b2は、幅方向外側に湾曲していることから、本体部26Aの側面26aとの間の距離が部分的に異なっている。他の部位に比べて隙間が広くなる分、本体部26Aと分岐部26Bとの間に配置される弾性保持部材12の樹脂の量が多くなっている。
【0051】
本実施形態においても、断面視三角形状を呈する本体部26Aの両側面26a,26aの傾斜に倣って、各分岐部26Bの側面26b(第1側面26b1,第2側面26b2)もそれぞれ傾斜している。これにより、ハンドル部26を握ることで、分岐部26B,26Bに対して本体部26Aを変位させることができ、ヘッド部14側を本体部26Aごと傾けることができる。これにより、上記実施形態と同様に、磨きにくい奥歯の奥まで用毛が届くようになり、歯の清掃を良好に行うことができる。
【0052】
また、ハンドル部26の弾性によって、ヘッド部14における過剰なブラッシング圧を緩和することができるとともに適度なブラッシング圧を得ることができるので、清掃性が向上する。
【0053】
さらに、本実施形態では、ハンドル部26のネック部15側に指当て部21が設けられていることから、歯ブラシ20を握った際により滑りにくくなる。これにより、歯ブラシ20を安定してしっかりと持つことができ、操作性が向上する。
【0054】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態の歯ブラシ30の構成について説明する。
以下に示す本実施形態の歯ブラシ30の基本構成は、上記第1実施形態と略同様であるが、ハンドル部36の構成において異なる。よって、以下の説明では、上記実施形態と異なる構成について詳しく説明し、共通な箇所の説明は省略する。また、説明に用いる各図面において、
図1〜
図3と共通の構成要素には同一の符号を付すものとする。
【0055】
図5(a)は、歯ブラシ30の平面図である。
図5(b)は、歯ブラシ30の側面図である。
図5(c)は、
図5(a)のD−D線に沿う断面図である。
図5(d)は、
図5(a)のE−E線に沿う断面図である。
【0056】
図5(a)に示すように、第3実施形態における歯ブラシ30は、歯ブラシ本体10Aと、歯ブラシ本体10Aの外表面を部分的に覆う弾性保持部材12と、を有して構成されている。
歯ブラシ30のハンドル部36は、歯ブラシ本体10Aにおけるヘッド部14及びネック部15に連設された本体部16Aと、その両側の分岐部16B,16Bと、これら本体部16Aと各分岐部16B,16Bとを覆う弾性保持部材12と、によって、構成される。
【0057】
ハンドル部36は、ネック部15側に設けられた膨出部36Aと、ネック部15とは反対側に設けられた膨出部36Bと、これら膨出部36A,36Bの間に設けられたくびれ部36Cと、を有している。ハンドル部36の外側輪郭、すなわち弾性保持部材12の外側輪郭は、各膨出部36A,36Bとくびれ部36Cとを滑らかな曲面で形成されている。
【0058】
長さ方向におけるくびれ部36Cの位置は、任意に設定することができる。本実施形態では、ネック部15側の膨出部36Aよりも歯ブラシ30の後端側の膨出部36Bの方が長く、膨出部36Aが歯ブラシ30を握ったときの指当て部31として機能する。
【0059】
弾性保持部材12は、本体部16A及び各分岐部16B,16Bの表面全体を覆うとともに、これらの外形が弾性保持部材12の表面33aに反映されない肉厚で形成されている。弾性保持部材12の肉厚は、表面10a側と背面10b側とで同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、表面10a側の肉厚を厚くすることで高いフィット効果が得られるため好ましい。
【0060】
弾性保持部材12は、上述した弾性保持部材12と同様の材料を用いることが可能である。弾性保持部材12の材料や厚さ寸法は、分岐部16B,16Bに対する本体部16Aの変位を妨げることがないように選定される。
【0061】
また、本実施形態では、
図5(b)に示すように、ハンドル部36のネック部15側の表面36a及び裏面36bが、ネック部15側から後端側へ向かって徐々に外側へ向かって拡がるように変化している。このように、ハンドル部36のうち、ネック部15に近い膨出部36Aの形状を、ネック部15側から徐々に太さが変化する形状とすることで、ヘッド部14の変位領域や、ハンドル部16に対する把持力と変位量との関係を調整することができる。
【0062】
本実施形態では、本体部16A及び各分岐部16B,16Bの全体が、軟質の樹脂材料からなる弾性保持部材12で覆われた構成となっている。そのため、ハンドル部36の本体部16Aは弾性保持部材12ごと変位することになる。本体部16Aの変位具合は、保持部材を介して使用者の手に伝わり、感触によって把持力を調整することができる。
【0063】
また、本実施形態においても、先の実施形態と同様にヘッド部14を本体部16Aごと撓ませることによって、奥歯の奥を磨くときなど、磨きにくかった部分に用毛が届くようになる。このため、ブラッシングが容易になり、歯の清掃を良好に行うことができる。また、弾性保持部材12の可撓性により、過剰なブラッシング圧を緩和して適度なブラッシング圧を得ることができるので、操作性が良好で清掃性も向上する。
【0064】
弾性保持部材12の厚みや形状は適宜変更することができるので、大人や子供など、使用する人の手に合わせたハンドル部36の太さや形状とすることで、握力が弱い人でも持ちやすくなり、操作性や清掃効率が向上する。
【0065】
なお、本体部16Aと各分岐部16B,16Bとの間の隙間S,Sが弾性保持部材12によって埋められていれば、本体部16A及び各分岐部16B,16Bの少なくとも一部だけが覆われた構成となっていてもよい。
【0066】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0067】
例えば、第1実施形態の構成においても、ハンドル部16に指当て部を設けてもよい。この場合は、本体部16Aにおける先端側(ネック部15)側の表面に、凹凸や凹み形状を形成することで指当て部とすることができる。これにより、ハンドル部16のホールド性が向上し、歯ブラシ1を操作し易くなる。