(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態に係る合流支援システム及び合流支援装置について、
図1〜
図8を参照しながら説明する。
【0018】
(合流支援システムの全体構成)
図1は、第1の実施形態に係る合流支援システムの全体構成を示す図である。
合流支援システム1は、上述の合流支援装置10と、合流車両A2に搭載される車載器20と、によって構成される。
【0019】
図1に示すように、合流支援装置10は、道路(高速道路等)の本線L1に対し合流車線L2が合流する合流地点Cの周辺に設置される。以下の説明において、本線L1を走行する車両を「本線車両A1」と表記し、合流車線L2を走行する車両を「合流車両A2」とも表記する。
本実施形態に係る合流車両A2は、運転者がハンドル、アクセル及びブレーキを操作して運転を行う手動運転車両であるものとする。
【0020】
図1に示すように、合流支援装置10は、制御装置11と、車両検知センサ12と、路側無線機13と、を備えている。
【0021】
制御装置11は、合流支援装置10の全体の動作を司る演算処理装置である。制御装置11は、特に、合流車両A2に対し合流を支援するための合流支援情報を生成する。制御装置11の機能の詳細については後述する。
【0022】
車両検知センサ12は、本線L1に沿って、合流地点Cから本線L1の上流側(本線車両A1の走行方向手前側)に遡って複数箇所に設置される。車両検知センサ12は、各々の検知範囲において本線L1を走行する本線車両A1を検知する。
本実施形態においては、車両検知センサ12は、車両撮影用カメラとレーダーとを組み合わせてなる。車両撮影用カメラは、本線L1における検知範囲(撮影範囲)を撮影し、その映像情報を出力する。また、レーダーは、検知範囲に電波を発信し、当該電波が車両の車体で反射されてなる反射波に基づくレーダー検知情報を出力する。このレーダー検知情報によれば、車両(本線車両A1)の存在位置及び速度を識別することができる。
車両検知センサ12は、上記映像情報及びレーダー検知情報(以下、これらを総称して「車両検知情報」とも表記する。)を制御装置11に出力する。
なお、
図1において、車両検知センサ12は、追越車線(車両A1の走行方向右側の車線)側の路側に設置されているが、この態様に限定されない。例えば、車両検知センサ12は、走行車線(車両A1の走行方向左側の車線)側の路側に設置されていてもよい。このようにすることで、合流支援のために重要な、走行車線側を走行する車両A1の存在を精度良く検知することができる。
【0023】
車両検知センサ12は、合流地点Cの上流側の広範囲(例えば、500m〜1km程度)に渡って100mおきに設置される。
このようにすることで、合流車両A2が合流地点Cに到達するよりも十分に手前側から本線車両A1の状況を認識することができる。したがって、合流車両A2は、合流地点Cよりも十分に手前側を走行する本線車両A1の状況に基づいて、より安全かつ的確な判断をすることができる。
また、例えば、自動運転車両の合流車両A2が制御不能状態となった場合、本線車両A1が時速100kmで走行中に、異常に気づくまでの時間を10秒(約278m走行)とし、そこから急制動(約112mで停止)するまでの距離以上(500m〜1km)が確保されるので、本線車両A1の安全性も高められる。
【0024】
路側無線機13は、合流車線L2に沿って設置される。路側無線機13は、無線通信を介して、合流車線L2を走行する合流車両A2に向けて合流支援情報を送信する。ここで、
図1に示すように、合流車両A2は、車載器20を搭載している。車載器20は、路側無線機13から送信された合流支援情報を受信可能とされている。
路側無線機13及び車載器20は、例えば、狭域通信(Dedicated Short Range Communications:DSRC)技術に基づく無線通信を行う。
路側無線機13は、合流地点Cから合流車線L2の上流側(合流車両A2の走行方向手前側)に遡って複数箇所に設置される。
このようにすることで、合流車両A2は、合流地点Cに到達する十分に手前側から合流支援情報を受信することができ、合流に係る運転操作に関し、より的確な判断をすることができる。
【0025】
(合流支援システムの機能構成)
図2は、第1の実施形態に係る合流支援システムの機能構成を示す図である。
図2に示すように、合流支援装置10の制御装置11は、車両検知情報取得部110と、合流支援情報生成部111と、出力部112と、を備えている。
【0026】
車両検知情報取得部110は、複数の車両検知センサ12から車両検知情報を取得する。
合流支援情報生成部111は、車両検知センサ12からの車両検知情報に基づいて本線L1上における本線車両A1の位置及び速度に基づく合流支援情報を生成する。
出力部112は、合流支援情報生成部111によって生成された合流支援情報を路側無線機13に出力する。
【0027】
車載器20は、受信部200と、画像情報生成部201と、表示パネル202と、測位情報取得部203と、を備えている。
受信部200は、路側無線機13からの無線信号を受信して、合流支援情報を取得する。
画像情報生成部201は、受信した合流支援情報に基づいて、本線車両A1の本線L1上における位置と、合流車両A2の合流車線L2上における位置と、を示す画像情報を生成する。
表示パネル202は、一般的な液晶ディスプレイパネル、有機ELパネル等であって、画像情報生成部201によって生成された画像情報を表示する。合流車両A2の運転者は、表示パネル202に表示された画像(上記画像情報に基づく画像)を視認することで合流時における運転の支援を受ける。
測位情報取得部203は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)による衛星から、自車両の位置を特定するための衛星航法情報(測位情報)を受信する。
【0028】
(合流支援装置の処理フロー)
図3は、第1の実施形態に係る合流支援装置の処理フローを示す図である。
図3に示す処理フローは、合流支援装置10の制御装置11によって実行される。
【0029】
図3に示すように、制御装置11の車両検知情報取得部110は、複数の車両検知センサ12の各々から車両検知情報(車両撮影用カメラによる映像情報、及び、レーダーによるレーダー検知情報)を取得する(ステップS01)。
次に、制御装置11の合流支援情報生成部111は、取得された車両検知情報のうち映像情報に基づいて走行する車両の車両ナンバーを取得する。具体的には、合流支援情報生成部111は、取得された映像情報に対し所定の画像認識処理を行い、映像に映されたナンバープレートから車両ナンバーを抽出する(ステップS02)。
次に、合流支援情報生成部111は、レーダー検知情報に基づいて上記映像情報に含まれる本線車両A1の位置及び速度を取得する(ステップS03)。具体的には、レーダーが電磁波を発信した時刻とその反射波が帰還した時刻との時間差、及び、当該反射波の到来方向により本線車両A1の位置を平面座標(位置(X、Y))で特定することができる。また、レーダーが発信した電磁波とその反射波との間に生じた周波数変化により本線車両A1の速度を判別することができる。更に、合流支援情報生成部111は、レーダー検知情報によって特定された本線車両A1の位置に、車両撮影用カメラによる映像情報を重ね合わせることで、1台の本線車両A1に対する位置(X、Y)、速度(V)及び車両ナンバーを関連付ける。
次に、合流支援情報生成部111は、1台の本線車両A1が複数の車両検知センサ12によって検知された場合に、一の車両検知センサ12によって検知された車両と、他の車両検知センサ12によって検知された車両と、を同一車両として関連付ける(ステップS04)。合流支援情報生成部111は、関連付け処理により、重複して検知された本線車両A1に関する情報のうちのいずれか一方を選択する。このようにすることで、実際には1台の本線車両A1が、誤って2台存在するものとして検知されることを防止することができる。
次に、合流支援情報生成部111は、本線L1を走行する本線車両A1の位置及び速度に基づいて、合流スペースを演算する(ステップS05)。
制御装置11の出力部112は、合流支援情報生成部111によって特定された、各本線車両A1に対する位置(X、Y)、速度(V)及び車両ナンバーと、合流スペースとを含む合流支援情報を路側無線機13に向けて出力する(ステップS06)。
【0030】
制御装置11は、以上のステップS01〜S06の処理を、50〜100msecの間隔で繰り返し実行する。このようにすることで、本線L1を走行する本線車両A1の各々の位置及び速度等をリアルタイムで認識することができる。
【0031】
(制御装置の機能)
図4〜
図7は、それぞれ、第1の実施形態に係る制御装置の機能を説明する第1の図〜第4の図である。
図3に示す処理フローの各処理ステップにおける詳細な処理を、
図4〜
図7を参照しながら説明する。
【0032】
図4に示すように、複数の車両検知センサ12は、隣り合う車両検知センサ12の互いの検知範囲が重なる重複領域を有するように配置されている。
具体的には、車両検知センサ121は、当該車両検知センサ121の検知範囲P1が、車両検知センサ120の検知範囲P0と一部重なり合うように配置される。また、車両検知センサ122は、当該車両検知センサ122の検知範囲P2が、車両検知センサ121の検知範囲P1と一部重なり合うように配置される。以下、検知範囲P0と検知範囲P1とが重なる範囲を「重複領域P01」と表記し、検知範囲P1と検知範囲P2とが重なる範囲を「重複領域P12」と表記する。また、
図4において、本線L1を走行する本線車両A1を、個々に、車両a1、a2、・・・、a6と表記する。
【0033】
図4に示す例によれば、車両検知センサ120の検知範囲P0には、車両a1、a2が存在する。この場合、車両検知情報取得部110は、車両検知センサ120から受信したレーダー検知情報により車両a1、a2の位置、速度を検知し、また、映像情報により車両a1、a2の車両ナンバーを取得する。
また、車両検知センサ121の検知範囲P1には、車両a2、a3、a4が存在する。この場合、車両検知情報取得部110は、車両検知センサ121から受信したレーダー検知情報により車両a2、a3、a4の位置、速度を検知し、また、映像情報により車両a2、a3、a4の車両ナンバーを取得する。
同様に、車両検知センサ122の検知範囲P2には、車両a4、a5、a6が存在する。この場合、車両検知情報取得部110は、車両検知センサ122から受信したレーダー検知情報により車両a4、a5、a6の位置、速度を検知し、また、映像情報により車両a4、a5、a6の車両ナンバーを取得する。
なお、
図4に示す通り、車両a2は、重複領域P01に属している。したがって、車両a2は、車両検知センサ120と車両検知センサ121との両方によって検知される。また、車両a4は、重複領域P12に属している。したがって、車両a4は、車両検知センサ121と車両検知センサ122との両方によって検知される。
【0034】
ところで、各車両検知センサ120、121、122が出力するレーダー検知情報は、各センサ自身の設置位置を基準とする各車両との相対的な位置関係(相対位置)を示すものである。ここで、合流支援情報生成部111は、各車両検知センサ120、121、122の本線L1における設置位置を予め記録している。合流支援情報生成部111は、各車両検知センサ120、121、122の設置位置に、当該車両検知センサ120、121、122の各々によって検知された車両a1〜a6の相対位置を加算することで、各車両a1〜a6の本線L1上における絶対位置を認識する。
図5、
図6の各情報テーブルに示す位置座標は、各車両a1〜a6の本線L1上における絶対位置を示すものとする。
【0035】
図5に示す情報テーブルは、ステップS03(
図3)にて合流支援情報生成部111が、車両検知センサ120、121、122の各々から受信した車両検知情報に基づいて生成した車両検知センサ別の車両位置速度情報(以下、「センサ別車両位置速度情報」と表記する。)である。
図5に示すように、センサ別車両位置速度情報は、各車両検知センサ120、121、122が検知した各車両a1〜a6についての位置座標(絶対位置)、速度及び車両ナンバーが関連付けられた情報テーブルである。
【0036】
センサ別車両位置速度情報T0は、車両検知センサ120によって検知された車両に関する車両位置速度情報である。例えば、センサ別車両位置速度情報T0によれば、センサ別車両ID=“ID01”に対し、位置座標=(X01,Y01)、速度=V01、車両ナンバー=“11−11”との情報が関連付けられる。また、センサ別車両ID=“ID02”に対し、位置座標=(X02,Y02)、速度=V02、車両ナンバー=“22−22”との情報が関連付けられる。
なお、センサ別車両ID=“ID01”に関連付けられた各種情報は、
図4の車両a1についての情報であり、センサ別車両ID=“ID02”に関連付けられた各種情報は、
図4の車両a2についての情報であるものとする。
【0037】
センサ別車両位置速度情報T1は、車両検知センサ121によって検知された車両に関する車両位置速度情報である。例えば、センサ別車両位置速度情報T1によれば、センサ別車両ID=“ID11”に関して、位置座標=(X02’,Y02’)、速度=V02’、車両ナンバー=“22−22”との情報が関連付けられる。また、センサ別車両ID=“ID12”に関して、位置座標=(X03,Y03)、速度=V03、車両ナンバー=“33−33”との情報が関連付けられる。更に、センサ別車両ID=“ID13”に関して、位置座標=(X04,Y04)、速度=V04、車両ナンバー=“44−44”との情報が関連付けられる。
なお、センサ別車両ID=“ID11”に関連付けられた各種情報は、
図4の車両a2についての情報であり、センサ別車両ID=“ID12”に関連付けられた各種情報は、
図4の車両a3についての情報であるものとする。また、センサ別車両ID=“ID13”に関連付けられた各種情報は、
図4の車両a4についての情報であるものとする。
【0038】
センサ別車両位置速度情報T2は、車両検知センサ122によって検知された車両に関する車両位置速度情報である。例えば、センサ別車両位置速度情報T2によれば、センサ別車両ID=“ID21”に関して、位置座標=(X04’,Y04’)、速度=V04’、車両ナンバー=“44−44”との情報が関連付けられる。また、センサ別車両ID=“ID22”に関して、位置座標=(X05,Y05)、速度=V05、車両ナンバー=“55−55”との情報が関連付けられる。更に、センサ別車両ID=“ID23”に関して、位置座標=(X06,Y06)、速度=V06、車両ナンバー=“66−66”との情報が関連付けられる。
なお、センサ別車両ID=“ID21”に関連付けられた各種情報は、
図4の車両a4についての情報であり、センサ別車両ID=“ID22”に関連付けられた各種情報は、
図4の車両a5についての情報であるものとする。また、センサ別車両ID=“ID23”に関連付けられた各種情報は、
図4の車両a6についての情報であるものとする。
【0039】
ここで、センサ別車両位置速度情報T1に示されるセンサ別車両ID=“ID02”に係る情報と、センサ別車両位置速度情報T2に示されるセンサ別車両ID=“ID11”に係る情報とは、同一の車両(車両a2)の位置、速度等を示す情報である。したがって、理想的には、位置(X02,Y02)と位置(X02’,Y02’)、及び、速度V02と速度V02’とは一致するはずであるが、車両検知情報の誤差に起因して、両者は必ずしも一致しない。そのため、実際には1台の車両a2について、あたかも異なる2台の車両が存在するかのような誤検知が発生し得る。
【0040】
図6は、ステップS04(
図3)にて合流支援情報生成部111が、車両検知センサ120、121、122別に得られた複数のセンサ別車両位置速度情報T0、T1、T2を統合してなる車両位置速度情報(以下、「統合車両位置速度情報T」とも表記する。)である。
ステップS04にて、合流支援情報生成部111は、センサ別車両位置速度情報T0、T1、T2を対比して、同一の車両ナンバーを有する車両IDの組み合わせを検索する。そして、同一の車両ナンバーを有する複数の車両IDが見つかった場合には、そのうちのいずれか一方を選択する。
例えば、センサ別車両位置速度情報T0のセンサ別車両ID=“ID02”と、センサ別車両位置速度情報T1のセンサ別車両ID=“ID11”とは、共に車両ナンバーが“22−22”で同一である。したがって、合流支援情報生成部111は、“ID02”に係る車両と“ID11”に係る車両とは、重複して検知された1台の車両と判断し、何れか一方(例えば、“ID02”)に関連付けられた情報を選択する。
同様に、センサ別車両位置速度情報T1のセンサ別車両ID=“ID13”と、センサ別車両位置速度情報T2のセンサ別車両ID=“ID21”とは、共に車両ナンバーが“44−44”で同一である。したがって、合流支援情報生成部111は、“ID13”に係る車両と“ID21”に係る車両とは、重複して検知された1台の車両と判断し、何れか一方(例えば、“ID13”)に関連付けられた情報を選択する。
【0041】
このように、合流支援情報生成部111は、重複して検知された各種情報のうちの一方を選択しながら、車両検知センサ120、121、122別に得られた複数のセンサ別車両位置速度情報T0、T1、T2を統合し、
図6に示すような統合車両位置速度情報Tを生成する。
図6に示す車両ID=“IDA01”〜“IDA06”の各々に関連付けられた各種情報は、それぞれ、車両a1〜a6の位置、速度(及び車両ナンバー)を示す。
なお、
図6に示す統合車両位置速度情報Tの例では、合流支援情報生成部111は、車両a2について車両検知センサ120で検知された位置、速度が採用されているが、他の実施形態では、車両検知センサ121で検知された位置、速度が採用されてもよい。
また、他の実施形態においては、複数の車両検知センサ120、121、122を通じて取得された複数の位置、速度の平均値を採用して統合してもよい。例えば、車両a2の位置座標は、車両検知センサ120による検知結果(位置(X02,Y02))と車両検知センサ121による検知結果(位置(X02’,Y02’))との平均値によって算出されてもよい。
【0042】
図7は、合流支援情報生成部111が車両a1〜a6の位置関係に基づいて生成する合流スペース情報Uを示している。
合流支援情報生成部111は、まず、統合車両位置速度情報Tに示される位置座標に基づいて、本線L1を走行する車両a1〜a6のうち、合流車線L2に隣接する車線(第1走行車線)を走行する車両を、合流スペースを構成する“対象車両”として抽出する。
図4に示す例では、合流支援情報生成部111は、車両a1、a3、a4、a6を対象車両として抽出する。
次に、合流支援情報生成部111は、対象車両の各々の間に存在する合流スペースの始点、終点、及び、合流スペースの移動速度を演算する。ここで、統合車両位置速度情報Tに示される車線方向の位置(X座標値)は、各車両a1〜a6の車体前端面の位置を示している。したがって、合流スペースの始点は、先行車両の車線方向の位置(X座標値)から車両1台分の車長Δ(予め規定されたオフセット値)を差し引くことで算出される。また、合流スペースの終点には、後続車両の車線方向の位置(X座標の値)が採用される。合流スペースの移動速度は、例えば、当該合流スペースを構成する先行車両及び後続車両の平均速度として算出される。
【0043】
例えば、
図4に示す例において、合流支援情報生成部111は、車両a1と車両a3との間に存在する合流スペース(スペースID=“SP1”)について、始点=“X03−Δ”、終点=“X01”、移動速度=“Vs1”(=(V01+V03)/2)と演算する。また、合流支援情報生成部111は、車両a4と車両a6との間に存在する合流スペース(スペースID=“SP2”)について、始点=“X06−Δ”、終点=“X04”、移動速度=“Vs2”(=(V04+V06)/2)と演算する。
なお、合流支援情報生成部111は、車両a3と車両a4との間隔が所定の判定閾値(安全に合流できるか否かの判断に基づいて規定される閾値)に満たないことをもって、車両a3と車両a4との間には合流スペースが存在しないものと判断する。
【0044】
以上のように、合流支援情報生成部111は、合流支援情報として、本線車両A1の位置及び速度を示す統合車両位置速度情報T(
図6)と、合流スペース情報U(
図7)とを生成する。
【0045】
(車載器の機能)
図8は、第1の実施形態に係る車載器の機能を説明する図である。
車載器20の受信部200(
図2)は、合流支援情報(統合車両位置速度情報T、合流スペース情報U)を受信する。
車載器20の画像情報生成部201(
図2)は、受信部200を通じて取得した合流支援情報と、測位情報取得部203を通じて取得した自車両の位置とに基づいて、
図8に示す画像情報Dを生成する。
図8に示すように、画像情報Dは、各本線車両A1の本線L1上における位置と、合流車両A2(自車両)の合流車線L2上における位置とが俯瞰図として示される画像情報である。
図8に示すように、画像情報Dには、本線画像DL1、合流車線画像DL2、自車両画像Ds、車両画像Da1〜Da6、及び、合流スペース画像Dsp1、Dsp2が含まれる。車両画像Da1〜Da6は、それぞれ、本線L1を走行する車両a1〜a6(
図4参照)に関連するものである。
画像情報生成部201は、車載器20に予め記録されているマップ情報と、測位情報取得部203を通じて取得される衛星航法情報とに基づいて、本線画像DL1、合流車線画像DL2、及び、自車両画像Dsを生成する。
また、画像情報生成部201は、統合車両位置速度情報Tに基づいて車両画像Da1〜Da6を生成し、また、合流スペース情報Uに基づいて合流スペース画像Dsp1、Dsp2を生成する。
合流支援情報生成部111は、生成した画像情報Dを表示パネル202に表示させる。これにより、合流車両A2の運転者は、表示パネル202に表示された画像情報Dを視認することで、本線車両A1の位置、速度、及び、合流スペースを把握することができる。
【0046】
(作用、効果)
以上の通り、第1の実施形態に係る合流支援装置10は、本線L1に沿って複数配置され、各々の検知範囲において本線L1を走行する本線車両A1を検知する車両検知センサ12を備える。また、合流支援装置10は、車両検知センサ12からの車両検知情報に基づいて本線L1上における本線車両A1の位置を示す合流支援情報を生成する制御装置11(合流支援情報生成部111)を備える。また、合流支援装置10は、合流支援情報を、合流車線L2を走行する合流車両A2に搭載された車載器20に送信する路側無線機13を備える。
このような構成とすることで、合流車両A2は、路側無線機13を通じて、本線車両A1の本線L1上の位置を示す合流支援情報を取得することができる。したがって、合流地点Cに到達するよりも前の段階で視界が制限される場合(例えば、合流車線L2と本線L1との間に遮蔽物がある場合等)であっても合流支援を受けることができる。
また、車両検知センサ12(車両撮影用カメラ、レーダー)は、光、電波を通じて、車両の車体を直接検知可能とする態様のセンサとされるため、あらゆる態様の車両、例えば、特定の車載器を搭載しない車両であっても存在を検知することができる。
以上より、合流車線を走行する車両に対し、本線を走行する車両の状況を適切に認識させることができる。
【0047】
また、第1の実施形態に係る合流支援装置10によれば、複数の車両検知センサ12は、隣り合う車両検知センサ12の互いの検知範囲が重なる重複領域を有するように配置される。また、合流支援情報生成部111は、重複領域において、一の車両検知センサ12によって検知された車両と、他の車両検知センサ12によって検知された車両と、を同一車両として関連付ける。
このような構成とすることで、異なる車両検知センサによって同一の車両が検知された場合に、1台の車両が異なる2台の車両として検知されることを抑制できる。これにより、一層精度の高い合流支援情報を提供することができる。
【0048】
また、第1の実施形態に係る合流支援装置10によれば、合流支援情報生成部111は、車両検知センサ12からの車両検知情報に基づいて本線車両A1の速度を更に取得し、本線L1上における本線車両A1の位置及び速度を示す合流支援情報を生成する。
このような構成とすることで、本線L1を走行する本線車両A1の速度(又は、合流スペースの移動速度)を特定することができるので、合流車両A2の運転者は、合流するにあたり、どの程度の速度で走行すればよいかを認識することができる。
【0049】
また、第1の実施形態に係る合流支援システム1によれば、車載器20は、受信した合流支援情報に基づいて、本線車両A1の本線L1上における位置と、合流車両A2の合流車線L2上における位置と、を示す画像情報Dを生成する画像情報生成部201を備える。
このような構成とすることで、自車両(合流車両A2)の運転者は、画像情報Dを視認することで、自車両と、本線L1を走行する本線車両A1との位置関係を一目で把握することができる。
【0050】
(変形例)
以上、第1の実施形態に係る合流支援システム1及び合流支援装置10について詳細に説明したが、合流支援システム1及び合流支援装置10の具体的な態様は、上述のものに限定されることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を加えることは可能である。
【0051】
例えば、第1の実施形態に係る車両検知センサ12は、車両撮影用カメラ及びレーダーの組み合わせで構成されるものとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。
例えば、他の実施形態に係る車両検知センサ12は、車両撮影用カメラ、レーダーの何れか一方のみで構成されてもよい。
例えば、車両検知センサ12がレーダーのみである場合、合流支援情報生成部111は、車両ナンバーに基づいて同一車両を関連付けることができない。この場合、合流支援情報生成部111は、レーダー検知情報に基づく位置、速度の差が所定の誤差範囲内に属する2つの車両位置速度情報を、同一の車両によるものと見なして関連付けるようにしてもよい。例えば、
図5において、車両検知センサ120によって検知された位置(X02,Y02)と車両検知センサ121によって検知された位置(X02’,Y02’)との差が所定の誤差範囲内であった場合、合流支援情報生成部111は、“ID02”に係る車両位置速度情報と、“ID11”に係る車両位置速度情報と、を同一車両によるものとして関連付ける。
【0052】
また、第1の実施形態において、合流支援情報生成部111は、合流スペースの始点(
図7)につき、先行車両の車線方向の位置(X座標値)から予め規定された車長Δをオフセットとして差し引くことで算出するものとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。
他の実施形態に係る合流支援情報生成部111は、上述の車長Δに対し、本線車両A1の各々についての車長の測定結果を当てはめて合流スペースの始点を演算してもよい。
この場合、制御装置11は、例えば、車両検知センサ12(撮影カメラ)によって取得された映像情報に基づいて本線車両A1の車長を計測可能な車長計測手段を有していてもよい。
【0053】
また、第1の実施形態に係る車載器20は、測位情報取得部203を通じて、GNSSに基づく衛星航法情報(測位情報)を受信することで自車両の位置を認識するものとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。
例えば、他の実施形態において、車両検知センサ12は、本線L1のみならず合流車線L2に沿って複数設置されていてもよい。合流車線L2に沿って設置された車両検知センサ12は、合流車線L2を走行する合流車両A2を検知可能とする。そして、合流車両A2に搭載された車載器20は、路側無線機13から、車両検知センサ12を通じて取得された自車両に関する車両位置速度情報を受信して、自車両の位置を認識するものとしてもよい。
【0054】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態に係る合流支援システム及び合流支援装置について、
図9を参照しながら説明する。
【0055】
(合流支援システムの機能構成)
図9は、第2の実施形態に係る合流支援システムの機能構成を示す図である。
第2の実施形態に係る合流車両A2は、自律して走行が可能な自動運転車両であるものとする。
図2に示すように、合流車両A2は、自動運転制御を司る自動運転制御部30を備えている。自動運転制御部30は、車載器20が受信した合流支援情報と、測位情報取得部203を通じて取得した自車両の位置とに基づいて、合流車線L2における位置及び速度を調整する。
例えば、自動運転制御部30は、合流スペース情報に示される合流スペースの移動速度(例えば、移動速度Vs1(
図7))を参照しながら、自車両の速度を当該移動速度Vs1に一致するように加減速を行う。また、自動運転制御部30は、自車両の位置が、合流スペース情報に示される始点と終点との間に位置するように位置調整を行う。
【0056】
このような構成とすることで、自動運転車両である合流車両A2は、合流車線L2を走行中に、合流支援装置10から提供される合流支援情報を受信し、当該合流支援情報に基づいて適切に合流を行うことができる。
【0057】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態に係る合流支援システム及び合流支援装置について、
図10を参照しながら説明する。
【0058】
(合流支援システムの機能構成)
図10は、第3の実施形態に係る合流支援システムの機能構成を示す図である。
第3の実施形態に係る合流車両A2は、第2の実施形態と同様に、自律して走行が可能な自動運転車両であるものとする。
第1、第2の実施形態と異なり、第3の実施形態に係る合流支援装置10の制御装置11は、合流支援情報生成部111を備えていない。第3の実施形態に係る制御装置11は、車両検知センサ12から受信した車両検知情報を、路側無線機13に出力する。路側無線機13は、車両検知センサ12から受信した車両検知情報を無線で車載器20に送信する。
第3の実施形態に係る車載器20は、合流支援情報生成部211を備えている。
車載器20の合流支援情報生成部211は、第1、第2の実施形態に係る制御装置11が備えている合流支援情報生成部111(
図2、
図9)と同等の機能を有している。
即ち、合流支援情報生成部211は、受信部200を通じて受信した車両検知情報に基づいて本線車両A1の位置及び速度等を示す合流支援情報を生成する。そして、生成した合流支援情報を自動運転制御部30に出力する。
【0059】
以上のように、合流支援システム1は、第1、第2の実施形態にて制御装置11が備えていた合流支援情報生成部111の機能を、車載器20が備える態様であってもよい。
なお、上述の第3の実施形態においては、合流車両A2が自動運転車両であるものとしたが、他の実施形態においては、合流車両A2が手動運転車両であってもよい。この場合、車載器20は、車載器20が備える合流支援情報生成部211が合流支援情報を生成し、画像情報生成部201が当該生成した合流支援情報に基づいて画像情報D(
図8)を生成する。
【0060】
なお、上述の各実施形態においては、上述した合流支援装置10、車載器20の各種処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって上記各種処理が行われる。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0061】
上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。更に、合流支援装置10、車載器20は、それぞれ、1台のコンピュータで構成されていても良いし、通信可能に接続された複数のコンピュータで構成されていてもよい。
【0062】
以上のとおり、本発明に係るいくつかの実施形態を説明したが、これら全ての実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。