(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記センサが測定する成型部材の速さと、前記センサの位置での成型部材の目標とする速さとが一致するまで、前記制御部が前記流動抵抗部材の進出量を調整する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の成型部材の形状制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.被成型材料の流路および流動抵抗部材について
本実施形態では、流動性のある被成型材料としてゴムを例に取り、被成型材料の流路としてゴムの押出機の口金の流路を例に取る。
【0013】
本実施形態の押出機1およびその口金30について図面に基づき説明する。なお本実施形態は例示であって、発明の範囲はこれに限定されない。また以下の説明において、前方とは押し出し方向のことであり、後方とは押し出し方向と反対の方向のことである。また左右とは口金30より前方から口金30を見たときの左右のことである。また図中の矢印は、特に断りがない限り、被成型材料の流動方向又は成型部材50の移動方向を示す。
【0014】
本実施形態の押出機1はゴムや合成樹脂等の流動性のある被成型材料を押し出し成型するものである。
図1に示すように、押出機1は、押出機本体10と、押出機本体10の押し出し方向の先端に設けられた口金30とを備える。
【0015】
押出機本体10は横倒しにされた円筒状のバレル11を備える。バレル11の上部には被成型材料が投入されるホッパー14が接続されている。バレル11の内部には、バレル11の中心軸に沿ってスクリュー12が収容されている。スクリュー12は、バレル11の後方に設けられたモータ13が駆動することにより回転し、ホッパー14から投入された被成型材料を前方へ押し出す。バレル11は図示しないヒータによって温度調節可能となっている。
【0016】
なお、押出機本体10のスクリュー12より前方の場所にギアポンプが設けられていても良い。ギアポンプは送り出し量を制御しながら被成型材料を前方へ送り出す。また、スクリュー12の代わりにピストンが設けられ、ピストンが被成型材料を前方へ押し出す構造であっても良い。
【0017】
口金30は前後方向に貫通する流路32を有する。被成型材料は流路32内を前方へ向かって流動する。流路32の前方の端部が押出口33である。
【0018】
流路32の断面形状(流路の断面形状とは被成型材料の流動方向に直交する方向の断面の形状のことである)および押出口33の形状は限定されない。
図2の実施形態の場合は、流路32の断面形状および押出口33の形状は、左右方向に長い長孔状であり、より具体的には横倒しにされたタイヤのビードフィラーの断面形状である。そのため、流路32は、左右方向の一方側(
図2では左側)で上下方向に高く、他方側(
図2では右側)で上下方向に低い。
【0019】
口金30には流路32内に進退可能な1または複数の流動抵抗部材40が設けられている。流動抵抗部材40は、流路32内に進出したときに被成型材料の流動に対する抵抗となる部材で、例えば円柱の部材である。流動抵抗部材40が設けられる場所は、限定されないが、
図2のように流路32の断面が長孔状の場合は、例えば流路32の近接する対向面である上面37および下面38のいずれか一方である。
図2では流動抵抗部材40が下面38に設けられている。
【0020】
流動抵抗部材40は口金30の外部からの操作により流路32内に進退可能となっている。流動抵抗部材40の進退に関わる構造は限定されない。
図3の場合は、口金30の流路32の下面38に対する凹部として流動抵抗部材40と同一形状の収容穴34が形成され、収容穴34の底部から口金30の外部にかけてボルト孔43が貫通している。ボルト孔43にはボルト36が通され、ボルト36の先端に流動抵抗部材40が固定されている。この構造において、作業者がボルト36を口金30の内部にねじ込む方向に回すと流動抵抗部材40が流路32内に進出し、反対方向に回すと流動抵抗部材40が流路32内から後退する。作業者は、ボルト36のねじ込み量を調整することによって、流動抵抗部材40の流路32内への進出量を調整することができる。流動抵抗部材40が完全に後退したとき、流動抵抗部材40の頂部は流路32を形成する面(
図2の場合は下面38)と同一面上にあることが望ましい。
【0021】
なお、流動抵抗部材40の進退に関わる別の構造として
図4の構造が挙げられる。
図4の場合は、口金30の流路32の下面38に対する凹部として流動抵抗部材40と同一形状の収容穴34が形成され、収容穴34の底部から口金30の外部にかけて貫通孔44が貫通している。貫通孔44には棒42が通され、棒42の先端に流動抵抗部材40が固定されている。この構造において、作業者または作業者の指示で動くシリンダ等の作動部が、口金30の外部から棒42を押したり引いたりすることにより、流動抵抗部材40の流路32内への進出量を調整することができる。
【0022】
流動抵抗部材40は、
図5(a)に示す円柱の部材であっても良いが、
図5(b)のような四角柱の部材、
図5(c)のような角部が面取りされた円柱の部材、
図5(d)のような円錐の部材等であっても良い。中でも、流動抵抗部材40が流路32内に進出していないときに、収容穴34と流動抵抗部材40との間に大きな隙間(例えば
図5(e)の隙間35)を生じさせないという点から、
図5(a)、(b)および(c)のように流動抵抗部材40の頂部41が面であることが望ましい。また収容穴34と流動抵抗部材40との間に小さな隙間(例えば
図5(f)の隙間35)も生じさせないという点から、
図5(a)、(b)のように、流動抵抗部材40の頂部41が1つの面であって、流動抵抗部材40が流路32内に進出していないときに頂部41が流路32の形成面である下面38と一体化して1つの面を形成することが望ましい。
【0023】
流動抵抗部材40の並び方は限定されない。例えば
図2および
図6(a)のように複数の流動抵抗部材40が間隔を空けて2列に並んでいても良いし、
図6(b)のように複数の流動抵抗部材40が間隔を空けて1列に並んでいても良い。複数の流動抵抗部材40が間隔を空けて2列に並ぶ場合は、
図6(a)のように、1列目の流動抵抗部材40と2列目の流動抵抗部材40とが互い違いになることが望ましい。また、流路32の左右にそれぞれ流動抵抗部材40が1つずつ設けられていても良いし、流路32に流動抵抗部材40が1つだけ設けられていても良い。
【0024】
この口金30において流動抵抗部材40が流路32内に進出すると、進出した流動抵抗部材40が被成型材料の流動に対する抵抗となり、その流動抵抗部材40の周囲において被成型材料の流速および流量が小さくなり、それに応じて口金30の押出口33から押し出される成型部材50の湾曲形状が変化する。その具体的な様子を
図2の口金30を例にして説明する。
【0025】
まず、
図2の口金30では流路32が左側で高く右側で低いため、流動抵抗部材40が流路32内に進出していないときは、被成型材料の流速および流量が左側で大きく右側で小さい。そのため、
図7(a)に示されるように、口金30の押出口33から押し出された成型部材50は右側へ湾曲する。
【0026】
次に、左側の少数の流動抵抗部材40が流路32内に少し進出すると、流路32内における左側の流速および流量が
図7(a)のときより小さくなり、被成型材料の流速および流量が左右で等しくなる。そのため、
図7(b)に示されるように、口金30の押出口33から押し出された成型部材50は真っ直ぐになる。
【0027】
次に、
図7(b)のときよりも流路32内に進出する左側の流動抵抗部材40の数が増えたり流動抵抗部材40の進出量が大きくなったりすると、流路32内における左側の流速および流量が
図7(b)のときよりも小さくなり、被成型材料の流速および流量が左側で小さく右側で大きくなる。そのため、
図7(c)に示されるように、口金30の押出口33から押し出された成型部材50は左側へ湾曲する。
【0028】
図7の(a)〜(c)のいずれの場合も、押出口33の形状が変わらないため、押出口33から押し出された成型部材50の断面形状(成型部材の断面形状とは成型部材の延びる方向に直交する方向の断面の形状のことである)は同じである。成型部材50が湾曲するときの成型部材50の曲率の大きさは、流路32内に進出する流動抵抗部材40の数および進出量により変化する。
【0029】
このように、実施形態の口金30では流動抵抗部材40が流路32内に進退可能となっているため、成型部材50の湾曲形状を変えることができる。しかも、流動抵抗部材40の流路32内への進退が口金30の外部からの操作により行われるため、作業者が口金30を押出機本体10から取り外したり口金30の取付け位置を変更したりしなくても、成型部材50の湾曲形状を変えることができる。
【0030】
ここで、口金30に設けられる流動抵抗部材40が複数であれば、流動抵抗部材40の進出のさせ方のバリエーションが多くなり、流路32内の場所による被成型材料の流速および流量を微調整でき、成型部材50の湾曲形状を微調整できる。また、複数の流動抵抗部材40が間隔を空けて2列に並び、1列目の流動抵抗部材40と2列目の流動抵抗部材40とが互い違いになっていれば、1列目と2列目の両方の流動抵抗部材40を進出させることによって流路32内の被成型材料の流速および流量を極端に小さくすることが可能となり、成型部材50の湾曲形状を大きく変えることが可能となる。
【0031】
以上の実施形態に対し発明の要旨を逸脱しない範囲で様々な変更を行うことができる。
【0032】
まず、流路の断面形状および押出口の形状の変更例を
図8〜
図10に示す。なお
図8〜
図10では流動抵抗部材40が2列に並んでいるものとする。
【0033】
図8の口金130では、流路132の断面形状および押出口133の形状は長孔状であってより具体的には頂角が90°以上の二等辺三角形である。この口金130では、流路132の近接する対向面の一方である下面に、流路132内に進退可能な流動抵抗部材40が設けられている。流動抵抗部材40の進退に関わる構造、形状、並び方は、上記実施形態の通りである。
【0034】
この口金130において流動抵抗部材40が流路132内に進出していないとき(
図8(a))、流路132の左右両側で被成型材料の流速および流量が小さくなるため、押出口133から押し出された成型部材50の左右両側が切れやすい。そこで、成型部材50の左右両側が切れる場合は、流路132の左右方向の中央付近の流動抵抗部材40を流路132内に進出させる(
図8(b))。すると、流路132の左右方向の中央付近における被成型材料の流速および流量が小さくなり、流路132の左右両側における被成型材料の流速および流量が大きくなる。その結果、押出口133から押し出された成型部材50の左右両側が切れにくくなる。
【0035】
また、
図9の口金230では、流路232の断面形状および押出口233の形状は長孔状であってより具体的には左右に長い長方形である。そのため流路232の上下方向の高さが左右で同じである。この口金230では、流路232の近接する対向面の一方である下面に、流路232内に進退可能な流動抵抗部材40が設けられている。流動抵抗部材40の進退に関わる構造、形状、並び方は、上記実施形態の通りである。
【0036】
この口金230において流動抵抗部材40が流路232内に進出していないとき(
図9(a))、流路232内の左右で被成型材料の流速および流量が同じであるため、押出口233から押し出された成型部材50は真っ直ぐに延びる。しかし、流路232の左右方向のいずれか一方向にある流動抵抗部材40を流路232内に進出させると(
図9(b))、進出した流動抵抗部材40付近における被成型材料の流速および流量が小さくなり、押出口233から押し出された成型部材50が湾曲する。
【0037】
また、
図10の口金330では、流路332が、押出口333側の前方部332aで上下方向に狭く、押出機本体10側の後方部332bで上下方向に広くなっている。押出口333は長方形である。前方部332aと後方部332bとの境界332cは左右方向に対して傾斜している。そのため、後方部332bは、左右の一方側(例えば右側(
図10では下側として描かれている))で前後方向(
図10では左右方向として描かれている)に長く、他方側(例えば左側(
図10では上側として描かれている))で前後方向に短くなっている。
【0038】
この口金330では、流路332の後方部332bにおける近接する対向面の一方である下面338に、流路332内に進退可能な流動抵抗部材40が設けられている。流動抵抗部材40の進退に関わる構造、形状、並び方は、上記実施形態の通りである。
【0039】
この口金330では、上下方向に広い後方部332bが左右の一方側(例えば右側(
図10では下側として描かれている))で前後(
図10では左右として描かれている)に長く他方側(例えば左側(
図10では上側として描かれている))で前後に短いため、流動抵抗部材40が流路332内に進出していないとき、流路332内の左右の一方側で被成型材料の流速および流量が大きく他方側で被成型材料の流速および流量が小さい。そのため押出口333から押し出された成型部材50が湾曲する。
【0040】
そして、流動抵抗部材40が流路332内に進出すると、押出口333から押し出された成型部材50の湾曲形状が変わる。例えば、複数の流動抵抗部材40のうち左右の一方側(例えば右側(
図10では下側として描かれている))の流動抵抗部材40が流路332内に進出すると、流路332内の前記一方側における流速および流量が小さくなり、流速および流量の左右の差が小さくなるため、湾曲の曲率が小さくなる。また、複数の流動抵抗部材40のうち左右の他方側(例えば左側(
図10では上側として描かれている))の流動抵抗部材40が流路332内に進出すると、流路332内の前記他方側における流速および流量が小さくなり、流速および流量の左右の差が大きくなるため、湾曲の曲率が大きくなる。
【0041】
以上の他にも、流路の断面形状および押出口の形状としては、長孔状でないものも含めて様々な形状があり得る。流路の断面形状および押出口の形状が上下左右に対称であって、流路内に流動抵抗部材が無ければ成型部材が真っ直ぐに押し出される場合であっても、流動抵抗部材を流路内に進出させて流路内での流速および流量を上下あるいは左右に非対称とすることにより、成型部材を湾曲させることができる。また、流路の断面形状および押出口の形状が上下あるいは左右に非対称であって、流路内に流動抵抗部材が無ければ成型部材が湾曲して押し出される場合であっても、流動抵抗部材を流路内に進出させて流路内での流速および流量を上下左右に対称とすることにより、成型部材を真っ直ぐに押し出すことができる。
【0042】
また、
図11のように、複数の流動抵抗部材40が、流路32の左右方向に隙間無く並べられ、棒42に押される等して流路32の下面438から上面437まで進出できるように構成されていても良い。この場合、連続する2以上の流動抵抗部材40が下面438から上面437まで進出することにより、流路32内に壁を作ることができ、その壁の所で被成型材料の流動を止めることができる。
【0043】
また、
図12に示すように、口金530が、本体530aと、本体530aの前方に設けられた別体530bとを備えるものであっても良い。別体530bはボルト等の固定手段で本体530aの前方端部に固定される。本体530aは、実質的に上記実施形態および変更例の口金と同じものであり、流路32内に進退可能な流動抵抗部材40が設けられたものである。別体530bは押出口533が開けられたプレート状のものである。押出口533の形状は、押し出される成型部材の断面形状である最終プロファイル形状と同じである。
【0044】
この口金530によれば、別体530bを付け替えるだけで最終プロファイル形状を変更することができる。そして、別体530bを付け替えたときに流動抵抗部材40の流路32内への進出状態も変更して、流路32内における被成型材料の流れを、そのときの最終プロファイル形状に適したものとすることができる。例えば、別体530bを付け替えて最終プロファイル形状を
図9のような長方形から
図8のような二等辺三角形に変更したときに、それまで流路32内に進出していなかった左右方向中央付近の流動抵抗部材40を流路32内に進出させ、成型部材50の左右両側が切れないようにする。また、押出口533が本体530aの流路32の左側半分だけに開口している別体530bを取り付けたときは、流路32の右側に被成型材料を流す必要がないため、右側の流動抵抗部材40を流路32内に進出させて流路32の右側における被成型材料の流れを阻害する。
【0045】
また、
図13に示すように、流路32内に上下方向に進退する複数の第1流動抵抗部材640が左右方向に並べて設けられ、さらに、流路32内の第1流動抵抗部材640の場所よりも後方の場所に左右方向に進退する第2流動抵抗部材642が設けられていても良い。第2流動抵抗部材642の上下方向の太さは限定されないが、
図13では、第2流動抵抗部材642の上下方向の太さが流路32の上下方向の高さよりも長い。この
図13の場合、第2流動抵抗部材642がその進出した範囲において被成型材料の流れを完全に止める。このような第2流動抵抗部材642が、流路32の左右いずれか一方側に設けられていても良いし、左右両側に設けられていても良い。
【0046】
2.成型部材の形状制御装置について
本実施形態の成型部材50の形状制御装置760は、上記の流動抵抗部材40を備え、これを利用したものである。本実施形態では上記の「1.被成型材料の流路および流動抵抗部材について」に記載されている全ての実施形態及び変更例を利用することができる。以下の説明における流動抵抗部材40の形状、流動抵抗部材40の配置、流路32の断面形状等は例示である。
【0047】
図14に本実施形態の形状制御装置760を備えるゴムの押出機701を示す。押出機701は、上記実施形態の押出機1と同じく、口金30内にゴムの流路32を備え、流路32内に進退する流動抵抗部材40を備える。また押出機701は、流動抵抗部材40を流路32内に進退させる駆動装置770と、駆動装置770を駆動させることにより流動抵抗部材40を進退させる制御部762とを備える。さらに押出機701は、口金30より前方に、口金30から押し出されて形成された成型部材50を下から支持する受けローラー等の支持部764と、支持部764に支持されている成型部材50の速さを測定するロータリーエンコーダ等のセンサ766とを備える。センサ766は、制御部762に電気的に接続されており、測定した情報を制御部762へ送る。形状制御装置760は、流動抵抗部材40、駆動装置770、制御部762およびセンサ766からなる。
【0048】
図15に駆動装置770を示す。駆動装置770は、制御部762からの指示で駆動する駆動モータ771と、駆動モータ771が駆動することにより回転する第1ギア772と、第1ギア772と噛み合う第2ギア773と、第2ギア773に固定され第2ギア773と同軸上で回転するおねじ部774とを備える。おねじ部774の先端には流動抵抗部材40が固定され、おねじ部774と流動抵抗部材40とが同軸上で回転可能となっている。また口金30には、その外側から流路32へ向かって穴状のめねじ部775が設けられている。めねじ部775の底から流路32にかけて、流動抵抗部材40が通過できる貫通孔776が貫通している。そして、第2ギア773に固定されたおねじ部774が口金30のめねじ部775にねじ込まれ、おねじ部774の先端に固定された流動抵抗部材40が口金30の貫通孔776を貫通している。
【0049】
この構成により、制御部762からの指示で駆動モータ771が駆動して第1ギア772が回転すると、これと噛み合う第2ギア773とともにおねじ部774が回転する。すると、第2ギア773、おねじ部774および流動抵抗部材40が一体となってこれらの軸方向に動く。その結果、流動抵抗部材40が流路32内に進退する。
【0050】
ここで、流動抵抗部材40が流路32内に大きく進退して第2ギア773がその軸方向に大きく移動した場合でも第1ギア772と第2ギア773とが外れないように、第2ギア773はその軸方向に十分に長くなっている。
【0051】
図16に示すように、複数の流動抵抗部材40が設けられている場合は、1つの流動抵抗部材40を1つの駆動装置770が進退させるように、流動抵抗部材40と同数の駆動装置770が設けられている。そして、各駆動装置770の駆動によって各流動抵抗部材40がそれぞれ独立して進退可能となっている。
【0052】
このような形状制御装置760において、制御部762は、センサ766が測定する成型部材50の速さ(実測値)と、センサ766の位置での成型部材50の目標とする速さ(目標値)との差に基づき、流動抵抗部材40を進退させる。ここで目標値とは、センサ766が測定する成型部材50の速さがその目標値となったときに成型部材50が理想的な湾曲形状となる値である。制御部762は、流動抵抗部材40を進退させることによって実測値を目標値に近づけ、成型部材50を理想的な湾曲形状に近づけていく。その制御方法について
図17に基づき説明する。ここでは例として、
図16に示すように、左右方向すなわち成型部材50の幅方向に複数の流動抵抗部材40が並び、各流動抵抗部材40の前方にそれぞれセンサ766が設けられているものとする。
【0053】
予め、口金30から押し出された成型部材50の各センサ766の位置での目標とする速さが、目標値として制御部762に設定される。設定後に制御部762が制御を開始する(S1)。まず制御部762は、各センサ766によりそれぞれの位置における成型部材50の速さを測定する(S2)。次に、制御部762が、それぞれの位置における成型部材50の実測値と目標値とを比較する(S3)。そして、全ての位置において実測値と目標値とに差が無い場合(S4のNo)は、制御部762は制御を終了する(S5)。一方、1以上の位置において実測値と目標値とに差がある場合(S4のYes)は、制御部762は、全ての位置において実測値と目標値とを一致させるためにどの流動抵抗部材40をどれだけ進退させれば良いか計算する(S6)。制御部762は、その計算結果に基づき、駆動モータ771を駆動することにより、進退させるべき流動抵抗部材40を進退させるべき距離だけ進退させる(S7)。制御部762は、流動抵抗部材40を進退させた後、再び各センサ766によりそれぞれの位置における成型部材50の速さを測定する(S2)。制御部762は、全ての位置において実測値と目標値とが一致するまで以上の制御を繰り返し、流動抵抗部材40の進出量を調整する。全ての位置において実測値と目標値とが一致すると(S4のNo)、制御部762は制御を終了する(S5)。全ての位置において実測値と目標値とが一致したとき、成型部材50は理想的な湾曲形状となっている。
【0054】
なお、目標値は所定の範囲を有していても良い。目標値が所定の範囲を有している場合、
図17に基づく上記の説明における「実測値と目標値とに差が無い」及び「実測値と目標値とが一致する」とは実測値が目標値の範囲内に収まっていることを意味し、「実測値と目標値とに差がある」とは実測値が目標値の範囲外であることを意味する。
【0055】
押出機701の稼働中、制御部762は
図17に示すこのような制御を時間間隔を置かずに繰り返し行っても良いし、所定の時間間隔を置きながら断続的に行っても良い。また、制御部762は
図17に示すこのような制御を押出機701の1回の稼働中に1回だけ行っても良い。
【0056】
以上のように、本実施形態の形状制御装置760は、成型部材50の実測値と目標値との差に基づき流動抵抗部材40を進退させることにより、成型部材50の湾曲形状を自ら修正することができる。ここで、本実施形態のように複数のセンサ766と複数の流動抵抗部材40とがそれぞれ成型部材50の幅方向に並べられていることにより、成型部材50の速さをその幅方向の複数の位置で測定することができ、それらの測定結果に基づき複数の流動抵抗部材40を進退させることにより流路32内における被成型材料の流れの左右でのバランスを微調整できるため、成型部材50が理想的な湾曲形状に近くなる。
【0057】
以上の実施形態に対し発明の要旨を逸脱しない範囲で様々な変更を行うことができる。例えば、流動抵抗部材40の数とセンサ766の数とは必ずしも一致していなくても良い。例えば、センサ766の方が数が少なく、制御部762が1つのセンサ766による測定結果を複数の流動抵抗部材40の進退に利用しても良い。