(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基板内部において基板平面と平行方向に2本の導波路の導波部を形成され、基板側面において前記2本の導波路の開口部を形成される誘電体基板と、2個の受信ホーン構造を形成され、前記2本の導波路の開口部と前記2個の受信ホーン構造の接続部が接続されるように、前記誘電体基板に接続される金属部材と、を備え、
前記誘電体基板の厚さ方向と平行方向について、前記2個の受信ホーン構造の開口部が、互いに離れるように配置され、前記各々の受信ホーン構造の開き方向が、前記各々の受信ホーン構造の開口部の離れ方向と同一方向に設定され、前記2個の受信ホーン構造により、前記誘電体基板の厚さ方向と平行方向の目標物測角が可能であり、
前記誘電体基板の厚さ方向と垂直方向について、前記2個の受信ホーン構造の開口部が、互いに離れるように配置され、前記2個の受信ホーン構造により、前記誘電体基板の厚さ方向と垂直方向の目標物測角が可能であり、
前記各々の受信ホーン構造の4面の管壁のうち、少なくとも1面の管壁において、階段構造を形成されることを特徴とする基板側面ホーンアンテナ。
前記各々の受信ホーン構造の階段構造の各段のサイズのうち、前記誘電体基板の厚さ方向と平行方向のサイズが、前記基板側面ホーンアンテナの帯域中心波長の半分以下であることを特徴とする、請求項1に記載の基板側面ホーンアンテナ。
前記各々の受信ホーン構造の開口部において埋め込まれるにあたり、前記各々の受信ホーン構造の階段構造を用いて埋め込み深さを調整されるレドーム部材、をさらに備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の基板側面ホーンアンテナ。
受信波に対して回折源となる回折構造が、前記2個の受信ホーン構造の開口部が形成される前記金属部材の筐体面において、かつ、前記誘電体基板の厚さ方向と平行方向における前記金属部材の筐体角と前記2個の受信ホーン構造の開口部の間において、前記誘電体基板の厚さ方向と垂直方向に延伸して形成されることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の基板側面ホーンアンテナ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1、3では、広角に目標物の存在を検知することは、考慮されているが、広角に目標物の方位を検知することは、考慮されていない。もっとも、特許文献2では、基板正面の方向の広角に目標物の存在を検知することが、考慮されているし、基板正面の方向の広角に目標物の方位を検知することも、考慮されている。それでも、特許文献2では、空間的に離れたアンテナを基板側面にどのように形成すれば、基板側面の方向の広角に目標物の存在を検知するのみならず、基板側面の方向の広角に目標物の方位を検知するうえに、広角方位検知システムの小型化、製造容易化及び低コスト化を図ることができるのか、窺い知ることはできなかった。
【0005】
そこで、前記課題を解決するために、本開示は、空間的に離れたアンテナを基板側面に形成する方法を工夫して、基板側面の方向の広角に目標物の存在を検知するのみならず、基板側面の方向の広角に目標物の方位を検知するうえに、広角方位検知システムの小型化、製造容易化及び低コスト化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、2個のホーンアンテナを用いて、モノパルス測角方式を採用するとともに、アンテナ指向性を容易に調整可能とする。ここで、広角方位検知システムの小型化、製造容易化及び低コスト化を図るためには、各々のホーン構造に接続される各々の導波路を、誘電体基板の厚さ方向のなるべく同一位置に形成することが望ましい。
【0007】
しかし、誘電体基板の厚さ方向と平行方向について、2個のホーン構造の開き方向を同一方向とすれば、2個のホーンアンテナの間隔を実効的に0とするため、モノパルス測角方式を採用することができない。そこで、誘電体基板の厚さ方向と平行方向について、2個のホーン構造の開き方向を異なる方向とすれば、2個のホーンアンテナの間隔を実効的に有限値とするため、モノパルス測角方式を採用することができる。
【0008】
具体的には、誘電体基板については、基板内部において基板平面と平行方向に2本の導波路の導波部を形成され、基板側面において2本の導波路の開口部を形成される。そして、金属部材については、2個の受信ホーン構造を形成され、2本の導波路の開口部と2個の受信ホーン構造の接続部が接続されるように、誘電体基板に接続される。
【0009】
ここで、金属部材については、各々の受信ホーン構造の4面の管壁のうち、少なくとも1面の管壁において、平面構造を形成されず、階段構造を形成される。よって、広角方位検知システムの製造容易化及び低コスト化を図りながら、通常のホーン構造そのものを実現するわけではないが、通常のホーン構造に近い構造を実現することができる。
【0010】
具体的には、本開示は、基板内部において基板平面と平行方向に2本の導波路の導波部を形成され、基板側面において前記2本の導波路の開口部を形成される誘電体基板と、2個の受信ホーン構造を形成され、前記2本の導波路の開口部と前記2個の受信ホーン構造の接続部が接続されるように、前記誘電体基板に接続される金属部材と、を備え、前記誘電体基板の厚さ方向と平行方向について、前記2個の受信ホーン構造の開口部が、互いに離れるように配置され、前記各々の受信ホーン構造の開き方向が、前記各々の受信ホーン構造の開口部の離れ方向と同一方向に設定され、前記2個の受信ホーン構造により、前記誘電体基板の厚さ方向と平行方向の目標物測角が可能であり、前記誘電体基板の厚さ方向と垂直方向について、前記2個の受信ホーン構造の開口部が、互いに離れるように配置され、前記2個の受信ホーン構造により、前記誘電体基板の厚さ方向と垂直方向の目標物測角が可能であり、前記各々の受信ホーン構造の4面の管壁のうち、少なくとも1面の管壁において、階段構造を形成されることを特徴とする基板側面ホーンアンテナである。
【0011】
この構成によれば、各々のホーン構造に接続される各々の導波路の導波部を、誘電体基板の厚さ方向のなるべく同一位置に形成することができる。そして、各々の受信ホーン構造の4面の管壁のうち、少なくとも1面の管壁において、階段構造を形成されることにより、通常のホーン構造に近い構造を実現することができる。よって、基板側面にホーンアンテナを形成するのみならず、基板平面に平面アンテナを形成することにより、広角に目標物の存在を検知する他、広角に目標物の方位を検知するうえに、広角方位検知システムの小型化、製造容易化及び低コスト化を図ることができる。
【0012】
また、本開示は、前記各々の受信ホーン構造の階段構造の各段のサイズのうち、前記誘電体基板の厚さ方向と平行方向のサイズが、前記基板側面ホーンアンテナの帯域中心波長の半分以下であることを特徴とする基板側面ホーンアンテナである。
【0013】
この構成によれば、階段構造の不連続性が小さいため、階段構造による不要なモードが発生することなく、ホーン構造の指向性が設計しやすくなる。なお、ホーン構造の管壁のうち、全体に渡り階段構造を形成してもよく、一部のみに階段構造を形成してもよい。また、基板側面ホーンアンテナの帯域中心波長は、後述のレドーム部材が埋め込まれないときには、真空中での波長を表わし、後述のレドーム部材が埋め込まれるときには、後述のレドーム部材の内部での波長又は真空中での波長を表わす。
【0014】
また、本開示は、前記各々の受信ホーン構造の開口部において埋め込まれるにあたり、前記各々の受信ホーン構造の階段構造を用いて埋め込み深さを調整されるレドーム部材、をさらに備えることを特徴とする基板側面ホーンアンテナである。
【0015】
この構成によれば、各々の受信ホーン構造の開口面を塞ぐようにして、レドーム部材を「貼り付ける」構造を採用しないで、各々の受信ホーン構造の階段構造をストッパーとして、レドーム部材を「埋め込む」構造を採用している。よって、広角方位検知システムの小型化、製造容易化及び低コスト化並びに風雨等に対する高耐性化を図ることができる。
【0016】
そして、貼り付けたレドーム部材において、内部での繰り返し反射波が端部から漏れ出す影響をなくすことができる。よって、受信信号の位相差は、反射波の到来角に対して、ほとんどリップルを生じることがなく、ほとんど単調に変化すると考えてもよい。つまり、複数の反射波の到来角が、単一の受信信号の位相差に対して、対応することがほとんどないと考えてもよく、モノパルス測角方式の測角精度を高くすることができる。
【0017】
ここで、2個のホーン構造の開口部は、広角方位検知システムの広がりが有限な筐体面に形成される。すると、2個のホーンアンテナは、広角方位検知システムの筐体角を回折源とする回折波の影響を受ける。よって、受信信号の位相差は、反射波の到来角に対して、単調に変化せずリップルを生じる。つまり、複数の反射波の到来角が、単一の受信信号の位相差に対して、対応するようになり、モノパルス測角方式の測角精度が低くなる。
【0018】
そこで、発明者は、自社出願の特開2015−061231号公報を参照して、広角方位検知システムの筐体角を回折源とする回折波の影響が、広角方位検知システムの筐体角と2個のホーン構造の開口部の間の距離に応じて、相違することに着目した。
【0019】
広角方位検知システムの筐体角と2個のホーン構造の開口部の間の距離が「短距離」のときには、回折波の波長が広角方位検知システムの筐体角と2個のホーン構造の開口部の間の距離と比べて十分に長くなるため、受信信号の位相差は、反射波の到来角に対して、長周期を有するリップルを生じるのみであり、ほとんど単調に変化すると考えてもよい。
【0020】
広角方位検知システムの筐体角と2個のホーン構造の開口部の間の距離が「長距離」のときには、回折波の振幅が広角方位検知システムの筐体角と2個のホーン構造の開口部の間の距離において十分に減衰するため、受信信号の位相差は、反射波の到来角に対して、小振幅を有するリップルを生じるのみであり、ほとんど単調に変化すると考えてもよい。
【0021】
広角方位検知システムの筐体角と2個のホーン構造の開口部の間の距離が「中距離」のときには、受信信号の位相差は、反射波の到来角に対して、中程度の周期及び有限の振幅を有するリップルを生じるため、ほとんど単調に変化すると考えることができない。
【0022】
よって、広角方位検知システムの筐体角と2個のホーン構造の開口部の間の距離が「中距離」のときには、モノパルス測角方式の測角精度を高くするためには、以下に示す手段を適用することが望ましい。むろん、広角方位検知システムの筐体角と2個のホーン構造の開口部の間の距離が「短距離」又は「長距離」のときにも、モノパルス測角方式の測角精度がある程度高いものの、以下に示す手段を適用することは問題ない。
【0023】
その手段とは、広角方位検知システムの筐体角と2個のホーン構造の開口部の間において、受信波に対して回折源となる回折構造を、広角方位検知システムの筐体角とは別に、形成することである。ここで、受信波に対して回折源となる回折構造と2個のホーン構造の開口部の間の距離は、以上で言う「短距離」である。よって、受信波に対して回折源となる回折構造からの回折波は、モノパルス測角方式の測角精度を低くしない。そして、広角方位検知システムの筐体角からの回折波は、受信波に対して回折源となる回折構造からの回折波と干渉した結果減衰するため、モノパルス測角方式の測角精度に影響しない。
【0024】
具体的には、本開示は、受信波に対して回折源となる回折構造が、前記2個の受信ホーン構造の開口部が形成される前記金属部材の筐体面において、かつ、前記誘電体基板の厚さ方向と平行方向における前記金属部材の筐体角と前記2個の受信ホーン構造の開口部の間において、前記誘電体基板の厚さ方向と垂直方向に延伸して形成されることを特徴とする基板側面ホーンアンテナである。
【0025】
この構成によれば、受信信号の位相差は、反射波の到来角に対して、長周期を有するリップルを生じるのみであり、ほとんど単調に変化すると考えてもよい。つまり、複数の反射波の到来角が、単一の受信信号の位相差に対して、対応することがほとんどないと考えてもよく、モノパルス測角方式の測角精度を高くすることができる。
【発明の効果】
【0026】
このように、本開示は、空間的に離れたアンテナを基板側面に形成する方法を工夫して、基板側面の方向の広角に目標物の存在を検知するのみならず、基板側面の方向の広角に目標物の方位を検知するうえに、広角方位検知システムの小型化、製造容易化及び低コスト化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本開示の実施の例であり、本開示は以下の実施形態に制限されるものではない。
【0029】
(広角方位検知システムの構成)
本開示の広角方位検知システムの構成を
図1に示す。本開示の広角方位検知システムSは、誘電体基板1及び金属部材2から構成される。誘電体基板1は、基板内部において基板平面と平行方向に導波路11、12、13の導波部(
図3を参照。)を形成され、基板側面において導波路11、12、13の開口部(
図3を参照。)を形成され、基板平面において基板平面アンテナ14を形成される。金属部材2は、ホーン構造21、22、23を形成され、導波路11、12、13の開口部(
図3を参照。)とホーン構造21、22、23の接続部がそれぞれ接続されるように、誘電体基板1に接続される。
【0030】
ホーン構造21、22は、受信用のものであり、ホーン構造23は、送信用のものである。基板平面アンテナ14は、受信用のもの及び送信用のものを、様々な監視方式に応じて、高い自由度で配置する。以下の説明では、誘電体基板1の厚さ方向と平行方向を「水平方向」と定義し、誘電体基板1の厚さ方向と垂直方向を「垂直方向」と定義する。
【0031】
(基板側面のホーンアンテナの構成)
本開示のモノパルス測角方式の原理を
図2に示す。モノパルス測角方式では、空間的に距離dだけ離れたアンテナを用いて、受信信号の位相差2π(dsinθ/λ
0)(λ
0は、電磁波の真空波長。)を測定して、反射波の到来角θを測定する。
【0032】
本開示の基板側面のホーンアンテナの形状及び位置を
図3及び
図4に示す。基板側面のホーンアンテナの形状及び位置について、最も望ましい実施形態を、
図3を用いて説明する。基板側面のホーンアンテナの形状及び位置について、最も望ましい実施形態として、
図3の実施形態を選択する理由を、
図4を用いて説明する。
【0033】
まず、
図3について説明する。導波路11、12、13の導波部及び開口部は、水平方向の同一位置に形成される。導波路11、12、13のうち、基板平面に平行方向の広壁面は、例えば、導体箔を用いて形成され、基板平面に垂直方向の狭壁面は、例えば、金属柱を用いて形成される。導波路11、12、13の開口部を導波路11、12、13の広壁面の方向に狭める金属柱は、インピーダンス整合器として機能し、導波路11、12、13の開口部を導波路11、12、13の広壁面の方向に拡げる金属柱は、反射器として機能する。導波路11、12、13の形成方法は、例えば、特開2011−109438号公報及び特許第5669043号公報に開示されている。
【0034】
ホーン構造21、22の開口部は、水平方向に互いに離れるように配置される。
図3では、ホーン構造21の開口部は、導波路11の開口部を基準として、紙面右方向にずれて、ホーン構造22の開口部は、導波路12の開口部を基準として、紙面左方向にずれる。ホーン構造21、22の開き方向の水平成分は、ホーン構造21、22の開口部の上述した離れ方向と同一方向に設定される。
図3では、ホーン構造21の開き方向の水平成分は、導波路11の導波方向を基準として、紙面右方向にずれて、ホーン構造22の開き方向の水平成分は、導波路12の導波方向を基準として、紙面左方向にずれる。ホーン構造21、22により、水平方向の目標物測角が可能である。
【0035】
ホーン構造21、22の開口部は、垂直方向に互いに離れるように配置される。
図3では、ホーン構造21の開口部は、導波路11の開口部の位置に従い、紙面上方向に位置して、ホーン構造22の開口部は、導波路12の開口部の位置に従い、紙面下方向に位置する。ホーン構造21、22により、垂直方向の目標物測角が可能である。
【0036】
次に、
図4について説明する。本開示では、2個のホーン構造21、22を用いて、モノパルス測角方式を採用するとともに、アンテナ指向性を容易に調整可能とする。ここで、広角方位検知システムSの小型化、製造容易化及び低コスト化を図るためには、各々のホーン構造21、22に接続される各々の導波路11、12を、誘電体基板1の厚さ方向のなるべく同一位置に形成することが望ましい(
図4の左上欄を参照。)。
【0037】
しかし、
図4の左上欄に示すように、ホーン構造21、22の開き方向の水平成分を同一方向とすれば、ホーン構造21、22の水平方向の実効的な間隔dを0とするため、水平方向のモノパルス測角方式を採用することができず、広角方位検知システムSの小型化、製造容易化及び低コスト化以前の問題である。そして、
図4の右上欄に示すように、導波路11、12を誘電体基板1の厚さ方向の大きく異なる位置(誘電体基板1の厚さ方向の隔離距離l)に形成すれば、ホーン構造21、22の水平方向の実効的な間隔dを有限値とするため、水平方向のモノパルス測角方式を採用することができるが、広角方位検知システムSの小型化、製造容易化及び低コスト化を図ることができない。
【0038】
そこで、
図4の左下欄に示すように、ホーン構造21、22の開き方向の水平成分を異なる方向とすれば、導波路11、12を誘電体基板1の厚さ方向のあまり異ならない位置(誘電体基板1の厚さ方向の隔離距離l’(<l))に形成しても、ホーン構造21、22の水平方向の実効的な間隔dを
図4の右上欄とほぼ同程度の有限値とする。よって、水平方向のモノパルス測角方式を採用することができるうえに、広角方位検知システムSの小型化、製造容易化及び低コスト化を図ることができる。
【0039】
そして、
図4の右下欄に示すように、ホーン構造21、22の開き方向の水平成分を異なる方向とすれば、導波路11、12を誘電体基板1の厚さ方向の同一位置に形成しても、ホーン構造21、22の水平方向の実効的な間隔dを
図4の左下欄ほどではないが有限値とする。よって、水平方向のモノパルス測角方式を採用することができるうえに、広角方位検知システムSのさらなる小型化、製造容易化及び低コスト化を図ることができる。
【0040】
(基板側面のホーンアンテナの形状)
図3及び
図4において、ホーン構造21、22、23は、通常のホーン構造ではない。ホーン構造21、22、23の形状について、
図5から
図7までを用いて説明する。
【0041】
測角方向の開き角が「大きい」ときにおける、本開示の基板側面のホーンアンテナの形状を
図5に示す。
図5では、測角方向として水平方向を採用したうえで、ホーン構造21の水平方向の形状について説明するが、ホーン構造22、23の水平方向の形状及びホーン構造21、22、23の垂直方向の形状についてもほぼ同様である。
【0042】
図5の左欄に示すように、水平方向にホーン構造21を開く管壁において、階段構造の段数が少ない(
図5の左欄では、2段の階段構造)ときには、階段構造の不連続性が大きく、通常のホーン構造から遠いホーン構造21となる。よって、階段構造による不要なモードが発生することにより、ホーン構造21の指向性が設計しにくくなる。
【0043】
図5の右欄に示すように、水平方向にホーン構造21を開く管壁において、階段構造の段数が多い(
図5の右欄では、4段の階段構造)ときには、階段構造の不連続性が小さく、通常のホーン構造に近いホーン構造21となる。よって、階段構造による不要なモードが発生することなく、ホーン構造21の指向性が設計しやすくなる。
【0044】
測角方向の開き角が「小さい」ときにおける、本開示の基板側面のホーンアンテナの形状を
図6に示す。
図6では、測角方向として水平方向を採用したうえで、ホーン構造21の水平方向の形状について説明するが、ホーン構造22、23の水平方向の形状及びホーン構造21、22、23の垂直方向の形状についてもほぼ同様である。
【0045】
図6に示すように、水平方向にホーン構造21を開く管壁において、階段構造の段数が少ない(
図6では、2段の階段構造)ときでも、階段構造の不連続性が小さく、通常のホーン構造に近いホーン構造21となる。よって、階段構造による不要なモードが発生することなく、ホーン構造21の指向性が設計しやすくなる。
【0046】
具体的には、ホーン構造21の階段構造の各段のサイズのうち、誘電体基板1の厚さ方向と平行方向のサイズが、広角方位検知システムSの帯域中心波長λ
gの半分λ
g/2以下である。すると、水平方向にホーン構造21を開く管壁において、階段構造の不連続性が小さく、通常のホーン構造に近いホーン構造21となる。よって、階段構造による不要なモードが発生することなく、ホーン構造21の指向性が設計しやすくなる。
【0047】
そして、広角方位検知システムSの製造容易化及び低コスト化を図りながら、通常のホーン構造そのものを実現するわけではないが、通常のホーン構造に近いホーン構造21を実現することができる。例えば、テーパ形状の角穴加工を用いることができる。
【0048】
なお、
図7で後述するように、ホーン構造21の管壁のうち、全体に渡り階段構造を形成してもよく、一部のみに階段構造を形成してもよい。また、広角方位検知システムSの帯域中心波長λ
gは、
図8で後述のレドーム部材31が埋め込まれないときには、真空中での波長λ
0を表わし、
図8で後述のレドーム部材31が埋め込まれるときには、
図8で後述のレドーム部材31の内部での波長λ
g又は真空中での波長λ
0を表わす。
【0049】
図3及び
図4に示した本実施形態のホーン構造21、22について説明する。水平方向にホーン構造21、22を開く1面の管壁において、2段の階段構造を形成される。垂直方向にホーン構造21、22を開く2面の管壁において、2段の階段構造を形成される。導波路11、12を誘電体基板1の厚さ方向の同一位置に形成するために、ホーン構造21、22の残りの1面の管壁においては、水平方向にホーン構造21、22を開いておらず、階段構造を形成されていない。
【0050】
図3及び
図4に示した本実施形態のホーン構造23について説明する。水平方向及び垂直方向にホーン構造23を開く各面の管壁において、階段構造を形成されてもよく、通常のホーン構造のような平面構造を形成されてもよい。
【0051】
図7の左上欄に示した第1の変形例のホーン構造21について説明する。水平方向にホーン構造21を開く1面の管壁において、開口面側では1段の階段構造を形成され、導波路11側では通常のホーン構造のような平面構造を形成される。垂直方向にホーン構造21を開く2面の管壁において、2段の階段構造を形成される。導波路11、12を誘電体基板1の厚さ方向の同一位置に形成するために、ホーン構造21の残りの1面の管壁においては、水平方向にホーン構造21を開いておらず、ホーン構造21を開く階段構造や平面構造を形成されていない。
【0052】
図7の右上欄に示した第2の変形例のホーン構造21について説明する。水平方向にホーン構造21を開く1面の管壁において、通常のホーン構造のような平面構造を形成される。垂直方向にホーン構造21を開く2面の管壁において、2段の階段構造を形成される。導波路11、12を誘電体基板1の厚さ方向の同一位置に形成するために、ホーン構造21の残りの1面の管壁においては、水平方向にホーン構造21を開いておらず、ホーン構造21を開く階段構造や平面構造を形成されていない。
【0053】
図7の左下欄に示した第3の変形例のホーン構造21について説明する。水平方向にホーン構造21を開く1面の管壁において、2段の階段構造を形成される。垂直方向にホーン構造21を開く2面の管壁において、通常のホーン構造のような平面構造を形成される。導波路11、12を誘電体基板1の厚さ方向の同一位置に形成するために、ホーン構造21の残りの1面の管壁においては、水平方向にホーン構造21を開いておらず、ホーン構造21を開く階段構造や平面構造を形成されていない。
【0054】
図7の右下欄に示した第4の変形例のホーン構造21について説明する。水平方向にホーン構造21を開く1面の管壁において、開口面側では1段の階段構造を形成され、導波路11側では通常のホーン構造のような平面構造を形成される。垂直方向にホーン構造21を開く2面の管壁において、通常のホーン構造のような平面構造を形成される。導波路11、12を誘電体基板1の厚さ方向の同一位置に形成するために、ホーン構造21の残りの1面の管壁においては、水平方向にホーン構造21を開いておらず、ホーン構造21を開く階段構造や平面構造を形成されていない。
【0055】
(レドーム部材の配置方法)
図3及び
図4において、ホーン構造21、22、23は、レドーム部材31、32、33を開口部に埋め込まれて、フィルム部材31’、32’、33’を開口面に貼り付けられる。ホーン構造21、22、23のレドーム部材31、32、33及びフィルム部材31’、32’、33’の配置方法について、
図8を用いて説明する。
【0056】
本開示の基板側面のホーンアンテナのレドーム部材の配置方法を
図8に示す。
図8では、測角方向として水平方向を採用したうえで、ホーン構造21のレドーム部材31及びフィルム部材31’の水平方向の配置方法について説明するが、ホーン構造22、23のレドーム部材32、33及びフィルム部材32’、33’の水平方向の配置方法及びホーン構造21、22、23のレドーム部材31、32、33及びフィルム部材31’、32’、33’の垂直方向の配置方法についてもほぼ同様である。
【0057】
図8の左欄に示すように、ホーン構造21の開口面を塞ぐようにして、レドーム部材31(例えば、半波長レドーム)を「貼り付ける」構造を採用するときについて説明する。すると、広角方位検知システムSの製造容易化及び低コスト化並びに風雨等に対する高耐性化を図ることができても、広角方位検知システムSの小型化を図ることができない。
【0058】
そして、貼り付けた厚みのある(例えば、半波長分程度)レドーム部材31において、内部での繰り返し反射波が端部から漏れ出す影響をなくすことができない。よって、受信信号の位相差は、反射波の到来角に対して、大きなリップル(
図13を参照。)を生じることがあり、単調に変化すると考えることができない。つまり、複数の反射波の到来角が、単一の受信信号の位相差に対して、対応することがないと考えることができず、モノパルス測角方式の測角精度を高くすることができない。
【0059】
図8の右欄に示すように、ホーン構造21の階段構造をストッパーとして、レドーム部材31(例えば、半波長レドーム)を「埋め込む」構造を採用するときについて説明する。ここで、ホーン構造21の開口面を塞ぐようにして、フィルム部材31’(例えば、半波長分未満の厚さのフィルム)を貼り付けてもよい。すると、広角方位検知システムSの小型化、製造容易化及び低コスト化並びに風雨等に対する高耐性化を図ることができる。
【0060】
そして、貼り付けた厚みのない(例えば、半波長分未満)フィルム部材31’において、内部での繰り返し反射波が端部から漏れ出す影響をなくすことができる。よって、受信信号の位相差は、反射波の到来角に対して、ほとんどリップル(
図14を参照。)を生じることがなく、ほとんど単調に変化すると考えてもよい。つまり、複数の反射波の到来角が、単一の受信信号の位相差に対して、対応することがほとんどないと考えてもよく、モノパルス測角方式の測角精度を高くすることができる。
【0061】
図3及び
図4に示した本実施形態のホーン構造21、22について説明する。まず、水平方向にホーン構造21、22を開く1面の管壁に形成される2段の階段構造と、垂直方向にホーン構造21、22を開く2面の管壁に形成される2段の階段構造と、をストッパーとして、直方体形状のレドーム部材31、32を埋め込む。次に、ホーン構造21、22の開口面を塞ぐようにして、フィルム部材31’、32’を貼り付けてもよい。
【0062】
図3及び
図4に示した本実施形態のホーン構造23について説明する。まず、水平方向にホーン構造23を開く2面の管壁に形成される階段構造と、垂直方向にホーン構造23を開く2面の管壁に形成される階段構造と、を形成されているときには、これらの階段構造をストッパーとして、直方体形状のレドーム部材33を埋め込む。次に、ホーン構造23の開口面を塞ぐようにして、フィルム部材33’を貼り付けてもよい。
【0063】
図7の左上欄に示した第1の変形例のホーン構造21について説明する。まず、水平方向にホーン構造21を開く1面の管壁に形成される1段の階段構造と、垂直方向にホーン構造21を開く2面の管壁に形成される2段の階段構造と、をストッパーとして、直方体形状のレドーム部材31を埋め込む。次に、ホーン構造21の開口面を塞ぐようにして、フィルム部材31’を貼り付けてもよい。
【0064】
図7の右上欄に示した第2の変形例のホーン構造21について説明する。まず、垂直方向にホーン構造21を開く2面の管壁に形成される2段の階段構造をストッパーとして、4面の管壁に沿う形状のレドーム部材31を埋め込む。次に、ホーン構造21の開口面を塞ぐようにして、フィルム部材31’を貼り付けてもよい。
【0065】
図7の左下欄に示した第3の変形例のホーン構造21について説明する。まず、水平方向にホーン構造21を開く1面の管壁に形成される2段の階段構造をストッパーとして、4面の管壁に沿う形状のレドーム部材31を埋め込む。次に、ホーン構造21の開口面を塞ぐようにして、フィルム部材31’を貼り付けてもよい。
【0066】
図7の右下欄に示した第4の変形例のホーン構造21について説明する。まず、水平方向にホーン構造21を開く1面の管壁に形成される1段の階段構造をストッパーとして、4面の管壁に沿う形状のレドーム部材31を埋め込む。次に、ホーン構造21の開口面を塞ぐようにして、フィルム部材31’を貼り付けてもよい。
【0067】
(受信波に対する回折源の原理)
受信波に対する回折源の原理に関連して、従来技術(自社出願の特開2015−061231号公報)の基板平面のアンテナ素子のモノパルス測角方式を示す図を
図9に示す。
【0068】
ここで、ホーン構造21、22の開口部は、金属部材2の広がりが有限な筐体面24に形成される。すると、ホーン構造21、22は、金属部材2の筐体角25、26を回折源とする回折波の影響を受ける。よって、受信信号の位相差は、反射波の到来角に対して、単調に変化せずリップルを生じる。つまり、複数の反射波の到来角が、単一の受信信号の位相差に対して、対応するようになり、モノパルス測角方式の測角精度が低くなる。
【0069】
そこで、発明者は、自社出願の特開2015−061231号公報を参照して、金属部材2の筐体角25、26を回折源とする回折波の影響が、金属部材2の筐体角25、26とホーン構造21、22の開口部の間の距離に応じて、相違することに着目した。
【0070】
従来技術では、
図9の上段に示したように、平面アンテナ素子と基板平面端部の間の距離が「短距離」のときには、回折波の波長が平面アンテナ素子と基板平面端部の間の距離と比べて十分に長くなるため、受信信号の位相差は、反射波の到来角に対して、長周期を有するリップルを生じるのみであり、ほとんど単調に変化すると考えてもよい。
【0071】
本開示では、
図9の上段に示した従来技術を参照して、金属部材2の筐体角25、26とホーン構造21、22の開口部の間の距離が「短距離」のときには、回折波の波長が金属部材2の筐体角25、26とホーン構造21、22の開口部の間の距離と比べて十分に長くなるため、受信信号の位相差は、反射波の到来角に対して、長周期を有するリップルを生じるのみであり、ほとんど単調に変化すると考えてもよい。
【0072】
従来技術では、
図9の下段に示したように、平面アンテナ素子と基板平面端部の間の距離が「長距離」のときには、回折波の振幅が平面アンテナ素子と基板平面端部の間の距離において十分に減衰するため、受信信号の位相差は、反射波の到来角に対して、小振幅を有するリップルを生じるのみであり、ほとんど単調に変化すると考えてもよい。
【0073】
本開示では、
図9の下段に示した従来技術を参照して、金属部材2の筐体角25、26とホーン構造21、22の開口部の間の距離が「長距離」のときには、回折波の振幅が金属部材2の筐体角25、26とホーン構造21、22の開口部の間の距離において十分に減衰するため、受信信号の位相差は、反射波の到来角に対して、小振幅を有するリップルを生じるのみであり、ほとんど単調に変化すると考えてもよい。
【0074】
従来技術では、
図9の中段に示したように、平面アンテナ素子と基板平面端部の間の距離が「中距離」のときには、受信信号の位相差は、反射波の到来角に対して、中程度の周期及び有限の振幅を有するリップルを生じるため、ほとんど単調に変化すると考えることができない。
【0075】
本開示では、
図9の中段に示した従来技術を参照して、金属部材2の筐体角25、26とホーン構造21、22の開口部の間の距離が「中距離」のときには、受信信号の位相差は、反射波の到来角に対して、中程度の周期及び有限の振幅を有するリップルを生じるため、ほとんど単調に変化すると考えることができない。
【0076】
よって、金属部材2の筐体角25、26とホーン構造21、22の開口部の間の距離が「中距離」のときには、モノパルス測角方式の測角精度を高くするためには、以下に示す手段を適用することが望ましい。むろん、金属部材2の筐体角25、26とホーン構造21、22の開口部の間の距離が「短距離」又は「長距離」のときにも、モノパルス測角方式の測角精度がある程度高いものの、以下に示す手段を適用することは問題ない。
【0077】
その手段とは、
図1、
図3及び
図4にすでに示したように、金属部材2の筐体角25、26とホーン構造21、22の開口部の間において、受信波に対して回折源となる回折構造27を、金属部材2の筐体角25、26とは別に、形成することである。ここで、受信波に対して回折源となる回折構造27とホーン構造21、22の開口部の間の距離は、
図9で言う「短距離」である。よって、受信波に対して回折源となる回折構造27からの回折波は、モノパルス測角方式の測角精度を低くしない。そして、金属部材2の筐体角25、26からの回折波は、受信波に対して回折源となる回折構造27からの回折波と干渉した結果減衰するため、モノパルス測角方式の測角精度に影響しない。
【0078】
よって、受信信号の位相差は、反射波の到来角に対して、長周期を有するリップルを生じるのみであり、ほとんど単調に変化すると考えてもよい。つまり、複数の反射波の到来角が、単一の受信信号の位相差に対して、対応することがほとんどないと考えてもよく、モノパルス測角方式の測角精度を高くすることができる。
【0079】
ここで、不図示の信号処理回路が、基板平面アンテナ14が形成されない誘電体基板1の一平面に接続され、モノパルス測角方式を適用して受信信号を処理する。
【0080】
そして、受信波に対して回折源となる回折構造27が、ホーン構造21、22、23の開口部が形成される金属部材2の筐体面24において、かつ、水平方向における金属部材2の「信号処理回路側」の筐体角25とホーン構造21、22、23の開口部の間において、垂直方向に延伸して形成されることが出来れば望ましい。
【0081】
一方で、受信波に対して回折源となる回折構造27は、ホーン構造21、22、23の開口部が形成される金属部材2の筐体面24において、かつ、水平方向における金属部材2の「誘電体基板1側」の筐体角26とホーン構造21、22、23の開口部の間において、垂直方向に延伸して形成されることを必ずしも要しない。
【0082】
(受信波に対する回折源を備える変形例)
変形例の基板側面のホーンアンテナの近傍の回折構造の位置を
図10に示す。第1及び第2の変形例に示した回折構造27は、形成箇所がそれぞれ相違する。
【0083】
金属部材2の筐体角25、26とホーン構造21、22の開口部の間の距離は、誘電体基板1及び信号処理回路が有する厚さに応じて決まる。
【0084】
ここで、金属部材2の「信号処理回路側」の筐体角25とホーン構造21、22の開口部の間の距離は、信号処理回路が有する厚さを考慮すれば、
図9で言う「中距離」となることが多い。よって、金属部材2の「信号処理装置側」の筐体角25とホーン構造21、22の開口部の間において、受信波に対して回折源となる回折構造27を、金属部材2の「信号処理装置側」の筐体角25とは別に、形成することが望ましい。
【0085】
第1の変形例では、金属部材2の「信号処理装置側」の筐体角25とホーン構造21、22、23の開口部の間において、受信波に対して回折源となる回折構造27を、金属部材2の「信号処理装置側」の筐体角25とは別に、形成している。そして、ホーン構造21、22の開口部が、水平方向に大きく離れている場合には、ホーン構造21の開口部と回折構造27の間の距離と、ホーン構造22の開口部と回折構造27の間の距離が、ほぼ等しく
図9で言う「短距離」となるように、ホーン構造21、22の開口部の境界近傍において、回折構造27を屈曲させることが望ましい。
【0086】
一方で、金属部材2の「誘電体基板1側」の筐体角26とホーン構造21、22の開口部の間の距離は、誘電体基板1が有する基板平面アンテナ14を考慮すれば、
図9で言う「短距離」となることが多い。よって、金属部材2の「誘電体基板1側」の筐体角26とホーン構造21、22の開口部の間において、受信波に対して回折源となる回折構造27を、金属部材2の「誘電体基板1側」の筐体角26とは別に、特に形成するまでもない。
【0087】
第2の変形例では、金属部材2の「誘電体基板1側」の筐体角26とホーン構造21、22、23の開口部の間において、受信波に対して回折源となる回折構造27を、金属部材2の「誘電体基板1側」の筐体角26とは別に、形成している。そして、ホーン構造21、22の開口部が、水平方向に大きく離れている場合には、ホーン構造21の開口部と回折構造27の間の距離と、ホーン構造22の開口部と筐体角26の間の距離が、ほぼ等しく
図9で言う「短距離」となるように、ホーン構造21の開口部の筐体角26側の水平方向側方において、回折構造27を延伸させることが望ましい。
【0088】
(受信波に対する回折源の構成)
本開示の基板側面のホーンアンテナの近傍の回折構造の構造を
図11及び
図12に示す。
図11及び
図12に示した回折構造27は、構成要素がそれぞれ相違する。
【0089】
図1、
図3、
図4及び
図10では、回折構造27は、受信波に対して回折源となる限りにおいて、不特定の構造を有する。
図11及び
図12においては、回折構造27は、受信波に対して回折源となるだけではなく、チョーク構造を有する。
【0090】
ここで、チョーク構造は、ホーン構造21、22の開口部が形成される金属部材2の筐体面24に沿って、かつ、水平方向における金属部材2の筐体角25、26とホーン構造21、22の開口部の間において、電磁波が伝搬することを低減する。
【0091】
よって、チョーク構造を経由する/素通りする電磁波の間の弱め合い干渉により、金属部材2の筐体角25、26からの回折波がホーン構造21、22の開口部において減衰するため、モノパルス測角方式の測角精度を高くすることができる。
【0092】
図11に示した本開示では、チョーク構造は、金属部材2の筐体面24と垂直方向の深さh=λ
0/4を有し、金属部材2の筐体面24と平行方向の幅w≦λ
0/2を有する。よって、金属部材2の筐体面24と垂直な方向の電界を有する、金属部材2の筐体角25、26からの回折波を、ホーン構造21、22の開口部において減衰させることができる。
【0093】
図12に示した本開示では、チョーク構造は、金属部材2の筐体面24と平行方向の深さh=λ
0/4を有し、金属部材2の筐体面24と垂直方向の幅w≦λ
0/2を有する。よって、金属部材2の筐体面24と平行な方向の電界を有する、金属部材2の筐体角25、26からの回折波を、ホーン構造21、22の開口部において減衰させることができる。
【0094】
(受信波に対する回折源を備えない比較例)
比較例の基板側面のホーンアンテナのモノパルス測角精度を
図13に示す。
【0095】
図13に示した比較例では、受信波に対して回折源となる回折構造27は、ホーン構造21、22、23の開口部が形成される金属部材2の筐体面24において、かつ、水平方向における金属部材2の「信号処理回路側」の筐体角25とホーン構造21、22、23の開口部の間において、垂直方向に延伸して形成されていない。ただし、ホーン構造21、22、23は、レドーム部材31、32、33を開口部に埋め込まれており、フィルム部材31’、32’、33’を開口面に貼り付けられている。
【0096】
すると、比較例では、受信信号の位相差は、反射波の到来角に対して、単調に変化せずリップルを生じる。つまり、比較例では、複数の反射波の到来角が、単一の受信信号の位相差に対して、対応するようになり、モノパルス測角方式の測角精度が低くなる。
【0097】
なぜならば、比較例では、ホーン構造21、22、23の水平方向指向性は、広角方位検知システムSの水平方向角度に対して、大きなリップルを生じるからである。つまり、比較例では、ホーン構造21、22、23の信号対雑音比が、広角方位検知システムSの特定の水平方向角度において、極度に低くなり得て、モノパルス測角方式の測角精度が低くなる。
【0098】
(受信波に対する回折源を備える本開示)
本開示の基板側面のホーンアンテナのモノパルス測角精度を
図14に示す。
【0099】
図14に示した本開示では、受信波に対して回折源となる回折構造27は、ホーン構造21、22、23の開口部が形成される金属部材2の筐体面24において、かつ、水平方向における金属部材2の「信号処理回路側」の筐体角25とホーン構造21、22、23の開口部の間において、垂直方向に延伸して形成されている。そして、ホーン構造21、22、23は、レドーム部材31、32、33を開口部に埋め込まれており、フィルム部材31’、32’、33’を開口面に貼り付けられている。
【0100】
すると、本開示では、受信信号の位相差は、反射波の到来角に対して、リップルを生じず単調に変化する。つまり、本開示では、複数の反射波の到来角が、単一の受信信号の位相差に対して、対応することがなく、モノパルス測角方式の測角精度が高くなる。
【0101】
なぜならば、本開示では、ホーン構造21、22、23の水平方向指向性は、広角方位検知システムSの水平方向角度に対して、大きなリップルを生じないからである。つまり、本開示では、ホーン構造21、22、23の信号対雑音比が、広角方位検知システムSの特定の水平方向角度において、極度に低くなり得ず、モノパルス測角方式の測角精度が高くなる。
【0102】
ここで、反射波の到来角が、−60°より大きくかつ+60°より小さいときには、受信信号の位相差は、反射波の到来角に応じて単調に変化するため、水平方向の測角が可能である。そして、反射波の到来角が、−60°より小さい又は+60°より大きいときには、受信信号の位相差は、反射波の到来角に関わらずほぼ変化しないため、水平方向の測角が不能である。これは、ホーン構造21、22の水平方向の開き角度が、有限であるためである。
【0103】
さらに、ホーン構造21、22からなるホーンアンテナの水平方向指向性は、基板側面と垂直方向から水平方向にそれぞれ逆の方向に利得が若干ではあるが偏っている。これは、ホーン構造21、22の開き方向の水平成分が、基板側面と垂直方向からずれているためである。
【0104】
ホーン構造21、22の水平方向の開き角度が大きければ、ホーン構造21、22の水平方向の実効的な間隔dが広くなり、ホーン構造21、22の位相中心ずれが大きくなり、水平方向の測角範囲が狭くなり、水平方向指向性の利得の偏りが大きくなる。ホーン構造21、22の水平方向の開き角度が小さければ、ホーン構造21、22の水平方向の実効的な間隔dが狭くなり、ホーン構造21、22の位相中心ずれが小さくなり、水平方向の測角範囲が広くなり、水平方向指向性の利得の偏りが小さくなる。
【0105】
もっとも、ホーン構造21、22の水平方向の開き角度が小さくなり過ぎれば、ホーン構造21、22の水平方向の実効的な間隔dも小さくなり過ぎるため、モノパルス測角方式を採用することができない。そして、ホーン構造21、22の水平方向の開き角度は、監視範囲や監視精度に応じて、高い自由度で設定することができる。