特許第6789095号(P6789095)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6789095
(24)【登録日】2020年11月5日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】自転車用内装変速ハブ
(51)【国際特許分類】
   B62M 11/06 20060101AFI20201116BHJP
   B62J 43/20 20200101ALI20201116BHJP
   B62J 43/30 20200101ALI20201116BHJP
   B62J 6/12 20060101ALI20201116BHJP
   B62J 99/00 20200101ALI20201116BHJP
【FI】
   B62M11/06 C
   B62J43/20
   B62J43/30
   B62J6/12
   B62J99/00
【請求項の数】33
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-248442(P2016-248442)
(22)【出願日】2016年12月21日
(65)【公開番号】特開2018-100061(P2018-100061A)
(43)【公開日】2018年6月28日
【審査請求日】2018年12月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】仁木 一喬
【審査官】 伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−522973(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0347412(US,A1)
【文献】 特開2005−324648(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第104354828(CN,A)
【文献】 特開2013−121834(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 11/06
B62M 11/16
B62M 9/122
B62M 9/04
B62M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容空間を形成するハブシェルと、
前記収容空間に配置され、複数の変速段から1つの変速段を選択可能に構成される変速ユニットと、
前記収容空間に配置され、前記変速ユニットを駆動するための電動アクチュエータと、
前記収容空間に配置され、前記電動アクチュエータを駆動するための電力を発生させる発電機構と、を備え、
前記ハブシェルは、中心軸線に関する第1端部および第2端部を含み、
前記電動アクチュエータは、前記変速ユニットに対して少なくとも部分的に前記ハブシェルの前記第1端部側に配置され、
前記発電機構は、前記変速ユニットに対して少なくとも部分的に前記ハブシェルの前記第2端部側に配置される、自転車用内装変速ハブ。
【請求項2】
前記電動アクチュエータを制御するための制御ユニットをさらに備える、請求項1に記載の自転車用内装変速ハブ。
【請求項3】
前記制御ユニットは、前記収容空間に配置される、請求項2に記載の自転車用内装変速ハブ。
【請求項4】
収容空間を形成するハブシェルと、
前記収容空間に配置され、複数の変速段から1つの変速段を選択可能に構成される変速ユニットと、
前記収容空間に配置され、前記変速ユニットを駆動するための電動アクチュエータと、
前記収容空間に配置され、前記電動アクチュエータを駆動するための電力を発生させる発電機構と、
前記収容空間に配置され、前記電動アクチュエータを制御するための制御ユニットと、を備え、
前記ハブシェルは、中心軸線に関する第1端部および第2端部を含み、
前記制御ユニットは、前記変速ユニットに対して前記ハブシェルの前記第1端部側に配置され、
前記発電機構は、前記変速ユニットに対して少なくとも部分的に前記ハブシェルの前記第2端部側に配置される、自転車用内装変速ハブ。
【請求項5】
前記制御ユニットは、前記収容空間に配置される、請求項4に記載の自転車用内装変速ハブ。
【請求項6】
外部機器と通信するために前記制御ユニットに電気的に接続される無線通信ユニットをさらに備える、請求項2〜5のいずれか一項に記載の自転車用内装変速ハブ。
【請求項7】
前記無線通信ユニットは、少なくとも部分的に前記収容空間に配置される、請求項6に記載の自転車用内装変速ハブ。
【請求項8】
前記発電機構から供給される電力を蓄電する蓄電機構をさらに備える、請求項1〜7のいずれか一項に記載の自転車用内装変速ハブ。
【請求項9】
前記蓄電機構は、前記収容空間に配置される、請求項8に記載の自転車用内装変速ハブ。
【請求項10】
収容空間を形成するハブシェルと、
前記収容空間に配置され、複数の変速段から1つの変速段を選択可能に構成される変速ユニットと、
前記収容空間に配置され、前記変速ユニットを駆動するための電動アクチュエータと、
発電機構から供給される電力を蓄電する蓄電機構と、を備え、
前記蓄電機構は、前記収容空間に配置される、自転車用内装変速ハブ。
【請求項11】
前記電動アクチュエータを制御するための制御ユニットをさらに備える、請求項10に記載の自転車用内装変速ハブ。
【請求項12】
前記制御ユニットは、前記収容空間に配置される、請求項11に記載の自転車用内装変速ハブ。
【請求項13】
外部機器と通信するために前記制御ユニットに電気的に接続される無線通信ユニットをさらに備える、請求項11または12に記載の自転車用内装変速ハブ。
【請求項14】
前記無線通信ユニットは、少なくとも部分的に前記収容空間に配置される、請求項13に記載の自転車用内装変速ハブ。
【請求項15】
前記電動アクチュエータを駆動するための電力を発生させる発電機構をさらに備える、請求項10〜14のいずれか一項に記載の自転車用内装変速ハブ。
【請求項16】
前記発電機構は、前記収容空間に配置される、請求項15に記載の自転車用内装変速ハブ。
【請求項17】
収容空間を形成するハブシェルと、
前記収容空間に配置され、複数の変速段から1つの変速段を選択可能に構成される変速ユニットと、
前記収容空間に配置され、前記変速ユニットを駆動するための電動アクチュエータと、
外部機器と通信するために制御ユニットに電気的に接続される無線通信ユニットと、
前記電動アクチュエータを駆動するための電力を発生させる発電機構と、
前記発電機構から供給される電力を蓄電する蓄電機構と、を備え、
前記ハブシェルは、中心軸線に関する第1端部および第2端部を含み、
前記無線通信ユニットは、少なくとも部分的に前記収容空間に配置され、前記変速ユニットに対して前記ハブシェルの前記第1端部側に配置され
前記蓄電機構は、前記収容空間に配置される、自転車用内装変速ハブ。
【請求項18】
収容空間を形成するハブシェルと、
前記収容空間に配置され、複数の変速段から1つの変速段を選択可能に構成される変速ユニットと、
前記収容空間に配置され、前記変速ユニットを駆動するための電動アクチュエータと、
外部機器と通信するために制御ユニットに電気的に接続される無線通信ユニットと、を備え、
前記ハブシェルは、中心軸線に関する第1端部および第2端部を含み、
前記無線通信ユニットは、少なくとも部分的に前記収容空間に配置され、前記変速ユニットに対して前記ハブシェルの前記第1端部側に配置され、前記中心軸線に沿う方向に関して、前記変速ユニットに設けられる回転体の側面と前記ハブシェルとの間に配置される、自転車用内装変速ハブ。
【請求項19】
前記電動アクチュエータを制御するための制御ユニットをさらに備える、請求項18に記載の自転車用内装変速ハブ。
【請求項20】
前記制御ユニットは、前記収容空間に配置される、請求項19に記載の自転車用内装変速ハブ。
【請求項21】
前記電動アクチュエータを駆動するための電力を発生させる発電機構をさらに備える、請求項19または20に記載の自転車用内装変速ハブ。
【請求項22】
前記発電機構から供給される電力を蓄電する蓄電機構をさらに備える、請求項21に記載の自転車用内装変速ハブ。
【請求項23】
前記発電機構は、前記収容空間に配置される、請求項21または22に記載の自転車用内装変速ハブ。
【請求項24】
前記ハブシェルは、中心軸線に関する第1端部および第2端部を含み、
前記電動アクチュエータは、前記変速ユニットに対して少なくとも部分的に前記ハブシェルの前記第1端部側に配置され、
前記発電機構は、前記変速ユニットに対して少なくとも部分的に前記ハブシェルの前記第2端部側に配置される、請求項1〜9、16、23のいずれか一項に記載の自転車用内装変速ハブ。
【請求項25】
収容空間を形成するハブシェルと、
前記収容空間に配置され、複数の変速段から1つの変速段を選択可能に構成される変速ユニットと、
前記収容空間に配置され、前記変速ユニットを駆動するための電動アクチュエータと、
外部機器と通信するために制御ユニットに電気的に接続される無線通信ユニットと、
前記電動アクチュエータを駆動するための電力を発生させる発電機構と、を備え、
前記ハブシェルは、中心軸線に関する第1端部および第2端部を含み、
前記無線通信ユニットは、少なくとも部分的に前記収容空間に配置され、前記変速ユニットに対して前記ハブシェルの前記第1端部側に配置され
前記電動アクチュエータは、前記変速ユニットに対して少なくとも部分的に前記ハブシェルの前記第1端部側に配置され、
前記発電機構は、前記収容空間に配置され、前記変速ユニットに対して少なくとも部分的に前記ハブシェルの前記第2端部側に配置される、自転車用内装変速ハブ。
【請求項26】
前記収容空間に配置され、前記発電機構から供給される電力を蓄電する蓄電機構をさらに備え、
前記蓄電機構は、前記変速ユニットに対して少なくとも部分的に前記ハブシェルの前記第1端部側に配置される、請求項24または25に記載の自転車用内装変速ハブ。
【請求項27】
前記収容空間に配置され、前記電動アクチュエータを制御するための制御ユニットをさらに備え、
前記制御ユニットは、前記変速ユニットに対して前記ハブシェルの前記第1端部側に配置される、請求項26に記載の自転車用内装変速ハブ。
【請求項28】
前記変速ユニットを支持するように前記変速ユニットに対して前記ハブシェルの前記第1端部側に配置される第1支持部材をさらに備え、
前記電動アクチュエータは、前記第1支持部材に設けられる、請求項27に記載の自転車用内装変速ハブ。
【請求項29】
前記変速ユニットを支持するように前記変速ユニットに対して前記ハブシェルの前記第2端部側に配置される第2支持部材をさらに備え、
前記発電機構は、前記第2支持部材よりも前記ハブシェルの前記第2端部側に配置される、請求項28に記載の自転車用内装変速ハブ。
【請求項30】
前記蓄電機構は、前記第1支持部材に設けられる、請求項28または29に記載の自転車用内装変速ハブ。
【請求項31】
前記制御ユニットは、前記第1支持部材に設けられる、請求項28〜30のいずれか一項に記載の自転車用内装変速ハブ。
【請求項32】
前記自転車用内装変速ハブの状態を報知するための報知ユニットをさらに備える、請求項1〜31のいずれか一項に記載の自転車用内装変速ハブ。
【請求項33】
前記ハブシェルは、ホイールを構成するリムと連結される中間部材を介して前記リムに連結されるシェル本体と、前記シェル本体に回転可能に設けられる蓋部材と、を含む、請求項1〜32のいずれか一項に記載の自転車用内装変速ハブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車用内装変速ハブに関する。
【背景技術】
【0002】
自転車の変速比を切り替える自転車用内装変速ハブが知られている。その一例である特許文献1の自転車用内装変速ハブは、ハブ軸、ハブ軸に支持される駆動体、および、駆動体と連結されるハブシェルを備える。この自転車用内装変速ハブは、さらに、駆動体からハブシェルに回転力を伝達する複数の歯車を含む動力伝達機構、動力伝達機構の動力伝達経路を切り替えるシフト機構、および、変速ケーブルを介してシフト機構と連結される位置決めユニットを備える。位置決めユニットは、自転車のフロントスプロケットとリアスプロケットとの間に設けられた駆動ユニットの内部に配置される。ドライバが変速レバーを操作した場合、変速ケーブルが位置決めユニットにより引っ張られてシフト機構が回転し、動力伝達機構の複数の歯車とハブ軸との連結状態が切り替えられることにともない自転車の変速比が切り替えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−324649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自転車本体に容易に取り付けることができるように自転車用内装変速ハブが構成されることが好ましい。
本発明の目的は、自転車本体に容易に取り付けることができる自転車用内装変速ハブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明に従う自転車用内装変速ハブの一形態は、収容空間を形成するハブシェルと、前記収容空間に配置され、複数の変速段から1つの変速段を選択可能に構成される変速ユニットと、前記収容空間に配置され、前記変速ユニットを駆動するための電動アクチュエータと、を備える。
電動アクチュエータがハブシェルの収容空間に配置されているため、自転車用内速変速ハブを自転車本体のフレームに容易に取り付け可能である。
【0006】
(2)前記(1)に記載の自転車用内装変速ハブにおいて、前記電動アクチュエータを駆動するための電力を発生させる発電機構をさらに備える。
このため、電動アクチュエータを駆動するための電源を省略できる。
【0007】
(3)前記(2)に記載の自転車用内装変速ハブにおいて、前記発電機構は、前記収容空間に配置される。
このため、発電機構をハブシェルによって保護できる。
【0008】
(4)前記(2)または(3)に記載の自転車用内装変速ハブにおいて、前記発電機構から供給される電力を蓄電する蓄電機構をさらに備える。
このため、電動アクチュエータに安定して電力を供給できる。
【0009】
(5)前記(4)に記載の自転車用内装変速ハブにおいて、前記蓄電機構は、前記収容空間に配置される。
このため、蓄電機構をハブシェルによって保護できる。
【0010】
(6)前記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の自転車用内装変速ハブにおいて、前記電動アクチュエータを制御するための制御ユニットをさらに備える。
このため、様々な条件に応じて電動アクチュエータを動作させることができる。
【0011】
(7)前記(6)に記載の自転車用内装変速ハブにおいて、前記制御ユニットは、前記収容空間に配置される。
このため、制御ユニットをハブシェルによって保護できる。
【0012】
(8)前記(3)に記載の自転車用内装変速ハブにおいて、前記ハブシェルは、中心軸線に関する第1端部および第2端部を含み、前記電動アクチュエータは、前記変速ユニットに対して少なくとも部分的に前記ハブシェルの前記第1端部側に配置され、前記発電機構は、前記変速ユニットに対して少なくとも部分的に前記ハブシェルの前記第2端部側に配置される。
このため、重量物である変速ユニットをハブシェルの収容空間の中央部近傍に配置でき、最適な重量バランスが得られる。
【0013】
(9)前記(8)に記載の自転車用内装変速ハブにおいて、前記収容空間に配置され、前記発電機構から供給される電力を蓄電する蓄電機構をさらに備え、前記蓄電機構は、前記変速ユニットに対して少なくとも部分的に前記ハブシェルの前記第1端部側に配置される。
このため、蓄電機構をハブシェルによって保護できる。
【0014】
(10)前記(9)に記載の自転車用内装変速ハブにおいて、前記収容空間に配置され、前記電動アクチュエータを制御するための制御ユニットをさらに備え、前記制御ユニットは、前記変速ユニットに対して前記ハブシェルの前記第1端部側に配置される。
このため、制御ユニットの配置空間を容易に確保できる。
【0015】
(11)前記(10)に記載の自転車用内装変速ハブにおいて、前記変速ユニットを支持するように前記変速ユニットに対して前記ハブシェルの前記第1端部側に配置される第1支持部材をさらに備え、前記電動アクチュエータは、前記第1支持部材に設けられる。
このため、電動アクチュエータを安定して配置できる。
【0016】
(12)前記(11)に記載の自転車用内装変速ハブにおいて、前記変速ユニットを支持するように前記変速ユニットに対して前記ハブシェルの前記第2端部側に配置される第2支持部材をさらに備え、前記発電機構は、前記第2支持部材よりも前記ハブシェルの前記第2端部側に配置される。
このため、電発電機構の配置空間を容易に確保できる。
【0017】
(13)前記(11)または(12)に記載の自転車用内装変速ハブにおいて、前記蓄電機構は、前記第1支持部材に設けられる。
このため、蓄電機構を安定して配置できる。
【0018】
(14)前記(11)〜(13)のいずれか一項に記載の自転車用内装変速ハブにおいて、前記制御ユニットは、前記第1支持部材に設けられる。
このため、制御ユニットを安定して配置できる。
【0019】
(15)前記(6)、(7)、(10)〜(14)のいずれか一項に記載の自転車用内装変速ハブにおいて、外部機器と通信するために前記制御ユニットに電気的に接続される無線通信ユニットをさらに備える。
このため、制御部は外部機器から受信した情報を用いて電動アクチュエータを制御できる。
【0020】
(16)前記(15)に記載の自転車用内装変速ハブにおいて、前記無線通信ユニットは、少なくとも部分的に前記収容空間に配置される。
このため、少なくとも部分的に無線通信ユニットをハブシェルによって保護できる。
【0021】
(17)前記(1)〜(16)のいずれか一項に記載の自転車用内装変速ハブにおいて、当該自転車用内装ハブの状態を報知するための報知ユニットをさらに備える。
このため、ユーザが自転車用内装ハブの状態を容易に把握できる。
【0022】
(18)前記(1)〜(17)のいずれか一項に記載の自転車用内装変速ハブにおいて、前記ハブシェルは、ホイールを構成するリムと連結される中間部材を介して前記リムに連結されるシェル本体と、前記シェル本体に回転可能に設けられる蓋部材と、を含む。
このため、蓋部材をシェル本体から取り外し、収容空間に配置された電動アクチュエータを取り出すことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に関する自転車用内装変速ハブは、自転車に容易に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態の自転車用内装変速ハブが搭載された自転車の側面図。
図2図1の自転車用内装変速ハブの正面図。
図3図2の自転車用内装変速ハブの内部構造を示す斜視図。
図4図3の自転車用内装変速ハブの正面図。
図5図4の第2回転体の斜視図。
図6図5の第2回転体の正面図。
図7図3のD7−D7線に沿う断面図。
図8図4の第1回転体および解除部の斜視図。
図9図4の自転車用内装変速ハブの背面図。
図10図8の解除部の正面側の斜視図。
図11図10の解除部の底面側の斜視図。
図12図4の回転軸および連結部材の正面側の斜視図。
図13図12の回転軸および連結部材の背面側の斜視図。
図14図4の自転車用内装変速ハブの側面図。
図15図14の自転車用内装変速ハブから制御ユニットを省略した状態の側面図。
図16】段数1の場合の自転車用内装変速ハブの平面図。
図17】段数2の場合の自転車用内装変速ハブの平面図。
図18】段数3の場合の自転車用内装変速ハブの平面図。
図19】段数4の場合の自転車用内装変速ハブの平面図。
図20】段数5の場合の自転車用内装変速ハブの平面図。
図21】段数6の場合の自転車用内装変速ハブの平面図。
図22】変速段と連結部材の連結状態およびワンウェイクラッチの連結状態との関係を示す表。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の実施形態に関する説明は、本発明に関する自転車用内装変速ハブが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に関する自転車用内装変速ハブは、実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態等のように実施形態とは異なる形態を取り得る。
【0026】
(実施形態)
図1は、自転車用内装変速ハブ10を備える自転車Aの一例である。この自転車Aは、電気エネルギーを用いて自転車Aの推進をアシストするアシスト機構Cを含むシティサイクルである。自転車用内装変速ハブ10を搭載する自転車Aの構成は、任意に変更可能である。第1例では、自転車Aは、アシスト機構Cを含まない。第2例では、自転車Aの種類は、ロードバイク、マウンテンバイク、または、クロスバイクである。第3例では、自転車Aは、第1例および第2例の特徴を含む。図1に示されるとおり、自転車Aは、自転車本体A1、ハンドルバーA2、前輪A3、後輪A4、駆動機構B、アシスト機構C、バッテリユニットD、変速操作装置E、制御部F、および、自転車用内装変速ハブ10を備える。自転車Aは、さらにトルクセンサおよび車速センサ(図示略)を含む。自転車本体A1はフレームA12を備える。一例では、自転車用内装変速ハブ10は、自転車用内装変速ハブである。自転車用内装変速ハブ10は、自転車本体A1に取り付けられる。一例では、自転車用内装変速ハブ10は、自転車本体A1のフレームA12に取り付けられる。
【0027】
駆動機構Bは、チェーンドライブ、ベルトドライブ、または、シャフトドライブにより人力駆動力を後輪A4に伝達する。図1に示される駆動機構Bは、チェーンドライブを含む。駆動機構Bは、フロントスプロケットB1、リアスプロケットB2、チェーンB3、クランクG、および、一対のペダルB4を含む。
【0028】
クランクGは、クランク軸G1、右クランクG2、および、左クランクG3を含む。クランク軸G1は、フレームA12に設けられるボトムブラケットに回転可能に支持される。右クランクG2および左クランクG3は、それぞれクランク軸G1に連結される。一対のペダルB4の一方は右クランクG2に回転可能に支持される。一対のペダルB4の他方は左クランクG3に回転可能に支持される。
【0029】
フロントスプロケットB1は、クランク軸G1に連結される。クランク軸G1およびフロントスプロケットB1は、同軸を有する。クランク軸G1とフロントスプロケットB1との連結に関する構造は、任意に選択可能である。第1例では、フロントスプロケットB1は、クランク軸G1と相対回転不能に連結される。第2例では、クランク軸G1とフロントスプロケットB1との間にワンウェイクラッチ(図示略)が設けられる。ワンウェイクラッチは、前転するクランク軸G1の回転速度がフロントスプロケットB1の回転速度よりも速い場合にクランク軸G1の回転をフロントスプロケットB1に伝達する。
【0030】
アシスト機構Cは、アシストモータC1、駆動回路C2、減速機C3、および、ワンウェイクラッチ(図示略)を含む。アシスト機構Cは、自転車Aの推進をアシストする。一例では、アシスト機構Cは、フロントスプロケットB1にトルクを伝達することにより自転車Aの推進をアシストする。トルクセンサは、対象物にかかるトルクに応じた信号を出力する。トルクセンサの検出対象物は、例えば、クランクまたはペダルである。検出対象物がクランクまたはペダルである場合、トルクセンサは、クランクまたはペダルに加えられた人力駆動力に応じた信号を出力する。トルクセンサの具体的な構成は、種々の構成から選択できる。第1例では、トルクセンサは、歪センサを含む。第2例では、トルクセンサは、磁歪センサを含む。第3例では、トルクセンサは、光学センサを含む。第4例では、トルクセンサは、圧力センサを含む。
【0031】
自転車用内装変速ハブ10は、後輪A4の一部(中心部)を構成する。リアスプロケットB2は、後輪A4に回転可能に支持され、自転車用内装変速ハブ10と連結される。チェーンB3は、フロントスプロケットB1およびリアスプロケットB2に巻き掛けられる。一対のペダルB4に加えられる人力駆動力によりクランクGおよびフロントスプロケットB1が前転する場合、チェーンB3、リアスプロケットB2、および、自転車用内装変速ハブ10を介して伝達される人力駆動力により後輪A4が前転する。
【0032】
バッテリユニットDは、バッテリD1およびバッテリホルダD2を含む。バッテリD1は、1または複数のバッテリセルを含む蓄電池である。バッテリホルダD2は、自転車Aのフレームに固定される。バッテリD1は、バッテリホルダD2に着脱可能である。バッテリホルダD2は、少なくともアシストモータC1および自転車用内装変速ハブ10のそれぞれと電線(図示略)により接続される。バッテリD1がバッテリホルダD2に取り付けられた場合、バッテリD1が少なくともアシストモータC1および自転車用内装変速ハブ10のそれぞれと電気的に接続される。
【0033】
変速操作装置Eは、ユーザが操作する操作部E1を含む。操作部E1の一例は、1または複数のボタンである。変速操作装置Eは、操作部E1の操作に応じた信号を自転車用内装変速ハブ10に送信できるように、自転車用内装変速ハブ10と通信接続される。第1例では、変速操作装置Eは、PLC(Power Line Communication)が可能な電線、または、通信線により自転車用内装変速ハブ10と通信接続される。第2例では、変速操作装置Eは、無線通信が可能な無線通信ユニットにより自転車用内装変速ハブ10と通信接続される。操作部E1が操作された場合、自転車用内装変速ハブ10の変速段を変更するための信号が自転車用内装変速ハブ10に送信され、その信号に応じて自転車用内装変速ハブ10が動作することにより変速段が変更される。
【0034】
制御部Fは、少なくとも自転車用内装変速ハブ10およびアシスト機構Cを制御できるように自転車用内装変速ハブ10およびアシスト機構Cのそれぞれと通信接続される。第1例では、制御部Fは、PLCが可能な電線、または、通信線により自転車用内装変速ハブ10およびアシスト機構Cの少なくとも一方と通信接続される。第2例では、変速操作装置Eは、無線通信が可能な無線通信ユニットにより自転車用内装変速ハブ10およびアシスト機構Cの少なくとも一方と通信接続される。制御部Fの構成は、種々の構成から選択できる。第1例では、制御部Fは、演算処理部および記憶部を含む。第2例では、制御部Fは、演算処理部を含み、記憶部を含まない。記憶部は、制御部Fとは別に設けられる。制御部Fの一例は、プロセッサである。演算処理部の一例は、CPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)である。記憶部の一例は、メモリである。
【0035】
自転車用内装変速ハブ10は、リアスプロケットB2の回転数に対して後輪A4の回転数を変化させるために用いられる。自転車用内装変速ハブ10は、複数の変速段を備えている。図3および図4に示されるように、自転車用内装変速ハブ10は、ハブシェル32A、変速ユニット10A、および、電動アクチュエータ24を備える。自転車用内装変速ハブ10は、好ましくはガイド部20(図12参照)、付勢部材22(図12参照)、ハブ軸26A、26B、第1支持部材28A、第2支持部材28B、変速機構30、ハウジング32(図2参照)、発電機構34(図7参照)、蓄電機構36(図7参照)、および、制御ユニット38(図14参照)を備える。
【0036】
図4に示されるように、第1支持部材28Aは、変速ユニット10Aを支持するように変速ユニット10Aに対してハブシェル32A(後述)の第1端部10B側に配置される。第2支持部材28Bは、変速ユニット10Aを支持するように変速ユニット10Aに対してハブシェル32A(後述)の第2端部10C側に配置される。第1伝達部12は、第1回転体40、支軸42、および、第4回転体44を含む。第1回転体40には、人力駆動力が伝達される。第1回転体40は、支軸42と同軸に設けられ、支軸42の中心軸線CXまわりに回転可能である。複数の第1回転体40は、支軸42に回転可能に支持される。第1回転体40は、支軸42の軸方向において、支持部材28Aと支持部材28Bとの間に配置される。
【0037】
第1回転体40は、第1入力歯車40Aおよび第2入力歯車40Bを含む。各歯車40A、40Bの歯数および基準ピッチ円直径は互いに異なる。第1入力歯車40Aは、第2入力歯車40Bよりも歯数が多い。第1入力歯車40Aの基準ピッチ円直径は、第2入力歯車40Bの基準ピッチ円直径よりも長い。第1入力歯車40Aは、支軸42の軸方向において、第2入力歯車40Bよりも第1ハブ軸26Aの近くに配置される。第1例では、第1入力歯車40Aおよび第2入力歯車40Bは一体的に形成される。第2例では、第1入力歯車40Aおよび第2入力歯車40Bは別体で形成され、互いに固定される。自転車用内装変速ハブ10に用いられる各歯車を構成する材料は任意に選択できる。第1例では、自転車用内装変速ハブ10に用いられる各歯車を構成する材料は金属である。第2例では、自転車用内装変速ハブ10に用いられる各歯車を構成する材料は合成樹脂である。第1例では、支軸42は、第1支持部材28Aおよび第2支持部材28Bに回転不能に支持されている。第2例では、支軸42は、第1支持部材28Aおよび第2支持部材28Bに回転可能に取り付けられる。支軸42は、中空形状である。
【0038】
第4回転体44はハウジング32(図2参照)に回転を出力する。第4回転体44は、第1出力歯車44A、第2出力歯車44B、および、第3出力歯車44Cを含む。各歯車44A〜44Cの歯数および基準ピッチ円直径は互いに異なる。第1出力歯車44Aの歯数は、最も少ない。第2出力歯車44Bの歯数は、2番目に少ない。第3出力歯車44Cの歯数は、最も多い。第1出力歯車44Aの基準ピッチ円直径は、最も短い。第2出力歯車44Bの基準ピッチ円直径は、2番目に短い。第3出力歯車44Cの基準ピッチ円直径は、最も長い。第1例では、第1出力歯車44A、第2出力歯車44B、および、第3出力歯車44Cは一体的に形成される。第2例では、第1出力歯車44A、第2出力歯車44B、および、第3出力歯車44Cは別体で形成され、互いに固定される。
【0039】
第1出力歯車44Aは、支軸42の軸方向において、第2出力歯車44Bおよび第3出力歯車44Cよりも第1ハブ軸26Aの近くに配置される。第2出力歯車44Bは、支軸42の軸方向において、第3出力歯車44Cよりも第1ハブ軸26Aの近くに配置される。第2出力歯車44Bは、支軸42の軸方向において、第1出力歯車44Aと第3出力歯車44Cとの間に配置される。第3出力歯車44Cは、支軸42の軸方向において、第2出力歯車44Bよりも第2ハブ軸26Bの近くに配置される。
【0040】
第2伝達部14は、第2回転体46、回転軸48、および、第3回転体50を含む。第2回転体46は、第1回転体40と連結される。第2回転体46は、回転軸48と同軸に設けられる。第2回転体46は、回転軸48の軸方向において、第1支持部材28Aと第2支持部材28Bとの間に配置される。第2回転体46は、回転軸48の中心軸線CYまわりに回転可能である。第2回転体46は、第1入力側歯車46Aおよび第2入力側歯車46Bを含む。
【0041】
各歯車46A、46Bの歯数および基準ピッチ円直径は互いに異なる。第1入力側歯車46Aの歯数は、第2入力側歯車46Bの歯数よりも少ない。第1入力側歯車46Aの基準ピッチ円直径は、第2入力側歯車46Bの基準円ピッチ直径よりも短い。第1入力側歯車46Aは第1入力歯車40Aと連結される。第1入力側歯車46Aは、回転軸48の軸方向において、第2入力側歯車46Bよりも第1ハブ軸26Aの近くに配置される。第2入力側歯車46Bは、第2入力歯車40Bと連結される。回転軸48は、第1支持部材28Aおよび第2支持部材28Bに回転可能に支持される。
【0042】
第3回転体50は、第1出力側歯車50A、第2出力側歯車50B、および、第3出力側歯車50Cを含む。各歯車50A〜50Cの歯数および基準ピッチ円直径は互いに異なる。第1出力側歯車50Aの歯数は、最も多い。第2出力側歯車50Bの歯数は、2番目に多い。第3出力側歯車50Cの歯数は最も少ない。第1出力側歯車50Aの基準ピッチ円直径は、最も長い。第2出力側歯車50Bの基準ピッチ円直径は、2番目に長い。第3出力側歯車50Cの基準ピッチ円直径は最も短い。
【0043】
第1出力側歯車50Aは、回転軸48の軸方向において、第2出力側歯車50Bおよび第3出力側歯車50Cよりも第1ハブ軸26Aの近くに配置される。第2出力側歯車50Bは、回転軸48の軸方向において、第3出力側歯車50Cよりも第1ハブ軸26Aの近くに配置される。第2出力側歯車50Bは、回転軸48の軸方向において、第1出力側歯車50Aと第3出力側歯車50Cとの間に配置される。第1出力側歯車50Aは、第1出力歯車44Aと連結される。第2出力側歯車50Bは、第2出力歯車44Bと連結される。第3出力側歯車50Cは、第3出力歯車44Cと連結される。
【0044】
図5および図6に示されるように、連結部材16は、連結部材52、第1追加連結部材54、および、第2追加連結部材56を含む。各連結部材52、54、56は、回転軸48の軸方向に相対移動可能に回転軸48が挿入されるリングである。
【0045】
連結部材52は、第2回転体46に対して回転軸48の軸方向に移動可能である。連結部材52は、第1伝達部12(図4参照)から伝達される人力駆動力が第2回転体46を介して回転軸48に伝達されるように、第2回転体46と回転軸48とを連結可能である。連結部材52は、回転軸48の軸方向において、第1入力側歯車46Aと第2入力側歯車46Bとの間に配置される。連結部材52は、第2回転体46と連結可能な連結構造を有する。図5に示される第1例では、連結構造は、第2回転体46の第1入力側歯車46Aの側面に開口する凹部46Cと連結できるように連結部材52に設けられる凸部52Aを含む。第2例では、連結構造は、第2回転体46の側面から突出する凸部と連結できるように連結部材52に設けられる凹部を含む。連結部材52の数は任意である。好ましい一例では、連結部材52の数は、第2回転体46の数よりも少ない。例えば、第2回転体46の数がn個である場合、連結部材52の数は、n−1個である。nは、2以上のいずれかの自然数である。連結部材52は、第2回転体46の第1入力側歯車46Aの側面に対向するカム面52Bを含む。カム面52Bは、回転軸48の周方向とは非平行に延びるように設けられる。カム面52Bの形状は、スパイラル状である。
【0046】
第1追加連結部材54は、第3回転体50に対して回転軸48の軸方向に移動可能である。第1追加連結部材54は、第3回転体50と回転軸48とを連結可能である。第1追加連結部材54は、回転軸48の軸方向において、第1出力側歯車50Aと第2出力側歯車50Bとの間に配置される。第1追加連結部材54は、第3回転体50の第1出力側歯車50Aと連結可能な連結構造を有する。図5に示される第1例では、連結構造は、第3回転体50の第1出力側歯車50Aの側面に開口する凹部50Eと連結できるように第1追加連結部材54に設けられる凸部54Aを含む。第2例では、連結構造は、第3回転体50の第1出力側歯車50Aの側面から突出する凸部と連結できるように第1追加連結部材54に設けられる凹部を含む。第1追加連結部材54は、第3回転体50の第1出力側歯車50Aの側面に対向するカム面54Bを含む。カム面54Bは、回転軸48の周方向とは非平行に延びるように設けられる。カム面54Bの形状は、スパイラル状である。
【0047】
第2追加連結部材56は、第3回転体50に対して回転軸48の軸方向に移動可能である。第2追加連結部材56は、第3回転体50と回転軸48とを連結可能である。第2追加連結部材56は、回転軸48の軸方向において、第2出力側歯車50Bと第3出力側歯車50Cとの間に配置される。第2追加連結部材56は、第3回転体50の第2出力側歯車50Bと連結可能な連結構造を有する。図5に示される第1例では、連結構造は、第3回転体50の第2出力側歯車50Bの側面に開口する凹部50Fと連結できるように第2追加連結部材56に設けられる凸部56Aを含む。第2例では、連結構造は、第3回転体50の第2出力側歯車50Bの側面から突出する凸部と連結できるように第2追加連結部材56に設けられる凹部を含む。第2追加連結部材56は、第3回転体50の第2出力側歯車50Bの側面に対向するカム面56Bを含む。カム面56Bは、回転軸48の周方向とは非平行に延びるように設けられる。カム面56Bの形状は、スパイラル状である。
【0048】
第1追加連結部材54および第2追加連結部材56の数は任意である。好ましい一例では、第1追加連結部材54および第2追加連結部材56の合計数は、第3回転体50の数よりも少ない。例えば、第3回転体50の数がn個である場合、第1追加連結部材54および第2追加連結部材56の合計数は、n−1個である。nは、2以上のいずれかの自然数である。
【0049】
図8に示される解除部18は、第1伝達部12(図4参照)から伝達される人力駆動力を利用して連結部材52を回転軸48の軸方向に移動させることによって、第2回転体46と回転軸48との連結を解除する。解除部18は、第1伝達部12から伝達される人力駆動力を利用して第1追加連結部材54および第2追加連結部材56を回転軸48の軸方向に移動させることによって、第3回転体50と回転軸48との連結を解除する。解除部18は、支持部58、作動部60、および、駆動軸70を備える。
【0050】
図8および図9に示される支持部58は、複数の作動部60を支持する。支持部58は、基礎部58Aおよび軸連結部58B、58Cを含む。基礎部58Aは、回転軸48の中心軸線CYと平行に配置される。基礎部58Aは、回転軸48の中心軸線CYに沿って延びる。基礎部58Aは、複数のボルトH1により、第1支持部材28Aおよび第2支持部材28B(図4参照)に固定される。
【0051】
軸連結部58Bは、基礎部58Aの一方の端部に設けられる。軸連結部58Bは、駆動軸70の一方の端部を回転可能に支持する。軸連結部58Cは、基礎部58Aの他方の端部に設けられる。軸連結部58Cは、駆動軸70の他方の端部を回転可能に支持する。
【0052】
図10および図11に示される作動部60は、第1作動部60A、第2作動部60B、および、第3作動部60Cを含む。各作動部60A〜60Cは、回転軸48の軸方向に沿って設けられる。各作動部60A〜60Cは、接触部材64、保持部66、および、リンク68を備える。
【0053】
接触部材64は、第1接触部材72および第2接触部材74を含む。第1接触部材72は、保持部66から回転軸48(図8参照)に向かって延びる。第2接触部材74は、第1部分74Aおよび第2部分74Bを含む。第1部分74Aは、保持部66から回転軸48に向かって延びる。第2部分74Bは、第1部分74Aの回転軸48側の端部から第1接触部材72に向かって湾曲する。第1接触部材72の先端と第2接触部材74の第2部分74Bの先端とは、回転軸48を介して対向する。
【0054】
保持部66は、複数のボルトH2(図9参照)により支持部58の基礎部58Aに固定される。保持部66は、第1部分66A、第2部分66B、第3部分66C、第1案内部66D、および、第2案内部66Eを含む。第1部分66Aは、駆動軸70よりも上側で複数のボルトH2により基礎部58Aに固定される。第2部分66Bは、駆動軸70よりも下側で複数のボルトH2により基礎部58Aに固定される。第3部分66Cは、第1部分66Aと第2部分66Bとを繋ぐ。第1案内部66Dは、第1部分66Aと第3部分66Cとの間に設けられる。第1案内部66Dは、第1接触部材72が保持部66に対してスライドできるように第1接触部材72を支持する。第1接触部材72は、保持部66に対して回転軸48に接近する方向、および、回転軸48から離間する方向にスライド可能である。第2案内部66Eは、第2部分66Bと第3部分66Cとの間に設けられる。第2案内部66Eは、第2接触部材74の第1部分74Aが保持部66に対してスライドできるように第2接触部材74を支持する。第2接触部材74の第1部分74Aは、回転軸48に接近する方向、および、回転軸48から離間する方向にスライド可能である。
【0055】
リンク68は、駆動軸70の回転を並進運動に変換して接触部材64に伝達するように構成される。リンク68は、連結板76、および、軸接触部78を含む。
連結板76は、第1接触部材72と第2接触部材74とを互いに連結する。連結板76は、基礎部76A、第1突起76B、第2突起76C、および、第3突起76Dを含む。
【0056】
基礎部76Aの形状は、第1接触部材72から第2接触部材74に向かって延びる板状である。第1突起76Bは、基礎部76Aの長手方向の一方の端部に設けられる。第1突起76Bは、第1接触部材72の連結孔72Aに挿入される。第2突起76Cは、基礎部76Aの長手方向の他方の端部に設けられる。第2突起76Cは、第2接触部材74の連結孔74Cに挿入される。第3突起76Dは、基礎部76Aの長手方向の中央に設けられる。第3突起76Dは、第3部分66Cの連結孔66Fに挿入される。連結板76は、第3突起76Dを回転中心として保持部66に対して回転可能である。連結板76は、ねじりコイルばね(図示略)により、第1突起76Bが駆動軸70に接近する方向(以下では「第1回転方向」)に付勢される。ねじりコイルばねは、第3突起76Dに取り付けられる。軸接触部78は、基礎部76Aと繋がる。軸接触部78は、駆動軸70の軸カム面82、84、86と接触可能である。
【0057】
駆動軸70は、接触部材64の状態を、接触部材64が連結部材16から離間する第1状態、および、接触部材64が連結部材16に接触する第2状態の一方から他方に切り替えるように接触部材64に連結される。駆動軸70は、回転軸48の中心軸線CYとは別の中心軸線CZ回りに回転可能に設けられる。駆動軸70は、回転軸48と平行に配置される。駆動軸70は、第1軸カム面82、第2軸カム面84、および、第3軸カム面86を含む。
【0058】
第1軸カム面82は、駆動軸70のうちの第1作動部60Aの軸接触部78と接触可能な位置に設けられる。第1軸カム面82は、第1作動部60Aの接触部材64の状態を、接触部材64が連結部材52と接触する第2状態から接触部材64が連結部材52と接触しない第1状態に切り替える。
【0059】
第1軸カム面82が第1作動部60Aの軸接触部78と接触しているとき、軸接触部78が第1軸カム面82により押し上げられる。このため、連結板76は、ねじりコイルばねの力に抗して第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転し、各接触部材72、74の状態が第1状態となる。第1軸カム面82が第1作動部60Aの軸接触部78と接触していないとき、ねじりコイルばねの力により各接触部材72、74の状態は、第2状態となる。連結部材52のカム面52B(図8参照)は、第2状態においてカム面52Bと第2回転体46の第1入力側歯車46Aの側面との軸方向の最大の距離が軸方向に関する各接触部材72、74の先端部の幅よりも広くなるように構成される。
【0060】
第2軸カム面84は、駆動軸70のうちの第2作動部60Bの軸接触部78と接触可能な位置に設けられる。第2軸カム面84は、第2作動部60Bの各接触部材72、74の状態を、接触部材64が第1追加連結部材54と接触する第2状態から各接触部材72、74が第1追加連結部材54に接触しない第1状態に切り替える。
【0061】
第2軸カム面84が第2作動部60Bの軸接触部78と接触しているとき、軸接触部78が第2軸カム面84により押し上げられる。このため、連結板76は、ねじりコイルばねの力に抗して第2回転方向に回転し、各接触部材72、74の状態が第1状態となる。第2軸カム面84が第2作動部60Bの軸接触部78と接触していないとき、ねじりコイルばねの力により各接触部材72、74の状態は、第2状態となる。第1追加連結部材54のカム面54B(図8参照)は、第2状態においてカム面54Bと第3回転体50の第1出力側歯車50Aの側面との軸方向の最大の距離が軸方向に関する各接触部材72、74の先端部の幅よりも広くなるように構成される。
【0062】
第3軸カム面86は、駆動軸70のうちの第3作動部60Cの軸接触部78と接触可能な位置に設けられる。第3軸カム面86は、第3作動部60Cの各接触部材72、74の状態を、各接触部材72、74が第2追加連結部材56と接触する第2状態から各接触部材72、74が第2追加連結部材56と接触しない第1状態に切り替える。
【0063】
第3軸カム面86が第3作動部60Cの軸接触部78と接触しているとき、軸接触部78が第3軸カム面86により押し上げられる。このため、連結板76は、ねじりコイルばねの力に抗して第2回転方向に回転し、各接触部材72、74の状態が第1状態となる。第3軸カム面86が第3作動部60Cの軸接触部78と接触していないとき、ねじりコイルばねの力により各接触部材72、74の状態は、第2状態となる。第2追加連結部材56のカム面56B(図8参照)は、第2状態においてカム面56Bと第3回転体50の第2出力側歯車50Bの側面との軸方向の最大の距離が軸方向に関する各接触部材72、74の先端部の幅よりも広くなるように構成される。
【0064】
図12および図13に示されるガイド部20は、各連結部材52、54、56を回転軸48の軸方向に向けて案内する。ガイド部20は、回転軸48と各連結部材52、54、56との相対回転を規制する規制構造を含む。図12および図13等に示される規制構造の一例は、回転軸48の軸方向に延びるように回転軸48の外周部に形成された複数のガイド溝20A〜20Fである。
【0065】
第1ガイド溝20Aおよび第2ガイド溝20Bは、回転軸48と連結部材52との相対回転を規制する。連結部材52は、2つの規制突起52Cを含む。一方の規制突起52C(図12参照)は、連結部材52の側面から第1ガイド溝20Aに向けて突出する。一方の規制突起52Cは、第1ガイド溝20Aに挿入される。他方の規制突起52C(図13参照)は、連結部材52の側面から第2ガイド溝20Bに向けて突出する。他方の規制突起52Cは、第2ガイド溝20Bに挿入される。
【0066】
第3ガイド溝20Cおよび第4ガイド溝20Dは、回転軸48と第1追加連結部材54との相対回転を規制する。第1追加連結部材54は、2つの規制突起54Cを含む。一方の規制突起54C(図12参照)は、第1追加連結部材54の側面から第3ガイド溝20Cに向けて突出する。一方の規制突起54Cは、第3ガイド溝20Cに挿入される。他方の規制突起54C(図13参照)は、第1追加連結部材54の側面から第4ガイド溝20Dに向けて突出する。他方の規制突起54Cは、第4ガイド溝20Dに挿入される。
【0067】
第5ガイド溝20Eおよび第6ガイド溝20Fは、回転軸48と第2追加連結部材56との相対回転を規制する。第2追加連結部材56は、2つの規制突起56Cを含む。一方の規制突起56C(図12参照)は、第2追加連結部材56の側面から第5ガイド溝20Eに向けて突出する。一方の規制突起56Cは、第5ガイド溝20Eに挿入される。他方の規制突起56C(図13参照)は、第2追加連結部材56の側面から第6ガイド溝20Fに向けて突出する。他方の規制突起56Cは、第6ガイド溝20Fに挿入される。
【0068】
回転軸48は、2つの凹部48Aを含む。一方の凹部48Aは、回転軸48の周方向において、第1ガイド溝20Aと第2ガイド溝20Bとの間に設けられている。一方の凹部48Aは、回転軸48のうちの第2入力側歯車46B(図4参照)が配置される位置に設けられる。一方の凹部48Aには、第1ワンウェイクラッチ88および押しばね(図示略)が配置される。第1ワンウェイクラッチ88は、押しばねにより、一方の凹部48Aから突出する方向に付勢される。第1ワンウェイクラッチ88は、前転する第2入力側歯車46Bの回転速度が回転軸48の回転速度よりも高い場合に第2入力歯車46Bの回転を回転軸48に伝達し、第2入力側歯車46Bの回転速度が回転軸48の回転速度以下の場合に第2入力側歯車46Bの回転を回転軸48に伝達しない。
【0069】
他方の凹部48Aは、回転軸48の周方向において、第5ガイド溝20Eと第6ガイド溝20Fとの間に設けられている。他方の凹部48Aは、回転軸48のうちの第3出力側歯車50C(図4参照)が配置される位置に設けられる。他方の凹部48Aには、第2ワンウェイクラッチ90および押しばね(図示略)が配置される。第2ワンウェイクラッチ90は、押しばねにより、他方の凹部48Aから突出する方向に付勢される。第2ワンウェイクラッチ90は、前転する第3出力側歯車50Cの回転速度が回転軸48の回転速度よりも高い場合に第3出力側歯車50Cの回転を回転軸48に伝達し、第3出力側歯車50Cの回転速度が回転軸48の回転速度以下の場合に第3出力側歯車50Cの回転を回転軸48に伝達しない。
【0070】
複数の付勢部材22は、各連結部材52、54、56を第2回転体46に向けて付勢する。各付勢部材22は、第1ガイド溝20A〜第6ガイド溝20Fに配置される。第1例では、各付勢部材22は、金具22Aおよび押しばね22Bを含む。金具22Aは、回転軸48に固定される。押しばね22Bの一方の端部は、金具22Aに固定される。押しばね22Bの他方の端部は、対応する規制突起52C、54C、56Cのいずれかに固定される。第2例では、付勢部材22は、任意の弾性部材を含む。第3例では、付勢部材22は、電気的に動作する部材を含む。
【0071】
図4に示される電動アクチュエータ24は、収容空間32Bに配置され、変速ユニット10Aを駆動する。電動アクチュエータ24は、駆動軸70(図8参照)を回転させる。電動アクチュエータ24の一例は、電気モータである。電動アクチュエータ24は、制御ユニット38(図14参照)と電線(図示略)により電気的に接続される。電動アクチュエータ24の出力軸24Aは、変速機構30(図14参照)と連結される。
【0072】
図14および図15に示される変速機構30は、電動アクチュエータ24の出力軸24Aの回転を減速して駆動軸70に伝達する。変速機構30は、第1歯車30A、第2歯車30B、第3歯車30C、第4歯車30D、第5歯車30E、および、第6歯車30Fを含む。なお、変速機構30は、電動アクチュエータ24の出力軸24Aの回転を増速して駆動軸70に伝達する増速機構であってもよい。
【0073】
第1歯車30Aは、電動アクチュエータ24の出力軸24Aに取り付けられる。第2歯車30B〜第5歯車30Eは、第1支持部材28Aに回転可能に支持される。第2歯車30Bは、第1歯車30Aと連結される。第3歯車30Cは、第2歯車30Bと連結される。第4歯車30Dは、第3歯車30Cと連結される。第5歯車30Eは、第4歯車30Dと連結される。第6歯車30Fは、第1支持部材28Aに挿入された駆動軸70の端部に取り付けられる。
【0074】
図7に示される発電機構34は、ハウジング32の収容空間32Bに配置される。発電機構34の一例は、ダイナモである。蓄電機構36は、発電機構34から供給される電力を蓄電する。蓄電機構36は、発電機構34および制御ユニット38と電線(図示略)により電気的に接続される。蓄電機構36は、発電機構34が発電した電力を蓄える。蓄電機構36は、第1キャパシタ36A、第2キャパシタ36B、および、電解コンデンサ36Cを含む。第1キャパシタ36Aは、中空の支軸42の内部に配置される。つまり、蓄電機構36の第1キャパシタ36Aは、支軸42を介して第1支持部材28Aに設けられる。第2キャパシタ36Bおよび電解コンデンサ36Cは、制御ユニット38のハウジング38Aの内部に配置される。
【0075】
ハウジング32は、第1伝達部12、第2伝達部14、連結部材16、および、解除部18を収容する。一例では、ハウジング32は、ハブシェル32Aを含む。ハブシェル32Aは、シェル本体32Cおよび蓋部材32Dを含む。シェル本体32Cは、後輪A4のホイールを構成するリムA42(図1参照)と連結される中間部材A43(図1参照)を介してリムA42と連結される。蓋部材32Dは、シェル本体32Cに回転可能に設けられる。一例によれば、蓋部材32Dは、フリーホイールを含む。ハブシェル32Aは、中心軸線に関する第1端部10Bおよび第2端部10C(共に図7参照)を含む。電動アクチュエータ24は、変速ユニット10Aに対して少なくとも部分的にハブシェル32Aの第1端部10B側に配置される。発電機構34は、変速ユニット10Aに対して少なくとも部分的にハブシェル32Aの第2端部10C側に配置される。変速機構30は、変速ユニット10Aに対して少なくとも部分的にハブシェル32Aの第1端部10B側に配置される。蓄電機構36は、変速ユニット10Aに対して少なくとも部分的にハブシェル32Aの第1端部10B側に配置される。制御ユニット38は、変速ユニット10Aに対して少なくとも部分的にハブシェル32Aの第1端部10B側に配置される。より詳しくは、電動アクチュエータ24は、第1支持部材28Aに設けられる。電動アクチュエータ24は、ハブシェル32Aの径方向からみたときに変速ユニット10Aとオーバーラップするように配置される。変速機構30は、変速ユニット10Aとは反対側に位置するように第1支持部材28Aに設けられる。蓄電機構36は、少なくとも部分的に変速ユニット10Aとは反対側に位置するように第1支持部材28Aに設けられる。制御ユニット38は、変速ユニット10Aとは反対側に位置するように第1支持部材28Aに設けられる。
【0076】
図3に示されるように、発電機構34は、第2支持部材28Bよりもハブシェル32Aの第2端部10C側(図2参照)に配置される。発電機構34は、磁石を含むロータ34Aと、コイルを含むステータ34Bとを含む。ロータ34Aは、変速ユニット10Aとは反対側に位置するように第2支持部材28Bに設けられる変速機構35を介して変速ユニット10Aと連結される。第1例では、変速機構35は、変速ユニット10Aの回転を増速してロータ34Aに伝達する。第2例では、変速機構35は、変速ユニット10Aの回転を減速してロータ34Aに伝達する。
【0077】
制御ユニット38は、ハウジング38Aおよび制御部38Bを含む。ハウジング38Aは、第1支持部材28Aに取り付けられる。制御部38Bは、ハウジング38Aの内部に配置される。制御部38Bは、電動アクチュエータ24(図4参照)および変速操作装置E(図1参照)と通信接続される。
【0078】
制御部38Bは、メモリ(図示略)を含む。メモリは、制御部38Bが実行するプログラムを予め記憶している。制御部38Bは、メモリに記憶されているプログラムに基づいて、クランク軸G1のケイデンス、および、自転車Aの走行速度を算出する。制御部38Bは、第1回転体40の回転速度、および、第4回転体44に含まれる歯車のいずれか1つの回転速度から、自転車用内装変速ハブ10の変速比を算出し、現在の変速段を特定する。変速比と変速段との対応関係は、予めメモリに記憶されている。自転車用内装変速ハブ10は、外部機器(図示略)と通信するために制御ユニット38に電気的に接続される無線通信ユニット92(図14参照)をさらに備える。無線通信ユニット92は、少なくとも部分的に収容空間32Bに配置される。自転車用内装変速ハブ10は、自転車用内装変速ハブ10の状態を検知するための報知ユニット94をさらに備える。報知ユニット94は、少なくとも部分的に収容空間32Bに配置される。
【0079】
変速操作装置E(図1参照)は、操作部E1がシフトアップ操作された場合、シフトアップ信号を含む変速信号を出力する。変速操作装置Eは、操作部E1がシフトダウン操作された場合、シフトダウン信号を含む変速信号を出力する。変速信号は、制御部38Bに送信される。制御部38Bは、シフトアップ信号を含む変速信号を受信した場合、変速比がシフトアップ信号に指定される変速比に変化するように電動アクチュエータ24を制御する。一例では、制御部38Bは、駆動軸70の回転角度が現在の変速比に対応する回転角度からシフトアップ信号に指定される変速比と対応する回転角度に変化するように電動アクチュエータ24を制御する。制御部38Bは、シフトダウン信号を含む変速信号を受信した場合、変速比がシフトダウン信号に指定される変速比に変化するように電動アクチュエータ24を制御する。一例では、制御部38Bは、駆動軸70の回転角度が現在の変速比に対応する回転角度からシフトダウン信号に指定される変速比と対応する回転角度に変化するように電動アクチュエータ24を制御する。
【0080】
図22は、自転車用内装変速ハブ10の連結状態と自転車用内装変速ハブ10の段数との関係を示す。一例では、自転車用内装変速ハブ10が選択可能な段数は段数1〜段数6の6段である。自転車用内装変速ハブ10の変速比は段数1〜段数6の順に小さくなる。図22中の「連結状態」は、各連結部材52、54、56、および、各ワンウェイクラッチ88、90が対応する歯車と連結されている状態であることを示す。図22中の「非連結状態」は、各連結部材52、54、56、および、各ワンウェイクラッチ88、90が対応する歯車と連結されていない状態であることを示す。
【0081】
図16に示されるように、各作動部60A〜60Cの接触部材64が第2状態となるように駆動軸70の回転角度が調整された場合、第1ワンウェイクラッチ88、および、第2ワンウェイクラッチ90が連結状態となり、連結部材52、第2追加連結部材56、および、第1追加連結部材54が非連結状態となる。このため、変速段が段数1に設定される。
【0082】
図17に示されるように、第1作動部60Aおよび第2作動部60Bの接触部材64が第2状態となるように、かつ、第3作動部60Cの接触部材64が第1状態となるように駆動軸70の回転角度が調整された場合、第1ワンウェイクラッチ88、および、第2追加連結部材56が連結状態となり、連結部材52、第2ワンウェイクラッチ90、および、第1追加連結部材54が非連結状態となる。このため、変速段が段数2に設定される。
【0083】
図18に示されるように、第1作動部60Aおよび第3作動部60Cの接触部材64が第2状態となるように、かつ、第2作動部60Bの接触部材64が第1状態となるように駆動軸70の回転角度が調整された場合、第1ワンウェイクラッチ88、および、第1追加連結部材54が連結状態となり、連結部材52、第2ワンウェイクラッチ90、および、第2追加連結部材56が非連結状態となる。このため、変速段が段数3に設定される。
【0084】
図19に示されるように、第1作動部60Aの接触部材64が第1状態となるように、かつ、第2作動部60Bおよび第3作動部60Cの接触部材64が第2状態となるように駆動軸70の回転角度が調整された場合、連結部材52、および、第2ワンウェイクラッチ90が連結状態となり、第1ワンウェイクラッチ88、第2追加連結部材56、および、第1追加連結部材54が非連結状態となる。このため、変速段が段数4に設定される。
【0085】
図20に示されるように、第1作動部60Aおよび第3作動部60Cの接触部材64が第1状態となるように、かつ、第2作動部60Bの接触部材64が第2状態となるように駆動軸70の回転角度が調整された場合、連結部材52、および、第2追加連結部材56が連結状態となり、第1ワンウェイクラッチ88、第2ワンウェイクラッチ90、および、第1追加連結部材54が非連結状態となる。このため、変速段が段数5に設定される。
【0086】
図21に示されるように、第1作動部60Aおよび第2作動部60Bの接触部材64が第1状態となるように、かつ、第3作動部60Cの接触部材64が第2状態となるように駆動軸70の回転角度が調整された場合、連結部材52、および、第1追加連結部材54が連結状態となり、第1ワンウェイクラッチ88、第2ワンウェイクラッチ90、および、第2追加連結部材56が非連結状態となる。このため、変速段が段数6に設定される。
【0087】
例えば、変速段が段数3から段数4に変更される場合、駆動軸70の回転角度が段数3に対応する角度から段数4に対応する角度に変更されるように電動アクチュエータ24が駆動軸70を回転させる。駆動軸70の回転角度が段数3に対応する角度から段数3に対応する角度と段数4に対応する角度との間の角度に変更された場合、第1作動部60Aの各接触部材72、74が第1状態をとり、第2作動部60Bの各接触部材72、74が第2状態をとる。
【0088】
第1作動部60Aの各接触部材72、74が第1状態のとき、連結部材52が付勢部材22の付勢力により回転軸48に対して第1方向に移動し、連結部材52の凸部52Aが第1入力側歯車46Aの凹部46Cに挿入される、または、連結部材52の凸部52Aが第1入力側歯車46Aの側面に押し付けられる。凸部52Aが凹部46Cに挿入された場合、第1入力側歯車46Aと連結部材52とが連結され、第1入力側歯車46Aと回転軸48とが動力の伝達に関して連結状態となる。
【0089】
第1入力側歯車46Aは、第1入力歯車40Aと連結されている。第1入力歯車40Aは、支軸42と連結されている。このため、支軸42が人力駆動力によって回転する場合、第1入力歯車40Aおよび第1入力側歯車46Aも人力駆動力によって回転する。第1入力側歯車46Aは、動力の伝達に関して支軸42と非連結のため、第1入力歯車40Aから伝達される回転力によって回転軸48まわりで支軸42に対して回転する。連結部材52の凸部52Aが第1入力側歯車46Aの側面に押し付けられた状態において、第1入力側歯車46Aの回転にともない第1入力側歯車46Aの凹部46Cの回転位置と連結部材52の凸部52Aの回転位置とが一致した場合、凸部52Aが凹部46Cに挿入され、第1入力側歯車46Aと連結部材52とが連結される。このため第1入力側歯車46Aと支軸42とが動力の伝達に関して連結状態となる。
【0090】
第2作動部60Bの各接触部材72、74が第1状態から第2状態に移行した場合、次のように第1出力側歯車50Aと第1追加連結部材54との連結状態が連結状態から非連結状態に変更される。
【0091】
第1出力側歯車50Aは第2入力側歯車46Bと連結し、第2入力側歯車46Bは支軸42と連結している。このため、支軸42が人力駆動力によって回転する場合、第2入力側歯車46Bおよび第1出力側歯車50Aも人力駆動力によって回転する。第2作動部60Bの各接触部材72、74が第1追加連結部材54のカム面54Bと接触した状態において、第1出力側歯車50Aが回転することにより、回転軸48の中心軸線CYに関する周方向において各接触部材72、74が相対的にカム面54Bと第1出力側歯車50Aの側面との間隔が狭くなる方向に移動する。このため、カム面54Bと第1出力側歯車50Aの側面との間隔が広がるように第1追加連結部材54が回転軸48の中心軸線CYに沿う方向において第2方向に移動し、第1追加連結部材54の凸部54Aが第1出力側歯車50Aの凹部50Eから離脱し、第1追加連結部材54と第1出力側歯車50Aとが非連結状態となる。このため、第1出力側歯車50Aと回転軸48とが動力の伝達に関して非連結状態となる。
【符号の説明】
【0092】
10…自転車用内装変速ハブ、10A…変速ユニット、10B…第1端部、10C…第2端部、24…電動アクチュエータ、28A…第1支持部材、28B…第2支持部材、32…ハウジング、32A…ハブシェル、32B…収容空間、34…発電機構、36…蓄電機構、38…制御ユニット、92…無線通信ユニット、94…報知ユニット、A42…リム、A43…中間部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
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