特許第6789105号(P6789105)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社吉野工業所の特許一覧

<>
  • 特許6789105-トリガー式液体噴出器 図000002
  • 特許6789105-トリガー式液体噴出器 図000003
  • 特許6789105-トリガー式液体噴出器 図000004
  • 特許6789105-トリガー式液体噴出器 図000005
  • 特許6789105-トリガー式液体噴出器 図000006
  • 特許6789105-トリガー式液体噴出器 図000007
  • 特許6789105-トリガー式液体噴出器 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6789105
(24)【登録日】2020年11月5日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】トリガー式液体噴出器
(51)【国際特許分類】
   B05B 11/00 20060101AFI20201116BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   B05B11/00 102E
   B65D47/34 200
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-255639(P2016-255639)
(22)【出願日】2016年12月28日
(65)【公開番号】特開2018-103162(P2018-103162A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年7月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宏太郎
【審査官】 鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−329991(JP,A)
【文献】 特開2009−12782(JP,A)
【文献】 特開平10−146547(JP,A)
【文献】 特開2000−15150(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00−17/08
B65D 35/00−83/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、
前記噴出器本体の前方側に配設され、液体を噴射する噴出孔が形成されたノズル部と、を備え、
前記噴出器本体は、上下方向に延在し、前記容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部と、
前記縦供給筒部の前方に配設され、前記縦供給筒部内の液体を前記噴出孔に導く射出筒部と、
前記縦供給筒部の前方に前方付勢状態で後方に揺動自在に配設されたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への揺動によって、液体を前記縦供給筒部内から前記射出筒部内を通じて前記噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、を備えたトリガー式液体噴出器であって、
前記トリガー機構は、
前記トリガー部の揺動に連動して前後方向に移動するピストンと、
前記ピストンの移動に伴って内部が加圧および減圧し、かつ内部が前記縦供給筒部内に連通したシリンダと、を有し、
前記トリガー部には、前記トリガー部の後方への揺動を規制するストッパーが装着され、
前記ストッパーは、前記トリガー部から後方へ突出する規制部と、前記トリガー部から前方に突出する操作部と、を有し、
前記ストッパーは、前記規制部が前記シリンダに当接することで、前記トリガー部の後方への揺動を規制する規制位置と、前記規制部が前記シリンダから離間することで、前記トリガー部の後方への揺動を許容する解除位置と、の間を上下動可能に配設されていることを特徴とするトリガー式液体噴出器。
【請求項2】
前記トリガー部は、前記射出筒部から下方に向けて延設されるとともに、前記トリガー部の上端部を中心に揺動自在に支持され、
前記解除位置は、前記規制位置よりも下方に位置していることを特徴とする請求項1に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項3】
前記操作部は、上下方向に沿って延び、左右方向から見た側面視で前方に向けて開口する弧状を呈していることを特徴とする請求項1又は2に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項4】
前記操作部は、下端部が上端部よりも前方に突出していることを特徴とする請求項3に記載のトリガー式液体噴出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガー式液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、噴出器本体の前方側に配設され、液体を噴射する噴出孔が形成されたノズル部と、を備え、噴出器本体は、上下方向に延在し、容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部と、縦供給筒部の前方に配設され、縦供給筒部内の液体を噴出孔に導く射出筒部と、縦供給筒部の前方に前方付勢状態で後方に揺動自在に配設されたトリガー部を有し、トリガー部の後方への揺動によって、液体を縦供給筒部内から射出筒部内を通じて噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、を備えたトリガー式液体噴出器が知られている。
また、下記特許文献1に示すような、ノズル部からノズル径方向の外側に突出したストッパーが、トリガー部と、トリガー機構のシリンダと、の間に配置されることで、トリガー部の後方への揺動を規制するトリガー式液体噴出器が知られている。
このトリガー式液体噴出器では、ストッパーを、ノズル部とともに噴出器本体に対してノズル周方向に回動させてトリガー部とシリンダとの間から退避させることで、トリガー部の後方への揺動が許容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−329984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のトリガー式液体噴出器では、ストッパーの規制位置と解除位置とを切り替える切り替え操作において、使用者が一方の手で噴出器本体および容器体を把持した状態で、他方の手でノズル部をストッパーとともにノズル周方向に回動させる必要があった。
【0005】
そこで本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、ストッパーの切り替え操作における操作性および取扱性を向上することができるトリガー式液体噴出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明のトリガー式液体噴出器は、液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、前記噴出器本体の前方側に配設され、液体を噴射する噴出孔が形成されたノズル部と、を備え、前記噴出器本体は、上下方向に延在し、前記容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部と、前記縦供給筒部の前方に配設され、前記縦供給筒部内の液体を前記噴出孔に導く射出筒部と、前記縦供給筒部の前方に前方付勢状態で後方に揺動自在に配設されたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への揺動によって、液体を前記縦供給筒部内から前記射出筒部内を通じて前記噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、を備えたトリガー式液体噴出器であって、前記トリガー機構は、前記トリガー部の揺動に連動して前後方向に移動するピストンと、前記ピストンの移動に伴って内部が加圧および減圧し、かつ内部が前記縦供給筒部内に連通したシリンダと、を有し、前記トリガー部には、前記トリガー部の後方への揺動を規制するストッパーが装着され、前記ストッパーは、前記トリガー部から後方へ突出する規制部と、前記トリガー部から前方に突出する操作部と、を有し、前記ストッパーは、前記規制部が前記シリンダに当接することで、前記トリガー部の後方への揺動を規制する規制位置と、前記規制部が前記シリンダから離間することで、前記トリガー部の後方への揺動を許容する解除位置と、の間を上下動可能に配設されていることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、規制部を備えたストッパーがトリガー部に装着されているので、規制部がシリンダに当接することで、トリガー部の後方への揺動が規制される。
また、ストッパーが、規制位置と解除位置との間を上下動可能に配設されるとともに、トリガー部の前方に突出した操作部を備えているので、使用者が、指先をトリガー部に前方からかけた状態で噴出器本体を把持し、この指先でストッパーの操作部を上下方向に移動させると、ストッパーがトリガー部に対して上下動させられることとなり、ストッパーの規制位置と解除位置とを切り替える切り替え操作を行うことができる。
【0008】
またこのように、使用者が、一方の手の指先により、ストッパーをトリガー部に対して上下方向に移動させるだけで、他方の手を用いずにストッパーの切り替え操作を行うことが可能になることから、ノズル部およびノズル部の周辺の部材に触れる必要がなく、これらの部材に付着した内容物が手に付着するのを抑えることができる。
さらに、ストッパーの操作部がトリガー部の前方に突出しているので、ストッパーを解除位置に位置させたときの指先をそのまま後方に移動させてトリガー部を牽引することで、内容物を噴射することが可能になる。このように、ストッパーの切り替え操作の後、内容物を噴射させる際に、噴出器本体を把持した持ち手の向きや姿勢等を変える必要がなく、優れた操作性を具備させることができる。
またこのように、ストッパーを規制位置から解除位置に移動させた後にトリガー部を牽引する指先のトリガー部に対する位置が使用者によらず一定となるため、トリガー部の動作を安定したものとすることができる。
以上により、ストッパーの切り替え操作における操作性および取扱性を向上することができる。
【0009】
前記トリガー部は、前記射出筒部から下方に向けて延設されるとともに、前記トリガー部の上端部を中心に揺動自在に支持され、前記解除位置は、前記規制位置よりも下方に位置してもよい。
この場合には、解除位置が規制位置より下方に位置し、かつトリガー部がその上端部を中心に揺動自在に支持されているので、ストッパーを解除位置に移動させたときの指先をそのまま後方に移動させて、トリガー部を後方に揺動させることによって、トリガー部を揺動させる際の支点と力点との間の距離を長く確保することが可能になり、トリガー部を揺動させる際に要する牽引力を抑えることができる。
【0010】
また、前記操作部は、上下方向に沿って延び、左右方向から見た側面視で前方に向けて開口する弧状を呈してもよい。
この場合には、噴出器本体を把持する手の指先を操作部の内側に載置することで、例えばストッパーとともにトリガー部を後方に向けて牽引する際や、ストッパーを上下方向に移動させる際等に、ストッパーの操作部に対する指先の位置がずれるのを抑制することができる。これにより、ストッパーに優れた操作性を具備させることができる。
【0011】
また、前記操作部は、下端部が上端部よりも前方に突出してもよい。
この場合には、噴出器本体を把持した手の指先を操作部の下端部上に載置することで、特にストッパーを下方に向けて移動させる際に、より一層効果的にストッパーに対する指先の位置がずれるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ストッパーの切り替え操作における操作性および取扱性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るトリガー式液体噴出器において、ストッパーが規制位置に位置するときの縦断面図である。
図2図1に示すトリガー部およびストッパーにおける正面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るトリガー式液体噴出器において、ストッパーが解除位置に位置するときの縦断面図である。
図4図3に示すトリガー部およびストッパーにおける正面図である。
図5】本発明の一実施形態に係るトリガー式液体噴出器において、トリガー部が最後端揺動位置に位置するときの縦断面図である。
図6図1に示すトリガー部における(a)正面図、(b)側面図である。
図7図1に示すストッパーにおける(a)正面図、(b)側面図、および(c)上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係るトリガー式液体噴出器1について、図面を参照して説明する。
図1に示されるように、トリガー式液体噴出器1は、液体が収容された容器体Aに装着され、液体を吸上げる縦供給筒部10を有する噴出器本体2と、噴出器本体2に配設され、液体を噴射する噴出孔4が形成されたノズル部3と、を備えている。
【0015】
ここで、本実施形態では、縦供給筒部10の中心軸線O1に沿う方向を上下方向といい、上下方向に沿って容器体A側を下側、その反対側を上側という。また、上下方向から見た平面視において、中心軸線O1に直交する方向を軸径方向といい、軸径方向のうちの一方向を前後方向といい、上下方向および前後方向の双方向に直交する方向を左右方向という。
【0016】
噴出器本体2は、前後方向に沿って配設され、縦供給筒部10内の液体を噴出孔4に導く射出筒部11を備えている。ここで、前後方向のうち、縦供給筒部10から射出筒部11が延びる方向を前側あるいは前方といい、その反対方向を後側あるいは後方という。
また、噴出器本体2は、縦供給筒部10の前方に前方付勢状態で後方に揺動自在に配設されたトリガー部51を有し、トリガー部51の後方への揺動によって、液体を縦供給筒部10内から射出筒部11内を通じて噴出孔4側に向けて流通させるトリガー機構50を備えている。
【0017】
縦供給筒部10は、上下方向に延在し、有頂筒状の外筒12と、外筒12内に嵌合された内筒13と、を備えている。
外筒12は、大径部12aと、大径部12aの上方に配置され、かつ大径部12aよりも縮径した小径部12bと、大径部12aの上端部と小径部12bの下端部とを連結するフランジ部12cと、を備えている。なお、小径部12bの上端開口部は頂壁部12dによって塞がれている。
外筒12において、射出筒部11よりも下方に位置する部分には、前方に向けて突出するシリンダ用筒部40が一体に形成されている。
シリンダ用筒部40は、前方に向けて開口しているとともに、部分的に外筒12におけるフランジ部12cと一体に形成されている。
【0018】
内筒13は、大径部13aと、大径部13aの上方に配置され、かつ大径部13aよりも縮径した小径部13bと、大径部13aの上端部と小径部13bの下端部とを連結するフランジ部13cと、を備えている。
内筒13における大径部13a内および小径部13b内には、接続部材8が嵌合されている。接続部材8は、容器体Aの正立時に容器体A内と縦供給筒部10内との連通を遮断し、かつ容器Aの倒立時に容器体A内と縦供給筒部10内とを連通させる正倒立両用手段9を備えている。正倒立両用手段9は、装着キャップ14の内側に配設されている。接続部材8の下端部には、容器体Aの内側に向けて開口する固定筒部8aが配設されている。
なお、接続部材8は、正倒立両用手段9を備えていなくてもよい。
【0019】
固定筒部8a内には、容器体A内に配置され、かつ容器体Aの図示しない底部に下端開口が位置するパイプ15の上部が嵌合されている。内筒13のフランジ部13cは、外筒12のフランジ部12cとの間に隙間S1を確保した状態で、外筒12のフランジ部12cよりも下方に位置している。内筒13の大径部13aにおいて、外筒12の大径部12aから下方に突出した部分には、その径方向の外側に向けて突出する環状の鍔部13dが形成されている。鍔部13dは、容器体Aの口部A1に装着(例えば螺着)される装着キャップ14の上端部内に配設され、装着キャップ14の上端部をその軸線回りに回転自在に係止する。鍔部13dは、装着キャップ14と容器体Aの口部A1における上端開口縁とにより上下方向に挟まれる。
なお、外筒12および内筒13で構成される縦供給筒部10の軸線O1は、容器体Aの中心軸に対して後方側に偏心している。
【0020】
内筒13の内周面には、段差状に形成された弁座32が配設されている。内筒13の内周面のうち弁座32よりも下方に位置し、かつパイプ15の上端よりも上方に位置する部分には、内側に向けて突出する環状のテーパ筒部35が形成されている。
このテーパ筒部35は、下方に向かうに従って漸次縮径している。テーパ筒部35の内側には、テーパ筒部35の内周面に離反可能に着座する球状の吸込弁36が配置されている。吸込弁36は、内筒13内において、テーパ筒部35よりも上方に位置する空間と、テーパ筒部35よりも下方に位置する空間と、を連通および遮断する。
【0021】
射出筒部11は、縦供給筒部10から前方に向けて突出し、後端部が縦供給筒部10における上端部の前側に接続されている。射出筒部11の内部は、外筒12に形成された外側吐出孔16、および内筒13に形成された内側吐出孔17を通じて縦供給筒部10の内部に連通している。
【0022】
トリガー機構50は、内筒13の上端部側の内側に配置された吐出弁30と、上記吸込弁36と、トリガー部51の揺動に連動して前後方向に移動するピストン52と、ピストン52の移動に伴って内部が加圧および減圧し、かつ内部が縦供給筒部10内に連通したシリンダ53と、を有している。
吐出弁30は上下方向に弾性変形可能に形成されている。吐出弁30は、内筒13内に嵌合され、外筒12における頂壁部12dの下面に当接するベース部31と、ベース部31の下方に配置され、内筒13の弁座32に対して上方から当接する弁体33と、ベース部31および弁体33を上下に連結する中空ばね部34と、を備えている。
【0023】
弁体33は、中空ばね部34によって上方から押圧されており、内筒13の弁座32に対して密接している。これにより弁体33は、内筒13内において、弁座32よりも上方に位置する空間と、弁座32よりも下方に位置する空間と、の連通を遮断している。
なお、弁体33は中空ばね部34の付勢力に抗して上昇し、弁座32から離間することで、内筒13内において、弁座32よりも上方に位置する空間と、弁座32よりも下方に位置する空間とを連通させる。
【0024】
シリンダ53は、前方に向けて開口する外筒部60と、外筒部60の後端開口部を塞ぐ後壁部61と、後壁部61の中央部分から前方に向けて突設されるとともに前端が閉塞されたピストンガイド62と、外筒部60の前端開口縁から外筒部60の径方向における外側に突出するフランジ部53aと、外筒部60の前端開口縁から前方に向けて突出する台座53bと、を備えている。
【0025】
シリンダ53は、縦供給筒部10に装着されている。本実施形態では、シリンダ53の外筒部60が、縦供給筒部10のシリンダ用筒部40における内側に嵌合されている。後壁部61の後端面は、シリンダ用筒部40における後壁(縦供給筒部10の小径部12b)に前方から当接している。ピストンガイド62は、内側が後方に開口しており、この開口内にシリンダ用筒部40における後壁から前方に向けて突設された嵌合突部41が嵌合されている。
シリンダ用筒部40の内周面と外筒部60の外周面とは、前後方向の両端部において密接している。その一方、シリンダ用筒部40の内周面と外筒部60の外周面との間のうち、前後方向の両端部同士の間に位置する中間部に、環状の隙間S2が確保されている。
【0026】
外筒部60には、外筒部60の内側と上記隙間S2とを連通させる第1通気孔63が形成されている。外筒12のフランジ部12cには、上記隙間S2と、外筒12のフランジ部12cと内筒13のフランジ部13cとの間に画成された隙間S1と、を連通させる第2通気孔64が形成されている。さらに、内筒13のフランジ部13cには、上記隙間S1と、装着キャップ14の内側と、を連通させる第3通気孔65が形成されている。
【0027】
シリンダ53の後壁部61には、ピストンガイド62の上方に位置する部分に、前後方向に貫く第1貫通孔66が形成されている。図示の例では、後壁部61における第1貫通孔66の開口周縁部には、後方に向けて突出する筒部が形成されており、この筒部が、外筒12の小径部12bに形成された貫通孔内に嵌合されている。第1貫通孔66は、縦供給筒部10の内筒13に形成された第2貫通孔67を通じて、内筒13内のうち、吐出弁30と吸込弁36との間に位置する空間に連通している。
これにより、シリンダ53の内側は、第1貫通孔66および第2貫通孔67を通じて、内筒13内のうち、吐出弁30と吸込弁36との間に位置する空間に連通している。従って、吐出弁30は、射出筒部11内とシリンダ53内との連通およびその遮断を切替え、吸込弁36は、容器体A内とシリンダ53内との連通およびその遮断を切替える。
台座53bは、外筒部60の前端開口縁のうち、外筒部60の中心軸線を外筒部60の径方向に挟むフランジ部53aの反対側に位置する部分に配設され、外筒部60と一体に形成されている。図示の例では、台座53bは、外筒部60の前端開口縁における下端部に形成されている。台座53bは周方向に延びている。なお、台座53bの位置については任意に変更可能である。
【0028】
ピストン52は、トリガー部51に連結される円柱状の連結部70と、連結部70よりも後方に位置し、連結部70よりも大径とされたピストン筒71と、を備え、全体として後方に開口した筒状に形成されている。
なお、シリンダ53およびピストン52は、前後方向に沿って延びる図示しない共通の軸線上に配置されている。
【0029】
ピストン筒71は、後方に向けて開口し、かつ内部にピストンガイド62が挿入されるピストン本体部72と、ピストン本体部72の後端部からその径方向の外側に向けて突出するフランジ部74と、フランジ部74の径方向における外端部から前方および後方に突出し、かつ外筒部60の内周面に密に当接する摺動筒部73と、を備えている。
【0030】
ピストン本体部72の内径は、ピストンガイド62の外径よりも大きい。図示の例では、ピストン本体部72の内周面とピストンガイド62の外周面との間には、若干の隙間が設けられている。
フランジ部74は前後方向から見て環状に形成されており、ピストン本体部72と摺動筒部73とを連結している。
摺動筒部73は、前後方向の中央部から前方および後方に向かうに従って漸次拡径するテーパ状に形成され、前後方向の両端部に位置するリップ部73aが外筒部60の内周面に当接している。
【0031】
ピストン52の連結部70は、後述する連結軸86を介してトリガー部51に連結されている。これにより、ピストン52は、トリガー部51とともに後述する弾性部材54の付勢力によって前方に付勢されているとともに、トリガー部51の後方への揺動に伴って後方に移動してシリンダ53内に押し込まれる。
【0032】
また、トリガー部51が、その揺動しうる範囲のうち最前方の位置(以降、待機位置という)にあるときに、ピストン52の摺動筒部73は第1通気孔63を閉塞している。そして、トリガー部51の後方への揺動によってピストン52が所定量だけ後方に移動したときに、摺動筒部73が第1通気孔63を開放する。これにより、容器体Aの内部は、隙間S1、第3通気孔65、第2通気孔64、隙間S2、および第1通気孔63を通じて外部に連通する。
【0033】
図1および図6に示すように、トリガー部51は、射出筒部11から下方に向けて延設されるとともに、トリガー部51の上端部を中心に揺動自在に支持されている。トリガー部51は、左右方向から見て後方に向けて凹状に湾曲する前面を有する主板部材80と、主板部材80の左右の側縁部から後方に向けて起立する一対の側板部材81と、を備えている。
【0034】
一対の側板部材81の上端部には、射出筒部11の側方に至るまで上方に延出し、射出筒部11を左右方向から挟み込む一対の連結板82が形成されている。一対の連結板82には、左右方向の外側に向けて突出する回転軸部83がそれぞれ突設されている。これら回転軸部83は、後述する上板部材84の一対の軸受け部84bに回動可能に支持されている。これにより、トリガー部51は、回転軸部83を中心に前後方向に揺動自在に支持されている。
【0035】
トリガー部51には、主板部材80を前後方向に貫通する開口部51aが形成されているとともに、開口部51aの周縁部から後方に向けて延びる連結筒85が形成されている。
連結筒85の内周面のうち後方側に位置する部分には、連結筒85の内側に向けて左右方向に沿って突出した一対の連結軸86が形成されている。一対の連結軸86は、ピストン52の連結部70に形成された連結孔内に各別に挿入されている。これにより、トリガー部51とピストン52とは、互いに連結されている。
【0036】
なお、ピストン52の連結部70は、連結軸86に対してその軸線回りに回動可能とされ、かつ上下方向で所定量だけ移動可能に連結されている。これにより、トリガー部51の前後方向への揺動に伴って、ピストン52は前後方向に移動可能とされている。
【0037】
射出筒部11の上面には上板部材84が取り付けられている。上板部材84は、上下方向から見て略矩形状に形成され、かつ射出筒部11の上面に固定された上面板84aと、上面板84aの左右方向の両端部から、下方に向けて各別に突出する一対の弾性部材54および一対の軸受け部84bと、を備える。一対の弾性部材54は、互いに同一形状をなしている。また、一対の軸受け部84bは、互いに同一形状をなしている。一対の弾性部材54は、トリガー部51および射出筒部11の左右方向の両側に各別に配置されるとともに、トリガー部51を前方付勢状態で支持している。
なお、本実施形態では上面板84aと、一対の軸受け部84bと、一対の弾性部材54と、が一体に形成されているが、それぞれが別体として形成されていてもよい。
【0038】
一対の弾性部材54は、左右方向から見て前方に凸の円弧状に形成され、射出筒部11の上端部からピストン52における連結部70の下端部まで上下方向に延在している。
一対の弾性部材54は、上下方向に延びるとともに左右方向から見て同心の円弧状に形成された主板ばね54aおよび副板ばね54bと、これら板ばね54a、54bの上端部同士を接続する固定部54eと、これら板ばね54a、54bの下端部同士を接続する折り返し部54cと、折り返し部54cから下方に向けて突設された係止部54dと、を備えている。
【0039】
主板ばね54aは副板ばね54bよりも前側に位置している。折返し部54cは下方に向けて突の円弧状に形成されている。
係止部54dは、トリガー部51の側板部材81に形成されたポケット部81aに上方から差し込まれて、このポケット部81aに係止されている。これにより、弾性部材54は、係止部54dおよびポケット部81aを介してトリガー部51を前方付勢状態で支持している。
【0040】
固定部54eは、折り返し部54cと同様の円弧状に形成されている。固定部54eは上面板84aに固定されており、上面板84aは射出筒部11に固定されている。このため、主板ばね54aおよび副板ばね54bは、射出筒部11に固定された固定部54eを固定端として弾性変形する。
【0041】
一対の軸受け部84bは、一対の弾性部材54よりも後方に配置されている。一対の軸受け部84bは後方に向けて開口するC字状に形成されており、トリガー部51の回転軸部83を回転可能に支持している。
【0042】
なお、トリガー部51が待機位置から後方に向けて牽引されると、弾性部材54はトリガー部51のポケット部81aおよび係止部54dを介して後方に向けた力を受ける。この力により、弾性部材54は固定部54eが固定された状態で折返し部54cが後方に移動するように弾性変形させられる。このとき、主板ばね54aが副板ばね54bよりも大きく弾性変形する。
また、係止部54dは、弾性部材54の弾性変形に伴ってポケット部81aに対して漸次上方に移動するが、トリガー部51が、その揺動しうる範囲のうち最後方の位置に至ってもポケット部81aへの係合状態を維持する。
【0043】
また、図1に示すように、噴出器本体2は、射出筒部11に対して前方側から装着されて射出筒部11の前端開口部11aを閉塞するとともに、射出筒部11内と噴出孔4とを連通する連通孔25が形成された連結部材20と、縦供給筒部10および射出筒部11の全体を上方、後方および左右方向から覆うカバー体55と、を備えている。
【0044】
連結部材20は、射出筒部11の前端開口部11aよりも前側に位置し、前端開口部11aに対して対向配置された対向板部21と、対向板部21から後方に向けて延び、射出筒部11に外嵌された第1筒部22と、対向板部21から前方に向けて延びる第2筒部23と、第2筒部23の内側に位置し、かつ対向板部21から前方に向けて延びる中央突部24と、を備えている。
【0045】
対向板部21は前後方向から見て略矩形状に形成されている。対向板部21の下端部は、シリンダ53のフランジ部53aと前後方向で対向している。
中央突部24は、第2筒部23よりも前方に突出することなく、第2筒部23の内側に収まるように形成されている。
なお、連結部材20の下端部が、トリガー部51の主板部材80の上端部に対して前方から当接することで、トリガー部51を待機位置に位置決めしている。
【0046】
第2筒部23および中央突部24は、射出筒部11の中心軸線に対して下方に偏心した位置に配置されている。連通孔25は、対向板部21のうち、中央突部24の上方に位置し、かつ第2筒部23の内側に位置する部分に形成されている。連通孔25は、対向板部21を前後方向に貫通している。これにより、第2筒部23の内部は、連通孔25を通じて射出筒部11の内部に連通している。
【0047】
ノズル部3は噴出器本体2よりも前方側に配置され、噴出孔4が形成されたノズル体152と、液体の噴出形態を霧状および泡状等に切り替えるためのノズル板175と、を備えている。
ノズル板175は、上端部に配置されるとともに、左右方向に延びる軸部176を備え、ノズル体152に対してこの軸部176回りに揺動自在に取り付けられている。
【0048】
ノズル体152は、連結部材20の第2筒部23に装着される。ノズル体152は、噴出孔4が形成されたノズル壁部170と、ノズル壁部170から後方に向けて延び、第2筒部23に対して前方から外嵌される外嵌筒部221と、を備えている。
なお、外嵌筒部221は、第2筒部23に対して前方に抜け止めがされた状態で回転可能に装着されている。つまり、ノズル体152は第2筒部23の軸線回りに回転可能とされている。
【0049】
ノズル壁部170のうち外嵌筒部221の内側に位置する部分には、連結部材20の中央突部24に対して回転可能に外嵌する被支持筒部172が後方に向けて突設されている。被支持筒部172の内周面には、前後方向に沿って延びる第1凹溝172aが形成されている。
ノズル壁部170の後面のうち、被支持筒部172の内側に位置する部分には、旋回路12eが凹状に形成されている。
【0050】
中央突部24の外周面における前端部には、第1凹溝172aと旋回路12eとを連通可能な第2凹溝182aが形成されている。第1凹溝172aと第2凹溝182aとは、ノズル体152の、中央突部24回りに沿う所定の回転位置で連通し、それ以外の回転位置で非連通状態となる。
なお、被支持筒部172と外嵌筒部221との間には、第2筒部23の内側に密接するシール筒部178が設けられている。
【0051】
第2筒部23と、ノズル体152の被支持筒部172と、の間には、筒状の通過空間183が形成されている。通過空間183は、上述した第1凹溝172aおよび第2凹溝182aが互いに連通したときに、第1凹溝172a、第2凹溝182aおよび旋回路12eを通じて噴出孔4に連通する。
【0052】
そして本実施形態では、トリガー部51には、図1および図2に示すように、トリガー部51の後方への揺動を規制するストッパー90が装着されている。ストッパー90は、トリガー部51から後方へ突出する規制部91と、トリガー部51から前方に突出する操作部92と、規制部91と操作部92とを接続する接続部93と、を備えている。規制部91、操作部92、および接続部93は一体に形成されている。なお、規制部91、操作部92、および接続部93のうち、少なくとも一部が別体に形成されてもよい。
【0053】
また本実施形態では、図1図3および図5に示すように、ストッパー90は、規制部91がシリンダ53に当接することで、トリガー部51の後方への揺動を規制する規制位置と、規制部91がシリンダ53から離間することで、トリガー部51の後方への揺動を許容する解除位置と、の間を上下動可能に配設されている。図示の例では、解除位置は規制位置よりも下方に位置している。なお、解除位置は、規制位置よりも上方に位置してもよい。
【0054】
図2および図6に示すように、トリガー部51の主板部材80には、前後方向から見て上下方向に長い長方形状をなす装着孔87が形成されている。装着孔87は主板部材80を前後方向に貫通している。
装着孔87の内周面のうち、上下方向に延び、左右方向の内側を向く一対の横側面87aには、左右方向の内側に向けて突出し、前後方向の全域にわたって延びる装着突部88が各別に形成されている。一対の装着突部88は、左右方向に互いに対向するとともに、上下方向に間隔をあけて2組形成されている。一対の装着突部88は、装着孔87の横側面87aのうち、上下方向の両端部に各別に形成されている。装着孔87の内部に、ストッパー90が装着されている。
【0055】
図2および図7に示すように、規制部91は、主板部材80に沿って延びる第1基板部91Aと、第1基板部91Aの後面から後方に向けて突出する突出部91Bと、第1基板部91Aと突出部91Bとを接続する補強リブ94と、を備えている。第1基板部91Aの前面に、接続部93の後端部が接続されている。第1基板部91Aおよび接続部93それぞれの上端部の上下方向の位置が、互いに同等となっている。
【0056】
第1基板部91Aの上下方向および左右方向の大きさは、装着孔87よりも大きくなっている。また、第1基板部91Aの前面は、ストッパー90の上下方向の位置によらず、常にトリガー部51における主板部材80の後面に当接している。このため、第1基板部91Aは、ストッパー90が装着孔87から前方へ抜けるのを規制している。
【0057】
突出部91Bは、第1基板部91Aの後面から、後方に向けて延びる支持突片91Cと、支持突片91Cの後端部から、後方に向けて延びる規制突片91Dと、を備えている。支持突片91Cは、第1基板部91Aの後面と直交している。規制突片91Dは、前後方向に真直ぐ延びている。
補強リブ94は、第1基板部91Aの後面と、突出部91Bにおける支持突片91Cの下面と、を接続している。
【0058】
支持突片91Cと規制突片91Dとの左右方向の大きさは互いに同等となっている。規制突片91Dの前後方向の大きさは、支持突片91Cよりも大きく、規制突片91Dの上下方向の厚みは、支持突片91Cよりも大きくなっている。規制突片91Dの後端部が、シリンダ53における外筒部60の前端開口縁に形成された台座53bの前面に当接している。なお、規制突片91Dの後端部は、シリンダ53の台座53bの前面と前後方向に隙間をあけて対向してもよい。
【0059】
操作部92は、上下方向に沿って延び、前後方向から見た正面視で上下方向に長い長方形状を呈している。操作部92は、主板部材80に沿って延びる第2基板部92Aと、第2基板部92Aの前面から前方に向けて突出する湾曲部92Bと、を備えている。第2基板部92Aは、上下方向に沿って延びる板状部材であり、湾曲部92Bは、左右方向から見た側面視で前方に向けて開口する弧状を呈している。図示の例では湾曲部92Bは前記側面視で前方に向けて開口するC字状を呈している。なお、湾曲部92Bは前記側面視でC字状以外の弧状を呈してもよい。
【0060】
第2基板部92Aのうち、上端部92Cおよび下端部92Dの左右方向の大きさは、上端部92Cと下端部92Dとの間に位置する中間部92Eよりも小さくなっている。湾曲部92Bの上端部は、第2基板部92Aの上端部92Cから前方に向けて突出し、湾曲部92Bの下端部は、第2基板部92Aの下端部92Dから前方に向けて突出している。湾曲部92Bの下端部は、第2基板部92Aのうち、下端縁よりも上方に位置する部分から前方に向けて突出している。
【0061】
第2基板部92Aおよび湾曲部92Bそれぞれの上下方向の大きさは互いに同等であり、主板部材80の装着孔87よりも小さくなっている。また、第2基板部92Aにおける中間部92Eの左右方向の大きさは、装着孔87よりも大きくなっている。また、第2基板部92Aにおける上端部92C、および下端部92D、並びに湾曲部92Bそれぞれの左右方向の大きさは、装着孔87よりも小さくなっている。
【0062】
湾曲部92Bの上端部は、前記側面視で、上方に向かうに従い漸次、前方に向けて延び、湾曲部92Bの下端部は、前記側面視で、下方に向かうに従い漸次、前方に向けて延びている。
湾曲部92Bの下端部の前方に向けた突出量は、湾曲部92Bの上端部の前方に向けた突出量よりも大きくなっている。これにより、湾曲部92Bの下端部は、湾曲部92Bの上端部よりも前方に突出している。
【0063】
接続部93は前後方向に延び、操作部92における第2基板部92Aの後面と、規制部91における第1基板部91Aの前面と、を接続している。
接続部93は、上下方向に延びる縦板部93Aと、縦板部93Aの上端部に接続され、左右方向に延びる上横板部93Bと、縦板部93Aの上端部に接続され、左右方向に延びる下横板部93Cと、を備えている。
【0064】
縦板部93Aは、上横板部93Bおよび下横板部93Cそれぞれの左右方向の中央部同士を上下方向に連結している。上横板部93Bおよび下横板部93Cそれぞれの左右方向の大きさは、互いに同等となっている。縦板部93Aの左右方向の厚みと、上横板部93Bおよび下横板部93Cそれぞれの上下方向の厚みと、は互いに同等となっている。
【0065】
接続部93の前後方向の大きさは、主板部材80の前後方向の厚みと同等となっており、接続部93の全体が主板部材80の装着孔87内に挿入されている。接続部93の上下方向の大きさは、操作部92の第2基板部92Aよりも小さくなっている。
接続部93の上下方向の大きさは主板部材80の装着孔87よりも小さく、これにより、ストッパー90は装着孔87内を、主板部材80に沿って上下動可能とされている。そして、図1に示すようなストッパー90の規制位置では、接続部93が装着孔87内における上端に位置し、図3および図5に示すようなストッパー90の解除位置では、接続部93が装着孔87内における下端に位置している。
【0066】
図7に示すように、接続部93の上横板部93Bは、第2基板部92Aにおける中間部92Eの上部に接続されている。すなわち、操作部92の上端部が、接続部93から上方に突出している。
これにより、図1および図2に示すように、ストッパー90が規制位置に位置し、接続部93が装着孔87内における上端に位置するときに、第2基板部92Aの上端部92Cが、装着孔87の内周面のうち、左右方向に延び、下方を向く上側面87bよりも上方に位置することで、ストッパー90が装着孔87から後方に抜けるのを規制することができる。
【0067】
また、図7に示すように、接続部93の下横板部93Cは、第2基板部92Aの下端部92Dに接続され、第2基板部92Aの下端縁より上方に位置している。これにより、図3および図4に示すように、ストッパー90が解除位置に位置し、装着孔87内における下端に位置するときに、第2基板部92Aの下端部92Dが、装着孔87の内周面のうち、左右方向に延び、上方を向く下側面87cよりも下方に位置することで、ストッパー90が装着孔87から後方に抜けるのを規制することができる。
【0068】
また、図1および図2に示すように、ストッパー90が規制位置にあり、接続部93が装着孔87内における上端に位置する際に、接続部93の上横板部93Bにおける左右方向の両端部は、装着孔87における横側面87aの上端部に形成された一対の装着突部88と、装着孔87の上側面87bと、の間に上下方向に挟まれる。これにより、ストッパー90を規制位置に固定することができる。
【0069】
また、図3図4および図5に示すように、ストッパー90が解除位置にあり、接続部93が装着孔87内における下端に位置する際に、接続部93の下横板部93Cにおける左右方向の両端部は、装着孔87における横側面87aの下端部に形成された一対の装着突部88と、装着孔87の下側面87cと、の間に上下方向に挟まれる。これにより、ストッパー90を解除位置に固定することができる。
【0070】
次に、上述のように構成されたトリガー式液体噴出器1の作用について説明する。
なお、以下の説明においては、トリガー部51の複数回の操作によって、トリガー式液体噴出器1の各部内に液体が充填され、縦供給筒部10から液体を吸い上げることができる状態になっているものとする。
【0071】
まず、図1に示すように、規制位置にあるストッパー90のうち、トリガー部51の前方に突出した操作部92の湾曲部92B内に、ストッパー90の前方から指先を載置した状態で噴出器本体2を把持する。そして、この指先で操作部92を下方に向けて押し下げ、ストッパー90を下方に向けて移動させることで、図3に示すように、ストッパー90の規制部91が、シリンダ53の台座53bから下方に離れ、ストッパー90が解除位置に位置することとなる。
【0072】
そして、図5に示すように、ストッパー90を解除位置に位置させたときの指先をそのまま後方に向けて移動させる。これにより、トリガー部51が弾性部材54の付勢力に抗して後方に向けて牽引され、後方に揺動される。このトリガー部51の後方への揺動に伴ってピストン52が後方に向けて移動するので、シリンダ53内の液体を、第1貫通孔66および第2貫通孔67を通じて縦供給筒部10の内筒13内に導入することができる。すると、内筒13内に導入された液体は、吸込弁36を押し下げて閉弁させるとともに、吐出弁30を押し上げて開弁させるので、内側吐出孔17および外側吐出孔16を通じて射出筒部11内に液体を導入することができる。
【0073】
これに伴い射出筒部11の内圧が上昇するので、射出筒部11内の液体を、連通孔25、通過空間183、第1凹溝172a、第2凹溝182a、および旋回路12eを通じて噴出孔4から前方に向けて噴射することができる。なおこの際、ストッパー90の規制部91の後端部が、外筒12の大径部12aの外周面に、大径部12aの前方から近接している。なおこのように、トリガー部51が最後端揺動位置に位置するときに、規制部91の後端部が、外筒12におけるシリンダ用筒部40のうち、外筒12の大径部12aから前方に突出した部分の下方に位置している。これにより、噴出器本体2にストッパー90との干渉を回避するための逃げ部を別途設ける必要が無い。
【0074】
そして、トリガー部51の牽引を止めて、トリガー部51を解放すると、弾性部材54の弾性復元力によってトリガー部51が前方に付勢されて待機位置に復帰するので、これに伴ってピストン52が前方移動する。このため、シリンダ53内に負圧が生じ、この負圧によってパイプ15を通じて容器体A内の液体を縦供給筒部10内に吸い上げることができる。
すると、新たに吸い上げられた液体は、吸込弁36を押し上げて開弁させ、シリンダ53内に導入される。これにより、次の噴射に備えることができる。なお、吐出弁30は閉弁している。
【0075】
そして最後に、操作部92の湾曲部92B内に載置した指先により操作部92を上方に向けて押し上げ、ストッパー90を上方に向けて移動させることで、図1に示すように、ストッパー90の規制部91における規制突片91Dの後端部が、シリンダ53の台座53bの前面に当接し、ストッパー90が規制位置に位置することとなる。なおこの際、規制突片91Dの後端部は、シリンダ53の台座53bと前後方向に隙間をあけて対向してもよい。
【0076】
以上説明したように、本実施形態に係るトリガー式液体噴出器1によれば、規制部91を備えたストッパー90がトリガー部51に装着されているので、規制部91がシリンダ53に当接することで、トリガー部51の後方への揺動が規制される。
また、ストッパー90は、規制位置と解除位置との間を上下動可能に配設されるとともに、トリガー部51の前方に突出した操作部92を備えているので、使用者が、指先をトリガー部51に前方からかけた状態で噴出器本体2を把持し、この指先でストッパー90の操作部92を上下方向に移動させると、ストッパー90がトリガー部51に対して上下動させられることとなり、ストッパー90の規制位置と解除位置とを切り替える切り替え操作を行うことができる。
このように、使用者が、一方の手の指先により、ストッパー90をトリガー部51に対して上下方向に移動させるだけで、他方の手を用いずにストッパー90の切り替え操作を行うことが可能になることから、ノズル部3に触れる必要がなく、ノズル部3に付着した内容物が手に付着するのを抑えることができる。
【0077】
さらに、ストッパー90の操作部92がトリガー部51の前方に突出しているので、ストッパー90を解除位置に位置させたときの指先をそのまま後方に移動させてトリガー部51を牽引することで、内容物を噴射することが可能になる。このように、ストッパー90の切り替え操作の後、内容物を噴射させる際に、噴出器本体2を把持した持ち手の向きや姿勢等を変える必要がなく、優れた操作性を具備させることができる。
またこのように、ストッパー90を規制位置から解除位置に移動させた後にトリガー部51を牽引する指先のトリガー部51に対する位置が使用者によらず一定となるため、トリガー部51の動作を安定したものとすることができる。
以上により、ストッパー90の切り替え操作における操作性および取扱性を向上することができる。
【0078】
また、解除位置が規制位置より下方に位置し、かつトリガー部51がその上端部を中心に揺動自在に支持されているので、ストッパー90を解除位置に移動させたときの指先をそのまま後方に移動させて、トリガー部51を後方に揺動させることによって、トリガー部51を揺動させる際の支点と力点との間の距離を長く確保することが可能になり、トリガー部51を揺動させる際に要する牽引力を抑えることができる。
【0079】
また、操作部92が上下方向に沿って延び、前記側面視で前方に向けて開口する弧状を呈しているので、噴出器本体2を把持する手の指先を操作部92の内側に載置することで、例えばストッパー90とともにトリガー部51を後方に向けて牽引する際や、ストッパー90を上下方向に移動させた際等に、ストッパー90の操作部92に対する指先の位置がずれるのを抑制することができる。これにより、ストッパー90に優れた操作性を具備させることができる。
【0080】
また、操作部92の湾曲部92Bの下端部が、上端部よりも前方に突出しているので、噴出器本体2を把持した手の指先を湾曲部92Bの下端部上に載置することで、特にストッパー90を下方に向けて移動させる際に、より一層効果的にストッパー90に対する指先の位置がずれるのを抑制することができる。
【0081】
本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0082】
例えば、上記各実施形態においては、トリガー部51が射出筒部11から下方に向けて延設されるとともに、トリガー部51の上端部を中心に揺動自在に支持された構成を示したが、このような態様に限られない。トリガー部51は、上端部以外の部分を中心に揺動自在に支持されてもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、ストッパー90の解除位置は、規制位置よりも下方に位置している構成を示したが、このような態様に限られない。ストッパー90の解除位置は、規制位置よりも上方に位置してもよい。
また、上記実施形態では、操作部92が上下方向に沿って延び、左右方向から見た側面視で前方に向けて開口する弧状を呈するとともに、下端部が上端部よりも前方に突出する構成を示したが、このような態様に限られない。操作部92の形状としては任意に変更可能である。
【0084】
また、上記実施形態では、規制部91が、主板部材80に沿って延びる第1基板部91Aと、第1基板部91Aから後方に向けて突出する突出部91Bと、を備える構成を示したが、このような態様に限られない。規制部91は、第1基板部91Aを備えなくてもよい。
また、上記実施形態では、操作部92が、主板部材80に沿って延びる第2基板部92Aと、第2基板部92Aから前方に向けて突出する湾曲部92Bと、を備える構成を示したが、このような態様に限られない。操作部92は、第2基板部92Aを備えなくてもよい。
【0085】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 トリガー式液体噴出器
2 噴出器本体
4 噴出孔
3 ノズル部
10 縦供給筒部
11 射出筒部
50 トリガー機構
51 トリガー部
52 ピストン
53 シリンダ
90 ストッパー
91 規制部
92 操作部
A 容器体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7