(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記変動は、前記着用者の血管の動きにより生じる変動、前記着用者の呼吸により生じる変動、及び前記着用者の体動により生じる変動の少なくともいずれかを含む、請求項1に記載の衣類。
前記生体情報は、前記着用者の脈波、脈拍、呼吸、鼓動、脈波伝搬速度、及び血流量の少なくともいずれかに関する情報を含む、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の衣類。
前記コントローラは、前記生体情報に基づいて、前記着用者の体調、眠気、眠り、覚醒状態、心理状態、身体状態、感情、心身状態、精神状態、自律神経、ストレス状態、意識状態、血液成分、睡眠状態、呼吸状態、及び血圧の少なくともいずれかに関する情報を推定する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の衣類。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
本実施形態に係る衣類は、当該衣類の着用者の生体情報を測定する生体情報測定装置を備える。この生体情報測定装置により、衣類の着用者は、当該衣類を着用した状態において、自らの生体情報を測定することができる。本実施形態に係る衣類は、後述するように、種々の構成のものとすることができる。まず、本実施形態に係る衣類が備える生体情報測定装置について説明する。以下、本実施形態に係る衣類を着用する着用者を、適宜、前記衣類が備える生体情報測定装置により生体情報が測定される「被検者」と記す。
【0013】
図1は、一実施形態に係る衣類が備える生体情報測定装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
図1に示すように、生体情報測定装置1は、コントローラ10と、電源部11と、ジャイロセンサ12と、表示部14と、音声出力部16と、通信部17と、バイブレータ18と、記憶部20とを備えている。
【0014】
コントローラ10は、生体情報測定装置1の各機能ブロックをはじめとして、生体情報測定装置1の全体を制御及び管理するプロセッサを含む。コントローラ10は、制御手順を規定したプログラム及び被検者の生体情報を測定するプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含む。このようなプログラムは、例えば記憶部20等の記憶媒体に格納される。
【0015】
電源部11は、バッテリーを含み、生体情報測定装置1の各部に電源を供給する。生体情報測定装置1は、動作時には、電源部11、又は外部の電源から、電力の供給を受ける。また、電源部11は、電源ラインを介して外部から電力供給を受け、電源ラインを介して供給された電力を、生体情報測定装置1の各部に電源を供給してもよい。
【0016】
ジャイロセンサ12は、生体情報測定装置1の角速度を検出することにより、生体情報測定装置1の変位をモーションファクタとして検出する。ジャイロセンサ12は、例えば振動したアームに作用するコリオリ力による構造体の変形から角速度を検出する3軸タイプの振動ジャイロセンサである。ここで、この構造体は、例えば水晶、又は圧電セラミックス等の圧電材料を素材としてもよい。また、ジャイロセンサ12は、構造体をシリコン等の素材として、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術で形成されてもよい。また、ジャイロセンサ12は、光学式ジャイロセンサなどのような、他の方式のジャイロセンサであってもよい。コントローラ10は、ジャイロセンサ12により取得された角速度を1回時間積分することにより、生体情報測定装置1の向きを測定することができる。
【0017】
ジャイロセンサ12は、例えば角速度センサである。ただし、ジャイロセンサ12は、角速度センサに限られない。ジャイロセンサ12は、モーションファクタである生体情報測定装置1の角度変位を検出してもよい。ジャイロセンサ12は、セルフコントロールファクタとして処理されるモーションファクタを検知してもよい。ジャイロセンサ12が検知したモーションファクタは、コントローラ10に送信される。
【0018】
コントローラ10は、ジャイロセンサ12からモーションファクタを取得する。モーションファクタは、被検者の被検部位における脈動に基づく生体情報測定装置1の変位を示す指標を含む。コントローラ10は、モーションファクタに基づいて、被検者の脈動を生成する。コントローラ10は、被検者の脈動に基づいて、生体情報を測定する。コントローラ10による生体情報の測定処理の詳細については、後述する。
【0019】
表示部14は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)、有機ELパネル(Organic Electro-Luminescence Panel)、又は無機ELパネル(Inorganic Electro-Luminescence panel)等の表示デバイスを備える。表示部14は、文字、画像、記号又は図形等を表示する。また、表示部14は、表示機能のみならず、タッチスクリーンの機能も含むタッチスクリーンディスプレイで構成してもよい。この場合、タッチスクリーンは、着用者等の指又はスタイラスペン等の接触を検出する。タッチスクリーンは、複数の指、又はスタイラスペン等がタッチスクリーンに接触した位置を検出することができる。タッチスクリーンの検出方式は、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式(又は超音波方式)、赤外線方式、電磁誘導方式、及び荷重検出方式等の任意の方式でよい。静電容量方式では、指、又はスタイラスペン等の接触及び接近を検出することができる。
【0020】
音声出力部16は、音を出力することで、着用者等に情報を報知する。音声出力部16は、任意のスピーカ等で構成することができる。音声出力部16は、コントローラ10から送信される音信号を音として出力する。
【0021】
通信部17は、外部装置と有線通信又は無線通信を行うことにより、各種データの送受信を行う。通信部17は、例えば生体情報測定装置1が測定した生体情報の測定結果等を、外部装置に送信することができる。また、通信部17は、健康状態を管理するために被検者(着用者)の生体情報を記憶する外部装置と通信を行うこともできる。
【0022】
バイブレータ18は、振動などを発生することで、着用者等に情報を報知する。バイブレータ18は、生体情報測定装置1の任意の部位に振動などを発生することにより、生体情報測定装置1の着用者に対して触感を呈示する。バイブレータ18は、振動を発生するものであれば、例えば偏心モータ、圧電素子(ピエゾ素子)、又はリニアバイブレータのような任意の部材を採用することができる。
【0023】
記憶部20は、アプリケーションプログラムをはじめとする各種プログラム及びデータを記憶する。記憶部20は、半導体記憶媒体、及び磁気記憶媒体等の任意の非一過的(non-transitory)な記憶媒体を含んでよい。記憶部20は、複数の種類の記憶媒体を含んでよい。記憶部20は、メモリカード、光ディスク、又は光磁気ディスク等の可搬の記憶媒体と、記憶媒体の読み取り装置との組み合わせを含んでよい。記憶部20は、RAM(Random Access Memory)等の一時的な記憶領域として利用される記憶デバイスを含んでよい。記憶部20は、各種情報及び生体情報測定装置1を動作させるためのプログラム等を記憶するとともに、ワークメモリとしても機能する。記憶部20は、例えば、ジャイロセンサ12が検知したデータ、及び生体情報の測定結果などを記憶してもよい。
【0024】
本開示の一実施形態に係る生体情報測定装置1は、
図1に示した構成に限定されない。一実施形態に係る生体情報測定装置1に必須の構成要素は、ジャイロセンサ12である。したがって、一実施形態に係る生体情報測定装置1において、必要に応じて、適宜、必須の構成要素以外の他の構成要素を省略したり、その他の構成要素を追加してもよい。一実施形態に係る生体情報測定装置1が生体情報を測定する際には、ジャイロセンサ12が検知した被検者の被検部位の変動に基づいて、被検者の生体情報を測定するコントローラが必要になる。このため、コントローラ10を備えない生体情報測定装置1が生体情報を測定する際は、ジャイロセンサ12が検知した信号を、外部のコントローラに送信して処理してもよい。また、コントローラ10、表示部14、音声出力部16及びバイブレータ18などは、生体情報測定装置1を備える衣類において、情報測定装置1とは別の箇所に設けられてもよい。
【0025】
本実施形態に係る生体情報測定装置1は、例えばベスト又はジャケットのようなトップス、パンツ(ズボン)のようなボトムス、及びパンツ(ズボン)のようなボトムスを支持するベルト等のような、各種の衣類に搭載される。生体情報測定装置1は、これらのような衣類に搭載されて、被検者である着用者の所定部位(被検部位)において生体情報を測定する。被検部位は、衣類により着用者の生体情報を測定する際に、着用者に当接する部位である。
【0026】
生体情報測定装置1が測定する生体情報は、例えば、血液成分、脈波、脈拍及び脈波伝搬速度の少なくともいずれかを含む。血液成分は、例えば糖代謝の状態及び脂質代謝の状態を含む。糖代謝の状態は、例えば血糖値を含む。脂質代謝の状態は、例えば脂質値を含む。脂質値は、中性脂肪、総コレステロール、HDL(High Density Lipoprotein)コレステロール及びLDL(Low Density Lipoprotein)コレステロール等を含む。生体情報測定装置1は、例えば、被検者の脈波を生体情報として取得し、取得した脈波に基づいて、血液成分等の生体情報を測定する。
【0027】
次に、生体情報測定装置1による生体情報の測定処理について説明する。生体情報測定装置1は、被検者に当接する当接面に設けられた当接部が被検部位に当接した状態でモーションファクタを取得し、取得したモーションファクタに基づいて、生体情報を測定する。生体情報測定装置1は、当接面に設けられた支持部が被検部位とは異なる位置で被検者に当接した状態で、モーションファクタを取得してよい。本実施形態においては、被検部位は、例えば衣類の着用者(被検者)の腹部とすることができる。この場合、生体情報測定装置1のジャイロセンサ12は、衣類の着用者の腹部の変動を検知する。
【0028】
生体情報の測定にあたり、生体情報測定装置1は、例えば、本実施形態に係る衣類を着用者が着用することなどに基づき、生体情報の測定処理が可能な状態になる。生体情報の測定処理が可能な状態とは、例えば生体情報を測定するためのアプリケーションが起動された状態等をいう。
【0029】
次に、生体情報測定装置1が被検者の生体情報を測定する原理について、さらに説明する。生体情報測定装置1は、被検者の被検部位の変動に基づいて、生体情報を測定する。
図2は、人体内の構造を概略的に示す図である。
図2は、人体の一部の内部構造を、概略的に示している。また、
図2は、特に、人体内の心臓及び大動脈の一部を概略的に示している。
【0030】
人体内の血液は、心臓から送出された後、血管を経て人体の各部に供給される。
図2に示すように、人体内において、心臓から送出される血液の一部は、胸部大動脈を通過してから、腹部大動脈を通過する。心臓から胸部大動脈又は腹部大動脈に血液が送出されると、これらの血管が収縮などの変動をきたす。このような変動は、被検者の体内を伝わり、被検者の胸部、腹部、太腿部、手首などの所定部位を変動させる。したがって、生体情報測定装置1が被検者の所定部位に押し当てられた状態で、ジャイロセンサ12は、被検者の所定部位の変動を検出することができる。このようにして、ジャイロセンサ12は、被検者の所定部位の変動に起因するモーションファクタを検知する。
【0031】
図3は、生体情報測定装置1によるモーションファクタの取得態様の一例を示す図である。
【0032】
図3(A)及び
図3(B)は、例えば人体のような生体において、大動脈を含む部位の断面を示してある。また、
図3(A)及び
図3(B)は、生体情報測定装置1の当接面を、生体表面(皮膚)の被検部位に当接させている状態を示している。したがって、
図3(A)及び
図3(B)に示すように、生体情報測定装置1の当接面に設けられた当接部40及び支持部50は、それぞれ生体表面(皮膚)の被検部位に当接している。ここで、生体表面の被検部位は、一実施形態においては、被検者の胴体とする。また、
図3(A)及び
図3(B)に示す大動脈とは、
図2に示した胸部大動脈としてもよいし、腹部大動脈としてもよい。また、
図3(A)及び
図3(B)に示す大動脈とは、太腿動脈としてもよいし、橈骨動脈としてもよいし、尺骨動脈としてもよい。
【0033】
図3(A)及び
図3(B)に示すように、生体情報測定装置1の当接部40が、被検者の所定部位に押し当てられる。当接部40の裏側にはジャイロセンサ12が設けられており、生体情報測定装置1は、ジャイロセンサ12により生体情報測定装置1の変位をモーションファクタとして取得する。
図3(A)及び
図3(B)に示すように、生体情報測定装置1と被検者の所定部位との接触状態において、当接部40が被検部位に当接する。また、
図3(A)及び
図3(B)に示すように、生体情報測定装置1によるモーションファクタの取得状態において、支持部50は、当接部40とは異なる位置で被検者に当接する。
【0034】
図3(A)及び
図3(B)に示すように、生体情報測定装置1を被検者に押し当てて当接させた場合、生体情報測定装置1は、被検者の脈動に基づく血管の拡張及び収縮の動きに応じて変位する。生体情報測定装置1は、支持部50を支点として、
図3(A)及び
図3(B)において矢印Qで示すように、上端側が回転するように変位する。このような変位は、通常、部分的な回転運動の往復が反復する振動のような変位となる。生体情報測定装置1が備えるジャイロセンサ12は、生体情報測定装置1の変位を検出することにより、被検者の脈波を取得する。脈波とは、血液の流入によって生じる血管の容積時間変化を体表面から波形としてとらえたものである。
【0035】
このように、一実施形態に係る生体情報測定装置1において、ジャイロセンサ12は、被検者の所定部位(被検部位)の変動に起因するモーションファクタを検知する。このジャイロセンサ12は、生体情報測定装置1が被検者の所定部位に押し当てられている状態で、被検者の所定部位の変動に起因するモーションファクタを検知する。そして、コントローラ10は、このようにしてジャイロセンサ12によって検知されたモーションファクタに基づいて、被検者の生体情報の測定処理を行う。
【0036】
ここで、被検部位としては、胸部、腹部、太腿部、手首などがある。また、被検部位の変動は、
図3(A)及び
図3(B)においては、被検者の血管の動きにより生じる変動の例を示したが、これに限定されない。被検者の被検部位の変動は、被検者の血管の動きにより生じる変動のみならず、被検者の呼吸により生じる変動、及び被検者の体動により生じる変動の少なくともいずれかを含んでよい。また、被検者の血管は、被検者の大動脈を含んでよい。また、被検者の大動脈は、被検者の腹部大動脈、胸部大動脈、太腿動脈、橈骨動脈及び尺骨動脈の少なくともいずれかを含んでよい。大動脈のような大型の血管においては、絶えず多量の血液が流れている。このため、生体情報測定装置1においては、被検者の大動脈を計測の対象とすることにより、高い精度で安定して、生体情報の測定を行うことができる。
【0037】
また、
図3(B)に示すように、ジャイロセンサ12は、弾性部材19を介して被検者の被検部位に押し当てられることで、被検者の被検部位の変動に追従することが容易となる。そのため、生体情報測定装置1は、高い精度で安定して、生体情報の測定を行うことができる。ここで、弾性部材19は、弾性力を生じる任意のものであればよく、例えば、バネ、ゴム、可撓性樹脂、油圧を利用したもの、空気圧を利用したもの、水圧を利用したものなどである。
図3(B)に示す支持部50は、ジャイロセンサ12が設置された方のハウジングと、ジャイロセンサ12が設置されていない方のハウジングとを接続している。
図3(B)に示すように、ジャイロセンサ12が設置された方のハウジングは、ジャイロセンサ12が設置されていない方のハウジングに対して、支持部50を軸として可動な機構を有している。
【0038】
生体情報測定装置1は、ジャイロセンサ12を備えることにより、被検者は着衣のまま、衣服の上から生体情報を測定することができる。すなわち、生体情報測定装置1によれば、被検者は、生体情報を測定する際に脱衣する必要はなくなる。また、生体情報測定装置1によれば、被検者は、測定装置を肌に直に触れさせる必要もない。このため、トップス(上着又は上衣)、ボトムス(下衣)、及びベルトなどの着用者の各種衣類に生体情報測定装置1を設けることで、これら衣類の着用時に、生体情報の測定を手軽に行うことができる。
【0039】
従来の加速度センサは、ノイズが大きいため、脈波センサとしての利用に適しているとは言い難い。特に、脈波及び呼吸のような、1Hz前後の低周波数の測定を目的とする場合、小型の測定装置に内蔵するような小型の加速度センサは一般的ではない。通常、このような目的には、比較的大型の加速度センサが必要になる。
【0040】
これに対し、生体情報測定装置1においては、生体情報の測定にジャイロセンサ12を用いる。ジャイロセンサは、一般的に測定の際のノイズが少ない。ジャイロセンサは、常時振動しているため(振動型ジャイロセンサの場合)、構造上、ノイズを低減させることができる。また、一実施形態に係る生体情報測定装置1においては、小型のハウジングに内蔵可能なジャイロセンサ12を採用することができる。
【0041】
生体情報測定装置1は、当接部40が被検部位に当接された状態において、脈波の測定処理を行う。
図4は、生体情報測定装置1による脈波の測定処理について説明するための模式図である。
図5は、生体情報測定装置1による脈波の測定処理の手順を示すフロー図である。
図4において、横軸は時間を示し、縦軸は、ジャイロセンサ12である角速度センサの脈波に基づく出力(rad/秒)を模式的に示すものである。
図4では、角速度センサの出力は、各脈波のピークのみを示している。
【0042】
時刻t
0において、生体情報測定装置1が脈波測定処理を開始するための所定のイベントが発生したとする。このようなイベントとしては、本実施形態に係る衣類の着用者が当該衣類を着用したことなどがある。このようなイベントの発生により、生体情報測定装置1の当接部40が被検者である着用者の被検部位に当接される。生体情報測定装置1は、時刻t
0において生体情報の測定処理が可能な状態となり、脈波の測定処理を開始したとする。
【0043】
生体情報測定装置1では、コントローラ10が、脈波測定処理を開始すると、被検者の血管の脈動に応じたジャイロセンサ12の出力を検出する。測定開始直後の所定期間(
図4における時刻t
0から時刻t
1まで)は、当接部40が被検部位に当接する位置の調整等により、ジャイロセンサ12の出力が安定しない。この期間は脈波を正確に取得できない。そのため、生体情報測定装置1は、この期間に測定された脈波を、例えば生体情報である血液成分の測定に使用しなくてもよい。生体情報測定装置1は、例えば、この期間に測定された脈波を記憶部20に記憶しなくてもよい。
【0044】
コントローラ10は、脈波測定処理の開始後、所定回数連続して安定した脈波を検出したか否かを判定する(
図5のステップS101)。所定回数は、
図4に示す例では4回であるが、これに限られない。また、安定した脈波は、例えば、各脈波のピーク出力のばらつき及び/又は各脈波のピーク同士の間隔のばらつきが、所定の誤差範囲内となる脈波をいう。ピーク同士の間隔における所定の誤差範囲は、例えば±150msecであるが、これに限られない。
図4に示す例では、コントローラ10が、時刻t
1から時刻t
2まで、各脈波のピーク同士の間隔のばらつきが4回連続で±150msec以内となる脈波を検出した場合の例を示している。
【0045】
コントローラ10は、脈波測定処理の開始後、所定回数連続して安定した脈波を検出したと判定した場合(
図5のステップS101のYes)、脈波の取得を開始する(ステップS102)。すなわち、コントローラ10は、血液成分を測定するために使用する脈波を取得する。脈波取得開始時刻は、例えば
図4では時刻t
3である。コントローラ10は、このようにして取得した脈波を記憶部20に記憶してもよい。生体情報測定装置1は、このように所定回数連続して安定した脈波を検出したと判定した場合に脈波の取得を開始するため、誤検出を防止しやすくなる。
【0046】
コントローラ10は、脈波の取得を開始した後、脈波取得の終了条件が満たされると、脈波の取得を終了する。終了条件は、脈波の取得を開始した後、例えば所定時間が経過した場合であってもよい。終了条件は、例えば、所定の脈拍数分の脈波を取得した場合であってもよい。なお終了条件は、これに限られず他の条件が適宜設定されてもよい。
図4に示す例では、コントローラ10は、時刻t
3から所定時間(例えば8秒又は15秒)経過後の時刻t
4において脈波の取得を終了する。これにより、
図5に示すフローは終了する。
【0047】
なお、コントローラ10は、脈波測定処理の開始後、所定回数連続して安定した脈波を検出していないと判定した場合(
図5のステップS101のNo)、脈波測定処理を開始するための所定のイベントが発生してから所定時間経過したか否かを判定する(ステップS103)。
【0048】
脈波測定処理を開始するための所定のイベントが発生してから所定時間(例えば30秒)経過していないとコントローラ10が判定した場合(ステップS103のNo)、
図5に示すフローは、ステップS101に移行する。
【0049】
一方、コントローラ10は、脈波測定処理を開始するための所定のイベントが発生してから所定時間経過しても、安定した脈波を検出できない場合(ステップS103のYes)、自動的に測定処理を終了(タイムアウト)して、
図5のフローを終了する。
【0050】
図6は、生体情報測定装置1を用いて被検部位(胴体)で取得された脈波の一例を示す図である。
図6は、ジャイロセンサ12を脈動の検知手段として用いた場合のものである。
図6は、ジャイロセンサ12である角速度センサで取得された角速度を積分したものである。
図6において、横軸は時間、縦軸は角度を表す。取得された脈波は、例えば被検者の体動が原因のノイズを含む場合があるので、DC(Direct Current)成分を除去するフィルタによる補正を行い、脈動成分のみを抽出してもよい。
【0051】
生体情報測定装置1は、取得された脈波から、脈波に基づく指標を算出し、脈波に基づく指標を用いて、血液成分を測定する。取得された脈波から、脈波に基づく指標を算出する方法を、
図6を用いて説明する。脈波の伝播は、心臓から押し出された血液による拍動が、動脈の壁、又は血液を伝わる現象である。心臓から押し出された血液による拍動は、前進波として手足の末梢まで届き、その一部は血管の分岐部、血管径の変化部等で反射され反射波として戻ってくる。脈波に基づく指標は、例えば、前進波の脈波伝播速度PWV(Pulse Wave Velocity)、脈波の反射波の大きさP
R、脈波の前進波と反射波との時間差Δt、脈波の前進波と反射波との大きさの比で表されるAI(Augmentation Index)等である。
【0052】
図6に示す脈波は、利用者のn回分の脈拍であり、nは1以上の整数である。脈波は、心臓からの血液の駆出により生じた前進波と、血管分岐、又は血管径の変化部から生じた反射波とが重なりあった合成波である。
図6において、P
Fnは脈拍毎の前進波による脈波のピークの大きさ、P
Rnは脈拍毎の反射波による脈波のピークの大きさ、P
Snは脈拍毎の脈波の最小値である。また、
図6において、T
PRは脈拍のピークの間隔である。
【0053】
脈波に基づく指標とは、脈波から得られる情報を定量化したものを含む。例えば、脈波に基づく指標の一つであるPWVは、上腕と足首等、2点の被検部位で測定された脈波の伝播時間差と2点間の距離とに基づいて算出される。具体的には、PWVは、動脈の2点における脈波(例えば上腕と足首)を同期させて取得し、2点の距離の差(L)を2点の脈波の時間差(PTT)で除して算出される。例えば、脈波に基づく指標の一つである反射波の大きさP
Rは、反射波による脈波のピークの大きさP
Rnを算出してもよいし、n回分を平均化したP
Raveを算出してもよい。例えば、脈波に基づく指標の一つである脈波の前進波と反射波との時間差Δtは、所定の脈拍における時間差Δt
nを算出してもよいし、n回分の時間差を平均化したΔt
aveを算出してもよい。例えば、脈波に基づく指標の一つであるAIは、反射波の大きさを前進波の大きさで除したものであり、AI
n=(P
Rn−P
Sn)/(P
Fn−P
Sn)で表わされる。AI
nは脈拍毎のAIである。AIは、例えば、脈波の測定を数秒間行い、脈拍毎のAI
n(n=1〜nの整数)の平均値AI
aveを算出し、脈波に基づく指標としてもよい。
【0054】
脈波伝播速度PWV、反射波の大きさP
R、前進波と反射波との時間差Δt、及びAIは、血管壁の硬さに依存して変化するため、動脈硬化の状態の推定に用いることができる。例えば、血管壁が硬いと、脈波伝播速度PWVは大きくなる。例えば、血管壁が硬いと、反射波の大きさP
Rは大きくなる。例えば、血管壁が硬いと、前進波と反射波との時間差Δtは小さくなる。例えば、血管壁が硬いと、AIは大きくなる。さらに、生体情報測定装置1は、これらの脈波に基づく指標を用いて、動脈硬化の状態を推定できると共に、血液の流動性(粘性)を推定することができる。特に、生体情報測定装置1は、同一被検者の同一被検部位、及び動脈硬化の状態がほぼ変化しない期間(例えば数日間内)において取得された脈波に基づく指標の変化から、血液の流動性の変化を推定することができる。ここで血液の流動性とは、血液の流れやすさを示し、例えば、血液の流動性が低いと、脈波伝播速度PWVは小さくなる。例えば、血液の流動性が低いと、反射波の大きさP
Rは小さくなる。例えば、血液の流動性が低いと、前進波と反射波との時間差Δtは大きくなる。例えば、血液の流動性が低いと、AIは小さくなる。
【0055】
一実施形態では、脈波に基づく指標の一例として、生体情報測定装置1が、脈波伝播速度PWV、反射波の大きさP
R、前進波と反射波との時間差Δt、及びAIを算出する例を示したが、脈波に基づく指標はこれに限ることはない。例えば、生体情報測定装置1は、脈波に基づく指標として、後方収縮期血圧を用いてもよい。
【0056】
図7は、算出されたAIの時間変動を示す図である。一実施形態では、脈波は、角速度センサを備えた生体情報測定装置1を用いて約5秒間取得された。コントローラ10は、取得された脈波から脈拍毎のAIを算出し、さらにこれらの平均値AI
aveを算出した。一実施形態では、生体情報測定装置1は、食事前及び食事後の複数のタイミングで脈波を取得し、取得された脈波に基づく指標の一例としてAIの平均値(以降AIとする)を算出した。
図7の横軸は、食事後の最初の測定時間を0として、時間の経過を示す。
図7の縦軸は、その時間に取得された脈波から算出されたAIを示す。
【0057】
生体情報測定装置1は、食事前、食事直後、及び食事後30分毎に脈波を取得し、それぞれの脈波に基づいて複数のAIを算出した。食事前に取得された脈波から算出されたAIは約0.8であった。食事前に比較して、食事直後のAIは小さくなり、食事後約1時間でAIは最小の極値となった。食事後3時間で測定を終了するまで、AIは徐々に大きくなった。
【0058】
生体情報測定装置1は、算出されたAIの変化から、血液の流動性の変化を推定することができる。例えば血液中の赤血球、白血球、血小板が団子状に固まる、又は粘着力が大きくなると、血液の流動性は低くなる。例えば、血液中の血漿の含水率が小さくなると、血液の流動性は低くなる。これらの血液の流動性の変化は、例えば、後述する糖脂質状態、熱中症、脱水症、低体温等の被検者の健康状態によって変化する。被検者の健康状態が重篤化する前に、被検者は、一実施形態の生体情報測定装置1を用いて、自らの血液の流動性の変化を知ることができる。
図7に示す食事前後のAIの変化から、食事後に血液の流動性が低くなったこと、及び、食事後約1時間で最も血液の流動性は低くなったこと、及び、その後徐々に血液の流動性が高くなったことが推定できる。生体情報測定装置1は、血液の流動性が低い状態と、血液の流動性が高い状態とを報知してもよい。例えば、生体情報測定装置1は、血液の流動性が低い状態と血液の流動性が高い状態との判定を、被検者の実年齢におけるAIの平均値を基準にして行ってもよい。生体情報測定装置1は、算出されたAIが平均値より大きければ血液の流動性が高い状態、算出されたAIが平均値より小さければ血液の流動性が低い状態と判定してもよい。生体情報測定装置1は、例えば、血液の流動性が低い状態と血液の流動性が高い状態との判定を、食事前のAIを基準にして判定してもよい。生体情報測定装置1は、食事後のAIを食事前のAIと比較して血液の流動性が低い状態度合いを推定してもよい。生体情報測定装置1は、例えば、食事前のAIすなわち空腹時のAIを、被検者の血管年齢(血管の硬さ)の指標として用いることができる。生体情報測定装置1は、例えば、被検者の食事前のAIすなわち空腹時のAIを基準として、算出されたAIの変化量を算出すれば、被検者の血管年齢(血管の硬さ)による推定誤差を少なくすることができる。生体情報測定装置1は、血液の流動性の変化をより精度よく推定することができる。
【0059】
図8は、算出されたAIと血糖値の測定結果を示す図である。脈波の取得方法及びAIの算出方法は、
図7に示した実施形態と同じである。
図8の右側の縦軸は血中の血糖値を示し、左側の縦軸は算出されたAIを示す。
図8の実線は、取得された脈波から算出されたAIを示し、点線は測定された血糖値を示す。血糖値は、脈波取得直後に測定された。血糖値は、テルモ社製の血糖測定器「メディセーフフィット」(登録商標)を用いて測定された。食事前の血糖値と比べて、食事直後の血糖値は約20mg/dl上昇している。食事後約1時間で血糖値は最大の極値となった。その後、測定を終了するまで、血糖値は徐々に小さくなり、食事後約3時間でほぼ食事前の血糖値と同じになった。
【0060】
図8に示す通り、食前食後の血糖値は、脈波から算出されたAIと負の相関がある。血糖値が高くなると、血液中の糖により赤血球及び血小板が団子状に固まり、又は粘着力が強くなり、その結果血液の流動性は低くなることがある。血液の流動性が低くなると、脈波伝播速度PWVは小さくなることがある。脈波伝播速度PWVが小さくなると、前進波と反射波との時間差Δtは大きくなることがある。前進波と反射波との時間差Δtが大きくなると、前進波の大きさP
Fに対して反射波の大きさP
Rは小さくなることがある。前進波の大きさP
Fに対して反射波の大きさP
Rが小さくなると、AIは小さくなることがある。食事後数時間内(一実施形態では3時間)のAIは、血糖値と相関があることから、AIの変動により、被検者の血糖値の変動を推定することができる。また、あらかじめ被検者の血糖値を測定し、AIとの相関を取得しておけば、生体情報測定装置1は、算出されたAIから被検者の血糖値を推定することができる。
【0061】
食事後に最初に検出されるAIの最小極値であるAI
Pの発生時間に基づいて、生体情報測定装置1は被検者の糖代謝の状態を推定できる。生体情報測定装置1は、糖代謝の状態として、例えば血糖値を推定する。糖代謝の状態の推定例として、例えば食事後に最初に検出されるAIの最小極値AI
Pが所定時間以上(例えば食後約1.5時間以上)経ってから検出される場合、生体情報測定装置1は、被検者が糖代謝異常(糖尿病患者)であると推定できる。
【0062】
食事前のAIであるAI
Bと、食事後に最初に検出されるAIの最小極値であるAI
Pとの差(AI
B−AI
P)に基づいて、生体情報測定装置1は被検者の糖代謝の状態を推定できる。糖代謝の状態の推定例として、例えば(AI
B−AI
P)が所定数値以上(例えば0.5以上)の場合、被検者は糖代謝異常(食後高血糖患者)であると推定できる。
【0063】
図9は、算出されたAIと血糖値との関係を示す図である。算出されたAIと血糖値とは、血糖値の変動が大きい食事後1時間以内に取得されたものである。
図9のデータは、同一被検者における異なる複数の食事後のデータを含む。
図9に示す通り、算出されたAIと血糖値とは負の相関を示した。算出されたAIと血糖値との相関係数は0.9以上であった。例えば、
図9に示すような算出されたAIと血糖値との相関を、あらかじめ被検者毎に取得しておけば、生体情報測定装置1は、算出されたAIから被検者の血糖値を推定することもできる。
【0064】
図10は、算出されたAIと中性脂肪値の測定結果を示す図である。脈波の取得方法及びAIの算出方法は、
図7に示した実施形態と同じである。
図10の右側の縦軸は血中の中性脂肪値を示し、左側の縦軸はAIを示す。
図10の実線は、取得された脈波から算出されたAIを示し、点線は測定された中性脂肪値を示す。中性脂肪値は、脈波取得直後に測定した。中性脂肪値は、テクノメディカ社製の脂質測定装置「ポケットリピッド」を用いて測定された。食事前の中性脂肪値と比較して、食事後の中性脂肪値の最大極値は約30mg/dl上昇している。食事後約2時間後に中性脂肪は最大の極値となった。その後、測定を終了するまで、中性脂肪値は徐々に小さくなり、食事後約3.5時間でほぼ食事前の中性脂肪値と同じになった。
【0065】
これに対し、算出されたAIの最小極値は、食事後約30分で第1の最小極値AI
P1が検出され、食事後約2時間で第2の最小極値AI
P2が検出された。食事後約30分で検出された第1の最小極値AI
P1は、前述した食後の血糖値の影響によるものであると推定できる。食事後約2時間で検出された第2の最小極値AI
P2は、食事後約2時間で検出された中性脂肪の最大極値とその発生時間がほぼ一致している。このことから、食事から所定時間以降に検出される第2の最小極値AI
P2は中性脂肪の影響によるものであると推定できる。食前食後の中性脂肪値は、血糖値と同じように、脈波から算出されたAIと負の相関があることがわかった。特に食事から所定時間以降(一実施形態では約1.5時間以降)に検出されるAIの最小極値AI
P2は、中性脂肪値と相関があることから、AIの変動により、被検者の中性脂肪値の変動を推定することができる。また、あらかじめ被検者の中性脂肪値を測定し、AIとの相関を取得しておけば、生体情報測定装置1は、算出されたAIから被検者の中性脂肪値を推定することができる。
【0066】
食事後所定時間以降に検出される第2の最小極値AI
P2の発生時間に基づいて、生体情報測定装置1は被検者の脂質代謝の状態を推定できる。生体情報測定装置1は、脂質代謝の状態として、例えば脂質値を推定する。脂質代謝の状態の推定例として、例えば第2の最小極値AI
P2が食事後所定時間以上(例えば4時間以上)経ってから検出される場合、生体情報測定装置1は、被検者が脂質代謝異常(高脂血症患者)であると推定できる。
【0067】
食事前のAIであるAI
Bと、食事後所定時間以降に検出される第2の最小極値AI
P2との差(AI
B−AI
P2)に基づいて、生体情報測定装置1は被検者の脂質代謝の状態を推定できる。脂質代謝異常の推定例として、例えば(AI
B−AI
P2)が0.5以上の場合、生体情報測定装置1は、被検者が脂質代謝異常(食後高脂血症患者)であると推定できる。
【0068】
また、
図8乃至
図10で示した測定結果から、一実施形態の生体情報測定装置1は、食事後に最も早く検出される第1の最小極値AI
P1及びその発生時間に基づいて、被検者の糖代謝の状態を推定することができる。さらに、一実施形態の生体情報測定装置1は、第1の最小極値AI
P1の後で所定時間以降に検出される第2の最小極値AI
P2及びその発生時間に基づいて、被検者の脂質代謝の状態を推定することができる。
【0069】
一実施形態では脂質代謝の推定例として中性脂肪の場合を説明したが、脂質代謝の推定は中性脂肪に限られない。生体情報測定装置1が推定する脂質値は、例えば総コレステロール、HDLコレステロール及びLDLコレステロール等を含む。これらの脂質値は、上述の中性脂肪の場合と同じような傾向を示す。
【0070】
図11は、AIに基づいて血液の流動性並びに糖代謝及び脂質代謝の状態を推定する手順を示すフロー図である。
図11を用いて、一実施形態に係る生体情報測定装置1による血液の流動性、並びに糖代謝及び脂質代謝の状態の推定の流れを説明する。
【0071】
図11に示すように、生体情報測定装置1は、初期設定として、被検者のAI基準値を取得する(ステップS201)。AI基準値は、被検者の年齢から推定される平均的なAIを用いてもよいし、事前に取得された被検者の空腹時のAIを用いてもよい。また、生体情報測定装置1は、ステップS202〜S208において食前と判断されたAIをAI基準値としてもよいし、脈波測定直前に算出されたAIをAI基準値としてもよい。この場合、生体情報測定装置1は、ステップS202〜S208より後にステップS201を実行する。
【0072】
続いて、生体情報測定装置1は、脈波を取得する(ステップS202)。例えば生体情報測定装置1は、所定の測定時間(例えば、5秒間)に取得された脈波が、所定の振幅以上であるか否かを判定する。取得された脈波が所定の振幅以上であれば、生体情報測定装置1は、ステップS203に進む。取得された脈波が所定の振幅以上でなければ、生体情報測定装置1は、ステップS202を繰り返す(これらのステップは図示せず)。ステップS202において、例えば生体情報測定装置1は、所定の振幅以上の脈波を検出すると、自動で脈波を取得する。
【0073】
生体情報測定装置1は、ステップS202で取得された脈波から、脈波に基づく指標としてAIを算出し記憶部20に記憶する(ステップS203)。生体情報測定装置1は、所定の脈拍数(例えば、3拍分)毎のAI
n(n=1〜nの整数)から平均値AI
aveを算出して、これをAIとしてもよい。あるいは、生体情報測定装置1は、特定の脈拍におけるAIを算出してもよい。
【0074】
AIは、例えば脈拍数P
R、脈圧(P
F−P
S)、体温、被検部位の温度等によって補正されてもよい。脈拍とAI及び脈圧とAIは共に負の相関があり、温度とAIとは正の相関があることが知られている。補正を行う際には、例えばステップS203において、生体情報測定装置1はAIに加え脈拍、脈圧を算出する。例えば、生体情報測定装置1は、ジャイロセンサ12とともに温度センサを搭載し、ステップS202における脈波の取得の際に、被検部位の温度を取得してもよい。事前に作成された補正式に、取得された脈拍、脈圧、温度等を代入することにより、生体情報測定装置1はAIを補正する。
【0075】
続いて、生体情報測定装置1は、ステップS201で取得されたAI基準値とステップS203で算出されたAIとを比較して、被検者の血液の流動性を推定する(ステップS204)。算出されたAIがAI基準値より大きい場合(YESの場合)、血液の流動性は高いと推定される。この場合、生体情報測定装置1は例えば血液の流動性が高いことを報知する(ステップS205)。算出されたAIがAI基準値より大きくない場合(NOの場合)、血液の流動性は低いと推定される。この場合、生体情報測定装置1は例えば血液の流動性が低いことを報知する(ステップS206)。
【0076】
続いて、生体情報測定装置1は、糖代謝及び脂質代謝の状態を推定するか否かを被検者に確認する(ステップS207)。ステップS207で糖代謝及び脂質代謝を推定しない場合(NOの場合)、生体情報測定装置1は処理を終了する。ステップS207で糖代謝及び脂質代謝を推定する場合(YESの場合)、生体情報測定装置1は、算出されたAIが食前、食後いずれかに取得されたものかを確認する(ステップS208)。食後ではない(食前)場合(NOの場合)、ステップS202に戻り、次の脈波を取得する。食後の場合(YESの場合)、生体情報測定装置1は、算出されたAIに対応する脈波の取得時間を記憶する(ステップS209)。続いて脈波を取得する場合(ステップS210のNOの場合)、ステップS202に戻り、生体情報測定装置1は次の脈波を取得する。脈波測定を終了する場合(ステップS210のYESの場合)ステップS211以降に進み、生体情報測定装置1は被検者の糖代謝及び脂質代謝の状態の推定を行う。
【0077】
続いて、生体情報測定装置1は、ステップS204で算出された複数のAIから、最小極値とその時間を抽出する(ステップS211)。例えば、
図10の実線で示すようなAIが算出された場合、生体情報測定装置1は、食事後約30分の第1の最小極値AI
P1、及び食事後約2時間の第2の最小極値AI
P2を抽出する。
【0078】
続いて、生体情報測定装置1は、第1の最小極値AI
P1とその時間から、被検者の糖代謝の状態を推定する(ステップS212)。さらに、生体情報測定装置1は、第2の最小極値AI
P2とその時間から、被検者の脂質代謝の状態を推定する(ステップS213)。被検者の糖代謝及び脂質代謝の状態の推定例は、前述の
図10と同一であるので省略する。
【0079】
続いて、生体情報測定装置1は、ステップS212及びステップS213の推定結果を報知し(ステップS214)、
図11に示す処理を終了する。
【0080】
報知は、音声出力部16により行われる。音声出力部16は、例えば「糖代謝は正常です」、「糖代謝異常が疑われます」、「脂質代謝は正常です」、「脂質代謝異常が疑われます」等の音声による報知を行う。また、音声出力部16は「病院で受診しましょう」、「食生活を見直しましょう」等のアドバイスを報知してもよい。そして、生体情報測定装置1は、
図11に示す処理を終了する。なお、音声による報知を行う音声出力部として、本実施形態に係る衣類が備える生体情報測定装置1と有線又は無線による通信を行う外部装置に予め備えつけられているオーディオシステムが用いられてもよい。生体情報測定装置1からの音声信号は、有線による通信の場合、AUXケーブルを介して、オーディオシステムのAUX端子に入力されてもよい。また、FMトランスミッタまたはBluetooth(登録商標)などの任意の無線接続により、生体情報測定装置1からの音声信号がオーディオシステムに送信されてもよい。また、生体情報測定装置1からの音声を出力する専用の音声出力部が外部に設けられてもよい。
【0081】
上述のような音声による報知に代えて、又は当該音声による報知とともに、表示部14への表示により報知が行われてもよい。なお、表示による報知を行う表示部として、本実施形態に係る衣類が備える生体情報測定装置1と有線又は無線による通信を行う外部装置に備えつけられているディスプレイが用いられてもよい。また、生体情報測定装置1からの報知を表示する専用の表示部が外部に設けられてもよい。
【0082】
また、生体情報測定装置1は、ジャイロセンサ12がモーションファクタを検知していることを示す音を音声出力部16に出力させてもよい。これにより、生体情報測定装置1において、ジャイロセンサ12が正しくモーションファクタを検知していることを、被検者が容易かつ確実に知ることができる。
【0083】
以上のように、生体情報測定装置1が測定する生体情報は、被検者である着用者の脈波、脈拍、呼吸、鼓動、脈波伝搬速度、及び血流量の少なくともいずれかに関する情報を含んでよい。
【0084】
また、コントローラ10は、生体情報測定装置1が測定する生体情報に基づいて、被検者である着用者の体調、眠気、眠り、覚醒状態、心理状態、身体状態、感情、心身状態、精神状態、自律神経、ストレス状態、意識状態、血液成分、睡眠状態、呼吸状態、及び血圧の少なくともいずれかに関する情報を推定してもよい。ここで、被検者の「身体状態」とは、例えば、熱中症、疲労度、高山病、糖尿病、メタボリックシンドロームなどの症状の有無、これらの症状の程度、及び、これらの症状の兆候の有無などとすることができる。また、血液成分とは、中性脂肪、血糖値などとすることができる。
【0085】
次に、本実施形態に係る生体情報測定装置1を備える衣類の構成例について説明する。なお、被検者である衣類の着用者の生体情報を測定する場合、ジャイロセンサ12の配置が重要であり、生体情報測定装置1の他の構成については、コントローラ10の制御に従い動作可能であれば、任意の箇所に配置可能である。そのため、以下では、ジャイロセンサ12の配置について、詳細に説明し、生体情報測定装置1の他の構成については記載を省略する。以下、生体情報測定装置1は、少なくともジャイロセンサ12を備えるものとして、図示および説明する。
【0086】
図12は、生体情報測定装置1を備える衣類の構成例を示す図である。
図12において、衣類100は、着用者が着用するトップス(上着又は上衣)である例を示している。
図12において、衣類100は、着用者が袖部分に腕を通して着用するベスト(チョッキ)タイプである例を示している。
【0087】
図12に示すように、トップスとしての衣類100は、着用者の腹部周囲の裏側に、ジャイロセンサ12を備える生体情報測定装置1を配置させている。
図12においては、生体情報測定装置1を破線で示すことにより、衣類100の裏側に生体情報測定装置1が配置されることを示している。
図12に示す状態において、生体情報測定装置1は、被検者である着用者の腹部周辺の被検部位と、衣類100との間に存在する。したがって、被検者である着用者が衣類100を着用した状態においては、生体情報測定装置1の少なくとも一部は、着用者自らの腹部の近傍に当接する。ここで、生体情報測定装置1は、
図3(A)又は図(B)に示したように、当接部40が着用者の被検部位である腹部に当接するように構成される。このような構成により、生体情報測定装置1に備えられるジャイロセンサ12は、衣類100の着用者の腹部の変動を検知することができる。
【0088】
図12においては、衣類100であるベスト(チョッキ)が、着用者の前面(正面)側にボタンを備え、前開きの衣類である例を示している。しかしながら、本実施形態に係る衣類100は、このような前開きの衣類に限定されず、例えば後開き又は横開きとしてもよい。また、本実施形態に係る衣類100は、
図12に示すようなボタンダウンのものに限定されず、例えばファスナーを備えたジップアップのタイプとしてもよい。さらに、本実施形態に係る衣類100は、伸縮性を有する素材で構成することにより、ボタンダウンでもジップアップでもない、プルオーバータイプとしてもよい。
【0089】
また、
図12においては、衣類100はベスト(チョッキ)である例を示したが、本実施形態に係る衣類100は、ベスト(チョッキ)のような衣類に限定されず、各種のアウターウェアとすることができる。例えば、本実施形態に係る衣類100は、Tシャツ、ワイシャツ、及びポロシャツなどを含むシャツ、ブラウス、又はカットソーのような衣類としてもよい。また、本実施形態に係る衣類100は、タンクトップ又はキャミソールなどを含むアンダーウェアとしてもよい。さらに、本実施形態に係る衣類100は、ジャケット、ジャンパー、セーター、カーディガン、又はスウェットのようなタイプの衣類とすることもできる。その他、例えば、本実施形態に係る衣類100は、着用者の身体に密着するウェットスーツのような衣類としてもよい。さらに、本実施形態に係る衣類100は、ライフジャケット又はライフベストのような救命胴衣としてもよい。
【0090】
本実施形態に係る衣類100は、上述したように各種のトップスとすることができる。ここで、本実施形態に係る衣類100は、生体情報測定装置1のジャイロセンサ12を、被検者である着用者の被検部位に当接させる観点からは、着用時に少なくとも着用者の被検部位に密着するように当接する状態が維持される衣類が望ましい。しかしながら、本実施形態に係る衣類100は、着用時に着用者の被検部位にジャイロセンサ12が常には当接しない衣類としてもよい。この場合、衣類100によって生体情報を測定する際には、着用者は、衣類100の外側から生体情報測定装置1を身体に押し付けるようにして、ジャイロセンサ12を被検部位に当接させてもよい。
【0091】
このように、本実施形態に係る衣類100は、少なくともジャイロセンサ12と、好適にはコントローラ10とを備える。ジャイロセンサ12は、衣類100の着用者の被検部位(例えば腹部)の変動を検知する。そして、コントローラ10は、検知された変動に基づいて、被検者である着用者の生体情報の測定処理を行う。具体的には、ジャイロセンサ12は、着用者の腹部の変動に起因するモーションファクタを検知してもよい。また、コントローラ10は、検知されたモーションファクタに基づいて、被検者である着用者の生体情報の測定処理を行ってもよい。本実施形態に係る衣類100によれば、衣類100の着用者の生体情報を手軽に測定することができる。
【0092】
図13は、生体情報測定装置1を備える衣類の他の構成例を示す図である。
図13において、衣類200は、着用者が着用するボトムス(下衣)である例を示している。
図13において、衣類200は、着用者がそれぞれの裾部分に脚を通して着用する長ズボン(パンツ)タイプである例を示している。
【0093】
図13に示すように、ボトムスとしての衣類200は、着用者の腹部周囲を包囲するウエストバンド202部分の裏側に、ジャイロセンサ12を備える生体情報測定装置1を配置させている。
図13においては、生体情報測定装置1を破線で示すことにより、衣類200の裏側に生体情報測定装置1が配置されることを示している。
図13に示す状態において、生体情報測定装置1は、被検者である着用者の腹部周辺の被検部位と、衣類200との間に存在する。したがって、被検者である着用者が衣類200を着用した状態においては、生体情報測定装置1の少なくとも一部は、着用者自らの腹部の近傍に当接する。ここで、生体情報測定装置1は、
図3(A)又は図(B)に示したように、当接部40が着用者の被検部位である腹部に当接するように構成される。このような構成により、生体情報測定装置1に備えられるジャイロセンサ12は、衣類200の着用者の腹部の変動を検知することができる。
【0094】
図13においては、衣類200である長ズボン(パンツ)が、着用者の前面(正面)側にボタン及びファスナーを備え、前開きの衣類である例を示している。しかしながら、本実施形態に係る衣類200は、ウエストバンド202を例えばゴム等の伸縮性を有する素材として、ボタン又はファスナーを備えない構成としてもよい。
【0095】
また、
図13においては、衣類200は長ズボン(パンツ)である例を示したが、本実施形態に係る衣類200は、長ズボン(パンツ)のような衣類に限定されず、各種のボトムスとすることができる。例えば、本実施形態に係る衣類200は、例えばスラックス、ジーンズ、乗馬ズボン、トレーニングパンツ、スウェットパンツ、ハーフパンツ、又はショートパンツのようなボトムスとすることができる。また、本実施形態に係る衣類200は、パンツタイプのボトムスにも限定されず、スカート、スパッツ、トレンカ、又はタイツのようなボトムスとしてもよい。ボトムスで構成される衣類200は、上述したトップスで構成される衣類100と比べ、ウエストバンド202を備えている。このウエストバンド202は、被検者である着用者に比較的タイトに密着させることが多い。したがって、本実施形態に係る衣類200は、比較的多くの機会において、被検者である着用者の生体情報を、比較的正確に測定することができる。
【0096】
このように、本実施形態に係る衣類200は、少なくともジャイロセンサ12と、好適にはコントローラ10とを備える。ジャイロセンサ12は、衣類200の着用者の被検部位(例えば腹部)の変動を検知する。そして、コントローラ10は、検知された変動に基づいて、被検者である着用者の生体情報の測定処理を行う。ここで、本実施形態に係る衣類200は、ボトムスとして構成される場合、被検者である着用者の腰部で支持されるようにしてもよい。また、本実施形態に係る衣類200は、ボトムスとして構成される場合、ジャイロセンサ12をウエストバンド202において備えるようにしてもよい。
【0097】
図14は、生体情報測定装置1を備える衣類の他の構成例を示す図である。
図14においては、衣類300は、着用者が着用するベルトである例を示している。
図14において、衣類300は、着用者がそれぞれの例えばパンツのようなボトムスのベルト穴に通して着用するタイプのベルトである例を示している。
【0098】
図14(A)に示すように、ベルトとしての衣類300は、着用者の腹部周囲を包囲するウエストバンド部分において、バックル302を備えている。また、
図14(B)に示すように、衣類300は、ウエストバンド部分及びバックル302の少なくとも一方の少なくとも一部の裏側に、ジャイロセンサ12を備える生体情報測定装置1を配置させている。
図14(A)においては、生体情報測定装置1を破線で示すことにより、衣類300の裏側に生体情報測定装置1が配置されることを示している。
図14に示す状態において、生体情報測定装置1は、被検者である着用者の腹部周辺の被検部位と、衣類300との間に存在する。したがって、被検者である着用者が衣類300を着用した状態においては、生体情報測定装置1の少なくとも一部は、着用者自らの腹部の近傍に当接する。ここで、生体情報測定装置1は、
図3(A)又は図(B)に示したように、当接部40が着用者の被検部位である腹部に当接するように構成される。このような構成により、生体情報測定装置1に備えられるジャイロセンサ12は、衣類300の着用者の腹部の変動を検知することができる。
【0099】
ベルトで構成される衣類300は、被検者である着用者に比較的タイトに密着させることが多い。したがって、本実施形態に係る衣類300も、比較的多くの機会において、被検者である着用者の生体情報を、比較的正確に測定することができる。また、衣類300は、他の構成例として、例えばサスペンダーなどとしてもよい。
【0100】
このように、本実施形態に係る衣類300は、少なくともジャイロセンサ12と、好適にはコントローラ10とを備える。ジャイロセンサ12は、衣類300の着用者の被検部位(例えば腹部)の変動を検知する。そして、コントローラ10は、検知された変動に基づいて、被検者である着用者の生体情報の測定処理を行う。ここで、本実施形態に係る衣類300は、被検者である着用者に衣服を支持させる、例えばベルトとすることができる。また、本実施形態に係る衣類300は、例えばベルトとして構成される場合、着用者の衣服を、着用者の腰部において支持させるようにしてもよい。この場合、本実施形態に係る衣類300は、ジャイロセンサ12をベルトのバックル302の部分に備えるようにしてもよい。
【0101】
以上説明したように、本実施形態に係る衣類100,200,300において、ジャイロセンサ12を、当該衣類100,200,300の着用者と接触する位置に備えるようにしてよい。例えば、被検者である着用者の被検部位にジャイロセンサ12が接触するように位置付ければ、生体情報測定装置1は、被検者の生体情報を正確に測定することができる。
【0102】
また、本実施形態に係る衣類100,200,300において、ジャイロセンサ12が着脱可能であるように構成してもよい。このような構成によれば、例えば、衣類100,200,300からジャイロセンサ12を取り外して、衣類100,200,300のクリーニングを容易にすることができる。また、このような構成によれば、衣類100,200,300又はジャイロセンサ12の一方が紛失又は故障したような場合であっても、双方をまとめて購入し直す必要はなくなる。
【0103】
また、本実施形態に係る衣類100,200,300において、ジャイロセンサ12の位置が変更可能であるように構成してもよい。このような構成によれば、例えばジャイロセンサ12が被検部位に適切に当接していない場合であっても、両者の位置関係を容易に調整することができる。ジャイロセンサ12と被検部位との位置関係を適切に調整することにより、生体情報測定装置1は、被検者である着用者の生体情報を正確に測定することができる。
【0104】
また、本実施形態に係る衣類100,200,300において、ジャイロセンサ12は、当該衣類100,200,300の内部又は外部に備えるようにしてもよい。本実施形態に係る衣類100,200,300は、極めて多種多様な構成態様が想定され、さらに求められる生体情報の測定精度も種々のものが想定される。したがって、本実施形態においては、これら衣類の構成態様及び/又は求められる生体情報の測定精度に応じて、例えば、これら衣類の内部又は外部の各種の位置に、ジャイロセンサ12を備えるようにできる。
【0105】
図15は、本開示の一実施形態に係る生体情報測定システムの概略構成を示す模式図である。
図15に示した一実施形態の生体情報測定システム400は、衣類410と、外部装置420と、通信ネットワークを含む。
【0106】
生体情報測定システム400においては、衣類410は、上述したトップス100のような衣類の例を示してある。しかしながら、衣類410は、上述したボトムス200又はベルト300のような、着用者が着用する各種の衣類とすることができる。そして、衣類410は、衣類410の着用者の所定部位の変動を検知する。このため、衣類410は、ジャイロセンサ12を備えている。そして、衣類410は、(有線又は無線接続可能な)通信部を備え、検知した着用者の腹部の変動を、外部装置420に送信する。そして、生体情報測定システム400においては、外部装置420は、受信した着用者の腹部の変動に基づいて、生体情報の測定に係る各種の演算を行う。このため、外部装置420は、コントローラ(例えばCPUのようなプロセッサなど)をはじめとする、各種の必要な機能部を備えている。具体的には、例えば、衣類410のジャイロセンサ12は、衣類410の着用者の所定部位(例えば腹部)の変動に起因するモーションファクタを検出してもよい。外部装置420は、受信したモーションファクタに基づいて、生体情報の測定処理を行ってもよい。
【0107】
図15においては、衣類410と外部装置420とは、無線通信により接続されることを想定しているが、生体情報測定システム400は、このような構成に限定されない。例えば、衣類410と外部装置420との間は、所定のケーブルなどで、有線により接続してもよい。
【0108】
このように、生体情報測定システム400は、衣類410及び外部装置420を備えている。衣類410は、ジャイロセンサ12を備えている。ここで、ジャイロセンサ12は、生体情報測定装置1が着用者の所定部位に当接している状態で、着用者の所定部位(例えば腹部)の変動に起因するモーションファクタを検知する。また、外部装置420は、上述のコントローラを備えている。外部装置420は、人工知能機能、機械学習機能、ディープラーニング機能などを備え、衣類410から受信したモーションファクタに基づいて、統計的に得られるアルゴリズムにより生体情報の測定に係る各種の演算を行っても良い。
【0109】
本開示を完全かつ明瞭に開示するためにいくつかの実施例に関し記載してきた。しかし、添付の請求項は、上記実施形態に限定されるべきものでなく、本明細書に示した基礎的事項の範囲内で当該技術分野の当業者が創作しうるすべての変形例及び代替可能な構成を具現化するように構成されるべきである。また、いくつかの実施形態に示した各要件は、自由に組み合わせが可能である。
【0110】
例えば、本開示においては、生体情報測定装置1((コントローラ10および)ジャイロセンサ12)を備える衣類及び生体情報測定システム400について説明した。しかしながら、本開示の実施形態は、ジャイロセンサ12を備える生体情報測定装置1による生体情報測定方法として実施されてもよい。この場合、当該方法においては、衣類100等に備えられたジャイロセンサ12により、衣類100等の着用者の所定部位の変動を検知する。また、当該方法においては、このような状態で検知された前記変動に基づいて、被検者の生体情報の測定処理を行う。具体的には、例えば、当該方法においては、衣類100等に備えられたジャイロセンサ12により、衣類100等の着用者の所定部位(例えば腹部)の変動に起因するモーションファクタを検知してもよい。また、当該方法においては、検出された前記モーションファクタに基づいて、被検者である着用者の生体情報の測定処理を行ってもよい。
【0111】
また、例えば、上記実施形態では、生体情報測定装置1が当接部40と支持部50とを備えるとして説明したが、生体情報測定装置1は、支持部50を備えなくてもよい。この場合、生体情報測定装置1の当接面の一部が被検部位とは異なる位置で被検者に当接することにより、当接部40の被検部位に対する当接状態が支持される。
【0112】
上記実施形態では、当接部40が生体情報測定装置1に固定される場合について説明したが、当接部40は、必ずしも生体情報測定装置1に直接的に固定されていなくてもよい。当接部40は、生体情報測定装置1に固定して用いられる保持具に固定されてもよい。