特許第6789172号(P6789172)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラ株式会社の特許一覧

特許6789172RFIDタグ用基板、RFIDタグおよびRFIDシステム
<>
  • 特許6789172-RFIDタグ用基板、RFIDタグおよびRFIDシステム 図000002
  • 特許6789172-RFIDタグ用基板、RFIDタグおよびRFIDシステム 図000003
  • 特許6789172-RFIDタグ用基板、RFIDタグおよびRFIDシステム 図000004
  • 特許6789172-RFIDタグ用基板、RFIDタグおよびRFIDシステム 図000005
  • 特許6789172-RFIDタグ用基板、RFIDタグおよびRFIDシステム 図000006
  • 特許6789172-RFIDタグ用基板、RFIDタグおよびRFIDシステム 図000007
  • 特許6789172-RFIDタグ用基板、RFIDタグおよびRFIDシステム 図000008
  • 特許6789172-RFIDタグ用基板、RFIDタグおよびRFIDシステム 図000009
  • 特許6789172-RFIDタグ用基板、RFIDタグおよびRFIDシステム 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6789172
(24)【登録日】2020年11月5日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】RFIDタグ用基板、RFIDタグおよびRFIDシステム
(51)【国際特許分類】
   H01Q 13/08 20060101AFI20201116BHJP
   H01Q 1/24 20060101ALI20201116BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20201116BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   H01Q13/08
   H01Q1/24 Z
   G06K19/077 144
   G06K19/077 192
   G06K19/077 280
   G06K19/077 248
   G06K7/10 100
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-85664(P2017-85664)
(22)【出願日】2017年4月24日
(65)【公開番号】特開2018-186349(P2018-186349A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2019年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 周一
(72)【発明者】
【氏名】杉本 好正
【審査官】 福田 正悟
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/013610(WO,A1)
【文献】 特開2016−062496(JP,A)
【文献】 特開2000−101335(JP,A)
【文献】 特開2002−135041(JP,A)
【文献】 特開2009−025931(JP,A)
【文献】 特開2001−028413(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0322643(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2005−0016942(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 13/08
G06K 7/10
G06K 19/077
H01Q 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部が設けられた第1面と、第1面に対向する第2面とを有する誘電体基板と、
前記誘電体基板の第1面に設けられた放射導体と、
前記誘電体基板の第2面に設けられた接地導体と、
前記接地導体と前記放射導体とを電気的に接続する接続導体と、
前記凹部に設けられた半導体素子載置部と、
前記接地導体に電気的に接続し、前記誘電体基板の内部に前記接地導体に対向するように埋設された少なくとも1つの内部接地導体と、
前記誘電体基板に埋設され、前記放射導体に電気的に接続し、少なくとも一部が前記内部接地導体に対向するように配設された複数の容量導体と、
前記容量導体よりも前記誘電体基板の第1面に近い側に埋設され、前記半導体素子載置部に載置される半導体素子と前記容量導体とを電気的に接続するための引出導体と、を備え、
前記容量導体の1つが、前記誘電体基板の第1面に最も近い前記内部接地導体と前記引出導体との間に位置し、平面視において前記引出導体と少なくとも一部が重なっていることを特徴とするRFIDタグ用基板。
【請求項2】
前記引出導体の全体が前記誘電体基板の第1面に最も近い前記容量導体と平面視において重なっていることを特徴とする請求項1に記載のRFIDタグ用基板。
【請求項3】
前記複数の容量導体のうち前記誘電体基板の第2面に最も近い前記容量導体の平面視における外周形状は、前記接地導体の平面視における外周形状と同じであることを特徴とする請求項1または2に記載のRFIDタグ用基板。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載のRFIDタグ用基板と、該RFIDタグ用基板の半導体素子載置部に載置されている半導体素子と、を含むことを特徴とするRFIDタグ。
【請求項5】
請求項4に記載のRFIDタグと、
該RFIDタグとの間で電波を送受するアンテナを備えたリーダライタと、を含むことを特徴とするRFIDシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波によって情報の送受を行なうRFID(Radio Frequency Identification)タグ用基板、RFIDタグおよびRFIDシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種物品の情報を、物品に実装したRFIDタグで検知し、管理することが広く行なわれるようになってきている。この場合のRFIDタグとして、情報の送受をUHF(Ultra High Frequency)帯等の電波で行なうためのアンテナ導体およびIC(Integrated circuit)等の半導体素子を有するものが用いられるようになってきている。
【0003】
RFIDタグのアンテナ導体と、電波の送受信機能を有するリーダライタ等の外部機器との間で情報の送受が行なわれる。送受される信号は、半導体素子で記憶または呼び出し等が行なわれる。この場合に、半導体素子は、アンテナ導体に対する給電部としても機能する。
【0004】
このようなRFIDタグを小型化するためには、アンテナを小さくする必要があるが、たとえば、チップ型の逆F型アンテナを小型化する場合、放射導体と接地導体との間の容量成分が低下しないように、コンデンサ導体(容量導体)を備えることによって、放射導体と接地導体との間の容量成分を確保している(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−62134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のようなチップ型アンテナをRFIDタグに適用し、RFIDタグの平面視における面積を小さくしようとすると、容量導体の面積も小さくなってしまうので、アンテナの共振周波数をRFID用の帯域に適合させることが難しくなるために、小型化が難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの態様のRFIDタグ用基板は、凹部が設けられた第1面と、第1面に対向する第2面とを有する誘電体基板と、前記誘電体基板の第1面に設けられた放射導体と、前記誘電体基板の第2面に設けられた接地導体と、前記接地導体と前記放射導体とを電気的に接続する接続導体と、前記凹部に設けられた半導体素子載置部と、前記接地導体に電気的に接続し、前記誘電体基板の内部に前記接地導体に対向するように埋設された少なくとも1つの内部接地導体と、前記誘電体基板に埋設され、前記放射導体に電気的に接続し、少なくとも一部が前記内部接地導体に対向するように配設された複数の容量導体と、前記容量導体よりも前記誘電体基板の第1面に近い側に埋設され、前記半導体素子載置部に載置される半導体素子と前記容量導体とを電気的に接続するための引出導体と、を備え、前記容量導体の1つが、前記誘電体基板の第1面に最も近い前記内部接地導体と前記引出導体との間に位置し、平面視において前記引出導体と少なくとも一部が重なっていることを特徴とする。
【0008】
本発明の一つの態様のRFIDタグは、上記RFIDタグ用基板と、該RFIDタグ用基板の半導体素子載置部に載置されている半導体素子と、を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明の1つの態様のRFIDシステムは、上記RFIDタグと、該RFIDタグとの間で電波を送受するアンテナを備えたリーダライタと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一つの態様のRFIDタグ用基板によれば、RFIDタグ用基板を小型化することができる。
【0011】
本発明の一つの態様のRFIDタグによれば、RFIDタグを小型化することができる。
【0012】
本発明の一つの態様のRFIDシステムによれば、上記のRFIDシステムを含むことから、小型のRFIDタグを用いたRFIDシステムを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態のRFIDタグの一例を示す断面図である。
図2】第1実施形態のRFIDタグ用基板の一例を示す分解斜視図である。
図3】本実施形態のRFIDシステムの一例を示す模式図である。
図4】第2実施形態のRFIDタグの一例を示す断面図である。
図5】第2実施形態のRFIDタグ用基板の一例を示す分解斜視図である。
図6】第3実施形態のRFIDタグの一例を示す断面図である。
図7】第3実施形態のRFIDタグ用基板の一例を示す分解斜視図である。
図8】第4実施形態のRFIDタグの一例を示す断面図である。
図9】第4実施形態のRFIDタグ用基板の一例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施形態のRFIDタグ用基板、RFIDタグおよびRFIDシステムについて図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明における上下の区別は説明上の便宜的なものであり、実際にRFIDタグおよびRFIDシステムが使用されるときの上下を限定するものではない。図1は、第1実施形態のRFIDタグの一例を示す断面図である。また、図2は、第1実施形態のRFIDタグにおけるRFIDタグ用基板の一例を示す分解斜視図である。
【0015】
第1実施形態のRFIDタグ用基板1は、たとえば、正方形状等の平板状であって、第1面10aと第1面10aに対向する第2面10bとを有する誘電体基板10と、誘電体基板に配設された導体部分とを含むものであり、RFIDタグ用基板1と、RFIDタグ用基板1の導体部分に接続された半導体素子等によってRFIDタグ2が構成されている。
【0016】
誘電体基板10は、たとえば、第1面10aに向かって平面視した誘電体基板10の形状は、一辺2〜10mm程度の長方形状であり、厚さは、1〜2mm程度である。本実施例においては、誘電体基板10は、誘電体層11〜15を積層した構成となっている。誘電体基板10は、たとえば、酸化アルミニウム質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体またはガラスセラミック焼結体等のセラミック焼結体によって形成することができる。
【0017】
誘電体基板10は、たとえば、酸化アルミニウム質焼結体からなる場合であれば、次のようにして作製することができる。まず酸化アルミニウムおよび酸化ケイ素等の原料粉末を適当な有機バインダおよび有機溶剤とともにシート状に成形して四角シート状の複数のセラミックグリーンシートを作製する。次に、これらのセラミックグリーンシートを積層して積層体を作製する。その後、この積層体を1300〜1600℃の温度で焼成することによって誘電体基板10を作製することができる。
【0018】
このときに、一部のセラミックグリーンシートの中央部等を厚み方向に打ち抜いて枠状に加工しておき、枠状のセラミックグリーンシートを最上層において積層して焼成すれば、凹部10cを有する誘電体基板10を製作することができる。本実施形態においては、誘電体基板10は、それぞれのセラミックグリーンシートが焼結してなる複数の誘電体層11〜15が順に積層された積層体になっている。なお、この焼結工程で誘電体基板10に配設される導体部分も形成される。誘電体基板10は、セラミックの他、樹脂などの誘電体によって構成することも可能である。
【0019】
誘電体基板10の上面である第1面10aには、凹部10cが設けられている。凹部10cは第1面10aのほぼ中央に設けられている。凹部10cは、一辺が1〜3mmの正方形状の穴であり、誘電体層11を貫通して構成されている。凹部10cの底面10dは誘電体層12の上面で構成されている。第1面10aに設けられた放射導体20は、凹部10cを取り囲むように環状に配設されている。
【0020】
誘電体基板10の下面である第2面10bには、接地導体21が配置されている。接地導体21は、第2面10bのほぼ全面に設けられている。また、接地導体21は、RFIDタグ2を導体の対象物に取付けた場合に導体と直接、または両面テープ等の非導電性接合材あるいは導電性接着剤などを介して接続する部分である。
【0021】
放射導体20と接地導体21とは接続導体22で電気的に接続されている。接続導体22は、たとえば、図2の点線で示されるように、誘電体層11〜15を貫く貫通導体とすることができる(各分解斜視図において、貫通導体は破線で表現されており、接地導体等の導体との接続箇所は黒丸で表現されている。)。また、接続導体22を、誘電体基板10の側面に設けて、放射導体20と接地導体21とを電気的に接続してもよい。
【0022】
凹部10cの底面10dの中央部にICチップなどの半導体素子40を配設するための半導体素子載置部10eが設けられている。半導体素子40は、半導体素子載置部10eにたとえば、金−シリコンろう材等の低融点ろう材、ガラス複合材料または樹脂接着剤等の接合材を介した接合法で固定され、半導体素子40は、誘電体層12上面の中央部の半導体素子載置部10eに載置されている。また、誘電体層12上面には配線パターンとして短絡導体24と引出導体25とが設けられている。短絡導体24は、凹部10cの底面10dから、凹部10cの外側に延びるように誘電体基板10内に埋設されており、誘電体層11を貫通する短絡部貫通導体23を介して放射導体20に電気的に接続している。短絡部貫通導体23は、凹部10cと、接続導体22との間に配設されている。引出導体25は、半導体素子40を挟んで短絡導体24の反対側にあり、誘電体層12の上面を短絡導体24とは反対方向に、凹部10cの底面10dから、凹部10cの外側に延びるように誘電体基板10内に埋設されている。
【0023】
半導体素子40は、上面に電極41、42が設けられており、電極41は、ワイヤ43を介して凹部10c内の短絡導体24に電気的に接続され、電極42は、ワイヤ44を介して凹部10c内の引出導体25に電気的に接続している。本実施形態においては、ワイヤ43,44で結線したが、短絡導体24および引出導体25上に電極パッドを設けて半導体素子載置部を構成し、半導体素子の電極を電極パッド上に載置およびはんだ等で固定してフリップチップ実装としてもよい。
【0024】
半導体素子40は、凹部10cに封止樹脂45を充填することによって封止されている。封止樹脂45に用いられる樹脂材料としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂およびシリコーン樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂材料にシリカ粒子またはガラス粒子等のフィラー粒子が添加されていてもよい。フィラー粒子を添加することによって封止樹脂45の機械的な強度、耐湿性または電気特性等の各種の特性を調整することができる。封止樹脂45は、このような各種の樹脂材料から、RFIDタグ2の生産時の作業性(生産性)および経済性等の条件に応じて適宜選択して用いることができる。
【0025】
凹部10cを挟んで接続導体22の反対側に容量部接続導体26が配設されている。容量部接続導体26は、たとえば、誘電体層11〜14を貫通する貫通導体として構成することができる。
【0026】
誘電体層13の上面には、容量導体28が配設されている。容量導体28は、誘電体基板10の第1面10aに最も近い容量導体であり、容量部接続導体26と接続している。容量導体28は、誘電体層12を貫通する引出部貫通導体27によって引出導体25と電気的に接続している。誘電体層15の上面には、容量導体29が配設されている、容量導体29は、第2面10bに最も近い容量導体であり、容量部接続導体26と接続している。容量部接続導体26は、容量導体28,29と放射導体20とを電気的に接続している。
【0027】
誘電体層14の上面には、接地導体21に対向するように内部接地導体30が配設され、誘電体基板10内に埋設されている。内部接地導体30は、誘電体層14,15を貫通する内部接地貫通導体31によって接地導体21と電気的に接続している。容量導体28,29の間に内部接地導体30が位置している。内部接地導体30は、最も第1面10aに近い内部接地導体であり、また、引出導体25に最も近い内部接地導体である。容量導体28は、内部接地導体30と引出導体25との間に位置し、平面視において、引出導体25と少なくとも一部が重なっている。
【0028】
また、平面視において、容量導体28,29と内部接地導体30とは少なくとも一部が重なっており、接地導体21とともに容量部(コンデンサ)を構成している。容量導体28,29と内部接地導体30および接地導体21との重なり具合および、誘電体層13,14,15の厚さによって定まる容量導体28,29と内部接地導体30および接地導体21との距離によって、容量導体28,29と内部接地導体30および接地導体21とで構成される容量部の容量が定まる。また、複数の容量導体と内部接地導体とを交互に積層する数を増やして容量部の容量を増やすこともできる。この場合においても、接地導体21に最も近接して配置されるのは容量導体29であり、また引出導体25に最も近接して配置されるのは容量導体28である。すなわち、内部接地導体の数がnの場合には、容量導体の数はn+1である。このような容量導体、内部接地導体および接地導体で構成される容量部の態様は、RFIDタグ用基板1の大きさおよびRFIDシステムで使用する電波の周波数などを考慮して適宜定めることができる。
【0029】
上記実施形態において、容量導体28と内部接地導体30との重なりと容量導体29と内部接地導体30との重なりは同じであっても異なっていてもよい。また、短絡導体24は、短絡部貫通導体23を介して放射導体20に接続したが、接続導体22または接地導体21に接続してもよい。また、引出導体25は、引出部貫通導体27を介して容量導体28に電気的に接続したが、引出導体25を容量部接続導体26まで延ばして接続し、容量部接続導体26を介して容量導体28に電気的に接続してもよい。すなわち、半導体素子40のインピーダンスに応じて、IC端子が電気的に接続する位置を適宜定めることができる。
【0030】
上述の放射導体20、接地導体21、接続導体22、短絡部貫通導体23、短絡導体24、引出導体25、容量部接続導体26、引出部貫通導体27、容量導体28,29、内部接地導体30および内部接地貫通導体31といった導体部分は、例えば、タングステン、モリブデン、マンガン、銅、銀、パラジウム、金、白金、ニッケルまたはコバルト等の金属材料によって形成されている。また、これらの導体部分は上記の金属材料を含む合金材料等によって形成されているものでもよい。このような金属材料等は、メタライズ層等の金属層として誘電体基板10の表面および内部に設けられている。
【0031】
上記の導体部分は、たとえば、タングステンのメタライズ層である場合には、タングステンの粉末を有機溶剤および有機バインダと混合して作製した金属ペーストを誘電体基板10となるセラミックグリーンシートの所定位置にスクリーン印刷法等の方法で印刷した後に、これらを同時焼成する方法で形成することができる。
【0032】
第1実施形態における、接続導体22および短絡部貫通導体23などの誘電体基板10を厚み方向に貫通している貫通導体は、あらかじめセラミックグリーンシートに貫通孔を設けておき、この貫通孔内に上記と同様の金属ペーストを充填して焼成することで形成することができる。貫通孔は、機械的な孔あけ加工またはレーザ加工等の方法でセラミックグリーンシートに設けることができる。
【0033】
また、誘電体基板10に配設されるこのような導体部分がメタライズ層で形成されるときに、そのメタライズ層の露出表面をニッケルおよび金等のめっき層で被覆して、酸化腐食の抑制およびボンディングワイヤのボンディング性の向上等を行うようにしてもよい。
【0034】
上記構成のRFIDタグ2は、誘電体基板10に上記構成の導体部分を有することから、放射導体20を逆Fアンテナとして機能させることができる。また、複数の容量導体28,29と内部接地導体30とを備えることによって、RFIDタグ用基板1を小型化しても動作させるのに必要な容量部の容量を確保することができるので、RFIDタグ用基板1およびRFIDタグ2の小型化を実現することができる。また、RFIDタグ2を金属などの導電性のある物品に取付けることで、物品の金属部がRFIDタグ2の逆Fアンテナの接地導体として作用し、利得が向上して通信範囲が広がる。また、半導体素子40が誘電体基板10の凹部10cに収納されていることから、小型化を実現することができる。
【0035】
また、RFIDタグと導電性物質との距離によって、接地導体の導体面内の電位分布が変化する。そのため、接地導体から電気的に一番遠い引き出し導体と接地導体に接続されている内部接地導体との間の容量結合の変化が大きくなり、周波数のばらつきが生じやすくなり、RFIDタグの動作が不安定になるおそれがある
【0036】
しかしながら、引出導体25に最も近い接地導体であって、誘電体基板10の第1面10aに最も近い内部接地導体30と引出導体25との間に容量導体28が配設されて、平面視において、引出導体25の少なくとも一部が容量導体28と重なっているので、内部接地導体30と引出導体25との間の容量結合を軽減することができる。このことによってRFIDタグ2を導電性物質に取付けて使用する場合において、導電性物質とRFIDタグ2との距離のばらつきに起因する共振周波数のばらつきを抑制することができるので、リーダライタとの通信した場合にRFIDタグ2を安定して動作させることができる。
【0037】
図3は、第1実施形態に示されるRFIDタグを含むRFIDシステムの一例を示す模式図である。上記構成のRFIDタグ2を含んで、図3に示すような実施形態のRFIDシステム3が構成されている。本実施形態のRFIDシステム3は、上記構成のRFIDタグ2と、RFIDタグ2の放射導体20との間で電波を送受するアンテナ51を有するリーダライタ50とを有している。リーダライタ50は、たとえば、電気絶縁材料からなる基体52に矩形状などの形状のアンテナ51が設けられて形成されている。
【0038】
たとえば、RFIDタグ2は、各種の物品60に実装されて用いられ、物品60に関する各種の情報が半導体素子40に書きこまれている。この情報は、RFIDタグ2を含むRFIDシステム3においてリーダライタ50とRFIDタグ2との間で送受される情報に応じて、随時書き換えが可能になっている。これによって、物品60に関する各種の情報が随時更新される。物品60は、金属などの導電性のものであって、接地導体21が物品60に接触または近接して取り付けられることによって、物品60の金属部がRFIDタグ2のアンテナの接地導体として作用し、アンテナの利得が向上するのでRFIDタグ2とリーダライタ50との通信性能が向上する。
【0039】
リーダライタ50を使用する場合は、RFIDタグ2と、リーダライタ50とを近づける。たとえば、リーダライタ50のアンテナ51から放射された電波高周波信号(例えば、UHF周波数帯)がRFIDタグ2の放射導体20で受信され、受信信号として上記導体部分を介して半導体素子40に伝送される。そして、この受信信号のエネルギーを駆動源として半導体素子40に記憶されている情報を放射導体20からリーダライタ50に送信して通信が行われる。
【0040】
図4は、第2実施形態のRFIDタグの一例を示す断面図である。また、図5は、第2実施形態のRFIDタグ用基板の一例を示す分解斜視図である。第2実施形態のRFIDタグ用基板およびRFIDタグは、第1実施形態のRFIDタグ用基板およびRFIDタグと比べて容量導体の形状が異なっている。図4図5において、図1と同様の部位には同様の符号を付している。誘電体層13の上面には容量導体28aが配置されている。容量導体28aは、誘電体基板10の第1面10aに最も近い容量導体であり、容量部接続導体26と接続している。容量導体28aは、誘電体層12を貫通する引出部貫通導体27によって引出導体25と電気的に接続している。誘電体層15の上面には、容量導体29aが配設されている、容量導体29aは、第2面10bに最も近い容量導体であり、容量部接続導体26と接続している。
【0041】
容量導体28a,29aと内部接地導体30および接地導体21とは重なり部分があり、容量部を構成している。容量導体28aは、引出導体25と、内部接地導体30の間にあって、引出導体25の下方全体を容量導体28aが覆うように配設されており、平面視において、引出導体25の全体が容量導体28aと重なっている。
【0042】
このように、引出導体25に最も近い接地導体であって、誘電体基板10の第1面10aに最も近い内部接地導体30と引出導体25との間に容量導体28aが配設され、引出導体25の全体が誘電体基板10の第1面10aに最も近い容量導体28aと平面視において重なっているので、内部接地導体30と引出導体25との間の容量結合をさらに軽減することができる。このことによってRFIDタグ2を導電性物質に取付けて使用する場合において、導電性物質とRFIDタグ2との距離のばらつきに起因する共振周波数のばらつきを抑制することができるので、リーダライタとの通信した場合にRFIDタグ2を安定して動作させることができる。
【0043】
図6は、第3実施形態のRFIDタグの一例を示す断面図である。また、図7は、第3実施形態のRFIDタグ用基板の一例を示す分解斜視図である。第3実施形態のRFIDタグ用基板およびRFIDタグは、第1実施形態のRFIDタグ用基板およびRFIDタグと比べて容量導体および内部接地導体の形状が異なっている。図6図7において、図1図2と同様の部位には同様の符号を付している。誘電体層13の上面には容量導体28bが配置されている。容量導体28bは、誘電体基板10の第1面10aに最も近い容量導体であり、容量部接続導体26と接続している。容量導体28bは、誘電体層12を貫通する引出部貫通導体27によって引出導体25と電気的に接続している。誘電体層15の上面には、容量導体29bが配設されている、容量導体29bは、第2面10bに最も近い容量導体であり、容量部接続導体26と接続している。
【0044】
誘電体層14の上面には、矩形の内部接地導体30bが配置されている。内部接地導体30bは、接続導体22と接続している。内部接地導体30bを接続導体22と接続するように延設することによって、貫通導体の数を減らすことができる。また、容量導体28b,29bの間に内部接地導体30bが配設されている。平面視において、容量導体28b,29bと内部接地導体30bとは重なり部分があり、接地導体21とともに容量部を構成している。容量導体28bは、引出導体25と、内部接地導体30の間にあって、引出導体25の下方全体を容量導体28bが覆うように配設されており、平面視において、引出導体25全体が容量導体28bと重なっている。
【0045】
このように、引出導体25に最も近い接地導体である、誘電体基板10の第1面10aに最も近い内部接地導体30bと引出導体25との間に容量導体28bが配設され、引出導体25の全体が誘電体基板10の第1面10aに最も近い容量導体28bと平面視において重なっているので、内部接地導体30bと引出導体25との間の容量結合をさらに軽減することができる。このことによってRFIDタグ2を導電性物質に取付けて使用する場合において、導電性物質とRFIDタグ2との距離のばらつきに起因する共振周波数のばらつきを抑制することができるので、リーダライタとの通信した場合にRFIDタグ2を安定して動作させることができる。
【0046】
図8は、第4実施形態のRFIDタグの一例を示す断面図である。また、図9は、第4実施形態のRFIDタグ用基板の一例を示す分解斜視図である。第4実施形態のRFIDタグは、第1実施形態のRFIDタグ2と比べて容量導体および内部接地導体の形状が異なっている。図8図9において、図1図2と同様の部位には同様の符号を付している。誘電体層13の上面には容量導体28cが配置されている。容量導体28cは、誘電体基板10の第1面10aに最も近い容量導体であり、容量部接続導体26と接続している。容量導体28cは、誘電体層12を貫通する引出部貫通導体27によって引出導体25と電気的に接続している。誘電体層15の上面には、容量導体29cが配設されている、容量導体29cは、第2面10bに最も近い容量導体であり、容量部接続導体26と接続している。
【0047】
誘電体層14の上面には、矩形の内部接地導体30cが配置されている。内部接地導体30cは、接続導体22によって接地導体21と電気的に接続している。容量導体28c,29cの間に内部接地導体30cが配設されている。平面視において、容量導体28c,29cと内部接地導体30cおよび接地導体21とは重なり部分があり、容量部を構成している。容量導体28cは、引出導体25と、内部接地導体30cの間にあって、引出導体25の下方全体を容量導体28cが覆うように配設されており、平面視において、引出導体25全体が容量導体28cと重なっている。
【0048】
平面視において、容量導体28c,29cは、外周形状が接地導体21と同じである。たとえば、第1面10a側からの平面視において、容量導体28c,29cと接地導体21との外周形状は重なっており、同じ大きさのほぼ正方形状である。容量導体28c、29cが、接地導体21とほぼ同じ外周形状である場合において、接続導体22と交差する部分があるが、容量導体28c,29cに孔32,33をそれぞれ設け、孔32、33内を接続導体22が容量導体28c,29cから離間して貫通している。容量導体が平面視おいて接地導体のほぼ全面を実質的に覆うような形状であれば、容量導体と接地導体との外周形状が同じであるということができる。
【0049】
平面視において容量導体28c,29cの外周形状が接地導体21と同じであることによって、接地導体21の導体面内の電位分布の変化を小さくできるため、容量導体28c,29cと接地導体間の容量値の変化が小さくなり、共振周波数のばらつきを抑制することができる。なお、全ての容量導体が接地導体と同じ外周形状である必要はなく、少なくとも前記誘電体基板の第2面に最も近い容量導体が接地導体と同じ外周形状であればよい。たとえば、容量導体29cだけが接地導体21と外周形状が同じであるような構成であってもよい。
【0050】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更、改良等が可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 RFIDタグ用基板
2 RFIDタグ
3 RFIDシステム
10 誘電体基板
10a 第1面
10b 第2面
10c 凹部
10d 底面
10e 半導体素子載置部
11,12,13,14,15 誘電体層
20 放射導体
21 接地導体
22 接続導体
23 短絡部貫通導体
24 短絡導体
25 引出導体
26 容量部接続導体
27 引出部貫通導体
28,28a,28b,28c,29,29a,29b,29c 容量導体
30,30b,30c 内部接地導体
31 内部接地貫通導体
32,33 孔
40 半導体素子
41,42 電極
43,44 ワイヤ
45 封止樹脂
50 リーダライタ
51 アンテナ
52 基体
60 物品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9