【実施例】
【0020】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0021】
本実施例は、開口部を有する箱形ケース体1と、この箱形ケース体1の開口部を開閉自在に閉塞する蓋体2とから成り、箱形ケース体1は、その上面部と前面部とに開口部としての上面開口部3と前面開口部4とが連設状態に設けられ、蓋体2は、上面開口部3を閉塞する上蓋部5と、この上蓋部5に連設状態に設けられ前面開口部4を閉塞する前蓋部6とを有する収納ケースであって、前蓋部6は、前面開口部4の閉塞位置から水平状態となる開放位置まで上蓋部5に対して起伏回動自在に設けられると共に、この水平状態の前蓋部6は、その一部若しくは全部が上蓋部5の内面部に重合状態となるまで前記上蓋部5に対して水平移動自在に設けられており、上蓋部5は、箱形ケース体1に対して起伏回動自在若しくは水平スライド移動自在に設けられて、前蓋部6を内面部に重合状態にて上面開口部3を開閉し得るように構成された収納ケースである。
【0022】
以下、本実施例に係る構成各部について詳細な説明をする。
【0023】
箱形ケース体1は、
図1〜4,10に図示したように適宜な合成樹脂製の部材で一体成形したものであり、板状の底面部1aと、この底面部1aの前端に前傾状態で立ち上がる板状の前面部1bと、底面部1aの左右側端に垂直状態で立ち上がる板状の左右側面部1cと、底面部1aの後端に垂直状態で立ち上がる板状の後面部1dとで構成され、前面部1bは前方へ傾斜し左右側面部1c及び後面部1dの高さよりも低い高さに設定され、箱形ケース体1は、その上面部と前面部とに開口部としての上面開口部3と前面開口部4とが連設状態に設けられている。
【0024】
また、箱形ケース体1における上面開口部3の開口縁部には、後述する上蓋部5の周端縁部(被嵌凹部5a)が被嵌される上面鍔状部3aが設けられ、また、箱形ケース体1における前面開口部4の開口縁部には、前面鍔状部4aに連設され後述する前蓋部6の周端縁部を嵌合配設する段状凹部4a’を有する前面鍔状部4aが設けられ、また、ている。
【0025】
また、箱形ケース体1の左右側面部1cの上端部(上面鍔状部3a)には、凹状の指掛け部14が設けられており、この左右の指掛け部14に指を掛けて箱形ケース体1を持ち運ぶことができる。
【0026】
本実施例では、この指掛け部14を設けた部位に帯体挿通孔14aが設けられており、この左右の帯体挿通孔14aに帯体(ベルト部材)を挿通装着してこの帯体を肩に掛けるなどして箱形ケース体1を運ぶこともできる。
【0027】
蓋体2は、上面開口部3を閉塞する上蓋部5と、この上蓋部5に連設状態に設けられ前面開口部4を閉塞する前蓋部6とを有する。
【0028】
上蓋部5は、
図1〜4に図示したように適宜な合成樹脂製の部材を一体成形した方形板状体であり、周端縁部には箱形ケース体1の上端部(上面鍔状部3a)に被嵌する被嵌凹部5aが設けられている。
【0029】
また、上蓋部5は、箱形ケース体1の上端部(後面部1dの上面鍔状部3a)にヒンジ部7を介して起伏回動自在に設けられている。尚、左右側面部1cの上面鍔状部3aに起伏回動自在に設けても良い。
【0030】
従って、上蓋部5を開放することで、前面開口部4及び上面開口部3が開口された大きな開口状態(全開口状態)が得られる。
【0031】
前蓋部6は、
図1〜4に図示したように適宜な合成樹脂製の部材を一体成形した方形板状体であり、この前蓋部6の内面部には周縁から内側の位置に該周縁を縁取るように補強用突板部6aが突出状態に設けられている。
【0032】
本実施例では、水平状態の前蓋部6の左右端部は上蓋部5の内面側左右端部に摺動支持可能に設けられて、水平状態の前蓋部6を上蓋部5に対して水平移動自在とする水平移動構造を具備するとともに、水平状態の前蓋部6が水平移動構造における摺動前方部位に位置する際に該前蓋部6の左右端部が上蓋部5の内面側左右端部に起伏回動可能に設けられて、水平状態の前蓋部6を前面開口部4の閉塞位置まで上蓋部5に対して起伏回動自在とする起伏回動構造を具備している。
【0033】
具体的には、前蓋部6の左右端部に外方へ向けて突出する軸部8が設けられ、この軸部8を摺動支持可能な摺動部10が上蓋部5の内面側左右端部の前後長さ方向に設けられて、摺動部10に対して軸部8が摺動することで、水平状態の前蓋部6は、上蓋部5に対して水平移動自在に設けられて水平移動構造は構成され、軸部8を軸受けする軸受部9が摺動部10の前方部位に設けられて、この軸受部9に対して軸部8が回動することで、前蓋部6は前面開口部4の閉塞位置から水平状態となる開放位置まで上蓋部5に対して起伏回動自在に設けられて起伏回動構造は構成されている。
【0034】
前蓋部6に設けられる軸部8は、
図5,6,7に図示したように前蓋部6の左右端部にして該前蓋部6で前面開口部4を閉塞した際の上方側となる端部位置に突設されている。
【0035】
上蓋部5に設けられる摺動部10は、上蓋部5の内面側左右端部の前後長さ方向に設けられる垂設板部5bの下端部が内方へ向けて屈曲する断面L字状に設けて構成されており、この左右の摺動部10で水平状態の前蓋部6の左右端部を摺動支持可能に構成されている。
【0036】
また、上蓋部5に設けられる軸受部9は、
図5,6,7に図示したように摺動部10の前方部位をカール形状に折り返し湾曲形成して構成され、この軸受部9を構成する折り返し湾曲形成部10aの上面部を前蓋部6の水平移動に際して該前蓋部6の左右端部を支持部する支持部11として構成している。尚、本実施例では、支持部11を軸受部9で構成しているが、この軸受部9の近傍部位に別途設けても良い。
【0037】
また、前蓋部6の左右端部には、前蓋部6の水平移動に際して支持部11に載置状態で支持される鍔状部12が外方へ向けて突出状態に設けられている。
【0038】
従って、水平状態の前蓋部6は、水平移動に際して、前蓋部6に設けられた軸部8が上蓋部5に設けられた摺動部10に支持され、前蓋部6に設けられた鍔状部12が上蓋部5に設けられた支持部11に支持される。また、支持部11で支持される部位を前蓋部6の左右端部に鍔状部12を設けるだけで良いから、例えば、前蓋部6の左右端部を高い成形精度が要求される厚みのある断面コ字状の端部とした場合に比し、多少の寸法誤差があっても確実に機能することになり、よって、生産性が飛躍的に向上することになる。
【0039】
また、本実施例では、前蓋部6の閉塞状態を保持するロック機構13を具備する。
【0040】
このロック機構13は、
図4,8,9に図示したように箱形ケース体1の前面鍔状部4aに設けられ操作部13a’の操作により作動する左右の係止部材13と、前蓋部6の周端縁部に設けられ、係止部材13aが係脱自在に係合する凹状の係合部13bとで構成されている。
【0041】
図14は、上蓋部5が箱形ケース体1に対して前後方向に水平スライド移動自在に設けられて、前蓋部6を内面部に重合状態にて上面開口部3を開閉し得るように構成された場合である。尚、この上蓋部5を箱形ケース体1の左右方向に水平スライド移動するようにしても良い。
【0042】
本実施例は上述のように構成したから、箱型ケース体1の前面開口部4を閉塞した状態の前蓋部6を持ち、この前蓋部6を前面開口部4の閉塞位置から水平状態となる開放位置まで上蓋部5に対して起き回動(開放回動)させる。この際、前面開口部4は開放された状態となる(
図10,11参照)。
【0043】
この水平状態とした前蓋部6を水平移動させることで、前蓋部6はその一部若しくは全部が上蓋部の内面部に重合状態となる(
図12参照)。
【0044】
また、この前蓋部6が内面部に重合状態となった上蓋部5を箱形ケース体1に対して起き回動若しくは水平スライド移動することで、箱形ケース体1の上面開口部3も開放された状態となる(
図13参照)。
【0045】
よって、本実施例によれば、使用者の使い勝手に応じて、箱形ケース体1の開口部の開口面積を選択することができ、例えば、箱形ケース体1内の前方部位に対して被収納物を出し入れする場合には、前蓋部6を開放させて前面開口部4を開口させるだけでよく、また、箱形ケース体1内の全体に対して被収納物を出し入れする場合には、前蓋部6及び上蓋部5を開放させて前面開口部4及び上面開口部3を開口することで大きな開口状態(全開口状態)が得られるなど、非常に使い勝手が良いことになる。
【0046】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。