(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6789306
(24)【登録日】2020年11月5日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】タイヤ加熱プレス
(51)【国際特許分類】
B29C 33/04 20060101AFI20201116BHJP
B29C 35/04 20060101ALI20201116BHJP
B29K 21/00 20060101ALN20201116BHJP
B29K 105/24 20060101ALN20201116BHJP
B29L 30/00 20060101ALN20201116BHJP
【FI】
B29C33/04
B29C35/04
B29K21:00
B29K105:24
B29L30:00
【請求項の数】10
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2018-544560(P2018-544560)
(86)(22)【出願日】2017年1月27日
(65)【公表番号】特表2019-507036(P2019-507036A)
(43)【公表日】2019年3月14日
(86)【国際出願番号】DE2017000015
(87)【国際公開番号】WO2017148459
(87)【国際公開日】20170908
【審査請求日】2019年5月22日
(31)【優先権主張番号】102016002532.8
(32)【優先日】2016年2月29日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513044038
【氏名又は名称】ハールブルク・フロイデンベルガー マシーネンバウ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(74)【代理人】
【識別番号】100091867
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(72)【発明者】
【氏名】ツィンマーマン アルネ
【審査官】
一宮 里枝
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−098873(JP,A)
【文献】
特開2008−188900(JP,A)
【文献】
特開2013−056488(JP,A)
【文献】
特開2007−190850(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第0143089(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00−35/18
B29D 30/00−30/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤブランクの加硫のための装置であって、
タイヤブランクを受け入れるための少なくとも1つの加熱可能な型を有し、
少なくとも1つの弁を備える、熱媒体のための少なくとも1つの制御可能な供給装置を有する装置において、
前記弁は、液体流体によって作動されることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記弁は、弁位置の正確な事前決定を達成するためのピストン−シリンダアセンブリを有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記液体流体を送るために、及び圧力上昇のために、ポンプ(32)が使用されることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記ポンプ(32)は、タンク(31)に連結されていることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記弁(23、24)の少なくとも1つは、制御弁(27、28)に連結されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記弁(23、24)の少なくとも1つは、単安定設計であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記弁(23、24)の少なくとも1つは、通常位置を規定するためのバネを有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
入口弁(23)は、通常の状態で閉じていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
出口弁(24)は、通常の状態で開いていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
液体流体によって制御される少なくとも1つの圧力制御弁を有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤブランクの加硫のための装置に関し、それはタイヤブランクを受け入れるための少なくとも1つの加熱可能な型を有し、少なくとも1つの弁を備える、熱媒体のための少なくとも1つの制御可能な供給装置を有する。
【背景技術】
【0002】
タイヤ製造においては、複数の製造工程が行われる。第1の製造工程において、エラストマー材料の複数の押出ストリップは、タイヤブランクを形成するために、通常、タイヤ組立ドラム上で互いに接合される。これは、大抵、鋼鉄製のワイヤータイプの補強インサートを使用して行われ、「スチールベルト式タイヤ」を製造することができる。
【0003】
タイヤブランクは、次いで、加熱プレスに移され、そのプレスにおいて、加熱可能な型に挿入され、典型的には内圧を受ける。一般に、タイヤブランクを受け入れる型を加熱可能とし、また、加硫中に内圧(これは、所定のタイヤ輪郭の安定化に寄与する)にさらされるように、熱媒体をタイヤブランクに導入する可能性があるようにできる。
【0004】
様々な物質を熱媒体として使用することができる。蒸気、熱水又は高温窒素が広く使用される。熱媒体は、典型的には、空気圧作動式弁を介して加硫プロセスに供給される。一般に、「単安定(monostable)」弁が使用される。特に、通常の状態で閉じているか、又は通常の状態で開いている弁が使用される。通常の状態で閉じている弁は、熱媒体が供給される領域で使用されることが多い。ここで、制御媒体は、弁をバネ力に抗して開放状態に移行させる。緊急停止及び/又は制御圧力の不具合の場合、弁は、バネ力によって閉状態に移行される。通常の状態で開いている弁は、典型的に出口領域で使用される。ここで、バネは、圧力が失われた場合に弁を開位置に強制する。これにより、加圧された空間が環境に通気され、その結果、減圧されて安全になることが保証される。
【0005】
電気的に制御される弁の使用も、同様に既に知られている。しかし、これらの弁は、達成され得るスイッチング時間の点で、しばしば遅い。さらに、これらの弁は、開又は閉位置において所定の通常状態を達成できないことが多い。
【0006】
同様に不利な点は、弁が比較的大きな公称直径を有する場合、熱媒体の圧力が低下する危険性があるという事実である。そして、必要とされる作動力もしばしば比較的大きい。
【0007】
典型的なタイヤ製造プロセスでは、多数のタイヤ加熱プレスが組立工場で操作されることが多い。空気圧制御弁の場合、加圧ガスを供給するために非常に複雑な配管が必要である。この種の空気圧装置では、漏れ及び漏れのある他の問題は、使用される圧縮空気の約80%までの全損失をしばしばもたらす。したがって、実際の制御プロセスに必要とされるよりもかなり多くの圧縮空気を供給しなければならない。結果として、比較的大きく、したがって比較的高価な圧縮機が必要とされるか、又は対応するコストで圧縮機の数を増やさなければならない。ここで、コストは、設備コスト自体に関連するだけでなく、運用コストにも関係する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、技術的品質を保持しつつ、熱媒体の供給をより効果的に制御することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、この目的は、弁が液体流体によって作動される位置決め装置を有するという事実によって達成される。
【0010】
液体流体の供給装置は、気体流体の供給及び分配装置よりも著しく効果的に環境から密封され得る。したがって、著しく低い漏れ損失は、一般的に気体流体の対応する設備よりも、液体流体の対応するラインシステムにおいて生じる。
【0011】
位置決め装置がピストン−シリンダアセンブリを有する場合、弁位置の正確な事前決定が達成され得る。
【0012】
必要な体積流量及び必要な圧力を供給するために、ポンプを用いて液体流体を送り出し、圧力を上昇させることが提案される。
【0013】
ポンプがタンクに連結されている場合、液体流体の十分なリザーバを提供することができる。
【0014】
弁の少なくとも1つが制御弁に連結されていれば、シンプルかつ同時に、極めて信頼性の高い制御を達成することができる。
【0015】
プラントの安全性を高めるために、弁の少なくとも1つが単安定設計であることが提案される。
【0016】
弁の少なくとも1つが通常位置を規定するためのバネを有する場合、弁の通常の状態を予め決定することができる。
【0017】
一実施形態によれば、入口弁は通常の状態で閉じていることが想定される。
【0018】
同様に、出口弁が通常の状態で開かれることも可能である。
【0019】
別の実施形態によれば、加熱プレス1は、液体流体によって制御される少なくとも1つの圧力制御弁を有することも想定される。
【0020】
本発明の例示的な実施形態を図面に概略的に示す。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】一例として柱状の加熱プレスを用いる加熱プレスの簡略図を示す。
【
図2】液体流体を使用する際の弁制御を説明するための回路図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、加熱プレス1の構造設計を示す。加熱プレス1は、グリーンタイヤ(図示せず)の材料を加硫するために使用される。グリーンタイヤを受け入れるために、加熱プレス1は、上型半分3と下型半分4とを備える型2を有する。示される例示的な実施形態では、下型半分4は動かないように配置されている。上型半分3は、垂直方向に位置決めできる。型2は、上型半分3の適切な位置決めによって開閉可能である。
【0023】
図1に示す加熱プレス1は、柱状の加熱プレスとして設計され、柱5、6を有する。シリンダ9、10に対して位置決め可能なピストン7、8は、上型半分3を位置決めするために使用される。
【0024】
別の実施形態によれば、加熱プレス1は、フレーム加熱プレスとして実施することもできる。
【0025】
図2は、型2の領域へ熱媒体を供給し、そこでグリーンタイヤの加硫を行うことを図示するブロック回路図である。
【0026】
入口領域21及び出口領域22は、概略的に図示された加硫プロセス20を実施するために使用される。これらの領域では、必要な熱媒体が供給又は排出される。
【0027】
入口領域21には入口弁23が設けられ、出口領域22には出口弁24が設けられている。弁23、24は、典型的には単安定弁として設計される。
【0028】
通常の状態、すなわち制御媒体が供給されていないときは、入口弁23は閉じられる。出口弁24は、制御圧力が供給されていないときは開いている。弁23、24のそれぞれの通常位置は、典型的にはバネを使用することによって達成され、そのバネの作用する力に抗して印加された制御圧力が作用する。この種のスプリングは、典型的には圧縮スプリングとして具体化されている。
【0029】
入口弁23は制御ライン25を有し、出口弁24は制御ライン26を備える。
【0030】
制御ライン25には、制御弁27が接続されている。制御ライン26には、制御弁28が設けられている。
【0031】
典型的な実施形態によれば、制御弁27、28は3方弁/2方弁として設計されている。特に、制御弁27、28が電気作動式の弁として具体化されることも同様に想定される。
【0032】
制御弁27、28は、供給ライン29、30によってタンク31に接続されている。タンク31に貯蔵された液体流体は、典型的にポンプ32によって供給ライン29、30に供給される。
【0033】
液体流体は、戻りライン33、34を介してタンク31に戻される。
【符号の説明】
【0034】
1 加熱プレス
2 型
3 上型半分
4 下型半分
5、6 柱
7、8 ピストン
9、10 シリンダ
20 加硫プロセス
21 入口領域
22 出口領域
23 入口弁
24 出口弁
25、26 制御ライン
27、28 制御弁
29、30 供給ライン
31 タンク
32 ポンプ
33、34 戻りライン