特許第6789374号(P6789374)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6789374樹脂組成物、樹脂シート、積層体、及び半導体素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6789374
(24)【登録日】2020年11月5日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】樹脂組成物、樹脂シート、積層体、及び半導体素子
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20201116BHJP
   C08K 3/00 20180101ALI20201116BHJP
   C08L 79/00 20060101ALI20201116BHJP
   C08L 71/10 20060101ALI20201116BHJP
   C08L 25/18 20060101ALI20201116BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20201116BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20201116BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20201116BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   C08L101/00
   C08K3/00
   C08L79/00 Z
   C08L71/10
   C08L25/18
   B32B27/00 Z
   H05K3/28 G
   H01L23/30 R
【請求項の数】16
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-505687(P2019-505687)
(86)(22)【出願日】2017年8月31日
(86)【国際出願番号】JP2017031353
(87)【国際公開番号】WO2018168005
(87)【国際公開日】20180920
【審査請求日】2019年9月2日
(31)【優先権主張番号】特願2017-47774(P2017-47774)
(32)【優先日】2017年3月13日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2017-129402(P2017-129402)
(32)【優先日】2017年6月30日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2017-129400(P2017-129400)
(32)【優先日】2017年6月30日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2017-129401(P2017-129401)
(32)【優先日】2017年6月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】柄澤 泰紀
【審査官】 内田 靖恵
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/151815(WO,A1)
【文献】 特開2005−340520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/16
B32B 27/00
C08K 3/00− 3/40
C09D 101/00−201/10
C09J 101/00−201/10
H01L 23/29
H01L 23/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂組成物であって、
(A)熱可塑性成分と、
(B)熱硬化性成分と、
(C)無機フィラーと、を含有し、
前記(A)熱可塑性成分は、フェノキシ樹脂を含み、
前記(B)熱硬化性成分は、ビスマレイミド樹脂及びアリル樹脂を含み、
当該樹脂組成物の硬化物の5%重量減少温度が440℃以上である
ことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
半導体素子の実装に用いられることを特徴とする請求項に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
請求項に記載の樹脂組成物において、
前記半導体素子がパワー半導体素子であることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項4】
請求項又は請求項に記載の樹脂組成物において、
前記半導体素子が、炭化ケイ素及び窒化ガリウムのいずれか1種以上を用いた半導体素子であることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の樹脂組成物からなることを特徴とする樹脂シート。
【請求項6】
半導体素子の実装に用いられることを特徴とする請求項に記載の樹脂シート。
【請求項7】
請求項に記載の樹脂シートにおいて、
前記半導体素子がパワー半導体素子であることを特徴とする樹脂シート。
【請求項8】
請求項又は請求項に記載の樹脂シートにおいて、
前記半導体素子が、炭化ケイ素及び窒化ガリウムのいずれか1種以上を用いた半導体素子であることを特徴とする樹脂シート。
【請求項9】
請求項に記載の樹脂シートと、剥離材と、を有し、
前記剥離材は、アルキド樹脂系剥離剤から形成される剥離剤層を有することを特徴とする積層体。
【請求項10】
半導体素子の実装に用いられることを特徴とする請求項に記載の積層体。
【請求項11】
請求項10に記載の積層体において、
前記半導体素子がパワー半導体素子であることを特徴とする積層体。
【請求項12】
請求項10又は請求項11に記載の積層体において、
前記半導体素子が、炭化ケイ素及び窒化ガリウムのいずれか1種以上を用いた半導体素子であることを特徴とする積層体。
【請求項13】
請求項に記載の樹脂組成物を用いたことを特徴とする半導体素子。
【請求項14】
請求項に記載の樹脂シートを用いたことを特徴とする半導体素子。
【請求項15】
請求項に記載の樹脂組成物、並びに炭化ケイ素及び窒化ガリウムのいずれか1種以上を用いたことを特徴とする半導体素子。
【請求項16】
請求項に記載の樹脂シート、並びに炭化ケイ素及び窒化ガリウムのいずれか1種以上を用いたことを特徴とする半導体素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物、樹脂シート、積層体、及び半導体素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、接着剤層に樹脂組成物を用いる接着シートが知られている。
例えば、特許文献1には、ポリエチレンテレフタレート等の支持体と、該支持体上に形成された樹脂組成物層と、該樹脂組成物層を保護するポリプロピレンフィルム等の保護フィルムとがこの順で積層された接着フィルムが開示されている。特許文献1に記載の樹脂組成物は、多官能エポキシ樹脂、硬化剤、フェノキシ樹脂、及び無機充填材を含有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5195454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、接着シートは、パワー半導体素子の製造等にも応用されている。パワー半導体素子の作製等に用いられる樹脂組成物には、耐熱性と接着性が求められる。
【0005】
本発明は、従来よりも高い耐熱性と高い接着性を両立した樹脂組成物、樹脂シート、及び積層体を提供することを目的とする。また、本発明は、当該樹脂組成物又は当該樹脂シートを用いた半導体素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る樹脂組成物は、(A)熱可塑性成分と、(B)熱硬化性成分と、(C)無機フィラーと、を含有し、当該樹脂組成物の硬化物の5%重量減少温度が440℃以上であることを特徴とする。
【0007】
本発明の一態様に係る樹脂組成物において、前記(B)熱硬化性成分は、ビスマレイミド樹脂を含むことが好ましい。
【0008】
本発明の一態様に係る樹脂組成物において、前記(B)熱硬化性成分は、さらにアリル樹脂を含むことが好ましい。
【0009】
本発明の一態様に係る樹脂組成物において、前記(A)熱可塑性成分が、フェノキシ樹脂を含むことが好ましい。
【0010】
本発明の一態様に係る樹脂組成物は、半導体素子の実装に用いられる樹脂組成物であることが好ましい。
【0011】
本発明の一態様に係る樹脂組成物は、半導体素子の実装に用いられる樹脂組成物であり、前記半導体素子がパワー半導体素子であることが好ましい。
【0012】
本発明の一態様に係る樹脂組成物は、半導体素子の実装に用いられる樹脂組成物であり、前記半導体素子が、炭化ケイ素及び窒化ガリウムのいずれか1種以上を用いた半導体素子であることが好ましい。
【0013】
本発明の一態様に係る樹脂シートは、前述の本発明の一態様に係る樹脂組成物からなることを特徴とする。
【0014】
本発明の一態様に係る樹脂シートは、前述の本発明の一態様に係る樹脂組成物からなり、前記樹脂組成物において、前記(B)熱硬化性成分が、ビスマレイミド樹脂を含むことが好ましい。
【0015】
本発明の一態様に係る樹脂シートは、前述の本発明の一態様に係る樹脂組成物からなり、前記樹脂組成物において、前記(B)熱硬化性成分が、ビスマレイミド樹脂及びアリル樹脂を含むことが好ましい。
【0016】
本発明の一態様に係る樹脂シートにおいて、前記(A)熱可塑性成分が、フェノキシ樹脂を含むことが好ましい。
【0017】
本発明の一態様に係る樹脂シートは、半導体素子の実装に用いられる樹脂シートであることが好ましい。
【0018】
本発明の一態様に係る樹脂シートは、半導体素子の実装に用いられる樹脂シートであり、前記半導体素子がパワー半導体素子であることが好ましい。
【0019】
本発明の一態様に係る樹脂シートは、半導体素子の実装に用いられる樹脂シートであり、前記半導体素子が、炭化ケイ素及び窒化ガリウムのいずれか1種以上を用いた半導体素子であることが好ましい。
【0020】
本発明の一態様に係る積層体は、前述の本発明の一態様に係る樹脂シートと、剥離材と、を有し、前記剥離材は、アルキド樹脂系剥離剤から形成される剥離剤層を有することを特徴とする。
【0021】
本発明の一態様に係る積層体は、半導体素子の実装に用いられる積層体であることが好ましい。
【0022】
本発明の一態様に係る積層体は、半導体素子の実装に用いられる積層体であり、前記半導体素子がパワー半導体素子であることが好ましい。
【0023】
本発明の一態様に係る積層体は、半導体素子の実装に用いられる積層体であり、前記半導体素子が、炭化ケイ素及び窒化ガリウムのいずれか1種以上を用いた半導体素子であることが好ましい。
【0024】
本発明の一態様に係る半導体素子は、前述の本発明の一態様に係る樹脂組成物を用いたことを特徴とする。
【0025】
本発明の一態様に係る半導体素子は、前述の本発明の一態様に係る樹脂シートを用いたことを特徴とする。
【0026】
本発明の一態様に係る半導体素子は、前述の本発明の一態様に係る樹脂組成物、並びに炭化ケイ素及び窒化ガリウムのいずれか1種以上を用いたことを特徴とする。
【0027】
本発明の一態様に係る半導体素子は、前述の本発明の一態様に係る樹脂シート、並びに炭化ケイ素及び窒化ガリウムのいずれか1種以上を用いたことを特徴とする。
【0028】
本発明によれば、従来よりも高い耐熱性と高い接着性を両立した樹脂組成物、樹脂シート、及び積層体を提供することができる。また、本発明によれば、当該樹脂組成物又は当該樹脂シートを用いた半導体素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】一実施形態に係る積層体の断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[樹脂組成物]
本実施形態に係る樹脂組成物は、(A)熱可塑性成分と、(B)熱硬化性成分と、(C)シリカフィラーと、を含有する。
【0031】
((A)熱可塑性成分)
(A)熱可塑性成分(以下、単に「(A)成分」と称する場合がある)は、特に限定されない。
本実施形態の(A)熱可塑性成分は、熱可塑性樹脂を含む。
熱可塑性樹脂は、例えば、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリエステル樹脂、及びウレタン樹脂からなる群から選択される少なくともいずれかの樹脂であることが好ましく、フェノキシ樹脂であることがより好ましい。フェノキシ樹脂は、アルカリに対する耐性に優れ、本実施形態に係る樹脂組成物を半導体素子の実装工程に用いる場合において、その工程がアルカリ剤による処理を伴う場合であっても、樹脂組成物が溶解することなく、形状が維持されやすい。熱可塑性樹脂は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0032】
フェノキシ樹脂としては、ビスフェノールA骨格(以下、ビスフェノールAを「BisA」と称する場合がある)、ビスフェノールF骨格(以下、ビスフェノールFを「BisF」と称する場合がある)、ビフェニル骨格、及びナフタレン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を有するフェノキシ樹脂であることが好ましく、ビスフェノールA骨格及びビスフェノールF骨格を有するフェノキシ樹脂であることがより好ましい。
【0033】
熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、100以上100万以下であることが好ましく、1000以上80万以下であることがより好ましく、1万以上10万以下であることが特に好ましい。本明細書における重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)法により測定される標準ポリスチレン換算値である。
【0034】
本実施形態において、樹脂組成物中の(A)熱可塑性成分の含有量は、樹脂組成物の固形分の全量基準(すなわち、溶媒を除く全固形分を100質量%としたとき)で、0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、1質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。
【0035】
((B)熱硬化性成分)
(B)熱硬化性成分(以下、単に「(B)成分」と称する場合がある)は、加熱を受けると三次元網状化し、被着体を強固に接着する性質を有する。本実施形態における熱硬化性成分としては、特に制限されることなく、従来公知の様々な熱硬化性成分を用いることができる。
本実施形態の(B)熱硬化性成分は、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、を含有する。
熱硬化性樹脂としては、高耐熱性を有する熱硬化性樹脂であればよく、例えば、ビスマレイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、シアネート樹脂、及びメラミン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
硬化剤としては、例えば、フェノール樹脂、及びC=C二重結合を有する樹脂等の樹脂類、並びにアミン、酸無水物、及びホルムアルデヒド等が挙げられる。C=C二重結合を有する樹脂としては、アリル樹脂等が挙げられる。硬化剤は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
熱硬化性樹脂と硬化剤との組み合わせとしては、ビスマレイミド樹脂及びアリル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂及びフェノール樹脂、シアネート樹脂及びフェノール樹脂、シアネート樹脂及びアミン、シアネート樹脂及び酸無水物、並びにメラミン樹脂及びホルムアルデヒド等の組み合わせが挙げられる。高耐熱性を有する観点から、ビスマレイミド樹脂及びアリル樹脂の組み合わせが好ましい。
【0036】
(B)熱硬化性成分は、耐熱性の観点から、ビスマレイミド樹脂及びアリル樹脂を含むことが好ましい。
ビスマレイミド樹脂及びアリル樹脂としては、従来公知の種々のビスマレイミド樹脂及びアリル樹脂が用いられる。
【0037】
本実施形態におけるビスマレイミド樹脂は、溶剤への溶解性の観点から、置換基を有するビスマレイミド樹脂が好ましい。置換基としては、アルキル基等が挙げられる。アルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、メチル基、及びエチル基からなる群から選択されるアルキル基であることがより好ましい。
【0038】
本実施形態におけるビスマレイミド樹脂は、1分子中に2つ以上のマレイミド基及び2つ以上のフェニレン基を含むマレイミド樹脂であることも好ましい。溶剤への溶解性を高くし、シート形成性を向上させる観点から、フェニレン基上に置換基を有することが好ましい。置換基としては、例えば、メチル基、及びエチル基等のアルキル基、及びアルキレン基等が挙げられる。
本実施形態におけるマレイミド樹脂としては、マレイミド基とフェニレン基とが、直接、結合したマレイミド樹脂が挙げられる。
また、本実施形態におけるマレイミド樹脂としては、シート形成性の観点から、マレイミド基とフェニレン基との間にエーテル結合を有するマレイミド樹脂も挙げられる。
【0039】
本実施形態におけるビスマレイミド樹脂は、下記一般式(1)で表されることがより好ましい。
【0040】
【化1】
【0041】
前記一般式(1)において、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、Lは、炭素数1〜6のアルキレン基であり、L及びLは、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキレン基または炭素数6〜10のアリーレン基であり、m及びnは、それぞれ独立に0または1である。
【0042】
本実施形態における前記一般式(1)で表されるマレイミド樹脂は、具体的には、例えば、下記一般式(1A)または下記一般式(1B)で表される。
【0043】
【化2】
【0044】
【化3】
【0045】
前記一般式(1A)及び(1B)において、Lは、炭素数1〜6のアルキレン基である。
前記一般式(1A)において、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。
【0046】
〜Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜2のアルキル基であることが好ましい。
【0047】
とRとは、互いに異なるアルキル基であることが好ましい。
とRとは、互いに異なるアルキル基であることが好ましい。
とRとは、互いに異なるアルキル基であり、かつRとRとは、互いに異なるアルキル基であることがより好ましい。
【0048】
本実施形態におけるビスマレイミド樹脂としては、具体的には、例えば、耐熱性の高い硬化物を得る観点から、4,4’−ジフェニルメタンジマレイミド、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、N,N’−1,3−フェニレンジマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、ポリフェニルメタンマレイミド、または2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンが好ましく、溶剤への溶解性の観点からは、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタンがより好ましい。
【0049】
本実施形態におけるベンゾオキサジン樹脂としては、例えば、分子内にベンゾオキサジン環を有する化合物(以下「ベンゾオキサジン化合物」とも表記する。)及びその開環重合体から選択される少なくともいずれかのベンゾオキサジン樹脂等が挙げられる。反応性と架橋密度の観点から、ベンゾオキサジン化合物は、1分子内に2個以上のベンゾオキサジン環を有することが好ましい。即ち、ベンゾオキサジン樹脂としては、ビスフェノールA型ベンゾオキサジン化合物、ビスフェノールF型ベンゾオキサジン化合物、チオジフェノール型ベンゾオキサジン化合物、フェノールフタレイン型ベンゾオキサジン化合物、またはジシクロペンタジエン型ベンゾオキサジン化合物が好ましい。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0050】
本実施形態におけるシアネート樹脂としては、例えば、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物等が挙げられる。シアネート樹脂として、具体的には、ノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等のビスフェノール型シアネート樹脂、及びこれらが一部トリアジン化したプレポリマー等を挙げることができる。これらは、1種を単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0051】
本実施形態におけるメラミン樹脂としては、具体的には、例えば、モノメトキシメチル化メラミン樹脂、ジメトキシメチル化メラミン樹脂、トリメトキシメチル化メラミン樹脂、テトラメトキシメチル化メラミン樹脂、ペンタメトキシメチル化メラミン樹脂、ヘキサメトキシメチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂、モノメチロールメラミン樹脂、ジメチロールメラミン樹脂、トリメチロールメラミン樹脂、テトラメチロールメラミン樹脂、ペンタメチロールメラミン樹脂、ヘキサメチロールメラミン樹脂、及びイミノ基含有メトキシメチル化メラミン樹脂等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0052】
本実施形態におけるアリル樹脂は、アリル基を有する樹脂であれば、特に限定されない。本実施形態におけるアリル樹脂は、1分子中に2つ以上のアリル基を含むアリル樹脂であることが好ましい。
本実施形態におけるアリル樹脂は、下記一般式(2)で表されることがより好ましい。
【0053】
【化4】
【0054】
前記一般式(2)において、R及びRは、それぞれ独立に、アルキル基であり、炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることがより好ましく、メチル基及びエチル基からなる群から選択されるアルキル基であることがさらに好ましい。
【0055】
アリル樹脂としては、具体的には、例えば、ジアリルビスフェノールA等が挙げられる。
【0056】
本実施形態において、耐熱性をより向上させる観点から、(B)熱硬化性成分は、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン及びジアリルビスフェノールAを含むことが好ましい。
【0057】
本実施形態におけるフェノール樹脂としては、特に限定されず、公知のフェノール樹脂を使用することができる。本実施形態におけるフェノール樹脂としては、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するモノマー、オリゴマー、及びポリマー等が挙げられる。本実施形態においては、例えば、フェノール樹脂として、ノボラック型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、ナフトールノボラック型フェノール樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェノールベンジルアルデヒド型エポキシ樹脂、ビフェニル型フェノール樹脂、ビスフェノールA型フェノール樹脂、ビスフェノールF型フェノール樹脂、及びジシクロペンタジエン型フェノール樹脂等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0058】
本実施形態におけるアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、及び1,4−シクロヘキサンジアミン等のジアミン類;ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、及びトリエチレンテトラミン等のポリアミン類;ヒドラジン、N,N’−ジメチルヒドラジン、及び1,6−ヘキサメチレンビスヒドラジン等のヒドラジン類;並びにコハク酸ジヒドラジッド、アジピン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、及びイソフタル酸ジヒドラジド等のジヒドラジド類等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0059】
本実施形態における酸無水物としては、例えば、マレイン酸無水物、コハク酸無水物、アルケニルコハク酸無水物、フタル酸無水物、シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、4−フェニルエチニルフタル酸無水物、トリメリット酸無水物、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−無水物、ナジック酸無水物、メチルナジック酸無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、2,3−アントラセンジカルボン酸無水物、スチレン−マレイン酸無水物の共重合物、オレフィン−マレイン酸無水物の共重合物、メチルビニルエーテル−マレイン酸無水物の共重合物等が挙げられる。酸二無水物としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ペンタンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、グリセリンビストリメリテート二無水物モノアセテート、p−フェニレンビス(トリメリテート無水物)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−カルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−シクロヘキセン−1,2−カルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、及び1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0060】
本実施形態におけるホルムアルデヒドとしては、ホルムアルデヒドの縮合体を使用してもよく、ホルムアルデヒドの水溶液を使用してもよい。ホルムアルデヒドの縮合体としては、トリオキサン、及びパラホルムアルデヒド等が挙げられる。ホルムアルデヒドの水溶液としては、ホルマリン等が挙げられる。
【0061】
本実施形態において、樹脂組成物中の(B)熱硬化性成分の含有量は、樹脂組成物の固形分の全量基準(すなわち、溶媒を除く全固形分を100質量%としたとき)で、2質量%以上75質量%以下であることが好ましく、5質量%以上70質量%以下であることがより好ましい。
【0062】
本実施形態において、(B)熱硬化性成分がビスマレイミド樹脂及びアリル樹脂を含む場合、樹脂組成物中のビスマレイミド樹脂の含有量は、樹脂組成物の固形分の全量基準(すなわち、溶媒を除く全固形分を100質量%としたとき)で、2質量%以上75質量%以下であることが好ましく、5質量%以上70質量%以下であることがより好ましい。ビスマレイミド樹脂の含有量が上記範囲内であれば、樹脂組成物の耐熱性が向上し、溶剤への溶解性も良好となる。
また、硬化剤としてのアリル樹脂は、好ましくはビスマレイミド樹脂100質量部に対して、通常、10質量部以上200質量部以下の割合で用いられ、20質量部以上150質量部以下の割合で用いられることが好ましい。アリル樹脂の割合が上記範囲内であれば、せん断強度を向上させることができる。
【0063】
本実施形態において、(B)熱硬化性成分は、硬化促進剤を含有していてもよい。
硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール化合物等が挙げられる。イミダゾール化合物としては、例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾール等が挙げられる。
樹脂組成物中の硬化促進剤の含有量は、樹脂組成物の固形分の全量基準(すなわち、溶媒を除く全固形分を100質量%としたとき)で、0.005質量%以上12質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
【0064】
本実施形態において、(B)熱硬化性成分は、ビスマレイミド樹脂及びアリル樹脂を含み、エポキシ樹脂を含まないことも好ましい。
【0065】
((C)無機フィラー)
(C)無機フィラー(以下、単に「(C)成分」と称する場合がある)は、樹脂組成物に耐熱性を付与する。
(C)無機フィラーとしては、シリカフィラー、アルミナフィラー、及び窒化ホウ素フィラー等が挙げられる。これらの中でも、シリカフィラーが好ましい。
シリカフィラーとしては、例えば、溶融シリカ、及び球状シリカ等が挙げられる。
(C)無機フィラーは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(C)無機フィラーは、表面処理されていてもよい。
【0066】
(C)無機フィラーの平均粒径は、特に制限されない。(C)無機フィラーの平均粒径は、一般的な粒度分布計から求めた値で0.1nm以上10μm以下であることが好ましい。本明細書における、(C)無機フィラーの平均粒径は、粒度分布測定装置(日機装株式会社製,製品名「ナノトラックWave−UT151」)を使用して、動的光散乱法により測定した値とする。
【0067】
樹脂組成物中の(C)無機フィラーの含有量は、樹脂組成物の固形分の全量基準(すなわち、溶媒を除く全固形分を100質量%としたとき)で、10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、20質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。(C)無機フィラーの含有量が上記範囲内であれば、樹脂組成物の耐熱性をより向上させることができる。
【0068】
本実施形態に係る樹脂組成物の一例としては、(A)熱可塑性成分、(B)熱硬化性成分、及び(C)無機フィラーのみを含有する樹脂組成物が挙げられる。
また、本実施形態に係る樹脂組成物の他の一例としては、下記の通り、(A)熱可塑性成分、(B)熱硬化性成分、(C)無機フィラー、及び前記(A)〜(C)成分以外の成分を含有する樹脂組成物が挙げられる。
【0069】
((D)カップリング剤)
本実施形態において、樹脂組成物は、(A)〜(C)成分の他に、さらに(D)カップリング剤を含むことが好ましい。
カップリング剤は、前述の(A)熱可塑性成分が有する官能基、または(B)熱硬化性成分が有する官能基と反応する基を有することが好ましく、(B)熱硬化性成分が有する官能基と反応する基を有することがより好ましい。
【0070】
樹脂組成物の硬化反応時に、(D)カップリング剤中の有機官能基が、(B)熱硬化性成分(好ましくはマレイミド樹脂)と反応すると考えられる。(D)カップリング剤を使用することで、硬化物の耐熱性を損なわずに、接着性、及び密着性を向上させることができ、さらに耐水性(耐湿熱性)も向上する。
【0071】
(D)カップリング剤としては、その汎用性、及びコストメリット等からシラン系(シランカップリング剤)が好ましい。
また、上記のような(D)カップリング剤は、(B)熱硬化性成分100質量部に対して、通常、0.1質量部以上20質量部以下の割合で配合され、好ましくは0.3質量部以上15質量部以下の割合で配合され、より好ましくは0.5質量部以上10質量部以下の割合で配合される。
【0072】
(その他の成分)
本実施形態において、樹脂組成物は、さらにその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、架橋剤、顔料、染料、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、発泡剤、酸化防止剤、難燃剤、及びイオン捕捉剤からなる群から選択される少なくともいずれかの成分が挙げられる。
例えば、樹脂組成物は、硬化前の初期接着性、及び凝集性を調節するために、さらに架橋剤を含んでいてもよい。
架橋剤としては、例えば、有機多価イソシアナート化合物、及び有機多価イミン化合物等が挙げられる。
【0073】
有機多価イソシアナート化合物としては、例えば、芳香族多価イソシアナート化合物、脂肪族多価イソシアナート化合物、脂環族多価イソシアナート化合物、及びこれらの多価イソシアナート化合物の三量体、並びにこれら多価イソシアナート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアナートウレタンプレポリマー等が挙げられる。
有機多価イソシアナート化合物のさらに具体的な例としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、1,3−キシリレンジイソシアナート、1,4−キシレンジイソシアナート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアナート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアナート、及びリジンイソシアナート等が挙げられる。
【0074】
有機多価イミン化合物の具体例としては、例えば、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオナート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオナート、及びN,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等が挙げられる。
【0075】
上記のような架橋剤は、前述の(A)成分における熱可塑性樹脂100質量部に対して、通常、0.01質量部以上12質量部以下の割合で配合され、好ましくは0.1質量部以上10質量部以下の割合で配合される。
【0076】
本実施形態に係る樹脂組成物は、硬化物の5%重量減少温度が440℃以上であることが必要である。硬化物の5%重量減少温度は、測定試料を昇温しながら重量減少を測定し、重量減少が5重量%に達したときの温度である。以下、「Td5」と称する場合がある。
Td5は、445℃以上であることが好ましい。
Td5が440℃以上であれば、樹脂組成物の耐熱性が向上する。
なお、本明細書におけるTd5は、示差熱・熱重量同時測定装置(株式会社島津製作所製。装置名:DTG−60)を用いて、スキャンスピード10℃/min.、温度範囲50℃〜600℃にて測定した値である。
【0077】
本実施形態に係る樹脂シートは、本実施形態に係る樹脂組成物からなる。したがって、本実施形態に係る樹脂シートのTd5もまた、440℃以である。
本実施形態に係る樹脂組成物をシート化することにより、本実施形態に係る樹脂シートを得ることができる。樹脂組成物がシート状であることで、被着体への適用が簡便になり、特に被着体が大面積である場合の適用が簡便になる。
樹脂組成物がシート状であれば、封止工程後の形状に対して、ある程度、適合した形状に予め形成されているので、適用するだけで、ある程度の均一性を保った封止材として供給できる。また、樹脂組成物がシート状であれば、流動性がないので、取り扱い性に優れる。
【0078】
樹脂組成物をシート化する方法は、従来公知のシート化する方法を採用でき、特に限定されない。本実施形態に係る樹脂シートは、帯状のシートであってもよく、ロール状に巻き取られた状態で提供されてもよい。ロール状に巻き取られた本実施形態に係る樹脂シートは、ロールから繰り出されて所望のサイズに切断する等して使用することができる。
【0079】
本実施形態に係る樹脂シートの厚さは、例えば、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましい。また、当該厚さは、500μm以下であることが好ましく、400μm以下であることがより好ましく、さらには300μm以下であることが好ましい。
【0080】
本実施形態に係る樹脂シートは、複数の半導体素子に一括して適用されることが好ましい。例えば、樹脂組成物がシート状であれば、複数の間隙が設けられたフレームの間隙ごとに半導体素子が配置された構造体に対して、樹脂シートを適用し、フレームと半導体素子とを一括して封止する、いわゆるパネルレベルパッケージに使用することができる。
【0081】
[積層体]
本実施形態に係る樹脂シートは、積層体の形態として利用することもできる。積層体の一例として、図1には、本実施形態に係る積層体1の断面概略図が示されている。
本実施形態の積層体1は、第一剥離材2と、第二剥離材4と、第一剥離材2及び第二剥離材4の間に設けられた樹脂シート3とを有する。樹脂シート3は、本実施形態に係る樹脂組成物からなる。
【0082】
第一剥離材2、及び第二剥離材4は、剥離性を有する。第一剥離材2及び第二剥離材4の材質は特に限定されない。第一剥離材2の樹脂シート3に対する剥離力P1と第二剥離材4の樹脂シート3に対する剥離力P2とに差があることが好ましい。第一剥離材2の剥離力P1に対する第二剥離材4の剥離力P2の比(P2/P1)は、0.02≦P2/P1<1または1<P2/P1≦50であることが好ましい。
【0083】
第一剥離材2、及び第二剥離材4は、例えば、剥離材そのものに剥離性がある部材の他、剥離処理が施された部材、または剥離剤層が積層された部材等であってもよい。第一剥離材2、及び第二剥離材4の材質としては、具体的には、例えば、オレフィン系樹脂、フッ素樹脂、エステル系樹脂、及び剥離処理したポリエチレンテレフタレート(PET)等が挙げられる。第一剥離材2、及び第二剥離材4に剥離処理が施されていない場合、第一剥離材2、及び第二剥離材4の材質としては、例えば、オレフィン系樹脂、及びフッ素樹脂等が挙げられる。
第一剥離材2、及び第二剥離材4は、剥離基材と、剥離基材の上に剥離剤が塗布されて形成された剥離剤層とを備える剥離材とすることができる。剥離基材と剥離剤層とを備える剥離材とすることで、取り扱いが容易となる。また、第一剥離材2、及び第二剥離材4は、剥離基材の片面のみに剥離剤層を備えていてもよいし、剥離基材の両面に剥離剤層を備えていてもよい。
【0084】
剥離基材としては、例えば、紙基材、この紙基材にポリエチレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙、及びプラスチックフィルム等が挙げられる。紙基材としては、例えば、グラシン紙、コート紙、及びキャストコート紙等が挙げられる。プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリエチレンナフタレート等)、並びにポリオレフィンフィルム(例えば、ポリプロピレン、及びポリエチレン等)等が挙げられる。これらプラスチックフィルムの中でも、ポリエステルフィルムを用いることが好ましい。
【0085】
剥離剤としては、例えば、シリコーン樹脂で構成されたシリコーン系剥離剤;ポリビニルカーバメート、及びアルキル尿素誘導体等の長鎖アルキル基を含有する化合物で構成された長鎖アルキル基含有化合物系剥離剤;アルキド樹脂(例えば、不転化性アルキド樹脂、及び転化性アルキド樹脂等)で構成されたアルキド樹脂系剥離剤;オレフィン樹脂(例えば、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、及び直鎖状低密度ポリエチレン等)、アイソタクチック構造、またはシンジオタクチック構造を有するプロピレン単独重合体、及びプロピレン−α−オレフィン共重合体等の結晶性ポリプロピレン樹脂等)で構成されたオレフィン樹脂系剥離剤;天然ゴム、及び合成ゴム(例えば、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、メチルメタクリレート−ブタジエンゴム、及びアクリロニトリル−ブタジエンゴム等)等のゴムで構成されたゴム系剥離剤;並びに(メタ)アクリル酸エステル系共重合体等のアクリル樹脂で構成されたアクリル樹脂系剥離剤等の各種剥離剤が挙げられ、これらを1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。第一剥離材2の剥離力P1に対する第二剥離材4の剥離力P2の比(P2/P1)を上述の範囲に調整する観点からは、第一剥離材2に用いられる剥離剤の構成と、第二剥離材4に用いられる剥離剤の構成とが異なることが好ましい。この場合、例えば、第一剥離材2及び第二剥離材4において、同じシリコーン系剥離剤を用いつつ、第一剥離材2の剥離剤と第二剥離材4の剥離剤とで互いに異なる組成としたり、第一剥離材2の剥離剤層と第二剥離材4の剥離剤層とで互いに異なる厚さとしたりしてもよい。また、例えば、第一剥離材2の剥離剤と第二剥離材4の剥離剤とで互いに異なる種類の剥離剤を用いても良い。具体的には、例えば、第一剥離材2の剥離剤としてアルキド樹脂系剥離剤を用い、第二剥離材4の剥離剤としてシリコーン系剥離剤を用いる場合が挙げられる。また、上述した樹脂組成物が、(A)熱可塑性成分としてフェノキシ樹脂を含有する場合には、剥離フィルムが剥がれ易くなる傾向があり、第一剥離材2、及び第二剥離材4のいずれか一方は、非シリコーン系剥離剤から形成された剥離剤層を有することが好ましく、第一剥離材2が非シリコーン系剥離剤から形成された剥離剤層を有することが好ましい。非シリコーン系剥離剤としては、上記例示した剥離剤のうち、シリコーン系剥離剤を除いた剥離剤からなる群から選択される。これらの中でも、非シリコーン系剥離剤としては、アルキド樹脂系剥離剤を用いることが好ましい。
【0086】
第一剥離材2、及び第二剥離材4の厚さは、特に限定されない。第一剥離材2、及び第二剥離材4の厚さは、通常、1μm以上500μm以下であり、3μm以上100μm以下であることが好ましい。
剥離剤層の厚さは、特に限定されない。剥離剤を含む溶液を塗布して剥離剤層を形成する場合、剥離剤層の厚さは、0.01μm以上3μm以下であることが好ましく、0.03μm以上1μm以下であることがより好ましい。
【0087】
積層体1の製造方法は、特に限定されない。例えば、積層体1は、次のような工程を経て製造される。まず、第一剥離材2の上に、樹脂組成物を塗布し、塗膜を形成する。次に、この塗膜を乾燥させて、樹脂シート3を形成する。次に、樹脂シート3と、第二剥離材4とを常温で貼り合わせることで、積層体1が得られる。
【0088】
本実施形態に係る樹脂組成物、樹脂シートまたは積層体は、半導体素子の実装に用いられることが好ましい。半導体素子の実装には、半導体素子を封止すること、半導体素子と他の電子部品との間に介在させること、並びに半導体素子用の回路を形成することのうち、少なくともいずれかが含まれる。
半導体素子は、パワー半導体であることが好ましい。
【0089】
また、本実施形態に係る樹脂組成物、樹脂シートまたは積層体は、炭化ケイ素及び窒化ガリウムのいずれか1種以上を用いた半導体素子を封止すること、または炭化ケイ素及び窒化ガリウムのいずれか1種以上を用いた半導体素子と他の電子部品との間に介在させることに用いられることが好ましい。本実施形態に係る樹脂組成物は、炭化ケイ素及び窒化ガリウムの少なくともいずれかを用いたパワー半導体素子に用いられることがより好ましい。
他の電子部品としては、例えば、プリント配線基板、及びリードフレーム等が挙げられる。
【0090】
[半導体装置]
本実施形態に係る半導体装置は、本実施形態に係る樹脂組成物、または樹脂シートが半導体素子の実装に用いられる。
本実施形態の樹脂シートを用いた半導体素子の封止は、例えば次のようにして行うことができる。半導体素子を覆うように樹脂シートを載置し、真空ラミネート法により圧着することで、半導体素子を封止する。
本実施形態の積層体1を用いる場合は、積層体1の一方の剥離材を剥離した後、半導体素子を覆うように樹脂シートを載置する。その後、他方の剥離材を剥離する。その後、真空ラミネート法により圧着することで、半導体素子を封止する。
本実施形態の樹脂組成物または樹脂シートを用いた半導体素子とその他の電子部品との接合は、例えば、次のようにして行うことができる。その他の電子部品上に、樹脂シートを載置し、さらに、樹脂シート上に半導体素子を載置し、その後、樹脂シートと半導体素子とを仮圧着し、樹脂シートを加熱して硬化させる。このようにして、樹脂組成物を半導体素子とその他の電子部品との間に介在させて、半導体素子とその他の電子部品とを接合する。
本実施形態の樹脂組成物または樹脂シートを用いた半導体素子用の回路の形成としては、ビルドアップ法による回路の形成が挙げられる。回路は、基板に形成されてもよいし、半導体素子に直接に形成されてもよい。
【0091】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る樹脂組成物、及び樹脂シートによれば、耐熱性と接着性を向上させることができる。本実施形態に係る樹脂組成物、及び樹脂シートを用いることで、従来よりも耐熱性が高く、接着性も高い封止樹脂層によって半導体素子を封止することができ、半導体素子と封止樹脂層との接着強度を向上させることができる。
本実施形態に係る樹脂組成物、及び樹脂シートは、半導体素子の実装に好適に用いることができ、パワー半導体素子の実装により好適に用いることができる。
また、本実施形態に係る樹脂組成物、及び樹脂シートは、炭化ケイ素及び窒化ガリウムの少なくともいずれかを用いた半導体素子の実装に好適に用いることができる。炭化ケイ素及び窒化ガリウムのいずれか1種以上を用いた半導体素子は、シリコン半導体とは異なる特性を有するので、パワー半導体、基地局用高出力デバイス、センサー、ディテクター、及びショットキーバリアダイオード等の用途に好ましく用いられる。これらの用途では、炭化ケイ素及び窒化ガリウムのいずれか1種以上を用いた半導体素子の耐熱性にも着目しており、本実施形態の樹脂組成物、及び樹脂シートは、耐熱性に優れるため、炭化ケイ素及び窒化ガリウムのいずれか1種以上を用いた半導体素子と組み合わされて好適に用いられる。
【0092】
[実施形態の変形]
本発明は、前記実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形や改良等は、本発明に含まれる。
【0093】
前記実施形態では、第一剥離材と、第二剥離材と、第一剥離材及び第二剥離材の間に設けられた樹脂シートとを有する積層体について説明したが、その他の実施形態として、樹脂シートの一方の面のみに剥離材を有する積層体であってもよい。
【0094】
また、前記半導体装置の実施形態では半導体封止用途について説明したが、本発明の樹脂組成物、及び樹脂シートは、その他にも、回路基板用絶縁材料(例えば、硬質プリント配線板材料、フレキシブル配線基板用材料、及びビルドアップ基板用層間絶縁材料等)、ビルドアップ用接着フィルム、並びに接着剤等として用いることができる。
【実施例】
【0095】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明はこれら実施例に何ら限定されない。
【0096】
・樹脂組成物の調製
樹脂組成物の調製に用いた材料は以下のとおりである。
【0097】
(熱可塑性成分)
・バインダー樹脂:BisA/BisF混合型フェノキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社製「ZX−1356−2」、重量平均分子量65,000)
【0098】
(熱硬化性成分)
・BMI樹脂:ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン
・アリル樹脂:ジアリルビスフェノールA
・エポキシ樹脂:ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製「NC3000H」)
・フェノール樹脂:ビフェニル型フェノールノボラック樹脂(明和化成株式会社製「MEH−7851−H」)
・硬化促進剤:2−エチル−4−メチルイミダゾール
【0099】
(フィラー)
・シリカフィラー:溶融シリカ(エポキシシラン修飾、平均粒径0.5μm、最大粒径2.0μm)
【0100】
(その他添加剤)
・カップリング剤:3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
【0101】
表1に示す配合割合(質量%(固形分換算の割合))にて実施例1〜4及び比較例1に係る樹脂組成物を調製した。
【0102】
・樹脂組成物の硬化条件
調製した樹脂組成物を200℃で4時間加熱して、樹脂硬化物を得た。
【0103】
[樹脂シートの作製]
第一剥離材(アルキド樹脂系剥離剤から形成された剥離層を設けたポリエチレンテレフタレート、厚さ38μm)上に、乾燥後の樹脂組成物の厚みが20μmとなるように、ダイコーターにて樹脂ワニス(メチルエチルケトンに、樹脂組成物を固形分濃度40質量%で溶解して調製した塗布用溶液)を塗布し、100℃で2分間乾燥した。乾燥炉から出した直後に、乾燥後の樹脂組成物と、第二剥離材(シリコーン系剥離材から形成された剥離層を設けたポリエチレンテレフタレート、厚さ38μm)とを常温で貼り合わせ、第一剥離材、樹脂組成物からなる樹脂層(樹脂シート)、及び第二剥離材がこの順で積層された積層体を作製した。
【0104】
[Td5]
株式会社島津製作所製の示差熱・熱重量同時測定装置(装置名:DTG−60)を用いて、下記条件で樹脂硬化物のTd5を測定した。
・スキャンスピード:10℃/min.
・温度範囲:50〜600℃
【0105】
[接着強度評価]
あらかじめ個片化したSiミラーウェハ(5mm×5mm、厚さ350μm)の研磨面(#2000研磨)に、樹脂シートの一方の面を、ラミネート温度60℃にて貼り合わせ、さらに樹脂シートの他方の面を銅板(5mm×350μm、JIS H 3100仕様)へ圧着した。圧着条件は250gf/100℃/3secとした。なお、樹脂シートに積層されていた第一剥離材及び第二剥離材は、それぞれSiミラーウェハ及び銅板に貼り付ける前に剥離した。その後(樹脂シートにSiミラーウェハ及び銅板を貼り付けた後)、上述の熱硬化条件(200℃、4時間)で樹脂組成物を硬化させ、せん断強度測定装置(ノードソン・アドバンスト・テクノロジー株式会社製、装置名:ボンドテスターDage4000)を用いてせん断強度を測定することにより、接着強度を評価した。せん断強度の単位は、N/5mm□とした。
なお、下記の2条件にて評価を行った。
条件1:湿熱なし
・測定温度:250℃
条件2:湿熱有り
・測定温度:250℃
・湿熱条件:JEDEC Lv1(85℃/85%RH/168hr)
【0106】
表1にTd5、及びせん断強度の測定結果を示す。
【0107】
【表1】
【0108】
実施例1〜4に係る樹脂組成物は、比較例1に係る樹脂組成物に比べて、Td5及びせん断強度をいずれも向上させることができ、実施例1〜4に係る樹脂組成物の耐熱性及び接着性が、比較例1に係る樹脂組成物に比べて高いことが確認できた。
【符号の説明】
【0109】
1…積層体、2…第一剥離材、3…樹脂シート、4…第二剥離材。
図1