【文献】
JOURNAL OF BIOMEDICAL MATERIALS RESEARCH A, 2014, Vol.102A, pp.247-253
【文献】
Phys. Chem. Chem. Phys., 2014, Vol.16, pp.17551-17559
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリビニルアセタール樹脂は、アミン構造を有する構成単位、イミン構造を有する構成単位、及びアミド構造を有する構成単位からなる群から選択される少なくとも一種を構成単位として含む、請求項2または3に記載の樹脂膜。
前記ポリビニルアセタール樹脂は、アミン構造を有する構成単位、イミン構造を有する構成単位、及びアミド構造を有する構成単位の合計の含有量が、0.1モル%以上30モル%以下である、請求項4に記載の樹脂膜。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、実施形態を挙げて本発明の説明を行うが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
なお、本明細書で用いられる用語の説明を行う。
「幹細胞」とは、自己複製能と分化能を有する細胞をいう。幹細胞のうち、自己複製能を有し、かつ、1つの細胞から、内胚葉、中胚葉、外胚葉の全ての細胞へ分化できるものを「多能性幹細胞」という。
多能性幹細胞としては、例えば、人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell、以下「iPS細胞」という。)、胚性幹細胞(embryonic stem cells、以下「ES細胞」という。)、Muse細胞(multilinege differentiating stress enduring cells)、胚性がん細胞(embryonic germ cell)、胚性生殖幹細胞(embryonic germ cell)、mGS細胞(multipotent germ stem cell)等が挙げられる。
幹細胞のうち、自己複製能を有し、外胚葉系組織、内胚葉系組織、中胚葉系組織、生殖系組織のいずれかに属し、それが属している臓器の構成細胞種への限られた分化能を示すものを「組織幹細胞」および「組織前駆細胞」という。
組織幹細胞および組織前駆細胞としては、例えば、神経幹細胞、神経堤幹細胞、網膜幹細胞、角膜幹細胞、ケラチノサイト表皮幹細胞、メラノサイト幹細胞、乳腺幹細胞、肝幹細胞、腸幹細胞、気道幹細胞、造血幹細胞、間葉系幹細胞、心臓幹細胞、血管内皮前駆細胞、血管周皮細胞、骨格筋幹細胞、脂肪幹細胞、腎前駆細胞、精子幹細胞等が挙げられる。この様な幹細胞としては、例えば「もっとよくわかる!幹細胞と再生医療」(羊土社、長船健二著)に記載の幹細胞を挙げることができる。
【0012】
[幹細胞培養用足場材料1]
本発明者らは上述の課題を解決するべく、幹細胞培養用足場材料の表面自由エネルギーを制御することで、上述の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明の第一の態様は、表面自由エネルギーの分散成分γ
dと双極子成分γ
pが、ある一定の範囲にある幹細胞培養用足場材料に関する。
なお、本明細書における表面自由エネルギーの分散成分γ
d及び双極子成分γ
pは、Kaelble−Uy理論式を用いて測定することができる。
ここで、Kaelble−Uyの理論式は、式(1)で表されるように、トータル表面自由エネルギーγが分散成分γ
dと、双極子成分γ
pとの和からなるとの仮定に基づく。
【0013】
【数1】
また、液体の表面の表面自由エネルギーをγ
l、固体の表面自由エネルギーをγ
s、接触角をθで表すと、次の式(2)が成り立つ。
【0014】
【数2】
従って、γ
lの成分が既知の液体を2種類用いて(本発明では純水とジヨードメタン)、幹細胞培養用足場材料に対するそれぞれの接触角θを測定し、γ
sd、γ
spに関する連立方程式を解くことにより、幹細胞培養用足場材料の分散成分γ
d、双極子成分γ
pが求められる。
上記純水の接触角は、足場材料に純水1μLを着滴させ、30秒後の液滴像を、接触角計(協和界面化学社製、DMo−701)を用いて撮影することで得ることができる。また、上記ジヨードメタンの接触角は、足場材料にジヨードメタン1μLを着滴させ、同様に30秒後の液滴像を撮影することで得ることができる。
【0015】
上記幹細胞培養用足場材料は、上記表面自由エネルギーの分散成分γ
d、及び双極子成分γ
pを好適に調整できる観点から、合成樹脂を含むことが好ましい。また、合成樹脂としては、上記表面自由エネルギーの分散成分γ
d、及び双極子成分γ
pを好適に調整できる観点から、ポリビニルアセタール骨格、ポリ(メタ)アクリル酸エステル骨格の少なくともいずれか一方を含むことが好ましい。
図1は主な合成樹脂の表面自由エネルギーの分散成分γ
dに対する双極子成分γ
pの関係をまとめた図である。
図2、
図3はそれぞれ
図1の一部拡大図である。
本発明の幹細胞培養用足場材料の表面自由エネルギーの分散成分γ
dは、24.5以上45.0未満である。上記分散成分γ
dは、28.0以上38.0以下がより好ましく、32.8以上36.0以下がさらに好ましい。
本発明の幹細胞培養用足場材料の表面自由エネルギーの双極子成分γ
pは、1.0以上20.0未満である。上記双極子成分γ
pは、1.0以上10.0以下がより好ましく、2.5以上5.0以下がさらに好ましい。
上記分散成分γ
dおよび上記双極子成分γ
pは、例えば、以下で述べる合成樹脂の骨格を適宜変更することにより制御することができる。
上記分散成分γ
dは、例えば、合成樹脂の骨格の中から、非極性官能基量を増やすことや環状構造を有する官能基を導入することで大きくすることができ、合成樹脂中のブチル基成分の量を減らすこと等により小さくすることができる。合成樹脂としては、ポリビニルアセタール骨格、ポリ(メタ)アクリル酸エステル骨格の少なくともいずれか一方を含むことが好ましい。
【0016】
双極子成分γ
pは、例えば、合成樹脂の骨格の中から、極性官能基量を増やすことや、エーテル構造を含む官能基を大きくすることができ、非極性官能基であるブチル基量を増やすことで小さくすることができる。
【0017】
[合成樹脂]
合成樹脂は、重合性モノマー(以下、単に「モノマー」ともいう)を重合(重縮合も含む)して得られるポリマー(以下、単に「ポリマー」ともいう)を主成分とするものをいう。上記ポリマーは一種または二種以上の重合性モノマーのコポリマーも含む。
【0018】
上記ポリマーとしては、例えば、(不)飽和炭化水素、芳香族炭化水素、(不)飽和脂肪酸、芳香族カルボン酸、(不)飽和ケトン、芳香族ケトン、(不)飽和アルコール、芳香族アルコール、(不)飽和アミン、芳香族アミン、(不)飽和チオール、芳香族チオール、有機ケイ素化合物等の1種以上の重合性モノマーからなるポリマーが挙げられる。
具体的な上記ポリマーとしては、例えば、ポリオレフィン、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、セルロース、ポリペプチド等が挙げられる。これらのなかでも、幹細胞の定着性の観点から、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリビニルアセタールが好ましく、ポリビニルアセタールがより好ましい。
なお、これらのポリマーは、一種類のみを用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。二種類以上のポリマーを組み合わせる場合は、二種類以上のポリマーを混合して用いてもよく、二種類以上のポリマーの骨格を化学結合させたポリマーとして用いてもよい。合成樹脂として、二種類以上のポリマーを組み合わせる場合には、ポリ(メタ)アクリル酸エステルと、ポリビニルアセタールとを組み合わせることが好ましい。
【0019】
本明細書における「(メタ)アクリル酸類」とは、(メタ)アクリル酸エステル及び(メタ)アクリル酸からなる群より選択される少なくとも1種をいう。またポリ(メタ)アクリル酸類は、そのモノマーである(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリル酸を重合することによって得られる重合体であるが、(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリル酸以外のモノマーを共重合したものも含む。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては特に限定されないが、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、(メタ)アクリルアミド類、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール類、(メタ)アクリル酸ホスホリルコリン等が挙げられる。
【0020】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソテトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、特に制限はないが、炭素原子数1〜3のアルコキシ基、テトラヒドロフルフリル基等の種々の置換基で置換されていてもよい。例としては、メトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸環状アルキルエステルとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アリールエステルとしては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記アクリルアミド類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチル(メタ)アクリルアミド、(3−(メタ)アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、4−(メタ)アクリロイルモルホリン、3−(メタ)アクリロイル−2−オキサゾリジノン、 N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、6−(メタ)アクリルアミドヘキサン酸等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール類としては、例えば、メトキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ-ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ-ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシ-ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ-トリエチレングルコール(メタ)アクリレート、エトキシ-トリエチレングルコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシ-トリエチレングルコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸ホスホリルコリンとしては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル以外のモノマーとしては、特に限定はなく、(メタ)アクリル酸、エチレン、ビニルエステル等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステルは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、本明細書において、上記(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びメタクリル酸を総称するものであり、上記(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートを総称するものとする。
なお、本発明の第一の態様は、以下で述べる第二の態様を組み合わせたものが、幹細胞の定着性を高める観点より好ましい。
【0021】
[幹細胞培養用足場材料2]
本発明者らは、鋭意検討した結果、ポリビニルアセタール樹脂を含有する合成樹脂を用いることで、上述の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の第二の態様は、合成樹脂を含有する幹細胞培養用足場材料であって、合成樹脂がポリビニルアセタール樹脂を含み、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度が60モル%よりも高い幹細胞培養用足場材料に関する。なお、本発明の幹細胞培養用足場材料には、合成樹脂のみからなる態様が含まれる。
この幹細胞培養用足場材料は、適度な親水性と強度を備えるため、幹細胞の播種後の定着性が向上する。特にフィーダー細胞や接着タンパク質を含まない無血清培地培養において、幹細胞播種後の初期定着率が向上する。
【0022】
従来、幹細胞培養用足場材料として合成樹脂を用いる場合に、合成樹脂のアセタール化度を60モル%よりも高く設定することは報告されていなかった。アセタール化度の増加に伴う水酸基の割合の低下により樹脂の親水性が低下することで、幹細胞培養用足場材料への幹細胞の播種後の定着性の低下や、または細胞培養に必要な多糖類等の透過性の低下が懸念されていたからである。ところが、本発明者等は、親水性よりも強度が重要であることを知見し、アセタール化度を60モル%よりも高く設定して幹細胞培養用足場材料の強度を向上することで、幹細胞の播種後の定着性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。以下、ポリビニルアセタール樹脂について詳細に説明する。
【0023】
(ポリビニルアセタール樹脂)
ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化することにより合成される樹脂であり、側鎖にアセチル基と水酸基、そしてアセタール基を有する。
【0024】
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は、好ましい下限が60モル%、好ましい上限は90モル%である。アセタール化度が60モル%以上であると、幹細胞の定着性に優れ、高効率に細胞増殖を行うことができる。また、アセタール化度が90モル%以下であると、溶剤への溶解性を良好なものとすることができる。より好ましい下限が65モル%、より好ましい上限が85モル%である。
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール度は
1H-NMR測定により測定可能である。
【0025】
上記アセタール化に用いられるアルデヒドとしては、炭素数1〜10の鎖状脂肪族基、環状脂肪族基又は芳香族基を有するアルデヒドが挙げられる。これらのアルデヒドとしては、従来公知のアルデヒドを使用できる。
上記アルデヒドの種類は特に限定されないが、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンタナール、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、アクロレイン、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、ペリルアルデヒド、ホルミルピリジン、ホルミルイミダゾール、ホルミルピロール、ホルミルピペリジン、ホルミルピペリジン、ホルミルトリアゾール、ホルミルテトラゾール、ホルミルインドール、ホルミルイソインドール、ホルミルプリン、ホルミルプリン、ホルミルベンゾイミダゾール、ホルミルベンゾトリアゾール、ホルミルキノリン、ホルミルイソキノリン、ホルミルキノキサリン、ホルミルシンノリン、ホルミルプテリジン、ホルミルフラン、ホルミルオキソラン、ホルミルオキサン、ホルミルチオフェン、ホルミルチオラン、ホルミルチアン、ホルミルアデニン、ホルミルグアニン、ホルミルシトシン、ホルミルチミン、ホルミルウラシルなどが挙げられる。上記アルデヒドは鎖状であっても環状であっても良い。
【0026】
上記アルデヒドはホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンタナールであることが好ましく、ブチルアルデヒドがさらに好ましい。
【0027】
ポリビニルアセタール樹脂の重合度の下限は、100が好ましく、200がより好ましく、500がさらに好ましく、1500がさらにより好ましい。重合度が上記範囲であると、細胞培養にしようする培地で膨潤しても足場材強度を好適に保つことが出来ることから、細胞増殖性が向上する。重合度の上限は6000が好ましく、3000がより好ましく、2500がさらに好ましい。重合度が上記範囲であると、取り扱い性が良く、足場材を好適に成形出来る。
【0028】
上記ポリビニルアルコールは、ビニル化合物との共重合体であっても良い。ビニル化合物としては、エチレン、アリルアミン、ビニルピロリドン、無水マレイン酸、マレイミド、イタコン酸、(メタ)アクリル酸、ビニルアミン、(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。なお、上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、上述した(メタ)アクリル酸エステルを用いることができる。
【0029】
上記ポリビニルアセタール樹脂は、ビニル化合物とのグラフト共重合体であっても良い。ビニル化合物としては、上述の化合物が挙げられる。
【0030】
上記グラフト共重合体は「ポリビニルアセタールからなるユニット」と「ビニル化合物からなるユニット」とを有するグラフト共重合体(以下、単に「グラフト共重合体」ともいう)を含有する。ビニル化合物とは、エテニル基(H
2C=CH−)を有する構成単位を有する化合物をいう。
本発明において、「ポリビニルアセタールからなるユニット」及び「ビニル化合物からなるユニット」とは、グラフト共重合体中に存在している「ポリビニルアセタール」、「ビニル化合物からなるユニット」のことをいう。また、ポリビニルアセタールからなるユニット及びビニル化合物からなるユニットからなるユニットを有するグラフト共重合体は、主鎖を構成する「ポリビニルアセタールからなるユニット」又は「ビニル化合物からなるユニット」に、該主鎖とは異なる側鎖を構成する「ポリビニルアセタールからなるユニット」又は「ビニル化合物からなるユニット」が結合した分岐状の共重合体のことをいう。
【0031】
上記グラフト共重合体の分子量としては特に制限は無いが、数平均分子量(Mn)が10000〜600000で、重量平均分子量(Mw)が20000〜1200000で、これらの比(Mw/Mn)が2.0〜40であることが好ましい。Mn、Mw、Mw/Mnがこのような範囲であると、上記幹細胞足場材料の強度が好適に保たれる。
【0032】
上記グラフト共重合体におけるアセタール化度は、例えば上記グラフト共重合体のキシレンにおける可溶分を重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、
1H-NMR測定によりアセタール化度を測定する方法が挙げられる。
【0033】
上記ポリビニルアセタール樹脂は、その一部にブレンステッド塩基性基またはブレンステッド酸性基を有することが好ましい。すなわち、ポリビニルアセタール樹脂の一部がブレンステッド塩基性基またはブレンステッド酸性基により変性されていることが好ましく、ポリビニルアセタール樹脂の一部がブレンステッド塩基性基で変性されていることがより好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の一部がブレンステッド塩基性基またはブレンステッド酸性基により変性されている場合、フィーダー細胞や接着タンパク質を含まない無血清培地培養において、幹細胞播種後の初期定着率が向上し、幹細胞の培養がし易くなる。
なお、本明細書において、ポリビニルアセタール樹脂の一部にブレンステッド塩基性基またはブレンステッド酸性基を有するポリビニルアセタール樹脂を変性ポリビニルアセタール樹脂という。
【0034】
上記ブレンステッド塩基性基は、水素イオンH
+を他の物質から受け取ることができる官能基の総称である。ブレンステッド塩基性基としては、例えば、アミン構造を有する置換基、イミン構造を有する置換基、アミド構造を有する置換基、イミド構造を有する置換基等のアミン系塩基性基が挙げられる。
従って、このようなポリビニルアセタール樹脂としては、アミン構造を有する構成単位、イミン構造を有する構成単位、アミド構造を有する構成単位、及びイミド構造を有する構成単位からなる群から選択される少なくとも一種を構成単位として含むポリビニルアセタール樹脂が好ましい。上記アミン構造を有する構成単位、イミン構造を有する構成単位、アミド構造を有する構成単位、及びイミド構造を有する構成単位の合計の含有量は、ポリビニルアセタール樹脂中、0.1モル%〜30モル%であることが好ましく、播種直後の細胞接着性の観点から、1モル%〜10モル%であることがより好ましい。
【0035】
本発明において、上記イミン構造とは、C=N結合を有する構造をいう。上記ポリビニルアセタール樹脂は、イミン構造を側鎖に有することが好ましい。また、上記イミン構造は、ポリビニルアセタール樹脂の主鎖を構成する炭素に直接結合してもよく、アルキレン基等の連結基を介して結合していてもよい。なお、上記イミン構造を側鎖に有するとは、上記イミン構造をポリビニルアセタール樹脂のグラフト鎖に有することを含む。上記イミン構造を有する構成単位としては、例えば、下記式(1)に示す構成単位が挙げられる。
【0036】
【化1】
式(1)中、R
1は、単結合、又は、アルキレン基を表し、R
2は、イミン構造を有する基を表す。
【0037】
上記式(1)中、R
1がアルキレン基である場合、該アルキレン基の炭素数の好ましい下限は1、好ましい上限は12である。上記アルキレン基の炭素数が12を超えると、最適な強度が得られないことがある。上記R
1がアルキレン基である場合、上記アルキレン基の炭素数のより好ましい上限は5である。
【0038】
上記式(1)中、R
1がアルキレン基である場合、該アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基等の直鎖状アルキレン基、メチルメチレン基、メチルエチレン基、1−メチルペンチレン基、1,4−ジメチルブチレン基等の分岐状アルキレン基、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロヘキシレン基等の環状アルキレン基等が挙げられる。なかでも、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等の直鎖状アルキル基が好ましく、メチレン基、エチレン基がより好ましい。
【0039】
上記R
2としては、下記式(2)に示す官能基が挙げられる。
【0040】
【化2】
式(2)中、R
3は水素原子又は炭素数1〜18の炭化水素基を表し、R
4は炭素数1〜18の炭化水素基を表す。
【0041】
上記炭化水素基としては、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、芳香族系炭化水素基等が挙げられる。なお、上記炭化水素基は、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、芳香族系炭化水素基のいずれか一種のみからなるものであってもよく、これらが2種以上用いられたものであってもよい。
【0042】
上記飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。なかでも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基が好ましい。
上記芳香族系炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トルイル基、キシリル基、t−ブチルフェニル基、ベンジル基等が挙げられる。
【0043】
上記変性ポリビニルアセタール樹脂において、上記イミン構造を有する構成単位中、R
1が単結合、R
3が水素原子、メチル基又はエチル基、R4がメチル基、又はエチル基又はプロピル基であることが好ましい。
【0044】
上記ポリビニルアセタール樹脂は、イミン構造を有する構成単位の含有量の好ましい下限が0.1モル%、好ましい上限が20.0モル%である。上記イミン構造を有する構成単位の含有量が0.1モル%以上であると、経時粘度安定性が良好なものとなる。上記イミン構造を有する構成単位の含有量が20.0モル%以下であると、アセタール化を充分に進行させることができる。上記イミン構造を有する構成単位の含有量のより好ましい下限は1.0モル%、より好ましい上限は15.0モル%である。
なお、上記イミン構造を有する構成単位の含有量は、
1H-NMR測定により測定することができる。
【0045】
上記ポリビニルアセタール樹脂において、イミン構造を有する構成単位の含有量と、後述するアセタール化度の比率(イミン構造を有する構成単位の含有量/アセタール化度)は、0.001〜0.5が好ましい。上記範囲内とすることで、高い強度及び優れた接着性を両立して、接着後の耐久性を向上させることが可能となる。
【0046】
上記ポリビニルアセタール樹脂は、イミノ基(=NH)構造を有する構成単位を有することが好ましい。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、上記イミノ基を側鎖に有することが好ましい。また、上記イミノ基は、ポリビニルアセタール樹脂の主鎖を構成する炭素に直接結合してもよく、アルキレン基等の連結基を介して結合していてもよい。
【0047】
上記変性ポリビニルアセタール樹脂は、アミン構造を有する構成単位又はアミド構造を有する構成単位を有することが好ましい。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂は、上記アミン構造又はアミド構造を側鎖に有することが好ましい。また、上記アミン構造又はアミド構造は、変性ポリビニルアセタール樹脂の主鎖を構成する炭素に直接結合してもよく、アルキレン基等の連結基を介して結合していてもよい。更に、上記アミン構造は第一級アミンでもよく、第二級アミンでもよく、第三級アミンでもよく、第四級アミンでもよい。これらのなかでも、幹細胞の定着性を高める観点から、第一級アミンが好ましい。
なお、上記アミン構造又はアミド構造を側鎖に有するとは、上記アミン構造又はアミド構造を変性ポリビニルアセタール樹脂のグラフト鎖に有することを意味する。
特に、上記アミン構造は、−NH
2であることが好ましい。なお、本発明において、アミド構造とは、−C(=O)−NH−を有する構造をいう。なかでも、上記アミン構造を有する構成単位は、下記式(3)に示す構造であることが好ましい。また、上記アミド構造を有する構成単位は、下記式(4)に示す構造であることが好ましい。
【0049】
【化4】
式(4)中、R
5は水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表す。なお、上記炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基が挙げられる。
【0050】
上記アミン構造又はアミド構造を有する構成単位の含有量の好ましい下限は0.1モル%、好ましい上限は20モル%である。上記アミン構造又はアミド構造を有する構成単位の含有量が0.1モル%以上であると、付加特性を充分なものとすることができる。上記含有量が20モル%以下であると、溶解性が上がりすぎることがなく、沈殿法による変性ポリビニルアセタール樹脂粉末の取り出しが容易となる。上記含有量のより好ましい下限は0.5モル%、より好ましい上限は10モル%である。なお、上記アミン構造又はアミド構造を有する構成単位の含有量は
1H-NMR測定により測定可能である。また、上記アミン構造又はアミド構造を有する構成単位と、イミン構造を有する構成単位とを合計した含有量の好ましい下限は0.1モル%、好ましい上限は20モル%である。上記含有量のより好ましい下限は0.5モル%、より好ましい上限は10モル%である。
【0051】
上記ポリビニルアセタール樹脂において、イミン構造を有する構成単位と、アミン構造又はアミド構造を有する構成単位との含有量の比率(イミン構造を有する構成単位/アミノ基又はアミド構造を有する構成単位)は、0.5/99.5〜99.5/0.5であることが好ましい。上記比率が0.5/99.5以上であると、経時粘度安定性を充分なものとすることができ、上記比率が99.5/0.5以下であると、幹細胞の定着性向上の観点より架橋性能を充分に発揮することができる。上記比率のより好ましい下限は5/95、より好ましい上限は90/10である。
【0052】
上記ブレンステッド酸性基は、水素イオンH
+を他の物質に渡すことができる官能基の総称である。
ブレンステッド酸性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、マレイン酸基、スルフィン酸基、スルフェン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、及び、それらの塩等が挙げられる。ブレンステッド酸性基としては、なかでも、カルボキシル基が好ましい。
上記ポリビニルアセタール樹脂を上記ブレンステッド酸性基により変性する方法としては特に限定されないが、上記ポリビニルアルコールを上記イタコン酸や(メタ)アクリル酸と共重合する方法、上記ポリビニルアルコールの側鎖にブレンステッド酸性基を導入する方法等によって得られる。
【0053】
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は特に限定されないが、好ましい下限が60モル%、好ましい上限は90モル%である。アセタール化度が60モル%以上であると、幹細胞の定着性に優れ、高効率に細胞増殖を行うことができる。また、アセタール化度が90モル%以下であると、溶剤への溶解性を良好なものとすることができる。より好ましい下限が65モル%、より好ましい上限が85モル%である。上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール度は
1H-NMR測定により測定可能である。
【0054】
上記ポリビニルアセタール樹脂は、アセチル基量は特に限定されず、好ましい下限が0.0001モル%、好ましい上限が5モル%である。
【0055】
上記ポリビニルアセタール樹脂を作製する方法としては、例えば、上記イミン構造を有する単量体と、酢酸ビニルとを共重合させることによって得られたポリ酢酸ビニルをケン化し得られたポリビニルアルコールを、従来公知の方法によりアセタール化する方法が挙げられる。また、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位を有するポリビニルアルコールを、従来公知の方法によりアセタール化することでイミン構造を導入する方法を用いてもよい。アミノ基又はアミド構造を有する構成単位を有するポリビニルアルコールを後変性して得られたイミン構造を有する変性ポリビニルアルコールを、従来公知の方法によりアセタール化する方法を用いてもよい。更に、未変性のポリビニルアセタール樹脂を後変性させることでイミン構造を導入してもよい。すなわち、上記変性ポリビニルアセタール樹脂は、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位を有するポリビニルアルコールのアセタール化物であってもよい。これらのなかでは、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位を有するポリビニルアルコールをアセタール化してなることでイミン構造を有する変性ポリビニルアセタール樹脂を得る方法が好ましい。特に、このような方法を用いる場合、アセタール化に使用するアルデヒド、酸触媒の量を過剰に添加することでイミン構造を得ることが出来る。
【0056】
上記アルデヒドを過剰に添加する方法では、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位を有するポリビニルアルコール100重量部に対して、アルデヒドを70〜150重量部添加することが好ましい。特に、アルデヒドとしては、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、フェニルアルデヒドが好ましい。
【0057】
上記酸触媒を過剰に添加する方法では、酸触媒を全体の0.5重量%以上添加することが好ましい。また、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位を有するポリビニルアルコール100重量部に対して、酸触媒を5.0〜70.0重量部添加することが好ましい。特に、酸触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸、パラトルエンスルホン酸が好ましい。なお、このような方法を用いる場合において、アミノ基、アミド構造を有する構成単位、イミン構造を有する構成単位を確認する方法としては、例えば、
1H-NMRで確認する方法等が挙げられる。
【0058】
上記アセタール化は、公知の方法を用いることができ、水溶媒中、水と水との相溶性のある有機溶媒との混合溶媒中、あるいは有機溶媒中で行うことが好ましい。上記水との相溶性のある有機溶媒としては、例えば、アルコール系有機溶剤を用いることができる。上記有機溶媒としては、例えば、アルコール系有機溶剤、芳香族有機溶剤、脂肪族エステル系溶剤、ケトン系溶剤、低級パラフィン系溶剤、エーテル系溶剤、アミン系溶剤等が挙げられる。上記アルコール系有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール等が挙げられる。上記芳香族有機溶剤としては、例えば、キシレン、トルエン、エチルベンゼン、安息香酸メチル等が挙げられる。
上記脂肪族エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等が挙げられる。
上記ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ベンゾフェノン、アセトフェノン等が挙げられる。上記低級パラフィン系溶剤としては、ヘキサン、ペンタン、オクタン、シクロヘキサン、デカン等が挙げられる。上記エーテル系溶剤としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。上記アミド系溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルテセトアミド、N−メチルピロリドン、アセトアニリド等が挙げられる。
上記アミン系溶剤としては、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、n−ブチルアミン、ジn−ブチルアミン、トリn−ブチルアミン、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン等が挙げられる。
これらは、単体で用いることもできるし、2種以上の溶媒を混合で用いることもできる。これらのなかでも、樹脂に対する溶解性及び精製時の簡易性の観点から、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、テトラヒドロフランが特に好ましい。
【0059】
上記アセタール化は、酸触媒の存在下において行うことが好ましい。上記酸触媒は特に限定されず、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸等の鉱酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸や、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等のスルホン酸が挙げられる。これらの酸触媒は、単独で用いられてもよく、2種以上の化合物を併用してもよい。なかでも、塩酸、硝酸、硫酸が好ましく、塩酸が特に好ましい。
【0060】
本発明の幹細胞足場材料を使用することで、上記幹細胞種は特に問わないが、幹細胞足場材料として使用することができる。なかでも、多能性幹細胞、特にiPS細胞の培養に用いられることが好ましい。フィーダー細胞や接着タンパク質を含まない無血清培地培養において、幹細胞播種後の初期定着率が向上し、幹細胞の培養を好適に行うことができる。
【0061】
[幹細胞の培養方法]
上述の幹細胞培養用足場材料によれば、様々な幹細胞を培養することができるが、その特性を考慮すると、幹細胞のなかでも多能性幹細胞の培養に用いることが好ましい。一般的に、多能性幹細胞は播種後の培養の定着率が低いとされているが、上述の幹細胞培養用足場材料は、培養培地の水分によって膨潤し難く、適度な親水性と強度を維持できるので、多能性幹細胞の播種後の定着率が向上するからである。
【0062】
幹細胞培養用足場材料は、幹細胞の培養において、平面培養(二次元培養方法)に用いることの他に、生体内により近い状態、例えば多孔質膜やハイドロゲルなどの基材上での幹細胞の培養(三次元培養方法)に用いることができる。細胞培養用足場材料をバイオリアクター等に用いることにより、効率良く幹細胞を増殖させることができるからである。
細胞培養用足場材料は、適度な親水性と強度を備えることから、二次元培養方法に用いられることが好ましい。
【0063】
平面培養(二次元培養方法)用容器としては、形状や大きさは特に限定されないが、1つまたは複数のウェル(穴)を備える細胞培養用テストプレートや、細胞培養用フラスコ等が挙げられる。上記マイクロプレートのウェルの数は限定されないが、例えば、2、4、6、12、24、48、96、384等が挙げられる。上記ウェルの形状は特に限定されないが、真円、楕円、三角形、正方形、長方形、五角形等が挙げられる。上記ウェル底面の形状は特に限定されないが、平底、丸底、凹凸等が挙げられる。
1つまたは複数のウェル(穴)を備える細胞培養用テストプレートや、細胞培養用フラスコの材質は特に限定されないが、高分子樹脂や金属、無機材料が挙げられる。上記高分子樹脂としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリイソプレン、シクロオレフィンポリマー、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン等が挙げられる。金属としては、ステンレス、銅、鉄、ニッケル、アルミ、チタン、金、銀、白金等が挙げられる。無機材料としては、酸化ケイ素(ガラス)、酸化アルミ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄、窒化ケイ素等が挙げられる。
【0064】
上述の他にも、細胞培養用足場材料は、幹細胞を培地中で自由に浮遊させて成長させる浮遊培養方法に用いることができる。
【0065】
[多能性幹細胞の培養方法]
多能性幹細胞の培養方法においては、合成樹脂を含有する幹細胞培養用足場材料上に細胞塊を播種することが好ましい。
細胞塊は、コンフルエントになった培養容器に細胞剥離剤を添加し、ピペッティングにより均一に破砕処理することで得ることが出来る。細胞剥離剤としては、特に限定されないが、エチレンジアミン/リン酸緩衝溶液が好ましい。細胞塊の大きさは50〜200μmであることが好ましい。
【0066】
[その他の実施の形態]
本発明は、上述の幹細胞培養用足場材料の他にも、その他の実施の形態として、幹細胞培養用足場材料を用いた発明が提供される。
例えば、上述の幹細胞培養用足場材料と、多糖類と、を含有する幹細胞培養用担体(媒体)が提供される。多糖類としては、特に制限なく様々な多糖類を用いることができる。なかでも水溶性多糖類が好ましい。
【0067】
細胞の培養領域の少なくとも一部に樹脂膜を備える幹細胞培養用容器であって、樹脂膜として、上述の幹細胞培養用足場材料が用いられた幹細胞培養用容器が提供される。容器としては、細胞の培養領域の少なくとも一部に樹脂膜を備えるものであれば、特に制限はなく、様々な容器を用いることができる。容器としては、上述の平面培養用容器や、バイオリアクター等を用いることができる。
【0068】
その他にも、幹細胞培養用足場材料を備える幹細胞培養用繊維が提供される。この場合、幹細胞培養用足場材料は、繊維上に塗布されていることが好ましい。また幹細胞培養用足場材料は、繊維中に含漬されたり、練り込まれている形態であってもよい。幹細胞培養用繊維は、フラスコなどの平面構造には接着しにくいが、線維(fibril)状構造などの立体構造には接着しやすい幹細胞の三次元培養方法に適している。幹細胞のなかでも、特に脂肪幹細胞の培養に適している。
【0069】
上記幹細胞培養用足場材料は架橋されていても良い。架橋されることで水膨潤性を抑制し、好適に強度を上げることができるからである。幹細胞培養用足場材料に更に架橋剤を加えて架橋させてもよい。
架橋剤としては特に限定されないが、ポリアルコールやポリカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、金属石鹸、多糖類等が挙げられる。
ポリアルコールとしては特に限定されないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、ウンデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、カテコール、ピロガロール、ジボロン酸、メチレンジボロン酸、エチレンジボロン酸、プロピレンジボロン酸、フェニレンジボロン酸、ビフェニルジボロン酸、ビスフェノール誘導体等が挙げられる。
ポリカルボン酸としては特に限定されないが、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、ポリ(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸としては特に限定されないが、グリコール酸、乳酸、タルトロン酸、グリセリン酸、ヒドロキシ酪酸、リンゴ酸、酒石酸、シトマル酸、クエン酸、イソクエン酸、ロイシン酸、メバロン酸、パントイン酸、リシノール酸、リシネライジン酸、セレブロン酸、キナ酸、シキミ酸、ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、クレオソート酸、バニリン酸、シリング酸、ピロカテク酸、レソルシル酸、プロトカテク酸、ゲンチジン酸、オルセリン酸、没食子酸、マンデル酸、ベンジル酸、アトロラクチン酸、メリロト酸、フロレト酸、クマル酸、ウンベル酸、コーヒー酸、フェルラ酸、シナピン酸、ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
金属石鹸としては特に限定されないが、ステアリン酸、ラウリン酸、リシノール酸、オクチル酸などの脂肪酸と、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウムなどの金属の塩が挙げられる。
多糖類としては特に限定されないが、ペクチン、グアーガム、キサンタンガム、タマリンドガム、カラギーナン、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロース、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、セルロース、キチン、アガロース、カラギーナン、ヘパリン、ヒアルロン酸、キシログルカン、グルコマンナン酸等が挙げられる。
【実施例】
【0070】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を説明するが本発明は以下の実施例に限定解釈されることはない。なお、得られた合成樹脂、変性ポリビニルアセタール樹脂における構成単位、例えば、アミン構造を有する構成単位の含有量(モル%)、イミン構造を有する構成単位の含有量(モル%)、アミド構造を有する構成単位の含有量(モル%)、アセタール化度(モル%)、アセチル基量(モル%)、水酸基量(モル%)、(メタ)アクリル酸エステル基量(モル%)は、合成樹脂をDMSO−d6(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、
1H-NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて測定した。
【0071】
[実施例1]
(ポリビニルブチラールの調製)
攪拌装置を備えた反応機に、イオン交換水2700mL、平均重合度250、鹸化度99モル%のポリビニルアルコールを300g投入し、攪拌しながら加熱溶解し、溶液を得た。次に、この溶液に触媒として35重量%塩酸を、塩酸濃度が0.2重量%となるように添加し、温度を15℃に調整した後、攪拌しながらn-ブチルアルデヒド(n-BA)22gを添加した。その後、n-ブチルアルデヒド(n-BA)148gを添加したところ、白色粒子状のポリビニルブチラールが析出した。析出してから15分後に、35重量%塩酸を、塩酸濃度が1.8重量%になるように添加し、50℃に加熱し、50℃で2時間熟成させた。次いで、溶液を冷却し、中和した後、ポリビニルブチラールを水洗し、乾燥させることにより、ポリビニルブチラールを得た。
得られたポリビニルブチラールは、平均重合度250、水酸基量28モル%、アセチル基量1モル%、アセタール化度71モル%であった。
【0072】
(細胞培養用容器の調製)
得られたポリビニルブチラール1gをブタノール19gに溶解させることで、ポリビニルブチラール溶液を得た。得られたポリビニルブチラール溶液150μLをφ22mmのカバーガラス(松浪社製、22丸No.1をエアダスターで除塵して使用)上に吐出し、スピンコーターを用いて2000rpm、20秒回転させて平滑な樹脂膜を得た。得られた上記樹脂膜をカバーガラスごとφ22mmのポリスチレンディッシュに配置することにより細胞培養用容器を得た。
【0073】
(表面自由エネルギー)
上記樹脂膜の表面自由エネルギーについて接触角計(協和界面化学社製、DMoー701)を用いて測定した。上記樹脂膜上に純水1μLを着滴させ、30秒後の液滴像を撮影することで純水の接触角を得た。また、上記樹脂膜上にジヨードメタン1μLを着滴させ、30秒後の液滴像を撮影することでジヨードメタンの接触角を得た。得られた上記接触角をKaelble−Uy理論を用いて表面自由エネルギーγ、分散成分γ
d、双極子成分γ
pを導出した。
【0074】
以下の条件において樹脂膜を備える細胞培養用容器について試験を行った。
(細胞培養試験の方法)
得られた細胞培養用容器にリン酸緩衝生理食塩水1mLを加えて37℃のインキュベーター内で1時間静置した。ディッシュ内のリン酸緩衝生理食塩水を除いた後、h−iPS細胞253G1を1.5×10
4を播種し、培地TeSR E8(STEM CELL社製)1mLおよび、ROCK−Inhibitor(Y27632)10μM存在下、37℃、CO
2濃度5%のインキュベーター内で培養を行った。24時間毎に培地を750μL除き、新たなTeSR E8 250μLを加え、ROCK−Inhibitor(Y27632)10μMに調整することで培地交換を行った。
【0075】
(細胞塊培養試験の方法)
得られた細胞培養用容器にリン酸緩衝生理食塩水1mLを加えて37℃のインキュベーター内で1時間静置後、培養容器内のリン酸緩衝生理食塩水を除いた。35mmディッシュにコンフルエント状態になったh−iPS細胞252G1のコロニーを加え、次に1mLの0.5mMエチレンジアミン/リン酸緩衝溶液を加え、室温で2分静置した。その後、エチレンジアミン/リン酸緩衝溶液を除き、1mLのTeSRE8培地でピペッティングにより50〜200μmに砕かれた細胞塊を1.0×10
5を培養容器に播種し、培地TeSR E8(STEM CELL社製)1mLおよび、ROCK−Inhibitor(Y27632)10μM存在下、37℃、CO
2濃度5%のインキュベーター内で培養を行った。24時間毎に培地を750μL除き、新たなTeSR E8を250μL加えることで培地交換を行った。
【0076】
(培養評価の方法)
(1)初期接着性
細胞培養試験において、細胞播種後24時間後の細胞像を位相差顕微鏡10×10倍の位相差顕微鏡(オリンパス社製、IX73)を用いて取得した。その際、培養容器内の最も平均的な接着形態を示す視野の画像の取得を行った。得られた画像を
図4の見本1〜見本10と照らし合わせて、接着細胞数と接着細胞形態を加味して初期接着性の評価を行った。なお、
図4において、見本1から見本8に向かうほど細胞が増加していることが示されている。また見本8から見本10に向かうほど、細胞の仮足が伸長し、より良好な接着状態にあることが示されている。得られた結果を
図5、6にまとめて示す。
(2)細胞増殖性
細胞培養試験において、細胞播種後5日経過後の細胞像を位相差顕微鏡10×4倍の位相差顕微鏡(オリンパス社製、IX73)を用いて取得した。その際、培養容器内の最も平均的な接着形態を示す視野の画像の取得を行った。得られた画像を
図7の見本1〜見本10と照らし合わせることで細胞増殖性の評価を行った。
図7において、細胞増殖によりコロニーが成長するほど高評価とした。なお、コロニーは横方向(画面の縦横方向)に成長し過ぎると縦方向(画面の手前側方向)に積み重なり始めるため、光の透過性が低くなる傾向がある。得られた結果を
図8、9にまとめて示す。
(3)接着維持性
細胞塊培養試験において、細胞塊の接着維持可能時間を以下の基準に従って評価した。
0:培地交換後30分未満で全ての細胞が剥離した。
1:培地交換後30分以上接着維持したが、1時間未満で全ての細胞が剥離した。
2:培地交換後1時間以上接着維持したが、24時間未満で全ての細胞が剥離した。
3:培地交換後24時間以上接着維持した。
得られた細胞塊はアルカリフォスファターゼ(ALP)染色試験により未分化性が保たれていることを確認した。
【0077】
[実施例2]
平均重合度850、鹸化度99モル%のポリビニルアルコールを使用したこと以外は、実施例1同様にして試験を行った。
【0078】
[実施例3]
平均重合度1700、鹸化度99モル%のポリビニルアルコールを使用したこと以外は、実施例1同様にして試験を行った。
【0079】
[実施例4]
平均重合度2400、鹸化度99モル%のポリビニルアルコールを使用したこと、および、n-ブチルアルデヒド(n-BA)の代わりに、アセトアルデヒドを使用すること以外は、実施例1同様にして試験を行った。
【0080】
[実施例5]
平均重合度850、鹸化度98モル%、エチレン変性度4モル%のポリビニルアルコールを使用したこと以外は、実施例1同様にして試験を行った。
【0081】
[実施例6]
平均重合度250、鹸化度99モル%、上記式(3)に示すアミノ基を有する構成単位を2モル%含有するポリビニルアルコールを使用したこと以外は、実施例1同様にして試験を行った。
【0082】
[実施例7]
平均重合度1600、鹸化度99モル%、上記式(3)に示すアミノ基を有する構成単位を2モル%含有するポリビニルアルコールを使用したこと以外は、実施例1同様にして試験を行った。
【0083】
[実施例8]
実施例1で得られた重合度約250のポリビニルアセタール100重量部、および、N−ビニルピロリドン1重量部を500重量部のテトラヒドロフランに溶解させてグラフト共重合体樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液にIrgacure184(BASF社製)0.05重量部を溶解させ、PETフィルム上に塗布した。塗布物を25℃にてアイグラフィックス社製、UVコンベア装置「ECS301G1」を用い、365nmの波長の光を積算光量2000mJ/cm
2で照射することで複合樹脂溶液を得た。得られた複合樹脂溶液を80℃、3時間真空乾燥させることで複合樹脂を得た。得られた樹脂について、カラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、約4万であった。得られた複合樹脂を3重量%ブタノール溶液に調整し、実施例1同様にして試験を行った。
【0084】
[実施例9]
ポリビニルアセタール100重量部に対してN−ビニルピロリドン10重量部を添加したこと以外は、実施例8同様にして試験を行った。得られた樹脂の重量平均分子量は約6万であった。
【0085】
[実施例10]
ポリビニルアセタール100重量部に対してN−ビニルピロリドン30重量部を添加したこと以外は、実施例8同様にして試験を行った。得られた樹脂の重量平均分子量は約5万であった。
【0086】
[実施例11]
ポリビニルアセタール100重量部に対してテトラヒドロフルフリルアクリレート5重量部を添加したこと以外は、実施例8同様にして試験を行った。得られた樹脂の重量平均分子量は約6万であった。
【0087】
[実施例12]
ポリビニルアセタール100重量部に対してメトキシエチルアクリレート5重量部を添加したこと以外は、実施例8同様にして試験を行った。得られた樹脂の重量平均分子量は約7万であった。
【0088】
[実施例13]
ポリビニルアセタール100重量部に対してブチルメタクリレート5重量部を添加したこと以外は、実施例8同様にして試験を行った。得られた樹脂の重量平均分子量は約6万。
【0089】
[実施例14]
N−イソプロピルアクリルアミド75重量部、および、ブチルメタクリレート25重量部をテトラヒドロフラン300重量部に溶解させてアクリルモノマー溶液を得た。得られたアクリルモノマー溶液にIrgacure184(BASF社製)2重量部を溶解させ、PETフィル上に塗布した。塗布物を25℃にてアイグラフィックス社製、UVコンベア装置「ECS301G1」を用い、365nmの波長の光を積算光量2000mJ/cm
2で照射することでアクリル樹脂溶液を得た。得られたアクリル樹脂溶液を80℃、3時間真空乾燥させることでアクリル樹脂を得た。得られたアクリル樹脂を3重量%ブタノール溶液に調整し、実施例1同様にして試験を行った。得られたアクリル樹脂の重量平均分子量は約10万であった。
【0090】
[実施例15]
N−イソプロピルアクリルアミド75重量部、および、ブチルメタクリレート25重量部に代えて、メトキシエチルアクリレート90重量部、および、ブチルメタクリレート10重量部を使用したこと以外は実施例14と同様にして、アクリル樹脂を得た。得られたアクリル樹脂を3重量%ブタノール溶液に調整し、実施例1同様にして試験を行った。得られたアクリル樹脂の重量平均分子量は約8万であった。
【0091】
[実施例16]
N−イソプロピルアクリルアミド75重量部、および、ブチルメタクリレート25重量部に代えて、メトキシエチルアクリレート75重量部、および、ブチルメタクリレート25重量部を使用したこと以外は実施例14と同様にして、アクリル樹脂を得た。得られたアクリル樹脂を3重量%ブタノール溶液に調整し、実施例1同様にして試験を行った。得られた樹脂の重量平均分子量は約9万であった。
【0092】
[実施例17]
N−イソプロピルアクリルアミド75重量部、および、ブチルメタクリレート25重量部に代えて、ブチルメタクリレート2重量部、および、エチルアクリレート98重量部を使用したこと以外は実施例14と同様にして、アクリル樹脂を得た。得られたアクリル樹脂を3重量%ブタノール溶液に調整し、実施例1同様にして試験を行った。得られたアクリル樹脂の重量平均分子量は約8万であった。
【0093】
[比較例1]
足場材料を用いず、ポリスチレンディッシュのみで実施例1同様にて試験を行った。
【0094】
[比較例2]
2回目のn-ブチルアルデヒド(n-BA)の添加量を148gから89gに変更したこと以外は、実施例1同様にして試験を行った。
【0095】
[比較例3]
合成樹脂として平均重合度1000、鹸化度98モル%のポリビニルアルコールを使用したこと以外は、実施例1同様にして試験を行った。
【0096】
[比較例4]
N−イソプロピルアクリルアミド100重量部、酢酸エチル75重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.5重量部を混合し、窒素雰囲気下、65℃で8時間重合を行うことでポリアクリルアミド樹脂を得た。得られた樹脂について、カラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、約9万(重合度約800)であった。その他の操作は実施例1同様にして試験を行った。
【0097】
[比較例5]
N−イソプロピルアクリルアミド100重量部に代えてエチルアクリレート100重量部を使用したこと以外は比較例4と同様にして試験を行った。
【0098】
[比較例6]
N−イソプロピルアクリルアミド100重量部に代えてブチルメタクリレート100重量部を使用したこと以外は比較例4と同様にして試験を行った。得られた樹脂の重量平均分子量は約9万であった。
【0099】
[比較例7]
ポリビニルアセタール30重量部に対してN−ビニルピロリドン70重量部を添加したこと以外は、実施例8同様にして試験を行った。得られた樹脂の重量平均分子量は約9万であった。
【0100】
得られた結果をまとめて表1、表2に示す。
図5、
図6に播種後24時間後の細胞の位相差顕微鏡写真を示す。
図8、
図9に播種後5日後の細胞の位相差顕微鏡写真を示す。なお、いずれの実施例及び比較例においても分化した細胞は観察されなかった。
【表1】
【表2】