(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
部品実装機で使用される複数の吸着ノズルに対して所定の処理を実行する外部処理装置に適用され、前記部品実装機に着脱可能に設置されて複数の前記吸着ノズルを保持するノズルステーションを対象とし、前記部品実装機から取り外された前記ノズルステーションを設置するノズルステーション設置装置であって、
前記ノズルステーションを設置可能な複数の基準ベースと、
前記基準ベース上に着脱可能に設けられ、前記吸着ノズルに対する規定の回復処理を実行する回復処理装置の専用カートリッジのみを載置可能に形成された専用中間ベースと、
を備えるノズルステーション設置装置。
前記専用中間ベースには、前記基準ベースに設置された場合に当該基準ベースに対して一定の位置関係となる部位に2Dコードが配置される、請求項1に記載のノズルステーション設置装置。
前記専用カートリッジには、当該専用カートリッジが前記回復処理装置に搬入された場合に、前記回復処理装置におけるカートリッジ載置部に設けられた一対の位置決めピンに係合する一対の位置決め穴が形成され、
前記専用中間ベースには、前記専用カートリッジが前記外部処理装置に搬入された場合に、前記一対の位置決めピンに係合する一対の位置決め穴が形成される、請求項1または2に記載のノズルステーション設置装置。
前記専用カードリッジの上面には、前記外部処理装置に搬入された前記専用カートリッジの位置を示す位置補正マークが付される、請求項1−4の何れか一項に記載のノズルステーション設置装置。
前記専用中間ベースの上面には、前記基準ベースに前記専用中間ベースが設置された場合に当該基準ベースに対して一定の位置関係となる部位に配置され、前記専用中間ベースの識別符号を含む2Dコードが付される、請求項1−5の何れか一項に記載のノズルステーション設置装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のノズル洗浄装置およびノズルステーション設置装置を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。ノズル洗浄装置は、部品実装機で使用される吸着ノズルを洗浄するとともに、吸着ノズルの検査や保管などに用いられる外部処理装置である。ノズルステーション設置装置は、ノズル洗浄装置に適用され、部品実装機から取り外されたノズルステーションの設置に用いられる。
【0011】
<実施形態>
(1.部品実装機10)
部品実装機10は、フィーダにより供給された電子部品を吸着ノズル90により保持して、この電子部品を回路基板上の所定位置に装着する装置である。吸着ノズル90は、部品実装機10における移載装置に着脱可能に設けられ、実装対象の電子部品の種別などに応じて適宜交換される。吸着ノズル90は、サイズや形状の異なる種類に対応するノズルステーション11A,11Bに保持される(
図1を参照)。
【0012】
(1−1.吸着ノズル90)
吸着ノズル90は、
図2に示すように、胴体軸91、フランジ92、ノズル軸93、および2Dコード94を有する。胴体軸91は、筒状に形成される。胴体軸91は、部品実装機10の移載装置に保持される本体部として機能する。フランジ92は、円盤状からなり、胴体軸91の軸方向の一端側(
図2の下側)に設けられる。フランジ92の外周縁の一部には、吸着ノズル90の中心側に凹んだノッチ92aが形成される。
【0013】
ノズル軸93は、胴体軸91から軸方向に延伸する管状に形成される。ノズル軸93は、電子部品に接触して保持する部位である。ノズル軸93は、胴体軸91に対して軸方向に進退可能に構成される。ノズル軸93は、図示しない弾性部材により胴体軸91から進出する方向に付勢されている。ノズル軸93は、先端部に胴体軸91側への荷重を加えられた場合に、上記の弾性部材による弾性力に抗して胴体軸91の内部に後退する。2Dコード94は、フランジ92の上面に付される。2Dコード94には、吸着ノズル90の識別符号(ID)や種別などの固有情報が含まれる。
【0014】
(1−2.ノズルステーション11A,11B)
横型のノズルステーション11Aおよび縦型のノズルステーション11Bのそれぞれは、部品実装機10の基台に着脱可能に設置される。ノズルステーション11A,11Bは、
図3に示すように、全体形状として直方体をなすようにそれぞれ形成される。ノズルステーション11A,11Bは、ノズル軸93が下方に向けられた姿勢にある吸着ノズル90を保持する複数の保持穴12をそれぞれ有する。なお、
図3においては、保持穴12に保持される吸着ノズル90が省略されている。
【0015】
また、ノズルステーション11A,11Bの上面における規定の位置には、2Dコード15が付される。2Dコード15には、ノズルステーション11A,11Bの識別符号(ID)や種別などの固有情報が含まれる。2Dコード15は、ノズルステーション11A,11Bが部品実装機10や後述するノズルステーション設置装置40に設置された状態において、部品実装機10等における基準位置に対して一定の位置関係となる位置に配置される。
【0016】
(2.ノズル洗浄装置20)
ノズル洗浄装置20は、
図1に示すように、部品実装機10に対する外部装置である。ノズル洗浄装置20は、本実施形態において、複数の吸着ノズル90の保持した状態にあるノズルステーション11A,11Bを搬入されて、当該吸着ノズル90を対象とした洗浄、検査、および保管を行う。
【0017】
また、ノズル洗浄装置20は、保管されている吸着ノズル90を要求に応じてノズルステーション11A,11Bに移載して、段取り替えを支援する機能を有する。ノズル洗浄装置20は、洗浄ユニット21、検査ユニット22、ノズルストッカー23、排出ボックス24、ノズル移載装置30、ノズルステーション設置装置40、および制御装置70を備える。
【0018】
(2−1.洗浄ユニット21)
洗浄ユニット21は、部品実装機10で使用される吸着ノズル90を洗浄する。より詳細には、洗浄ユニット21は、ノズル移載装置30により洗浄用のパレットに移載された吸着ノズル90の内部に高圧の水を流通させて、また吸着ノズル90の外面に高圧の水を噴射して洗浄する。また、洗浄ユニット21は、洗浄された吸着ノズル90に温風を吹き付けて、吸着ノズル90を乾燥させる機能を有する。
【0019】
(2−2.検査ユニット22)
検査ユニット22は、洗浄ユニット21により洗浄された吸着ノズル90の状態を検査する。上記の吸着ノズル90の状態には、本実施形態において、先端状態、摺動状態、流通状態、および2Dコード状態が含まれる。より詳細には、吸着ノズル90の先端状態とは、ノズル軸93に異物が付着していないか、またはノズル軸93に欠けがないかなどの状態である。吸着ノズル90の先端状態は、カメラの撮像による画像データを用いた外観により検査される。
【0020】
また、吸着ノズル90の摺動状態とは、ノズル軸93の先端部に胴体軸91側への荷重を加えた場合に、胴体軸91の内周面にノズル軸93の外周面が摺動して後退する際の抵抗力や当該抵抗力の変動などの状態である。吸着ノズル90の摺動状態は、ロードセルを用いた測定などにより検査される。
【0021】
また、吸着ノズル90の流通状態とは、吸着ノズル90の内部を流通可能な流量の状態である。吸着ノズル90の流通状態は、洗浄後に洗浄用のパレットに保持された吸着ノズル90に規定の圧力の流体を供給して、当該流体の流量を測定して検査される。また、吸着ノズル90の2Dコード状態とは、吸着ノズル90に付された2Dコード94の状態である。吸着ノズル90の2Dコード状態は、カメラの撮像による画像データを用いたコード読み取りにより検査される。
【0022】
(2−3.ノズルストッカー23)
ノズルストッカー23は、ノズル移載装置30により保管用のパレット23aに移載された吸着ノズル90を収納および取り出し可能に保管する。ノズルストッカー23は、複数の保管用のパレット23aを備える。ノズルストッカー23は、保管用のパレット23aを、図示しないパレットキャリアにより移動可能に保持し、要求に応じてノズル移載装置30が取り出し可能な位置に所定の保管用のパレット23aを移動させる。
【0023】
(2−4.排出ボックス24)
排出ボックス24は、ノズル洗浄装置20に取り外し可能に設置される。排出ボックス24は、検査ユニット22による検査結果に基づいて不良と判定された吸着ノズル90のうち回復処理の対象とならないものを溜め置きする。排出ボックス24は、複数の空間に区画されており、例えば不良要因ごとの仕分けに利用される。
【0024】
(2−5.ノズル移載装置30)
ノズル移載装置30は、洗浄ユニット21、検査ユニット22、ノズルストッカー23、排出ボックス24、およびノズルステーション設置装置40との間で吸着ノズル90を移載する。ノズル移載装置30は、移載ヘッド31および保持チャック32を備える。移載ヘッド31は、3次元方向に移動可能な移動機構に設けられる。
【0025】
保持チャック32は、移載ヘッド31に着脱可能に設けられ、吸着ノズル90を1本ずつ把持して保持する。保持チャック32は、移載ヘッド31の駆動によって、保持チャック32の軸線周りに回転可能に構成される。また、移載ヘッド31には、吸着ノズル90などに付された各種の2Dコードを撮像可能なカメラが一体的に設けられている。
【0026】
(2−6.ノズルステーション設置装置40)
ノズルステーション設置装置40は、各種のノズルステーション11A,11Bを対象とし、部品実装機10から取り外されたノズルステーション11A,11Bをノズル洗浄装置20の機内における設置に用いられる。ノズルステーション設置装置40は、3つの基準ベース41、異なる種類の中間ベース50A,50B、およびアタッチメント60を備える。
【0027】
3つの基準ベース41は、異なる種類のノズルステーション11A,11Bを直接または間接的に設置可能な部材である。3つの基準ベース41は、本実施形態において、同一の構成からなり、X方向に一定の間隔を有して配置される。3つの基準ベース41の各々の上面には、上方に突起した一対の位置決めピン41aが共通の位置に形成されている。
【0028】
また、3つの基準ベース41の各々には、複数の着座センサが設けられている。制御装置70は、それぞれの着座センサによる検出信号を入力し、当該検出信号に基づいて、中間ベース51A,51Bが載置された状態や直接的にノズルステーションが載置された状態などを認識可能に構成される。
【0029】
異なる種類の中間ベース50A,50Bは、
図3に示すように、扁平な矩形状に形成される。中間ベース50A,50Bは、何れかの基準ベース41上に着脱可能に載置される。中間ベース50A,50Bには、基準ベース41の一対の位置決めピン41aに係合する一対の位置決め穴51が形成されている。
【0030】
ここで、横型用の中間ベース50Aは、横型のノズルステーション11Aに対応する。また、縦型用の中間ベース50Bは、縦型のノズルステーション11Bに対応する。中間ベース50A,50Bは、下面に図示しないマグネットを設けられ、金属製の基準ベース41との間でマグネットの磁力により固定される。
【0031】
中間ベース50A,50Bは、ノズルステーション11A,11Bを固定する係合金具52および押付金具53を有する。係合金具52および押付金具53は、Y方向に互いに離間して配置されている。係合金具52は、中間ベース50A,50B上に固定されている。押付金具53は、中間ベース50A,50Bに対してY方向に移動可能に支持される。押付金具53は、図示しない弾性部材によって係合金具52に接近する方向に付勢されている。
【0032】
このような構成によると、ノズルステーション11A,11Bが中間ベース50A,50Bに載置される場合には、ノズルステーション11A,11Bの下面に設けられた係合部が係合金具52および押付金具53との間に挟み込まれて固定される。また、図示しない大型のノズルステーションを基準ベース41に載置する場合には、中間ベース50A,50Bを介することなく直接的に基準ベース41に当該大型のノズルステーションが位置決め固定される。
【0033】
アタッチメント60は、何れかの基準ベース41上に着脱可能に載置される。アタッチメント60は、後述する超音波洗浄装置80に専用カートリッジ81A,81Bのみを載置可能に形成され、当該専用カートリッジ81A,81Bを基準ベース41に固定する専用中間ベースである。アタッチメント60の上面には、
図4に示すように、上方に突起した一対の位置決めピン61が形成されている。
【0034】
また、アタッチメント60の上面には、平面状の上面を有する一対の支柱62が形成されている。支柱62の高さは、アタッチメント60に専用カートリッジ81A,81Bが載置された状態において、当該専用カートリッジ81A,81Bの上面高さが中間ベース50A,50Bに載置されたノズルステーション11A,11Bの上面高さと概ね同一となるように設定されている。
【0035】
アタッチメント60には、専用カートリッジ81A,81Bが載置された状態において、当該専用カートリッジ81A,81Bの脱落を防止する一対のロック機構63が設けられている。一対のロック機構63は、図示しない弾性部材の弾性力により専用カートリッジ81A,81Bを支柱62の上面に押し付けて固定している。また、アタッチメント60の上面には、2Dコード64が付される。2Dコード64には、基準ベース41に当該アタッチメント60が載置されていることを示すアタッチメント60の識別符号(ID)などが含まれる。
【0036】
また、2Dコード64は、本実施形態において、アタッチメント60が基準ベース41に設置された場合に、当該基準ベース41に対して一定の位置関係となる部位に配置される。より具体的には、2Dコード64は、中間ベース50Aを介して基準ベース41に設置された横型のノズルステーション11Aに付された2Dコード15と同様に、対応する基準ベース41に対して一定の位置関係となる位置(高さを含む)に配置される。
【0037】
(2−7.制御装置)
制御装置70は、主として、CPUや各種メモリ、制御回路により構成されるコントローラである。制御装置70は、外部装置であるホストコンピュータと通信可能に接続され、各種の情報を共有する構成としてもよい。制御装置70は、
図1に示すように、判定部71および管理部72を有する。
【0038】
判定部71は、検査ユニット22による規定の検査の結果に基づいて、吸着ノズル90に対する規定の回復処理の要否を判定する。ここで、「回復処理」とは、例えば検査ユニット22による検査によって、不良と判定された吸着ノズル90を再利用の可否を検査ユニット22により再検査される状態にする処理である。具体的には、吸着ノズル90の先端に洗浄ユニット21による洗浄では除去できない汚れが付着している場合に、回復処理として、超音波洗浄などの特殊な洗浄が実行される。
【0039】
判定部71は、検査ユニット22による検査の結果に基づいて、即ち不良要因が回復処理を実行する対象であるか否かなどに基づいて、回復処理の要否を判定する。制御装置70は、判定部71によって回復処理が必要と判定された吸着ノズル90を、回復処理を実行する回復処理装置の専用カートリッジに収集する。本実施形態において、回復処理装置は、後述する超音波洗浄装置80である。また、上記の専用カートリッジは、アタッチメント60を介して基準ベース41に設置された超音波洗浄用の専用カートリッジ81A,81Bである。
【0040】
管理部72は、超音波洗浄用の専用カートリッジ81A,81Bにおいて吸着ノズル90を保持する保持穴82aのそれぞれに、検査ユニット22による検査の結果を関連付けて記憶する(
図8を参照)。判定部71および管理部72の動作の詳細については、制御装置70による吸着ノズル90のメンテナンス制御において説明する。
【0041】
(3.超音波洗浄装置80)
超音波洗浄装置80は、有機溶媒などの洗浄液に対象物を浸漬させた状態で、洗浄液に超音波を伝動させて対象物の洗浄を行う。具体的には、超音波洗浄装置80は、複数の吸着ノズル90を保持した専用カートリッジ81A,81Bを洗浄液に浸漬させる。そして、超音波洗浄装置80は、所定の周波数の超音波を発生させて、複数の吸着ノズル90に付着した汚れなどを除去する。
【0042】
このように、超音波洗浄装置80は、
図1に示すように、ノズル洗浄装置20の外部に設けられ、ノズル洗浄装置20の洗浄ユニット21とは異なる洗浄処理を吸着ノズル90の回復処理として実行する外部洗浄装置である。また、超音波洗浄装置80は、上述したように、吸着ノズル90のサイズや形状に対応して種類の異なる専用カートリッジ81A,81Bを有する。
【0043】
(3−1.専用カートリッジ81A,81B)
専用カートリッジ81A,81Bは、
図5および
図6に示すように、ベースプレート82と、ベースプレート82の上面を覆うカバープレート83を有している。カバープレート83は、ベースプレート82に対して
図5の矢印方向および
図6の前後方向に摺動可能に構成される。
【0044】
ベースプレート82は、吸着ノズル90を特定の姿勢で配列して保持可能な複数の保持穴82a(本発明の「保持部」に相当する)を複数有する。複数の保持穴82aは、ベースプレート82の縦方向および横方向に一定の間隔を有して設けられている。保持穴82aは、段付穴であり、段付穴の段差面に吸着ノズル90のフランジ92が載置される。
【0045】
また、保持穴82aの段差面には、フランジ92に形成されたノッチ92aに係合する図略のピンが設けられている。当該ピンとノッチ92aとの係合によって、吸着ノズル90は定められた角度で、専用カートリッジ81A,81Bに載置されるとともに、載置後における吸着ノズル90の回転が規制される。
【0046】
カバープレート83には、保持穴82aに対応して波状の係止溝83aが形成される。係止溝83aの溝幅は、最も広い部位が保持穴82aの内径より僅かに大きく、最も狭い部位が吸着ノズル90のフランジ92より所定量だけ小さく設定される。ベースプレート82に対するカバープレート83の摺動により、保持穴82aの上方における係止溝83aの溝幅が変動する。これにより、ベースプレート82に対するカバープレート83の位置によって、吸着ノズル90の通過を許容または規制する。
【0047】
また、専用カートリッジ81A,81Bには、一対の位置決め穴84が形成されている。一対の位置決め穴84は、専用カートリッジ81A,81Bが超音波洗浄装置80に搬入された場合には、超音波洗浄装置80におけるカートリッジ載置部(不図示)に設けられた一対の位置決めピンに係合する。また、一対の位置決め穴84は、専用カートリッジ81A,81Bがノズル洗浄装置20に搬入された場合には、ノズルステーション設置装置40の基準ベース41に設置されたアタッチメント60の一対の位置決めピン61に係合する。
【0048】
ここで、2種類の専用カートリッジ81A,81Bは、保持する対象の吸着ノズル90の種別が相違する。一方で、2種類の専用カートリッジ81A,81Bは、共通のアタッチメント60に載置され、当該アタッチメント60を介してノズルステーション設置装置40の基準ベース41に載置され、不良と判定されて回復処理を必要とされる吸着ノズル90の収集に用いられる。つまり、専用カートリッジ81A,81Bは、超音波洗浄装置80における洗浄処理、およびノズル洗浄装置20における吸着ノズル90の収集に共用される。
【0049】
また、専用カートリッジ81A,81Bの上面には、認識マーク85および位置補正マーク86が付される。認識マーク85には、専用カートリッジ81A,81Bの種別などが含まれる。位置補正マーク86は、ノズル移載装置30等が専用カートリッジ81A,81Bに対して吸着ノズル90を取り出したり保持させたりする際に、専用カートリッジ81A,81Bの位置を正確に認識するために用いられる。なお、認識マーク85および位置補正マーク86は、超音波洗浄装置80による洗浄に耐えうるように、レーザマーキングや打ち抜き加工などにより上面に付されている。
【0050】
(4.メンテナンス制御)
上記のノズル洗浄装置20による吸着ノズル90に係るメンテナンス制御について説明する。ここでは、部品実装機10で使用された複数の吸着ノズル90がノズルステーション11Aに保持された状態でノズル洗浄装置20に搬入された状態とする。また、吸着ノズル90に係るメンテナンスとしては、洗浄、検査、および収納を実行する運転モードが選択されているものとする。
【0051】
ノズル洗浄装置20の制御装置70は、先ず、
図7に示すように、当該運転モードに応じた準備処理を実行する(ステップ11(以下、「ステップ」を「S」と表記する))。準備処理において、制御装置70は、ノズルステーション設置装置40に設置されているノズルステーション11Aおよびアタッチメント60に付された2Dコード15,64を読み取り、それぞれが設置された位置およびそれぞれの種別を取得する。
【0052】
ここで、アタッチメント60には、基準ベース41にアタッチメント60が設置された場合に、当該基準ベース41に対して一定の位置関係となる部位に2Dコード64が配置される。ノズル洗浄装置20は、2Dコード64に含まれる情報に基づいて基準ベース41にアタッチメント60が設置された位置などの状態を認識する。
【0053】
次に、制御装置70は、洗浄ユニット21による洗浄処理を実行する(S12)。詳細には、制御装置70は、ノズル移載装置30を駆動させて、ノズルステーション11Aから洗浄用のパレットに全ての吸着ノズル90を移載する。その後に、洗浄ユニット21が稼働されて、吸着ノズル90が洗浄および乾燥される。
【0054】
続いて、制御装置70は、ノズル移載装置30を駆動させて、洗浄用のパレットから一の吸着ノズル90を保持させる(S13)。そして、制御装置70は、保持した吸着ノズル90を対象として、検査ユニット22による検査処理を実行する(S14)。検査ユニット22は、予め設定された規定の検査を行う。具体的には、検査ユニット22は、吸着ノズル90の状態について、先端検査、摺動検査、流量検査、ノズル固着検査、ノズル高さ検査、および2Dコード読み取り検査を順次行う。
【0055】
制御装置70の判定部71は、検査ユニット22による検査の結果を取得し、当該結果に基づいて、当該吸着ノズル90が不良であるか否かを判定する(S15)。具体的には、判定部71は、上記の検査のうち何れか一つでも適正でない場合には、不良と判定する。吸着ノズル90が不良でないと判定された場合には(S15:N)、制御装置70は、ノズル移載装置30を駆動させて、保持している吸着ノズル90をノズルストッカー23における保管用のパレット23aの特定位置に移載する(S16)。
【0056】
一方で、判定部71により吸着ノズル90が不良と判定された場合には(S15:Y)、判定部71は、規定の回復処理の要否を判定する(S21)。ここでは、「回復処理」は、超音波洗浄装置80による洗浄処理であるものとする。判定部71は、上記の検査のうち超音波洗浄により回復する可能性があるか否かにより回復処理の要否を判定する。具体的には、例えば先端検査によりノズル軸93の先端部に異物が付着していると認識された場合、摺動検査により吸着ノズル90の摺動部(胴体軸91の内周面とノズル軸93の外周面との間)に汚れが侵入していると認識されたときが想定される。
【0057】
判定部71によって超音波洗浄装置80による洗浄処理が必要と判定された場合には(S21:Y)、当該吸着ノズル90は、基準ベース41にアタッチメント60を介して設置された専用カートリッジ81Aの特定位置(特定の保持穴82a)に移載される(S22)。このとき、制御装置70は、準備処理(S11)における2Dコード64の読み取りなどにより取得したアタッチメント60の状態、および当該アタッチメント60に載置された専用カートリッジ81Aの位置に基づいて、ノズル移載装置30の駆動を制御して、専用カートリッジ81Aに吸着ノズル90を移載する。
【0058】
一方で、判定部71によって超音波洗浄装置80による洗浄処理が不要と判定された場合には(S21:N)、当該吸着ノズル90は、排出ボックス24の特定の箇所に不良要因に基づいて仕分けられる(S23)。続いて、制御装置70の管理部72は、上記のように保管用のパレット23a、専用カートリッジ81A、または排出ボックス24に検査された吸着ノズル90を移載した後に、当該吸着ノズル90の管理処理を実行する(S17)。詳細には、管理部72は、移載した保管用のパレット23aの特定位置(載置穴)、専用カートリッジ81Aの保持穴82a、または排出ボックス24の区画に、吸着ノズル90の個別情報、検査の結果等を関連付けて、収容ノズル情報(
図8を参照)を更新する。
【0059】
制御装置70は、洗浄用のパレットに保持された全ての吸着ノズル90について、検査処理(S14)が行われたか否かを判定する(S18)。制御装置70は、全ての吸着ノズル90について検査処理(S14)および移載処理(S16,S22,S23)がなされるように、上記の処理(S13〜18,S21〜S23)を繰り返す。これにより、洗浄処理(S12)を経て正常と判定された吸着ノズル90は、保管用のパレット23aに収集され、ノズルストッカー23に収納される。
【0060】
また、判定部71により不良で且つ回復処理(超音波洗浄処理)が必要と判定された吸着ノズル90が超音波洗浄装置80の専用カートリッジ81Aに収集される。このとき、それぞれの吸着ノズル90について管理処理(S17)が実行されているため、例えば、作業者は、収集された吸着ノズル90と検査結果を照合して、吸着ノズル90の目視確認をすることができる。また、検査結果に加えて、検査処理(S14)にて用いられた画像データなどを併せて表示して、作業者に対して回復処理の必要性の確認を促すことができる。
【0061】
そして、収集された複数の吸着ノズル90は、アタッチメント60から専用カートリッジ81Aごと取り外されて、超音波洗浄装置80に搬入されて洗浄処理を実行される。また、超音波洗浄装置80により回復処理(超音波洗浄処理)を実行された吸着ノズル90は、超音波洗浄装置80から専用カートリッジ81Aごと取り外されて、ノズル洗浄装置20に搬入される。そして、当該専用カートリッジ81Aがアタッチメント60を介してノズルステーション設置装置40の基準ベース41に設置される。そして、ノズル洗浄装置20は、不良であった吸着ノズル90が再利用可能であるかを再検査する。
【0062】
具体的には、例えば、ノズル洗浄装置20は、上記の洗浄を除いた、検査および収納を実行する運転モードが選択される。これにより、何れの検査においても適正であり不良でないと判定された吸着ノズル90は、再利用可能であるため、保管用のパレット23aの特定位置に移載される。一方で、再検査においても不良と判定された吸着ノズル90は、排出ボックス24の特定の箇所に不良要因に基づいて仕分けられる。
【0063】
(5.実施形態の構成による効果)
ノズル洗浄装置20は、部品実装機10で使用される吸着ノズル90を洗浄する洗浄ユニット21と、洗浄ユニット21により洗浄された吸着ノズル90の状態を検査する検査ユニット22と、検査の結果に基づいて吸着ノズル90に対する規定の回復処理の要否を判定する判定部71と、を備える。ノズル洗浄装置20は、判定部71によって回復処理が必要と判定された吸着ノズル90を、回復処理を実行する回復処理装置(超音波洗浄装置80)の専用カートリッジ81A,81Bに収集(S22)する。
【0064】
このような構成によると、ノズル洗浄装置20は、回復処理として超音波洗浄処理が必要と判定された吸着ノズル90を専用カートリッジ81A,81Bに直接的に集約する(S22)。このような構成により、専用カートリッジ81A,81Bの搬送によって、ノズル洗浄装置20と回復処理装置(超音波洗浄装置80)との間で吸着ノズル90を搬入および搬出が可能となる。よって、回復処理への移行を含む作業の作業効率を向上できる。
【0065】
より詳細には、専用カートリッジをノズルステーション設置装置に載置できない構成では、排出ボックスから作業者が一つ一つ吸着ノズルを採取して専用カートリッジに載せ換えるなどの作業を要していた。これに対して、本実施形態の構成によると、専用カートリッジ81A,81Bへの載せ換え作業を省略できるので、作業効率を向上できる。また、作業者が吸着ノズル90に接触する作業が省略されるので、洗浄後における汚れの再付着を防止して、吸着ノズル90の管理性を向上できる。
【0066】
また、回復処理装置は、ノズル洗浄装置20の外部に設けられ、洗浄ユニット21とは異なる洗浄処理を回復処理として実行する外部洗浄装置(超音波洗浄装置80)である。専用カートリッジ81A,81Bは、外部洗浄装置(超音波洗浄装置80)における洗浄処理、およびノズル洗浄装置20における吸着ノズル90の収集(S22)に共用される。
【0067】
このような構成によると、外部洗浄装置である超音波洗浄装置80とノズル洗浄装置20との間における吸着ノズル90の搬入および搬出を簡易にすることができる。また、ノズル洗浄装置20は、超音波洗浄装置80における洗浄装置に用いられる専用カートリッジ81A,81Bに直接的に、洗浄処理を必要とする吸着ノズル90を収集する(S22)。よって、超音波洗浄処理への移行および超音波洗浄処理後の再検査への移行を含む作業の作業効率を向上できる。
【0068】
また、ノズル洗浄装置20は、部品実装機10に着脱可能に設置されて複数の吸着ノズル90を保持するノズルステーション11A,11Bを対象とし、部品実装機10から取り外されたノズルステーション11A,11Bを設置するノズルステーション設置装置40をさらに備える。ノズルステーション設置装置40は、ノズルステーション11A,11Bを設置可能な複数の基準ベース41と、基準ベース41上に着脱可能に設けられ、専用カートリッジ81A,81Bのみを載置可能に形成された専用中間ベース(アタッチメント60)と、を備える。
【0069】
このような構成によると、ノズルステーション11A,11Bを設置するために用いられる基準ベース41を、アタッチメント60を介することによって専用カートリッジ81A,81Bの載置に兼用できる。これにより、新たに専用カートリッジ81A,81Bを載置するスペースを確保することなく、専用カートリッジ81A,81Bをノズル洗浄装置20の機内に載置することができる。また、ノズル洗浄装置20の作業において専用カートリッジ81A,81Bの載置が不要の場合には、アタッチメント60を取り外すことによって、基準ベース41をノズルステーション11A,11Bの設置に利用できるので、複数の基準ベース41を必要に応じて有効利用できる。
【0070】
また、専用中間ベース(アタッチメント60)には、基準ベース41に設置された場合に当該基準ベース41に対して一定の位置関係となる部位に2Dコード64が配置される。ノズル洗浄装置20は、2Dコード64に含まれる情報に基づいて基準ベース41に専用中間ベース(アタッチメント60)が設置された状態を認識して(S11)、当該専用中間ベース(アタッチメント60)に載置された専用カートリッジ81A,81Bに吸着ノズル90を収集する(S22)。
【0071】
このような構成によると、2Dコード64の配置位置に対応して読み取りを行うことが可能となる。これにより、読み取りを含む準備処理(S11)を効率的に行うことができる。また、2Dコード64に含まれる情報に基づいて、基準ベース41にアタッチメント60が設置されているか否かを認識することが可能となる。これにより、吸着ノズル90の収集(S22)における誤作動を防止して、回復処理が必要な吸着ノズル90を確実に専用カートリッジ81A,81Bに収集することができる。
【0072】
また、専用カートリッジ81A,81Bは、吸着ノズル90を特定の姿勢で配列して保持可能な保持部(保持穴82a)を複数有する。ノズル洗浄装置20は、専用カートリッジ81A,81Bにおいて吸着ノズル90を保持する保持部(保持穴82a)のそれぞれに、検査ユニット22による検査の結果を関連付けて記憶する管理部72をさらに備える。
【0073】
このような構成によると、専用カートリッジ81A,81Bに収集されたそれぞれの吸着ノズル90に検査結果を対応させて管理することができる。これにより、例えば、回復処理が必要と判定された吸着ノズル90について、異物の付着の度合いなどを含む状態を作業者に提示して、対応する吸着ノズル90の視認を促すことができる。このとき、検査処理(S14)にて用いられた画像データを併せて表示してもよい。
【0074】
より詳細には、不良と判定された吸着ノズルを排出ボックスに単に仕分けて溜め置く構成では、同一の区画内の吸着ノズル90を個々に見分けることが困難であった。これに対して、本実施形態の構成によると、不良と判定された吸着ノズル90と検査結果などの各種情報を照合しやすく、検査や判定の妥当性を確認することができる。よって、回復処理の必要性の確認や判定基準の調整などが容易となり、吸着ノズル90を対象とした管理性をさらに向上できる。
【0075】
<実施形態の変形態様>
(回復処理および回復処理装置について)
実施形態において、回復処理は、超音波洗浄装置80による超音波洗浄処理であるものとした。そのため、当該回復処理の要否については、先端検査や摺動検査の結果に基づいて判定されるものとした(S21)。これに対して、回復処理としては、種々の処理が適用され得る。
【0076】
具体的には、回復処理は、超音波洗浄装置80と異なる外部洗浄装置による洗浄処理、不良の要因の究明のための精密検査装置による精密検査処理、吸着ノズル90の2Dコード94の読み取り不良を改善するためのコードリペア機による2Dコードの貼付処理などが含まれる。よって、回復処理の要否の判定(S21)において用いられる検査結果は、回復処理の態様に応じて適宜選択される。
【0077】
また、何れの回復処理においても、回復処理装置(上記の例における外部洗浄装置、精密検査装置、コードリペア機)に適合された専用カートリッジは、ノズルステーション設置装置40に専用中間ベース(アタッチメント60)を介することによって基準ベース41に設置可能とされる。
【0078】
また、回復処理装置は、ノズル洗浄装置20の外部装置に限られず、ノズル洗浄装置20の機内に設けられる構成としてもよい。例えば、回復処理装置としては、通常の洗浄モードとは異なる洗浄モードを実行する洗浄ユニット21であったり、ノズル洗浄装置20に一体的に設けられたリペアユニットであったりする構成も想定される。
【0079】
(ノズルステーション設置装置40について)
実施形態において、ノズルステーション設置装置40は、部品実装機10で使用される複数の吸着ノズル90に対して所定の処理を実行する外部処理装置(ノズル洗浄装置20)に適用される。これに対して、ノズルステーション設置装置は、ノズル洗浄装置20以外にも吸着ノズル90に対して所定の処理を実行する外部処理装置であれば適用することができる。
【0080】
上記の外部処理装置としては、例えば吸着ノズル90を保管するノズル保管装置、吸着ノズル90の2Dコード94の検査および修理を行うコードリペア機、吸着ノズル90の外観検査や動作検査などを行うノズル検査装置などが想定される。何れの外部処理装置においても、ノズルステーション設置装置を適用することにより、部品実装機10と外部処理装置との間、および外部処理装置と回復処理装置との間において、ノズルステーションおよび専用カートリッジの搬送によって、容易に複数の吸着ノズル90を搬入および搬出することが可能となる。