(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(B)フッ素を含まないはっ水剤が、炭素数12以上の長鎖アルキル基を持つ(メタ)アクリレートを60重量%以上含むアクリル系共重合体、パラフィンワックス、メラミンワックス、高級脂肪酸エステル系化合物、高級脂肪酸アミド系化合物、アルキレン尿素系化合物、ジルコニウム系化合物及びシリコーン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載の繊維処理用組成物。
前記(B)フッ素を含まないはっ水剤が、炭素数12以上の長鎖アルキル基を持つ(メタ)アクリレートを60重量%以上含むアクリル系共重合体、パラフィンワックス、高級脂肪酸エステル系化合物及びシリコーン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載の繊維処理用組成物。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(繊維処理用組成物)
本発明の繊維処理用組成物は、(A)特定の第4級アンモニウム塩の少なくとも1種と(B)フッ素を含まないはっ水剤とを含む。本発明における(A)第4級アンモニウム塩は、下記式(1)〜(4)で表される第4級アンモニウム塩の少なくとも1種類を含む。
【0021】
【化5】
[式(1)中、R
1は炭素数4〜9のアルキル基又はシクロアルキル基、R
2〜R
4はメチル基又はエチル基、X
−は1価のアニオンを示す。]
【0022】
式(1)で表される第4級アンモニウム塩において、R
1は炭素数4〜9のアルキル基又はシクロアルキル基であって、炭素数は6〜8であればより好ましい。またR
1は炭素数が4〜9であれば直鎖でも分岐を有していてもよく、シクロアルキル基に例えばメチル基のような置換基を有していてもよい。
R
2,R
3,R
4はそれぞれ独立に選択されるメチル基又はエチル基であり、これら3つの置換基は互いに同じでも異なっていてもよい。
X
−は1価のアニオンであり、フッ素以外のハロゲン化物イオン(Cl
−、Br
−、I
−)、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン等が挙げられる。
【0023】
式(1)で表される第4級アンモニウム塩としては、具体的には例えば、n−ブチルトリメチルアンモニウム塩、n−ヘキシルトリメチルアンモニウム塩、シクロヘキシルトリメチルアンモニウム塩、n−オクチルトリメチルアンモニウム塩、2−エチルヘキシルトリメチルアンモニウム塩、ブチルジメチルエチルアンモニウム塩、ブチルトリエチルアンモニウム塩等が挙げられるがこれに限ったものではない。
【0024】
【化6】
[式(2)中、R
5は炭素数4〜9のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基、R
6は水素、メチル基又はエチル基を示す。X
−は1価のアニオンを示す]
【0025】
式(2)で表される第4級アンモニウム塩において、R
5は炭素数4〜9のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基である。R
5の炭素数は、6〜8であればより好ましい。またR
5は炭素数が4〜9であれば直鎖でも分岐を有していてもよく、シクロアルキル基に例えばメチル基のような置換基を有していてもよい。
R
6は水素、メチル基又はエチル基を示す。
【0026】
式(2)で表される第4級アンモニウム塩としては、具体的には例えば、1−n−ブチルピリジニウム塩、1−n−オクチルピリジニウム塩、1−ベンジルピリジニウム塩、1−n−ブチル−4−メチルピリジニウム塩、1−(1,1−ジメチルエチル)ピリジニウム塩等が挙げられるが、これに限ったものではない。
【0027】
【化7】
[式(3)中、R
7は炭素数4〜9のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基、R
8はメチル基又はエチル基を示す。X
−は1価のアニオンを示す]
【0028】
式(3)で表される第4級アンモニウム塩において、R
7は炭素数4〜9のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基である。R
7の炭素数は、6〜8であればより好ましい。またR
7は炭素数が4〜9であれば直鎖でも分岐を有していてもよく、シクロアルキル基に例えばメチル基のような置換基を有していてもよい。
R
8は水素、メチル基又はエチル基を示す。
【0029】
式(3)で表される第4級アンモニウム塩として具体的には例えば、1−メチル−3−n−ブチルイミダゾリウム塩、1−メチル−3−n−へキシルイミダゾリウム塩、1−メチル−3−n−オクチルイミダゾリウム塩、1−メチル−3−(1,1−ジメチルエチル)イミダゾリウム塩、1−エチル−3−n−ブチルイミダゾリウム塩等が挙げられるが、これらに限ったものではない。
【0030】
【化8】
[式(4)中、R
9は炭素数4〜9のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基、R
10はメチル基又はエチル基、Yは炭素数3〜9のアルキレン基又は−CH
2CH
2OCH
2CH
2−を示す。X
−は1価のアニオンを示す]
【0031】
式(4)で表される第4級アンモニウム塩において、R
9は炭素数4〜9のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基である。R
9の炭素数は、6〜8であればより好ましい。またR
9は炭素数が4〜9であれば直鎖でも分岐を有していてもよく、シクロアルキル基に例えばメチル基のような置換基を有していてもよい。
R
10は水素、メチル基又はエチル基を示す。
Yは炭素数3〜9のアルキレン基又は−CH
2CH
2OCH
2CH
2−であり、アルキレン基の場合、炭素数4〜6であることがより好ましい。またアルキレン基にメチル基や水酸基のような置換基を有してもよい。
【0032】
式(4)で表される第4級アンモニウム塩として具体的には例えば、1−メチル−1−n−ブチルピペラジニウム塩、1−メチル−1−n−ヘキシルピペラジニウム塩、1−メチル−1−n−オクチルピペラジニウム塩、1,2,2,6,6ペンタメチル−1−n−ブチルピペラジニウム塩、1−メチル−1−n−へキシルモルホリニウム塩等が挙げられるがこれに限ったものではない。
【0033】
式(1)〜式(4)に示した第4級アンモニウム塩に共通することは、最も炭素数が多いアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基でも炭素数が4〜9であることである。すべてのアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基の炭素数が3以下の第4級アンモニウム塩ははっ水性への影響は小さいものの帯電防止性が不十分である。一方、炭素数が10以上のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を持つ第4級アンモニウム塩は、帯電防止性は良好であるが、はっ水性への悪影響が大きいためはっ水加工には適さない。
【0034】
前記R
1〜R
10のアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基、及び、Yのアルキレン基には、水酸基、アルコキシ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、アミド基、アミノ基等の官能基を有していてもよい。
【0035】
前記の第4級アンモニウム塩は、繊維処理用組成物中に1種類のみを含有するのでもよく、2種類以上を含有してもよい。また、はっ水性に悪影響を及ぼさない範囲で、上記以外の第4級アンモニウム塩や塩酸グアニジン、アルキルリン酸等の公知の帯電防止剤を併用することもできる。
【0036】
上記式(1)〜式(4)の第4級アンモニウム塩は、公知の方法によって、適切な3級アミンと4級化剤とを混合し、反応させることによって得られる。
【0037】
本発明に用いる第4級アンモニウム塩の対イオンとしては、1価のアニオンであれば特に制限されず、製造の観点からは塩化物イオン、臭化物イオン、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオンが適当であるがこれに限ったものではない。前記以外にも例えば、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、炭酸イオン等の無機イオンの他、ギ酸イオン、酢酸イオン、リンゴ酸イオン、クエン酸イオン、n−プロピル硫酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、メチルリン酸イオン、エチルリン酸イオン等の有機酸イオンであっても構わない。
また、アニオンは1種のみを用いても複数のアニオンを併用しても構わない。
【0038】
繊維処理用組成物中に含まれる上記第4級アンモニウム塩の使用濃度は、使用される第4級アンモニウム塩およびフッ素を含まないはっ水剤の種類、加工される繊維の種類、織組織、目付等によって変わるが、繊維処理用組成物に対して0.1〜2重量%溶液が好ましく、0.2〜1重量%溶液がより好ましい。0.1重量%未満では十分な帯電防止性を得ることは出来ず、2重量%以上でははっ水性に悪影響を与えるおそれがある。
【0039】
本発明の繊維処理用組成物は、前記の第4級アンモニウム塩の少なくとも1種と共に、フッ素を含まないはっ水剤を含む。
フッ素を含まないはっ水剤とは、分子の構造中にフッ素原子を含まず、かつ繊維に付与した時にはっ水性を発揮するものであれば特に制限されない。具体的には、ステアリル基のような長鎖アルキル基を持つ(メタ)アクリレートを60重量%以上含むアクリル系共重合体、パラフィンワックス、メラミンワックス、高級脂肪酸エステル系化合物、高級脂肪酸アミド系化合物、アルキレン尿素系化合物、アルキルケテンダイマー、ジルコニウム系化合物の他、ジメチルシリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、アミノ変性シリコーンのようなシリコーン樹脂等が挙げられる。これらの中では、長鎖アルキル基を持つ(メタ)アクリル酸エステルを60重量%以上含むアクリル系共重合体、パラフィンワックス、高級脂肪酸エステル系化合物、シリコーン樹脂がより好ましいが、これに限定されるものではない。また、フッ素を含まないはっ水剤は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0040】
前記のアクリル系共重合体とは、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルと適当な重合性単量体とを共重合させた高分子を意味する。アクリル系共重合体では、炭素数12以上のアルキル基を有するアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルをアクリル系共重合体に対して60重量%以上、好ましくは70重量%以上共重合させてあるものが好ましい。
炭素数12以上のアルキル基は鎖状アルキル基でも環状アルキル基であってもよく、鎖状アルキル基は、直鎖でも分岐を有してもよいが、鎖状で直鎖のものがより好ましい。例えば、ラウリル基、ミリスチル基、ステアリル基、イソステアリル基、ノニルフェニル基等が挙げられる。
アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルと共重合する重合性単量体としては例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、酢酸ビニル、スチレン、塩化ビニル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸グリシジル、N−ビニルピロリドン等が挙げられるが、これらに限ったものではない。
【0041】
本発明において用いられるアクリル系共重合体は通常、公知の乳化重合法によって得ることができる。例えば、所定の反応容器に上記の各種重合性単量体、界面活性剤および水等を仕込んで公知の方法で乳化した後、重合開始剤を加え、攪拌しながら窒素雰囲気下、加温することにより得られる。
【0042】
ラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素、t−ブチルハイドロオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の過酸化物、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(イソブチルアミジン)二塩酸塩等のアゾ系化合物が挙げられる。なお、重合速度の促進や低温反応を望む場合には、重亜硫酸ナトリウム、塩化第一鉄、アスコルビン酸、ホルムアルデヒドスルホオキシレート塩等の還元剤を前記ラジカル重合開始剤と組合せて(レドックス系重合開始剤)用いることができる。
【0043】
本発明において用いられるアクリル系共重合体は前記のように水媒体中で乳化重合法により得られるが、アクリル系共重合体エマルションの固形分濃度が10〜60質量%が好ましく、20〜50質量%程度がより好ましい。重合反応は単一重合開始の場合では通常40〜90℃、好ましくは50〜85℃程度の反応温度で、1〜10時間、好ましくは4〜8時間程度行えばよい。また、レドックス系重合開始剤の場合では反応温度はより低く、通常50〜80℃、好ましくは20〜70℃程度である。重合性単量体の添加方法としては、一括添加法、分割添加法、連続添加法等で、モノマータップ法、モノマープレ乳化タップ法等の方法で行うことができる。好ましくは連続添加法で、モノマープレ乳化タップ法である。
【0044】
パラフィンワックスとは、原油の減圧蒸留留出油部分から、結晶性の良い炭化水素を分離抽出した、直鎖状炭化水素(ノルマルパラフィン)を主成分とするものである。パラフィンワックスには融点が40〜70℃程度のものがあるが、比較的高融点のものが好ましい。
【0045】
高級脂肪酸エステル系化合物とは、概ね炭素数12以上の脂肪酸と各種アルコールとのエステルであり、融点は30℃以上のものが好ましい。アルコールはラウリルアルコール、ステアリルアルコールのような1価高級アルコールのほか、エチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトールのような多価アルコールも利用できる。
【0046】
シリコーン樹脂とは、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンを主な構成成分とする高分子を指す。高分子の末端又は側鎖にアミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基、シラノール等の官能基やアルキル基、フェニル基、アルキレンオキシドを持つ変性シリコーンを用いることもできる。また、2種類以上の変性シリコーンを用いてもよい。
【0047】
これらのフッ素を含まないはっ水剤は、アクリル系共重合体又は重合性単量体、パラフィンワックス、メラミンワックス、高級脂肪酸エステル系化合物、高級脂肪酸アミド系化合物、アルキレン尿素系化合物、アルキルケテンダイマー、ジルコニウム系化合物、シリコーン樹脂等のはっ水剤成分を、適当な界面活性剤を用いて水中に乳化または分散させた水系分散体とすることが好ましい。
【0048】
水系分散体に使用する界面活性剤としては、特に限定はなく、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤、反応性界面活性剤等が挙げられる。
【0049】
アニオン性界面活性剤としては、オレイン酸カリウム等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルリン酸エステル塩等が挙げられ、対イオンはナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、トリエタノールアミン等が挙げられるが、これらに限ったものではない。
【0050】
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキル(ラウリル、ヘキサデシル等)エーテル、ポリオキシプロピレンアルキル(ラウリル等)エーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、各種の高級脂肪酸グリセリン等の脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグルコシド、高級アルコール、アルキルジメチルアミン−N−オキシド等が挙げられる。
【0051】
カチオン系界面活性剤としては、例えば、各種のアルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウムクロライド塩、ポリオキシエチレンアルキルアミンの四級化物等の他、モノアルキルアミン、アルキルジメチルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の様なアミンを適当な酸で中和したアミン塩を使用することができる。対イオンとしては塩素イオン、臭素イオン、硫酸イオン、ギ酸イオン、酢酸イオン、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン等が挙げられるが、これらに限ったものではない。
【0052】
反応性界面活性剤としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸塩、ポリエチレングリコールのモノマレイン酸エステルおよびその誘導体、(メタ)アクリロイルポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩等が挙げられる。
【0053】
両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の酢酸ベタイン型界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアミンオキサイド型界面活性剤、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリニウムベタイン型界面活性剤、ラウリン酸アミドプロピルベタイン等のアミドベタイン型界面活性剤、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等のスルホベタイン型界面活性剤などが挙げられる。
【0054】
高分子界面活性剤としては、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリスチレンスルホン酸(PSS)、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルエーテル、ポリアクリル酸の合成系高分子界面活性剤が挙げられる。
【0055】
水系分散体を製造する方法としては、特に限定されず、例えば転相乳化法、ラインミキサー、コロイドミル、超音波、ホモミキサー、高圧式ホモジナイザー等を用いる強制乳化法、ビーズミル等メディア分散機を用いる方法、乳化重合法等、公知の方法を用いることができる。
【0056】
本発明において、水系分散体中の界面活性剤の使用量は、通常、前記アクリル系共重合体等のはっ水剤成分100質量部に対して、0.5〜15質量部程度使用し、好ましくは1〜10質量部である。界面活性剤の使用量がこの範囲にあることによって、凝固物を生じることなく、適度な平均粒子径の水系分散体が得られる。
【0057】
本発明において用いられるフッ素を含まないはっ水剤の水系分散体は固形分濃度が10〜60質量%が好ましく、20〜50質量%程度がより好ましい。
【0058】
水系分散体に用いられる界面活性剤については前記の通り制限はないものの、カチオン系界面活性剤のみ、又は非イオン系界面活性剤のみ、もしくはカチオン系界面活性剤と非イオン系界面活性剤を併用することが繊維製品に処理する上で特に好ましい。
【0059】
また、水系分散体の乳化安定化、前記アクリル系共重合体等のはっ水剤成分の溶解性向上のために公知の溶剤を併用してもよい。溶剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール類が好ましい。
【0060】
繊維処理用組成物に含まれるこれらのフッ素を含まないはっ水剤の使用濃度は、使用されるフッ素を含まないはっ水剤及び第4級アンモニウム塩の種類、加工される繊維の種類、織組織、目付等によって変わるが、繊維処理用組成物に対して0.5〜3重量%溶液が好ましく、0.6〜2重量%溶液がより好ましい。0.5重量%未満では十分なはっ水性を得ることは出来ず、3重量%以上使用してもはっ水性の向上は見られず無駄になる。
【0061】
本発明の繊維処理用組成物には、上記のフッ素を含まないはっ水剤と第4級アンモニウム塩のほかに、はっ水性の洗濯耐久性の向上、風合いの調整、滑脱防止、エマルションの安定化等のために、架橋剤、柔軟剤、スリップ防止剤、浸透剤、乳化剤等を併用することもできる。
【0062】
本発明の組成物によって加工される繊維は、織物、編物、不織布等に制限はない。素材についても制限はなく、天然繊維、合成繊維、それらの混合繊維のいずれであってもよいが、摩擦帯電の起こりやすさと帯電防止の効果とを考慮すると、ポリエチレンテレフタレートに代表されるようなポリエステル系、6,6ナイロン又は6ナイロンに代表されるようなポリアミド系及びポリプロピレン系繊維に使用されることが好ましい。
【0063】
本発明の組成物を繊維製品に処理する方法は、繊維処理用組成物を繊維製品に対して均一に所定の量を付着させることができれば特に制限はないが、連続法で処理されることが好ましい。
【0064】
連続法では、例えば、本発明の繊維処理用組成物を調製した後、当該繊維処理用組成物で満たされた含浸装置に被処理物(繊維)を連続的に送り込み、被処理物に繊維処理剤組成物を含浸させた後、不要な液を除去する。含浸装置としては特に制限されず、パッダ式、スプレー式、フォーム式、コーティング式などが利用でき、特にパッダ式が好ましい。なお、繊維処理剤組成物の繊維への付与量は処理方法、繊維の組織、目付、剤の濃度等によって変わるが、繊維重量に対して繊維処理剤組成物が20〜200wt%であることが好ましい。
【0065】
前記の浸漬工程の後に、100℃以上の温度で熱処理する工程を行う。熱処理工程を行う装置としては例えば、ピンテンター、シリンダードライヤー、ノンタッチドライヤー等の装置が挙げられる。熱処理工程は、1段目に90℃〜120℃で1〜5分の処理で水分を除去した後、2段目にはっ水剤を繊維表面上で皮膜形成させ、洗濯耐久性を高めるための架橋反応を行うために130℃〜180℃で1〜3分の熱処理を行うことが好ましい。温度が低い場合には、十分なはっ水性及び洗濯耐久性が出ず、温度が高すぎる場合にははっ水剤が分解したり、風合いが硬化するおそれがある。
また、1段目と2段目の熱処理は通常同じ機構の装置を用いるが、異なる機構の装置を使っても良い。
【0066】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本願発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、第4級アンモニウム塩は、市販品や試薬がないものは次のとおり合成して用いた。市販品又は試薬が存在する場合には、これを入手して使用した。
【0067】
各実施例及び比較例に用いた第4級アンモニウム塩及びはっ水剤は、下記のとおり製造した。
<第4級アンモニウム塩の製造>
製造例1:n−ブチルトリメチルアンモニウム=ブロミドの合成
オートクレーブにトルエン 100g、n−ブチルジメチルアミン 101g、ブロモメタン 95gを混合して密閉し、内部を窒素置換した後、撹拌下、60℃で24時間反応させた後、不溶物を取り出し、ノルマルヘキサンで洗浄後、乾燥し、目的物 180gを得た。
【0068】
製造例2:n−ヘキシルトリメチルアンモニウム=クロリドの合成
オートクレーブにテトラヒドロフラン 100g、1−クロロヘキサン 120gを入れて密閉し、内部を100mmHg未満まで減圧した後、撹拌下、100℃で30%トリメチルアミン水溶液 200gを滴下しながら反応させる。反応後、減圧下テトラヒドロフラン及びトリメチルアミンを留去した後ノルマルヘキサン 100gを加えて未反応物を抽出し、水層を集めて、乾燥し、目的物 140gを得た。
【0069】
製造例3:n−オクチルジメチルエチルアンモニウム=エチルサルフェートの合成
オートクレーブにノルマルヘキサン 100gとnーオクチルジメチルアミン 157gを入れて密閉し、内部を窒素置換した後、撹拌下、硫酸ジエチル 160gを滴下しながら、30〜40℃で24時間反応させる。反応後、不溶物を取り出し、ノルマルヘキサンで洗浄後、乾燥し、目的物 300gを得た。
【0070】
製造例4:1−n−オクチルピリジニウム=ブロミドの合成
オートクレーブにトルエン 100g、1−ブロモオクタン 193g、ピリジン 79gを入れて密閉し、内部を100mmHg未満に減圧した後、撹拌下、100℃で24時間反応させる。反応後、不溶物を取り出し、ノルマルヘキサンで洗浄後、乾燥し、目的物 250gを得た。
【0071】
製造例5:1−ベンジルピリジニウム=クロリドの合成
オートクレーブにトルエン 100g、塩化ベンジル 126g、ピリジン 79gを入れて密閉し、内部を窒素置換した後、撹拌下、60℃で24時間反応させる。反応後、不溶物を取り出し、ノルマルヘキサンで洗浄後、乾燥し、目的物 170gを得た。
【0072】
製造例6:1−メチル−3−(2−エチルヘキシル)イミダゾリウム=ブロミドの合成
オートクレーブにトルエン 100g、1−メチルイミダゾール 82g、2−エチル−1−ブロモヘキサン 193gを入れて密閉し、内部を窒素置換した後、撹拌下、80℃で24時間反応させる。反応後、不溶物を取り出し、ノルマルヘキサンで洗浄後、乾燥し、目的物 250gを得た。
【0073】
製造例7:1−メチル−1−n−ヘキシルピペラジニウム=ヨーディドの合成
オートクレーブにトルエン 100g、1−メチルピペラジン 99g、1−ヨーディドヘキサン 211gを入れて密閉し、内部を窒素置換した後、撹拌下、60℃で24時間反応させる。反応後、不溶物を取り出し、ノルマルヘキサンで洗浄後、乾燥し、目的物 280gを得た。
【0074】
製造例8:シクロヘキシルトリメチルアンモニウム=メチルサルフェートの合成
オートクレーブにノルマルヘキサン 100g、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン 127gを入れて密閉し、内部を窒素置換した後、撹拌下、ジメチル硫酸 126gを40℃で滴下しながら反応させる。反応後、不溶物を取り出し、ノルマルヘキサンで洗浄後、乾燥し、目的物 230gを得た。
【0075】
製造例9:n−オクチルジメチルベンジルアンモニウム=クロリドの合成
オートクレーブにテトラヒドロフラン 100g、塩化ベンジル 126g、n−オクチルジメチルアミン 157gを入れて密閉し、内部を窒素置換した後、撹拌下、50℃で24時間反応させる。反応後、乾燥して溶剤を除去し、乾燥物をノルマルヘキサンで洗浄後、乾燥し、目的物 250gを得た。
【0076】
製造例10:1−デシル−3−メチルイミダゾリウム=クロリドの合成
オートクレーブにトルエン 100g、1−クロロデカン 176g、1−メチルイミダゾール 82gを入れて密閉し、内部を窒素置換した後、撹拌下、100℃で24時間反応させる。反応後、乾燥して溶剤を除去し、乾燥物をノルマルヘキサンで洗浄後、乾燥し、目的物 290gを得た。
【0077】
製造例11:1,1−ジメチルモルホリニウムメチルサルフェートの合成
オートクレーブにテトラヒドロフラン 100g、4−メチルモルホリン 101gを入れて密閉し、内部を窒素置換した後、撹拌下、ジメチル硫酸 126gを滴下しながら40℃で反応させる。反応後、乾燥して溶剤を除去し、乾燥物をノルマルヘキサンで洗浄後、乾燥し、目的物 200gを得た。
【0078】
製造例12:エチルフォスフェートカリウムの合成
氷水に浸した500mlフラスコに水 206gを入れ、撹拌しながら水酸化カリウム 56gを溶解させ、次いでJP−502(城北化学工業株式会社製 エチルアシッドホスフェート) 109gを内温が50℃以下となるように滴下し、有効成分 40%の目的物 370gを得た。
【0079】
<フッ素を含まないはっ水剤の製造>
1.非フッ素系はっ水剤B−1(長鎖アルキル基を持つアクリル系共重合体)
500mLフラスコに、オクタデシルアクリレート70g、スチレン28g、N−メチロールアクリルアミド2g、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド1g、ポリオキシエチレン(7モル)ラウリルエーテル6g、ポリオキシエチレン(21モル)ラウリルエーテル2g、ドデシルメルカプタン0.1g、ジプロピレングリコール30gを入れ、50℃に加温して均一に撹拌した後、イオン交換水224.7gを滴下しながら50℃にて高速撹拌により乳化分散させ混合液を得た。その後、40℃に保ちながら高圧ホモジナイザーを用いて、40MPaにて処理し乳化液を得た。乳化液を還流冷却管を取り付けた500mL3口フラスコに移し、室温に冷却した後、アゾビス(イソブチルアミジン)二塩酸塩0.3gを加え、窒素雰囲気下で60℃にて10時間ラジカル重合を行い、ポリマー濃度30重量%を含む生成物 364gを得た。
【0080】
2.非フッ素系はっ水剤B−2(パラフィンワックス系)
300mlフラスコに140Fパラフィン 100g、低融点酸化ポリエチレン 20g、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド 2g、ポリオキシエチレン(10モル)ヘキサデシルエーテル 12g、水酸化カリウム 0.6gを加え、80℃で加熱溶融して均一に撹拌した後、溶融液を1000mlビーカーに80℃に加熱した水350gの中にホモミキサーで5000rpmで撹拌しながら加えて乳化する。40℃まで冷却後、酢酸ジルコニル 20gを加えて固形分30%の乳化液 500gを得た。
【0081】
3.非フッ素系はっ水剤B−3(パラフィンワックス系/脂肪酸エステル系化合物配合)
300mlフラスコに140Fパラフィン 104g、ベヘン酸ジグリセリド 30g、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド 2g、ポリオキシエチレン(7モル)ヘキサデシルエーテル 8g、ポリオキシエチレン(12モル)ヘキサデシルエーテル 6g、水酸化カリウム 0.6gを加え、80℃で加熱溶融して均一に撹拌した後、溶融液を1000mlビーカーに80℃に加熱した水350gの中にホモミキサーで5000rpmで撹拌しながら加えて乳化する。40℃まで冷却し、固形分30%の乳化液 500gを得た。
【0082】
4.非フッ素系はっ水剤B−4 (シリコーン系樹脂)
500mlフラスコにメチルハイドロジェンポリシロキサン 150g、ココアルキルトリメチルアンモニウムクロライド 1g、ポリオキシエチレン(7モル)ラウリルエーテル 5g、ポリオキシエチレン(15モル)ラウリルエーテル 5g、イオン交換水 340gを入れ、50℃にて高速撹拌により乳化分散させ混合液を得た。その後、40℃に保ちながら高圧ホモジナイザーを用いて、40MPaにて処理し、固形分30%の乳化液 500gを得た。
【0083】
<実施例1〜8及び比較例1〜10の組成物の作成>
非フッ素系はっ水剤(B−1) 50g/L、メイカネートFM−1(明成化学工業株式会社製 ブロックトイソシアネート系架橋剤) 10g/L、製造例1〜12の第4級アンモニウム塩他を有効成分3g/Lとなるように水で希釈したはっ水剤加工液(繊維処理用組成物)を調整し、実施例1〜8及び比較例1〜10のはっ水剤加工液を得た。組成を表2に示す。
【0084】
<はっ水加工及びはっ水性の評価>
各はっ水剤加工液を、ポリエステルタフタ布にパティングし、2本のゴムローラーでニップ(ピックアップ35%)し、110℃にて1分間乾燥させた後、170℃にて1分間熱処理を行って評価布を作成した。得られた評価布を用いてはっ水性をJIS L 1092.2009.7.2のスプレー法にて評価した。評価布は、いずれの場合も洗濯後自然乾燥を行った。なお、はっ水性は、表1に示す1〜5の5段階の数値にて表記し、数字に+(−)の付いた場合、その数字の評価よりもわずかに良い(悪い)ことを示す。評価結果を表2に示す。
【0086】
<はっ水性の洗濯耐久性の評価>
作成した評価布を洗濯回数0回(HL−0)とし、JIS L 1092.98.5.2a)3)c)に記載の洗濯方法に準じて洗濯を10回(HL−10)行い、釣り干し乾燥後、同様にはっ水性を評価した。結果を表2に示す。
【0087】
<帯電防止性の評価>
はっ水性の評価と同様に加工したポリエステルタフタ布をJIS L 1094.97.5.2法に記載の方法に準じて、タテ方向、被摩擦布:綿、RH=40%で摩擦帯電圧を測定した。結果を表2に示す。
【0088】
<エマルション安定性の評価>
はっ水加工に用いた液300mlを500mlビーカーに入れて35℃ に加温し、更にディスパーTL(明成化学工業株式会社製 アニオン系染料分散剤)を0.03g添加し、卓上型ホモミキサーを使用して、試験液を2500rpm×5分撹拌後、ポリエステル濃色布でろ過を行ない、ろ過布を風乾した。布上に残ったスカムの量により安定性を評価した。評価基準は、スカムが多量に認められるものを1級、スカムが殆ど認められないものを5級とする、5段階評価とした。結果を表2に示す。
【0090】
表2に示されるとおり、各実施例と比較例10(帯電防止剤を用いない例)とを比較すると、実施例の組成物は優れたはっ水性を保持していた。また、はっ水性の洗濯耐久性、帯電防止性、加工液の安定性についても良好な結果が得られた。
実施例に対して、炭素数が小さいアルキル基や芳香環を有する第4級アンモニウム塩を用いた例(比較例1〜4、7)は帯電防止性が十分でなかった。炭素数が大きいアルキル基を有する第4級アンモニウム塩を用いた例(比較例5、6)ははっ水性を大きく阻害した。第4級アンモニウム塩以外の帯電防止剤を用いた例(比較例8、9)ははっ水性が十分でなく、加工液の安定性が不良であった。
【0091】
<実施例9〜12及び比較例11〜16の組成物の作成>
非フッ素系はっ水剤(B−2) 50g/L、メイカネートFM−1(明成化学工業株式会社製 ブロックトイソシアネート系架橋剤) 10g/Lを使用し、表3に示す各第4級アンモニウム塩他を有効成分3g/Lとなるように水で希釈したはっ水剤加工液を調整し、実施例9〜12及び比較例11〜16のはっ水剤加工液(繊維処理用組成物)を得た。組成を表3に示す。
【0092】
<評価>
各はっ水剤加工液を使用して、はっ水剤B−1のときと同様にポリエステルウーリータフタを加工し、はっ水性、摩擦帯電圧及び安定性を評価した。その結果を表3に示す。
【0094】
表3に示されるとおり、各実施例と比較例16(帯電防止剤を用いない例)とを比較すると、実施例の組成物は優れたはっ水性を保持していた。また、帯電防止性、加工液の安定性についても良好な結果が得られた。
実施例に対して、炭素数が小さいアルキル基や芳香環を有する第4級アンモニウム塩を用いた例(比較例11〜13)は帯電防止性が十分でなかった。炭素数が大きいアルキル基を有する第4級アンモニウム塩を用いた例(比較例14)ははっ水性を大きく阻害した。第4級アンモニウム塩以外の帯電防止剤を用いた例(比較例15)ははっ水性が十分でなく、加工液の安定性が不良であった。
【0095】
<実施例13〜16及び比較例17〜22の組成物の作成>
非フッ素系はっ水剤(B−3) 50g/L、メイカネートFM−1(明成化学工業株式会社製 ブロックトイソシアネート系架橋剤) 10g/Lを使用し、表4に示す各第4級アンモニウム塩他を有効成分3g/Lとなるように水で希釈したはっ水剤加工液を調整し、実施例13〜16及び比較例17〜22のはっ水剤加工液(繊維処理用組成物)を得た。組成を表4に示す。
【0096】
<評価>
各はっ水剤加工液を使用して、はっ水剤B−1のときと同様にポリエステルウーリータフタを加工し、はっ水性、摩擦帯電圧及び安定性を評価した。その結果を表4に示す。
【0098】
表4に示されるとおり、各実施例と比較例22(帯電防止剤を用いない例)とを比較すると、実施例の組成物は優れたはっ水性を保持していた。また、帯電防止性、加工液の安定性についても良好な結果が得られた。
実施例に対して、炭素数が小さいアルキル基や芳香環を有する第4級アンモニウム塩を用いた例(比較例17〜19)は帯電防止性が十分でなかった。炭素数が大きいアルキル基を有する第4級アンモニウム塩を用いた例(比較例20)ははっ水性を大きく阻害した。第4級アンモニウム塩以外の帯電防止剤を用いた例(比較例21)ははっ水性が十分でなく、加工液の安定性が低かった。
【0099】
<実施例17〜20及び比較例23〜28の組成物の作成>
非フッ素系はっ水剤(B−4) 50g/L、亜鉛系触媒 5g/Lを使用し、表5に示す各第4級アンモニウム塩他を有効成分3g/Lとなるように水で希釈したはっ水剤加工液を調整し、実施例17〜20及び比較例23〜28のはっ水剤加工液(繊維処理用組成物)を得た。組成を表5に示す。
【0100】
<評価>
各はっ水剤加工液を使用して、はっ水剤B−1のときと同様にポリエステルウーリータフタを加工し、はっ水性、摩擦帯電圧及び安定性を評価した。その結果を表5に示す。
【0102】
表5に示されるとおり、各実施例と比較例28(帯電防止剤を用いない例)とを比較すると、実施例の組成物は優れたはっ水性を保持していた。また、帯電防止性、加工液の安定性についても良好な結果が得られた。
実施例に対して、炭素数4のアルキル基を4つ有する第4級アンモニウム塩を用いた例(比較例23)、芳香環を有する第4級アンモニウム塩を用いた例(比較例24)は帯電防止性が十分でなかった。炭素数が大きいアルキル基を有する第4級アンモニウム塩を用いた例(比較例25)ははっ水性を大きく阻害した。炭素数が低い第4級アンモニウム塩を用いた例(比較例26)は帯電防止性が十分でなかった。第4級アンモニウム塩以外の帯電防止剤を用いた例(比較例27)ははっ水性及び加工液の安定性が劣っていた。