(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6789575
(24)【登録日】2020年11月6日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】リング綴じ製本物の反転方法および装置
(51)【国際特許分類】
B42D 5/04 20060101AFI20201116BHJP
B42B 5/08 20060101ALI20201116BHJP
B42C 99/00 20060101ALI20201116BHJP
B25J 13/00 20060101ALN20201116BHJP
【FI】
B42D5/04 A
B42D5/04 J
B42B5/08
B42C99/00
!B25J13/00 Z
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-92964(P2018-92964)
(22)【出願日】2018年5月14日
(65)【公開番号】特開2019-198971(P2019-198971A)
(43)【公開日】2019年11月21日
【審査請求日】2019年12月11日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成29年12月26日ウェブサイト(https://www.wave−inc.co.jp/corporate/press/20171226−1)に掲載。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成29年12月26日ウェブサイト(https://www.wave−inc.co.jp/corporate/service/robot)に掲載。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年1月17日ウェブサイト(https://www.youtube.com/watch?v=sIOHSk6wU8c)に掲載。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年3月23日ウェブサイト(https://www.youtube.com/watch?v=au75VF6xgM8)に掲載。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年4月25日ウェブサイト(https://www.youtube.com/watch?v=Y0pnjGcZS44)に掲載。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年4月25日ウェブサイト(https://www.youtube.com/watch?v=H5k8wD31qUk)に掲載。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年3月20日に株式会社ウエーブ滋賀事業所(滋賀県守山市勝部六丁目2番1号)で行われた記者発表会にて説明。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年4月1日に発行されたラベル印刷新聞(4月1日号)に掲載。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年4月5日に発行された印刷ジャーナル(4月5日号)に掲載。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年4月5日に発行された印刷通信新聞(4月5日号)に掲載。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用 平成30年5月1日に発行された月刊カートン・ボックス2018年5月号に掲載。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成29年12月28日ウェブサイト(http://www.pjl.co.jp/news/enterprise/2017/12/10722.html)に掲載。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年3月22日ウェブサイト(http://www.newprinet.co.jp/?p=14249)に掲載。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年4月16日ウェブサイト(http://nichlin.co.jp/archives/29162/)に掲載。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年4月18日〜19日にマイドームおおさか(大阪市中央区本町橋2−5)で行われたJP2018・ICTと印刷展にて説明。
(73)【特許権者】
【識別番号】518153346
【氏名又は名称】株式会社ウエーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】特許業務法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】白子 善久
(72)【発明者】
【氏名】田村 智
(72)【発明者】
【氏名】森井 賢一
(72)【発明者】
【氏名】本多 賢志郎
【審査官】
藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭52−139521(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0183374(US,A1)
【文献】
特開2003−264215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 5/04
B42B 5/08− 5/12
B42B 9/00− 9/06
B42C 19/00−19/08
B42C 99/00
B25J 1/00−21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台紙に複数の用紙が積層されてリング状綴じ具により綴じられたリング綴じ製本物の前記台紙に対する前記用紙の積層方向を反転させる方法であって、
前記台紙の一方面の上方に前記用紙が積層された状態で、前記リング綴じ製本物を搬入部に搬入する搬入工程と、
搬入された前記リング綴じ製本物の前記台紙における前記リング状綴じ具と反対側の縁部を、多関節ロボットのアーム先端に設けられたチャックにより把持する把持工程と、
前記チャックの回動により前記リング綴じ製本物を起立させた状態で、前記台紙に対する前記用紙の積層方向と反対方向に向けて前記チャックを水平に加速させた後に減速することで、前記用紙を慣性力により回動させて前記台紙に対する前記用紙の積層方向を反転する反転工程と、
前記台紙の他方面の上方に前記用紙が積層された状態となるように前記チャックを回動させて、前記リング綴じ製本物を搬出部に載置する搬出工程とを備えるリング綴じ製本物の反転方法。
【請求項2】
前記搬入工程は、搬入された前記リング綴じ製本物を、前記リング状綴じ具により綴じられた縁部に沿って傾斜するように前記搬入部に搬入して保持する工程を備え、
前記反転工程は、前記搬入部に傾斜状態で保持された前記リング綴じ製本物の上下を入れ替えるように前記チャックを回動させる工程を備える請求項1に記載のリング綴じ製本物の反転方法。
【請求項3】
前記搬出工程は、前記チャックの回動中に、前記チャックを前記リング状綴じ具に向けて押し込みながら下降させる工程を備える請求項1または2に記載のリング綴じ製本物の反転方法。
【請求項4】
台紙に複数の用紙が積層されてリング状綴じ具により綴じられたリング綴じ製本物の前記台紙に対する前記用紙の積層方向を反転させる装置であって、
前記台紙の一方面の上方に前記用紙が積層された状態で、前記リング綴じ製本物が搬入される搬入部と、
搬入された前記リング綴じ製本物の前記台紙における前記リング状綴じ具と反対側の縁部を、アーム先端に設けられたチャックにより把持する多関節ロボットと、
前記台紙の他方面の上方に前記用紙が積層された状態で、前記リング綴じ製本物が搬出される搬出部とを備え、
前記多関節ロボットは、前記リング綴じ製本物を把持する前記チャックの回動により前記リング綴じ製本物を起立させた状態で、前記台紙に対する前記用紙の積層方向と反対方向に向けて前記チャックを水平に加速させた後に減速することで、前記用紙を慣性力により回動させて前記台紙に対する前記用紙の積層方向を反転した後、前記チャックを回動させて前記リング綴じ製本物を搬出部に載置するリング綴じ製本物の反転装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リング綴じ製本物の反転方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のリング綴じ製本物として、台紙に複数のカレンダー用紙が積層されてリング状綴じ具により綴じられた卓上カレンダーが知られている。例えば、特許文献1には、硬質紙製のリング状綴じ具を開いた状態で台紙およびカレンダー用紙の孔に挿通した後、リング状綴じ具の糊代部分を糊付けプレスして接着する卓上カレンダーの製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−214449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
卓上カレンダーの製造においては、例えば
図1(a)に示すように、厚紙を2つ折りにして形成された台紙2の裏面2a側に複数のカレンダー用紙4が積層された状態でリング状綴じ具6を取り付けた後、リング状綴じ具6の接着部6aがカレンダー用紙4で覆われるように、台紙2およびカレンダー用紙4をそれぞれ矢示方向に回動させて、
図1(b)に示すように、カレンダー用紙4を台紙2の表面2b側に積層することが行われている。このような台紙2に対するカレンダー用紙4の積層方向を反転させる作業は、作業者の手作業によるのが一般的であるが、作業者の負担が大きく、省人化および省力化が求められていた。
【0005】
そこで、本発明は、リング綴じ製本物の台紙に対する複数の用紙の積層方向を迅速かつ確実に反転させることができるリング綴じ製本物の反転方法および装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、台紙に複数の用紙が積層されてリング状綴じ具により綴じられたリング綴じ製本物の前記台紙に対する前記用紙の積層方向を反転させる方法であって、前記台紙の一方面の上方に前記用紙が積層された状態で、前記リング綴じ製本物を搬入部に搬入する搬入工程と、搬入された前記リング綴じ製本物の前記台紙における前記リング状綴じ具と反対側の縁部を、多関節ロボットのアーム先端に設けられたチャックにより把持する把持工程と、前記チャックの回動により前記リング綴じ製本物を起立させた状態で、前記台紙に対する前記用紙の積層方向と反対方向に向けて前記チャックを水平に加速させた後に減速することで、前記用紙を慣性力により回動させて前記台紙に対する前記用紙の積層方向を反転する反転工程と、前記台紙の他方面の上方に前記用紙が積層された状態となるように前記チャックを回動させて、前記リング綴じ製本物を搬出部に載置する搬出工程とを備えるリング綴じ製本物の反転方法により達成される。
【0007】
このリング綴じ製本物の反転方法において、前記搬入工程は、搬入された前記リング綴じ製本物を、前記リング状綴じ具により綴じられた縁部に沿って傾斜するように前記搬入部に搬入して保持する工程を備えることが好ましく、前記反転工程は、前記搬入部に傾斜状態で保持された前記リング綴じ製本物の上下を入れ替えるように前記チャックを回動させる工程を備えることが好ましい。
【0008】
前記搬出工程は、前記チャックの回動中に、前記チャックを前記リング状綴じ具に向けて押し込みながら下降させる工程を備えることが好ましい。
【0009】
また、本発明の前記目的は、台紙に複数の用紙が積層されてリング状綴じ具により綴じられたリング綴じ製本物の前記台紙に対する前記用紙の積層方向を反転させる装置であって、前記台紙の一方面の上方に前記用紙が積層された状態で、前記リング綴じ製本物が搬入される搬入部と、搬入された前記リング綴じ製本物の前記台紙における前記リング状綴じ具と反対側の縁部を、アーム先端に設けられたチャックにより把持する多関節ロボットと、前記台紙の他方面の上方に前記用紙が積層された状態で、前記リング綴じ製本物が搬出される搬出部とを備え、前記多関節ロボットは、前記リング綴じ製本物を把持する前記チャックの回動により前記リング綴じ製本物を起立させた状態で、前記台紙に対する前記用紙の積層方向と反対方向に向けて前記チャックを水平に加速させた後に減速することで、前記用紙を慣性力により回動させて前記台紙に対する前記用紙の積層方向を反転した後、前記チャックを回動させて前記リング綴じ製本物を搬出部に載置するリング綴じ製本物の反転装置により達成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、リング綴じ製本物の台紙に対する複数の用紙の積層方向を迅速かつ確実に反転させることができるリング綴じ製本物の反転方法および装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】本発明の一実施形態に係るリング綴じ製本物の反転装置の概略構成を示す斜視図である。
【
図3】
図2に示すリング綴じ製本物の反転装置の作動を説明するための概略工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図2は、本発明の一実施形態に係るリング綴じ製本物の反転装置の概略構成を示す斜視図である。
図2に示すように、リング綴じ製本物の反転装置10は、リング綴じ製本物1が搬入される搬入部20と、リング綴じ製本物1の反転作業を行う多関節ロボット30と、リング綴じ製本物1が搬出される搬出部40とを備えている。
【0013】
搬入部20は、傾斜面からなる保持面22と、保持面22から上方に突出するように設けられた係止部材24とを備えている。係止部材24は、保持面22の搬入方向(A方向)である傾斜方向に沿って延びる第1の板状部材24aおよびこれと直交する第2の板状部材24bからなるL字状に形成されている。リング綴じ製本物1は、ベルトコンベア(図示せず)等から保持面22に搬入される際に、リング状綴じ具6により綴じられた縁部が第1の板状部材24aと摺動して案内され、搬送方向先端側の縁部が第2の板状部材24bに係止される。保持面22は、第2の板状部材24bに沿っても傾斜するように形成されており、リング綴じ製本物1が第1の板状部材24aおよび第2の板状部材24bの双方に係止されて、保持面22上に位置決め保持される。このように、保持面22は、水平面に対して、第1の板状部材24aおよび第2の板状部材24bの2方向に沿って傾斜しており、リング綴じ製本物1のサイズ・重量・素材、および保持面22との摩擦等の要因があっても、第1の板状部材24aと第2の板状部材24bとの接合部である基準位置に、リング綴じ製本物1の角部をセットすることができる。
【0014】
多関節ロボット30は、複数のアーム32が関節を介して回動自在に連結された多軸(例えば4軸から7軸)構造を有しており、アーム32の先端には一対の爪部からなるチャック34が回動自在に取り付けられている。アーム32およびチャック34の作動は、不図示のコントローラにより制御される。
【0015】
搬出部40は、例えばベルトコンベアからなり、多関節ロボット30により反転動作が行われたリング綴じ製本物1が部分的に重なり合うように搬送面42に順次載置されて、矢示B方向に搬送される。
【0016】
次に、上記の構成を備えるリング綴じ製本物の反転装置10を用いたリング綴じ製本物1の反転方法を説明する。
図2に示す搬入部20に対しては、台紙2の裏面2a側の上方に用紙4が積層された状態(
図1(a)参照)で、リング綴じ製本物1を一定の周期で順次搬入する(搬入工程)。
【0017】
リング綴じ製本物1の台紙2は、リング綴じ具6により綴じられた縁部と反対側の縁部が用紙4から突出して、露出部2cが形成されている。多関節ロボット30は、搬入部20に搬入されたリング綴じ製本物1の露出部2cをチャック34により把持する(把持工程)。
【0018】
リング綴じ製本物1のリング綴じ具6は、紙製のものに限定されず、金属製や樹脂製等であってもよい。また、リング綴じ製本物1は、台紙2に対して複数の用紙4が積層されてリング綴じされたものであればよく、卓上カレンダー以外に、リングノートや日めくり帳などを例示することができる。本実施形態のようにリング綴じ製本物1の台紙2が露出部2cを有する場合には、チャック34による台紙2の把持を容易に行うことができるが、台紙2は必ずしも露出部2cを有する必要はなく、例えば、台紙2の表面2b側の縁部を吸着等により把持することもできる。
【0019】
こうして、リング綴じ製本物1の台紙2を把持した後、反転工程を行う。
図3は、
図2に示すリング綴じ製本物の反転装置の作動を説明するための概略工程図であり、要部を上方から見た図である。まず、
図2に示すように台紙2を把持したチャック34を水平軸周りに回動させて、
図3(a)に示すようにリング綴じ製本物1を起立させる。この動作は、リング綴じ製本物1が水平な状態から行うことも可能であるが、本実施形態においては、
図2に示すようにリング綴じ製本物1が保持面22に沿って傾斜保持された状態から、リング綴じ製本物1の上下を入れ替えるようにチャック34が回動することにより、リング綴じ製本物1が鉛直面に沿って大きく回動して、台紙2から用紙4が離れ易くなるため、後述する用紙4の反転動作を容易に行うことができる。保持面22の水平面に対する第1の板状部材24aおよび第2の板状部材24bに沿った傾斜角は、特に限定されるものではないが、搬入部20に搬入されるリング綴じ製本物1の位置決めを確実にすると共に、リング綴じ製本物1の回動距離を確保する観点から、いずれも5〜55度であることが好ましい。この傾斜角度は、搬入部20が、取付位置や長さ等を変更可能な支持ブラケット(図示せず)を備える等して、それぞれを現場で調整可能に構成してもよい。
【0020】
次に、台紙2に対する用紙4の積層方向と反対方向であるC方向に向けて、チャック34を水平に加速させた後に減速する。チャック34の加速時には、用紙4に対して台紙2から離れようとする矢示D方向の慣性力が作用するため、
図3(b)に示すように、用紙4がリング状綴じ具6の接着部6aと共に水平面に沿って回動する。この後、チャック34が減速することにより、用紙4に対して矢示E方向の慣性力が作用するため、用紙4および接続部6aの回動が継続されて、
図3(c)に示すように、用紙4が台紙2の表面2b側に移動する。このように、用紙4に対して水平方向の慣性力を与えることで、台紙2や用紙4にねじれ変形等を生じさせることなく用紙4をスムーズに回動させることができ、用紙4の積層方向の反転を確実に行うことができる。チャック34の加速および減速は、回動動作により行うことができるが、直進動作により行ってもよく、その方向は必ずしも正確に水平である必要はなく、用紙4のスムーズな回動を妨げない範囲で若干傾斜してもよい。
【0021】
そして、チャック34を水平軸周りに回動させて、
図3(d)に示すようにリング綴じ製本物1を水平な状態にすることで、台紙2の表面2b側の上方に用紙4を積層してリング状綴じ具6の接続部6aを被覆した後、
図2に示す搬出部40の搬送方向に合わせてリング綴じ製本物1の向きを調整し、搬送面42に載置する(搬出工程)。こうして、リング綴じ製本物1の反転方法が終了する。
【0022】
搬出工程においては、チャック34の回動動作が行われている間に、チャック34をリング状綴じ具6に向けて押し込みながら下降させる動作を行うことが好ましい。これにより、台紙2に対する用紙4の反転に伴い台紙2のリング綴じ具6側が下方に大きく撓むことが抑制されるため、台紙2の撓みにより用紙4が裏面2a側に回動するのを防止して、用紙4の反転状態を確実に維持することができる。
【符号の説明】
【0023】
1 リング綴じ製本物
2 台紙
2a 裏面
2b 表面
4 用紙
6 リング綴じ具
10 リング綴じ製本物の反転装置
20 搬入部
22 保持面
30 多関節ロボット
32 アーム
34 チャック
40 搬出部