(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されたボックス解体装置において、巻束は、シガレットボックスが搬送される際の振動や、第1ボックス半体を回転させる際のインナ包材による干渉によって崩れることがある。巻束が崩れると、落下したシガレットがボックス解体装置の搬送機構と干渉するおそれが高く、それ以降、ボックス解体装置の運転継続が困難となる。
【0008】
シガレットボックスは、非剛性体である棒状の喫煙物品を内容物に含み、その集合体である巻束を実質的な内部支持体として、その周囲をアルミ箔やパラフィン包装紙といったインナ包材、板紙からなるインナカラー、板紙からなるボックス本体などの非剛性体の部材で囲む所謂モノコック構造であり、全体としては非剛性体である。
【0009】
シガレットボックスに機械による外力や切断器具を作用させた場合には、各部材が曲がったり撓んだりして、全てのシガレットボックスが必ずしも同じ挙動を示さないこと、また、各部材が切断器具から逃げるなどして一様に切断されないことがある。一方、不適切に外力を加えた場合や切断器具を深く作用させた場合には、内容物が容易に破損し、各部材が切断片や破片を生じがちである。そのため、容易に破損する内容物を含む非剛性体であることに起因するシガレットボックスの特性が、従来技術において、その解体、および異物を混入させずに内容物を分別するという課題の達成を阻んでいた。
【0010】
特に、特許文献1に記載されたボックス解体装置では、シガレットボックスの側面をインナ包材とともに切断するところ、カッタがインナ包材をシガレットボックス内部に押し込んでしまい、インナ包材が切断されないことがある。そのため、サクションパッドで第1ボックス半体を吸着し、インナ包材とともに回転させる際に、切断されなかったインナ包材が巻束と干渉し、巻束を崩すことがある。また、インナ包材の折り込み部分が巻束と干渉し、巻束を崩すこともある。
【0011】
また、切断や解体の工程で、シガレットボックスの切断片やインナ包材の切断片が生じたり、シガレットボックスやインナ包材が千切れて破片が生じたりした場合に、それら切断片や破片といった各部材の断片が分別すべきシガレットへ混入すると、分別が不完全となる。
【0012】
本発明は、上記のような課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、巻束を崩すことなく、かつ各部材の断片を混入させることなくシガレットボックスを解包することができるシガレットボックスの解包装置および解包方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1形態によれば、シガレットボックスの解包装置であって、シガレットボックスは、棒状の喫煙物品の束である巻束と、巻束を包み込むインナ包材とを収容するとともに、ヒンジを中心として回転可能なリッドを有し、リッドが開いた状態で、後退位置から前進位置まで移動され、巻束とインナ包材との間に挿入されるクランププレートと、クランププレートが巻束とインナ包材との間に挿入された状態で、シガレットボックスの半体をインナ包材とともに展開する展開機構と、半体がインナ包材とともに展開されたシガレットボックスに対して、クランププレートが前進位置にある状態で、巻束を押さえる巻束押さえとを備えている。これによれば、巻束を崩すことなくシガレットボックスを解包することができる。
【0014】
本発明の第2形態によれば、クランププレートは、前進位置に向けて先端が先細状に形成されている。これによれば、クランププレートの挿入を容易に行うことができる。
【0015】
本発明の第3形態によれば、クランププレートは、前進位置に向けて先端が薄くなるように形成されている。これによれば、クランププレートの挿入を容易に行うことができる。
【0016】
本発明の第4形態によれば、巻束押さえは、クランププレート側が、クランププレートの先端と当接しない形状を有している。これによれば、クランププレートが巻束押さえの動作を妨害することを避けることができる。
【0017】
本発明の第5形態によれば、シガレットボックスの解包方法であって、シガレットボックスは、棒状の喫煙物品の束である巻束と、巻束を包み込むインナ包材とを収容するとともに、ヒンジを中心として回転可能なリッドを有し、リッドを開く工程と、クランププレートを後退位置から前進位置まで移動させ、巻束とインナ包材との間に挿入させる工程と、展開機構により、シガレットボックスの半体をインナ包材とともに展開する工程と、巻束押さえにより、半体がインナ包材とともに展開されたシガレットボックスに対して、巻束を押さえる工程とを有している。これによれば、巻束を崩すことなくシガレットボックスを解包することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係るシガレットボックスの解包装置について図面を用いて説明するが、各図において同一、または相当する部分については、同一符号を付して説明する。なお、本発明の一実施形態に係るシガレットボックスの解包装置は、特許文献1の
図1に示されたボックス解体装置に置き換えて使用されるものである。
【0020】
すなわち、このシガレットボックスの解包装置と、公知のフィルム除去装置およびシガレットの取り出し装置とにより、シガレットパッケージからシガレットを回収するシガレット回収システムが構成される。このシガレット回収システムにおいては、フィルム除去装置によりシガレットパッケージからフィルム包材が除去されたシガレットボックスが、シガレットボックスの解包装置に供給されて解包された後、シガレットの取り出し装置に供給されてシガレットが回収される。
【0021】
ここで、シガレットパッケージは、例えばヒンジリッド型のシガレットボックスと、シガレットボックスを包み込む透明なフィルム包材とを含む。また、シガレットボックスは、インナパックを収容しており、インナパックは、シガレットの巻束と、巻束を包み込むアルミ箔やパラフィン包装紙といったインナ包材とを有している。また、インナ包材により包み込まれている巻束とシガレットボックスのボックス本体との間には、ボックス本体の前面から側面にかけてインナカラーが挿入されている。
【0022】
なお、シガレットボックスにおいて、リッドの開閉面を前面とし、その反対側を後面とし、最も面積の狭い2面のうち、リッド側を頂面とし、その反対側を底面とし、残りの2面を側面と称する。また、インナ包材は、インナ包材がインナカラーを介して接するボックス本体の前面の内側に、インナカラーとともに糊付けされ、また、インナ包材が接するボックス本体の後面の内側に糊付けされている。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係るシガレットボックスの解包装置を示す図である。
図1において、シガレットボックスの解包装置100には、フィルム除去装置のベルトコンベア1から、フィルム除去装置によりシガレットパッケージからフィルム包材が除去されたシガレットボックス10が供給される。
【0024】
まず、シガレットボックスの解包装置100にシガレットボックス10が供給される機構について説明する。ベルトコンベア1の終端部の近傍には、バケットコンベア101が配置されており、バケットコンベア101は、ベルトコンベア1の終端部からベルトコンベア1と平行に、ベルトコンベア1の走行方向に延びている。ベルトコンベア1の終端部とバケットコンベア101の始端部とは、乗り継ぎテーブル102を介して互いに接続されている。
【0025】
また、ベルトコンベア1の終端部には、乗り継ぎテーブル102とは反対側にプッシャ103が配置されている。プッシャ103は、
図1中に示される矢印の方向に往復動可能であり、ベルトコンベア1の終端にあるシガレットボックス10を、そのリッドを先頭にしてベルトコンベア1から乗り継ぎテーブル102上に押し出す。
【0026】
このようにして押し出されたシガレットボックス10は、バケットコンベア101の始端部に位置付けられた1つのバケットに受け取られる。ここでのシガレットボックス10の受け取りを安定させるために、乗り継ぎテーブル102の両側縁には、一対のサイドプレート104が配置されている。また、乗り継ぎテーブル102の上方には、押さえプレート105が配置されている。
【0027】
また、
図1から明らかなように、一方のサイドプレート104は、ベルトコンベア1の終端まで延び、シガレットボックス10のためのストッパを兼ねている。さらに、バケットコンベア101の始端部は、乗り継ぎテーブル102とストッパプレート106との間に挟み込まれている。そのため、シガレットボックス10は、ストッパプレート106に当接した状態でバケットに受け取られ、このとき、シガレットボックス10のリッドがバケットから突出する。
【0028】
プッシャ103の往復動およびバケットコンベア101の間欠駆動が繰り返される度に、ベルトコンベア1上のシガレットボックス10は、バケットコンベア101のバケットに1個ずつ受け取られる。その後、バケットコンベア101に受け取られたシガレットボックス10は、バケットとともにバケットコンベア101に沿ってバケットコンベア101の終端部に向けて間欠的に搬送される。
【0029】
ここで、バケットコンベア101の始端部は、シガレットボックス10の動作位置110として規定されており、動作位置110にてバケットに受け取られたシガレットボックス10は、動作位置110からバケットコンベア101上を間欠的に搬送され、動作位置110から動作位置120、130、140、・・・と順次位置付けられる。
【0030】
続いて、シガレットボックス10を切断する機構について説明する。動作位置110において、シガレットボックスの解包装置100には、一対のサイドカッタ111が設けられている。一対のサイドカッタ111は、水平なロータリナイフによって形成され、乗り継ぎテーブル102の一対のサイドプレート104にそれぞれ配置されている。
【0031】
上述したように、シガレットボックス10がベルトコンベア1の終端部からバケットコンベア101に向けて搬送される際、一対のサイドカッタ111は、シガレットボックス10の両側面の壁をインナパックのインナ包材とともに、シガレットボックス10の長手軸線に沿って切断し、シガレットボックス10のボックス本体およびインナカラーに一対の解体ラインをそれぞれ形成する。
【0032】
このような解体ラインは、シガレットボックス10の底面の壁からリッドの頂面の壁まで至り、シガレットボックス10の厚み方向でみてシガレットボックス10の中央に位置付けられている。そのため、各解体ラインは、シガレットボックス10の底面の壁にそれぞれ端を有する。また、巻束は、例えば7本、6本、7本の3層に積層されているところ、シガレットボックス10の厚み方向でみて中央位置に解体ラインを形成することにより、シガレットを傷つけることなくシガレットボックス10のボックス本体およびインナカラーを切断することができる。
【0033】
ここで、シガレットボックス10内において、インナ包材は、巻束の第2層、すなわちシガレットが6本配置されている箇所で、ボックス本体の前面から側面へ回り込むインナ包材と、ボックス本体の後面から側面へ回り込むインナ包材とが重なっている。当該箇所では、サイドカッタ111から両インナ包材が逃げて第1層や第3層のシガレットを巻込むように変形することもあり、サイドカッタ111により両インナ包材へ切断線が入ることもある。
【0034】
後者の場合においても、両インナ包材のシガレットボックス10の底面側とリッド側とにおいて、解体ラインが入れられないため、インナ包材の切断片や破片は生じない。なお、ボックス本体の前面から側面へ回り込むインナ包材と、ボックス本体の後面から側面へ回り込むインナ包材とは、互いに接着されていない。
【0035】
さらに、シガレットボックス10は、その側壁が2枚重なり、解体ラインから外れた複数箇所で互いに接着されているので、解体ラインを形成しても側壁から切断片や破片は生じない。さらにまた、シガレットボックス10は、そのインナカラーが、解体ラインから外れた複数個所でシガレットボックスの側壁内部に接着されており、解体ラインを形成してもインナカラーが脱落せず、インナカラーの切断片や破片は生じない。
【0036】
次に、シガレットボックス10のリッドを開く機構について説明する。動作位置120において、シガレットボックスの解包装置100には、リッド開きネイル121、ボックス押さえ122およびアッパーガイド123が設けられている。リッド開きネイル121は、バケットコンベア101の側方に配置され、シガレットボックス10に対して接離する水平方向に往復動可能であり、リッドと係合する爪を有している。
【0037】
ボックス押さえ122は、バケットコンベア101の上方に配置され、シガレットボックス10に対して接離する鉛直方向に往復動可能である。アッパーガイド123は、バケットコンベア101の直上に配置され、動作位置120から動作位置160まで延びている。アッパーガイド123は、バケットコンベア101上でのシガレットボックス10の間欠的な搬送や、リッドの半開動作および全開動作を安定させる上で役立つ。
【0038】
図2は、リッド開きネイル121およびボックス押さえ122を用いて、シガレットボックス10のリッドを半開させる動作を示す図である。
図2において、シガレットボックス10の前面は下方に向けられており、この前面は、シガレットボックス10におけるボックス本体11の前壁12と、シガレットボックス10におけるリッド13の前壁14とによって形成されている。
【0039】
また、
図2は、リッド開きネイル121が後退位置である休止位置から前進位置まで移動し、ボックス押さえ122が上方位置である休止位置から下方位置まで移動して、シガレットボックス10を押さえている状態を示している。ここで、シガレットボックス10に対するボックス押さえ122の押しつけは、前壁14の近傍で前壁12をわずかに凹ませ、これにより、リッド開きネイル121の爪が前壁14に対して係合可能となる。
【0040】
このような状態から、リッド開きネイル121が前進位置から休止位置に向けて移動されると、爪がリッド13内に進入し、前壁14と係合する。その結果、リッド開きネイル121は、リッド13のヒンジ15を中心としてリッド13を回転させ、リッド13が所定の角度で半開される。なお、
図2において、シガレットボックス10の厚み方向でみて中央に位置する線は、解体ライン16を示している。
【0041】
また、動作位置130において、シガレットボックスの解包装置100には、ガイドプレート131およびブローノズル132が設けられている。ガイドプレート131は、バケットコンベア101の側方に配置され、動作位置120の直後から、動作位置160まで延びている。また、ガイドプレート131は、動作位置120の方向に向けて次第に細くなる先細状の先端部133と、ガイドプレート131から突出した突出部134とを有している。
【0042】
シガレットボックス10が動作位置120から動作位置130まで移動されたとき、半開状態のリッド13は、ガイドプレート131の先端部133の上縁にあたる斜辺に案内されながらさらに開度を増加させる。続いて、シガレットボックス10が動作位置130から動作位置140まで移動されたとき、リッド13は全開状態となる。これにより、シガレットボックス10内におけるインナパックの頂面が部分的に露出される。
【0043】
ここで、上述したリッド13の半開動作および全開動作によって、シガレットボックス10を、解体ライン16に沿って、開かれたリッド13を有する第1ボックス半体17と、残りの第2ボックス半体18とに分離することが可能になる。
【0044】
なお、ガイドプレート131の突出部134は、動作位置130と動作位置140との中間位置付近で下方に突出している。ガイドプレート131の突出部134は、インナパックの頂面を形成するインナ包材の一部を引き抜くための準備を行う。そこで、この動作について説明する前に、
図3を参照しながら、インナパックの頂面の構成について説明する。
【0045】
図3は、インナパックの頂面を示す図である。
図3において、インナパックの頂面は、シガレットの巻束のフィルタ側端面を閉じる閉鎖面であって、インナ包材19の折り込みによって形成されている。具体的には、インナパックの頂面は、フィルタ側端面の両側部上にそれぞれ折り込まれた2つのサイド折り込み20と、これらサイド折り込み20上に順次重ね合わされたロアフラップ21およびアッパフラップ22とを含む。
【0046】
ここで、アッパフラップ22が上向きであることに留意すべきである。さらに、インナ包材19には、図示しない切り離し線が予め形成されている。この切り離し線は、インナ包材19に切り離し予定域を区画し、この切り離し予定域は、アッパフラップ22、2つのサイド折り込み20の一部およびインナパックにおける前面の上部に対応したインナ包材19の部位を含む。
【0047】
そのため、シガレットボックス10が動作位置120から動作位置140まで移動されたとき、ガイドプレート131の突出部134が、アッパフラップ22とロアフラップ21との重なり部分の隙間に入り込み、そのままガイドプレート131の下縁が、アッパフラップ22を開く。
【0048】
ブローノズル132は、バケットコンベア101の側方に配置され、動作位置140で引き抜かれたアッパフラップ22を動作位置150に設けられたダストシュートで回収すべく、動作位置150の方向に向けてエアを噴射する。この動作については、該当箇所で具体的に説明する。
【0049】
続いて、シガレットボックス10のアッパフラップ22を引き抜く機構について説明する。動作位置140において、シガレットボックスの解包装置100には、引っ張りグリッパ141および筋入れ用カッタ142が設けられている。引っ張りグリッパ141は、バケットコンベア101の側方に配置され、開閉可能であり、シガレットボックス10に対して接離する水平方向に往復動可能である。
【0050】
引っ張りグリッパ141が後退位置である休止位置から前進位置に向けて移動するとき、引っ張りグリッパ141は開状態にある。すなわち、引っ張りグリッパ141が前進位置に到達したとき、引っ張りグリッパ141は、その内部にガイドプレート131によって開かれたアッパフラップ22を受け入れることができる。その後、引っ張りグリッパ141は閉じられて、アッパフラップ22を把持する。
【0051】
この状態で、引っ張りグリッパ141は、前進位置から休止位置に向けて移動し、アッパフラップ22を引っ張る。ここでのアッパフラップ22の引っ張りは、上述したインナ包材19の切り離し予定域を切り離し線に沿って分離する。これにより、インナ包材19の切り離し予定域がインナ包材19から除去される。すなわち、インナ包材19にシガレットの巻束へのアクセス開口を提供し、このアクセス開口を通じて、インナパックからのシガレットの取り出しが可能になる。
【0052】
筋入れ用カッタ142は、バケットコンベア101の側方、シガレットボックス10の底面側に配置され、アッパフラップ22が引き抜かれたシガレットボックス10の底部に切り込みを入れる。ここで、シガレットボックス10の底部に切り込みを入れるのは、動作位置160において、シガレットボックス10の第1ボックス半体17を展開しやすくするためである。
【0053】
また、動作位置150において、シガレットボックスの解包装置100には、ダストボックス151が設けられている。ダストボックス151は、バケットコンベア101の側方に配置され、引っ張りグリッパ141によって引き抜かれ、ブローノズル132から噴射されたエアで飛ばされたアッパフラップ22を回収する。
【0054】
次に、シガレットボックス10のロアフラップ21およびサイド折り込み20を開く機構について説明する。動作位置160において、シガレットボックスの解包装置100には、展開ネイル161およびブローノズル162が設けられている。ここで、展開ネイル161およびブローノズル162は、バケットコンベア101の側方に配置され、シガレットボックス10に対して接離する水平方向に往復動可能であり、かつ鉛直方向にも往復動可能である。また、展開ネイル161およびブローノズル162は、一体に構成されている。
【0055】
まず、展開ネイル161およびブローノズル162は、下方位置および後退位置である休止位置から前進位置まで移動し、ブローノズル162が
図3に示したロアフラップ21およびサイド折り込み20に対して、上方および斜め上方に向けて放射状にエアを噴射する。これにより、ロアフラップ21およびサイド折り込み20が持ち上がり、ある程度開く。
【0056】
続いて、展開ネイル161およびブローノズル162が前進位置で下方位置から上方位置まで移動し、展開ネイル161がロアフラップ21およびサイド折り込み20とシガレットの巻束との間に挿入される。次に、展開ネイル161およびブローノズル162が上方位置で前進位置から後退位置まで移動し、ロアフラップ21およびサイド折り込み20を全開させる。その後、展開ネイル161およびブローノズル162は、休止位置に戻る。その結果、シガレットボックス10の第1ボックス半体17を展開する際の妨げとなるものがなくなる。
【0057】
次に、シガレットボックス10の第1ボックス半体17を展開する機構について説明する。動作位置170において、シガレットボックスの解包装置100には、サクションパッド(展開機構)171、クランププレート172および巻束押さえ173が設けられている。サクションパッド171は、バケットコンベア101の側方、シガレットボックス10の底面側に配置され、円弧経路に沿って往復動可能である。
【0058】
クランププレート172は、バケットコンベア101の側方に配置され、シガレットボックス10に対して接離する水平方向に往復動可能である。巻束押さえ173は、バケットコンベア101の上方に配置され、シガレットボックス10に対して接離する鉛直方向に往復動可能であり、かつバケットコンベア101の進行方向について水平方向にも往復動可能である。
【0059】
まず、クランププレート172は、後退位置である休止位置から前進位置まで移動する。このとき、クランププレート172は、シガレットの巻束とインナ包材19との間に挿入される。ここで、クランププレート172は、挿入を容易にするために、
図4、5に示すように、前進位置に向けて先端が先細状に形成されるとともに、前進位置に向けて先端が次第に薄くなるように形成されている。
【0060】
続いて、サクションパッド171は、上方位置である休止位置から下方位置である吸着位置まで移動してシガレットボックス10の後面を吸着し、吸着位置から休止位置まで移動してシガレットボックス10の第1ボックス半体17を糊付けされたインナ包材19とともに展開する。このとき、クランププレート172がシガレットの巻束を押さえることから、インナ包材19が切断されていない場合であっても、巻束が崩れることはない。
【0061】
この間、巻束押さえ173は、下方位置および後退位置である休止位置から上方位置まで移動している。また、巻束押さえ173は、サクションパッド171が休止位置まで移動した後、上方位置で後退位置から前進位置まで移動するとともに、前進位置で上方位置から下方位置まで移動し、シガレットの巻束を押さえる。このとき、巻束押さえ173のクランププレート172側は、クランププレート172の一部、次第に薄くなるように形成された先端を押さえてもよい。
【0062】
また、巻束押さえ173のクランププレート172側は、クランププレート172が巻束押さえ173の動作を妨害することを避けるべく、クランププレート172の先端と当接しない形状を有していてもよい。例えば、巻束押さえ173には、巻束押さえ173が下方位置に移動した場合でも、クランププレート172の先端と当接しないように、クランププレート172の先端に対して所定のクリアランスが設けられていてもよい。
【0063】
続いて、クランププレート172は、前進位置から休止位置まで移動する。ここで、巻束押さえ173のクランププレート172側が、クランププレート172の一部、次第に薄くなるように形成された先端を押さえると、巻束押さえ173によりクランププレート172が下方に変形する。このとき、クランププレート172とともに非剛性体である棒状の喫煙物品も変形することから、クランププレート172と棒状の喫煙物品との摩擦が緩和される。そのため、クランププレート172の前進位置から休止位置までの移動が妨害されることはなく、巻束が崩れることもない。
【0064】
次に、巻束押さえ173は、シガレットの巻束を押さえたまま、下方位置で前進位置から休止位置まで、バケットコンベア101の駆動と同期して移動する。このとき、第1ボックス半体17が展開されたシガレットボックス10が、巻束押さえ173によってシガレットの巻束が押さえられたまま次の動作位置180まで搬送されることから、巻束が崩れることはない。また、例えばインナ包材19が千切れて巻束と干渉した場合であっても、巻束押さえ173によってシガレットの巻束が押さえられているので、巻束が崩れることはない。
【0065】
また、動作位置180において、シガレットボックスの解包装置100には、アッパープレート181およびアッパーガイド182が設けられている。アッパープレート181は、バケットコンベア101の上方に配置され、動作位置180から動作位置190に向けて延びており、バケットコンベア101の進行方向について水平方向に往復動可能である。
【0066】
また、アッパープレート181は、巻束押さえ173の下方位置と面一になるように配置され、巻束押さえ173の水平方向の移動と同期して移動する。すなわち、巻束押さえ173およびアッパープレート181により、シガレットの巻束を崩すことなく、バケットコンベア101上でのシガレットボックス10の間欠的な搬送を行うことができる。
【0067】
アッパーガイド182は、バケットコンベア101の側方、シガレットボックス10の底面側に配置され、動作位置180から動作位置190に向けて延びている。アッパーガイド182は、サクションパッド171で展開された第1ボックス半体17を、サクションパッド171による吸着が解除された後も、全開位置に保持する。
【0068】
動作位置190以降の動作については、公知のシガレットの取り出し装置に至る動作と同様である。すなわち、第1ボックス半体17が展開されたシガレットボックス10が、バケットコンベア101の駆動により下方に向けられ、バケットコンベア101の取り出し領域に配置されたシガレットの取り出し装置により、シガレットが回収される。
【0069】
以上のように、一実施形態に係るシガレットボックスの解包装置によれば、シガレットボックスは、棒状の喫煙物品の束である巻束と、巻束を包み込むインナ包材とを収容するとともに、ヒンジを中心として回転可能なリッドを有し、リッドが開いた状態で、後退位置から前進位置まで移動され、巻束とインナ包材との間に挿入されるクランププレートと、クランププレートが巻束とインナ包材との間に挿入された状態で、シガレットボックスの半体をインナ包材とともに展開する展開機構と、半体がインナ包材とともに展開されたシガレットボックスに対して、クランププレートが前進位置にある状態で、巻束を押さえる巻束押さえとを備えている。これによれば、巻束を崩すことなくシガレットボックスを解包することができる。また、巻束を崩すことなく、かつ各部材の断片を混入させることなくシガレットボックスを解包することができるので、巻束を傷つけることなく、また各部材の切断片や破片による異物を混入させることなくシガレットを回収することができる。
【0070】
以上、本発明の一実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれる。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の組み合わせ、または、省略が可能である。