【文献】
J. Org. Chem.,2013年,Vol.78,p.5410-5417
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2および3の固体状態のジカルボン酸やテトラカルボン酸の加熱によるカルボン酸無水物の製造方法は、高温で行う必要があるため、加熱のために多くのエネルギーを必要とする。また、高温でカルボン酸無水物を製造した場合、生成物の着色や副生成物が生じることもある。また、無水酢酸などの酸を使用する場合、耐酸設備や廃酸処理が必要となる。
【0007】
本発明の目的は、上述した課題を鑑みてなされたものであって、新規なカルボン酸無水物の製造方法、および新規なカルボン酸イミドの製造方法を提供することである。
【0008】
また、本発明の他の目的は、高品位な画像を形成することができる電子写真感光体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
支持体、前記支持体上に形成された下引き層、および、前記下引き層上に形成された感光層を有する電子写真感光
体の製造方法であって、
下記式(1)で示される化合物を含む組成物を、溶媒存在下で50℃〜130℃に加熱して、下記式(2)で示されるカルボン酸無水物を製造する工程、
前記カルボン酸無水物と、アミンとを縮合反応させてカルボン酸イミドを製造する工程、
カルボン酸イミドを含む下引き層用塗布液を調製する工程、および
前記下引き層用塗布液の塗膜を形成し、前記塗膜を乾燥させることによって、前記下引き層を形成する工程、
を有し、
該溶媒が、
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、プロピオン酸メチル、吉草酸メチル、吉草酸エチル、ヘキサン酸メチル、ヘキサン酸エチル、へプタン酸メチル、へプタン酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドから選択される少なくとも一つで沸点が50℃以上の非プロトン性極性溶媒と、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロへプタン、から選択される少なくとも一つの溶媒を含むことを特徴とする電子写真感光体の製造方法を提供する。
【化1】
(1)
(式(1)中、nは
、4を示す。)
【化2】
(2)
(式(2)中、mは
、2を示す。)
前記Yが、下記式(10)で示される基、下記式(11)で示される基、または下記式(12)で示される基である。
【化3】
(10)
【化4】
(11)
【化5】
(12)
【0010】
【化1】
(1)
【0011】
(式(1)中、Yは、2〜6価の有機基であり、nは、2〜6の整数を示す。)
【0012】
【化2】
(2)
【0013】
(式(2)中、Yは、2〜6価の有機基であり、mは、1〜3の整数を示す。)
【0014】
さらに、本発明は、支持体、前記支持体上に形成された下引き層、および、前記下引き層上に形成された感光層を有する電子写真感光
体の製造方法であって、
下記式(3)で示される化合物及び下記式(4)で示される化合物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含む組成物を、溶媒存在下で50℃〜130℃に加熱して、下記式(5)で示されるカルボン酸無水物を製造する工程、
前記カルボン酸無水物と、アミンとを縮合反応させてカルボン酸イミドを製造する工程、
カルボン酸イミドを含む下引き層用塗布液を調製する工程、および
前記下引き層用塗布液の塗膜を形成し、前記塗膜を乾燥させることによって、前記下引き層を形成する工程、
を有し、
該溶媒が、
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、プロピオン酸メチル、吉草酸メチル、吉草酸エチル、ヘキサン酸メチル、ヘキサン酸エチル、へプタン酸メチル、へプタン酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドから選択される少なくとも一つで沸点が50℃以上の非プロトン性極性溶媒と、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロへプタン、から選択される少なくとも一つの溶媒を含むことを特徴とする電子写真感光体の製造方法を提供する。
【化6】
(3)
【化7】
(4)
【化8】
(5)
(式(3)〜(5)中、前記X
1が、下記式(10)で示される基、下記式(11)で示される基、または下記式(12)で示される基である。)
【化9】
(10)
【化10】
(11)
【化11】
(12)
【0015】
【化3】
(3)
【0016】
【化4】
(4)
【0017】
【化5】
(5)
(式(3)〜(5)中、X
1は、テトラカルボン酸から4つのカルボキシ基を除いた残基を示す。)
【0018】
さらに、本発明は、支持体、前記支持体上に形成された下引き層、および、前記下引き層上に形成された感光層を有する電子写真感光
体の製造方法であって、
下記式(6)で示される化合物を含む組成物を、溶媒存在下で50℃〜130℃に加熱して、下記式(7)で示されるカルボン酸無水物を製造する工程、
前記カルボン酸無水物と、アミンとを縮合反応させてカルボン酸イミドを製造する工程、
カルボン酸イミドを含む下引き層用塗布液を調製する工程、および
前記下引き層用塗布液の塗膜を形成し、前記塗膜を乾燥させることによって、前記下引き層を形成する工程
を有し、
該溶媒が、
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、プロピオン酸メチル、吉草酸メチル、吉草酸エチル、ヘキサン酸メチル、ヘキサン酸エチル、へプタン酸メチル、へプタン酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドから選択される少なくとも一つで沸点が50℃以上の非プロトン性極性溶媒と、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロへプタン、から選択される少なくとも一つの溶媒を含むことを特徴とする電子写真感光体の製造方法を提供する。
【化12】
(6)
【化13】
(7)
(式(6)及び(7)中、R
1は、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、またはカルボキシ基を示す。R
2は、水素原子、アルキル基、またはハロゲン原子を示す。)前記X
2が、下記式(10)で示される基、下記式(11)で示される基、または下記式(12)で示される基であ
る。
【化14】
(10)
【化15】
(11)
【化16】
(12)
【0019】
【化6】
(6)
【0020】
【化7】
(7)
(式(6)及び(7)中、R
1は、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、またはカルボキシ基を示す。R
2は、水素原子、アルキル基、またはハロゲン原子を示す。X
2は、ジカルボン酸から2つのカルボキシ基を除いた残基を示す。)
【0021】
また、本発明は、上記の製造方法で製造されたカルボン酸無水物を用いて、カルボン酸イミドを製造することを特徴とするカルボン酸イミドの製造方法である。
【0022】
また、本発明は、支持体、該支持体上に形成された下引き層、および、該下引き層上に形成された感光層を有する電子写真感光体の製造方法であって、上記の製造方法で製造されたカルボン酸イミドを含む下引き層用塗布液を調製する工程、および、該下引き層用塗布液の塗膜を形成し、前記塗膜を乾燥させることによって、前記下引き層を形成する工程を有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、酸性溶媒を用いなくとも、また、低い加熱温度であっても、カルボン酸無水物を製造することを可能とするカルボン酸無水物の製造方法、および該カルボン酸無水物を用いたカルボン酸イミドの製造方法を提供することができる。
【0024】
また、本発明によれば、高品位な画像を形成することができる電子写真感光体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、酸性溶媒を用いなくとも、また、低い加熱温度であっても、カルボン酸無水物の製造することを可能とした、カルボン酸無水物の製造方法を見出した。
【0027】
すなわち、本発明にかかるカルボン酸無水物の製造方法は、下記式(1)で示される化合物を含む組成物を用いる。そして、その組成物を溶媒存在下で加熱して、下記式(2)で示されるカルボン酸無水物を製造する。このとき、前記溶媒が、沸点が50℃以上の非プロトン性極性溶媒を含む。
【0029】
(式(1)中、Yは、2〜6価の有機基であり、nは、2〜6の整数を示す。)
【0031】
(式(2)中、Yは、2〜6価の有機基であり、mは、1〜3の整数を示す。)
【0032】
さらに、本発明にかかるカルボン酸無水物の製造方法は、下記式(3)で示される化合物及び下記式(4)で示される化合物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含む組成物を用いる。そして、その組成物を溶媒存在下で加熱して、下記式(5)で示されるカルボン酸無水物(テトラカルボン酸二無水物)を製造する。このとき、前記溶媒が、沸点が50℃以上の非プロトン性極性溶媒を含む。
【0036】
(式(3)〜(5)中、X
1は、テトラカルボン酸から4つのカルボキシ基を除いた残基を示す。)
【0037】
さらに、本発明にかかるカルボン酸無水物の製造方法は、下記式(6)で示される化合物を含む組成物を用いる。そして、その組成物を溶媒存在下で加熱して、下記式(7)で示されるカルボン酸無水物(カルボン酸一無水物)を製造する。このとき、前記溶媒が、沸点が50℃以上の非プロトン性極性溶媒を含む。
【0040】
(式(6)及び(7)中、R
1は、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、またはカルボキシ基を示す。R
2は、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子を示す。X
2は、ジカルボン酸から2つのカルボキシ基を除いた残基を示す。)
【0041】
本発明にかかるカルボン酸無水物の製造方法により、酸性溶媒を用いなくとも、また、低い加熱温度であっても、カルボン酸無水物を得ることができる。本発明者らは、酸性溶媒を用いなくとも、また、低い加熱温度であっても、カルボン酸無水物を製造できる理由について以下のように考えている。
【0042】
本発明では、前記式(1)で示される化合物を含む組成物を溶媒として、非プロトン性極性溶媒を用いている。非プロトン性極性溶媒を用いることで、前記式(1)で示される化合物が有する同一分子内のカルボキシ基間の水素結合が弱まり、脱水反応に必要なエネルギーが減少したと推測される。そして、その結果、酸性溶媒を用いなくとも、また、低い加熱温度であっても、脱水反応が進行し、カルボン酸無水物を得ることができたと考えている。低い加熱温度での反応は、反応時間が長くなるが、非プロトン性極性溶媒の沸点が50℃以上(加熱温度が50℃以上)であることで、低い加熱温度と反応時間を両立させることができる。
【0043】
<カルボン酸無水物を製造するための原料>
本発明にかかるカルボン酸無水物を製造するための原料は、
(I)前記式(1)、(3)、および(6)で示される化合物(多価カルボン酸)、ならびに、
(II)前記式(4)で示される化合物(カルボキシ基を有するカルボン酸無水物)
からなる群から選択される少なくとも一つの化合物を含む組成物である。例えば、ジカルボン酸およびトリカルボン酸を含む組成物、テトラカルボン酸およびテトラカルボン酸一無水物を含む組成物が挙げられる。また、本発明にかかる組成物は、さらにカルボキシ基を有していないカルボン酸無水物を含んでいてもよい。
【0044】
式(1)で表わされるカルボン酸として、へキサカルボン酸、ペンタカルボン酸、テトラカルボン酸、トリカルボン酸、ジカルボン酸が挙げられる。へキサカルボン酸として、例えば、ベンゼンヘキサカルボン酸が挙げられる。ペンタカルボン酸として、例えば、ベンゼンペンタカルボン酸が挙げられる。
【0045】
式(1)および(2)において、有機基Yは、−COOHまたは−CO−O−CO−の他に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボン酸基、置換もしくは無置換のアルキル基から選ばれる原子または官能基を有していてもよい。
【0046】
式(3)で表わされる化合物(テトラカルボン酸)としては、芳香族テトラカルボン酸が挙げられる。芳香族テトラカルボン酸としては、例えば、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−p−ターフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−p−ターフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−p−ターフェニルテトラカルボン酸、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸が挙げられる。
【0047】
また、式(4)で表される化合物としては、芳香族テトラカルボン酸一無水物が挙げられる。芳香族テトラカルボン酸一無水物としては、例えば、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸1,2−一無水物、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸1,2−一無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸2,3−一無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸3,4−一無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸2,3−一無水物、3,3’,4,4’−p−ターフェニルテトラカルボン酸3,4−一無水物、2,2’,3,3’−p−ターフェニルテトラカルボン酸2,3−一無水物、2,3,3’,4’−p−ターフェニルテトラカルボン酸2,3−一無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸1,2−一無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸1,2−一無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸1,8−一無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸2,3−一無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸2,3−一無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸3,4−一無水物が挙げられる。
【0048】
また、式(5)で表される化合物としては、芳香族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−p−ターフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−p−ターフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−p−ターフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0049】
式(6)で表わされる化合物として、芳香族ジカルボン酸および芳香族トリカルボン酸が挙げられる。芳香族ジカルボン酸としては、例えば、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、4−メチルフタル酸、4−ブロモフタル酸4,5−ジクロロフタル酸、4−トリフルオロメチルフタル酸、等が挙げられる。芳香族トリカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸が挙げられる。
【0050】
また、前記式(1)及び(2)中のY、前記式(3)〜(5)中のX
1、前記式(6)及び(7)中のX
2は、それぞれ独立して、下記式(10)で示される基、下記式(11)で示される基、または下記式(12)で示される基であることが好ましい。その中でも、下記式(12)で示される基であることが特に好ましい。
【0054】
前記Y、X
1、X
2が下記式(10)〜(12)のいずれかの基であることで、同一分子内のカルボキシ基の脱水反応に必要なエネルギーをより減少させることができ、脱水反応をより効率良く行うことができる。これは、原料である前記式(1)、(3)、(4)、または(6)で示される化合物において、同一分子内のカルボキシ基同士が脱水反応を生じさせやすい位置関係となるためであると本発明者らは推測している。
【0055】
<非プロトン性極性溶媒>
本発明は、非プロトン性極性溶媒存在下、加熱してカルボン酸無水物を製造する。非プロトン性溶媒とは、解離性の水素原子を有さない溶媒のことである。そして、非プロトン性極性溶媒とは、非プロトン性溶媒の中で、双極子モーメントと誘電率が大きい溶媒である。非プロトン性極性溶媒は、1種類に限定されず、2種類以上併用してよい。非プロトン性極性溶媒を2種類以上併用する場合、本発明にかかる非プロトン性極性溶媒の沸点は、2種類以上の非プロトン性極性溶媒のうち、最も沸点が低い非プロトン性極性溶媒の沸点を意味する。非プロトン性極性溶媒としては、例えば、脂肪酸エステル、アミド、スルホキシド、ケトンが挙げられる。
【0056】
本発明にかかる非プロトン性極性溶媒の具体例を以下に示すが、本発明はこれに限定されない。
【0057】
脂肪酸エステルとしては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、プロピオン酸メチル、吉草酸メチル、吉草酸エチル、ヘキサン酸メチル、ヘキサン酸エチル、へプタン酸メチル、へプタン酸エチル、n−オクタン酸メチル、n−オクタン酸エチルが挙げられる。
【0058】
アミドとしては、下記式(8)で示される化合物が挙げられる。
【0059】
【化18】
(8)
(式(8)中、R
3およびR
4は、それぞれ独立に、アルキル基を示す。R
5は、水素原子、アルキル基を示す。)
【0060】
上記式(8)で示される化合物としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが挙げられる。
【0061】
スルホキシドとして、下記式(9)で示される化合物が挙げられる。
【0063】
(式(9)中、R
6およびR
7は、それぞれ独立に、アルキル基を示す。)
【0064】
上記式(9)で示される化合物としては、例えば、ジメチルスルホキシドが挙げられる。
【0065】
ケトンとしては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソプロピルメチルケトン、ジイソプロピルケトン、tert−ブチルメチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロブタノン、シクロペンタノン、シクロへキサノンが挙げられる。
【0066】
式(8)または式(9)で示される化合物におけるR
3〜R
7のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、iso−プロピル基、ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
【0067】
<非プロトン性極性溶媒以外の溶媒>
また、前記溶媒は、脱水反応を阻害する水を、反応溶液中から減少させ、反応を促進させる観点から、非プロトン性極性溶媒に加えて、さらに炭化水素溶媒、ハロゲン溶媒、およびエーテル溶媒からなる群から選択される少なくとも一つの溶媒を用いてもよい。前記炭化水素溶媒、ハロゲン溶媒、エーテル溶媒は、1種類に限定されず、2種類以上併用してよい。前記溶媒の使用量は、カルボン酸無水物が得られる範囲であればよく、特に限定されるものではないが、非プロトン性極性溶媒に対して、0.5〜20倍量が好ましく、より好ましくは、1〜10倍量である。
【0068】
炭素水素溶媒としては、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素が挙げられる。また、脂肪族炭化水素は、鎖式脂肪族炭化水素であっても、脂環式炭化水素化合物であってもよい。
【0069】
芳香族炭化水素しては、例えば、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、1,3,5−トリメチルベンゼン、クメン、メシチレン、p−シメン、1,2,4,5−テトラメチルベンゼン、tert−ブチルベンゼンが挙げられる。
【0070】
鎖式脂肪族炭化水素としては、例えば、へプタン、ヘキサン、オクタンが挙げられる。
【0071】
脂環式炭化水素としては、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロへプタン、シクロオクタンが挙げられる。
【0072】
ハロゲン溶媒として、例えば、クロロホルム、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼンが挙げられる。
【0073】
エーテル溶媒としては、例えば、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテルが挙げられる。
【0074】
本発明に係る反応温度は、カルボン酸無水物が得られる範囲でよく、特に限定されるものではないが、好ましくは50℃〜180℃であり、より好ましくは50℃〜150℃であり、さらに好ましくは50℃〜130℃である。反応温度が前記範囲内であることで、生成されたカルボン酸無水物が変性しにくい、工業的に有利な温和な条件での反応となる。
【0075】
本発明で使用する溶媒の使用量は、カルボン酸無水物が得られる範囲でよく、特に限定されるものではないが、使用原料に対して1〜50質量%であることが好ましい。より好ましくは、1〜30質量%が好ましく、さらに好ましくは、1〜20質量%である、
反応時間は、カルボン酸無水物が得られる範囲でよく、特に限定されるものではないが、好ましくは0.1〜30時間でありく、より好ましくは0.1〜20時間である。
【0076】
反応は、常圧、加圧、減圧下の何れの条件でも実施できるが、窒素などの不活性ガス雰囲気下で実施することが好ましい。
【0077】
本発明に使用する多価カルボン酸、カルボキシ基を有するカルボン酸無水物を少なくとも一つ含む組成物は、公知の方法で合成可能であり、また試薬としても入手可能である。例えば、東京化成工業(株)やシグマアルドリッチジャパン(株)や和光純薬工業(株)から試薬の入手が可能である。
【0078】
<カルボン酸イミドの製造方法>
以上説明した本発明で製造されたカルボン酸無水物は、アミンとの縮合反応により、カルボン酸イミドを得ることができる。カルボン酸イミドの具体的な合成方法は、例えば特開2007−108670号公報、日本画像学会誌45(6)、521−525(2006)に開示されている。縮合反応に用いるアミンの種類は、1種類に限定されず、2種類以上併用してよい。本発明で製造されたカルボン酸無水物を用いることで、副生成物が低減された、カルボン酸イミドが得られる。
【0079】
カルボン酸イミドは、光電変換素子、有機電界発光素子などの有機エレクトロニクス材料、電子写真感光体に用いることができる。特に、工業的に有用であるテトラカルボン酸ジイミドを得るために、カルボン酸無水物はテトラカルボン酸無水物であることが好ましい。
【0080】
<電子写真感光体、および、電子写真感光体の製造方法>
電子写真感光体は、一般的に、支持体および支持体上に形成された感光層を有する。負帯電用の電子写真感光体の場合、感光層には、電荷発生物質および正孔輸送物質が含有される。電荷発生物質および正孔輸送物質を含有する感光層には、支持体側から電荷発生物質を含有する電荷発生層と正孔輸送物質を含有する正孔輸送層をこの順に積層してなるものと、電荷発生物質と正孔輸送物質を同一の層に含有させてなるものとがある。
【0081】
また、支持体上に感光層(電荷発生層)を直接設けると、感光層(電荷発生層)の剥がれが生じたり、支持体の表面の欠陥(傷などの形状的欠陥または不純物などの材質的欠陥)が画像にそのまま反映され、黒点状や白抜け状の画像欠陥が生じる場合がある。
【0082】
これらの問題を解消するため、多くの電子写真感光体では、下引き層と呼ばれる層(中間層とも呼ばれる。)が感光層と支持体との間に設けられている。
【0083】
カルボン酸イミドは、上記の下引き層、感光層、電荷発生層、および正孔輸送層のいずれの層に含有されてもよく、特に下引き層に含有されるのが好ましい。
【0084】
本発明の電子写真感光体の製造方法は、下引き層用塗布液を調製する工程、および前記下引き層用塗布液の塗膜を形成し、前記塗膜を乾燥させることによって、前記下引き層を形成する工程を有する。前記カルボン酸イミド誘導体は、下引き層塗布液に含有される。本発明にかかる製造方法で製造されたカルボン酸イミドを用いて形成された下引き層を有する電子写真感光体は、良好な電子写真特性が得られ、特にポジゴーストを抑制することができる。また、本発明に係る電子写真感光体の製造方法において、カルボン酸イミドは、テトラカルボン酸ジイミドであることが好ましい。
【0085】
〔支持体〕
支持体としては、導電性を有するもの(導電性支持体)であることが好ましく、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅、金、鉄などの金属またはこれら金属の合金の支持体を用いることができる。また、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ガラスなどの絶縁性支持体上にアルミニウム、銀、金などの金属の薄膜、または酸化インジウム、酸化スズなどの導電性材料の薄膜を形成してなるものが挙げられる。
【0086】
支持体の表面には、電気的特性の改善や、半導体レーザーなどコヒーレント光照射時に発生しやすい干渉縞の抑制のため、陽極酸化などの電気化学的な処理や、湿式ホーニング、ブラスト、切削などの処理を施してもよい。また、支持体上に、導電層を形成してもよい。導電層は、導電性粒子を樹脂に分散させた導電層用塗布液の塗膜を支持体上に形成し、この塗膜を乾燥させることで得られる。導電性粒子としては、たとえば、カーボンブラック、アセチレンブラックや、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀のような金属粉や、導電性酸化スズITOのような金属酸化物粉体が挙げられる。
【0087】
導電層に用いられる樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂およびアルキッド樹脂が挙げられる。
【0088】
導電層用塗布液の溶剤としては、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤および芳香族炭化水素溶剤が挙げられる。導電層の膜厚は、0.2μm以上40μm以下であることが好ましい。
【0089】
〔下引き層〕
電荷発生層と支持体との間に下引き層が設けられる。
【0090】
本発明においては、支持体上に、カルボン酸イミドを含有する下引き層が形成される。下引き層用塗布液の塗膜を形成し、塗膜を乾燥させることによって、下引き層を形成する。
【0091】
下引き層は、上述したカルボン酸イミド以外にも、成膜性や電気的特性を高めるために、樹脂、架橋剤、有機粒子、無機粒子、レベリング剤などの添加剤を含有してもよい。ただし、下引き層におけるそれらの添加剤の含有量は、下引き層の全質量に対して50質量%未満であることが好ましく、20質量%未満であることがより好ましい。
【0092】
(架橋剤)
下引き層に含有しても良い架橋剤としては、下引き層に含まれる物質の架橋に関与可能ならばどのような化合物でも良い。一般的に購入可能な架橋剤として、以下に示すイソシアネート化合物、アミン化合物が挙げられる。しかしながら、本発明はこれらに限定されるわけではない。また、架橋剤は複数組み合わせて使用してもよい。
【0093】
イソシアネート化合物は、イソシアネート基またはブロックイソシアネート基を複数個(2個以上)有しているイソシアネート化合物が好ましい。例えば、トリイソシアネートベンゼン、トリイソシアネートメチルベンゼン、トリフェニルメタントリイソシアネート、リジントリイソシアネートの他、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、メチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート、ノルボルナンジイソシアネート等のジイソシアネートのイソシアヌレート変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、トリメチロールプロパンやペンタエリスリトールとのアダクト変性体等が挙げられる。これらの中でもイソシアヌレート変性体とアダクト変性体がより好ましい。
【0094】
購入可能なイソシアネート化合物(架橋剤)として、例えば、旭化成社製デュラネートMFK−60B、SBA−70B、住化バイエルウレタン社製デスモジュールBL3175、BL3475等のイソシアネート系架橋剤、三井化学社製ユーバン20SE60、220、DIC社製スーパーベッカミンL−125−60、G−821−60等のアミノ系架橋剤、日立化成社製ファンクリルFA−129AS、FA−731A等のアクリル系架橋剤等が挙げられる。
【0095】
アミン化合物は、例えば、Nメチロール基またはアルキルエーテル化されたNメチロール基を複数個(2個以上)有しているアミン化合物が好ましい。例えば、メチロール化されたメラミン、メチロール化されたグアナミン、メチロール化された尿素誘導体、メチロール化されたエチレン尿素誘導体、メチロール化されたグリコールウリルおよび、メチロール部位がアルキルエーテル化されたこれら化合物、およびこれらの誘導体が挙げられる。
【0096】
購入可能なアミン化合物(架橋剤)としては、例えば、スーパーメラミNo.90(日本油脂社製)、スーパーベッカミン(R)TD−139−60、L−105−60、L127−60、L110−60、J−820−60、G−821−60(DIC社製)、ユーバン2020(三井化学)、スミテックスレジンM−3(住友化学工業)、ニカラックMW−30、MW−390、MX−750LM(日本カーバイド社製)、スーパーベッカミン(R)L−148−55、13−535、L−145−60、TD−126(DIC社製)、ニカラックBL−60、BX−4000(日本カーバイド社製)、ニカラックMX−280、ニカラックMX−270、ニカラックMX−290(日本カーバイド社製)、などが挙げられる。
【0097】
(樹脂)
下引き層に含有しても良い樹脂としては、例えば、ポリエーテルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリアクリルポリオール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、カルボキシル基含有樹脂、ポリアミン樹脂、ポリチオール樹脂が挙げられる。しかしながら、本発明はこれらに限定されるわけではない。また、樹脂は複数組み合わせて使用してもよい。
【0098】
カルボン酸イミド及び上記架橋剤を含む組成物に、さらに重合性官能基を有する樹脂を加え、硬化させて、硬化物にしてもよい。硬化物にすることで、カルボン酸イミドの劣化を抑制することができる。
【0099】
購入可能な重合性官能基を有する樹脂としては、例えば、日本ポリウレタン工業株式会社製AQD−457、AQD−473、三洋化成工業株式会社製サンニックスGP−400、GP−700などのポリエーテルポリオール系樹脂、日立化成工業株式会社製フタルキッドW2343、DIC株式会社製ウォーターゾールS−118、CD−520、ハリマ化成株式会社製ハリディップWH−1188などのポリエステルポリオール系樹脂、DIC株式会社製バーノックWE−300、WE−304などのポリアクリルポリオール系樹脂、株式会社クラレ製クラレポバールPVA−203などのようなポリビニルアルコール系樹脂、積水化学工業株式会社製BX−1、BM−1、KS−1、KS−5などのポリビニルアセタール系樹脂、ナガセケムテックス株式会社製トレジンFS−350などのポリアミド系樹脂、日本触媒株式会社製アクアリック、鉛市株式会社製ファインレックスSG2000などのカルボキシル基含有樹脂、DIC株式会社製ラッカマイドなどのポリアミン樹脂、東レ株式会社製QE−340Mなどのポリチオール樹脂が挙げられる。
【0100】
〔感光層〕
下引き層上には、電荷発生物質および正孔輸送物質を含有する感光層が設けられる。
【0101】
感光層には、支持体側から電荷発生物質を含有する電荷発生層と正孔輸送物質を含有する正孔輸送層をこの順に積層した積層型感光層と、電荷発生物質と正孔輸送物質を同一の層に含有させた単層型感光層がある。電荷発生層や正孔輸送層は、それぞれ複数設けてもよい。
【0102】
電荷発生物質としては、例えば、モノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾなどのアゾ顔料や、ペリレン酸無水物、ペリレン酸イミドなどのペリレン顔料や、アントラキノン誘導体、アントアントロン誘導体、ジベンズピレンキノン誘導体、ピラントロン誘導体、ビオラントロン誘導体、イソビオラントロン誘導体などのキノン顔料や、インジゴ誘導体、チオインジゴ誘導体などのインジゴイド顔料や、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン顔料や、ビスベンズイミダゾール誘導体などのペリノン顔料などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、フタロシアニン顔料が好ましい。フタロシアニン顔料の中でも、オキシチタニウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニンが好ましい。
【0103】
感光層が積層型感光層である場合、電荷発生層に用いられる結着樹脂としては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレンなどのビニル化合物の重合体および共重合体や、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセタールが好ましく、これらの中でも、ポリビニルアセタールがより好ましい。
【0104】
電荷発生層において、電荷発生物質と結着樹脂との質量比率(電荷発生物質/結着樹脂)は、10/1〜1/10の範囲であることが好ましく、5/1〜1/5の範囲であることがより好ましい。
【0105】
電荷発生層の膜厚は、0.05μm以上5μm以下であることが好ましい。
【0106】
正孔輸送物質としては、例えば、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物、トリフェニルアミンなどが挙げられる。また、これらの化合物から誘導される基を主鎖または側鎖に有するポリマーも挙げられる。
【0107】
感光層が積層型感光層である場合、正孔輸送層に用いられる結着樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸エステル、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリスチレンなどが挙げられる。これらの中でも、ポリカーボネート、ポリアリレートが好ましい。また、これらの重量平均分子量(Mw)は、10,000〜300,000の範囲であることが好ましい。
【0108】
正孔輸送層において、正孔輸送物質と結着樹脂との質量比率(正孔輸送物質/結着樹脂)は、10/5〜3/10の範囲であることが好ましく、10/8〜6/10の範囲であることがより好ましい。
【0109】
なお、支持体と上記下引き層との間や上記下引き層と感光層との間には、金属酸化物やカーボンブラックなどの導電性粒子を樹脂中に分散してなる導電層や、本発明における重合物(硬化物)を含有しない第2の下引き層などの別の層を設けてもよい。
【0110】
また、感光層(正孔輸送層)上には、導電性粒子または正孔輸送物質と結着樹脂とを含有する保護層(表面保護層)を設けてもよい。保護層には、潤滑剤などの添加剤をさらに含有させてもよい。また、保護層の樹脂(結着樹脂)自体に導電性や正孔輸送性を有させてもよく、その場合、保護層には、当該樹脂以外の導電性粒子や正孔輸送物質を含有させなくてもよい。また、保護層の結着樹脂は、熱可塑性樹脂でもよいし、熱、光、放射線(電子線など)などにより硬化させてなる硬化性樹脂であってもよい。
【0111】
〔層の形成方法〕
下引き層、電荷発生層、正孔輸送層などの電子写真感光体を構成する各層を形成する方法としては、まず、各層を構成する材料を溶剤に溶解および/または分散させて得られた塗布液を塗布して塗膜を形成する。次に、得られた塗膜を乾燥および/または硬化させることによって形成する方法が好ましい。塗布液を塗布する方法としては、例えば、浸漬塗布法(浸漬コーティング法)、スプレーコーティング法、カーテンコーティング法、スピンコーティング法などが挙げられる。これらの中でも、効率性および生産性の観点から、浸漬塗布法が好ましい。
【0112】
<プロセスカートリッジおよび電子写真装置>
図1に、本発明の電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す。
【0113】
図1に示す電子写真装置は、円筒状の電子写真感光体1は、回転軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体1の表面(周面)は、回転過程において、帯電手段3(例えば、接触系一次帯電器、非接触系一次帯電器など)により、正または負の所定電位に均一に帯電される。次いで、均一に帯電された電子写真感光体1の表面は、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(画像露光手段)(不図示)からの露光光(画像露光光)4(例えば、レーザー光)で露光される。こうして電子写真感光体1の表面に目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。
【0114】
電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、次いで現像手段5(例えば、接触型現像器、非接触型現像機など)のトナーにより現像されてトナー像となる。得られたトナー像は、転写材7(例えば、紙)に、転写手段6(例えば、転写帯電器)により順次転写されていく。転写材7は、不図示の転写材供給部から電子写真感光体1の回転と同期して取り出され、電子写真感光体1と転写手段6との間に給送される。
【0115】
トナー像が転写された転写材7は、電子写真感光体1の表面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより複写物(コピー)として電子写真装置外へプリントアウトされる。
【0116】
トナー転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段9によって転写残りトナーの除去を受けて清浄化される。次いで、清浄化された電子写真感光体1の表面は、前露光手段(不図示)からの前露光光(不図示)により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。
【0117】
帯電手段3は、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器を用いてもよいし、ローラー形状、ブレード形状、ブラシ形状などの帯電部材を備える接触型帯電器を用いてもよい。
【0118】
本発明においては、電子写真感光体1と、帯電手段3、現像手段5、およびクリーニング手段9などの構成要素から選択される少なくとも1つの手段とをプロセスカートリッジとして一体に支持する。そして、このプロセスカートリッジを電子写真装置本体に対して着脱自在に構成することができる。例えば、帯電手段3、現像手段5、転写手段6およびクリーニング手段9の少なくとも1つの手段を電子写真感光体1とともに一体に支持してカートリッジ化する。これを、電子写真装置本体のレール11および12などの案内手段を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ10とすることができる。
【実施例】
【0119】
以下、実施例および比較例により、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の「部」は「質量部」を意味する。また、実施例および比較例で用いた溶媒の沸点は下記表1に示した通りである。
【0120】
【表1】
【0121】
また、カルボン酸無水物を製造するために用いた原料、および、製造されたカルボン酸無水物の同定は、核磁気共鳴分光分析(NMR)によって行われた。また、製造されたカルボン酸イミドの同定は、核磁気共鳴分光分析(NMR)および質量分析によって行われた。なお、核磁気共鳴分光分析(NMR)および質量分析による同定方法は以下の通りである。
・核磁気共鳴分光分析(NMR)
フーリエ変換核磁気共鳴装置(FT−NMR:ブルカー・バイオスピン(株)製 AVANCEIII500)を用い、重水素化ジメチルスルホキシド中の
1H−NMRスペクトルにより構造を確認した。
・質量分析
質量分析計(MALDI−TOF MS:ブルカー・ダルトニクス(株)製 ultraflex)を用い、加速電圧:20kV、モード:Reflector、分子量標準品:フラーレンC
60の条件で、分子量を測定した。得られたピークトップ値で確認した。
【0122】
(実施例1)
室温下、窒素気流下1Lの3つ口フラスコに、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物と1,4,5,8―ナフタレンテトラカルボン酸一無水物の比率(質量比)が62:38である組成物100.0g、溶媒として、N,N−ジメチルアセトアミド300mlを入れ、120℃まで加熱した後、その温度下で2時間撹拌し、反応させた。容器を10℃まで冷却し、1時間撹拌させ、ろ過し、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物を85g得た。
【0123】
(実施例2)
溶媒として、N,N−ジメチルアセトアミド300mlの代わりに、N,N−ジメチルアセトアミド200mlとトルエン200mlの混合溶媒を用い、111℃まで加熱した以外は、実施例1と同様に実施した。
【0124】
(実施例3〜5)
表2に示すように溶媒、反応温度(加熱温度)、反応時間を変更した以外は、実施例1と同様に実施した。
【0125】
(実施例6)
室温下、窒素気流下1000mlの3つ口フラスコに、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸と1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸一無水物の比率(質量比)が86:14である組成物100.0g、溶媒として、N,N−ジメチルアセトアミド200ml、トルエン400mlを入れ、111℃まで加熱した後、その温度下で2時間撹拌し、反応させた。容器を10℃まで冷却し、1時間撹拌させ、ろ過し、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物を73g得た。
【0126】
(実施例7〜38)
表2に示すように溶媒、反応温度(加熱温度)、反応時間を変更した以外は、実施例6と同様に実施した。
【0127】
(実施例39)
室温下、窒素気流下3Lの3つ口フラスコに、ピロメリット酸100g、溶媒として、N,N−ジメチルアセトアミド200ml、クロロベンゼン1000ml、トルエン400mlを入れ、111℃まで加熱した後、その温度下で20時間撹拌し、反応させた。溶媒を留去し、トルエンで分散洗浄を行い、ろ過し、ピロメリット酸二無水物を42g得た。
【0128】
(実施例40〜42)
表2に示すように溶媒、反応温度(加熱温度)を変更した以外は、実施例38と同様に実施した。
【0129】
(実施例43)
室温下、窒素気流下300mlの3つ口フラスコに、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸10.0g、溶媒として、N,N−ジメチルアセトアミド20ml、クロロベンゼン100ml、トルエン40mlを入れ、111℃まで加熱した後、その温度下で20時間撹拌し、反応させた。溶媒を留去し、トルエンで分散洗浄を行い、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を5.1g得た。
【0130】
(実施例44)
表2に示すように溶媒、反応温度(加熱温度)を変更した以外は、実施例43と同様に実施した。
【0131】
(実施例45)
室温下、窒素気流下300mlの3つ口フラスコに、トリメリット酸10.0g、溶媒として、N,N−ジメチルアセトアミド20ml、クロロベンゼン100ml、トルエン40mlを入れ、111℃まで加熱した後、その温度下で10時間撹拌し、反応させた。溶媒を留去し、トルエンで分散洗浄を行い、トリメリット酸無水物を5.7g得た。
【0132】
(実施例46)
表2に示すように溶媒、反応温度(加熱温度)を変更した以外は、実施例45と同様に実施した。
【0133】
(実施例47)
室温下、窒素気流下300mlの3つ口フラスコに、4−メチルフタル酸10.0g、溶媒として、N,N−ジメチルアセトアミド20ml、クロロベンゼン100ml、トルエン40mlを入れ、111℃まで加熱した後、その温度下で10時間撹拌し、反応させた。溶媒を留去し、トルエンで分散洗浄を行い、4−メチルフタル酸無水物を3.6g得た。
【0134】
(実施例48)
室温下、窒素気流下300mlの3つ口フラスコに、2,3−ナフタレンジカルボン酸10.0g、溶媒として、N,N−ジメチルアセトアミド20ml、クロロベンゼン100ml、トルエン40mlを入れ、111℃まで加熱した後、その温度下で10時間撹拌し、反応させた。溶媒を留去し、トルエンで分散洗浄を行い、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物を4.1g得た。
【0135】
(比較例1〜2)
表2に示すように溶媒、反応温度(加熱温度)を変更した以外は、実施例6と同様に実施した。
【0136】
1,4,5,8―ナフタレンテトラカルボン酸二無水物は、得られなかった。
【0137】
【表2】
【0138】
(実施例49)
室温下、窒素気流下500mlの3つ口フラスコに、実施例1で得られた、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物5.4g、N,N−ジメチルアセトアミド200ml、ロイシノール2.6部、2−(2−アミノエチルチオ)エタノール2.7gを加え、室温で1時間撹拌後、7時間還流を行った。得られた黒褐色溶液からジメチルアセトアミドを減圧蒸留で除いた後、酢酸エチル/トルエン混合溶液に溶解した。
【0139】
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒酢酸エチル/トルエン)で分離後、目的物を含有するフラクションを濃縮し、得られた結晶をトルエン/ヘキサン混合溶液で再結晶を行い、下記式(E1)で示されるテトラカルボン酸ジイミドを2.5g得た。
【0140】
【化20】
(E1)
【0141】
(実施例50)
室温下、窒素気流下500mlの3つ口フラスコに、実施例2で得られた、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物5.4g、N,N−ジメチルアセトアミド200ml、ロイシノール5.2gを加え、室温で1時間撹拌後、7時間還流を行った。ジメチルアセトアミドを減圧蒸留で除いた後、酢酸エチルで再結晶を行い、下記式(E2)で示されるテトラカルボン酸ジイミドを5.0g得た。
【0142】
【化21】
(E2)
【0143】
(実施例51)
実施例1で得られた1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物の代わりに、実施例6で得られた1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物を用いた以外は、実施例49と同様に前記式(E1)で示されるテトラカルボン酸ジイミドを合成した。
【0144】
(実施例52)
実施例1で得られた1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物の代わりに、実施例8で得られた1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物を用いた以外は、実施例49と同様に前記式(E1)で示されるテトラカルボン酸ジイミドを合成した。
【0145】
(実施例53)
実施例2で得られた、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物の代わりに、実施例10で得られた1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物を用いた以外は、実施例50と同様に前記式(E2)で示されるテトラカルボン酸ジイミドを合成した。
【0146】
(実施例54)
実施例2で得られた、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物の代わりに、実施例22で得られた1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物を用いた以外は、実施例50と同様に前記式(E2)で示されるテトラカルボン酸ジイミドを合成した。
【0147】
(実施例55)
室温下、窒素気流下300ml3つ口フラスコに、実施例39で得られたピロメリット酸二無水物10.0g、N,N−ジメチルアセトアミド100ml、ロイシノール11.8gを加え、室温で1時間撹拌後、7時間還流を行った。ジメチルアセトアミドを減圧蒸留で除いた後、トルエン/酢酸エチル混合溶液で再結晶を行い、下記式(E3)で示されるテトラカルボン酸ジイミド化合物を6.7g得た。
【0148】
【化22】
(E3)
【0149】
(実施例56)
長さ260.5mmおよび直径30mmのアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金)を支持体(導電性支持体)とした。
【0150】
次に、酸素欠損型酸化スズが被覆されている酸化チタン粒子(粉体抵抗率:120Ω・cm、酸化スズの被覆率:40%)50部、フェノール樹脂(プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分:60%)40部、メトキシプロパノール55部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、3時間分散処理することによって、導電層用塗布液を調製した。この導電層用塗布液中の酸素欠損型酸化スズが被覆されている酸化チタン粒子の平均粒径を、(株)堀場製作所製の粒度分布計(商品名:CAPA700)を用い、テトラヒドロフランを分散媒とし、回転数5000rpmにて遠心沈降法で測定した。その結果、平均粒径は0.30μmであった。
【0151】
この導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間160℃で乾燥・熱硬化させることによって、膜厚が18μmの導電層を形成した。
【0152】
次に、実施例49で得られた式(E1)で示されるテトラカルボン酸ジイミド1部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:BX−1、積水化学工業(株)製)0.5部、ジオクチルスズラウリレート0.0005部を、メトキシプロパノール15部とテトラヒドロフラン15部の混合溶媒に溶解した。この溶液に、固形分1.3部相当のブロックイソシアネート樹脂(BL3575:住化バイエル製)を加え、下引き層用塗布液を調製した。この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間160℃で加熱し、溶媒を蒸発させるとともに、硬化させることによって、膜厚が0.8μmの下引き層を形成した。
【0153】
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°にピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)を用意した。このヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶10部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5部およびシクロヘキサノン250部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、2時間分散処理した。次に、これに酢酸エチル250部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。
【0154】
この電荷発生層用塗布液を、下引き層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を10分間95℃で乾燥させることによって、膜厚が0.17μmの電荷発生層を形成した。
【0155】
次に、下記式(13)で示されるアミン化合物(正孔輸送物質)7.2部、
【0156】
【化23】
(13)
【0157】
下記式(14)で示されるアミン化合物(正孔輸送物質)0.8部
【0158】
【化24】
(14)
【0159】
ならびに、下記式(15)および式(16)で示される構造単位を5/5の割合で有している、重量平均分子量(Mw)が100,000であるポリエステル樹脂(P1)10部を、ジメトキシメタン40部およびオルトキシレン60部の混合溶剤に溶解させることによって、正孔輸送層用塗布液を調製した。
【0160】
【化25】
(15)
【0161】
【化26】
(16)
【0162】
この正孔輸送層用塗布液を、電荷発生層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間120℃で乾燥させることによって、膜厚が15μmの正孔輸送層を形成した。
【0163】
このようにして、支持体上に導電層、下引き層、電荷発生層および正孔輸送層を有する電子写真感光体を作製した。
【0164】
作製した電子写真感光体を、温度23℃、湿度50%RHの環境下にて、キヤノン(株)製のレーザービームプリンター(商品名:LBP−2510)の改造機(一次帯電:ローラー接触DC帯電、プロセススピード120mm/秒、レーザー露光)に装着した。そして、初期及び15,000枚画像出力後の表面電位の評価および出力画像の評価を行った。詳しくは以下のとおりである。
【0165】
(ゴースト画像の評価)
上記レーザービームプリンターのシアン色用のプロセスカートリッジを改造し、現像位置に電位プローブ(model6000B−8:トレック・ジャパン(株)製)を装着した。次に、電子写真感光体の中央部の電位を表面電位計(model344:トレック・ジャパン(株)製)を使用して測定した。また、暗部電位(Vd)が−600V、明部電位(Vl)が−150Vになるよう、画像露光の光量を設定した。
【0166】
続いて、上記レーザービームプリンターのシアン色用のプロセスカートリッジに、作製した電子写真感光体を装着して、そのプロセスカートリッジをシアンのプロセスカートリッジのステーションに装着し、画像を出力した。
【0167】
まず、ベタ白画像(1枚)、ゴースト評価用画像(5枚)、ベタ黒画像(1枚)、ゴースト評価用画像(5枚)の順に連続して画像出力を行った。
【0168】
ゴースト評価用画像は
図2に示すように、画像の先頭部21の白画像中に四角のベタ黒画像22を出力した後、
図3に示す1ドット桂馬パターンのハーフトーン画像を作成したものである。
【0169】
ポジゴーストの評価は、1ドット桂馬パターンのハーフトーン画像23のマクベス濃度と、ゴースト部24(ポジゴーストが生じうる部分)のマクベス濃度との濃度差(マクベス濃度差)を測定することで行った。分光濃度計(商品名:X−Rite504/508、X−Rite(株)製)で、1枚のゴースト評価用画像中でマクベス濃度差を10点測定した。この操作をゴースト評価用画像10枚すべてで行い、合計100点の平均をマクベス濃度差として算出した。初期のマクベス濃度差を表3の「マクベス濃度差(初期)」の欄に示す。また、15,000枚の出力後(耐久試験後)のマクベス濃度差を表3の「マクベス濃度差(耐久試験後)」の欄に示す。さらに、初期のマクベス濃度差と、15,000枚の出力後のマクベス濃度差との差を表3の「マクベス濃度差((耐久試験後)−(初期))」の欄を示す。ゴースト部の濃度が大きいほど、ポジゴーストが強く生じていることになる。上記濃度差(マクベス濃度差)が小さいほど、ポジゴーストが抑制されたことを意味する。
【0170】
(実施例57〜61)
表3に示すように、式(E1)で示されるテトラカルボン酸ジイミドを、実施例50〜54で得られたテトラカルボン酸ジイミドに変更した以外は、実施例56と同様に電子写真感光体を作製し、ゴースト画像の評価を行った。
【0171】
【表3】