特許第6789619号(P6789619)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6789619電子部品用のソケット、および電子部品の取付方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6789619
(24)【登録日】2020年11月6日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】電子部品用のソケット、および電子部品の取付方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/26 20200101AFI20201116BHJP
   H01R 33/76 20060101ALI20201116BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   G01R31/26 J
   H01R33/76 Z
   H01R43/00 Z
   G01R31/26 F
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-191082(P2015-191082)
(22)【出願日】2015年9月29日
(65)【公開番号】特開2017-67525(P2017-67525A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144440
【弁理士】
【氏名又は名称】保坂 一之
(72)【発明者】
【氏名】椿 裕一
【審査官】 青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−211067(JP,A)
【文献】 特開2002−025732(JP,A)
【文献】 特開2007−109534(JP,A)
【文献】 特開平07−083993(JP,A)
【文献】 特開2004−047137(JP,A)
【文献】 特開2004−111214(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0021341(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/26
H01R 33/76
H01R 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と電気的に接続可能な状態で電子部品を保持するソケットであって、
前記ソケットの一端に設けられ、前記電子部品が挿入されるフレームと、
前記フレームの内壁に設けられ、該内壁と交差する方向に沿って移動可能な少なくとも一つの保持部と
前記少なくとも一つの保持部に対応する少なくとも一つの軸部材と
を備え、
前記少なくとも一つの保持部が、前記方向に沿って移動して前記フレーム内の前記電子部品の少なくとも一つの側面に当接することで、該電子部品の主面が覆われることなく該電子部品が前記フレーム内で保持され、これにより、該主面を覆う構造を有しない前記ソケットによって、該主面が覆われることなく該電子部品が前記回路基板と電気的に接続され
各軸部材が、対応する前記保持部と接する接触部を有し、
前記接触部が少なくとも、第1の径と、該第1の径よりも大きい第2の径とを有し、
前記軸部材が回転し、対応する前記保持部と接する前記接触部の位置を基点とする該接触部の径が変わることで、該対応する保持部が、前記内壁と交差する方向に沿って移動する、
ソケット。
【請求項2】
回路基板と電気的に接続可能な状態で電子部品を保持するソケットであって、
前記ソケットの一端に設けられ、前記電子部品が挿入されるフレームと、
前記フレームの内壁に設けられ、該内壁と交差する方向に沿って移動可能な少なくとも一つの保持部と
を備え、
前記少なくとも一つの保持部が、前記方向に沿って移動して前記フレーム内の前記電子部品の少なくとも一つの側面に当接することで、該電子部品の主面が覆われることなく該電子部品が前記フレーム内で保持され、これにより、該主面を覆う構造を有しない前記ソケットによって、該主面が覆われることなく該電子部品が前記回路基板と電気的に接続され、
前記フレームの端面に、前記少なくとも一つの保持部を移動させるための部材が挿入される少なくとも一つの挿入口が形成された、
ソケット。
【請求項3】
各保持部が、前記内壁と交差する方向に沿って伸縮する弾性部材を有する、
請求項に記載のソケット。
【請求項4】
前記回路基板から前記フレームの端面までの最大長さが、該回路基板から前記フレーム内で保持された前記電子部品の主面までの最小長さよりも短い、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のソケット。
【請求項5】
前記電子部品が、発光または受光する機能を有する、
請求項1〜のいずれか一項に記載のソケット。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか一項に記載のソケットと前記電子部品とを用意する工程と、
前記電子部品を前記フレームに挿入する工程と、
前記少なくとも一つの保持部を前記内壁と交差する方向に沿って移動させることで、前記フレームに挿入された前記電子部品を保持する工程と
を含む電子部品の取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、電子部品用のソケット、および電子部品の取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子部品を回路基板と電気的に接続させるためのソケットが知られている。このソケットは、電子部品を着脱可能に保持するための保持部を備え、回路基板上に取り付けられる。このようなソケットは、例えば、電子部品の性能を検査するために用いられる。
【0003】
例えば下記特許文献1には、バーンイン試験を行う際に半導体パッケージを台座上に固定するバーンインソケットが記載されている。このバーンインソケットは、半導体パッケージの2つの側面に押し当てる端部を有する第1のパッケージガイドと、台座上に配置された、半導体パッケージの他の2つの側面に押し当てる端部を有する第2のパッケージガイドと、台座上の半導体パッケージを固定する位置から離れる方向に第1のパッケージガイドを移動させる第1のクランプと、台座上の半導体パッケージを固定する位置から離れる方向に第2のパッケージガイドを移動させる第2のクランプとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−25732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のバーンインソケットを用いると、第1および第2のパッケージガイドと、第1および第2のクランプとが半導体パッケージの上方に位置する。このようなパッケージガイドおよびクランプの構成が、そのバーンインソケットを他の種類の電子部品に対して適用した際に不都合を生じさせてしまう場合がある。例えば、作動時または検査時に主面側に遮る物が何もないことが望ましいイメージセンサを上記のバーンインソケットに取り付けると、該イメージセンサの主面側にパッケージガイドまたはクランプが位置する。そのため、パッケージガイドまたはクランプが位置する領域または方向において光が遮られてしまい、その領域または方向からの光をイメージセンサが受けることができない。同様に発光ダイオードを上記のバーンインソケットに取り付けた場合には、発せられた光の一部がパッケージガイドまたはクランプにより遮られてしまう。
【0006】
このような不都合を解消する一つの手段として、ソケットを用いることなく電子部品を回路基板上にはんだ付けすることが考えられる。しかし、検査のために電子部品をはんだ付けしてしまうと、その電子部品の端子がはんだで汚れてしまうので、その検査後に再利用することができず、その電子部品が使い捨てにされてしまう。
【0007】
そのため、電子部品の主面の側を遮ることなく該電子部品を回路基板と電気的に接続させるソケットが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面に係るソケットは、回路基板と電気的に接続可能な状態で電子部品を保持するソケットであって、ソケットの一端に設けられ、電子部品が挿入されるフレームと、フレームの内壁に設けられ、該内壁と交差する方向に沿って移動可能な少なくとも一つの保持部とを備え、少なくとも一つの保持部が、その方向に沿って移動してフレーム内の電子部品の少なくとも一つの側面に当接することで、該電子部品の主面が覆われることなく該電子部品がフレーム内で保持される。
【0009】
このような側面においては、フレームの内壁に設けられた保持部が電子部品の側面に当接することで、該電子部品の主面が覆われることなく該電子部品が保持される。したがって、電子部品の主面の側を遮ることなく該電子部品を回路基板と電気的に接続させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一側面によれば、電子部品の主面の側を遮ることなく該電子部品を回路基板と電気的に接続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係るソケットの利用例を示す斜視図である。
図2図1に対応する分解斜視図である。
図3】第1実施形態に係るソケットの斜視図である。
図4】軸部材の斜視図である。
図5】軸部材の平面図である。
図6】電子部品が挿入される前のフレームを示す部分拡大図である。
図7】電子部品が挿入されたフレームを示す平面図および部分拡大図である。
図8】保持部が電子部品を保持した状態を示す部分拡大図である。
図9】保持部が電子部品を保持した状態を示す部分拡大図である。
図10】電子部品を保持したフレームを示す平面図および部分拡大図である。
図11】電子部品を保持した、第1実施形態に係るソケットを示す斜視図である。
図12図11に対応する側面図である。
図13】第2実施形態に係るソケットの利用例を示す斜視図である。
図14図13に対応する分解斜視図である。
図15】第2実施形態に係るソケットの分解斜視図である。
図16】第2実施形態に係るソケットの利用方法を示す斜視図である。
図17】電子部品を保持した、第2実施形態に係るソケットを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一または同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
(第1実施形態)
図1〜5を参照しながら、第1実施形態に係るソケット1の構成を説明する。ソケットとは、電子部品を回路基板と電気的に接続させるための物品である。電子部品とは電気製品に使用される部品である。ソケット1の利用目的は限定されない。例えば、ソケット1は電子製品の性能を検査するために用いられてもよいし、電子部品を電気製品に組み込むための部品として用いられてもよいし、これらの双方の目的を達するために用いられてもよい。ソケット1を介して回路基板に接続される電子部品も限定されない。例えば、電子部品は発光または受光する機能を有してもよいし(例えば、発光ダイオードやイメージセンサなど)、それらの機能を有さなくてもよい。あるいは、電子部品は他の機能を有してもよい。電子部品の他の例として、圧力センサや、温度センサ、気圧センサなどの各種センサが挙げられる。
【0014】
図1,2に示すように、ソケット1は回路基板70の主面に取り付けられる。これらの図に示す例では、回路基板70を挟んでソケット1と反対側にバックアッププレート80が配され、ソケット1およびバックアッププレート80がボルト81を用いて(ナットがさらに用いられてもよい)回路基板70に固定される。バックアッププレート80は、ソケット1を回路基板70に取り付けることで回路基板70がソケット1からの圧力で反ってしまうことを防止するために用意される部品である。回路基板70の裏面(主面の反対側の面)に接するバックアッププレート80の側には、図示しない絶縁シートが配されるか、または絶縁のための加工が施される。バックアッププレート80はソケット1を用いる際に必須の部品ではない。例えば、回路基板70が反るおそれがないのであれば、バックアッププレート80を省略することができる。
【0015】
図1〜3に示すように、ソケット1は、複数の導電性のプローブ11を収容するプローブホルダ10と電子部品を保持するフレーム20とから成る二層構造を呈する。フレーム20で保持された電子部品は、プローブホルダ10内の複数のプローブ11を介して回路基板70と電気的に接続される。複数のプローブ11をプローブホルダ10内にどのように配置するかは、ソケット1に挿入しようとする電子部品の端子の配置に応じて決められる。本実施形態ではプローブホルダ10とフレーム20とがボルト81で一体化されるが、その一体化の手法はこれに限定されない。例えば、ラッチ機構などの他の構造を用いてもよいし、プローブホルダ10およびフレーム20が一体成型されてもよい。本明細書では、回路基板70と接するプローブホルダ10の側をソケット1の下側と定義し、フレーム20の側をソケット1の上側と定義する。
【0016】
フレーム20の端面21には、電子部品が挿入される凹部22が形成される。その端面21は、ソケット1の端面または上面ということもできる。本実施形態では凹部22の外縁の形状が矩形であるが、その形状は電子部品の挿入および保持を妨げない限り任意に定めてよい。凹部22の底からは複数のプローブ11の一端が露出する。
【0017】
ソケット1は、凹部22に挿入された電子部品の主面を覆う構成要素を備えない。ここで、「電子部品の主面」とは、電子部品が凹部22に挿入された際に上側を向く面のことであり、その挿入の際にソケット1の上方から視認できる面ということもできる。「電子部品の主面が覆われない」とは、少なくとも、ソケット1の真上から該ソケット1を見下ろした場合(視線と電子部品の主面との成す角度が直角である場合)に、電子部品の主面の全体が何にも遮られずに視認できる状態を意味する。
【0018】
凹部22の深さは限定されない。本実施形態では、凹部22の深さは、挿入された電子部品の主面と、該電子部品の各側面の上側(各側面のうち、電子部品の主面と接続する部分)とがフレーム20(またはソケット1)から露出するように設定される。挿入された電子部品がフレームまたはソケットから露出するとは、ソケットを真横から見た場合に該電子部品の一部が見える状態のことをいう。もちろん、凹部22の深さは、ソケットを真横から見た場合に電子部品が視認できないように設定されてもよい。
【0019】
凹部22を形成するフレーム20の内壁23には、該内壁23と交差する方向に沿って移動可能な保持部(ガイド)30が設けられる。本実施形態では、凹部22を形成する4辺に対応して4個の保持部30が設けられる。図3に示すように、個々の保持部30は、内壁23に沿って延びる細長い当接部31と、当接部31の両端に形成されたL字状のフランジ32とを備える。当接部31は内壁23から露出するのに対して、フランジ32はフレーム20内に収容され、これにより、保持部30が凹部22内に飛び出ることが防止される。
【0020】
フレーム20において、個々の保持部30の外側には、該保持部30を内壁23と交差する方向に沿って動かすための軸部材(ガイドローラ)40が設けられる。図3,4に示すように、軸部材40はフレーム20の上下方向に沿って延びる円柱状の部材である。図4に示すように、軸部材40の上端には、該軸部材40を回すための工具(例えばドライバ)を受け付ける切り込み41が形成される。軸部材40の中央部は、軸部材40の軸方向と直交する断面が楕円状を呈するように加工され、保持部30と接触する接触部42として機能する。接触部42の断面が楕円状を呈するので、図5に示すように、接触部42は少なくとも、第1の径D1と、第1の径D1よりも大きい第2の径D2とを有する。本実施形態では、第1の径D1は接触部42の短径であり、第2の径D2は接触部42の長径であるとする。各軸部材40は、フレーム20に形成された、該軸部材40とほぼ同じ径を有する穴に挿入されることで、該フレーム20に取り付けられる。したがって、各軸部材40は軸が実質的に移動することなくその穴の中で回転する。
【0021】
次に、図6〜12を参照しながら、電子部品をソケット1に取り付ける方法を説明する。まず、ユーザは電子部品90およびソケット1を用意する。そのソケット1は既に回路基板70上に取り付けられていてもよいし、まだ取り付けられていなくてもよい。
【0022】
続いて、ユーザは、電子部品90をフレーム20(より具体的には凹部22)に挿入できるようにそれぞれの保持部30の位置を調整する。この調整は、対向し合う二つの保持部30の間隔を十分に確保するための操作であり、これによりユーザは電子部品90をフレーム20(凹部22)に簡単に挿入することができる。具体的には、ユーザは個々の軸部材40をドライバなどで回して、内壁23と直交する方向に沿った接触部42の径を第2の径D2よりも小さくすることで、個々の保持部30を内壁23に向けて(すなわち、フレーム20の外側に向けて)ずらす。図6に示すように、ユーザは、内壁23と直交する方向に沿った接触部42の径Rが第1の径D1になるように軸部材40を回すことで、対応する保持部30を最も外側の位置までずらしてもよい。この径Rは、保持部30と接する接触部42の位置を起点とする接触部42の径であるともいうことができる。あるいは、ユーザは、上記の径Rが第1の径D1より大きくかつ第2の径D2より小さくなるように軸部材40を回すことで、対応する保持部30を外側にずらしてもよい。
【0023】
個々の保持部30の位置を調整すると、ユーザは電子部品90をフレーム20(より具体的には凹部22)に挿入する。この時点では、図7に示すように、少なくとも一つの保持部30と電子部品90との間に隙間Cが生ずる。
【0024】
続いて、ユーザは個々の軸部材40を回すことで個々の保持部30をフレーム20の中心に向けてずらし、電子部品90がフレーム20内で動かないように個々の保持部30(より具体的には各当接部31)を電子部品90の側面に当てる。この操作は、ユーザが個々の保持部30を凹部22の中心に向けてずらすことであるともいえる。あるいは、その操作は、ユーザが個々の保持部30を内壁23から遠ざかる方向にずらすことであるともいえる。図8に示すように、ユーザは、内壁23と直交する方向に沿った接触部42の径Rが第2の径D2になるように軸部材40を回すことで、対応する保持部30を最も内側の位置までずらしてもよい。あるいは、図9に示すように、ユーザは、その径Rが第1の径D1より大きくかつ第2の径D2より小さくなるように軸部材40を回すことで、対応する保持部30を内側にずらしてもよい。いずれにせよ、この操作により、図10に示すように各保持部30(より具体的には各当接部31)が電子部品90を側方から押さえるので、電子部品90がフレーム20内で保持される。
【0025】
図11に示すように、ソケット1は各保持部30のみにより電子部品90をフレーム20内で保持し、電子部品90の主面91を覆う構造を有しない。これは、フレーム20の端面21の上には何も設けられないことを意味する。図12に示すように、フレーム20に保持された電子部品90は該フレーム20(またはソケット1)から露出する。したがって、図12に示すように、ソケット1を回路基板70上に取り付けた場合には、回路基板70からフレーム20の端面21までの最大長さLaが、回路基板70からフレーム20内で保持された電子部品90の主面91までの最小長さLbよりも短い。ただし、上述したように、ソケットを真横から見た場合に電子部品が視認できないように凹部22の深さを設定してもよく、この場合には最大長さLaが最小長さLb以上になる。
【0026】
必要であれば、ユーザは軸部材40を回して保持部30を内壁23に向けてずらすことで、電子部品90をソケット1から取り外すことができる。
【0027】
(第2実施形態)
図13〜15を参照しながら、第2実施形態に係るソケット100の構成を説明する。第2実施形態が第1実施形態と異なる点は、保持部をずらす仕組みである。以下では、第1実施形態との違いを特に説明し、第1実施形態と同一または同等の事項については説明を省略する。
【0028】
図13,14に示すように、ソケット100は回路基板70の主面に取り付けられる。これらの図に示す例では、回路基板70を挟んでソケット100と反対側にバックアッププレート80が配され、ソケット100およびバックアッププレート80がボルトなどの留め具181を用いて回路基板70に固定される。しかし、第1実施形態と同様に、バックアッププレート80を用いなくてもよい。
【0029】
図13〜15に示すように、ソケット100は、複数の導電性のプローブ111を収容するプローブホルダ110と電子部品を保持するフレーム120とから成る二層構造を呈する。本実施形態ではプローブホルダ110とフレーム120とがラッチ機構190で一体化されるが、第1実施形態と同様に、プローブホルダ110とフレーム120とを一体化させる方法は何ら限定されない。本明細書では、回路基板70と接するプローブホルダ110の側をソケット100の下側と定義し、フレーム120の側をソケット100の上側と定義する。
【0030】
フレーム120の端面121には、電子部品が挿入される凹部122が形成される。その端面121は、ソケット100の端面または上面ということもできる。第1実施形態と同様に、凹部122の形状は限定されない。凹部122の底からは、電子部品の端子と接続する複数のプローブ111の一端が露出する。
【0031】
第1実施形態と同様に、ソケット100は、凹部122に挿入された電子部品の主面を覆う構成要素を備えない。
【0032】
凹部122の深さは限定されない。本実施形態では、凹部122の深さは、挿入された電子部品の主面と、該電子部品の各側面の上側(各側面のうち、電子部品の主面と接続する部分)とがフレーム120(またはソケット100)から露出するように設定される。もちろん、凹部122の深さは、ソケットを真横から見た場合に電子部品が視認できないように設定されてもよい。
【0033】
凹部122を形成するフレーム120の内壁123には、該内壁123と交差する方向に沿って移動可能な保持部(ガイド)130が設けられる。本実施形態では、凹部122を形成する4辺に対応して4個の保持部130が設けられる。図15に示すように、個々の保持部130は、内壁123に沿って延びる細長い当接部131と、当接部131の両端に形成されたL字状のフランジ132と、当接部131の裏側(フレーム120に収容される側)に設けられる環状部133とを備える。環状部133は、フレーム120の上下方向に沿って延びる貫通孔134を形成する。当接部131は内壁123から露出するのに対して、フランジ132および環状部133はフレーム120内に収容される。フランジ132により、保持部130が凹部122内に飛び出ることが防止される。本実施形態では、フランジ132と環状部133との間に空間(凹部)が形成され、その空間に弾性部材135が設けられる。弾性部材135は、フレーム120の内壁123と交差する方向に沿って伸縮するように配置される。本実施形態では、弾性部材135は圧縮ばねであり、保持部130に外圧が掛らない状態では、保持部130を凹部122の中心(内壁123から遠ざかる方向)に向けて押し出す。
【0034】
フレーム120の端面121には、保持部130の貫通孔134に対応する挿入口124が形成される。より具体的には、一つの挿入口124と対応する一つの貫通孔134とがフレーム120の上下方向に沿って連なるように、貫通孔134の上方に挿入口124が形成される。
【0035】
次に、図16,17を参照しながら、電子部品をソケット100に取り付ける方法を説明する。
【0036】
まず、ユーザは電子部品90およびソケット100を用意する。そのソケット100は既に回路基板70上に取り付けられていてもよいし、まだ取り付けられていなくてもよい。
【0037】
続いて、図16に示すように、ユーザは個々の挿入口124に楔200を差し込むことで、対応する保持部130を内壁123に向けて(すなわち、フレーム120の外側に向けて)ずらす。楔200は、テーパ状に形成された先端部201を有する棒状の部材である。楔200はソケット100の構成要素ではないが、ソケット100と共に提供されてもよい。ユーザが、先端部201が保持部130の貫通孔134に至るまで楔200を挿入口124に差し込むと、環状部133がその先端部201によりフレーム120の外側に向かって押されるので、保持部130がその方向に移動する。ユーザがそれぞれの挿入口124から楔200を差し込むことで、電子部品90を挿入できるほどの空間が凹部122内に形成される。このとき、それぞれの弾性部材135が圧縮し、そこに弾性エネルギが生ずる。
【0038】
続いて、ユーザは電子部品90をフレーム120(より具体的には凹部122)に挿入し、その後、個々の楔200を抜き取る。すると、それぞれの保持部130が、対応する弾性部材135の弾性力により、凹部122(フレーム120)の中心に向かって移動し、電子部品90の側面に当たる。より具体的には、各当接部131が電子部品90の側面に当たる。この操作は、ユーザが個々の保持部130を凹部122の中心に向けて動かすことであるともいえるし、ユーザが個々の保持部130を内壁123から遠ざかる方向に動かすことであるともいえる。
【0039】
ソケット100は各保持部130のみにより電子部品90をフレーム120内で保持し、電子部品90の主面を覆う構造を有しない。これは、フレーム120の端面121の上には何も設けられないことを意味する。図17に示すように、フレーム120に保持された電子部品90は該フレーム120(またはソケット100)から露出する。したがって、図17に示すように、ソケット100を回路基板70上に取り付けた場合には、回路基板70からフレーム120の端面121までの最大長さLaが、回路基板70から、フレーム120内で保持された電子部品90の主面91までの最小長さLbよりも短い。ただし、上述したように、ソケットを真横から見た場合に電子部品が視認できないように凹部122の深さを設定してもよく、この場合には最大長さLaが最小長さLb以上になる。
【0040】
必要であれば、ユーザは個々の挿入口124に楔200を差し込んで保持部130を内壁123に向けてずらすことで、電子部品90をソケット100から取り外すことができる。
【0041】
以上説明したように、本発明の一側面に係るソケットは、回路基板と電気的に接続可能な状態で電子部品を保持するソケットであって、ソケットの一端に設けられ、電子部品が挿入されるフレームと、フレームの内壁に設けられ、該内壁と交差する方向に沿って移動可能な少なくとも一つの保持部とを備え、少なくとも一つの保持部が、その方向に沿って移動してフレーム内の電子部品の少なくとも一つの側面に当接することで、該電子部品の主面が覆われることなく該電子部品がフレーム内で保持される。
【0042】
本発明の一側面に係る電子部品の取付方法は、上記のソケットと電子部品とを用意する工程と、電子部品をフレームに挿入する工程と、少なくとも一つの保持部を内壁と交差する方向に沿って移動させることで、フレームに挿入された電子部品を保持する工程とを含む。
【0043】
このような側面においては、フレームの内壁に設けられた保持部が電子部品の側面に当接することで、該電子部品の主面が覆われることなく該電子部品が保持される。したがって、電子部品の主面の側を遮ることなく該電子部品を回路基板と電気的に接続させることができる。従来はこのような電気的接続を実現するには電子部品を回路基板にはんだ付けするしかなかった。しかし、本発明の一側面に係るソケットを用いることで、該ソケットに取り付けた電子部品を取り外して再利用することも可能になる。
【0044】
他の側面に係るソケットでは、回路基板からフレームの端面までの最大長さが、該回路基板からフレーム内で保持された電子部品の主面までの最小長さよりも短くてもよい。この場合には、電子部品の主面および一部の側面がフレームから完全に露出する。したがって、電子部品の主面がその周囲も含めて全く遮られないように、その電子部品をソケットに取り付けることができる。
【0045】
他の側面に係るソケットでは、少なくとも一つの保持部に対応する少なくとも一つの軸部材をさらに備え、各軸部材が、対応する保持部と接する接触部を有し、接触部が少なくとも、第1の径と、該第1の径よりも大きい第2の径とを有し、軸部材が回転し、対応する保持部と接する接触部の位置を基点とする該接触部の径が変わることで、該対応する保持部が、内壁と交差する方向に沿って移動してもよい。少なくとも二つの径を有する軸部材を回して保持部の位置を変えることで、保持部の位置を簡単に調整することができる。
【0046】
他の側面に係るソケットでは、フレームの端面に、少なくとも一つの保持部を移動させるための部材が挿入される少なくとも一つの挿入口が形成されてもよい。この場合にはユーザは任意の部材をその挿入口に差し込むことで保持部の位置を簡単に調整することができる。
【0047】
他の側面に係るソケットでは、各保持部が、内壁と交差する方向に沿って伸縮する弾性部材を有してもよい。この場合には保持部が弾性部材の弾性力により動き得るので、ユーザが保持部の位置を調整する手間が省かれる。したがって、保持部の位置を簡単に設定できる。
【0048】
他の側面に係るソケットでは、電子部品が、発光または受光する機能を有してもよい。ソケットで保持される電子部品の主面および一部の側面がフレームで覆われないので、電子部品が発するまたは受ける光がソケットで遮られない。したがって、電子部品の発光または受光の機能が妨げられない。例えば、ソケットは発光ダイオードからその真横に放射された光を遮らず、イメージセンサの主面の真横から入射する光も遮らない。
【0049】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0050】
第1実施形態では軸部材40の接触部42の断面が楕円状を呈したが、少なくとも二つの径を有するのであれば、軸部材の断面は他の形状を呈してもよい。例えば、軸部材の断面形状は四角形や六角形などの多角形であってもよい。
【0051】
第2実施形態では保持部130が弾性部材135として圧縮ばねを有したが、弾性部材の種類は限定されない。例えば、引張りばねを用いてもよいし、ばね以外の弾性部材を用いてもよい。弾性部材を設置する場所も限定されず、弾性部材の機能または種類に応じて決めることができる。あるいは、第2実施形態において保持部の位置を調整するために、保持部は弾性部材に代えてアジャスタなどの他の手段を有してもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…ソケット、10…プローブホルダ、11…プローブ、20…フレーム、21…フレームの端面、22…凹部、23…内壁、30…保持部、40…軸部材、42…接触部、70…回路基板、80…バックアッププレート、90…電子部品、91…電子部品の主面、100…ソケット、110…プローブホルダ、111…プローブ、120…フレーム、121…フレームの端面、122…凹部、123…内壁、124…挿入口、130…保持部、133…環状部、134…貫通孔、135…弾性部材、200…楔、D1…第1の径、D2…第2の径。
図1
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